JP2004229016A - 音声入出力装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】マイク15の収録した音声入力信号に含まれる音響エコーを除去する際に用いる参照信号に対して、人の聞き取れる周波数帯域以外の信号を減衰する。エコーキャンセル部20は、この人の聞き取れる周波数帯域の信号を多く含む参照信号を音声入力信号から差し引くことで送話信号を生成し、この生成した送話信号を通信モジュール13に出力する。これにより、参照信号は、音響エコーのもつ周波数特性に近い特性とすることができる。その結果、外乱要素の影響を受けることなく、音声入力信号に含まれる音響エコーを良好に抑制することができる。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、音声入出力装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ハンドセットを用いずにスピーカとマイクロホンで通話できるように構成されたハンズフリータイプの音声入出力装置は、スピーカから出力される音がマイクロホンに回り込みことによって発生する音響エコーを抑制するためのエコーキャンセル機能を有している(例えば、特許文献1参照。)。この特許文献1に開示されているエコーキャンセル機能によれば、例えば、発生する音響エコーを適応フィルタを利用して推測し、擬似エコー信号を生成して、マイクロホンの受信信号から差し引くことによって音響エコーを消去する。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−353989号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述した、従来の音声入出力装置のエコーキャンセル機能は、定常的で外部からの影響を受けない理想的な空間を前提とした設計がなされているため、例えば、自動車の車室内等においては十分な機能を発揮できない。すなわち、車室内では、ロードノイズ等の外乱要素もマイクロホンによって集音されるため、この外乱要素の影響により、集音された音声入力信号に含まれる音響エコーを十分に抑制することができなかった。
【0005】
本発明は、かかる問題を鑑みてなされたもので、外乱を受ける環境で使用する場合であっても、良好に音響エコーを抑制することが可能な音声入出力装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の音声入出力装置は、通話相手の音声を出力する音声出力手段と、話者の音声を入力する音声入力手段と、通話相手から送信された音声信号に対して予め設定された周波数帯域以外の信号を減衰する検出信号減衰手段と、話者の音声とともに音声出力手段から出力された音声を含む音声入力手段が入力した入力信号から検出信号減衰手段によって減衰された音声信号を除去する除去手段と、除去手段によって音声信号が除去された入力信号を通話相手へ送信し、通話相手から送信された音声信号を受信する通信手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
このように、本発明の音声入出力装置は、音声入力手段から入力された音声入力信号に含まれるエコー成分を除去する際、通話相手から送信された音声信号に対して、予め設定された周波数帯域以外の周波数に属する信号を減衰させて、特定の周波数帯域からなる音声信号を用いる。
【0008】
すなわち、音響エコーは、音声入力手段から入力される入力信号から可聴領域の周波数をもった音声信号が除去できない場合に発生する。従って、予めその可聴領域の周波数をもった音声信号を抽出し、これを入力信号から除去するようにすることで、可聴領域の周波数をもった音声信号の除去精度を向上することができ、音響エコーを抑制することが可能となる。
【0009】
このように、音響エコーの原因となる音声信号の周波数帯域を予め設定しておき、この周波数帯域の音声信号を入力信号から除去することで、上述したような外乱要素の影響を受けることなく、集音された音声入力信号に含まれるエコー成分を十分に除去することができる。
【0010】
なお、本発明の音声入出力装置は、車両に搭載されるナビゲーション装置の機能をハンズフリーによって操作するものとして利用してもよい。また、携帯電話機、自動車電話、通信機能を有するモバイルPC(Personal Computer)やPDA(Personal Digital Assistants)等のハンズフリー通話に採用してもよい。さらに、パケット通信によるVoIP(Voice over Internet Protocol)技術を利用したインターネット電話のハンズフリー通話にも適用してもよい。
【0011】
請求項2に記載の音声入出力装置では、検出信号減衰手段は、周波数帯域として人の聞き取れる音声に対応した周波数帯域(例えば、数百〜数千ヘルツ)を設定することで、音響エコーを除去する際に用いる通話相手から送信された音声信号を音響エコーの周波数特性により一致するように変更することができる。
【0012】
請求項3に記載の音声入出力装置では、音声入力手段が入力した入力信号に対して所定周波数以下の信号を減衰させる入力信号減衰手段を備え、除去手段は、入力信号減衰手段によって減衰された入力信号から音声信号を除去することを特徴とする。
【0013】
例えば、自動車の車室内等では、エコー成分とともにロードノイズ等の周囲の雑音が音声入力手段から入力される。従って、入力信号には、話者の音声やエコー成分だけでなく雑音も含まれる。しかし、ロードノイズ等の雑音は、一般に、話者の音声やエコー成分に比べて低い周波数帯域に属する。そこで、入力信号からロードノイズ程度の低い周波数(例えば、500ヘルツ以下等)の信号レベルを減衰することによって、入力信号は、主に話者の音声とエコー成分が含まれることになり、除去手段は、雑音の影響を多く受けることなく、エコー成分を除去することが可能となる。
【0014】
請求項4に記載の音声入出力装置によれば、除去手段によって音声信号が除去された入力信号に対して通信手段の送話周波数以上の信号を減衰させる送話信号減衰手段を備え、通信手段は、送話信号減衰手段によって減衰された入力信号を通話相手へ送信することを特徴とする。
【0015】
例えば、通信手段として携帯電話等を採用する場合、携帯電話は送話・受話周波数特性が規定されており、この周波数帯域の音声信号を送受信する。しかし、この規定以上の周波数成分を有する信号を携帯電話に送信すると、携帯電話の通話相手には、話者の音声に音響エコーがかかったように聞こえることがある。
【0016】
そこで、通信手段への入力信号に対して、この規定された周波数以上の信号を減衰させる。これにより、通信手段の不要な周波数帯の信号がカットされ、その結果、上述したような音響エコーに似た音声が通話相手に聞こえなくなる。
【0017】
請求項5に記載の音声入出力装置では、通信手段の受信した音声信号を所定の増幅率で増幅するする受話信号増幅手段を備え、検出信号減衰手段は、受話信号増幅手段によって増幅された音声信号に対してフィルタ処理を行うことを特徴とする。
【0018】
例えば、通信手段として携帯電話機を採用する場合には、携帯電話機の製造メーカや機種等によって受話レベルが異なる。そこで、携帯電話機の平均的な受話レベルを予め実験等により調べ、その平均的な受話レベルに基づいて増幅率を設定する。これにより、携帯電話の機種が変更されても、携帯電話機から送信される通話相手の音声信号のレベルをほぼ一定にすることができる。
【0019】
請求項6に記載の音声入出力装置では、入力信号減衰手段によって減衰された入力信号を所定のレベルに調整する入力信号レベル調整手段を備え、除去手段は、入力信号レベル調整手段によって所定レベルに調整された入力信号から音声信号を除去することを特徴とする。
【0020】
音声入力手段から入力される音声は、過大であったり過小であったりする。そのため、除去手段に入力される入力信号のレベルが変動し、音響エコーを除去する際の影響を及ぼすことがある。そこで、除去手段へ入力する音声信号のレベルが一定となるように調整することで、音響エコーを良好に除去することができる。
【0021】
請求項7に記載の音声入出力装置では、除去手段によって音声信号が除去された入力信号を所定の増幅率で増幅する送話信号増幅手段を備え、送話信号減衰手段は、送話信号増幅手段によって増幅された入力信号に対して通信手段の送話周波数以上の信号を減衰することを特徴とする。
【0022】
上述したように、例えば、通信手段として携帯電話等を採用する場合、携帯電話機の製造メーカや機種等によって送話レベルが異なる。そこで、携帯電話機の平均的な送話レベルを予め実験等により調べ、その平均的な送話レベルに基づいて増幅率を設定する。これにより、携帯電話機へ送信する送話信号は、携帯電話機の平均的な送話レベルに調整されるため、携帯電話の機種が変更されても、携帯電話機の送話レベルに適した送話信号を送ることができる。
【0023】
請求項8に記載の音声入出力装置によれば、通信手段は、通信手段の機種の情報を記憶する機種情報記憶手段を有し、通信手段と接続され、通信手段の送話・受話レベルの特性を通信手段の機種の情報と関連付けて記憶する機種別特性記憶手段を有し、機種情報記憶手段から機種の情報を取得し、この取得した機種に該当する送話・受話レベルの特性を機種別特性記憶手段から抽出するデータ処理手段と、データ処理手段によって抽出された送話・受話レベルに基づいて送話信号増幅手段及び受話信号増幅手段の増幅率を変更する変更手段とを備えることを特徴とする。
【0024】
これにより、通信手段の製造メーカや機種が異なることによって送話・受話レベルが相違する場合であっても、通信手段の送話・受話レベルに応じた信号レベルの調整を行うことができる。なお、通信手段の送話・受話レベルの特性を通信手段を介して外部から取得するものであってもよい。すなわち、通信手段の機種情報を外部サーバへ送信し、この外部サーバから通信手段の機種に対応する送話・受話レベルの特性を取得してもよい。
【0025】
請求項9に記載の音声入出力装置によれば、車両の速度を検出する車速検出手段と、車両の速度が低い場合には、それよりも車両の速度が高い場合に比較して音声出力手段の出力音量を低くする音量制御手段とを備えることを特徴とする。
【0026】
例えば自動車の車室内において、本発明の音声入出力装置を使用する場合、音声出力手段から出力される音声の音量は、車両の走行状態時において乗員が音声を十分に聞き取れる程度に調整される。従って、車両が停止状態である場合や低速で走行する状態の場合には、音声出力手段から出力される音量が過大となることがある。そこで、車両の速度が所定速度以下になった場合に音量を小さくすることで、乗員にとって適した音量で音声を出力することが可能となる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態における音声入出力装置について、図面に基づいて説明する。なお、本実施形態では、音声入出力装置を車載ナビゲーションシステムの一機能として採用した例について説明する。
【0028】
(第1実施形態)
図1は、本実施形態に係わる車載ナビゲーションシステム100の概略構成を示すブロック図である。同図に示すように、本実施形態の車載ナビゲーションシステム100は、位置検出器1、地図データ入力器6、操作スイッチ群7、外部メモリ9、表示装置10、リモコンセンサ11、通信モジュール13、マイク15、スピーカ16及びこれらに接続された制御回路8を備えている。
【0029】
なお、制御回路8は通常のコンピュータとして構成されており、内部には周知のCPU、ROM、RAM、I/O及びこれらの構成を接続するバスラインが備えられている。ROMには、制御回路8が実行するためのプログラムが書き込まれており、このプログラムに従ってCPU等が所定の演算処理を実行する。なお、このプログラムは、外部メモリ9を介して外部から取得したりすることもできる。
【0030】
さらに、制御回路8には、後述するスピーカ15、マイク16を使って通信モジュール13の送話・受話をハンズフリーで行うハンズフリー機能部17を備えている。
【0031】
位置検出器1は、車両の絶対位置及び速度を検出するもので、いずれも周知の地磁気センサ2、ジャイロスコープ3、距離センサ4、及び衛星からの電波に基づいて車両の位置を検出するGPS(Global Positioning System)のためのGPS受信機5を有している。これらは、各々が性質の異なる誤差を持っているため、複数のセンサにより各々補完しながら使用するように構成されている。
【0032】
なお、各センサの精度によっては位置検出器1を上述した内の一部で構成してもよく、更に、図示しないステアリングの回転センサ、各転動輪の車速センサ等を用いてもよい。また、この位置検出器1で検出した車速信号は、制御回路8の内部においてハンズフリー機能部17へ転送されるようになっている。
【0033】
地図データ入力器6は、位置検出の精度向上のためのいわゆるマップマッチング用データ、地図データ及び目印データを含む各種データを入力するための装置である。各種データを記憶する記憶媒体としては、そのデータ量からCD−ROMまたはDVD−ROMを用いるのが一般的であるが、メモリカード、ハードディスク等の記憶媒体を用いてもよい。
【0034】
操作スイッチ群7は、例えば、後述する表示装置10と一体になったタッチスイッチもしくはメカニカルなスイッチ等が用いられ、各種入力に使用される。表示装置10は、例えば液晶ディスプレイによって構成され、表示装置10の画面には、位置検出器1から入力された車両の現在位置に対応する自車位置マークや、地図データ入力器6より入力された地図データによって生成される車両周辺の道路地図等が表示される。
【0035】
また、本実施形態の車載ナビゲーションシステム100は、リモートコントロール端末(以下、リモコンと称する)12を介してリモコンセンサ11から、あるいは操作スイッチ群7から目的地の位置を入力すると、現在位置(或いは、ユーザが指定した出発地)から目的地までの最適な経路を自動的に探索して誘導経路を形成し表示する、いわゆる経路誘導機能も備えている。このような自動的に最適な経路を設定する手法は、周知のダイクストラ法等の手法が知られている。
【0036】
通信モジュール13は、例えば携帯電話機等が採用され、外部ネットワーク14へ接続することができる。なお、通信モジュール13は、携帯電話機に限らず、自動車電話、通信機能を有するモバイルPC(Personal Computer)やPDA(Personal Digital Assistants)等を採用してもよい。
【0037】
図2に、ハンズフリー機能部17の全体構成を示す。同図に示すように、ハンズフリー機能部17は、通信モジュール13、マイク15及びスピーカ16と接続されている。
【0038】
マイク15は、例えば、小型のマイクロホン等が採用されるもので、話者の音声を入力する。この音声入力信号は、アンプ18に入力され、所定レベルに増幅され、後述するエコーキャンセル部20へ出力される。
【0039】
スピーカ16は、例えば、小型のスピーカ等であり、通信モジュール13から送信される通話相手の音声が音量調整部30によって増幅され、その増幅された音声を出力する。
【0040】
通信モジュール13は、ハンズフリー機能部17からの出力信号を受信して、この受信した出力信号を外部ネットワーク14に送信する。また、外部ネットワーク14から送信された送信信号を受信し、この受信信号をハンズフリー機能部17へ送信する。
【0041】
ハンズフリー機能部17は、図2に示すように、エコーキャンセル部20、スピーカ16の出力を調整する音量調整部30、信号のレベルを調整する信号レベル調整部31、及びフィルタ40から構成される。
【0042】
エコーキャンセル部20は、例えば、適応フィルタ等が採用され、スピーカ16から出力された通話相手の音声がマイク15に回り込むことによって発生する、マイク15の音声入力信号に含まれる音響エコーを抑制するためのものである。
【0043】
このエコーキャンセル部20は、信号レベル調整部31からの出力信号を入力し、この信号をもとに擬似的な音響エコー信号(以下、参照信号と呼ぶ)を生成し、その生成した参照信号のレベル及び位相を変更する。なお、エコーキャンセル部20は、参照信号のレベル及び位相を変更する際、アンプ18から出力された音声入力信号のレベル及び位相と概ね一致するように変更する。
【0044】
例えば、通信モジュール13の(ra)からテスト信号を発信し、このテスト信号がエコーキャンセル部20の(ra−in)に入力されるときの時間と、このテスト信号がスピーカ16から出力され、マイク15から集音されてエコーキャンセル部20の(ec−in)に入力されるときの時間とから時間差を予め求め、この時間差に基づいて参照信号の位相を変更する。また、レベルについても、テスト信号がエコーキャンセル部20の(ra−in)に入力されるときのレベルと、このテスト信号がスピーカ16から出力され、マイク15から集音されてエコーキャンセル部20の(ec−in)に入力されるときのレベルとからレベル差を予め求め、このレベル差に基づいて参照信号のレベルを変更する。
【0045】
また、エコーキャンセル部20は、図示しない信号減算器によって、アンプ18から出力された音声入力信号から参照信号を差し引く。この参照信号によって差し引かれた音声入力信号を送話信号として通信モジュール13へ出力する。
【0046】
音量調整部30は、通信モジュール13から出力される通話相手の音声信号を受信し、この受信した音声信号を車両の乗員の操作によって調整されたレベルに増幅する。この増幅された音声信号は、スピーカ16に出力されるとともにフィルタ40にも出力される。
【0047】
フィルタ40は、例えば、バンドパスフィルタ等が採用され、音量調整部30から出力された通話相手の音声信号を入力し、この入力した音声信号に対して、予め設定された周波数帯域以外の周波数帯域の信号を減衰させる。
【0048】
例えば、この予め設定すべき周波数帯域として、人が聞き取れる周波数帯域(例えば、数百〜数千ヘルツ)程度にしておく。これにより、エコーキャンセル部20に入力される参照信号は、人が聞き取れる周波数帯域を多く含んだ信号となる。
【0049】
エコーキャンセル部20は、このフィルタ40から出力される参照信号のレベル及び位相を音声入力信号のレベル及び位相に一致するように変更することで、参照信号を音声入力信号のレベル及び位相に精度よく一致させることができる。
【0050】
すなわち、参照信号の周波数帯域が人の聞き取れる周波数帯域よりも更に広域な周波数である場合、エコーキャンセル部20において参照信号のレベル及び位相を変更する際、参照信号には人の聞き取れる周波数帯域から外れた低周波信号や高周波信号を含んでいるため、変更の基準とすべき周波数の信号が特定しにくくなり、その結果、変更するレベルや位相を音声入力信号に精度よく一致することができない。しかしながら、人の聞き取れる周波数帯域を多く含んだ信号であれば、レベル及び位相の変更の際に、その周波数帯域から外れた信号の影響を受けることが少なくなるため、その周波数帯域のレベル及び位相を音声入力信号に精度よく一致するように変更することができる。
【0051】
信号レベル調整部31は、フィルタ40によって成形された通話相手の音声信号を入力し、この入力した信号を所定の増幅率で増幅する。この増幅された信号がエコーキャンセル部20に出力される。
【0052】
続いて、以上のように構成されたハンズフリー機能部17の動作について説明する。通信モジュール13は、外部ネットワーク14から受信した通話相手の音声信号を音量調整部30へ出力し、この音量調整部30によって音声信号が増幅される。この増幅された音声信号は、スピーカ16とフィルタ40に出力される。このスピーカ16から出力された音声信号の一部がマイク15に回り込む。これにより、音響エコーが発生する。マイク15によって集音された話者の音声と音響エコーを含む入力信号は、アンプ18によって所定レベルに増幅され、エコーキャンセル部20に入力される。
【0053】
エコーキャンセル部20は、このアンプ18からの入力信号から、上述した参照信号を差し引いて送話信号を生成する。この参照信号は、上述したように、人が聞き取れる周波数帯域から外れた信号が減衰されているため、入力信号に含まれる音響エコーの信号により近いものとなっている。従って、エコーキャンセル部20によって、入力信号に含まれる音響エコーが良好に除去される。
【0054】
このように、本実施形態における車載ナビゲーションシステム100のハンズフリー機能部17は、マイク15の集音した音声入力信号に含まれる音響エコーを除去する際に用いる参照信号に対して、人が聞き取れる周波数帯域から外れた信号を減衰させ、音声入力信号に含まれる音響エコーにより近い特性をもった信号に変更している。
【0055】
これにより、本実施形態の音声入出力装置が自動車の車室内等で使用され、ロードノイズ等の外乱要素がマイク15から集音されても、この外乱要素の影響を受けることなく、集音された入力信号に含まれる音響エコーを十分に抑制することができる。
【0056】
なお、本実施形態においてハンズフリー機能として説明した音声入出力装置は、車両に搭載されるナビゲーション装置の機能をハンズフリーによって操作するものに利用してもよい。また、携帯電話機、自動車電話、通信機能を有するモバイルPCやPDA等のハンズフリー通話に採用してもよい。さらに、パケット通信によるVoIP技術を利用したインターネット電話のハンズフリー通話にも適用してもよい。
【0057】
(変形例1)
本実施形態における車載ナビゲーションシステム100のハンズフリー機能は、車室内において使用されることを想定している。従って、車両が走行している場合には、音響エコーとともにロードノイズ等の周囲の雑音がマイク15に入力される。そのため、音声信号には、音響エコーや雑音等が含まれることになり、エコーキャンセル部20が音響エコーを除去するうえで悪影響を及ぼすことがある。
【0058】
そこで、本変形例では、図3に示すように、アンプ18から出力された音声入力信号に対して、所定周波数以下の信号を減衰するフィルタ41を設け、このフィルタ41によって音声入力信号に含まれる雑音信号を減衰させる。
【0059】
すなわち、一般に、ロードノイズは、話者の音声や音響エコーに比べて低い周波数の信号となる。そこで、音声入力信号からロードノイズ程度の低い周波数(例えば、500ヘルツ等)以下の信号を減衰することによって、音声入力信号は、主に話者の音声と音響エコーが含まれることになり、その結果、エコーキャンセル部20によって良好に音響エコーを除去することが可能となる。
【0060】
(変形例2)
本実施形態において、通信モジュール13として携帯電話機を採用する場合、携帯電話機は、数百〜数千ヘルツ程度の送話・受話周波数特性が規定されており、この周波数帯域において音声を送受信する。一方、本実施形態では、この携帯電話機に対して出力する送話信号には、その送話・受話周波数特性を超える周波数成分が含まれており、これにより、携帯電話機を介して通話する通話相手には、話者の音声に音響エコーがかかったように聞こえることがある。
【0061】
そこで、本変形例では、図4に示すように、エコーキャンセル部20と通信モジュール13との間にフィルタ42を設け、送話信号から通信モジュール13に対して不必要な周波数帯域(例えば、数千ヘルツ以上)の信号を減衰させる。
【0062】
これにより、エコーキャンセル部20から出力される送話信号は、上述の規定された周波数以上の信号が減衰されるため、携帯電話機の送話に不要な周波数帯域をカットすることができる。その結果、上述したような音響エコーに似た音声が通話相手に聞こえなくなる。
【0063】
(第2の実施形態)
図5に、本実施形態におけるハンズフリー機能部17の全体構成を示す。なお、本実施形態は、第1の実施形態によるものと共通するところが多いため、以下、共通部分についての詳しい説明は省略し、異なる部分を重点的に説明する。
【0064】
同図に示すように、本実施形態のハンズフリー機能部17は、フィルタ41とエコーキャンセル部20の入力側(ec−in)との間、エコーキャンセル部20の出力側(ta−out)とフィルタ42との間、及び通信モジュール13の通信モジュール13の受話側と音量調整部30との間に、信号レベル調整部32、33、34を設けた点で異なる。
【0065】
信号レベル調整部32は、フィルタ41から出力された音声信号を所定レベルとなるように自動調整し、その自動調整した音声信号をエコーキャンセル部20へ出力する。
【0066】
すなわち、マイク15から入力される音声は、過大であったり過小であったりするため、エコーキャンセル部20に入力される音声信号レベルは変動する。そこで、エコーキャンセル部20へ出力する音声信号のレベルが一定となるように、フィルタ41から出力される音声信号のレベルを自動調整することで、一定レベルの入力信号をエコーキャンセル部20へ出力することができる。
【0067】
信号レベル調整部33は、エコーキャンセル部20から出力される送話信号を入力し、この入力した信号のレベルを所定の増幅率で増幅する。そして、増幅した送話信号をフィルタ42へ出力する。すなわち、通信モジュール13として携帯電話機を採用する場合には、携帯電話機の製造メーカや機種等によって送受話レベルが異なる。
【0068】
そこで、携帯電話の平均的な送話レベルを予め実験等により調べ、その平均的な送話レベルに基づいて増幅率を設定する。これにより、送話信号は携帯電話機の平均的な送話レベルに調整されるため、携帯電話の機種が変更されても、携帯電話機の送話レベルに適した送話信号を送ることができる。
【0069】
信号レベル調整部34は、通信モジュール13からの通話相手の音声信号を入力し、この入力した信号のレベルを所定の増幅率で増幅する。そして、増幅した音声信号を音量調整部30へ出力する。すなわち、上述したように、通信モジュール13として携帯電話機を採用する場合には、携帯電話機の製造メーカや機種等によって送受話レベルが異なる。
【0070】
そこで、携帯電話の平均的な受話レベルを予め実験等により調べ、その平均的な受話レベルに基づいて増幅率を設定する。これにより、携帯電話の機種が変更されても、携帯電話機から送信される通話相手の音声信号のレベルをほぼ一定にしたうえで音量調整部30へ出力することができる。
【0071】
このように、本実施形態における音声入出力装置は、通信モジュール13としての携帯電話機の平均的な送話・受話レベルを調べ、この平均的な送話・受信レベルに基づいて信号レベル調整部33、34の増幅率を設定する。これにより、携帯電話機の機種が変更されても、送話レベルに適した送話信号を携帯電話機に送信することができる。また、携帯電話機から送信される通話相手の音声信号のレベルをほぼ一定にしたうえで音量調整部30へ出力することができる。
【0072】
なお、信号レベル調整部33、34については、増幅率を自動的に調整するオートゲインコントロール機能を有するものであってもよい。
【0073】
(第3の実施形態)
図6に、第3の実施形態におけるハンズフリー機能部17の全体構成を示す。なお、本実施形態は、第2の実施形態によるものと共通するところが多いため、以下、共通部分についての詳しい説明は省略し、異なる部分を重点的に説明する。
【0074】
同図に示すように、本実施形態のハンズフリー機能部17は、通信モジュール13と接続されるデータ処理部50、このデータ処理部50に接続されるとともに、信号レベル調整部33、34に接続される制御部51を設けた点で異なる。
【0075】
データ処理部50は、図示しない通信モジュール13の送話・受話レベル特性と機種情報とを関連付けて記憶する記憶部を有している。このデータ処理部50は、図示しない通信モジュール13の記憶部から、通信モジュール13の機種に係わる情報を取得し、この取得した機種と一致する送話・受話レベル特性を記憶部から抽出する。この抽出した送話・受話レベル特性を制御部51へ出力する。
【0076】
制御部51は、データ処理部50から出力された送話・受話レベル特性を受信し、信号レベル調整部33、34が増幅すべき増幅率を信号レベル調整部33、34に各々出力する。そして、信号レベル調整部33、34の各々は、この送信された増幅率で増幅する。
【0077】
これにより、通信モジュール13の機種が異なることによって送話・受話レベルが変更される場合であっても、エコーキャンセル部20への音声入力信号、参照信号のレベルは、通信モジュール13の送話・受話レベルに応じて調整される。
【0078】
なお、本実施形態では、通信モジュール13の送話・受話レベルの特性を予めデータ処理部50の記憶部に記憶させ、この記憶部から通信モジュールの機種と一致する送話・受話レベル特性を抽出しているが、この方法に限らず、通信モジュール13を介して、外部から通信モジュール13の機種に対応する送話・受話レベル特性を取得するものであってもよい。すなわち、通信モジュール13の機種情報を外部ネットワーク14を介して送話・受話レベル特性を管理する管理サーバへ送信し、この管理サーバから通信モジュール13の機種に対応する送話・受話レベルの特性を取得してもよい。また、エコーキャンセル部20が参照信号のレベル及び位相を変更する際の参照値や、信号レベル調整部31、32における増幅率等についても、外部ネットワーク14を介して取得してもよい。
【0079】
(第4の実施形態)
図7に、第4の実施形態におけるハンズフリー機能部17の全体構成を示す。なお、本実施形態は、第2の実施形態によるものと共通するところが多いため、以下、共通部分についての詳しい説明は省略し、異なる部分を重点的に説明する。
【0080】
同図に示すように、本実施形態のハンズフリー機能部17では、音量調整部30と接続され、図示しない位置検出器1から送信される車速信号を受信する音量制御部52を設けた点で異なる。
【0081】
この音量制御部52は、車速が所定速度以下である場合に音量調整部30へ所定の音量となるように音量の変更指示を出力する。すなわち、スピーカ16から出力される音量は、車両の走行状態時において、乗員が通話相手の音声を十分に聞き取れる程度に調整される。従って、車両が停止状態である場合や低速で走行する状態の場合には、スピーカ16から出力される音量が過大となることがある。
【0082】
そこで、音声制御部52によって、車速が所定速度以下である場合に音量調整部30へ所定の音量となるように変更指示を送信することで、音量調整部30では、所定の音量に変更する。これにより、車両が停止状態である場合や低速で走行する状態の場合に、乗員にとって適した音量で通話相手の音声を出力することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態に係わる、車載ナビゲーションシステム100の概略構成を示すブロック図である。
【図2】第1の実施形態に係わる、ハンズフリー機能部17を示すブロック図である。
【図3】第1の実施形態の変形例1に係わる、ハンズフリー機能部17を示すブロック図である。
【図4】第1の実施形態の変形例2に係わる、ハンズフリー機能部17を示すブロック図である。
【図5】第2の実施形態に係わる、ハンズフリー機能部17を示すブロック図である。
【図6】第3の実施形態に係わる、ハンズフリー機能部17を示すブロック図である。
【図7】第4の実施形態に係わる、ハンズフリー機能部17を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 位置検出器
13 通信モジュール
15 マイク
16 スピーカ
17 ハンズフリー機能部
20 エコーキャンセル部
100 車載ナビゲーションシステム
Claims (9)
- 通話相手の音声を出力する音声出力手段と、
話者の音声を入力する音声入力手段と、
前記通話相手から送信された音声信号に対して予め設定された周波数帯域以外の信号を減衰する検出信号減衰手段と、
前記話者の音声とともに前記音声出力手段から出力された音声を含む前記音声入力手段が入力した入力信号から前記検出信号減衰手段によって減衰された音声信号を除去する除去手段と、
前記除去手段によって前記音声信号が除去された前記入力信号を前記通話相手へ送信し、前記通話相手から送信された音声信号を受信する通信手段とを備えることを特徴とする音声入出力装置。 - 前記検出信号減衰手段は、前記周波数帯域として人の聞き取れる音声に対応した周波数帯域を設定することを特徴とする請求項1記載の音声入出力装置。
- 前記音声入力手段が入力した入力信号に対して所定周波数以下の信号を減衰させる入力信号減衰手段を備え、
前記除去手段は、前記入力信号減衰手段によって減衰された入力信号から前記音声信号を除去することを特徴とする請求項1又は2記載の音声入出力装置。 - 前記除去手段によって前記音声信号が除去された前記入力信号に対して前記通信手段の送話周波数以上の信号を減衰させる送話信号減衰手段を備え、
前記通信手段は、前記送話信号減衰手段によって減衰された入力信号を前記通話相手へ送信することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の音声入出力装置。 - 前記通信手段の受信した音声信号を所定の増幅率で増幅するする受話信号増幅手段を備え、
前記検出信号減衰手段は、前記受話信号増幅手段によって増幅された音声信号に対してフィルタ処理を行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の音声入出力装置。 - 前記入力信号減衰手段によって減衰された入力信号を所定のレベルに調整する入力信号レベル調整手段を備え、
前記除去手段は、前記入力信号レベル調整手段によって所定レベルに調整された入力信号から前記音声信号を除去することを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載の音声入出力装置。 - 前記除去手段によって前記音声信号が除去された前記入力信号を所定の増幅率で増幅する送話信号増幅手段を備え、
前記送話信号減衰手段は、前記送話信号増幅手段によって増幅された前記入力信号に対して前記通信手段の送話周波数以上の信号を減衰することを特徴とする請求項4記載の音声入出力装置。 - 前記通信手段は、前記通信手段の機種の情報を記憶する機種情報記憶手段を有し、
前記通信手段と接続され、前記通信手段の送話・受話レベルの特性を前記通信手段の機種の情報と関連付けて記憶する機種別特性記憶手段を有し、前記機種情報記憶手段から機種の情報を取得し、この取得した機種に該当する前記送話・受話レベルの特性を前記機種別特性記憶手段から抽出するデータ処理手段と、
前記データ処理手段によって抽出された前記送話・受話レベルに基づいて前記送話信号増幅手段及び前記受話信号増幅手段の増幅率を変更する変更手段とを備えることを特徴とする請求項5又は7記載の音声入出力装置。 - 車両の速度を検出する車速検出手段と、
前記車両の速度が低い場合には、それよりも車両の速度が高い場合に比較して前記音声出力手段の出力音量を低くする音量制御手段とを備えることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の音声入出力装置。
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2003
- 2003-01-23 JP JP2003015322A patent/JP2004229016A/ja active Pending
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