JP2004230713A - テンター装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】配向軸を傾斜させたフイルムを、切断などの破損の発生を防ぎつつ、確実に延伸する。
【解決手段】レール11,12を、入り口レール部11a,12aと、延伸レール部11b,12bと、屈曲レール部11c,12cと、出口レール部11d,12dとから構成する。フイルム20の入り口16側から出口17側へ向かって順に、予熱区間10a,延伸区間10b,屈曲区間10c,熱処理区間10dを設定する。延伸区間10bではフイルム20の上方に加熱湿部15が設けられている。加熱湿部15から所定の温湿度に設定された空気をフイルム20へ向かって吹き付けながら,レール11,12を走行するクリップ20がフイルムを把持して移動することによりフイルム20が幅方向に延伸される。
【選択図】 図1
【解決手段】レール11,12を、入り口レール部11a,12aと、延伸レール部11b,12bと、屈曲レール部11c,12cと、出口レール部11d,12dとから構成する。フイルム20の入り口16側から出口17側へ向かって順に、予熱区間10a,延伸区間10b,屈曲区間10c,熱処理区間10dを設定する。延伸区間10bではフイルム20の上方に加熱湿部15が設けられている。加熱湿部15から所定の温湿度に設定された空気をフイルム20へ向かって吹き付けながら,レール11,12を走行するクリップ20がフイルムを把持して移動することによりフイルム20が幅方向に延伸される。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はテンター装置に関し、特に、側縁に対して配向軸を傾斜させたフィルム等のプラスチックフイルムを製造するテンター装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】
特開2001−281452号公報(第2〜4頁)
【特許文献2】
特開2002−86554号公報(第2〜10頁)
【0003】
【従来の技術】
近年、液晶表示装置の普及に伴い偏光板の需要が急増している。この偏光板を作製する場合に、製品歩留りを向上するために、一定の配向角度、例えば45°で配向軸が傾斜するように斜め延伸させるテンター装置が例えば特許文献1に記載されている。このようにフィルムを斜め延伸させるテンター装置では、左右のガイドレールに沿って走行するクリップにより、フィルムの側縁部を把持させて移動させる。そして、左右で搬送速度差をつけて移動させることによって斜め方向に延伸している。
【0004】
一方、上記特許文献1に記載されているテンター装置では、左右で搬送速度差をつけて移動させることに起因してツレ、シワ、フィルム寄り( 局部的な厚みむら) などが発生してしまう。そこで、左右の搬送速度差に起因するツレ、シワなどを防いで、配向軸を傾斜させたフイルムを容易にかつ確実に延伸させるため、特許文献2で提案されているテンター装置では、入り口側の搬送方向に対して出口側の搬送方向が傾斜するように、左右のテンターレールの途中が屈曲している屈曲区間を設けており、この屈曲区間を通過することによって、フィルムの配向軸を傾斜させることを可能としている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献2に記載されているようなテンター装置では、フイルムの配向軸を傾斜させるための屈曲区間を通過するときに、フイルムにかかる力が大きくなるとともに、フイルムクリップによって把持されている部分に回転方向の力が加わることになり、破れやすくなってしまうことが考えられる。
【0006】
ところで、フイルムなどの製膜設備における一般的なテンター装置では、フイルムを乾燥させつつ延伸させるものであり、雰囲気を乾燥状態に設定している。このような従来の手法を適用したテンター装置では、フイルムが特に破れやすくなるという問題がある。特に、前記屈曲区間を有するテンター装置の場合に、この屈曲区間を通過しているときに、フイルムクリップの付近が破れやすい状態になっている。このような状態でフイルムに温風が吹き付けられると、温風の風圧による振動などによってフイルムが簡単に破れてしまうという問題がある。
【0007】
本発明は上記課題を解決するためのものであり、プラスチックフイルムを、切断、片伸びや、孔などの欠陥の発生を防ぎつつ、延伸することが可能なテンター装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明のテンター装置では、第1レール及び第2レールに沿って走行する複数の把持具により、プラスチックフイルムの両側縁部を把持して搬送させながら、前記プラスチックフイルムに張力を与えて延伸させるテンター装置において、前記プラスチックフイルムを延伸する延伸区間には、所定温湿度に設定された加熱湿潤空気を吹き出す加熱湿部が設けられており、前記プラスチックフイルムが前記延伸区間を搬送されているとき、前記加熱湿部から前記プラスチックフイルムに向かって加熱湿潤空気を吹き付けている。
【0009】
なお、前記延伸区間では、前記プラスチックフイルムを搬送方向と直交する幅方向に延伸しており、この延伸区間とは別の位置に、屈曲した搬送方向に沿って前記プラスチックフイルムを搬送して斜め方向に延伸する屈曲区間を備えていることが好ましい。
【0010】
また、前記屈曲区間は、前記延伸区間よりも下流側に位置しており、前記加熱湿潤空気を前記プラスチックフイルムへ吹き付ける範囲は、前記延伸区間の開始点以降から、前記屈曲区間の開始点より手前の位置としていることが好ましい。この場合、加熱湿潤空気を吹き付ける範囲を限定しているので、テンター装置のコスト増加を防げるとともに、フイルムが破れやすい屈曲区間でフイルムが温風の風圧を受けることを防止することができるので、フイルムの破損を防ぐことができる。
【0011】
さらにまた、前記加熱湿部によりプラスチックフイルムへ加熱湿潤空気を吹き付ける空間と、前記把持具が前記プラスチックフイルムを把持する空間とを隔離する仕切り部材が設けられていることが好ましい。この場合には、プラスチックフイルムを把持する把持具が必要以上に加熱されることを防ぐことが可能なので、延伸区間や屈曲区間を通過しているときに、把持具が把持している部分が溶解してプラスチックフイルムが切断されたり、片伸びしたり、ボイド(孔)が発生したりすることがない。また、把持具部分に結露が発生した場合でもテンター装置が錆びるなどの故障発生を防止することができる。
【0012】
なお、前記加熱湿潤空気の温度は、前記プラスチックフイルムのガラス転移点温度よりも10°C〜30°C低い温度であることが本発明においては効果的であり、さらに前記加熱湿潤空気の湿度が85%以上であることが好ましく、95%以上であるとさらに良い。また、前記プラスチックフイルムは、ポリビニルアルコールフイルム(以下、PVAフイルムとする。)であることが好ましく、洗浄、染色、硬膜処理のうち少なくともいずれか1つの処理が施されているPVAフイルムであることがさらに好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明のテンター装置を示す概略の平面図である。このテンター装置10は、第1レール11と、第2レール12と、これらレール11,12に案内される無端チェーン(エンドレスチェーン)13,14と、加熱湿部15とから構成されている。このテンター装置10で延伸されるフイルム20としては、PVAフイルムが用いられる。なお、このテンター装置10での工程の前には、フイルム20は、洗浄液、染色剤の水溶液、硬膜剤の水溶液がそれぞれ所定量貯留された洗浄槽、染色槽、硬膜槽の中を搬送されており、これによって、洗浄、染色、硬膜処理が施されている。なお、これらフイルム20の前処理は、必要に応じて行われ、洗浄、染色、硬膜処理のうち少なくともいずれか1つが行われる。
【0014】
無端チェーン13,14には、周知のように把持具としてのフイルムクリップ21が所定ピッチで多数取り付けられている。このフイルムクリップ21はフイルム20の側縁部を把持しながら、各レール11,12に沿って移動することで、フイルム20を延伸する。
【0015】
無端チェーン13,14は原動スプロケット23,24及び従動スプロケット25,26との間に掛け渡されており、これらスプロケット23〜26の間では、無端チェーン13は第1レール11によって、無端チェーン14は第2レール12によって案内される。原動スプロケット23,24はフイルム20の入り口16側に設けられており、これらは図示しない駆動部により回転駆動される。また、従動スプロケット25,26はフイルム20の出口17側に設けられている。なお、スプロケット23〜26の構成はこれに限らず、出口17側を原動スプロケットとし、入り口16側を従動スプロケットとしてもよい。
【0016】
これらスプロケット23〜26に近接してフイルムクリップ21の開放部材(図示省略)が配置されている。この開放部材は、入り口16側の原動スプロケット23,24では、フイルム20の把持位置の前で、フイルムクリップ21の図示しない係合部に接触してこれを開放状態にし、フイルム20の側縁部をフイルムクリップ21内に案内する。そして、把持位置を通過するときに開放部材が前記係合部から離れ、フイルムクリップ21が開放位置から把持位置にセットされて、フイルム20の側縁部が把持される。同様にして、出口17側の従動スプロケット25,26では、フイルム20の把持解除位置で開放部材によりフイルムクリップ21が開放位置にされて、フイルム20の側縁部の把持が開放される。本実施形態では自重落下方式のフイルムクリップ21を用いているが、この他に、バネ付勢により開閉するフィルムクリップや、その他の各種駆動手段を有するフィルムクリップ、さらに、これらの方式を組み合わせたフィルムクリップを用いてもよい。
【0017】
第1レール11は、入り口16側から出口17側に向かって順に、入り口レール部11aと、延伸レール部11bと、屈曲レール部11cと、出口レール部11dとから構成されている。同様にして、第2レール12も入り口レール部12aと、延伸レール部12bと、屈曲レール部12cと、出口レール部12dとから構成されている。
【0018】
一方の延伸レール部11bの入り口16側には、連結レール部11eが設けられている。連結レール部11eは、入り口レール部11aと、延伸レール部11bとの間を湾曲するようにそれぞれ連結する。同様にして他方の延伸レール部12bにも連結レール部12eが設けられている。
【0019】
各入り口レール部11a,12aは、入り口16から供給されるときのフイルム20の幅W1に合わせるように互いに平行に位置しており、かつ搬送方向の中心が、入り口16側の搬送方向の中心CL1に合わせて配置されている。また、各入り口レール部11a,12a及び各出口レール部11d,12dは、入り口16側の搬送方向と、出口17側の搬送方向とがなす角度がθとなるように設定されている。そして各出口レール部11d,12dは、フイルム延伸方向の延伸倍率N´(=W2/(W1×cosθ))で設定された幅W2(=W1×N´×cosθ)に合わせて平行に位置しており、かつ搬送方向の中心が出口17側の搬送方向の中心CL2に合わせて配置されている。なお、実際にフイルム20が延伸方向に延伸される延伸倍率は上述したN´=W2/(W1×cosθ)であるが、出口17から出るときの見かけの延伸倍率は、N=W2/W1である。
【0020】
各延伸レール部11b,12bは、入り口16側の幅W1から徐々に、互いの間隔が離れていくように位置しており、かつ搬送方向の中心が、入り口16側の搬送方向の中心CL1に合わせて配置されている。各屈曲レール部11c,12cは、入り口16側の搬送方向の中心CL1と出口17側の搬送方向の中心CL2とが傾斜するように屈曲して配置されている。
【0021】
このテンター装置10は、フイルム20の入り口16から出口17へ順に、予熱区間10a、延伸区間10b、屈曲区間10c、熱処理区間10dの各エリアに分けられている。この区間10a〜10dは、上述した各レール部11a〜11d,12a〜12dに合わせて配置されており、予熱区間10aは入り口レール部11a,12aの間に、延伸区間10bは延伸レール部11b,12bの間に、屈曲区間10cは屈曲レール部11c,12cの間に、熱処理区間10dは出口レール部11d及び出口レール部12dの間に挟まれた空間にそれぞれ設定されている。なお、本実施形態では、レール11,12で、入り口16側と出口17側とで搬送方向が傾斜していることから、各フイルムクリップ21がフイルム20を実質的に保持する搬送方向に位置がずれる(第1レール11を走行するフイルムクリップ21の方が先に搬送方向の下流側へ進む。)。このため、実際にフイルム20が幅方向に延伸される区間は屈曲レール部12cの上流側の一部まで連続する。同様に実際にフイルム20が斜め方向に延伸される区間も出口レール部11dの一部まで連続している。これにより、延伸区間10b及び屈曲区間10cは、それらの屈曲レール部12c及び出口レール部11dの一部を含んでいる
【0022】
加熱湿部15は、詳しくは図2、図3及び図4に示すように、延伸区間10bでフイルム20の上面を覆う位置に配置されている。この加熱湿部15は、延伸区間10bに合わせた箱状に形成されたケーシング31と、送風機32と、ヒータ33と、スチーム管34と、温湿度制御回路35とからなる。
【0023】
ケーシング31の下面壁31aには、多数の吹き出し口36が形成されている。吹き出し口36は、フイルム20の延伸方向に合わせたスリット状に開口されている。吹き出し口36の周縁部には,内側に向かって垂直に折り曲げられた突出部36aが一体に形成されている。ケーシング31の内部は、後述するスチーム管34から出される蒸気によって結露する場合があるが、ケーシング31の内部が結露して、下面壁31aの上面に水が貯留したとき、その水は突出部36aによって受け止められるので、吹き出し口36から水滴が落下することを遮る。また、ケーシング31の一端部には、排水管31bが一体に設けられている。ケーシング31の内部の結露によって下面壁31aに貯留した水は、排水管31bへ流れ込み、排水管31bを通過した水は、テンター装置10の外部へと排水される。
【0024】
送風機32はケーシング31の他端に形成された開口31cに接続され、ケーシング31の内部に空気を送る。ヒータ33は、温湿度制御回路35によって通電されることによってケーシング36の内部の空気を加熱する。スチーム管34は、ケーシング31の内部に複数配管されており、下方部に形成された多数の蒸気孔34aから蒸気を噴出して、ケーシング31の内部を加湿する。このヒータ33及びスチーム管34は、温湿度制御回路35の制御によってケーシング36の内部の空気をそれぞれ加熱及び加湿し、空気が所定の温度及び湿度を超えたときには加熱及び加湿を停止する。
【0025】
また、ケーシング31の内部には、整流板37が、下面壁31aと平行な位置に取り付けられている。整流板37としては、鋼板に多数の開口を形成したパンチングボードなどが使用される。この整流板37によって、送風機32から送風された空気は、下方へ向かって均一に吹き出されるように整流される。
【0026】
このように構成された加熱湿部15で、送風機32からケーシング36の内部へ空気が送られると、ヒータ33及びスチーム管34によって所定の温湿度に調節された加熱湿潤空気が、整流板37によって下方へ整流され、吹き出し口36からフイルム20へと向かって吹き出される。これにより、吹き出し口36からフイルム20へ向かって垂直に、かつ延伸区間10bが開始する位置から、屈曲区間10cの開始する位置より手前の範囲内まで、加熱湿潤空気が均等に吹き付けられる。
【0027】
なお、本実施形態においては、吹き出し口36から空気が吹き出す方向を、整流板37によって整流し、フイルム20へ向かって垂直に突出するようにしたが、これに限らず、フイルム20へ向かって斜めに空気を吹き付けるようにしてもよい。
【0028】
また、延伸区間10bには、詳しくは、図4に示すように、フイルムクリップ21、及びレール11、12の周囲を覆うように仕切り部材としての仕切りカバー38が設けられている。仕切りカバー38は、フイルムクリップ21及びレール11,12が内部に配置される筒形状に形成されており、フイルムクリップ21によって把持されたフイルム20が通過するスリット38aが形成されている。この仕切りカバー38を設けることによって、フイルム20に加熱湿潤空気を吹き付ける空間と、フイルムクリップ21がフイルム20を把持する空間とが隔離される。なお、このような仕切り部材の形状としては、筒形状に限らず、例えば平面的な板状部材で、フイルム20に加熱湿潤空気を吹き付ける空間から、フイルムクリップ21を隔離し、加熱湿潤空気がフイルムクリップ21に到達しないようにすればよい。
【0029】
次に、本実施形態の作用を説明する。製膜ライン等により製膜されたフイルム20がフィルム入り口16からテンター装置10内に送られてくると、開放状態になっていたフイルムクリップ21が閉じられてフイルム20が把持される。フイルムクリップ21は各チェーン13,14の回動により、レール11,12に沿って移動する。入り口16から予熱区間10aに搬送されてきたフイルム20は、例えば、25°C以上に予熱される。
【0030】
予熱区間10aを通過したフイルム20が延伸区間10bに送られてくると、加熱湿部15から吹き出された空気がフイルム20へと吹き付けられる。所定の温湿度、例えば温度60°C、湿度95%に設定された加熱湿潤空気が吹き付けられたフイルム20は、スムーズに延伸されて延伸区間10bを通過していく。また、仕切りカバー38を設けたことにより、フイルム20に吹き付けられた空気でフイルムクリップ21が必要以上に加熱されることがないので、フイルムクリップ21に把持されているフイルム20の側縁部周辺に孔を発生させてしまうことを防ぐことができる。さらに、フイルムグリップ21が必要以上に加熱湿潤空気に晒されることがないから、結露が発生してもフイルムグリップ21及びその周辺が錆びることを防止することができる。なお、延伸区間10bで、加熱湿部から吹き出される加熱湿潤空気の吹き出し速度は、吹き付けられたフイルム20が風圧によって振動しない程度の速度とすることが好ましい。
【0031】
なお、加熱湿部15からフイルム20に吹き付けられる加熱湿潤空気の温度は、フイルム20のガラス転移点温度よりも10°C〜30°C低い温度に設定している。もし、この範囲未満の温度だとフイルム20は硬すぎて延伸することができずに切断されてしまう。また、この範囲を超える温度だとフイルム20が軟らか過ぎて延伸途中で切断されてしまう。さらに、この加熱湿潤空気の湿度は、85%以上であれば良く、95%以上であればさらに良い。
【0032】
次に屈曲区間10cを通過することにより、フイルム20は斜め方向に延伸されて配向軸が傾斜する。なお、上述したように加熱湿部15による加熱湿潤空気の吹き付けは延伸区間10cの範囲内だけで行われるので、この屈曲区間10cでは、加熱湿潤空気の影響を受けず、切断、片伸びや、孔などの欠陥が発生することなく、斜め方向の延伸がスムーズに行われる。もし、屈曲区間10cで、空気の吹き付けが行われると、風圧によってフイルム20が振動してしまうため、幅方向の延伸よりもフイルム20に大きな力がかかる斜め方向の延伸で、フイルムクリップ21で把持されている部分に加わる回転方向の力とともに、振動の力が加わったフイルム20に破損が生じてしまうが、本実施形態では、加熱湿潤空気の吹き付けは屈曲区間10cが開始する位置より手前までの範囲になっているので、そのようなことはない。
【0033】
そして、熱処理区間10dで乾燥した空気を吹き付けられることによりフイルム20が乾燥される。このように、配向軸が傾斜したフイルム20を、切断、片伸びや、孔などの欠陥が発生することなく確実に製造することができる。
【0034】
なお、上記実施形態では、フイルム20の上方に設けた加熱湿部15から加熱湿潤空気を吹き付けているが、これに限らず、下方部や両側方部に設けた加熱湿部からフイルム20へ向かって加熱湿潤空気を吹き付けるようにしてもよいし、上下両面側から吹き付けるようにしてもよい。
【0035】
なお、上記実施形態では、延伸区間10bでフイルム20の搬送方向と直交する幅方向に延伸しているが、この他に、延伸区間で斜め延伸する装置に対しても本発明を適用することができる。
【0036】
また、上記実施形態では、ヒータ33及びスチーム管34をケーシング31に内蔵させているが、これらをケーシング31の外部に設け、ダクトなどを介して接続してもよい。この場合には、外部に設けたヒータ、スチーム管などからなる温湿度調節手段により温度及び湿度が調節された空気をダクトを介してケーシング31内へ送り、さらにケーシング31内からフイルム20に向かって吹き付けるとよい。
【0037】
なお、テンター装置10の出口17でフイルム20の左右に進行速度差があると、出口17におけるシワ、寄りが発生するため、左右のフイルムクリップ21の速度差は、実質的に同速度であることが求められる。速度差は好ましくは1%以下であり、さらに好ましくは0.5%未満であり、最も好ましくは0.05%未満である。ここで述べる速度とは、毎分当たりに左右各々のフイルムクリップ21が進む軌跡の長さのことである。一般的なテンター装置等では、チェーンを駆動するスプロケットの歯の周期、駆動モータの周波数等に応じ、秒以下のオーダーで発生する速度ムラがあり、しばしば数%のムラを生ずるが、これらは本発明で述べる速度差には該当しない。
【0038】
本発明を実施したテンター装置10により延伸することによって、フイルム20は優れた偏光能を有する偏光膜として利用することができる。得られた偏光膜としてのフイルム20の両面又は片面に保護膜(保護フィルム)を接着剤層を介して設けることにより、偏光板が得られる。得られた偏光板は、優れた単板透過率及び偏光度を有する。したがって、液晶表示装置として用いる場合に、画像のコントラストを高めることができ、有利である。
【0039】
なお、ポリビニルアルコールのケン化度は特に限定されないが、溶解性等の観点から80〜100mol%が好ましく、90〜100mol%が特に好ましい。またポリビニルアルコールの重合度は特に限定されないが、1000〜10000が好ましく、1500〜5000が特に好ましい。
【0040】
延伸前のフイルム20の好ましい弾性率は、ヤング率で表して、0.01MPa以上5000MPa以下、更に好ましくは0.1MPa以上500MPa以下である。弾性率が低すぎると延伸時・延伸後の収縮率が低くなり、シワが消えにくくなり、また高すぎると延伸時にかかる張力が大きくなり、フイルム20の両側縁部を保持する部分の強度を高くする必要が生じ、テンター装置10に対する負荷が大きくなる。
【0041】
延伸前のフイルム20の厚みは特に限定されないが、フィルム把持の安定性、延伸の均質性の観点から、1μm〜1mmが好ましく、20〜200μmが特に好ましい。
【0042】
本発明に用いられる染色剤としては、ヨウ素−ヨウ化カリウムで生成したI3−、I5−等の多ヨウ素イオンおよび/または有機二色性色素である。二色性色素の具体例としては、例えばアゾ系色素、スチルベン系色素、ピラゾロン系色素、トリフェニルメタン系色素、キノリン系色素、オキサジン系色素、チアジン系色素、アントラキノン系色素等の色素系化合物を挙げることができる。水溶性のものが好ましいが、この限りではない。また、これらの二色性分子にスルホン酸基、アミノ基、水酸基などの親水性置換基が導入されていることが好ましい。二色性分子の具体例としては、例えばシー.アイ.ダイレクト.イエロー12、シー.アイ.ダイレクト.オレンジ39、シー.アイ.ダイレクト.オレンジ72、シー.アイ.ダイレクト.レッド39、シー.アイ.ダイレクト.レッド79、シー.アイ.ダイレクト.レッド81、シー.アイ.ダイレクト.レッド83、シー.アイ.ダイレクト.レッド89、シー.アイ.ダイレクト.バイオレット48、シー.アイ.ダイレクト.ブルー 67、シー.アイ.ダイレクト.ブルー90、シー.アイ.ダイレクト.グリーン59、シー.アイ.アシッド.レッド37等が挙げられ、さらに特開昭62−70802号、特開平1−161202号、特開平1−172906号、特開平1−172907号、特開平1−183602号、特開平1−248105号、特開平1−265205号、特開平7−261024号の各公報記載の色素等が挙げられる。これらの二色性分子は遊離酸、あるいはアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン類の塩として用いられる。これらの二色性分子は2種以上を配合することにより、各種の色相を有する偏光子を製造することができる。偏光板として吸収軸を直交させた時に黒色を呈する化合物(色素)や黒色を呈するように各種の二色性分子を配合したものが単板透過率、偏光度とも優れており好ましい。特にヨウ素−ヨウ化カリウムで生成したI3−、I5−等の多ヨウ素イオンが好ましく使用される。
【0043】
ヨウ素−ヨウ化カリウムで生成したI3−、I5−等の多ヨウ素イオンを偏光子として使用する場合、ヨウ素は0.1〜20g/l、ヨウ化カリウムは1〜200g/l、ヨウ素とヨウ化カリウムの質量比は1〜200が好ましい。染色時間は10〜5000秒が好ましく、液温度は5〜60℃が好ましい。
【0044】
硬膜剤(架橋剤)としては、米国再発行特許第232897号に記載のものが使用できるが、ホウ酸、ホウ砂が実用的に好ましく用いられる。また、亜鉛、コバルト、ジルコニウム、鉄、ニッケル、マンガン等の金属塩も併せて用いることができる。
【0045】
また、フイルム20を延伸する速度は、単位時間当りの延伸倍率で表すと、1.1倍/分以上、好ましくは2倍/分以上で、早いほうが好ましい。また、長手方向の進行速度は、0.1m/分以上、好ましくは1m/分以上で、早いほうが生産性の観点から見て好ましい。いずれの場合も、上限は、延伸するフイルム20及びテンター装置10により異なる。
【0046】
さらにまた、フイルム20の両側縁をフイルムクリップ21により把持する際、把持しやすいようにフイルム20を張った状態にしておくことが好ましい。具体的には、フイルム20の長手方向に張力をかけてフィルムを張るなどの方法が挙げられる。
【0047】
フイルム20には、各種機能膜を保護膜として直接片面または両面に貼合することができる。機能膜の例としては、λ/4板、λ/2板などの位相差膜、光拡散膜、偏光板と反対面に導電層を設けたプラスチックセル、異方性散乱や異方性光学干渉機能等をもつ輝度向上膜、反射板、半透過機能を持つ反射板等があげられる。
【0048】
保護膜としては、上に述べた好ましい保護膜を一枚、または複数枚積層して用いることができる。偏光膜の両面に同じ保護膜を貼合しても良いし、両面に異なる機能、物性をもつ保護膜をそれぞれ貼合しても良い。また、片面のみに上記保護膜を貼合し、反対面には直接液晶セルを貼合するために、粘着剤層を直接設けて保護膜を貼合しないことも可能である。この場合粘着剤の外側には、剥離可能なセパレータフィルムを設けることが好ましい。
【0049】
フイルム20としては、その膜厚が薄いものが多いが、ハンドリング時のフイルム20の裂け等のトラブルを回避するため、フイルム20を延伸後、少なくとも片面に保護膜を貼り合わせ、後加熱する工程を有することが好ましい。具体的な貼り付け方法として、熱処理工程中、両端を保持した状態で接着剤を用いてフイルム20に保護膜を貼り付け、その後両端を耳きりする、耳きりの方法としては、刃物などのカッターで切る方法、レーザーを用いる方法など、一般的な技術を用いることができる。貼り合わせ直後に、接着剤を乾燥させるため、および偏光性能を良化させるために、加熱することが好ましい。加熱の条件としては、接着剤により異なるが、水系の場合は、30℃以上が好ましく、さらに好ましくは40℃以上100℃以下、さらに好ましくは50℃以上80℃以下である。これらの工程は一貫した製造ラインで行われることが、性能上及び生産性を高くする上で好ましい。なお、上記実施形態ではテンター装置10内でフイルム20に保護膜を貼り付け、その後両端を耳きりしたが、フイルム20がテンター装置10の出口17から出た後に保護膜を貼り付け、その後両端を耳きりしてもよい。
【0050】
【発明の効果】
本発明のテンター装置によれば、所定温湿度に設定された加熱湿潤空気を吹き出す加熱湿部を延伸区間に設け、プラスチックフイルムが延伸区間を通過しながら延伸されているとき、加熱湿部からプラスチックフイルムに向かって加熱湿潤空気を吹き付けているので、幅方向の延伸がスムーズに行われ、延伸工程の際に切断、片伸び、孔などが発生することを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のテンター装置の概略を示す平面図である。
【図2】フイルムへ加熱湿潤空気を吹き付ける加熱湿部を示す斜視図である。
【図3】加熱湿部をフイルムの搬送方向に沿って切断した断面図である。
【図4】加熱湿部をフイルムの幅方向に沿って切断した断面図である。
【符号の説明】
10 テンター装置
10a 予熱区間
10b 延伸区間
10c 屈曲区間
10d 乾燥区間
11,12 レール
15 加熱湿部
20 フィルム
21 クリップ
38 仕切りカバー
【発明の属する技術分野】
本発明はテンター装置に関し、特に、側縁に対して配向軸を傾斜させたフィルム等のプラスチックフイルムを製造するテンター装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】
特開2001−281452号公報(第2〜4頁)
【特許文献2】
特開2002−86554号公報(第2〜10頁)
【0003】
【従来の技術】
近年、液晶表示装置の普及に伴い偏光板の需要が急増している。この偏光板を作製する場合に、製品歩留りを向上するために、一定の配向角度、例えば45°で配向軸が傾斜するように斜め延伸させるテンター装置が例えば特許文献1に記載されている。このようにフィルムを斜め延伸させるテンター装置では、左右のガイドレールに沿って走行するクリップにより、フィルムの側縁部を把持させて移動させる。そして、左右で搬送速度差をつけて移動させることによって斜め方向に延伸している。
【0004】
一方、上記特許文献1に記載されているテンター装置では、左右で搬送速度差をつけて移動させることに起因してツレ、シワ、フィルム寄り( 局部的な厚みむら) などが発生してしまう。そこで、左右の搬送速度差に起因するツレ、シワなどを防いで、配向軸を傾斜させたフイルムを容易にかつ確実に延伸させるため、特許文献2で提案されているテンター装置では、入り口側の搬送方向に対して出口側の搬送方向が傾斜するように、左右のテンターレールの途中が屈曲している屈曲区間を設けており、この屈曲区間を通過することによって、フィルムの配向軸を傾斜させることを可能としている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献2に記載されているようなテンター装置では、フイルムの配向軸を傾斜させるための屈曲区間を通過するときに、フイルムにかかる力が大きくなるとともに、フイルムクリップによって把持されている部分に回転方向の力が加わることになり、破れやすくなってしまうことが考えられる。
【0006】
ところで、フイルムなどの製膜設備における一般的なテンター装置では、フイルムを乾燥させつつ延伸させるものであり、雰囲気を乾燥状態に設定している。このような従来の手法を適用したテンター装置では、フイルムが特に破れやすくなるという問題がある。特に、前記屈曲区間を有するテンター装置の場合に、この屈曲区間を通過しているときに、フイルムクリップの付近が破れやすい状態になっている。このような状態でフイルムに温風が吹き付けられると、温風の風圧による振動などによってフイルムが簡単に破れてしまうという問題がある。
【0007】
本発明は上記課題を解決するためのものであり、プラスチックフイルムを、切断、片伸びや、孔などの欠陥の発生を防ぎつつ、延伸することが可能なテンター装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明のテンター装置では、第1レール及び第2レールに沿って走行する複数の把持具により、プラスチックフイルムの両側縁部を把持して搬送させながら、前記プラスチックフイルムに張力を与えて延伸させるテンター装置において、前記プラスチックフイルムを延伸する延伸区間には、所定温湿度に設定された加熱湿潤空気を吹き出す加熱湿部が設けられており、前記プラスチックフイルムが前記延伸区間を搬送されているとき、前記加熱湿部から前記プラスチックフイルムに向かって加熱湿潤空気を吹き付けている。
【0009】
なお、前記延伸区間では、前記プラスチックフイルムを搬送方向と直交する幅方向に延伸しており、この延伸区間とは別の位置に、屈曲した搬送方向に沿って前記プラスチックフイルムを搬送して斜め方向に延伸する屈曲区間を備えていることが好ましい。
【0010】
また、前記屈曲区間は、前記延伸区間よりも下流側に位置しており、前記加熱湿潤空気を前記プラスチックフイルムへ吹き付ける範囲は、前記延伸区間の開始点以降から、前記屈曲区間の開始点より手前の位置としていることが好ましい。この場合、加熱湿潤空気を吹き付ける範囲を限定しているので、テンター装置のコスト増加を防げるとともに、フイルムが破れやすい屈曲区間でフイルムが温風の風圧を受けることを防止することができるので、フイルムの破損を防ぐことができる。
【0011】
さらにまた、前記加熱湿部によりプラスチックフイルムへ加熱湿潤空気を吹き付ける空間と、前記把持具が前記プラスチックフイルムを把持する空間とを隔離する仕切り部材が設けられていることが好ましい。この場合には、プラスチックフイルムを把持する把持具が必要以上に加熱されることを防ぐことが可能なので、延伸区間や屈曲区間を通過しているときに、把持具が把持している部分が溶解してプラスチックフイルムが切断されたり、片伸びしたり、ボイド(孔)が発生したりすることがない。また、把持具部分に結露が発生した場合でもテンター装置が錆びるなどの故障発生を防止することができる。
【0012】
なお、前記加熱湿潤空気の温度は、前記プラスチックフイルムのガラス転移点温度よりも10°C〜30°C低い温度であることが本発明においては効果的であり、さらに前記加熱湿潤空気の湿度が85%以上であることが好ましく、95%以上であるとさらに良い。また、前記プラスチックフイルムは、ポリビニルアルコールフイルム(以下、PVAフイルムとする。)であることが好ましく、洗浄、染色、硬膜処理のうち少なくともいずれか1つの処理が施されているPVAフイルムであることがさらに好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明のテンター装置を示す概略の平面図である。このテンター装置10は、第1レール11と、第2レール12と、これらレール11,12に案内される無端チェーン(エンドレスチェーン)13,14と、加熱湿部15とから構成されている。このテンター装置10で延伸されるフイルム20としては、PVAフイルムが用いられる。なお、このテンター装置10での工程の前には、フイルム20は、洗浄液、染色剤の水溶液、硬膜剤の水溶液がそれぞれ所定量貯留された洗浄槽、染色槽、硬膜槽の中を搬送されており、これによって、洗浄、染色、硬膜処理が施されている。なお、これらフイルム20の前処理は、必要に応じて行われ、洗浄、染色、硬膜処理のうち少なくともいずれか1つが行われる。
【0014】
無端チェーン13,14には、周知のように把持具としてのフイルムクリップ21が所定ピッチで多数取り付けられている。このフイルムクリップ21はフイルム20の側縁部を把持しながら、各レール11,12に沿って移動することで、フイルム20を延伸する。
【0015】
無端チェーン13,14は原動スプロケット23,24及び従動スプロケット25,26との間に掛け渡されており、これらスプロケット23〜26の間では、無端チェーン13は第1レール11によって、無端チェーン14は第2レール12によって案内される。原動スプロケット23,24はフイルム20の入り口16側に設けられており、これらは図示しない駆動部により回転駆動される。また、従動スプロケット25,26はフイルム20の出口17側に設けられている。なお、スプロケット23〜26の構成はこれに限らず、出口17側を原動スプロケットとし、入り口16側を従動スプロケットとしてもよい。
【0016】
これらスプロケット23〜26に近接してフイルムクリップ21の開放部材(図示省略)が配置されている。この開放部材は、入り口16側の原動スプロケット23,24では、フイルム20の把持位置の前で、フイルムクリップ21の図示しない係合部に接触してこれを開放状態にし、フイルム20の側縁部をフイルムクリップ21内に案内する。そして、把持位置を通過するときに開放部材が前記係合部から離れ、フイルムクリップ21が開放位置から把持位置にセットされて、フイルム20の側縁部が把持される。同様にして、出口17側の従動スプロケット25,26では、フイルム20の把持解除位置で開放部材によりフイルムクリップ21が開放位置にされて、フイルム20の側縁部の把持が開放される。本実施形態では自重落下方式のフイルムクリップ21を用いているが、この他に、バネ付勢により開閉するフィルムクリップや、その他の各種駆動手段を有するフィルムクリップ、さらに、これらの方式を組み合わせたフィルムクリップを用いてもよい。
【0017】
第1レール11は、入り口16側から出口17側に向かって順に、入り口レール部11aと、延伸レール部11bと、屈曲レール部11cと、出口レール部11dとから構成されている。同様にして、第2レール12も入り口レール部12aと、延伸レール部12bと、屈曲レール部12cと、出口レール部12dとから構成されている。
【0018】
一方の延伸レール部11bの入り口16側には、連結レール部11eが設けられている。連結レール部11eは、入り口レール部11aと、延伸レール部11bとの間を湾曲するようにそれぞれ連結する。同様にして他方の延伸レール部12bにも連結レール部12eが設けられている。
【0019】
各入り口レール部11a,12aは、入り口16から供給されるときのフイルム20の幅W1に合わせるように互いに平行に位置しており、かつ搬送方向の中心が、入り口16側の搬送方向の中心CL1に合わせて配置されている。また、各入り口レール部11a,12a及び各出口レール部11d,12dは、入り口16側の搬送方向と、出口17側の搬送方向とがなす角度がθとなるように設定されている。そして各出口レール部11d,12dは、フイルム延伸方向の延伸倍率N´(=W2/(W1×cosθ))で設定された幅W2(=W1×N´×cosθ)に合わせて平行に位置しており、かつ搬送方向の中心が出口17側の搬送方向の中心CL2に合わせて配置されている。なお、実際にフイルム20が延伸方向に延伸される延伸倍率は上述したN´=W2/(W1×cosθ)であるが、出口17から出るときの見かけの延伸倍率は、N=W2/W1である。
【0020】
各延伸レール部11b,12bは、入り口16側の幅W1から徐々に、互いの間隔が離れていくように位置しており、かつ搬送方向の中心が、入り口16側の搬送方向の中心CL1に合わせて配置されている。各屈曲レール部11c,12cは、入り口16側の搬送方向の中心CL1と出口17側の搬送方向の中心CL2とが傾斜するように屈曲して配置されている。
【0021】
このテンター装置10は、フイルム20の入り口16から出口17へ順に、予熱区間10a、延伸区間10b、屈曲区間10c、熱処理区間10dの各エリアに分けられている。この区間10a〜10dは、上述した各レール部11a〜11d,12a〜12dに合わせて配置されており、予熱区間10aは入り口レール部11a,12aの間に、延伸区間10bは延伸レール部11b,12bの間に、屈曲区間10cは屈曲レール部11c,12cの間に、熱処理区間10dは出口レール部11d及び出口レール部12dの間に挟まれた空間にそれぞれ設定されている。なお、本実施形態では、レール11,12で、入り口16側と出口17側とで搬送方向が傾斜していることから、各フイルムクリップ21がフイルム20を実質的に保持する搬送方向に位置がずれる(第1レール11を走行するフイルムクリップ21の方が先に搬送方向の下流側へ進む。)。このため、実際にフイルム20が幅方向に延伸される区間は屈曲レール部12cの上流側の一部まで連続する。同様に実際にフイルム20が斜め方向に延伸される区間も出口レール部11dの一部まで連続している。これにより、延伸区間10b及び屈曲区間10cは、それらの屈曲レール部12c及び出口レール部11dの一部を含んでいる
【0022】
加熱湿部15は、詳しくは図2、図3及び図4に示すように、延伸区間10bでフイルム20の上面を覆う位置に配置されている。この加熱湿部15は、延伸区間10bに合わせた箱状に形成されたケーシング31と、送風機32と、ヒータ33と、スチーム管34と、温湿度制御回路35とからなる。
【0023】
ケーシング31の下面壁31aには、多数の吹き出し口36が形成されている。吹き出し口36は、フイルム20の延伸方向に合わせたスリット状に開口されている。吹き出し口36の周縁部には,内側に向かって垂直に折り曲げられた突出部36aが一体に形成されている。ケーシング31の内部は、後述するスチーム管34から出される蒸気によって結露する場合があるが、ケーシング31の内部が結露して、下面壁31aの上面に水が貯留したとき、その水は突出部36aによって受け止められるので、吹き出し口36から水滴が落下することを遮る。また、ケーシング31の一端部には、排水管31bが一体に設けられている。ケーシング31の内部の結露によって下面壁31aに貯留した水は、排水管31bへ流れ込み、排水管31bを通過した水は、テンター装置10の外部へと排水される。
【0024】
送風機32はケーシング31の他端に形成された開口31cに接続され、ケーシング31の内部に空気を送る。ヒータ33は、温湿度制御回路35によって通電されることによってケーシング36の内部の空気を加熱する。スチーム管34は、ケーシング31の内部に複数配管されており、下方部に形成された多数の蒸気孔34aから蒸気を噴出して、ケーシング31の内部を加湿する。このヒータ33及びスチーム管34は、温湿度制御回路35の制御によってケーシング36の内部の空気をそれぞれ加熱及び加湿し、空気が所定の温度及び湿度を超えたときには加熱及び加湿を停止する。
【0025】
また、ケーシング31の内部には、整流板37が、下面壁31aと平行な位置に取り付けられている。整流板37としては、鋼板に多数の開口を形成したパンチングボードなどが使用される。この整流板37によって、送風機32から送風された空気は、下方へ向かって均一に吹き出されるように整流される。
【0026】
このように構成された加熱湿部15で、送風機32からケーシング36の内部へ空気が送られると、ヒータ33及びスチーム管34によって所定の温湿度に調節された加熱湿潤空気が、整流板37によって下方へ整流され、吹き出し口36からフイルム20へと向かって吹き出される。これにより、吹き出し口36からフイルム20へ向かって垂直に、かつ延伸区間10bが開始する位置から、屈曲区間10cの開始する位置より手前の範囲内まで、加熱湿潤空気が均等に吹き付けられる。
【0027】
なお、本実施形態においては、吹き出し口36から空気が吹き出す方向を、整流板37によって整流し、フイルム20へ向かって垂直に突出するようにしたが、これに限らず、フイルム20へ向かって斜めに空気を吹き付けるようにしてもよい。
【0028】
また、延伸区間10bには、詳しくは、図4に示すように、フイルムクリップ21、及びレール11、12の周囲を覆うように仕切り部材としての仕切りカバー38が設けられている。仕切りカバー38は、フイルムクリップ21及びレール11,12が内部に配置される筒形状に形成されており、フイルムクリップ21によって把持されたフイルム20が通過するスリット38aが形成されている。この仕切りカバー38を設けることによって、フイルム20に加熱湿潤空気を吹き付ける空間と、フイルムクリップ21がフイルム20を把持する空間とが隔離される。なお、このような仕切り部材の形状としては、筒形状に限らず、例えば平面的な板状部材で、フイルム20に加熱湿潤空気を吹き付ける空間から、フイルムクリップ21を隔離し、加熱湿潤空気がフイルムクリップ21に到達しないようにすればよい。
【0029】
次に、本実施形態の作用を説明する。製膜ライン等により製膜されたフイルム20がフィルム入り口16からテンター装置10内に送られてくると、開放状態になっていたフイルムクリップ21が閉じられてフイルム20が把持される。フイルムクリップ21は各チェーン13,14の回動により、レール11,12に沿って移動する。入り口16から予熱区間10aに搬送されてきたフイルム20は、例えば、25°C以上に予熱される。
【0030】
予熱区間10aを通過したフイルム20が延伸区間10bに送られてくると、加熱湿部15から吹き出された空気がフイルム20へと吹き付けられる。所定の温湿度、例えば温度60°C、湿度95%に設定された加熱湿潤空気が吹き付けられたフイルム20は、スムーズに延伸されて延伸区間10bを通過していく。また、仕切りカバー38を設けたことにより、フイルム20に吹き付けられた空気でフイルムクリップ21が必要以上に加熱されることがないので、フイルムクリップ21に把持されているフイルム20の側縁部周辺に孔を発生させてしまうことを防ぐことができる。さらに、フイルムグリップ21が必要以上に加熱湿潤空気に晒されることがないから、結露が発生してもフイルムグリップ21及びその周辺が錆びることを防止することができる。なお、延伸区間10bで、加熱湿部から吹き出される加熱湿潤空気の吹き出し速度は、吹き付けられたフイルム20が風圧によって振動しない程度の速度とすることが好ましい。
【0031】
なお、加熱湿部15からフイルム20に吹き付けられる加熱湿潤空気の温度は、フイルム20のガラス転移点温度よりも10°C〜30°C低い温度に設定している。もし、この範囲未満の温度だとフイルム20は硬すぎて延伸することができずに切断されてしまう。また、この範囲を超える温度だとフイルム20が軟らか過ぎて延伸途中で切断されてしまう。さらに、この加熱湿潤空気の湿度は、85%以上であれば良く、95%以上であればさらに良い。
【0032】
次に屈曲区間10cを通過することにより、フイルム20は斜め方向に延伸されて配向軸が傾斜する。なお、上述したように加熱湿部15による加熱湿潤空気の吹き付けは延伸区間10cの範囲内だけで行われるので、この屈曲区間10cでは、加熱湿潤空気の影響を受けず、切断、片伸びや、孔などの欠陥が発生することなく、斜め方向の延伸がスムーズに行われる。もし、屈曲区間10cで、空気の吹き付けが行われると、風圧によってフイルム20が振動してしまうため、幅方向の延伸よりもフイルム20に大きな力がかかる斜め方向の延伸で、フイルムクリップ21で把持されている部分に加わる回転方向の力とともに、振動の力が加わったフイルム20に破損が生じてしまうが、本実施形態では、加熱湿潤空気の吹き付けは屈曲区間10cが開始する位置より手前までの範囲になっているので、そのようなことはない。
【0033】
そして、熱処理区間10dで乾燥した空気を吹き付けられることによりフイルム20が乾燥される。このように、配向軸が傾斜したフイルム20を、切断、片伸びや、孔などの欠陥が発生することなく確実に製造することができる。
【0034】
なお、上記実施形態では、フイルム20の上方に設けた加熱湿部15から加熱湿潤空気を吹き付けているが、これに限らず、下方部や両側方部に設けた加熱湿部からフイルム20へ向かって加熱湿潤空気を吹き付けるようにしてもよいし、上下両面側から吹き付けるようにしてもよい。
【0035】
なお、上記実施形態では、延伸区間10bでフイルム20の搬送方向と直交する幅方向に延伸しているが、この他に、延伸区間で斜め延伸する装置に対しても本発明を適用することができる。
【0036】
また、上記実施形態では、ヒータ33及びスチーム管34をケーシング31に内蔵させているが、これらをケーシング31の外部に設け、ダクトなどを介して接続してもよい。この場合には、外部に設けたヒータ、スチーム管などからなる温湿度調節手段により温度及び湿度が調節された空気をダクトを介してケーシング31内へ送り、さらにケーシング31内からフイルム20に向かって吹き付けるとよい。
【0037】
なお、テンター装置10の出口17でフイルム20の左右に進行速度差があると、出口17におけるシワ、寄りが発生するため、左右のフイルムクリップ21の速度差は、実質的に同速度であることが求められる。速度差は好ましくは1%以下であり、さらに好ましくは0.5%未満であり、最も好ましくは0.05%未満である。ここで述べる速度とは、毎分当たりに左右各々のフイルムクリップ21が進む軌跡の長さのことである。一般的なテンター装置等では、チェーンを駆動するスプロケットの歯の周期、駆動モータの周波数等に応じ、秒以下のオーダーで発生する速度ムラがあり、しばしば数%のムラを生ずるが、これらは本発明で述べる速度差には該当しない。
【0038】
本発明を実施したテンター装置10により延伸することによって、フイルム20は優れた偏光能を有する偏光膜として利用することができる。得られた偏光膜としてのフイルム20の両面又は片面に保護膜(保護フィルム)を接着剤層を介して設けることにより、偏光板が得られる。得られた偏光板は、優れた単板透過率及び偏光度を有する。したがって、液晶表示装置として用いる場合に、画像のコントラストを高めることができ、有利である。
【0039】
なお、ポリビニルアルコールのケン化度は特に限定されないが、溶解性等の観点から80〜100mol%が好ましく、90〜100mol%が特に好ましい。またポリビニルアルコールの重合度は特に限定されないが、1000〜10000が好ましく、1500〜5000が特に好ましい。
【0040】
延伸前のフイルム20の好ましい弾性率は、ヤング率で表して、0.01MPa以上5000MPa以下、更に好ましくは0.1MPa以上500MPa以下である。弾性率が低すぎると延伸時・延伸後の収縮率が低くなり、シワが消えにくくなり、また高すぎると延伸時にかかる張力が大きくなり、フイルム20の両側縁部を保持する部分の強度を高くする必要が生じ、テンター装置10に対する負荷が大きくなる。
【0041】
延伸前のフイルム20の厚みは特に限定されないが、フィルム把持の安定性、延伸の均質性の観点から、1μm〜1mmが好ましく、20〜200μmが特に好ましい。
【0042】
本発明に用いられる染色剤としては、ヨウ素−ヨウ化カリウムで生成したI3−、I5−等の多ヨウ素イオンおよび/または有機二色性色素である。二色性色素の具体例としては、例えばアゾ系色素、スチルベン系色素、ピラゾロン系色素、トリフェニルメタン系色素、キノリン系色素、オキサジン系色素、チアジン系色素、アントラキノン系色素等の色素系化合物を挙げることができる。水溶性のものが好ましいが、この限りではない。また、これらの二色性分子にスルホン酸基、アミノ基、水酸基などの親水性置換基が導入されていることが好ましい。二色性分子の具体例としては、例えばシー.アイ.ダイレクト.イエロー12、シー.アイ.ダイレクト.オレンジ39、シー.アイ.ダイレクト.オレンジ72、シー.アイ.ダイレクト.レッド39、シー.アイ.ダイレクト.レッド79、シー.アイ.ダイレクト.レッド81、シー.アイ.ダイレクト.レッド83、シー.アイ.ダイレクト.レッド89、シー.アイ.ダイレクト.バイオレット48、シー.アイ.ダイレクト.ブルー 67、シー.アイ.ダイレクト.ブルー90、シー.アイ.ダイレクト.グリーン59、シー.アイ.アシッド.レッド37等が挙げられ、さらに特開昭62−70802号、特開平1−161202号、特開平1−172906号、特開平1−172907号、特開平1−183602号、特開平1−248105号、特開平1−265205号、特開平7−261024号の各公報記載の色素等が挙げられる。これらの二色性分子は遊離酸、あるいはアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン類の塩として用いられる。これらの二色性分子は2種以上を配合することにより、各種の色相を有する偏光子を製造することができる。偏光板として吸収軸を直交させた時に黒色を呈する化合物(色素)や黒色を呈するように各種の二色性分子を配合したものが単板透過率、偏光度とも優れており好ましい。特にヨウ素−ヨウ化カリウムで生成したI3−、I5−等の多ヨウ素イオンが好ましく使用される。
【0043】
ヨウ素−ヨウ化カリウムで生成したI3−、I5−等の多ヨウ素イオンを偏光子として使用する場合、ヨウ素は0.1〜20g/l、ヨウ化カリウムは1〜200g/l、ヨウ素とヨウ化カリウムの質量比は1〜200が好ましい。染色時間は10〜5000秒が好ましく、液温度は5〜60℃が好ましい。
【0044】
硬膜剤(架橋剤)としては、米国再発行特許第232897号に記載のものが使用できるが、ホウ酸、ホウ砂が実用的に好ましく用いられる。また、亜鉛、コバルト、ジルコニウム、鉄、ニッケル、マンガン等の金属塩も併せて用いることができる。
【0045】
また、フイルム20を延伸する速度は、単位時間当りの延伸倍率で表すと、1.1倍/分以上、好ましくは2倍/分以上で、早いほうが好ましい。また、長手方向の進行速度は、0.1m/分以上、好ましくは1m/分以上で、早いほうが生産性の観点から見て好ましい。いずれの場合も、上限は、延伸するフイルム20及びテンター装置10により異なる。
【0046】
さらにまた、フイルム20の両側縁をフイルムクリップ21により把持する際、把持しやすいようにフイルム20を張った状態にしておくことが好ましい。具体的には、フイルム20の長手方向に張力をかけてフィルムを張るなどの方法が挙げられる。
【0047】
フイルム20には、各種機能膜を保護膜として直接片面または両面に貼合することができる。機能膜の例としては、λ/4板、λ/2板などの位相差膜、光拡散膜、偏光板と反対面に導電層を設けたプラスチックセル、異方性散乱や異方性光学干渉機能等をもつ輝度向上膜、反射板、半透過機能を持つ反射板等があげられる。
【0048】
保護膜としては、上に述べた好ましい保護膜を一枚、または複数枚積層して用いることができる。偏光膜の両面に同じ保護膜を貼合しても良いし、両面に異なる機能、物性をもつ保護膜をそれぞれ貼合しても良い。また、片面のみに上記保護膜を貼合し、反対面には直接液晶セルを貼合するために、粘着剤層を直接設けて保護膜を貼合しないことも可能である。この場合粘着剤の外側には、剥離可能なセパレータフィルムを設けることが好ましい。
【0049】
フイルム20としては、その膜厚が薄いものが多いが、ハンドリング時のフイルム20の裂け等のトラブルを回避するため、フイルム20を延伸後、少なくとも片面に保護膜を貼り合わせ、後加熱する工程を有することが好ましい。具体的な貼り付け方法として、熱処理工程中、両端を保持した状態で接着剤を用いてフイルム20に保護膜を貼り付け、その後両端を耳きりする、耳きりの方法としては、刃物などのカッターで切る方法、レーザーを用いる方法など、一般的な技術を用いることができる。貼り合わせ直後に、接着剤を乾燥させるため、および偏光性能を良化させるために、加熱することが好ましい。加熱の条件としては、接着剤により異なるが、水系の場合は、30℃以上が好ましく、さらに好ましくは40℃以上100℃以下、さらに好ましくは50℃以上80℃以下である。これらの工程は一貫した製造ラインで行われることが、性能上及び生産性を高くする上で好ましい。なお、上記実施形態ではテンター装置10内でフイルム20に保護膜を貼り付け、その後両端を耳きりしたが、フイルム20がテンター装置10の出口17から出た後に保護膜を貼り付け、その後両端を耳きりしてもよい。
【0050】
【発明の効果】
本発明のテンター装置によれば、所定温湿度に設定された加熱湿潤空気を吹き出す加熱湿部を延伸区間に設け、プラスチックフイルムが延伸区間を通過しながら延伸されているとき、加熱湿部からプラスチックフイルムに向かって加熱湿潤空気を吹き付けているので、幅方向の延伸がスムーズに行われ、延伸工程の際に切断、片伸び、孔などが発生することを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のテンター装置の概略を示す平面図である。
【図2】フイルムへ加熱湿潤空気を吹き付ける加熱湿部を示す斜視図である。
【図3】加熱湿部をフイルムの搬送方向に沿って切断した断面図である。
【図4】加熱湿部をフイルムの幅方向に沿って切断した断面図である。
【符号の説明】
10 テンター装置
10a 予熱区間
10b 延伸区間
10c 屈曲区間
10d 乾燥区間
11,12 レール
15 加熱湿部
20 フィルム
21 クリップ
38 仕切りカバー
Claims (9)
- 第1レール及び第2レールに沿って走行する複数の把持具により、プラスチックフイルムの両側縁部を把持して搬送させながら、前記プラスチックフイルムに張力を与えて延伸させるテンター装置において、
前記プラスチックフイルムを延伸する延伸区間には、所定温湿度に設定された加熱湿潤空気を吹き出す加熱湿部が設けられており、前記プラスチックフイルムが前記延伸区間を搬送されているとき、前記加熱湿部から前記プラスチックフイルムに向かって加熱湿潤空気を吹き付けることを特徴とするテンター装置。 - 前記延伸区間では、前記プラスチックフイルムを搬送方向と直交する幅方向に延伸しており、この延伸区間とは別の位置に、屈曲した搬送方向に沿って前記プラスチックフイルムを搬送して斜め方向に延伸する屈曲区間を備えていることを特徴とする請求項1記載のテンター装置。
- 前記屈曲区間は、前記延伸区間よりも下流側に位置しており、前記加熱湿潤空気を前記プラスチックフイルムへ吹き付ける範囲は、前記延伸区間の開始点以降から、前記屈曲区間の開始点より手前の位置としていることを特徴とする請求項2記載のテンター装置。
- 前記加熱湿部によりプラスチックフイルムへ加熱湿潤空気を吹き付ける空間と、前記把持具が前記プラスチックフイルムを把持する空間とを隔離する仕切り部材が設けられていることを特徴とする請求項1ないし3いずれか1つ記載のテンター装置。
- 前記加熱湿潤空気の温度は、前記プラスチックフイルムのガラス転移点温度よりも摂氏で10〜30度低い温度であることを特徴とする請求項1ないし4いずれか1つ記載のテンター装置。
- 前記加熱湿潤空気の湿度が85%以上であることを特徴とする請求項1ないし5いずれか1つ記載のテンター装置。
- 前記加熱湿潤空気の湿度が95%以上であることを特徴とする請求項1ないし5いずれか1つ記載のテンター装置。
- 前記プラスチックフイルムは、ポリビニルアルコールフイルムであることを特徴とする請求項1ないし7いずれか1つ記載のテンター装置。
- 前記プラスチックフイルムは、洗浄、染色、硬膜処理のうち少なくともいずれか1つの処理が施されているポリビニルアルコールフイルムであることを特徴とする請求項1ないし7いずれか1つ記載のテンター装置 。
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-
2003
- 2003-01-30 JP JP2003021989A patent/JP2004230713A/ja active Pending
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