JP2004230657A - 架橋ポリエチレン管と継手との接合方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は架橋ポリエチレン管と架橋ポリエチレン継手とを接合部材の回転摩擦溶融接合により接合する方法に関するものである。
【解決手段】接合部材の両接合部の摩擦融着層は、密度0.93×103 〜 0.95×103 kgf/m3 、メルトフローレート0.1〜10g/10分であるポリエチレン層であり、この接合部材を、接合部の回転速度が0.35〜0.8m/sの範囲で回転させ、この回転している接合部材の両接合部に架橋ポリエチレン管と継手とが押圧挿入され、摩擦溶融して接合されることを特徴とする架橋ポリエチレン管と継手との接合方法。
【選択図】 図1
【解決手段】接合部材の両接合部の摩擦融着層は、密度0.93×103 〜 0.95×103 kgf/m3 、メルトフローレート0.1〜10g/10分であるポリエチレン層であり、この接合部材を、接合部の回転速度が0.35〜0.8m/sの範囲で回転させ、この回転している接合部材の両接合部に架橋ポリエチレン管と継手とが押圧挿入され、摩擦溶融して接合されることを特徴とする架橋ポリエチレン管と継手との接合方法。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は架橋ポリエチレン管と架橋ポリエチレン継手とを接合部材の回転摩擦溶融により接合する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ガス用、上水道用、給水給湯用、温泉用、スプリンクラー用等の配管には、耐蝕性に優れた熱可塑性樹脂配管材が使用されている。就中、オレフィン系樹脂は、軽量で施工性に優れ、延性材料で耐震性に優れていることから、これらの用途に多用されている。
また、このオレフィン系樹脂は、融点が低いことから、融着法を用いて継ぎ目の無い管路を形成することで、機械的な接合に比べて配管全体の信頼性を向上させることができる。
融着法としては、熱板を用いて配管材の接合面を溶融し圧着するバット融着法や、継手内面に電熱線を内蔵させ、通電により継手および管を伝熱により溶融して接合する、所謂、エレクトロフュージョン継手を使用する電気融着法が一般的である。
【0003】
しかし、バット融着法は、伝熱による溶融接合であるために、接合に要する時間が非常に長くなるという欠点や、熱板を取り除く工程の際にできてしまうスキン層を押し出すために多くの溶融樹脂が必要となるという欠点があり、電気融着法では、継手に電熱線を内蔵するためにリサイクルが困難であると共に継手が複雑となるためコスト高となり、また、接合時間が長くかかるという問題があった。
【0004】
樹脂同士の融着は、分子の絡み合いにより生じるのであるが、樹脂分子は熱を与えることで拡散運動を生じ、接合面で双方の樹脂分子が相互に進入し、1分子長さ以上の分子が絡み合うことで高強度の融着を発現するようになる。
ところで、上記配管材は、耐熱性を向上させるために架橋が施されることが多い。この場合、ゲル分率が50%未満の樹脂同士では自由に相互拡散する分子が多いため熱を与えさえすれば、比較的どのような融着方法でも高強度に融着される。しかし、ゲル分率が50%以上の樹脂同士では、自由に相互拡散できる分子が少ないため、単に熱を与えるだけでは高強度の融着とはならない、という問題点があった。
【0005】
一方で、配管材同士の接合方法として、配管材を、その外径より小さい内径を有するスリーブの両端部に押圧挿入保持させ、上記スリーブを回転させることにより、その摩擦熱で、両配管材とスリーブとを融着させる、所謂、摩擦溶融接合法が提案されている。
また、管の外径より小さな内径の接合部と継手の内径より大きな外径の接合部とを有するスリーブを回転させ、この回転しているスリーブの両接合部に管と継手とを押圧挿入することにより、管と継手とを摩擦溶融接合することも提案されている。
【0006】
そこで、本願出願人は、架橋樹脂管と架橋樹脂継手とを接続するに当たり、回転しているスリーブを使用して摩擦溶融接合することを考え、実験した結果、熱可塑性樹脂により構成される、2つの配管材とスリーブとからなり、第1の配管材の外面とスリーブの内面、及び、第2の配管材の内面とスリーブの外面とが摩擦溶融接合により接合されており、上記2つの配管材の管内表層に露出された部位の樹脂のゲル分率が50%以上であり、第1の配管材とスリーブとの接合面の少なくともいずれか一方、及び、第2の配管材とスリーブとの接合面の少なくともいずれか一方における樹脂のゲル分率が50%未満となされていることを特徴とする熱可塑性樹脂管の接続構造とすることにより、可能であることを確認し、特許出願をした。(例えば、特許文献1参照。)。
【0007】
【特許文献1】
特開2002−103453号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、この特許文献1に記載のように、接合面の少なくともいずれか一方における樹脂のゲル分率を50%未満の一定かつ、接合面全体に均一なゲル分率となるように架橋度を調整することは非常に困難で、どうしても架橋度がばらついてしまう。
架橋度がばらつくと、回転しているスリーブを使用して摩擦溶融接合しても、架橋度により溶融状態が変わるため融着状態が変化して、融着強度に差が生じることとなり、特に、配管材またはスリーブの製造ロットが異なる場合には、回転速度を調整しないと、長期に渡って使用可能な強度のある融着ができないという問題があった。
【0009】
本発明は、上記の問題を解消するために、架橋ポリエチレン管と架橋ポリエチレン継手とを、スリーブの回転により摩擦溶融接合するに当たり、管および継手の架橋度、スリーブの材質、回転速度等により、管と継手との接合部の耐熱性や融着強度がどのように変化するかを検討したところ、意外にもスリーブが全く架橋していないものであっても、耐熱性を発現し、しかも、スリーブの管および継手との接合面における回転速度をある一定の範囲内の回転速度とすることにより、十分な強度の摩擦溶融接合が可能であることを見いだして、本発明を完成したものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本願の請求項1に係る架橋ポリエチレン管と継手との接合方法は、架橋ポリエチレン管と架橋ポリエチレン継手とを接合部材の回転摩擦溶融接合により接合する方法であって、接合部材は架橋ポリエチレン管外径より小さい内径を有する接合部と架橋ポリエチレン継手の内径より大きい外径を有する接合部とを有し、両接合部の摩擦融着層は、密度0.93×103 〜0.95×103 kgf/m3 、メルトフローレート0.1〜10g/10分であるポリエチレン層であり、この接合部材を、接合部の回転速度が0.35〜0.8m/sの範囲で回転させ、この回転している接合部材の両接合部に前記管と継手とが押圧挿入され、摩擦溶融して接合されることを特徴とする。
【0011】
本発明はこのような構成となされ、接合部材の回転摩擦溶融接合において、接合部材の両接合部の摩擦融着部のポリエチレン層の密度とメルトフローレートとを特定の範囲のポリエチレン層とすると共に、回転摩擦融着時の接合部材の摩擦融着部の回転速度を特定の範囲とすることにより、接合部材を回転させ、この回転している接合部材の両接合部に、架橋ポリエチレン管と架橋ポリエチレン継手とを押圧挿入するだけで、架橋ポリエチレン管の端部外面と接合部材内面および接合部材外面と架橋ポリエチレン継手内面とが摩擦溶融して嵌合され、融着される。即ち、架橋ポリエチレン管と架橋ポリエチレン継手とを回転摩擦融着するのに、従来の非架橋のオレフィン系樹脂管と継手とを回転摩擦融着するのと全く同様の装置を使用して、同様の操作で、架橋ポリエチレン管の耐熱性を維持して、十分な強度の溶融接合が可能となったのである。
【0012】
また、請求項2に係る架橋ポリエチレン管と継手との接合方法は、請求項1において、架橋ポリエチレン管外径と接合部材の接合部内径との差および架橋ポリエチレン継手内径と接合部材の接合部外径との差が0.4〜1.6mmであることを特徴とする。
このような差を有していると、摩擦溶融が確実で強固な融着接合を簡単に行うことができる。
【0013】
本発明に使用される継手としては、たとえば、エルボ、チーズ、レジューサー、インクリーザー、ヘッダー、または片側が金属螺子インサートとなっているアダプターなどであってもよい。 .
【0014】
また、架橋ポリエチレン管と継手は、ポリエチレン樹脂、好ましくは中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレンなどから成形され、架橋処理されて、耐熱性を有するものとなされている。耐熱性を有する程度に架橋する、特に、湯や温泉など高温下で使用する管路に適用する場合には、ゲル分率が65%以上とすることが必要である。なお、ゲル分率は、JIS K6796に準じて測定されたものであり、重量百分率で定義されたものである。
【0015】
ポリエチレン管および継手を架橋したものとするには、通常の架橋法が採用され、例えば、水架橋法、電子線架橋法、過酸化物等の架橋剤を用いた架橋法などが挙げられる。
【0016】
また、本発明に使用される接合部材は、耐熱性を有する樹脂成形品でも金属から形成されたものであってもよいが、架橋ポリエチレン管および架橋ポリエチレン継手との接合部には、密度0.93×103 〜0.95×103 kgf/m3 、メルトフローレート0.1〜10g/10分であるポリエチレン層である摩擦融着層を有していることが必要である。
このポリエチレン層は、接合部材の接合部に摩擦融着層として層状に形成されていても、接合部材全体がこのポリエチレン樹脂から成形されていてもよい。
ポリエチレン層としては、回転摩擦溶融時に、溶融する厚さ(例えば、0.5mm)以上の厚さを有していればよい。
【0017】
上記接合部材の製造方法としては特に限定されない。形状面で問題がなければ、成形コストの面から射出成形で製造するのがよい。また、耐熱性を有する樹脂成形品または金属部品をインサート射出成形したものであってもよい。
【0018】
本発明においては、上記接合部材を、接合部の回転速度が0.35〜0.8m/sの範囲で回転保持し、この回転している接合部材の接合部に前記架橋ポリエチレン管と継手とが押圧挿入され、接合部材の接合部内面と管外面および接合部外面と継手内面とが、摩擦溶融して接合される。
回転している接合部材の接合部に前記架橋ポリエチレン管と継手とが押圧挿入されて、接合部材の接合部内面と管外面および接合部外面と継手内面とが、摩擦溶融するためには、接合部材は架橋ポリエチレン管外径より小さい内径を有する接合部と架橋ポリエチレン継手の内径より大きい外径を有する接合部とを有していて、管および継手を接合部材の接合部に押圧挿入すると、押圧接触面が摩擦溶融して挿入される。
【0019】
管および継手を回転している接合部材の接合部に押圧挿入して、十分な融着強度を得るためには、架橋ポリエチレン管外径と接合部材の接合部内径との差および架橋ポリエチレン継手内径と接合部材の接合部外径との差が0.4〜1.6mmであると、融着強度が高く、しかも管と継手とを接合部材に容易に押圧挿入できて、接合作業が行い易いため好ましい。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明の架橋ポリエチレン管と継手との接合方法で接合された接合品の一例を示す断面図である。
図1において、1は架橋ポリエチレン管、2は架橋ポリエチレン継手の一種で管を分配するためのヘッダー、3は接合部材である。管1は押出成形後架橋処理されたものであり、ヘッダー2および接合部材3は射出成形後架橋処理されたものである。
【0021】
図1に示すように、架橋ポリエチレン管1と接合部材3とは、架橋ポリエチレン管1の端部外面11と接合部材3の接合部内面31とが回転摩擦溶融接合され、ヘッダー2の内面21と接合部材3の接合部外面32とが回転摩擦溶融接合されて接合されている。
【0022】
図2は、本発明の架橋ポリエチレン管1とヘッダー2とを、回転保持されている接合部材3の接合部に押圧挿入して、回転摩擦溶融接合するための接合装置の一例を示す側面図である。
【0023】
この接合装置は、中央位置に接合部材3の回転保持具4設けられている。回転保持具4は、フレーム41に接合部材3を回転保持する回転支持歯車42、42が設けられ、モーター43で回転する駆動歯車44との間に接合部材3が装着されて、回転保持されるようになっている。接合部材3には外周に従動歯車が設けられていて、この柔道歯車が回転支持歯車42、42と噛み合って保持され、駆動歯車44で回転させられるようになっている。接合部材3に設けられる従動歯車は接合部材3と一体に成形されていても、二つ割りの従動歯車が接合部材3の外周に取り付けられているものであってもよい。二つ割りの従動歯車が金属製のものであると回転による歯車の損傷がなく、融着後取り外すことができるので、すっきりした配管ラインを形成できる。
【0024】
架橋ポリエチレン管1は保持具45に保持され、ヘッダー2は保持具46に保持されて、エアシリンダー47、48の作動で、接合部材3の接合部に向けて移動可能となされている。
【0025】
この接合装置を使用して接合部材3の回転により、架橋ポリエチレン管1とヘッダー2とを融着接合するには、まず、回転保持具4の回転支持歯車42、42と駆動歯車44との間に従動歯車が噛み合うように装着し、保持具45、46にそれぞれ架橋ポリエチレン管1とヘッダー2とを接合部が同芯となるよう保持する。
そして、モーター43を起動して駆動歯車44を回転させ、従動歯車を回転させ、それにより接合部材3が回転する。次に、エアシリンダー47、48を作動させて、この回転する接合部材3の接合部に向けて、保持具45と46を移動させ、架橋ポリエチレン管1を回転部材3の接合部内面31に押圧挿入すると同時に、ヘッダー2の内面21に接合部外面32が押圧挿入される。
【0026】
架橋ポリエチレン管1の外径が接合部材3の接合部内面31より大となされ、ヘッダー2の内径が接合部材3の接合部外面32より小となされているので、架橋ポリエチレン管1とヘッダー2とを回転する接合部材3に押圧すると、摩擦熱で嵌合する両表面が溶融して挿入される。所定の寸法だけ挿入されたら、エアシリンダー47、48による保持具45、46の移動を止め、モーター43を停止する。摩擦溶融部が冷却固化するまで、停止状態を維持した後、接合装置から取り外される。
【0027】
【実施例・比較例】
本発明を実施例および比較例をもってさらに詳しく説明する。
(実施例1)
架橋ポリエチレン管1として、積水化学工業社製、製品名「エスロペックス13A」(三菱化学社製シラン架橋性ポリマーXHE740N:密度0.947g/cm3 、メルトフローレート0.35g/10分を使用して押出成形し、成形後、水架橋したもので、ゲル分率67%に調整したもの、外径D=17.2mm)を使用した。
また、ヘッダー2としては、上記架橋ポリエチレン管と同じ原料を用いて図3に示した形状(D1 =29mm、D2 =25.8mm、D3 =23.2mm、D4 =17.2mm、D5 =13.2mm、L1 =12mm、L2 =3mm)のものを射出成形により成形し、水架橋したもので、ゲル分率67%に調整したものを使用した。
また、接合部材3としては、中密度ポリエチレン(三井化学社製NZ4005M、密度0.942g/cm3 、融点129℃、メルトフローレート0.20g/10分)を用いて図4に示した形状(D11=29mm、D12=23.7mm、D13=16.7mm、L3 =23mm、L4 =13mm)のものを射出成形により成形したものを準備した。
【0028】
そして、架橋ポリエチレン管1、ヘッダー2および接合部材3を図2に示す接合装置に取付け、接合部材3を542rpmで回転させた。次いでエアシリンダー47、48を作動させて、架橋ポリエチレン管1およびヘッダー2を回転している接合部材3に向けて移動させ、架橋ポリエチレン管1を接合部材3の接合部内面31に押圧挿入すると共に、ヘッダー2の内面21を接合部材3の接合部外面32に押圧挿入する。所定の寸法だけ移動させたら、エアーシリンダー47、48の作動を止め、回転を8秒間させた後、モーター43を停止する。停止状態を60秒間維持して融着接合部が固化した後、図1に示す接合品が得られた。
この時の架橋ポリエチレン管1の外径は接合部材3の接合部内面31の内径より0.5mm大となされ、接合面における回転速度は0.49m/sであり、ヘッダー2の内面21の内径は接合部材3の接合部外面32外径より0.5mm小となされ、接合面における回転速度は0.66m/sであった。
【0029】
得られた接合品につき、95℃における内圧クリープ試験を行ったところ、最終的な状態は架橋ポリエチレン管1のクリープ破壊であり、接合部からの漏水は見られなかった。
【0030】
(比較例1)
実施例1において、接合部材3が密度0.948g/cm3 、メルトフローレート0.03g/10分のポリエチレンから成形されている以外は、実施例1と同一条件で架橋ポリエチレン管1とヘッダー2とを摩擦溶融接合した。
得られた接合品につき、1.3MPa の内圧で、95℃における内圧クリープ試験を行ったところ、約50時間で継手と接合部材の接合部から漏水した。
【0031】
(比較例2)
実施例1において、接合部材3が密度0.943g/cm3 、メルトフローレート20g/10分のポリエチレンから成形されている以外は、実施例1と同一条件で架橋ポリエチレン管1とヘッダー2とを摩擦溶融接合した。
得られた接合品につき、1.3MPa の内圧で、95℃における内圧クリープ試験を行ったところ、約50時間で継手と接合部材の接合部から漏水した。
【0032】
(比較例3)
実施例1において、接合部材3が密度0.914g/cm3 、メルトフローレート2.3g/10分のポリエチレンから成形されている以外は、実施例1と同一条件で架橋ポリエチレン管1とヘッダー2とを摩擦溶融接合した。
得られた接合品につき、1.3MPa の内圧で、95℃における内圧クリープ試験を行ったところ、約20時間で継手と接合部材の接合部から漏水した。
【0033】
(比較例4)
実施例1において、接合部材3が密度0.961g/cm3 、メルトフローレート0.63g/10分のポリエチレンから成形されている以外は、実施例1と同一条件で架橋ポリエチレン管1とヘッダー2とを摩擦溶融接合した。
得られた接合品につき、1.3MPa の内圧で、95℃における内圧クリープ試験を行ったところ、約20時間で継手と接合部材の接合部から漏水した。
【0034】
【発明の効果】
本発明は上述した通りの構成となされ、接合部材の回転摩擦溶融接合において、接合部材の両接合部の摩擦融着部のポリエチレン層の密度とメルトフローレートとを特定の範囲のポリエチレン層とすると共に、回転摩擦融着時の接合部材の摩擦融着部の回転速度を特定の範囲とすることにより、接合部材を回転させ、この回転している接合部材の両接合部に、架橋ポリエチレン管と架橋ポリエチレン継手とを押圧挿入するだけで、架橋ポリエチレン管の端部外面と接合部材内面および接合部材外面と架橋ポリエチレン継手内面とが摩擦溶融して嵌合され、融着される。即ち、架橋ポリエチレン管と架橋ポリエチレン継手とを回転摩擦融着するのに、従来の非架橋のオレフィン系樹脂管と継手とを回転摩擦融着するのと全く同様の装置を使用して、同様の操作で、架橋ポリエチレン管の耐熱性を維持して、十分な強度の溶融接合が可能となった。
【0035】
また、接合部材の両接合部の径に差があって、接合部材を回転させると、両接合部において回転速度に差が生じ、回転速度の差による溶融状態の差によって、融着強度に差が生じていたが、本発明においては、特定のポリエチレン層の接合部材を使用し、特定の回転速度で回転摩擦溶融接合することにより、接合部材の両接合部で同等の融着強度を有する接合ができる。
【0036】
また、請求項2に係る架橋ポリエチレン管と継手との接合方法は、請求項1において、架橋ポリエチレン管外径と接合部材の接合部内径との差および架橋ポリエチレン継手内径と接合部材の接合部外径との差が0.4〜1.6mmであることを特徴としているので、摩擦溶融が確実で強固な融着接合を簡単に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の架橋ポリエチレン管と継手との接合方法で接合された接合品の一例を示す断面図である。
【図2】本発明の架橋ポリエチレン管と継手との接合方法を具現化するための接合装置の一例を示す側面図である。
【図3】実施例1および比較例1〜4で使用したヘッダー2の形状を示す断面図である。
【図4】実施例1および比較例1〜4で使用した接合部材3の形状を示す断面図である。
【符号の説明】
1 架橋ポリエチレン管
2 架橋ポリエチレン継手(ヘッダー)
3 接合部材
11 架橋ポリエチレン管1の外面
21 ヘッダー2の内面
31 接合部材3の接合部内面
32 接合部材3の接合部外面
【発明の属する技術分野】
本発明は架橋ポリエチレン管と架橋ポリエチレン継手とを接合部材の回転摩擦溶融により接合する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ガス用、上水道用、給水給湯用、温泉用、スプリンクラー用等の配管には、耐蝕性に優れた熱可塑性樹脂配管材が使用されている。就中、オレフィン系樹脂は、軽量で施工性に優れ、延性材料で耐震性に優れていることから、これらの用途に多用されている。
また、このオレフィン系樹脂は、融点が低いことから、融着法を用いて継ぎ目の無い管路を形成することで、機械的な接合に比べて配管全体の信頼性を向上させることができる。
融着法としては、熱板を用いて配管材の接合面を溶融し圧着するバット融着法や、継手内面に電熱線を内蔵させ、通電により継手および管を伝熱により溶融して接合する、所謂、エレクトロフュージョン継手を使用する電気融着法が一般的である。
【0003】
しかし、バット融着法は、伝熱による溶融接合であるために、接合に要する時間が非常に長くなるという欠点や、熱板を取り除く工程の際にできてしまうスキン層を押し出すために多くの溶融樹脂が必要となるという欠点があり、電気融着法では、継手に電熱線を内蔵するためにリサイクルが困難であると共に継手が複雑となるためコスト高となり、また、接合時間が長くかかるという問題があった。
【0004】
樹脂同士の融着は、分子の絡み合いにより生じるのであるが、樹脂分子は熱を与えることで拡散運動を生じ、接合面で双方の樹脂分子が相互に進入し、1分子長さ以上の分子が絡み合うことで高強度の融着を発現するようになる。
ところで、上記配管材は、耐熱性を向上させるために架橋が施されることが多い。この場合、ゲル分率が50%未満の樹脂同士では自由に相互拡散する分子が多いため熱を与えさえすれば、比較的どのような融着方法でも高強度に融着される。しかし、ゲル分率が50%以上の樹脂同士では、自由に相互拡散できる分子が少ないため、単に熱を与えるだけでは高強度の融着とはならない、という問題点があった。
【0005】
一方で、配管材同士の接合方法として、配管材を、その外径より小さい内径を有するスリーブの両端部に押圧挿入保持させ、上記スリーブを回転させることにより、その摩擦熱で、両配管材とスリーブとを融着させる、所謂、摩擦溶融接合法が提案されている。
また、管の外径より小さな内径の接合部と継手の内径より大きな外径の接合部とを有するスリーブを回転させ、この回転しているスリーブの両接合部に管と継手とを押圧挿入することにより、管と継手とを摩擦溶融接合することも提案されている。
【0006】
そこで、本願出願人は、架橋樹脂管と架橋樹脂継手とを接続するに当たり、回転しているスリーブを使用して摩擦溶融接合することを考え、実験した結果、熱可塑性樹脂により構成される、2つの配管材とスリーブとからなり、第1の配管材の外面とスリーブの内面、及び、第2の配管材の内面とスリーブの外面とが摩擦溶融接合により接合されており、上記2つの配管材の管内表層に露出された部位の樹脂のゲル分率が50%以上であり、第1の配管材とスリーブとの接合面の少なくともいずれか一方、及び、第2の配管材とスリーブとの接合面の少なくともいずれか一方における樹脂のゲル分率が50%未満となされていることを特徴とする熱可塑性樹脂管の接続構造とすることにより、可能であることを確認し、特許出願をした。(例えば、特許文献1参照。)。
【0007】
【特許文献1】
特開2002−103453号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、この特許文献1に記載のように、接合面の少なくともいずれか一方における樹脂のゲル分率を50%未満の一定かつ、接合面全体に均一なゲル分率となるように架橋度を調整することは非常に困難で、どうしても架橋度がばらついてしまう。
架橋度がばらつくと、回転しているスリーブを使用して摩擦溶融接合しても、架橋度により溶融状態が変わるため融着状態が変化して、融着強度に差が生じることとなり、特に、配管材またはスリーブの製造ロットが異なる場合には、回転速度を調整しないと、長期に渡って使用可能な強度のある融着ができないという問題があった。
【0009】
本発明は、上記の問題を解消するために、架橋ポリエチレン管と架橋ポリエチレン継手とを、スリーブの回転により摩擦溶融接合するに当たり、管および継手の架橋度、スリーブの材質、回転速度等により、管と継手との接合部の耐熱性や融着強度がどのように変化するかを検討したところ、意外にもスリーブが全く架橋していないものであっても、耐熱性を発現し、しかも、スリーブの管および継手との接合面における回転速度をある一定の範囲内の回転速度とすることにより、十分な強度の摩擦溶融接合が可能であることを見いだして、本発明を完成したものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本願の請求項1に係る架橋ポリエチレン管と継手との接合方法は、架橋ポリエチレン管と架橋ポリエチレン継手とを接合部材の回転摩擦溶融接合により接合する方法であって、接合部材は架橋ポリエチレン管外径より小さい内径を有する接合部と架橋ポリエチレン継手の内径より大きい外径を有する接合部とを有し、両接合部の摩擦融着層は、密度0.93×103 〜0.95×103 kgf/m3 、メルトフローレート0.1〜10g/10分であるポリエチレン層であり、この接合部材を、接合部の回転速度が0.35〜0.8m/sの範囲で回転させ、この回転している接合部材の両接合部に前記管と継手とが押圧挿入され、摩擦溶融して接合されることを特徴とする。
【0011】
本発明はこのような構成となされ、接合部材の回転摩擦溶融接合において、接合部材の両接合部の摩擦融着部のポリエチレン層の密度とメルトフローレートとを特定の範囲のポリエチレン層とすると共に、回転摩擦融着時の接合部材の摩擦融着部の回転速度を特定の範囲とすることにより、接合部材を回転させ、この回転している接合部材の両接合部に、架橋ポリエチレン管と架橋ポリエチレン継手とを押圧挿入するだけで、架橋ポリエチレン管の端部外面と接合部材内面および接合部材外面と架橋ポリエチレン継手内面とが摩擦溶融して嵌合され、融着される。即ち、架橋ポリエチレン管と架橋ポリエチレン継手とを回転摩擦融着するのに、従来の非架橋のオレフィン系樹脂管と継手とを回転摩擦融着するのと全く同様の装置を使用して、同様の操作で、架橋ポリエチレン管の耐熱性を維持して、十分な強度の溶融接合が可能となったのである。
【0012】
また、請求項2に係る架橋ポリエチレン管と継手との接合方法は、請求項1において、架橋ポリエチレン管外径と接合部材の接合部内径との差および架橋ポリエチレン継手内径と接合部材の接合部外径との差が0.4〜1.6mmであることを特徴とする。
このような差を有していると、摩擦溶融が確実で強固な融着接合を簡単に行うことができる。
【0013】
本発明に使用される継手としては、たとえば、エルボ、チーズ、レジューサー、インクリーザー、ヘッダー、または片側が金属螺子インサートとなっているアダプターなどであってもよい。 .
【0014】
また、架橋ポリエチレン管と継手は、ポリエチレン樹脂、好ましくは中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレンなどから成形され、架橋処理されて、耐熱性を有するものとなされている。耐熱性を有する程度に架橋する、特に、湯や温泉など高温下で使用する管路に適用する場合には、ゲル分率が65%以上とすることが必要である。なお、ゲル分率は、JIS K6796に準じて測定されたものであり、重量百分率で定義されたものである。
【0015】
ポリエチレン管および継手を架橋したものとするには、通常の架橋法が採用され、例えば、水架橋法、電子線架橋法、過酸化物等の架橋剤を用いた架橋法などが挙げられる。
【0016】
また、本発明に使用される接合部材は、耐熱性を有する樹脂成形品でも金属から形成されたものであってもよいが、架橋ポリエチレン管および架橋ポリエチレン継手との接合部には、密度0.93×103 〜0.95×103 kgf/m3 、メルトフローレート0.1〜10g/10分であるポリエチレン層である摩擦融着層を有していることが必要である。
このポリエチレン層は、接合部材の接合部に摩擦融着層として層状に形成されていても、接合部材全体がこのポリエチレン樹脂から成形されていてもよい。
ポリエチレン層としては、回転摩擦溶融時に、溶融する厚さ(例えば、0.5mm)以上の厚さを有していればよい。
【0017】
上記接合部材の製造方法としては特に限定されない。形状面で問題がなければ、成形コストの面から射出成形で製造するのがよい。また、耐熱性を有する樹脂成形品または金属部品をインサート射出成形したものであってもよい。
【0018】
本発明においては、上記接合部材を、接合部の回転速度が0.35〜0.8m/sの範囲で回転保持し、この回転している接合部材の接合部に前記架橋ポリエチレン管と継手とが押圧挿入され、接合部材の接合部内面と管外面および接合部外面と継手内面とが、摩擦溶融して接合される。
回転している接合部材の接合部に前記架橋ポリエチレン管と継手とが押圧挿入されて、接合部材の接合部内面と管外面および接合部外面と継手内面とが、摩擦溶融するためには、接合部材は架橋ポリエチレン管外径より小さい内径を有する接合部と架橋ポリエチレン継手の内径より大きい外径を有する接合部とを有していて、管および継手を接合部材の接合部に押圧挿入すると、押圧接触面が摩擦溶融して挿入される。
【0019】
管および継手を回転している接合部材の接合部に押圧挿入して、十分な融着強度を得るためには、架橋ポリエチレン管外径と接合部材の接合部内径との差および架橋ポリエチレン継手内径と接合部材の接合部外径との差が0.4〜1.6mmであると、融着強度が高く、しかも管と継手とを接合部材に容易に押圧挿入できて、接合作業が行い易いため好ましい。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明の架橋ポリエチレン管と継手との接合方法で接合された接合品の一例を示す断面図である。
図1において、1は架橋ポリエチレン管、2は架橋ポリエチレン継手の一種で管を分配するためのヘッダー、3は接合部材である。管1は押出成形後架橋処理されたものであり、ヘッダー2および接合部材3は射出成形後架橋処理されたものである。
【0021】
図1に示すように、架橋ポリエチレン管1と接合部材3とは、架橋ポリエチレン管1の端部外面11と接合部材3の接合部内面31とが回転摩擦溶融接合され、ヘッダー2の内面21と接合部材3の接合部外面32とが回転摩擦溶融接合されて接合されている。
【0022】
図2は、本発明の架橋ポリエチレン管1とヘッダー2とを、回転保持されている接合部材3の接合部に押圧挿入して、回転摩擦溶融接合するための接合装置の一例を示す側面図である。
【0023】
この接合装置は、中央位置に接合部材3の回転保持具4設けられている。回転保持具4は、フレーム41に接合部材3を回転保持する回転支持歯車42、42が設けられ、モーター43で回転する駆動歯車44との間に接合部材3が装着されて、回転保持されるようになっている。接合部材3には外周に従動歯車が設けられていて、この柔道歯車が回転支持歯車42、42と噛み合って保持され、駆動歯車44で回転させられるようになっている。接合部材3に設けられる従動歯車は接合部材3と一体に成形されていても、二つ割りの従動歯車が接合部材3の外周に取り付けられているものであってもよい。二つ割りの従動歯車が金属製のものであると回転による歯車の損傷がなく、融着後取り外すことができるので、すっきりした配管ラインを形成できる。
【0024】
架橋ポリエチレン管1は保持具45に保持され、ヘッダー2は保持具46に保持されて、エアシリンダー47、48の作動で、接合部材3の接合部に向けて移動可能となされている。
【0025】
この接合装置を使用して接合部材3の回転により、架橋ポリエチレン管1とヘッダー2とを融着接合するには、まず、回転保持具4の回転支持歯車42、42と駆動歯車44との間に従動歯車が噛み合うように装着し、保持具45、46にそれぞれ架橋ポリエチレン管1とヘッダー2とを接合部が同芯となるよう保持する。
そして、モーター43を起動して駆動歯車44を回転させ、従動歯車を回転させ、それにより接合部材3が回転する。次に、エアシリンダー47、48を作動させて、この回転する接合部材3の接合部に向けて、保持具45と46を移動させ、架橋ポリエチレン管1を回転部材3の接合部内面31に押圧挿入すると同時に、ヘッダー2の内面21に接合部外面32が押圧挿入される。
【0026】
架橋ポリエチレン管1の外径が接合部材3の接合部内面31より大となされ、ヘッダー2の内径が接合部材3の接合部外面32より小となされているので、架橋ポリエチレン管1とヘッダー2とを回転する接合部材3に押圧すると、摩擦熱で嵌合する両表面が溶融して挿入される。所定の寸法だけ挿入されたら、エアシリンダー47、48による保持具45、46の移動を止め、モーター43を停止する。摩擦溶融部が冷却固化するまで、停止状態を維持した後、接合装置から取り外される。
【0027】
【実施例・比較例】
本発明を実施例および比較例をもってさらに詳しく説明する。
(実施例1)
架橋ポリエチレン管1として、積水化学工業社製、製品名「エスロペックス13A」(三菱化学社製シラン架橋性ポリマーXHE740N:密度0.947g/cm3 、メルトフローレート0.35g/10分を使用して押出成形し、成形後、水架橋したもので、ゲル分率67%に調整したもの、外径D=17.2mm)を使用した。
また、ヘッダー2としては、上記架橋ポリエチレン管と同じ原料を用いて図3に示した形状(D1 =29mm、D2 =25.8mm、D3 =23.2mm、D4 =17.2mm、D5 =13.2mm、L1 =12mm、L2 =3mm)のものを射出成形により成形し、水架橋したもので、ゲル分率67%に調整したものを使用した。
また、接合部材3としては、中密度ポリエチレン(三井化学社製NZ4005M、密度0.942g/cm3 、融点129℃、メルトフローレート0.20g/10分)を用いて図4に示した形状(D11=29mm、D12=23.7mm、D13=16.7mm、L3 =23mm、L4 =13mm)のものを射出成形により成形したものを準備した。
【0028】
そして、架橋ポリエチレン管1、ヘッダー2および接合部材3を図2に示す接合装置に取付け、接合部材3を542rpmで回転させた。次いでエアシリンダー47、48を作動させて、架橋ポリエチレン管1およびヘッダー2を回転している接合部材3に向けて移動させ、架橋ポリエチレン管1を接合部材3の接合部内面31に押圧挿入すると共に、ヘッダー2の内面21を接合部材3の接合部外面32に押圧挿入する。所定の寸法だけ移動させたら、エアーシリンダー47、48の作動を止め、回転を8秒間させた後、モーター43を停止する。停止状態を60秒間維持して融着接合部が固化した後、図1に示す接合品が得られた。
この時の架橋ポリエチレン管1の外径は接合部材3の接合部内面31の内径より0.5mm大となされ、接合面における回転速度は0.49m/sであり、ヘッダー2の内面21の内径は接合部材3の接合部外面32外径より0.5mm小となされ、接合面における回転速度は0.66m/sであった。
【0029】
得られた接合品につき、95℃における内圧クリープ試験を行ったところ、最終的な状態は架橋ポリエチレン管1のクリープ破壊であり、接合部からの漏水は見られなかった。
【0030】
(比較例1)
実施例1において、接合部材3が密度0.948g/cm3 、メルトフローレート0.03g/10分のポリエチレンから成形されている以外は、実施例1と同一条件で架橋ポリエチレン管1とヘッダー2とを摩擦溶融接合した。
得られた接合品につき、1.3MPa の内圧で、95℃における内圧クリープ試験を行ったところ、約50時間で継手と接合部材の接合部から漏水した。
【0031】
(比較例2)
実施例1において、接合部材3が密度0.943g/cm3 、メルトフローレート20g/10分のポリエチレンから成形されている以外は、実施例1と同一条件で架橋ポリエチレン管1とヘッダー2とを摩擦溶融接合した。
得られた接合品につき、1.3MPa の内圧で、95℃における内圧クリープ試験を行ったところ、約50時間で継手と接合部材の接合部から漏水した。
【0032】
(比較例3)
実施例1において、接合部材3が密度0.914g/cm3 、メルトフローレート2.3g/10分のポリエチレンから成形されている以外は、実施例1と同一条件で架橋ポリエチレン管1とヘッダー2とを摩擦溶融接合した。
得られた接合品につき、1.3MPa の内圧で、95℃における内圧クリープ試験を行ったところ、約20時間で継手と接合部材の接合部から漏水した。
【0033】
(比較例4)
実施例1において、接合部材3が密度0.961g/cm3 、メルトフローレート0.63g/10分のポリエチレンから成形されている以外は、実施例1と同一条件で架橋ポリエチレン管1とヘッダー2とを摩擦溶融接合した。
得られた接合品につき、1.3MPa の内圧で、95℃における内圧クリープ試験を行ったところ、約20時間で継手と接合部材の接合部から漏水した。
【0034】
【発明の効果】
本発明は上述した通りの構成となされ、接合部材の回転摩擦溶融接合において、接合部材の両接合部の摩擦融着部のポリエチレン層の密度とメルトフローレートとを特定の範囲のポリエチレン層とすると共に、回転摩擦融着時の接合部材の摩擦融着部の回転速度を特定の範囲とすることにより、接合部材を回転させ、この回転している接合部材の両接合部に、架橋ポリエチレン管と架橋ポリエチレン継手とを押圧挿入するだけで、架橋ポリエチレン管の端部外面と接合部材内面および接合部材外面と架橋ポリエチレン継手内面とが摩擦溶融して嵌合され、融着される。即ち、架橋ポリエチレン管と架橋ポリエチレン継手とを回転摩擦融着するのに、従来の非架橋のオレフィン系樹脂管と継手とを回転摩擦融着するのと全く同様の装置を使用して、同様の操作で、架橋ポリエチレン管の耐熱性を維持して、十分な強度の溶融接合が可能となった。
【0035】
また、接合部材の両接合部の径に差があって、接合部材を回転させると、両接合部において回転速度に差が生じ、回転速度の差による溶融状態の差によって、融着強度に差が生じていたが、本発明においては、特定のポリエチレン層の接合部材を使用し、特定の回転速度で回転摩擦溶融接合することにより、接合部材の両接合部で同等の融着強度を有する接合ができる。
【0036】
また、請求項2に係る架橋ポリエチレン管と継手との接合方法は、請求項1において、架橋ポリエチレン管外径と接合部材の接合部内径との差および架橋ポリエチレン継手内径と接合部材の接合部外径との差が0.4〜1.6mmであることを特徴としているので、摩擦溶融が確実で強固な融着接合を簡単に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の架橋ポリエチレン管と継手との接合方法で接合された接合品の一例を示す断面図である。
【図2】本発明の架橋ポリエチレン管と継手との接合方法を具現化するための接合装置の一例を示す側面図である。
【図3】実施例1および比較例1〜4で使用したヘッダー2の形状を示す断面図である。
【図4】実施例1および比較例1〜4で使用した接合部材3の形状を示す断面図である。
【符号の説明】
1 架橋ポリエチレン管
2 架橋ポリエチレン継手(ヘッダー)
3 接合部材
11 架橋ポリエチレン管1の外面
21 ヘッダー2の内面
31 接合部材3の接合部内面
32 接合部材3の接合部外面
Claims (2)
- 架橋ポリエチレン管と架橋ポリエチレン継手とを接合部材の回転摩擦溶融接合により接合する方法であって、接合部材は架橋ポリエチレン管外径より小さい内径を有する接合部と架橋ポリエチレン継手の内径より大きい外径を有する接合部とを有し、両接合部の摩擦融着層は、密度0.93×103 〜0.95×103 kgf/m3 、メルトフローレート0.1〜10g/10分であるポリエチレン層であり、この接合部材を、接合部の回転速度が0.35〜0.8m/sの範囲で回転させ、この回転している接合部材の両接合部に前記管と継手とが押圧挿入され、摩擦溶融して接合されることを特徴とする架橋ポリエチレン管と継手との接合方法。
- 架橋ポリエチレン管外径と接合部材の接合部内径との差および架橋ポリエチレン継手内径と接合部材の接合部外径との差が0.4〜1.6mmであることを特徴とする請求項1記載の架橋ポリエチレン管と継手との接合方法。
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JP2003020752A JP2004230657A (ja) | 2003-01-29 | 2003-01-29 | 架橋ポリエチレン管と継手との接合方法 |
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Cited By (3)
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JP2010159813A (ja) * | 2009-01-08 | 2010-07-22 | Inoac Housing & Construction Materials Co Ltd | 継手付き樹脂管 |
JP2012221733A (ja) * | 2011-04-08 | 2012-11-12 | Kurashiki Kako Co Ltd | コネクタ |
US11022345B1 (en) * | 2013-03-15 | 2021-06-01 | Roy Dan Halloran | Ground source heat pump heat exchanger |
-
2003
- 2003-01-29 JP JP2003020752A patent/JP2004230657A/ja not_active Withdrawn
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