JP2004257492A - 水平力減衰免震装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】橋梁等の構造物に生じる水平方向の振動を有効に減衰させることが可能な水平力減衰免震装置を提供する。
【解決手段】水平力減衰免震装置10は、構造物に取り付けられる上下一対の取付部材11,12と、一対の取付部材に密着して取り付けられて、内部に金属製のコイルバネ13が両端間に同軸状に埋設された筒状のゴム弾性体部材14と、ゴム弾性体部材の空洞部内に挿入されて一対の取付部材に密着して取り付けられた塑性部材16とを有している。塑性部材の代りに、空洞部内に高粘性液体であるシリコーン18を充填させてもよく、さらに抵抗部材19を取付部材に取り付けて空洞部内に設けてもよい。
【選択図】 図1
【解決手段】水平力減衰免震装置10は、構造物に取り付けられる上下一対の取付部材11,12と、一対の取付部材に密着して取り付けられて、内部に金属製のコイルバネ13が両端間に同軸状に埋設された筒状のゴム弾性体部材14と、ゴム弾性体部材の空洞部内に挿入されて一対の取付部材に密着して取り付けられた塑性部材16とを有している。塑性部材の代りに、空洞部内に高粘性液体であるシリコーン18を充填させてもよく、さらに抵抗部材19を取付部材に取り付けて空洞部内に設けてもよい。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、単独であるいは他の鉛直方向の支承,減衰,復元機能を備えた支承装置と共に構造物に取り付けられて、構造物に生じる水平力を減衰させる水平バネ特性を有する水平力減衰免震装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
構造物に生じる地震等による振動を減衰させる装置としては、従来から鉛直方向の支承,減衰,復元機能を合せた多機能の減衰装置が知られている。しかし、このような多機能の免震装置は、装置の規模が大きくなると共に高価になり、その反面、鉛直方向の支承,減衰,復元等の機能全てをバランス良く備えることは困難であり、何らかの面で不十分さを備えていた。これに対して、鉛直方向の支承,減衰,復元の内のいずれかの機能に絞って、単一で優れた機能を発揮させる機能分離支承構造が注目されている。すなわち、それぞれ単一の優れた機能を備えた装置を組み合せて、トータルで鉛直方向の支承,減衰,復元等の機能全てをバランス良く発揮させると共に、装置全体のコストパフォーマンスを高めようというものである。
【0003】
このような機能分離型の支承装置としては、例えば特許文献1に示すように、橋桁の下端と橋脚の上端間に鉛直支承部材が介在して鉛直方向の荷重を受けて、上下方向及び左右方向の振動を減衰させると共に、互いに対向する橋桁と橋脚の側面にゴム弾性体材料等による緩衝材が取り付けられて、各緩衝材により水平方向の振動を減衰させている。しかし、この緩衝材によれば、橋桁と橋脚間のスペースによっては適正な大きさの緩衝材を設置できなくなり、そのため十分な水平方向の支承ができなくなるという問題がある。
【0004】
また、特許文献2に示すように、固定支持部材に、上部が開放されると共に横断面円形の容器を固定し、その容器内に同心的に配置した金属製つる巻きばねの下端部を、容器の底板に固定し、金属製つる巻きばねの上端部を可動支承部材の下部に固定し、つる巻きばね内に同心的に配置された抵抗部材の上部を、振動体を支持する可動支承部材の下部に固定し、容器内に減衰液を収容した、免震支承体が知られている。しかし、この免震支承体の場合、抵抗部材は配置されているが、主としてつる巻きばねにより水平方向の振動を減衰させるものであり、減衰力が十分ではなく、また容器上端と可動支承部材との間に隙間があるため、容器内に収容された減衰液が外部に飛散するおそれがある。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−234309号公報(第2頁、図1)
【特許文献2】
特開平7−103283号公報(第2頁、図1)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記した問題を解決しようとするもので、橋梁等の構造物に生じる水平方向の振動を有効に減衰させることが可能な水平力減衰免震装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、上記請求項1に記載の発明の構成上の特徴は、単独であるいは他の鉛直方向の支承,減衰,復元機能を備えた支承装置と共に構造物に取り付けられて、構造物に生じる水平力を減衰させる水平バネ特性を有する水平力減衰免震装置であって、構造物に取り付けられる上下一対の平板状の取付部材と、厚肉の筒状であって、その軸方向両端間にかけて内部に金属製のコイルバネが同軸状に埋設されており、軸方向両端にて一対の取付部材に密着して取り付けられたゴム弾性体部材と、ゴム弾性体部材の密閉された空洞部内に配設されて一対の取付部材に密着して取り付けられた塑性部材とを設けたことにある。ここで、塑性部材としては、鉛、プラスチック等が使用される。
【0008】
上記のように構成した請求項1の発明においては、大地震等により、減衰免震装置が水平方向の大きな衝撃を受けたとき、ゴム弾性体部材が一対の取付部材に密着して取り付けられており、かつ内部に金属製のコイルバネが両端間に同軸状に埋設されているため、両者が一体となって構造物に生じる水平方向の振動を有効に減衰させることができる。また、ゴム弾性体部材の空洞部内に塑性部材が配設されて一対の取付部材に密着して取り付けられていることにより、水平方向の振動を減衰させる効果がさらに高められる。
【0009】
また、上記請求項2に記載の発明の構成上の特徴は、単独であるいは他の鉛直方向の支承,減衰,復元機能を備えた支承装置と共に構造物に取り付けられて、構造物に生じる水平力を減衰させる水平バネ特性を有する水平力減衰免震装置であって、構造物に取り付けられる上下一対の平板状の取付部材と、厚肉の筒状であって、その軸方向両端間にかけて内部に金属製のコイルバネが同軸状に埋設されており、軸方向両端にて一対の取付部材に密着して取り付けられたゴム弾性体部材と、ゴム弾性体部材の密閉された空洞部内に充填された高粘性液体とを設けたことにある。ここで、高粘性液体としては、オイル、シリコーン等の液体樹脂材料等が使用される。
【0010】
上記のように構成した請求項2の発明においては、上記請求項1と同様に、大地震等により、装置が水平方向の大きな衝撃を受けたとき、ゴム弾性体部材とコイルバネが一体となって水平方向の振動を有効に減衰させることができる。また、ゴム弾性体部材の空洞部内に高粘性液体が充填されて介在することにより、水平方向の振動を減衰させる効果がさらに高められる。
【0011】
また、上記請求項3に記載の発明の構成上の特徴は、前記請求項2に記載の水平力減衰免震装置において、一対の取付部材のいずれかに取り付けられて空洞部内に延びた抵抗部材を設けたことにある。ここで、抵抗部材としては、鉛、プラスチック、エラストマー等が使用される。このように、一対の取付部材のいずれかに取り付けられて空洞部内に延びた抵抗部材を設けたことにより、請求項2の発明の効果がさらに高められる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。図1は、同実施形態である水平力減衰免震装置を一部破断正面図により示したものである。この水平力減衰免震装置10は、構造物に取り付けられる上下一対の取付部材11,12と、取付部材11,12に密着して取り付けられて、内部に金属製のコイルバネ13が両端間に同軸状に埋設された筒状のゴム弾性体部材14と、ゴム弾性体部材14の密閉された空洞部15内に配設されて一対の取付部材11,12に密着して取り付けられた塑性部材16とを有している。
【0013】
取付部材11,12は、長方形の金属板であり、大きさが例えば(500〜1000)mm×(500〜1000)mm×22mmtであり、四隅に板面を貫通した取付孔(図示しない)を設けている。ゴム弾性体部材14は、円筒状の内外周面が、わずかに傾斜した螺旋状の溝14aによって仕切られており、各溝14a間がそれぞれ径方向内外方に円弧状に膨出して、全体として螺旋状に膨出した凹凸形状になっている。ゴム弾性体部材14は、例えば最大外径φ400mm、最小内径φ300mmで、径方向の最大厚さが50mmとなっている。そして、ゴム弾性体部材14自体の内部の中心位置には、コイルバネ13がその螺旋形状に合わせて埋設されている。ゴム弾性体部材14の軸方向両端が、加硫接着あるいは接着剤により取付部材11,12に接着固定されている。
【0014】
コイルバネ13は、例えば線径がφ10mmである。コイルバネ13の両端は、取付部材11,12に対して、溶接あるいはねじ込み等により固定されている。塑性部材16は、円柱形の鉛であって、外径がゴム弾性体部材14の内径よりわずかに小さくなっており、その両端面が、取付部材11,12に対して、接着等により固定されている。水平力減衰免震装置10は、取付部材11,12を構造物である橋桁及び橋脚に、ねじ等で固定することにより取り付けられる。
【0015】
上記構成の実施形態においては、大地震等により、水平力減衰免震装置10が水平方向の大きな衝撃を受けたとき、ゴム弾性体部材14が一対の取付部材11,12に密着して取り付けられており、かつ内部の両端間に金属製のコイルバネ13が同軸状に埋設されているため、両者が一体となって水平方向の振動を有効に減衰させることができる。また、ゴム弾性体部材14の空洞部15に塑性部材16が挿入されて一対の取付部材11,12に密着して配置されており、ゴム弾性体部材14と当接することにより、さらに水平方向の減衰力が高められる。このように、水平力減衰免震装置10を単独で用いることにより、あるいは他の鉛直方向の支承,減衰,復元機能を備えた支承装置と共に橋梁等の構造物に取り付けられて、地震等により構造物に生じる水平方向の振動を有効に減衰させることができる。
【0016】
つぎに、上記実施形態の変形例1について説明する。
変形例1では、図2に示すように、上記実施形態において塑性部材16を設ける代りに、ゴム弾性体部材14の空洞部15内に高粘性液体であるシリコーン18を充填したものであり、その他の構成については上記実施形態と同様である。その結果、変形例1においても、上記実施形態と同様の効果が得られると共に、塑性部材に代る高粘性のシリコーン18が介在することにより、水平方向の振動を減衰させる効果がさらに高められる。
【0017】
つぎに、上記実施形態の変形例2について説明する。
変形例2では、図3に示すように、上記変形例1において、さらに上側の取付部材11の下面に抵抗部材19が取り付けられて空洞部15に充填されたシリコーン18内に延びるようにされており、その他の構成については上記実施形態と同様である。その結果、変形例2においても、変形例1と同様の効果が得られると共に、抵抗部材19がゴム弾性体部材14に当接することにより、水平方向の減衰力がさらに高められる。なお抵抗部材19については、上側の取付部材11の代りに下側の取付部材12に取り付けてもよい。
【0018】
なお、上記実施形態及び変形例において、水平力減衰免震装置10がもつ全復元力を100とした場合、装置におけるコイルバネ13の寄与率は30%以上であり、好ましくは50%以上とすることで、装置の復元機能をより満足させることができる。なお、上記実施形態及び変形例においては、水平力減衰免震装置10を橋梁における水平方向の振動を減衰するために用いているが、橋梁以外の構造物の水平方向の振動を減衰に用いることもできる。その他、上記実施形態に示した水平力減衰免震装置については一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々変更して実施することができる。
【0019】
【発明の効果】
上記請求項1の発明によれば、大地震等により減衰免震装置が水平方向の大きな衝撃を受けたとき、コイルバネが同軸状に埋設されたゴム弾性体部材が一対の取付部材に密着して取り付けられているため、両者が一体となって水平方向の振動を有効に減衰させることができる。また、ゴム弾性体部材の空洞部内に塑性部材が挿入されて一対の取付部材に密着して配置されていることにより、さらに水平方向の減衰力が高められる。なお、塑性部材の代りに、高粘性の液体を封入することによっても同様の効果が得られ、さらに取付部材に取り付けられて空洞部内に延びた抵抗部材を設けることにより、さらに水平振動を減衰させる効果が高められる(請求項2,3の発明の効果)。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態である水平力減衰免震装置を示す一部破断正面図である。
【図2】変形例1である水平力減衰免震装置を示す一部破断正面図である。
【図3】変形例2である水平力減衰免震装置を示す一部破断正面図である。
【符号の説明】
10…水平力減衰免震装置、11,12…取付部材、13…コイルバネ、14…ゴム弾性体部材、15…空洞部、16…塑性部材、18…シリコーン、19…抵抗部材。
【発明の属する技術分野】
本発明は、単独であるいは他の鉛直方向の支承,減衰,復元機能を備えた支承装置と共に構造物に取り付けられて、構造物に生じる水平力を減衰させる水平バネ特性を有する水平力減衰免震装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
構造物に生じる地震等による振動を減衰させる装置としては、従来から鉛直方向の支承,減衰,復元機能を合せた多機能の減衰装置が知られている。しかし、このような多機能の免震装置は、装置の規模が大きくなると共に高価になり、その反面、鉛直方向の支承,減衰,復元等の機能全てをバランス良く備えることは困難であり、何らかの面で不十分さを備えていた。これに対して、鉛直方向の支承,減衰,復元の内のいずれかの機能に絞って、単一で優れた機能を発揮させる機能分離支承構造が注目されている。すなわち、それぞれ単一の優れた機能を備えた装置を組み合せて、トータルで鉛直方向の支承,減衰,復元等の機能全てをバランス良く発揮させると共に、装置全体のコストパフォーマンスを高めようというものである。
【0003】
このような機能分離型の支承装置としては、例えば特許文献1に示すように、橋桁の下端と橋脚の上端間に鉛直支承部材が介在して鉛直方向の荷重を受けて、上下方向及び左右方向の振動を減衰させると共に、互いに対向する橋桁と橋脚の側面にゴム弾性体材料等による緩衝材が取り付けられて、各緩衝材により水平方向の振動を減衰させている。しかし、この緩衝材によれば、橋桁と橋脚間のスペースによっては適正な大きさの緩衝材を設置できなくなり、そのため十分な水平方向の支承ができなくなるという問題がある。
【0004】
また、特許文献2に示すように、固定支持部材に、上部が開放されると共に横断面円形の容器を固定し、その容器内に同心的に配置した金属製つる巻きばねの下端部を、容器の底板に固定し、金属製つる巻きばねの上端部を可動支承部材の下部に固定し、つる巻きばね内に同心的に配置された抵抗部材の上部を、振動体を支持する可動支承部材の下部に固定し、容器内に減衰液を収容した、免震支承体が知られている。しかし、この免震支承体の場合、抵抗部材は配置されているが、主としてつる巻きばねにより水平方向の振動を減衰させるものであり、減衰力が十分ではなく、また容器上端と可動支承部材との間に隙間があるため、容器内に収容された減衰液が外部に飛散するおそれがある。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−234309号公報(第2頁、図1)
【特許文献2】
特開平7−103283号公報(第2頁、図1)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記した問題を解決しようとするもので、橋梁等の構造物に生じる水平方向の振動を有効に減衰させることが可能な水平力減衰免震装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、上記請求項1に記載の発明の構成上の特徴は、単独であるいは他の鉛直方向の支承,減衰,復元機能を備えた支承装置と共に構造物に取り付けられて、構造物に生じる水平力を減衰させる水平バネ特性を有する水平力減衰免震装置であって、構造物に取り付けられる上下一対の平板状の取付部材と、厚肉の筒状であって、その軸方向両端間にかけて内部に金属製のコイルバネが同軸状に埋設されており、軸方向両端にて一対の取付部材に密着して取り付けられたゴム弾性体部材と、ゴム弾性体部材の密閉された空洞部内に配設されて一対の取付部材に密着して取り付けられた塑性部材とを設けたことにある。ここで、塑性部材としては、鉛、プラスチック等が使用される。
【0008】
上記のように構成した請求項1の発明においては、大地震等により、減衰免震装置が水平方向の大きな衝撃を受けたとき、ゴム弾性体部材が一対の取付部材に密着して取り付けられており、かつ内部に金属製のコイルバネが両端間に同軸状に埋設されているため、両者が一体となって構造物に生じる水平方向の振動を有効に減衰させることができる。また、ゴム弾性体部材の空洞部内に塑性部材が配設されて一対の取付部材に密着して取り付けられていることにより、水平方向の振動を減衰させる効果がさらに高められる。
【0009】
また、上記請求項2に記載の発明の構成上の特徴は、単独であるいは他の鉛直方向の支承,減衰,復元機能を備えた支承装置と共に構造物に取り付けられて、構造物に生じる水平力を減衰させる水平バネ特性を有する水平力減衰免震装置であって、構造物に取り付けられる上下一対の平板状の取付部材と、厚肉の筒状であって、その軸方向両端間にかけて内部に金属製のコイルバネが同軸状に埋設されており、軸方向両端にて一対の取付部材に密着して取り付けられたゴム弾性体部材と、ゴム弾性体部材の密閉された空洞部内に充填された高粘性液体とを設けたことにある。ここで、高粘性液体としては、オイル、シリコーン等の液体樹脂材料等が使用される。
【0010】
上記のように構成した請求項2の発明においては、上記請求項1と同様に、大地震等により、装置が水平方向の大きな衝撃を受けたとき、ゴム弾性体部材とコイルバネが一体となって水平方向の振動を有効に減衰させることができる。また、ゴム弾性体部材の空洞部内に高粘性液体が充填されて介在することにより、水平方向の振動を減衰させる効果がさらに高められる。
【0011】
また、上記請求項3に記載の発明の構成上の特徴は、前記請求項2に記載の水平力減衰免震装置において、一対の取付部材のいずれかに取り付けられて空洞部内に延びた抵抗部材を設けたことにある。ここで、抵抗部材としては、鉛、プラスチック、エラストマー等が使用される。このように、一対の取付部材のいずれかに取り付けられて空洞部内に延びた抵抗部材を設けたことにより、請求項2の発明の効果がさらに高められる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。図1は、同実施形態である水平力減衰免震装置を一部破断正面図により示したものである。この水平力減衰免震装置10は、構造物に取り付けられる上下一対の取付部材11,12と、取付部材11,12に密着して取り付けられて、内部に金属製のコイルバネ13が両端間に同軸状に埋設された筒状のゴム弾性体部材14と、ゴム弾性体部材14の密閉された空洞部15内に配設されて一対の取付部材11,12に密着して取り付けられた塑性部材16とを有している。
【0013】
取付部材11,12は、長方形の金属板であり、大きさが例えば(500〜1000)mm×(500〜1000)mm×22mmtであり、四隅に板面を貫通した取付孔(図示しない)を設けている。ゴム弾性体部材14は、円筒状の内外周面が、わずかに傾斜した螺旋状の溝14aによって仕切られており、各溝14a間がそれぞれ径方向内外方に円弧状に膨出して、全体として螺旋状に膨出した凹凸形状になっている。ゴム弾性体部材14は、例えば最大外径φ400mm、最小内径φ300mmで、径方向の最大厚さが50mmとなっている。そして、ゴム弾性体部材14自体の内部の中心位置には、コイルバネ13がその螺旋形状に合わせて埋設されている。ゴム弾性体部材14の軸方向両端が、加硫接着あるいは接着剤により取付部材11,12に接着固定されている。
【0014】
コイルバネ13は、例えば線径がφ10mmである。コイルバネ13の両端は、取付部材11,12に対して、溶接あるいはねじ込み等により固定されている。塑性部材16は、円柱形の鉛であって、外径がゴム弾性体部材14の内径よりわずかに小さくなっており、その両端面が、取付部材11,12に対して、接着等により固定されている。水平力減衰免震装置10は、取付部材11,12を構造物である橋桁及び橋脚に、ねじ等で固定することにより取り付けられる。
【0015】
上記構成の実施形態においては、大地震等により、水平力減衰免震装置10が水平方向の大きな衝撃を受けたとき、ゴム弾性体部材14が一対の取付部材11,12に密着して取り付けられており、かつ内部の両端間に金属製のコイルバネ13が同軸状に埋設されているため、両者が一体となって水平方向の振動を有効に減衰させることができる。また、ゴム弾性体部材14の空洞部15に塑性部材16が挿入されて一対の取付部材11,12に密着して配置されており、ゴム弾性体部材14と当接することにより、さらに水平方向の減衰力が高められる。このように、水平力減衰免震装置10を単独で用いることにより、あるいは他の鉛直方向の支承,減衰,復元機能を備えた支承装置と共に橋梁等の構造物に取り付けられて、地震等により構造物に生じる水平方向の振動を有効に減衰させることができる。
【0016】
つぎに、上記実施形態の変形例1について説明する。
変形例1では、図2に示すように、上記実施形態において塑性部材16を設ける代りに、ゴム弾性体部材14の空洞部15内に高粘性液体であるシリコーン18を充填したものであり、その他の構成については上記実施形態と同様である。その結果、変形例1においても、上記実施形態と同様の効果が得られると共に、塑性部材に代る高粘性のシリコーン18が介在することにより、水平方向の振動を減衰させる効果がさらに高められる。
【0017】
つぎに、上記実施形態の変形例2について説明する。
変形例2では、図3に示すように、上記変形例1において、さらに上側の取付部材11の下面に抵抗部材19が取り付けられて空洞部15に充填されたシリコーン18内に延びるようにされており、その他の構成については上記実施形態と同様である。その結果、変形例2においても、変形例1と同様の効果が得られると共に、抵抗部材19がゴム弾性体部材14に当接することにより、水平方向の減衰力がさらに高められる。なお抵抗部材19については、上側の取付部材11の代りに下側の取付部材12に取り付けてもよい。
【0018】
なお、上記実施形態及び変形例において、水平力減衰免震装置10がもつ全復元力を100とした場合、装置におけるコイルバネ13の寄与率は30%以上であり、好ましくは50%以上とすることで、装置の復元機能をより満足させることができる。なお、上記実施形態及び変形例においては、水平力減衰免震装置10を橋梁における水平方向の振動を減衰するために用いているが、橋梁以外の構造物の水平方向の振動を減衰に用いることもできる。その他、上記実施形態に示した水平力減衰免震装置については一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々変更して実施することができる。
【0019】
【発明の効果】
上記請求項1の発明によれば、大地震等により減衰免震装置が水平方向の大きな衝撃を受けたとき、コイルバネが同軸状に埋設されたゴム弾性体部材が一対の取付部材に密着して取り付けられているため、両者が一体となって水平方向の振動を有効に減衰させることができる。また、ゴム弾性体部材の空洞部内に塑性部材が挿入されて一対の取付部材に密着して配置されていることにより、さらに水平方向の減衰力が高められる。なお、塑性部材の代りに、高粘性の液体を封入することによっても同様の効果が得られ、さらに取付部材に取り付けられて空洞部内に延びた抵抗部材を設けることにより、さらに水平振動を減衰させる効果が高められる(請求項2,3の発明の効果)。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態である水平力減衰免震装置を示す一部破断正面図である。
【図2】変形例1である水平力減衰免震装置を示す一部破断正面図である。
【図3】変形例2である水平力減衰免震装置を示す一部破断正面図である。
【符号の説明】
10…水平力減衰免震装置、11,12…取付部材、13…コイルバネ、14…ゴム弾性体部材、15…空洞部、16…塑性部材、18…シリコーン、19…抵抗部材。
Claims (3)
- 単独であるいは他の鉛直方向の支承,減衰,復元機能を備えた支承装置と共に構造物に取り付けられて、該構造物に生じる水平力を減衰させる水平バネ特性を有する水平力減衰免震装置であって、
構造物に取り付けられる上下一対の平板状の取付部材と、
厚肉の筒状であって、その軸方向両端間にかけて内部に金属製のコイルバネが同軸状に埋設されており、軸方向両端にて前記一対の取付部材に密着して取り付けられたゴム弾性体部材と、
該ゴム弾性体部材の密閉された空洞部内に配設されて前記一対の取付部材に密着して取り付けられた塑性部材と
を設けたことを特徴とする水平力減衰免震装置。 - 単独であるいは他の鉛直方向の支承,減衰,復元機能を備えた支承装置と共に構造物に取り付けられて、該構造物に生じる水平力を減衰させる水平バネ特性を有する水平力減衰免震装置であって、
構造物に取り付けられる上下一対の平板状の取付部材と、
厚肉の筒状であって、その軸方向両端間にかけて内部に金属製のコイルバネが同軸状に埋設されており、軸方向両端にて前記一対の取付部材に密着して取り付けられたゴム弾性体部材と、
該ゴム弾性体部材の密閉された空洞部内に充填された高粘性液体と
を設けたことを特徴とする水平力減衰免震装置。 - 前記一対の取付部材のいずれかに取り付けられて前記空洞部内に延びた抵抗部材を設けたことを特徴とする前記請求項2に記載の水平力減衰免震装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003049762A JP2004257492A (ja) | 2003-02-26 | 2003-02-26 | 水平力減衰免震装置 |
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Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN102705416A (zh) * | 2012-05-28 | 2012-10-03 | 常州市亚细亚吸能电子科技有限公司 | 发动机吸能软座 |
CN102953326A (zh) * | 2012-11-13 | 2013-03-06 | 同济大学 | 弹簧橡胶支座 |
JP2013130269A (ja) * | 2011-12-22 | 2013-07-04 | Hayashi Bussan Hatsumei Kenkyusho:Kk | 免震用具 |
RU2639361C1 (ru) * | 2016-09-19 | 2017-12-21 | Олег Савельевич Кочетов | Резинометаллическое виброизолирующее устройство |
RU2643065C1 (ru) * | 2016-12-09 | 2018-01-30 | Олег Савельевич Кочетов | Резинометаллическое виброизолирующее устройство |
CN111520429A (zh) * | 2020-04-03 | 2020-08-11 | 南京航空航天大学 | 一种非线性动力吸振器 |
-
2003
- 2003-02-26 JP JP2003049762A patent/JP2004257492A/ja active Pending
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