JP2004249906A - 車両用空気調和装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ケースのインテークボックスに外気及び内気導入口が開口された車両用空気調和装置において、簡単な構造で、外気導入口28からケース8内への異物の侵入を防止する。
【解決手段】外気導入口28及び内気導入口29を、インテークボックス27と一体形成されて空気を導入可能なグリル30で覆う。
【選択図】 図9
【解決手段】外気導入口28及び内気導入口29を、インテークボックス27と一体形成されて空気を導入可能なグリル30で覆う。
【選択図】 図9
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用空気調和装置に関し、特に、そのケースのインテークボックスに車体カウル部から外気が導入される外気導入口が開口されたものに関する技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、この種の車両用空気調和装置では、ケースのインテークボックスに外気導入口及び内気導入口が開口され、このインテークボックス内に外気導入口及び内気導入口を開閉する内外気切換ダンパが設けられており、この切換ダンパの切り換えにより外気導入口又は内気導入口から車室内外の空気をケース内の空気通路に取り入れるようにしている。
【0003】
そして、上記内気導入口はインストルメントパネル内で車室内に開口されているため、この内気導入口からインテークボックス内にインストルメントパネルのグローブボックス内からの異物(例えばボールペン等)が侵入し、この異物がインテークボックスに連通するブロワファンに巻き込まれて異音や、モータロックを発生させる場合がある。そこで、一般に、このような不具合を防止する目的で、内気導入口は格子形状部材によって覆われている。
【0004】
ところで、普通乗用車等においては、インテークボックスの外気導入口から導入される外気は通常、車体のフロントウインドガラス前側に設けられた車体カウル部から取り入れられる。例えば図14に示すように、このカウル部200には、カウルトップグリル201、カウルトップアウタパネル202及びカウルトップインナパネル203が設けられている。そして、カウル部内に入り込もうとする大きな異物(例えば落ち葉等)は、カウルトップグリル201及びカウルトップアウタパネル202に設けられた開口201a,202aを2段階に通り抜ける必要があるので、それからさらに下流側への進入は阻止される。また、仮に両者を通り過ぎた異物や水があったとしても、それらの大部分はカウルトップインナパネル203に設けられた突起部203aによってカウル部200の下流側に侵入するのを阻止される。このため、カウル部200の下流側にある外気導入口は異物侵入防止用の格子形状部材によって覆われていない(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
一方、例えばトラックやワンボックスカー等のキャブオーバーカタイプの車両に搭載された車両用空気調和装置では、車体カウル部からではなく、車体のフロントグリルから外気を取り入れるため、雪、粉塵等が外気導入口から侵入しやすい。このため、フロントグリルと外気導入口とを繋ぐ外気取入ダクト内に遮蔽板を設けることが行われている。しかし、雪、粉塵等の侵入の防止は十分ではなく、また、雪が外気取入ダクトを塞ぐという問題があった。
【0006】
そこで、従来、例えば発熱体を有する枠体に網状部材を設け、ブロワモータの負荷電流が低下したときに発熱体を発熱させて網状部材に凍り付いた雪を除去するものが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開2000−233628号公報
【特許文献2】
実開平5−54012号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記特許文献1のもののように、外気導入口が開放されている場合、車体カウル部で大部分の異物の侵入が防止されるものの、ブロワの吸い込み力が大きいと、落ち葉等の形状を変えやすい異物が車体カウル部を通過することがある。このような場合には、車体カウル部よりも下流側には異物の侵入を阻止する手段が全く設けられていないため、この異物は車両用空調装置の内部にまで侵入することとなる。このことが原因で、異物がブロワファンに引っ掛かかり、ブロワモータが過負荷になって故障したり、さらに下流側のエバポレータ等の熱交換器に異物が付着して、そのチューブ等の腐食を招き、チューブ内からのガス漏れや異臭等が発生したりするという問題が生じる。
【0009】
一方、上記特許文献2のように、複雑な形状の網状部材をインテークボックスの上流側に別体として設ける場合、部品点数が増えるとともに、コストの上昇等につながる。
【0010】
本発明は斯かる諸点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、外気導入口の構成に工夫を加えることにより、簡単な構造で、外気導入口からの異物の侵入を阻止できるようにすることにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1の発明では、ケースのインテークボックスに、車体カウル部から外気が導入される外気導入口と、車室内の内気が導入される内気導入口とが開口された車両用空気調和装置において、外気及び内気導入口は、インテークボックスと一体に形成されかつ空気を導入可能な格子状部材により覆われる構成とする。
【0012】
上記の構成によると、インテークボックスの外気導入口は空気を導入可能な格子状部材により塞がれているので、仮に外気導入口から導入される外気中に、車体カウル部を通過した異物(例えば、落ち葉等)が入り込もうとしても、その異物の侵入は外気導入口の格子状部材によって阻止される。このため、下流側のブロワファンに異物が引っ掛かってブロワモータが過負荷になったり、さらに下流側の熱交換器等に異物が付着して腐食を招いたりすることはない。また、上記格子状部材がインテークボックスと一体的に形成されているため、部品点数が増えず、コストの上昇等が抑えられる。
【0013】
よって、簡単な構造で、ケース内のブロワモータの故障や機器の腐食を防止することができる。
【0014】
請求項2では、インテークボックス内には、外気及び内気導入口の並んだ方向と略直交する方向に延びる支持軸回りに回動して外気及び内気導入口を相反する方向に開閉する内外気切換ダンパが設けられ、インテークボックス及び格子状部材は、内外気切換ダンパの支持軸の長さ方向略中央部において該支持軸と略垂直な面に沿って2つの分割部に分割されており、各分割部の格子形状部材外面において内外気切換ダンパの支持軸寄りにはそれぞれボス部が対応するように突設され、両ボス部同士を締結部材で締結することにより、両分割部が一体的に組み付けられる構成とする。
【0015】
上記の構成によると、インテークボックスは内外気切換ダンパの支持軸に対して略垂直な面に沿って2分割されているが、各分割部の格子形状部材外面に突設されたボス部同士を締結部材によって締結することで、分割されているインテークボックスが一体化されるので、分割されたインテークボックスを外気及び内気導入口の部分でも接合してその接合度を高くすることができる。さらに、ボス部が外気及び内気導入口の中央部よりも相手側の導入口寄り(内外気切換ダンパの支持軸寄り)にそれぞれ設けられているので、内外気切換ダンパの支持軸を堅固に支持することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示に過ぎず、本発明、その適用物や用途の範囲を制限することを意図するものでは全くない。また、実施形態の説明では、説明の便宜を図るために、「前」とは車両の前側を、また「後」とは車両の後側を、さらに「左」とは車両の左側を、さらにまた「右」とは車両の右側をそれぞれ表すこととしている。
【0017】
図13において、1は左側にステアリングホイール(図示せず)を備えた左ハンドル車の車室前部に設置されたインストルメントパネルで、このインストルメントパネル1後面の左右中央部には車室内の乗員の胸元に向けて温調風を吹き出すためのセンタ吹出しノズル2が、また左右端部には同様のサイド吹出しノズル3,3がそれぞれ開口されている。また、インストルメントパネル1の上面前部には、フロントウィンドガラス(図示せず)の内面に曇りを取るための空気を吹き出す左右1対のデフロスタ吹出しノズル4,4が開口されている。なお、本発明は右側にステアリングホイールを備えた右ハンドル車に対しても適用できるのは勿論である。
【0018】
上記インストルメントパネル1内には、車幅方向に延びて車体の一部をなす車体部材としての円筒状のインパネメンバ6が配置されている。そして、インストルメントパネル1内の左右略中央部には、本発明の実施形態に係る車両用空気調和装置Aが設置され、上記インパネメンバ6に固定支持されている。
【0019】
図1〜図7に拡大して示すように、上記空気調和装置Aはケース8を有する。このケース8には、空気導入口としての外気導入口28及び内気導入口29と、空気吹出口としてのデフロスタ口51、ベント口52、フロントヒート口57及びリアヒート口58とが開口されている。また、ケース8の内部には、上記外気導入口28及び内気導入口29(いずれも空気導入口)をデフロスタ口51、ベント口52、フロントヒート口57及びリアヒート口58(いずれも空気吹出口)に接続する空気通路12が設けられている。この空気通路12には、外気導入口28及び内気導入口29の少なくとも一方から空気を空気通路12に吸い込んだ後にベント口52、フロントヒート口57、リアヒート口58及びデフロスタ口51の少なくとも1つから吹き出させる送風手段としてのブロワ23と、空気を冷却する冷却用熱交換器としてのエバポレータ37と、空気を加熱する加熱用熱交換器としてのヒータコア44と、上記エバポレータ37を経由した冷風及びヒータコア44を経由した温風の混合割合を変えてミックスチャンバ15に供給するミックス手段としてのミックスダンパ46と、開閉ダンパとしてのデフロスタダンパ61、ベントダンパ62及びヒートダンパ63とが配置されている。
【0020】
上記ケース8は、上部ケース9、下部ケース10及びヒータコアカバーダクト11を一体的に組み付けてなる。上部ケース9下端の前半部及び後半部はそれぞれ互いに仕切られたダクト状の開口を形成しており、この上部ケース9下端の前半部F(ダクト状開口の周縁部。図5に示す)は前側に向かって上側に向かうように傾斜している一方、後半部R(ダクト状開口の周縁部。図5に示す)は略水平に配置されかつ前半部よりも上側に位置している。なお、図6に示すように、上部ケース9は左右中央部で左右に2分割されていて分割部9a,9aからなり、また、ヒータコアカバーダクト11も同様に左右に2分割されていて分割部11a,11aからなる。
【0021】
上記下部ケース10は有底箱状のもので、その上端の前半部は上部ケース9下端の前半部と同様に前側に向かって上側に向かうように傾斜している一方、後半部は前半部に対し上側に段差状に突出していて該前半部と略平行に前上がりに傾斜している。
【0022】
そして、上記上部及び下部ケース9,10同士は、下部ケース10上端の前半部と上部ケース9下端の前半部とが気密状に接合することで一体的に組み付けられる。この組付状態では、上部ケース9下端の前半部と下部ケース10上端の前半部とがダクト状にシールされて接続され、その内部に空気通路12の一部が形成される。
【0023】
また、上部ケース9下端の後半部と下部ケース10上端の後半部との間には、後側に略テーパ状に拡がる切欠状のダクト装着部17が形成され、このダクト装着部17に上記ヒータコアカバーダクト11が嵌合されている。このヒータコアカバーダクト11は、上端及び下端が開口する断面矩形状のダクトからなり、その上端部を上記上部ケース9下端の後半部に、また下端部を下部ケース10上端の後半部にそれぞれ気密状に接合することで組み付けられている。
【0024】
このようにヒータコアカバーダクト11を上部ケース9下端の後半部と下部ケース10上端の後半部との間のダクト装着部17に嵌合して装着したときに、ヒータコアカバーダクト11の上端開口が上部ケース9下端の後半部の開口に、またヒータコアカバーダクト11の下端開口が下部ケース10上端の後半部の開口にそれぞれ気密状に連通して連続状のダクトをなし、その内部に空気通路12の一部たる後述の温風通路14が形成されるようになっている。
【0025】
なお、図6に示すように、上記ダクト装着部17の下端に相当する下部ケース10上端の後半部においてその左右側壁には前後方向に延びるガイドレール部20,20が形成されている一方、ヒータコアカバーダクト11下端の左右側部には上記ガイドレール部20,20に摺動可能に嵌合する嵌合溝21,21が形成されており、この左右の嵌合溝21,21とガイドレール部20,20との嵌合により、ヒータコアカバーダクト11が前方向にスライドしながらダクト装着部17に係合して装着される。
【0026】
上記上部ケース9には、その前側上部の左右中央に上部ケース9の一部をなす中空円筒状のファンハウジング22(このファンハウジング22も上部ケース9の一部であるので、左右に分割されている)が他の部分と一体に形成され、このファンハウジング22の内部には上記ブロワ23を構成するシロッコファンからなるブロワファン24が配置収容されている。
【0027】
このファンハウジング22は、ブロワファン24に対して渦巻き状のスクロール部90と、このスクロール部90外周からその接線方向に延びるように後側に向かって斜め下方に延びる断面矩形状のダクト状の吐出部22cとからなる。図6及び図8に示すように、ファンハウジング22の左側壁(右側壁でもよい)にはモータ取付口22aが、また右側壁(左側壁でもよい)には吸込口22b(吸込部)が、さらに下側には吐出部22cがそれぞれ開口され、モータ取付口22aには上記ブロワ23を構成するブロワモータ25が水平左右方向に延びる出力軸25aをファンハウジング22内に臨ませて気密状に取付固定されている。このブロワモータ25の出力軸25aに上記ブロワファン24が回転一体に取付固定されている。そして、ブロワファン24の右側(左側でもよい)が環状のベルマウス93によって覆われることで、ファンハウジング22内に螺旋状をした空気通路12の一部が構成されている。このことで、ブロワファン24が略水平方向の回転軸心回りに回転して、上記吸込口22bからファンハウジング22内に吸い込まれた空気を吐出部22cから吹き出させるようになっている。
【0028】
一方、図9にも拡大詳示するように、上記ファンハウジング22の吸込口22bには、上部ケース9の一部をなしてはいるが他の部分と別体に形成されたインテークボックス27の下流端27b(開口端)が上記ベルマウス93を介して気密状に接続されている。このインテークボックス27は左右水平方向の中心線を持つ略有底円筒状のもので、左右略中央部において略垂直面に沿って左右に2つの分割部27c,27dに分割され、その左端が開口端27bとされている。インテークボックス27の下壁部27aは右側(ファンハウジング22側)に向かって下側に向かうように傾斜していて、インテークボックス27左端(右端でもよい)の開口端27bの断面積は他の部分よりも大に形成されており、この開口端27bが下流端とされてファンハウジング22の右側壁の吸込口22bに接続されている。
【0029】
上記インテークボックス27の前側上部は前側に向かって下側に、また後側上部は後側に向かって下側にそれぞれ傾斜し、前側上部には矩形状の上記外気導入口28が、また後側上部には外気導入口28と略同じ形状の上記内気導入口29がそれぞれ開口されている。上記内気導入口29はインストルメントパネル1内で車室内に開放されている一方、外気導入口28は、フロントウィンドガラス前側の車体カウル部(図示せず)を経て車外に連通しており、外気導入口28により車外の空気(外気)を、また内気導入口29により車室内の空気(内気)をそれぞれケース8内の空気通路12に導入するようにしている。このように、外気及び内気導入口28,29をインテークボックス27上面に開口したことで、外気導入口28から浸入した水滴が内気導入口29から車室内へ漏れ出さないようになっている。
【0030】
図9に拡大詳示するように、上記インテークボックス27の外気導入口28及び内気導入口29はいずれも空気を導入可能な格子状部材としてのグリル30,30により覆われている。このグリル30,30はインテークボックス27と一体に成形されたもので、該インテークボックス27の分割部27c,27dと同様に左右に2分割されている。そして、分割部27c,27dの外気導入口28及び内気導入口29のグリル30,30の外面において、各々の内外気切換ダンパ100の支持軸31寄りにはそれぞれケース8外に向かうボス部101,101が左右方向に対応するように突設され、これらのボス部101,101間をネジ105,105で締結することによってインテークボックス27の左右分割部27c,27dが一体的に組み付けられている。
【0031】
なお、図9中、98は上記外気導入口28の周囲に貼着された枠状の発砲ウレタン製のシール部材で、上記車体カウル部との接合面に当接して、空気の漏れ及び振動による騒音を防止するものである。
【0032】
上記インテークボックス27の内部には上端の外気及び内気導入口の並んだ方向と略直交する方向(水平左右方向)に延びる支持軸31(図9参照)回りに揺動する内外気切換ダンパ100が配置されている。すなわち、この内外気切換ダンパ100の支持軸31はブロワモータ25の出力軸25aと略平行となっている。そして、内外気切換ダンパ100の支持軸31はインテークボックス27の外気導入口28及び内気導入口29の間において、インテークボックス27(上部ケース9)に支持されている。この支持軸31の右端部(左端部でもよい)はインテークボックス27から外部に突出し、その突出部にはリンク機構32を介して電動アクチュエータ33が駆動連結されており、ブロワモータ25の作動に伴うブロワファン24の回転により、外気導入口28からの外気又は内気導入口29からの内気をファンハウジング22内(空気通路12の一部)に吸い込んで吐出部22cから吐出するとともに、電動アクチュエータ33による内外気切換ダンパ100の支持軸31回りの回動切換えにより、外気及び内気導入口28,29を相反する方向に開閉してファンハウジング22内に導入する空気を外気導入口28からの外気又は内気導入口29からの内気の少なくとも一方に切り換えるようにしている。
【0033】
さらに、上記インテークボックス27の傾斜した下壁部27a内面において、上記内外気切換ダンパ100の回動範囲の略中央位置に相当する部分には、切換ダンパ100の支持軸31と略平行に延びる上向きの整流板102が一体に設けられている(なお、インテークボックス27が左右方向に2分割されているので、整流板102も同様に左右方向(長さ方向)に2分割されている)。つまり、外気導入口28又は内気導入口29からそれぞれインテークボックス27内に導入された外気又は内気は下流側のファンハウジング22に向かって内外気切換ダンパ100(ブロワモータ25の出力軸25a)と略平行に流れるので、整流板102は上記外気導入口28又は内気導入口29からブロワ23側に向かって流れる空気の流れに沿って延びている。この整流板102は、その下端がインテークボックス27の下壁部27a内面(傾斜面)に沿う一方、上端が、内外気切換ダンパ100の回動端(下端)が近接したときに該回動端に僅かな隙間をあけて沿うように形成されていて、左右方向から見て略三角形状を有している。
【0034】
なお、整流板102はインテークボックス27と別体のものとしてもよい。その場合は、タッピングネジ等の締結部材によって、整流板をインテークボックスの下壁部に取り付ければよい。
【0035】
図8及び図9に示すように、上記インテークボックス27の下壁部27aにおいて開口端27bよりも上流側(右側)には、外気導入口28からの外気又は内気導入口29からの内気とともにインテークボックス27内に浸入してきた水滴をインテークボックス27外に排出するためのパイプ状のドレーンポート103(インテーク側貫通孔)が開口されている。このドレーンポート103にはゴム製や樹脂製等のドレーンホース104の上流端(上端)が接続されている(なお、図1及び図3ではドレーンホース104は省略されている)。
【0036】
一方、下部ケース10の左側部には、ケース8内部でエバポレータ37と空気との熱交換により発生した水を下部ケース10外部に排出するためにドレン口68(図5に示す)が設けられている。このドレン口68上側の下部ケース10の左側壁にはケース側貫通孔(図示せず)が形成されている。
【0037】
図2に仮想線で示すように、このドレーンホース104はケース8側壁に沿うように下側に延び、その下流端(下端)は上記ケース側貫通孔に接続されており、インテークボックス27の水をドレーンホース104を介して下部ケース10内に流下させ、上記ドレン口68を介してケース8外に排出するようにしている。なお、69はドレン口68に接続されたドレーンホースである。また、本実施形態のようにドレーンホース104を別体として設けるのではなく、インテークボックス及びケース側壁に排水用通路をそれぞれ一体的に形成してこれらを互いに接続するようにしてもよい。
【0038】
そして、図1及び図8に示すように、上記ファンハウジング22の左側壁(右側壁でもよい)において、スクロール部90と吐出部22cとの境界近傍にはパイプ状の冷却風出口部92が突設されている。一方、上記ブロワモータ25のモータケース95の下面には、ブロワモータ25内部に連通するパイプ状の冷却風入口部96が、その開口端を略下側に向けるように開口されている。さらに、上記ファンハウジング22の冷却風出口部92と上記モータケース95の冷却風入口部96とは冷却パイプ97によって接続されている。この冷却パイプ97の内部に冷却風通路が形成され、この冷却風通路は、ブロワファン24に加圧されてファンハウジング22の吐出部22cに向かう空気の一部をブロワモータ25の内部に冷却風として送り込む役割を果たしている。なお、ブロワモータ25のモータケース95内は図示しない連通部によってスクロール部90内の低圧部(吸込側)と連通されている。110はブロワモータ25を固定するリングである。
【0039】
上記冷却パイプ97の中間部には、他の箇所よりも高い位置に位置する中高部97aが設けられ、この中高部97aはファンハウジング22側の冷却風出口部92よりも50〜100mm上側に位置している(図1で示すh=50〜100mm)。また、この中高部97aの下流側(モータケース95側)にはブロワモータ25の冷却風入口部96よりも下側に位置した中低部97bが設けられている。
【0040】
なお、この冷却パイプ97としては、ゴム製や樹脂製等のものを使用すればよい。また、中低部97bは必ずしも設ける必要はない。
【0041】
図5に示すように、上記ファンハウジング22の吐出部22cは、後側に向かって斜め下方に延びる断面矩形状のダクトからなり、この吐出部22cの下流端部は、上部ケース9内下部の前端部と下部ケース10内の前端部とにより形成されるレジスタ収容部35に接続されている。このレジスタ収容部35は空気通路12の一部をなし、その下半部(下部ケース10内の部分)はファンハウジング22の吐出部22c下流端部から下側に拡がっている。
【0042】
そして、上記ファンハウジング22の吐出部22cの下流端部は空気通路12の一部をなすエバポレータ収容部36に上記レジスタ収容部35を介して接続されている。このエバポレータ収容部36は、ファンハウジング22後側の斜め下側に位置していて、上部ケース9内下部の前部と下部ケース10内の前部とにより形成されており、エバポレータ収容部36には上記エバポレータ37が空気通路12を横切るように配置されて収容されている。このエバポレータ37は矩形板状のもので、略垂直方向に沿うように縦置きに配置されている。エバポレータ37は、図示しないが、チューブの周りに多数の伝熱フィンを伝熱可能に取り付けたチューブアンドフィンタイプの熱交換器で、チューブの両端にはそれぞれ接続配管37a,37aが接続され、一方の接続配管37aは図外のエキスパンションバルブ等の減圧機構を介して放熱器に、また他方の接続配管37aは、車載エンジンにより駆動されるコンプレッサの吸込み側にそれぞれ接続されており、コンプレッサにより圧縮された冷媒ガスを放熱器で冷却して液冷媒にし、その液冷媒を減圧機構で減圧した後にエバポレータ37で蒸発させ、その蒸発潜熱によりブロワファン24からの空気と熱交換してそれを冷却し冷風を生成するようにしている。なお、エバポレータ37のチューブ内で液冷媒の蒸発がなくて蒸発潜熱が発生しない状態では、エバポレータ37に流入した空気は冷却されずに流入温度のままでエバポレータ37から出るが、本実施形態では、その場合もエバポレータ37下流の空気を冷風とする。
【0043】
また、上記ファンハウジング22の吐出部22c下流端部とエバポレータ収容部36との間には、エバポレータ37の直上流側を覆って該エバポレータ37に流入する空気を濾過するエアフィルタとしてのフィルタ機構38が配置されている。また、このフィルタ機構38の上流側、つまりレジスタ収容部35の下半部において下部ケース10の右側壁(左側壁でもよい)をなす後述の蓋部42の下部内面にはレジスタ39が多数の略矩形板状の放熱フィン39a,39a,…(図11に示す)をレジスタ収容部35内に突出させて臨むように取り付けられており、この放熱フィン39a,39a,…は、上記ブロワモータ25に印加する電圧を制御する制御用トランジスタ(図示せず)を冷却するためのものであり、ブロワモータ25の制御時にはトランジスタで生じた熱を放熱フィン39a,39a,…に伝熱し、このフィン39a,39a,…をブロワ23から吐出された空気により冷却して、それに蓄積した熱を放出するようにしている。
【0044】
図10〜図12に示すように、上記フィルタ機構38は、ブロワファン24からの送風空気が直接流入する上半部の第1フィルタ81と、ブロワファン24からの送風空気の一部が上記放熱フィン39a,39a,…を経由して流入する部分を有する下半部の第2フィルタ85とからなっている。この第1フィルタ81は略矩形枠状のフィルタケース82を備え、このフィルタケース82内には全体が波状に折り曲げられてプリーツ成形されたフィルタ基材83が設けられている。
【0045】
一方、第2フィルタ85も第1フィルタと同様の略矩形枠状のフィルタケース86を備え、このフィルタケース86において、上記放熱フィン39a,39a,…側の一部は、該放熱フィン39a,39a,…との干渉を避けるために薄肉に形成されている。つまり、この第2フィルタ85のフィルタケース86は隔壁86aで薄肉側(蓋部42側)とその反対側の厚肉側とに分けられ、厚肉側内には上記第1フィルタ81のフィルタ基材83と同様にプリーツ成形されたフィルタ基材83が配置されている。一方、薄肉側内には、上記プリーツ成形されたものと異なりプリーツ成形されていない略平面状のフィルタ基材87が配置されている。この略平面状のフィルタ基材87の材料はプリーツ成形されたフィルタ基材83の材料よりも通気抵抗が低いものとされ、プリーツ成形されていない部分のフィルタ基材87全体の通気抵抗はプリーツ成形された部分のフィルタ基材83全体の通気抵抗と同程度のものとする。この平面状のフィルタ基材87によって空いたスペースにレジスタ39が配設され、フィルタ機構38と放熱フィン39a,39a,…との干渉が回避されている。
【0046】
また、上記上部ケース9と下部ケース10とで形成されるエバポレータ収容部36の右側壁(左側壁でもよい)には、レジスタ収容部35からエバポレータ収容部36までの範囲に亘り矩形状の装着口41(図6参照)が上部ケース9及び下部ケース10の各一部を矩形状に切り欠くことで開口され、この装着口41は蓋部42によって気密状に閉塞されており、この装着口41を通してフィルタ機構38がケース8に対し着脱される。
【0047】
図5に示すように、上記エバポレータ37下流側の空気通路12は冷風通路13と温風通路14とに分岐されている。上記冷風通路13は、エバポレータ37下流側(後側)の略上半部から略上側に延びるダクト内に形成されるもので、この冷風通路13により、エバポレータ37を経由した冷風の一部ないし全部を直接流すようにしている。
【0048】
一方、温風通路14は、エバポレータ37下流側の略下半部から後方に延びた後に上側に向かい、上記下部ケース10上端の後半部(ダクト装着部17下端)の開口と、この開口に下端開口にて連通するヒータコアカバーダクト11内と、このヒータコアカバーダクト11の上端開口に連通する上部ケース9下端の後半部(ダクト装着部17上端)の開口とを通りながら前側に向かって斜め上側に延びている。この温風通路14の途中において上記下部ケース10上端の後半部には温風通路14(空気通路12)の一部をなすヒータコア収容部43が形成され、このヒータコア収容部43内に上記ヒータコア44が温風通路14を横切るように配置されて収容されている。すなわち、ヒータコア44は、上記エバポレータ37の下流側に略水平方向に沿うように横置きに配置されている。このヒータコア44も、上記エバポレータ37と同様に、チューブの周りに多数の伝熱フィンを取り付けたタイプの熱交換器であり、チューブの両端は接続配管44a,44aを介して車載エンジンのウォータジャケット(冷却水通路)に接続されており、エンジンの冷却により昇温した冷却水をヒータコア44に流すことにより、エバポレータ37を経由して冷却された冷風の一部ないし全部と熱交換してそれを加熱し温風を生成し、この温風を温風通路14に流すようにしている。なお、ヒータコア44のチューブに高温度の冷却水が流れないときには、ヒータコア44に流入した空気は加熱されずに流入温度のままでヒータコア44から出るが、本実施形態では、その場合もヒータコア44から出た空気を温風とする。
【0049】
なお、図6に示すように、下部ケース10の後半部の右側壁(左側壁でもよい)には装着口45が形成されており、この装着口45を通してヒータコア44がヒータコア装着部43に装着される。そして、このヒータコア44の装着状態では、装着口45はヒータコア44自体により気密状に閉塞され、この装着口45において接続配管44a,44aが下部ケース10(ケース8)外に位置するようになっている。そして、ヒータコアカバーダクト11には、上記装着口45から下部ケース10外に露出している接続配管44a,44aを覆うカバー部11b(図2ではカバー部11bを切り除いて示している)が一体に形成されている。
【0050】
上記冷風通路13の下流端(上端)と温風通路14の下流端(上端)とは互いにミックスチャンバ15(温調室)で連通している(ミックスチャンバ15は図5で一点鎖線にて示す)。このミックスチャンバ15は空気通路12の一部を構成しており、このミックスチャンバ15において冷風及び温風を混合させ、温調風を生成する。ミックスチャンバ15と冷風通路13及び温風通路14の各下流端との間には、冷風通路13からの冷風と温風通路14からの温風との混合割合を変えて温調風の温度を変更する上記ミックスダンパ46が設けられている。つまり、ミックスダンパ46はヒータコア44の下流側に配置されている。このミックスダンパ46は、冷風通路13及び温風通路14の各下流端間の近傍に位置する水平左右方向の支持軸46a回りに揺動する2つのダンパ部46b,46cを有するバタフライタイプのもので、両ダンパ部46b,46cは支持軸46aにおいて180°よりも小さい所定の角度(例えば125°)で交差しており、冷風通路13側にある一方のダンパ部46bが冷風通路13下流端を全閉してミックスチャンバ15との連通を遮断したときには、温風通路14側にある他方のダンパ部46cが温風通路14下流端を全開してミックスチャンバ15と連通させる一方、上記一方のダンパ部46bが冷風通路13下流端を全開してミックスチャンバ15と連通させたときには、他方のダンパ部46cが温風通路14下流端を全閉してミックスチャンバ15との連通を遮断する。そして、これら2つの位置の中間位置では、冷風通路13及び温風通路14の各開度を逆方向に相対的に変えて、ミックスチャンバ15に流入する冷風及び温風の各流量を変更し、ミックスチャンバ15において冷風及び温風の混合割合を変えて温調風の温度を変更調整するようになっている。
【0051】
ミックスダンパ46の支持軸46aは上部ケース9の右側壁(左側壁でもよい)から上部ケース9外に突出していて、この突出部には図外の電動アクチュエータが駆動連結されており、この電動アクチュエータによりミックスダンパ46を空調モードに合わせて開閉制御するようにしている。
【0052】
次に、上記実施形態の作用について説明する。インテークボックス27内の内外気切換ダンパ100の切換作動により、外気導入口28もしくは内気導入口29が全開になるか又は双方が中間開度で開かれ、ブロワ23の作動により、外気導入口28からの外気もしくは内気導入口29からの内気又はそれらの双方がベルマウス93を通ってケース8内の空気通路12の上流端部、つまりファンハウジング22内に吸い込まれる。そして、スクロール部90内でブロワファン24によって加圧され、この空気はファンハウジング22の吐出部22cから吐出された後にケース8のエバポレータ収容部36内に縦置きされたエバポレータ37との熱交換により冷却されて冷風となる。なお、エバポレータ37で液冷媒の蒸発がなくて蒸発潜熱が発生しない状態では、エバポレータ37からは冷却されていない流入温度のままの冷風が出る。
【0053】
そして、ミックスダンパ46が冷風通路13を全開し、温風通路14を全閉しているときには、エバポレータ37から出た冷風の全体が温風通路14に流れずに冷風通路13に流れ、その冷風通路13を通って下流側のミックスチャンバ15に導入されて温調風となる。
【0054】
一方、ミックスダンパ46が冷風通路13を全閉し、温風通路14を全開しているときには、エバポレータ37から出た冷風の全体が冷風通路13に流れずに温風通路14に流れ、その温風通路14を通って下流側のミックスチャンバ15に導入される。この温風通路14にはヒータコア収容部43内に横置きされたヒータコア44が配置されているので、温風通路14を通る間に冷風はヒータコア44に熱交換により加熱されて温風となり、その温風は温風通路14下流側のミックスチャンバ15に流入して温調風となる。なお、ヒータコア44のチューブに高温度の冷却水が流れないときには、ヒータコア44からは加熱されていない流入温度のままの温風が出る。
【0055】
さらに、上記ミックスダンパ46を、冷風通路13又は温風通路14の一方の開度が他方の開度に対し相対的に逆になるように切換変更することで、冷風通路13の冷風の流量と温風通路14の温風の流量とが相対的に逆向きに変化する。このことで、ミックスチャンバ15に流入する冷風及び温風の流量が調整され、ミックスチャンバ15では温度を変更調整された温調風が生成される。
【0056】
基本的には、このようにしてミックスチャンバ15で温調風が生成される。この温調風は、インストルメントパネル1のデフロスタ吹出しノズル4,4に連通するデフロスタ口51、インストルメントパネル1のセンタ吹出しノズル2及び左右のサイド吹出しノズル3,3に接続されたベント口52、フロントヒートダクトに接続されたフロントヒート口57、又はリアヒートダクトに接続されたリアヒート口58の少なくとも一部から吹き出される。これら複数の吹出し口のいずれかを選択するかは、空調モードに応じてデフロスタダンパ61、ベントダンパ62及びヒートダンパ63の連係した開閉切換えにより切り換えられる。
【0057】
インテークボックス27の外気導入口28はグリル30により覆われているので、仮に外気導入口28から導入される外気中に、上記車体カウル部を通過した異物(例えば、落ち葉等)が入り込もうとしても、その異物の侵入は外気導入口28に設けられたグリル30によって阻止される。よって、異物がファンハウジング22内のブロワファン24に引っ掛かってモータ25が過負荷になったり、下流側のエバポレータ37等の腐食を招いたりすることはない。また、上記グリル30がインテークボックス27と一体的に形成されているため、部品点数が増えず、コストの上昇等が抑えられる。よって、簡単な構造でブロワモータ25の故障や機器の腐食を防止することができる。
【0058】
また、インテークボックス27は内外気切換ダンパ100の支持軸31に対して略垂直な面に沿って2分割されているが、各分割部27c,27dのグリル30,30外面に突設されたボス部101,101同士をネジ105,105によって締結することで、分割されているインテークボックス27が一体化されるので、分割されたインテークボックス27を外気及び内気導入口28,29の部分でも接合してその接合度を高くすることができる。さらに、ボス部101,101が外気及び内気導入口28,29の中央部よりも相手側の導入口寄り(内外気切換ダンパ100の支持軸31寄り)にそれぞれ設けられているので、内外気切換ダンパ100の支持軸31を堅固に支持することができる。
【0059】
さらにまた、インテークボックス27の傾斜した下壁部27a内面には整流板102が突設され、この整流板102はブロワ23側に向かって流れる空気の流れに沿う方向に延びているため、この整流板102により外気及び内気のいずれに対してもブロワ23に向かうように整流してガイドでき、インテークボックス27内での乱流の発生を防止して乱流による風切り音が低減される。
【0060】
また、上記インテークボックス27の下壁部27aは、ブロワ23に向かうにつれて下側に向かうように傾斜しているので、外気導入口28から水滴が浸入したとしても、その水滴は、インテークボックス27の下壁部27aを伝って流れた後にブロワファン24の手前に設けられたベルマウス93で塞き止められ、吸込口22b手前の底面に集まる。こうして、集められた水は排水用のドレーンポート103からインテークボックス27外に排出される。よって、インテークボックス27内の水を外部に積極的に排出でき、このことでブロワモータ25内への水の浸入をさらに確実に防止できる。
【0061】
さらに、インテークボックス27外に排出された水はインテークボックス27のドレーンポート103に接続されたドレーンホース104を通って下側に流れ、下部ケース10左側壁のポートから下部ケース10内に再び戻された後、ケース8内部でエバポレータ37と空気との熱交換により発生した水とともにドレーン口68近傍に集められ、このドレン口68からドレーンホース69を通って一括して車外に排出される。このようにして、車両用空調装置A内部の不要な水を一カ所から効率よく車外に排出することができる。
【0062】
なお、上記ブロワモータ25は上部ケース9の前側上部の左右方向略中央部に位置し、乗員から見るとブロワモータ25が上部ケース9のベント口52及びデフロスタ口51の部分にすっぽり覆われるため、ブロワモータ25で発生した異音が遮断されるようになっている。
【0063】
このとき、上記ファンハウジング22においては、スクロール部90と吐出部22cとの境界近傍に開口する冷却風出口部92から、加圧された送風空気の一部が送り出され、この空気は冷却パイプ97の冷却風通路を介してブロワモータ25のケース95内に向かって冷却風として送り込まれる。なお、このモータケース95内に導入された冷却風は、該モータケース95内から連通部を通ってスクロール部90内の低圧部に戻される。このようにして、ブロワモータ25が冷却風によって冷却される。
【0064】
ここで、上記冷却風通路の上流端(冷却風出口部92)をスクロール部90及び吐出部22cの境界よりも上流側に接続すると、スクロール部90内は空気の圧力が高いため、ブロワモータ25内部に流れ込む冷却風の量が多くなり、その分、吐出部22cより下流側に送られる送風空気の損失が大きくなる。一方、上記境界よりも下流側に接続すると、ブロワモータ25内部に流れ込む冷却風の量が少なくなりすぎて冷却効果が弱まることとなる。したがって、冷却風通路の冷却風出口部92をスクロール部90及び吐出部22cの境界近傍に接続することにより、適切な風量の冷却風をブロワモータ25内部に送り込むことができる。
【0065】
そして、上記冷却風が冷却風出口部92に接続されている冷却パイプ97内の冷却風通路を通ってブロワモータ25の冷却風入口部96に送り込まれるときに、上記冷却パイプ97の中間部には冷却風出口部92よりも高い位置に位置する中高部97aが設けられているので、この中高部97aを冷却風は通る。しかし、その中に水滴が混入していると、その水滴は、中高部97aに向かうときに重力に抗して上昇せねばならず、これが抵抗となって中高部97aで塞き止められることとなり、水滴がブロワモータ25内部に浸入することはない。よって、従来のように、ファンハウジング22内に複雑に隔壁を設けて静圧に近い空間を設けなくても、簡単な構造でブロワモータ25内部への水滴の浸入を阻止してブロワモータ25の故障を防ぐことができる。
【0066】
また、冷却風通路は、ファンハウジング22と冷却パイプ97とに分割されて設けられるため、冷却風通路の形成や補修作業が容易である。
【0067】
上記フィルタ機構38においては、フィルタ基材83,87のプリーツ成形前の面積(展開面積)が大きいほどそれに反比例して通気抵抗が下がるため、第2フィルタ85のプリーツ成形されていないフィルタ基材87はプリーツ成形されているフィルタ基材83に比べ、展開面積が小さく、その通気抵抗は大きくなる。このため、仮に、第1及び第2フィルタ81,85のフィルタ基材83と第2フィルタ85の一部のフィルタ基材87とで同じ通気抵抗を有する材料を使用すると、後者側の通気抵抗が大きくなり、空気は通気抵抗の低いプリーツ成形されたフィルタ基材83に偏って流れようとする。しかし、本実施形態では、上記プリーツ成形されていない平面状のフィルタ基材87の材料を通気抵抗が低いものとすることで、その通気抵抗の悪化が抑えられる。
【0068】
よって、フィルタ機構38の性能面や機能面に悪影響を与えることなく、放熱フィン39a,39a,…の冷却効果を確保しながら、第1及び第2フィルタ81,85を通ってエバポレータ37に流入する空気の量を互いに均等にすることができる。
【0069】
また、通常、車両用空調装置Aでは、狭いスペースの中にエバポレータ37やレジスタ39等が配置されるため、フィルタ機構38全体において空気流に沿った奥行き方向に均一なスペースを確保するのが難しい。しかし、このフィルタ機構38のフィルタ基材は、一部がプリーツ成形されていない平面状のフィルタ基材87からなるため、このフィルタ基材87において、放熱フィン39a,39a,…との干渉を避けることができる。
【0070】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明の車両用空気調和装置によると、ケースのインテークボックスに開口された外気及び内気導入口を覆う格子状部材をインテークボックスと一体的に形成したことにより、簡単な構造で、ブロワモータの故障を防ぐことができるとともに、さらに下流に設けられる熱交換器等の機器の腐食や異臭の発生を防止することができる。
【0071】
請求項2によると、インテークボックス内に設けられて外気及び内気導入口を開閉する内外気切換ダンパを、外気及び内気導入口の並んだ方向と略直交する方向の支持軸回りに回動するものとし、インテークボックス及び格子状部材を、内外気切換ダンパの支持軸の長さ方向略中央部において支持軸と略垂直な面に沿って2分割し、各分割部の格子形状部材外面における内外気切換ダンパの支持軸寄りに、ボス部を対応するように突設し、これらのボス部同士を締結して両分割部を一体的に組み付けるようにしたことにより、インテークボックスの接合度が高くなるとともに、内外気切換ダンパの支持軸を堅固に支持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る車両用空気調和装置の左側面図である。
【図2】車両用空気調和装置の右側面図である。
【図3】車両用空気調和装置を車両の前側から見て示す正面図である。
【図4】車両用空気調和装置を車両の後側から見て示す背面図である。
【図5】車両用空気調和装置の前後方向に沿った断面図である。
【図6】車両用空気調和装置の要部を示す分解斜視図である。
【図7】車両用空気調和装置の上部を示す斜視図である。
【図8】車両用空気調和装置の要部を示す分解斜視図である。
【図9】インテークボックスを示す分解斜視図である。
【図10】図5のX−X線断面図である。
【図11】図10のXI方向矢視図である。
【図12】第2フィルタの正面図である。
【図13】車両用空気調和装置が装着された車両のインストルメントパネルを示す斜視図である。
【図14】従来の車体カウル部から外気が取り入れられる様子を示す断面図である。
【符号の説明】
A 車両用空気調和装置
27 インテークボックス
28 外気導入口
29 内気導入口
30 グリル(格子状部材)
31 支持軸
100 内外気切換ダンパ
101 ボス部
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用空気調和装置に関し、特に、そのケースのインテークボックスに車体カウル部から外気が導入される外気導入口が開口されたものに関する技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、この種の車両用空気調和装置では、ケースのインテークボックスに外気導入口及び内気導入口が開口され、このインテークボックス内に外気導入口及び内気導入口を開閉する内外気切換ダンパが設けられており、この切換ダンパの切り換えにより外気導入口又は内気導入口から車室内外の空気をケース内の空気通路に取り入れるようにしている。
【0003】
そして、上記内気導入口はインストルメントパネル内で車室内に開口されているため、この内気導入口からインテークボックス内にインストルメントパネルのグローブボックス内からの異物(例えばボールペン等)が侵入し、この異物がインテークボックスに連通するブロワファンに巻き込まれて異音や、モータロックを発生させる場合がある。そこで、一般に、このような不具合を防止する目的で、内気導入口は格子形状部材によって覆われている。
【0004】
ところで、普通乗用車等においては、インテークボックスの外気導入口から導入される外気は通常、車体のフロントウインドガラス前側に設けられた車体カウル部から取り入れられる。例えば図14に示すように、このカウル部200には、カウルトップグリル201、カウルトップアウタパネル202及びカウルトップインナパネル203が設けられている。そして、カウル部内に入り込もうとする大きな異物(例えば落ち葉等)は、カウルトップグリル201及びカウルトップアウタパネル202に設けられた開口201a,202aを2段階に通り抜ける必要があるので、それからさらに下流側への進入は阻止される。また、仮に両者を通り過ぎた異物や水があったとしても、それらの大部分はカウルトップインナパネル203に設けられた突起部203aによってカウル部200の下流側に侵入するのを阻止される。このため、カウル部200の下流側にある外気導入口は異物侵入防止用の格子形状部材によって覆われていない(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
一方、例えばトラックやワンボックスカー等のキャブオーバーカタイプの車両に搭載された車両用空気調和装置では、車体カウル部からではなく、車体のフロントグリルから外気を取り入れるため、雪、粉塵等が外気導入口から侵入しやすい。このため、フロントグリルと外気導入口とを繋ぐ外気取入ダクト内に遮蔽板を設けることが行われている。しかし、雪、粉塵等の侵入の防止は十分ではなく、また、雪が外気取入ダクトを塞ぐという問題があった。
【0006】
そこで、従来、例えば発熱体を有する枠体に網状部材を設け、ブロワモータの負荷電流が低下したときに発熱体を発熱させて網状部材に凍り付いた雪を除去するものが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開2000−233628号公報
【特許文献2】
実開平5−54012号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記特許文献1のもののように、外気導入口が開放されている場合、車体カウル部で大部分の異物の侵入が防止されるものの、ブロワの吸い込み力が大きいと、落ち葉等の形状を変えやすい異物が車体カウル部を通過することがある。このような場合には、車体カウル部よりも下流側には異物の侵入を阻止する手段が全く設けられていないため、この異物は車両用空調装置の内部にまで侵入することとなる。このことが原因で、異物がブロワファンに引っ掛かかり、ブロワモータが過負荷になって故障したり、さらに下流側のエバポレータ等の熱交換器に異物が付着して、そのチューブ等の腐食を招き、チューブ内からのガス漏れや異臭等が発生したりするという問題が生じる。
【0009】
一方、上記特許文献2のように、複雑な形状の網状部材をインテークボックスの上流側に別体として設ける場合、部品点数が増えるとともに、コストの上昇等につながる。
【0010】
本発明は斯かる諸点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、外気導入口の構成に工夫を加えることにより、簡単な構造で、外気導入口からの異物の侵入を阻止できるようにすることにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1の発明では、ケースのインテークボックスに、車体カウル部から外気が導入される外気導入口と、車室内の内気が導入される内気導入口とが開口された車両用空気調和装置において、外気及び内気導入口は、インテークボックスと一体に形成されかつ空気を導入可能な格子状部材により覆われる構成とする。
【0012】
上記の構成によると、インテークボックスの外気導入口は空気を導入可能な格子状部材により塞がれているので、仮に外気導入口から導入される外気中に、車体カウル部を通過した異物(例えば、落ち葉等)が入り込もうとしても、その異物の侵入は外気導入口の格子状部材によって阻止される。このため、下流側のブロワファンに異物が引っ掛かってブロワモータが過負荷になったり、さらに下流側の熱交換器等に異物が付着して腐食を招いたりすることはない。また、上記格子状部材がインテークボックスと一体的に形成されているため、部品点数が増えず、コストの上昇等が抑えられる。
【0013】
よって、簡単な構造で、ケース内のブロワモータの故障や機器の腐食を防止することができる。
【0014】
請求項2では、インテークボックス内には、外気及び内気導入口の並んだ方向と略直交する方向に延びる支持軸回りに回動して外気及び内気導入口を相反する方向に開閉する内外気切換ダンパが設けられ、インテークボックス及び格子状部材は、内外気切換ダンパの支持軸の長さ方向略中央部において該支持軸と略垂直な面に沿って2つの分割部に分割されており、各分割部の格子形状部材外面において内外気切換ダンパの支持軸寄りにはそれぞれボス部が対応するように突設され、両ボス部同士を締結部材で締結することにより、両分割部が一体的に組み付けられる構成とする。
【0015】
上記の構成によると、インテークボックスは内外気切換ダンパの支持軸に対して略垂直な面に沿って2分割されているが、各分割部の格子形状部材外面に突設されたボス部同士を締結部材によって締結することで、分割されているインテークボックスが一体化されるので、分割されたインテークボックスを外気及び内気導入口の部分でも接合してその接合度を高くすることができる。さらに、ボス部が外気及び内気導入口の中央部よりも相手側の導入口寄り(内外気切換ダンパの支持軸寄り)にそれぞれ設けられているので、内外気切換ダンパの支持軸を堅固に支持することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示に過ぎず、本発明、その適用物や用途の範囲を制限することを意図するものでは全くない。また、実施形態の説明では、説明の便宜を図るために、「前」とは車両の前側を、また「後」とは車両の後側を、さらに「左」とは車両の左側を、さらにまた「右」とは車両の右側をそれぞれ表すこととしている。
【0017】
図13において、1は左側にステアリングホイール(図示せず)を備えた左ハンドル車の車室前部に設置されたインストルメントパネルで、このインストルメントパネル1後面の左右中央部には車室内の乗員の胸元に向けて温調風を吹き出すためのセンタ吹出しノズル2が、また左右端部には同様のサイド吹出しノズル3,3がそれぞれ開口されている。また、インストルメントパネル1の上面前部には、フロントウィンドガラス(図示せず)の内面に曇りを取るための空気を吹き出す左右1対のデフロスタ吹出しノズル4,4が開口されている。なお、本発明は右側にステアリングホイールを備えた右ハンドル車に対しても適用できるのは勿論である。
【0018】
上記インストルメントパネル1内には、車幅方向に延びて車体の一部をなす車体部材としての円筒状のインパネメンバ6が配置されている。そして、インストルメントパネル1内の左右略中央部には、本発明の実施形態に係る車両用空気調和装置Aが設置され、上記インパネメンバ6に固定支持されている。
【0019】
図1〜図7に拡大して示すように、上記空気調和装置Aはケース8を有する。このケース8には、空気導入口としての外気導入口28及び内気導入口29と、空気吹出口としてのデフロスタ口51、ベント口52、フロントヒート口57及びリアヒート口58とが開口されている。また、ケース8の内部には、上記外気導入口28及び内気導入口29(いずれも空気導入口)をデフロスタ口51、ベント口52、フロントヒート口57及びリアヒート口58(いずれも空気吹出口)に接続する空気通路12が設けられている。この空気通路12には、外気導入口28及び内気導入口29の少なくとも一方から空気を空気通路12に吸い込んだ後にベント口52、フロントヒート口57、リアヒート口58及びデフロスタ口51の少なくとも1つから吹き出させる送風手段としてのブロワ23と、空気を冷却する冷却用熱交換器としてのエバポレータ37と、空気を加熱する加熱用熱交換器としてのヒータコア44と、上記エバポレータ37を経由した冷風及びヒータコア44を経由した温風の混合割合を変えてミックスチャンバ15に供給するミックス手段としてのミックスダンパ46と、開閉ダンパとしてのデフロスタダンパ61、ベントダンパ62及びヒートダンパ63とが配置されている。
【0020】
上記ケース8は、上部ケース9、下部ケース10及びヒータコアカバーダクト11を一体的に組み付けてなる。上部ケース9下端の前半部及び後半部はそれぞれ互いに仕切られたダクト状の開口を形成しており、この上部ケース9下端の前半部F(ダクト状開口の周縁部。図5に示す)は前側に向かって上側に向かうように傾斜している一方、後半部R(ダクト状開口の周縁部。図5に示す)は略水平に配置されかつ前半部よりも上側に位置している。なお、図6に示すように、上部ケース9は左右中央部で左右に2分割されていて分割部9a,9aからなり、また、ヒータコアカバーダクト11も同様に左右に2分割されていて分割部11a,11aからなる。
【0021】
上記下部ケース10は有底箱状のもので、その上端の前半部は上部ケース9下端の前半部と同様に前側に向かって上側に向かうように傾斜している一方、後半部は前半部に対し上側に段差状に突出していて該前半部と略平行に前上がりに傾斜している。
【0022】
そして、上記上部及び下部ケース9,10同士は、下部ケース10上端の前半部と上部ケース9下端の前半部とが気密状に接合することで一体的に組み付けられる。この組付状態では、上部ケース9下端の前半部と下部ケース10上端の前半部とがダクト状にシールされて接続され、その内部に空気通路12の一部が形成される。
【0023】
また、上部ケース9下端の後半部と下部ケース10上端の後半部との間には、後側に略テーパ状に拡がる切欠状のダクト装着部17が形成され、このダクト装着部17に上記ヒータコアカバーダクト11が嵌合されている。このヒータコアカバーダクト11は、上端及び下端が開口する断面矩形状のダクトからなり、その上端部を上記上部ケース9下端の後半部に、また下端部を下部ケース10上端の後半部にそれぞれ気密状に接合することで組み付けられている。
【0024】
このようにヒータコアカバーダクト11を上部ケース9下端の後半部と下部ケース10上端の後半部との間のダクト装着部17に嵌合して装着したときに、ヒータコアカバーダクト11の上端開口が上部ケース9下端の後半部の開口に、またヒータコアカバーダクト11の下端開口が下部ケース10上端の後半部の開口にそれぞれ気密状に連通して連続状のダクトをなし、その内部に空気通路12の一部たる後述の温風通路14が形成されるようになっている。
【0025】
なお、図6に示すように、上記ダクト装着部17の下端に相当する下部ケース10上端の後半部においてその左右側壁には前後方向に延びるガイドレール部20,20が形成されている一方、ヒータコアカバーダクト11下端の左右側部には上記ガイドレール部20,20に摺動可能に嵌合する嵌合溝21,21が形成されており、この左右の嵌合溝21,21とガイドレール部20,20との嵌合により、ヒータコアカバーダクト11が前方向にスライドしながらダクト装着部17に係合して装着される。
【0026】
上記上部ケース9には、その前側上部の左右中央に上部ケース9の一部をなす中空円筒状のファンハウジング22(このファンハウジング22も上部ケース9の一部であるので、左右に分割されている)が他の部分と一体に形成され、このファンハウジング22の内部には上記ブロワ23を構成するシロッコファンからなるブロワファン24が配置収容されている。
【0027】
このファンハウジング22は、ブロワファン24に対して渦巻き状のスクロール部90と、このスクロール部90外周からその接線方向に延びるように後側に向かって斜め下方に延びる断面矩形状のダクト状の吐出部22cとからなる。図6及び図8に示すように、ファンハウジング22の左側壁(右側壁でもよい)にはモータ取付口22aが、また右側壁(左側壁でもよい)には吸込口22b(吸込部)が、さらに下側には吐出部22cがそれぞれ開口され、モータ取付口22aには上記ブロワ23を構成するブロワモータ25が水平左右方向に延びる出力軸25aをファンハウジング22内に臨ませて気密状に取付固定されている。このブロワモータ25の出力軸25aに上記ブロワファン24が回転一体に取付固定されている。そして、ブロワファン24の右側(左側でもよい)が環状のベルマウス93によって覆われることで、ファンハウジング22内に螺旋状をした空気通路12の一部が構成されている。このことで、ブロワファン24が略水平方向の回転軸心回りに回転して、上記吸込口22bからファンハウジング22内に吸い込まれた空気を吐出部22cから吹き出させるようになっている。
【0028】
一方、図9にも拡大詳示するように、上記ファンハウジング22の吸込口22bには、上部ケース9の一部をなしてはいるが他の部分と別体に形成されたインテークボックス27の下流端27b(開口端)が上記ベルマウス93を介して気密状に接続されている。このインテークボックス27は左右水平方向の中心線を持つ略有底円筒状のもので、左右略中央部において略垂直面に沿って左右に2つの分割部27c,27dに分割され、その左端が開口端27bとされている。インテークボックス27の下壁部27aは右側(ファンハウジング22側)に向かって下側に向かうように傾斜していて、インテークボックス27左端(右端でもよい)の開口端27bの断面積は他の部分よりも大に形成されており、この開口端27bが下流端とされてファンハウジング22の右側壁の吸込口22bに接続されている。
【0029】
上記インテークボックス27の前側上部は前側に向かって下側に、また後側上部は後側に向かって下側にそれぞれ傾斜し、前側上部には矩形状の上記外気導入口28が、また後側上部には外気導入口28と略同じ形状の上記内気導入口29がそれぞれ開口されている。上記内気導入口29はインストルメントパネル1内で車室内に開放されている一方、外気導入口28は、フロントウィンドガラス前側の車体カウル部(図示せず)を経て車外に連通しており、外気導入口28により車外の空気(外気)を、また内気導入口29により車室内の空気(内気)をそれぞれケース8内の空気通路12に導入するようにしている。このように、外気及び内気導入口28,29をインテークボックス27上面に開口したことで、外気導入口28から浸入した水滴が内気導入口29から車室内へ漏れ出さないようになっている。
【0030】
図9に拡大詳示するように、上記インテークボックス27の外気導入口28及び内気導入口29はいずれも空気を導入可能な格子状部材としてのグリル30,30により覆われている。このグリル30,30はインテークボックス27と一体に成形されたもので、該インテークボックス27の分割部27c,27dと同様に左右に2分割されている。そして、分割部27c,27dの外気導入口28及び内気導入口29のグリル30,30の外面において、各々の内外気切換ダンパ100の支持軸31寄りにはそれぞれケース8外に向かうボス部101,101が左右方向に対応するように突設され、これらのボス部101,101間をネジ105,105で締結することによってインテークボックス27の左右分割部27c,27dが一体的に組み付けられている。
【0031】
なお、図9中、98は上記外気導入口28の周囲に貼着された枠状の発砲ウレタン製のシール部材で、上記車体カウル部との接合面に当接して、空気の漏れ及び振動による騒音を防止するものである。
【0032】
上記インテークボックス27の内部には上端の外気及び内気導入口の並んだ方向と略直交する方向(水平左右方向)に延びる支持軸31(図9参照)回りに揺動する内外気切換ダンパ100が配置されている。すなわち、この内外気切換ダンパ100の支持軸31はブロワモータ25の出力軸25aと略平行となっている。そして、内外気切換ダンパ100の支持軸31はインテークボックス27の外気導入口28及び内気導入口29の間において、インテークボックス27(上部ケース9)に支持されている。この支持軸31の右端部(左端部でもよい)はインテークボックス27から外部に突出し、その突出部にはリンク機構32を介して電動アクチュエータ33が駆動連結されており、ブロワモータ25の作動に伴うブロワファン24の回転により、外気導入口28からの外気又は内気導入口29からの内気をファンハウジング22内(空気通路12の一部)に吸い込んで吐出部22cから吐出するとともに、電動アクチュエータ33による内外気切換ダンパ100の支持軸31回りの回動切換えにより、外気及び内気導入口28,29を相反する方向に開閉してファンハウジング22内に導入する空気を外気導入口28からの外気又は内気導入口29からの内気の少なくとも一方に切り換えるようにしている。
【0033】
さらに、上記インテークボックス27の傾斜した下壁部27a内面において、上記内外気切換ダンパ100の回動範囲の略中央位置に相当する部分には、切換ダンパ100の支持軸31と略平行に延びる上向きの整流板102が一体に設けられている(なお、インテークボックス27が左右方向に2分割されているので、整流板102も同様に左右方向(長さ方向)に2分割されている)。つまり、外気導入口28又は内気導入口29からそれぞれインテークボックス27内に導入された外気又は内気は下流側のファンハウジング22に向かって内外気切換ダンパ100(ブロワモータ25の出力軸25a)と略平行に流れるので、整流板102は上記外気導入口28又は内気導入口29からブロワ23側に向かって流れる空気の流れに沿って延びている。この整流板102は、その下端がインテークボックス27の下壁部27a内面(傾斜面)に沿う一方、上端が、内外気切換ダンパ100の回動端(下端)が近接したときに該回動端に僅かな隙間をあけて沿うように形成されていて、左右方向から見て略三角形状を有している。
【0034】
なお、整流板102はインテークボックス27と別体のものとしてもよい。その場合は、タッピングネジ等の締結部材によって、整流板をインテークボックスの下壁部に取り付ければよい。
【0035】
図8及び図9に示すように、上記インテークボックス27の下壁部27aにおいて開口端27bよりも上流側(右側)には、外気導入口28からの外気又は内気導入口29からの内気とともにインテークボックス27内に浸入してきた水滴をインテークボックス27外に排出するためのパイプ状のドレーンポート103(インテーク側貫通孔)が開口されている。このドレーンポート103にはゴム製や樹脂製等のドレーンホース104の上流端(上端)が接続されている(なお、図1及び図3ではドレーンホース104は省略されている)。
【0036】
一方、下部ケース10の左側部には、ケース8内部でエバポレータ37と空気との熱交換により発生した水を下部ケース10外部に排出するためにドレン口68(図5に示す)が設けられている。このドレン口68上側の下部ケース10の左側壁にはケース側貫通孔(図示せず)が形成されている。
【0037】
図2に仮想線で示すように、このドレーンホース104はケース8側壁に沿うように下側に延び、その下流端(下端)は上記ケース側貫通孔に接続されており、インテークボックス27の水をドレーンホース104を介して下部ケース10内に流下させ、上記ドレン口68を介してケース8外に排出するようにしている。なお、69はドレン口68に接続されたドレーンホースである。また、本実施形態のようにドレーンホース104を別体として設けるのではなく、インテークボックス及びケース側壁に排水用通路をそれぞれ一体的に形成してこれらを互いに接続するようにしてもよい。
【0038】
そして、図1及び図8に示すように、上記ファンハウジング22の左側壁(右側壁でもよい)において、スクロール部90と吐出部22cとの境界近傍にはパイプ状の冷却風出口部92が突設されている。一方、上記ブロワモータ25のモータケース95の下面には、ブロワモータ25内部に連通するパイプ状の冷却風入口部96が、その開口端を略下側に向けるように開口されている。さらに、上記ファンハウジング22の冷却風出口部92と上記モータケース95の冷却風入口部96とは冷却パイプ97によって接続されている。この冷却パイプ97の内部に冷却風通路が形成され、この冷却風通路は、ブロワファン24に加圧されてファンハウジング22の吐出部22cに向かう空気の一部をブロワモータ25の内部に冷却風として送り込む役割を果たしている。なお、ブロワモータ25のモータケース95内は図示しない連通部によってスクロール部90内の低圧部(吸込側)と連通されている。110はブロワモータ25を固定するリングである。
【0039】
上記冷却パイプ97の中間部には、他の箇所よりも高い位置に位置する中高部97aが設けられ、この中高部97aはファンハウジング22側の冷却風出口部92よりも50〜100mm上側に位置している(図1で示すh=50〜100mm)。また、この中高部97aの下流側(モータケース95側)にはブロワモータ25の冷却風入口部96よりも下側に位置した中低部97bが設けられている。
【0040】
なお、この冷却パイプ97としては、ゴム製や樹脂製等のものを使用すればよい。また、中低部97bは必ずしも設ける必要はない。
【0041】
図5に示すように、上記ファンハウジング22の吐出部22cは、後側に向かって斜め下方に延びる断面矩形状のダクトからなり、この吐出部22cの下流端部は、上部ケース9内下部の前端部と下部ケース10内の前端部とにより形成されるレジスタ収容部35に接続されている。このレジスタ収容部35は空気通路12の一部をなし、その下半部(下部ケース10内の部分)はファンハウジング22の吐出部22c下流端部から下側に拡がっている。
【0042】
そして、上記ファンハウジング22の吐出部22cの下流端部は空気通路12の一部をなすエバポレータ収容部36に上記レジスタ収容部35を介して接続されている。このエバポレータ収容部36は、ファンハウジング22後側の斜め下側に位置していて、上部ケース9内下部の前部と下部ケース10内の前部とにより形成されており、エバポレータ収容部36には上記エバポレータ37が空気通路12を横切るように配置されて収容されている。このエバポレータ37は矩形板状のもので、略垂直方向に沿うように縦置きに配置されている。エバポレータ37は、図示しないが、チューブの周りに多数の伝熱フィンを伝熱可能に取り付けたチューブアンドフィンタイプの熱交換器で、チューブの両端にはそれぞれ接続配管37a,37aが接続され、一方の接続配管37aは図外のエキスパンションバルブ等の減圧機構を介して放熱器に、また他方の接続配管37aは、車載エンジンにより駆動されるコンプレッサの吸込み側にそれぞれ接続されており、コンプレッサにより圧縮された冷媒ガスを放熱器で冷却して液冷媒にし、その液冷媒を減圧機構で減圧した後にエバポレータ37で蒸発させ、その蒸発潜熱によりブロワファン24からの空気と熱交換してそれを冷却し冷風を生成するようにしている。なお、エバポレータ37のチューブ内で液冷媒の蒸発がなくて蒸発潜熱が発生しない状態では、エバポレータ37に流入した空気は冷却されずに流入温度のままでエバポレータ37から出るが、本実施形態では、その場合もエバポレータ37下流の空気を冷風とする。
【0043】
また、上記ファンハウジング22の吐出部22c下流端部とエバポレータ収容部36との間には、エバポレータ37の直上流側を覆って該エバポレータ37に流入する空気を濾過するエアフィルタとしてのフィルタ機構38が配置されている。また、このフィルタ機構38の上流側、つまりレジスタ収容部35の下半部において下部ケース10の右側壁(左側壁でもよい)をなす後述の蓋部42の下部内面にはレジスタ39が多数の略矩形板状の放熱フィン39a,39a,…(図11に示す)をレジスタ収容部35内に突出させて臨むように取り付けられており、この放熱フィン39a,39a,…は、上記ブロワモータ25に印加する電圧を制御する制御用トランジスタ(図示せず)を冷却するためのものであり、ブロワモータ25の制御時にはトランジスタで生じた熱を放熱フィン39a,39a,…に伝熱し、このフィン39a,39a,…をブロワ23から吐出された空気により冷却して、それに蓄積した熱を放出するようにしている。
【0044】
図10〜図12に示すように、上記フィルタ機構38は、ブロワファン24からの送風空気が直接流入する上半部の第1フィルタ81と、ブロワファン24からの送風空気の一部が上記放熱フィン39a,39a,…を経由して流入する部分を有する下半部の第2フィルタ85とからなっている。この第1フィルタ81は略矩形枠状のフィルタケース82を備え、このフィルタケース82内には全体が波状に折り曲げられてプリーツ成形されたフィルタ基材83が設けられている。
【0045】
一方、第2フィルタ85も第1フィルタと同様の略矩形枠状のフィルタケース86を備え、このフィルタケース86において、上記放熱フィン39a,39a,…側の一部は、該放熱フィン39a,39a,…との干渉を避けるために薄肉に形成されている。つまり、この第2フィルタ85のフィルタケース86は隔壁86aで薄肉側(蓋部42側)とその反対側の厚肉側とに分けられ、厚肉側内には上記第1フィルタ81のフィルタ基材83と同様にプリーツ成形されたフィルタ基材83が配置されている。一方、薄肉側内には、上記プリーツ成形されたものと異なりプリーツ成形されていない略平面状のフィルタ基材87が配置されている。この略平面状のフィルタ基材87の材料はプリーツ成形されたフィルタ基材83の材料よりも通気抵抗が低いものとされ、プリーツ成形されていない部分のフィルタ基材87全体の通気抵抗はプリーツ成形された部分のフィルタ基材83全体の通気抵抗と同程度のものとする。この平面状のフィルタ基材87によって空いたスペースにレジスタ39が配設され、フィルタ機構38と放熱フィン39a,39a,…との干渉が回避されている。
【0046】
また、上記上部ケース9と下部ケース10とで形成されるエバポレータ収容部36の右側壁(左側壁でもよい)には、レジスタ収容部35からエバポレータ収容部36までの範囲に亘り矩形状の装着口41(図6参照)が上部ケース9及び下部ケース10の各一部を矩形状に切り欠くことで開口され、この装着口41は蓋部42によって気密状に閉塞されており、この装着口41を通してフィルタ機構38がケース8に対し着脱される。
【0047】
図5に示すように、上記エバポレータ37下流側の空気通路12は冷風通路13と温風通路14とに分岐されている。上記冷風通路13は、エバポレータ37下流側(後側)の略上半部から略上側に延びるダクト内に形成されるもので、この冷風通路13により、エバポレータ37を経由した冷風の一部ないし全部を直接流すようにしている。
【0048】
一方、温風通路14は、エバポレータ37下流側の略下半部から後方に延びた後に上側に向かい、上記下部ケース10上端の後半部(ダクト装着部17下端)の開口と、この開口に下端開口にて連通するヒータコアカバーダクト11内と、このヒータコアカバーダクト11の上端開口に連通する上部ケース9下端の後半部(ダクト装着部17上端)の開口とを通りながら前側に向かって斜め上側に延びている。この温風通路14の途中において上記下部ケース10上端の後半部には温風通路14(空気通路12)の一部をなすヒータコア収容部43が形成され、このヒータコア収容部43内に上記ヒータコア44が温風通路14を横切るように配置されて収容されている。すなわち、ヒータコア44は、上記エバポレータ37の下流側に略水平方向に沿うように横置きに配置されている。このヒータコア44も、上記エバポレータ37と同様に、チューブの周りに多数の伝熱フィンを取り付けたタイプの熱交換器であり、チューブの両端は接続配管44a,44aを介して車載エンジンのウォータジャケット(冷却水通路)に接続されており、エンジンの冷却により昇温した冷却水をヒータコア44に流すことにより、エバポレータ37を経由して冷却された冷風の一部ないし全部と熱交換してそれを加熱し温風を生成し、この温風を温風通路14に流すようにしている。なお、ヒータコア44のチューブに高温度の冷却水が流れないときには、ヒータコア44に流入した空気は加熱されずに流入温度のままでヒータコア44から出るが、本実施形態では、その場合もヒータコア44から出た空気を温風とする。
【0049】
なお、図6に示すように、下部ケース10の後半部の右側壁(左側壁でもよい)には装着口45が形成されており、この装着口45を通してヒータコア44がヒータコア装着部43に装着される。そして、このヒータコア44の装着状態では、装着口45はヒータコア44自体により気密状に閉塞され、この装着口45において接続配管44a,44aが下部ケース10(ケース8)外に位置するようになっている。そして、ヒータコアカバーダクト11には、上記装着口45から下部ケース10外に露出している接続配管44a,44aを覆うカバー部11b(図2ではカバー部11bを切り除いて示している)が一体に形成されている。
【0050】
上記冷風通路13の下流端(上端)と温風通路14の下流端(上端)とは互いにミックスチャンバ15(温調室)で連通している(ミックスチャンバ15は図5で一点鎖線にて示す)。このミックスチャンバ15は空気通路12の一部を構成しており、このミックスチャンバ15において冷風及び温風を混合させ、温調風を生成する。ミックスチャンバ15と冷風通路13及び温風通路14の各下流端との間には、冷風通路13からの冷風と温風通路14からの温風との混合割合を変えて温調風の温度を変更する上記ミックスダンパ46が設けられている。つまり、ミックスダンパ46はヒータコア44の下流側に配置されている。このミックスダンパ46は、冷風通路13及び温風通路14の各下流端間の近傍に位置する水平左右方向の支持軸46a回りに揺動する2つのダンパ部46b,46cを有するバタフライタイプのもので、両ダンパ部46b,46cは支持軸46aにおいて180°よりも小さい所定の角度(例えば125°)で交差しており、冷風通路13側にある一方のダンパ部46bが冷風通路13下流端を全閉してミックスチャンバ15との連通を遮断したときには、温風通路14側にある他方のダンパ部46cが温風通路14下流端を全開してミックスチャンバ15と連通させる一方、上記一方のダンパ部46bが冷風通路13下流端を全開してミックスチャンバ15と連通させたときには、他方のダンパ部46cが温風通路14下流端を全閉してミックスチャンバ15との連通を遮断する。そして、これら2つの位置の中間位置では、冷風通路13及び温風通路14の各開度を逆方向に相対的に変えて、ミックスチャンバ15に流入する冷風及び温風の各流量を変更し、ミックスチャンバ15において冷風及び温風の混合割合を変えて温調風の温度を変更調整するようになっている。
【0051】
ミックスダンパ46の支持軸46aは上部ケース9の右側壁(左側壁でもよい)から上部ケース9外に突出していて、この突出部には図外の電動アクチュエータが駆動連結されており、この電動アクチュエータによりミックスダンパ46を空調モードに合わせて開閉制御するようにしている。
【0052】
次に、上記実施形態の作用について説明する。インテークボックス27内の内外気切換ダンパ100の切換作動により、外気導入口28もしくは内気導入口29が全開になるか又は双方が中間開度で開かれ、ブロワ23の作動により、外気導入口28からの外気もしくは内気導入口29からの内気又はそれらの双方がベルマウス93を通ってケース8内の空気通路12の上流端部、つまりファンハウジング22内に吸い込まれる。そして、スクロール部90内でブロワファン24によって加圧され、この空気はファンハウジング22の吐出部22cから吐出された後にケース8のエバポレータ収容部36内に縦置きされたエバポレータ37との熱交換により冷却されて冷風となる。なお、エバポレータ37で液冷媒の蒸発がなくて蒸発潜熱が発生しない状態では、エバポレータ37からは冷却されていない流入温度のままの冷風が出る。
【0053】
そして、ミックスダンパ46が冷風通路13を全開し、温風通路14を全閉しているときには、エバポレータ37から出た冷風の全体が温風通路14に流れずに冷風通路13に流れ、その冷風通路13を通って下流側のミックスチャンバ15に導入されて温調風となる。
【0054】
一方、ミックスダンパ46が冷風通路13を全閉し、温風通路14を全開しているときには、エバポレータ37から出た冷風の全体が冷風通路13に流れずに温風通路14に流れ、その温風通路14を通って下流側のミックスチャンバ15に導入される。この温風通路14にはヒータコア収容部43内に横置きされたヒータコア44が配置されているので、温風通路14を通る間に冷風はヒータコア44に熱交換により加熱されて温風となり、その温風は温風通路14下流側のミックスチャンバ15に流入して温調風となる。なお、ヒータコア44のチューブに高温度の冷却水が流れないときには、ヒータコア44からは加熱されていない流入温度のままの温風が出る。
【0055】
さらに、上記ミックスダンパ46を、冷風通路13又は温風通路14の一方の開度が他方の開度に対し相対的に逆になるように切換変更することで、冷風通路13の冷風の流量と温風通路14の温風の流量とが相対的に逆向きに変化する。このことで、ミックスチャンバ15に流入する冷風及び温風の流量が調整され、ミックスチャンバ15では温度を変更調整された温調風が生成される。
【0056】
基本的には、このようにしてミックスチャンバ15で温調風が生成される。この温調風は、インストルメントパネル1のデフロスタ吹出しノズル4,4に連通するデフロスタ口51、インストルメントパネル1のセンタ吹出しノズル2及び左右のサイド吹出しノズル3,3に接続されたベント口52、フロントヒートダクトに接続されたフロントヒート口57、又はリアヒートダクトに接続されたリアヒート口58の少なくとも一部から吹き出される。これら複数の吹出し口のいずれかを選択するかは、空調モードに応じてデフロスタダンパ61、ベントダンパ62及びヒートダンパ63の連係した開閉切換えにより切り換えられる。
【0057】
インテークボックス27の外気導入口28はグリル30により覆われているので、仮に外気導入口28から導入される外気中に、上記車体カウル部を通過した異物(例えば、落ち葉等)が入り込もうとしても、その異物の侵入は外気導入口28に設けられたグリル30によって阻止される。よって、異物がファンハウジング22内のブロワファン24に引っ掛かってモータ25が過負荷になったり、下流側のエバポレータ37等の腐食を招いたりすることはない。また、上記グリル30がインテークボックス27と一体的に形成されているため、部品点数が増えず、コストの上昇等が抑えられる。よって、簡単な構造でブロワモータ25の故障や機器の腐食を防止することができる。
【0058】
また、インテークボックス27は内外気切換ダンパ100の支持軸31に対して略垂直な面に沿って2分割されているが、各分割部27c,27dのグリル30,30外面に突設されたボス部101,101同士をネジ105,105によって締結することで、分割されているインテークボックス27が一体化されるので、分割されたインテークボックス27を外気及び内気導入口28,29の部分でも接合してその接合度を高くすることができる。さらに、ボス部101,101が外気及び内気導入口28,29の中央部よりも相手側の導入口寄り(内外気切換ダンパ100の支持軸31寄り)にそれぞれ設けられているので、内外気切換ダンパ100の支持軸31を堅固に支持することができる。
【0059】
さらにまた、インテークボックス27の傾斜した下壁部27a内面には整流板102が突設され、この整流板102はブロワ23側に向かって流れる空気の流れに沿う方向に延びているため、この整流板102により外気及び内気のいずれに対してもブロワ23に向かうように整流してガイドでき、インテークボックス27内での乱流の発生を防止して乱流による風切り音が低減される。
【0060】
また、上記インテークボックス27の下壁部27aは、ブロワ23に向かうにつれて下側に向かうように傾斜しているので、外気導入口28から水滴が浸入したとしても、その水滴は、インテークボックス27の下壁部27aを伝って流れた後にブロワファン24の手前に設けられたベルマウス93で塞き止められ、吸込口22b手前の底面に集まる。こうして、集められた水は排水用のドレーンポート103からインテークボックス27外に排出される。よって、インテークボックス27内の水を外部に積極的に排出でき、このことでブロワモータ25内への水の浸入をさらに確実に防止できる。
【0061】
さらに、インテークボックス27外に排出された水はインテークボックス27のドレーンポート103に接続されたドレーンホース104を通って下側に流れ、下部ケース10左側壁のポートから下部ケース10内に再び戻された後、ケース8内部でエバポレータ37と空気との熱交換により発生した水とともにドレーン口68近傍に集められ、このドレン口68からドレーンホース69を通って一括して車外に排出される。このようにして、車両用空調装置A内部の不要な水を一カ所から効率よく車外に排出することができる。
【0062】
なお、上記ブロワモータ25は上部ケース9の前側上部の左右方向略中央部に位置し、乗員から見るとブロワモータ25が上部ケース9のベント口52及びデフロスタ口51の部分にすっぽり覆われるため、ブロワモータ25で発生した異音が遮断されるようになっている。
【0063】
このとき、上記ファンハウジング22においては、スクロール部90と吐出部22cとの境界近傍に開口する冷却風出口部92から、加圧された送風空気の一部が送り出され、この空気は冷却パイプ97の冷却風通路を介してブロワモータ25のケース95内に向かって冷却風として送り込まれる。なお、このモータケース95内に導入された冷却風は、該モータケース95内から連通部を通ってスクロール部90内の低圧部に戻される。このようにして、ブロワモータ25が冷却風によって冷却される。
【0064】
ここで、上記冷却風通路の上流端(冷却風出口部92)をスクロール部90及び吐出部22cの境界よりも上流側に接続すると、スクロール部90内は空気の圧力が高いため、ブロワモータ25内部に流れ込む冷却風の量が多くなり、その分、吐出部22cより下流側に送られる送風空気の損失が大きくなる。一方、上記境界よりも下流側に接続すると、ブロワモータ25内部に流れ込む冷却風の量が少なくなりすぎて冷却効果が弱まることとなる。したがって、冷却風通路の冷却風出口部92をスクロール部90及び吐出部22cの境界近傍に接続することにより、適切な風量の冷却風をブロワモータ25内部に送り込むことができる。
【0065】
そして、上記冷却風が冷却風出口部92に接続されている冷却パイプ97内の冷却風通路を通ってブロワモータ25の冷却風入口部96に送り込まれるときに、上記冷却パイプ97の中間部には冷却風出口部92よりも高い位置に位置する中高部97aが設けられているので、この中高部97aを冷却風は通る。しかし、その中に水滴が混入していると、その水滴は、中高部97aに向かうときに重力に抗して上昇せねばならず、これが抵抗となって中高部97aで塞き止められることとなり、水滴がブロワモータ25内部に浸入することはない。よって、従来のように、ファンハウジング22内に複雑に隔壁を設けて静圧に近い空間を設けなくても、簡単な構造でブロワモータ25内部への水滴の浸入を阻止してブロワモータ25の故障を防ぐことができる。
【0066】
また、冷却風通路は、ファンハウジング22と冷却パイプ97とに分割されて設けられるため、冷却風通路の形成や補修作業が容易である。
【0067】
上記フィルタ機構38においては、フィルタ基材83,87のプリーツ成形前の面積(展開面積)が大きいほどそれに反比例して通気抵抗が下がるため、第2フィルタ85のプリーツ成形されていないフィルタ基材87はプリーツ成形されているフィルタ基材83に比べ、展開面積が小さく、その通気抵抗は大きくなる。このため、仮に、第1及び第2フィルタ81,85のフィルタ基材83と第2フィルタ85の一部のフィルタ基材87とで同じ通気抵抗を有する材料を使用すると、後者側の通気抵抗が大きくなり、空気は通気抵抗の低いプリーツ成形されたフィルタ基材83に偏って流れようとする。しかし、本実施形態では、上記プリーツ成形されていない平面状のフィルタ基材87の材料を通気抵抗が低いものとすることで、その通気抵抗の悪化が抑えられる。
【0068】
よって、フィルタ機構38の性能面や機能面に悪影響を与えることなく、放熱フィン39a,39a,…の冷却効果を確保しながら、第1及び第2フィルタ81,85を通ってエバポレータ37に流入する空気の量を互いに均等にすることができる。
【0069】
また、通常、車両用空調装置Aでは、狭いスペースの中にエバポレータ37やレジスタ39等が配置されるため、フィルタ機構38全体において空気流に沿った奥行き方向に均一なスペースを確保するのが難しい。しかし、このフィルタ機構38のフィルタ基材は、一部がプリーツ成形されていない平面状のフィルタ基材87からなるため、このフィルタ基材87において、放熱フィン39a,39a,…との干渉を避けることができる。
【0070】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明の車両用空気調和装置によると、ケースのインテークボックスに開口された外気及び内気導入口を覆う格子状部材をインテークボックスと一体的に形成したことにより、簡単な構造で、ブロワモータの故障を防ぐことができるとともに、さらに下流に設けられる熱交換器等の機器の腐食や異臭の発生を防止することができる。
【0071】
請求項2によると、インテークボックス内に設けられて外気及び内気導入口を開閉する内外気切換ダンパを、外気及び内気導入口の並んだ方向と略直交する方向の支持軸回りに回動するものとし、インテークボックス及び格子状部材を、内外気切換ダンパの支持軸の長さ方向略中央部において支持軸と略垂直な面に沿って2分割し、各分割部の格子形状部材外面における内外気切換ダンパの支持軸寄りに、ボス部を対応するように突設し、これらのボス部同士を締結して両分割部を一体的に組み付けるようにしたことにより、インテークボックスの接合度が高くなるとともに、内外気切換ダンパの支持軸を堅固に支持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る車両用空気調和装置の左側面図である。
【図2】車両用空気調和装置の右側面図である。
【図3】車両用空気調和装置を車両の前側から見て示す正面図である。
【図4】車両用空気調和装置を車両の後側から見て示す背面図である。
【図5】車両用空気調和装置の前後方向に沿った断面図である。
【図6】車両用空気調和装置の要部を示す分解斜視図である。
【図7】車両用空気調和装置の上部を示す斜視図である。
【図8】車両用空気調和装置の要部を示す分解斜視図である。
【図9】インテークボックスを示す分解斜視図である。
【図10】図5のX−X線断面図である。
【図11】図10のXI方向矢視図である。
【図12】第2フィルタの正面図である。
【図13】車両用空気調和装置が装着された車両のインストルメントパネルを示す斜視図である。
【図14】従来の車体カウル部から外気が取り入れられる様子を示す断面図である。
【符号の説明】
A 車両用空気調和装置
27 インテークボックス
28 外気導入口
29 内気導入口
30 グリル(格子状部材)
31 支持軸
100 内外気切換ダンパ
101 ボス部
Claims (2)
- ケースのインテークボックスに、車体カウル部から外気が導入される外気導入口と、車室内の内気が導入される内気導入口とが開口された車両用空気調和装置において、
上記外気及び内気導入口は、インテークボックスと一体に形成されかつ空気を導入可能な格子状部材により覆われていることを特徴とする車両用空気調和装置。 - 請求項1の車両用空気調和装置において、
インテークボックス内には、外気及び内気導入口の並んだ方向と略直交する方向に延びる支持軸回りに回動して外気及び内気導入口を相反する方向に開閉する内外気切換ダンパが設けられ、
上記インテークボックス及び格子状部材は、上記内外気切換ダンパの支持軸の長さ方向略中央部において該支持軸と略垂直な面に沿って2つの分割部に分割されており、
上記各分割部の格子形状部材外面において上記内外気切換ダンパの支持軸寄りにはそれぞれボス部が対応するように突設され、上記両ボス部同士を締結部材で締結することにより、両分割部が一体的に組み付けられていることを特徴とする車両用空気調和装置。
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2003
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