JP2004239365A - 流体伝動装置のトルクダンパ - Google Patents

流体伝動装置のトルクダンパ Download PDF

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Takahiro Miyata
高宏 宮田
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Abstract

【課題】伝動中,大なる遠心力を発生するダンパスプリングを強固に支持することができ,しかも製作が容易で軽量化及び低廉化が可能な,流体伝動装置のトルクダンパを提供する。
【解決手段】クラッチピストン25の外周端部に屈曲成形される円筒状のリム25bと,このリム25bと協働して環状のスプリング収容溝31を画成すべくクラッチピストン25に固着される環状のスプリング保持部材30と,スプリング収容溝31に収容される複数のダンパスプリング32A,32Bとを備え,スプリング保持部材30には,ダンパスプリング32A,32B間にタービン羽根車3の第2伝動爪34A,34Bと共に挿入される第1伝動爪33と,クラッチピストン25及びタービン羽根車3間に所定値以上のトルクが加わったとき,第2伝動爪34A,34Bと当接してダンパスプリング32A,32Bの変形を制限するストッパ部30b,30b′とを形成した。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は,ロックアップクラッチのクラッチピストンに形成された環状のスプリング収容溝に複数のダンパスプリングを環状に配列して収容すると共に,隣接するダンパスプリング間に挿入される複数の第1伝動爪をクラッチピストンに設け,また第1伝動爪と共に隣接するダンパスプリング間に挿入される複数の第2伝動爪をタービン羽根車に設け,クラッチピストン及びタービン羽根車間に加わる衝撃的なトルクをダンパスプリングの変形により緩衝するようにした,流体伝動装置のトルクダンパの改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来,かゝる流体伝動装置のトルクダンパとして,下記のものが知られている。
【0003】
▲1▼クラッチピストンの側面と,このクラッチピストンに固着されるスプリング保持部材の断面コ字状部とで,ダンパスプリングを保持する環状のスプリング収容溝を画成したもの(特許文献1参照)。
【0004】
▲2▼クラッチピストンの外周に形成された断面円弧状のリムと,クラッチピストンに固着されて前記リムとその半径方向で対向するスプリング保持部材とで,ダンパスプリングを保持する環状のスプリング収容溝を画成したもの(特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−70949号公報
【0006】
【特許文献2】
特開8−49757号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで,上記▲1▼のものでは,伝動中,ダンパスプリングに発生する大なる遠心力を,クラッチピストンとは別体のスプリング保持部材で支持することになるので,スプリング保持部材を厚肉で剛性の高いもので構成する必要があり,コスト高及び重量増を招く欠点がある。また上記▲2▼のものでは,ダンパスプリングの大なる遠心力を,厚肉で剛性の高いクラッチピストンの外周に一体成形した断面円弧状のリムで受け止めるので,ダンパスプリングを強固に支持することはできるものゝ,厚肉のクラッチピストン外周のリムに断面コ字状の形状を付与することが成形上容易でないので,コストの低減を満足させるには至らない。
【0008】
本発明は,かゝる事情に鑑みてなされたもので,伝動中,大なる遠心力を発生するダンパスプリングを強固に支持することができ,しかも製作が容易で且つ軽量化及び低廉化が可能な,流体伝動装置のトルクダンパを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために,本発明は,ロックアップクラッチのクラッチピストンに形成された環状のスプリング収容溝に複数のダンパスプリングを環状に配列して収容すると共に,隣接するダンパスプリング間に挿入される複数の第1伝動爪をクラッチピストンに設け,また第1伝動爪と共に隣接するダンパスプリング間に挿入される複数の第2伝動爪をタービン羽根車に設けた,流体伝動装置のトルクダンパにおいて,クラッチピストンの外周端部に屈曲成形されてタービン羽根車側に延びる円筒状のリムと,このリムと協働して環状のスプリング収容溝を画成すべくクラッチピストンに固着される環状のスプリング保持部材と,前記スプリング収容溝に収容されて環状に配列される複数のダンパスプリングとを備え,前記スプリング保持部材に前記第1伝動爪と,前記クラッチピストン及びタービン羽根車間に所定値以上のトルクが加わったとき,前記第2伝動爪と当接して前記ダンパスプリングの変形を制限するストッパ部を形成したことを第1の特徴とする。
【0010】
この第1の特徴によれば,伝動中,ダンパスプリングに発生する大なる遠心力を,厚肉で比較的高剛性のリムで強固に支持することができ,しかもリムは,クラッチピストンの外周端部に円筒状に成形されるので,その成形は容易である。またダンパスプリングのタービン羽根車側への動きを規制するスプリング保持部材は,大きな保持力は不要であるから,これを比較的薄い鋼板で構成することが可能である。またストッパ部と第2伝動爪との協働によりダンパスプリングの変形を制限するので,ダンパスプリングを過負荷から保護することができ,以上の結果,耐久性が高く,製作が容易で軽量なトルクダンパを安価に提供することができる。
【0011】
また本発明は,第1の特徴に加えて,前記スプリング保持部材には,前記ダンパスプリングの内径部から,該ダンパスプリングの前記クラッチピストンと反対側の側面に沿って半径方向外方に延びて該側面を略半周覆う円弧状の複数の保持壁を一体に形成し,各保持壁の回転方向端部を前記ストッパ部としたことを第2の特徴とする。
【0012】
この第2の特徴によれば,前記保持壁によりダンパスプリングの横方向の動きを確実に規制することができ,しかもこの保持壁が第2伝動爪と協働してダンパスプリングの圧縮量を制限するストッパ部材を兼ねることになるから,専用のストッパ部材は不要となり,これによってもコストの低減を図ることができる。
【0013】
さらに本発明は,第1又は第2の特徴に加えて,前記クラッチピストンに,前記ダンパスプリングの外周面を覆う耐摩耗性の環状保護板をを固着したことを第3の特徴とする。
【0014】
この第3の特徴によれば,ダンパスプリングが遠心力を発生しつゝ伸縮するとき,ダンパスプリングとリムとの摩擦を回避してリムの摩耗を防ぐことができ,したがってリムに窒化等の硬化処理を施すことなく,その耐久性の向上を図ることができる。
【0015】
さらにまた本発明は,第3の特徴に加えて,前記スプリング保持部材及び前記保護板の内周端部を,共に前記クラッチピストンに重ねてリベットにより固着したことを第4の特徴とする。
【0016】
この第4の特徴によれば,スプリング保持部材及び保護板をクラッチピストンに一挙に固着することができ,保護板の固着によるコストアップを避けることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を,添付図面に示す本発明の好適な実施例に基づいて以下に説明する。
【0018】
図1は本発明の実施例に係るトルクダンパ付きトルクコンバータの縦断側面図,図2は図1の2−2線断面図,図3はトルクダンパの作用を説明する,図2との対応図,図4は図1のクラッチピストンのハブの変形例を示す断面図である。
【0019】
先ず,図1において,流体伝動装置としてのトルクコンバータTは,ポンプ羽根車2と,それと対置されるタービン羽根車3と,それらの内周部間に配置されるステータ羽根車4とを備え,これら三羽根車2,3,4間に作動オイルによる動力伝達のための循環回路6が画成される。
【0020】
ポンプ羽根車2には,タービン羽根車3の外側面を覆うサイドカバー5が溶接により一体的に連設される。サイドカバー5の外周面には連結ボス7が溶接されており,クランク軸1に結合した駆動板8がこのボス7にボルト9で固着される。タービン羽根車3のハブ3hとサイドカバー5との間にスラストニードルベアリング36が介裝される。尚,符号15は,ポンプ羽根車2の外周面に溶接された始動用リングギヤである。
【0021】
トルクコンバータTの中心部にクランク軸1と同軸上に並ぶ出力軸10が配置され,この出力軸10は,タービン羽根車3のハブ3hにスプライン嵌合されると共に,サイドカバー5中心部の支持筒5aに軸受ブッシュ18を介して回転自在に支承される。出力軸10は図示しない多段変速機の主軸となる。
【0022】
出力軸10の外周には,ステータ羽根車4のハブ4hをフリーホイール11を介して支承する円筒状のステータ軸12が配置され,これら出力軸10及びステータ軸12間には,それらの相対回転を許容する軸受ブッシュ13が介裝される。ステータ軸12の外端部はミッションケース14に回転不能に支持される。
【0023】
ステータ羽根車4のハブ4hと,これに対向するポンプ羽根車2及びタービン羽根車3の各ハブ2h,3hとの間にはスラストニードルベアリング37,37′が介裝される。
【0024】
またステータ軸12の外周には,ポンプ羽根車2に結合した補機駆動軸20が相対回転可能に配置され,この補機駆動軸20によって,トルクコンバータTに作動オイルを供給するオイルポンプ21が駆動される。
【0025】
タービン羽根車3及びサイドカバー5は,それらの間にクラッチ室22を画成し,このクラッチ室22に,タービン羽根車3及びサイドカバー5間を直結し得るロックアップクラッチLが収容される。ロックアップクラッチLの主体をなすクラッチピストン25は,クラッチ室22をタービン羽根車3側の内側室22aとサイドカバー5側の外側室22bとに区画するようにクラッチ室22に配置される。
【0026】
このクラッチピストン25は,サイドカバー5側に膨出成形された環状のウェブ25aと,このウェブ25aの外周縁からタービン羽根車3側に屈曲成形された円筒状のリム25bとを備えており,ウェブ25aには,サイドカバー5の内側面に対向する摩擦ライニング28が付設される。クラッチピストン25は,その内周端部に一体に屈曲成形されたハブ25cをタービン羽根車3のハブ3hの外周面に摺動可能に支承させており,摩擦ライニング28をサイドカバー5の内側面に圧接させる接続位置と,その内壁から離間する非接続位置との間を軸方向に移動し得るようになっている。クラッチピストン25のハブ25cの,タービン羽根車3のハブ3hとの摺動面には,窒化等の表面硬化処理が施される。
【0027】
図1及び図2に示すように,クラッチ室22には,また,クラッチピストン25及びタービン羽根車3間を緩衝的に連結するトルクダンパDが配設される。このトルクダンパDは,クラッチピストン25の外周端部に屈曲成形されてタービン羽根車3側に延びる円筒状の前記リム25bと,このリム25bと協働して環状のスプリング収容溝31を画成する複数の保持壁30a,30a…を一体に有する環状のスプリング保持部材30と,スプリング収容溝31に収容されて環状に配列される複数のコイル状ダンパスプリング32A,32A…;32B,32B…と,これらダンパスプリング32A,32A…;32B,32B…の少なくとも外周面を覆う耐摩耗性で環状の保護板29とを備え,スプリング保持部材30及び保護板29の内周端部は,保護板29を内側にして重ねてクラッチピストン25に複数のリベット35,35…で固着される。上記ダンパスプリング32Aは,比較的細い線材で成形されて比較的低いばね定数が付与され,ダンパスプリング32Bは比較的太い線材で成形されて比較的高いばね定数が付与され,これらはスプリング収容溝31の周方向に交互に配置される。
【0028】
以上において,クラッチピストン25は厚肉の鋼板製,スプリング保持部材30は,クラッチピストン25より肉薄の鋼板製である。また保護板29は極薄の鋼板製で,窒化等の表面硬化処理により耐摩耗性が付与される。
【0029】
上記スプリング保持部材30の保持壁30a,30a…は,前記ダンパスプリング32A,32A…;32B,32B…の内径部から,ダンパスプリング32A,32A…;32B,32B…の,クラッチピストン25と反対側の側面に沿って半径方向外方に延びて該側面を略半周に亙り覆う円弧状をなしている。
【0030】
前記保護板29は,図示例では,ダンパスプリング32A,32A…;32B,32B…のクラッチピストン25側の側面に嵌合するように断面U字状に形成される。
【0031】
スプリング保持部材30には,各隣接するダンパスプリング32A,32B間に挿入される複数の第1伝動爪33,33…が一体に形成され,これら第1伝動爪33,33…と共に各隣接するダンパスプリング32A,32B間に挿入される複数の第2伝動爪34A,34A…;34B,34B…がタービン羽根車3の外周面に溶接される。その際,セット状態では,各ダンパスプリング32A,32Bは,隣接する第1伝動爪33,33間に所定のセット荷重をもって縮設される。また一部の第2伝動爪34Aは,ばね定数の低いダンパスプリング32Aに当接するが,ばね定数の高いダンパスプリング32Bからは所定距離離間するように配置され,他の第2伝動爪34Bは,それとは反対に,ばね定数の高いダンパスプリング32Bに当接するが,ばね定数の低いダンパスプリング32Aからは所定距離離間するように配置される。
【0032】
複数の前記保持壁30a,30a…は,第2伝動爪34A,34A…;34B,34B…の半数の個数をもって,隣接する第2伝動爪34A,34B間の中央部に配置され,各保持壁30aの回転方向に沿う一端部30bは,エンジンの加速時,クラッチピストン25及びタービン羽根車3間に所定値以上のトルクが加わったとき,第2伝動爪34Aと当接してダンパスプリング32A,32A…;32B,32B…の圧縮変形を制限するストッパ部とされ,また各保持壁30aの回転方向に沿う他端部30b′は,エンジンの減速時,クラッチピストン25及びタービン羽根車3間に所定値以上のトルクが加わったとき,第2伝動爪34Bと当接してダンパスプリング32A,32A…;32B,32B…の圧縮変形を制限するストッパ部とされる(図3参照)。
【0033】
再び図1において,出力軸10の中心部には,横孔39及びスラストニードルベアリング36を介してクラッチ室22の外側室22bに連通する第1油路40が設けられる。また補機駆動軸20とステータ軸12との間には,スラストニードルベアリング37,37′及びフリーホイール11を介して循環回路6の内周部に連通する第2油路41が画成され,これら第1油路40及び第2油路41は,ロックアップ制御弁42により,オイルポンプ21の吐出側とオイル溜め43とに交互に接続されるようになっている。
【0034】
次に,この実施例の作用について説明する。
【0035】
エンジンのアイドリングないし極低速運転域では,ロックアップ制御弁42は,図1に示すように,第1油路40をオイルポンプ21の吐出側に接続する一方,第2油路41をオイル溜め43に接続するように,図示しない電子制御ユニットにより制御される。したがって,エンジンのクランク軸1の出力トルクが駆動板8,サイドカバー5,ポンプ羽根車2へと伝達して,それを回転駆動し,更にオイルポンプ21をも駆動すると,オイルポンプ21の吐出作動オイルがロックアップ制御弁42から第1油路40,横孔39及びスラストニードルベアリング36,クラッチ室22の外側室22b,内側室22aを順次経て循環回路6に流入し,該回路6を満たした後,スラストニードルベアリング37,37′及びフリーホイール11を順次経て第2油路41に移り,ロックアップ制御弁42からオイル溜め43に還流する。
【0036】
而して,クラッチ室22では,上記のような作動オイルの流れにより外側室22bの方が内側室22aよりも高圧となり,その圧力差によりクラッチピストン25がサイドカバー5の内壁から引き離される方向へ押圧されるので,ロックアップクラッチLは非接続状態となっており,ポンプ羽根車2及びタービン羽根車3の相対回転を許容している。したがって,クランク軸1からポンプ羽根車2が回転駆動されると,循環回路5を満たしている作動オイルが矢印のように循環回路5を循環することにより,ポンプ羽根車2の回転トルクをタービン羽根車3に伝達し,出力軸10を駆動する。
【0037】
このとき,ポンプ羽根車2及びタービン羽根車3間でトルクの増幅作用が生じていれば,それに伴う反力がステータ羽根車4に負担され,ステータ羽根車4は,フリーホイール11のロック作用により固定される。
【0038】
トルク増幅作用を終えると,ステータ羽根車4は,これが受けるトルク方向の反転により,フリーホイール11を空転させながらポンプ羽根車2及びタービン羽根車3と共に同一方向へ回転するようになる。
【0039】
トルクコンバータTがこのようなカップリング状態となったところで,電子制御ユニットによりロックアップ制御弁42を切換える。その結果,オイルポンプ21の吐出作動オイルは,先刻とは反対に,ロックアップ制御弁42から第2油路41を経て循環回路6に流入して,該回路6を満たした後,クラッチ室22の内側室22aに移って,該内側室22aをも満たす。一方,クラッチ室22の外側室22bは,第1油路40及びロックアップ制御弁42を介してオイル溜め43に開放されるので,クラッチ室22では,内側室22aの方が外側室22bよりも高圧となり,クラッチピストン25は,その圧力差によりサイドカバー5側に押圧され,摩擦ライニング28をサイドカバー5の内側壁に圧接させ,ロックアップクラッチLは接続状態となる。すると,クランク軸1からポンプ羽根車2に伝達した回転トルクは,サイドカバー5からクラッチピストン25,複数の第1伝動爪33,33…,ダンパスプリング32A,32A…;32B,32B…及び複数の第2伝動爪34A,34A…;34B,34B…を介してタービン羽根車3に機械的に伝達することになるから,ポンプ羽根車2及びタービン羽根車3は直結の状態となり,クランク軸1の出力トルクを出力軸10に効率良く伝達することができ,燃費の低減を図ることができる。その際,ポンプ羽根車2及びタービン羽根車3間でトルク変動が生ずると,エンジンの加速,減速に関わらず,最初にばね定数の低いダンパスプリング32Aが第1伝動爪33及び第2伝動爪34A間で圧縮され,その圧縮量が所定以上になると,ばね定数の高いダンパスプリング32Bが第1伝動爪30及び第2伝動爪34B間で圧縮される。こうしてトルクショックを段階的に吸収することで,ポンプ羽根車2及びタービン羽根車3間の比較的少ない角変位で大なるトルクショックでも効果的に吸収することが可能となる。
【0040】
そして,上記トルクが所定値を超える場合,エンジンの加速時には,図3に示すように,第2伝動爪34Aがスプリング保持部材30の保持壁30aの一方のストッパ部30bに当接することにより,ダンパスプリング32A,32A…;32B,32B…の圧縮変形が一定に制限され,またエンジンの減速時には,第2伝動爪34Bが保持壁30aの他方のストッパ部30b′に当接することにより,ダンパスプリング32A,32A…;32B,32B…の圧縮変形が一定に制限される。こうしてダンパスプリング32A,32A…;32B,32B…は,エンジンの加速,減速に関わらず,過負荷から保護される。
【0041】
ところで,ダンパスプリング32A,32A…;32B,32B…は,クラッチピストン25外周のリムと,クラッチピストン25に固着される環状のスプリング保持部材30の複数の保持壁30a,30a…とで画成される環状のスプリング収容溝31に収容されるので,ダンパスプリング32A,32A…;32B,32B…の半径方向外方への動きはリム25bにより規制され,タービン羽根車3側への軸方向の動きは保持壁30a,30a…により規制される。したがって,伝動中,ダンパスプリング32A,32A…;32B,32B…に発生する大なる遠心力は,これを厚肉で比較的高剛性のリム25bで強固に支持することができ,しかもリム25bは,クラッチピストン25の外周端部に円筒状に成形されるので,その成形は容易であり,コストの低減に寄与し得る。またダンパスプリング32A,32A…;32B,32B…のタービン羽根車3側への動きの規制には,大きな力は不要であるから,その規制を行う保持壁30a,30a…,即ちスプリング保持部材30を比較的薄い鋼板で構成することが可能であり,重量増を抑えつゝ,コストの低減に寄与し得る。その上,保持壁30aは,第2伝動爪34A,34Bと協働してダンパスプリング32A,32A…;32B,32B…の圧縮量を制限するストッパ部材を兼ねることになるから,専用のストッパ部材は不要となり,これによってもコストの低減を図ることができる。
【0042】
またダンパスプリング32A,32A…;32B,32B…とクラッチピストン25のリム25bとの間には,耐摩耗性の保護板29が介装されているので,ダンパスプリング32A,32A…;32B,32B…が遠心力を受けながら伸縮しても,ダンパスプリング32A,32A…;32B,32B…とリム25bとの摩擦を回避して,リム25bの摩耗を防ぐことができ,したがって鋼板製のクラッチピストン25及びリム25bに窒化等の硬化処理を施すことなく,その耐久性の向上を図ることができる。一方,保護板29は,これが比較的小部品であることから,大量の保護板29に表面硬化処理を一挙に行うこと可能であり,したがって耐摩耗性の保護板29の使用によるコストアップは比較的少なく抑えることができる。
【0043】
しかも保護板29は,ダンパスプリング32A,32A…;32B,32B…の,クラッチピストン25側半周の側面が嵌合するように断面U字状をなしているから,ダンパスプリング32A,32A…;32B,32B…のスプリング収容溝31での遊びを規制して,その振動騒音の発生をも防ぐことができ,ダンパスプリング32A,32A…;32B,32B…とクラッチピストン25との摩擦を回避して,クラッチピストン25の摩耗防止にも寄与し得る。
【0044】
また本発明は,スプリング保持部材30及び前記保護板29は,それらの内周端部を共に前記クラッチピストン25に重ねてリベット35,35…により固着されるので,スプリング保持部材30及び保護板29をクラッチピストン25に一挙に固着することができ,保護板29の固着によるコストアップを避けることができる。
【0045】
図4は,クラッチピストン25のハブ25cの変形例を示す。
【0046】
この場合のハブ25cは,クラッチピストン25とは別体のリング部材に予め窒化等の表面硬化処理したもので,クラッチピストン25の内周縁に溶接される。この変形例によれば,小部品のハブ25cにのみ表面硬化処理を施すので,大規模な処理設備が不要である上,大量のハブ25cに表面硬化処理を一挙に施すことが可能であり,コストの低減を図ることができる。
【0047】
本発明は上記実施例に限定されるものではなく,その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。例えば,本発明は,ステータ羽根車を持たない流体継手にも適用することができる。またスプリング保持部材30の,ダンパスプリング32A,32A…;32B,32B…との接触面に表面硬化処理を施して,その耐摩耗性を付与することもできる。
【0048】
【発明の効果】
以上のように本発明の第1の特徴によれば,ロックアップクラッチのクラッチピストンに形成された環状のスプリング収容溝に複数のダンパスプリングを環状に配列して収容すると共に,隣接するダンパスプリング間に挿入される複数の第1伝動爪をクラッチピストンに設け,また第1伝動爪と共に隣接するダンパスプリング間に挿入される複数の第2伝動爪をタービン羽根車に設けた,流体伝動装置のトルクダンパにおいて,クラッチピストンの外周端部に屈曲成形されてタービン羽根車側に延びる円筒状のリムと,このリムと協働して環状のスプリング収容溝を画成すべくクラッチピストンに固着される環状のスプリング保持部材と,前記スプリング収容溝に収容されて環状に配列される複数のコイル状ダンパスプリングとを備え,前記スプリング保持部材に前記第1伝動爪と,前記クラッチピストン及びタービン羽根車間に所定値以上のトルクが加わったとき,前記第2伝動爪と当接して前記ダンパスプリングの変形を制限するストッパ部を形成したので,伝動中,ダンパスプリングに発生する大なる遠心力を,厚肉で比較的高剛性のリムで強固に支持することができ,しかもリムは,クラッチピストンの外周端部に円筒状に成形されるので,その成形は容易である。またダンパスプリングのタービン羽根車側への動きを規制するスプリング保持部材は,大きな保持力は不要であるから,これを比較的薄い鋼板で構成することが可能である。またストッパ部と第2伝動爪との協働によりダンパスプリングの変形を制限するので,ダンパスプリングを過負荷から保護することができ,以上の結果,耐久性が高く,製作が容易で軽量なトルクダンパを安価に提供することができる。
【0049】
また本発明の第2の特徴によれば,第1の特徴に加えて,前記スプリング保持部材には,前記ダンパスプリングの内径部から,該ダンパスプリングの前記クラッチピストンと反対側の側面に沿って半径方向外方に延びて該側面を略半周覆う円弧状の複数の保持壁を一体に形成し,各保持壁の回転方向端部を前記ストッパ部としたので,前記保持壁によりダンパスプリングの横方向の動きを確実に規制することができ,しかもこの保持壁が第2伝動爪と協働してダンパスプリングの圧縮量を制限するストッパ部材を兼ねることになるから,専用のストッパ部材は不要となり,これによってもコストの低減を図ることができる。
【0050】
さらに本発明の第3の特徴によれば,第1又は第2の特徴に加えて,前記クラッチピストンに,前記ダンパスプリングの外周面を覆う耐摩耗性の環状保護板をを固着したので,ダンパスプリングが遠心力を発生しつゝ伸縮するとき,ダンパスプリングとリムとの摩擦を回避してリムの摩耗を防ぐことができ,したがってリムに窒化等の硬化処理を施すことなく,その耐久性の向上を図ることができる。
【0051】
さらにまた本発明の第4の特徴によれば,第3の特徴に加えて,前記スプリング保持部材及び前記保護板の内周端部を,共に前記クラッチピストンに重ねてリベットにより固着したので,スプリング保持部材及び保護板をクラッチピストンに一挙に固着することができ,保護板の固着によるコストアップを避けることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係るトルクダンパ付きトルクコンバータの縦断側面図
【図2】図1の2−2線断面図
【図3】トルクダンパの作用を説明する,図2との対応図
【図4】図1のクラッチピストンのハブの変形例を示す断面図
【符号の説明】
D・・・・・・トルクダンパ
L・・・・・・ロックアップクラッチ
T・・・・・・流体伝動装置(トルクコンバータ)
3・・・・・・タービン羽根車
25・・・・・クラッチピストン
29・・・・・保護板
30・・・・・スプリング保持部材
30a・・・・保持壁
30b,34b′・・・・ストッパ部
31・・・・・スプリング収容溝
32A,32B・・・ダンパスプリング
33・・・・・第1伝動爪
34A,34B・・・・・第2伝動爪
35・・・・・リベット

Claims (4)

  1. ロックアップクラッチ(L)のクラッチピストン(25)に形成された環状のスプリング収容溝(31)に複数のダンパスプリング(32A,32B)を環状に配列して収容すると共に,隣接するダンパスプリング(32A,32B)間に挿入される複数の第1伝動爪(33)をクラッチピストン(25)に設け,また第1伝動爪(33)と共に隣接するダンパスプリング(32A,32B)間に挿入される複数の第2伝動爪(34A,34B)をタービン羽根車(3)に設けた,流体伝動装置のトルクダンパにおいて,
    クラッチピストン(25)の外周端部に屈曲成形されてタービン羽根車(3)側に延びる円筒状のリム(25b)と,このリム(25b)と協働して環状のスプリング収容溝(31)を画成すべくクラッチピストン(25)に固着される環状のスプリング保持部材(30)と,前記スプリング収容溝(31)に収容されて環状に配列される複数のダンパスプリング(32A,32B)とを備え,前記スプリング保持部材(30)に前記第1伝動爪(33)と,前記クラッチピストン(25)及びタービン羽根車(3)間に所定値以上のトルクが加わったとき,前記第2伝動爪(34A,34B)と当接して前記ダンパスプリング(32A,32B)の変形を制限するストッパ部(30b,30b′)を形成したことを特徴とする,流体伝動装置のトルクダンパ。
  2. 請求項1記載の流体伝動装置のトルクダンパにおいて,
    前記スプリング保持部材(30)には,前記ダンパスプリング(32A,32B)の内径部から,該ダンパスプリング(32A,32B)の前記クラッチピストン(25)と反対側の側面に沿って半径方向外方に延びて該側面を略半周覆う円弧状の複数の保持壁(30a)を一体に形成し,各保持壁(30a)の回転方向端部を前記ストッパ部(30b,30b′)としたことを特徴とする,流体伝動装置のトルクダンパ。
  3. 請求項1又は2記載の流体伝動装置のトルクダンパにおいて,
    前記クラッチピストン(25)に,前記ダンパスプリング(32A,32B)の外周面を覆う耐摩耗性の環状保護板(29)を固着したことを特徴とする,流体伝動装置のトルクダンパ。
  4. 請求項3記載の流体伝動装置のトルクダンパにおいて,
    前記スプリング保持部材(30)及び前記保護板(29)の内周端部を,共に前記クラッチピストン(25)に重ねてリベット(35)により固着したことを特徴とする,流体伝動装置のトルクダンパ。
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