JP2004240275A - レーザ走査装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】レーザ走査装置の走査タイミング調整を行うための受光素子における受光タイミングの調整及び再調整を容易に、しかも高精度に行うことを可能にする。
【解決手段】レーザダイオード11のレーザ光を偏向走査手段で偏向して感光体に走査する一方、走査されるレーザ光をフォトダイオード12で受光してレーザ光の走査タイミング信号を得るようにし、レーザダイオード11とフォトダイオード12とを同一の回路基板10上に一体に搭載したレーザ走査装置において、回路基板10をレーザダイオード11の光軸を中心にして回動可能に構成し、回路基板10の回動によりフォトダイオード12をレーザ光の走査方向に沿って位置変化可能とする。回路基板10を回動調整し、レーザダイオード11の光軸を変位させることなくフォトダイオード12のみをレーザ光の走査方向に位置調整して受光タイミングの微細な調整を容易に高い精度で行う。
【選択図】 図2
【解決手段】レーザダイオード11のレーザ光を偏向走査手段で偏向して感光体に走査する一方、走査されるレーザ光をフォトダイオード12で受光してレーザ光の走査タイミング信号を得るようにし、レーザダイオード11とフォトダイオード12とを同一の回路基板10上に一体に搭載したレーザ走査装置において、回路基板10をレーザダイオード11の光軸を中心にして回動可能に構成し、回路基板10の回動によりフォトダイオード12をレーザ光の走査方向に沿って位置変化可能とする。回路基板10を回動調整し、レーザダイオード11の光軸を変位させることなくフォトダイオード12のみをレーザ光の走査方向に位置調整して受光タイミングの微細な調整を容易に高い精度で行う。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はレーザ光を走査して画像形成を行うレーザ走査装置に関し、特に感光体に対するレーザ光の走査タイミングをとるための受光素子をレーザ光源と一体に同一基板上に構成したレーザ走査装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
レーザ光を感光体に走査して画像形成を行うレーザ走査装置では、正確な画像を形成するために感光体に対するレーザ光の描画開始位置、すなわち走査タイミングを制御する必要がある。この走査タイミングの制御を行うために、従来では走査されるレーザ光の一部を受光素子により受光し、この受光タイミングに基づいて走査タイミングの制御を行っている。例えば、図9は特許文献1に記載されたレーザ走査装置の概略図であり、レーザダイオード等で構成されるレーザ光源11から出射されるレーザ光LBを感光ドラム4の回転軸方向に主走査するとともに、感光ドラム4を回転軸回りに回動して副走査を行うことにより画像形成を行うものである。このレーザ走査装置では、レーザ光源11から出射されたレーザ光LBは高速回転するポリゴンミラー2によって主走査方向に偏向され、この偏向されたレーザ光をfθレンズ3によって等速状態で感光ドラム4に走査させる。また、偏向されたレーザ光LBを感光ドラム4に対して走査する領域以外の位置において反射ミラー5により反射し、この反射されたレーザ光をフォトダイオード等で構成される受光素子12で受光する。そして、この受光素子12でレーザ光を受光する受光タイミングに基づいて前記感光ドラム4に対するレーザ光の主走査の走査タイミングの制御を行っている。
【0003】
【特許文献1】実開平4−9012号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、特許文献1のレーザ走査装置では、レーザ光源と受光素子とを同一基板10Aに装着することで、これらレーザ光源11と受光素子12をレーザ走査装置に組み付ける際の作業を容易化している。特に、レーザ光源や受光素子に接続される電気配線や電子部品を同一基板10Aに一体化させることで、組み立ての自動化や部品点数の削減を図る上でも有利になる。また、このように同一基板にレーザ光源と受光素子とを一体化することで、両者の相対位置を高精度に設定でき、これらをレーザ走査装置に組み付ける際の位置精度を高めることも可能になる。しかしその一方で、このようにレーザ光源11と受光素子12を同一基板10Aにそれぞれ固定的に装着すると、走査タイミングと密接な関係のある受光タイミングの調整が困難になるという問題がある。すなわち、受光タイミングを調整するためにはレーザ光LBに対する受光素子12の位置を調整する必要があるが、その一方でレーザ光源11はレーザ走査装置内において固定的に装着されるため、このレーザ光源11と共に同一基板10A上に組み付けられている受光素子12を位置調整することはできなくなる。
【0005】
このようなレーザ走査装置においては、反射ミラー5の反射面角度を調整することで、レーザ光LBに対する受光素子12の実質的な受光位置を変化し、受光タイミングの調整を行う技術が採用されている。しかし、この調整技術では、反射ミラー5と受光素子12との間の光路長が長い場合には、反射ミラー5の微小な角度変化によっても受光素子12での受光タイミングが大きく変化されてしまうため、受光タイミングを微細に調整する場合には反射ミラー5の角度調整を数桁以上の精度で微細に調整する必要があり、調整作業が極めて困難になるという問題がある。これは、レーザ走査装置に加えられる振動、衝撃等の外力や、経時的な変化等によって反射ミラーの角度にずれが生じたような場合における同期受光素子での受光タイミングの再調整においても同様に調整が困難になるという問題がある。なお、このような調整精度を緩和するために反射ミラー5を受光素子12の近傍に配置することも考えられるが、受光素子12の近傍にはレーザ光源11やその他の構成要素が配置されること、またレーザ光LBを受光素子12で受光するタイミングをレーザ光の走査の直前に行っていること等の理由から実現することは困難である。
【0006】
本発明の目的は、受光素子における受光タイミングの調整及び再調整を容易に、しかも高精度に行うことを可能にしたレーザ走査装置を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、レーザ光を発光するレーザ光源と、レーザ光を偏向して感光体に対して走査する偏向走査手段と、偏向走査されるレーザ光を受光してレーザ光の走査タイミング調整を行うための受光素子とを備え、レーザ光源と受光素子とを同一基板上に一体に搭載したレーザ走査装置において、当該基板をレーザ光源の光軸を中心にして回動可能に構成し、その基板の回動により受光素子をレーザ光の走査方向に沿って位置変化可能に構成したことを特徴とする。
【0008】
本発明では、前記各構成要素は次のように構成されることが好ましい。基板は受光素子の回動軌跡の接線がレーザ光の走査方向と一致する位置に受光素子を搭載する。偏向走査手段は高速回動されて前記レーザ光源からのレーザ光を反射するポリゴンミラーを備え、このポリゴンミラーで反射されたレーザ光を受光素子に向けて反射する反射手段を備える。基板はレーザ光源と受光素子とがポリゴンミラーの回動軸と平行な方向に並んだ状態でレーザ走査装置の固定部に支持されており、反射手段はレーザ光をポリゴンミラーの回転軸と平行な方向に偏向させて反射させるように構成される。レーザ光源はレーザダイオードで構成され、受光素子はフォトダイオードで構成され、それぞれに電気接続される配線パターンや電子部品を一体に搭載している同一回路基板上に搭載される。
【0009】
特に、本発明において基板を回動するための構成としては、レーザ光源は光軸を中心とする円筒状のケーシングを備え、このケーシングはレーザ走査装置の固定部に設けられた円形穴内に密接状態に内挿され、この円形穴内においてケーシングが光軸回りに回転するように基板を回動可能に構成することが好ましい。
【0010】
本発明によれば、レーザ光源と受光素子とを同一の基板に装着することで、これらレーザ光源や受光素子を個別にレーザ走査装置に組み付ける場合に比較して組み付け作業を容易化するとともに、それぞれの組み付け精度を高めることが可能になる。また、当該基板を回動調整することで、レーザ光源の光軸を変位させることなく受光素子のみをレーザ光の走査方向に位置調整して受光タイミングの微細な調整を容易にしかも高い精度で行うことが可能になる。
【0011】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1は本実施形態のレーザ走査装置の斜視構成図である。このレーザ走査装置の基本的な構成は図9に示したレーザ走査装置と同じであり、レーザ光源としてのレーザダイオード11から出射されたレーザ光LBは六角形をした多面反射鏡であるポリゴンミラー2に投射され、このポリゴンミラー2が回転軸2aの回りに水平方向に高速回転されることによってレーザ光LBは主走査方向に偏向される。この偏向されたレーザ光LBはfθレンズ3によって偏向が調整され、等速状態で感光ドラム4の回転軸4aと平行な方向に走査され、その感光面に対して主走査される。また、感光ドラム4が回転軸4aの回りに回転されることで感光面に対する副走査が行われる。さらに、偏向されたレーザ光LBが感光ドラムに対して主走査される領域以外の偏向位置に反射ミラー5が配設されており、レーザ光LBはこの反射ミラー5により反射され、受光素子としてのフォトダイオード12で受光され、走査タイミング信号を得るようになっている。ここで、前記反射ミラー5は反射面が微小角度で垂直上方に向けて傾斜されており、ポリゴンミラー2で反射され、かつfθレンズ3を透過されたレーザ光LBが幾分上方に向けて反射されるようになっている。
【0012】
前記レーザダイオード11とフォトダイオード12は同一の基板上に組み付けられて一つの光源ユニット1として構成されている。図2はこの光源ユニット1の外観斜視図、図3(a),(b)は光源ユニット1をレーザ走査装置に組み付けた状態の正面図とAA線縦断面図である。前記光源ユニット1は回路基板10上に構築されており、この回路基板10は所要の配線パターンが形成された長方形の配線回路基板として構成されており、この回路基板10に前記レーザダイオード11と前記フォトダイオード12が固定的に搭載されている。前記レーザダイオード11は円筒状をしたレーザダイオードケーシング13内にコンデンサレンズ14と共に内装されており、レーザダイオード11から出射されたレーザ光がコンデンサレンズ14で平行光束のレーザ光に整形された上で前記レーザダイオードケーシング13の頂面に設けられた出射窓13aから出射されるようになっている。特に、前記レーザダイオード11は出射するレーザ光の光軸が前記レーザダイオードケーシング13の筒軸に一致する位置に内装固定される。また、前記レーザダイオード11には図には現れないモニタ用フォトダイオードが一体的に組み込まれており、このモニタ用フォトダイオードは前記レーザダイオード11から出射されるレーザ光の一部を受光し、この受光により当該レーザ光の光強度を検出してレーザダイオード11の発光出力を制御するものであるが、ここではその詳細な説明は省略する。また、前記レーザダイオードケーシング13は筒軸が前記回路基板10の表面に対して垂直方向に向けた状態で、換言すればレーザダイオード11から出射されるレーザ光の光軸が回路基板10の表面に対して垂直方向に向けられる状態で回路基板10に固定されている。
【0013】
前記フォトダイオード12は、前記レーザダイオードケーシング13に対して前記回路基板10の長手方向に所要の寸法を置いた位置において当該回路基板10の表面に固定支持されている。ここでは、前記フォトダイオード12の受光面12aは前記回路基板10の表面とほぼ平行に向けられているが、前記レーザダイオード11側に向けて微小角度で傾斜された状態で固定支持されることが好ましい。また、前記フォトダイオード12の受光面12aは、前記回路基板10の長手方向に沿う受光面長さが前記レーザ光LBの光束径よりもある程度、少なくとも2〜3倍程度は大きい寸法に形成されている。
【0014】
前記回路基板10の裏面には、前記レーザダイオード11を発光させるためのレーザ駆動回路や前記フォトダイオード12で受光して得られた信号を処理するための信号処理回路等を構成する各種電子部品15が搭載されており、それぞれ図には現れない配線パターンによって前記レーザダイオード11、フォトダイオード12に電気接続されている。さらに、回路基板10は図外の電気配線によってレーザ走査装置の外部にまで引き出され、外部の制御回路に電気接続されるが、ここではその説明は省略する。
【0015】
さらに、前記回路基板10には、前記レーザダイオード11の近傍領域と前記フォトダイオード12の近傍領域のそれぞれに、前記レーザダイオードケーシング13の筒軸、すなわちレーザ光LBの光軸を中心とした2つの円弧溝16,17が開口されている。そして、前記回路基板10は、前記レーザ走査装置に設けられて前記ポリゴンミラーに対面配置された固定壁6に対して2つの固定ネジ18,19により固定されるようになっている。前記固定壁6は前記ポリゴンミラー2の回転軸2aと平行な方向に立設されたものであり、その下部寄りの位置には前記レーザダイオードケーシング13がその周面において密接状態に内挿入可能な円形穴61が開口される。また、前記固定壁6の上部寄りの位置には前記円形穴61を中心にした円弧状に形成され前記フォトダイオード12が配置可能な円弧窓62が開口されている。さらに、前記回路基板10の2つの円弧溝16,17に対応する位置にそれぞれネジ穴63,64が開口されており、これらのネジ穴63,64には前記円弧溝16,17を挿通された前記2つの固定ネジ18,19がそれぞれ螺合可能とされている。
【0016】
以上の構成によれば、回路基板10は固定壁6の背面側からレーザダイオードケーシング13が固定壁6の円形穴61に挿通され、フォトダイオード12が固定壁6の円弧窓62内に配置された上で、2つの円弧溝16,17を挿通される2つの固定ネジ18,19が固定壁6の2つのネジ穴63,64に螺合されることによって固定壁6に固定支持される。これにより、レーザダイオードケーシング13内のレーザダイオード11から出射されたレーザ光LBはコリメータレンズ14により平行光束とされた上で出射窓13aから出射され、ポリゴンミラー2に投射される。投射されたレーザ光LBは前述のようにポリゴンミラー2で反射され、かつfθレンズ3を透過することによって偏向され、感光ドラム4の感光面に主走査される。また、感光ドラム4の軸回り方向の回転により副走査され、これにより所望の画像が描画されることになる。
【0017】
また、fθレンズ3を透過したレーザ光は、感光ドラム4に走査される直前のタイミングにおいて、図4に模式的な立面図を示すように、反射ミラー5によってレーザ光LBの主走査方向と垂直な方向に微小角度だけ上方に向けて反射され、レーザダイオード11の垂直上方に位置されているフォトダイオード12で受光される。フォトダイオード12ではレーザ光LBを受光したときの受光信号を信号処理回路に出力し、この処理回路において受光タイミング信号を生成する。この受光タイミング信号は、図5にレーザ走査装置における各信号の概略のタイミング図を示すように、レーザ走査装置に入力される/Video信号との同期をとるための/BD信号として生成されるもので、この/BD信号によって同期がとられる/Video信号に基づいて発光されるレーザダイオード11からのレーザ光LBを感光ドラム4に主走査する際の走査タイミングを取る。なお、/Enable信号はレーザ走査装置の全体の動作を制御するための信号、/APC制御信号はレーザダイオード11と一体に設けた図外のモニタ用フォトダイオードの検出出力によりレーザダイオード11の発光出力を所望の出力に制御するための信号である。
【0018】
そして、前記した走査タイミングを決定するためのフォトダイオード12における受光タイミングの調整を行う際には、回路基板10を固定壁6に固定している2つの固定ネジ18,19を緩め、回路基板10を垂直方向に微小角度で回動して回動位置を調整する。このとき2つの固定ネジ18,19はそれぞれ円弧溝16,17に対して摺動関係にあり、回路基板10の回動を可能とする。また、回路基板10はレーザダイオードケーシング13の周面が固定壁6の円形穴61内に密接状態に内装されているので、このレーザダイオードケーシング13の筒軸を中心にして回路基板10の表面と同一面内において回動される。したがって、回路基板10を回動してもレーザダイオード11は光軸回りに回動するのみであり、ポリゴンミラー2に対する光軸位置は何ら変位されることはなく、レーザ走査装置のレーザ光走査動作に何らの影響を与えることはない。
【0019】
一方、図6は回路基板10の回動によるフォトダイオード12の受光タイミング調整を説明するための模式的な正面図であり、前述のように回路基板10を回動することにより、当該回路基板10に搭載されているフォトダイオード12は円弧窓62内において円弧軌跡上を移動されることになる。すなわち、フォトダイオード12はレーザダイオード11の上部領域においてレーザダイオード11を中心とする円弧上を移動されることになり、この移動によりレーザダイオード11の直上位置から水平方向に変位された位置まで移動されることになる。この移動寸法dはレーザダイオード11とフォトダイオード12との間の寸法rと回路基板10の回動角度φとから求めることができ、d=r・sin φとなる。このとき、フォトダイオード12は受光面12aがレーザ光LBの光束径寸法に比較して大きく形成されているため、フォトダイオード12がこのように移動してレーザ光LBの主走査方向と垂直な方向にも移動された場合でもレーザ光LBが受光面12aから外れることはなく、受光が可能である。これにより、回路基板10の回動位置を調整することによってレーザ光LBの主走査方向に対するフォトダイオード12の位置を変位させることができ、フォトダイオード12による受光タイミングの調整が可能になる。また、この調整に際しては、レーザ光LBが実際にフォトダイオード12によって受光される位置で当該フォトダイオード12を移動しての調整であるため、その受光タイミングの調整精度はフォトダイオード12の移動精度に依存するものとなり、受光タイミング調整を高い精度でしかも容易に行うことが可能になる。なお、調整後は2つの固定ネジ18,19を再度締結することで、回路基板10を固定壁6に固定し、調整したフォトダイオード12の位置を保持することが可能である。
【0020】
以上のように、本実施形態のレーザ走査装置では、光源ユニット1の構成としてレーザ光源としてのレーザダイオード11と、受光タイミングを調整するためにレーザ光を受光する受光素子としてのフォトダイオード12とを同一の回路基板10に搭載していることで、これらレーザダイオード11やフォトダイオード12を個別にレーザ走査装置に組み付ける場合に比較して組み付け作業を容易化するとともに、それぞれの組み付け精度を高めることが可能になる。また、これに加えて、回路基板10を回動調整することで、レーザダイオード11の光軸を変位させることなくフォトダイオード12のみをレーザ光の主走査方向に位置調整して受光タイミングの微細な調整を容易にしかも高い精度で行うことが可能になる。
【0021】
図7は光源ユニット1における回路基板を回動するための構成の他の実施形態の背面図である。前記実施形態では2つの固定ネジ18,19を緩めた後、回路基板10を手で触れて回動させ、回動位置を決定した上で固定ネジ18,19を締結しているため、固定ネジ18,19を締結している際にも回路基板10を手で保持している必要がある。この実施形態では、固定壁6の回路基板10の一側に沿った位置に偏心カム20を軸転可能に支持しておき、この偏心カム20のカム面に回路基板10の一側縁を接触させている。また、偏心カム20と回路基板10との接触を確実なものとするために、回路基板10と固定壁6との間にスプリング21を掛装し、両者を弾接状態とさせている。また、偏心カム20の軸部20aはネジ回し等の軸によって手操作で回動可能に構成している。
【0022】
このようにすることで、回路基板10を回動する際には2つの固定ネジ18,19を緩めた後、ネジ回し等を偏心カム20の軸部20aに係合させて偏心カム20を回動する。この偏心カム20の回動によりカム面に当接している回路基板10はスプリング21の弾性力によってカム面に接触しながら移動されるため、回路基板10が回動されることになる。そして、フォトダイオード12の位置を調整した後は、偏心カム20によって回路基板10の回動位置は保持されるため、回路基板10を手で保持することなく固定ネジ18,19の締結が可能になる。この実施形態では、偏心カム20を微細に回をとすることで回路基板10の回動角度をより微細に調整することができ、高精度の調整が可能になるとともに、調整時に手で回路基板を保持しておく必要がないため調整を容易に行うことが可能になる。
【0023】
また、図8は光源ユニット1における回路基板を回動するための構成の更に他の実施形態の背面図である。ここでは、回路基板10の一部に球軸受22によって球ナット23を揺動可能に支持するとともに、この球ナット23に対向する固定壁6の一部にスクリューボルト24を揺動片25によって揺動可能に支持し、このスクリューボルト24と球ナット23とを螺合させている。すなわち、球ナット23は球軸受け22によってその軸心方向が回路基板10の表面と同じ面内で変化可能であり、また、スクリューボルト24も揺動片25によって球ナット23と同じ面内で軸心方向が変化可能とされている。なお、スクリューボルト24はネジ回し等の治具によって軸転操作が可能とされている。
【0024】
この構成では、回路基板10を回動する際には2つの固定ネジ18,19を緩めた後、所定の治具でスクリューボルト24を軸心回りに回転操作する。これにより、スクリューボルト24に螺合している球ナット23はスクリューボルト24の軸心方向に螺進され、球ナット23と一体の回動基板10が回動されることになる。このとき、回路基板10の回動によって球ナット23とスクリューボルト24の軸心方向が変化されるが、それぞれの軸心方向が変化可能であるため、この変化に追従することは可能である。そして、フォトダイオードの位置を調整した後は、球ナット23とスクリューボルト24との螺合状態によって回路基板10の回動位置は保持されるため、回路基板10を手で保持することなく固定ネジ18,19の締結は可能になる。この実施形態では、スクリューボルト24及び球ナット23の各螺旋溝のピッチ寸法を適切に設定することで回路基板10の回動角度をより微細に調整することができ、高精度の調整が可能になるとともに、調整時に手で回路基板を保持しておく必要もないため、調整を容易に行うことが可能になる。
【0025】
なお、回路基板を回動するための機構は前記各実施形態の構成に限られるものでなく、レーザダイオードの光軸回りにフォトダイオードを回動させて、当該フォトダイオードをレーザ光の主走査方向に沿って位置変位させることが可能であれば、他の構成を採用することは可能である。
【0026】
また、前記実施形態は偏向走査されるレーザ光を反射ミラーで反射してフォトダイオードを受光する例を示しているが、ポリゴンミラーで反射されたレーザ光を直接フォトダイオードで受光する構成のレーザ走査装置に適用することも可能である。この場合、レーザ光をフォトダイオードに導くためにポリゴンミラーとフォトダイオードとの間にレーザ光の光軸を偏向させるためのプリズム等の光学手段を介在させるようにすればよい。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したように本発明は、レーザ光源と受光素子とを同一の基板に装着することで、これらレーザ光源や受光素子を個別にレーザ走査装置に組み付ける場合に比較して組み付け作業を容易化するとともに、それぞれの組み付け精度を高めることが可能になる。また、当該基板を回動調整することでレーザ光源の光軸を変位させることなく受光素子のみをレーザ光の走査方向に位置調整して受光タイミングの微細な調整を容易にしかも高い精度で行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のレーザ走査装置の概略斜視構成図である。
【図2】光源ユニットの外観斜視図である。
【図3】光源ユニットをレーザ走査装置に組み付けた状態の正面図とAA線縦断面図である。
【図4】レーザ走査装置におけるレーザ光を受光状態を説明するための概略立面図である。
【図5】レーザ走査装置の各種信号の波形図である。
【図6】光源ユニットにおける受光タイミング調整の動作を説明するための模式図である。
【図7】本発明の他の実施形態の光源ユニットの一部の背面図である。
【図8】本発明の更に他の実施形態の光源ユニットの一部の背面図である。
【図9】従来のレーザ走査装置の一例の概略平面図である。
【符号の説明】
1 光源ユニット
2 ポリゴンミラー
3 fθレンズ
4 感光ドラム
5 反射ミラー
6 固定壁
10 回路基板
11 レーザダイオード
12 フォトダイオード
13 レーザダイオードケーシング
14 コンデンサレンズ
15 電子部品
16,17 円弧溝
18,19 固定ネジ
61 円形穴
62 円弧窓
63,64 ネジ穴
【発明の属する技術分野】
本発明はレーザ光を走査して画像形成を行うレーザ走査装置に関し、特に感光体に対するレーザ光の走査タイミングをとるための受光素子をレーザ光源と一体に同一基板上に構成したレーザ走査装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
レーザ光を感光体に走査して画像形成を行うレーザ走査装置では、正確な画像を形成するために感光体に対するレーザ光の描画開始位置、すなわち走査タイミングを制御する必要がある。この走査タイミングの制御を行うために、従来では走査されるレーザ光の一部を受光素子により受光し、この受光タイミングに基づいて走査タイミングの制御を行っている。例えば、図9は特許文献1に記載されたレーザ走査装置の概略図であり、レーザダイオード等で構成されるレーザ光源11から出射されるレーザ光LBを感光ドラム4の回転軸方向に主走査するとともに、感光ドラム4を回転軸回りに回動して副走査を行うことにより画像形成を行うものである。このレーザ走査装置では、レーザ光源11から出射されたレーザ光LBは高速回転するポリゴンミラー2によって主走査方向に偏向され、この偏向されたレーザ光をfθレンズ3によって等速状態で感光ドラム4に走査させる。また、偏向されたレーザ光LBを感光ドラム4に対して走査する領域以外の位置において反射ミラー5により反射し、この反射されたレーザ光をフォトダイオード等で構成される受光素子12で受光する。そして、この受光素子12でレーザ光を受光する受光タイミングに基づいて前記感光ドラム4に対するレーザ光の主走査の走査タイミングの制御を行っている。
【0003】
【特許文献1】実開平4−9012号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、特許文献1のレーザ走査装置では、レーザ光源と受光素子とを同一基板10Aに装着することで、これらレーザ光源11と受光素子12をレーザ走査装置に組み付ける際の作業を容易化している。特に、レーザ光源や受光素子に接続される電気配線や電子部品を同一基板10Aに一体化させることで、組み立ての自動化や部品点数の削減を図る上でも有利になる。また、このように同一基板にレーザ光源と受光素子とを一体化することで、両者の相対位置を高精度に設定でき、これらをレーザ走査装置に組み付ける際の位置精度を高めることも可能になる。しかしその一方で、このようにレーザ光源11と受光素子12を同一基板10Aにそれぞれ固定的に装着すると、走査タイミングと密接な関係のある受光タイミングの調整が困難になるという問題がある。すなわち、受光タイミングを調整するためにはレーザ光LBに対する受光素子12の位置を調整する必要があるが、その一方でレーザ光源11はレーザ走査装置内において固定的に装着されるため、このレーザ光源11と共に同一基板10A上に組み付けられている受光素子12を位置調整することはできなくなる。
【0005】
このようなレーザ走査装置においては、反射ミラー5の反射面角度を調整することで、レーザ光LBに対する受光素子12の実質的な受光位置を変化し、受光タイミングの調整を行う技術が採用されている。しかし、この調整技術では、反射ミラー5と受光素子12との間の光路長が長い場合には、反射ミラー5の微小な角度変化によっても受光素子12での受光タイミングが大きく変化されてしまうため、受光タイミングを微細に調整する場合には反射ミラー5の角度調整を数桁以上の精度で微細に調整する必要があり、調整作業が極めて困難になるという問題がある。これは、レーザ走査装置に加えられる振動、衝撃等の外力や、経時的な変化等によって反射ミラーの角度にずれが生じたような場合における同期受光素子での受光タイミングの再調整においても同様に調整が困難になるという問題がある。なお、このような調整精度を緩和するために反射ミラー5を受光素子12の近傍に配置することも考えられるが、受光素子12の近傍にはレーザ光源11やその他の構成要素が配置されること、またレーザ光LBを受光素子12で受光するタイミングをレーザ光の走査の直前に行っていること等の理由から実現することは困難である。
【0006】
本発明の目的は、受光素子における受光タイミングの調整及び再調整を容易に、しかも高精度に行うことを可能にしたレーザ走査装置を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、レーザ光を発光するレーザ光源と、レーザ光を偏向して感光体に対して走査する偏向走査手段と、偏向走査されるレーザ光を受光してレーザ光の走査タイミング調整を行うための受光素子とを備え、レーザ光源と受光素子とを同一基板上に一体に搭載したレーザ走査装置において、当該基板をレーザ光源の光軸を中心にして回動可能に構成し、その基板の回動により受光素子をレーザ光の走査方向に沿って位置変化可能に構成したことを特徴とする。
【0008】
本発明では、前記各構成要素は次のように構成されることが好ましい。基板は受光素子の回動軌跡の接線がレーザ光の走査方向と一致する位置に受光素子を搭載する。偏向走査手段は高速回動されて前記レーザ光源からのレーザ光を反射するポリゴンミラーを備え、このポリゴンミラーで反射されたレーザ光を受光素子に向けて反射する反射手段を備える。基板はレーザ光源と受光素子とがポリゴンミラーの回動軸と平行な方向に並んだ状態でレーザ走査装置の固定部に支持されており、反射手段はレーザ光をポリゴンミラーの回転軸と平行な方向に偏向させて反射させるように構成される。レーザ光源はレーザダイオードで構成され、受光素子はフォトダイオードで構成され、それぞれに電気接続される配線パターンや電子部品を一体に搭載している同一回路基板上に搭載される。
【0009】
特に、本発明において基板を回動するための構成としては、レーザ光源は光軸を中心とする円筒状のケーシングを備え、このケーシングはレーザ走査装置の固定部に設けられた円形穴内に密接状態に内挿され、この円形穴内においてケーシングが光軸回りに回転するように基板を回動可能に構成することが好ましい。
【0010】
本発明によれば、レーザ光源と受光素子とを同一の基板に装着することで、これらレーザ光源や受光素子を個別にレーザ走査装置に組み付ける場合に比較して組み付け作業を容易化するとともに、それぞれの組み付け精度を高めることが可能になる。また、当該基板を回動調整することで、レーザ光源の光軸を変位させることなく受光素子のみをレーザ光の走査方向に位置調整して受光タイミングの微細な調整を容易にしかも高い精度で行うことが可能になる。
【0011】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1は本実施形態のレーザ走査装置の斜視構成図である。このレーザ走査装置の基本的な構成は図9に示したレーザ走査装置と同じであり、レーザ光源としてのレーザダイオード11から出射されたレーザ光LBは六角形をした多面反射鏡であるポリゴンミラー2に投射され、このポリゴンミラー2が回転軸2aの回りに水平方向に高速回転されることによってレーザ光LBは主走査方向に偏向される。この偏向されたレーザ光LBはfθレンズ3によって偏向が調整され、等速状態で感光ドラム4の回転軸4aと平行な方向に走査され、その感光面に対して主走査される。また、感光ドラム4が回転軸4aの回りに回転されることで感光面に対する副走査が行われる。さらに、偏向されたレーザ光LBが感光ドラムに対して主走査される領域以外の偏向位置に反射ミラー5が配設されており、レーザ光LBはこの反射ミラー5により反射され、受光素子としてのフォトダイオード12で受光され、走査タイミング信号を得るようになっている。ここで、前記反射ミラー5は反射面が微小角度で垂直上方に向けて傾斜されており、ポリゴンミラー2で反射され、かつfθレンズ3を透過されたレーザ光LBが幾分上方に向けて反射されるようになっている。
【0012】
前記レーザダイオード11とフォトダイオード12は同一の基板上に組み付けられて一つの光源ユニット1として構成されている。図2はこの光源ユニット1の外観斜視図、図3(a),(b)は光源ユニット1をレーザ走査装置に組み付けた状態の正面図とAA線縦断面図である。前記光源ユニット1は回路基板10上に構築されており、この回路基板10は所要の配線パターンが形成された長方形の配線回路基板として構成されており、この回路基板10に前記レーザダイオード11と前記フォトダイオード12が固定的に搭載されている。前記レーザダイオード11は円筒状をしたレーザダイオードケーシング13内にコンデンサレンズ14と共に内装されており、レーザダイオード11から出射されたレーザ光がコンデンサレンズ14で平行光束のレーザ光に整形された上で前記レーザダイオードケーシング13の頂面に設けられた出射窓13aから出射されるようになっている。特に、前記レーザダイオード11は出射するレーザ光の光軸が前記レーザダイオードケーシング13の筒軸に一致する位置に内装固定される。また、前記レーザダイオード11には図には現れないモニタ用フォトダイオードが一体的に組み込まれており、このモニタ用フォトダイオードは前記レーザダイオード11から出射されるレーザ光の一部を受光し、この受光により当該レーザ光の光強度を検出してレーザダイオード11の発光出力を制御するものであるが、ここではその詳細な説明は省略する。また、前記レーザダイオードケーシング13は筒軸が前記回路基板10の表面に対して垂直方向に向けた状態で、換言すればレーザダイオード11から出射されるレーザ光の光軸が回路基板10の表面に対して垂直方向に向けられる状態で回路基板10に固定されている。
【0013】
前記フォトダイオード12は、前記レーザダイオードケーシング13に対して前記回路基板10の長手方向に所要の寸法を置いた位置において当該回路基板10の表面に固定支持されている。ここでは、前記フォトダイオード12の受光面12aは前記回路基板10の表面とほぼ平行に向けられているが、前記レーザダイオード11側に向けて微小角度で傾斜された状態で固定支持されることが好ましい。また、前記フォトダイオード12の受光面12aは、前記回路基板10の長手方向に沿う受光面長さが前記レーザ光LBの光束径よりもある程度、少なくとも2〜3倍程度は大きい寸法に形成されている。
【0014】
前記回路基板10の裏面には、前記レーザダイオード11を発光させるためのレーザ駆動回路や前記フォトダイオード12で受光して得られた信号を処理するための信号処理回路等を構成する各種電子部品15が搭載されており、それぞれ図には現れない配線パターンによって前記レーザダイオード11、フォトダイオード12に電気接続されている。さらに、回路基板10は図外の電気配線によってレーザ走査装置の外部にまで引き出され、外部の制御回路に電気接続されるが、ここではその説明は省略する。
【0015】
さらに、前記回路基板10には、前記レーザダイオード11の近傍領域と前記フォトダイオード12の近傍領域のそれぞれに、前記レーザダイオードケーシング13の筒軸、すなわちレーザ光LBの光軸を中心とした2つの円弧溝16,17が開口されている。そして、前記回路基板10は、前記レーザ走査装置に設けられて前記ポリゴンミラーに対面配置された固定壁6に対して2つの固定ネジ18,19により固定されるようになっている。前記固定壁6は前記ポリゴンミラー2の回転軸2aと平行な方向に立設されたものであり、その下部寄りの位置には前記レーザダイオードケーシング13がその周面において密接状態に内挿入可能な円形穴61が開口される。また、前記固定壁6の上部寄りの位置には前記円形穴61を中心にした円弧状に形成され前記フォトダイオード12が配置可能な円弧窓62が開口されている。さらに、前記回路基板10の2つの円弧溝16,17に対応する位置にそれぞれネジ穴63,64が開口されており、これらのネジ穴63,64には前記円弧溝16,17を挿通された前記2つの固定ネジ18,19がそれぞれ螺合可能とされている。
【0016】
以上の構成によれば、回路基板10は固定壁6の背面側からレーザダイオードケーシング13が固定壁6の円形穴61に挿通され、フォトダイオード12が固定壁6の円弧窓62内に配置された上で、2つの円弧溝16,17を挿通される2つの固定ネジ18,19が固定壁6の2つのネジ穴63,64に螺合されることによって固定壁6に固定支持される。これにより、レーザダイオードケーシング13内のレーザダイオード11から出射されたレーザ光LBはコリメータレンズ14により平行光束とされた上で出射窓13aから出射され、ポリゴンミラー2に投射される。投射されたレーザ光LBは前述のようにポリゴンミラー2で反射され、かつfθレンズ3を透過することによって偏向され、感光ドラム4の感光面に主走査される。また、感光ドラム4の軸回り方向の回転により副走査され、これにより所望の画像が描画されることになる。
【0017】
また、fθレンズ3を透過したレーザ光は、感光ドラム4に走査される直前のタイミングにおいて、図4に模式的な立面図を示すように、反射ミラー5によってレーザ光LBの主走査方向と垂直な方向に微小角度だけ上方に向けて反射され、レーザダイオード11の垂直上方に位置されているフォトダイオード12で受光される。フォトダイオード12ではレーザ光LBを受光したときの受光信号を信号処理回路に出力し、この処理回路において受光タイミング信号を生成する。この受光タイミング信号は、図5にレーザ走査装置における各信号の概略のタイミング図を示すように、レーザ走査装置に入力される/Video信号との同期をとるための/BD信号として生成されるもので、この/BD信号によって同期がとられる/Video信号に基づいて発光されるレーザダイオード11からのレーザ光LBを感光ドラム4に主走査する際の走査タイミングを取る。なお、/Enable信号はレーザ走査装置の全体の動作を制御するための信号、/APC制御信号はレーザダイオード11と一体に設けた図外のモニタ用フォトダイオードの検出出力によりレーザダイオード11の発光出力を所望の出力に制御するための信号である。
【0018】
そして、前記した走査タイミングを決定するためのフォトダイオード12における受光タイミングの調整を行う際には、回路基板10を固定壁6に固定している2つの固定ネジ18,19を緩め、回路基板10を垂直方向に微小角度で回動して回動位置を調整する。このとき2つの固定ネジ18,19はそれぞれ円弧溝16,17に対して摺動関係にあり、回路基板10の回動を可能とする。また、回路基板10はレーザダイオードケーシング13の周面が固定壁6の円形穴61内に密接状態に内装されているので、このレーザダイオードケーシング13の筒軸を中心にして回路基板10の表面と同一面内において回動される。したがって、回路基板10を回動してもレーザダイオード11は光軸回りに回動するのみであり、ポリゴンミラー2に対する光軸位置は何ら変位されることはなく、レーザ走査装置のレーザ光走査動作に何らの影響を与えることはない。
【0019】
一方、図6は回路基板10の回動によるフォトダイオード12の受光タイミング調整を説明するための模式的な正面図であり、前述のように回路基板10を回動することにより、当該回路基板10に搭載されているフォトダイオード12は円弧窓62内において円弧軌跡上を移動されることになる。すなわち、フォトダイオード12はレーザダイオード11の上部領域においてレーザダイオード11を中心とする円弧上を移動されることになり、この移動によりレーザダイオード11の直上位置から水平方向に変位された位置まで移動されることになる。この移動寸法dはレーザダイオード11とフォトダイオード12との間の寸法rと回路基板10の回動角度φとから求めることができ、d=r・sin φとなる。このとき、フォトダイオード12は受光面12aがレーザ光LBの光束径寸法に比較して大きく形成されているため、フォトダイオード12がこのように移動してレーザ光LBの主走査方向と垂直な方向にも移動された場合でもレーザ光LBが受光面12aから外れることはなく、受光が可能である。これにより、回路基板10の回動位置を調整することによってレーザ光LBの主走査方向に対するフォトダイオード12の位置を変位させることができ、フォトダイオード12による受光タイミングの調整が可能になる。また、この調整に際しては、レーザ光LBが実際にフォトダイオード12によって受光される位置で当該フォトダイオード12を移動しての調整であるため、その受光タイミングの調整精度はフォトダイオード12の移動精度に依存するものとなり、受光タイミング調整を高い精度でしかも容易に行うことが可能になる。なお、調整後は2つの固定ネジ18,19を再度締結することで、回路基板10を固定壁6に固定し、調整したフォトダイオード12の位置を保持することが可能である。
【0020】
以上のように、本実施形態のレーザ走査装置では、光源ユニット1の構成としてレーザ光源としてのレーザダイオード11と、受光タイミングを調整するためにレーザ光を受光する受光素子としてのフォトダイオード12とを同一の回路基板10に搭載していることで、これらレーザダイオード11やフォトダイオード12を個別にレーザ走査装置に組み付ける場合に比較して組み付け作業を容易化するとともに、それぞれの組み付け精度を高めることが可能になる。また、これに加えて、回路基板10を回動調整することで、レーザダイオード11の光軸を変位させることなくフォトダイオード12のみをレーザ光の主走査方向に位置調整して受光タイミングの微細な調整を容易にしかも高い精度で行うことが可能になる。
【0021】
図7は光源ユニット1における回路基板を回動するための構成の他の実施形態の背面図である。前記実施形態では2つの固定ネジ18,19を緩めた後、回路基板10を手で触れて回動させ、回動位置を決定した上で固定ネジ18,19を締結しているため、固定ネジ18,19を締結している際にも回路基板10を手で保持している必要がある。この実施形態では、固定壁6の回路基板10の一側に沿った位置に偏心カム20を軸転可能に支持しておき、この偏心カム20のカム面に回路基板10の一側縁を接触させている。また、偏心カム20と回路基板10との接触を確実なものとするために、回路基板10と固定壁6との間にスプリング21を掛装し、両者を弾接状態とさせている。また、偏心カム20の軸部20aはネジ回し等の軸によって手操作で回動可能に構成している。
【0022】
このようにすることで、回路基板10を回動する際には2つの固定ネジ18,19を緩めた後、ネジ回し等を偏心カム20の軸部20aに係合させて偏心カム20を回動する。この偏心カム20の回動によりカム面に当接している回路基板10はスプリング21の弾性力によってカム面に接触しながら移動されるため、回路基板10が回動されることになる。そして、フォトダイオード12の位置を調整した後は、偏心カム20によって回路基板10の回動位置は保持されるため、回路基板10を手で保持することなく固定ネジ18,19の締結が可能になる。この実施形態では、偏心カム20を微細に回をとすることで回路基板10の回動角度をより微細に調整することができ、高精度の調整が可能になるとともに、調整時に手で回路基板を保持しておく必要がないため調整を容易に行うことが可能になる。
【0023】
また、図8は光源ユニット1における回路基板を回動するための構成の更に他の実施形態の背面図である。ここでは、回路基板10の一部に球軸受22によって球ナット23を揺動可能に支持するとともに、この球ナット23に対向する固定壁6の一部にスクリューボルト24を揺動片25によって揺動可能に支持し、このスクリューボルト24と球ナット23とを螺合させている。すなわち、球ナット23は球軸受け22によってその軸心方向が回路基板10の表面と同じ面内で変化可能であり、また、スクリューボルト24も揺動片25によって球ナット23と同じ面内で軸心方向が変化可能とされている。なお、スクリューボルト24はネジ回し等の治具によって軸転操作が可能とされている。
【0024】
この構成では、回路基板10を回動する際には2つの固定ネジ18,19を緩めた後、所定の治具でスクリューボルト24を軸心回りに回転操作する。これにより、スクリューボルト24に螺合している球ナット23はスクリューボルト24の軸心方向に螺進され、球ナット23と一体の回動基板10が回動されることになる。このとき、回路基板10の回動によって球ナット23とスクリューボルト24の軸心方向が変化されるが、それぞれの軸心方向が変化可能であるため、この変化に追従することは可能である。そして、フォトダイオードの位置を調整した後は、球ナット23とスクリューボルト24との螺合状態によって回路基板10の回動位置は保持されるため、回路基板10を手で保持することなく固定ネジ18,19の締結は可能になる。この実施形態では、スクリューボルト24及び球ナット23の各螺旋溝のピッチ寸法を適切に設定することで回路基板10の回動角度をより微細に調整することができ、高精度の調整が可能になるとともに、調整時に手で回路基板を保持しておく必要もないため、調整を容易に行うことが可能になる。
【0025】
なお、回路基板を回動するための機構は前記各実施形態の構成に限られるものでなく、レーザダイオードの光軸回りにフォトダイオードを回動させて、当該フォトダイオードをレーザ光の主走査方向に沿って位置変位させることが可能であれば、他の構成を採用することは可能である。
【0026】
また、前記実施形態は偏向走査されるレーザ光を反射ミラーで反射してフォトダイオードを受光する例を示しているが、ポリゴンミラーで反射されたレーザ光を直接フォトダイオードで受光する構成のレーザ走査装置に適用することも可能である。この場合、レーザ光をフォトダイオードに導くためにポリゴンミラーとフォトダイオードとの間にレーザ光の光軸を偏向させるためのプリズム等の光学手段を介在させるようにすればよい。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したように本発明は、レーザ光源と受光素子とを同一の基板に装着することで、これらレーザ光源や受光素子を個別にレーザ走査装置に組み付ける場合に比較して組み付け作業を容易化するとともに、それぞれの組み付け精度を高めることが可能になる。また、当該基板を回動調整することでレーザ光源の光軸を変位させることなく受光素子のみをレーザ光の走査方向に位置調整して受光タイミングの微細な調整を容易にしかも高い精度で行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のレーザ走査装置の概略斜視構成図である。
【図2】光源ユニットの外観斜視図である。
【図3】光源ユニットをレーザ走査装置に組み付けた状態の正面図とAA線縦断面図である。
【図4】レーザ走査装置におけるレーザ光を受光状態を説明するための概略立面図である。
【図5】レーザ走査装置の各種信号の波形図である。
【図6】光源ユニットにおける受光タイミング調整の動作を説明するための模式図である。
【図7】本発明の他の実施形態の光源ユニットの一部の背面図である。
【図8】本発明の更に他の実施形態の光源ユニットの一部の背面図である。
【図9】従来のレーザ走査装置の一例の概略平面図である。
【符号の説明】
1 光源ユニット
2 ポリゴンミラー
3 fθレンズ
4 感光ドラム
5 反射ミラー
6 固定壁
10 回路基板
11 レーザダイオード
12 フォトダイオード
13 レーザダイオードケーシング
14 コンデンサレンズ
15 電子部品
16,17 円弧溝
18,19 固定ネジ
61 円形穴
62 円弧窓
63,64 ネジ穴
Claims (6)
- レーザ光を発光するレーザ光源と、前記レーザ光を偏向して感光体に対して走査する偏向走査手段と、前記偏向走査されるレーザ光を受光して前記レーザ光の走査タイミング調整を行うための受光素子とを備え、前記レーザ光源と前記受光素子とを同一基板上に一体に搭載したレーザ走査装置において、前記基板を前記レーザ光源の光軸を中心にして回動可能に構成し、前記基板の回動により前記受光素子を前記レーザ光の走査方向に沿って位置変化可能に構成したことを特徴とするレーザ走査装置。
- 前記基板は前記受光素子の回動軌跡の接線が前記レーザ光の走査方向と一致する位置に前記受光素子を搭載していることを特徴とする請求項1に記載のレーザ走査装置。
- 前記偏向走査手段は高速回動されて前記レーザ光源からのレーザ光を反射するポリゴンミラーを備え、前記ポリゴンミラーで反射されたレーザ光を前記受光素子に向けて反射する反射手段を備えることを特徴とする請求項2に記載のレーザ走査装置。
- 前記基板は前記レーザ光源と前記受光素子とが前記ポリゴンミラーの回動軸と平行な方向に並んだ状態でレーザ走査装置の固定部に支持されており、前記反射手段は前記レーザ光を前記ポリゴンミラーの回転軸と平行な方向に偏向させて反射させるように構成されていることを特徴とする請求項3に記載のレーザ走査装置。
- 前記レーザ光源はレーザダイオードで構成され、前記受光素子はフォトダイオードで構成され、それぞれに電気接続される配線パターンや電子部品を一体に搭載している同一回路基板上に搭載されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のレーザ走査装置。
- 前記レーザ光源は光軸を中心とする円筒状のケーシングを備え、前記ケーシングは前記レーザ走査装置の固定部に設けられた円形穴内に密接状態に内挿され、この円形穴内において前記ケーシングが光軸回りに回転するように前記基板を回動可能に構成したことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のレーザ走査装置。
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