JP2004257402A - ローラクラッチ及びローラクラッチ内蔵型プーリ装置 - Google Patents

ローラクラッチ及びローラクラッチ内蔵型プーリ装置 Download PDF

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Abstract

【課題】ローラクラッチ12a及びこのローラクラッチ12aを組み込んだローラクラッチ内蔵型プーリ装置の信頼性の向上を図る。
【解決手段】ばね18、18を係止する為の前方支持板部27aの円周方向に関する厚さを大きくする。そして、上記ローラクラッチ12aがオーバーラン状態となった時に、各ローラ17が上記前方支持板部27aの当接面33に当接する様にする。オーバーラン時に上記各ローラ17から作用する力を、上記各ばね18、18と上記前方支持板部27aとに分散できる。又、上記各ローラ17と当接面33とが当接する位置は、上記前方支持板部27aの円周方向の厚さを変える事により調節可能である。この為、上記課題を解決できる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば自動車の発電機であるオルタネータや、アイドリングストップ車用のスタータモータ等の自動車用補機のプーリ装置に組み込むローラクラッチと、このプーリ装置として使用するローラクラッチ内蔵型プーリ装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、省エネルギ並びに二酸化炭素の排出抑制を目的として、車両が停止した状態でエンジンもアイドリングさせずに自動的に停止させる、アイドリングストップを行なう事が考えられ、一部ではこの様なアイドリングストップ機能を備えたアイドリングストップ車が実際に使用されている。この様なアイドリングストップ車の場合、車両が停止すると、車速センサが検出した車速ゼロの信号に基づいて、エンジンを自動的に(イグニッションスイッチを操作する事なく)停止させる。これに対して、車両を再発進させる場合には、クラッチペダルの動きを検知するクラッチセンサ(手動変速車の場合)或はアクセルペダル若しくはブレーキペダルの動きを検知するアクセルセンサ若しくはブレーキセンサ(自動変速車の場合)からの信号に基づき、上記車両用エンジンを自動的に(やはりイグニッションスイッチを操作する事なく)再起動させる。この様なアイドリングストップ車によれば、エンジンのアイドリングストップを行なう分、省エネルギ並びに二酸化炭素の排出抑制を図れる。
【0003】
この様なアイドリングストップ車の場合、一般的な自動車の場合に比べてエンジンの始動を迅速に行なわせる必要がある。従って、一般的に使用されている様に、始動時にのみ、スタータモータの駆動軸に固定したピニオンと、フライホイールに固設した大歯車とを噛合させる構造を採用する事は難しい。この様な事情に鑑みて、図6に示す様に、エンジン1のクランクシャフト2の端部に固定した従動プーリ3と、スタータモータ4の回転駆動軸5の端部に固定した駆動プーリ装置6との間に無端ベルト7を掛け渡す構造が、各種提案されている。エンジンの始動装置にこの様な構造を採用する場合には、上記駆動プーリ装置6としてローラクラッチ内蔵型のものを使用して、上記回転駆動軸5から上記無端ベルト7に動力を伝達するが、この無端ベルト7から回転駆動軸5へは動力を伝達しない様にする。
【0004】
上述の様な構造を有するエンジンの始動装置の場合、エンジン始動時には、上記スタータモータ4への通電によって上記駆動プーリ装置6を回転駆動し、上記無端ベルト7、上記従動プーリ3を介して、上記クランクシャフト2を回転駆動する。この際、上記駆動プーリ装置6に内蔵したローラクラッチは繋がれ(ロック状態となり)、上記回転駆動軸5から上記無端ベルト7に動力を伝達する。この結果、上記エンジンが始動した後には、上記ローラクラッチの接続が断たれ(オーバラン状態となり)、上記クランクシャフト2の回転に伴う上記無端ベルト7の走行に拘らず、上記スタータモータ4の回転駆動軸5が回転する事はなくなる。従って、このスタータモータ4が上記エンジン1の運転に対する抵抗になったり、或はこのスタータモータ4の耐久性が損なわれる事はない。
【0005】
この様なエンジンの始動装置に駆動プーリ装置6として組み込む、ローラクラッチ内蔵型プーリ装置として、例えば特許文献1〜3に記載された様な構造のものを使用する事が考えられる。図7は、これら各特許文献に記載される等により従来から知られている、ローラクラッチ内蔵型プーリ装置8の1例を示している。このローラクラッチ内蔵型プーリ装置8は、上記無端ベルト7(図6)をその外周面に掛け渡す為のプーリ素子9と、上記回転駆動軸5(図6)の先端部に固定する為のスリーブ10とを、互いに同心に配置している。
【0006】
そして、このスリーブ10の外周面と上記プーリ素子9の内周面との間に、それぞれがサポート軸受である、深溝型の玉軸受11、11と、ローラクラッチ12とを設けている。これら玉軸受11、11及びローラクラッチ12を設ける為に、上記プーリ素子9の内周面は単なる円筒面とし、上記スリーブ10の外周面は、軸方向中間部の大径部13と両端部の小径部14、14とを段差部で連続させた段付の円筒面としている。
【0007】
そして、上記スリーブ10の外周面とプーリ素子9の内周面との間に存在する環状空間の軸方向中間部に上記ローラクラッチ12を、同じくこの環状空間の軸方向両端寄り部分でこのローラクラッチ12を軸方向両側から挟む位置に上記各玉軸受11、11を、それぞれ配置している。このうちの玉軸受11、11は、上記プーリ素子9と上記スリーブ10とを互いに同心に配置すると共に、これら両部材9、10の相対回転を自在とする役目を有する。図示の例では、上記両玉軸受11、11を上記ローラクラッチ12の両側に設置する事により、ラジアル荷重を負荷するスパンを長くして、剛性を高くすると共に耐久性の確保を図っている。
【0008】
上記ローラクラッチ12は、図8〜10に示す様に、外輪相当部材である外輪15と、内輪相当部材である内輪16と、複数本のローラ17と、これら各ローラ17と同数のばね18、18と、保持器19とから成る。上記外輪15は、鋼材により円筒状に形成したもので、内周面に円周方向に亙る凹凸であるカム面20を設けている。即ち、この外輪15の内周面に、それぞれがランプ部と呼ばれる複数の凹部21を、円周方向に関し等間隔に形成する事により、この外輪15の内周面を上記カム面20としている。又、上記内輪16は、鋼製で、外周面を円筒面22としている。上記外輪15は、この内輪16の周囲に、この内輪16と同心に配置している。そして、この外輪15の内周面に設けたカム面20と上記内輪16の外周面に設けた円筒面22との間に、上記各ローラ17、上記各ばね18、18、及び上記保持器19を配置している。
【0009】
このうちの保持器19は、合成樹脂(例えば、ポリアミド46等の熱可塑性樹脂にガラス繊維を20%程度混入したもの)を射出成形する事により、籠型円筒状に形成している。この様な保持器19は、例えば図10に示す様に、それぞれが円環状である1対のリム部23、23と、これら両リム部23、23の内側面の径方向内端部同士を連結する状態で円周方向に関し等間隔に配置された複数の連結部24とを備える。この様な保持器19は、上記両リム部23、23の外周面に形成した各突片25、25を上記カム面20を構成する各凹部21に係合させる事により、上記外輪15に対する相対回転を不能にしている。
【0010】
又、上記両リム部23、23の内側面で、円周方向に関し上記各連結部24の中間部に整合する部分に1対の後方支持板部26、26を、上記各連結部24の外周面から径方向外方に突出する状態で形成している。又、これら各連結部24の外周面で、上記各後方支持板部26、26よりも少しだけ円周方向前方(図8〜10の左方)に寄った部分の中央部に前方支持板部27を、同じく両端寄り部分に1対の突出部28、28(図10にのみ図示、他図では省略)を、それぞれ上記各連結部24の外周面から径方向外方に突出する状態で形成している。そして、これら各部26、27、28により、請求項に記載したばね係止部を構成している。尚、上記突出部28、28は、上記各ばね18、18のばね剛性を調節する為に設けているもので、ローラクラッチの構造によっては省略する場合もある。又、上記両リム部23、23と円周方向に隣り合う2組の各支持板部26、27とにより四方を囲まれる部分を、それぞれポケット29、29とし、これら各ポケット29、29内に前記各ローラ17を、転動並びに円周方向に関する若干の変位自在に設けている。
【0011】
又、前記各ばね18、18は、ステンレス鋼製の板材(弾性金属板)に曲げ加工を施す事により形成している。この様な各ばね18、18は、基部30と、この基部30の両側部分をこの基部30の厚さ方向片側(図8〜10の左側)に鋭角に折り曲げて成る1対の押圧片31、31とを備える。この様に構成する各ばね18、18は、上記基部30の片側面(図8〜10の左側面)を上記前方支持板部27の他側面(図8〜10の右側面)に、この基部30の他側面(図8〜10の右側面)の両端部を上記各後方支持板部26、26の片側面(図8〜10の左側面)に、それぞれ弾性的に当接させる事により、上記保持器19の円周方向複数個所に係止している。又、この状態で、上記各ばね18、18を構成する基部30と各押圧片31、31との連続部に存在する1対の折れ曲がり部32、32の内側に、それぞれ上記各突出部28、28を配置している。
【0012】
上述の様に各ばね18、18を保持器19に係止した状態では、これら各ばね18、18を構成する1対の押圧片31、31の先端部が、それぞれ上記各ローラ17の転動面に弾性的に当接する。そして、これら各押圧片31、31により、上記各ローラ17を、前記カム面20と円筒面22との間の径方向に関する幅の狭い部分に向け、円周方向に関して同方向に弾性的に押圧する。この結果、次述する運転時に、ローラクラッチ12のロック状態とオーバラン状態との切り換えを行なえる様になる。
【0013】
上述の様に構成するローラクラッチ12の使用状態では、前記プーリ素子9に上記外輪15を内嵌し、前記スリーブ10に上記内輪16を外嵌する。そして、これらプーリ素子9とスリーブ10とが所定方向に相対回転する傾向となった場合、即ち、プーリ素子9に内嵌固定した外輪15に対してスリーブ10に外嵌固定した内輪16が、上記ばね18、18が上記各ローラ17、17を押圧している方向(図8の左方=反時計方向)に相対回転する傾向になった場合に、上記各ローラ17、17が前記略円筒状の空間のうちで直径方向の幅の狭い部分に食い込む。そして、上記スリーブ10と上記プーリ素子9との相対回転が不能(ロック状態)となり、これらスリーブ10とプーリ素子9との間で回転伝達される。一方、これらプーリ素子9とスリーブ10とが上記所定方向とは反対方向、即ち、このプーリ素子9に対してこのスリーブ10が、上記ばね18、18が上記各ローラ17、17を押圧しているのと反対方向(図8の時計方向)に相対回転する傾向になった場合には、上記各ローラ17、17が上記各ばね18、18の弾力に抗して上記略円筒状の隙間の直径方向の幅の広い部分に退避し、上記プーリ素子9と上記スリーブ10との相対回転が自在(オーバラン状態)となり、これらプーリ素子9とスリーブ10との間で回転力の伝達が行なわれなくなる。
【0014】
上述の様に構成する本例の一方向クラッチ内蔵型プーリ装置8を、図6に示したアイドリングストップ車用のスタータモータの駆動プーリ装置6として使用した場合の作用は、次の通りである。先ず、エンジンを始動する際には、前記スタータモータ4に通電し、前記回転駆動軸5の先端部に外嵌固定した上記スリーブ10並びにこのスリーブ10に外嵌固定した前記内輪16を、図8の反時計方向に回転させる。この状態で、前記プーリ素子9と無端ベルト7と従動プーリ3とを介して、エンジン1のクランクシャフト2(図6参照)が回転駆動され、このエンジン1が始動される。
【0015】
エンジン1の始動後には上記スタータモータ4への通電が停止され、上記回転駆動軸5が停止する。この状態では上記プーリ素子9が上記エンジン1のクランクシャフト2により、上記従動プーリ3及び上記無端ベルト7を介して回転駆動され、上記外輪15は、図8の反時計方向に回転し続ける。この結果、上記ローラクラッチ12がオーバラン状態となり、上記プーリ素子9の回転が上記スリーブ10にまでは伝わらなくなる。従って、上記エンジン1が運転される際に、上記スタータモータ4がこのエンジン1の回転に対する負荷とはならない。
【0016】
この様にローラクラッチ12がオーバラン状態となる場合に、前記各ローラ17、17は、保持器19の連結部24、24とばね18、18とに押され、上記プーリ素子9に内嵌固定した上記外輪15と共に回転する。但し、この外輪15の回転速度が、エンジン1の始動に必要とされる回転速度(例えば、ガソリンエンジン車の場合で、400〜500min−1 に、ベルト伝達機構による変速比を掛け合せた速度)以下の場合には、上記各ローラ17、17に働く遠心力は、上記各ばね18、18を圧縮する程の値とはならない。又、エンジンの始動時に上記各ローラ17、17には、前記内輪16の外周面から、上記各ばね18、18の弾力と同方向の力が加わる。従って、エンジンの始動時に上記各ローラ17、17は、上記内輪16の外周面と上記外輪15の内周面との間の空間のうちの幅の狭い部分に向け確実に変位し、上記ローラクラッチ12が確実にロック状態となる。
【0017】
これに対して、上記エンジン1が始動し、上記外輪15の回転速度が、エンジン1のアイドリングに見合う回転速度(例えば、ガソリンエンジン車の場合で、700〜800min−1 に、ベルト伝達機構による変速比を掛け合せた速度)以上となった場合には、上記ローラクラッチ12の接続が断たれる(オーバラン状態となる)だけでなく、このローラクラッチ12を構成する上記各ローラ17の転動面と、上記内輪16の外周面とが離隔する。
【0018】
即ち、上記エンジン1の回転時には、上記各ローラ17、17に遠心力が働き、これら各ローラ17、17が前記各凹部21、21の底面に押し付けられる。これら各凹部21、21の底面は傾斜しているので、上記各ローラ17、17は、上記各ばね18、18を押圧する(これら各ばね18、18を圧縮する)方向に変位する傾向になる。又、エンジン1の始動後、前記スタータモータ4への通電を停止した状態では、上記内輪16も停止するので、上記各ローラ17、17を図8の反時計方向に変位させようとする力は、上記各ばね18、18の弾力のみとなる。
【0019】
この状態では、上記回転力の上昇に伴って上記遠心力が増大し、この遠心力に基づく円周方向の分力の大きさが上記各ばね18、18の弾力よりも大きくなると、上記各ローラ17、17がこれら各ばね18、18を圧縮しつつ、上記各凹部21、21の深い部分に向け移動する。この結果、上述の様に、上記各ローラ17、17の転動面と、上記内輪16の外周面とが離隔する。この状態では、上記エンジン1の高速回転に拘らず、上記ローラクラッチ12の内部で発生する摩擦熱が僅少に抑えられ、前述した通り、このローラクラッチ12及び隣接する玉軸受11、11の耐久性向上を図れる。勿論、このローラクラッチ12自体に関しても、異常摩耗、焼き付き等の損傷を防止できる。
【0020】一方、図示は省略するが、オルタネータ用のローラクラッチ内蔵型プーリ装置は、上述したアイドリングストップ車用スタータモータに使用するローラクラッチ内蔵型プーリ装置8と異なり、ローラクラッチを構成する内輪の外周面に複数の凹部を形成してこの外周面をカム面とし、同じく外輪の内周面は円筒面としている。この理由は、高速回転時にもロック状態を実現可能にする為である。これに伴って、ローラクラッチを構成する保持器のリム部内周面に、上記凹部と係合する突片を設けている。従って、この保持器は上記内輪と共に回転する。その他の構成は上記ローラクラッチ内蔵型プーリ装置8と同様である。この様なローラクラッチ内蔵型プーリ装置を、オルタネータに使用した場合、無端ベルトの寿命の低下を抑えると共に、オルタネータの発電効率を向上させる事ができる。即ち、オルタネータの回転軸の端部に固定したスリーブに内輪を、従動プーリに外輪を、それぞれ嵌合固定する事により上記ローラクラッチ内蔵型プーリ装置を構成する。又、上記従動プーリとクランクシャフトの端部に固定した駆動プーリとの間には無端ベルトを掛け渡して、上記従動プーリから上記回転軸に向かう方向には回転力を伝達するが、逆方向には回転力を伝達しない様にする。
【0021】
具体的に説明すると、エンジンの運転時には、上記クランクシャフトの回転が上記駆動プーリ及び無端ベルトを介して上記従動プーリに伝達される。この場合、上記ローラクラッチは、外輪が内輪に対して所定方向(各ばねの押圧方向)に相対回転する傾向となる。この時、上記各ローラに上記外輪の内周面から、各ばねの押圧方向と同方向の力が作用して、これら各ローラがこの外輪の内周面と上記内輪の外周面との間の径方向に関する幅の狭い部分に向け変位する。そして、上記各ローラがこの部分に楔状に食い込み、上記ローラクラッチがロック状態となる。この結果、上記従動プーリから上記回転軸に回転力が伝達される。
【0022】
これに対して、エンジンの回転数の低下により、上記従動プーリの回転速度が上記回転軸の回転速度よりも遅くなった場合、上記ローラクラッチは、上記外輪が上記内輪に対して所定方向とは反対方向に相対回転する傾向となる。この時、上記各ローラに上記外輪の円筒面から、上記各ばねの押圧方向とは反対方向の力が作用して、これら各ローラが、上記外輪の内周面と上記内輪の外周面との間の径方向に関する幅の広い部分に向け変位する。この結果、上記従動プーリと回転軸との間で回転力の伝達が不能(オーバーラン状態)となり、上記回転軸が上記従動プーリよりも速い速度で回転する事を許容する。この状態では、オルタネータの回転軸は慣性で回転する。この様に、ローラクラッチ内蔵型プーリ装置を上記オルタネータに使用した場合、上記ローラクラッチがオーバーラン状態となる事により、上記クランクシャフトの回転角速度の変化に応じた無端ベルトの張力変動を吸収してこの無端ベルトの寿命低下を抑えると共に、上記オルタネータの発電効率の向上を図れる。
【0023】
【特許文献1】
特開平11−63170号公報
【特許文献2】
特公平7−72585号公報
【特許文献3】
特開2002−130433号公報
【0024】
【発明が解決しようとする課題】
前述した様な構造を有するアイドリングストップ車用スタータモータに使用するローラクラッチ内蔵型プーリ装置8のオーバラン状態では、上記各ローラ17が外輪15と共に回転する為、これら各ローラ17に遠心力が作用する。そして、この遠心力により、図11、12に示す様に、これら各ローラ17が上記各ばね18、18を構成する押圧片31、31を、基部30側に変位させる。この時、これら各押圧片31、31が変位した位置で上記各ローラ17に作用する遠心力(に基づく円周方向の分力)と、上記各ばね18、18の押圧力とが釣り合った状態となる。言い換えれば、オーバーラン状態では、上記各ローラ17はこれら遠心力と押圧力とが釣り合った位置に存在する。従って、オーバーランの速度が速ければ、これら各ローラ17に作用する遠心力が大きくなる為、これら各ローラ17が上記各ばね18、18の押圧力に抗して凹部21の奥部まで移動する。この時、上記各押圧片31、31は基部30側(図の下側)に大きく変位した状態となる。
【0025】
上記各押圧片31、31が大きく変位した状態では、上記各ばね18、18の折れ曲がり部32、32に大きな応力が作用する。特に、アイドリングストップ車用のスタータモータに使用するローラクラッチ内蔵型プーリ装置8の場合、エンジン1(図6)の回転数の上昇によりプーリ素子9が高速回転して、上記各ローラ17に作用する遠心力が大きくなり、これら各ローラ17が上記各ばね18、18を押圧する力が大きくなる場合がある。又、オルタネータ用のローラクラッチ内蔵型プーリ装置の場合も、オーバラン速度が早いと、各ローラの転動面と外輪の内周面に設けた円筒面との滑り摩擦により、これら各ローラがばねを押圧する力が大きくなる場合がある。何れの場合でも、上記折れ曲がり部32、32に作用する応力も過大となり、上記各ばね18、18の寿命低下の原因となる。これに対して、これら各ばね18、18としてばね定数の高いばねを使用して、これら各ばね18、18に作用する力が大きくても上記各押圧片31、31の変位量を小さくする事が考えられるが、上記各ばね18、18としてばね定数の高いばねを使用すると、次の様な問題が生じる。
【0026】
即ち、上記プーリ素子9が高速回転していない状態(例えば、エンジンのアイドリング状態)では、上記各ローラ17に作用する遠心力が小さくなるのに対して、上記各ばね18、18としてばね定数の大きいばねを使用する事により、これら各ばね18、18の押圧力が大きくなる。従って、上記各ローラ17が上記各ばね18、18の押圧力に抗して移動する量が少なくなる。この状態では、上記プーリ素子9と同じ回転数で回転している各ローラ17の転動面と上記内輪16の外周面である円筒面22とが離れずに、この円筒面22と上記転動面との間で滑りが生じる。この結果、上記ローラクラッチ12が発熱すると共にオーバーラン時の動トルクが増大して、このローラクラッチ12が焼き付いたり、自動車の燃費が低下する等の問題が生じる。
【0027】
一方、オルタネータ用のローラクラッチ内蔵型プーリ装置に組み込むローラクラッチの場合、オーバーラン状態とロック状態とを繰り返す回数が多い為、各ローラを押圧する各ばねの耐久性が問題となる。即ち、オーバーラン状態とロック状態との繰り返しに伴い上記各ローラは円周方向に変位する。この時、上記各ばねはこれら各ローラに追従してこれら各ばねを構成する押圧片を変位させる。この結果、これら各ばねの折り曲げ部には応力が繰り返し作用する為、この応力が大きいと、この折り曲げ部が早期に疲労する。
【0028】
又、前述した従来構造のローラクラッチ12の場合、上記各ばね18、18の撓み量(押圧片31、31が基部30側に最大変位する量)が、オーバーランの速度等の運転条件に大きく依存すると共に、上記ローラクラッチ12を構成する各部材の加工精度にも大きく依存する。この為、このローラクラッチ12の撓み量の設計及び管理が難しい。即ち、保持器19が外輪15と共に回転する構造の場合、この保持器19のリム部23、23の外周面に突設した突片25、25を、外輪15の内周面に形成したカム面20を構成する凹部21に係合する事により、上記保持器19が上記外輪15に位置決めされる。この為、上記各ばね18、18の撓み量は、上記保持器19、外輪15、各ローラ17及び内輪16を組み付けた時の誤差に影響される。この為、上記撓み量の設計及び管理が難しく、この撓み量の違いから完成品の性能にばらつきが出る場合もある。尚、内輪の外周面にカム面を形成し、この内輪と保持器とが共に回転する構造の場合も同様である。
本発明のローラクラッチ及びローラクラッチ内蔵型プーリ装置は、この様な事情に鑑みて発明したものである。
【0029】
【課題を解決するための手段】
本発明のローラクラッチ及びローラクラッチ内蔵型プーリ装置のうち、請求項1に記載したローラクラッチは、前述した図8〜10に記載した従来構造と同様に、外輪相当部材と、内輪相当部材と、カム面と、円筒面と、複数本のローラと、保持器と、複数のばねとを備える。
このうちの内輪相当部材は、上記外輪相当部材の内側に、この外輪相当部材と同心に配置されている。
又、上記カム面は、上記外輪相当部材の内周面と内輪相当部材の外周面とのうちの一方の周面に形成された、円周方向に亙る凹凸である。
又、上記円筒面は、同じく他方の周面に形成されている。
又、上記各ローラは、上記カム面と円筒面との間の円筒状空間内に設けられている。
又、上記保持器は、上記カム面を形成した部材に対する回転を不能として上記円筒状空間内に配置され、上記各ローラを、転動並びに円周方向に関する若干の変位自在に保持する。
又、上記各ばねは、上記保持器の円周方向複数個所に設けられたばね係止部に係止され、上記各ローラを円周方向に関して同方向に押圧する。
特に、請求項1に記載したローラクラッチに於いては、オーバーラン時に、上記各ローラが上記各ばね係止部の一部にそれぞれ当接する。
【0030】
又、請求項3に記載したローラクラッチ内蔵型プーリ装置は、内径側部材と、外径側部材と、ローラクラッチと、サポート軸受とを備える。
このうちの内径側部材は、回転軸の端部に固定する。
又、上記外径側部材は、上記内径側部材の周囲にこの内径側部材と同心に配置され、外周面にベルトを掛け渡す為のベルト溝を設けた、筒状の部材である。
又、上記ローラクラッチは、上記内径側部材の外周面と外径側部材の内周面との間に設けられ、この外径側部材がこの内径側部材に対し所定方向に相対回転する傾向となる場合のみ、これら外径側部材と内径側部材との間での回転力の伝達を自在とする。
又、上記サポート軸受は、上記ローラクラッチに隣接する位置で上記内径側部材の外周面と上記外径側部材の内周面との間に設けられ、この外径側部材に加わるラジアル荷重を支承しつつこれら内径側部材と外径側部材との相対回転を自在とする。
特に、請求項3に記載したローラクラッチ内蔵型プーリ装置に於いては、上記ローラクラッチが請求項1〜2の何れかに記載したローラクラッチである。
【0031】
【作用】
本発明のローラクラッチ及びローラクラッチ内蔵型プーリ装置は、上述の様に構成される為、オーバーラン時に各ローラから各ばねに作用する力を、これら各ばねと各ばね係止部とで支持可能としている。そして、回転速度或はオーバーランの速度が低速で上記各ローラがばねを押す力が小さい場合には、上記各ばねのみで上記力を支持する。これに対して、回転速度或はオーバーランの速度が高速で、上記各ローラがばねを押す力が大きい場合には、この力を上記各ばね係止部で支持する。この為、これら各ばねに加わる応力の最大値を低く抑えて、これら各ばねが早期に疲労する事を防止し、これら各ばねの長寿命化を図れる。
又、上記各ばね係止部の一部で上記各ばねが当接する位置を任意に定める事により、上記各ばねの撓み量を調節できる為、上記各ばねに作用する最大応力を管理する事ができる。この為、ローラクラッチの設計及び管理が容易となり、ローラクラッチ及びローラクラッチ内蔵型プーリ装置の信頼性の向上を図る事ができる。又、オーバーラン状態とロック状態との繰り返しに伴い上記各ローラが円周方向に移動する量(ストローク)を規制できる。この為、用途に合わせたローラクラッチの設計が容易となる。
【0032】
【発明の実施の形態】
図1〜5は、本発明の実施の形態の1例を示している。尚、本例では、アイドリングストップ車用のスタータモータに使用する、ローラクラッチ内蔵型プーリ装置に組み込むローラクラッチ12aに就いて説明する。従って、このローラクラッチ12aは、カム面20を外輪15の内周面に形成した構造としている。又、本例の特徴は、ローラクラッチ12aのオーバーラン時に、各ローラ17を、ばね係止部を構成する前方支持板部27aにそれぞれ当接させる為、この前方支持板部27aの円周方向の厚さを大きくした点にある。その他の構造及び作用は、前述の図6〜10に示した従来構造と同様である為、重複する図示並びに説明を省略若しくは簡略にし、以下、本例の特徴部分、並びに、上記従来構造と異なる部分を中心に説明する。
【0033】
本例の場合、上記前方支持板部27aのうちでローラ17の転動面が当接する部分の円周方向に関する厚さH27a (図2)を、前述した従来構造の前方支持板部27(例えば図9参照)の厚さよりも大きくしている。そして、この前方支持板部27aの一端面(図1、2、5の左端面)を、上記各ローラ17と当接する当接面33とし、上記ローラクラッチ12aがオーバーラン状態となった時にこの当接面33に、上記各ローラ17の転動面の軸方向中央部が、それぞれ当接する様にしている。従って、ばね18、18の自由状態での基部30から各押圧片31、31の先端部までの距離をH18(図3)とした場合、オーバーラン状態でこれら各ばね18、18の撓み量Tは、T=H18−H27a となる。尚、上記前方支持板部27aの厚さH27a は、上記各ローラ17の円周方向に関する移動量(ストローク)及び上記各ばね18、18の撓み量を考慮して設計的に定める。
【0034】
又、上記前方支持板部27aの軸方向に関する幅W27a を、上記各ばね18、18が撓んだ状態での上記各押圧片31、31の先端部同士の間隔W31よりも小さく(W27a <W31)している。そして、オーバーラン時に、上記各押圧片31、31が、上記各ローラ17に押され基部30側に変位した時に、これら各押圧片31、31の先端部と上記前方支持板部27aの一端部(図2の左端部)両端縁とが干渉しない様にしている。尚、上記各押圧片31、31の先端部を、図3(A)に示す様に、基部30側に少し折り曲げ、この折り曲げた部分を上記各ローラ17に当接させる様にすれば、これら各ローラ17の転動面と上記各押圧片31、31との摺接部の面圧を低くして、これら各ローラ17の摩耗を抑える事ができる。この場合、上記距離H18は上記基部30から上記各押圧片31、31の折り曲げた部分までの距離を指す。これに対して、図3(B)に示す様に、押圧片31a、31aの先端部を折り曲げずに、これら各押圧片31a、31aの先端縁を直接上記各ローラ17に当接させる場合、上記距離H18は基部30からこの先端縁までの距離を指す。尚、これら各押圧片31a、31aの先端部に切削加工や表面処理を施す事によって、上記各ローラ17の摩耗を抑える事もできる。
【0035】
又、本例では、上記ローラクラッチ12aのオーバーラン時に、上記各ローラ17の姿勢を安定させる為、上記前方支持板部27aの当接面33の形状を工夫している。即ち、上記ローラクラッチ12aのオーバーラン時に上記各ローラ17の姿勢が安定しなければ(傾斜すると)、これら各ローラ17の一部が、前記内輪16の外周面である円筒面22と部分的に接触し、当該部分で滑り摩擦を生じる。この結果、この円筒面22が偏摩耗したり、オーバーラン時にトルクむらや振動が生じる。この為、本例の場合には、次述する様に、当接面33の形状を工夫する事により、オーバーラン時に上記各ローラ17の姿勢を安定させて、これら各ローラ17と円筒面22とが部分的に接触する事を防止している。
【0036】
即ち、上記当接面33は、図4(A)に示す様に、2つの傾斜面34、34を組み合わせた断面V字形とするか、又は、同図(B)に示す様に、部分円筒面35とする。この様な形状とする事により、図5(A)(B)にそれぞれ示す様に、オーバーランに伴って上記各ローラ17がこの当接面33に当接した状態での姿勢を安定させる事ができる。即ち、図4(A)に示す構造の場合、当接面33は、この当接面33の径方向(図の上下方向)両端縁から中間部に向かう程、上記前方支持板部27aの円周方向の厚さが小さくなる方向に傾斜した1対の傾斜面34、34から成る。そして、オーバーラン時には、図5(A)に示す様に、これら両傾斜面34、34が、上記各ローラ17の転動面とそれぞれ当接する。この様に、これら各ローラ17の転動面と上記当接面33とを2個所で当接させる事により、オーバーラン時にこれら各ローラ17の姿勢を安定させる(各ローラ17の中心軸と内輪16の中心軸とを平行にする)事ができる。一方、図4(B)に示す構造の場合、当接面33は、上記各ローラ17の直径よりも僅かに大きい径を有する円弧により形成した部分円筒面35として、オーバーラン時には、図5(B)に示す様に、これら各ローラ17の姿勢を安定させる。
【0037】
上述の様に構成される本例のローラクラッチ12aが、オーバーラン状態とロック状態とを繰り返す時の基本的作用に就いては、前述した従来構造と同様である。
特に、本例のローラクラッチ12aの場合、オーバーラン時に上記各ローラ17から上記各ばね18、18に作用する力(本例の場合は遠心力の円周方向成分)を、これら各ばね18、18とばね係止部である上記前方支持板部27aとで支持可能としている。そして、外輪15の回転速度が低速の場合には、上記各ばね18、18のみで上記力を支持し、この外輪15の回転速度が高速の場合には、この力を上記前方支持板部27aで支持する。特に、上記ローラクラッチ12aを、請求項4に記載した、アイドリングストップ車用のスタータモータに使用するローラクラッチ内蔵型プーリ装置に組み込んだ場合、エンジンの回転数の上昇に伴い、上記外輪15の回転速度(外輪15と内輪16とが相対回転するオーバーラン速度も同様)が高速となり、上記各ローラ17に作用する遠心力が大きくなる。この為、上記各ばね18、18に作用する力も大きくなる。本例の場合、上述した様に、この大きい力を上記前方支持板部27aで支持する事により、上記各ばね18、18を構成する折れ曲がり部32、32に作用する応力が過大となる事を防ぐ。この結果、これら各ばね18、18が早期に疲労する事を防止して、これら各ばね18、18の長寿命化を図れる。
【0038】
又、上記前方支持板部27aの円周方向に関する厚さH27a を変える事により、上記各ばね18、18の撓み量を調節できる。即ち、前述した様に、これら各ばね18、18の撓み量TはT=H18−H27a である為、上記厚さH27a を変える事により、これら各ばね18、18の撓み量Tを調節できる。言い換えれば、ローラクラッチ12aを構成する各部材の加工誤差や組み付け誤差にも拘わらず、上記撓み量Tを、上記前方支持板部27aの厚さH27a により規定できる。この為、上記各ばね18、18の折れ曲がり部32、32に作用する最大応力を管理する事ができる。この様に、これら折れ曲がり部32、32に作用する最大応力を管理できれば、上記各ばね18、18としてばね定数が小さい材料を使用できる。言い換えれば、上記折れ曲がり部32、32に作用する応力を小さくする為に、上記各ばね18、18としてばね定数の大きい材料を使用する必要はない。この様に、本例の場合、上記各折れ曲がり部32、32に作用する最大応力を管理できる為、上記ローラクラッチ12aの設計及び管理が容易となり、このローラクラッチ12a及びこのローラクラッチ12aを組み込んだローラクラッチ内蔵型プーリ装置の信頼性の向上を図る事ができる。
【0039】
又、上記前方支持板部27aの厚さH27a を変える事により、上記各ローラ17のストロークも調節できる。即ち、上記各ローラ17が当接する当接面33の位置を、上記前方支持板部27aの厚さH27a を変える事により調節できる為、オーバーラン状態とロック状態との繰り返しに伴い、上記各ローラ17が円周方向に移動する量(ストローク)を規制できる。この様に、上記各ローラ17のストロークを規制できれば、用途に合わせたローラクラッチ12aの設計が容易となる。
【0040】
尚、上述した説明は、カム面20を外輪15の内周面に形成したローラクラッチ12aに就いて行なったが、本発明は、カム面20を内輪16の外周面に形成した構造を有するローラクラッチにも適用可能である。この様な構造を有するローラクラッチに本発明を適用した場合の基本的な構造及び作用は、前述した従来構造のオルタネータ用のプーリ装置に組み込むローラクラッチと同様である。又、本発明の特徴である、前方支持板部27aの円周方向の厚さを大きくして、オーバーラン時にこの前方支持板部27aの当接面33と各ローラ17とを当接させる点に就いては、上述した本発明の実施の形態と同様である。又、作用に就いてもほぼ同様である。特に、この様な構造を有するローラクラッチを、請求項5に記載した様に、オルタネータ用のローラクラッチ内蔵型プーリ装置に適用した場合、オーバーラン状態とロック状態との繰り返しにより、ばね18、18を構成する折れ曲がり部32、32に繰り返し作用する応力を小さくできる。この為、上記各ばね18、18が早期に疲労する事を防止してこれら各ばね18、18の長寿命化を図れる。又、オルタネータ用のローラクラッチ内蔵型プーリ装置は、オーバーラン状態とロック状態とを繰り返す回数が多いが、本発明を適用する事により、各ローラ17のストローク(円周方向の変位量)を短くして、上記オーバーラン状態とロック状態との切り換えを迅速に行なえる様にできる。
【0041】
又、本発明は、前述したアイドリングストップ車用スタータモータや、上述したオルタネータに使用するプーリ装置だけでなく、その他の用途にも使用できる。例えば、アイドリングストップ車に組み込む、コンプレッサ等の補機駆動装置のプーリ装置として使用する事が考えられる。更に、ローラクラッチを構成する、上記カム面及び円筒面を、ローラクラッチ専用の外輪又は内輪の周面に形成するか、或はこのローラクラッチを組み込むべき機械装置を構成する保持部材(例えばプーリ素子)又は回転軸の周面に直接形成するかは、採用する構造、使用する材質により、適宜選択できる。
【0042】
【発明の効果】
本発明のローラクラッチ及びローラクラッチ内蔵型プーリ装置は、以上に述べた様に構成され作用するので、ローラクラッチ及びローラクラッチ内蔵型プーリ装置の信頼性、耐久性の向上に寄与すると共に、用途に適したローラクラッチ及びローラクラッチ内蔵型プーリ装置を容易に得る事ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の1例を示す、部分断面図。
【図2】保持器、ばね、及びローラのみを取り出して、図1の上方から見た状態を示す平面図。
【図3】ばねの2例を示す平面図。
【図4】ばね係止部を構成する前方支持板部の当接面の形状の2例示す斜視図。
【図5】ローラの転動面と前方支持板部の当接面とが当接した状態を示す、部分断面図。
【図6】本発明の対象となるローラクラッチ内蔵型プーリ装置を組み込む、アイドリングストップ車用エンジン始動装置を示す略正面図。
【図7】ローラクラッチ内蔵型プーリ装置の従来構造の1例を示す断面図。
【図8】従来構造の1例をロック状態で示す、部分断面図。
【図9】保持器、ばね、及びローラのみを取り出して、図8の上方から見た状態を示す平面図。
【図10】同斜視図。
【図11】ローラクラッチのオーバーラン状態を示す、部分断面図。
【図12】保持器、ばね、及びローラのみを取り出して、図11の上方から見た状態を示す平面図。
【符号の説明】
1 エンジン
2 クランクシャフト
3 従動プーリ
4 スタータモータ
5 回転駆動軸
6 駆動プーリ装置
7 無端ベルト
8 ローラクラッチ内蔵型プーリ装置
9 プーリ素子
10 スリーブ
11 玉軸受
12、12a ローラクラッチ
13 大径部
14 小径部
15 外輪
16 内輪
17 ローラ
18 ばね
19 保持器
20 カム面
21 凹部
22 円筒面
23 リム部
24 連結部
25 突片
26 後方支持板部
27、27a 前方支持板部
28 突出部
29 ポケット
30 基部
31、31a 押圧片
32 折れ曲がり部
33 当接面
34 傾斜面
35 部分円筒面

Claims (5)

  1. 外輪相当部材と、この外輪相当部材の内側にこの外輪相当部材と同心に配置された内輪相当部材と、これら外輪相当部材の内周面と内輪相当部材の外周面とのうちの一方の周面に形成された、円周方向に亙る凹凸であるカム面と、同じく他方の周面に形成された円筒面と、これらカム面と円筒面との間の円筒状空間内に設けられた複数本のローラと、このカム面を形成した部材に対する回転を不能として上記円筒状空間内に配置され、上記各ローラを転動並びに円周方向に関する若干の変位自在に保持する保持器と、この保持器の円周方向複数個所に設けられたばね係止部に係止され、上記各ローラを円周方向に関して同方向に押圧する複数のばねとを備えたローラクラッチに於いて、オーバーラン時に、上記各ローラが上記各ばね係止部の一部にそれぞれ当接する事を特徴とするローラクラッチ。
  2. ばねが、板材に曲げ加工を施す事により、基部と、この基部の両端部からこの基部の厚さ方向片側に折り曲げた1対の押圧片とから成るものであり、ばね係止部が、保持器を構成する連結部の軸方向両端部外周面に径方向外方に突出する状態で形成した1対の後方支持板部と、この連結部の軸方向中間部外周面で、これら各後方支持板部よりも少しだけ円周方向前方に寄った部分に径方向外方に突出する状態で形成した前方支持板部とから成り、上記基部の片側面を上記前方支持板部の他側面に、この基部の他側面の両端部を上記各後方支持板部の片側面に、それぞれ弾性的に当接させる事により、上記ばねをばね係止部に係止しており、オーバーラン時にローラが上記前方支持板部の片側面に当接する、請求項1に記載したローラクラッチ。
  3. 回転軸の端部に固定する内径側部材と、この内径側部材の周囲にこの内径側部材と同心に配置され、外周面にベルトを掛け渡す為のベルト溝を設けた筒状の外径側部材と、これら内径側部材の外周面と外径側部材の内周面との間に設けられ、この外径側部材がこの内径側部材に対し所定方向に相対回転する傾向となる場合のみ、これら外径側部材と内径側部材との間での回転力の伝達を自在とするローラクラッチと、このローラクラッチに隣接する位置で上記内径側部材の外周面と上記外径側部材の内周面との間に設けられ、この外径側部材に加わるラジアル荷重を支承しつつこれら内径側部材と外径側部材との相対回転を自在とするサポート軸受とを備えたローラクラッチ内蔵型プーリ装置に於いて、上記ローラクラッチが、請求項1〜2の何れかに記載したローラクラッチである事を特徴とするローラクラッチ内蔵型プーリ装置。
  4. 請求項3に記載したローラクラッチ内蔵型プーリ装置であって、内径側部材がスタータモータの回転軸の端部に固定したスリーブであり、外径側部材がクランクシャフトの端部に固定した従動プーリとの間に無端ベルトを掛け渡した駆動プーリであり、上記回転軸からこの駆動プーリに向かう方向には回転力を伝達するが、逆方向には回転力を伝達しない、アイドリングストップ車用のスタータモータに使用する、ローラクラッチ内蔵型プーリ装置。
  5. 請求項3に記載したローラクラッチ内蔵型プーリ装置であって、内径側部材がオルタネータの回転軸の端部に固定したスリーブであり、外径側部材がクランクシャフトの端部に固定した駆動プーリとの間に無端ベルトを掛け渡した従動プーリであり、この従動プーリから上記回転軸に向かう方向には回転力を伝達するが、逆方向には回転力を伝達しない、オルタネータ用のローラクラッチ内蔵型プーリ装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN109072995A (zh) * 2016-03-28 2018-12-21 Ntn株式会社 单向离合器

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