JP2004242176A - 移動通信システム及びその基地局装置設置方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】移動通信事業者のサービスエリア内又は外で、移動通信事業者以外の者によって無線基地局装置を設置して端末ユーザに移動通信サービスを提供し、その対価を施設提供者に還元する移動通信システムを提供する。
【解決手段】移動通信事業者のサービスエリア101内で無線基地局設置場所提供者の施設321に無線基地局装置311を設置して、端末ユーザ201〜204と無線回線による通信を行う。端末ユーザデータ転送装置によって、無線基地局装置と移動通信システム交換網との間のデータ送受信を行い、端末ユーザ情報計測装置によって、端末ユーザデータ転送装置で送受信されるデータ量を計測し、その計測された値を端末ユーザ料金算出装置に転送して、端末ユーザ毎の料金を算出する。
【選択図】 図2
【解決手段】移動通信事業者のサービスエリア101内で無線基地局設置場所提供者の施設321に無線基地局装置311を設置して、端末ユーザ201〜204と無線回線による通信を行う。端末ユーザデータ転送装置によって、無線基地局装置と移動通信システム交換網との間のデータ送受信を行い、端末ユーザ情報計測装置によって、端末ユーザデータ転送装置で送受信されるデータ量を計測し、その計測された値を端末ユーザ料金算出装置に転送して、端末ユーザ毎の料金を算出する。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、移動通信事業者のサービスエリア内又は外で、移動通信事業者以外の者によって無線基地局装置を設置して端末ユーザに移動通信サービスを提供する移動通信システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、移動通信事業者が移動通信システム事業を行う際、サービスエリア内におけるユーザ端末の分布状態の予測を行い、その予測結果に基づき長期的視野に立って基地局配置を設計する。
【0003】
図1は、移動通信事業者によって移動通信サービスが提供されている状況を例示している。本図において移動通信事業者は、自身の所有する無線基地局装置301又は302によって移動通信サービスを提供するエリアを形成し、このエリアを移動通信事業者によるサービスエリア101と呼ぶ。本サービスエリア内において端末ユーザ201〜203は、移動通信事業者の提供する移動通信サービスを享受できる。端末ユーザ201〜203は、移動通信インフラ装置401の介在によって端末ユーザと他の端末ユーザ又は公衆網あるいは私設網他と接続することによって移動通信サービス等を実現できる。移動通信事業者の提供するサービスエリアは、一般に予測し得る端末ユーザの分布及び移動通信サービスの要求と無線基地局設置コストに鑑みて行われるものであり、無線基地局設置コストの観点に立てば定常的に端末ユーザが在圏し、かつ多くの呼量が見込める場所に無線基地局を設置する事が得策である。
【0004】
しかし、アンテナから放射される電波は建造物等がない環境においては一様に拡散するが、特に都市部の様に高密度に且つ複雑に建造物が存在する環境においてはアンテナから放射される電波は一様に拡散する保証がない。その結果、部分的な不感地が存在することになる。この様な不感地を全てカバーするように無線基地局を配置することは、無線基地局の設置場所の確保、無線基地局までの専用回線の確保等費用を要することとなり、結果的に必要最小限と判断される無線基地局のみを設置することとなる。この観点から図1の基地局配置が移動通信事業者によって成される。
【0005】
ここで、移動通信事業者の設置した無線基地局配置によってある地域では定常的にカバーできないエリアが存在し、且つその場所に移動通信事業者の無線基地局を設置する上で困難な状況があった場合(これは例えば移動通信事業者のインフラ装置への回線敷設が困難であったり、あるいは移動通信事業者のアンテナ装置を設置する場所を買収できない場合等を例に挙げることが出来る)を想定する。また、ある地域で一時的に端末ユーザが集まり、その場所で端末ユーザに対し移動通信サービスを提供することが端末ユーザに対する要望に応え、さらに移動通信サービスの提供によって歳入を増加させることが可能であると予想される場合があったとする。
【0006】
この場合、移動可能な基地局をサービスエリア内外に配置し、移動機と通信を行う移動通信方式がある(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開昭62−163430号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ユーザ端末の分布に伴う呼の生成分布は時間経過に伴って変動し得るものであり、当初設置された基地局配置によってカバー不可能なユーザ呼量が発生した場合、ユーザ端末は移動通信サービスを受けられなくなる現象が生じる。これは一時的あるいは恒久的な基地局資源の不足と言える。
【0009】
一方、設置された基地局が有する無線容量に満たないユーザ呼量しか生じない場合、ユーザ端末が移動通信サービスを受けられなくなる事は少なくなるものの、基地局装置の能力を十分に活用できないという現象が生じる。これは一時的あるいは恒久的な基地局資源の過剰配置と言える。
【0010】
ユーザ端末の分布に伴う呼量あるいは密度の時間的変化は様々な時間スケール及び地理的範囲において生じ得る。即ち時間的変動として日変動、週変動、季節あるいは年変動及び突発的変動、また地理的変動としてオフィス街、歓楽街、住宅街、行楽地等を挙げる事ができる。日変動は一日の中で生じる変動であり、例えば呼の分布は昼間においてオフィス街が高く、夕暮れ以降に歓楽街が高く、深夜においては低くなる。また週変動は非休日においてオフィス街が高く、休日において歓楽街、行楽地が高くなる。また季節変動として季節性の高い行楽地として海辺等では夏季に高く、スキー場等では冬季に高い。この様に時間的あるいは空間的に変化しうるユーザ端末の分布状態をカバーしつつ、それぞれのユーザ端末が移動通信サービスを十分な余裕を持って享受できるような基地局等を動的且つ適合的に配置する事は、無線基地局及び回線装置等の移動通信事業者のインフラ装置とした場合に困難である。
【0011】
さらに、端末ユーザの通信形態としては、移動通信事業者の所有する無線基地局装置エリア内において生起し、同移動通信事業者の所有する無線基地局装置内において終了、移動通信事業者以外の者によって提供される施設に無線基地局装置エリア内において生起し、移動通信事業者以外の者によって提供される施設に無線基地局装置エリア内において終了する場合がある。
【0012】
また、移動通信事業者の所有する無線基地局装置エリア内において生起し、移動通信事業者以外の者によって提供される施設の無線基地局装置エリア内において終了或いはその逆の場合もある。更に端末ユーザの移動に応じて通信の生起後に移動通信事業者の所有する無線基地局装置エリア内と移動通信事業者以外の者によって提供される施設の無線基地局装置エリア内の間を行き来して通信を継続する場合もある。
【0013】
そこで本発明は、移動通信事業者のサービスエリアの一部又はそれ以外のエリアで、移動通信事業者以外の者によって提供される施設に無線基地局装置を設置して端末ユーザに移動通信サービスを提供し、その対価を施設提供者に還元する移動通信システム及びその基地局装置設置方法を提供することを目的とする。
【0014】
さらに本発明は、端末ユーザの通信に寄与した無線基地局装置のそれぞれの所有者に対して、端末ユーザの通信料金を計測および算出することができる仕組みを提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上述の課題を解決するため、本発明は、移動通信事業者のサービスエリア内又は外に設置され、ユーザ端末と無線回線による通信を行う無線基地局装置と、この無線基地局装置と移動通信システム交換網との間のデータ送受信を行う端末ユーザデータ転送装置と、この端末ユーザデータ転送装置で送受信されるデータ量を計測する端末ユーザ情報計測装置と、端末ユーザ料金算出装置とを備え、前記端末ユーザ情報計測装置によって計測された値を前記端末ユーザ料金算出装置に転送して、端末ユーザ毎の通信料金を算出することを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。以下の説明で、移動通信事業者の所有する移動通信システムのインフラ装置は、移動通信システム交換網の一部であり、基地局を介して端末ユーザの要求に従い公衆回線網あるいは同回線網を経て私設回線網に接続あるいは同網から端末に接続する機能を有する。無線基地局設置場所提供者が所有する場所及び施設に設置する基地局装置は、上記インフラ装置に接続するための公衆あるいは私設回線への接続機能を有し、ユーザ端末との無線回線接続機能を有する。
【0017】
図2は、移動通信事業者のサービスエリア内に、移動通信事業者以外の施設を用いて端末ユーザに対して移動通信サービスを提供する場合のシステム構成例を示す。本図において移動通信事業者のサービスエリア内に移動通信事業者の無線基地局301,302以外に無線基地局設置場所提供者の施設321を経て無線基地局311を設置する。
【0018】
本図において移動通信事業者の所有する無線基地局301及び302によるサービスエリアに加え、無線基地局設置場所提供者の占有する地域に無線基地局311を設置しサービスエリアの拡張あるいは端末ユーザへの移動通信サービス提供の増加を期するものである。この場合、移動通信事業者は自身の所有する無線基地局によるサービス可能エリアを設計し、運用する技術的ノウハウあるいはツールを有し、無線基地局設置場所提供者の占有する地域に新たな無線基地局を設置した場合に、自身によって設置してある無線基地局のカバレッジエリアに対する影響、及び無線基地局設置場所提供者が占有する地域に設置される無線基地局による移動通信サービスの増加量を予測するノウハウあるいはツールを持っていると考えてよい。このノウハウ及びツールによって移動通信事業者は、無線基地局設置場所提供者に対し無線基地局設置に伴う経営戦略を助言する事と、基地局設置等の工事によって端末ユーザへの移動通信サービス提供料に加えた歳入を見込める事となる。
【0019】
また無線基地局設置場所提供者は、無線基地局増設に伴って生じた端末ユーザへの移動通信サービス提供の対価を移動通信事業者と分配することにより、歳入を見込めることとなる。これらの結果に基づき、移動通信事業者と無線基地局設置場所提供者は、新たな無線基地局設置において得られる端末ユーザの移動通信サービス料金を分配する契約を締結する。
【0020】
図2に示す例として、移動通信事業者が想定するサービスエリア101の内部において、移動通信事業者の所有する無線基地局装置の一部であるアンテナ装置によって部分的にカバーできないエリアが存在し得る。これは電波伝播的理由によって例えば建造物等の陰に当たる部分をカバーできないエリアを例にあげることができる。この部分をカバーするために移動通信事業者の施設を増設することは資金的あるいは場所確保と言う観点から設置が困難である場合を想定し、この場合に移動通信事業者が無線基地局設置場所提供者にその設置を申し出るか、あるいは無線基地局設置場所提供者からの申し出によってサービスエリアを補完するという目的で行う。
【0021】
また、無線基地局設置場所提供者として当該移動通信事業者以外の通信事業者としてもよい。この様にする事によって当該移動通信事業者以外の通信事業者のサービスエリア内において当該移動通信事業者のユーザが移動通信サービスを享受することが出来ることになり、この関係を当該移動通信事業者と当該移動通信事業者以外の移動通信事業者とで置き換えることにより互いのエリアを安価に拡大することに寄与できる。その理由は当該移動通信事業者及び当該移動通信事業者以外の移動通信事業者は、基地局設置のために異なる戦略と投資を行うことがあるので、地理的に互いに補完関係が生ずることがあり、その結果それぞれのユーザがより広いサービスエリアで移動通信サービスを享受することが出来、ユーザの利便性が向上する。
【0022】
同様に、ある地域において移動通信事業者の想定した端末ユーザの呼量を一時的に超える呼量が予測される場合、その地域における移動通信サービスを提供するために、移動通信事業者が無線基地局設置場所提供者にその設置を申し出るか、あるいは無線基地局設置場所提供者からの申し出によって無線基地局を設置し、端末ユーザへの移動通信サービスを提供する。この場合の一時的な呼量増加の要因は、例えば期間が限定された催し物(夏祭り、コンサート、集会等)を挙げることが出来る。また、何らかの原因によって単に呼量が増加した場合も含まれ得る。あるいは、スタジアム等に面した施設占有者がスタジアムに向けてアンテナを配置し、スタジアム内にいる端末ユーザに移動通信サービスを提供することも想定し得る。この時、移動通信インフラ装置へ接続する回線は、無線基地局設置場所提供者の所有するものであっても、第三者のものであってもよい。
【0023】
次に図3は、移動通信事業者のサービスエリア外に、移動通信事業者以外の施設を用いて端末ユーザに対して移動通信サービスを提供する場合のシステム構成例を示す。本図において移動通信事業者のサービスエリア外に無線基地局設置場所提供者の施設(図示せず)を経て無線基地局311を設置し、サービスエリア102を形成して端末ユーザ211に対して移動通信サービスを提供する。本図の状況においても図2のケースと同様に、移動通信事業者と無線基地局設置場所提供者は、新たな無線基地局設置において得られる端末ユーザの移動通信サービス料金を分配する契約を締結する。
【0024】
本図の状況は、移動通信事業者が有するサービスエリアと地理的に異なるエリアにおいて、端末ユーザへの移動通信サービス提供が望まれているかあるいは見込める場合、あるいは移動通信事業者が有するサービスエリアに地理的には包含されるものの建造物の状況によって既存の移動通信事業者によって設置されている無線基地局ではカバーできないかあるいは既存の移動通信業者によって設置されている無線基地局では無線通信容量的な観点から在圏する多くの端末ユーザに移動通信サービスを提供できない場合が考えられる。
【0025】
前者の場合は、例えば都市部や市街地或いは幹線道路の様な主要なサービスエリアとは離れた地域において一時的あるいは比較的長期間に亘りイベント等が催行されている場合を挙げることができる。また後者の場合は、鉄筋等電波遮蔽性能の高い構造物で覆われた建造物内に端末ユーザがいる様な私的(会社の工場内)又は公的(ホール等)場所か、あるいは一時的に極端に多くの端末ユーザが密集し得る場所(例えば野球場又は運動場等のスタジアム)の場合を挙げることができる。
【0026】
図3に示す例として、移動通信事業者が想定するサービスエリア101の内部ではあるが、施設占有者が保有する施設の構造上、移動通信事業者の無線基地局装置ではカバーできないエリアが存在し得る。これは例えば広大な敷地を有する工場の内部、鉄筋構造を有し電波を遮蔽し得る建造物の内部、あるいは通常の無線基地局アンテナの放射エリアより仰ぎ見る高い位置にある高層建造物等の内部を挙げることができる。また、前記私的又は公的なある施設内において移動通信事業者の想定した端末ユーザの呼量を一時的あるいは恒久的に超える呼量が予測される場合、その地域における移動通信サービスを提供するために、移動通信事業者が無線基地局設置場所提供者にその設置を申し出るか、あるいは無線基地局設置場所提供者からの申し出によって無線基地局を設置し、端末ユーザへの移動通信サービスを提供する。
【0027】
また、所有する無線基地局装置の一部であるアンテナ装置によって部分的にカバーできないエリアが存在し得る。この場合の呼量増加の要因は、その占有者の施設内で大人数が集合している場合を挙げることが出来、例えば野球場あるいは運動場等スタジアムの観客席を挙げることができる。この時、移動通信インフラ装置へ接続する回線は、その占有者の施設内に予め敷設してあったもの活用してもよいし、あるいは催行が行われる度に臨時に敷設されたものであってもよい。
【0028】
また、設置する無線基地局は、通信密度を高めるために端末ユーザの分布密度に応じてその電波到達距離を著しく縮小したものであることが望ましい場合がある。この場合、その占有者は自身の所有する地域内で移動通信サービスが可能であることを有利であると評価し、さらに多量の移動通信サービスの生起が見込めることを理由に端末ユーザの通信料を移動通信事業者の料金と異ならせる事も想定し得るし、また同一としてもよい。あるいは移動通信サービスの内容によって、占有者の施設内での料金を移動通信事業者のサービスエリア内での料金と異ならせる事も想定し得る。施設の例として、デパート等大規模小売店の敷地内あるいは地下街等公衆電波的に隔離された地域を想定することができる。
【0029】
従来における状況として、上記地域においては移動通信事業者が施設占有者から施設を借り受け、表面的に移動通信事業者の施設として使用することで端末ユーザの移動通信サービスを実現していた。
【0030】
本ビジネス導入に際し移動通信事業者の提供し得るサービスとして、以下の例が考えられる。移動通信事業者は実際に移動通信サービスを実施しているという事情により、想定する端末ユーザのサービスエリア内の無線基地局配置業務に精通していることが想定されるため、無線基地局を設置することによる既存無線基地局によって既にカバーされているサービスエリアへの電波伝播的影響を、設置場所が特定した後に現地に赴き実際の測定を行う、あるいは既に保有している情報によって予測することが出来る。この予測に基づき適切な無線基地局を選定し、想定される端末ユーザからの受付呼量の推測と、それによる無線基地局設置場所提供者の歳入の見込みを無線基地局設置場所提供者に示唆することが出来る。これらの活動により無線基地局の設置工事、貸与する無線基地局の貸与料金等を加味した総合的なビジネス提案を行う事ができる。なお、本提案は移動通信事業者と異なる経営事情を有する代理人が行う事もあり得る。
【0031】
次に、移動通信事業者と無線基地局設置場所提供者において、端末ユーザの通信料金情報を計測ないし収集する仕組みを説明する。図4は、移動通信事業者と無線基地局設置場所提供者において、端末ユーザの通信料金情報を計測及び収集する仕組みを例示する一実施例である。本図は図2に示すケースにおけるサービス形態において、無線基地局設置場所提供者が端末ユーザに対する通信料金情報を収集する仕組みを示している。
【0032】
図4において、無線基地局装置311は無線基地局設置場所提供者の施設321に設置され、その無線基地局装置のカバーする地域において端末ユーザ(図示せず)に対し移動通信サービスを提供するために設置されている。無線基地局装置311より受信された端末ユーザのデータは、無線基地局設置場所提供者の施設321内の無線基地局設置場所提供者の端末ユーザデータ転送装置331によって移動通信事業者インフラ装置401に転送される。移動通信事業者インフラ装置401から転送される端末ユーザへのデータは、無線基地局設置場所提供者の施設321内の無線基地局設置場所提供者の端末ユーザデータ転送装置331によって無線基地局装置311を経て端末ユーザに送信される。
【0033】
端末ユーザに対し送信あるいは端末ユーザから受信されるデータは、無線基地局設置場所提供者の端末ユーザ情報計測装置341において情報量という観点から測定され蓄積される。この計測は無線基地局装置311によって通信接続されている複数の端末ユーザ毎に行われ、それぞれの端末ごとに集計される。この情報量は、無線基地局設置場所提供者が移動通信事業者に対するデータを転送するための回線の使用料金として回線事業者に支払われるべきものであり、無線基地局設置場所提供者自身が後に移動通信事業者に対し回線使用の対価として請求すべき情報となる。あるいは無線基地局設置場所提供者の端末ユーザ情報計測装置341において、単に端末ユーザの呼が開始した時間との呼が終了した時間を記録しておいてもよい。
【0034】
一方、移動通信事業者インフラ装置401内においても無線基地局設置場所提供者の施設321と同様の装置があり、移動通信事業者の端末ユーザデータ転送装置431において端末ユーザからあるいは端末ユーザに送られるデータを無線基地局設置場所提供者の施設321に送信、あるいは受信している。更に移動通信事業者の端末ユーザ情報計測装置441によって、端末ユーザに送信あるいは端末ユーザから受信されたデータの量を計測する。本計測は、無線基地局設置場所提供者とは別個に行う事によって、移動通信事業者及び無線基地局設置場所提供者における計測値を別途評価するために行われる。無線基地局設置場所提供者の端末ユーザ情報計測装置341によって計測された値と、移動通信事業者の端末ユーザ情報計測装置441によって計測された値は、端末ユーザ料金計算センタ501に転送され、端末ユーザ料金算出装置541によって端末ユーザ毎の通信料金が収集され算出される。
【0035】
図4において、無線基地局設置場所提供者の端末ユーザ情報計測装置341によって計測された値は、移動通信事業者の施設を経て端末ユーザ料金計算センタ501に転送される形態となっている。これは無線基地局設置場所提供者の施設と移動通信事業者の施設を接続している回線を、端末ユーザのデータ転送と端末ユーザ情報計測値の転送を同一の回線で行う事を意図したものであり、この接続に限定されるものではない。
【0036】
図5は、上記の端末ユーザのデータ転送と端末ユーザ情報計測値の転送を独立の回線で行う例を示したものである。無線基地局設置場所提供者の施設321で計測及び収集された端末ユーザ情報計測値は、移動通信事業者インフラ装置401を経る事無く、端末ユーザ料金計算センタ501に転送される。本例示は、移動通信事業者と端末ユーザ料金計算センタが、異なる事業者に属するケースを想定している。
【0037】
図4及び図5は、単一の無線基地局設置場所提供者の施設と移動通信事業者の施設間で端末ユーザのデータ転送がどのように行われるか、更に端末ユーザ情報計測値がどのように端末ユーザ料金計算センタに転送されるかを例示している。
【0038】
図6は、複数の無線基地局設置場所提供者の施設321,322,323と移動通信事業者の施設401の間で端末ユーザのデータ転送がどのように行われるか、複数の無線基地局設置場所提供者の施設321,322,323と端末ユーザ料金計算センタ501との間で端末ユーザ情報計測値がどのように転送されるか、更に移動通信事業者の施設401と端末ユーザ料金計算センタ501との間で端末ユーザ情報計測値がどのように転送されるかを例示している。
【0039】
この図4、図5、図6のいずれの場合も、無線基地局設置場所提供者の施設には一つの無線基地局装置が設置されても良いし、複数の無線基地局装置が設置されても良く、端末ユーザデータ転送装置と端末ユーザ情報計測装置は、無線基地局設置場所提供者の施設内において単一の装置内に統合されていても良い。ただし、ユーザ情報がみだりに第三者である無線基地局設置場所提供者によってモニタする事が不能であるような機構を有することが望ましい。
【0040】
図7は、図3において説明した様な、既存の移動通信業者によって設置されている無線基地局では、無線通信容量的な観点から在圏する多くの端末ユーザに移動通信サービスを提供できない場合に本発明を適用する例を示す。例えば、鉄筋等電波遮蔽性能の高い構造物で覆われた建造物内に端末ユーザがいる様な私的(会社の工場内)又は公的(ホール等)場所か、あるいは一時的に極端に多くの端末ユーザが密集し得る場所(例えば野球場又は運動場等のスタジアム)の場合を挙げることができる。本ケースにおいては、その地域の中でインフラ資源としてバックボーン回線が予め敷設されている場合も想定し得るし、新たにこれを敷設することが容易である場合も想定される。この場合、無線基地局設置場所提供者の施設と移動通信インフラ装置の間で比較的高速な通信媒体を用い、更に無線基地局設置場所提供者の施設において環状あるいは芋蔓状のバックボーン回線を用い、その回線に無線基地局装置311,312,313,314を接続する事で、安価に回線を敷設することが出来る。
【0041】
上記において、移動通信インフラ装置と基地局設置場所提供者の施設間の回線の例として、ISDN(Basic Rate Interface又はPrimary Rate Interface)、ADSL、CATV、FTTH等を挙げることが出来る。
【0042】
図8及び図9は、端末ユーザが異なる所有者の基地局装置エリア間に跨って移動した場合を例示している。図8において、端末ユーザ201は移動通信事業者の所有する無線基地局装置301のエリアにおいて通信を行っており、その後破線の方向に該端末ユーザが移動することを示している。この場合、端末ユーザ201が通信を行うための機材及び施設を移動通信事業者に負っている。
【0043】
図9において、端末ユーザ201は移動通信事業者以外の者によって提供される施設の無線基地局装置エリア即ち無線基地局設置場所提供者が設置した無線基地局装置311のエリアに移動したことを示している。この場合、端末ユーザ201が通信を行うための機材及び施設の一部を移動通信事業者に、また他の部分を移動通信事業者以外の者に負っている。
【0044】
具体的には図8では、移動通信事業者の所有する無線基地局装置301、移動通信事業者インフラ装置401及び他(図示せず)を用いて端末ユーザ201の通信が提供され、図9では、無線基地局設置場所提供者の施設321に設置した無線基地局装置311、移動通信事業者インフラ装置401及び他(図示せず)を用いて端末ユーザ201の通信が提供される。
【0045】
端末ユーザ201の通信料金は、移動通信事業者の所有する無線基地局装置301のエリア内にいる限りにおいて移動通信事業者に帰属する。しかしながら、移動通信事業者の所有する無線基地局装置301のエリアから移動通信事業者以外の者によって提供される施設の無線基地局装置エリア即ち無線基地局設置場所提供者が設置した無線基地局装置311のエリアに移動した場合には、移動通信事業者以外の者に、その端末ユーザ201の通信料金が予め了承された正当な対価で支払われることが望ましい。
【0046】
図10は、端末ユーザが上記に述べた移動通信事業者の所有する無線基地局装置のエリアと、移動通信事業者以外の者によって提供される施設の無線基地局装置のエリアに跨って移動した場合の通信料金計算法を例示したものである。本図において501乃至504は、端末ユーザの通信形態が変化した時刻を示し、601乃至611は、端末ユーザに課せられる通信料金を示している。
【0047】
具体的には、時刻501において移動通信事業者所有の無線基地局装置エリアにおける端末ユーザが通信を開始し、時刻502において無線基地局設置場所提供者が設置した無線基地局装置エリアへ端末ユーザが進入即ち移動通信事業者の所有する無線基地局装置エリアから端末ユーザが脱出し、時刻503において移動通信事業者所有の無線基地局装置エリアへ端末ユーザが進入即ち無線基地局設置場所提供者が設置した無線基地局装置エリアから端末ユーザが脱出し、時刻504において移動通信事業者所有の無線基地局装置エリア内で端末ユーザが通信を終了した事を示す。
【0048】
時刻501と時刻502の間の通信料金及び時刻503と時刻504の間の通信料金は、それぞれ移動通信事業者の所有する無線基地局装置エリア内の通信料金601及び602に基づき端末ユーザに課せられ、時刻502と時刻503の間の通信料金は、無線基地局設置場所提供者が設置した無線基地局装置エリア内の通信料金611に基づき端末ユーザに課せられる事を示している。本図において、移動通信事業者の所有する無線基地局装置エリア内の通信料金601及び602の単位時間当たり料金と、無線基地局設置場所提供者が設置した無線基地局装置エリア内の通信料金611の単位時間当たり料金は、図10の601乃至611の高さが示すように異なるものであってもよく、これは各々の無線基地局を所有している移動通信事業者及び無線基地局設置場所提供者の事情を反映することを意味する。
【0049】
この場合、移動通信事業者へ課せられる料金と無線基地局設置場所提供者へ課せられる料金の一方が定常的に多いものである必要はなく、基地局設置場所に応じた事情によって適応的に変化し得るものであってもよい。あるいは、端末ユーザが認識する通信料金の観点を考慮し、移動通信事業者と無線基地局設置場所提供者が、施設設置及び維持に要する費用の差に関わらず単位時間当たりの通信料金を同一としても良い。
【0050】
上記において、移動通信事業者と基地局設置場所提供者の二者間で締結される例を示したが、この場合、移動通信事業者が自身に加入している端末ユーザへの利便性あるいは満足を充足するために、自身で無線基地局の設置場所を発見し、その場所を占有する基地局設置場所提供者と交渉する移動通信事業者主導型のビジネス開拓方式であってもよいし、あるいは基地局設置場所提供者が自身で得た情報又は予測に基づき、自身の占有する場所に無線基地局設置を行う事で利益を得られると判断し、移動通信事業者と交渉する基地局設置場所提供者主導型のビジネス開拓方式であってもよい。
【0051】
上述の説明において、契約は移動通信事業者と基地局設置場所提供者の二者間で締結される例を示したが、この両者の他に第三者が介入し、この第三者が仲介者となるケースであっても良い。この場合、仲介者は自身の調査・探索機構によって端末ユーザの分布あるいは移動通信サービスの要望を予測し、その地域において移動通信サービスを行う移動通信事業者を選定し、またその地域を占有している唯一又は複数の土地ないし施設所有者を選んで基地局設置場所提供者とし、この両者の間で契約を締結させ、契約に伴う対価を得る仲介者主導型のビジネス開拓方式であってもよい。この場合、仲介者は例えばイベント企画者又は催行者、あるいはイベント情報誌編集業者等が考えられる。
【0052】
無線基地局の設置のための具体的な場所としては、端末ユーザに対し直接的あるいは間接的に電波を照射及び受信することが可能な場所である。例えば広場、公園あるいは駅のホームに面した場所等を挙げることが出来る。また、広場あるいは公園を所有する個人ないしは自治体が、歳入増加のために行う事も考えられる。また、駅のホームにいる端末ユーザに移動通信サービスを提供するために、鉄道会社が移動通信事業者に無線基地局の設置場所を提供しても良く、この場合、良好な設置場所を確保できる可能性がある。また、地下鉄構内等においては、地上に設置されている無線基地局ではカバーする事が困難な場所でも移動通信サービスを提供することが可能となる。
【0053】
また、野球場等に面する家屋等においては指向性アンテナを野球場の外壁の窓に向け、特定の部分の端末ユーザに対して移動通信サービスを提供することもできる。また、高層建造物あるいはその一部を占有する者は、野球場のスタンドの一部又はある程度の広さをめがけて放射しても良い。
【0054】
また、野球場等スタジアムに無線基地局を設置し、その回線を確保する方法として、座席あるいは他の施設に沿って光ファイバケーブル等高速媒体の接続点を準備しておくことにより、安価に無線基地局装置の通信路を確保することも出来る。
【0055】
また、移動通信事業者のインフラ装置との接続を人工衛星の回線で確保し、航行あるいは静止中の船内、船上あるいは航空機内の端末ユーザに対して移動通信サービスを提供することもできる。また、列車の軌道敷に並行して埋没される漏洩ケーブルを用いて走行する列車と移動通信インフラ装置との接続回線を確保する事で、列車内において移動通信サービスを提供し、その提供料の一部を歳入として得ることもできる。
【0056】
以上をまとめると、本願発明は、移動通信事業者の無線基地局装置と、該無線基地局を設置する場所と無線基地局及び該移動通信事業者のインフラ装置との接続に用いる回線を提供する無線基地局設置場所提供者との間のビジネス形態であって、移動通信事業者はそのサービスエリアを拡大し、無線基地局設置場所提供者が占有する地域に設置した基地局装置がカバーするエリア内において在圏し通信を行ったユーザ端末の通信料の一部を無線基地局設置場所提供者に対し支払うことを特徴とする。
【0057】
本ビジネス形態として、1)無線基地局設置場所提供者が移動通信事業者またはそれに関連する仲介者に対し基地局装置設置を申し出る、2)移動通信事業者又はそれに関連する仲介者が無線基地局設置場所提供者に対し基地局装置設置を申し出る、3)両者に関連しない第三者の仲介者が該地区において移動通信サービスを実施するための施設提供を両者に対して申し出る、ことが考えられる。
【0058】
1)のケースにおいて、無線基地局設置場所提供者は自身の所有する地域付近で予想されるユーザ端末の一時的あるいは恒久的分布を想定し、そのユーザ端末による呼生成による歳入見込みを評価し、基地局装置を借用する事の利益を算出し、基地局装置の借用/設置を決定する。なお、基地局装置及びその付属装置は無線基地局設置場所提供者の所有するものであっても良いが、移動通信事業者の形式是認を受けたものである必要がある。また、移動通信事業者はそのエリアにおける端末ユーザの無線回線容量上の収容数を無線基地局設置場所提供者に助言しても良い。この場合の契約形態の例として、移動通信事業者は端末ユーザの生起呼数ないし転送情報量に応じた歳入の一部を無線基地局設置場所提供者に供与することを前提とし、無線基地局設置場所提供者が無線基地局装置を駆動するために要した電力量、無線基地局設置工事に伴う諸経費等の負担に関しては当事者間で調整することとしても良い。なお、新たな無線基地局設置に伴い生じ得る隣接基地局のカバレッジエリアの変更は移動通信事業者が行い得るが、自律的にエリア形成が行われる無線方式の場合はこの限りではない。
【0059】
2)のケースにおいて、移動通信事業者は自身のシステムがカバーするエリア内で予想されるユーザ端末の一時的あるいは恒久的分布を想定し、そのユーザ端末による呼生成による歳入見込みを評価し、基地局装置を設置する事による利益を算出し、あるいは自身のシステムがカバーするエリアを拡大することによって得られる端末ユーザの増加見込みを想定し、特定のエリアに対する基地局装置の設置を決定する。その後、端末ユーザに対する移動通信サービスを提供するために必要な基地局装置を設置する一つ又は複数の無線基地局設置場所提供者を選定し、個々に対し交渉を行う。この場合の契約形態の例として、移動通信事業者は端末ユーザの生起呼数ないし転送情報量に応じた歳入の一部を無線基地局設置場所提供者に供与することを前提とし、無線基地局設置場所提供者が無線基地局装置を駆動するために要した電力量、無線基地局設置工事に伴う諸経費等の負担に関しては当事者間で調整することとしても良い。なお、新たな無線基地局設置に伴い生じ得る隣接基地局のカバレッジエリアの変更は移動通信事業者が行い得るが、自律的にエリア形成が行われる無線方式の場合はこの限りではない。
【0060】
3)のケースにおいて、両者に関連しない第三者の仲介者は、例えば自身が主催する催行行事の開催に際し、集合する参加者に対して移動通信サービスの需要が見込まれることを予想し、その参加者に対して移動通信サービスを許可し、そのサービス提供に応じて収入を得ようと企画する。この際、その仲介者は移動通信事業者に対し、移動通信サービスの提供を行い得るか否かの調査ないし許可を打診し、無線基地局設置場所提供者に対して無線基地局設置の可能性を打診し、参加者に対する移動通信サービスが提供できるか否かを判断する。あるいはその仲介者が自身の主催する催行行事の開催場所で無線基地局を設置する場合には、移動通信事業者と無線基地局の間を接続する回線のみを提供する移動通信インフラ装置へ接続する回線提供者という形態でも良い。この場合の契約形態の例として、その仲介者は移動通信事業者より端末ユーザの生起呼数ないし転送情報量に応じた歳入の一部を得る事とし、無線基地局設置場所提供者に対して同歳入の一部を供与することを前提とし、無線基地局設置場所提供者が無線基地局装置を駆動するために要した電力量、無線基地局設置工事に伴う諸経費等の負担に関しては当事者間で調整することとしても良い。なお、新たな無線基地局設置に伴い生じ得る隣接基地局のカバレッジエリアの変更は移動通信事業者が行い得るが、自律的にエリア形成が行われる無線方式の場合はこの限りではない。
【0061】
次に移動通信事業者、無線基地局設置場所提供者および移動通信インフラ装置へ接続する回線提供者という観点で課金分割を考える。端末ユーザに対し移動通信サービスを実現する上で必要な施設として、三者の資産が必要である。このために必要な施設は、公衆網/私設網への接続機能、ユーザ端末との接続機能である。移動通信事業者、無線基地局設置場所提供者、移動通信インフラ装置へ接続する回線提供者それぞれが前述の機能を分担しており、端末ユーザが享受した移動通信サービスに応じて支払われた(支払われるであろう)費用が、それら三者に分配されるべきである。このとき、移動通信事業者によって移動通信事業者以外の二者に与えられたビジネス機会(いわゆる胴元に対する謝礼)の観点、及び移動通信事業者による端末ユーザ拡大戦略に対し移動通信事業者以外の二者が行った貢献も考慮されるべきである。
【0062】
課金分離の手段として、端末ユーザ毎に呼の開始と終了時刻の検出/記憶手段、端末ユーザ毎に端末ユーザが受信/端末ユーザへ送信されたデータの情報量の検出/記憶手段、端末ユーザ毎に端末ユーザが行った移動通信サービスの検出/記憶手段、その他端末ユーザのアクティビティに関して要した処理の検出/記憶手段等を、移動通信事業者、無線基地局設置場所提供者、移動通信インフラ装置へ接続する回線提供者が、それぞれの所有あるいは貸与を受けている装置において有しており、ある一定期間にわたって収集された情報を集計する。本情報は、簡略のため移動通信事業者のみにおいて収集され、移動通信事業者以外が収集されないものであっても良い。
【0063】
移動通信事業者は端末ユーザが支払うべき通信料金を算出した時点で、端末ユーザの通信場所、通信時間等の記録に基づいて、その端末ユーザが無線基地局設置場所提供者、移動通信インフラ装置へ接続する回線提供者の施設供与を受けて移動通信サービスを行ったことを認識し、無線基地局設置場所提供者、回線提供者に対する対価を支払うべきと判断する。この情報は、別途無線基地局設置場所提供者、回線提供者の装置内で算出された値と照合されてもよい。ここで予め移動通信業者と無線基地局設置場所提供者、移動通信インフラ装置へ接続する回線提供者との間で交わされた契約条項に準じて無線基地局設置場所提供者、回線提供者に支払う対価を算出する。
【0064】
なお、本通知はある一定区間ではなく、端末ユーザの呼が終了あるいは移動通信サービスが終了した時点で、即時に無線基地局設置場所提供者および回線提供者に対して通知あるいは支払い決済を行う方式であっても良い。あるいは端末ユーザの呼が継続している間に、それまでの累積料金を通知/支払い決済を行う方式であっても良い。
【0065】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、移動端末ユーザの分布状態が一時的に変化する場合であっても、移動端末ユーザが移動通信サービスを受けられる可能性が増加する。これによって移動端末ユーザは移動通信サービスを受けると言う利便性を享受でき、移動通信事業者はその歳入を増加させることができる。
【0066】
また移動通信事業者は、恒久的に比較的多量のユーザ呼量が見込める場所にのみ設置コストが高い基地局を配置し、それ以外の定常的に少ない呼量が期待される場所あるいは非恒久的に高い呼量が見込めない場所における基地局設置コストを適合的に低減させることができる。
【0067】
また、無線基地局設置場所提供者として当該移動通信事業者以外の移動通信事業者とすることにより、当該移動通信事業者以外の移動通信事業者のサービスエリア内において当該移動通信事業者のユーザが移動通信サービスを享受することが出来ることになり、この関係を当該移動通信事業者と当該移動通信事業者以外の移動通信事業者とで置き換えることにより互いのエリアを拡大することに寄与でき、それぞれのユーザがより広いサービスエリアで移動通信サービスを享受することが出来、ユーザの利便性が向上する。
【0068】
更に通信事業者のインフラ装置と基地局装置間を接続する回線網として、通信事業者が所有する施設でなく基地局設置場所を占有する契約者の施設を借用できるので、資産管理運用上、流動資産として活用でき、ユーザ端末の分布状況の変化に応じて適合的な基地局設置コストを実現できる。
【0069】
また、災害時の緊急通信用等として用いられていた衛星リンクを用いる大掛かりな装置を用いていないため、基地局装置の設置コストも少なくなる。
【0070】
更に臨時的な基地局設置に際し、基地局設置場所提供者に対し基地局設置量に応じた対価を支払う仕組みを導入したので、その基地局設置場所提供者が基地局設置場所を積極的に提供する動機を与えることとなり、基地局設置場所の確保に要する労苦を軽減することが出来る。その結果、移動通信事業者の加入ユーザが使用できるエリアが拡大し、その事業者の歳入を増加させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の移動通信事業者のみが移動通信サービスを提供する説明図である。
【図2】移動通信事業者のサービスエリア内で無線基地局設置場所提供者が移動通信サービスを提供する説明図である。
【図3】移動通信事業者のサービスエリア外で無線基地局設置場所提供者が移動通信サービスを提供する説明図である。
【図4】端末ユーザの通信料金情報を計測及び収集する仕組みの説明図である。
【図5】端末ユーザのデータ転送と端末ユーザ情報計測値の転送を独立の回線で行う場合の説明図である。
【図6】複数の無線基地局設置場所提供者による端末ユーザのデータ転送と端末ユーザ情報計測値の転送の説明図である。
【図7】無線通信容量が足りない場合に、多くの端末ユーザに移動通信サービスを提供する説明図である。
【図8】端末ユーザが異なる所有者の基地局装置エリア間に跨って移動した場合の説明図である。
【図9】端末ユーザが異なる所有者の基地局装置エリア間に跨って移動した場合の説明図である。
【図10】端末ユーザが異なる所有者の基地局装置エリア間に跨って移動した場合の通信料金計算法の説明図である。
【符号の説明】
101,102 移動通信サービスエリア
201〜214 端末ユーザ
301〜302 移動通信事業者の所有する無線基地局装置
311〜314 無線基地局設置場所提供者が設置した無線基地局装置
321〜323 無線基地局設置場所提供者の施設
331〜333 無線基地局設置場所提供者の端末ユーザデータ転送装置
341〜343 無線基地局設置場所提供者の端末ユーザ情報計測装置
401 移動通信事業者インフラ装置
431〜433 移動通信事業者の端末ユーザデータ転送装置
441〜443 移動通信事業者の端末ユーザ情報計測装置
501 端末ユーザ料金計算センタ
541 端末ユーザ料金算出装置
【発明の属する技術分野】
本発明は、移動通信事業者のサービスエリア内又は外で、移動通信事業者以外の者によって無線基地局装置を設置して端末ユーザに移動通信サービスを提供する移動通信システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、移動通信事業者が移動通信システム事業を行う際、サービスエリア内におけるユーザ端末の分布状態の予測を行い、その予測結果に基づき長期的視野に立って基地局配置を設計する。
【0003】
図1は、移動通信事業者によって移動通信サービスが提供されている状況を例示している。本図において移動通信事業者は、自身の所有する無線基地局装置301又は302によって移動通信サービスを提供するエリアを形成し、このエリアを移動通信事業者によるサービスエリア101と呼ぶ。本サービスエリア内において端末ユーザ201〜203は、移動通信事業者の提供する移動通信サービスを享受できる。端末ユーザ201〜203は、移動通信インフラ装置401の介在によって端末ユーザと他の端末ユーザ又は公衆網あるいは私設網他と接続することによって移動通信サービス等を実現できる。移動通信事業者の提供するサービスエリアは、一般に予測し得る端末ユーザの分布及び移動通信サービスの要求と無線基地局設置コストに鑑みて行われるものであり、無線基地局設置コストの観点に立てば定常的に端末ユーザが在圏し、かつ多くの呼量が見込める場所に無線基地局を設置する事が得策である。
【0004】
しかし、アンテナから放射される電波は建造物等がない環境においては一様に拡散するが、特に都市部の様に高密度に且つ複雑に建造物が存在する環境においてはアンテナから放射される電波は一様に拡散する保証がない。その結果、部分的な不感地が存在することになる。この様な不感地を全てカバーするように無線基地局を配置することは、無線基地局の設置場所の確保、無線基地局までの専用回線の確保等費用を要することとなり、結果的に必要最小限と判断される無線基地局のみを設置することとなる。この観点から図1の基地局配置が移動通信事業者によって成される。
【0005】
ここで、移動通信事業者の設置した無線基地局配置によってある地域では定常的にカバーできないエリアが存在し、且つその場所に移動通信事業者の無線基地局を設置する上で困難な状況があった場合(これは例えば移動通信事業者のインフラ装置への回線敷設が困難であったり、あるいは移動通信事業者のアンテナ装置を設置する場所を買収できない場合等を例に挙げることが出来る)を想定する。また、ある地域で一時的に端末ユーザが集まり、その場所で端末ユーザに対し移動通信サービスを提供することが端末ユーザに対する要望に応え、さらに移動通信サービスの提供によって歳入を増加させることが可能であると予想される場合があったとする。
【0006】
この場合、移動可能な基地局をサービスエリア内外に配置し、移動機と通信を行う移動通信方式がある(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開昭62−163430号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ユーザ端末の分布に伴う呼の生成分布は時間経過に伴って変動し得るものであり、当初設置された基地局配置によってカバー不可能なユーザ呼量が発生した場合、ユーザ端末は移動通信サービスを受けられなくなる現象が生じる。これは一時的あるいは恒久的な基地局資源の不足と言える。
【0009】
一方、設置された基地局が有する無線容量に満たないユーザ呼量しか生じない場合、ユーザ端末が移動通信サービスを受けられなくなる事は少なくなるものの、基地局装置の能力を十分に活用できないという現象が生じる。これは一時的あるいは恒久的な基地局資源の過剰配置と言える。
【0010】
ユーザ端末の分布に伴う呼量あるいは密度の時間的変化は様々な時間スケール及び地理的範囲において生じ得る。即ち時間的変動として日変動、週変動、季節あるいは年変動及び突発的変動、また地理的変動としてオフィス街、歓楽街、住宅街、行楽地等を挙げる事ができる。日変動は一日の中で生じる変動であり、例えば呼の分布は昼間においてオフィス街が高く、夕暮れ以降に歓楽街が高く、深夜においては低くなる。また週変動は非休日においてオフィス街が高く、休日において歓楽街、行楽地が高くなる。また季節変動として季節性の高い行楽地として海辺等では夏季に高く、スキー場等では冬季に高い。この様に時間的あるいは空間的に変化しうるユーザ端末の分布状態をカバーしつつ、それぞれのユーザ端末が移動通信サービスを十分な余裕を持って享受できるような基地局等を動的且つ適合的に配置する事は、無線基地局及び回線装置等の移動通信事業者のインフラ装置とした場合に困難である。
【0011】
さらに、端末ユーザの通信形態としては、移動通信事業者の所有する無線基地局装置エリア内において生起し、同移動通信事業者の所有する無線基地局装置内において終了、移動通信事業者以外の者によって提供される施設に無線基地局装置エリア内において生起し、移動通信事業者以外の者によって提供される施設に無線基地局装置エリア内において終了する場合がある。
【0012】
また、移動通信事業者の所有する無線基地局装置エリア内において生起し、移動通信事業者以外の者によって提供される施設の無線基地局装置エリア内において終了或いはその逆の場合もある。更に端末ユーザの移動に応じて通信の生起後に移動通信事業者の所有する無線基地局装置エリア内と移動通信事業者以外の者によって提供される施設の無線基地局装置エリア内の間を行き来して通信を継続する場合もある。
【0013】
そこで本発明は、移動通信事業者のサービスエリアの一部又はそれ以外のエリアで、移動通信事業者以外の者によって提供される施設に無線基地局装置を設置して端末ユーザに移動通信サービスを提供し、その対価を施設提供者に還元する移動通信システム及びその基地局装置設置方法を提供することを目的とする。
【0014】
さらに本発明は、端末ユーザの通信に寄与した無線基地局装置のそれぞれの所有者に対して、端末ユーザの通信料金を計測および算出することができる仕組みを提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上述の課題を解決するため、本発明は、移動通信事業者のサービスエリア内又は外に設置され、ユーザ端末と無線回線による通信を行う無線基地局装置と、この無線基地局装置と移動通信システム交換網との間のデータ送受信を行う端末ユーザデータ転送装置と、この端末ユーザデータ転送装置で送受信されるデータ量を計測する端末ユーザ情報計測装置と、端末ユーザ料金算出装置とを備え、前記端末ユーザ情報計測装置によって計測された値を前記端末ユーザ料金算出装置に転送して、端末ユーザ毎の通信料金を算出することを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。以下の説明で、移動通信事業者の所有する移動通信システムのインフラ装置は、移動通信システム交換網の一部であり、基地局を介して端末ユーザの要求に従い公衆回線網あるいは同回線網を経て私設回線網に接続あるいは同網から端末に接続する機能を有する。無線基地局設置場所提供者が所有する場所及び施設に設置する基地局装置は、上記インフラ装置に接続するための公衆あるいは私設回線への接続機能を有し、ユーザ端末との無線回線接続機能を有する。
【0017】
図2は、移動通信事業者のサービスエリア内に、移動通信事業者以外の施設を用いて端末ユーザに対して移動通信サービスを提供する場合のシステム構成例を示す。本図において移動通信事業者のサービスエリア内に移動通信事業者の無線基地局301,302以外に無線基地局設置場所提供者の施設321を経て無線基地局311を設置する。
【0018】
本図において移動通信事業者の所有する無線基地局301及び302によるサービスエリアに加え、無線基地局設置場所提供者の占有する地域に無線基地局311を設置しサービスエリアの拡張あるいは端末ユーザへの移動通信サービス提供の増加を期するものである。この場合、移動通信事業者は自身の所有する無線基地局によるサービス可能エリアを設計し、運用する技術的ノウハウあるいはツールを有し、無線基地局設置場所提供者の占有する地域に新たな無線基地局を設置した場合に、自身によって設置してある無線基地局のカバレッジエリアに対する影響、及び無線基地局設置場所提供者が占有する地域に設置される無線基地局による移動通信サービスの増加量を予測するノウハウあるいはツールを持っていると考えてよい。このノウハウ及びツールによって移動通信事業者は、無線基地局設置場所提供者に対し無線基地局設置に伴う経営戦略を助言する事と、基地局設置等の工事によって端末ユーザへの移動通信サービス提供料に加えた歳入を見込める事となる。
【0019】
また無線基地局設置場所提供者は、無線基地局増設に伴って生じた端末ユーザへの移動通信サービス提供の対価を移動通信事業者と分配することにより、歳入を見込めることとなる。これらの結果に基づき、移動通信事業者と無線基地局設置場所提供者は、新たな無線基地局設置において得られる端末ユーザの移動通信サービス料金を分配する契約を締結する。
【0020】
図2に示す例として、移動通信事業者が想定するサービスエリア101の内部において、移動通信事業者の所有する無線基地局装置の一部であるアンテナ装置によって部分的にカバーできないエリアが存在し得る。これは電波伝播的理由によって例えば建造物等の陰に当たる部分をカバーできないエリアを例にあげることができる。この部分をカバーするために移動通信事業者の施設を増設することは資金的あるいは場所確保と言う観点から設置が困難である場合を想定し、この場合に移動通信事業者が無線基地局設置場所提供者にその設置を申し出るか、あるいは無線基地局設置場所提供者からの申し出によってサービスエリアを補完するという目的で行う。
【0021】
また、無線基地局設置場所提供者として当該移動通信事業者以外の通信事業者としてもよい。この様にする事によって当該移動通信事業者以外の通信事業者のサービスエリア内において当該移動通信事業者のユーザが移動通信サービスを享受することが出来ることになり、この関係を当該移動通信事業者と当該移動通信事業者以外の移動通信事業者とで置き換えることにより互いのエリアを安価に拡大することに寄与できる。その理由は当該移動通信事業者及び当該移動通信事業者以外の移動通信事業者は、基地局設置のために異なる戦略と投資を行うことがあるので、地理的に互いに補完関係が生ずることがあり、その結果それぞれのユーザがより広いサービスエリアで移動通信サービスを享受することが出来、ユーザの利便性が向上する。
【0022】
同様に、ある地域において移動通信事業者の想定した端末ユーザの呼量を一時的に超える呼量が予測される場合、その地域における移動通信サービスを提供するために、移動通信事業者が無線基地局設置場所提供者にその設置を申し出るか、あるいは無線基地局設置場所提供者からの申し出によって無線基地局を設置し、端末ユーザへの移動通信サービスを提供する。この場合の一時的な呼量増加の要因は、例えば期間が限定された催し物(夏祭り、コンサート、集会等)を挙げることが出来る。また、何らかの原因によって単に呼量が増加した場合も含まれ得る。あるいは、スタジアム等に面した施設占有者がスタジアムに向けてアンテナを配置し、スタジアム内にいる端末ユーザに移動通信サービスを提供することも想定し得る。この時、移動通信インフラ装置へ接続する回線は、無線基地局設置場所提供者の所有するものであっても、第三者のものであってもよい。
【0023】
次に図3は、移動通信事業者のサービスエリア外に、移動通信事業者以外の施設を用いて端末ユーザに対して移動通信サービスを提供する場合のシステム構成例を示す。本図において移動通信事業者のサービスエリア外に無線基地局設置場所提供者の施設(図示せず)を経て無線基地局311を設置し、サービスエリア102を形成して端末ユーザ211に対して移動通信サービスを提供する。本図の状況においても図2のケースと同様に、移動通信事業者と無線基地局設置場所提供者は、新たな無線基地局設置において得られる端末ユーザの移動通信サービス料金を分配する契約を締結する。
【0024】
本図の状況は、移動通信事業者が有するサービスエリアと地理的に異なるエリアにおいて、端末ユーザへの移動通信サービス提供が望まれているかあるいは見込める場合、あるいは移動通信事業者が有するサービスエリアに地理的には包含されるものの建造物の状況によって既存の移動通信事業者によって設置されている無線基地局ではカバーできないかあるいは既存の移動通信業者によって設置されている無線基地局では無線通信容量的な観点から在圏する多くの端末ユーザに移動通信サービスを提供できない場合が考えられる。
【0025】
前者の場合は、例えば都市部や市街地或いは幹線道路の様な主要なサービスエリアとは離れた地域において一時的あるいは比較的長期間に亘りイベント等が催行されている場合を挙げることができる。また後者の場合は、鉄筋等電波遮蔽性能の高い構造物で覆われた建造物内に端末ユーザがいる様な私的(会社の工場内)又は公的(ホール等)場所か、あるいは一時的に極端に多くの端末ユーザが密集し得る場所(例えば野球場又は運動場等のスタジアム)の場合を挙げることができる。
【0026】
図3に示す例として、移動通信事業者が想定するサービスエリア101の内部ではあるが、施設占有者が保有する施設の構造上、移動通信事業者の無線基地局装置ではカバーできないエリアが存在し得る。これは例えば広大な敷地を有する工場の内部、鉄筋構造を有し電波を遮蔽し得る建造物の内部、あるいは通常の無線基地局アンテナの放射エリアより仰ぎ見る高い位置にある高層建造物等の内部を挙げることができる。また、前記私的又は公的なある施設内において移動通信事業者の想定した端末ユーザの呼量を一時的あるいは恒久的に超える呼量が予測される場合、その地域における移動通信サービスを提供するために、移動通信事業者が無線基地局設置場所提供者にその設置を申し出るか、あるいは無線基地局設置場所提供者からの申し出によって無線基地局を設置し、端末ユーザへの移動通信サービスを提供する。
【0027】
また、所有する無線基地局装置の一部であるアンテナ装置によって部分的にカバーできないエリアが存在し得る。この場合の呼量増加の要因は、その占有者の施設内で大人数が集合している場合を挙げることが出来、例えば野球場あるいは運動場等スタジアムの観客席を挙げることができる。この時、移動通信インフラ装置へ接続する回線は、その占有者の施設内に予め敷設してあったもの活用してもよいし、あるいは催行が行われる度に臨時に敷設されたものであってもよい。
【0028】
また、設置する無線基地局は、通信密度を高めるために端末ユーザの分布密度に応じてその電波到達距離を著しく縮小したものであることが望ましい場合がある。この場合、その占有者は自身の所有する地域内で移動通信サービスが可能であることを有利であると評価し、さらに多量の移動通信サービスの生起が見込めることを理由に端末ユーザの通信料を移動通信事業者の料金と異ならせる事も想定し得るし、また同一としてもよい。あるいは移動通信サービスの内容によって、占有者の施設内での料金を移動通信事業者のサービスエリア内での料金と異ならせる事も想定し得る。施設の例として、デパート等大規模小売店の敷地内あるいは地下街等公衆電波的に隔離された地域を想定することができる。
【0029】
従来における状況として、上記地域においては移動通信事業者が施設占有者から施設を借り受け、表面的に移動通信事業者の施設として使用することで端末ユーザの移動通信サービスを実現していた。
【0030】
本ビジネス導入に際し移動通信事業者の提供し得るサービスとして、以下の例が考えられる。移動通信事業者は実際に移動通信サービスを実施しているという事情により、想定する端末ユーザのサービスエリア内の無線基地局配置業務に精通していることが想定されるため、無線基地局を設置することによる既存無線基地局によって既にカバーされているサービスエリアへの電波伝播的影響を、設置場所が特定した後に現地に赴き実際の測定を行う、あるいは既に保有している情報によって予測することが出来る。この予測に基づき適切な無線基地局を選定し、想定される端末ユーザからの受付呼量の推測と、それによる無線基地局設置場所提供者の歳入の見込みを無線基地局設置場所提供者に示唆することが出来る。これらの活動により無線基地局の設置工事、貸与する無線基地局の貸与料金等を加味した総合的なビジネス提案を行う事ができる。なお、本提案は移動通信事業者と異なる経営事情を有する代理人が行う事もあり得る。
【0031】
次に、移動通信事業者と無線基地局設置場所提供者において、端末ユーザの通信料金情報を計測ないし収集する仕組みを説明する。図4は、移動通信事業者と無線基地局設置場所提供者において、端末ユーザの通信料金情報を計測及び収集する仕組みを例示する一実施例である。本図は図2に示すケースにおけるサービス形態において、無線基地局設置場所提供者が端末ユーザに対する通信料金情報を収集する仕組みを示している。
【0032】
図4において、無線基地局装置311は無線基地局設置場所提供者の施設321に設置され、その無線基地局装置のカバーする地域において端末ユーザ(図示せず)に対し移動通信サービスを提供するために設置されている。無線基地局装置311より受信された端末ユーザのデータは、無線基地局設置場所提供者の施設321内の無線基地局設置場所提供者の端末ユーザデータ転送装置331によって移動通信事業者インフラ装置401に転送される。移動通信事業者インフラ装置401から転送される端末ユーザへのデータは、無線基地局設置場所提供者の施設321内の無線基地局設置場所提供者の端末ユーザデータ転送装置331によって無線基地局装置311を経て端末ユーザに送信される。
【0033】
端末ユーザに対し送信あるいは端末ユーザから受信されるデータは、無線基地局設置場所提供者の端末ユーザ情報計測装置341において情報量という観点から測定され蓄積される。この計測は無線基地局装置311によって通信接続されている複数の端末ユーザ毎に行われ、それぞれの端末ごとに集計される。この情報量は、無線基地局設置場所提供者が移動通信事業者に対するデータを転送するための回線の使用料金として回線事業者に支払われるべきものであり、無線基地局設置場所提供者自身が後に移動通信事業者に対し回線使用の対価として請求すべき情報となる。あるいは無線基地局設置場所提供者の端末ユーザ情報計測装置341において、単に端末ユーザの呼が開始した時間との呼が終了した時間を記録しておいてもよい。
【0034】
一方、移動通信事業者インフラ装置401内においても無線基地局設置場所提供者の施設321と同様の装置があり、移動通信事業者の端末ユーザデータ転送装置431において端末ユーザからあるいは端末ユーザに送られるデータを無線基地局設置場所提供者の施設321に送信、あるいは受信している。更に移動通信事業者の端末ユーザ情報計測装置441によって、端末ユーザに送信あるいは端末ユーザから受信されたデータの量を計測する。本計測は、無線基地局設置場所提供者とは別個に行う事によって、移動通信事業者及び無線基地局設置場所提供者における計測値を別途評価するために行われる。無線基地局設置場所提供者の端末ユーザ情報計測装置341によって計測された値と、移動通信事業者の端末ユーザ情報計測装置441によって計測された値は、端末ユーザ料金計算センタ501に転送され、端末ユーザ料金算出装置541によって端末ユーザ毎の通信料金が収集され算出される。
【0035】
図4において、無線基地局設置場所提供者の端末ユーザ情報計測装置341によって計測された値は、移動通信事業者の施設を経て端末ユーザ料金計算センタ501に転送される形態となっている。これは無線基地局設置場所提供者の施設と移動通信事業者の施設を接続している回線を、端末ユーザのデータ転送と端末ユーザ情報計測値の転送を同一の回線で行う事を意図したものであり、この接続に限定されるものではない。
【0036】
図5は、上記の端末ユーザのデータ転送と端末ユーザ情報計測値の転送を独立の回線で行う例を示したものである。無線基地局設置場所提供者の施設321で計測及び収集された端末ユーザ情報計測値は、移動通信事業者インフラ装置401を経る事無く、端末ユーザ料金計算センタ501に転送される。本例示は、移動通信事業者と端末ユーザ料金計算センタが、異なる事業者に属するケースを想定している。
【0037】
図4及び図5は、単一の無線基地局設置場所提供者の施設と移動通信事業者の施設間で端末ユーザのデータ転送がどのように行われるか、更に端末ユーザ情報計測値がどのように端末ユーザ料金計算センタに転送されるかを例示している。
【0038】
図6は、複数の無線基地局設置場所提供者の施設321,322,323と移動通信事業者の施設401の間で端末ユーザのデータ転送がどのように行われるか、複数の無線基地局設置場所提供者の施設321,322,323と端末ユーザ料金計算センタ501との間で端末ユーザ情報計測値がどのように転送されるか、更に移動通信事業者の施設401と端末ユーザ料金計算センタ501との間で端末ユーザ情報計測値がどのように転送されるかを例示している。
【0039】
この図4、図5、図6のいずれの場合も、無線基地局設置場所提供者の施設には一つの無線基地局装置が設置されても良いし、複数の無線基地局装置が設置されても良く、端末ユーザデータ転送装置と端末ユーザ情報計測装置は、無線基地局設置場所提供者の施設内において単一の装置内に統合されていても良い。ただし、ユーザ情報がみだりに第三者である無線基地局設置場所提供者によってモニタする事が不能であるような機構を有することが望ましい。
【0040】
図7は、図3において説明した様な、既存の移動通信業者によって設置されている無線基地局では、無線通信容量的な観点から在圏する多くの端末ユーザに移動通信サービスを提供できない場合に本発明を適用する例を示す。例えば、鉄筋等電波遮蔽性能の高い構造物で覆われた建造物内に端末ユーザがいる様な私的(会社の工場内)又は公的(ホール等)場所か、あるいは一時的に極端に多くの端末ユーザが密集し得る場所(例えば野球場又は運動場等のスタジアム)の場合を挙げることができる。本ケースにおいては、その地域の中でインフラ資源としてバックボーン回線が予め敷設されている場合も想定し得るし、新たにこれを敷設することが容易である場合も想定される。この場合、無線基地局設置場所提供者の施設と移動通信インフラ装置の間で比較的高速な通信媒体を用い、更に無線基地局設置場所提供者の施設において環状あるいは芋蔓状のバックボーン回線を用い、その回線に無線基地局装置311,312,313,314を接続する事で、安価に回線を敷設することが出来る。
【0041】
上記において、移動通信インフラ装置と基地局設置場所提供者の施設間の回線の例として、ISDN(Basic Rate Interface又はPrimary Rate Interface)、ADSL、CATV、FTTH等を挙げることが出来る。
【0042】
図8及び図9は、端末ユーザが異なる所有者の基地局装置エリア間に跨って移動した場合を例示している。図8において、端末ユーザ201は移動通信事業者の所有する無線基地局装置301のエリアにおいて通信を行っており、その後破線の方向に該端末ユーザが移動することを示している。この場合、端末ユーザ201が通信を行うための機材及び施設を移動通信事業者に負っている。
【0043】
図9において、端末ユーザ201は移動通信事業者以外の者によって提供される施設の無線基地局装置エリア即ち無線基地局設置場所提供者が設置した無線基地局装置311のエリアに移動したことを示している。この場合、端末ユーザ201が通信を行うための機材及び施設の一部を移動通信事業者に、また他の部分を移動通信事業者以外の者に負っている。
【0044】
具体的には図8では、移動通信事業者の所有する無線基地局装置301、移動通信事業者インフラ装置401及び他(図示せず)を用いて端末ユーザ201の通信が提供され、図9では、無線基地局設置場所提供者の施設321に設置した無線基地局装置311、移動通信事業者インフラ装置401及び他(図示せず)を用いて端末ユーザ201の通信が提供される。
【0045】
端末ユーザ201の通信料金は、移動通信事業者の所有する無線基地局装置301のエリア内にいる限りにおいて移動通信事業者に帰属する。しかしながら、移動通信事業者の所有する無線基地局装置301のエリアから移動通信事業者以外の者によって提供される施設の無線基地局装置エリア即ち無線基地局設置場所提供者が設置した無線基地局装置311のエリアに移動した場合には、移動通信事業者以外の者に、その端末ユーザ201の通信料金が予め了承された正当な対価で支払われることが望ましい。
【0046】
図10は、端末ユーザが上記に述べた移動通信事業者の所有する無線基地局装置のエリアと、移動通信事業者以外の者によって提供される施設の無線基地局装置のエリアに跨って移動した場合の通信料金計算法を例示したものである。本図において501乃至504は、端末ユーザの通信形態が変化した時刻を示し、601乃至611は、端末ユーザに課せられる通信料金を示している。
【0047】
具体的には、時刻501において移動通信事業者所有の無線基地局装置エリアにおける端末ユーザが通信を開始し、時刻502において無線基地局設置場所提供者が設置した無線基地局装置エリアへ端末ユーザが進入即ち移動通信事業者の所有する無線基地局装置エリアから端末ユーザが脱出し、時刻503において移動通信事業者所有の無線基地局装置エリアへ端末ユーザが進入即ち無線基地局設置場所提供者が設置した無線基地局装置エリアから端末ユーザが脱出し、時刻504において移動通信事業者所有の無線基地局装置エリア内で端末ユーザが通信を終了した事を示す。
【0048】
時刻501と時刻502の間の通信料金及び時刻503と時刻504の間の通信料金は、それぞれ移動通信事業者の所有する無線基地局装置エリア内の通信料金601及び602に基づき端末ユーザに課せられ、時刻502と時刻503の間の通信料金は、無線基地局設置場所提供者が設置した無線基地局装置エリア内の通信料金611に基づき端末ユーザに課せられる事を示している。本図において、移動通信事業者の所有する無線基地局装置エリア内の通信料金601及び602の単位時間当たり料金と、無線基地局設置場所提供者が設置した無線基地局装置エリア内の通信料金611の単位時間当たり料金は、図10の601乃至611の高さが示すように異なるものであってもよく、これは各々の無線基地局を所有している移動通信事業者及び無線基地局設置場所提供者の事情を反映することを意味する。
【0049】
この場合、移動通信事業者へ課せられる料金と無線基地局設置場所提供者へ課せられる料金の一方が定常的に多いものである必要はなく、基地局設置場所に応じた事情によって適応的に変化し得るものであってもよい。あるいは、端末ユーザが認識する通信料金の観点を考慮し、移動通信事業者と無線基地局設置場所提供者が、施設設置及び維持に要する費用の差に関わらず単位時間当たりの通信料金を同一としても良い。
【0050】
上記において、移動通信事業者と基地局設置場所提供者の二者間で締結される例を示したが、この場合、移動通信事業者が自身に加入している端末ユーザへの利便性あるいは満足を充足するために、自身で無線基地局の設置場所を発見し、その場所を占有する基地局設置場所提供者と交渉する移動通信事業者主導型のビジネス開拓方式であってもよいし、あるいは基地局設置場所提供者が自身で得た情報又は予測に基づき、自身の占有する場所に無線基地局設置を行う事で利益を得られると判断し、移動通信事業者と交渉する基地局設置場所提供者主導型のビジネス開拓方式であってもよい。
【0051】
上述の説明において、契約は移動通信事業者と基地局設置場所提供者の二者間で締結される例を示したが、この両者の他に第三者が介入し、この第三者が仲介者となるケースであっても良い。この場合、仲介者は自身の調査・探索機構によって端末ユーザの分布あるいは移動通信サービスの要望を予測し、その地域において移動通信サービスを行う移動通信事業者を選定し、またその地域を占有している唯一又は複数の土地ないし施設所有者を選んで基地局設置場所提供者とし、この両者の間で契約を締結させ、契約に伴う対価を得る仲介者主導型のビジネス開拓方式であってもよい。この場合、仲介者は例えばイベント企画者又は催行者、あるいはイベント情報誌編集業者等が考えられる。
【0052】
無線基地局の設置のための具体的な場所としては、端末ユーザに対し直接的あるいは間接的に電波を照射及び受信することが可能な場所である。例えば広場、公園あるいは駅のホームに面した場所等を挙げることが出来る。また、広場あるいは公園を所有する個人ないしは自治体が、歳入増加のために行う事も考えられる。また、駅のホームにいる端末ユーザに移動通信サービスを提供するために、鉄道会社が移動通信事業者に無線基地局の設置場所を提供しても良く、この場合、良好な設置場所を確保できる可能性がある。また、地下鉄構内等においては、地上に設置されている無線基地局ではカバーする事が困難な場所でも移動通信サービスを提供することが可能となる。
【0053】
また、野球場等に面する家屋等においては指向性アンテナを野球場の外壁の窓に向け、特定の部分の端末ユーザに対して移動通信サービスを提供することもできる。また、高層建造物あるいはその一部を占有する者は、野球場のスタンドの一部又はある程度の広さをめがけて放射しても良い。
【0054】
また、野球場等スタジアムに無線基地局を設置し、その回線を確保する方法として、座席あるいは他の施設に沿って光ファイバケーブル等高速媒体の接続点を準備しておくことにより、安価に無線基地局装置の通信路を確保することも出来る。
【0055】
また、移動通信事業者のインフラ装置との接続を人工衛星の回線で確保し、航行あるいは静止中の船内、船上あるいは航空機内の端末ユーザに対して移動通信サービスを提供することもできる。また、列車の軌道敷に並行して埋没される漏洩ケーブルを用いて走行する列車と移動通信インフラ装置との接続回線を確保する事で、列車内において移動通信サービスを提供し、その提供料の一部を歳入として得ることもできる。
【0056】
以上をまとめると、本願発明は、移動通信事業者の無線基地局装置と、該無線基地局を設置する場所と無線基地局及び該移動通信事業者のインフラ装置との接続に用いる回線を提供する無線基地局設置場所提供者との間のビジネス形態であって、移動通信事業者はそのサービスエリアを拡大し、無線基地局設置場所提供者が占有する地域に設置した基地局装置がカバーするエリア内において在圏し通信を行ったユーザ端末の通信料の一部を無線基地局設置場所提供者に対し支払うことを特徴とする。
【0057】
本ビジネス形態として、1)無線基地局設置場所提供者が移動通信事業者またはそれに関連する仲介者に対し基地局装置設置を申し出る、2)移動通信事業者又はそれに関連する仲介者が無線基地局設置場所提供者に対し基地局装置設置を申し出る、3)両者に関連しない第三者の仲介者が該地区において移動通信サービスを実施するための施設提供を両者に対して申し出る、ことが考えられる。
【0058】
1)のケースにおいて、無線基地局設置場所提供者は自身の所有する地域付近で予想されるユーザ端末の一時的あるいは恒久的分布を想定し、そのユーザ端末による呼生成による歳入見込みを評価し、基地局装置を借用する事の利益を算出し、基地局装置の借用/設置を決定する。なお、基地局装置及びその付属装置は無線基地局設置場所提供者の所有するものであっても良いが、移動通信事業者の形式是認を受けたものである必要がある。また、移動通信事業者はそのエリアにおける端末ユーザの無線回線容量上の収容数を無線基地局設置場所提供者に助言しても良い。この場合の契約形態の例として、移動通信事業者は端末ユーザの生起呼数ないし転送情報量に応じた歳入の一部を無線基地局設置場所提供者に供与することを前提とし、無線基地局設置場所提供者が無線基地局装置を駆動するために要した電力量、無線基地局設置工事に伴う諸経費等の負担に関しては当事者間で調整することとしても良い。なお、新たな無線基地局設置に伴い生じ得る隣接基地局のカバレッジエリアの変更は移動通信事業者が行い得るが、自律的にエリア形成が行われる無線方式の場合はこの限りではない。
【0059】
2)のケースにおいて、移動通信事業者は自身のシステムがカバーするエリア内で予想されるユーザ端末の一時的あるいは恒久的分布を想定し、そのユーザ端末による呼生成による歳入見込みを評価し、基地局装置を設置する事による利益を算出し、あるいは自身のシステムがカバーするエリアを拡大することによって得られる端末ユーザの増加見込みを想定し、特定のエリアに対する基地局装置の設置を決定する。その後、端末ユーザに対する移動通信サービスを提供するために必要な基地局装置を設置する一つ又は複数の無線基地局設置場所提供者を選定し、個々に対し交渉を行う。この場合の契約形態の例として、移動通信事業者は端末ユーザの生起呼数ないし転送情報量に応じた歳入の一部を無線基地局設置場所提供者に供与することを前提とし、無線基地局設置場所提供者が無線基地局装置を駆動するために要した電力量、無線基地局設置工事に伴う諸経費等の負担に関しては当事者間で調整することとしても良い。なお、新たな無線基地局設置に伴い生じ得る隣接基地局のカバレッジエリアの変更は移動通信事業者が行い得るが、自律的にエリア形成が行われる無線方式の場合はこの限りではない。
【0060】
3)のケースにおいて、両者に関連しない第三者の仲介者は、例えば自身が主催する催行行事の開催に際し、集合する参加者に対して移動通信サービスの需要が見込まれることを予想し、その参加者に対して移動通信サービスを許可し、そのサービス提供に応じて収入を得ようと企画する。この際、その仲介者は移動通信事業者に対し、移動通信サービスの提供を行い得るか否かの調査ないし許可を打診し、無線基地局設置場所提供者に対して無線基地局設置の可能性を打診し、参加者に対する移動通信サービスが提供できるか否かを判断する。あるいはその仲介者が自身の主催する催行行事の開催場所で無線基地局を設置する場合には、移動通信事業者と無線基地局の間を接続する回線のみを提供する移動通信インフラ装置へ接続する回線提供者という形態でも良い。この場合の契約形態の例として、その仲介者は移動通信事業者より端末ユーザの生起呼数ないし転送情報量に応じた歳入の一部を得る事とし、無線基地局設置場所提供者に対して同歳入の一部を供与することを前提とし、無線基地局設置場所提供者が無線基地局装置を駆動するために要した電力量、無線基地局設置工事に伴う諸経費等の負担に関しては当事者間で調整することとしても良い。なお、新たな無線基地局設置に伴い生じ得る隣接基地局のカバレッジエリアの変更は移動通信事業者が行い得るが、自律的にエリア形成が行われる無線方式の場合はこの限りではない。
【0061】
次に移動通信事業者、無線基地局設置場所提供者および移動通信インフラ装置へ接続する回線提供者という観点で課金分割を考える。端末ユーザに対し移動通信サービスを実現する上で必要な施設として、三者の資産が必要である。このために必要な施設は、公衆網/私設網への接続機能、ユーザ端末との接続機能である。移動通信事業者、無線基地局設置場所提供者、移動通信インフラ装置へ接続する回線提供者それぞれが前述の機能を分担しており、端末ユーザが享受した移動通信サービスに応じて支払われた(支払われるであろう)費用が、それら三者に分配されるべきである。このとき、移動通信事業者によって移動通信事業者以外の二者に与えられたビジネス機会(いわゆる胴元に対する謝礼)の観点、及び移動通信事業者による端末ユーザ拡大戦略に対し移動通信事業者以外の二者が行った貢献も考慮されるべきである。
【0062】
課金分離の手段として、端末ユーザ毎に呼の開始と終了時刻の検出/記憶手段、端末ユーザ毎に端末ユーザが受信/端末ユーザへ送信されたデータの情報量の検出/記憶手段、端末ユーザ毎に端末ユーザが行った移動通信サービスの検出/記憶手段、その他端末ユーザのアクティビティに関して要した処理の検出/記憶手段等を、移動通信事業者、無線基地局設置場所提供者、移動通信インフラ装置へ接続する回線提供者が、それぞれの所有あるいは貸与を受けている装置において有しており、ある一定期間にわたって収集された情報を集計する。本情報は、簡略のため移動通信事業者のみにおいて収集され、移動通信事業者以外が収集されないものであっても良い。
【0063】
移動通信事業者は端末ユーザが支払うべき通信料金を算出した時点で、端末ユーザの通信場所、通信時間等の記録に基づいて、その端末ユーザが無線基地局設置場所提供者、移動通信インフラ装置へ接続する回線提供者の施設供与を受けて移動通信サービスを行ったことを認識し、無線基地局設置場所提供者、回線提供者に対する対価を支払うべきと判断する。この情報は、別途無線基地局設置場所提供者、回線提供者の装置内で算出された値と照合されてもよい。ここで予め移動通信業者と無線基地局設置場所提供者、移動通信インフラ装置へ接続する回線提供者との間で交わされた契約条項に準じて無線基地局設置場所提供者、回線提供者に支払う対価を算出する。
【0064】
なお、本通知はある一定区間ではなく、端末ユーザの呼が終了あるいは移動通信サービスが終了した時点で、即時に無線基地局設置場所提供者および回線提供者に対して通知あるいは支払い決済を行う方式であっても良い。あるいは端末ユーザの呼が継続している間に、それまでの累積料金を通知/支払い決済を行う方式であっても良い。
【0065】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、移動端末ユーザの分布状態が一時的に変化する場合であっても、移動端末ユーザが移動通信サービスを受けられる可能性が増加する。これによって移動端末ユーザは移動通信サービスを受けると言う利便性を享受でき、移動通信事業者はその歳入を増加させることができる。
【0066】
また移動通信事業者は、恒久的に比較的多量のユーザ呼量が見込める場所にのみ設置コストが高い基地局を配置し、それ以外の定常的に少ない呼量が期待される場所あるいは非恒久的に高い呼量が見込めない場所における基地局設置コストを適合的に低減させることができる。
【0067】
また、無線基地局設置場所提供者として当該移動通信事業者以外の移動通信事業者とすることにより、当該移動通信事業者以外の移動通信事業者のサービスエリア内において当該移動通信事業者のユーザが移動通信サービスを享受することが出来ることになり、この関係を当該移動通信事業者と当該移動通信事業者以外の移動通信事業者とで置き換えることにより互いのエリアを拡大することに寄与でき、それぞれのユーザがより広いサービスエリアで移動通信サービスを享受することが出来、ユーザの利便性が向上する。
【0068】
更に通信事業者のインフラ装置と基地局装置間を接続する回線網として、通信事業者が所有する施設でなく基地局設置場所を占有する契約者の施設を借用できるので、資産管理運用上、流動資産として活用でき、ユーザ端末の分布状況の変化に応じて適合的な基地局設置コストを実現できる。
【0069】
また、災害時の緊急通信用等として用いられていた衛星リンクを用いる大掛かりな装置を用いていないため、基地局装置の設置コストも少なくなる。
【0070】
更に臨時的な基地局設置に際し、基地局設置場所提供者に対し基地局設置量に応じた対価を支払う仕組みを導入したので、その基地局設置場所提供者が基地局設置場所を積極的に提供する動機を与えることとなり、基地局設置場所の確保に要する労苦を軽減することが出来る。その結果、移動通信事業者の加入ユーザが使用できるエリアが拡大し、その事業者の歳入を増加させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の移動通信事業者のみが移動通信サービスを提供する説明図である。
【図2】移動通信事業者のサービスエリア内で無線基地局設置場所提供者が移動通信サービスを提供する説明図である。
【図3】移動通信事業者のサービスエリア外で無線基地局設置場所提供者が移動通信サービスを提供する説明図である。
【図4】端末ユーザの通信料金情報を計測及び収集する仕組みの説明図である。
【図5】端末ユーザのデータ転送と端末ユーザ情報計測値の転送を独立の回線で行う場合の説明図である。
【図6】複数の無線基地局設置場所提供者による端末ユーザのデータ転送と端末ユーザ情報計測値の転送の説明図である。
【図7】無線通信容量が足りない場合に、多くの端末ユーザに移動通信サービスを提供する説明図である。
【図8】端末ユーザが異なる所有者の基地局装置エリア間に跨って移動した場合の説明図である。
【図9】端末ユーザが異なる所有者の基地局装置エリア間に跨って移動した場合の説明図である。
【図10】端末ユーザが異なる所有者の基地局装置エリア間に跨って移動した場合の通信料金計算法の説明図である。
【符号の説明】
101,102 移動通信サービスエリア
201〜214 端末ユーザ
301〜302 移動通信事業者の所有する無線基地局装置
311〜314 無線基地局設置場所提供者が設置した無線基地局装置
321〜323 無線基地局設置場所提供者の施設
331〜333 無線基地局設置場所提供者の端末ユーザデータ転送装置
341〜343 無線基地局設置場所提供者の端末ユーザ情報計測装置
401 移動通信事業者インフラ装置
431〜433 移動通信事業者の端末ユーザデータ転送装置
441〜443 移動通信事業者の端末ユーザ情報計測装置
501 端末ユーザ料金計算センタ
541 端末ユーザ料金算出装置
Claims (8)
- 移動通信事業者のサービスエリア内又は外に設置され、ユーザ端末と無線回線による通信を行う無線基地局装置と、
この無線基地局装置と移動通信システム交換網との間のデータ送受信を行う端末ユーザデータ転送装置と、
この端末ユーザデータ転送装置で送受信されるデータ量を計測する端末ユーザ情報計測装置とを備えることを特徴とする移動通信システム。 - 端末ユーザ料金算出装置を更に備え、
前記端末ユーザ情報計測装置によって計測された値を前記端末ユーザ料金算出装置に転送して、端末ユーザ毎の通信料金を算出することを特徴とする請求項1記載の移動通信システム。 - 端末ユーザデータ転送装置のデータ転送と、前記端末ユーザ情報計測装置によって計測された値の前記端末ユーザ料金算出装置への転送とを、別の回線で行うことを特徴とする請求項2記載の移動通信システム。
- 端末ユーザの移動に応じて該端末の通信が、移動通信事業者に帰属する無線基地局装置のエリアと、前記移動通信事業者に帰属しない無線基地局装置のエリアに跨ってなされた場合に、
前記端末ユーザ料金算出装置は、前記端末ユーザの通信料金を各無線基地局装置の設置者毎に分割して算出することを特徴とする請求項2又は3記載の移動通信システム。 - 移動通信事業者のサービスエリア内又は外に無線基地局装置を設置して、ユーザ端末と無線回線による通信を行い、
端末ユーザデータ転送装置によって、前記無線基地局装置と移動通信システム交換網との間のデータ送受信を行い、
端末ユーザ情報計測装置によって、前記端末ユーザデータ転送装置で送受信されるデータ量を計測することを特徴とする移動通信システムの基地局装置設置方法。 - 前記端末ユーザ情報計測装置によって計測された値を端末ユーザ料金算出装置に転送して、端末ユーザ毎の通信料金を算出することを特徴とする請求項5記載の移動通信システムの基地局装置設置方法。
- 端末ユーザデータ転送装置のデータ転送と、前記端末ユーザ情報計測装置によって計測された値の前記端末ユーザ料金算出装置への転送とを、別の回線で行うことを特徴とする請求項6記載の移動通信システムの基地局装置設置方法。
- 端末ユーザの移動に応じて該端末の通信が、移動通信事業者に帰属する無線基地局装置のエリアと、前記移動通信事業者に帰属しない無線基地局装置のエリアに跨ってなされた場合に、前記端末ユーザの通信料金を各無線基地局装置の設置者毎に分割して算出することを特徴とする請求項6又は7記載の移動通信システムの基地局装置設置方法。
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