JP2004233641A - 近赤外線吸収フィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】近赤外線領域内の波長780〜2100nmに幅広い吸収があり、可視光線領域内の波長380〜780nmにおける透過率が高く、耐久性(耐熱性、耐光性)の良い近赤外線吸収フィルターを提供する。
【解決手段】バインダ−樹脂として溶剤可溶型フッ素樹脂、近赤外線吸収剤としてイモニウム化合物、必要により芳香族カルボン酸を含有する層を透明プラスチックフイルム上に設けることにより、近赤外線領域内の波長830〜1400nmに幅広い吸収領域を有し、可視光線領域内の波長380〜780nmにおける透過率で、波長480〜510nmに極小透過率を有する近赤外線吸収フィルムを得る。近赤外線吸収フィルムは近赤外線吸収フイルターとしてプラズマディスプレイー等に好適に用いられる。
【解決手段】バインダ−樹脂として溶剤可溶型フッ素樹脂、近赤外線吸収剤としてイモニウム化合物、必要により芳香族カルボン酸を含有する層を透明プラスチックフイルム上に設けることにより、近赤外線領域内の波長830〜1400nmに幅広い吸収領域を有し、可視光線領域内の波長380〜780nmにおける透過率で、波長480〜510nmに極小透過率を有する近赤外線吸収フィルムを得る。近赤外線吸収フィルムは近赤外線吸収フイルターとしてプラズマディスプレイー等に好適に用いられる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種のディスプレイ装置から放出される近赤外線(830〜1000nm)を吸収することにより、周辺電子機器の誤動作を防止する目的で設けられる近赤外線フィルター用として好適な近赤外線吸収フィルムに関するものであり、更に詳しくは、可視光透過率が高く、且つ近赤外線のカット効率に優れ、特にプラズマディスプレイパネル用の近赤外線吸収フィルターとしての使用に好適な近赤外線吸収フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、大型ディスプレイとして様々な形式のディスプレイが開発、商品化されており、プラズマディスプレイパネルもそのひとつであるが、このプラズマディスプレイパネルからは、原理的にも明らかなようにプラズマ放電の際に近赤外線が放出され、この近赤外線が、家電用テレビ、クーラー、ビデオデッキ等の電子機器のリモートコントロールシステムで使用する近赤外線と近似するため、プラズマディスプレイパネル近傍の電子機器の誤動作を誘発することが問題となっている。
【0003】
そこで近赤外線、特に830〜1000nmの近赤外線領域の波長を吸収し、遮蔽するフィルターの利用が提案されている。このような近赤外線吸収フィルターとしては、2価の銅イオンを含むリン酸塩を含むガラス製フィルター、ガラス等の表面に金属(例えば銀)の薄膜を蒸着法、スパッター法やイオンプレーティング法、その他の方法により形成したフィルター、近赤外線領域の波長を吸収する色素を樹脂組成物に添加して得た塗工液をプラスチックス等の基板上にコーティングしたフィルター等を挙げることができる。
【0004】
しかしながら、上記のような近赤外線吸収フィルターのうち、前2者には吸湿性や製造工程の煩雑さ等の問題が、また、後者には近赤外領域と比較すれば少ないものの、可視光領域の光も反射し、厚くしすぎると透過率が低下し、また、製造コストが高い等の問題がある。又、ガラスを用いるものは、得られたフィルタ−が重い、割れやすい、曲げ加工が困難等の問題がある。
【0005】
近赤外領域の波長を吸収する色素を含有する樹脂組成物をプラスチックス等の基板上にコーティングしたフィルターは、一般にガラスを基板に用いたフィルターに比べ軽量であり、製造も容易等の利点を有する。
【0006】
近赤外領域の波長を吸収する色素(近赤外線吸収色素)の例としては、フタロシアニン系化合物、アントラキノン系化合物、ジチオール系化合物、ジイモニウム系化合物が挙げられる。プラズマディスプレイパネルはパネル表面の温度が高く、環境の温度が高いときにはディスプレイ用フィルターの温度も上がるため、例えば80℃でも顕著に分解等による劣化をしない近赤外線吸収色素が望まれる。また、耐熱性に加えて耐光性においても優れていることが必要である。例えば、シアニン系色素は耐光堅牢度が低く、特にプラズマディスプレイパネル用としては不向きであり、又、フタロシアニン系色素は、吸収波長領域が600〜800nmであって、特にプラズマディスプレイパネル用として必要とされる830〜1000nmの領域において効率良く遮蔽することができず、さらに、両者ともに可視光領域の吸収も大きく、高い可視光線透過率が必要とされるディスプレイ用としては不充分である。
【0007】
これらの問題を解決するために、フィルターのプラスチック化を目的に近赤外領域に吸収特性を有する多くの材料が提案されている。例えば、特許文献1に記述されているように金属フタロシアニン化合物をメチルメタクリレートのモノマーに溶解させた後に重合させたパネルが知られている。また、フタロシアニン系、アントラキノン系、シアニン系等の化合物を溶融した樹脂中に混練した後に、押し出し成形した近赤外線吸収パネルも知られている。
【0008】
しかし、これらのパネルの製造にあたっては高温での溶融押し出しや重合反応の工程を含むために、熱的に不安定であったり、化学反応によって分解・変性するような近赤外線吸収剤の使用は出来ず、従って、得られるパネルの近赤外線吸収特性は十分ではない。さらに、ディスプレイ等のパネルに使用するためには、近赤外線吸収特性と同時に色調も重要である。色調を調整するためには、通常数種類の色素を配合することが行われる。近赤外線領域に吸収特性を有する色素の中には他の色素と混在するとその特性が変化したり、あるいは化学反応等や誘電的相互作用によって近赤外線吸収能が変化するものがある。
【0009】
また、プラズマディスプレイパネルの近赤外線吸収フィルターとして必要な、近赤外線領域内の波長830〜1000nmでの透過率を20%以下にするために数種類の近赤外線吸収剤を組合わせて使用する場合もある。
【0010】
【特許文献1】
特開昭62ー14113号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、近赤外線の吸収能に優れ、熱、光に対して堅牢な近赤外線吸収フィルターを提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題の解決に向けて鋭意検討の結果、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、
(1)波長830〜1400nmにおける透過率が20%以下であり、波長380〜780nmにおける透過率で、波長480〜510nmに極小透過率を有し、視感度透過率が70%以上であることを特徴とする近赤外線吸収フィルム、
(2)溶剤可溶型フッ素樹脂、対イオンがフッ化アンチモン酸イオンであるジイモニウム系化合物を含有する層を透明支持体上に設けてなる(1)に記載の近赤外線吸収フィルム、
(3)溶剤可溶型フッ素樹脂、対イオンがフッ化アンチモン酸イオンであるジイモニウム系化合物及び芳香族カルボン酸を含有する層を設けてなる(1)又は(2)に記載の近赤外線吸収フィルム、
(4)芳香族カルボン酸が安息香酸、o−メトキシ安息香酸、p−トルイル酸、フタル酸、トリメリット酸からなる群より選択される1種又は2種以上である(3)に記載の近赤外線吸収フィルム、
(5)透明支持体がポリエステルフィルムである(2)乃至(4)のいずれか一項に記載の近赤外線吸収フィルム、
(6)透明支持体に設けた近赤外線吸収層上又はその反対側の面に反射防止機能を設けてなる(1)〜(5)のいずれか一項に記載の赤外線吸収フィルム、
(7)プラズマディスプレイパネル用近赤外吸収フィルターとして用いた(1)〜(6)のいずれか一項に記載の近赤外線吸収フィルム、
に関する。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下において、本発明を具体的に説明する。
本発明の近赤外線吸収フィルムは波長830〜1400nmにおける透過率が20%以下であり、波長380〜780nmにおける透過率で、波長480〜510nmに極小透過率を有し、視感度透過率が70%以上の光学特性を有するものである。このような近赤外線吸収フィルムは好ましい態様においては、近赤外線吸収能を有する色素、溶剤可溶型フッ素樹脂を含有する組成物、又は、近赤外線吸収能を有する色素、芳香族カルボン酸及び溶剤可溶型フッ素樹脂を含有する組成物を溶剤に溶解して塗工液とし、これをポリエステルフィルムなどの透明支持体上にコーティングすることにより近赤外線を吸収する機能を有する層を設ける事により得られる。
【0014】
本発明において用いられる近赤外線吸収能を有する色素としては、ジイモニウム系化合物が好ましく、特に、式(1)で表されるジイモニウム系化合物を好適に用いることができるが、これらのみに限定されるものではない。
【0015】
【化1】
【0016】
上記式中、R1乃至R8は互いに同一あるいは相異なるアルキル基を表し、例えば、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基等が挙げあられ、n−ブチル基が好ましい。Xは対イオンを表しており、例えばフッ素イオン、ヘキサフルオロアンチモン酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン等のフッ化アンチモン酸イオンがあげられ、中でもヘキサフルオロアンチモン酸イオンが好ましい。これらの化合物のうち特に好ましいものはR1〜R8のすべてがアルキル基であるものであり、更にR1〜R8のすべてがn−ブチル基であるものである。
従来830〜1000nmの波長領域をカバーするためには数種類の近赤外線吸収色素を組み合わせて使用する必要があった。しかし、本発明ではジイモニウム系化合物を1種類のみ使用しても波長830〜1000nmにおける透過率を20%以下におさえることができる。勿論、ジイモニウム系化合物と他の近赤外線吸収剤との併用を禁ずるものではない。
また本発明で得られる近赤外吸収フィルムの特徴は、可視光線領域内の透過率で、波長480〜510nmに極小透過率を有していることである。しかし、必要なら他の色素を用いて要求される色相に調整することも可能である。
【0017】
本発明においては前記近赤外線吸収能を有する色素と共に、芳香族カルボン酸を用いてもよい。本発明で用いうる芳香族カルボン酸の具体例としては、安息香酸、o−メトキシ安息香酸、p−トルイル酸、フタル酸、トリメリット酸等が挙げられるが、安息香酸、o−メトキシ安息香酸、p−トルイル酸が好ましく、o−メトキシ安息香酸が更に好ましい。これらの芳香族カルボン酸は使用する樹脂の架橋反応他に有効に作用するものと考えられる。特に樹脂として溶剤可溶型フッ素樹脂を用いた場合には、芳香族カルボン酸を近赤外線吸収剤と共に併用するのが好ましい。
【0018】
本発明に用いられる樹脂としては熱硬化型樹脂、熱可塑性樹脂等が使用できる。本発明に用いられる樹脂としては、通常の熱硬化型樹脂、熱可塑性樹脂等が使用できる。しかし、本発明に用いる樹脂としては、硬化時間を短縮できる、耐久性を向上できる等の理由により溶剤可溶型フッ素樹脂を用いることが好ましい。用いうる溶剤可溶型フッ素樹脂の具体例としては、クロロトリフルオロエチレン系フルオロオレフィンビニルエーテル共重合体やテトラフルオロエチレン系フルオロオレフィンビニルエーテル共重合体等がある。又溶剤可溶型フッ素樹脂をイソシアネート類やメラミン系の硬化剤を用いて熱硬化させたものも好ましい。これらは市販品として市場から容易に入手出来る。
【0019】
本発明において塗工液を調製するために使用される溶剤としては樹脂、近赤外線吸収剤、必要により用いられる芳香族カルボン酸他の添加剤に対する溶解能力、塗工膜の乾燥性等を考慮してケトン系溶剤、エステル系溶剤等を用いるのが好ましい。使用しうる溶剤の具体例としてはメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等が挙げられる。
【0020】
本発明において用いられる透明支持体としては各種プラスチックフィルムが使用できる。使用しうるプラスチックフィルムの具体例としては、ABS樹脂、アセタール樹脂、(メタ)アクリル樹脂、酢酸セルロース、塩素化ポリエーテル、エチレン−酢ビ共重合体、フッ素樹脂、アイオノマー、メチルペンテンポリマー、ナイロン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリイミド、ポリフェニレンオキサイド、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリルスルホン、ポリアリレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリスルホン、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、AS樹脂、塩化ビニル樹脂、アルキド樹脂、アリル樹脂、アミノ樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂等から得られたフイルムが挙げられるが、作業性、経済性、入手性等を考慮するとポリエチレンテレフターレートフィルムが好ましい。またプラスチックフィルムの厚みは作業性から50〜250μmが好ましく、更に好ましくは75〜150μmである。
【0021】
本発明において、近赤外線を吸収する層を設ける為の塗工液は例えば次ぎのようにして調製される。近赤外線吸収色素、又は近赤外線吸収色素と芳香族カルボン酸を溶剤に攪拌溶解した後、樹脂を添加し、均一になるように攪拌溶解する。塗工液中の固形分は塗工方法によって異なるが、通常5〜40重量%、好ましくは10〜30重量%である。
【0022】
本発明において、近赤外線吸収能を有する層をコーティングにより透明支持体上に形成する。コーティング方法としてはマイクログラビアコート、グラビアコート、リップコート等が挙げられるが特に限定されない。塗工後の乾燥温度としては、使用した溶剤の種類にもよるが、通常80〜200℃、好ましくは100〜180℃である。近赤外線吸収能を有する層の厚みは塗工液中の固形分の含有量によっても異なるが、通常1〜20μm、好ましくは3〜10μmである。
【0023】
本発明の近赤外線吸収フィルムに反射防止機能を設けることもできる。
反射防止機能を付与する方法としては、コーティング等により該近赤外線吸収フィルム上に反射防止層を形成する方法や、既成の反射防止フィルムを貼り合わせる方法などがある。反射防止機能は、可視光線領域において屈折率が1.5以下、好適には1.4以下のフッ素系透明高分子樹脂やフッ化マグネシウム、シリコン系樹脂や酸化ケイ素薄膜等を例えば1/4波長の膜厚で単層形成したもの、屈折率の異なる、金属酸化物、フッ化物、ケイ化物、ホウ化物、炭化物、窒化物、硫化物等の無機化合物又はシリコン系樹脂やアクリル樹脂、フッ化系樹脂等の有機化合物の薄膜を支持体からみて高屈折率層、低屈折率層の順に2層以上に積層することにより達成されるものである。単層形成したものは、製造が容易であるが、反射防止性が多層積層に比べ劣る傾向にある。4層積層したものは、広い波長領域にわたって反射防止能を有し、支持体の光学特性による光学設計の制限が少ない。
【0024】
本発明で得られる近赤外線吸収フィルムは、近赤外線領域内の波長830〜1400nmにおける透過率が20%以下であり、視感度透過率が70%以上であることから、プラズマディスプレイパネル用近赤外線吸収フィルターとして好適に用いることができる。
プラズマディスプレイに本発明の近赤外線吸収フイルムを近赤外線吸収フイルタとして設ける方法としては、電磁波シールドのクラスにより、スパッタガラス又は半強化ガラスを設け、該ガラス上に粘着、接着等の方法により本発明の近赤外線吸収フイルムを貼り合わせて形成される。近赤外線吸収フイルムはガラスのいずれの面でもよいが、通常はプラズマディスプレイー本体の反対側の面に設けられる。
【0025】
【実施例】
次に、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明がかかる実施例のみに限定されるものではない。
【0026】
実施例1
溶剤可溶型フッ素樹脂(ルミフロンLF600、旭硝子株式会社製)10g、下記式で示される近赤外線吸収色素(日本化薬株式会社製)1.10g、メチルエチルケトン20g、o―メトキシ安息香酸0.17g、硬化剤(コロネートHL、日本ポリウレタン社製)0.3gを均一になるように撹拌溶解する。溶解して得られた塗工液を125μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上にバーコーターNo.16で膜厚が4〜5μmになるように塗布し、塗布後100℃で5分間乾燥する。得られた本発明の近赤外線吸収フィルムの分光チャートを図1に示した。又、この近赤外線吸収フィルムの耐久性が良好であった。
【0027】
【化2】
【0028】
実施例2
溶剤可溶型フッ素樹脂(ルミフロンLF400、旭硝子株式会社製)10g、前記近赤外線吸収色素1.10g、メチルエチルケトン20gを均一になるように撹拌溶解する。溶解して得られた塗工液を125μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上にバーコーターNo.16で膜厚が4〜5μmになるように塗布し、塗布後100℃で5分間乾燥する。得られた本発明の近赤外線吸収フィルムの分光チャートを図2に示した。又、この近赤外線吸収フィルムの耐久性が良好であった。
【0029】
実施例3
溶剤可溶型フッ素樹脂(ルミフロンLF200、旭硝子株式会社製)10g、前記近赤外線吸収色素1.10g、メチルエチルケトン20g、添加剤(o―メトキシ安息香酸)0.17gを均一になるように撹拌溶解する。溶解して得られた塗工液を125μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上にバーコーターNo.16で膜厚が4〜5μmになるように塗布し、塗布後100℃で5分間乾燥する。得られた本発明の近赤外線吸収フィルムの分光チャートを図3に示した。又、この近赤外線吸収フィルムの耐久性が良好であった。
【0030】
比較例1
アクリル樹脂(アクリディック55−129、大日本インキ化学工業株式会社製)10g、硬化剤(バーノックD−800、大日本インキ化学工業株式会社製)2.7g、前記近赤外線吸収色素1.25g、メチルエチルケトン20gを均一になるように撹拌溶解する。溶解して得られた塗工液を125μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上にバーコーターNo.12で膜厚が4〜5μmになるように塗布し、塗布後100℃で30分間乾燥する。得られた比較用の近赤外線吸収フィルムの分光チャートを図4に示した。
【0031】
実施例1〜3及び比較例1で得られた各近赤外線吸収フィルムの透過率デ−タを表1に纏めた。表において、実施例1、実施例2、実施例3および比較例1における波長480〜510nmの極小透過率部の波長、波長380〜780nmにおける視感度透過率、波長830nm、1000nm、1400nmにおける透過率である。視感度透過率は、JIS Z 8701で定義される計算式から算出した値を示した。
【0032】
【0033】
【発明の効果】
近赤外線領域内の波長830〜1400nmに幅広い吸収領域を有し、可視光線領域内の波長380〜780nmにおける透過率で、波長480〜510nmに極小透過率を有する耐久性にすぐれた近赤外線吸収フィルムが得られた。本発明の近赤外線吸収フィルムは近赤外線吸収フイルターとしてプラズマディスプレイー等に好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】は実施例1で得た本発明の近赤外線吸収フィルターの分光スペクトルである。
【図2】は実施例2で得た本発明の近赤外線吸収フィルターの分光スペクトルである。
【図3】は実施例3で得た本発明の近赤外線吸収フィルターの分光スペクトルである。
【図4】は比較例1で得た近赤外線吸収フィルターの分光スペクトルである。
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種のディスプレイ装置から放出される近赤外線(830〜1000nm)を吸収することにより、周辺電子機器の誤動作を防止する目的で設けられる近赤外線フィルター用として好適な近赤外線吸収フィルムに関するものであり、更に詳しくは、可視光透過率が高く、且つ近赤外線のカット効率に優れ、特にプラズマディスプレイパネル用の近赤外線吸収フィルターとしての使用に好適な近赤外線吸収フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、大型ディスプレイとして様々な形式のディスプレイが開発、商品化されており、プラズマディスプレイパネルもそのひとつであるが、このプラズマディスプレイパネルからは、原理的にも明らかなようにプラズマ放電の際に近赤外線が放出され、この近赤外線が、家電用テレビ、クーラー、ビデオデッキ等の電子機器のリモートコントロールシステムで使用する近赤外線と近似するため、プラズマディスプレイパネル近傍の電子機器の誤動作を誘発することが問題となっている。
【0003】
そこで近赤外線、特に830〜1000nmの近赤外線領域の波長を吸収し、遮蔽するフィルターの利用が提案されている。このような近赤外線吸収フィルターとしては、2価の銅イオンを含むリン酸塩を含むガラス製フィルター、ガラス等の表面に金属(例えば銀)の薄膜を蒸着法、スパッター法やイオンプレーティング法、その他の方法により形成したフィルター、近赤外線領域の波長を吸収する色素を樹脂組成物に添加して得た塗工液をプラスチックス等の基板上にコーティングしたフィルター等を挙げることができる。
【0004】
しかしながら、上記のような近赤外線吸収フィルターのうち、前2者には吸湿性や製造工程の煩雑さ等の問題が、また、後者には近赤外領域と比較すれば少ないものの、可視光領域の光も反射し、厚くしすぎると透過率が低下し、また、製造コストが高い等の問題がある。又、ガラスを用いるものは、得られたフィルタ−が重い、割れやすい、曲げ加工が困難等の問題がある。
【0005】
近赤外領域の波長を吸収する色素を含有する樹脂組成物をプラスチックス等の基板上にコーティングしたフィルターは、一般にガラスを基板に用いたフィルターに比べ軽量であり、製造も容易等の利点を有する。
【0006】
近赤外領域の波長を吸収する色素(近赤外線吸収色素)の例としては、フタロシアニン系化合物、アントラキノン系化合物、ジチオール系化合物、ジイモニウム系化合物が挙げられる。プラズマディスプレイパネルはパネル表面の温度が高く、環境の温度が高いときにはディスプレイ用フィルターの温度も上がるため、例えば80℃でも顕著に分解等による劣化をしない近赤外線吸収色素が望まれる。また、耐熱性に加えて耐光性においても優れていることが必要である。例えば、シアニン系色素は耐光堅牢度が低く、特にプラズマディスプレイパネル用としては不向きであり、又、フタロシアニン系色素は、吸収波長領域が600〜800nmであって、特にプラズマディスプレイパネル用として必要とされる830〜1000nmの領域において効率良く遮蔽することができず、さらに、両者ともに可視光領域の吸収も大きく、高い可視光線透過率が必要とされるディスプレイ用としては不充分である。
【0007】
これらの問題を解決するために、フィルターのプラスチック化を目的に近赤外領域に吸収特性を有する多くの材料が提案されている。例えば、特許文献1に記述されているように金属フタロシアニン化合物をメチルメタクリレートのモノマーに溶解させた後に重合させたパネルが知られている。また、フタロシアニン系、アントラキノン系、シアニン系等の化合物を溶融した樹脂中に混練した後に、押し出し成形した近赤外線吸収パネルも知られている。
【0008】
しかし、これらのパネルの製造にあたっては高温での溶融押し出しや重合反応の工程を含むために、熱的に不安定であったり、化学反応によって分解・変性するような近赤外線吸収剤の使用は出来ず、従って、得られるパネルの近赤外線吸収特性は十分ではない。さらに、ディスプレイ等のパネルに使用するためには、近赤外線吸収特性と同時に色調も重要である。色調を調整するためには、通常数種類の色素を配合することが行われる。近赤外線領域に吸収特性を有する色素の中には他の色素と混在するとその特性が変化したり、あるいは化学反応等や誘電的相互作用によって近赤外線吸収能が変化するものがある。
【0009】
また、プラズマディスプレイパネルの近赤外線吸収フィルターとして必要な、近赤外線領域内の波長830〜1000nmでの透過率を20%以下にするために数種類の近赤外線吸収剤を組合わせて使用する場合もある。
【0010】
【特許文献1】
特開昭62ー14113号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、近赤外線の吸収能に優れ、熱、光に対して堅牢な近赤外線吸収フィルターを提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題の解決に向けて鋭意検討の結果、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、
(1)波長830〜1400nmにおける透過率が20%以下であり、波長380〜780nmにおける透過率で、波長480〜510nmに極小透過率を有し、視感度透過率が70%以上であることを特徴とする近赤外線吸収フィルム、
(2)溶剤可溶型フッ素樹脂、対イオンがフッ化アンチモン酸イオンであるジイモニウム系化合物を含有する層を透明支持体上に設けてなる(1)に記載の近赤外線吸収フィルム、
(3)溶剤可溶型フッ素樹脂、対イオンがフッ化アンチモン酸イオンであるジイモニウム系化合物及び芳香族カルボン酸を含有する層を設けてなる(1)又は(2)に記載の近赤外線吸収フィルム、
(4)芳香族カルボン酸が安息香酸、o−メトキシ安息香酸、p−トルイル酸、フタル酸、トリメリット酸からなる群より選択される1種又は2種以上である(3)に記載の近赤外線吸収フィルム、
(5)透明支持体がポリエステルフィルムである(2)乃至(4)のいずれか一項に記載の近赤外線吸収フィルム、
(6)透明支持体に設けた近赤外線吸収層上又はその反対側の面に反射防止機能を設けてなる(1)〜(5)のいずれか一項に記載の赤外線吸収フィルム、
(7)プラズマディスプレイパネル用近赤外吸収フィルターとして用いた(1)〜(6)のいずれか一項に記載の近赤外線吸収フィルム、
に関する。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下において、本発明を具体的に説明する。
本発明の近赤外線吸収フィルムは波長830〜1400nmにおける透過率が20%以下であり、波長380〜780nmにおける透過率で、波長480〜510nmに極小透過率を有し、視感度透過率が70%以上の光学特性を有するものである。このような近赤外線吸収フィルムは好ましい態様においては、近赤外線吸収能を有する色素、溶剤可溶型フッ素樹脂を含有する組成物、又は、近赤外線吸収能を有する色素、芳香族カルボン酸及び溶剤可溶型フッ素樹脂を含有する組成物を溶剤に溶解して塗工液とし、これをポリエステルフィルムなどの透明支持体上にコーティングすることにより近赤外線を吸収する機能を有する層を設ける事により得られる。
【0014】
本発明において用いられる近赤外線吸収能を有する色素としては、ジイモニウム系化合物が好ましく、特に、式(1)で表されるジイモニウム系化合物を好適に用いることができるが、これらのみに限定されるものではない。
【0015】
【化1】
【0016】
上記式中、R1乃至R8は互いに同一あるいは相異なるアルキル基を表し、例えば、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基等が挙げあられ、n−ブチル基が好ましい。Xは対イオンを表しており、例えばフッ素イオン、ヘキサフルオロアンチモン酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン等のフッ化アンチモン酸イオンがあげられ、中でもヘキサフルオロアンチモン酸イオンが好ましい。これらの化合物のうち特に好ましいものはR1〜R8のすべてがアルキル基であるものであり、更にR1〜R8のすべてがn−ブチル基であるものである。
従来830〜1000nmの波長領域をカバーするためには数種類の近赤外線吸収色素を組み合わせて使用する必要があった。しかし、本発明ではジイモニウム系化合物を1種類のみ使用しても波長830〜1000nmにおける透過率を20%以下におさえることができる。勿論、ジイモニウム系化合物と他の近赤外線吸収剤との併用を禁ずるものではない。
また本発明で得られる近赤外吸収フィルムの特徴は、可視光線領域内の透過率で、波長480〜510nmに極小透過率を有していることである。しかし、必要なら他の色素を用いて要求される色相に調整することも可能である。
【0017】
本発明においては前記近赤外線吸収能を有する色素と共に、芳香族カルボン酸を用いてもよい。本発明で用いうる芳香族カルボン酸の具体例としては、安息香酸、o−メトキシ安息香酸、p−トルイル酸、フタル酸、トリメリット酸等が挙げられるが、安息香酸、o−メトキシ安息香酸、p−トルイル酸が好ましく、o−メトキシ安息香酸が更に好ましい。これらの芳香族カルボン酸は使用する樹脂の架橋反応他に有効に作用するものと考えられる。特に樹脂として溶剤可溶型フッ素樹脂を用いた場合には、芳香族カルボン酸を近赤外線吸収剤と共に併用するのが好ましい。
【0018】
本発明に用いられる樹脂としては熱硬化型樹脂、熱可塑性樹脂等が使用できる。本発明に用いられる樹脂としては、通常の熱硬化型樹脂、熱可塑性樹脂等が使用できる。しかし、本発明に用いる樹脂としては、硬化時間を短縮できる、耐久性を向上できる等の理由により溶剤可溶型フッ素樹脂を用いることが好ましい。用いうる溶剤可溶型フッ素樹脂の具体例としては、クロロトリフルオロエチレン系フルオロオレフィンビニルエーテル共重合体やテトラフルオロエチレン系フルオロオレフィンビニルエーテル共重合体等がある。又溶剤可溶型フッ素樹脂をイソシアネート類やメラミン系の硬化剤を用いて熱硬化させたものも好ましい。これらは市販品として市場から容易に入手出来る。
【0019】
本発明において塗工液を調製するために使用される溶剤としては樹脂、近赤外線吸収剤、必要により用いられる芳香族カルボン酸他の添加剤に対する溶解能力、塗工膜の乾燥性等を考慮してケトン系溶剤、エステル系溶剤等を用いるのが好ましい。使用しうる溶剤の具体例としてはメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等が挙げられる。
【0020】
本発明において用いられる透明支持体としては各種プラスチックフィルムが使用できる。使用しうるプラスチックフィルムの具体例としては、ABS樹脂、アセタール樹脂、(メタ)アクリル樹脂、酢酸セルロース、塩素化ポリエーテル、エチレン−酢ビ共重合体、フッ素樹脂、アイオノマー、メチルペンテンポリマー、ナイロン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリイミド、ポリフェニレンオキサイド、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリルスルホン、ポリアリレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリスルホン、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、AS樹脂、塩化ビニル樹脂、アルキド樹脂、アリル樹脂、アミノ樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂等から得られたフイルムが挙げられるが、作業性、経済性、入手性等を考慮するとポリエチレンテレフターレートフィルムが好ましい。またプラスチックフィルムの厚みは作業性から50〜250μmが好ましく、更に好ましくは75〜150μmである。
【0021】
本発明において、近赤外線を吸収する層を設ける為の塗工液は例えば次ぎのようにして調製される。近赤外線吸収色素、又は近赤外線吸収色素と芳香族カルボン酸を溶剤に攪拌溶解した後、樹脂を添加し、均一になるように攪拌溶解する。塗工液中の固形分は塗工方法によって異なるが、通常5〜40重量%、好ましくは10〜30重量%である。
【0022】
本発明において、近赤外線吸収能を有する層をコーティングにより透明支持体上に形成する。コーティング方法としてはマイクログラビアコート、グラビアコート、リップコート等が挙げられるが特に限定されない。塗工後の乾燥温度としては、使用した溶剤の種類にもよるが、通常80〜200℃、好ましくは100〜180℃である。近赤外線吸収能を有する層の厚みは塗工液中の固形分の含有量によっても異なるが、通常1〜20μm、好ましくは3〜10μmである。
【0023】
本発明の近赤外線吸収フィルムに反射防止機能を設けることもできる。
反射防止機能を付与する方法としては、コーティング等により該近赤外線吸収フィルム上に反射防止層を形成する方法や、既成の反射防止フィルムを貼り合わせる方法などがある。反射防止機能は、可視光線領域において屈折率が1.5以下、好適には1.4以下のフッ素系透明高分子樹脂やフッ化マグネシウム、シリコン系樹脂や酸化ケイ素薄膜等を例えば1/4波長の膜厚で単層形成したもの、屈折率の異なる、金属酸化物、フッ化物、ケイ化物、ホウ化物、炭化物、窒化物、硫化物等の無機化合物又はシリコン系樹脂やアクリル樹脂、フッ化系樹脂等の有機化合物の薄膜を支持体からみて高屈折率層、低屈折率層の順に2層以上に積層することにより達成されるものである。単層形成したものは、製造が容易であるが、反射防止性が多層積層に比べ劣る傾向にある。4層積層したものは、広い波長領域にわたって反射防止能を有し、支持体の光学特性による光学設計の制限が少ない。
【0024】
本発明で得られる近赤外線吸収フィルムは、近赤外線領域内の波長830〜1400nmにおける透過率が20%以下であり、視感度透過率が70%以上であることから、プラズマディスプレイパネル用近赤外線吸収フィルターとして好適に用いることができる。
プラズマディスプレイに本発明の近赤外線吸収フイルムを近赤外線吸収フイルタとして設ける方法としては、電磁波シールドのクラスにより、スパッタガラス又は半強化ガラスを設け、該ガラス上に粘着、接着等の方法により本発明の近赤外線吸収フイルムを貼り合わせて形成される。近赤外線吸収フイルムはガラスのいずれの面でもよいが、通常はプラズマディスプレイー本体の反対側の面に設けられる。
【0025】
【実施例】
次に、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明がかかる実施例のみに限定されるものではない。
【0026】
実施例1
溶剤可溶型フッ素樹脂(ルミフロンLF600、旭硝子株式会社製)10g、下記式で示される近赤外線吸収色素(日本化薬株式会社製)1.10g、メチルエチルケトン20g、o―メトキシ安息香酸0.17g、硬化剤(コロネートHL、日本ポリウレタン社製)0.3gを均一になるように撹拌溶解する。溶解して得られた塗工液を125μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上にバーコーターNo.16で膜厚が4〜5μmになるように塗布し、塗布後100℃で5分間乾燥する。得られた本発明の近赤外線吸収フィルムの分光チャートを図1に示した。又、この近赤外線吸収フィルムの耐久性が良好であった。
【0027】
【化2】
【0028】
実施例2
溶剤可溶型フッ素樹脂(ルミフロンLF400、旭硝子株式会社製)10g、前記近赤外線吸収色素1.10g、メチルエチルケトン20gを均一になるように撹拌溶解する。溶解して得られた塗工液を125μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上にバーコーターNo.16で膜厚が4〜5μmになるように塗布し、塗布後100℃で5分間乾燥する。得られた本発明の近赤外線吸収フィルムの分光チャートを図2に示した。又、この近赤外線吸収フィルムの耐久性が良好であった。
【0029】
実施例3
溶剤可溶型フッ素樹脂(ルミフロンLF200、旭硝子株式会社製)10g、前記近赤外線吸収色素1.10g、メチルエチルケトン20g、添加剤(o―メトキシ安息香酸)0.17gを均一になるように撹拌溶解する。溶解して得られた塗工液を125μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上にバーコーターNo.16で膜厚が4〜5μmになるように塗布し、塗布後100℃で5分間乾燥する。得られた本発明の近赤外線吸収フィルムの分光チャートを図3に示した。又、この近赤外線吸収フィルムの耐久性が良好であった。
【0030】
比較例1
アクリル樹脂(アクリディック55−129、大日本インキ化学工業株式会社製)10g、硬化剤(バーノックD−800、大日本インキ化学工業株式会社製)2.7g、前記近赤外線吸収色素1.25g、メチルエチルケトン20gを均一になるように撹拌溶解する。溶解して得られた塗工液を125μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上にバーコーターNo.12で膜厚が4〜5μmになるように塗布し、塗布後100℃で30分間乾燥する。得られた比較用の近赤外線吸収フィルムの分光チャートを図4に示した。
【0031】
実施例1〜3及び比較例1で得られた各近赤外線吸収フィルムの透過率デ−タを表1に纏めた。表において、実施例1、実施例2、実施例3および比較例1における波長480〜510nmの極小透過率部の波長、波長380〜780nmにおける視感度透過率、波長830nm、1000nm、1400nmにおける透過率である。視感度透過率は、JIS Z 8701で定義される計算式から算出した値を示した。
【0032】
【0033】
【発明の効果】
近赤外線領域内の波長830〜1400nmに幅広い吸収領域を有し、可視光線領域内の波長380〜780nmにおける透過率で、波長480〜510nmに極小透過率を有する耐久性にすぐれた近赤外線吸収フィルムが得られた。本発明の近赤外線吸収フィルムは近赤外線吸収フイルターとしてプラズマディスプレイー等に好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】は実施例1で得た本発明の近赤外線吸収フィルターの分光スペクトルである。
【図2】は実施例2で得た本発明の近赤外線吸収フィルターの分光スペクトルである。
【図3】は実施例3で得た本発明の近赤外線吸収フィルターの分光スペクトルである。
【図4】は比較例1で得た近赤外線吸収フィルターの分光スペクトルである。
Claims (7)
- 波長830〜1400nmにおける透過率が20%以下であり、波長380〜780nmにおける透過率で、波長480〜510nmに極小透過率を有し、視感度透過率が70%以上であることを特徴とする近赤外線吸収フィルム
- 溶剤可溶型フッ素樹脂、対イオンがフッ化アンチモン酸イオンであるジイモニウム系化合物を含有する層を透明支持体上に設けてなる請求項1に記載の近赤外線吸収フィルム
- 溶剤可溶型フッ素樹脂、対イオンがフッ化アンチモン酸イオンであるジイモニウム系化合物及び芳香族カルボン酸を含有する層を設けてなる請求項1又は請求項2に記載の近赤外線吸収フィルム
- 芳香族カルボン酸が安息香酸、o−メトキシ安息香酸、p−トルイル酸、フタル酸、トリメリット酸からなる群より選択される1種又は2種以上である請求項3に記載の近赤外線吸収フィルム
- 透明支持体がポリエステルフィルムである請求項2乃至請求項4のいずれか一項に記載の近赤外線吸収フィルム
- 透明支持体に設けた近赤外線吸収層上又はその反対側の面に反射防止機能を設けてなる請求項1〜5のいずれか一項に記載の赤外線吸収フィルム
- プラズマディスプレイパネル用近赤外吸収フィルターとして用いた請求項1〜6のいずれか一項に記載の近赤外線吸収フィルム
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