JP2004258483A - 画像表示用パネル及び画像表示装置 - Google Patents

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雅男 小川
Hirotaka Yamazaki
博貴 山崎
Makoto Sakurai
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Abstract

【課題】大掛かりな設備を必要とせず、通常の空気では達成できない繰り返し使用での耐久性を向上することができる画像表示用パネル及び画像表示装置を提供する。
【解決手段】互いに対向するとともに少なくとも一方が透明な2枚の基板1、2間に、粒子群3Aを封入し、電位の異なる2種類の電極5、6から粒子群に電界を与えて、粒子群を飛翔移動させ画像を表示する画像表示装置に用いられる画像表示用パネルであって、粒子群を充填する基板間の空隙が、嫌気性で低粘性抵抗を有する気体で満たされており、かつ、密閉されている。粒子群3Aの代わりに粉流体3Bを使用しても、同様の構成で本発明を達成することができる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像表示用パネルに関し、特に、クーロン力等による粒子の飛翔移動または粉流体の移動を利用することで画像表示を繰り返し行うことができる可逆性画像表示装置に用いられる画像表示用パネル、その製造方法および画像表示装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、ペーパーレス化といった環境意識の高揚に伴い、電気的な力を利用して表示基板に所望の画像を表示でき、さらには書き換えも可能であるような電子ペーパーディスプレイに関する研究がなされてきている。この電子ペーパー技術において特に有名なのは、電気泳動型(例えば、非特許文献1参照)、サーマルリライタブル型等といった液相型のものであるが、液相型では液中を粒子が泳動するので、液の粘性抵抗により応答速度が遅くなるという問題があるため、最近では、対向する基板間に絶縁着色粒子または粉流体が封入された構成の乾式のものが着目されている。
【0003】
しかし、粒子や粉流体を配置する基板間の雰囲気が、通常の空気では、画像表示用パネルとして使用する際の繰り返し使用耐久性の点で不十分であった。この雰囲気の問題に関し、基板間を部分的に真空にすることが開示されている(例えば、特許文献1)。しかしながら、この特許文献1では、実際に基板間を部分的に真空にするために大掛かりな設備が必要となるため、生産性の面で好ましくない問題があった。
【0004】
【非特許文献1】
趙 国来、外3名、“新しいトナーディスプレイデバイス(I)”、1999年7月21日、日本画像学会年次大会(通算83回)“Japan Hardcopy’99”論文集、p.249−252
【特許文献1】
米国特許第6,407,763号明細書
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は上述した課題を解決し、大掛かりな設備を必要とせず、通常の空気では達成できない繰り返し使用での耐久性を向上することができる画像表示用パネル及び画像表示装置を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の画像表示用パネルの第1発明は、互いに対向するとともに少なくとも一方が透明な2枚の基板間に、粒子群を封入し、電位の異なる2種類の電極から粒子群に電界を与えて、粒子群を飛翔移動させ画像を表示する画像表示装置に用いられる画像表示用パネルであって、粒子群を充填する基板間の空隙が、嫌気性で低粘性抵抗を有する気体で満たされており、かつ、密閉されていることを特徴とするものである。また、本発明の画像表示装置の第1発明は、上述した第1発明に係る画像表示用パネルを搭載してなることを特徴とするものである。
【0007】
本発明の画像表示用パネルの第2発明は、互いに対向するとともに少なくとも一方が透明な2枚の基板間に、気体中に固体状物質が分散質として安定に浮遊するエアロゾル状態で高流動性を示す粉流体を封入し、電位の異なる2種類の電極から基板間に電界を与えて、粉流体を移動させて画像を表示する画像表示装置に用いられる画像表示用パネルであって、粉流体を充填する基板間の空隙が、嫌気性で低粘性抵抗を有する気体で満たされており、かつ密閉されているものであることを特徴とするものである。また、本発明の画像表示装置の第2発明は、上述した第2発明に係る画像表示用パネルを搭載してなることを特徴とするものである。
【0008】
本発明の第1発明および第2発明では、基板間の雰囲気を、嫌気性で低粘性抵抗を有する気体で満たしている。嫌気性で低粘性抵抗を有する気体、好ましくはメタンガスを用いることにより、通常の空気中では達成できない繰り返し使用での耐久性を向上させることができるとともに、雰囲気を真空にするのに必要となるような大掛かりな装置を用いなくてもよいので、生産性を向上させることができる。
【0009】
本発明の第1発明および第2発明に係る画像表示用パネルの好適例として、基板間に充填される粒子または粉流体の、ASTM D570に準じて測定条件23℃、24時間で測定した吸水率が、3%以下であること、基板間に充填される粒子または粉流体の体積占有率が10〜80vol%の範囲であること、がある。いずれの場合も本発明をさらに効果的に実施することができる。
【0010】
なお、上述した本発明の第1発明(粒子群を使用)および第2発明(粉流体を使用)とも、従来の基板間を真空にする場合に発生する生産性の問題を解消することができる。これに加えて、第2発明は第1発明と比較して、液体の特徴である流動性と固体の特徴である一定の外形保持性とを兼ね備えた粉流体を用いることにより、第1発明における駆動電圧の上昇を抑えることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の画像表示用パネルでは、対向する基板間に粒子群または粉流体を封入した表示用パネルに何らかの手段でその基板間に電界が付与される。高電位の基板部位に向かっては低電位に帯電した粒子または粉流体がクーロン力などによって引き寄せられ、また低電位の基板部位に向かっては高電位に帯電した粒子または粉流体がクーロン力などによって引き寄せられ、それら粒子または粉流体が2枚の基板間を往復運動することにより、画像表示がなされる。従って、粒子または粉流体が、均一に移動し、かつ、繰り返し時あるいは保存時の安定性を維持できるように、表示用パネルを設計する必要がある。
【0012】
本発明は、安定性の改善のヒントが、表示用パネルの空隙を占めている気体の種類、嫌気性、更には粒子または粉流体粒子の含水量にあることを見出したものである。先に述べたように、粒子または粉流体が往復運動するわけであるから、その往復運動に支障がないように、粒子または粉流体を取り囲む媒体となる気体を管理することによって、繰り返し耐久性を向上させるものである。
【0013】
本発明の画像表示用パネルは、2種以上の色の異なる粒子3A(図1参照)または粉流体3B(図4参照)を基板1、2と垂直方向に移動させることによる表示方式に用いるパネルと、1種の色の粒子3A(図2参照)または粉流体(図5参照)を基板1、2と平行方向に移動させることによる表示方式に用いるパネルとのいずれへも適用できる。表示のためのパネル構造例を図3(粒子3Aを使用)および図6(粉流体3Bを使用)に示す。なお、図1〜図6において、4は必要に応じて設ける隔壁、5、6は粒子3Aまたは粉流体3Bに電界を与えるための電極である。
【0014】
本発明では、基板1、2間の粒子3Aまたは粉流体3Bを取り巻く空隙部分の気体として、好ましくは乾燥した、嫌気性で低粘性抵抗を有する気体を用いる。ここで用いる気体は、嫌気性であって、低粘性抵抗を有するものであれば、その種類は問わないが、メタンガスが汎用性もあり好ましい。その他嫌気性で低粘性抵抗を有するガスとしては、プロパンガス、メタンガスとプロパンガスの混合ガスを使用することができる。さらに、本発明では基板1、2間の粒子3Aまたは粉流体3Bを取り巻く空隙部分を満たす好ましくは乾燥した、嫌気性で低粘性抵抗を有する気体の湿度の管理が重要であり、表示安定性向上に寄与する。具体的には、空隙部分の嫌気性で低粘性抵抗を有する気体を用い、ボンベから容器に充填する際にも、シリカゲル等の乾燥剤を通過させて十分に乾燥させるとともに、容器が置かれる環境も相対湿度50%RH以下に、好ましくは30RH%以下に管理することが重要である。
【0015】
空隙部分とは、対向する基板1、基板2に挟まれる部分から、粒子3Aまたは粉流体3Bの占有部分、隔壁4の占有部分、装置シール部分を除いた、いわゆる粒子3Aまたは粉流体3Bが接する気体部分を指すものとする。気体は、その湿度が保持されるように装置に封入することが必要であり、例えば、粒子または粉流体の充填、基板などの組み立てを所定湿度以下の乾燥した雰囲気の環境下にて行い、例えばメタンガスのような嫌気性で低粘性抵抗を有する気体をボンベから容器に充填する際にも、シリカゲル等の乾燥剤を通過させて十分に乾燥させるとともに、外からの湿度侵入を防ぐシール材、シール方法を施すことが肝要である。
【0016】
以下、本発明の画像表示用パネルの各構成部分について、粒子(第1発明)、粉流体(第2発明)、第1発明と第2発明に共通の構成部分の順に、詳細に説明する。
【0017】
先ず、本発明の第1発明に用いる粒子について述べる。
粒子の作製は、必要な樹脂、帯電制御剤、着色剤、その他添加剤を混練り粉砕しても、あるいはモノマーから重合しても、あるいは既存の粒子を樹脂、帯電制御剤、着色剤、その他添加剤でコーティングしても良い。
以下に、樹脂、帯電制御剤、着色剤、その他添加剤を例示する。
【0018】
樹脂の例としては、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン変性アクリル樹脂、シリコーン樹脂、ナイロン樹脂、エポキシ樹脂、スチレン樹脂、ブチラール樹脂、塩化ビニリデン樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂などが挙げられ、2種以上混合することもでき、特に、基板との付着力を制御する上から、ポリエステル樹脂、アクリルウレタン樹脂、アクリルウレタンシリコーン樹脂、アクリルウレタンフッ素樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂が好適である。
【0019】
帯電制御剤の例としては、正電荷付与の場合には、4級アンモニウム塩系化合物、ニグロシン染料、トリフェニルメタン系化合物、イミダゾール誘導体などが挙げられ、負電荷付与の場合には、含金属アゾ染料、サリチル酸金属錯体、ニトロイミダゾール誘導体などが挙げられる。
着色剤の例としては、塩基性、酸性などの染料が挙げられ、ニグロシン、メチレンブルー、キノリンイエロー、ローズベンガルなどが例示される。
無機系添加剤の例としては、酸化チタン、亜鉛華、硫化亜鉛、酸化アンチモン、炭酸カルシウム、鉛白、タルク、シリカ、ケイ酸カルシウム、アルミナホワイト、カドミウムイエロー、カドミウムレッド、カドミウムオレンジ、チタンイエロー、紺青、群青、コバルトブルー、コバルトグリーン、コバルトバイオレット、酸化鉄、カーボンブラック、マンガンフェライトブラック、コバルトフェライトブラック、銅粉、アルミニウム粉などが挙げられる。
【0020】
また、ここで繰り返し耐久性を更に向上させるためには、該粒子を構成する樹脂の安定性、特に、吸水率と溶剤不溶率を管理することが効果的である。
基板間に封入する粒子を構成する樹脂の吸水率は、3重量%以下、特に2重量%以下とすることが好ましい。なお、吸水率の測定は、ASTM D570に準じて行い、測定条件は23℃で24時間とする。
該粒子を構成する樹脂の溶剤不溶率に関しては、下記関係式で表される粒子の溶剤不溶率を50%以上、特に70%以上とすることが好ましい。
溶剤不溶率(%)=(B/A)×100
(但し、Aは樹脂の溶剤浸漬前重量、Bは良溶媒中に樹脂を25℃で24時間浸漬した後の重量を示す)
この溶剤不溶率が50%未満では、長期保存時に粒子表面にブリードが発生し、粒子との付着力に影響を及ぼし粒子の移動の妨げとなり、画像表示耐久性に支障をきたす場合がある。
なお、溶剤不溶率を測定する際に用いる溶剤(良溶媒)としては、フッ素樹脂ではメチルエチルケトン等、ポリアミド樹脂ではメタノール等、アクリルウレタン樹脂ではメチルエチルケトン、トルエン等、メラミン樹脂ではアセトン、イソプロパノール等、シリコーン樹脂ではトルエン等が好ましい。
【0021】
また、粒子は球形であることが好ましい。
本発明では、各粒子の粒子径分布に関して、下記式に示される粒子径分布Spanを5未満、好ましくは3未満とする。
Span=(d(0.9)−d(0.1))/d(0.5)
(但し、d(0.5)は粒子の50%がこれより大きく、50%がこれより小さいという粒子径をμmで表した数値、d(0.1)はこれ以下の粒子の比率が10%である粒子径をμmで表した数値、d(0.9)はこれ以下の粒子が90%である粒子径をμmで表した数値である。)
Spanを5以下の範囲に納めることにより、各粒子のサイズが揃い、均一な粒子移動が可能となる。
【0022】
さらに、ペースト中の各粒子の平均粒子径d(0.5)を、0.1〜50μmとすることが好ましい。この範囲より大きいと表示上の鮮明さに欠け、この範囲より小さいと粒子同士の凝集力が大きすぎるために粒子の移動に支障をきたすようになる。
さらにまた、各粒子の相関について、使用した粒子の内、最大径を有する粒子のd(0.5)に対する最小径を有する粒子のd(0.5)の比を50以下、好ましくは10以下とすることが肝要である。
たとえ粒子径分布Spanを小さくしたとしても、互いに帯電特性の異なる粒子が互いに反対方向に動くので、互いの粒子サイズが近く、互いの粒子が等量づつ反対方向に容易に移動できるようにするのが好適であり、それがこの範囲となる。
【0023】
なお、上記の粒子径分布および粒子径は、レーザー回折/散乱法などから求めることができる。測定対象となる粒子にレーザー光を照射すると空間的に回折/散乱光の光強度分布パターンが生じ、この光強度パターンは粒子径と対応関係があることから、粒子径および粒子径分布が測定できる。
本発明における粒子径および粒子径分布は、体積基準分布から得られたものである。具体的には、Mastersizer2000(Malvern Instruments Ltd.)測定機を用いて、窒素気流中に粒子を投入し、付属の解析ソフト(Mail理論を用いた体積基準分布を基本としたソフト)にて、粒子径および粒子径分布の測定を行なうことができる。
【0024】
次に、本発明の第2発明で用いる粉流体について説明する。
本発明における「粉流体」は、気体の力も液体の力も借りずに、自ら流動性を示す、流体と粒子の特性を兼ね備えた両者の中間状態の物質である。例えば、液晶は液体と固体の中間的な相と定義され、液体の特徴である流動性と固体の特徴である異方性(光学的性質)を有するものである(平凡社:大百科事典)。一方、粒子の定義は、無視できるほどの大きさであっても有限の質量をもった物体であり、重力の影響を受けるとされている(丸善:物理学事典)。ここで、粒子でも、気固流動層体、液固流動体という特殊状態があり、粒子に底板から気体を流すと、粒子には気体の速度に対応して上向きの力が作用し、この力が重力とつりあう際に、流体のように容易に流動できる状態になるものを気固流動層体と呼び、同じく、流体により流動化させた状態を液固流動体と呼ぶとされている(平凡社:大百科事典)。このように気固流動層体や液固流動体は、気体や液体の流れを利用した状態である。本発明では、このような気体の力も、液体の力も借りずに、自ら流動性を示す状態の物質を、特異的に作り出せることが判明し、これを粉流体と定義した。
【0025】
すなわち、本発明における粉流体は、液晶(液体と固体の中間相)の定義と同様に、粒子と液体の両特性を兼ね備えた中間的な状態で、先に述べた粒子の特徴である重力の影響を極めて受け難く、高流動性を示す特異な状態を示す物質である。このような物質はエアロゾル状態、すなわち気体中に固体状もしくは液体状の物質が分散質として安定に浮遊する分散系で得ることができ、本発明の画像表示装置で固体状物質を分散質とするものである。
【0026】
本発明の対象となる画像表示装置は、少なくとも一方が透明な、対向する基板間に、気体中に固体粒子が分散質として安定に浮遊するエアロゾル状態で高流動性を示す粉流体を封入するものであり、このような粉流体は、低電圧の印加でクーロン力などにより容易に安定して移動させることができる。
【0027】
粉流体とは、先に述べたように、気体の力も液体の力も借りずに、自ら流動性を示す、流体と粒子の特性を兼ね備えた両者の中間状態の物質である。この粉流体は、特にエアロゾル状態とすることができ、本発明の画像表示装置では、気体中に固体状の物質が分散質として比較的安定に浮遊する状態で用いられる。
【0028】
エアロゾル状態の範囲は、粉流体の最大浮遊時の見かけ体積が未浮遊時の2倍以上であることが好ましく、更に好ましくは2.5倍以上、特に好ましくは3倍以上である。上限は特に限定されないが、12倍以下であることが好ましい。
粉流体の最大浮遊時の見かけ体積が未浮遊時の2倍より小さいと表示上の制御が難しくなり、また、12倍より大きいと粉流体を装置内に封入する際に舞い過ぎてしまうなどの取扱い上の不便さが生じる。なお、最大浮遊時の見かけ体積は次のようにして測定される。すなわち、粉流体が透過して見える密閉容器に粉流体を入れ、容器自体を振動或いは落下させて、最大浮遊状態を作り、その時の見かけ体積を容器外側から測定する。具体的には、直径(内径)6cm、高さ10cmのポリプロピレン製の蓋付き容器(商品名アイボーイ:アズワン(株)製)に、未浮遊時の粉流体として1/5の体積相当の粉流体を入れ、振とう機に容器をセットし、6cmの距離を3往復/secで3時間振とうさせる。振とう停止直後の見かけ体積を最大浮遊時の見かけ体積とする。
【0029】
また、本発明の画像表示装置は、粉流体の見かけ体積の時間変化が次式を満たすものが好ましい。
10/V>0.8
ここで、Vは最大浮遊時から5分後の見かけ体積(cm)、V10は最大浮遊時から10分後の見かけ体積(cm)を示す。なお、本発明の画像表示装置は、粉流体の見かけ体積の時間変化V10/Vが0.85よりも大きいものが好ましく、0.9よりも大きいものが特に好ましい。V10/Vが0.8以下の場合は、通常のいわゆる粒子を用いた場合と同様となり、本発明のような高速応答、耐久性の効果が確保できなくなる。
【0030】
また、粉流体を構成する粒子物質の平均粒子径(d(0.5))は、好ましくは0.1〜20μm、更に好ましくは0.5〜15μm、特に好ましくは0.9〜8μmである。0.1μmより小さいと表示上の制御が難しくなり、20μmより大きいと、表示はできるものの隠蔽率が下がり装置の薄型化が困難となる。なお、粉流体を構成する粒子物質の平均粒子径(d(0.5))は、次の粒子径分布Spanにおけるd(0.5)と同様である。
【0031】
粉流体を構成する粒子物質は、下記式に示される粒子径分布Spanが5未満であることが好ましく、更に好ましくは3未満である。
粒子径分布Span=(d(0.9)−d(0.1))/d(0.5)
ここで、d(0.5)は粉流体を構成する粒子物質の50%がこれより大きく、50%がこれより小さいという粒子径をμmで表した数値、d(0.1)はこれ以下の粉流体を構成する粒子物質の比率が10%である粒子径をμmで表した数値、d(0.9)はこれ以下の粉流体を構成する粒子物質が90%である粒子径をμmで表した数値である。粉流体を構成する粒子物質の粒子径分布Spanを5以下とすることにより、サイズが揃い、均一な粉流体移動が可能となる。
【0032】
なお、以上の粒子径分布および粒子径は、レーザー回折/散乱法などから求めることができる。測定対象となる粉流体にレーザー光を照射すると空間的に回折/散乱光の光強度分布パターンが生じ、この光強度パターンは粒子径と対応関係があることから、粒子径および粒子径分布が測定できる。この粒子径および粒子径分布は、体積基準分布から得られる。具体的には、Mastersizer2000(Malvem Instruments Ltd.)測定機を用いて、窒素気流中に粉流体を投入し、付属の解析ソフト(Mail理論を用いた体積基準分布を基本としたソフト)にて、測定を行うことができる。
【0033】
粉流体の作製は、必要な樹脂、帯電制御剤、着色剤、その他添加剤を混練り粉砕しても、モノマーから重合しても、既存の粒子を樹脂、帯電制御剤、着色剤、その他添加剤でコーティングしても良い。以下、粉流体を構成する樹脂、帯電制御剤、着色剤、その他添加剤を例示する。
【0034】
樹脂の例としては、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン変性アクリル樹脂、シリコーン樹脂、ナイロン樹脂、エポキシ樹脂、スチレン樹脂、ブチラール樹脂、塩化ビニリデン樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂などが挙げられ、2種以上混合することもでき、特に、基板との付着力を制御する上から、アクリルウレタン樹脂、アクリルウレタンシリコーン樹脂、アクリルウレタンフッ素樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂が好適である。
【0035】
帯電制御剤の例としては、正電荷付与の場合には、4級アンモニウム塩系化合物、ニグロシン染料、トリフェニルメタン系化合物、イミダゾール誘導体などが挙げられ、負電荷付与の場合には、含金属アゾ染料、サリチル酸金属錯体、ニトロイミダゾール誘導体などが挙げられる。
着色剤の例としては、塩基性、酸性などの染料が挙げられ、ニグロシン、メチレンブルー、キノリンイエロー、ローズベンガルなどが例示される。
無機系添加剤の例としては、酸化チタン、亜鉛華、硫化亜鉛、酸化アンチモン、炭酸カルシウム、鉛白、タルク、シリカ、ケイ酸カルシウム、アルミナホワイト、カドミウムイエロー、カドミウムレッド、カドミウムオレンジ、チタンイエロー、紺青、群青、コバルトブルー、コバルトグリーン、コバルトバイオレット、酸化鉄、カーボンブラック、銅粉、アルミニウム粉などが挙げられる。
【0036】
しかしながら、このような材料を工夫無く混練り、コーティングなどを施しても、エアロゾル状態を示す粉流体を作製することはできない。エアロゾル状態を示す粉流体の決まった製法は定かではないが、例示すると次のようになる。
【0037】
まず、粉流体を構成する粒子物質の表面に、平均粒径が20〜100nm、好ましくは20〜80nmの無機微粒子を固着させることが適当である。更に、その無機微粒子がシリコーンオイルで処理されていることが適当である。ここで、無機微粒子としては、二酸化珪素(シリカ)、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化セリウム、酸化鉄、酸化銅等が挙げられる。この無機微粒子を固着させる方法が重要であり、例えば、ハイブリダイザー(奈良機械製作所(株)製)やメカノフュージョン(ホソカワミクロン(株)製)などを用いて、ある限定された条件下(例えば処理時間)で、エアロゾル状態を示す粉流体を作製することができる。
【0038】
ここで繰り返し耐久性を更に向上させるためには、粉流体を構成する樹脂の安定性、特に、吸水率と溶剤不溶率を管理することが効果的である。基板間に封入する粉流体を構成する樹脂の吸水率は、3重量%以下、特に2重量%以下とすることが好ましい。なお、吸水率の測定は、ASTM−D570に準じて行い、測定条件は23℃で24時間とする。粉流体を構成する樹脂の溶剤不溶率に関しては、下記関係式で表される粉流体の溶剤不溶率を50%以上、特に70%以上とすることが好ましい。
溶剤不溶率(%)=(B/A)×100
(但し、Aは樹脂の溶剤浸漬前重量、Bは良溶媒中に樹脂を25℃で24時間浸漬した後の重量を示す)
【0039】
この溶剤不溶率が50%未満では、長期保存時に粒子物質表面にブリードが発生し、粉流体との付着力に影響を及ぼし粉流体の移動の妨げとなり、画像表示耐久性に支障をきたす場合がある。なお、溶剤不溶率を測定する際の溶剤(良溶媒)としては、フッ素樹脂ではメチルエチルケトン等、ポリアミド樹脂ではメタノール等、アクリルウレタン樹脂では、メチルエチルケトン、トルエン等、メラミン樹脂ではアセトン、イソプロパノール等、シリコーン樹脂ではトルエン等が好ましい。
【0040】
また、粉流体の充填量については、粉流体の占有体積が、対向する基板間の空隙部分の10〜80vol%、好ましくは10〜65vol%、更に好ましくは10〜55vol%になるように調整することが好ましい。粉流体の体積占有率が、10vol%より小さいと鮮明な画像表示が行えなくなり、80vol%より大きいと粉流体が移動しにくくなる。ここで、空間体積とは、対向する基板1、基板2に挟まれる部分から、隔壁4の占有部分、装置シール部分を除いた、いわゆる粉流体を充填可能な体積を指すものとする。この占有体積は粒子群を使用した第1発明でも同様である。
【0041】
次に、基板について述べる。
基板1、基板2の少なくとも一方は装置外側から粒子あるいは粉流体の色が確認できる透明基板であり、可視光の透過率が高くかつ耐熱性の良い材料が好適である。可とう性の有無は用途により適宜選択され、例えば、電子ペーパー等の用途には可とう性のある材料、携帯電話、PDA、ノートパソコン類の携帯機器表示等の用途には可とう性のない材料が用いられる。
【0042】
基板材料を例示すると、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルフォン、ポリエチレン、ポリカーボネートなどのポリマーシートや、ガラス、石英などの無機シートが挙げられる。
基板厚みは、2〜5000μm、好ましくは5〜1000μmが好適であり、薄すぎると、強度、基板間の間隔均一性を保ちにくくなり、厚すぎると、表示機能としての鮮明さ、コントラストの低下が発生し、特に、電子ペーパー用途の場合には可とう性に欠ける。
【0043】
基板には、必要に応じて電極を設けても良い。
基板に電極を設けない場合は、基板外部表面に静電潜像を与え、その静電潜像に応じて発生する電界にて、所定の特性に帯電した色のついた粒子群あるいは粉流体を基板に引き寄せあるいは反発させることにより、静電潜像に対応して配列した粒子群あるいは粉流体を透明な基板を通して表示装置外側から視認する。なお、この静電潜像の形成は、電子写真感光体を用い通常の電子写真システムで行われる静電潜像を本発明の画像表示装置の基板上に転写形成する、あるいは、イオンフローにより静電潜像を基板上に直接形成する等の方法で行うことができる。
【0044】
基板に電極を設ける場合は、電極部位への外部電圧入力により、基板上の各電極位置に生じた電界により、所定の特性に帯電した色の粒子群あるいは粉流体が引き寄せあるいは反発させることにより、静電潜像に対応して配列した粒子群あるいは粉流体を透明な基板を通して表示装置外側から視認する方法である。
電極は、透明かつパターン形成可能である導電性材料で形成され、例示すると、酸化インジウム、アルミニウムなどの金属類、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェンなどの導電性高分子類が挙げられ、真空蒸着、塗布などの形成手法が例示できる。なお、電極厚みは、導電性が確保でき光透過性に支障なければ良く、3〜1000nm、好ましくは5〜400nmが好適である。この場合の外部電圧入力は、直流あるいは交流を重畳しても良い。
【0045】
次に、隔壁について説明する。
本発明の隔壁の形状は、表示にかかわる粒子のサイズあるいは粉流体のサイズにより適宜最適設定され、一概には限定されないが、隔壁の幅は10〜1000μm、好ましくは10〜500μmに、隔壁の高さは10〜5000μm、好ましくは10〜500μmに調整される。
また、隔壁を形成するにあたり、対向する両基板の各々にリブを形成した後に接合する両リブ法と、片側の基板上にのみリブを形成する片リブ法が考えられるが、本発明はどちらにも適用できる。
これらリブからなる隔壁により形成される表示セルは、図7に示すごとく、基板平面方向からみて四角状、三角状、ライン状、円形状が例示される。
表示側から見える隔壁断面部分に相当する部分(表示セルの枠部の面積)はできるだけ小さくした方が良く、画像表示の鮮明さが増す。
【0046】
ここで、隔壁の形成方法を例示すると、スクリーン印刷法、サンドブラスト法、感光体ペースト法、アディティブ法が挙げられる。
【0047】
なお、本発明の画像表示装置は、ノートパソコン、PDA、携帯電話などのモバイル機器の表示部、電子ブック、電子新聞などの電子ペーパー、看板、ポスター、黒板などの掲示板、コピー機、プリンター用紙代替のリライタブルペーパー、電卓、家電製品の表示部、ポイントカードなどのカード表示部などに用いられる。
【0048】
【実施例】
次に実施例、比較例を示して、本発明を更に具体的に説明する。但し本発明は以下の実施例により限定されるものではない。
【0049】
<実施例1(第1発明)>
画像表示用パネルを以下のように作製した。
まず、電極付き基板(7cm×7cm□)を準備し、基板上に、高さ400μmのリブを作り、ストライプ状の隔壁を形成した。
リブの形成は次のように行なった。先ずペーストは、無機粉体としてSiO 、Al 、B 、BiおよびZnOの混合物を、溶融、冷却、粉砕したガラス粉体を、樹脂として熱硬化性のエポキシ樹脂を準備して、溶剤にて粘度12000cpsになるように調製したペーストを作製した。次に、ペーストを準備した基板上に塗布し、150℃で加熱硬化させ、この塗布〜硬化を繰り返す事により、厚み(隔壁の高さに相当)400μmになるように調整した。次に、ドライフォトレジストを貼り付けて、露光〜エッチングにより、ライン50μm、スペース400μm、ピッチ250μmの隔壁パターンが形成されるようなマスクを作製した。次に、サンドブラストにより、所定の隔壁形状になるように余分な部分を除去し、所望とするストライプ状隔壁を形成した。そして、基板上の隔壁間にセルを形成した。
【0050】
次に、2種類の粒子群(粒子群A、粒子群B)を準備した。
粒子群A(黒色粒子群)は、アクリルウレタン樹脂EAU53B(亜細亜工業製)/IPDI系架橋剤エクセルハードナーHX(亜細亜工業製)に、CB4phr、荷電制御剤ボントロンN07(オリエント化学製)2phrを添加し、混練り後、ジェットミルにて粉砕分級して粒子を作製した。
粒子群B(白色粒子群)は、アクリルウレタン樹脂EAU53B(亜細亜工業製)/IPDI系架橋剤エクセルハードナーHX(亜細亜工業製)に、酸化チタン10phr、荷電制御剤ボントロンE89(オリエント化学製)2phrを添加し、混練り後、ジェットミルにて粉砕分級して粒子を作製した。粒子群Aの平均粒子径は9.2μmであり、粒子群Bの平均粒子径は7.1μmであった。
【0051】
リブが形成された基板を、湿度40%RH以下の乾燥した容器内に移し、粒子群Aを第1の粒子群として、容器内上部に設けられたノズルから容器内に分散して、容器下部に置かれた基板上のセル内に散布することにより粒子群Aを充填した。続いて、粒子群Bを第2の粒子群として、容器内上部に設けられた別のノズルから容器内に分散して、容器下部に置かれた基板上のセル内(すでに粒子群Aが充填されている)に散布することにより粒子群Aに重ねて充填した。粒子群Aと粒子群Bの混合率は同重量ずつとし、それら粒子群のガラス基板間への充填率(体積占有率)は25vol%となるように調整した。
【0052】
次に、粒子群Aと粒子群Bが充填された基板に、約500Å厚みの酸化インジウム電極を設けたガラス基板を重ねてから、メタンガスをボンベからシリカゲル乾燥剤を経由して基板間の空間に充填し、さらに基板周辺をエポキシ系接着剤にて接着密閉して、表示パネルを作製した。
【0053】
作製した粒子群および表示用パネルについて、下記の基準に従い、粒子の含水量、粒子の粒子径分布および粒子径、表示機能の評価を行った。結果を以下の表1に示す。
【0054】
「粒子の含水量」
カールフィッシャー装置を用いて、粒子の含水量を測定した。
「粒子の粒子径分布および粒子径」
Mastersizer2000(Malvern Instruments Ltd.)測定機に各粒子を投入し、付属ソフト(体積基準分布を基に粒子径分布、粒子径を算出するソフト)を用いて、下記値を求めた。
粒子径分布:Span=(d(0.9)−d(0.1))/d(0.5)
(ここで、d(0.5)は粒子の50%がこれより大きく、50%がこれより小さいという粒子径をμmで表した数値、d(0.1)はこれ以下の粒子の比率が10%である粒子径をμmで表した数値、d(0.9)はこれ以下の粒子が90%である粒子径をμmで表した数値である。)
【0055】
「表示機能の評価」
作製した表示用パネルを組み込んだ表示装置に、250Vの電圧を印加して電位を反転させることにより、黒色〜白色の表示を繰り返した。表示機能の評価は、コントラスト比について、初期、10000回繰り返し後、更に5日放置後を、反射画像濃度計を用いて測定した。ここで、コントラスト比とは、コントラスト比=黒色表示時反射濃度/白色表示時反射濃度とした。なお、初期のコントラスト比に対する10000回繰り返し後および5日放置後のコントラスト比を保持率とした。
【0056】
<比較例1(第1発明)>
粒子群Aと粒子群Bとを同量ずつ、体積占有率で25vol%となるように充填し、もう一方の基板を重ねた後に、メタンガスをボンベからシリカゲル乾燥剤を経由して空間に充填せずにそのまま基板周辺をエポキシ系接着剤にて接着して、表示パネルを作製した。作製した表示用パネルに対し実施例1と同様の評価を行った。評価結果を以下の表1に示す。
【0057】
【表1】
Figure 2004258483
【0058】
<実施例2(第2発明)>
画像表示用パネルを以下のように作製した。
まず、電極付き基板(7cm×7cm□)を準備し、基板上に、高さ400μmのリブを作り、ストライプ状の隔壁を形成した。
リブの形成は次のように行なった。先ずペーストは、無機粉体としてSiO 、Al 、B 、BiおよびZnOの混合物を、溶融、冷却、粉砕したガラス粉体を、樹脂として熱硬化性のエポキシ樹脂を準備して、溶剤にて粘度12000cpsになるように調製したペーストを作製した。次に、ペーストを準備した基板上に塗布し、150℃で加熱硬化させ、この塗布〜硬化を繰り返す事により、厚み(隔壁の高さに相当)400μmになるように調整した。次に、ドライフォトレジストを貼り付けて、露光〜エッチングにより、ライン50μm、スペース400μm、ピッチ250μmの隔壁パターンが形成されるようなマスクを作製した。次に、サンドブラストにより、所定の隔壁形状になるように余分な部分を除去し、所望とするストライプ状隔壁を形成した。そして、基板上の隔壁間にセルを形成した。
【0059】
次に2種類の粉流体(粉流体X、粉流体Y)を準備した。
粉流体Xは、まず、メチルメタクリレートモノマー、TiO(20phr)、荷電制御剤ボントロンE89(オリエント化学(株)製、5phr)、開始剤AIBN(0.5phr)を用いて懸濁重合した後、分級装置にて粒子径をそろえた。次に、ハイブリダイザー装置(奈良機械製作所(株)製)を用いて、これらの粒子に外添剤A(シリカH2000/4、ワッカー社製)と外添剤B(シリカSS20、日本シリカ(株)製)を投入し、4800回転で5分間処理して、外添剤を、重合した粒子表面に固定化し、粉流体になるように調整した。
粉流体Yは、まず、スチレンモノマー、アゾ系化合物(5phr)、荷電制御剤ボントロンN07(オリエント化学(株)製、5phr)、開始剤AIBN(0.5phr)を用いて懸濁重合した後、分級装置にて粒子径をそろえた。次に、ハイブリダイザー装置(奈良機械製作所(株)製)を用いて、これら粒子に外添剤C(シリカH2050、ワッカー社製)と外添剤B(シリカSS20、日本シリカ(株)製)を投入し、4800回転で5分間処理して、外添剤を、重合した粒子表面に固定化し、粉流体になるように調整した。
【0060】
粉流体Xを構成する粒子物質の平均粒子径は3.3μmであり、粉流体Yを構成する粒子物質の平均粒子径は3.1μmであった。
【0061】
リブが形成された基板を、湿度40%RH以下の乾燥した容器内に移し、粉流体Zを第1の粉流体として、容器内上部に設けられたノズルから容器内に分散して、容器下部に置かれた基板上のセル内に散布することにより粉流体Xを充填した。続いて、粉流体Yを第2の粉流体として、容器内上部に設けられた別のノズルから容器内に分散して、容器下部に置かれた基板上のセル内(すでに粉流体Xが充填されている)に散布することにより粉流体Xに重ねて充填した。粉流体Xと粉流体Yの混合率は同重量ずつとし、それら粉流体のガラス基板間への充填率(体積占有率)は25vol%となるように調整した。
【0062】
次に、粉流体Xと粉流体Yが充填された基板に、約500Å厚みの酸化インジウム電極を設けたガラス基板を重ねてから、メタンガスをボンベからシリカゲル乾燥剤を経由して基板間の空間に充填し、さらに基板周辺をエポキシ系接着剤にて接着密閉して、表示パネルを作製した。
【0063】
作製した粉流体および表示用パネルについて、上述した実施例1に従って(粒子を粉流体または粉流体を構成する粒子物質と読み換えて適用)、粉流体の含水量、粉流体を構成する粒子物質の粒子径分布および粒子径、表示機能の評価を行った。結果を以下の表2に示す。
【0064】
<比較例2(第2発明)>
粉流体Xと粉流体Yとを同量ずつ、体積占有率で25vol%となるように充填し、もう一方の基板を重ねた後に、メタンガスをボンベからシリカゲル乾燥剤を経由して空間に充填せずにそのまま基板周辺をエポキシ系接着剤にて接着して、表示パネルを作製した。作製した表示用パネルに対し実施例2と同様の評価を行った。評価結果を以下の表2に示す。
【0065】
【表2】
Figure 2004258483
【0066】
表1及び表2の結果から、本発明の粒子を使用する第1発明においても、粉流体を使用する第2発明においても、粒子群または粉流体を充填する基板間の空隙を、嫌気性で低粘性抵抗を有する気体で満たし、かつ、密閉することで、高いコントラスト比を得ることができることがわかる。
【0067】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、基板間の粒子群または粉流体を取り巻く空隙部分を満たす気体として、好ましくはメタンガスのような嫌気性で低粘性抵抗を有する気体を用いることによって、次のような効果を得ることができた。
(1)嫌気性で低粘性抵抗を有する気体を用いることにより、真空にする際に必要な大掛かりな装置を用いなくてもよく、生産性が良い。
(2)嫌気性で低粘性抵抗を有する気体を用いることで、真空中と同様の表示応答性と耐久性がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の対象となる画像表示用パネルの第1発明における表示方式の一例を示す図である。
【図2】本発明の対象となる画像表示用パネルの第1発明における表示方式の他の例を示す図である。
【図3】本発明の対象となる画像表示用パネルの第1発明におけるパネル構造の一例を示す図である。
【図4】本発明の対象となる画像表示用パネルの第2発明における表示方式の一例を示す図である。
【図5】本発明の対象となる画像表示用パネルの第2発明における表示方式の他の例を示す図である。
【図6】本発明の対象となる画像表示用パネルの第2発明におけるパネル構造の一例を示す図である。
【図7】隔壁により形成される表示セルの一例を示す図である。
【符号の説明】
1、2 基板
3A 粒子(群)
3B 粉流体
4 隔壁(リブ)
5、6 電極

Claims (10)

  1. 互いに対向するとともに少なくとも一方が透明な2枚の基板間に、粒子群を封入し、電位の異なる2種類の電極から粒子群に電界を与えて、粒子群を飛翔移動させ画像を表示する画像表示装置に用いられる画像表示用パネルであって、粒子群を充填する基板間の空隙が、嫌気性で低粘性抵抗を有する気体で満たされており、かつ、密閉されていることを特徴とする画像表示用パネル。
  2. 基板間の空隙を満たす嫌気性で低粘性抵抗を有する気体が、メタンガス、プロパンガス、メタンガスとプロパンガスの混合ガスである請求項1記載の画像表示用パネル。
  3. 基板間に充填される粒子の、ASTM D570に準じて測定条件23℃、24時間で測定した吸水率が、3%以下である請求項1または2記載の画像表示用パネル。
  4. 基板間に充填される粒子の体積占有率が10〜80vol%の範囲である請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像表示用パネル。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像表示用パネルを搭載したことを特徴とする画像表示装置。
  6. 互いに対向するとともに少なくとも一方が透明な2枚の基板間に、気体中に固体状物質が分散質として安定に浮遊するエアロゾル状態で高流動性を示す粉流体を封入し、電位の異なる2種類の電極から基板間に電界を与えて、粉流体を移動させて画像を表示する画像表示装置に用いられる画像表示用パネルであって、粉流体を充填する基板間の空隙が、嫌気性で低粘性抵抗を有する気体で満たされており、かつ密閉されているものであることを特徴とする画像表示用パネル。
  7. 基板間の空隙を満たす嫌気性で低粘性抵抗を有する気体が、メタンガス、プロパンガス、メタンガスとプロパンガスの混合ガスである請求項6記載の画像表示用パネル。
  8. 基板間に充填される粉流体の、ASTM D570に準じて測定条件23℃、24時間で測定した吸水率が、3%以下である請求項6または7記載の画像表示用パネル。
  9. 基板間に充填される粉流体の体積占有率が10〜80vol%の範囲である請求項6〜8のいずれか1項に記載の画像表示用パネル。
  10. 請求項6〜9のいずれか1項に記載の画像表示用パネルを搭載したことを特徴とする画像表示装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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