JP2004248542A - 有用微生物群を培養するための低粘度化糖蜜 - Google Patents
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Abstract
【課題】粘度が低く取扱いが容易であると共に、安定して有用微生物群を培養することができる低粘度化糖蜜を提供する。
【解決手段】殺菌処理及び有用微生物群が焼き込まれたセラミックスにより処理された海水又は0.5〜1.0重量%の天然塩の水溶液を溶媒とする10〜70重量%の糖質を含有する溶液と、30〜60重量%の糖質を有する糖蜜とを、体積比率で糖質を含有する溶液:糖蜜=1:19〜7:3となるよう混合してなる。
【解決手段】殺菌処理及び有用微生物群が焼き込まれたセラミックスにより処理された海水又は0.5〜1.0重量%の天然塩の水溶液を溶媒とする10〜70重量%の糖質を含有する溶液と、30〜60重量%の糖質を有する糖蜜とを、体積比率で糖質を含有する溶液:糖蜜=1:19〜7:3となるよう混合してなる。
Description
【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は有用微生物群を培養するための低粘度化糖蜜に関し、更に詳しくは、粘度が低く取扱いが容易であり、かつ有用微生物群を安定して培養することができる有用微生物群を培養するための低粘度化糖蜜に関する。
【0002】
【従来の技術】
有用微生物群とは、天然に存在する微生物のうちから、光合成菌、乳酸菌、酵母菌、糸状菌、放線菌に属する5科10属の約80種の微生物群を選択して抽出したものであり、これらの微生物群を共生できるように液体培養されたものが主として農業における土壌改良を目的として開発されている。そしてその後様々な用途、例えば生活排水の浄化やゴミの処理などの用途へ応用され、有用微生物群に関連する商品も多種販売されている。
【0003】
有用微生物群の利用形態としては、有用微生物群を培養した溶液(以下、拡大活性液と記す)、有用微生物群により米のとぎ汁を発酵させた発酵液、有用微生物群を米糠や有機資材と混合した資材や有用微生物群を粘土に混練して焼結させた材料などがあり、目的に応じて使い分けられている。
【0004】
前記有用微生物群の拡大活性液や発酵液は、市販されている有用微生物群の原液(有用微生物群が共生できるように液体培養された液体)から作成されるものであり、この際の有用微生物群の「エサ」として広く糖蜜が用いられている。糖蜜はサトウキビの抽出液から砂糖を精製した後に残る黒褐色の粘度の高い液体であり、糖質の他にミネラルを含んでいるため有用微生物群の培養に適している。具体的には、拡大活性液は有用微生物群の原液を水で希釈化した糖蜜の水溶液に混合し、数日間(例えば6〜7日間)かけて増殖させる方法により作成され、発酵液は有用微生物群の原液を米のとぎ汁により希釈化した糖蜜の溶液に混合し、数日間(例えば同じく6〜7日間)発酵させる方法により作成される(非特許文献1及び2参照)。
【0005】
しかしながら糖蜜は粘度が高い液体であるため、糖蜜の保存容器等から培養液や発酵液を作成するための容器へ移す際などにポンプを使うことができず、取扱いが容易でないという欠点を有している。また、有用微生物群の増殖の良否は溶液の性質に影響を受けやすいため、有用微生物群の原液を水(例えば水道水)で希釈するだけでは均質で質の良い拡大活性液や発酵液を製造することが困難であるという問題点もある。
【0006】
このような課題を解決し、有用微生物群の原液から拡大活性液を簡単につくり出すことができる方法として、第1タンク内に注入した水を加熱手段で昇温させてお湯にし、次いで、該お湯を第2タンクに移送し調温した後、有用微生物群の増殖原液を第2タンク内に投入し、続いて、第2タンク内の液体を加熱手段で調温しながらポンプを適宜駆動し、主配管及び分岐配管を使って該液体を循環させるという方法が用いられている(特許文献1参照)。
【0007】
前記特許文献1に記載の方法によれば、水道水を使って拡大活性液を作り出すことができ、原材料費を低く抑えることができること、第2タンク内の湯に糖蜜を投入するため糖蜜が溶解しやすいこと、といった利点を有するが、前記方法を実施するには特別の装置が必要であり、設備コストがかかる。
【0008】
【非特許文献1】
「EM−リーフレットNo.1 米のとぎ汁EM発酵液編」,(株)EM研究機構,2001年11月1日
【非特許文献2】
「暮らしに役立つEMの手引き」,(株)EM研究機構,2001年11月1日
【特許文献1】
特開2000−83648号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、従来より一般的に使われている糖蜜の培養効果を減少させることなく、糖蜜に代えて用いることができ、取扱いが容易でかつ安定して有用微生物群を培養するための低粘度化糖蜜を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、10〜70重量%の糖質を含有する溶液と、30〜60重量%の糖質を含有する糖蜜とを混合してなることを要旨とするものである。
【0011】
かかる構成によれば、粘度が低いためポンプを用いて保存容器から作成容器へ移し替えることができ、取扱いが容易となると共に、有用微生物群の培養又は発酵の際の「エサ」として、粘度の高い糖蜜に代えて用いることにより、水などに混合した場合に濃度の不均一が生じにくく、質の良い拡大活性液や発酵液を作成することができる。また、有用微生物群を培養する際に発生する糖蜜による沈殿層がおおむね3分の1から3分の2に減少するため、培養に用いた装置の洗浄が容易となる。更に、有用微生物群を培養する際に発生するにおいを抑制することもできる。
【0012】
この場合において、請求項2に記載のように、前記10〜70重量%の糖質を含有する溶液の溶媒は海水であるか、請求項3に記載のように前記10〜70重量%の糖質を含有する溶液の溶媒は0.5〜1.0重量%の天然塩の水溶液であることが望ましい。海水又は天然塩の水溶液中にはミネラル分が豊富に存在するため、有用微生物群の培養に必要なミネラルを確保して微生物の培養を促進させることができ、pH値が安定した質の良い拡大活性液や発酵液を得ることができる。
【0013】
また請求項4に記載のように、前記10〜70重量%の糖質を含有する溶液の溶媒は、予め有用微生物群が焼き込まれたセラミックスを所定時間浸したものであることが望ましい。このようにすれば、セラミックスから放射される電磁波や遠赤外線が海水又は天然塩の水溶液中の水のクラスターを分解すると共に、有用微生物群が生成する抗酸化物質により海水又は天然塩の水溶液の抗酸化力が強まり、低粘度化糖蜜の酸化による品質の劣化の進行を遅らせることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明にかかる有用微生物群を培養するための低粘度化糖蜜の実施形態及び実施例について詳細に述べる。まず、本発明の一実施の形態に係る微生物を培養するための低粘度化糖蜜について、その製造方法の例を記す。
【0015】
(1)海水又は天然塩の水溶液を用意する。
ここで用意される海水又は天然塩の水溶液は、糖蜜を希釈して粘度を下げるための溶媒として用いられるものである。なお天然塩とは、海水から水分を蒸発させて得られる塩であって精製していないものや、これに類するもの(例えば精製塩にミネラルを加えたもの)をいう。すなわち主成分である塩化ナトリウム(NaCl)のほか、例えばマグネシウム(Mg)やカルシウム(Ca)などのミネラルが含まれているものである。海水や天然塩の水溶液はミネラルを豊富に含んでいることから、有用微生物群が増殖する際に必要なミネラルが充分供給され、質の良い拡大活性液や発酵液が得られる。
【0016】
有用微生物群がうまく増殖したか否か、すなわち質の良い拡大活性液や発酵液が得られたか否かは、拡大活性液のpH値を指標にして判断され、具体的にはpH値が3.5以下に安定していると質が良いと判断される。従来より、有用微生物群のエサとして糖蜜の代わりに砂糖を用いて発酵液を作成する場合には、砂糖を溶かす溶媒に天然塩を混合すると質の良い発酵液が得られることが知られていることから、糖蜜を希釈するための溶媒として海水を用いるものである。海水が入手困難である場合には天然塩の水溶液を用意することが望ましい。
【0017】
(2)前記海水又は天然塩の水溶液中に、予め有用微生物群が焼き込まれたセラミックを所定時間投入しておく。
有用微生物群が焼き込まれたセラミックスは、セラミックスの原料、例えばアルミナやジルコニアなどに有用微生物群を混合した上で焼結させて製造されたものである。水中に有用微生物群が焼き込まれたセラミックスを投入しておくと、該有用微生物群が焼き込まれたセラミックスから放射される電磁波及び遠赤外線や、焼き込まれた有用微生物群の奏する作用効果により水の集団構造(クラスター)が分解されて水分子が活性化するとともに、水中に含まれる有機物や有害物質を分解して抗酸化物質を生成する効果が得られるとされていることから、本願発明においても酸化しにくく長期間品質を維持できる低粘度化糖蜜を得ることを目的として本工程を行うものである。
【0018】
(3)海水又は天然塩の水溶液を加熱処理する。
海水中に含まれる微生物類を死滅・除去することを目的として、海水を一旦沸騰処理する工程である。
【0019】
(4)海水又は天然塩の水溶液に糖質を10〜70重量%となるよう混合する。
当該工程は糖蜜を希釈するための溶媒を得る工程である。ここでは10〜70重量%の溶媒としての糖質溶液が得られれば良い。すなわち糖質の種類は問わず、砂糖や果糖などの市販の一般的な糖質を用いることができる。
【0020】
(5)上記糖質溶液と糖蜜を混合する。
糖蜜を上記糖質を溶かした溶液に混合して希釈する。これにより、糖蜜の有する有用微生物群の培養能力を維持しつつ、粘性が低く取り扱いが容易な有用微生物群を培養するための低粘度化糖蜜を得ることができる。
【0021】
(6)上記培地溶液を加熱処理する。
上記(1)〜(4)の工程により得られた本発明に係る低粘度化糖蜜を再び加熱処理する。これにより上記工程において混入した雑菌や糖蜜中に含まれていた雑菌などを死滅させ、長期間保存できるようにすると共に有用微生物群が増殖しやすくするものである。
【0022】
以上が本発明に係る有用微生物群を培養する低粘度化糖蜜を作成する方法である。上記方法により作成された有用微生物群を培養するための低粘度化糖蜜は、拡大活性液や発酵液を作成するに際し、従来の糖蜜を用いる方法と同一の方法で用いられる。
【0023】
本発明者は実験の結果、粘度が低く取扱いが容易であり、かつ有用微生物群がうまく増殖して質の良い拡大活性液や発酵液を得るのに適当な糖蜜と海水又は天然塩の水溶液の体積比率として、糖蜜中の糖質の濃度が30〜60重量%である場合に、「糖蜜」:「海水又は天然塩の水溶液」=1:19〜7:3の範囲にあり、海水又は天然塩の水溶液中の糖質の濃度として10〜70重量%の範囲にあることが望ましいことを知見したものである。以下に示す表1は、当該範囲における本発明に係る低粘度化糖蜜の糖蜜と海水又は天然塩の水溶液の比率及び、海水又は天然塩の水溶液への望ましい糖質添加量の例を示したものである。
【0024】
具体的には、例として1リットルの有用微生物群を培養するための低粘度化糖蜜を作成するのに必要な糖蜜、海水、糖質の量を示すものである。左欄は糖蜜量を、中欄は糖質を溶かした海水又は天然塩の水溶液の体積を示す。また、右欄は必要な糖質の質量(g)を示すものであって、右上覧に示す重量%(10〜70の数値)の糖質を得るために必要な糖質の質量を、前期中欄に記載の海水又は天然塩の水溶液の体積ごとに示したものである。
【0025】
【表1】
【0026】
また以下に示す表2は、本発明者が本発明に係る低粘度化糖蜜の製造に用いた糖蜜の主な成分を示したものである(微量の雑多な成分や不純物は除外しており、このため合計は100%にならない)。なお糖蜜は市販のものを用いればよいが、その組成は製品により異なることから、使用する糖蜜の含有する成分内容は30〜60重量%の糖質を含むものであれば表2に示した成分に限られるものではない。
【0027】
【表2】
【0028】
【実施例】
本発明者は、上記方法により製造された低粘度化糖蜜を用いて有用微生物群の培養液の作成を行った。その結果、粘度の低下による取扱いの容易化に加えて次に示すような効果が得られた。(1)有用微生物群を培養するときに生成される糖蜜による沈殿層が、従来の糖蜜を用いる方法に比較しておおむね3分の1から3分の2以下に減少することが確認された。これにより培養に用いる装置の洗浄が容易となる。(2)発酵液を製造した場合には、従来の糖蜜のみを用いる方法と比較して発酵時間が短縮された。具体的には従来の糖蜜を用いる方法においては発酵に約4日程度要していたものが、本発明に係る低粘度化糖蜜を用いた場合には約2日で発酵するようになった。これにより発酵液の作成時間の短縮化を図ることができる。(3)有用微生物群を培養する際に発生しうる酵母菌の増殖による臭いが弱くなっていることが確認された。ある種の酵母菌の増殖により作成された拡大活性液から臭いが発生することがあるが、このような場合、本発明に係る低粘度化糖蜜を用いることにより、拡大活性液の臭いが抑制・軽減される。このため、臭気を気にする必要なく屋内等で拡大活性液や発酵液を作成することができるものである。
【0029】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上述した実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。例えば、低粘度化糖蜜に含有される糖質の濃度、糖蜜と溶媒の比率は適宜変更可能である。
【0030】
【発明の効果】
以上説明したとおり、請求項1に記載の発明によれば、低粘度化糖蜜は糖蜜に比較して粘度が低くなるため、ポンプを用いて保存容器から他の容器へ移し替えることができ、取扱いが容易となる。また、有用微生物群を培養する際に発生する糖蜜による沈殿層がおおむね3分の1以下に減少するため、培養に用いた装置の洗浄が容易となる。また、有用微生物群を培養する際に発生するにおいを抑制することができるという効果を奏する。
【0031】
糖質の溶媒として請求項2に記載の発明のように海水を用いるか、請求項3に記載のように天然塩の水溶液を用いると、低粘度化糖蜜中にミネラルが豊富に含まれることになり、有用微生物群の増殖が促進され、安定した品質の拡大活性液や発酵液を得ることができる。また原料の主成分が海水又は天然塩の水溶液であるため安価に製造できる。
【0032】
また、請求項4に記載のように、前記10〜70重量%の糖質を有する溶液の溶媒は、有用微生物群が焼き込まれたセラミックスを一定時間浸したものであれば、セラミックスから放射される電磁波や遠赤外線により溶媒中の水のクラスターが分解されると共に、有用微生物群が生成する抗酸化物質により溶媒の抗酸化力が強まり、低粘度化糖蜜の酸化による品質の劣化の進行を遅らせることができ、長期間に亘り品質を維持することができる。
【発明が属する技術分野】
本発明は有用微生物群を培養するための低粘度化糖蜜に関し、更に詳しくは、粘度が低く取扱いが容易であり、かつ有用微生物群を安定して培養することができる有用微生物群を培養するための低粘度化糖蜜に関する。
【0002】
【従来の技術】
有用微生物群とは、天然に存在する微生物のうちから、光合成菌、乳酸菌、酵母菌、糸状菌、放線菌に属する5科10属の約80種の微生物群を選択して抽出したものであり、これらの微生物群を共生できるように液体培養されたものが主として農業における土壌改良を目的として開発されている。そしてその後様々な用途、例えば生活排水の浄化やゴミの処理などの用途へ応用され、有用微生物群に関連する商品も多種販売されている。
【0003】
有用微生物群の利用形態としては、有用微生物群を培養した溶液(以下、拡大活性液と記す)、有用微生物群により米のとぎ汁を発酵させた発酵液、有用微生物群を米糠や有機資材と混合した資材や有用微生物群を粘土に混練して焼結させた材料などがあり、目的に応じて使い分けられている。
【0004】
前記有用微生物群の拡大活性液や発酵液は、市販されている有用微生物群の原液(有用微生物群が共生できるように液体培養された液体)から作成されるものであり、この際の有用微生物群の「エサ」として広く糖蜜が用いられている。糖蜜はサトウキビの抽出液から砂糖を精製した後に残る黒褐色の粘度の高い液体であり、糖質の他にミネラルを含んでいるため有用微生物群の培養に適している。具体的には、拡大活性液は有用微生物群の原液を水で希釈化した糖蜜の水溶液に混合し、数日間(例えば6〜7日間)かけて増殖させる方法により作成され、発酵液は有用微生物群の原液を米のとぎ汁により希釈化した糖蜜の溶液に混合し、数日間(例えば同じく6〜7日間)発酵させる方法により作成される(非特許文献1及び2参照)。
【0005】
しかしながら糖蜜は粘度が高い液体であるため、糖蜜の保存容器等から培養液や発酵液を作成するための容器へ移す際などにポンプを使うことができず、取扱いが容易でないという欠点を有している。また、有用微生物群の増殖の良否は溶液の性質に影響を受けやすいため、有用微生物群の原液を水(例えば水道水)で希釈するだけでは均質で質の良い拡大活性液や発酵液を製造することが困難であるという問題点もある。
【0006】
このような課題を解決し、有用微生物群の原液から拡大活性液を簡単につくり出すことができる方法として、第1タンク内に注入した水を加熱手段で昇温させてお湯にし、次いで、該お湯を第2タンクに移送し調温した後、有用微生物群の増殖原液を第2タンク内に投入し、続いて、第2タンク内の液体を加熱手段で調温しながらポンプを適宜駆動し、主配管及び分岐配管を使って該液体を循環させるという方法が用いられている(特許文献1参照)。
【0007】
前記特許文献1に記載の方法によれば、水道水を使って拡大活性液を作り出すことができ、原材料費を低く抑えることができること、第2タンク内の湯に糖蜜を投入するため糖蜜が溶解しやすいこと、といった利点を有するが、前記方法を実施するには特別の装置が必要であり、設備コストがかかる。
【0008】
【非特許文献1】
「EM−リーフレットNo.1 米のとぎ汁EM発酵液編」,(株)EM研究機構,2001年11月1日
【非特許文献2】
「暮らしに役立つEMの手引き」,(株)EM研究機構,2001年11月1日
【特許文献1】
特開2000−83648号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、従来より一般的に使われている糖蜜の培養効果を減少させることなく、糖蜜に代えて用いることができ、取扱いが容易でかつ安定して有用微生物群を培養するための低粘度化糖蜜を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、10〜70重量%の糖質を含有する溶液と、30〜60重量%の糖質を含有する糖蜜とを混合してなることを要旨とするものである。
【0011】
かかる構成によれば、粘度が低いためポンプを用いて保存容器から作成容器へ移し替えることができ、取扱いが容易となると共に、有用微生物群の培養又は発酵の際の「エサ」として、粘度の高い糖蜜に代えて用いることにより、水などに混合した場合に濃度の不均一が生じにくく、質の良い拡大活性液や発酵液を作成することができる。また、有用微生物群を培養する際に発生する糖蜜による沈殿層がおおむね3分の1から3分の2に減少するため、培養に用いた装置の洗浄が容易となる。更に、有用微生物群を培養する際に発生するにおいを抑制することもできる。
【0012】
この場合において、請求項2に記載のように、前記10〜70重量%の糖質を含有する溶液の溶媒は海水であるか、請求項3に記載のように前記10〜70重量%の糖質を含有する溶液の溶媒は0.5〜1.0重量%の天然塩の水溶液であることが望ましい。海水又は天然塩の水溶液中にはミネラル分が豊富に存在するため、有用微生物群の培養に必要なミネラルを確保して微生物の培養を促進させることができ、pH値が安定した質の良い拡大活性液や発酵液を得ることができる。
【0013】
また請求項4に記載のように、前記10〜70重量%の糖質を含有する溶液の溶媒は、予め有用微生物群が焼き込まれたセラミックスを所定時間浸したものであることが望ましい。このようにすれば、セラミックスから放射される電磁波や遠赤外線が海水又は天然塩の水溶液中の水のクラスターを分解すると共に、有用微生物群が生成する抗酸化物質により海水又は天然塩の水溶液の抗酸化力が強まり、低粘度化糖蜜の酸化による品質の劣化の進行を遅らせることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明にかかる有用微生物群を培養するための低粘度化糖蜜の実施形態及び実施例について詳細に述べる。まず、本発明の一実施の形態に係る微生物を培養するための低粘度化糖蜜について、その製造方法の例を記す。
【0015】
(1)海水又は天然塩の水溶液を用意する。
ここで用意される海水又は天然塩の水溶液は、糖蜜を希釈して粘度を下げるための溶媒として用いられるものである。なお天然塩とは、海水から水分を蒸発させて得られる塩であって精製していないものや、これに類するもの(例えば精製塩にミネラルを加えたもの)をいう。すなわち主成分である塩化ナトリウム(NaCl)のほか、例えばマグネシウム(Mg)やカルシウム(Ca)などのミネラルが含まれているものである。海水や天然塩の水溶液はミネラルを豊富に含んでいることから、有用微生物群が増殖する際に必要なミネラルが充分供給され、質の良い拡大活性液や発酵液が得られる。
【0016】
有用微生物群がうまく増殖したか否か、すなわち質の良い拡大活性液や発酵液が得られたか否かは、拡大活性液のpH値を指標にして判断され、具体的にはpH値が3.5以下に安定していると質が良いと判断される。従来より、有用微生物群のエサとして糖蜜の代わりに砂糖を用いて発酵液を作成する場合には、砂糖を溶かす溶媒に天然塩を混合すると質の良い発酵液が得られることが知られていることから、糖蜜を希釈するための溶媒として海水を用いるものである。海水が入手困難である場合には天然塩の水溶液を用意することが望ましい。
【0017】
(2)前記海水又は天然塩の水溶液中に、予め有用微生物群が焼き込まれたセラミックを所定時間投入しておく。
有用微生物群が焼き込まれたセラミックスは、セラミックスの原料、例えばアルミナやジルコニアなどに有用微生物群を混合した上で焼結させて製造されたものである。水中に有用微生物群が焼き込まれたセラミックスを投入しておくと、該有用微生物群が焼き込まれたセラミックスから放射される電磁波及び遠赤外線や、焼き込まれた有用微生物群の奏する作用効果により水の集団構造(クラスター)が分解されて水分子が活性化するとともに、水中に含まれる有機物や有害物質を分解して抗酸化物質を生成する効果が得られるとされていることから、本願発明においても酸化しにくく長期間品質を維持できる低粘度化糖蜜を得ることを目的として本工程を行うものである。
【0018】
(3)海水又は天然塩の水溶液を加熱処理する。
海水中に含まれる微生物類を死滅・除去することを目的として、海水を一旦沸騰処理する工程である。
【0019】
(4)海水又は天然塩の水溶液に糖質を10〜70重量%となるよう混合する。
当該工程は糖蜜を希釈するための溶媒を得る工程である。ここでは10〜70重量%の溶媒としての糖質溶液が得られれば良い。すなわち糖質の種類は問わず、砂糖や果糖などの市販の一般的な糖質を用いることができる。
【0020】
(5)上記糖質溶液と糖蜜を混合する。
糖蜜を上記糖質を溶かした溶液に混合して希釈する。これにより、糖蜜の有する有用微生物群の培養能力を維持しつつ、粘性が低く取り扱いが容易な有用微生物群を培養するための低粘度化糖蜜を得ることができる。
【0021】
(6)上記培地溶液を加熱処理する。
上記(1)〜(4)の工程により得られた本発明に係る低粘度化糖蜜を再び加熱処理する。これにより上記工程において混入した雑菌や糖蜜中に含まれていた雑菌などを死滅させ、長期間保存できるようにすると共に有用微生物群が増殖しやすくするものである。
【0022】
以上が本発明に係る有用微生物群を培養する低粘度化糖蜜を作成する方法である。上記方法により作成された有用微生物群を培養するための低粘度化糖蜜は、拡大活性液や発酵液を作成するに際し、従来の糖蜜を用いる方法と同一の方法で用いられる。
【0023】
本発明者は実験の結果、粘度が低く取扱いが容易であり、かつ有用微生物群がうまく増殖して質の良い拡大活性液や発酵液を得るのに適当な糖蜜と海水又は天然塩の水溶液の体積比率として、糖蜜中の糖質の濃度が30〜60重量%である場合に、「糖蜜」:「海水又は天然塩の水溶液」=1:19〜7:3の範囲にあり、海水又は天然塩の水溶液中の糖質の濃度として10〜70重量%の範囲にあることが望ましいことを知見したものである。以下に示す表1は、当該範囲における本発明に係る低粘度化糖蜜の糖蜜と海水又は天然塩の水溶液の比率及び、海水又は天然塩の水溶液への望ましい糖質添加量の例を示したものである。
【0024】
具体的には、例として1リットルの有用微生物群を培養するための低粘度化糖蜜を作成するのに必要な糖蜜、海水、糖質の量を示すものである。左欄は糖蜜量を、中欄は糖質を溶かした海水又は天然塩の水溶液の体積を示す。また、右欄は必要な糖質の質量(g)を示すものであって、右上覧に示す重量%(10〜70の数値)の糖質を得るために必要な糖質の質量を、前期中欄に記載の海水又は天然塩の水溶液の体積ごとに示したものである。
【0025】
【表1】
【0026】
また以下に示す表2は、本発明者が本発明に係る低粘度化糖蜜の製造に用いた糖蜜の主な成分を示したものである(微量の雑多な成分や不純物は除外しており、このため合計は100%にならない)。なお糖蜜は市販のものを用いればよいが、その組成は製品により異なることから、使用する糖蜜の含有する成分内容は30〜60重量%の糖質を含むものであれば表2に示した成分に限られるものではない。
【0027】
【表2】
【0028】
【実施例】
本発明者は、上記方法により製造された低粘度化糖蜜を用いて有用微生物群の培養液の作成を行った。その結果、粘度の低下による取扱いの容易化に加えて次に示すような効果が得られた。(1)有用微生物群を培養するときに生成される糖蜜による沈殿層が、従来の糖蜜を用いる方法に比較しておおむね3分の1から3分の2以下に減少することが確認された。これにより培養に用いる装置の洗浄が容易となる。(2)発酵液を製造した場合には、従来の糖蜜のみを用いる方法と比較して発酵時間が短縮された。具体的には従来の糖蜜を用いる方法においては発酵に約4日程度要していたものが、本発明に係る低粘度化糖蜜を用いた場合には約2日で発酵するようになった。これにより発酵液の作成時間の短縮化を図ることができる。(3)有用微生物群を培養する際に発生しうる酵母菌の増殖による臭いが弱くなっていることが確認された。ある種の酵母菌の増殖により作成された拡大活性液から臭いが発生することがあるが、このような場合、本発明に係る低粘度化糖蜜を用いることにより、拡大活性液の臭いが抑制・軽減される。このため、臭気を気にする必要なく屋内等で拡大活性液や発酵液を作成することができるものである。
【0029】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上述した実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。例えば、低粘度化糖蜜に含有される糖質の濃度、糖蜜と溶媒の比率は適宜変更可能である。
【0030】
【発明の効果】
以上説明したとおり、請求項1に記載の発明によれば、低粘度化糖蜜は糖蜜に比較して粘度が低くなるため、ポンプを用いて保存容器から他の容器へ移し替えることができ、取扱いが容易となる。また、有用微生物群を培養する際に発生する糖蜜による沈殿層がおおむね3分の1以下に減少するため、培養に用いた装置の洗浄が容易となる。また、有用微生物群を培養する際に発生するにおいを抑制することができるという効果を奏する。
【0031】
糖質の溶媒として請求項2に記載の発明のように海水を用いるか、請求項3に記載のように天然塩の水溶液を用いると、低粘度化糖蜜中にミネラルが豊富に含まれることになり、有用微生物群の増殖が促進され、安定した品質の拡大活性液や発酵液を得ることができる。また原料の主成分が海水又は天然塩の水溶液であるため安価に製造できる。
【0032】
また、請求項4に記載のように、前記10〜70重量%の糖質を有する溶液の溶媒は、有用微生物群が焼き込まれたセラミックスを一定時間浸したものであれば、セラミックスから放射される電磁波や遠赤外線により溶媒中の水のクラスターが分解されると共に、有用微生物群が生成する抗酸化物質により溶媒の抗酸化力が強まり、低粘度化糖蜜の酸化による品質の劣化の進行を遅らせることができ、長期間に亘り品質を維持することができる。
Claims (4)
- 10〜70重量%の糖質を含有する溶液と、30〜60重量%の糖質を含有する糖蜜とを混合してなる有用微生物群を培養するための低粘度化糖蜜。
- 前記10〜70重量%の糖質を含有する溶液の溶媒は海水であることを特徴とする請求項1に記載の有用微生物群を培養するための低粘度化糖蜜。
- 前記10〜70重量%の糖質を含有する溶液の溶媒は0.5〜1.0重量%の天然塩の水溶液であることを特徴とする請求項1に記載の有用微生物群を培養するための低粘度化糖蜜。
- 前記10〜70重量%の糖質を含有する溶液の溶媒は、予め有用微生物群が焼き込まれたセラミックスを所定時間浸したものであることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の有用微生物群を培養するための低粘度化糖蜜。
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JP2003040526A JP2004248542A (ja) | 2003-02-19 | 2003-02-19 | 有用微生物群を培養するための低粘度化糖蜜 |
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JP4876259B2 (ja) * | 2005-09-02 | 2012-02-15 | 国立大学法人 鹿児島大学 | 魚醤油の製造方法 |
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JP2019103966A (ja) * | 2017-12-11 | 2019-06-27 | 尚市 山田 | 水質改良剤及び水質改良濾材 |
CN112205239A (zh) * | 2020-10-29 | 2021-01-12 | 福建省连城冠江铁皮石斛有限公司 | 微生物培养液及其在崖壁真菌培育和石斛共生种植方法 |
-
2003
- 2003-02-19 JP JP2003040526A patent/JP2004248542A/ja active Pending
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