JP2004254941A - 血液浄化器 - Google Patents

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Abstract

【課題】中空糸膜の溶質透過性が向上し、しかも、衝撃等により中空糸膜の損傷、変形等を生じることのない血液浄化器を提供する。
【解決手段】血液浄化器10は、ケーシング1内に装填された中空糸膜3と、中空糸膜間に介在する断面が異形であるスペーサーフィラメント2を有し、スペーサーフィラメント2の断面直径は、中空糸膜の断面直径よりも大きく、中空糸膜とスペーサーフィラメントとが、同じ疎水性樹脂の素材で形成されている。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、血液浄化器に関し、さらに詳しくは、血液透析療法等に使用され、高い透析効率を有し、極薄の中空糸膜を使用しているにもかかわらず衝撃に対して損傷を受けることが少なく、また、血漿交換においては濾過効率の大きな血液浄化器に関する。
【0002】
【従来の技術】
医療分野では、血液透析療法、血液濾過療法、血液透析濾過療法、血液吸着療法、及び血漿交換療法等の血液浄化療法等に血液浄化器が使用されている。
【0003】
例えば、血液透析療法に用いる中空糸膜は、従来、外径280μm、内径200μm程度の大きさを有する中空繊維が用いられていた。透析時間を短縮させて透析治療者の負担を軽減させるために溶質除去効率の良い血液浄化器が医療現場で求められている。また、血液浄化器内部で生じる内部濾過を積極的に促進させて溶質除去効率を向上させる内部濾過促進型血液濾過器においては、中空糸が細くなる傾向にある。溶質除去効率の良い血液浄化器を得る方法の一つとして、溶質透過性の高い中空糸膜を使用する方法がある。溶質透過性の高い中空糸膜を得るために従来よりも膜の平均厚みの薄い中空糸膜や、細い中空糸膜が開発される傾向がある。しかし、膜の平均厚みを薄くすること等により中空糸膜の機械的強度が低下する。そうすると、血液浄化器を過度に振動させたり、誤って落としたりすることにより、ケーシング内に装填されている中空糸膜が折れ曲がる等して破損するという新たな問題が生じる。中空糸膜の機械的強度を高める手段としては、膜材質として強いものを選択する方法、中空糸膜の平均厚みを厚くする方法、ケーシング内断面積に対する中空糸膜の占有断面比、すなわち中空糸膜の充填率を高める方法が知られている。
【0004】
しかし、溶質透過性大が大きくて、しかも強度の大きな中空糸膜となし得、しかも生体との適合性等の良好な膜材料を新たに選択するのは困難である。また、中空糸膜の平均厚みを厚くすれば強度は上がるが、溶質透過性が低下してしまう。特に中空糸膜の厚み方向の構造が均一である均質膜ではその傾向が強い。中空糸膜を非対称構造にすることにより、強度は高められるが、それだけでは強度的に不十分である。また、ケース内断面積に対する中空糸束の総断面積、すなわち中空糸膜の充填率を高めすぎるとケーシング内において透析液が中空糸束の中心部に至らなくなり、透析液が中空糸束の外側ばかりに流れる偏流という現象が生じ、溶質透過性が低下するという問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、この発明は、極薄の中空糸膜が装填された血液浄化器において、極薄の中空糸膜を有することにより中空糸膜の溶質透過性が向上し、しかも、衝撃等により中空糸膜の損傷、変形等を生じることのない血液浄化器を提供することを目的とする。本発明の他の目的は、極薄の中空糸膜を有することにより中空糸膜の溶質透過性が向上し、しかも、衝撃等により中空糸膜の損傷、変形等を生じることがなく、透析液中のエンドトキシン及び微粒子等を捕捉することのできる血液浄化器を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための手段は、
(1) 中空糸膜と、前記中空糸膜間に介在し、断面が異形であるスペーサーフィラメントとを有する中空糸束を有して成ることを特徴とする血液浄化器であり、
(2) 中空糸膜と、前記中空糸膜間に介在し、(1)の中空糸膜の断面直径よりも大きな断面直径を有するスペーサーフィラメントとを有する中空糸束を有して成ることを特徴とする血液浄化器であり、
(3) (1)の中空糸膜と(1)のスペーサーフィラメントとが共に同じ素材で形成されて成り、
(4) (3)の素材が疎水性樹脂であり、
(5) (4)の疎水性樹脂がポリアリレート樹脂とポリエーテルスルホン樹脂とからなるポリマーアロイである。
【0007】
【発明の実施の形態】
図1に中空糸膜を使用した血液浄化器の一例を示す。図1に示されるように、血液浄化器10は、円筒状のケーシング1と、このケーシング1の両端開口部に着脱自在に螺合する注入側エンドキャップ13及び排出側エンドキャップ14と、このケーシング1の側面であって排出側エンドキャップ14側の端部に設けられた透析液の流入口15と、注入側エンドキャップ13側の端部に設けられた透析液の流出口16とを有する。ケーシング1の内部空間には、中空糸膜3とスペーサーフィラメント2とを束ねてなる中空糸束4が装填されている。
【0008】
この例では、中空糸膜3の内部空間が血液の流路となり、ケーシング1と中空糸膜3の外表面とで形成される中空糸膜の外側の空間が透析液の流路となっている。注入側エンドキャップ13の注入口17から注入された血液は、中空糸膜3の内部空間を通って排出側エンドキャップ14の排出口18から排出される。流入口15から注入された透析液は、中空糸膜3の外側の空間を通って流出口16へと流れ、両液は中空糸膜3を挟んで向流する。中空糸膜3は多孔質構造を有し、比較的大きな血液中のタンパク質等は透過しないが、比較的小さな血液中の老廃物等は透過するので、両液の向流時に血液中から老廃物が透析液側へ移動し、その結果血液が浄化される。尚、この例とは反対に中空糸膜3の内部空間を透析液の流路とし、中空糸膜3の外側の空間を血液流路とすることもできる。
【0009】
前記中空糸膜3は、血液や透析液を流通させることができる内部空間を有する中空円筒状の膜である。この中空糸膜には無数の小さな孔が形成されており、その大きさにより、膜を通過する物質が選択される。一般的な孔の直径は、平均ポアサイズで30Å〜100Å(3×10−3〜1×10−2μm)程度である。中空糸膜は厚み方向の構造が均一である均質膜でもよいし、血液流路側の中空糸膜表面に緻密層が形成され、中空糸膜内部及び透析流路側表面に緻密層よりもかなり粗い孔を有する支持層が形成された非対称構造膜でもよい。非対称構造膜は、膜の厚みを厚くしても溶質透過性が低下しにくく、支持層により強度が高められるので均一膜より優れている。
【0010】
この発明における中空糸膜は、膜の厚みが厚くとも60μmである中空糸膜である。膜の厚みを薄くすることにより従来よりも膜の溶質透過性が高められる。中でも膜の厚みが10〜30μmであることが好ましい。上記膜厚より薄ければ特に中空糸膜の内径及び外径について制限はないが、中空糸膜の内径が100〜1000μmの範囲にあることが好ましい。中空糸膜の長さは、中空糸膜が充填されるケーシングの長さにより決定される。
【0011】
前記中空糸膜として、セルロース膜に代表される親水性膜、及びポリスルホン膜及びポリエステル膜に代表される疎水性膜を選択することができる。中でも、ポリアリレート樹脂とポリスルホン樹脂とを含むポリエステル系ポリマーアロイ膜は、本来の性質として機械的強度、耐熱性、耐薬品性に優れるだけでなく、物質の吸着能に優れるので好ましい。
【0012】
ポリエステル膜の形成に使用されるポリエステル樹脂としては、例えば、下記の式1で表される繰り返し単位を有するポリアリレート樹脂を挙げることができる。
【0013】
【化1】
Figure 2004254941
ただし、式中、R及びRは炭素数が1〜5の低級アルキル基である。R及びRは互いに同一であっても良く、あるいは相違していても良い。R及びRとしては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、及びペンチル基を挙げることができる。この発明においては、R及びRがメチル基であるのが好ましい。
【0014】
前記ポリアリレート樹脂は、例えば分子量20,000〜50,000程度であるのが好ましい。前記ポリアリレートとしては、二価フェノールと芳香族ジカルボン酸とを重縮合することにより適宜に合成したポリアリレートを用いても良く、また市販品を用いても良い。市販品としては、商標名「Uポリマー」として販売されているユニチカ(株)による製品、商標名「APE」として販売されているバイエル社による製品、商標名「DUREL」として販売されているセラニーズ社による製品、商標名「Arylon」として販売されているデュポン社による製品等を挙げることができる。
【0015】
ポリスルホン膜を形成するのに使用するポリスルホン系樹脂としては、下記の式2〜式5で表される繰り返し単位の少なくともいずれかを有するポリエーテルスルホン樹脂を挙げることができる。
【0016】
【化2】
Figure 2004254941
ただし、式中、R及びRは炭素数が1〜5の低級アルキル基である。R及びRは互いに同一であっても良く、あるいは相違していても良い。R及びRとしては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基を挙げることができる。この発明においては、R及びRがメチル基であるのが好ましい。
【0017】
【化3】
Figure 2004254941
【0018】
【化4】
Figure 2004254941
【0019】
【化5】
Figure 2004254941
前記ポリエーテルスルホン樹脂は、例えば分子量20,000〜40,000程度であるのが好ましい。前記ポリエーテルスルホンとしては、適宜に合成したポリエーテルスルホンを用いても良く、また市販品を用いても良い。市販品としては、商品名「P−3500」として販売されているユニオンカーバイド社製の製品、商標名「スミカエクセルPES」として販売されている住友化学工業(株)による製品等を挙げることができる。
【0020】
前記ポリエステル系ポリマーアロイ膜は、中でも、ポリアリレート樹脂とポリエーテルスルホン樹脂とを組み合わせたものが好ましい。ポリアリレート樹脂とポリエーテルスルホン樹脂との組み合わせにおいて、ポリアリレート樹脂(A)とポリエーテルスルホン樹脂(B)との混合重量比(A/B)は、0.1〜10、好ましくは0.3〜4、さらに好ましくは0.4〜2.5であるのが好ましい。
【0021】
前記中空糸膜は公知の方法で作製することができる。例えば、前記二種の樹脂を有機溶媒に溶解することにより調製されたポリマー原液を、二重管となった紡糸口金又は押し出しダイスから押し出して凝固液中に導入することにより、中空の紐状体もしくは糸状体として、形成することができる。
【0022】
この発明におけるスペーサーフィラメントは、その断面が異形である。この発明においては、断面異形のスペーサーフィラメントは、中空糸束中に介在することにより中空糸束の強度を確保すると共に中空糸膜同士の密着を防止して中空糸膜同士の空隙が確保される限り、スペーサーフィラメントの断面形状に特に制限がない。そのようなスペーサーフィラメントの断面形状の具体例として、楕円形、三角形、四角形、五角形以上の多角形、Y字形、三葉型、十字形、五葉型、八葉型など多様な形の断面が挙げられる。スペーサーフィラメントの異形断面を形成する方法としては、様々な形状例えば楕円形、三角形、四角形、五角形以上の多角形、三つ葉形、Y字形等の形状をしたノズル孔を有する紡糸口金を用いてスペーサーフィラメントを紡糸する方法等を挙げることができる。図2に、スペーサーフィラメントの異形断面の一例を示す。
【0023】
この発明において好適なスペーサーフィラメントはその異形度が1.5〜5であり、好ましくは2.0〜4.0である。ここで前記異形度は、図2に示されるように、スペーサーフィラメントの断面において仮想的な内接円の直径(A)と仮想的な外接円の直径(B)との比(B/A)により決定される。スペーサーフィラメントの異形度が1.5未満であると、スペーサーフィラメントの断面が円形に近くなってしまい、この発明の目的を達成することができないことがあり、また、異形度が5を越えると、紡糸口金を大きくする必要があるため不経済であり、また、スペーサ−フィラメントの強度が低くなることにより中空糸束全体の強度も低くなってしまうという不都合を生じることがある。
【0024】
スペーサーフィラメントの断面を異形にすることにより、中空糸束全体の強度が高められ、衝撃に対する中空糸膜の損傷を少なくすることができ、さらに、スペーサーフィラメントの外径を中空糸膜のそれよりも大きくすることによって、中空糸膜中空糸膜同士の接触を少なくし、中空糸膜と透析液の接触面積を増やすことで溶質透過性を向上させることができ、低分子物質のクリアランス性能を向上させることができる。
【0025】
スペーサーフィラメントの外径、すなわち、外接円直径は、通常200μmより大きく、中空糸膜の外径に対して、1〜5倍であるのが好ましく、さらには2〜4倍であるのが好ましい。スペーサ−フィラメントの外径が200μm以下であると、中空糸間の空間形成が困難となり、たとえ空間ができたとしても血液又は透析液の流れが悪くなる、といった不都合を生じる。
【0026】
前記スペーサーフィラメントは、中実であっても、また中空であってもよい。
【0027】
スペーサーフィラメントの長さは、中空糸膜と同程度の長さであるのが好ましい。さらに、スペーサフィラメントは、それ自身を嵩高くして空間を保持するために、捲縮加工が施されていてもよい。
【0028】
前記スペーサーフィラメントは、中空糸膜を補強でき、また、効果的に中空糸膜間の空間形成をすることができる繊維であればいずれの繊維を使用することもでき、特に、疎水性繊維が好ましい。疎水性繊維は、透析液中に含まれる人体に悪影響を及ぼす物質、例えば、エンドトキシンを吸着する機能を有するので、血液中にエンドトキシンが入り込むことを防止できるという利点を有する。
【0029】
疎水性繊維としては、例えば、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、1,2−ポリブタジエン、1,4−ポリブタジエン、ポリスチレン−ポリブタジエンブロックポリマー、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、及びポリブチレンテレフタレート等を挙げることができる。この発明におけるポリマーはこれらの一種単独で使用されても良く、又併用されても良い。これらの素材は、異形断面の繊維を容易に形成することができる。
【0030】
この発明において、スペーサーフィラメントは、既に説明した中空糸膜と同じ材料で形成されるのが好ましく、中でも、前記ポリアリレート樹脂とポリエーテルスルホン樹脂とを組み合わせたポリエステル系ポリマーアロイが特に好ましい。このようにスペーサーフィラメントと中空糸膜との材料が共に前記ポリエステル系ポリマーアロイであると、エンドトキシンの吸着が促進されて良好な透析が行われることができる。
【0031】
前記スペーサーフィラメントは、公知の溶融紡糸方法、乾式紡糸方法、湿式紡糸方法等により製造することができる。
【0032】
中空糸束は、複数の中空糸膜と複数のスペーサーフィラメントとを有して成る。通常、中空糸束を形成するための中空糸膜は、5,000〜20,000本である。この場合、スペーサーフィラメントは、中空糸束100本当り5〜50本の割合で、中空糸束内に含まれている。スペーサーフィラメントの中空糸束内における本数が、5本よりも少ないと効果的に空間形成ができないという不都合を生じることがあり、また50本よりも多いとケーシング内に装填される中空糸膜の充填率が低くなるという不都合を生じることがある。
【0033】
図3に前記中空糸束の間に中実のスペーサーフィラメントを介在させた一例を示す。この例では、ケーシング1内に中空糸膜3とスペーサーフィラメント2とがほぼ均一に分散して配置されている。図3に示すように中空糸束4における中空糸膜3とスペーサーフィラメント2との断面分布状態としては、中空糸束4内にスペーサーフィラメント2が均一に分布していることが望ましい。スペーサーフィラメントが均一に分布することにより、中空糸膜がよりいっそう補強され、血液浄化器の強度をより高めることができる。
【0034】
スペーサ−フィラメント2が中空糸束4中に存在すると、図4に示されるように、中空糸膜3同士の密着が防止され、中空糸膜3同士の間に空間が確保されることにより血液浄化器の溶質透過性を向上させることができ、図5に示されるように、中空糸膜3同士の密着が防止され、また中空糸束4全体の強度を向上させることができてこの血液浄化器に衝撃を加えても中空糸膜自体が容易に破損するといった欠点が解消される。
【0035】
前記多数の中空糸膜の集合体中にスペーサーフィラメントを分布させる方法としては、特殊な紡糸口金を用いて中空糸膜とスペーサーフィラメントとを同時に紡糸する方法等を挙げることができる。前記特殊な紡糸口金としては、中空糸膜を紡糸することができるように二重管構成としたノズル孔と、中実で断面異形のスペーサーフィラメントを紡糸することのできるようにしたノズル孔とを備えて成り、かつ中空糸膜とスペーサ−フィラメントとの構成本数に従って決められたノズル孔数を有する紡糸口金を挙げることができる。また、中空糸膜とスペーサフィラメントとを別個独立に紡糸し、製造された中空糸膜とスペーサフィラメントとを後の工程で混繊することにより、前記多数の中空糸膜の集合体中にスペーサーフィラメントを分散させるのも、良い。
【0036】
この発明に係る血液浄化器は、通常、血液透析療法、血液濾過療法、血液透析濾過療法、血液吸着療法、及び血漿交換療法等の血液浄化療法等に使用することができる。
【0037】
【実施例】
(実施例1)
N−メチルピロリドン中に前記式(1)に示す構造式を持つポリアリレート樹脂(株)ユニチカ製、商品名Uポリマー)と前記式(3)に示す構造式を持つポリエーテルスルホン樹脂(住友化学(株)製、商品名スミカエクセルPES)とをそれぞれ8重量%となるように溶解し、中実で断面異形のスペーサーフィラメント(以下、中実糸と表記する)及び中空糸の紡糸原液とした。またN−メチルピロリドンの50重量%水溶液をそれぞれ芯液及び凝固液とし、ポリエステル系ポリマーアロイ(以下、PEPAと表記する)の中実で断面異形のスペーサーフィラメント及び中空糸膜をそれぞれ別個独立に紡糸した。
【0038】
それら中空糸膜及びスペーサーフィラメントそれぞれの内径及び膜厚、スペーサーフィラメントを紡糸するノズル孔の形状を表1に示した。
【0039】
表1に示す本数の中空糸膜と表1に示す本数のスペーサーフィラメントとを用いて中空糸束を作成した。続いてこの中空糸束を円筒状のケーシング内に装填し、ウレタン樹脂にて端部を接着してモジュール化した。このモジュールの両端部に血液ポートを接続して血液浄化器を作成した。
【0040】
(比較例1)
実施例1と同じ材料を用いて表1に示す内径及び膜厚を有する中空糸膜を製造した。また、実施例1と同じ材料を用いて表1に示す内径及び膜厚を有するスペーサーフィラメントを、表1に示すような円形のノズル孔を有する紡糸口金により、紡糸して得た。
【0041】
表1にそれぞれ示す本数の中空糸膜とスペーサーフィラメントとを用いて中空糸束を作成した。
【0042】
(比較例2)
実施例1と同じ中空糸膜を用いて、表1に示す本数の中空糸束を作成し、この中空糸束を用いて実施例1と同様にして血液浄化器を作成した。
【0043】
【表1】
Figure 2004254941
【0044】
(耐衝撃性試験)
実施例1、実施例2、比較例1の血液浄化器を用いて落下試験を行い、その後のリーク率を調べた。落下試験はJIS Z202包装貨物−落下試験方法に準じ、高さ80cmからの自由落下とした。リークの検出は、血液浄化器の透析液側流路に水を満たし、血液浄化器の血液側流路に空気で1kgf/cmの圧力を加え、透析液側流路への空気の漏出の有無で判断した。尚リーク率は、リーク本数/総試験本数×100で算出した。
【0045】
(溶質透過性試験)
実施例1、実施例2、比較例1の血液浄化器について、牛血漿系クリアランスを測定した。測定方法は以下の通りである。
【0046】
総タンパク質濃度を6.5±0.5g/dlに調整した牛血漿を、血液浄化器の血液側流路に流量200ml/minで流した。また血液浄化器の透析液側流路に透析液を流量500ml/minで流した。尚、牛血漿と透析液は対向流とした。透析開始から60分後に血液入口側及び血液出口側の牛血漿を取り出し、各溶質濃度を測定した。クリアランスは以下の式(6)より算出した。測定対象溶質は、尿素及びβ−マイクログロブリン(以下β2−MGと表記する)とした。
【0047】
【数1】
Figure 2004254941
ここで、CLはクリアランス(ml/min)、CBiは血液入口側溶質濃度、CBoは血液出口側溶質濃度、QBiは血液入口側血漿流量である。
【0048】
耐衝撃性試験及び溶質透過性試験の結果を表2に示した。
【0049】
中実糸を介在させた実施例1は、比較例1に用いた中空糸と同材料及び同形状の中空糸を用いているにも関わらず比較例1と比べて、低いリーク率を示した。また、実施例1及び実施例2は比較例1と比べて同等、若しくはそれ以上の尿素クリアランス及びβ2−MGクリアランスを示した。一方、中実糸を介在させずに中空糸の膜厚を30μmとした比較例1は、実施例1よりも低い尿素クリアランス及びβ2−MGクリアランスを示し、さらに、リーク率も高く、機械的強度が劣る。
【0050】
実施例2に比べて実施例1は、実施例2よりもさらに高い尿素クリアランス及びβ2−MGクリアランスを示し、また、低いリーク率を示した。
【0051】
【表2】
Figure 2004254941
【0052】
【発明の効果】
中実糸を中空糸束に介在させることにより、また、該中実糸の断面形状を従来使用していた円形から多角形へと変えることにより、血液浄化器の機械的強度を向上させることができた。また、機械的強度を保持できるため、従来よりも細いあるいは薄い中空糸膜が使用可能となり、さらには、溶質除去性能を格段に向上させることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の血液浄化器の一例を示す側面図である。
【図2】図2は、一例として示されたスペーサーフィラメントの断面を示す断面図である。
【図3】図3は、本発明の血液浄化器の一例を示す断面図である。
【図4】図4は、本発明の血液浄化器に使用される一例としての中空糸束の部分を拡大して示す部分拡大斜視図である。
【図5】図5は、従来の血液浄化器に使用される中空糸膜の一例を示す一部拡大斜視図である。
【符号の説明】
1 ケーシング 16 透析液流出口
2 スペーサーフィラメント 17 血液注入口
3 中空糸膜 18 血液流出口
4 中空糸束 20 内接円
5 孔 21 外接円
10 血液浄化器
13 注入側エンドキャップ
14 排出側エンドキャップ
15 透析液流入口

Claims (5)

  1. 中空糸膜と、前記中空糸膜間に介在し、断面が異形であるスペーサーフィラメントとを有する中空糸束を有して成ることを特徴とする血液浄化器。
  2. 中空糸膜と、前記中空糸膜間に介在し、前記中空糸膜の断面直径よりも大きな断面直径を有するスペーサーフィラメントとを有する中空糸束を有して成ることを特徴とする血液浄化器。
  3. 前記中空糸膜と前記スペーサーフィラメントとが共に同じ素材で形成されて成る前記請求項1又は2に記載の血液浄化器。
  4. 前記素材が疎水性樹脂である前記請求項3に記載の血液浄化器。
  5. 前記疎水性樹脂がポリアリレート樹脂とポリエーテルスルホン樹脂とからなるポリマーアロイである前記請求項4に記載の血液浄化器。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2016193178A (ja) * 2015-03-31 2016-11-17 東レ株式会社 浄化カラム
JP2017186722A (ja) * 2016-03-31 2017-10-12 東レ株式会社 繊維材料及び浄化カラム

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