JP2004267057A - 肉質改善効果をもつ調味料 - Google Patents
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Abstract
【課題】加熱処理を行っても、硬くならず、軟らかく、肉汁に富み獣臭が抑えられた畜肉を提供できる肉質改善効果をもつ調味料の提供、並びに加熱処理を行ってもフレッシュ感を損なわず、ソフト、ジューシーである食感をもつ魚肉を提供できる肉質改善効果をもつ調味料を提供する。
【解決手段】穀類麹と食塩水を混ぜたもろみを極力醗酵させず、低温、短期間で醸造を行った後、固液分離を行った未加熱調味料。
【解決手段】穀類麹と食塩水を混ぜたもろみを極力醗酵させず、低温、短期間で醸造を行った後、固液分離を行った未加熱調味料。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、食肉軟化、肉質改善効果を有する調味料に関するものである
【0002】
【従来の技術】
これまでの食肉の軟化方法としては、粉末のパパイン、ブロメラインなど蛋白分解酵素を調理前に肉にまぶす方法が古くから知られているが、粉末の特性上、まぶした時に均一になりにくいという問題点がある。このような点から、粉末の蛋白分解酵素を水に溶かし、液体として食肉に作用させる方法もあるが、表面が分解されすぎる、異臭が発生するなど、食肉として好ましくないものに仕上がってしまう(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また麹から抽出した同様の効果が期待できる酵素剤は、精製する設備や技術が必要であり、初期投資費用や価格が高いなど食品への使用は限られる。さらに酵素剤を食品に使用する場合、食品添加物の表示義務が生じ、より天然に近い食品が求められる近年では用途が限定されてしまう。
【0004】
肉のpHを変えることで肉の保水性を向上させて肉質を改善するリン酸塩(例えば、特許文献2参照。)、炭酸塩(例えば特許文献3参照。)をはじめとした改質剤が存在するが、処理されたものをそのまま加工食品に使用した場合、アルカリ臭が残るなど風味が悪くなってしまう。そのため水洗いをするなどの作業が必要となる。さらにこれらは食品添加物として表示の義務があり、近年食品への化学物質使用が嫌われている中では用途が限定されてしまう。
【0005】
穀類麹を使用する代表としてしょうゆが挙げられる。一般的にしょうゆは、しょうゆ固有の香り、風味があるものが高品質であると評価されており、醤油製造者は十分発酵、熟成を行い、目的の香り、風味を得るために力を注いできた。したがって本発明のように低温で醸造を行い、醗酵がそれほど行われていない短期間で固液分離することは、しょうゆとしての品質の観点からこれまで行われてこなかった。
【0006】
食肉を生(なま)醤油で接触処理して軟化・調味する報告(特許文献1参照。)、また生(なま)醤油を加えることによる食肉軟化効果をもつ焼肉用調味料の報告(特許文献4参照)などがあるが、これらは十分に醗酵・熟成を終えたしょうゆの中に僅かに残存する酵素に期待を寄せているのみで、積極的な利用とは言い難い。実際、4ヶ月以上醸造されたしょうゆ中の肉を軟らかくする酵素活性は、1ヶ月醸造の約1/3程度しか残存していないことが確認されている。またしょうゆの特徴的な香味や色がついてしまうため、その用途は極端に限定されてしまう。
【0007】
またしょうゆもろみを使用して肉質を軟化させる製造法の報告(特許文献5参照。)があるが、固形物を含むため、浸漬後洗浄などの固形物除去操作が必要となる。また熟成したもろみの場合は、色、香り、風味が強いため用途が限られる。
【0008】
しょうゆの日本農林規格に記載されているように、しろしょうゆは極力発酵させずに低温で熟成させ、短期間で搾っている。この点については本発明と類似するが、しろしょうゆの製法は色をうすく仕上げることを目的としており、麹原料の蛋白含量が少ない。このため肉質軟化効果のある蛋白分解酵素の活性は低く、肉質改善効果は期待できない。
【0009】
米等の澱粉原料を主に麹原料としている酒やみりんも同様に肉質軟化効果のある蛋白分解酵素の活性は低く、肉質改善効果は期待できない。
【0010】
【特許文献1】
特開昭61−271964号公報
【特許文献2】
特開昭58−23767号公報
【特許文献3】
特開2000−116340号公報
【特許文献4】
特開昭60−256359号公報
【特許文献5】
特開昭50−160496号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は以上のような課題を解決することを目的としてなされたものであって、色沢が淡く、独特の香りや風味を持たない、汎用性に富む天然調味料であるという特徴を有する肉質改善効果の高い調味料を提供しようとするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明者らは上述の目的を達成するために鋭意検討した結果、色沢が淡く、独特の香りや風味のない、天然醸造物である肉質改善効果の高い調味料を発明するに至った。
【0013】
すなわち本発明では穀類麹のもろみの仕込み品温を低温に抑えることにより、色の濃化、熟成香の発現及び酵素の失活を防ぎ、さらに酵素活性が高いまま、麹菌などの微生物が塩分によって死滅または静菌する時期(仕込み0.5〜2.0ヶ月)に固液分離することによりこの調味料が得られる。ここでいう低温は4℃〜30℃を指すが、好ましくは10〜25℃で醸造を行うことが望ましい。
【0014】
本発明においてもろみとは、小麦、大豆、小麦グルテンなどの原料を加熱などによって蛋白質変性加工を施し、麹菌が生育しやすい環境にて製麹を行い、その出来あがった麹と食塩水を混ぜて仕込まれたものを指す。蛋白質変性加工とは原料を水に浸漬させ、蒸煮する方法やエクストルーダーにて110℃以上の温度で押し出し成型する方法等を行って蛋白質を十分に変性させることである。製麹はしょうゆの製麹の常法などを使用すれば良い。例えば含水させた原料にアスペルギルス属などの麹菌を接種し、25℃〜40℃で2〜4日製麹させる方法が挙げられる。ここでいう穀類麹は、麹に使用する蛋白原料が少ないことに比例して、肉質軟化効果のある蛋白分解酵素活性が低くなるため、全窒素量が3.0重量%以上になるように調整された原料を使用した穀類麹を用いる。例えば通常のこいくちしょうゆの場合、麹原料の大豆と小麦がほぼ等量で使用されるため全窒素量が4.0〜5.0重量%であるが、米等の澱粉原料を主に麹原料としている酒、みりん、しろしょうゆのような類は、麹原料の全窒素量が3.0重量%を満たさないため該当しない。
【0015】
ここでいう食塩水は、7〜24%(w/v)の食塩水を用いる。低温で仕込むため、食塩水は予め冷却することが望ましい。−5℃以下であると初期もろみの温度を4℃程度にすることができる。また初期もろみ中の微生物の繁殖を抑えるため、仕込み後2週間程度は15℃以下で醸造することが望ましい。
【0016】
もろみを25℃にて醸造を行った場合の酵素力価の経時的変化を表1に示す。蛋白分解酵素活性は、ミルクカゼインを基質にpH5.5で反応を行い、生成する非蛋白性物質をFolin呈色法で測定した。
【0017】
【表1】
【0018】
このように仕込んでから2ヶ月までの酵素活性が高いため、肉を軟らかくする酵素活性が高いできるだけ早い時期に固液分離することが望ましい。したがって25℃にて、2ヶ月を超える醸造を行うことは、肉質軟化効果をもつ蛋白分解酵素の活性が下がり、本発明調味料の効果が期待できない。また醤油様の独特の色、香り、風味が感じられるため、本発明調味料が目的とする汎用性の点からも外れる。
【0019】
また低温で醸造を行うため分解が進まず、固液分離の時期によっては調味料の低温保管中において未分解物が沈殿として現れる場合がある。沈殿物は肉質改善効果に影響を及ぼさないが、これを嫌う場合は15〜25℃で1ヶ月程度の醸造を行うことが望ましい。醸造期間による沈殿物の有無を表2に示す。沈殿の確認は、こいくちしょうゆのもろみを7日間10℃、その後7日間毎に5℃ずつ温度を上げ、最終25℃なるよう醸造を行い、所定の期間毎にもろみをろ布で固液分離、珪藻土ろ過を行い、4℃静置にて行った。
【0020】
【表2】
【0021】
ここでいう固液分離は通常しょうゆで行われている方法で構わず、固液分離できるものであればなんでもよい。例えばろ布を使用した圧搾や遠心分離機を使用した固液分離などが挙げられる。固液分離して得られた調味液は、酵素失活を防ぐため、加熱殺菌を行わない。加熱殺菌を行わないため乳酸菌、酵母などが多く存在するが、菌の増殖を防ぐため冷蔵、冷凍で保存することが望ましい。又はアルコールを3%(w/v)以上添加、pH5.0以下に調整することで常温でも静菌させることができる。さらにはアルコール3〜5%(w/v)添加かつpH4.8〜5.0に調整することが酵素活性に影響がないため望ましい。また珪藻土によるろ過や微小膜を用いたろ過をすることで酵素活性を減少させることなく菌の減少、除菌を行うことができる。さらに用途を広げるため、膜ろ過、樹脂などを使って脱色、脱塩や濃縮を行い、より色や塩味を感じさせない調味料、少量で効果がある調味料をつくることができる。
【0022】
ここで得られた調味液で畜肉を処理することにより軟らかい食感の肉に仕上げることができる。ここでいう畜肉は、牛、豚、鶏、馬、羊、鴨、アヒルなどである。さらには老廃家畜肉、廃鶏肉あるいはスジ肉などの硬い肉質のものに用いると食べやすくなり好ましい。
【0023】
またここで得られた調味液で魚肉を処理することにより加熱処理を行ってもしっとりした肉質に仕上げることができる。ここでいう魚は、まぐろ、かつお、たら、たい、さわら、さけなどである。さらには加熱調理を行うとぱさぱさする食感になる脂の少ない魚に用いると嗜好性が増し好ましくなる。
【0024】
本発明では、調味料の濃度は、各々の使用目的によって任意に設定することができるが、通常肉重量に対して5〜20重量%程度使用すれば良い。また調味液は3〜20倍程度に希釈して使用することが望ましい。このようにすると、調味液中の酵素が有効に作用し、また肉に塩味などが過度に浸透することがなく、加熱しても軟らかい畜肉やジューシーな魚肉を得ることができる。また処理条件はこれらの肉を0〜40℃で10分〜72時間、好ましくは4〜15℃で10分〜24時間前述濃度の調味液中に浸漬することが望ましい。
【0025】
これらの通り、本発明の調味料で処理された畜肉は加熱をしても軟らかく、肉汁に富む好ましい食感になるため、様々な肉加工食品に用いることができる。例えば、揚げ物、焼き肉、角煮、野菜煮、釜飯、カレー、シチュー、ハヤシなどに使用することができる。また処理した畜肉を加工し冷凍食品、チルド食品、レトルト食品など数多くの調理食品に利用することができる。
【0026】
また本発明の調味料で処理された魚肉は、加熱してもフレッシュ感を損なわず、ソフトでジューシーな好ましい食感になるため、様々な魚加工品に用いることができる。例えば、揚げ物、焼き物、煮物、西京漬け、味噌漬け、しょうゆ漬け、溜り漬け、粕漬けなどに使用することができる。また処理をした魚肉を加工し冷凍食品、チルド食品、レトルト食品など数多くの調理食品に使用することができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
次に本発明について実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明の範囲をこれら実施例によって限定するものではない。
【0028】
【実施例1】
脱脂加工大豆4.9kg、小麦4.9kgを麹原料(全窒素量5重量%)とし、しょうゆ麹の常法に従い麹を作製した。その麹10kg(水分約28重量%を含む)に17.5リットルの−5℃に冷却された23.2 %(w/v)食塩水を加えたものをもろみとした。仕込みから7日間は10℃にて醸造を行い、その後7日間毎に5℃ずつ醸造温度を上げ、最終25℃にて14日間醸造した。醸造されたもろみは、しょうゆのろ過に使用しているろ布にて固液分離を行った。得られた液は珪藻土ろ過を行い、アルコールをろ液の3%(w/v)を加え、さらに乳酸にてpH5.0に調整して調味料を得た。ここで得られた調味液は全窒素量1.26%(w/v)、塩分17.0%(w/v)、日本農林規格の色番は49番であった。以後ここで得られた調味料を使用して破断試験、調理評価をおこなった。
【0029】
【実施例2】
均一な肉加工品での本発明調味液の効果を確認するため、鶏胸肉のミンチを使用したハンバーグにて破断強度を測定した。鶏胸肉500gをフードプロセッサーにかけミンチを作製した。ここで得られたミンチ肉100gに10mlの本調味液を混合して厚さ1.5cm、直径7cmの型に入れ成形した。成形されたハンバーグは4℃、30分静置後、電子レンジ(500W)で4分加熱しハンバーグ調理品を得た。比較としてミンチ肉100gに10mlの17 %(w/v)食塩水または生(なま)醤油(こいくちしょうゆ5ヶ月醸造品、T−N1.88%(w/v)、塩分17.0%(w/v))を加えて同様に成形、加熱を行い、調理品を得た。得られたハンバーグ調理品を縦2cm横2cm厚さ1cmに切り、測定用サンプルとした。測定はクリープメーター(山電製 RE−3305S)で行った。
【0030】
【表3】
【0031】
表3に示すように均一の肉であるモデル系の試験においても歯での噛みきり易さは食塩水漬け込み品、生(なま)醤油漬け込み品より物理的な測定において明らかに優れていることがわかった。
【0032】
【実施例3】
鶏胸肉(約200g)に対し10重量%の本発明調味液と40重量%の水を混合した液に漬け込み、4℃、24時間静置した。静置後ざるにてよく水気をきり、電子レンジ(500W)で5分加熱して鶏胸肉調理品を得た。比較として鶏胸肉に対し同様の塩分濃度の食塩水または生(なま)醤油(こいくちしょうゆ5ヶ月醸造品、T−N1.88%(w/v)、塩分17.0%(w/v))に同時間漬け込み、同様の操作で調理品を得た。得られた肉を縦2cm横2cm厚さ1cmに切り、測定用サンプルとした。測定はクリープメーター(山電製 RE−3305S)で行った。
【0033】
【表4】
【0034】
表4に示すように本発明調味液を使用した鶏胸肉の噛みきり易さは食塩水漬け込み品や生(なま)醤油漬け込み品より物理的な測定において明らかに優れていることがわかった。
【0035】
【実施例4】
半解凍した鶏胸肉を縦4cm横4cm厚さ3cm程度の大きさに切り分け、肉重量に対し10重量%の本発明調味液と40重量%の水を混合した液に漬け込み、パウチに入れて冷凍した。後日、冷蔵庫にて16〜24時間かけて解凍し、肉の水分をざるでよく切った後、調味液(醤油、砂糖、みりんなど)に30分程度漬け込んだ。その後、小麦粉または片栗粉をつけ、160〜170℃の油で揚げて鶏の唐揚げを得た。比較として、半解凍した鶏胸肉を同サイズに切り分け、肉重量に対して1.0重量%の重炭酸ナトリウムと49重量%の水を混合した液に漬け込み、パウチに入れて冷凍および解凍を行った。解凍した鶏胸肉を水で洗浄し、ざるで水分をよく切った後、調味液(醤油、砂糖、みりんなど)に30分程度漬け込み、同様の調理法にて唐揚げを得た。出来あがった唐揚げについて官能評価を行い、20名の訓練されたパネラーを用いて2点嗜好法で好ましい方を、2点識別法では軟らかいと感じる方を選ばせた。
【0036】
【表5】
【0037】
表5によると本発明調味料を使用した唐揚げは、肉の自然な風味を有し、かつ好ましい食感を有しており、明らかに重炭酸ナトリウムを使った唐揚げより優れていた。
【0038】
【実施例5】
半解凍した鶏胸肉を縦4cm横4cm厚さ3cm程度の大きさに切り分け、肉重量に対し10重量%の本発明調味液と40重量%の水を混合した液に漬け込み、パウチに入れて冷凍した。後日、冷蔵庫にて16〜24時間かけて解凍し、肉の水分をざるでよく切った後、調味液(しょうゆ、砂糖、みりんなど)に30分程度漬け込んだ。その後、小麦粉または片栗粉をつけ、160〜170℃の油で揚げて鶏の唐揚げを得た。比較として、半解凍した鶏胸肉を同サイズに切り分け、肉重量に対して10重量%の生(なま)醤油(こいくちしょうゆ5ヶ月醸造 T−N1.88%(w/v)、塩分17.0%(w/v))と40重量%の水を混合した液に漬け込み、パウチに入れて冷凍および解凍を行った。解凍した鶏胸肉の水分をざるでよく切った後、調味液(醤油、砂糖、みりんなど)に30分程度漬け込み、同様の調理法にて唐揚げを得た。出来あがった唐揚げについて官能評価を行い、20名の訓練されたパネラーを用いて2点嗜好法で好ましい方を、2点識別法では軟らかいと感じる方を選ばせた。
【0039】
【表6】
【0040】
表6によると本発明調味料を使用した唐揚げは、軟らかさ、ジューシーさを有しており、生(なま)醤油を使用した唐揚げより明らかに優れていた。
【0041】
【実施例6】
生の焼肉用カルビ肉(アメリカ産)に、その肉に対して10重量%の本発明調味液と40重量%の焼肉のたれを混合した。混合された肉と液をパウチに入れ、真空にした後冷凍した。後日冷凍されたパウチを冷蔵庫にて16〜24時間の解凍を行った。解凍された肉は網で焼き、味付き焼肉を得た。比較として焼き肉用カルビ肉に肉重量に対して40重量%の焼肉のたれ、本発明調味料と同じ量でかつ同じ塩分濃度の水溶液を混合し、同様にパウチに入れ冷凍した。後日同様に冷蔵庫にて解凍し、網で焼き、味付き焼肉を得た。
【0042】
【実施例7】
半解凍された鶏胸肉を大きさ縦10mm横10mm厚さ10mmに切り分け、肉重量に対して6重量%の本発明調味液と24重量%の水を混合した液に漬け込み、冷蔵庫にて12〜16時間静置した。静置後、液を切り、釜飯の具材に使用した。にんじん、ごぼう、筍などの野菜と酒、みりん、砂糖、塩、調味料などと一緒にパウチに充填し、121℃、20分加圧加熱殺菌を行った。殺菌後、釜飯の素として所定の手順によって炊飯器にて炊飯し釜飯を得た。比較として本発明調味料を使用した場合と同じ量でかつ同じ塩分濃度の食塩水に同条件で肉を漬け込み、同様の操作にて釜飯を得た。
【0043】
【実施例8】
冷凍されたさわら(70g/一枚)に対して10重量%の本発明調味液と90重量%の味噌調味液(西京味噌、みりん、酒を混合したもの)を混合した。そこで得られた調味液に、冷凍されたさわらを4℃、24時間漬け込んで、さわら西京漬けを得た。そのさわら西京漬けの味噌などをペーパータオルなどで良く拭き取り、家庭用コンロの魚焼き機にて焼いた。比較としてさわらに対して10重量%のしょうゆと90重量%味噌調味液を混ぜた液に4℃、24時間漬け込み、同様に調理を行った。
【0044】
【実施例9】
かじきまぐろの切り身(100g/一切れ)に対して10重量%の本発明調味液と90重量%の水を混合した液にかじきまぐろの切り身を4℃、30分間漬け込んだ。漬け込み後ざるなどで液をよくきり、塩、胡椒をした。フライパンにて強火でこんがり色つくまで焼き、醤油を少量かけてかじきまぐろのステーキを得た。比較としてかじきまぐろの切り身に本発明調味液を使用した場合と同じ量、同塩分濃度の水溶液に同条件で漬け込み、同様に調理を行った。
本発明の効果を確認するために、実施例による製品と比較例による製品についてその品質を官能評価によって比較した。官能評価は20名の訓練されたパネラーを用いて2点嗜好法で好ましい方を2点識別法では軟らかいと感じる方またはジューシーと感じる方を選ばせた。この結果を表7、8に示す。
【0045】
【表7】
【表8】
【0046】
この結果、本発明の調味料を用いた料理は、いずれの場合も統計的に有意に好まれ、また軟らかさを有意に認識していることが確認された。
【0047】
【発明の効果】
以上の物理的測定、官能試験から明らかな通り、本発明調味料は肉、魚を好ましい肉質に改善することができる極めて優れた効果を有している。また天然食品が嗜好される近年において醸造調味料である本発明調味料は安全でかつ安心して使用することができる。さらに色や風味がほとんどつかず、希釈して漬け込むだけの簡単な操作で肉質を改善することができるため、汎用性に富む非常に優れた調味料である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、食肉軟化、肉質改善効果を有する調味料に関するものである
【0002】
【従来の技術】
これまでの食肉の軟化方法としては、粉末のパパイン、ブロメラインなど蛋白分解酵素を調理前に肉にまぶす方法が古くから知られているが、粉末の特性上、まぶした時に均一になりにくいという問題点がある。このような点から、粉末の蛋白分解酵素を水に溶かし、液体として食肉に作用させる方法もあるが、表面が分解されすぎる、異臭が発生するなど、食肉として好ましくないものに仕上がってしまう(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また麹から抽出した同様の効果が期待できる酵素剤は、精製する設備や技術が必要であり、初期投資費用や価格が高いなど食品への使用は限られる。さらに酵素剤を食品に使用する場合、食品添加物の表示義務が生じ、より天然に近い食品が求められる近年では用途が限定されてしまう。
【0004】
肉のpHを変えることで肉の保水性を向上させて肉質を改善するリン酸塩(例えば、特許文献2参照。)、炭酸塩(例えば特許文献3参照。)をはじめとした改質剤が存在するが、処理されたものをそのまま加工食品に使用した場合、アルカリ臭が残るなど風味が悪くなってしまう。そのため水洗いをするなどの作業が必要となる。さらにこれらは食品添加物として表示の義務があり、近年食品への化学物質使用が嫌われている中では用途が限定されてしまう。
【0005】
穀類麹を使用する代表としてしょうゆが挙げられる。一般的にしょうゆは、しょうゆ固有の香り、風味があるものが高品質であると評価されており、醤油製造者は十分発酵、熟成を行い、目的の香り、風味を得るために力を注いできた。したがって本発明のように低温で醸造を行い、醗酵がそれほど行われていない短期間で固液分離することは、しょうゆとしての品質の観点からこれまで行われてこなかった。
【0006】
食肉を生(なま)醤油で接触処理して軟化・調味する報告(特許文献1参照。)、また生(なま)醤油を加えることによる食肉軟化効果をもつ焼肉用調味料の報告(特許文献4参照)などがあるが、これらは十分に醗酵・熟成を終えたしょうゆの中に僅かに残存する酵素に期待を寄せているのみで、積極的な利用とは言い難い。実際、4ヶ月以上醸造されたしょうゆ中の肉を軟らかくする酵素活性は、1ヶ月醸造の約1/3程度しか残存していないことが確認されている。またしょうゆの特徴的な香味や色がついてしまうため、その用途は極端に限定されてしまう。
【0007】
またしょうゆもろみを使用して肉質を軟化させる製造法の報告(特許文献5参照。)があるが、固形物を含むため、浸漬後洗浄などの固形物除去操作が必要となる。また熟成したもろみの場合は、色、香り、風味が強いため用途が限られる。
【0008】
しょうゆの日本農林規格に記載されているように、しろしょうゆは極力発酵させずに低温で熟成させ、短期間で搾っている。この点については本発明と類似するが、しろしょうゆの製法は色をうすく仕上げることを目的としており、麹原料の蛋白含量が少ない。このため肉質軟化効果のある蛋白分解酵素の活性は低く、肉質改善効果は期待できない。
【0009】
米等の澱粉原料を主に麹原料としている酒やみりんも同様に肉質軟化効果のある蛋白分解酵素の活性は低く、肉質改善効果は期待できない。
【0010】
【特許文献1】
特開昭61−271964号公報
【特許文献2】
特開昭58−23767号公報
【特許文献3】
特開2000−116340号公報
【特許文献4】
特開昭60−256359号公報
【特許文献5】
特開昭50−160496号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は以上のような課題を解決することを目的としてなされたものであって、色沢が淡く、独特の香りや風味を持たない、汎用性に富む天然調味料であるという特徴を有する肉質改善効果の高い調味料を提供しようとするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明者らは上述の目的を達成するために鋭意検討した結果、色沢が淡く、独特の香りや風味のない、天然醸造物である肉質改善効果の高い調味料を発明するに至った。
【0013】
すなわち本発明では穀類麹のもろみの仕込み品温を低温に抑えることにより、色の濃化、熟成香の発現及び酵素の失活を防ぎ、さらに酵素活性が高いまま、麹菌などの微生物が塩分によって死滅または静菌する時期(仕込み0.5〜2.0ヶ月)に固液分離することによりこの調味料が得られる。ここでいう低温は4℃〜30℃を指すが、好ましくは10〜25℃で醸造を行うことが望ましい。
【0014】
本発明においてもろみとは、小麦、大豆、小麦グルテンなどの原料を加熱などによって蛋白質変性加工を施し、麹菌が生育しやすい環境にて製麹を行い、その出来あがった麹と食塩水を混ぜて仕込まれたものを指す。蛋白質変性加工とは原料を水に浸漬させ、蒸煮する方法やエクストルーダーにて110℃以上の温度で押し出し成型する方法等を行って蛋白質を十分に変性させることである。製麹はしょうゆの製麹の常法などを使用すれば良い。例えば含水させた原料にアスペルギルス属などの麹菌を接種し、25℃〜40℃で2〜4日製麹させる方法が挙げられる。ここでいう穀類麹は、麹に使用する蛋白原料が少ないことに比例して、肉質軟化効果のある蛋白分解酵素活性が低くなるため、全窒素量が3.0重量%以上になるように調整された原料を使用した穀類麹を用いる。例えば通常のこいくちしょうゆの場合、麹原料の大豆と小麦がほぼ等量で使用されるため全窒素量が4.0〜5.0重量%であるが、米等の澱粉原料を主に麹原料としている酒、みりん、しろしょうゆのような類は、麹原料の全窒素量が3.0重量%を満たさないため該当しない。
【0015】
ここでいう食塩水は、7〜24%(w/v)の食塩水を用いる。低温で仕込むため、食塩水は予め冷却することが望ましい。−5℃以下であると初期もろみの温度を4℃程度にすることができる。また初期もろみ中の微生物の繁殖を抑えるため、仕込み後2週間程度は15℃以下で醸造することが望ましい。
【0016】
もろみを25℃にて醸造を行った場合の酵素力価の経時的変化を表1に示す。蛋白分解酵素活性は、ミルクカゼインを基質にpH5.5で反応を行い、生成する非蛋白性物質をFolin呈色法で測定した。
【0017】
【表1】
【0018】
このように仕込んでから2ヶ月までの酵素活性が高いため、肉を軟らかくする酵素活性が高いできるだけ早い時期に固液分離することが望ましい。したがって25℃にて、2ヶ月を超える醸造を行うことは、肉質軟化効果をもつ蛋白分解酵素の活性が下がり、本発明調味料の効果が期待できない。また醤油様の独特の色、香り、風味が感じられるため、本発明調味料が目的とする汎用性の点からも外れる。
【0019】
また低温で醸造を行うため分解が進まず、固液分離の時期によっては調味料の低温保管中において未分解物が沈殿として現れる場合がある。沈殿物は肉質改善効果に影響を及ぼさないが、これを嫌う場合は15〜25℃で1ヶ月程度の醸造を行うことが望ましい。醸造期間による沈殿物の有無を表2に示す。沈殿の確認は、こいくちしょうゆのもろみを7日間10℃、その後7日間毎に5℃ずつ温度を上げ、最終25℃なるよう醸造を行い、所定の期間毎にもろみをろ布で固液分離、珪藻土ろ過を行い、4℃静置にて行った。
【0020】
【表2】
【0021】
ここでいう固液分離は通常しょうゆで行われている方法で構わず、固液分離できるものであればなんでもよい。例えばろ布を使用した圧搾や遠心分離機を使用した固液分離などが挙げられる。固液分離して得られた調味液は、酵素失活を防ぐため、加熱殺菌を行わない。加熱殺菌を行わないため乳酸菌、酵母などが多く存在するが、菌の増殖を防ぐため冷蔵、冷凍で保存することが望ましい。又はアルコールを3%(w/v)以上添加、pH5.0以下に調整することで常温でも静菌させることができる。さらにはアルコール3〜5%(w/v)添加かつpH4.8〜5.0に調整することが酵素活性に影響がないため望ましい。また珪藻土によるろ過や微小膜を用いたろ過をすることで酵素活性を減少させることなく菌の減少、除菌を行うことができる。さらに用途を広げるため、膜ろ過、樹脂などを使って脱色、脱塩や濃縮を行い、より色や塩味を感じさせない調味料、少量で効果がある調味料をつくることができる。
【0022】
ここで得られた調味液で畜肉を処理することにより軟らかい食感の肉に仕上げることができる。ここでいう畜肉は、牛、豚、鶏、馬、羊、鴨、アヒルなどである。さらには老廃家畜肉、廃鶏肉あるいはスジ肉などの硬い肉質のものに用いると食べやすくなり好ましい。
【0023】
またここで得られた調味液で魚肉を処理することにより加熱処理を行ってもしっとりした肉質に仕上げることができる。ここでいう魚は、まぐろ、かつお、たら、たい、さわら、さけなどである。さらには加熱調理を行うとぱさぱさする食感になる脂の少ない魚に用いると嗜好性が増し好ましくなる。
【0024】
本発明では、調味料の濃度は、各々の使用目的によって任意に設定することができるが、通常肉重量に対して5〜20重量%程度使用すれば良い。また調味液は3〜20倍程度に希釈して使用することが望ましい。このようにすると、調味液中の酵素が有効に作用し、また肉に塩味などが過度に浸透することがなく、加熱しても軟らかい畜肉やジューシーな魚肉を得ることができる。また処理条件はこれらの肉を0〜40℃で10分〜72時間、好ましくは4〜15℃で10分〜24時間前述濃度の調味液中に浸漬することが望ましい。
【0025】
これらの通り、本発明の調味料で処理された畜肉は加熱をしても軟らかく、肉汁に富む好ましい食感になるため、様々な肉加工食品に用いることができる。例えば、揚げ物、焼き肉、角煮、野菜煮、釜飯、カレー、シチュー、ハヤシなどに使用することができる。また処理した畜肉を加工し冷凍食品、チルド食品、レトルト食品など数多くの調理食品に利用することができる。
【0026】
また本発明の調味料で処理された魚肉は、加熱してもフレッシュ感を損なわず、ソフトでジューシーな好ましい食感になるため、様々な魚加工品に用いることができる。例えば、揚げ物、焼き物、煮物、西京漬け、味噌漬け、しょうゆ漬け、溜り漬け、粕漬けなどに使用することができる。また処理をした魚肉を加工し冷凍食品、チルド食品、レトルト食品など数多くの調理食品に使用することができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
次に本発明について実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明の範囲をこれら実施例によって限定するものではない。
【0028】
【実施例1】
脱脂加工大豆4.9kg、小麦4.9kgを麹原料(全窒素量5重量%)とし、しょうゆ麹の常法に従い麹を作製した。その麹10kg(水分約28重量%を含む)に17.5リットルの−5℃に冷却された23.2 %(w/v)食塩水を加えたものをもろみとした。仕込みから7日間は10℃にて醸造を行い、その後7日間毎に5℃ずつ醸造温度を上げ、最終25℃にて14日間醸造した。醸造されたもろみは、しょうゆのろ過に使用しているろ布にて固液分離を行った。得られた液は珪藻土ろ過を行い、アルコールをろ液の3%(w/v)を加え、さらに乳酸にてpH5.0に調整して調味料を得た。ここで得られた調味液は全窒素量1.26%(w/v)、塩分17.0%(w/v)、日本農林規格の色番は49番であった。以後ここで得られた調味料を使用して破断試験、調理評価をおこなった。
【0029】
【実施例2】
均一な肉加工品での本発明調味液の効果を確認するため、鶏胸肉のミンチを使用したハンバーグにて破断強度を測定した。鶏胸肉500gをフードプロセッサーにかけミンチを作製した。ここで得られたミンチ肉100gに10mlの本調味液を混合して厚さ1.5cm、直径7cmの型に入れ成形した。成形されたハンバーグは4℃、30分静置後、電子レンジ(500W)で4分加熱しハンバーグ調理品を得た。比較としてミンチ肉100gに10mlの17 %(w/v)食塩水または生(なま)醤油(こいくちしょうゆ5ヶ月醸造品、T−N1.88%(w/v)、塩分17.0%(w/v))を加えて同様に成形、加熱を行い、調理品を得た。得られたハンバーグ調理品を縦2cm横2cm厚さ1cmに切り、測定用サンプルとした。測定はクリープメーター(山電製 RE−3305S)で行った。
【0030】
【表3】
【0031】
表3に示すように均一の肉であるモデル系の試験においても歯での噛みきり易さは食塩水漬け込み品、生(なま)醤油漬け込み品より物理的な測定において明らかに優れていることがわかった。
【0032】
【実施例3】
鶏胸肉(約200g)に対し10重量%の本発明調味液と40重量%の水を混合した液に漬け込み、4℃、24時間静置した。静置後ざるにてよく水気をきり、電子レンジ(500W)で5分加熱して鶏胸肉調理品を得た。比較として鶏胸肉に対し同様の塩分濃度の食塩水または生(なま)醤油(こいくちしょうゆ5ヶ月醸造品、T−N1.88%(w/v)、塩分17.0%(w/v))に同時間漬け込み、同様の操作で調理品を得た。得られた肉を縦2cm横2cm厚さ1cmに切り、測定用サンプルとした。測定はクリープメーター(山電製 RE−3305S)で行った。
【0033】
【表4】
【0034】
表4に示すように本発明調味液を使用した鶏胸肉の噛みきり易さは食塩水漬け込み品や生(なま)醤油漬け込み品より物理的な測定において明らかに優れていることがわかった。
【0035】
【実施例4】
半解凍した鶏胸肉を縦4cm横4cm厚さ3cm程度の大きさに切り分け、肉重量に対し10重量%の本発明調味液と40重量%の水を混合した液に漬け込み、パウチに入れて冷凍した。後日、冷蔵庫にて16〜24時間かけて解凍し、肉の水分をざるでよく切った後、調味液(醤油、砂糖、みりんなど)に30分程度漬け込んだ。その後、小麦粉または片栗粉をつけ、160〜170℃の油で揚げて鶏の唐揚げを得た。比較として、半解凍した鶏胸肉を同サイズに切り分け、肉重量に対して1.0重量%の重炭酸ナトリウムと49重量%の水を混合した液に漬け込み、パウチに入れて冷凍および解凍を行った。解凍した鶏胸肉を水で洗浄し、ざるで水分をよく切った後、調味液(醤油、砂糖、みりんなど)に30分程度漬け込み、同様の調理法にて唐揚げを得た。出来あがった唐揚げについて官能評価を行い、20名の訓練されたパネラーを用いて2点嗜好法で好ましい方を、2点識別法では軟らかいと感じる方を選ばせた。
【0036】
【表5】
【0037】
表5によると本発明調味料を使用した唐揚げは、肉の自然な風味を有し、かつ好ましい食感を有しており、明らかに重炭酸ナトリウムを使った唐揚げより優れていた。
【0038】
【実施例5】
半解凍した鶏胸肉を縦4cm横4cm厚さ3cm程度の大きさに切り分け、肉重量に対し10重量%の本発明調味液と40重量%の水を混合した液に漬け込み、パウチに入れて冷凍した。後日、冷蔵庫にて16〜24時間かけて解凍し、肉の水分をざるでよく切った後、調味液(しょうゆ、砂糖、みりんなど)に30分程度漬け込んだ。その後、小麦粉または片栗粉をつけ、160〜170℃の油で揚げて鶏の唐揚げを得た。比較として、半解凍した鶏胸肉を同サイズに切り分け、肉重量に対して10重量%の生(なま)醤油(こいくちしょうゆ5ヶ月醸造 T−N1.88%(w/v)、塩分17.0%(w/v))と40重量%の水を混合した液に漬け込み、パウチに入れて冷凍および解凍を行った。解凍した鶏胸肉の水分をざるでよく切った後、調味液(醤油、砂糖、みりんなど)に30分程度漬け込み、同様の調理法にて唐揚げを得た。出来あがった唐揚げについて官能評価を行い、20名の訓練されたパネラーを用いて2点嗜好法で好ましい方を、2点識別法では軟らかいと感じる方を選ばせた。
【0039】
【表6】
【0040】
表6によると本発明調味料を使用した唐揚げは、軟らかさ、ジューシーさを有しており、生(なま)醤油を使用した唐揚げより明らかに優れていた。
【0041】
【実施例6】
生の焼肉用カルビ肉(アメリカ産)に、その肉に対して10重量%の本発明調味液と40重量%の焼肉のたれを混合した。混合された肉と液をパウチに入れ、真空にした後冷凍した。後日冷凍されたパウチを冷蔵庫にて16〜24時間の解凍を行った。解凍された肉は網で焼き、味付き焼肉を得た。比較として焼き肉用カルビ肉に肉重量に対して40重量%の焼肉のたれ、本発明調味料と同じ量でかつ同じ塩分濃度の水溶液を混合し、同様にパウチに入れ冷凍した。後日同様に冷蔵庫にて解凍し、網で焼き、味付き焼肉を得た。
【0042】
【実施例7】
半解凍された鶏胸肉を大きさ縦10mm横10mm厚さ10mmに切り分け、肉重量に対して6重量%の本発明調味液と24重量%の水を混合した液に漬け込み、冷蔵庫にて12〜16時間静置した。静置後、液を切り、釜飯の具材に使用した。にんじん、ごぼう、筍などの野菜と酒、みりん、砂糖、塩、調味料などと一緒にパウチに充填し、121℃、20分加圧加熱殺菌を行った。殺菌後、釜飯の素として所定の手順によって炊飯器にて炊飯し釜飯を得た。比較として本発明調味料を使用した場合と同じ量でかつ同じ塩分濃度の食塩水に同条件で肉を漬け込み、同様の操作にて釜飯を得た。
【0043】
【実施例8】
冷凍されたさわら(70g/一枚)に対して10重量%の本発明調味液と90重量%の味噌調味液(西京味噌、みりん、酒を混合したもの)を混合した。そこで得られた調味液に、冷凍されたさわらを4℃、24時間漬け込んで、さわら西京漬けを得た。そのさわら西京漬けの味噌などをペーパータオルなどで良く拭き取り、家庭用コンロの魚焼き機にて焼いた。比較としてさわらに対して10重量%のしょうゆと90重量%味噌調味液を混ぜた液に4℃、24時間漬け込み、同様に調理を行った。
【0044】
【実施例9】
かじきまぐろの切り身(100g/一切れ)に対して10重量%の本発明調味液と90重量%の水を混合した液にかじきまぐろの切り身を4℃、30分間漬け込んだ。漬け込み後ざるなどで液をよくきり、塩、胡椒をした。フライパンにて強火でこんがり色つくまで焼き、醤油を少量かけてかじきまぐろのステーキを得た。比較としてかじきまぐろの切り身に本発明調味液を使用した場合と同じ量、同塩分濃度の水溶液に同条件で漬け込み、同様に調理を行った。
本発明の効果を確認するために、実施例による製品と比較例による製品についてその品質を官能評価によって比較した。官能評価は20名の訓練されたパネラーを用いて2点嗜好法で好ましい方を2点識別法では軟らかいと感じる方またはジューシーと感じる方を選ばせた。この結果を表7、8に示す。
【0045】
【表7】
【表8】
【0046】
この結果、本発明の調味料を用いた料理は、いずれの場合も統計的に有意に好まれ、また軟らかさを有意に認識していることが確認された。
【0047】
【発明の効果】
以上の物理的測定、官能試験から明らかな通り、本発明調味料は肉、魚を好ましい肉質に改善することができる極めて優れた効果を有している。また天然食品が嗜好される近年において醸造調味料である本発明調味料は安全でかつ安心して使用することができる。さらに色や風味がほとんどつかず、希釈して漬け込むだけの簡単な操作で肉質を改善することができるため、汎用性に富む非常に優れた調味料である。
Claims (4)
- 全窒素量が3.0重量%以上になるように調整された原料を使用した穀類麹と食塩水を混ぜたもろみを低温で0.5〜2.0ヶ月間熟成させた後、固液分離を行うことを特徴とする肉質改善効果をもつ調味料
- 穀類麹がしょうゆ麹である請求項1の調味料
- 請求項1、2の調味料を脱塩、濃縮、除菌などの2次加工を行った調味料
- 請求項1、2、3の調味料を使用したたれ、ソースなどの調味料
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2012055178A (ja) * | 2010-09-06 | 2012-03-22 | Yoshinori Yoshimura | 鹿肉の品質改良方法 |
JP2014150730A (ja) * | 2013-02-05 | 2014-08-25 | Kikkoman Corp | 醤油こうじ含有加熱殺菌済焼肉用調味液 |
KR101440363B1 (ko) | 2012-12-27 | 2014-09-15 | 대상 주식회사 | 단기숙성 양조간장액의 제조방법 |
US9622501B2 (en) | 2012-09-07 | 2017-04-18 | Hanamaruki Foods Inc. | Liquid seasoning |
KR20220154711A (ko) | 2020-05-01 | 2022-11-22 | 하나마루키 가부시키가이샤 | 액체 발효 조미료 및 그 제조 방법 |
-
2003
- 2003-03-06 JP JP2003060007A patent/JP2004267057A/ja active Pending
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