JP2004249728A - 平版印刷版用支持体および平版印刷版 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】アルミニウム基体に、粗面化処理を施して得られる平版印刷版用支持体であって、該アルミニウム基体表面のピット径の標準偏差σがσ≦0.99であることを特徴とする平版印刷版用支持体およびこれを用いた平版印刷版原版。
【選択図】なし
Description
また、酸性水溶液中で直流電圧を用いて電気化学的に粗面化を行ない、平均直径が0.5〜10μmのハニカムピットを10000〜100000個/mm2の密度で形成するとともに、平均直径が0.5μm未満のハニカムピットが形成されるか又はハニカムピットが形成されていないプラトーな部分が表面の15〜60%になるようにし、酸性またはアルカリ水溶液中で化学的なエッチング処理を行ない、プラトーな部分を10%以下にし、酸性水溶液中で直流または交流を用いて電気化学的な粗面化を行ない平均直径0.1〜2μmのハニカムピットを形成する方法が、インキが絡み難く、かつブラン汚れ性能を向上させることが記載されている(特許文献2)。
さらに、ブラシ研磨により表面を粗面化処理し、塩酸電解により更に粗面化処理し、好ましくは塩酸電解による粗面化処理により直径が0.2〜2.0μmの半球状のピットを密度が50〜1000個/μm2になるように生成させ、陽極酸化処理し、親水化処理したアルミニウム表面にジアゾ樹脂とアルカリ可溶性ウレタン樹脂を含有する感光性組成物層を設けた感光性平版印刷版は、水性アルカリ現像液に対する現像性と耐刷性のバランスが高度に保たれ、かつ汚れにくいことが記載される(特許文献3)。
また、Si含有量が0.02〜0.15wt%、Fe含有量が0.1〜0.5wt%、不純物としてのCu含有量が0.003wt%以下、残部Alと不可避的不純物からなるオフセット印刷用アルミニウム素板が、疎面化処理により均一な凹凸面を生成して感光膜との密着性を向上し、平版印刷版とした場合に非画像部の汚れを防止し、画像部の調子再現性および色調が良好で十分な耐久力を有することが記載されている(特許文献5)。
さらに、Fe:0.05〜0.5wt%、Si:0.03〜0.15wt%、Cu:0.006〜0.03wt%、Ti:0.010〜0.040wt%、及びLi,Na,K,Rb,Cs,Ca,Sr,Ba,Sc,Y,Nb,Ta,Mo,W,Tc,Re,Ru,Os,Co,Rh,Ir,Pd,Pt,Ag,Au,C,Ge,P,As,S,Se,Te,Poから選ばれる少なくとも1種の元素を1〜100ppm含有し、残部が不可避不純物とAlとからなり、かつAl純度が99.0wt%以上である板材の表面を、電気化学的粗面化を含む粗面化処理して得られる平版印刷版用支持体は、粗面化効率に優れ、かつピットが均一であり、さらに平版印刷版とした時の印刷機への装着性や密着性にも優れた安価な平版印刷版用支持体であることが記載されている(特許文献6)。
例えば、特定の電気化学的粗面化処理をする場合で、Al材中のCu含有量を0.025質量%から0.001質量%に減らした場合、標準偏差が0.99から0.43まで下がった。またCu以外の他の微量金属を添加することによっても、例えば標準偏差が0.44まで下がることも確認され、Sn、Pb、Be、InおよびNi等の金属微量成分がピットの径のばらつきを少なくする上で大きな効果をもつことを見出した。また、従来の印刷版は、ピットの標準偏差が0.90より大きな分散を持つことがわかった。
このような単分散性の支持体から得られた印刷版の印刷性能の評価を行ったところ、耐刷性と汚れのトレードオフを脱却した印刷版が得られることを見出し、本発明を発明した。さらに進めてAl材中の金属微量成分によらずに特定の粗面化方法で単分散性のピットを支持体表面に形成すれば、得られる印刷版は同様に印刷性能が優れることを知見し本発明を完成した。
(1)アルミニウム基体に粗面化処理を施して得られる平版印刷版用支持体であって、該アルミニウム基体表面のピット径の標準偏差σがσ≦0.99である平版印刷版用支持体。
(2)上記1のアルミニウム基体が、Feを0.1〜0.5質量%、Siを0.02〜0.10質量%、Tiを0.00〜0.05質量%、Cuを0.000〜0.050質量%含有し、残部がAlの不可避不純物からなり、表面のピットの平均径が1.0μm以上であり、ピットの平均密度が5.0×102〜5.0×105個/mm2である上記1に記載の平版印刷版用支持体。
(3)上記2のアルミニウム基体が、Sn、Pb、Be、InおよびNiからなる群から選択される少なくとも1種を1〜200ppmの範囲で、さらに含有する上記2に記載の平版印刷版用支持体。
(4)上記1〜3のいずれかに記載の平版印刷版用支持体上に画像記録層を有する平版印刷版原版。
しかし、標準偏差を0.00とすることは実質上全てのピット径を同一にすることであり、工業生産上コストがかかり実際的でないことから、0.30<σ≦0.99の範囲が好ましく、より好ましくは0.30<σ≦0.50の範囲にすることが効果的である。
得られるピット径に対するピット数の分布には、アルミニウム基体の表面処理工程に応じていくつかのピークにまとめられるピット群が存在してもよい。本発明の標準偏差はこのようなピット群の少なくとも1つについて計算する。ピット群の選択方法は特に限定されないが、例えば0.5μm以上の径を持つピットを選択する群であり、例えば5μm以下の径を持つピットを選択する群であり、好ましくは0.5〜5μmの範囲の径を持つピットを選択する群における標準偏差を算出する。計算は、各ピット群毎にそれぞれの平均ピット径を求め、各ピットの平均ピット径からの距離の2乗とそれぞれのピットの数の確率変数の積の全体の和を求め、平方根をとれば特定のピット群の標準偏差σが得られる。
<アルミニウム基体>
本発明の平版印刷版用支持体に用いられるアルミニウム基体は、寸度的に安定なアルミニウムを主成分とする金属板であり、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる。 純アルミニウム板のほか、アルミニウムを主成分とし微量の異元素を含む合金板や、アルミニウムまたはアルミニウム合金がラミネートされまたは蒸着されたプラスチックフィルムまたは紙を用いることもできる。更に、特公昭48−18327号公報に記載されているようなポリエチレンテレフタレートフィルム上にアルミニウムシートが結合された複合体シートを用いることもできる。
本発明に用いられるアルミニウム基体は、上記原材料を用いて常法で鋳造したものに、適宜圧延処理や熱処理を施し、厚さを例えば、0.1〜0.7mmとし、必要に応じて平面性矯正処理を施して製造される。この厚さは、印刷機の大きさ、印刷板の大きさおよびユーザーの希望により、適宜変更することができる。
なお、上記アルミニウム基体(以下アルミニウム板で例示して記載する)の製造方法としては、例えば、DC鋳造法、DC鋳造法から均熱処理および/または焼鈍処理を省略した方法、ならびに、連続鋳造法を用いることができる。
また、本発明の平版印刷版用支持体の製造工程は、粗面化処理として、機械的粗面化処理、電気化学的粗面化処理、酸またはアルカリ水溶液中での化学的エッチング処理等を組み合わせたアルミニウム板の表面処理工程を含んでもよい。本発明の平版印刷版用支持体の粗面化処理等の製造工程は、連続法でも断続法でもよいが、工業的には連続法を用いるのが好ましい。更に、必要に応じて、ポアワイド処理(酸処理またはアルカリ処理)、封孔処理、親水化処理、親水性表面処理を経て、支持体が形成される。更に、必要に応じて支持体形成後に、下塗層を設けてもよい。
まず、粗面化処理について説明する。
アルミニウム板は、より好ましい形状に砂目立て処理されてもよい。砂目立て処理方法は、特開昭56−28893号公報に記載されているような機械的砂目立て(機械的粗面化処理)、化学的エッチング、電解グレイン等がある。更に、塩酸電解液中または硝酸電解液中で電気化学的に砂目立てする電気化学的砂目立て法(電気化学的粗面化処理、電解粗面化処理)や、アルミニウム表面を金属ワイヤーでひっかくワイヤーブラシグレイン法、研磨球と研磨剤でアルミニウム表面を砂目立てするボールグレイン法、ナイロンブラシと研磨剤で表面を砂目立てするブラシグレイン法等の機械的砂目立て法(機械的粗面化処理)を用いることができる。これらの砂目立て法は、単独でまたは組み合わせて用いることができる。例えば、ナイロンブラシと研磨剤とによる機械的粗面化処理と、塩酸電解液または硝酸電解液による電解粗面化処理との組み合わせや、複数の電解粗面化処理の組み合わせが挙げられる。中でも、電気化学的粗面化処理が好ましい。また、機械的粗面化処理と電気化学的粗面化処理とを組み合わせて行うのも好ましく、特に、機械的粗面化処理の後に電気化学的粗面化処理を行うのが好ましい。
好適な機械的粗面化処理においては、毛径が0.07〜0.57mmである回転するナイロンブラシロールと、アルミニウム板表面に供給される研磨剤のスラリー液とで処理する。
本発明においては、上記電気化学的粗面化処理において、アルミニウム板が陰極となるときにおける電気量、即ち、陰極時電気量QC と、陽極となるときにおける電気量、即ち、陽極時電気量QAとの比QC/QAを、例えば、0.90〜2.5の範囲内とすることで、アルミニウム板の表面に均一なハニカムピットを生成することができる。QC/QAが0.95未満であると、不均一なハニカムピットとなりやすく、また、2.5を超えても、不均一なハニカムピットとなりやすい。QC /QA は、1.5〜2.0の範囲内とするのが好ましい。
電気化学的粗面化処理において、電気化学的粗面化処理が終了した時点でのアルミニウム板のアノード反応に用いた電気量の総和は、50〜1000C/dm2であるのが好ましい。電気化学的粗面化処理の時間は、1秒〜30分であるのが好ましい。
図1は、本発明に好適に用いられるラジアル型電解装置の概略図である。図1において、ラジアル型電解装置は、アルミニウム板11が主電解槽21中に配置されたラジアルドラムローラ12に巻装され、搬送過程で交流電源20に接続された主極13aおよび13bによって電解処理される。酸性水溶液14は、溶液供給口15からスリット16を通じてラジアルドラムローラ12と主極13aおよび13bとの間にある溶液通路17に供給される。
ついで、主電解槽21で処理されたアルミニウム板11は、補助陽極槽22で電解処理される。この補助陽極槽22には補助陽極18がアルミニウム板11と対向配置されており、酸性水溶液14は、補助陽極18とアルミニウム板11との間を流れるように供給される。なお、補助電極に流す電流は、サイリスタ19aおよび19bにより制御される。
補助陽極18は、フェライト、酸化イリジウム、白金、または、白金をチタン、ニオブ、ジルコニウム等のバルブ金属にクラッドもしくはメッキしたもの等公知の酸素発生用電極から選定することができる。
一つの電解装置には1個以上の交流電源を接続することができる。また、2個以上の電解装置を使用してもよく、各装置における電解条件は同一であってもよいし異なっていてもよい。
また、電解処理が終了した後には、処理液を次工程に持ち出さないためにニップローラによる液切りとスプレーによる水洗とを行うのが好ましい。
アルカリエッチング処理は、アルカリ水溶液中でアルミニウム板表面を化学的にエッチングする処理であり、上記電気化学的粗面化処理の前と後のそれぞれにおいて行うのが好ましい。また、電気化学的粗面化処理の前に機械的粗面化処理を行う場合には、機械的粗面化処理の後に行うのが好ましい。アルカリエッチング処理は、短時間で微細構造を破壊することができるので、後述する酸性エッチング処理よりも有利である。
アルカリエッチング処理に用いられるアルカリ水溶液としては、カセイソーダ、炭酸ソーダ、アルミン酸ソーダ、メタケイ酸ソーダ、リン酸ソーダ、水酸化カリウム、水酸化リチウム等の1種または2種以上を含有する水溶液が挙げられる。特に、水酸化ナトリウム(カセイソーダ)を主体とする水溶液が好ましい。アルカリ水溶液は、アルミニウムはもちろん、アルミニウム板中に含有される合金成分を0.5〜10質量%を含有していてもよい。
アルカリ水溶液の濃度は、1〜50質量%であるのが好ましく、1〜30質量%であるのがより好ましい。
また、アルカリエッチング処理が終了した後には、処理液を次工程に持ち出さないために、ニップローラによる液切りとスプレーによる水洗とを行うのが好ましい。
酸性エッチング処理は、酸性水溶液中でアルミニウム板を化学的にエッチングする処理であり、上記電気化学的粗面化処理の後に行うのが好ましい。また、上記電気化学的粗面化処理の前および/または後に上記アルカリエッチング処理を行う場合は、アルカリエッチング処理の後に酸性エッチング処理を行うのも好ましい。
アルミニウム板に上記アルカリエッチング処理を施した後に、上記酸性エッチング処理を施すと、アルミニウム板表面のシリカを含む金属間化合物または単体Siを除去することができ、その後の陽極酸化処理において生成する陽極酸化皮膜の欠陥をなくすことができる。その結果、印刷時にチリ状汚れと称される非画像部に点状のインクが付着するトラブルを防止することができる。
また、酸性エッチング処理が終了した後には、処理液を次工程に持ち出さないために、ニップローラによる液切りとスプレーによる水洗とを行うのが好ましい。
上記電気化学的粗面化処理の前および/または後に上記アルカリエッチング処理を行う場合は、アルカリエッチング処理により、一般にアルミニウム板の表面にスマットが生成するので、リン酸、硝酸、硫酸、クロム酸、塩酸、フッ酸、ホウフッ化水素酸、またはこれらの2種以上の混酸を含有する酸性溶液中で上記スマットを溶解する、いわゆるデスマット処理をアルカリエッチング処理の後に行うのが好ましい。なお、アルカリエッチング処理の後には、酸性エッチング処理およびデスマット処理のうち、いずれか一方を行えば十分である。
酸性溶液の液温は、20℃〜95℃であるのが好ましく、30〜70℃であるのがより好ましい。また、処理時間は1〜120秒であるのが好ましく、2〜60秒であるのがより好ましい。
また、デスマット処理液(酸性溶液)としては、上記電気化学的粗面化処理で用いた酸性水溶液の廃液を用いるのが、廃液量削減の上で好ましい。
デスマット処理が終了した後には、処理液を次工程に持ち出さないためにニップローラによる液切りとスプレーによる水洗とを行うのが好ましい。
まず、機械的粗面化処理および/またはアルカリエッチング処理を行い、その後、デスマット処理を行う。つぎに、電気化学的粗面化処理を行い、その後、・酸性エッチング処理、・アルカリエッチング処理およびそれに引き続くデスマット処理、・アルカリエッチング処理およびそれに引き続く酸性エッチング処理のいずれかを行う。
以上のように処理されたアルミニウム板には、更に、陽極酸化処理が施される。陽極酸化処理はこの分野で従来行われている方法で行うことができる。この場合、例えば、硫酸濃度50〜300g/Lで、アルミニウム濃度5質量%以下の溶液中で、アルミニウム板を陽極として通電して陽極酸化皮膜を形成させることができる。陽極酸化処理に用いられる溶液としては、硫酸、リン酸、クロム酸、シュウ酸、スルファミン酸、ベンゼンスルホン酸、アミドスルホン酸等を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
陽極酸化処理の条件は、使用される電解液によって種々変化するので一概に決定され得ないが、一般的には電解液濃度1〜80質量%、液温5〜70℃、電流密度0.5〜60A/dm2 、電圧1〜100V、電解時間15秒〜50分であるのが適当であり、所望の陽極酸化皮膜量となるように調整される。
アルミニウム板に直流を印加する場合においては、電流密度は、1〜60A/dm2であるのが好ましく、5〜40A/dm2であるのがより好ましい。
連続的に陽極酸化処理を行う場合には、アルミニウム板の一部に電流が集中していわゆる「焼け」が生じないように、陽極酸化処理の開始当初は、5〜10A/m2の低電流密度で電流を流し、陽極酸化処理が進行するにつれ、30〜50A/dm2またはそれ以上に電流密度を増加させるのが好ましい。
連続的に陽極酸化処理を行う場合には、アルミニウム板に、電解液を介して給電する液給電方式により行うのが好ましい。
このような条件で陽極酸化処理を行うことによりポア(マイクロポア)と呼ばれる孔を多数有する多孔質皮膜が得られるが、通常、その平均ポア径は5〜50nm程度であり、平均ポア密度は300〜800個/μm2程度である。
中でも、図2に示す装置が好適に用いられる。図2は、アルミニウム板の表面を陽極酸化処理する装置の一例を示す概略図である。陽極酸化処理装置410において、アルミニウム板416は、図2中矢印で示すように搬送される。電解液418が貯溜された給電槽412にてアルミニウム板416は給電電極420によって(+)に荷電される。そして、アルミニウム板416は、給電槽412においてローラ422によって上方に搬送され、ニップローラ424によって下方に方向変換された後、電解液426が貯溜された電解処理槽414に向けて搬送され、ローラ428によって水平方向に方向転換される。ついで、アルミニウム板416は、電解電極430によって(−)に荷電されることにより、その表面に陽極酸化皮膜が形成され、電解処理槽414を出たアルミニウム板416は後工程に搬送される。前記陽極酸化処理装置410において、ローラ422、ニップローラ424およびローラ428によって方向転換手段が構成され、アルミニウム板416は、給電槽412と電解処理槽414との槽間部において、前記ローラ422、424および428により、山型および逆U字型に搬送される。給電電極420と電解電極430とは、直流電源434に接続されている。
本発明の平版印刷版用支持体には、画像記録層を設けて本発明の平版印刷版原版とすることができる。画像記録層には、感光性組成物が用いられる。
本発明に好適に用いられる感光性組成物としては、例えば、アルカリ可溶性高分子化合物と光熱変換物質とを含むサーマルポジ型感光性組成物(以下、この組成物およびこれを用いた画像記録層について、「サーマルポジタイプ」という。)、硬化性化合物と光熱変換物質とを含有するサーマルネガ型感光性組成物(以下、同様に「サーマルネガタイプ」という。)、光重合型感光性組成物(以下、同様に「フォトポリマータイプ」という。)、ジアゾ樹脂または光架橋樹脂を含有するネガ型感光性組成物(以下、同様に「コンベンショナルネガタイプ」という。)、キノンジアジド化合物を含有するポジ型樹脂感光性組成物(以下、同様に「コンベンショナルポジタイプ」という。)、特別な現像工程を必要としない感光性組成物(以下、同様に、「無処理タイプ」という。)が挙げられる。以下、これらの好適な感光性組成物について説明する。
(感光層)
サーマルポジタイプの感光層は、アルカリ可溶性高分子化合物と光熱変換物質とを含有する。サーマルポジタイプの画像記録層においては、光熱変換物質が赤外線レーザ等の光のエネルギーを熱に変換し、その熱がアルカリ可溶性高分子化合物のアルカリ溶解性を低下させている相互作用を効率よく解除する。
とりわけ、赤外線レーザ等の光による露光での画像形成性に優れる点で、フェノール性ヒドロキシ基を有する樹脂が好ましく、例えば、フェノールホルムアルデヒド樹脂、m−クレゾール−ホルムアルデヒド樹脂、p−クレゾール−ホルムアルデヒド樹脂、m−/p−混合クレゾール−ホルムアルデヒド樹脂、フェノール/クレゾール(m−、p−およびm−/p−混合のいずれでもよい)混合−ホルムアルデヒド樹脂等のノボラック樹脂が好ましく挙げられる。
さらに、特開2001−305722号公報(特に[0023]〜[0042])に記載されている高分子化合物、特開2001−215693号公報に示された一般式(1)で表される繰り返しを含む高分子化合物、特開2002−311570号公報(特に[0107])に記載されている高分子化合物も好適に挙げられる。
また、サーマルポジタイプの感光性組成物中には、添加剤として、感度調節剤、露光による加熱後直ちに可視像を得るための焼出し剤、画像着色剤としての染料等の化合物、塗布性および処理安定性を向上させるための界面活性剤を含有させるのが好ましい。これらについては、特開2001−305722号公報の[0056]〜[0060]で記載されているような化合物が好ましい。
上記以外の点でも、特開2001−305722号公報に詳細に記載されている感光性組成物が好ましく用いられる。
またサーマルポジタイプの画像記録層は、単層に限らず、2層構造であってもよい。
2層構造の画像記録層(重層系の画像記録層)としては、支持体に近い側に耐刷性および耐溶剤性に優れる下層(以下「A層」という。)を設け、その上にポジ画像形成性に優れる層(以下「B層」という。)を設けたタイプが好適に挙げられる。このタイプは感度が高く、広い現像ラチチュードを実現することができる。B層は、一般に、光熱変換物質を含有する。光熱変換物質としては、上述した染料が好適に挙げられる。
上記A層に用いられる樹脂としては、スルホンアミド基、活性イミノ基、フェノール性ヒドロキシ基等を有するモノマーを共重合成分として有するポリマーが耐刷性および耐溶剤性に優れている点で好適に挙げられる。B層に用いられる樹脂としては、フェノール性ヒドロキシ基を有するアルカリ水溶液可溶性樹脂が好適に挙げられる。
A層およびB層に用いられる組成物には、上記樹脂のほかに、必要に応じて、種々の添加剤を含有させることができる。具体的には、特開2002−3233769号公報の[0062]〜[0085]に記載されているような種々の添加剤が好適に用いられる。また、上述した特開2001−305722号公報の[0053]〜[0060]に記載されている添加剤も好適に用いられる。
A層およびB層を構成する各成分およびその含有量については、特開平11−218914号公報に記載されているものを記載の含有量で用いるのが好ましい。
サーマルポジタイプの画像記録層と支持体との間には、中間層を設けるのが好ましい。中間層に含有される成分としては、特開2001−305722号公報の[0068]に記載されている種々の有機化合物が挙げられる。特願9−264309号出願の[0020]〜[0042]に記載のような酸基とオニウム基を含む共重合ポリマーとその形成方法も好適に用いることができる。
サーマルポジタイプの画像記録層の製造方法および製版方法については、特開2001−305722号公報に詳細に記載されている方法を用いることができる。
サーマルネガタイプの感光性組成物は、硬化性化合物と光熱変換物質とを含有する。サーマルネガタイプの画像記録層は、赤外線レーザ等の光で照射された部分が硬化して画像部を形成するネガ型の感光層である。
<重合層>
サーマルネガタイプの画像記録層の一つとして、重合型の画像記録層(重合層)が好適に挙げられる。重合層は、光熱変換物質と、ラジカル発生剤と、硬化性化合物であるラジカル重合性化合物と、バインダーポリマーとを含有する。重合層においては、光熱変換物質が吸収した赤外線を熱に変換し、この熱によりラジカル発生剤が分解してラジカルが発生し、発生したラジカルによりラジカル重合性化合物が、連鎖的に重合し、硬化する。
ラジカル発生剤としては、オニウム塩が好適に挙げられる。特に、特開2001−133969号公報[0030]〜[0033]に記載されているオニウム塩が好ましい。
ラジカル重合性化合物としては、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物が挙げられる。
バインダーポリマーとしては、線状有機ポリマーが好適に挙げられる。水または弱アルカリ水に対して可溶性または膨潤性である線状有機ポリマーが好適に挙げられる。中でも、アリル基、アクリロイル基等の不飽和基またはベンジル基と、カルボキシ基とを側鎖に有する(メタ)アクリル樹脂が、膜強度、感度および現像性のバランスに優れている点で好適である。
ラジカル重合性化合物およびバインダーポリマーについては、特開2001−133969号公報の[0036]〜[0060]に詳細に記載されているものを用いることができる。
サーマルネガタイプの感光性組成物中には、特開2001−133969号公報の[0061]〜[0068]に記載されている添加剤(例えば、塗布性を向上させるための界面活性剤)を含有させるのが好ましい。
<酸架橋層>
また、サーマルネガタイプの画像記録層の一つとして、酸架橋型の画像記録層(酸架橋層)も好適に挙げられる。酸架橋層は、光熱変換物質と、熱酸発生剤と、硬化性化合物である酸により架橋する化合物(架橋剤)および酸の存在下で架橋剤と反応しうるアルカリ可溶性高分子化合物を含有する。酸架橋層においては、光熱変換物質が吸収した赤外線を熱に変換し、この熱により熱酸発生剤が分解して酸が発生し、発生した酸により架橋剤とアルカリ可溶性高分子化合物とが反応し、硬化する。
熱酸発生剤としては、例えば、光重合の光開始剤、色素類の光変色剤、マイクロレジスト等に使用されている酸発生剤等の熱分解化合物が挙げられる。
架橋剤としては、例えば、ヒドロキシメチル基またはアルコキシメチル基で置換された芳香族化合物;N−ヒドロキシメチル基、N−アルコキシメチル基またはN−アシルオキシメチル基を有する化合物;エポキシ化合物が挙げられる。
アルカリ可溶性高分子化合物としては、例えば、ノボラック樹脂、側鎖にヒドロキシアリール基を有するポリマーが挙げられる。
光重合型感光性組成物は、付加重合性化合物と、光重合開始剤と、高分子結合剤とを含有する。
付加重合性化合物としては、付加重合可能なエチレン性不飽和結合含有化合物が好適に挙げられる。例えば、エチレン性不飽和結合含有化合物は、末端エチレン性不飽和結合を有する化合物である。具体的には、例えば、モノマー、プレポリマー、これらの混合物等の化学的形態を有する。モノマーの例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸)と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミドが挙げられる。また付加重合性化合物としては、ウレタン系付加重合性化合物も好適に挙げられる。
高分子結合剤は、光重合型感光性組成物の皮膜形成剤として機能するだけでなく、画像記録層をアルカリ現像液に溶解させる必要があるため、アルカリ水に対して可溶性または膨潤性である有機高分子重合体が用いられる。そのような有機高分子重合体としては、特開2001−22079号公報の[0036]〜[0063]に記載されているものが好適に挙げられる。
さらに、特開2001−228608号公報の[0124]〜[0165]に記載されているような中間層もしくは接着層を設けるのも好ましい。
コンベンショナルネガタイプの感光性組成物は、ジアゾ樹脂または光架橋性樹脂を含有する。中でも、ジアゾ樹脂とアルカリ可溶性または膨潤性の高分子化合物(結合剤)とを含有する感光性組成物が好適に挙げられる。
ジアゾ樹脂としては、例えば、芳香族ジアゾニウム塩とホルムアルデヒド等の活性カルボニル基含有化合物との縮合物;p−ジアゾフェニルアミン類とホルムアルデヒドとの縮合物とヘキサフルオロリン酸塩またはテトラフルオロホウ酸塩との反応生成物である有機溶媒可溶性ジアゾ樹脂無機塩が挙げられる。特に、特開昭59−78340号公報に記載されている6量体以上を20モル%以上含んでいる高分子量ジアゾ化合物が好ましい。
結合剤としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸またはマレイン酸を必須成分として含む共重合体が挙げられる。具体的には、特開昭50−118802号公報に記載されているような2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸等のモノマーの多元共重合体、特開昭56−4144号公報に記載されているようなアルキルアクリレート、(メタ)アクリロニトリルおよび不飽和カルボン酸からなる多元共重合体が挙げられる。
コンベンショナルポジタイプの感光性組成物は、キノンジアジド化合物を含有する。中でも、o−キノンジアジド化合物とアルカリ可溶性高分子化合物とを含有する感光性組成物が好適に挙げられる。
o−キノンジアジド化合物としては、例えば、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホニルクロライドとフェノール−ホルムアルデヒド樹脂またはクレゾール−ホルムアルデヒド樹脂とのエステルや、米国特許第3,635,709号明細書に記載されている1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホニルクロライドとピロガロール−アセトン樹脂とのエステルが挙げられる。
アルカリ可溶性高分子化合物としては、例えば、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、クレゾール−ホルムアルデヒド樹脂、フェノール−クレゾール−ホルムアルデヒド共縮合樹脂、ポリヒドロキシスチレン、N−(4−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミドの共重合体、特開平7−36184号公報に記載されているカルボキシ基含有ポリマー、特開昭51−34711号公報に記載されているようなフェノール性ヒドロキシ基を含有するアクリル系樹脂、特開平2−866号公報に記載されているスルホンアミド基を有するアクリル系樹脂や、ウレタン系の樹脂が挙げられる。
無処理タイプの感光性組成物には、熱可塑性微粒子ポリマー型、マイクロカプセル型、スルホン酸発生ポリマーを含有する型等が挙げられる。これらはいずれも光熱変換物質を含有する感熱型である。光熱変換物質は、上述したサーマルポジタイプに用いられるのと同様の染料が好ましい。
微粒子ポリマーとしては、微粒子同士が熱により溶融合体するものが好ましく、表面が親水性で、湿し水等の親水性成分に分散しうるものがより好ましい。具体的には、Reseach Disclosure No.33303(1992年1月)、特開平9−123387号、同9−131850号、同9−171249号および同9−171250号の各公報、欧州特許出願公開第931,647号明細書等に記載されている熱可塑性微粒子ポリマーが好適に挙げられる。中でも、ポリスチレンおよびポリメタクリル酸メチルが好ましい。親水性表面を有する微粒子ポリマーとしては、例えば、ポリマー自体が親水性であるもの;ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール等の親水性化合物を微粒子ポリマー表面に吸着させて表面を親水性化したものがある。
微粒子ポリマーは、反応性官能基を有するのが好ましい。
このようにして、本発明の平版印刷版用支持体上に各種の画像記録層を設けて得られる本発明の平版印刷版原版の裏面には、必要に応じて、重ねた場合における画像記録層の傷付きを防止するために、有機高分子化合物からなる被覆層を設けることができる。
本発明の平版印刷版用支持体を用いた平版印刷版原版は、画像記録層に応じた種々の処理方法により、平版印刷版とされる。
像露光に用いられる活性光線の光源としては、例えば、水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプが挙げられる。レーザビームとしては、例えば、ヘリウム−ネオンレーザ(He−Neレーザ)、アルゴンレーザ、クリプトンレーザ、ヘリウム−カドミウムレーザ、KrFエキシマレーザ、半導体レーザ、YAGレーザ、YAG−SHGレーザが挙げられる。
現像液は、アルカリ現像液であるのが好ましく、有機溶剤を実質的に含有しないアルカリ性の水溶液であるのが好ましい。
また、アルカリ金属ケイ酸塩を実質的に含有しない現像液も好ましい。アルカリ金属ケイ酸塩を実質的に含有しない現像液を用いて現像する方法としては、特開平11−109637号公報に詳細に記載されている方法を用いることができる。
また、アルカリ金属ケイ酸塩を含有する現像液を用いることもできる。
粗面化処理である砂目立ての工業的な応用を考えた場合、機械的、化学的、電気的なエッチングが実績もあり現実的である。そこで、従来の処理方法を用いて作製される砂目について注目した実験を行った。さらに、現在のところは工業的な実用化は、コストや生産性の面で事実上困難であるが、優れた印刷性能を持つと考えられる理想の単分散砂目を作製するために、レジストを用いたエッチング実験を行った。作製した平版印刷版用支持体に、下記の感熱層を塗布した後に印刷性能の評価を行った。
厚さが0.24mmであり、表1に示すFeを0.3質量%、Siを0.08質量%、Tiを0.01質量%、Cuを0.001〜0.025または0.1質量%含み、その他の不可避不純物成分およびアルミニウムからなるアルミニウム(No.1〜4)板を用いて下記の処理を連続的に行った。
前記のアルミニウム板を用いて、(a)機械的粗面化、(b)アルカリエッチング、(c)デスマット、(d)電気化学的粗面化もしくはレジストを利用した粗面化、(e)アルカリエッチング、(f)デスマット、(g)電気化学的粗面化、(h)アルカリエッチング、(i)デスマット処理、(j)陽極酸化処理、(k)シリケート処理の順に表面処理を行った。各々の処理の液条件や処理条件は実施例の表にまとめてある。また、各々の処理工程の間では、必要に応じて水洗処理を行った。
(a)機械的粗面化処理
比重1.12の研磨剤(ケイ砂)と水との懸濁液を研磨スラリー液としてアルミニウム板の表面に供給しながら、回転するローラ状ナイロンブラシにより機械的な粗面化を行った。
表1のアルミニウム板を、表3に示すE−1の条件で、5質量%のアルミニウムを含有する26質量%苛性ソーダ水溶液(溶液温度70℃)に25秒間浸漬させてエッチング処理を行った。アルミニウム板の溶解量は表3に示した。アルミニウム板の溶解によって、これ以後の処理において再現性のよいアルミニウム表面を表出させた。
アルカリエッチング後のアルミニウム板を、表4に示すD−1の条件で、0.05質量%のアルミニウムを含有する26wt%硫酸水溶液(60℃)に10sec間浸漬させてデスマット処理を行った。これによって、エッチング時に生成した不要物を取り除いた。
デスマット後のアルミニウム板を、0.5質量%のアルミニウムを含有する1質量%の硝酸水溶液(50℃)中で表5で示す電解粗面化を行った。電解には交流電源を用い、波形は対称矩形波で、電流密度を25A/dm2、アノード反応時の電気量とカソード反応時の電気量の総和の比を0.95として周波数60Hzで4秒間の電解処理により粗面化した。このとき、アルミニウム板に加わる電気量は、アノード反応時の総和が100C/dm2であった。
アルミニウム板に、前記の(a)機械的粗面化処理と(b)アルカリエッチングと(c)デスマット処理を施した後、コンベンショナルネガタイプPS版用感光層を塗布し、その上に1μmの円を隙間なく描いたシート状のマスクを被せて露光・現像処理を行った。これによって、アルミニウムを円形に露出させた。この露出部を表6に示す条件でアルカリによってエッチングすることで径が1μmに揃った単分散な砂目を形成した。
アルミニウム板を、5質量%のアルミニウムを含有する26質量%苛性ソーダ水溶液(溶液温度70℃)に浸漬させて表3のE−2〜E−4のエッチング処理を行った。アルミニウム板の溶解量は表3に示す通りである。これによって、電気化学的粗面化の際に形成されてしまう急な凹凸を適度になだらかにした。
(f)デスマット処理
アルカリエッチング後のアルミニウム板を、表4のD−2の条件で、0.05質量%のアルミニウムを含有する26質量%硫酸水溶液(60℃)に40sec間浸漬させてデスマット処理を行った。これによって、アルカリエッチングの際に生成した不要物を取り除いた。
デスマット後のアルミニウム板を、0.5質量%のアルミニウムを含有する1質量%の塩酸水溶液(35℃)中で電解粗面化を行った。電解には交流電源を用い、波形は対称矩形波で、電流密度を25A/dm2、アノード反応時の電気量とカソード反応時の電気量の総和の比を0.95として周波数60Hzで2secの電解処理により粗面化した。このとき、アルミニウム板に加わる電気量は、アノード反応時の総和が50C/dm2であった。
アルミニウム板を、0.5質量%のアルミニウムを含有する5.0質量%苛性ソーダ水溶液(溶液温度70℃)に2秒間浸漬させてエッチング処理を行った。アルミニウム板の溶解量は0.1g/m2である。これによって、電気化学的粗面化の際に形成されてしまう急な凹凸を適度になだらかにした。
(i)デスマット処理
アルカリエッチング後のアルミニウム板を、4.5質量%のアルミニウムを含有する26質量%硫酸水溶液(60℃)に40sec間浸漬させてデスマット処理を行った。
二段給電電解処理法(図2参照)の陽極酸化装置を用いて陽極酸化処理を行った。電解部に供給した電解液としては、硫酸を用いた。最終的な酸化皮膜量は2.7g/m2であった。
(k)シリケート処理
陽極酸化処理されたアルミニウム支持体を、温度30℃の3号ケイ酸ソーダの1質量%水溶液の処理層中へ、10秒間、浸せきすることでアルカリ金属ケイ酸塩処理(シリケート処理)を行った。
JEOL社製の走査型電子顕微鏡(型式JSM−5500)により、粗面化処理後のアルミニウム板表面のピットを写真撮影した。倍率は2000倍、撮影範囲は40×50μmであった。その後、旭ハイテック(株)の画像解析ソフト“ImageFactory”を用いて画像の二値化処理(白黒二階調化処理)を行い、全てのピットを等価円として扱った場合の直径を計算した。その中から、(d−1)および(d−2)の処理によって生成した径0.5〜5μmのピットのみを抽出したときの平均径、ピット密度、標準偏差を算出した。その結果、Cuの含有量が少ないAl材を選ぶほど標準偏差が小さく単分散な砂目が得られた。さらに、実施例8のレジストを利用したエッチングにおいては、微量金属成分を添加した表2に示すAlと比較して、はるかに単分散である砂目が作製された。
下塗り液1を塗布し、塗膜を80℃で15秒間乾燥し基板を得た。乾燥後の塗膜の被膜量は15mg/m2であった。
[下塗り液1]
・分子量2.8万の下記共重合体 0.3g
・メタノール 100g
・水 1g
本実施例では、以下のような重層系の構造を有するサーマルポジタイプの感熱層を塗布して平版印刷版原版とし、露光・現像の後に印刷性能の評価を行った。
下塗り液1を塗布した本発明の支持体に、以下の下層用塗布液1を、塗布量0.85g/m2になるよう塗布したのち、TABAI社製、PERFECT OVEN PH200にてWind Controlを7に設定して110℃で50秒間乾燥し、その後、上部感熱層用塗布液1を塗布量が0.30g/m2 になるよう塗布したのち、120度で1分間乾燥し、平版印刷版原版を得た。
・N−(4−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド/
アクリロニトリル/メタクリル酸メチル
(36/34/30:重量平均分子量50000 、酸価2.65) 2.133g
・シアニン染料A(下記構造) 0.109g
・4,4’−ビスヒドロキシフェニルスルホン 0.126g
・無水テトラヒドロフタル酸 0.190g
・p−トルエンスルホン酸 0.008g
・3−メトキシ−4−ジアゾジフェニルアミン
ヘキサフルオロホスフェート 0.030g
・エチルバイオレットの対イオンを
6−ヒイドロキシナフタレンスルホンに変えたもの 0.100g
・メガファックF176、大日本インキ工業(株)社製
( 塗布面状改良フッ素系界面活性剤) 0.035g
・メチルエチルケトン 25.38g
・1−メトキシ−2−プロパノール 13.0g
・γ−ブチロラクトン 13.2g
・m,p−クレゾールノボラック(m/p比=6/4、重量平均分子量
4500、未反応クレゾール0.8重量%含有) 0.3478g
・シアニン染料A 0.0192g
・特願平2001−398047号出願、実施例2で用いられている
アンモニウム化合物 0.0115g
・メガファックF176(20%)、大日本インキ化学工業(株)製
( 面状改良界面活性剤) 0.022g
・メチルエチルケトン 13.07g
・1−メトキシ−2−プロパノール 6.79g
得られた平版印刷版にCreo社製Trendsetter3244VXを用いてビーム強度9W,ドラム回転速度150rpmの条件でテストパターン画像の書き込みを行った。次に富士写真フイルム(株)製自動現像機LP−940Hを用いて現像液温30℃、現像時間12秒の条件にて現像処理を行った。なお現像液は富士写真フイルム(株)製DT−2(1:8で水道水希釈したもの)を用い、ガム液としてFP−2W(1:1で水道水希釈したもの)を用いた。こうして得られた平版印刷版を用いて、以下のようにして印刷評価を行った。
小森コーポレーション(株)製リスロン40印刷機で、インキとして、大日本インキ化学工業(株)製のValues−G墨N。湿し水成分として、富士写真フイルム(株)製IF−102を4%使用して印刷を行なった。5000枚毎に印刷物を抜き取り、正常な印刷物が得られる枚数で耐刷性の評価とした。耐刷性の数値は、比較例1の耐刷性を100とした場合の相対値を計算して表8に示した。
上記で得られた平版印刷版を用い、三菱ダイヤ型F2印刷機(三菱重工業社製)で、DIC製GEOS(s)紅インキを用いて印刷し、1万枚印刷した後におけるブランケットの汚れを一旦セロハンテープに転写させ、これを白い紙に貼り付けて、セロハンテープに転写されたインキの量を目視で評価した。ブランケットの汚れの少なかったものから多かったものまでを順に、◎(1)、○(2)、○△(3)、△(4)、△×(5)、として表8に示した。
12 ラジアルドラムローラ
13a、13b 主極
14 電解処理液
15 電解液供給口
16 スリット
17 電解液通路
18 補助陽極
19a、19b サイリスタ
20 交流電源
21 主電解槽
22 補助陽極槽
410 陽極酸化処理装置
412 給電槽
414 電解処理槽
416 アルミニウム板
418、426 電解液
420 給電電極
422、428 ローラ
424 ニップローラ
430 電解電極
432 槽壁
434 直流電源
Claims (4)
- アルミニウム基体に、粗面化処理を施して得られる平版印刷版用支持体であって、該アルミニウム基体表面のピット径の標準偏差σがσ≦0.99であることを特徴とする平版印刷版用支持体。
- 前記アルミニウム基体が、Feを0.1〜0.5質量%、Siを0.02〜0.10質量%、Tiを0.00〜0.05質量%、Cuを0.000〜0.050質量%含有し、残部がAlおよび不可避不純物からなり、表面のピットの平均径が1.0μm以上であり、ピットの平均密度が5×102〜5.0×105個/mm2であることを特徴とする請求項1に記載の平版印刷版用支持体。
- 前記アルミニウム基体が、Sn、Pb、Be、InおよびNiからなる群から選択される少なくとも1種を1〜200ppmの範囲で、さらに含有することを特徴とする、請求項2に記載の平版印刷版用支持体。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の平版印刷版用支持体上に画像記録層を有する平版印刷版原版。
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