JP2004246773A - プロセスの温度制御方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】工業、化学プラントにおける製造プロセスにおいて、加熱および冷却手段により温度を精度よく制御するプロセスの温度制御方法を提供する。
【解決手段】最大加熱量の異なる加熱手段と冷却手段を2系統備え、温度偏差が大きいときには最大加熱量または最大冷却量の大きい手段のいずれか一方でPID制御を行ない、予め設定した温度偏差に到達した時点からコントローラ切替器22で切り替えて最大加熱量または最大冷却量の小さい手段の一方を主制御とし、他方を従制御に用いて同時にシリンダの温度制御を行う
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、工業、化学プラントで加熱および冷却処理の必要とする製造プロセスなどにおいて、加熱および冷却処理時の温度制御を精度よく行うプロセスの温度制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、工業・化学プラントなどで温度制御を行うのに、最大加熱および最大冷却能力の高い加熱・冷却手段を用いている。例えば、押出機でフィルムを製造する場合、ペレット状のプラスチックを加熱して溶融させるために、製造開始の初期時には、大きい出力を必要としている。つまり、短時間で目標温度に到達させるために最大加熱量の大きい加熱手段を用いている。(特許文献1参照)
【0003】
また、製造対象によっては、加熱および冷却を必要とするものがある。この場合にも最大冷却量の大きい冷却手段を用いて短時間で目標温度まで到達させるようにしている。
【0004】
【特許文献1】
特開平5−220806号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、単一の最大加熱量の大きい加熱または冷却手段を用いて温度制御を行った場合、次のような問題がある。
【0006】
最大加熱量または最大冷却量の大きい加熱・冷却手段のそれぞれは、製造開始の初期時、制御温度の目標値に極端な高低差を持たせた変更を行う時、および冷却時においては、その目標温度に短時間で到達させることができるので有効である。しかし、製造過程における外乱の影響による微小な温度偏差に対する温度を補正する制御を行うことができない。つまり、大きい出力から即座に小さい出力に設定変更しても、装置自体の能力に限界があり、その変更に即座に追従することができないといった問題がある。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、製造プロセスなどにおいて、加熱および冷却による温度制御を精度よく行えるプロセスの温度制御方法を提供することを主たる目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、請求項1に記載の発明は、加熱機構を備えたプロセスの温度制御方法において、
前記加熱機構は、最大加熱量の異なる複数の加熱手段から構成され、制御対象の温度の目標値と実測値とから求まる実測偏差が予め定めた目標偏差よりも大きいときは、最大加熱量の大きい加熱手段で温度制御を行ない、実測偏差が目標偏差より小さいときは、最大加熱量が小さい加熱手段で温度制御を行うことを特徴とするものである。
【0010】
(作用・効果)請求項1に記載の発明によれば、実測偏差と目標偏差との比較から求まる結果に応じて最大加熱量の異なる加熱手段が使い分けられる。その結果、精度よくプロセスの温度制御を実施することができる。例えば、加熱開始時のように目標値と実測値との偏差が大きく短時間で実測値を目標値まで到達させるために、大きい最大加熱量の加熱手段を利用する、結果、短時間で目標温度の近傍まで温度を上昇させることができる。また、実測値が目標値の近傍に到達したときに、最大加熱量の小さい加熱手段を利用することにより、目標値の近傍の実測偏差を小さいまま維持して安定した温度制御を行うことができる。つまり、目標値の近傍では、外乱による小さい偏差に対して精度よく温度制御ができるようになる。
【0011】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のプロセスの温度制御方法において、
前記プロセスは、さらに冷却機構を備え、
前記冷却機構は、最大冷却量の異なる複数の冷却手段から構成され、制御対象の温度の目標値と実測値とから求まる実測偏差が予め定めた目標偏差より大きいときは、最大冷却量の大きい冷却手段で温度制御を行ない、実測偏差が目標偏差より小さいときは、最大冷却量の小さい冷却手段で温度制御を行うことを特徴とするものである。
【0012】
(作用・効果)請求項2に記載の発明によれば、実測偏差と目標偏差との比較から求まる結果に応じて最大冷却量の異なる冷却手段が使い分けられる。その結果、精度よくプロセスの温度制御を実施することができる。例えば、目標値までの偏差が大きく高温である場合に、大きい最大冷却量の冷却手段を利用することにより、短時間で目標値の近傍まで温度を下げることができる。また、実測値が目標値の近傍に到達したときに、最大冷却量の小さい冷却手段を利用することにより、目標値の近傍の実測偏差を小さいまま維持して安定した温度制御を行うことができる。つまり、目標値の近傍では、外乱による小さい偏差に対して精度よく温度制御ができるようになる。
【0013】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載のプロセスの温度制御方法において、前記目標温度の制御に用いるパラメータを前記加熱および冷却手段ごとに設定することを特徴とするものである。
【0014】
(作用・効果)請求項3に記載の発明によれば、各加熱手段および各冷却手段のそれぞれの制御パラメータを個別に設定することにより、プロセスの温度制御をより高精度に行うことができる。
【0015】
また、請求項4に記載の発明は、請求項2または請求項3に記載のプロセスの温度制御方法において、前記実測値が目標値の近傍にあるときに加熱と冷却を同時に実施することを特徴とするものである。
【0016】
(作用・効果)請求項4に記載の発明によれば、実測値が目標値の近傍に到達したときに、加熱と冷却を同時に行うことにより、より一層に安定した状態で温度制御を行うことができる。例えば、押出機などのように、シリンダの温度をヒータの加熱と冷却水の循環によって制御する場合であって、特に冷却を実施する場合において、冷却水が蒸発するときに潜熱を利用して冷却を行うのに有効である。この場合、冷却能力が高いために冷却開始と同時にシリンダの温度を即座に低温まで下げてしまうことがある。
【0017】
したがって、冷却効果が著しい場合に小さい出力でヒータ加熱を行ないながら冷却を行うことで、安定した状態で加熱による温度制御ができる。その結果、目標値の近傍では、小さい偏差を維持した状態で安定した温度制御を行うことができる。
【0018】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のプロセスの温度制御方法において、前記プロセスの温度制御方法を押出機に用いたことを特徴とするものである。
【0019】
(作用・効果)請求項5に記載の発明によれば、押出機に上記請求項1から請求項4のいずれかに記載の方法を実施することによって、フィルム製造のプロセスで外乱による小さい温度偏差に対応した温度制御を安定した状態で精度よく行うことができるとともに、目標値と実測値による要求偏差を小さく設定して温度制御することができる。
【0020】
本願発明は、次のような解決手段も開示している。
(1)加熱・冷却機構を備えたプロセスの温度制御方法において、
加熱および冷却を同時に行う過程で、そのときの各制御出力の設定を変更可能にしたことを特徴とするプロセスの温度制御方法。
【0021】
加熱および冷却を必要とするプロセスの温度制御において、例えば、初期時に制御対象を加熱して目標温度に到達させるためには、加熱出力を大きくして積極的に加熱する必要がある。また、冷却する場合にも同様に積極的に冷却する必要がある
【0022】
しかしながら、実測値が目標値(温度)の近傍に到達しときや、加熱から冷却による温度制御に切り替える場合に次のような問題がある。

すなわち、目標値の近傍で加熱から冷却に切り替える場合、冷却能力の高い冷却手段、例えば冷却水の循環により冷却水が蒸発するときの潜熱を利用するような場合には、現在の温度を即座に低温まで下げてしまうことがある。つまり、目標値を超えて低下させ、ハンチングを起こすといった問題がある。
【0023】
上記(1)に記載の発明よれば、加熱と冷却を同時に行う過程で、各制御出力を設定変更することにより、目標値の近傍での温度制御をより一層精度よく行うことができる。つまり、加熱から冷却による温度制御に切り替えるときであって、冷却能力の高い冷却手段を利用する場合に、冷却出力に応じて加熱出力を設定変更して温度制御することにより、冷却によるハンチングを抑制することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の一実施例を説明する。
なお、本実施例の場合、フィルムを製造の押出機においてフィルム製造時の樹脂温度をシリンダの温度制御によって調節する場合を例に採って説明する。
図1は、押出機の概略構成を示す側面図、図2はシリンダおよびその周りの概略構成を示すブロック図である。
【0025】
本実施例に用いる押出機1は、ペレット状のプラスチックなどの材料2を供給するホッパー3と、内装したスクリュー4によって材料2を摩擦・剪断しながら搬送する搬送部5と、搬送部内の材料2を加熱または冷却するシリンダ6と、搬送部内で溶融した材料2を冷却して硬化させる冷却ロール8の表面に塗工するダイ7とから構成されている。
【0026】
なお、押出機1からロールに塗工されてフィルム成形された材料2は、厚み調節ロール9、搬送ロール群r、フィルム化された材料2の表面処理(例えばコロナ処理など)を行う表面処理部10の順で搬送処理され、回収部であるターレット11に巻取り回収されるようになっている。以下、各部の構成について具体的に説明する。
【0027】
シリンダ6は、搬送部5の基端から先端に向かって略等間隔に複数個(例えば図1では5個)付設されている。各シリンダ内には、加熱手段としてのヒータ類と、冷却手段として冷却水を循環させることのできる配管(図示しない)を備えた構成をしている。また、図2に示すように、加熱手段および冷却手段を調節するための各種出力信号を送信するPIDコントローラ200が設けられている。なお、図2に示すPIDコントローラ200は、説明の便宜上、加熱用および冷却用を兼用している。このPIDコントローラ200については後述する。
【0028】
加熱手段は、ヒータ12と、電力を供給してヒータ12に電力を供給する電力調節器13と、ヒータ12に供給される電力量を操作(オン・オフのタイミング)して加熱温度を制御する半導体リレー14(SSR:Solid State Relay)とから構成されている。
【0029】
電力調節器13は、異なる最大加熱量をヒータ12が出力できるようになっている。具体的には、図2に示すように、抵抗値の異なる2個の電力調整用の抵抗器R1,R2のそれぞれが抵抗切替リレー15a,15bと組み合わされて並列接続されている。
【0030】
また、抵抗切替リレー15a,15bのそれぞれは、PIDコントローラ200に接続されており、PIDコントローラ200のからの信号に応じていずれか一方側がオン状態となる。例えば、抵抗値の関係がR1<R2の関係にあるときに抵抗器R1がオンになると大きい電力がヒータ12に供給され、逆に抵抗器R2がオンになると小さい電力がヒータ12に供給される。したがって、最大加熱量の異なる2系統のヒータを構成することができるようになっている。
【0031】
冷却手段は、上手から順に冷却水の供給源である冷却ユニット16、冷却水供給のオン・オフ切り替えを行うメインの電磁弁17、電磁弁17がオンになったときに異なる量の冷却水がシリンダ内に内装された配管を循環するように第1電磁弁18と第1手動バルブ19からなる第1系統、および第2電磁弁20と第2手動バルブ21からなる第2系統から構成されている。
【0032】
つまり、第1系統側は、第1手動バルブ19の開度を予め大きくした状態に設定する。第2系統側の第2手動バルブ21は、第1系統側の第1手動バルブ19の開度よりも小さくした状態に設定している。したがって、シリンダ6に冷却水を供給する量が異なり、最大冷却量が異なった2系統の冷却手段を構成している。なお、この2系統に対する冷却水の供給切り替えは、PIDコントローラ200から送信される信号によって、電磁弁17をオン、第1または第2電磁弁18,20の一方をオン、他方をオフとすることにより行なわれている。
【0033】
第1および第2手動バルブ19,21の開度は予め行った実験などによって適時に決定される。
【0034】
なお、図1に示す各シリンダ6は、上述の加熱および冷却手段を個別に備えており、シリンダ6ごとに独立して温度制御可能に構成されている。
【0035】
図1に戻って、塗工材料の厚みを調節するロール9は、例えば金属やゴム製のものが適宜に利用される。また、冷却ロール8は、そのロール内部に冷却水が循環するようになっている。つまり、溶融した材料2がロール上で均一に延伸される過程で、冷却硬化されるようになっている。
【0036】
次に、本実施例の特徴であるプロセスの温度制御方法を、上記実施例装置を用いて図2〜図5に基づいて説明する。
【0037】
図3に示すように、実験などによって予め求めた各シリンダ6の温度の目標値SVに対する高温および低温側の目標偏差eh,elのそれぞれをコントローラ切替器22に設定入力する。フィルム製造開始に伴ってシリンダ6の温度が温度センサなどによって逐次実測される。この実測値PVと目標値SVとの偏差はコントローラ切替器22に入力される。なお、目標偏差eh,elの設定は、高温側、低温側を個別の値に設定してもよいし、閾値を設定してもよい。
【0038】
ここでは、コントローラ切替器22が加熱用PIDコントローラ側に切り替え(e>0)を選択し、加熱による温度制御をメインに行う場合について説明してゆく。
【0039】
コントローラ切替器22は、先ず目標値SVと実測値PVとの差分であるeを入力し、e>0と判断すると、加熱用PIDコントローラ側を切り替え選択する。加熱用PIDコントローラ側を選択すると同時に実測偏差eと目標偏差elとを比較し、実測偏差eがel<eの関係になるときは第1加熱用PIDコントローラ23に切り替える。逆に実測偏差eが目標偏差elがel≧eの関係にあるときは、第2加熱用PIDコントローラ25に切り替える。
【0040】
つまり、実測偏差eが目標偏差elよりも大きいときには最大加熱量の大きい加熱手段をPID制御するように選択し、実測偏差eが目標偏差elよりも小さいときは最大加熱量の小さい加熱手段をPID制御するように適時に切り替えて選択する。
【0041】
具体的に偏差がel<eの関係にあるとき、コントローラ切替器22は、第1加熱用PIDコントローラ23を選択するとともに、第1冷却用PIDコントローラ27を選択する。
【0042】
第1加熱用および第1冷却用PIDコントローラ23,27のそれぞれは、図4に示すように、PID制御出力などを求める演算処理部32と、求まるPID制御出力を記憶するメモリ33とを備えている。
【0043】
第1加熱用および第1冷却用PIDコントローラ23,27における演算処理部32では、先ず目標値SVと実測値PVとの差分である実測偏差eを用いて次式(1)から比例出力MVpを、次式(2)から積分出力MViを、次式(3)から微分出力MVdをそれぞれ求めて、次式(4)に示すように、これらの総和から制御出力MVを求める。
【0044】
MVp=100/PB×e … (1)
MVi=100/PB(1/Ti×∫edt) … (2)
MVd=100/PB(Td×de/dt) … (3)
MV=MVp+MVi+MVd … (4)
【0045】
ここで、PBは比例帯、Tiは積分時間、Tdは微分時間のそれぞれを示している。
【0046】
この求まる制御出力MVに基づいて、シリンダ6の温度制御を行う。この場合、実測により求まる偏差が大きく、急速な加熱による温度制御をメインに行うので、第1冷却用PIDコントローラから求まる制御出力MVをゼロとしておく。
【0047】
つまり、シリンダ温度制御プロセス31では、第1加熱用PIDコントローラ23からの信号および制御出力により、図2に示す大きい電力を出力する側の抵抗切替リレー15aをオンにするとともに、SSR14のオン・オフのタイミングを操作して電力調節器13から供給される電力量を変化させ、ヒータ12の加熱量を調節しながらシリンダ6の温度を制御する。
【0048】
最大加熱量の大きい加熱手段での温度制御を行う過程で、実測偏差eと目標偏差elの関係がel≧eの関係になると、コントローラ切替器22は、最大加熱量の小さい側を制御する第2加熱用PID制御コントローラ25を選択するとともに、最大冷却量の小さい側を制御する第2冷却用コントローラ29を選択する。この場合、目標値の近傍で加熱を主制御とし、冷却を従制御として同時に温度制御が行えるようPID制御パラメータを設定する。
【0049】
つまり、第2加熱用および第2冷却用PIDコントローラ25,29もまた、図4に示すように、PID制御出力などを求める演算処理部32と、求まるPID制御出力を記憶するメモリ33とを備えている。
【0050】
したがって、第2加熱用および第2冷却用PIDコントローラ25,29の演算処理部のそれぞれでは、同時に加熱と冷却を実行するときの出力関係を決定する。具体的には、図5に示すように、実測値PVが目標値SVに到達した時点で加熱制御出力MVhと冷却制御出力MVcとが同時に出力可能である出力領域を決定する。このときの加熱制御出力側のa値と冷却制御出力側のb値は実験などによって予め求めた値であって、任意に設定変更ができるようになっている。このときの両制御出力MVh,MVcは、次式(5),(6)により求められる。
【0051】
MVh=(MV+a)×100/(100+a) … (5)
MVc=−1×{(MV+b)×100/(100+b)} … (6)
【0052】
この求まる加熱側の制御出力MVhは、第2ヒータ加熱温度制御プロセス26に入力される。そして、シリンダ温度制御プロセス31では、第2加熱用PIDコントローラ25からの信号および制御出力により、図2に示す小さい電力を出力する側の抵抗切替リレー15bをオンにするとともに、SSR14をオン・オフのタイミングを操作して電力調節器13から供給される電力量を変化させ、ヒータ12の最大加熱量を調節しながらシリンダ6の温度を制御する。
【0053】
また同時に、第2チラー冷却温度制御プロセス30は、第2冷却用PIDコントローラ29からの信号により、電磁弁17がオンになるとともに、最大冷却量の小さい第2電磁弁20をオンとし、開度を全開にして冷却水をシリンダ内に供給循環させるタイミングを調節しながらシリンダ6の温度制御を開始する。
【0054】
したがって、目標値SVの近傍では加熱および冷却による温度制御を同時に実施すことになり、冷却または加熱が極端に作用して目標値SVの近傍でハンチングするのを抑えることができ、外乱による小さい偏差に対して安定した温度制御を行うことができる。
【0055】
上記実施例では、目標偏差eに到達した時点からは加熱を主制御とし、冷却を従制御としてシリンダ6の温度制御を行っていたが、冷却を主制御にし、加熱を従制御としてシリンダ6の温度制御を行ってもよい。
【0056】
以上のように、最大加熱量および最大冷却量の異なる加熱手段および冷却手段のそれぞれが、個別のPID制御パラメータに基づいてシリンダ6の温度が制御されることにより、精度の高い温度制御が可能となる。つまり、急速に加熱が必要な場合においては、大きい最大加熱量となるようにヒータ12の設定を行うことにより、実測値PVを目標値SVに短時間で到達させるようにできる。また、実測偏差eが目標偏差elに到達した時点であって目標値SVの近傍においては、小さい加熱量となるようにヒータ12を設定し、かつ、小さい最大冷却量となるようにシリンダ6への冷却水の供給を設定し、加熱および冷却を同時作動させてシリンダ6の温度制御を行うことにより、外乱による小さい偏差に対応した温度制御を行うことができる。
【0057】
なお、上述のプロセスの温度制御方法を用いた押出機1により、フィルムを製造した場合、以下のような結果が得られた。
【0058】
最大加熱量の大きい単一の加熱手段を用いてPID制御する従来装置では、シリンダ6の目標値と実測値による偏差の要求値が最高で4℃までしか管理しきれなかったが、本実施例装置では、偏差の要求値を1℃以下に設定してフィルムの製造を可能とすることが確認できた。したがって、高品質なフィルムの製造が可能となった。
【0059】
本発明は上述した実施例のものに限らず、次のように変形実施することができる。
【0060】
(1)上述実施例装置では、図5に示すように、加熱側および冷却側の両方が温度偏差に応じた2系統ごとのPIDコントローラをそれぞれ備えていたが、図 6に示すように、加熱側および冷却側のそれぞれ2系統が同一のPIDコントローラ40,41によりPID制御を行えるように構成してもよい。この場合、PIDコントローラ40,41のそれぞれが、加熱および冷却の最大能力ごとのPID制御パラメータを設定可能とし、個別に制御するように構成すればよい。
【0061】
(2)上記実施例装置では、加熱および冷却のそれぞれを2系統有していたが、2系統以上であってもよい。2系統以上にすることによって、温度偏差の幅を細かく分割し、各偏差に応じて温度制御することができるので、より精度の高い温度制御を行うことができる。
【0062】
(3)上記実施例装置では、目標値の近傍で加熱と冷却を同時に行える1パターンのPID制御パラメータを用いてシリンダ6の温度制御を行っていたが、各PIDコントローラが2パターンのPID制御パラメータを用いてもよい。
【0063】
例えば、製造開始時のように急速な加熱が必要な場合や、製造終了前に急速な冷却が必要な場合は、図7に示すよう、加熱制御出力MVhと冷却制御出力MVcの出力の大きなPID制御パラメータを利用し、予め設定した目標偏差eに到達してからは外乱の影響による小さい偏差に対応可能なように、図5に示す加熱と冷却を同時に行うPID制御パラメータを利用してシリンダ6の温度制御を行ってもよい。
【0064】
(4)上記実施例装置では、実測偏差eが目標偏差elに到達するまでは、第1冷却用PIDコントローラ27の制御出力MVをゼロに設定していたが、その加熱過程で適時にシリンダ6を冷却しながら温度の微調整を行うように温度制御してもよい。
【0065】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、目標温度に対して予め定めた目標偏差に応じて最大加熱量の異なる加熱手段を用いることにより、終始安定した状態でプロセスの温度制御を行うことができる。つまり、製造プロセスにおいて、その開始時は最大加熱量の大きい加熱手段を用いることにより、所定の目標温度まで短時間で到達させることができる。また、予め定めた目標偏差以下からは最大加熱量の小さい加熱手段を用いることにより、外乱による小さい偏差に対して細かい温度調節が可能となる。したがって、従来のように最大加熱量の大きい単一の加熱手段を用いて温度制御するのに比べ、外乱による小さな温度偏差に対応できるので、温度管理の厳しい製品を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例に用いる押出機およびその周辺の概略構成を示す側面図である。
【図2】シリンダの構成を示すブロック図である。
【図3】シリンダの制御プロセスを示したブロック図である。
【図4】各PIDコントローラの内部構成を示したブロック図である。
【図5】温度制御プロセスにおける加熱制御出力と冷却制御出力との関係を示した図である。
【図6】シリンダの制御プロセスの変形例を示したブロック図である。
【図7】変形例の温度制御プロセスにおける加熱制御出力と冷却制御出力との関係を示した図である。
【符号の説明】
1 … 押出機
6 … シリンダ
12 … ヒータ
13 … 電力調節器
14 … SSR
15a,b … 抵抗切替リレー
16 … 冷却ユニット
17,18,20 … 電磁弁
19,21 … 手動バルブ
R1,R2 … 抵抗器

Claims (5)

  1. 加熱機構を備えたプロセスの温度制御方法において、
    前記加熱機構は、最大加熱量の異なる複数の加熱手段から構成され、制御対象の温度の目標値と実測値とから求まる実測偏差が予め定めた目標偏差よりも大きいときは、最大加熱量の大きい加熱手段で温度制御を行ない、実測偏差が目標偏差より小さいときは、最大加熱量が小さい加熱手段で温度制御を行うことを特徴とするプロセスの温度制御方法。
  2. 請求項1に記載のプロセスの温度制御方法において、
    前記プロセスは、さらに冷却機構を備え、
    前記冷却機構は、最大冷却量の異なる複数の冷却手段から構成され、制御対象の温度の目標値と実測値とから求まる実測偏差が予め定めた目標偏差より大きいときは、最大冷却量の大きい冷却手段で温度制御を行ない、実測偏差が目標偏差より小さいときは、最大冷却量の小さい冷却手段で温度制御を行うことを特徴とするプロセスの温度制御方法。
  3. 請求項1または請求項2に記載のプロセスの温度制御方法において、
    前記目標温度の制御に用いるパラメータを前記加熱および冷却手段ごとに設定することを特徴とするプロセスの温度制御方法。
  4. 請求項2または請求項3に記載のプロセスの温度制御方法において、
    前記実測値が目標値の近傍にあるときに加熱と冷却を同時に実施することを特徴とするプロセスの温度制御方法。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のプロセスの温度制御方法において、
    前記プロセスの温度制御方法を押出機に用いたことを特徴とするプロセスの温度制御方法。
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