JP2004262035A - インクジェット記録ヘッドを保護するキャップユニット - Google Patents

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Abstract

【課題】記録ヘッドのノズル内部を確実に保湿し、物流形態における記録ヘッドのインク漏れ等に関する信頼性を高める。
【解決手段】インクジェット記録ヘッドを保護するキャップユニット212は、記録ヘッド(不図示)に脱着可能な爪部217,218を備えた保護キャップ212aと、記録ヘッドのインク吐出口形成面に当接し、記録ヘッドのインク吐出口が形成されている領域を密閉する弾性キャップ212bと、記録ヘッドのインク吐出口形成面との間に所定の隙間をおいて配置されるように弾性キャップ212b内に設けられた吸水樹脂212cとを有している。吸水樹脂212cの、記録ヘッドのインク吐出口形成面に対向する面は、インク吐出口形成面のインク吐出口が形成されている領域に対向する第1の面と、インク吐出口形成面のインク吐出口が形成されていない領域に対向する第2の面とを有しており、第1の面は第2の面よりも高く形成されている。
【選択図】 図7

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、吐出口から記録液体を吐出して記録を行うインクジェット記録ヘッドを保護するキャップユニットに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的なインクジェット記録ヘッドでは、記録に必要な量のインクが、インクを収容しているインクタンクからノズルへ安定して供給される。また、インクジェット記録ヘッドは、吐出口からインクが漏れてこないように、より詳しく言えば吐出口のインクのメニスカスが破れないように維持するために、インクタンクからノズルへのインク供給圧が負圧に調整されている。インク供給圧を負圧に調整する手段としては、インクを直接収容したインクタンクのインク導出口からインクジェット記録ヘッドの吐出口までの水頭差を利用する手段や、インクタンク内に負圧発生部材としてインク吸収体を収納する手段がある。
【0003】
インクジェット記録ヘッドのノズルへインクを供給する方式としては、キャリッジ上にインクタンクをインクジェット記録ヘッドと一体もしくは分離可能に搭載することでノズルにインクを供給する方式や、インクジェット記録ヘッドをキャリッジ外のインクタンクとチューブを介して接続することでノズルにインクを供給する、いわゆるチューブ供給方式などがある。このうち、大量のインクを消費するインクジェット記録装置においては、インクタンクも大容量のものが必要となるが、キャリッジ上に大容量のインクタンクを備えるとインクジェット記録装置自体が大型化するため、このような記録装置では一般にチューブ供給方式が採られる。
【0004】
このようなチューブ供給方式のインクジェット記録ヘッドでは、急激な圧力変化による吐出不良やインク漏れを発生させないように、インクタンクとの間にインクを二次的に溜めるインク溜まりやフィルタ等の緩衝部が設けられる。さらに、インク滴吐出部となるノズル、インク貯留空間、およびインク導入口をも備えている。
【0005】
このようなインクジェット記録ヘッドでは、使用時にノズル内が乾燥した状態であると、記録ヘッドの内部にインクを供給した際にノズル内面のインクに対する濡れ性が変化することにより、濡れ性の不均一に起因する吐出不良が発生することがある。そこで、記録ヘッドの物流時にノズル内に色材を含まない透明なインク(物流インク)を収納させておくことで、記録ヘッド内(ノズル内)を湿潤状態にする方式がとられている。ここで、物流インクとして色材を含まないインクを用いるのは、インクの主成分である水分が蒸発した際に、水分中に溶解していた色材が析出してノズルを塞ぐことを防ぐためである。
【0006】
ところで、前述のチューブ供給方式に用いられるキャリッジ上に搭載されるインクジェット記録ヘッドには、ノズルに供給するインクを貯留するインク貯留部に空気を収容する構成を採っている。しかしながら、このようにインク貯留部に空気を収容するタイプのインクジェット記録ヘッドを保管しようとする場合には、ヘッド製造後から製品出荷までの保管過程での環境変化や、記録ヘッドの出荷からユーザに渡るまでの物流過程の環境変化等でヘッド内圧が上昇すると、ノズルの吐出口あるいはインク導入口から物流インクが漏れ出るおそれがある。
【0007】
また、このような物流インクの漏れは、物流時の姿勢によっては、さらに顕著に生じることが予想される。
【0008】
ノズルからインクが漏れ出ないようにするために、記録ヘッドのフェイス面(インク吐出口形成面)にテープやゴム等を直接押し付けて密閉する方式も考えられる。しかしながら、前述のように空気を収容した場合には、空気の膨張による圧力増加が著しく、インクの漏れを防止する為には相当の強い圧力でフェイス面を押さえつける必要がある。しかしながら、このように強い圧力でフェイス面を押圧するとノズル部の変形等が生じるおそれがある。また、ごみ等をテープやゴム等の間に挟み込むことにより、ノズルを詰まらせたり、テープ面の接着剤がフェイス面に転写してインクの濡れ性を変化させたり、フェイス面に傷をつけたりするおそれもある。
【0009】
これらの理由により、従来は、例えば特許文献1に開示されているように、少なくともノズル内に物流インクを収容させ、インクジェット記録ヘッドの吐出口形成面のノズルの周囲に密着してノズル領域を覆う弾性キャップと、弾性キャップの中に配置された平面形状の液体吸収部材とを備えたキャップユニットを記録ヘッドに取り付けることで、ノズル部分には非接触でありながらノズルを保護することができる物流形態が採用されていた。
【0010】
【特許文献1】
特開2002−321387号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記で説明した従来の物流形態では、弾性キャップ内に収納した液体吸収部材の形状が平面の板状のものであることから、キャップユニットを記録ヘッドのフェイス面に取り付けた時に、液体吸収部材の表面とインクジェット記録ヘッドの吐出口との間に大きな隙間ができてしまう。このような隙間が生じていると、例えばインクジェット記録ヘッドを落下させてしまった場合や、高温下に置かれて記録ヘッド内部の空気が膨張した場合などに、ノズルから漏れ出した物流インクがそのまま大きな液滴となってフェイス面に付着する。この状態でキャップユニットを取り外すと、インクジェット記録ヘッドから、フェイス面に付着した物流インクの液滴が垂れ落ち、ユーザの手や衣服、あるいは作業台等を汚してしまう可能性があった。
【0012】
そこで本発明は、上記のような問題に鑑み、記録ヘッドのノズル内部を確実に保湿することができるとともに、環境変化によってインクが漏れたり、キャップユニットを取り外す際に物流インクが垂れ落ちたり、記録ヘッドのフェイス面やノズル部を傷つけるようなことのない、物流形態における記録ヘッドのインク漏れ等に関する信頼性を高めることができるインクジェット記録ヘッドのキャップユニットを提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明のインクジェット記録ヘッドを保護するキャップユニットは、インクジェット記録ヘッドに脱着可能な係合手段を備えた保護キャップと、前記インクジェット記録ヘッドのインク吐出口形成面に当接し、前記インクジェット記録ヘッドのインク吐出口が形成されている領域を密閉する弾性キャップと、該弾性キャップが前記インク吐出口形成面に当接したときに前記インク吐出口形成面との間に所定の隙間をおいて配置されるように前記弾性キャップ内に設けられた液体吸収部材とを有する、インクジェット記録ヘッドを保護するキャップユニットにおいて、前記液体吸収部材の、前記インク吐出口形成面に対向する面は、前記インク吐出口形成面の前記インク吐出口が形成されている領域に対向する第1の面と、前記インク吐出口形成面の前記インク吐出口が形成されていない領域に対向する第2の面とを有しており、前記第1の面は前記第2の面よりも高く形成されていることを特徴とする。
【0014】
上記本発明によるキャップユニットによれば、インク吐出口形成面のインク吐出口が形成されている領域に対向する液体吸収部材の第1の面が、インク吐出口が形成されていない領域に対向する第2の面よりも高くなっているので、キャップユニットをインクジェット記録ヘッドに取り付けた時に記録ヘッドのインク吐出口形成面と液体吸収部材との間に生じる隙間が可能な限り小さくなる。
【0015】
そのため、インクジェット記録ヘッドにこのキャップユニットが取り付けられた物流形態において、インクジェット記録ヘッドの落下や、周囲環境(温度や気圧)の変化によって、インクジェット記録ヘッドの吐出口からインクが漏れ出た場合であっても、そのインクは記録ヘッドのインク吐出口に間近に対向する液体吸収部材によって吸収される。また、記録ヘッドの吐出口は弾性キャップによって密閉されているので、記録ヘッドの吐出口からインクが漏れ出た場合であっても、記録ヘッドの吐出口およびノズル内部は液体吸収部材に吸収されたインクの飽和水蒸気によって保湿される。
【0016】
このように、本発明によれば、記録ヘッドのノズル内部を確実に保湿することができるとともに、使用時にユーザが記録ヘッドからキャップユニットを外したときにインクが記録ヘッドから垂れることを未然に防止することができ、物流形態における記録ヘッドのインク漏れ等に関する信頼性を高めることが可能になる。
【0017】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0018】
まず、本発明に係るキャップ部材が取り付けられるインクジェット記録ヘッドが用いられるインクジェット記録装置について説明する。
【0019】
図1は、本発明に係るキャップ部材が取り付けられるインクジェット記録ヘッドが用いられるインクジェット記録装置の概略の構成を示す斜視図である。図1に示すインクジェット記録装置は、インクジェットヘッド201の往復移動(主走査)と、一般記録紙、特殊紙、OHPフィルム等の記録用シートSの所定ピッチごとの搬送(副走査)とを繰り返しつつ、これらの動きと同期させながらインクジェットヘッド201から選択的にインクを吐出させ、記録用シートSに付着させることで、文字や記号、画像等を形成するシリアル型のインクジェット記録装置である。
【0020】
図1に示すように、インクジェットヘッド201は、2本のガイドレールに摺動自在に支持され不図示のモータ等の駆動手段によりガイドレールに沿って往復移動されるキャリッジ202に着脱可能に搭載されている。記録用シートSは、搬送ローラ203により、インクジェットヘッド201のインク吐出面に対面し、かつ、インク吐出面との距離を一定に維持するように、キャリッジ202の移動方向と交差する方向(例えば、直交する方向である矢印A方向)に搬送される。
【0021】
インクジェットヘッド201は、それぞれ異なる色のインクを吐出するための複数のノズル列を有している。インクジェットヘッド201から吐出されるインクの色に対応して、複数の独立したメインタンク204が、インク供給ユニット205に着脱可能に装着される。インク供給ユニット205とインクジェットヘッド201とは、それぞれインクの色に対応した複数のインク供給チューブ206によって接続され、メインタンク204をインク供給ユニット205に装着することで、メインタンク204内に収納された各色のインクを、インクジェットヘッド201の各ノズル列に独立して供給することが可能となる。
【0022】
インクジェットヘッド201の往復移動範囲内で、かつ、記録用シートSの通過範囲外の領域である非記録領域には、回復ユニット207が、インクジェットヘッド201のインク吐出口形成面と対面するように配置されている。
【0023】
次に、このインクジェット記録装置のインク供給系の詳細な構成について図2を参照して説明する。図2は、図1に示すインクジェット記録装置のインク供給経路を説明するための図であり、説明を簡単にするため、1色分のインク経路についてのみ示している。
【0024】
最初に、インクジェットヘッド201について説明する。
【0025】
インクジェットヘッド201へは、インク供給チューブ206の先端に設けられた液体コネクタが気密接続されるコネクタ挿入口201aからインクが供給される。コネクタ挿入口201aはインクジェットヘッド201の上部に形成されたサブタンク部201bと連通している。サブタンク部201bの重力方向下側には、並列に配列された複数のノズル201gを有するノズル部にインクを直接供給する液室201fが形成されている。サブタンク部201bと液室201fとはフィルタ201cによって区画されているが、サブタンク部201bと液室201fとの境界には開口部201dが形成された仕切部201eを有し、フィルタ201cはこの仕切部201e上に設置されている。
【0026】
上述の構成により、コネクタ挿入口201aからインクジェットヘッド201に供給されたインクは、サブタンク部201b、フィルタ201c、液室201fを経てノズル201gに供給される。コネクタ挿入口201aからノズル201gまでの間は大気に対して気密な状態に保たれている。
【0027】
サブタンク部201bの上面には開口部が形成され、この開口部はドーム状の弾性部材201hで覆われている。この弾性部材201hで囲まれた空間(圧力調整室201i)は、サブタンク部201b内の圧力に応じて容積が変化し、後述するようにサブタンク部201b内の圧力を調整する機能を有する。
【0028】
ノズル201gは、断面幅が20μm程度の筒状の構造を持ち、ノズル201g内のインクに吐出エネルギーを与えることでインクをノズル201gから吐出させ、インクの吐出後、ノズル201gの毛管力によりノズル201g内にインクが満たされる。ノズル201g内のインクに吐出エネルギーを与えるために、インクジェットヘッド201は、ノズル201gごとにエネルギー発生手段を有する。本実施形態では、エネルギー発生手段として、ノズル201g内のインクを加熱する発熱抵抗素子を用いており、インクジェットヘッド201の駆動を制御するヘッド制御部(不図示)からの指令により発熱抵抗素子を選択的に駆動し、所望のノズル201g内のインクを膜沸騰させ、これにより生じる気泡の圧力を利用してノズル201gからインクを吐出させている。
【0029】
ノズル201gは、インクを吐出する先端を下向きにして配列されているが、その先端を閉鎖する弁機構は設けられておらず、インクはメニスカスを形成した状態でノズル201gを満たしている。そのため、インクジェットヘッド201の内部、特にノズル201g内は負圧の状態に保たれている。ただし、負圧が小さすぎると、ノズル201gの先端に異物やインクが付着した場合、インクのメニスカスが壊れてインクがノズル201gから漏れ出てしまうことがある。またこの逆に負圧が大きすぎると、吐出時にインクに与えられるエネルギーよりもノズル201g内にインクを引き戻す力が強くなってしまい、吐出不良となってしまう。よって、ノズル201g内における負圧は、大気圧よりも若干低い一定の範囲に保たれる。この負圧の範囲は、ノズル201gの数、断面積、発熱抵抗素子の性能等により異なる。
【0030】
本実施形態では、インク供給ユニット205とインクジェットヘッド201とをインク供給チューブ206で接続しており、インク供給ユニット205に対するインクジェットヘッド201の位置を比較的に自由に設定できるので、インクジェットヘッド201内を負圧とするために、インクジェットヘッド201をインク供給ユニット205よりも高い位置に配置している。
【0031】
フィルタ201cは、ノズル201gを詰まらせるような異物がサブタンク部201bから液室201fへ流出するのを防止するための、ノズル201gの断面幅よりも小さい10μm以下の微細孔を有する金属メッシュで構成される。フィルタ201cは、フィルタ201cの一方の面のみにインクが接触すると各微細孔に毛管力によるインクのメニスカスが形成され、インクは容易に透過するが空気の流れは困難な性質を持っている。微細孔のサイズが小さいほどメニスカスの強度は強くなり、より空気を通しにくくなる。
【0032】
本実施形態で用いたようなフィルタ201cでは、空気を透過させるのに必要な圧力は0.1atm(10.1325kPa)程度(実験値)である。そのため、インクジェットヘッド201内でのインクの移動方向に関してフィルタ201cの下流に位置する液室201fに空気が存在すると、空気は空気自身の浮力程度ではフィルタ201cを通過することができないので、液室201f内の空気は液室201f内に留まる。本実施形態においてはこの現象を利用しており、液室201fをインクで満たさず、液室201f内のインクとフィルタ201cとの間に空気の層が存在し、この空気層によって液室201f内のインクとフィルタ201cとが隔てられるように、所定の量のインクを液室201f内に蓄えている。このように本実施形態では液室を大きくすることにより、フィルタ下に泡がたまりやすい構造にすることで、ノズルに泡が行きにくくかつ吐出により発生した泡等もフィルタ下に移動しやすい形となっている。これにより記録を不安定にする大きな要因である泡の影響を受けにくいヘッド構造となっている。
【0033】
また、フィルタ201c下の仕切部201eのインクはフィルタ201cと接触しており、環境温度の変化等でフィルタ201c下の空気が膨張した場合は、このインクがフィルタ201c上へ移動することで圧力を吸収する構造となっている。しかしながら、一定以上にフィルタ201c下の空気が大きくなると温度変化を吸収できなくなるので、定期的に吸引を行いフィルタ201c下の空気量を一定の範囲に保っている。
【0034】
液室201f内に蓄えられるインクの量は、最低限、ノズル201gをインクで満たすのに必要な量である。ノズル201g内に液室201fからの空気が侵入すると、インク吐出後のノズル201gにインクが補充されず吐出不良を起こすため、ノズル201g内は常にインクで満たされている必要がある。
【0035】
フィルタ201cの上面にはサブタンク部201b内のインクが接触しているが、このインクと接触している面積がフィルタ201cの有効面積となる。フィルタ201cによる圧力損失はフィルタ201cの有効面積に依存している。本実施形態では、フィルタ201cをインクジェットヘッド201の使用状態において水平となるように配置し、フィルタ201cの上面全体にインクを接触させることによりフィルタの有効面積を最大とし、圧力損失を低くしている。
【0036】
圧力調整室201iは、内部の負圧が高まるにつれてその容積が縮小する部屋であり、圧力調整室201iが本実施形態のように弾性部材201hで構成される場合は、弾性部材201hとしてはゴム材等が好ましく用いられる。また、弾性部材201hの他に、プラスチックシートとばねとの組み合わせによって構成してもよい。このような圧力調整室201iを設けることにより、インクの吐出の安定化を図るとともに、メインタンク204からインクジェットヘッド201までのインクの供給経路での圧力損失の影響が抑えられる。そのため、キャリッジ202に従動させるインク供給チューブ206も直径の細いものを使用することができ、キャリッジ202の移動の負荷低減にも貢献する。
【0037】
次に、インク供給ユニット205およびメインタンク204について説明する。
【0038】
メインタンク204は、供給ユニット205に対して着脱可能な構成であり、その底部に、ゴム栓204bで密封されたインク供給口と、ゴム栓204cで密封された大気導入口とを有している。メインタンク204は、単体では気密な容器であり、インク209はメインタンク204内にそのまま収容される。
【0039】
一方、インク供給ユニット205は、メインタンク204からインク209を取り出すためのインク供給針205aと、メインタンク204内へ大気を導入させるための大気導入針205bとを有している。インク供給針205aおよび大気導入針205bは共に中空の針であり、メインタンク204のインク供給口および大気導入口の位置に対応させて針先を上方に向けて配置されており、メインタンク204がインク供給ユニット205に装着されることで、インク供給針205aおよび大気導入針205bがそれぞれゴム栓204b,204cを貫通し、メインタンク204の内部に侵入する構成となっている。
【0040】
インク供給針205aは、液路205cを経て、インク供給チューブ206と接続される。大気導入針205bは、液路205e、バッファ室205f、大気連通口205gを経て大気と連通する。インク供給針205aからインク供給チューブ206までのインク供給経路のうち最も高さの低い位置にある液路205cと、大気導入針205bから大気連通口205gまでの経路のうち最も高さの低い位置にある液路205eとは、ともに同じ高さである。
【0041】
以上の構成により、インクジェットヘッド201内のインクが消費されると、その負圧により、インクが随時メインタンク204からインク供給ユニット205およびインク供給チューブ206を介してインクジェットヘッド201へ供給される。その際、メインタンク204から供給されたインクと同量の空気が、大気連通口205gからバッファ室205f、大気導入針205bを経て、メインタンク204内に導入される。
【0042】
また、上述したインク供給方式に用いるインクジェットヘッド201の外観は、例えば図3および図4に示すものとなる。図3はインクジェットヘッド201を斜め下側から見た外観図、図4はインクジェットヘッド201を斜め上側から見た外観図を示している。図3および図4は吐出口列が複数配設されたインクジェットヘッド201を示している。図3に示す吐出口210はノズル201gの開口であり、複数個の吐出口で構成した列がキャリッジ移動方向Bに対して平行に複数配設されている。
【0043】
次に、インクジェットヘッドの「物流の形態」について説明する。ここでは上述したインクジェットヘッド201について述べるが、これに限らず、本発明は、吐出エネルギー発生素子が配されたノズルと該ノズルに繋がるインク貯留部とを有するインクジェット方式のヘッドであればどれにも適用できる。
【0044】
図5(a)はインクジェットヘッド201の物流形態を示すヘッド縦断面図である。図5(b)は、図5(a)の状態に対してX−X’線に沿って見たときの断面図である。
【0045】
本実施形態のインクジェットヘッド201は、6個のノズル列からそれぞれインクを吐出するもので、各ノズル201gのそれぞれについて、図1に示したメインタンク204およびインク供給チューブ206、サブタンク部201bおよび液室201fを介してインクが独立に供給されている。
【0046】
図5に示すように、インクジェットヘッド201のサブタンク部201bと繋がっているコネクタ挿入口201a内部には、ジョイントゴム211が圧入によって挿入されている。インクジョイントゴム211は、インク供給チューブ206(図2参照)の先端に設けられた液体コネクタのジョイント針(針状の管)が挿入されるスリット211a(図9(a)参照)を有している。つまり、インクジェットヘッド201内へのインク導入部が弾性部材のスリットとなっている。これはヘッド201の出荷検査等の際にはヘッド201内にインクが入った状態でヘッド201を扱う必要があるからである。このとき、コネクタ挿入口201aが大気に開放されているとヘッド201単体では負圧発生機構を持たないため、ノズル201gからインクが漏れ出すおそれがある。そのため、本実施形態のヘッド201では通常状態ではコネクタ挿入口201aを密閉するスリットを有している。そして、ジョイント針用挿入スリットは、ジョイント針が挿入される時以外はコネクタ挿入口201aを密閉している。
【0047】
インクジェットヘッド201の物流時は、インクジェットヘッド201のノズル201gの吐出口が開口するフェイス面(図3に示した吐出口210の形成面)に、キャップユニット212が取り付けられている。
【0048】
図6および図7は、上記のキャップユニット212を説明するための図であり、図6(A)はインクジェットヘッド201のフェイス面に接合される側を示す平面図、図6(B)は同図(A)中の矢印Bから見た側面図である。また、図7(C)は図6(A)のA−A線における断面図、図7(D)は同図(C)のC部拡大図である。
【0049】
キャップユニット212は、ユニットの外殻を成してインクジェットヘッド201のフェイス面を保護する保護部材である保護キャップ212a、保護キャップ212aの凹部に固定されたキャップゴム(弾性キャップ)212b、およびキャップゴム212bの凹部に固定された吸水樹脂(液体吸収部材)212cを有している。
【0050】
ここで、吸水樹脂212cは、キャップゴム212bに設けられている庇状の吸水樹脂押さえ部212dよりも内側の領域のほぼ全域、すなわちインクジェットヘッド201の吐出口形成領域に対向する領域が高くなった凸形状の構成になっている。さらに詳しく言えば、吸水樹脂212cの、ヘッド201のインク吐出口形成面に対向する面は、そのインク吐出口形成面のインク吐出口が形成されている領域に対向する第1の面と、インク吐出口が形成されていない領域に対向する第2の面とを有しており、第1の面は第2の面よりも高く形成されている。
【0051】
なお、当然のことであるが、キャップゴム212bに対する吸水樹脂212cの高さは、吸水樹脂212cの凸面(第1の面)がヘッド201のフェイス面の吐出口には接しないような関係になっている(図7(C)参照)。この高さ関係は、キャップユニット212をインクジェットヘッド201に取り付けたときにヘッド201の吐出口形成面と吸水樹脂212cの凸面(第1の面)との間に形成される隙間が、0.1mm以上、0.8mm以下の範囲になるように設定されている。
【0052】
また、吸水樹脂212cには、吸水樹脂212cの上記第2の面における、庇状の吸水樹脂押さえ212d同士の間にちょうど位置する所に、複数の突起212eが設けられている。この突起212eの位置は、キャップユニット212をインクジェットヘッド201に取り付けたときに、ヘッド201のインク吐出口形成面のヒーターボード(不図示)が設けられている領域以外の領域に対向する位置でもある。この突起212eの高さは、少なくとも、前述で説明した吸水樹脂212cの中央部のほぼ全域の高くなっている凸面(第1の面)よりも高くなるように設定されている(図7(D)参照)。
【0053】
突起212eは、例えばインクジェットヘッド201を落下させてしまうなどの、物流時等のヘッド201に起こり得る最悪の場合を想定し、そのような場合であっても、吸水樹脂212cがヘッド201の吐出口に当たって吐出口にダメージを与えることを未然に防ぐために設けられているものである。そのため、突起212eは、キャップユニット212をインクジェットヘッド201に取り付けたときにヘッド201の吐出口形成領域の周囲に対向配置されるようになっている。したがって、ヘッド201に衝撃が加えられた場合であっても、突起212eがヘッド201の吐出口に当たることはない。また、突起212eがヘッド201の吐出口形成面に当接した場合であっても、その当接する箇所はヒーターボード(不図示)が設けられていない領域であるので、突起212eが熱によって変性してしまうようなことはない。
【0054】
また、突起212eの高さは、キャップユニット212がヘッド201に取り付けられているときに、通常では突起212eがヘッド201のフェイス面に接触しない高さになっている。具体的には、突起212eは吸水樹脂212cの凸面(第1の面)よりも0.2mm高くなっている。なお、このように突起212eを吸水樹脂212cの凸面よりも0.2mmだけ高くすることで、インクジェットヘッド201が落下して衝撃が加えられた場合であっても吸水樹脂212cがヘッド201の吐出口に当たらないことが、実験等により明らかになっている。
【0055】
キャップゴム212bの周囲には、インクジェットヘッド201のフェイス面の、複数の吐出口列が設けられた領域の外周部に密着させられるリブ212fが環状に形成されている。図7(D)に示されているように、リブ212fは、吸収樹脂212cの最上面を成す突起212cよりも高くなっている。そのため、キャップユニット212をインクジェットヘッド201に取り付けたとき、キャップゴム212bのリブ212fはその全周にわたってヘッド201のフェイス面に当接するが、キャップゴム212bの内側の吸水樹脂212cはそのフェイス面に当接しない。つまり、図5および図8に示すように、キャップ時のキャップゴム212bは、ノズル201gの吐出口には非接触の状態で、ノズル201gを密閉する密閉空間を形成する。
【0056】
このような構成によれば、キャップゴム212bや吸水樹脂212cでノズル201gを損傷することなく、ノズル201gの保湿を行うことが可能となる。さらには、吐出口と吸水樹脂212cとの間に形成される隙間は僅かであるので、例えばヘッド201を落下させた場合や、ヘッド201を高温環境下におくことでヘッド201の内圧が上昇した場合に、吐出口から物流インクが漏れ出したとしても、吸水樹脂212cが漏れ出た物流インクを瞬時に吸収するため、キャップユニット212をヘッド201から取り外す際に物流インクが垂れ落ちることもない。なお、キャップユニット212をインクジェットヘッド201に取り付けたときにヘッド201の吐出口と吸水樹脂212cの第1の面との間に生じる隙間は、各種実験にて得られたデータを元に最適の値に決定されている。本実施形態では、その隙間は上記のように0.1mm以上、0.8mm以下に設定されている。
【0057】
また、図6(B)に示されているように、保護キャップ212aには、インクジェットヘッド201側に設けられた位置決め用のボス213(図3,図4を参照)に対する位置決めガイド214が設けられている。さらに、保護キャップ212aには、インクジェットヘッド201側に設けられた引っ掛け部215,216(図3,4を参照)に対して、一旦拡げてからはめ込むことが可能な爪部217,218を有するクリップ部219が設けられている。
【0058】
このように構成されたキャップユニット212は、インクジェットヘッド201に設けられた位置決め部としてのボス213(図3,図4)に対する位置決めを位置決めガイド214によって行い、インクジェットヘッド201に設けられた引っ掛け部215,216(図3,4を参照)にクリップ部219の係合手段である爪部217,218を引っ掛けて係合させることで、インクジェットヘッド201に対して取り付けることができる(図8参照)。また、インクジェットヘッド201に取り付けられているキャップユニット212は、クリップ部219の爪部217,218を、両側のクリップ部219を押し拡げて引っ掛け部215,216から外すことで、インクジェットヘッド201から取り外すことができる。
【0059】
次に、物流時にインクジェットヘッド201に充填される色材を含まないインク(物流インク)の充填量について説明する。
【0060】
本実施形態のインクジェットヘッド201は、図2に示したように、通常の使用状態でもフィルタ201cの下に泡が残存する構成のものである。そのため、本実施形態のインクジェットヘッド201は、前述したようにヘッド201を記録装置に装着して使用した時に生じる温度変化による泡の膨張を吸収するようにフィルタ201c下の仕切部201eのインクがフィルタ201c上へ移動する構造としているが、物流時においてはヘッド201の使用時に比べて温度変化が大きく、またヘッド201の放置日数が長いので、その構造のみによってはフィルタ201c下の泡の膨張をすべて吸収することは難しい。また、フィルタ201c上のインクが漏れ出さないような対策も必要である。
【0061】
そこで本実施形態では、物流時にヘッド201のノズル内のみに物流インクを充填している。この充填量は、物流時にインクジェットヘッド201のノズル内の水蒸気量を飽和状態に保つことが可能な最低限のインク量である。また、その物流インクが物流時にノズルから垂れた場合であっても、上述したように、その垂れた物流インクをキャップユニット212の吸水樹脂212cが吸収するようになっている。物流時のインクジェットヘッド201は、具体的には図5および図8に示す形態となっている。
【0062】
図5および図8に示したように、キャップユニット212を装着した物流形態のヘッド201においては、ヘッド201内の少なくともノズル201g内に物流インクが存在し、フィルタ201cを挟んだ上下の空間には物流インクは存在しない。物流形態時にヘッド201内に充填される物流インクの量は、ヘッド201のノズル内の容積と、ヘッド201とキャップユニット212との間に形成される密閉空間の容積とを合わせた容積に対する飽和水蒸気量よりもやや多い量であることが望ましい。本実施形態では、物流形態時にヘッド201内に充填される物流インクの量は全体で1〜2gであり、吸水樹脂212cはそのような量の物流インクを十分に吸水できる能力を持っている。
【0063】
ヘッド201内への物流インクの充填は、以下のようにして行われる。図5を参照すると、まず、通常のインクを用いて記録動作を検査する出荷検査を行った後に、物流インクをコネクタ挿入口201aからヘッド201内へ入れることで、それまでヘッド201内に充填されていた通常のインクを物流インクに置換する。その後、ヘッド201内の物流インクをノズル201gから一定時間吸引して、ヘッド201内の物流インクを排出する。本実施形態のように比較的大きな液室201fを持った構造のヘッド201では、物流インクを一定時間吸引しても液室201fの隅部等に物流インクが残る。そのため、物流インクを一定時間吸引した後にノズル201gを下方に向けた状態でヘッド201を放置してしばらく経つと、液室201fの角部等に残っていた物流インクがノズル201g内に流入し、これによりノズル201g内に物流インクが充填される。
【0064】
次に、物流状態時に温度変化等によりヘッド201の内圧が上昇した場合の動作について説明する。
【0065】
図5に示すように、ヘッド201内では、フィルタ201cの上側のサブタンク部201bは前述したジョイントゴム211のスリット211aと連通している。スリット211aは通常は閉じているが、ヘッド201の内圧が上昇するとスリット211aが開いてその圧力を外部に開放する。フィルタ201cの下の液室部201fはフィルタ201cにインクが含浸されていない場合にはサブタンク部201bと連通した状態なので、液室部201f内の上昇圧力もスリット211aから同様に開放される。しかしながら、フィルタ201cはインクに濡れやすいため、フィルタ201cにインクが含浸された状態となることも考えられる。この場合には、液室部201fとサブタンク部201bとが連通していない状態となるため、液室部201f内で上昇した圧力はフィルタ201cおよびサブタンク部201bを介してスリット211aから開放されない。そのため、液室部201f内で上昇した圧力は、ノズル201gに充填された物流インクを押しのけて大気中に開放される。このとき、ノズル201gに充填された物流インクがノズル201gから垂れる。
【0066】
しかしながら、本実施形態のヘッド201では、内圧上昇でノズル201g内の物流インクがフェイス面から垂れた場合でも、その垂れた物流インクは吸水樹脂212cに吸収されるので、ヘッド201の周囲にインク漏れが発生することはなく、ヘッド201の電気的接続部へ悪影響を及ぼすこともない。
【0067】
また、本実施形態ではノズル201gの周囲がキャップユニット212に密閉されているので、ノズル201g内の物流インクが垂れ落ちて吸水樹脂212cに吸収されている場合でも、ノズル201g内はそのインクの飽和水蒸気によって満たされる。勿論ではあるが、ノズル201g内に物流インクが残っている場合には、ノズル201g内はその物流インクによって満たされている。
【0068】
なお、キャップユニット212はヘッド201のノズル201gの開口部(吐出口)の近傍に非接触な状態でヘッド201に取り付けられるので、ヘッド201に取り付けられたキャップユニット212がノズル201gを傷つけるようなこともない。
【0069】
このように、本実施形態によれば、インクジェットヘッド201内に空気が存在する構造でも物流時にヘッド201の外へインクが漏れることのない信頼性の高いインクジェットヘッド201を提供することができる。
【0070】
特に、フィルタ201c下に空気が残りやすい構造である本実施形態のようなヘッド201においては、フィルタ201cとノズル201gとの間を物流インクで満たすことが難しいため、本実施形態のようなキャップユニット212を用いた物流形態が有効である。
【0071】
物流時にフェイス面が密閉される形態のヘッド201では、通常は、ヘッド201のフェイス面とキャップ212aの吸水樹脂212cとの間に所定の隙間を有する。それは、ヘッド201とキャップ212aとの隙間は互いの嵌合部の公差によって定まるので、その許容公差の範囲内であればヘッド201のフェイス面に吸水樹脂212cが接触しないように両者の間にある程度の余裕を持たせる必要があるためである。キャップ212aの設計にあたっては、この公差を考慮した上で、キャップ212aとヘッド201のフェイス面との間のシール性を確保するキャップゴム212bの先端リブ212fの潰し量や、フェイス面と吸水樹脂212cとの隙間を決定する。
【0072】
ヘッド201にキャップ212aを取り付けたとき、通常はヘッド201のフェイス面と吸水樹脂212cは互いに触れないようにする。これは、ヘッド201のフェイス面は通常は撥水処理が施されているが、吸水樹脂212cがこのフェイス面に触れているとフェイス面に物流インクが常に浸された状態となり、フェイス面の撥水性の劣化を招くおそれがあるためである。また、吸水樹脂212cからの溶出物やゴミ等がフェイス面に付着することや、さらにはそれらの付着物によってフェイス面に傷が付くおそれがあるためでもある。
【0073】
また、吸水樹脂212cをキャップゴム212bに固定するための突起212e(図6、図7参照)がキャップゴム212bに設けられているが、この突起212eは、キャップゴム212bの先端リブ212fによるヘッドフェイス面とのシール性を阻害することがないように、先端リブ212fよりも所定の高さだけ低く設けられている必要がある。
【0074】
また、キャップ212をヘッド201に着脱する時や、物流状態のヘッド201が落下した時には、キャップ212をヘッド201のフェイス面に押し付ける方向の力が加わることが考えられる。このような時には、キャップゴム212bの先端リブ212fが更に潰れ、吸水樹脂212cがヘッドフェイス面に一層近づくが、たとえそのように吸水樹脂212cがヘッドフェイス面に一層近づいた場合であっても、吸水樹脂212cがヘッドフェイス面に接触することがないようにする必要がある。
【0075】
上記の理由により、キャップユニット212がヘッド201に取り付けられたときには、ヘッドフェイス面と吸水樹脂212cとの間に所定の隙間を常に有するようにすることが望ましい。
【0076】
次に、ヘッド201に対するキャップユニット212の着脱動作等について説明する。
【0077】
図9は、本実施形態におけるキャップユニット212とインクジェットヘッド201との嵌合状態を模式的に示した図である。この図においては、キャップユニット212とインクジェットヘッド201の位置関係がわかりやすいように、キャップユニット212の爪部217とインクジェットヘッド201の引っ掛け部215との係合部の断面と、キャップユニット212の位置決めガイド214とインクジェットヘッド201の位置決めボス213との係合部の断面とを一緒に示している。
【0078】
図9(A)は通常にキャップユニット212が装着された状態を示す図であり、キャップユニット212の爪部217とインクジェットヘッド201の引っ掛け部215が接触係合している状態を示す。キャップユニット212が装着された状態では、キャップゴム212bの先端リブ212fが潰れることによる反発力が働くので、通常はキャップユニット212の爪部217とインクジェットヘッド201の引っ掛け部215が接触係合する状態となる。この時、キャップユニット212の位置決めガイド214とインクジェットヘッド201の位置決めボス213との位置関係は、図に示すように微小な隙間が空いた状態となっている。
【0079】
図9(B)はキャップユニット212をフェイス面に押し付ける方向の力が加わった状態を示す図であり、本実施形態ではキャップユニット212の位置決めガイド214とインクジェットヘッド201の位置決めボス213が接触係合している。これにより、キャップユニット212をヘッドフェイス面に押し付ける方向の力が加わった状態でも、ヘッドフェイス面とキャップユニット212の吸水樹脂212cが接触するのを防止している。つまり、ヘッドフェイス面に押し付ける方向の力が加わると、図に示すようにキャップ212の爪部217とインクジェットヘッド201の引っ掛け部215との接触が離れてキャップゴム先端リブ212fが更に潰れていくが、ヘッドフェイス面とキャップユニットの吸水樹脂212cが接触することなくキャップユニット212の位置決めガイド214とインクジェットヘッド201の位置決めボス213が接触する構造となっている。これにより、ヘッドフェイス面にキャップユニットの吸水樹脂212cが接触してヘッドフェイス面に傷等がつくことが防止されている。
【0080】
さらに、図7を用いて説明した通り、キャップユニット212をインクジェットヘッド201のフェイス面に押し付ける方向の力がさらに加わった場合に、仮にヘッド201のフェイス面が吸水樹脂212cに接触したとしても、吸水樹脂212cにはヘッド201の吐出口形成領域の周囲に対向する位置に凸面よりも高い突起212eが設けられているため、突起212eがフェイス面の吐出口形成領域の周囲に当接することにより、吸水樹脂212cがヘッド201の吐出口に当たることはなく、吐出口にダメージを与えることは防止される。
【0081】
図9(C)はキャップユニット212をインクジェットヘッド201に着脱している時の状態を示す図であり、前述したようにキャップユニットが一旦広げられた状態である。このとき、図示のように、クリップ部219によってキャップユニット212が拡げられキャップユニット212の爪部217とインクジェットヘッド201の引っ掛け部215の係合が外れる状態となっても、キャップユニット212の位置決めガイド214がインクジェットヘッド201の位置決めボス213に接触するように、爪部217の係合長さよりも位置決めガイド214の係合長さのほうがキャップユニットの拡がり方向に対して長くなっている。
【0082】
上記のように本実施形態では、キャップユニット212の位置決めガイド214がヘッド201の位置決めボス213に接触することで、吸水樹脂212cがヘッドフェイス面に所定の距離よりも近づかないようになっており、キャップユニット212の位置決めガイド214がインクジェットヘッド201のフェイス面の保護を兼ねる構造となっている。そのため、落下等の衝撃やキャップユニット212の着脱時にキャップユニット212をヘッドフェイス面に押し付ける方向の力が加わっても、ヘッドフェイス面とキャップユニット212の吸水樹脂212cが接触することがない。これにより、ヘッドフェイス面とキャップユニット212の吸水樹脂212cは所定の隙間を常に有することが可能となり、フェイス面に傷等がつくおそれのない信頼性の高いキャップを提供することができる。
【0083】
ところで、ヘッドフェイス面はキャップゴム212bで密閉されているのでインクジェットヘッド201の外へインクが漏れることはないが、環境変化や、落下等の衝撃により、ノズル201gから物流インクが染み出す可能性もある。しかしながら、本実施形態によるキャップユニット212は、ヘッド201のノズル201gの開口面(フェイス面)と吸水樹脂212cとの間に所定の隙間が形成されるように構成されており、かつ、吸水樹脂212c内に複数の突起212eが設けられているので、ヘッドフェイス面から物流インクが染み出した場合に、最悪の場合でもその水滴が大きくなる前に突起212eを介して吸水樹脂212cに吸収されるので、キャップユニット212をヘッド201から取り外す際に物流インクが垂れることを未然に防止することが可能となる。
【0084】
さらに、本実施形態では物流時にヘッド201内に充填されるインクの量が僅かであるので、物流時に物流インクでインク貯留空間が満たされた従来のインクジェットヘッドに比べて、ヘッド201の内圧上昇によって物流インクの漏れを起こすことがなくなり、また、物流時にヘッド201の姿勢が変化することで物流インクが漏れ出す心配も無くすことができる。つまり、本実施形態によれば、インクジェットヘッド201の物流時に環境が変化したときに生じうるインク漏れ等の問題に関して信頼性を高めることができる。
【0085】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のキャップユニットは、記録ヘッドのインク吐出口が形成されている領域を密閉する弾性キャップ内に設けられた液体吸収部材の、記録ヘッドのインク吐出口形成面に対向する面が、インク吐出口形成面のインク吐出口が形成されている領域に対向する第1の面と、インク吐出口形成面のインク吐出口が形成されていない領域に対向する第2の面とを有しており、第1の面は第2の面よりも高く形成されているので、記録ヘッドのノズル内部を確実に保湿することができるとともに、使用時にユーザが記録ヘッドからキャップユニットを外したときにインクが記録ヘッドから垂れることを未然に防止することができ、物流形態における記録ヘッドのインク漏れ等に関する信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るキャップ部材が取り付けられるインクジェット記録ヘッドが用いられるインクジェット記録装置の概略の構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示すインクジェット記録装置のインク供給経路を説明するための図である。
【図3】図2等に示したインクジェットヘッドを斜め下側から見た外観図である。
【図4】図4は図2等に示したインクジェットヘッドを斜め上側から見た外観図である。
【図5】図2等に示したインクジェットヘッドの物流形態を示す図である。
【図6】物流時にインクジェットヘッドに取り付けられるキャップユニットを説明するための図である。
【図7】物流時にインクジェットヘッドに取り付けられるキャップユニットを説明するための図である。
【図8】図6および図7に示したキャップユニットを装着したインクジェットヘッドを側面から見た部分断面図である。
【図9】インクジェットヘッドに対するキャップユニットの着脱動作等について説明するための図である。
【符号の説明】
201 インクジェットヘッド
201a コネクタ挿入口
201b サブタンク部
201c フィルタ
201d 開口部
201e 仕切部
201f 液室
201g ノズル
201h 弾性部材
201i 圧力調整室
202 キャリッジ
203 搬送ローラ
204 メインタンク
204b,204c ゴム栓
205インク供給ユニット
205a インク供給針
205b 大気導入針
205f バッファ室
205g 大気連通口
206 インク供給チューブ
207 回復ユニット
210 吐出口
211 ジョイントゴム
212 キャップユニット
212a 保護キャップ
212b キャップゴム
212c 吸水樹脂
212d 吸水樹脂押さえ部
212e 突起
212f リブ
213 保護キャップ位置決め用ボス
214 位置決めガイド
215,216 引っ掛け部
217,218 爪部
219 クリップ部
A シート搬送方向
B キャリッジ移動方向
S 記録用シート

Claims (1)

  1. インクジェット記録ヘッドに脱着可能な係合手段を備えた保護キャップと、前記インクジェット記録ヘッドのインク吐出口形成面に当接し、前記インクジェット記録ヘッドのインク吐出口が形成されている領域を密閉する弾性キャップと、該弾性キャップが前記インク吐出口形成面に当接したときに前記インク吐出口形成面との間に所定の隙間をおいて配置されるように前記弾性キャップ内に設けられた液体吸収部材とを有する、インクジェット記録ヘッドを保護するキャップユニットにおいて、
    前記液体吸収部材の、前記インク吐出口形成面に対向する面は、前記インク吐出口形成面の前記インク吐出口が形成されている領域に対向する第1の面と、前記インク吐出口形成面の前記インク吐出口が形成されていない領域に対向する第2の面とを有しており、前記第1の面は前記第2の面よりも高く形成されていることを特徴とする、インクジェット記録ヘッドを保護するキャップユニット。
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