JP2004229550A - 牛タンスライスの製造方法 - Google Patents
牛タンスライスの製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004229550A JP2004229550A JP2003021303A JP2003021303A JP2004229550A JP 2004229550 A JP2004229550 A JP 2004229550A JP 2003021303 A JP2003021303 A JP 2003021303A JP 2003021303 A JP2003021303 A JP 2003021303A JP 2004229550 A JP2004229550 A JP 2004229550A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- electrode
- slice
- heating
- beef tongue
- producing
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Abstract
【課題】加熱時にゼラチンをスライス片の内部に多量に捕捉して食感に優れた牛タンスライス加工品を製造し得るようにする。
【解決手段】牛タンの肉塊はまずスライス片に切断され、スライス片は第1電極と第2電極との間に挟み付けられた状態のもとで、スライス片の表面の熱を電極に伝達して表面を放熱しながら電極に電力を供給してスライス片をジュール加熱する。このようにして、スライス片は表面部よりもが内部が高い温度に加熱されることになり、この内部加熱工程においてはゼラチン化した動物性コラーゲンはスライス片の内部に捕捉される。内部加熱工程が終了した後のスライス片は、高温雰囲気内で表面が加熱される。
【選択図】 図1
【解決手段】牛タンの肉塊はまずスライス片に切断され、スライス片は第1電極と第2電極との間に挟み付けられた状態のもとで、スライス片の表面の熱を電極に伝達して表面を放熱しながら電極に電力を供給してスライス片をジュール加熱する。このようにして、スライス片は表面部よりもが内部が高い温度に加熱されることになり、この内部加熱工程においてはゼラチン化した動物性コラーゲンはスライス片の内部に捕捉される。内部加熱工程が終了した後のスライス片は、高温雰囲気内で表面が加熱される。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は牛タンスライスを加熱して牛タンスライス加工品を製造する牛タンスライスの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
牛肉を食品素材としてこれを加熱処理した食肉加工食品には、牛タンスライスがある。牛タンスライスは牛タンの肉塊をスライス片にスライス加工し、加熱処理することにより製造されている。牛タンスライス加工品を製造する場合には、スライス片をガスなどを熱源として加熱し、冷却した後に包装材により包装することにより製造され、製品によっては加熱する前に味付けを行う場合もある。
【0003】
牛タンスライス加工品を製造する場合には、その内部温度が75℃以上となる状態が1分以上確保されるようにして加熱する必要がある。したがって、ガスなどを熱源として牛タンスライス片を外部から加熱するには、内部が75℃となるようにするために、牛タンスライス片の表面温度を75℃以上の温度に加熱し、表面から内部への熱伝達により内部が75℃の温度となるようにしている。
【0004】
このため、ガスなどを熱源とする高温雰囲気内で牛タンスライス片を加熱する場合には、加熱後の牛タンスライスがどうしても固めとなってしまうことになる。この原因は、牛タンは動物性コラーゲンと筋繊維とを有しており、動物性コラーゲンは60℃以上の温度となると、溶解して肉片から滴となって分離されてしまい、筋繊維の割合が高くなるからであると考えられる。動物性コラーゲンは溶解するとゼラチンとなるが、そのゼラチンが牛タンスライス片の中に残る割合が高ければ、柔らかい食感の牛タンスライス加工品が得られることになる。しかし、スライス片を外部から加熱するようにした従来の加熱方式では、牛タンの内部が約75℃の温度となるようにするために表面をこれよりもかなり高い温度となるまで加熱しなければならず、滴となって外部に滴下されるゼラチンの量が多くなるので、食感に優れた牛タンスライス加工品を製造することが困難であった。
【0005】
外部から食肉を加熱することなく、食肉をこれに電流を流すことによりジュール熱により加熱する方式が、たとえば特許文献1に開示されるように提案されている。
【0006】
【特許文献1】
特開平9−23855号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この加熱方式にあっては、容器内に食塩水とともに肉片を投入し、容器内に設けられた一対の電極から肉片に通電するようにしており、肉片が全体的にほぼ均一な温度となるとともに、肉片が食塩水の中に浸されているので、加熱された肉片からゼラチンが溶出することになる。このため、加熱後の肉片はぱさついてしまい、良好な食感が得られないことになる。
【0008】
本発明の目的は、加熱時にゼラチンをスライス片の内部に多量に捕捉して食感に優れた牛タンスライス加工品を製造し得るようにすることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の牛タンスライスの製造方法は、牛タンの肉塊をスライス片に切断するスライス工程と、第1電極と第2電極との間にスライス片を接触させた状態のもとで、スライス片の表面の熱を前記電極に伝達して放熱しながら前記電極に電力を供給してスライス片をジュール加熱する内部加熱工程と、ジュール加熱されたスライス片を高温雰囲気内で表面加熱する表面加熱工程とを有することを特徴とする。
【0010】
本発明の牛タンスライスの製造方法は、前記第1電極と前記第2電極を相互に接近離反移動自在の導電性板材により形成することを特徴とする。また、前記第1電極と前記第2電極を導電性のベルト電極により形成し、スライス片を前記ベルト電極により搬送しながらジュール加熱することを特徴とする。
【0011】
本発明の牛タンスライスの製造方法は、前記第1電極と前記第2電極をそれぞれ無端コンベアに所定の間隔毎に取り付けられる導電性の板材により形成し、スライス片を無端コンベアにより搬送しながらジュール加熱することを特徴とする。また、前記第1電極と前記第2電極とを導電性のローラ電極により形成し、スライス片を前記ローラ電極により搬送しながらジュール加熱することを特徴とする。
【0012】
本発明の牛タンスライスの製造方法は、前記第1電極と前記第2電極の表面に透水性フィルムを配置し、スライス片を前記透水性フィルムを介して前記電極に接触させることを特徴とする。また、表面加熱されたスライス片を冷却するとともに包装材により包装することを特徴とする。
【0013】
本発明にあっては、電極の間に牛タンのスライス片を接触させた状態のもとでスライス片に電極から通電することにより、スライス片の表面の熱を電極に伝達して表面を冷却しながら、内部を表面側部よりも高い温度にジュール加熱する。このように、ジュール加熱する際にスライス片に通電するための電極を利用してスライス片の表面の温度を内部よりも低い温度に設定することにより、スライス片の動物性コラーゲンが溶解してゼラチンとなっても、そのゼラチンは表面から多量に溶出することなく、内部に多くが捕捉されることになる。したがって、ジュール加熱による内部加熱が終了した後に、スライス片の表面加熱を行うと、ゼラチンがスライス片の内部に多量に残ることになり、柔らかい牛タンスライス製品を製造することができる。
【0014】
本発明にあっては、電極に透水性フィルムを介してスライス片を接触させることにより、透水性フィルムの水分によりスライス片の表面を冷却することができる。また、透水性フィルムを駆動させることによりスライス片を搬送しながら加熱することができる。電極を無端コンベアに設けたり、電極をベルトやローラとすることによりスライス片を搬送しながら加熱することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明の牛タンスライスの製造方法を示す工程図であり、牛タンの肉塊はスライス工程1において所定の厚みを有するスライス片に切断される。次いで、スライス片は内部加熱工程に搬送され、ジュール加熱装置の第1電極と第2電極の間に接触させた状態のもとで、スライス片に通電することによってスライス片をジュール加熱する。
【0016】
この内部加熱工程においては、ジュール加熱装置によってスライス片は2つの電極の間に接触した状態になり、通電時にはスライス片の表面の熱を電極に伝達することにより表面を放熱しながら、内部の温度を表面よりも高い温度に加熱する。このようにスライス片の表面の熱は表面に接触する電極に伝達されて放熱されることになり、たとえば、内部の温度が75℃となるまで加熱されても、表面の温度はたとえば70℃以下の温度に設定されることになる。これにより、牛タンスライス片の内部の動物性コラーゲンが溶解してゼラチン化しても、熔解したゼラチンがスライス片の表面から溶出することが抑制される。つまり、温度の低い表面層の部分のゼラチン化の割合が少なくなるので、表面部が内部のゼラチンの外部への溶出を阻止することになる。
【0017】
したがって、スライス片を電極間で加熱するようにジュール加熱すると、表面をこれに接触する電極に放熱しながらスライス片の内部を加熱することになるので、加熱されたスライス片の内部には、従来の加熱方式と相違して、多量のゼラチンを捕捉することができる。このようにして、スライス片を固くすることなく、内部まで加熱することができる。
【0018】
内部加熱後のスライス片は、表面加熱工程に搬送されてガスや電気ヒータを熱源とする高温雰囲気内において表面が加熱される。表面がたとえば75℃以上となるようにスライス片を加熱しても、内部はその温度以下の温度に保持されるので、内部からのゼラチンの溶出を抑制することができるとともに、表面に焼き目を付けることができる。
【0019】
このように、ジュール熱による内部の加熱と高温雰囲気内における表面の加熱とを行うことにより、従来の加熱方式よりも食肉を固くさせることなく、柔らかい食感の牛タンスライス加工品が得られることになる。
【0020】
表面加熱が終了した後の牛タンスライス加工品は常温まで冷却される。冷却方式としては、積極的に冷風をスライス片に吹き付けたり、冷蔵庫などの冷却雰囲気内に放置したり、あるいは常温雰囲気内に放置する方式がある。冷却した後のスライス片は、包装工程において包装されて製品化される。
【0021】
図2はスライス片の表面を放熱しながら主として内部を加熱するためのジュール加熱装置の一例を示す断面図であり、図3は図2におけるA−A線に沿う断面図である。このジュール加熱装置は、それぞれほぼ四辺形となった第1と第1の電極11,12を有し、それぞれの電極11,12はチタンなどの導電性の電極材料により板状に形成されて板状電極となっており、水平方向を向いて上下にずらして配置されている。下側の板状電極11は支持ブラケット13を介して上下動プレート14に取り付けられており、この上下動プレート14を上下に駆動して両方の板状電極11,12の間隔を調整するために、台座15に回転自在に送りナット16が装着され、この送りナット16にねじ結合される送りねじ17が上下動プレート14に固定されている。
【0022】
送りナット16に設けられた歯車部16aには、台座15に取り付けられたモータ18により回転される歯車19が噛合っており、モータ18を駆動することにより歯車19、送りナット16および送りねじ17を介して板状電極11は上下方向に駆動される。なお、歯車19を用いてモータ18の回転を送りナット16の回転に伝達することなく、ベルトやチェーンを介して送りナット16にモータ18の回転を伝達するようにしても良い。
【0023】
他方の板状電極12は支持ブラケット13aを介して台座15に固定されており、モータ18により板状電極11を板状電極12に対して接近離反移動させると、両方の板状電極11,12は相互に接近離反移動することになる。ただし、2つの板状電極11,12の接近離反移動は間隔を調整するための相対的移動であれば良いので、上側の板状電極12を上下動させるようにしても良く、両方の板状電極11,12を移動させるようにしても良い。また、板状電極11を上下動させる手段としては、モータ18によりその主軸の回転運動を送りナット16を介して送りねじ17の上下動運動に変換することなく、空気圧シリンダなどによって直接上下動プレート14を上下動するようにしても良い。ただし、板状電極11,12の間隔が予め設定されていれば、板状電極11,12の間隔を変化させるためにこれらを相対的に接近離反移動させることは不要となる。
【0024】
牛タンのスライス片20を自動的に搬送するために、板状電極11には透水性フィルム21が装着され、板状電極12には透水性フィルム22が装着されており、それぞれの透水性フィルム21,22はループ状つまり無端状となっている。透水性フィルム21は搬入側と搬出側のローラ23,24に掛け渡され、透水性フィルム22は搬入側と搬出側のローラ25,26に掛け渡されており、それぞれの透水性フィルム21,22は搬入側と搬出側の一方のローラを駆動することにより、搬入側から搬出側に搬送され、スライス片20はローラの駆動により透水性フィルム21,22により自動的に搬送される。このように、固定式の板状電極11,12を使用しても、透水性フィルム21,22を駆動することによりスライス片20を自動的に搬送しながら加熱することができ、牛タンスライス製品を連続的に製造することができる。
【0025】
透水性フィルム21,22は、たとえば布や不織布などのように水分を吸収する性質を有する薄膜であればどのようなものでも良く、親水性フィルム、吸水性フィルムあるいは保水性フィルムなどとも言われる種々のフィルム材や薄膜を使用することができ、これらのフィルムを総称してこの明細書では透水性フィルムと述べられている。透水性フィルム21,22に対して水分を供給するために、透水性フィルム21,22の上流側にはスプレーノズル27が設けられており、このスプレーノズル27から供給される水分によって板状電極11,12は冷却されるとともに、透水性フィルム21,22には水分が補給される。ただし、透水性フィルム21,22を水槽内に潜り込ませるようにしてこれに水分を供給するようにしても良い。なお、透水性フィルム21,22を使用することなく、スライス片20を直接板状電極11,12に接触させるようにしても良く、その場合には所定の枚数のスライス片20を加熱した後には、板状電極11,12を離反させて加熱終了後のスライス片20を加熱装置から取り出すことになる。
【0026】
それぞれの板状電極11,12は通電ケーブル28を介して電源ユニット29に接続されており、板状電極11,12には所定周波数の高周波電力が供給されるようになっている。
【0027】
図2および図3に示すジュール加熱装置を用いてスライス片20を加熱する場合には、図示しないモータによってローラ23〜26を回転させて透水性フィルム21,22を移動させた状態のもとで、透水性フィルム21の上流部にスライス片20を投入する。投入されたスライス片20は両方の板状電極11,12の間に挟み込まれて透水性フィルム21,22を介して板状電極11,12の表面に接触することになる。したがって、電源ユニット29からの電力供給により板状電極11,12からスライス片20に流れる電流によりスライス片20にはジュール熱が発生し、スライス片20は加熱されることになるが、スライス片20の表面はそれぞれ透水性フィルム21,22を介して板状電極11,12に接触しているので、表面の熱は板状電極11,12に伝達されて放熱される。これにより、スライス片20の表面は内部よりも低い温度となる。つまり、スライス片20の内部の温度はジュール熱により75℃程度の温度まで高められるが、表面の温度はそれよりも低い温度、たとえば70℃程度の温度に保持される。
【0028】
このように、スライス片20の表面に板状電極11,12を接触させて表面の熱を板状電極11,12に熱伝達させて表面の温度を内部の温度よりも低下させることにより、表面側部の動物性コラーゲンが溶解して形成されるゼラチンの割合は、内部のその割合よりも少なくなり、内部のゼラチンが外部に溶出されるのを表面側部が阻止することになる。この結果、ジュール加熱後のスライス片20を加熱雰囲気内で表面加熱することにより、スライス片20の全加熱工程が終了しても、スライス片20全体を所望の温度に加熱しつつ、残留するゼラチンの量を高めることができ、ソフトな牛タンスライス製品を得ることができる。
【0029】
図4はジュール加熱装置の変形例を示す断面図であり、この場合には第1電極11と第2電極12はそれぞれ無端状の導電性ベルトにより形成されている。それぞれのベルト電極11,12は水平方向を向いて上下にずらして配置されており、下側のベルト電極11は搬入側と搬出側のローラ31,32に掛け渡され、上側のベルト電極12は搬入側と搬出側のローラ33,34に掛け渡されている。それぞれのベルト電極11,12には図示しない給電ブラシを介して電源ユニットからの電力が供給されるようになっている。
【0030】
下側のベルト電極11の搬入端部は上側のベルト電極12の搬入端部よりも突出しており、この部分に投入されたスライス片20は、それぞれのローラ駆動によってベルト電極11,12を移動させることにより、両方のベルト電極11,12の間に挟み付けられた状態となって搬出側に向けて搬送される。搬送される過程で電源ユニットから供給される電力によりスライス片20は通電加熱されることになり、このときには、スライス片20の表面側部はベルト電極11,12に接触するのでこれに熱が伝達されて内部よりも低い温度になる。
【0031】
図5はジュール加熱装置の他の変形例を示す断面図であり、この場合には複数の第1の板状電極11と第2の板状電極12が無端コンベア41,42に取り付けられている。それぞれの無端コンベア41,42は上下にずれて配置されており、下側の無端コンベア41はそれぞれスプロケット43が取り付けられた搬入側と搬出側の回転軸44,45を有しており、両方のスプロケット43にはチェーン46が掛け渡されている。それぞれの回転軸44,45には軸方向にずれて2つずつスプロケット43が取り付けられており、無端コンベア41は2本のチェーン46を備えている。無端コンベア42も無端コンベア41と同様に、それぞれスプロケット43が取り付けられた搬入側と搬出側の回転軸47,48を有し、両方のスプロケット43にはチェーン49が掛け渡され、それぞれの回転軸47,48には軸方向にずれて2つずつスプロケット43が取り付けられており、無端コンベア42は2本のチェーン49を備えている。
【0032】
それぞれのチェーン46,49には所定の間隔を隔てて複数の板状電極11,12がそれぞれの板状電極11,12の両端部で取り付けられており、それぞれの板状電極11,12は図示省略した電源ユニットが接続されるようになっている。図5に示すジュール加熱装置を用いる場合も、前述した場合と同様にして、第1の板状電極11と第2の板状電極12との間でスライス片20を挟み付けた状態で搬送することにより、スライス片20の内部を表面側部よりも高い温度に加熱することができる。
【0033】
図4および図5に示す場合にも、図3および図4に示すように、透水性フィルム21,22を使用することにより、スライス片20を透水性フィルム21,22を介して板状電極11,12に接触させるようにしても良い。その場合には、ベルト電極および無端コンベアの搬送速度に同期させて透水性フィルム21,22を駆動させるようにする。
【0034】
図6はジュール加熱装置の他の変形例を示す断面図であり、このジュール加熱装置は、相互に平行となった複数のローラ電極11,12を有するローラコンベア51によって形成されている。ローラコンベア51には前述した透水性フィルム21がローラ電極11,12とガイドローラ23,24に掛け渡されており、透水性フィルム21にはスプレーノズル27から水分が供給されるようになっている。それぞれのローラ電極には搬送方向に隣り合うローラ電極が逆極性となるように電源ユニット29に接続されている。したがって、相互に逆極性となる2つのローラ電極11,12の間に透水性フィルム21を介してスライス片20が接触すると、スライス片20は透水性フィルム21を介してローラ電極11,12に表面の熱が伝達されて放熱しながら、主として内部が所定の温度となるように内部加熱される。
【0035】
図7はローラコンベアタイプのジュール加熱装置の変形例を示す断面図であり、このジュール加熱装置は、図6に示したローラコンベアと同様の第1のローラコンベア51と、これに対向して配置される第2のローラコンベア52とを有しており、第2のローラコンベア52にも透水性フィルム22が掛け渡されている。第1のローラコンベア51のローラ電極11と第2のローラコンベア52のローラ電極12とには相互に逆極性の電力が電源ユニット29から供給されるようになっている。したがって、このタイプのジュール加熱装置によれば、スライス片20はローラ電極11とローラ電極12とに透水性フィルム21,22を介して挟まれた状態となって搬送されることになり、スライス片20は表面の熱をローラ電極11,12に伝達して放熱しながら内部が所定の温度となるまで加熱される。
【0036】
図7に示すタイプのジュール加熱装置においては、それぞれのローラコンベア51,52はローラ電極11,12が水平方向を向くように上下に配置されており、上側のローラコンベア52の透水性フィルム22を用いないようにすることも可能である。また、それぞれのローラコンベア51,52のローラ電極には搬送方向に隣り合うローラ電極が相互に逆極性となるように電力を供給するようにしても良い。
【0037】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。たとえば、上述したジュール加熱装置においては、電極11,12が水平方向を向いているが、電極11,12が垂直方向を向くようにしても良く、搬送方向も水平方向に限られず、上下方向にスライス片20を搬送するようにしても良い。
【0038】
【発明の効果】
本発明によれば、電極の間に牛タンのスライス片を接触させた状態のもとでスライス片の表面の熱を電極に伝達して放熱しながら、スライス片に電極から通電してジュール熱により表面側よりも内部を高い温度に加熱する内部加熱工程と、高温雰囲気内で表面加熱する表面加熱工程とを有するので、全体的に必要な温度まで所定時間加熱しても、スライス片の内部に多量のゼラチンが捕捉されることになり、柔らかい牛タンスライス加工品を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の牛タンスライスの製造方法を示す工程図である。
【図2】スライス片の表面を放熱しながら主として内部を加熱するジュール加熱装置の一例を示す断面図である。
【図3】図2におけるA−A線に沿う断面図である。
【図4】ジュール加熱装置の変形例を示す断面図である。
【図5】ジュール加熱装置の変形例を示す断面図である。
【図6】ジュール加熱装置の変形例を示す断面図である。
【図7】ジュール加熱装置の変形例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 スライス工程
2 内部加熱工程
3 表面加熱工程
4 冷却工程
5 包装工程
11 第1電極(板状電極、ベルト電極、ローラ電極)
12 第2電極(板状電極、ベルト電極、ローラ電極)
14 上下動プレート
15 台座
18 モータ
21,22 透水性フィルム
41,42 無端コンベア
51,52 ローラコンベア
【発明の属する技術分野】
本発明は牛タンスライスを加熱して牛タンスライス加工品を製造する牛タンスライスの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
牛肉を食品素材としてこれを加熱処理した食肉加工食品には、牛タンスライスがある。牛タンスライスは牛タンの肉塊をスライス片にスライス加工し、加熱処理することにより製造されている。牛タンスライス加工品を製造する場合には、スライス片をガスなどを熱源として加熱し、冷却した後に包装材により包装することにより製造され、製品によっては加熱する前に味付けを行う場合もある。
【0003】
牛タンスライス加工品を製造する場合には、その内部温度が75℃以上となる状態が1分以上確保されるようにして加熱する必要がある。したがって、ガスなどを熱源として牛タンスライス片を外部から加熱するには、内部が75℃となるようにするために、牛タンスライス片の表面温度を75℃以上の温度に加熱し、表面から内部への熱伝達により内部が75℃の温度となるようにしている。
【0004】
このため、ガスなどを熱源とする高温雰囲気内で牛タンスライス片を加熱する場合には、加熱後の牛タンスライスがどうしても固めとなってしまうことになる。この原因は、牛タンは動物性コラーゲンと筋繊維とを有しており、動物性コラーゲンは60℃以上の温度となると、溶解して肉片から滴となって分離されてしまい、筋繊維の割合が高くなるからであると考えられる。動物性コラーゲンは溶解するとゼラチンとなるが、そのゼラチンが牛タンスライス片の中に残る割合が高ければ、柔らかい食感の牛タンスライス加工品が得られることになる。しかし、スライス片を外部から加熱するようにした従来の加熱方式では、牛タンの内部が約75℃の温度となるようにするために表面をこれよりもかなり高い温度となるまで加熱しなければならず、滴となって外部に滴下されるゼラチンの量が多くなるので、食感に優れた牛タンスライス加工品を製造することが困難であった。
【0005】
外部から食肉を加熱することなく、食肉をこれに電流を流すことによりジュール熱により加熱する方式が、たとえば特許文献1に開示されるように提案されている。
【0006】
【特許文献1】
特開平9−23855号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この加熱方式にあっては、容器内に食塩水とともに肉片を投入し、容器内に設けられた一対の電極から肉片に通電するようにしており、肉片が全体的にほぼ均一な温度となるとともに、肉片が食塩水の中に浸されているので、加熱された肉片からゼラチンが溶出することになる。このため、加熱後の肉片はぱさついてしまい、良好な食感が得られないことになる。
【0008】
本発明の目的は、加熱時にゼラチンをスライス片の内部に多量に捕捉して食感に優れた牛タンスライス加工品を製造し得るようにすることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の牛タンスライスの製造方法は、牛タンの肉塊をスライス片に切断するスライス工程と、第1電極と第2電極との間にスライス片を接触させた状態のもとで、スライス片の表面の熱を前記電極に伝達して放熱しながら前記電極に電力を供給してスライス片をジュール加熱する内部加熱工程と、ジュール加熱されたスライス片を高温雰囲気内で表面加熱する表面加熱工程とを有することを特徴とする。
【0010】
本発明の牛タンスライスの製造方法は、前記第1電極と前記第2電極を相互に接近離反移動自在の導電性板材により形成することを特徴とする。また、前記第1電極と前記第2電極を導電性のベルト電極により形成し、スライス片を前記ベルト電極により搬送しながらジュール加熱することを特徴とする。
【0011】
本発明の牛タンスライスの製造方法は、前記第1電極と前記第2電極をそれぞれ無端コンベアに所定の間隔毎に取り付けられる導電性の板材により形成し、スライス片を無端コンベアにより搬送しながらジュール加熱することを特徴とする。また、前記第1電極と前記第2電極とを導電性のローラ電極により形成し、スライス片を前記ローラ電極により搬送しながらジュール加熱することを特徴とする。
【0012】
本発明の牛タンスライスの製造方法は、前記第1電極と前記第2電極の表面に透水性フィルムを配置し、スライス片を前記透水性フィルムを介して前記電極に接触させることを特徴とする。また、表面加熱されたスライス片を冷却するとともに包装材により包装することを特徴とする。
【0013】
本発明にあっては、電極の間に牛タンのスライス片を接触させた状態のもとでスライス片に電極から通電することにより、スライス片の表面の熱を電極に伝達して表面を冷却しながら、内部を表面側部よりも高い温度にジュール加熱する。このように、ジュール加熱する際にスライス片に通電するための電極を利用してスライス片の表面の温度を内部よりも低い温度に設定することにより、スライス片の動物性コラーゲンが溶解してゼラチンとなっても、そのゼラチンは表面から多量に溶出することなく、内部に多くが捕捉されることになる。したがって、ジュール加熱による内部加熱が終了した後に、スライス片の表面加熱を行うと、ゼラチンがスライス片の内部に多量に残ることになり、柔らかい牛タンスライス製品を製造することができる。
【0014】
本発明にあっては、電極に透水性フィルムを介してスライス片を接触させることにより、透水性フィルムの水分によりスライス片の表面を冷却することができる。また、透水性フィルムを駆動させることによりスライス片を搬送しながら加熱することができる。電極を無端コンベアに設けたり、電極をベルトやローラとすることによりスライス片を搬送しながら加熱することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明の牛タンスライスの製造方法を示す工程図であり、牛タンの肉塊はスライス工程1において所定の厚みを有するスライス片に切断される。次いで、スライス片は内部加熱工程に搬送され、ジュール加熱装置の第1電極と第2電極の間に接触させた状態のもとで、スライス片に通電することによってスライス片をジュール加熱する。
【0016】
この内部加熱工程においては、ジュール加熱装置によってスライス片は2つの電極の間に接触した状態になり、通電時にはスライス片の表面の熱を電極に伝達することにより表面を放熱しながら、内部の温度を表面よりも高い温度に加熱する。このようにスライス片の表面の熱は表面に接触する電極に伝達されて放熱されることになり、たとえば、内部の温度が75℃となるまで加熱されても、表面の温度はたとえば70℃以下の温度に設定されることになる。これにより、牛タンスライス片の内部の動物性コラーゲンが溶解してゼラチン化しても、熔解したゼラチンがスライス片の表面から溶出することが抑制される。つまり、温度の低い表面層の部分のゼラチン化の割合が少なくなるので、表面部が内部のゼラチンの外部への溶出を阻止することになる。
【0017】
したがって、スライス片を電極間で加熱するようにジュール加熱すると、表面をこれに接触する電極に放熱しながらスライス片の内部を加熱することになるので、加熱されたスライス片の内部には、従来の加熱方式と相違して、多量のゼラチンを捕捉することができる。このようにして、スライス片を固くすることなく、内部まで加熱することができる。
【0018】
内部加熱後のスライス片は、表面加熱工程に搬送されてガスや電気ヒータを熱源とする高温雰囲気内において表面が加熱される。表面がたとえば75℃以上となるようにスライス片を加熱しても、内部はその温度以下の温度に保持されるので、内部からのゼラチンの溶出を抑制することができるとともに、表面に焼き目を付けることができる。
【0019】
このように、ジュール熱による内部の加熱と高温雰囲気内における表面の加熱とを行うことにより、従来の加熱方式よりも食肉を固くさせることなく、柔らかい食感の牛タンスライス加工品が得られることになる。
【0020】
表面加熱が終了した後の牛タンスライス加工品は常温まで冷却される。冷却方式としては、積極的に冷風をスライス片に吹き付けたり、冷蔵庫などの冷却雰囲気内に放置したり、あるいは常温雰囲気内に放置する方式がある。冷却した後のスライス片は、包装工程において包装されて製品化される。
【0021】
図2はスライス片の表面を放熱しながら主として内部を加熱するためのジュール加熱装置の一例を示す断面図であり、図3は図2におけるA−A線に沿う断面図である。このジュール加熱装置は、それぞれほぼ四辺形となった第1と第1の電極11,12を有し、それぞれの電極11,12はチタンなどの導電性の電極材料により板状に形成されて板状電極となっており、水平方向を向いて上下にずらして配置されている。下側の板状電極11は支持ブラケット13を介して上下動プレート14に取り付けられており、この上下動プレート14を上下に駆動して両方の板状電極11,12の間隔を調整するために、台座15に回転自在に送りナット16が装着され、この送りナット16にねじ結合される送りねじ17が上下動プレート14に固定されている。
【0022】
送りナット16に設けられた歯車部16aには、台座15に取り付けられたモータ18により回転される歯車19が噛合っており、モータ18を駆動することにより歯車19、送りナット16および送りねじ17を介して板状電極11は上下方向に駆動される。なお、歯車19を用いてモータ18の回転を送りナット16の回転に伝達することなく、ベルトやチェーンを介して送りナット16にモータ18の回転を伝達するようにしても良い。
【0023】
他方の板状電極12は支持ブラケット13aを介して台座15に固定されており、モータ18により板状電極11を板状電極12に対して接近離反移動させると、両方の板状電極11,12は相互に接近離反移動することになる。ただし、2つの板状電極11,12の接近離反移動は間隔を調整するための相対的移動であれば良いので、上側の板状電極12を上下動させるようにしても良く、両方の板状電極11,12を移動させるようにしても良い。また、板状電極11を上下動させる手段としては、モータ18によりその主軸の回転運動を送りナット16を介して送りねじ17の上下動運動に変換することなく、空気圧シリンダなどによって直接上下動プレート14を上下動するようにしても良い。ただし、板状電極11,12の間隔が予め設定されていれば、板状電極11,12の間隔を変化させるためにこれらを相対的に接近離反移動させることは不要となる。
【0024】
牛タンのスライス片20を自動的に搬送するために、板状電極11には透水性フィルム21が装着され、板状電極12には透水性フィルム22が装着されており、それぞれの透水性フィルム21,22はループ状つまり無端状となっている。透水性フィルム21は搬入側と搬出側のローラ23,24に掛け渡され、透水性フィルム22は搬入側と搬出側のローラ25,26に掛け渡されており、それぞれの透水性フィルム21,22は搬入側と搬出側の一方のローラを駆動することにより、搬入側から搬出側に搬送され、スライス片20はローラの駆動により透水性フィルム21,22により自動的に搬送される。このように、固定式の板状電極11,12を使用しても、透水性フィルム21,22を駆動することによりスライス片20を自動的に搬送しながら加熱することができ、牛タンスライス製品を連続的に製造することができる。
【0025】
透水性フィルム21,22は、たとえば布や不織布などのように水分を吸収する性質を有する薄膜であればどのようなものでも良く、親水性フィルム、吸水性フィルムあるいは保水性フィルムなどとも言われる種々のフィルム材や薄膜を使用することができ、これらのフィルムを総称してこの明細書では透水性フィルムと述べられている。透水性フィルム21,22に対して水分を供給するために、透水性フィルム21,22の上流側にはスプレーノズル27が設けられており、このスプレーノズル27から供給される水分によって板状電極11,12は冷却されるとともに、透水性フィルム21,22には水分が補給される。ただし、透水性フィルム21,22を水槽内に潜り込ませるようにしてこれに水分を供給するようにしても良い。なお、透水性フィルム21,22を使用することなく、スライス片20を直接板状電極11,12に接触させるようにしても良く、その場合には所定の枚数のスライス片20を加熱した後には、板状電極11,12を離反させて加熱終了後のスライス片20を加熱装置から取り出すことになる。
【0026】
それぞれの板状電極11,12は通電ケーブル28を介して電源ユニット29に接続されており、板状電極11,12には所定周波数の高周波電力が供給されるようになっている。
【0027】
図2および図3に示すジュール加熱装置を用いてスライス片20を加熱する場合には、図示しないモータによってローラ23〜26を回転させて透水性フィルム21,22を移動させた状態のもとで、透水性フィルム21の上流部にスライス片20を投入する。投入されたスライス片20は両方の板状電極11,12の間に挟み込まれて透水性フィルム21,22を介して板状電極11,12の表面に接触することになる。したがって、電源ユニット29からの電力供給により板状電極11,12からスライス片20に流れる電流によりスライス片20にはジュール熱が発生し、スライス片20は加熱されることになるが、スライス片20の表面はそれぞれ透水性フィルム21,22を介して板状電極11,12に接触しているので、表面の熱は板状電極11,12に伝達されて放熱される。これにより、スライス片20の表面は内部よりも低い温度となる。つまり、スライス片20の内部の温度はジュール熱により75℃程度の温度まで高められるが、表面の温度はそれよりも低い温度、たとえば70℃程度の温度に保持される。
【0028】
このように、スライス片20の表面に板状電極11,12を接触させて表面の熱を板状電極11,12に熱伝達させて表面の温度を内部の温度よりも低下させることにより、表面側部の動物性コラーゲンが溶解して形成されるゼラチンの割合は、内部のその割合よりも少なくなり、内部のゼラチンが外部に溶出されるのを表面側部が阻止することになる。この結果、ジュール加熱後のスライス片20を加熱雰囲気内で表面加熱することにより、スライス片20の全加熱工程が終了しても、スライス片20全体を所望の温度に加熱しつつ、残留するゼラチンの量を高めることができ、ソフトな牛タンスライス製品を得ることができる。
【0029】
図4はジュール加熱装置の変形例を示す断面図であり、この場合には第1電極11と第2電極12はそれぞれ無端状の導電性ベルトにより形成されている。それぞれのベルト電極11,12は水平方向を向いて上下にずらして配置されており、下側のベルト電極11は搬入側と搬出側のローラ31,32に掛け渡され、上側のベルト電極12は搬入側と搬出側のローラ33,34に掛け渡されている。それぞれのベルト電極11,12には図示しない給電ブラシを介して電源ユニットからの電力が供給されるようになっている。
【0030】
下側のベルト電極11の搬入端部は上側のベルト電極12の搬入端部よりも突出しており、この部分に投入されたスライス片20は、それぞれのローラ駆動によってベルト電極11,12を移動させることにより、両方のベルト電極11,12の間に挟み付けられた状態となって搬出側に向けて搬送される。搬送される過程で電源ユニットから供給される電力によりスライス片20は通電加熱されることになり、このときには、スライス片20の表面側部はベルト電極11,12に接触するのでこれに熱が伝達されて内部よりも低い温度になる。
【0031】
図5はジュール加熱装置の他の変形例を示す断面図であり、この場合には複数の第1の板状電極11と第2の板状電極12が無端コンベア41,42に取り付けられている。それぞれの無端コンベア41,42は上下にずれて配置されており、下側の無端コンベア41はそれぞれスプロケット43が取り付けられた搬入側と搬出側の回転軸44,45を有しており、両方のスプロケット43にはチェーン46が掛け渡されている。それぞれの回転軸44,45には軸方向にずれて2つずつスプロケット43が取り付けられており、無端コンベア41は2本のチェーン46を備えている。無端コンベア42も無端コンベア41と同様に、それぞれスプロケット43が取り付けられた搬入側と搬出側の回転軸47,48を有し、両方のスプロケット43にはチェーン49が掛け渡され、それぞれの回転軸47,48には軸方向にずれて2つずつスプロケット43が取り付けられており、無端コンベア42は2本のチェーン49を備えている。
【0032】
それぞれのチェーン46,49には所定の間隔を隔てて複数の板状電極11,12がそれぞれの板状電極11,12の両端部で取り付けられており、それぞれの板状電極11,12は図示省略した電源ユニットが接続されるようになっている。図5に示すジュール加熱装置を用いる場合も、前述した場合と同様にして、第1の板状電極11と第2の板状電極12との間でスライス片20を挟み付けた状態で搬送することにより、スライス片20の内部を表面側部よりも高い温度に加熱することができる。
【0033】
図4および図5に示す場合にも、図3および図4に示すように、透水性フィルム21,22を使用することにより、スライス片20を透水性フィルム21,22を介して板状電極11,12に接触させるようにしても良い。その場合には、ベルト電極および無端コンベアの搬送速度に同期させて透水性フィルム21,22を駆動させるようにする。
【0034】
図6はジュール加熱装置の他の変形例を示す断面図であり、このジュール加熱装置は、相互に平行となった複数のローラ電極11,12を有するローラコンベア51によって形成されている。ローラコンベア51には前述した透水性フィルム21がローラ電極11,12とガイドローラ23,24に掛け渡されており、透水性フィルム21にはスプレーノズル27から水分が供給されるようになっている。それぞれのローラ電極には搬送方向に隣り合うローラ電極が逆極性となるように電源ユニット29に接続されている。したがって、相互に逆極性となる2つのローラ電極11,12の間に透水性フィルム21を介してスライス片20が接触すると、スライス片20は透水性フィルム21を介してローラ電極11,12に表面の熱が伝達されて放熱しながら、主として内部が所定の温度となるように内部加熱される。
【0035】
図7はローラコンベアタイプのジュール加熱装置の変形例を示す断面図であり、このジュール加熱装置は、図6に示したローラコンベアと同様の第1のローラコンベア51と、これに対向して配置される第2のローラコンベア52とを有しており、第2のローラコンベア52にも透水性フィルム22が掛け渡されている。第1のローラコンベア51のローラ電極11と第2のローラコンベア52のローラ電極12とには相互に逆極性の電力が電源ユニット29から供給されるようになっている。したがって、このタイプのジュール加熱装置によれば、スライス片20はローラ電極11とローラ電極12とに透水性フィルム21,22を介して挟まれた状態となって搬送されることになり、スライス片20は表面の熱をローラ電極11,12に伝達して放熱しながら内部が所定の温度となるまで加熱される。
【0036】
図7に示すタイプのジュール加熱装置においては、それぞれのローラコンベア51,52はローラ電極11,12が水平方向を向くように上下に配置されており、上側のローラコンベア52の透水性フィルム22を用いないようにすることも可能である。また、それぞれのローラコンベア51,52のローラ電極には搬送方向に隣り合うローラ電極が相互に逆極性となるように電力を供給するようにしても良い。
【0037】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。たとえば、上述したジュール加熱装置においては、電極11,12が水平方向を向いているが、電極11,12が垂直方向を向くようにしても良く、搬送方向も水平方向に限られず、上下方向にスライス片20を搬送するようにしても良い。
【0038】
【発明の効果】
本発明によれば、電極の間に牛タンのスライス片を接触させた状態のもとでスライス片の表面の熱を電極に伝達して放熱しながら、スライス片に電極から通電してジュール熱により表面側よりも内部を高い温度に加熱する内部加熱工程と、高温雰囲気内で表面加熱する表面加熱工程とを有するので、全体的に必要な温度まで所定時間加熱しても、スライス片の内部に多量のゼラチンが捕捉されることになり、柔らかい牛タンスライス加工品を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の牛タンスライスの製造方法を示す工程図である。
【図2】スライス片の表面を放熱しながら主として内部を加熱するジュール加熱装置の一例を示す断面図である。
【図3】図2におけるA−A線に沿う断面図である。
【図4】ジュール加熱装置の変形例を示す断面図である。
【図5】ジュール加熱装置の変形例を示す断面図である。
【図6】ジュール加熱装置の変形例を示す断面図である。
【図7】ジュール加熱装置の変形例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 スライス工程
2 内部加熱工程
3 表面加熱工程
4 冷却工程
5 包装工程
11 第1電極(板状電極、ベルト電極、ローラ電極)
12 第2電極(板状電極、ベルト電極、ローラ電極)
14 上下動プレート
15 台座
18 モータ
21,22 透水性フィルム
41,42 無端コンベア
51,52 ローラコンベア
Claims (7)
- 牛タンの肉塊をスライス片に切断するスライス工程と、
第1電極と第2電極との間にスライス片を接触させた状態のもとで、スライス片の表面の熱を前記電極に伝達して放熱しながら前記電極に電力を供給してスライス片をジュール加熱する内部加熱工程と、
ジュール加熱されたスライス片を高温雰囲気内で表面加熱する表面加熱工程とを有することを特徴とする牛タンスライスの製造方法。 - 請求項1記載の牛タンスライスの製造方法において、前記第1電極と前記第2電極を相互に接近離反移動自在の導電性板材により形成することを特徴とする牛タンスライスの製造方法。
- 請求項1記載の牛タンスライスの製造方法において、前記第1電極と前記第2電極を導電性のベルト電極により形成し、スライス片を前記ベルト電極により搬送しながらジュール加熱することを特徴とする牛タンスライスの製造方法。
- 請求項1記載の牛タンスライスの製造方法において、前記第1電極と前記第2電極をそれぞれ無端コンベアに所定の間隔毎に取り付けられる導電性の板材により形成し、スライス片を無端コンベアにより搬送しながらジュール加熱することを特徴とする牛タンスライスの製造方法。
- 請求項1記載の牛タンスライスの製造方法において、前記第1電極と前記第2電極とを導電性のローラ電極により形成し、スライス片を前記ローラ電極により搬送しながらジュール加熱することを特徴とする牛タンスライスの製造方法。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の牛タンスライスの製造方法において、前記第1電極と前記第2電極の表面に透水性フィルムを配置し、スライス片を前記透水性フィルムを介して前記電極に接触させることを特徴とする牛タンスライスの製造方法。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の牛タンスライスの製造方法において、表面加熱されたスライス片を冷却するとともに包装材により包装することを特徴とする牛タンスライスの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003021303A JP2004229550A (ja) | 2003-01-30 | 2003-01-30 | 牛タンスライスの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003021303A JP2004229550A (ja) | 2003-01-30 | 2003-01-30 | 牛タンスライスの製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004229550A true JP2004229550A (ja) | 2004-08-19 |
Family
ID=32950674
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003021303A Pending JP2004229550A (ja) | 2003-01-30 | 2003-01-30 | 牛タンスライスの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004229550A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015181407A (ja) * | 2014-03-25 | 2015-10-22 | 株式会社フロンティアエンジニアリング | 食品の通電加熱装置 |
WO2016111703A1 (en) * | 2015-01-09 | 2016-07-14 | Illinois Tool Works Inc. | Inline resistive heating system and method for thermal treatment of continuous conductive products |
JP2017035070A (ja) * | 2015-08-06 | 2017-02-16 | 良爾 福山 | 牛タン加工食品及びその製造方法 |
JP2020074730A (ja) * | 2018-11-09 | 2020-05-21 | 大阪瓦斯株式会社 | 軟化食品製造方法 |
-
2003
- 2003-01-30 JP JP2003021303A patent/JP2004229550A/ja active Pending
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015181407A (ja) * | 2014-03-25 | 2015-10-22 | 株式会社フロンティアエンジニアリング | 食品の通電加熱装置 |
WO2016111703A1 (en) * | 2015-01-09 | 2016-07-14 | Illinois Tool Works Inc. | Inline resistive heating system and method for thermal treatment of continuous conductive products |
US11231229B2 (en) | 2015-01-09 | 2022-01-25 | Illinois Tool Works Inc. | Inline resistive heating system and method for thermal treatment of continuous conductive products |
JP2017035070A (ja) * | 2015-08-06 | 2017-02-16 | 良爾 福山 | 牛タン加工食品及びその製造方法 |
JP2020074730A (ja) * | 2018-11-09 | 2020-05-21 | 大阪瓦斯株式会社 | 軟化食品製造方法 |
JP7158247B2 (ja) | 2018-11-09 | 2022-10-21 | 大阪瓦斯株式会社 | 軟化食品製造方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JPS5988121A (ja) | 食品用接触式フライ装置及び方法 | |
JP2004229550A (ja) | 牛タンスライスの製造方法 | |
CA2326736A1 (en) | Method and apparatus for preparing food products for further processing | |
JP2002142724A (ja) | 畜肉練り製品の製造方法および製造装置 | |
JP2006262744A (ja) | 卵の加工品及びその製造方法 | |
EP0405697A1 (en) | Apparatus for producing slices of meat from meat dough | |
JP4150475B2 (ja) | 食品材料の供給装置 | |
JP3179686B2 (ja) | 練り製品の成形加熱方法および成形加熱装置 | |
JP3429108B2 (ja) | 筒状練り製品の加熱装置 | |
JP2000166515A (ja) | はんぺんの製造方法および製造装置 | |
JP3781886B2 (ja) | すり身の成形加熱方法および装置 | |
JP2002373770A (ja) | 無端搬送ベルトを使用した電磁誘導式加熱方法とその装置 | |
JP2004173565A (ja) | 麺の束の搬送速度を揃えるための麺の製造装置 | |
JP2000023641A (ja) | 筒状練り製品の加熱装置 | |
JP2813153B2 (ja) | 筒状練り製品の加熱方法および加熱装置 | |
JPH06237730A (ja) | 板角こんにゃくの連続自動製造装置 | |
JPH06347162A (ja) | 回転円筒型処理装置 | |
JPH09224614A (ja) | ちくわ製造装置 | |
JP2004173580A (ja) | 練り製品の加熱搬送装置および加熱搬送方法 | |
JPH0713516Y2 (ja) | 練り製品の連続加熱装置 | |
JPH0757171B2 (ja) | 練り製品の加熱装置における通電制御装置 | |
JPS602016B2 (ja) | 菓子の連続焼成方法 | |
JPH032156Y2 (ja) | ||
JPH09262071A (ja) | 練製品の製造方法及びその製造装置 | |
JP4101003B2 (ja) | 流動性の食品材料の成形方法及び成形装置 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20050302 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20060626 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20060808 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20061205 |