JP2004232842A - ブラインドリベットの頭部を有するドリルねじ - Google Patents
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Abstract
【課題】ドリルねじの頭部をブラインドリベットの頭部のような扁平形態とし、頭部直下の軸部分を径大化して、十字穴の設計に十分な強度補強を図り得るようになしたブラインドリベットの頭部を有するドリルねじを提供すること。
【解決手段】ねじ軸部7と、ねじ軸部の一端側に設けたドリル刃部6と、ねじ軸部の他端側に設けたねじ頭部4とによって構成されるドリルねじにおいて、ねじ軸部の呼び径に対するねじ頭部4が、JIS−B4627に規定するブラインドリベットの頭部径寸法D並びに頭部高さ寸法Hでなる扁平なトラス状に形成され、回転力を伝達する十字穴5を備えたものからなり、ねじ頭部に設けた十字穴の底部分5aがねじ軸部に達する部位においてねじ軸部をねじ頭部側に向けて径大化するテーパー状に補強成形してなるブラインドリベットの頭部を有するドリルねじを構成する。
【選択図】 図2
【解決手段】ねじ軸部7と、ねじ軸部の一端側に設けたドリル刃部6と、ねじ軸部の他端側に設けたねじ頭部4とによって構成されるドリルねじにおいて、ねじ軸部の呼び径に対するねじ頭部4が、JIS−B4627に規定するブラインドリベットの頭部径寸法D並びに頭部高さ寸法Hでなる扁平なトラス状に形成され、回転力を伝達する十字穴5を備えたものからなり、ねじ頭部に設けた十字穴の底部分5aがねじ軸部に達する部位においてねじ軸部をねじ頭部側に向けて径大化するテーパー状に補強成形してなるブラインドリベットの頭部を有するドリルねじを構成する。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、ドリルねじの改良に関するものであり、特に、当該ドリルねじの頭部を、ブラインドリベットの頭部のような扁平形態とするとともに、頭部直下の軸部分を径大化して、回転工具係合用の十字穴の設計に対しても十分な強度補強を図り得るようになしたブラインドリベットの頭部を有するドリルねじに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、ドリルねじ(Self Drilling Tapping Screws) は、被対象物に
対して自ら削孔(ドリリング)し、自らねじ立て(ねじ切り:タッピング)し、自らネジ止め締結するという複数の機能を併せ持ったねじ部材であり、例えば、被対象物としての屋根材、壁面材などの金属パネルを支持鋼に対して固着する際に、金属パネル並びに支持鋼に対して下孔を設けない状態で、固着点とすべき金属パネル並びに支持鋼の双方に孔明けを行いつつ、明けられた孔にねじ立てを行い、最終的にはねじ締めによって当該金属パネルを支持鋼に固着するようにしたものである。このドリルねじは、下孔が不要なことから各種の用途に応じて大量に使用されている。
【0003】
一方、ブラインドリベットは、被施工物に対して片側から施工(締結施工)が行えるという便利さから、大量に利用され、専用のツールも手動、電動、空動、コードレス電動などとして多様に開発されてきている。このブラインドリベットの頭部は、球面を持ったトラス頭の扁平状のものであり、JIS規格(JIS−B4627)により、呼び径に対する頭部の径寸法D並びに頭部の高さ(厚さ)寸法Hが規定されている。ところが、このブラインドリベットを用いる場合には、予めリベットの取付け穴を明けて置かなければならない欠点と、さらに、部材の穴と支持鋼の取付け穴の位置とを合致させねば使用できないなどの欠点とを有するものである。
【0004】
この発明では、上記するドリルねじとブラインドリベットの双方の特徴を加味して構成し、削孔とタッピングを可能にすることによって、上記するブラインドリベットの欠点であった取付け穴の事前の準備が不要であり、その位置合わせも不要となるというブラインドリベット様のドリルねじを供することができる。
【0005】
しかしながら、このブラインドリベット様のドリルねじは、頭部をブラインドリベットと同じ球面を持ったトラス状の扁平頭部とするだけでは、当該頭部の厚みが制限されたものとなるため、削孔やタッピングに必要な回転力を伝達する十字穴の規模を確実なものとして確保することができない。
【0006】
その理由をさらに詳述すると、例えば、JIS−B4626により規定されるブラインドリベットの構成によれば、軸径寸法が4mmのものである場合、頭部の厚み寸法Hは、最大でも1.6mmであり、軸径寸法が4.8mmの場合でも、その頭部厚み寸法Hは、最大1.8mmに制限されているものである。この頭部の厚み寸法は、JIS−B1122に規定する十字穴付きのタッピンねじにおける頭部の厚み寸法と比較すると、ねじ径2.2mmにしか相当しない。
【0007】
このように小径ねじの頭部に設けられる十字穴の寸法Mも小さいものとなり、その寸法Mは、2.0mmでしかない。また、十字穴の大きさの規格も最小の0番とされている。一方、ワンランク上のねじ径2.9mmで、頭部の厚み寸法2.4mmの場合でも、十字穴の寸法Mは3.0mmであり、当該十字穴の大きさの規格も1番でしかない。
【0008】
一方また、ドリルねじのJIS規格によれば、その十字穴の大きさの規格は、ねじ径が3.5mmの場合でも、2番のものが必要であり、ねじ径が5.5mm以上の場合では、3番のものが必要とされている。十字穴の大きさの規格が2番のものである場合において、十字穴の寸法Mは最小でも4.1mmのものが必要とされている。これらの数値は、実用上さらに大きなものが求められる。
【0009】
したがって、上記するようなブラインドリベットの扁平(1.6〜1.8mm)な頭部構造のものでは、削孔やタッピングのためのトルク伝達に必要な深さの十字穴を設けると、その深さは、ねじの軸部にまで深く到達するため、軸部の機械的な強度が著しく損なわれてしまう。さらには、ねじの転造応力によって、十字穴が変形して、十字ビットとの嵌合も損なわれてしまう。だからといって、頭部の厚み寸法に対応した0番や1番の十字穴では、削孔時の高速回転の振動でビットが十字穴からはずれてしまい、使用できなくなる。
【0010】
従来のドリルねじは、例えば、特開2002−188615号公開特許公報、あるいは特開2002−323021号公開特許公報等に開示されているように、当該ドリルねじの頭部に対して、回転力を伝達する十字穴を設ける場合、ドリルねじの頭部とねじ軸部との付け根部分の機械的強度を確保する工夫がなされていないため、削孔やタッピングのためのトルク伝達に必要な強度を確保することができないものであった。
【0011】
【特許文献1】
特開2002−188615号公報(図1および図5)
【特許文献2】
特開2002−323021号公報(図1)
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、この発明は、上記する従来のドリルねじに関して指摘されている各問題を解消するべく、それらを考慮してなされたもので、規格上制約されたブラインドリベットの扁平頭部に、削孔やタッピングに対するトルク伝達に十分対応できる十字穴を設計できるようにし、その為の手段として、ねじ軸までおよんだ十字穴の底部分に対応して、ねじ軸の谷径をテーパー状に径大化することで解消するとともに、ねじ軸転造時の穴の変形や縮小を防止するものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
この発明は、上記する目的を達成するにあたって、具体的には、ねじ軸部と、前記ねじ軸部の一端側に設けたドリル刃部と、前記ねじ軸部の他端側に設けたねじ頭部とによって構成されるドリルねじにおいて、前記ねじ軸部の呼び径に対する前記ねじ頭部が、JIS−B4627に規定するブラインドリベットの頭部径寸法D並びに頭部高さ寸法Hでなる扁平なトラス状に形成され、回転力を伝達する十字穴を備えたものからなり、前記ねじ頭部に設けた十字穴の底部分が前記ねじ軸部に達する部位において前記ねじ軸部を前記ねじ頭部側に向けて径大化するテーパー状に補強成形してなるブラインドリベットの頭部を有するドリルねじを構成するものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、この発明になるブラインドリベットの頭部を有するドリルねじについて、図面に示す具体的な実施例にもとづいて詳細に説明する。図1は、この発明にかかるブラインドリベットの頭部を有するドリルねじの製造工程の概要を説明するための図であって、図1Aは、その当初の形態を示す概略的な側面図であり、図1Bは、ドリル刃部を冷間鍛造した後、転造型によってねじ部を転造した状態を示す概略的な側面図である。一方、図2は、この発明にかかるブラインドリベットの頭部を有するドリルねじの具体的な構成例を示すものであって、図2Aは、ねじ頭部に設けた十字穴の具体的な形態を示す概略的な平面面図であり、図2Bは、当該ブラインドリベットの頭部を有するドリルねじの概略的な側面図であり、図2Cは、当該ブラインドリベットの頭部を有するドリルねじの一部を破断して示す概略的な断面図である。
【0015】
まず、この発明になるブラインドリベットの頭部を有するドリルねじ1の製造手順の概要について、図1にもとづいて説明する。この発明になるブラインドリベットの頭部を有するドリルねじ1は、例えば、あらかじめ、図1Aに示すような形態に形成された基材2をもとにして構成される。この基材2は、軸部3と頭部4とを有するものであり、前記頭部4には、回転力を伝達する工具が嵌まり合う十字穴5があらかじめ形成してある。
【0016】
前記基材2の軸部3は、必要に応じて、その先端側部分(ドリル刃形成部分)3aが、クローム系ステンレス鋼製の第1の構成部材により構成され、その後端側部分(ねじ部形成部分)3bが、ニッケル系ステンレス鋼製の第2の構成部材によって構成されていることが好ましい。この場合、前記基材2の軸部3は、第1の構成部材と第2の構成部材との結合によって構成される。
【0017】
この発明の一例によれば、前記基材2における軸部3の先端側部分3aに対し、冷間鍛造処理が施され、当該冷間鍛造処理によって、前記基材2における軸部3の先端側部分3aにドリル刃6を形成する。
【0018】
次いで、この発明において、前記基材2における軸部3の後端側部分3bに対して、図1Bに示すような転造型Moを用いて、ねじ転造処理によって、ねじ軸部7を形成する。この発明において極めて重要な点は、前記転造型Moの構成にある。即ち、前記転造型Moは、図1Bに示す具体的な実施例のように、ストレートなねじ成形部8に対して、図中、その上端側において、上方に向けて拡がるテーパー面9を研磨形成したものからなっている。
【0019】
この転造型Moによって、前記基材2における軸部3の後端側部分3bを転造処理すると、仕上げられるねじ軸部7は、前記ねじ頭部4側に向けて径大化するテーパー状のねじ谷部10が形成され、前記ねじ頭部4に設けた十字穴5の底部分5aが前記ねじ軸部7に達する部位において前記ねじ軸部7を前記ねじ頭部側に向けて径大化するテーパー状に補強成形される。
【0020】
このようにして形成されるブラインドリベットの頭部を有するドリルねじ1の具体的な例を図2に示す。この図から明らかなように、この発明になるブラインドリベットの頭部を有するドリルねじ1は、基本的には、ねじ軸部7と、このねじ軸部7の一端側に設けたドリル刃6と、ねじ軸部7の他端側に設けたねじ頭部4とによって構成されており、より具体的には、前記ねじ軸部7の呼び径に対する前記ねじ頭部4が、JIS−B4627に規定するブラインドリベットの頭部径寸法D並びに頭部高さ寸法Hでなる扁平なトラス状に形成され、回転力を伝達する十字穴5を備えたものからなり、ねじ頭部4に設けた十字穴5の底部分5aが前記ねじ軸部7に達する部位において、前記ねじ軸部7を前記ねじ頭部4側に向けて径大化するテーパー状に補強成形したものからなっている。
【0021】
【発明の効果】
以上の構成になるこの発明のブラインドリベットの頭部を有するドリルねじによれば、第1には、構造が簡単であって、製造が容易であり、多量生産に適合する点において極めて有効に作用する。さらにまた、この発明になるブラインドリベットの頭部を有するドリルねじによれば、第2には、ねじ軸までおよんだ十字穴の底部分に対応して、ねじ軸の谷径をテーパー状に径大化することにより、規格上制約されたブラインドリベットの扁平頭部に、削孔やタッピングに対するトルク伝達に十分対応できる十字穴を設計できる点において極めて有効に作用するものといえる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、この発明にかかるブラインドリベットの頭部を有するドリルねじの製造工程の概要を説明するための図であって、図1Aは、その当初の形態を示す概略的な側面図であり、図1Bは、ドリル刃部を冷間鍛造した後、転造型によってねじ部を転造した状態を示す概略的な側面図である。
【図2】図2は、この発明にかかるブラインドリベットの頭部を有するドリルねじの具体的な構成例を示すものであって、図2Aは、ねじ頭部に設けた十字穴の具体的な形態を示す概略的な平面面図であり、図2Bは、当該ブラインドリベットの頭部を有するドリルねじの概略的な側面図であり、図2Cは、当該ブラインドリベットの頭部を有するドリルねじの一部を破断して示す概略的な断面図である。
【符号の説明】
1 ブラインドリベットの頭部を有するドリルねじ
2 基材
3 軸部
3a 基材軸部の先端側部分(ドリル刃形成部分)
3b 基材軸部の後端側部分(ねじ部形成部分)
4 頭部
5 十字穴
6 ドリル刃
7 ねじ軸部
Mo 転造型
8 ストレートなねじ成形部
9 テーパー面
10 テーパー状のねじ谷部
【発明の属する技術分野】
この発明は、ドリルねじの改良に関するものであり、特に、当該ドリルねじの頭部を、ブラインドリベットの頭部のような扁平形態とするとともに、頭部直下の軸部分を径大化して、回転工具係合用の十字穴の設計に対しても十分な強度補強を図り得るようになしたブラインドリベットの頭部を有するドリルねじに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、ドリルねじ(Self Drilling Tapping Screws) は、被対象物に
対して自ら削孔(ドリリング)し、自らねじ立て(ねじ切り:タッピング)し、自らネジ止め締結するという複数の機能を併せ持ったねじ部材であり、例えば、被対象物としての屋根材、壁面材などの金属パネルを支持鋼に対して固着する際に、金属パネル並びに支持鋼に対して下孔を設けない状態で、固着点とすべき金属パネル並びに支持鋼の双方に孔明けを行いつつ、明けられた孔にねじ立てを行い、最終的にはねじ締めによって当該金属パネルを支持鋼に固着するようにしたものである。このドリルねじは、下孔が不要なことから各種の用途に応じて大量に使用されている。
【0003】
一方、ブラインドリベットは、被施工物に対して片側から施工(締結施工)が行えるという便利さから、大量に利用され、専用のツールも手動、電動、空動、コードレス電動などとして多様に開発されてきている。このブラインドリベットの頭部は、球面を持ったトラス頭の扁平状のものであり、JIS規格(JIS−B4627)により、呼び径に対する頭部の径寸法D並びに頭部の高さ(厚さ)寸法Hが規定されている。ところが、このブラインドリベットを用いる場合には、予めリベットの取付け穴を明けて置かなければならない欠点と、さらに、部材の穴と支持鋼の取付け穴の位置とを合致させねば使用できないなどの欠点とを有するものである。
【0004】
この発明では、上記するドリルねじとブラインドリベットの双方の特徴を加味して構成し、削孔とタッピングを可能にすることによって、上記するブラインドリベットの欠点であった取付け穴の事前の準備が不要であり、その位置合わせも不要となるというブラインドリベット様のドリルねじを供することができる。
【0005】
しかしながら、このブラインドリベット様のドリルねじは、頭部をブラインドリベットと同じ球面を持ったトラス状の扁平頭部とするだけでは、当該頭部の厚みが制限されたものとなるため、削孔やタッピングに必要な回転力を伝達する十字穴の規模を確実なものとして確保することができない。
【0006】
その理由をさらに詳述すると、例えば、JIS−B4626により規定されるブラインドリベットの構成によれば、軸径寸法が4mmのものである場合、頭部の厚み寸法Hは、最大でも1.6mmであり、軸径寸法が4.8mmの場合でも、その頭部厚み寸法Hは、最大1.8mmに制限されているものである。この頭部の厚み寸法は、JIS−B1122に規定する十字穴付きのタッピンねじにおける頭部の厚み寸法と比較すると、ねじ径2.2mmにしか相当しない。
【0007】
このように小径ねじの頭部に設けられる十字穴の寸法Mも小さいものとなり、その寸法Mは、2.0mmでしかない。また、十字穴の大きさの規格も最小の0番とされている。一方、ワンランク上のねじ径2.9mmで、頭部の厚み寸法2.4mmの場合でも、十字穴の寸法Mは3.0mmであり、当該十字穴の大きさの規格も1番でしかない。
【0008】
一方また、ドリルねじのJIS規格によれば、その十字穴の大きさの規格は、ねじ径が3.5mmの場合でも、2番のものが必要であり、ねじ径が5.5mm以上の場合では、3番のものが必要とされている。十字穴の大きさの規格が2番のものである場合において、十字穴の寸法Mは最小でも4.1mmのものが必要とされている。これらの数値は、実用上さらに大きなものが求められる。
【0009】
したがって、上記するようなブラインドリベットの扁平(1.6〜1.8mm)な頭部構造のものでは、削孔やタッピングのためのトルク伝達に必要な深さの十字穴を設けると、その深さは、ねじの軸部にまで深く到達するため、軸部の機械的な強度が著しく損なわれてしまう。さらには、ねじの転造応力によって、十字穴が変形して、十字ビットとの嵌合も損なわれてしまう。だからといって、頭部の厚み寸法に対応した0番や1番の十字穴では、削孔時の高速回転の振動でビットが十字穴からはずれてしまい、使用できなくなる。
【0010】
従来のドリルねじは、例えば、特開2002−188615号公開特許公報、あるいは特開2002−323021号公開特許公報等に開示されているように、当該ドリルねじの頭部に対して、回転力を伝達する十字穴を設ける場合、ドリルねじの頭部とねじ軸部との付け根部分の機械的強度を確保する工夫がなされていないため、削孔やタッピングのためのトルク伝達に必要な強度を確保することができないものであった。
【0011】
【特許文献1】
特開2002−188615号公報(図1および図5)
【特許文献2】
特開2002−323021号公報(図1)
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、この発明は、上記する従来のドリルねじに関して指摘されている各問題を解消するべく、それらを考慮してなされたもので、規格上制約されたブラインドリベットの扁平頭部に、削孔やタッピングに対するトルク伝達に十分対応できる十字穴を設計できるようにし、その為の手段として、ねじ軸までおよんだ十字穴の底部分に対応して、ねじ軸の谷径をテーパー状に径大化することで解消するとともに、ねじ軸転造時の穴の変形や縮小を防止するものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
この発明は、上記する目的を達成するにあたって、具体的には、ねじ軸部と、前記ねじ軸部の一端側に設けたドリル刃部と、前記ねじ軸部の他端側に設けたねじ頭部とによって構成されるドリルねじにおいて、前記ねじ軸部の呼び径に対する前記ねじ頭部が、JIS−B4627に規定するブラインドリベットの頭部径寸法D並びに頭部高さ寸法Hでなる扁平なトラス状に形成され、回転力を伝達する十字穴を備えたものからなり、前記ねじ頭部に設けた十字穴の底部分が前記ねじ軸部に達する部位において前記ねじ軸部を前記ねじ頭部側に向けて径大化するテーパー状に補強成形してなるブラインドリベットの頭部を有するドリルねじを構成するものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、この発明になるブラインドリベットの頭部を有するドリルねじについて、図面に示す具体的な実施例にもとづいて詳細に説明する。図1は、この発明にかかるブラインドリベットの頭部を有するドリルねじの製造工程の概要を説明するための図であって、図1Aは、その当初の形態を示す概略的な側面図であり、図1Bは、ドリル刃部を冷間鍛造した後、転造型によってねじ部を転造した状態を示す概略的な側面図である。一方、図2は、この発明にかかるブラインドリベットの頭部を有するドリルねじの具体的な構成例を示すものであって、図2Aは、ねじ頭部に設けた十字穴の具体的な形態を示す概略的な平面面図であり、図2Bは、当該ブラインドリベットの頭部を有するドリルねじの概略的な側面図であり、図2Cは、当該ブラインドリベットの頭部を有するドリルねじの一部を破断して示す概略的な断面図である。
【0015】
まず、この発明になるブラインドリベットの頭部を有するドリルねじ1の製造手順の概要について、図1にもとづいて説明する。この発明になるブラインドリベットの頭部を有するドリルねじ1は、例えば、あらかじめ、図1Aに示すような形態に形成された基材2をもとにして構成される。この基材2は、軸部3と頭部4とを有するものであり、前記頭部4には、回転力を伝達する工具が嵌まり合う十字穴5があらかじめ形成してある。
【0016】
前記基材2の軸部3は、必要に応じて、その先端側部分(ドリル刃形成部分)3aが、クローム系ステンレス鋼製の第1の構成部材により構成され、その後端側部分(ねじ部形成部分)3bが、ニッケル系ステンレス鋼製の第2の構成部材によって構成されていることが好ましい。この場合、前記基材2の軸部3は、第1の構成部材と第2の構成部材との結合によって構成される。
【0017】
この発明の一例によれば、前記基材2における軸部3の先端側部分3aに対し、冷間鍛造処理が施され、当該冷間鍛造処理によって、前記基材2における軸部3の先端側部分3aにドリル刃6を形成する。
【0018】
次いで、この発明において、前記基材2における軸部3の後端側部分3bに対して、図1Bに示すような転造型Moを用いて、ねじ転造処理によって、ねじ軸部7を形成する。この発明において極めて重要な点は、前記転造型Moの構成にある。即ち、前記転造型Moは、図1Bに示す具体的な実施例のように、ストレートなねじ成形部8に対して、図中、その上端側において、上方に向けて拡がるテーパー面9を研磨形成したものからなっている。
【0019】
この転造型Moによって、前記基材2における軸部3の後端側部分3bを転造処理すると、仕上げられるねじ軸部7は、前記ねじ頭部4側に向けて径大化するテーパー状のねじ谷部10が形成され、前記ねじ頭部4に設けた十字穴5の底部分5aが前記ねじ軸部7に達する部位において前記ねじ軸部7を前記ねじ頭部側に向けて径大化するテーパー状に補強成形される。
【0020】
このようにして形成されるブラインドリベットの頭部を有するドリルねじ1の具体的な例を図2に示す。この図から明らかなように、この発明になるブラインドリベットの頭部を有するドリルねじ1は、基本的には、ねじ軸部7と、このねじ軸部7の一端側に設けたドリル刃6と、ねじ軸部7の他端側に設けたねじ頭部4とによって構成されており、より具体的には、前記ねじ軸部7の呼び径に対する前記ねじ頭部4が、JIS−B4627に規定するブラインドリベットの頭部径寸法D並びに頭部高さ寸法Hでなる扁平なトラス状に形成され、回転力を伝達する十字穴5を備えたものからなり、ねじ頭部4に設けた十字穴5の底部分5aが前記ねじ軸部7に達する部位において、前記ねじ軸部7を前記ねじ頭部4側に向けて径大化するテーパー状に補強成形したものからなっている。
【0021】
【発明の効果】
以上の構成になるこの発明のブラインドリベットの頭部を有するドリルねじによれば、第1には、構造が簡単であって、製造が容易であり、多量生産に適合する点において極めて有効に作用する。さらにまた、この発明になるブラインドリベットの頭部を有するドリルねじによれば、第2には、ねじ軸までおよんだ十字穴の底部分に対応して、ねじ軸の谷径をテーパー状に径大化することにより、規格上制約されたブラインドリベットの扁平頭部に、削孔やタッピングに対するトルク伝達に十分対応できる十字穴を設計できる点において極めて有効に作用するものといえる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、この発明にかかるブラインドリベットの頭部を有するドリルねじの製造工程の概要を説明するための図であって、図1Aは、その当初の形態を示す概略的な側面図であり、図1Bは、ドリル刃部を冷間鍛造した後、転造型によってねじ部を転造した状態を示す概略的な側面図である。
【図2】図2は、この発明にかかるブラインドリベットの頭部を有するドリルねじの具体的な構成例を示すものであって、図2Aは、ねじ頭部に設けた十字穴の具体的な形態を示す概略的な平面面図であり、図2Bは、当該ブラインドリベットの頭部を有するドリルねじの概略的な側面図であり、図2Cは、当該ブラインドリベットの頭部を有するドリルねじの一部を破断して示す概略的な断面図である。
【符号の説明】
1 ブラインドリベットの頭部を有するドリルねじ
2 基材
3 軸部
3a 基材軸部の先端側部分(ドリル刃形成部分)
3b 基材軸部の後端側部分(ねじ部形成部分)
4 頭部
5 十字穴
6 ドリル刃
7 ねじ軸部
Mo 転造型
8 ストレートなねじ成形部
9 テーパー面
10 テーパー状のねじ谷部
Claims (1)
- ねじ軸部と、前記ねじ軸部の一端側に設けたドリル刃部と、前記ねじ軸部の他端側に設けたねじ頭部とによって構成されるドリルねじにおいて、前記ねじ軸部の呼び径に対する前記ねじ頭部が、JIS−B4627に規定するブラインドリベットの頭部径寸法D並びに頭部高さ寸法Hでなる扁平なトラス状に形成され、回転力を伝達する十字穴を備えたものからなり、前記ねじ頭部に設けた十字穴の底部分が前記ねじ軸部に達する部位において前記ねじ軸部を前記ねじ頭部側に向けて径大化するテーパー状に補強成形してなることを特徴とするブラインドリベットの頭部を有するドリルねじ。
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---|---|---|---|
JP2003025526A JP2004232842A (ja) | 2003-02-03 | 2003-02-03 | ブラインドリベットの頭部を有するドリルねじ |
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JP2003025526A JP2004232842A (ja) | 2003-02-03 | 2003-02-03 | ブラインドリベットの頭部を有するドリルねじ |
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-
2003
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