JP2004251783A - 球面収差測定装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】光ピックアップ装置の対物レンズ6から出射し、カバーガラス14に対して収束、発散した光ビームを、結合レンズ16を介して集光レンズ22により収差検出用受光素子23に集光させる。収差検出用受光素子23では、集光された光ビームの断面において、光軸に対して近傍の第1受光領域の受光量、及び光軸に対して遠方の第2受光領域の受光量をそれぞれ測定することができ、かつ、球面収差が最小になるときに、各受光領域における受光量の関係が予め定めた関係になるように設定する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ピックアップ装置などの集光光学系において発生する球面収差を測定するための球面収差測定装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、情報記録の分野において光学情報記録・再生方式に関する技術の開発が進められている。この光学情報記録・再生方式は、光ディスク等の情報記録媒体に非接触で記録・再生が行えること、再生専用型や追記型、書き換え可能型といった情報記録媒体のそれぞれのメモリ形態に対応できること等の数々の利点を有している。よって、安価な大容量メディアを実現し得るものとして、産業用から民生用まで幅広く利用されている。
【0003】
これら光学情報記録・再生方式に関する最近の流れとしては、1)CD、DVDなどの120mm径ディスクのように、既にデファクトスタンダードとなった形状の光ディスクにおいて、単位面積あたりの情報記録容量を増加させる、2)単位面積あたりの情報記録容量を減少させず、光ディスク及び光ディスク記録・再生装置の大きさを小さくする、という2つの座標軸が挙げられ、近年盛んに研究が行われている。
【0004】
単位面積あたりの情報記録容量の増加した光ディスクの再生・記録に対応するには、光ピックアップ装置において、光ディスクの情報記録層上に集光される光ビームのスポット径を小さくすることが必要である。このスポット径を小さくする方法としては、光源の波長を短くする、対物レンズの開口数(NA:Numerical Aperture)を大きくするといった方法が挙げられる。
【0005】
光源の短波長化については、近年の青色半導体レーザの出現により大きな飛躍を遂げたが、更なる短波長化に関しては、量産部品である光学部品の光の吸収が問題となること等頭打ちの状態にある。
【0006】
一方、レンズNAの増大については、レンズ設計により2枚組みレンズ、単レンズ双方において高NAのレンズ設計は可能である。
【0007】
しかし、高NAレンズを用いると、光ディスクのカバーガラスの厚み誤差による球面収差、及びディスクチルトによるコマ収差の影響が大きくなるといった問題点がある。後者のコマ収差については、カバーガラスの厚みを0.1mm程度に薄くすることで、影響を逃れることができる。しかし、前者の球面収差については、光ディスク入れ替え時に最大5μm程度の厚み誤差が生じるため、影響を免れない。よって、対物レンズアクチュエータによるフォーカスサーボだけではスポットが絞れなくなるので、別途球面収差補償のための機構を設ける必要がある。
【0008】
上記球面収差補償のための機構として球面収差補償素子を用いた光ピックアップ装置の一例を図9に示す。図9に示すように、半導体レーザ1から出射された光ビームは、コリメートレンズ2により平行光束化され、偏光分岐素子3を透過する。さらに、光ビームは、収差補償第1レンズ4aにより光束径を拡大され、収差補償第2レンズ4bにより平行光束化された後、2枚組の対物レンズ6によりに集光される。
【0009】
一般に、光ディスク7では、埃や傷から情報記録層を保護するために、情報記録層がカバーガラス14で覆われている。従って、対物レンズ6を透過した光ビームは、カバーガラス14を通過して、情報記録層上で集光されて焦点を結ぶことになる。
【0010】
光ディスク7からの反射光は、入射光と逆の光路を辿った後に偏光分岐素子3で反射され、スポットレンズ8で集光された後、円柱レンズ9を通って、受光素子10に照射される。この受光素子10は、同一平面上に多分割の受光部を持っており、記録信号、及びサーボ信号を検出する。
【0011】
このような光ピックアップ装置では、ピックアップの特性がほぼ光ディスク上のスポットサイズにのみに依存するので、スポットサイズが仕様を満たさない場合、光ディスク上の記録・再生において信号特性が十分でなくなる。よって、光ピックアップ装置出荷時の検査工程では、球面収差を検出し、球面収差が最小となるように調整を行った後に、スポットサイズの測定を行う必要がある。この測定により、光ピックアップ装置は、記録媒体の記録・再生に必要十分なスポットサイズを得られるようになる。以下で、光ピックアップ装置の出荷時の検査工程について図10を用いて説明する。
【0012】
初めに、半導体レーザ1、コリメートレンズ2、及び偏光分岐素子3を実装した状態で、コリメートレンズ2からの出射光が平行光束となるように光軸方向にコリメートレンズ2の調整を行った後、光軸方向に垂直な平面内で半導体レーザ1の光軸調整を行う(▲1▼)。
【0013】
次に、2つのレンズからなる球面収差補償素子4を実装し、収差補償第2レンズ4bからの出射光が平行光束となるようにし(▲2▼)、対物レンズ6を実装した状態で、球面収差が最小となるように、上記Lの調整を行う(▲3▼)。
【0014】
その後、ピックアップチェッカを用いて、集光スポットのサイズ(スポットサイズ)、及びスポット形状の最終確認を行う(▲4▼)。
【0015】
なお、▲3▼における球面収差の調整は、図11に示すような測定セットを用いて行われる。つまり、シェアリング干渉計17(例えば、米国Sextant Lab社製)により得られる、光ピックアップ装置43の球面収差を、パーソナルコンピュータ19で解析する。この解析により得られる収差データを基にLを調整して、球面収差の補償を行う。
【0016】
一方、集光光学系にホログラム素子を配置して、ディスク厚み誤差に由来して生じる球面収差を検出する光ピックアップ装置が考案されている(例えば、特許文献1)。この装置では、図12に示すように、半導体レーザ41から出射された光ビームは、光ディスク37で反射され、対物レンズ36、コリメートレンズ38の順に通過して、ホログラム素子33に入射する。光ビームは、このホログラム素子33で回折され、光軸に近い側の光ビームと光軸から遠い側の光ビームとの2種類に分けられる。ホログラム素子33により2種類に分けられた光ビームを、半導体レーザ41と同一パッケージ上に実装された2つの検出装置27・28にそれぞれ導き信号強度を検出する。そして、各々の光ビーム焦点位置の違いによって生じる球面収差を検出する。
【0017】
上記のように球面収差量を検出して、別途設ける収差補償機構により球面収差を削減することにより、収差特性を向上させ、記録媒体上の集光スポットのサイズを回折限界まで絞ることができる。よって、光ピックアップ装置としては、記録/再生時における信号特性(C/N比、ジッタ量など)を向上させることができる。
【0018】
【特許文献1】
特開2002−157756号公報(2002年5月31日公開)
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
従来の球面収差の調整では、特に▲3▼の工程で、シェアリング干渉計といった高額な設備を必要とするといった問題点がある。また、▲3▼の工程における球面収差の調整は時間がかかってしまう。よって、光ピックアップ装置を量産する場合には、平行処理を行う都合上、上記の高価な装置を複数台用意しなければならないので、設備投資にも費用がかかってしまうことになる。
【0020】
また、上記特許文献1に開示された光ピックアップ装置のように、ホログラム素子を光路中に配置すると、ホログラム素子の回折によって往路・復路における光利用効率の低下につながる。よって、ホログラム素子を配置することは、現在利用されている青色レーザなどのようにこれまでの半導体レーザに比べて光源の出力が上げられない場合などには不向きであるという問題点がある。さらに、このピックアップ装置の検査では、検出装置27・28の端子からのモニタを行うために、検出装置27・28の結線の必要がある。よって、工程が煩雑化され、検査時間がかかってしまうという問題点もある。
【0021】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、高価な装置を必要としない、また、光利用効率の低下が生じない、さらに球面収差の調整に煩雑な工程がなく時間を長くかけなくてすむ、球面収差測定装置を提供することにある。
【0022】
【課題を解決するための手段】
本発明の球面収差測定装置は、上記の課題を解決するために、光源からの光ビームを、球面収差補償手段を介した後、対物レンズにより記録媒体の記録面を保護する光透過層を介して上記記録面上に集光させる光ピックアップ装置の、球面収差を測定する球面収差測定装置において、上記光ピックアップ装置の対物レンズから出射し、上記光透過層と光学的に等価な光学部材に対して収束、発散した光ビームを、所定の焦点に対して集光させる集光手段と、上記集光手段により集光された光ビームを受光するように上記焦点の位置に配置された受光手段とを備え、上記受光手段は、上記集光された光ビームの断面において、光軸に対して近傍の第1受光領域の受光量、及び光軸に対して遠方の第2受光領域の受光量をそれぞれ測定可能であり、かつ、上記球面収差補償手段を調整して上記光学部材に対して集光された光ビームの球面収差が最小になるときに、上記第1及び第2受光領域における受光量の関係が予め定めた関係になるように設定されていることを特徴としている。
【0023】
上記構成によれば、光ピックアップ装置の球面収差を測定する際、所定の焦点に対して集光させる集光手段により、光ピックアップ装置の対物レンズを通過し、記録媒体の光透過層と光学的に等価な光学部材を介して発散した光ビームを、上記焦点の位置に配置された受光手段に集光させることができる。また、受光手段では、光軸に対して相対的に近傍の第1受光領域、及び光軸に対して相対的に遠方の第2受光領域がそれぞれ受光する光ビームの受光量を測定することができる。この第1及び第2受光領域の受光量の関係は、球面収差補償手段を調整して光ピックアップ装置の球面収差が最小になるときに、予め定められた関係になる。
【0024】
よって、第1及び第2受光領域の受光量の関係が予め定められた関係になるとき球面収差が最小になっており、定められた関係になっていないとき球面収差が最小ではない、といったように球面収差を測定することができる。従って、受光手段の第1及び第2受光領域で受光する受光量が予め定められた関係となるように、光ピックアップ装置の球面収差補償手段を調整することで、光ピックアップ装置の球面収差最小にすることができる。
【0025】
従来は、光ピックアップ装置の組立・調整時にシェアリング干渉計を用いて球面収差の調整を行っていたが、シェアリング干渉計は高価である上に、球面収差を補正する工程は煩雑で時間がかかる作業であるので量産には向かない。これに対し、上記構成では、高価なシェアリング干渉計を用いることなく、受光手段で受光する光ビームの受光量を測定することで光ピックアップ装置の球面収差を測定することができる。よって光ピックアップ装置を量産する場合にも、球面収差の測定のための設備のコストを削減することができる。
【0026】
また、光路中にホログラム素子を配置するような従来の光ピックアップ装置では、ホログラム素子の回折によって往路・復路における光利用効率の低下を招来する。これに対して、上記構成では、ホログラム素子等を配置することはないので、光利用効率は低下しない。よって、青色レーザなどのように出力が上げられない光源を用いる光ピックアップ装置においても、球面収差を有効に測定することができる。
【0027】
本発明の球面収差測定装置は、上記構成に加え、上記集光手段は、光ビームを、一旦平行化した後に所定の焦点に対して集光し、上記平行化には、上記対物レンズの開口数より大きな開口数を有するレンズを用いることを特徴としている。
【0028】
上記構成によれば、光ピックアップ装置の対物レンズの開口数よりも大きな開口数を有するレンズを用いて、光学部材に対して収束、発散した光ビームを一旦平行化する。このため、対物レンズを通過し、記録媒体の光透過層と光学的に等価な光学部材を介して発散した光ビームの光束を確実に欠けることなく受光手段に集光させることができる。よって、光ピックアップ装置の球面収差の測定を正確に行うことができる。なぜなら、球面収差は、光束の外周部分で特に顕著に変動するので、光ビームの光束を欠けることなく受光手段に集光させることで、球面収差を正確に測定することができるからである。また、上記レンズにより平行化された光ビームを反射ミラー等の光学部材を介し受光手段に集光させることができるため、受光手段の配置を自由に行うことができる。
【0029】
本発明の球面収差測定装置は、上記構成に加え、上記第1及び第2受光領域は光軸を中心とした同心円状の領域からなることを特徴としている。
【0030】
上記構成によれば、第1及び第2受光領域は光軸を中心とした同心円状の受光領域で受光された光ビームの受光量を、それぞれの領域に対して測定することができる。同心円の中心を光ビームの光軸の中心と一致させてあるので、光ビームの断面に則して効率よく受光量を測定することができる。また、同心円の中心は光ビームの光軸であるので、予め定める受光量の関係を、第1及び第2受光領域の設定に反映させ易い。
【0031】
本発明の球面収差測定装置は、上記構成に加え、上記受光手段は、上記球面収差補償手段を調整して上記光学部材に対して集光された光ビームの球面収差が最小になるときに、上記第1及び第2受光領域における受光量が等しくなるように設定されていることを特徴としている。
【0032】
上記構成によれば、光ビームの球面収差が最小になるときに、上記第1及び第2受光領域における受光量が等しくなるように予め設定されている。よって、球面収差を測定したい光ピックアップ装置に対し、第1及び第2受光領域の受光量の関係が等しくなるように、球面収差補償手段を調整すると、この光ピックアップ装置の球面収差を最小とすることができる。
【0033】
本発明の球面収差測定装置は、上記構成に加え、上記第1受光領域の外径は5μm以上であることを特徴としている。
【0034】
上記構成によれば、第1受光領域の外径は5μm以上であるため、受光領域の加工が行いやすくなる。また、上記構成では、同心円状の外側の領域との間に、非接触領域を設けた場合にも、受光量の差の検出を確実に行うことができる。
【0035】
本発明の球面収差測定装置は、上記構成に加え、上記光学部材を介した後の光ビームを複数の光ビームに分割するとともに、分割された光ビームの1つを上記受光手段に導く光分岐手段と、分割された光ビームの他の1つを受光して光ビームのスポット形状を測定するスポット形状測定手段とを備えることを特徴とする特徴としている。
【0036】
上記構成によれば、光ピックアップ装置を通過し、記録媒体の光透過層と光学的に等価な光学部材を介して発散した光ビームを受光手段に集光する前に、光分岐手段にて光ビームを分割させることができる。そして、分割された光ビームの1つを受光手段、別の分割された光ビームをスポット形状測定手段で受光することができる。よって、受光手段を用いて球面収差の測定により球面収差を補正し、球面収差の補正が完了された光ピックアップ装置の集光スポットを、スポット形状測定手段で観測することができる。従って、別途光ピックアップ装置の光学系の調整を行うことなくスポットサイズの確認ができるので、光ピックアップ装置の組立・調整時において、作業時間が削減される。よって、上記構成は光ピックアップ装置を量産する場合に適している。
【0037】
また、対物レンズの開口数より大きな開口数を有するレンズを用いて光学部材に対して収束、発散した光ビームを一旦平行化した場合には、平行光束化された光ビームの行路に光分岐素子を配置することで、集光スポット測定と球面収差測定を同時に行う際に、光学系の配置の自由度を高くすることができる。
【0038】
【発明の実施の形態】
〔実施形態1〕
本発明の球面収差測定装置に関する実施の一形態について図1ないし図7、および図9に基づいて説明すれば以下のとおりである。なお、本実施形態では、本発明の収差測定装置を光ピックアップ装置の球面収差測定に適用した例について説明する。
【0039】
(光ピックアップ装置の構成)
本実施形態に係る光ピックアップ装置について図9を用いて説明する。図9に示すように、本実施形態に係る光ピックアップ装置の光学系13は、半導体レーザ1、コリメートレンズ2、偏光分岐素子3、球面収差補償素子4、対物レンズ6を有している。
【0040】
本実施形態に係る光ピックアップ装置では、光源である半導体レーザ1から出射された光ビームは、コリメートレンズ2により平行光束化され、偏光分岐素子3を透過する。半導体レーザ1は光源であり、例えば、波長405nmの光ビームを出射する。なお、半導体レーザ1から出射される光ビームの波長は、特に限定されていないが、光ビームのスポット径を小さくするために短波長であることが好ましい。コリメートレンズ2は、半導体レーザ1から出射された光ビームを平行光に変換する。偏光分岐素子3は、入射面に平行な偏光方向をもつ光波を透過させ、入射面に垂直な偏光方向をもつ光波を反射させる。
【0041】
偏光分岐素子3を透過した光ビームは、その後、収差補償第1レンズ4a及び収差補償第2レンズ4bからなる球面収差補償素子4を透過する。球面収差補償素子4は、球面収差補償手段であり、偏光分岐素子3を透過した光ビームが後述の対物レンズ6によって集光される際に、カバーガラス14の厚み誤差に起因して発生する球面収差を補正するものである。収差補償第1レンズ4a及び収差補償第2レンズ4bの少なくとも一方を光軸方向に移動させ球面収差を補正する。このように、収差補償第1レンズ4aと収差補償第2レンズ4bとの間隔、つまり、球面収差補償素子4のレンズ間隔(L)を変えることにより光ディスクのカバー層の厚み誤差で発生する球面収差を補正することができる。
【0042】
収差補償第1レンズ4aは、光ビームの光路上で半導体レーザ1側に配置され、光ビームの光束径を拡大するレンズである。収差補償第2レンズ4bは、光ビームの光路上で対物レンズ側に配置され、光ビームを平行光束化するレンズである。しかし、球面収差を補償することのできるレンズ構成であれば、これ以外の構成でもかまわない。また、球面収差補償素子4の代わりに、液晶駆動素子を用いた球面収差補正手段などを用いてもよい。
【0043】
球面収差補償素子4を透過した光ビームは、0.8以上のNAを持つ対物レンズ6によって集光される。なお、本実施形態では、対物レンズ6として、2枚のレンズからなるレンズを用いたが、単レンズなどを用いてもかまわない。また、対物レンズのNAは0.85とする。なお、球面収差は特に対物レンズのNAが0.8以上の場合に顕著に表れるため、本実施形態では対物レンズ6のNAを0.8以上としているが、特にこの値に限定されるものではない。
【0044】
なお、光ピックアップ装置は、コリメートレンズ2と偏光分岐素子3との間に、任意の倍率にビーム整形を行うためのビーム整形素子、レーザ出射光の偏光方向調整のためのλ/2板などを配置する構成であってもよい。さらに、偏光分岐素子3と対物レンズ6との間に直線偏光を円偏光に変換するためのλ/4板を配置するような構成であってもよい。
【0045】
なお、本実施形態の光ピックアップ装置は、従来と同様に、スポットレンズ8、円柱レンズ9、及び受光素子10を有している(図9参照)。
【0046】
(球面収差測定装置)
本実施形態の球面収差測定装置について図1を用いて説明する。図1に示すように、本実施形態の球面収差測定装置40は、結合レンズ15、集光レンズ22、収差検出用受光素子23を有している。
【0047】
上述した光ピックアップ装置の対物レンズ6によって集光された光ビームは、光ディスク7の光透過層(カバー層)と同じ厚み、屈折率からなるカバーガラス14に収束し、発散した後、結合レンズ15を透過し平行光束化される。なお、このカバーガラス14が、記録媒体である光ディスク7の記録面を保護する光透過層と光学的に等価な光学部材である。平行光束化された光ビームは、所定の焦点距離(f)を有する集光レンズ22によって、受光手段である収差検出用受光素子23に集光される。なお、本実施形態では結合レンズ15と集光レンズ22とにより集光手段が構成される。
【0048】
ここで、結合レンズ15は、対物レンズ6のNAより大きいNAであるのが特に好ましい。これは以下の理由による。対物レンズ6のNA以上のNAを有する結合レンズ15でなければ、対物レンズ6から出射する光ビームの全てを拾うことができず、光ビームの光束の外周部分を収差検出用受光素子23に集光させることができなくなる。一方、球面収差は、光束の外周部分で特に顕著に変動するため、光ビームの外周部分を収差検出用受光素子23に集光できないと球面収差を正確に測定することができなくなる。従って、球面収差の測定の正確さを期すためには、対物レンズ6のNAより大きなNAを有する結合レンズを用いるのが好ましい。本実施形態では、対物レンズ6のNA=0.85に対してNA=0.95とするが、これは単なる例示でありこの値に限定はされない。
【0049】
また、本実施形態に係るピックアップ装置の光学系13の球面収差のみを検出するために、結合レンズ15及び集光レンズ22は、球面収差の少ないものを使用するのが好ましい。一般的には、rms≦30mλのレンズを用いる。
【0050】
光ビームを収差検出用受光素子23に集光させる光学系は、上記には限らず、カバーガラス14に収束し、発散した光ビームを全て収差検出用受光素子23に集光させることができる構成であればよい。例えば、一旦平行化せずに集光レンズのみで収差検出用受光素子23に集光させる構成でもよい。この場合、対物レンズ6のNAが大きいため、球面収差を補正するためにはレンズ設計上、集光レンズを群レンズ化することになる。
【0051】
球面収差検出を行う収差検出用受光素子23を受光面側から見た概略図を図2(a)に示す。図2(a)に示すように、収差検出用受光素子23は、フォトダイオード等から形成される受光領域を有している。受光領域は、外径をφ1およびφ2とする同心円状の第1受光領域である領域D1、及び第2受光領域である領域D2から構成されている。領域D1及び領域D2は同一平面状にあり、領域D2はドーナツ状であり、円形状の領域D1をドーナツの穴に配置したような状態となっている。なお、本実施形態では第1及び第2受光領域を上記のような外形に設定したが、光軸に対して近傍の第1受光領域の受光量、及び光軸に対して遠方の第2受光領域の受光量をそれぞれ測定することができれば、上記の外形には限定はされない。
【0052】
φ1およびφ2は、測定対象となる光ピックアップ装置の光学系13(図9参照)で球面収差が最小のときに、領域D1と領域D2とで受光する受光量が等しくなるように設定される。これは、下記で説明する光学シミュレーションにより、光ビームの収差検出用受光素子23上での光量の強度分布を計算することで決定される。なお、φ1およびφ2は、球面収差が最小のときに、領域D1・D2の受光量の関係がある一定の関係となるように設定すれば、上記の設定には限らない。
【0053】
領域D1・D2はそれぞれ、電極24・25と繋がっている。それぞれの領域の電極24・25と収差検出用受光素子23の裏面(図示せず)に設けられた対向電極との間の電流、または電圧値により、領域D1および領域D2に照射する受光量をモニタすることで、光量の分布がわかる。受光量は、各電極24・25と繋げられている検出器(図示せず)により測定される。なお、領域D1と領域D2との間には、互いの電気的クロストークを防ぐ為に、図2(a)に示すような不感領域を設ける必要がある。この不感領域の幅(δD)は、球面収差の検出精度、及び光利用効率の点から、電気的クロストークを防げる限りできるだけ狭いことが好ましい。
【0054】
(光学シミュレーション)
本実施形態の収差測定用装置に関する光学シミュレーションについて以下で説明する。
【0055】
図1の球面収差測定装置において光ビームが収差検出用受光素子23上に照射されたときの、光量分布の光学シミュレーション結果を図2(b)に示す。図2(b)より、集光レンズ22によって収差検出用受光素子23の受光領域に照射された光ビームが(図1参照)、受光領域の中心を軸にガウス分布様に照射される様子がわかる。
【0056】
収差検出用受光素子23の受光領域での光量分布は、球面収差補償素子4のレンズ間隔誤差(δL)によって生じる球面収差のために図3(a)〜図3(c)のように変化する。ここで、レンズ間隔誤差とは、球面収差が最小のときのLに対する、球面収差発生時のずれ幅を表している。したがって、δL=0とは、球面収差が最小となっている場合を表している。δL<0とδL>0とは、どちらも球面収差が発生していて、それぞれ、球面収差が発生していないときよりもLが短い場合と長い場合とを表している。
【0057】
図3(b)に示すように、δL=0mmのとき、即ち、光学系13での球面収差が最小になる位置において、領域D1の受光量(S1)と領域D2の受光量(S2)とが同等になるようにφ1およびφ2を設定することができる。
【0058】
このようにφ1およびφ2を設定しておくと、図3(a)に示すように、δL<0(本図では、δL=−0.3mmとする)では、Lが短くなり、収差検出用受光素子23の中央部分の受光量が相対的に増して、D1領域の受光量が相対的に多くなる。
【0059】
ここで、図3(a)と(b)とを比べると、δL=−0.3mmのスポットは一見、δL=0mmよりもスポット形状が小さく見えて、光ビームは絞れているように見える。しかし、球面収差の増大によって周囲に2次リングが発生するために、集光スポットサイズ、即ち、光ビームの中央部に対する相対強度が1/e2になる半径位置としては、後に説明する図5に示すように、δL=−0.3mmの方がδL=0mmのスポットサイズよりも大きくなる。これは以下の理由による。
【0060】
球面収差の増加にしたがって増加する波面収差とスポットサイズとには図6に示すような関係がある。図6(a)に示すように、波面収差はδL=0で最小となり、スポットサイズもδL=0で最小となる。よって、図6(b)に示すように、波面収差が増加するに従ってスポットサイズも増加する。スポットサイズは、光ビームの中央部に対する相対強度が1/e2になる半径位置であるため、概ね光量の強度分布を示すための数値であると考えてよい。
【0061】
以上により、図3(b)では球面収差が最小になるときをS1=S2となるようφ1とφ2とを設定したので、スポットサイズも最小となっている。これ対し、図3(a)では、球面収差が増大し、S1とS2の受光量差が大きくなっているので、スポットサイズが大きくなっている。
【0062】
また、上記のようにφ1およびφ2を設定しておくと、図3(c)に示すように、δL>0(本図では、δL=0.3mmとする)では、Lが長くなり、球面収差が増大して、光ビームが外周部分に拡散してD2領域の受光量(S2)が減少するので、相対的にS1が多くなる。また、スポットサイズも大きくなっている(図4参照)。
【0063】
上記のような光量分布の変化を、S1およびS2全体の受光量に対するS1とS2との間の受光量差、即ち、演算式(S1−S2)/(S1+S2)により計算する。横軸に球面収差補償素子4のレンズ間隔誤差であるδL、縦軸に上記演算式より算出された値をとったグラフを図4に示す。図4に示すように、δL=0のときは、領域D1への光ビームの照射量と領域D2とへの光ビームの照射量とが等しくなるため、上記演算式の値は0になる。しかし、上記のようにδLの減少や増大に伴い、領域D1及び領域D2の間の受光量差が増加するために、上記演算式の値は増加する。
【0064】
上記の光学シミュレーションから、受光領域における光量分布、つまり領域D1及び領域D2の受光量を測定することにより、球面収差が最小となることを検出できることがわかる。よって、実際の球面収差の測定においても、収差検出用受光素子23を用いて、S1、S2をモニタしながら受光量差が小さくなるようにLを調整することで、光ピックアップ装置の光学系13における球面収差の補償を行うことができる。なお、Lの調整は、駆動モータ等(図示せず)を用いて収差補償第1レンズ4aおよび収差補償第2レンズ4bのすくなくとも一方を光軸方向に移動させることで行えばよい。
【0065】
上記のように球面収差を補償することによって、図9のように光ディスク7の情報記録層上に集光した際の光ビームのスポットサイズは、図5に見られるように、δL=0の位置で最小になる。図5は、縦軸にカバーガラス14を通過して光ディスクの情報記録層上に集光した際のスポットサイズを、横軸にレンズ間隔誤差(δL)を取ったグラフである。図5に示すように、δLが0から離れるにしたがって、スポットサイズは大きくなる。スポットサイズの集光特性は、光ディスクへの記録の際に、ディスク内の隣接トラックへのCross−writeの原因に、また、再生の際には隣接トラックからのCross−talkの原因となる。よって、光ピックアップ装置の情報の記録・再生特性を充分発揮するためには、スポットサイズを、充分小さくする必要がある。
【0066】
なお、本実施形態では、上記光学シミュレーションには波動光学に基づくソフトウエアを使用し、光源波長はλ=405nmm、各部材の光学パラメータは下記の値を用いる。
【0067】
コリメートレンズ2:焦点距離=8.13mm,NA=0.156、収差補償第1レンズ4a:R(第1面)=32.7mm,R(第2面)=17.4mm,レンズ厚み=1.0mm,硝材:SF4、収差補償第2レンズ4b:R(第1面)=∞,R(第2面)=11.1mm,レンズ厚み=1.42mm,硝材:BK7、対物レンズ6: 有効径=3.0mm,NA=0.85、カバーガラス14:厚み=0.1mm,硝材:BK7、結合レンズ15:NA=0.95(f=1.579mm)、集光レンズ22:f=500mm、受光領域の外径:φ1=10μm,φ2=100μm,δD=5μm。なお、上記収差補償第1・第2レンズの第1面と第2面とは、それぞれ、半導体レーザ1側の面、対物レンズ6側の面を示すものとする。
【0068】
なお、光学シミュレーションにおいて集光レンズ22の焦点距離(f)はf=500mmと設定したが、必ずしもこれに限定されるものでない。しかしながら、fをこれより短くした場合、収差検出用受光素子23上のスポットサイズは、fに比例して小さくなるため、領域D1および領域D2も同様に小さくする必要がある。一方、収差検出用受光素子23は、受光領域が小さくなるにしたがって加工が難しくなり、また、不感領域を設けた際の検出精度を確保する点からもφ1=5μm程度が限界とされる。したがって、上記光学シミュレーションにおける収差検出用受光素子23との比例関係から、本実施形態では焦点距離はf≧250mm(=500×5/10)とする必要がある。
【0069】
反対にfを長くする場合については、収差検出用受光素子23の大きさの点からは特に制約はないが、光学系のサイズが大きくなりすぎるといった問題点が考えられる。このような場合は、図7に示すように、集光レンズ22と収差検出用受光素子23との間に適宜、反射ミラー26を配置して光路を折り返すなどしてもかまわない。
【0070】
以上により、本実施形態では、簡単な光学系で、光ビームの光量の分布を測定し、領域D1と領域D2との受光量を同等にするように球面収差補償素子4のLを調整することで、光ピックアップ装置の球面収差を最小にすることができる。よって、光ピックアップ装置の量産において、シェアリング干渉計等の高価な装置を用いることなく、球面収差の補償が可能であり、よって、設備費用を削減することができる。
【0071】
また、本実施形態では、光ピックアップ装置の行路中に、ホログラム素子等を配置することはないので、光効率は低下しない。よって、青色レーザなどのように光源の出力が上げられない光学系においても、球面収差の補償を有効に行うことができる。さらに、工程が煩雑化されておらず、球面収差の補償の時間も長くかからない。
【0072】
〔実施形態2〕
本発明の球面収差測定装置に関する他の実施形態について図8に基づいて説明すれば以下のとおりである。なお、本実施形態でも、本発明の球面収差測定装置を光ピックアップ装置の球面収差測定に適用した例について説明する。なお、説明の便宜上、前記実施の形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
【0073】
図8に示すように、本実施形態の球面収差測定装置は、結合レンズ15、反射ミラー26、光分岐素子29、集光レンズ22、収差検出用受光素子23、及びピックアップチェッカ30を有する。
【0074】
本実施形態では、光ビームは、図8に示すように球面収差補償素子4を透過し、対物レンズ6により集光され、カバーガラス14を透過する。カバーガラス14を透過した光ビームは、結合レンズ15により平行光束化される。ここまでの光学系は、実施の形態1と同じである。
【0075】
結合レンズ15により平行光束化された光ビームはこの後、反射ミラー26によって直角に反射され、光分岐手段である光分岐素子29により分岐される。分岐された透過光および反射光のいずれか一方の光ビームは、所定の焦点距離を有する集光レンズ22によって収差検出用受光素子23に集光される。本実施形態では、光分岐素子29により分岐された反射光が収差検出用受光素子23に集光されるが、透過光が集光されてもかまわない。そして、収差検出用受光素子23を用いて、実施の形態1と同様に球面収差補償が行われる。なお、ここで述べる光分岐素子29とは、偏光面に依らずに光強度を所定の分岐比率で分岐させる、いわゆるビームスプリッタのことである。
【0076】
光分岐素子29により分岐されたもう一方の光ビーム(本実施形態では透過光)は、スポット形状測定手段であるピックアップチェッカ30内のレンズ31によりCCD(Charge Coupled Device)32に集光される。なお、ピックアップチェッカ30として、例えば、日商エレクトロニクス社製の光ピックアップ評価システム(OPT−Wシリーズ)を用い、CCD32により得られた集光スポットの強度プロファイルを、パーソナルコンピュータ等で解析する。このことにより、集光スポットのサイズや形状等の集光スポットデータが得られる。
【0077】
ピックアップチェッカ30に入射する光ビームは、平行光束であることが要求されるが、上記の光学系を用いることにより、球面収差補償が完了した段階で結合レンズ15からの出射光は平行光束となっている。したがって、別途対物レンズ6と結合レンズ15の間隔を調整することなしに、集光スポットのスポットサイズや形状等を、ピックアップチェッカ30により、確認することができる。
【0078】
ここで、ピックアップチェッカ30のみで球面収差を最適化することを考える。球面収差の増加に対して、集光スポット径の変化は非常に小さく、一方でピックアップチェッカ30によるスポットサイズは半導体レーザ1内のモード揺らぎなどの理由で測定毎に±10nmの変動幅で変化している。したがって、このような状況において、ピックアップチェッカ30のみで球面収差を最適化することは非常に難しく、また時間がかかる。
【0079】
よって、上記のように、ピックアップチェッカ30と同時に図4に示すようにLの変化に対して急峻な変化を見せる球面収差測定用の演算値を用いることで、短時間、且つ、簡便に球面収差補償を行うことが可能となる。
【0080】
以上により、本実施形態では、収差検出用受光素子23を用いて球面収差が補償された光ピックアップ装置の集光スポットを、別途光ピックアップ装置の光学系を調整することなしに観測することができる。よって、スポットサイズ確認のために行う光学系の調整工程がなくなるので、光ピックアップ装置の組立・調整時において、時間が削減され、量産にも適している。
【0081】
なお、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0082】
【発明の効果】
以上にように、本発明の半導体装置の製造方法は、上記の課題を解決するために、光源からの光ビームを、球面収差補償手段を介した後、対物レンズにより記録媒体の記録面を保護する光透過層を介して上記記録面上に集光させる光ピックアップ装置の、球面収差を測定する球面収差測定装置において、上記光ピックアップ装置の対物レンズから出射し、上記光透過層と光学的に等価な光学部材を介して発散した光ビームを、所定の焦点に対して集光させる集光手段と、上記集光手段により集光された光ビームを受光するように上記焦点の位置に配置された受光手段とを備え、上記受光手段は、上記集光された光ビームの断面において、光軸に対して近傍の第1受光領域の受光量、及び光軸に対して遠方の第2受光領域の受光量をそれぞれ測定可能であり、かつ、上記球面収差補償手段を調整して上記光学部材に対して集光された光ビームの球面収差が最小になるときに、上記第1及び第2受光領域における受光量の関係が予め定めた関係になるように設定されている構成である。
【0083】
上記構成によれば、第1及び第2受光領域の受光量の関係が予め定められた関係になるとき球面収差が最小になっており、定められた関係になっていないとき球面収差が最小ではない、といったように球面収差を測定することができる。従って、受光手段の第1及び第2受光領域で受光する受光量が予め定められた関係となるように、光ピックアップ装置の球面収差補償手段を調整することで、光ピックアップ装置の球面収差を最小にすることができる。
【0084】
よって、上記構成では、高価なシェアリング干渉計を用いることなく、受光手段で受光する光ビームの受光量を測定することで光ピックアップ装置の球面収差を測定することができる。よって光ピックアップ装置を量産する場合にも、球面収差の測定のための設備コストを削減することができるという効果を奏する。また、上記構成では、ホログラム素子等を配置することはないので、光利用効率は低下しない。よって、青色レーザなどのように出力が上げられない光源を用いる光ピックアップ装置においても、球面収差を有効に測定することができるという効果を奏する。
【0085】
本発明の球面収差測定装置は、上記構成に加え、上記集光手段は、光ビームを、一旦平行化した後に所定の焦点に対して集光し、上記平行化には、上記対物レンズの開口数より大きな開口数を有するレンズを用いることを特徴としている。
【0086】
上記構成によれば、対物レンズを通過し、記録媒体の光透過層と光学的に等価な光学部材を介して発散した光ビームの光束を確実に欠けることなく受光手段に集光させることができる。よって、光ピックアップ装置の球面収差の測定を正確に行うことができるという効果を奏する。また、上記レンズにより平行化された光ビームを反射ミラー等の光学部材を介し受光手段に集光させることができるため、受光手段の配置を自由に行えるという効果を奏する。
【0087】
本発明の球面収差測定装置は、上記構成に加え、上記第1及び第2受光領域は光軸を中心とした同心円状の領域からなる構成である。
【0088】
上記構成によれば、同心円の中心を光ビームの光軸の中心と一致させてあるので、光ビームの断面に則して効率よく受光量を測定することができ、また、予め定める受光量の関係を、第1及び第2受光領域の設定に反映させ易いという効果を奏する。
【0089】
本発明の球面収差測定装置は、上記構成に加え、上記受光手段は、上記球面収差補償手段を調整して上記光学部材に対して集光された光ビームの球面収差が最小になるときに、上記第1及び第2受光領域における受光量が等しくなるように設定されている構成である。
【0090】
上記構成によれば、球面収差を測定したい光ピックアップ装置に対し、第1及び第2受光領域の受光量の関係が等しくなるように、球面収差補償手段を調整すると、この光ピックアップ装置の球面収差を最小とすることができるという効果を奏する。
【0091】
本発明の球面収差測定装置は、上記構成に加え、上記第1受光領域の外径は5μm以上である構成である。
【0092】
上記構成によれば、第1受光領域の外径は5μm以上であるため、受光領域の加工が行いやすくなる。また、上記構成では、同心円状の外側の領域との間に、非接触領域を設けた場合にも、受光量の差の検出を確実に行うことができる。
【0093】
本発明の球面収差測定装置は、上記構成に加え、上記光学部材を介した後の光ビームを複数の光ビームに分割するとともに、分割された光ビームの1つを上記受光手段に導く光分岐手段と、分割された光ビームの他の1つを受光して光ビームのスポット形状を測定するスポット形状測定手段とを備える構成である。
【0094】
上記構成によれば、分割された光ビームの1つを受光手段、別の分割された光ビームをスポット形状測定手段で受光することができる。よって、球面収差の補正が完了された光ピックアップ装置の集光スポットを、別途光ピックアップ装置の光学系の調整を行うことなく、スポット形状測定手段で観測することができるという効果を奏する。従って、光ピックアップ装置の組立・調整時において、作業時間が削減されるため、上記構成は光ピックアップ装置を量産する場合に適している。
【0095】
また、対物レンズの開口数より大きな開口数を有するレンズを用いて光学部材に対して収束、発散した光ビームを一旦平行化した場合には、平行光束化された光ビームの行路に光分岐素子を配置することで、集光スポット測定と球面収差測定を同時に行う際に、光学系の配置の自由度を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る球面収差測定装置と、光ピックアップ装置の一部との構成を示す断面図である。
【図2】(a)は、図1の球面収差測定装置の収差検出用受光素子を受光面から見た構成図であり、(b)は(a)の収差検出用受光素子の領域D1・D2が受光する光量の分布を示す図である。
【図3】(a)〜(c)は、図2(a)の収差検出用受光素子における光量分布の変化を表す図である。
【図4】図2(a)の領域D1・D2が受光する全受光量に対する領域D1・D2がそれぞれ受光する光量(S1・S2)の受光量差と、図1の球面収差測定装置における球面収差補償素子のレンズ間隔誤差(δL)との関係を表すグラフである。
【図5】図1の光ピックアップ装置によってカバーガラスに集光された光ビームのスポットサイズと図1の球面収差測定装置における球面収差補償素子のレンズ間隔誤差との関係を表すグラフである。
【図6】(a)は図1の光ピックアップ装置によってカバーガラスに集光された光ビームのスポットサイズ及び波面収差と、図1の球面収差測定装置における球面収差補償素子のレンズ間隔誤差との関係を表すグラフであり、(b)は(a)のスポットサイズと球面収差との関係を表すグラフである。
【図7】図1の球面収差測定装置の一変形例を示す断面図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る球面収差測定装置と、光ピックアップ装置の一部との構成を示す断面図である。
【図9】図1、7及び8に示した光ピックアップ装置の全体構成を示す断面図である。
【図10】光ピックアップ装置の組立・調整時における球面収差補償の従来の流れを示す流れ図である。
【図11】図10の球面収差補償において、シェアリング干渉計を用いて光ピックアップ装置の球面収差を補正している構成図である。
【図12】行路中にホログラムを用いた従来の光ピックアップ装置の構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 半導体レーザ(光源)
4 球面収差補償素子(球面収差補償手段)
6 対物レンズ
14 カバーガラス(光学部材)
15 結合レンズ(集光手段)
22 集光レンズ(集光手段)
23 収差検出用受光素子(受光手段)
26 反射ミラー
29 光分岐素子(光分岐手段)
30 ピックアップチェッカ(スポット形状測定手段)
32 CCD
Claims (6)
- 光源からの光ビームを、球面収差補償手段を介した後、対物レンズにより記録媒体の記録面を保護する光透過層を介して上記記録面上に集光させる光ピックアップ装置の、球面収差を測定する球面収差測定装置において、
上記光ピックアップ装置の対物レンズから出射し、上記光透過層と光学的に等価な光学部材に対して収束、発散した光ビームを、所定の焦点に対して集光させる集光手段と、
上記集光手段により集光された光ビームを受光するように上記焦点の位置に配置された受光手段とを備え、
上記受光手段は、上記集光された光ビームの断面において、光軸に対して近傍の第1受光領域の受光量、及び光軸に対して遠方の第2受光領域の受光量をそれぞれ測定可能であり、かつ、上記球面収差補償手段を調整して上記光学部材に対して集光された光ビームの球面収差が最小になるときに、上記第1及び第2受光領域における受光量の関係が予め定めた関係になるように設定されていることを特徴とする球面収差測定装置。 - 上記集光手段は、光ビームを、一旦平行化した後に所定の焦点に対して集光し、上記平行化には、上記対物レンズの開口数より大きな開口数を有するレンズを用いることを特徴とする請求項1に記載の球面収差測定装置。
- 上記第1及び第2受光領域は光軸を中心とした同心円状の領域からなることを特徴とする請求項1または2に記載の球面収差測定装置。
- 上記受光手段は、上記球面収差補償手段を調整して上記光学部材に対して集光された光ビームの球面収差が最小になるときに、上記第1及び第2受光領域における受光量が等しくなるように設定されていることを特徴とする請求項3に記載の球面収差測定装置。
- 上記第1受光領域の外径は5μm以上であることを特徴とする請求項3に記載の球面収差測定装置。
- 上記光学部材を介した後の光ビームを複数の光ビームに分割するとともに、分割された光ビームの1つを上記受光手段に導く光分岐手段と、
分割された光ビームの他の1つを受光して光ビームのスポット形状を測定するスポット形状測定手段とを備えることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の球面収差測定装置。
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