JP2004251109A - 建築物における壁面の化粧工法およびこれに用いる湿式塗り材料 - Google Patents

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正 新明
Hirotake Takayanagi
浩武 高柳
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Abstract

【課題】 近年のサイディング材料を用いて製作した工場最終仕上げ品としてのサイディング外壁等では、その耐久性は半永久的であり、表面洗浄を行うことによりリフレッシュすれば足りるが、リフレッシュしてもサイディング仕上げのままであり、またトップコートの塗り替えやペイントを行えば高価につくし、それ以上に美観や質感が向上することがないという問題点等を解決する。
【解決手段】 比較的深さの浅い目地3と比較的段差の少ない凹部4および凸部5を備えた凹凸模様を有するサイディング外壁面2の全面に対してセメント系タイル目地材6を塗布する塗布工程(II)と、該塗布工程(II)の後に、セメント系タイル目地材6が目地3および凹部4模様の表面に残るように、凸部5模様を含むサイディング外壁面2表面上のセメント系タイル目地材6を拭き取る拭取工程(III)とを具備する。
【選択図】 図3

Description

本発明は、建築物における壁面の化粧工法およびこれに用いる湿式塗り材料に関し、さらに詳しくは、特にサイディング材から成るサイディング外壁面を湿式工法で化粧する建築物における壁面の化粧工法およびこれに用いる湿式塗り材料に関する。
現在、建築外壁等の壁面が汚れた場合、ペンキ等の塗料を用いた塗装での改修工法や、サイディング材を用いてこれを貼り付けるサイディング材での改修工法が行われている。タイル貼りの建物の場合、そのタイルを剥がすことなく、特殊な接着剤およびネット等を用いて改修を行っていることが多い。ブロック壁等の場合、その全面を塗り替えたりすることも多く見受けられる。
上述した場合のように、従来の壁面の改修工法では、壁面が汚れたり、劣化した壁面の下地を直し、建築物の耐久寿命を延ばすことに主眼が置かれている。
最近、建築物は、ブロック壁、サイディングボード、PC(プレキャスト・コンクリート)版、金属サイディング版等に代表される乾式工法による建築物が多く見受けられる。これは、省力化工法として優れているので今後も推進されると思われるが、一方では、左官材料に代表される湿式塗り材料(以下、単に「湿式材料」というときがある)を用いた塗壁の良さも見直されてきておりこれも徐々に増加している。このことは、塗り壁はハンドメイド品であり、上記乾式工法に用いられる乾式材料が工場生産品であることの差として現れてきていると思われる。
現在、パテ材等の各種メーカより塗り壁が提案されており、新築のみならず改修工事にも使われている。その仕上げは、コテ塗仕上げ、ローラ仕上げ、櫛引仕上げ(筋状の溝が入る仕上げ)、掻き落とし仕上げ(半固まり・中締まり状態時に行うボロボロ状態の仕上げ)等の方法で仕上げられる。
近年のサイディング材料を用いて製作した工場最終仕上げ品としてのサイディング外壁等では、その材質としての耐久性は半永久的であるが、ペイント等の表面処理を施した外壁表面は経年変化で劣化したり、その表面が汚れたりするので、水や洗剤を水に溶かした洗剤溶液等による表面洗浄によってリフレッシュしたり、数年間隔でトップコートの塗り替えやペイントを行うことによりリフレッシュしている(例えば、非特許文献1参照)。
一方、フェノール(ネオマフォーム(:商品名)等)、スチレン(カネライト(:商品名)等)、ウレタン(アキレスボード(:商品名)等)、木毛板(MKボード(:商品名)等)、断熱材合板・スレート・サイディング(新品、旧品、塗装有り、塗装無し別)、FRP(不飽和ポリエステル樹脂)・塩化ビニル等を適応下地として、これらの適応下地材同士の繋ぎ目や目地部分へ施工するための弾性下地調整モルタル(カチオン系アクリル樹脂)、およびこれらへの現場施工用水性シーラとして開発したカチオン性のアクリル系エマルションも既に商品化され知られている(例えば、非特許文献2参照)。
昭和電工建材株式会社製の"ラムダ(セメント中空押出成形板)"、「平成15年1月10日検索」、インターネット、〈URL:http://www.sdk.co.jp/lambda/〉 富士川建材工業株式会社製の"シーレックスAP"、「平成16年1月23日検索」、インターネット、〈URL:http://www.fujikawakenzai.co.jp/seihin/cRexAP.files//frame.htm〉
しかしながら、サイディング仕上げのサイディング外壁面等では、リフレッシュしてもサイディング仕上げのままであり、それ以上に美観や質感が向上することがない。資金的に余裕がある場合には、建て替えたり、表面仕上げを全面タイル貼りに変更したりすることも可能であるが、そうすると非常に高価な改修となってしまう。
そこで、本発明者らは、サイディング仕上げされている家や外壁等の建築物の改修において、塗り壁の良さをもっと安価かつ簡便にできる方法を鋭意研究した結果、満足のいく建築物における壁面の化粧工法として湿式材料を用いたワイピング工法を見出し、これを提案するものである。
その後、本発明者らは、建築物における壁面の特にサイディング材(外壁面)に対する最適な湿式材料を開発すべく、さらなる確認試験および研究等を行った。サイディング材に対する湿式材料の基本的な要求性能としては、上述したようにサイディング外壁面およびその目地等との接着強度に関する付着性(以下、「接着性」と言い替えるときがある)と共に、ワイピング(拭取)工程を必須とすることからの拭取性(拭取・ワイピング作業性)の2つの他に、後述するようにそれぞれ適度の弾性および非収縮性が挙げられる(以上、サイディングに対する湿式材料の主な要求性能としては4つである)。
従来から使用されている例えば水系エマルションのモルタルであるアクリル系エマルション樹脂を混入したモルタル系の湿式材料は、通常のタイル等の目地に使用する目地材として一般的なものであり、安価で使いやすいものである。しかしながら、このようなモルタル系材料を湿式材料として用いた場合では、非常に塗りやすく、かつ、ワイピング作業性も良好であったが、多様な材質が存在するサイディングが相手だと、相性が悪くて接着性を満足せず剥離の虞があり、実用的ではないという問題点があった。この場合、相性が悪いサイディングの材質としては、例えばガラスや金属系のサイディングあるいはテフロン(登録商標)等の材料成分を含むトップコートを施したサイディング等が挙げられる(後述する表1における比較例1参照)。
アクリル樹脂系材料は、通常パテ材と呼ばれているものであり、これを湿式材料として用いた場合では、接着性も高く、ひび割れに対する耐性もあるが、拭取作業性が悪いため、ワイピング作業をし難いという問題点があった(後述する表1における比較例2参照)。
また、上記したカチオン系弾性下地調整モルタル(カチオン系アクリル樹脂)を湿式材料として用いた場合では、塗布および拭取の作業性が悪いという問題点があった。これは、カチオン系弾性下地調整モルタルに含まれている骨材(珪砂)が原因であり、これが塗布および拭取性に対して邪魔をしていることを突き止めた(後述する表1における比較例3参照)。
そこで、さらにカチオン系弾性下地調整モルタルに含まれている骨材(珪砂)を除去して確認試験を行ったところ、拭取作業性は向上したが、今度は非収縮性を満足できないという問題点が発生した(後述する表1における比較例4参照)。
したがって、本発明は、上述した従来の壁面の改修工法では全く考慮されていなかった建築物の美観の向上や質感の向上を目的とした湿式工法による改修工法および化粧工法として結実するに至ったものであり、壁面を有する建築物の資産価値を高めることを第1の目的とする。
また、建築物の壁面に対する湿式塗り材料の要求性能を満足できる最適な湿式塗り材料を提供することを第2の目的とする。
上記課題を解決すると共に上記目的を達成するために、請求項ごとの発明では以下の特徴ある手段・構成を採っている。
請求項1記載の発明では、建築物における壁面の化粧を湿式塗り材料で行うことを特徴とするものであり、上記壁面が、比較的深さの浅い目地および比較的段差の少ない凹凸模様のうちの少なくとも一方を備えていることを要する(請求項2参照)。
請求項3記載の発明では、請求項2記載の建築物における壁面の化粧工法において、上記湿式塗り材料は、上記壁面に対して適度の付着性および拭取性を有しており、上記化粧工法は、上記目地および上記凹凸模様のうちの少なくとも一方を含む上記壁面の略全面に対して上記湿式塗り材料を塗布する塗布工程と、該塗布工程の後に、上記湿式塗り材料が上記目地および上記凹模様のうちの少なくとも一方の表面に残るように、上記凸模様を含む上記壁面表面上の上記湿式塗り材料を拭き取る拭取工程とを有することを特徴とする。
ここで、「湿式塗り材料は、壁面に対して適度の付着性および拭取性を有しており」とは、後述する本発明の効果を奏するために、目地および凹模様のうちの少なくとも一方を含む壁面の略全面に対して湿式塗り材料を塗布する塗布工程と、該塗布工程の後に、湿式塗り材料が目地および凹模様のうちの少なくとも一方の表面に残るように、凸模様を含む壁面表面上の湿式塗り材料を拭き取る拭取工程とを施工・実施するための必要最低限の施工条件を意味している。
また、「目地および凹凸模様のうちの少なくとも一方を含む壁面の略全面」とは、湿式塗り材料が、少なくとも目地および凹模様の凹み部分に塗り付けられて充填されることを意味しており、それ故に熟練者による作業では凸模様部位には塗り付けられなくてもよいことを含む(例えば、凸模様部位が比較的広い領域に及ぶような場合)。
請求項4記載の発明では、請求項1ないし3の何れか一つに記載の建築物における壁面の化粧工法において、上記壁面が、サイディング材から成るサイディング外壁面であることを特徴とする。
請求項5記載の発明では、請求項1ないし4の何れか一つに記載の建築物における壁面の化粧工法において、上記湿式塗り材料が、セメント系、石灰系、または石膏系等の塗り材料であることを特徴とする。
請求項6記載の発明では、請求項1ないし4の何れか一つに記載の建築物における壁面の化粧工法において、上記湿式塗り材料が、パテ材等の仕上げ塗材であることを特徴とする。
請求項7記載の発明では、請求項4記載のサイディング材の材料が、金属系、木質系および窯業系等のうちの少なくとも一つの組み合わせからなることを特徴とする。
請求項8記載の発明は、請求項1ないし7の何れか一つに記載の建築物における壁面の化粧工法に用いる湿式塗り材料において、上記湿式塗り材料が、カチオン系の材料成分を含むことを特徴とする。
請求項9記載の発明は、請求項8記載の湿式塗り材料において、上記湿式塗り材料が、少なくとも乾燥した時に弾性を発揮する弾性樹脂材料成分を含むことを特徴とする。
請求項10記載の発明は、請求項9記載の湿式塗り材料において、上記弾性樹脂材料成分の他に、少なくとも乾燥した時に適度の収縮度合いに収まる非収縮性を発揮する材料成分を含むことを特徴とする。
請求項11記載の発明は、請求項9または10記載の湿式塗り材料において、上記湿式塗り材料から上記弾性樹脂材料成分を除去し、試し塗りを可能としたことを特徴とする。
以上述べたように、本発明によれば、上述した従来技術の課題を解決して新規な建築物における壁面の化粧工法を提供することができる。すなわち、本発明の壁面の化粧工法によれば、建築物における壁面の化粧を湿式塗り材料で行うので、工法として非常に容易であり、湿式塗り材料の使用量を少なく抑えることができて比較的安価に済み、壁面を有する建築物の美観や質感が向上する。特に、目地および凹凸模様のうちの少なくとも一方を含むサイディング材から成るサイディング外壁面の化粧を湿式塗り材料を用いて塗布工程および拭取工程を経て行った場合、比較的単調な仕上げを有する工場生産品のサイディング外壁面が、塗布された湿式塗り材料の拭き取り(ワイピング)が均一でないために単調な仕上がり感とは全く逆の手作りの暖かさが感じられる程に、その美観や質感が向上するという顕著な効果を奏する。
また、本発明によれば、湿式塗り材料がカチオン系の材料成分を含むことにより、建築物における外壁面の材質、取り分けサイディング材の材料が金属系、木質系および窯業系等であるかを問わず要求性能を満足できるので、幅広いサイディングの素材に対応して使える。従って、新築でもリフォームでも容易に行える。
また、本発明によれば、湿式塗り材料が少なくとも乾燥した時に弾性を発揮する弾性樹脂材料成分を含むことにより、建築物における外壁面の動き、取り分けサイディング自体およびサイディング同士の動きにも追従し、ひび割れ等の発生を防ぐことができるようになった。
また、本発明によれば、湿式塗り材料から弾性樹脂材料成分を除去し、試し塗りを可能としたことにより、ユーザが所望とするパターン・デザインであるか否かを短時間のうちに何回でも試し塗りして確認してもらうことができる。
以下、図を参照して本発明を実施するための最良の形態を含む本発明の実施の形態(以下、「実施形態」という)を説明する。
本発明は、従来の建築物における壁面の改修・化粧工法には無いワイピング(拭き取り)を利用した建築物における壁面の化粧工法であり、以下にその発明の実施の形態(以下、「実施形態」という)を説明する。
本発明の一実施形態として、本発明に係る建築物における壁面の化粧方法を、後述する本発明の効果が顕著なサイディング材から成るサイディング外壁の表面、すなわちサイディング外壁面に適用した場合について説明する。この例では、施工条件として、サイディング外壁面が比較的深さの浅い目地および比較的段差の少ない凹凸模様のうちの少なくとも一方を備えているものとする。
サイディング外壁の材料としては、周知のように金属系、木質系、窯業系等の何れであってもよく、またこれらを適宜組み合わせた材料で形成したものであってもよい。この例では、サイディング外壁面は、凹んだ目地を備えていると共に凹凸模様が形成されている。
また、ワイピングを行うための前提として、湿式塗り材料は、建築物における壁面の一例としてのサイディング壁面に対して適度の接着性(付着性)および拭取性を有しているものである。
サイディングの材料(金属系、木質系、窯業系等)を問わず湿式塗り材料を塗布する場合において、湿式塗り材料として基本的に要求される性能としては、上記した接着性(付着性)および拭取性の他に、弾性および非収縮性が必要である。
すなわち、接着性(付着性)は、サイディング外壁面およびその目地等との接着強度に関する要求性能であり、拭取性(拭取作業性)は、ワイピング(拭取)工程を必須とすることからの要求性能である。そして、弾性は、少なくとも乾燥した時にサイディング自身およびサイディング同士の動きに追従する能力を意味し、ひび割れやクラック等を防止するための要求性能であり、非収縮性は、少なくとも乾燥した時に適度の範囲の収縮量に収まる、すなわち適度の収縮度合いに収めるための要求性能である。
以下、図1を参照して、サイディング外壁面の化粧工法における工程を説明する。この工程は、図1に示すとおり、第1の工程としての洗浄工程(I)、第2の工程としての塗布工程(II)、第3の工程としての拭取工程(III)、第4の工程としての仕上げ工程(IV)から構成されている。
まず、改修・化粧すべきサイディング外壁面を洗浄する洗浄工程(I)を行う。この洗浄工程(I)では、サイディング外壁の表面下地を、例えば水や洗剤溶液等を用いた高圧洗浄等で十分に洗浄する。この洗浄工程(I)は、本発明において必ずしも必要な工程ではない。すなわち、例えばサイディング外壁が工場等で製作された直後や建築物として施工された直後等であってその表面が汚れていない場合にも、特にその壁面外観が意匠性に優れていることから本発明特有の化粧工法を施す場合があるからである。それ故に、洗浄工程(I)は本発明に必須の工程ではない。
次に、サイディング外壁面に湿式塗り材料(以下、「湿式材料」という)を塗り付け・塗布する塗布工程(II)を行う。上述したように目地および凹模様のうちの少なくとも一方を含むサイディング外壁面の略全面に対して、湿式材料を塗り付ける。この時、サイディング外壁面の目地や凹凸模様等の凹部分に湿式材料が十分に入り込むようにコテ厚を掛けながら薄く塗り付ける。
ここで、湿式材料としては、例えばセメント系、石灰系、または石膏系等の塗り材料からなるもののうちからサイディング外壁面の材質に適合すると共に、所望するものを選択して用いる。
次に、塗布工程(II)の後に、拭取工程(III)を行う。すなわち、湿式材料がサイディング外壁面の目地および凹模様のうちの少なくとも一方(この実施形態では目地および凹模様の両方)の表面に残るように、凸模様を含むサイディング外壁面上の湿式材料を拭き取る。
この拭取工程(III)では、湿式材料塗り付け部の締まり具合(固化状態)を見て、絞ったウエスやスポンジあるいは毛の短いブラシ等の道具(以下、これらを総称して「ワイピング道具」という)を利用して、サイディング外壁面表面における凸部分の湿式材料をワイピング(拭き取り)する。このワイピングを繰り返すことにより、下地サイディング材の凸部分の湿式材料をある程度除去し、目地およびその周辺の凹部分の湿式材料は残るようにうまくワイピングする。
次いで、仕上げ工程(IV)として、塗り付けた湿式材料が十分に硬化した後、綺麗なウエス等で表面を拭ったり、これに加えて磨いたりして仕上げを行う。
さらに、数日経過後であって、塗り付けた下地(湿式材料)が十分に乾燥した後、適宜トップコートを施して、汚れ防止を行う。仕上げ工程(IV)は、本発明において必ずしも必要な工程ではなく、湿式材料が例えばトップコートに相当する成分を含有していて、後述するように十分乾燥硬化したとき、トップコートに相当する機能を果たす場合などにおいては不要とすることが可能である。それ故に、仕上げ工程(IV)は本発明に必須の工程ではない。
上述した実施形態の例では、本発明をサイディング外壁面に適用した例で説明したが、これに限らず、サイディング材以外の材質で形成された建築物における種々の壁面(例えば、室内の天井、室内外の壁面、室内外の床面等も含む)に適用可能なことはいうまでもない。また、建築物における壁面は、上述した実施形態の例に限らず、比較的深さの浅い目地および比較的段差の少ない凹凸模様のうちの少なくとも一方を備えているものであればよい。
サイディングの材料(金属系、木質系、窯業系等)を問わず幅広いサイディングの素材に対応して塗布する上からは、湿式材料がカチオン系の材料成分を含むことが肝要である。従来のアニオン系の湿式材料では、コンクリートやモルタル系に塗布した場合、上記発明が解決しようとする課題欄でも述べたように要求性能を略満足できるものであったが、特にガラスや金属系、あるいは例えばテフロン(登録商標)成分を含んだトップコートが金属系、木質系、窯業系等からなるサイディング外壁面に塗布されている場合では、十分な接着力を得られず、しまいには剥離してしまうことで実用的でないからである。
加えて、湿式材料が上記4つの要求性能を満足するためには、湿式材料が少なくとも乾燥した時に弾性を発揮する弾性樹脂材料成分を含むことが必要であり、また弾性樹脂材料成分の他に少なくとも乾燥した時に適度の収縮度合いに収まる非収縮性を発揮する材料成分を含むことも必要である。
上記弾性および非収縮性を有する弾性樹脂材料からその弾性樹脂材料成分を除去した湿式材料(以下、「試し塗り湿式材料」という)を使用すると、試し塗りが可能となり、壁面の色彩模様・パターン等のデザイン確認を短時間のうちに簡単な工程で何回もユーザが確認することができ、ユーザは最終的に所望とするデザインを決定できる。この試し塗り湿式材料を用いて例えばサイディング外壁面に化粧を施す工程の概要が、図12に示されている。
図12に示すように、必須の工程ではない洗浄工程(I)から、サイディング外壁面に試し塗り湿式材料を塗り付け・塗布する塗布工程(II)を上述したと同様に経て、上述したと同様に拭取工程(III)を行った後、ユーザが所望とするパターン・デザインである否かを確認し、必要に応じてカラー写真やカラービデオに撮った後、試し塗り湿式材料の成分配合により多少の時間幅があるが、例えば後述する実施例4のように3時間以内であれば水洗いを行う水洗工程(IV)によって、その試し塗り湿式材料を容易に落とすことができる。
以下、図を参照して本発明の実施例を説明する。各実施例等に亘り、同一の機能および形状等を有する構成要素(部材や構成部品)等については、一度説明した後では同一符号を付すことによりその説明を省略する。図および説明の簡明化を図るため、図に表されるべき構成要素であっても、その図において特別に説明する必要がない構成要素は適宜断わりなく省略することがある。また、断面図における各層の厚さ等は、誇張・拡大して示している。
図2ないし図4を参照して、実施例1を説明する。
実施例1では、図2および図3に示すように、タイル調ないしは擬石風のサイディング外壁1のサイディング外壁面2に湿式材料で化粧を施す場合についての化粧工法の各工程を説明する。
図2および図3に示すサイディング外壁面2は、砂岩風合いのラージブリック・パターン、すなわち煉瓦が持つ質感およびその深さが最大で2〜3mmである比較的深さの浅い直線状の目地3を備えていると共に、比較的段差の少ない凹凸模様としてその凹凸模様を程良く抑えたスマートなデザインに仕上げられたものである。図2および図3において、符号4は、サイディング外壁面2の凹凸模様のうちの凹部を、符号5は、凹凸模様のうちの凸部を、それぞれ示す。
サイディング外壁1の材料としては、例えば金属系である鋼板やアルミ板に適宜の表面処理を施したものを用いている。
まず第1に、洗浄工程(I)として、改修・化粧すべきサイディング外壁面2を洗剤溶液や水を用い高圧洗浄で十分かつきれいに洗浄する。
次いで、塗布工程(II)として、湿式材料としての既存のセメント系タイル目地材6(色:白)をサイディング外壁面2の全面に塗布道具として例えばゴム製のコテ(以下、「ゴムゴテ」という)を用いて塗り付ける。図3において、セメント系タイル目地材6(以下、単に「目地材6」という)は、梨地模様の断面で示されている。目地3の深さが上記したように最大で2〜3mmであるので、目地材6をしごき塗りすることにより、凹部4の部位に目地材6を詰めると共に、特に目地3部分には十分に目地材6を詰め、凸部5の部位には非常に薄くなるように塗り付ける。
次いで、拭取工程(III)を行う。すなわち、目地材6の塗布終了から1〜2時間後、目地材6の締まり具合を見ながら、ワイピング道具としての例えばスポンジを用いて、目地材6が塗り付けられたサイディング外壁面2の表面をワイピングし、目地3および表面の凹部4の材料(目地材6)は拭き取らない程度に軽く拭き取る。
さらに、上記した目地材6の拭き取りから1〜2時間後、凹部4に残っている材料(目地材6)が十分に硬化したことを確認後、スポンジでさらに表面をワイピングすることを繰り返すことにより、サイディング外壁面2上の余分な材料(目地材6)を綺麗に落とす。
次いで、仕上げ工程(IV)として、さらに数日経過後であって材料(目地材6)が十分に乾燥した後、その目地3および凹部4に目地材6が塗り付けられたサイディング外壁面2を含むサイディング外壁面2の全表面に、適宜の材質から成るトップコート7を施して、汚れ防止を行う。
図4は、上記各工程によるサイディング外壁面2への化粧後の状態を示しており、図4において白抜きで示されている部位は、目地3および表面の凹部4に残っている白色の材料(目地材6)を示している。
図2に示したサイディング外壁面2への化粧前の状態と比較して、図4に示すサイディング外壁面2への化粧後の状態は、好みという点での個人差はあると思われるが、美観的には、工場生産品である比較的単調な仕上げを有するサイディング外壁面2が、白色の材料(目地材6)が目地3および表面の凹部5に入り込むことで、しかもワイピングが均一でないために単調な仕上がり感とは全く逆の手作りの暖かさが感じられるものとなっている。また、サイディング外壁面2への化粧後の状態では、明らかに質感が異なり、従来の乾式材料であるサイディング材があたかも手作りの湿式材料仕上げのように暖かく見受けられると共に、サイディング外壁面2の耐久性が減ずることなくむしろ向上する。ひいては、壁面を有する建築物の資産価値が高まることとなる。
図5ないし図7を参照して、実施例2を説明する。
実施例2は、実施例1と比較して、実施例1における化粧を施すべきサイディング外壁面2を備えたサイディング外壁1に代えて、サイディング外壁面12を備えたサイディング外壁11を有すること、実施例1の目地材6に代えて、湿式材料としての既存のパテ状仕上げ塗材16を用いることが主に相違する。以下、相違点を中心に実施例2を説明する。
サイディング外壁面12は、図5および図6に示すように、実施例1と同様の砂岩風合いのラージブリック・パターンであって、その深さが最大で1〜2mmである比較的深さの浅い直線状の目地13を備えていると共に、実施例1と同様に比較的段差の少ない凹凸模様として凹部4および凸部5を具備している。サイディング外壁11の材料は、実施例1と同様である。
サイディング外壁面12の化粧工法の各工程を説明する。
まず第1に、洗浄工程(I)として、改修・化粧すべきサイディング外壁面12を洗剤溶液や水を用い高圧洗浄で十分かつきれいに洗浄する。
次いで、塗布工程(II)として、パテ状仕上げ塗材16(色:白)をサイディング外壁面12の全面に塗布道具として例えばゴムゴテを用いて塗り付ける。図6において、パテ状仕上げ塗材16は、梨地模様の断面で示されている。目地13の深さが上記したように最大で1〜2mmであるので、パテ状仕上げ塗材16をしごき塗りすることにより、凹部4の部位にパテ状仕上げ塗材16を詰めると共に、特に目地13部分には十分にパテ状仕上げ塗材16を詰め、凸部5の部位には非常に薄くなるように塗り付ける。
次いで、拭取工程(III)を行う。既存のパテ状仕上げ塗材16は、乾燥すると、下地(サイディング外壁面12)との付着性が非常に高いため、塗り付け直後から、ワイピング道具としての例えばスポンジを用いて、パテ状仕上げ塗材16が塗り付けられたサイディング外壁面12の表面をワイピングし、目地13および表面の凹部4の材料(パテ状仕上げ塗材16)は拭き取らないように綺麗に拭き取る。塗り残した材料(パテ状仕上げ塗材16)は、できるだけ早く除去する。
既存のパテ状仕上げ塗材16は、表面の皮張りが激しく、その塗布した中身はまだ柔らかいのに表面だけ皮が張りやすいので、ワイピングするタイミングおよび仕上げが難しい。
次いで、仕上げ工程(IV)として、パテ状仕上げ塗材16の拭き取り終了後の数時間後、その目地13および凹部4にパテ状仕上げ塗材16が塗り付けられたサイディング外壁面12を含むサイディング外壁面12の全表面に、適宜の材質から成るトップコート17を施して、汚れ防止を行う。
図7は、上記工程によるサイディング外壁面12への化粧後の状態を示しており、図7において白抜きで示されている部位は、目地13および表面の凹部4に残っている白色の材料(パテ状仕上げ塗材16)を示していて、実施例1で述べたと同様の美観や質感を呈していると共に、サイディング外壁面12の耐久性が減ずることなくむしろ向上する。ひいては、壁面を有する建築物の資産価値が高まることとなる。
実施形態で述べたように、実施例1および2では、洗浄工程(I)および仕上げ工程(IV)を省略することが可能である。
実施例1および2から分かるように、工法的にも非常に容易に施工でき、湿式材料をしごき塗りし、その後、ワイピングすることによって基本的には仕上がるため、湿式材料の使用量も少なく、技術的にも非常に容易な工法(凸部では乾式、凹部では湿式)であることが理解できたであろう。上述した内容から、本発明に係る建築物における壁面の化粧工法およびこれに用いる湿式塗り材料は、サイディング外壁面に限らず、一般的な建築物における壁面(例えば、室内の天井、室内外の壁面、室内外の床面等も含む)にも適用ないしは応用できることが理解できたであろう。
図8ないし図12および表1を参照して、実施例3を説明する。
実施例3は、実施例1および2と比較して、実施例1の目地材6および実施例2のパテ状仕上げ塗材16(共に湿式材料)に代えて、サイディングの材料(金属系、木質系、窯業系等)を問わず幅広いサイディングの素材に対応して塗布することが可能なカチオン系の材料成分を含むカチオン系弾性下地調整材を用いることが主に相違する。
以下、相違点を中心に実施例3を説明するが、まず、実施例3の材料成分の配合内容およびその特性と比較するために、発明が解決しようとする課題欄でも一部説明したが、比較例3および4について説明しておく。
Figure 2004251109
(比較例3)
比較例3に係る湿式材料は、上記したカチオン系弾性下地調整材としてのカチオン系弾性下地調整モルタル(カチオン系アクリル樹脂)を主材とするものであり、これをサイディング外壁面に塗布する湿式材料として用いた場合では、塗布および拭取の作業性が悪いという問題点があった。これは、カチオン系弾性下地調整モルタルに含まれている骨材(珪砂)が原因であり、これが塗布および拭取性に対して邪魔をしていることを突き止めた。
カチオン系弾性下地調整モルタル(カチオン系アクリル樹脂)は、富士川建材工業株式会社が開発したものであり、図8に付着(接着)試験に用いた試験体の概要を、図9にその付着(接着)試験方法を、図10にその付着(接着)強度を測定した試験結果をそれぞれ示す。
図8に示すように、300×300mmの大きさの2枚のサイディングボード21を、コーキング材28を用いて接着した。このとき、各サイディングボード21が面内、面外方向に動かないように、各サイディングボード21の底面をエポキシ樹脂を用いて合板27で固定した。コーキング材28の塗布後、それが充分に硬化したのを確認して、カチオン系弾性下地調整モルタルを塗り付けた。試験体数N=3とし、養生期間としてコーキング材28の塗布後において7日間気中養生を行った。養生後、プライマ(浸透性下地補強材、別名シーラ)として、シーレックスAP(商品名:富士川建材工業株式会社製のカチオン性のアクリル系エマルション)の3倍希釈液を12g塗布し、充分に乾燥した後2回目を12g塗布した。プライマ塗布後、充分に乾燥したのを確認してから弾性仕上材を塗り付けたものを試験体とした。仕上げ後、養生期間を7日間として、試験体数N=5として付着(接着)試験を実施した。
上記試験用のサイディングボード21の仕様は、セメント系(窯業系)で最終的な仕上げ(トップコート)としてフッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレイン)系コーティングを施してあるものを用いた。図8において、符号29は、繋ぎ目に形成された目地部である。
図9に示すように、付着(接着)試験前に、クロスハッチングを施して示す40×40mmの鋼製のアタッチメント30を図8で説明した弾性仕上材の塗布表面にエポキシ樹脂により取り付け・固定し、その周りをカッターで切り込みを入れ、面外方向の付着試験を行った。試験器は、株式会社島津製作所製のオートグラフを用いて、クロスヘッドスピード1.0mm/minで付着強度を測定した。図8および図9において、符号26aの部分は、カチオン系弾性下地調整モルタルおよび弾性仕上材の塗り厚みの厚い部分塗布面を、符号26bの部分は、カチオン系弾性下地調整モルタルおよび弾性仕上材の塗り厚みの薄い完全塗布面をそれぞれ示す。
図10の付着強度の試験結果から、カチオン系弾性下地調整モルタルおよび弾性仕上材を比較的薄く塗っている完全塗布面26bの付着強度が、低くなる傾向が分かる。これは、弾性仕上材を水に浸してノロにして拭き取るため、その薄い完全塗布面26bの部位ではノロが多く、強度が低下しているからである。図10に、上記弾性仕上材に関して、JIS A 6909(建築用仕上げ塗材)に基づいて行った性能試験結果をまとめて示す。
上記カチオン系弾性下地調整モルタルは、カーボン・アラミド繊維よりも強度が高く非収縮性を発揮する材料成分としての超高分子ポリエチレン短繊維と、4ないし5号の珪砂とを配合しているものである。超高分子ポリエチレン短繊維(短繊維長12mm)を混入することにより、ジョイントクラックを防止すると共に、超弾性再乳化形粉末アクリルカチオン樹脂によって強い付着性(接着性)および柔軟性を有するので、サイディングの変形およびサイディングの動きに追従して弾性仕上げ材への緩衝材の役割をしている。ちなみに、上記カチオン系弾性下地調整モルタルの性能は、曲げ強さが22.5kgf/cm、破断までのストロークが4.0mm、圧縮強さが40kg/cm、吸水量が0.28g、標準養生付着力が10kgf/cm、低温養生付着力が10kgf/cm、FRP(不飽和ポリエステル樹脂)標準付着力が5.8kgf/cmであった。
しかしながら、比較例3の評価結果は、表1に示すとおり、拭取性が使用不可レベルとなり、塗布・拭取作業性が劣るものとなってしまった。これは、比較例3に配合されているカチオン系弾性下地調整モルタルのオリジナル材料では、4ないし5号の比較的粗い粒子の珪砂(番号が若く小さい程粒子の径が大きくなる)を使用しているため、薄く塗り付けたり、拭き取ったりする塗布・拭取作業性が劣るものとなっていることを突き止めた。
(比較例4)
比較例4は、比較例3が塗布・拭取作業性が悪く使用不可レベルであることから、比較例3から骨材である珪砂を取り除いて塗布・拭取作業性を改良すると共に、超高分子ポリエチレン短繊維も除去したものを比較例4として配合・調整し、上記と同様の試験および評価を行った。その結果、骨材が無くなってしまったことにより収縮量が大きくなってひび割れが発生し、表1にまとめて示したとおり、非収縮性が使用不可レベルとなった。
そこで、実施例3は、比較例4と比較して、比較例3よりも細かい5ないし6号の珪砂少量と、7ないし8号という細かい骨材とを加えた配合とした結果、拭取性と非収縮性とが使用良好レベル、使用可レベルとなり、塗布・拭取作業性と収縮防止力とのバランスの取れた配合となった。しかし、全くひび割れが発生しないレベルまでには至らなかった。
実施例4は、実施例3と比較して、比較例3では配合されていた超高分子ポリエチレン短繊維を混入した。この配合量は、比較例3と比べて塗布・拭取作業性が劣るのを避けるために比較例3での配合量よりも減らし、なおかつ、全くひび割れが発生しないというバランスを保って添加した。以上の配合の工夫により、表1にまとめて示すように、4つの要求性能の全てにおいて使用良好レベルとなるカチオン系材料成分含有の理想的な湿式材料が得られた。
実施例4の湿式材料を用いて、例えば図2および図3に示すサイディング外壁面2(例えば金属系である鋼板やアルミ板にフッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレイン)系コーティングを施したもの)に化粧を施す具体例を、図2および図3を借りて説明する。
図2および図3において、まず第1に、必須工程ではない洗浄工程(I)ないし素地調整として、改修・化粧すべきサイディング外壁面2の凹凸調整(大工工事によるサイディングの浮き・不陸調整)を行うと共に、サイディング外壁面2の下地表面のゴミ、砂塵、油脂分などの付着物を例えば洗剤溶液や水を用いて十分かつきれいに洗浄し、乾燥した清浄な面にする。
塗布工程(II)に進む前に、サイディング外壁面2を含む周囲部の劣化・吸水の激しい場合には、プライマ塗布処理を施すとよい。プライマとしては、カチオン系アクリルエマルションの一種である富士川建材工業株式会社製の「シーレックスAP」(商品名)を塗布すると、特に付着性を確保する上から有効に働く。配合例としては、シーレックスAP(主剤):16kgに対して水:16kg、すなわち主剤:水=1:1の割合で混合・希釈したものを用いた。このプライマ塗布処理も、必須工程ではなく、サイディング外壁面2周囲部が乾燥した清浄状態にある場合には不要である。
次いで、塗布工程(II)で使用する実施例4の湿式材料を調合する。
実施例4の湿式材料(以下、「サイディングデザインモルタル」というときがある)の配合例としては、カチオン系成分および骨材(砂、セメント)を含んでなる1粉型材Aと、カチオン系弾性樹脂材料としての超弾性再乳化形粉末アクリルカチオン樹脂を含んでなる主材Bとを用意する。1粉型材Aの配合例としては、粉体:20kg、清水:3.5〜4.0Lであり、主材Bの配合例としては、粉体:20kg、混和液:3.4kg(上記弾性下地調整モルタル)、清水:2.0〜2.5Lである。なお、1粉型材Aは、標準色として4色があり、特注色として液体顔料を配合する。
ステンレスやプラスチックのきれいな容器に、標準加水量(約3.5L)の9割の水を入れ、1粉型材Aと主材Bとを加え、攪拌機で良く混練し、残りの水を徐々に加え、作業しやすい状態になるまで混練りする。
次いで、塗布工程(II)として、混練りされたサイディングデザインモルタル(実施例4の湿式材料)を目地3を含むサイディング外壁面2の全面に塗布道具として例えばゴムゴテを用いて塗り付ける。目地3の深さが上記したように最大で2〜3mmであるので、サイディングデザインモルタルをしごき塗りすることにより、凹部4の部位にサイディングデザインモルタルを詰めると共に、特に目地3部分には十分にサイディングデザインモルタルを詰め、凸部5の部位には非常に薄くなるように塗り付ける。
次いで、拭取工程(III)を行う。すなわち、サイディングデザインモルタルの塗布終了から表層が半乾きになるまで養生する(養生条件:気温20℃で10〜20分位)。この養生後、サイディングデザインモルタルの締まり具合を見ながら、ワイピング道具としての例えばカネライト(商品名:発泡断熱材ないしは研磨材の一種)を用いて、サイディングデザインモルタルが塗り付けられたサイディング外壁面2の表面が見えてくるまで削り出す。
見えてきたサイディング外壁面2の表情(デザイン模様)を確認し、必要であれば、部分的あるいは全面的に、目地3および表面の凹部4の材料は拭き取らない程度にカネライト・ウエス(商品名)で軽く拭き取り・ワイピングする。上記カネライトを使用すると、軽く擦る際にはザラザラとサイディングデザインモルタルが削り出され、強く擦ると自らが削れてしまうことで、通常の布タイプのワイピング道具を使用した場合と比較してワイピング作業性が非常に良好であった。
次いで、仕上げ工程(IV)として、さらに数日経過後であって実施例4の湿式材料(サイディングデザインモルタル)が十分に乾燥した後、その目地3および凹部4にサイディングデザインモルタルが塗り付けられたサイディング外壁面2を含むサイディング外壁面2の全表面に、適宜の材質から成るトップコート7を施して、汚れ防止を行う(必須の工程ではない)。
実施例5は、上記塗布工程(II)で使用する実施例4の湿式材料から、カチオン系弾性樹脂材料成分としての超弾性再乳化形粉末アクリルカチオン樹脂(混和液中の混和樹脂)を除去して使用しなければ、固化する時間を延ばすことができるため、サイディング外壁面2や12のパターン・デザイン等のための試し塗りができ、上述したようにユーザ等が確認後、3時間以内であれば、図12に示す水洗いによって容易にサイディングデザインモルタル(但し、混和樹脂を含まない)を落として、所望するパターン・デザインが得られるまで何回でも試し塗りができる。これは、一般的なペンキ・塗料を用いて確認する場合では、そのペンキ・塗料を落とすのに時間が掛かると共に大変な作業となるのと比べて対照的である。
以上述べたとおり、本発明を特定の実施形態や実施例等について説明したが、本発明は、上述した実施形態や実施例等に限定されるものではなく、これらを適宜組み合わせて構成してもよく、本発明の範囲内において、その必要性および用途等に応じて種々の実施形態や実施例を構成し得ることは当業者ならば明らかである。
本発明の一実施形態を示すサイディング外壁面の化粧工法における各工程のフローチャートである。 実施例1におけるサイディング外壁面への化粧前の表面状態を示す要部の平面図である。 図2のサイディング外壁面の化粧工法の各工程におけるその表面状態を示す部分拡大断面図である。 図2のサイディング外壁面への化粧後の表面状態を示す要部の平面図である。 実施例2におけるサイディング外壁面への化粧前の表面状態を示す要部の平面図である。 図5のサイディング外壁面の化粧工法の各工程におけるその表面状態を示す部分拡大断面図である。 図5のサイディング外壁面への化粧後の表面状態を示す要部の平面図である。 カチオン系弾性下地調整モルタルの付着試験に用いた試験体の概要を示す断面図である。 カチオン系弾性下地調整モルタルの付着試験に用いた試験体の付着試験方法を示す平面図である。 カチオン系弾性下地調整モルタルの付着試験に用いた試験体の付着(接着)強度を測定した試験結果を示す図表である。 カチオン系弾性下地調整モルタル製品の付着強度を含む試験結果を示す図表である。
符号の説明
1、11 サイディング外壁
2、12 サイディング外壁面
3、13 サイディング外壁面の目地
4 サイディング外壁面の凹部
5 サイディング外壁面の凸部
6 湿式塗り材料としてのセメント系タイル目地材
7、17 トップコート
16 湿式塗り材料としてのパテ状仕上げ塗材
21 試験用のサイディングボード
26 弾性樹脂材料成分を含む弾性下地調整モルタル

Claims (11)

  1. 建築物における壁面の化粧を湿式塗り材料で行うことを特徴とする建築物における壁面の化粧工法。
  2. 請求項1記載の建築物における壁面の化粧工法において、
    上記壁面が、比較的深さの浅い目地および比較的段差の少ない凹凸模様のうちの少なくとも一方を備えていることを特徴とする建築物における壁面の化粧工法。
  3. 請求項2記載の建築物における壁面の化粧工法において、
    上記湿式塗り材料は、上記壁面に対して適度の付着性および拭取性を有しており、
    上記化粧工法は、上記目地および上記凹凸模様のうちの少なくとも一方を含む上記壁面の略全面に対して上記湿式塗り材料を塗布する塗布工程と、該塗布工程の後に、上記湿式塗り材料が上記目地および上記凹模様のうちの少なくとも一方の表面に残るように、上記凸模様を含む上記壁面表面上の上記湿式塗り材料を拭き取る拭取工程とを有することを特徴とする建築物における壁面の化粧工法。
  4. 請求項1ないし3の何れか一つに記載の建築物における壁面の化粧工法において、
    上記壁面が、サイディング材から成るサイディング外壁面であることを特徴とする建築物における壁面の化粧工法。
  5. 請求項1ないし4の何れか一つに記載の建築物における壁面の化粧工法において、
    上記湿式塗り材料が、セメント系、石灰系、または石膏系等の塗り材料であることを特徴とする建築物における壁面の化粧工法。
  6. 請求項1ないし4の何れか一つに記載の建築物における壁面の化粧工法において、
    上記湿式塗り材料が、パテ材等の仕上げ塗材であることを特徴とする建築物における壁面の化粧工法。
  7. 請求項4記載のサイディング材の材料が、金属系、木質系および窯業系等のうちの少なくとも一つの組み合わせからなることを特徴とする建築物における壁面の化粧工法。
  8. 請求項1ないし7の何れか一つに記載の建築物における壁面の化粧工法に用いる湿式塗り材料において、
    上記湿式塗り材料が、カチオン系の材料成分を含むことを特徴とする湿式塗り材料。
  9. 請求項8記載の湿式塗り材料において、
    上記湿式塗り材料が、少なくとも乾燥した時に弾性を発揮する弾性樹脂材料成分を含むことを特徴とする湿式塗り材料。
  10. 請求項9記載の湿式塗り材料において、
    上記弾性樹脂材料成分の他に、少なくとも乾燥した時に適度の収縮度合いに収まる非収縮性を発揮する材料成分を含むことを特徴とする湿式塗り材料。
  11. 請求項9または10記載の湿式塗り材料において、
    上記湿式塗り材料から上記弾性樹脂材料成分を除去し、試し塗りを可能としたことを特徴とする湿式塗り材料。
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