JP2004224767A - ベンジルアルコール誘導体含有徐放性経口製剤 - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、優れた選択的β2−受容体刺激作用を有し、子宮弛緩剤及び膀胱弛緩剤等として有用なベンジルアルコール誘導体を有効成分として含有し、長時間にわたって緩やかに薬物を放出することが可能な徐放性経口製剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
子宮弛緩作用及び膀胱弛緩作用等を有する次式(I)
【化3】
で示される光学活性な(−)−(R)−α−[(tert−ブチルアミノ)メチル]−2−クロロ−4−ヒドロキシベンジルアルコール(以下、本化合物と称する)又はその薬理学的に許容しうる塩は、特開平4−178356号公報において、切迫早産治療剤あるいは尿失禁,夜間遺尿症等の排尿障害治療剤等としての有用性が明らかにされており、又、本化合物の光に安定な水溶液製剤に関しては、特開平9−104662号公報に開示されている。
【0003】
従来、切迫早産の治療には、緊急時には注射剤が、維持的治療法としては経口製剤が用いられている。又、老人,小児に多い疾患である尿失禁,夜間遺尿症等の排尿障害治療のためには、いずれの治療においても、患者のコンプライアンスを考慮した更なる製剤的な改良が求められており、その目的からも経口適用可能な徐放性経口製剤の存在が臨床上非常に有用である。
【0004】
本発明者らは、本化合物を有効成分として含有する徐放性経口製剤の形態での医薬組成物を提供すべく鋭意検討してきたが、本化合物は水溶性が高く且つ配合濃度が低い特性を有することから、通常使用される徐放性経口製剤用の基剤を用いたマトリックス製剤や通常使用される放出制御膜での徐放製剤化技術では、臨床上使用されるに耐え得る目的とする溶出パターンを得ることは困難であった。
【0005】
一般に、徐放性経口製剤を医薬組成物として提供するには、種々の剤形及び製法があるが、経口剤では放出制御膜を用いた手法が数多く採用されている。
本化合物を有効成分として含有する徐放性経口製剤においても、通常使用される徐放製剤調整用基剤を用いてコーティングすることによって、本化合物の徐放性経口製剤を調整することができたが、製剤の放出性の観点からは到底満足できるものではなかった。その原因としては、通常の徐放製剤調整用基剤による放出制御膜のコーティングでは、有効成分の特性によっては、例えば、放出制御時間が短いものや放出制御時間の長いものは放出量が頭打ちになる傾向を示すこと、及び、本化合物の水に対する高い溶解性及び徐放製剤調整用基剤への吸着などの原因により十分な放出制御が達成できないことなどが考えられた。
したがって、本化合物を有効成分として含有する徐放性経口製剤を医薬組成物として提供するためには、放出時間の制御及び放出量の改善を図る必要があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、本化合物又はその薬理学的に許容しうる塩を有効成分として含み、放出性が改善された徐放性経口製剤の形態の医薬組成物を提供することにある。特に、有効成分の放出時間が放出制御膜のコーティング量により制御でき、放出量の頭打ちのほとんど無いという放出特性を有する医薬組成物を提供することが本発明の課題である。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意研究してきた結果、本化合物を含む芯物質に、不溶性高分子,タルク,高級脂肪酸の金属塩及びエステル類から成る群から選ばれる放出制御膜用添加剤をコーティングすることにより、本化合物の目的とする徐放性経口製剤が得られることを見いだした。本発明は上記の知見を基にして完成されたものである。
【0008】
すなわち本発明は、前記式(I)で示される本化合物又はその薬理学的に許容しうる塩を含む芯物質と、不溶性高分子,タルク及び高級脂肪酸の金属塩から成る放出制御膜用添加剤をコーティングすることを特徴とする徐放性経口製剤に関するものである。
【0009】
本発明の第二の態様によれば、前記式(I)で示される本化合物又はその薬理学的に許容しうる塩を含む芯物質と、不溶性高分子,タルク,高級脂肪酸の金属塩及びエステル類から成る放出制御膜用添加剤をコーティングすることを特徴とする徐放性経口製剤が提供される。
【0010】
本発明の好ましい態様によれば、不溶性高分子がエチルセルロースである上記徐放性経口製剤、及び/又は高級脂肪酸の金属塩がステアリン酸カルシウムである上記徐放性経口製剤、及び/又はエステル類がショ糖脂肪酸エステでルある上記徐放性経口製剤が提供される。
本発明のさらに別の態様によれば、上記徐放性経口製剤において、不溶性高分子とタルクの配合重量比が8:2〜5:5である製剤が提供され、及び/又は、製剤中における本化合物又はその薬理学的に許容しうる塩の含有量が、1製剤単位当り1mg〜10mgである上記徐放性経口製剤が提供される。本発明の製剤剤形としては、例えば、錠剤,カプセル剤,粒剤又は散剤が提供され、好ましくは、カプセル剤又は粒剤が提供される。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の徐放性経口製剤は、経口用医薬品として使用可能な医薬組成物であり、本化合物又はその薬理学的に許容しうる塩を含む芯物質に、不溶性高分子,タルク,高級脂肪酸の金属塩,エステル類から成る群から選ばれる放出制御膜用添加剤をコーティングすることを特徴としている。
【0012】
本発明の徐放性経口製剤に係る前記式(I)で示される本化合物は、例えば、特開平4−178356号公報に記載の方法で製造することができる。
本化合物の薬理学的に許容しうる塩としては、例えば、塩酸,臭化水素酸,ヨウ化水素酸,硝酸,硫酸,燐酸等の鉱酸塩、あるいは、酢酸,マレイン酸,フマル酸,クエン酸,シュウ酸,リンゴ酸,メタンスルホン酸,p−トルエンスルホン酸,マンデル酸,D−10−カンファースルホン酸,L−10−カンファースルホン酸,DL−10−カンファースルホン酸,L−酒石酸,D−酒石酸,DL−酒石酸,コハク酸等の有機酸塩等を挙げることができる。
又、本化合物又はその薬理学的に許容しうる塩は、公知又は未知に係わらず任意の結晶形のもの、あるいは公知又は未知に係わらず任意の水和物を用いることができる。
【0013】
本発明の徐放性経口製剤における本化合物又はその薬理学的に許容しうる塩の含有量は、1製剤単位当り1mg〜10mg、特に好ましくは1mg〜5mgである。本発明の徐放性経口製剤は、本化合物及びその薬理学的に許容しうる塩から選ばれる一種又は二種以上の有効成分を含有していてもよい。
【0014】
本発明に用いられる放出制御膜用添加剤の種類及び被覆量は、本化合物又はその薬理学的に許容しうる塩の種類に応じて、所望の放出性が達成できるように適宜選択することができる。このような放出性を達成できる組成の一例としては、明細書の実施例に記載された方法を採用すればよい。例えば、素顆粒の全重量に対して10〜50重量%、好ましくは15〜30重量%の放出制御膜用添加剤を被覆することができる。
【0015】
本発明の徐放性経口製剤の放出制御膜を調製するために用いる不溶性高分子は、医薬品に添加できるものであれば特に制限されないが、例えば、エチルセルロース,アミノアルキルメタクリレートコポリマーRS(商品名:オイドラギットRS),アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー分散液(商品名:オイドラギット NE30D)及びヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(商品名:アクアコート)等を用いることができるが、特にエチルセルロースが好ましい。
【0016】
本発明の徐放性経口製剤におけるエチルセルロースとタルクの配合重量比は、8:2〜5:5が好ましく、特に6:4が好ましいが、本発明の徐放性経口製剤の芯物質に含まれる有効成分の種類又は含有量によって放出時間の最適値が変動する場合もあるので、そのような場合には、配合重量比を適宜増減させることが好ましい。
【0017】
本発明の徐放性経口製剤に用いる高級脂肪酸の金属塩は、製造顆粒の帯電防止を目的として配合され、例えば、ステアリン酸カルシウム又はステアリン酸マグネシウムが好ましく、特にステアリン酸カルシウムが好ましい。
【0018】
本発明の徐放性経口製剤に用いるエステル類は、可塑剤として及び放出量の促進を目的として配合され、例えば、ショ糖脂肪酸エステル,グリセリン脂肪酸エステル,クエン酸トリエチル又はトリアセチンが好ましく、特にショ糖脂肪酸エステルが好ましい。
【0019】
本発明の徐放性経口製剤は、製造された徐放性顆粒をカプセルに充填することにより、カプセル剤としても提供することができる。又、そのままの形態で顆粒剤として提供することもできる。
【0020】
本発明の徐放性経口製剤の製造方法は特に限定されず、例えば、有効成分である本化合物又はその薬理学的に許容しうる塩と、芯物質の製造に必要な他の製剤添加物(賦形剤,崩壊剤,結合剤,滑沢剤など)を混合し、通常の湿式顆粒押出法による手法を用いて素顆粒を製造することができる。得られた芯物質に不溶性高分子,タルク,高級脂肪酸の金属塩,エステル類から成る群から選ばれる放出制御膜用添加剤を、流動層コーティング装置などを用いた通常の方法にてコーティングすることにより徐放性経口製剤を製造することができる。
【0021】
本発明の徐放性経口製剤は、患者のコンプライアンスを配慮した切迫早産治療剤あるいは尿失禁,夜間遺尿症等の排尿障害治療剤として有用であり、患者の年齢,症状,治療の目的等により、適宜投与量を選択可能であるが、例えば、成人投与量としては一日当り0.5mg〜20mgを1〜2回に分けて経口投与すればよい。
【0022】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの特定の細部に限定されるものではない。
【0023】
上記成分を処方の比に量り、本化合物のL−酒石酸塩,D−マンニトール,軽質無水ケイ酸を均一に混合し、これにエタノールに溶かしたヒドロキシプロピルセルロースを加え練合した。練合物を孔径0.5mmのスクリーンを取り付けた押出造粒機を用いて造粒し、マルメライザーにて球形整粒したものを、55℃で2時間乾燥し、乾燥物を篩にて分級し、710μm〜425μmの素顆粒(A)を得た。
【0024】
(ロ)徐放膜のコーティング
素顆粒の調製により調製した素顆粒(A)を用いて、実施例1〜12において、各処方の比に基剤成分を量り、エタノール/水(9:1)に溶解・懸濁し調製した液を、流動層コーティング装置(ユニ・グラット)を用いて噴霧し、剤皮(放出制御膜)のコーティングを行った。得られた被覆顆粒をカプセルに充填し徐放性製剤を得た。各実施例の処方を表1〜3に示した。
【0025】
【表1】
【0026】
【表2】
【0027】
【表3】
【0028】
比較例として実施例(イ)素顆粒の調製法に準じ、以下の処方の素顆粒を調製し、得られた顆粒をカプセルに充填し、カプセル剤を得た。
【0029】
比較例1
【0030】
比較例1で得られた素顆粒に、表4に記載した剤皮を実施例と同様の製法にてコーティングを行い、得られた被覆顆粒をカプセルに充填し、カプセル剤とした。比較例2〜4の処方を表4に示した。なお、比較例2〜4の製造においては、コーティング時に帯電及び付着・凝集などが発生し、製造における障害がみられた。
【0031】
【表4】
【0032】
溶出試験
実施例,比較例で製造した製剤の放出(溶出)性を調べるため、各製剤を日本薬局方一般試験法第51項溶出試験法(第2法)に従い、試験を行った。結果を表5〜8及び図1〜4に示す。
<溶出試験法:日本薬局方一般試験法に従う>
試験法:パドル法(第2法)
回転数:50回転/分
試験液:水(900mL)
<評価項目>
T75% :75%溶出時間
D24hr:24時間後の溶出量
比較例1(素顆粒)においては 有効成分が短時間で溶出(20分間で100%溶出:D20min=100%)されているのに対し、本発明の徐放性製剤は有効成分の含有量が異なっても、いずれも有効成分が緩やかに溶出され、徐放効果が優れていることが確認された(実施例1〜4)。又、放出制御膜のコーティング量を変えることにより、放出時間の制御も可能であることが確認された(実施例5〜8)。さらに、エチルセルロースとタルクの配合重量比が、8:2〜5:5の間では放出時間の差が小さいことが確認された(実施例9〜12)。
又、比較例2〜4の結果より、放出制御膜組成中のいずれかの成分が不足すると、目的とする放出性が得られなかったり、製造状態(帯電・付着性)が悪化することが確認された。
【0033】
【表5】
【0034】
【表6】
【0035】
【表7】
【0036】
【表8】
【0037】
参考例及び溶出試験
比較例1で製した素顆粒を用いて、エチルセルロース以外の通常用いられる徐放性製剤調整用基剤(オイドラギットRS100,アクアコート25等)による放出制御を検討した。表9に記載した参考例処方の比に基剤成分を量り調製したコーティング液を、流動層コーティング装置(ユニ・グラット)を用いて噴霧し、放出制御膜のコーティングを行った。得られた被覆顆粒をカプセルに充填し、溶出試験に供した。結果を表10及び図5に示す。
参考例1の処方は、放出制御時間が短く、一方、参考例2の処方では放出制御時間は長いものの、放出量の頭打ちがみられ、いずれも目的とする放出性の観点からは満足できるものではなかった。
【表9】
【0038】
【表10】
【0039】
【発明の効果】
本化合物又はその薬理学的に許容しうる塩を有効成分として含有する本発明の徐放性経口製剤は、長時間にわたって緩やかに薬物を放出できる医薬品として好適な放出性を有し、子宮弛緩剤あるいは膀胱弛緩剤等として極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1〜4の製剤の経時的な溶出量を示す図である。
【図2】実施例5〜8の製剤の経時的な溶出量を示す図である。
【図3】実施例9〜12の製剤の経時的な溶出量を示す図である。
【図4】比較例1〜4の製剤の経時的な溶出量を示す図である。
【図5】参考例1,2の製剤の経時的な溶出量を示す図である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、優れた選択的β2−受容体刺激作用を有し、子宮弛緩剤及び膀胱弛緩剤等として有用なベンジルアルコール誘導体を有効成分として含有し、長時間にわたって緩やかに薬物を放出することが可能な徐放性経口製剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
子宮弛緩作用及び膀胱弛緩作用等を有する次式(I)
【化3】
で示される光学活性な(−)−(R)−α−[(tert−ブチルアミノ)メチル]−2−クロロ−4−ヒドロキシベンジルアルコール(以下、本化合物と称する)又はその薬理学的に許容しうる塩は、特開平4−178356号公報において、切迫早産治療剤あるいは尿失禁,夜間遺尿症等の排尿障害治療剤等としての有用性が明らかにされており、又、本化合物の光に安定な水溶液製剤に関しては、特開平9−104662号公報に開示されている。
【0003】
従来、切迫早産の治療には、緊急時には注射剤が、維持的治療法としては経口製剤が用いられている。又、老人,小児に多い疾患である尿失禁,夜間遺尿症等の排尿障害治療のためには、いずれの治療においても、患者のコンプライアンスを考慮した更なる製剤的な改良が求められており、その目的からも経口適用可能な徐放性経口製剤の存在が臨床上非常に有用である。
【0004】
本発明者らは、本化合物を有効成分として含有する徐放性経口製剤の形態での医薬組成物を提供すべく鋭意検討してきたが、本化合物は水溶性が高く且つ配合濃度が低い特性を有することから、通常使用される徐放性経口製剤用の基剤を用いたマトリックス製剤や通常使用される放出制御膜での徐放製剤化技術では、臨床上使用されるに耐え得る目的とする溶出パターンを得ることは困難であった。
【0005】
一般に、徐放性経口製剤を医薬組成物として提供するには、種々の剤形及び製法があるが、経口剤では放出制御膜を用いた手法が数多く採用されている。
本化合物を有効成分として含有する徐放性経口製剤においても、通常使用される徐放製剤調整用基剤を用いてコーティングすることによって、本化合物の徐放性経口製剤を調整することができたが、製剤の放出性の観点からは到底満足できるものではなかった。その原因としては、通常の徐放製剤調整用基剤による放出制御膜のコーティングでは、有効成分の特性によっては、例えば、放出制御時間が短いものや放出制御時間の長いものは放出量が頭打ちになる傾向を示すこと、及び、本化合物の水に対する高い溶解性及び徐放製剤調整用基剤への吸着などの原因により十分な放出制御が達成できないことなどが考えられた。
したがって、本化合物を有効成分として含有する徐放性経口製剤を医薬組成物として提供するためには、放出時間の制御及び放出量の改善を図る必要があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、本化合物又はその薬理学的に許容しうる塩を有効成分として含み、放出性が改善された徐放性経口製剤の形態の医薬組成物を提供することにある。特に、有効成分の放出時間が放出制御膜のコーティング量により制御でき、放出量の頭打ちのほとんど無いという放出特性を有する医薬組成物を提供することが本発明の課題である。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意研究してきた結果、本化合物を含む芯物質に、不溶性高分子,タルク,高級脂肪酸の金属塩及びエステル類から成る群から選ばれる放出制御膜用添加剤をコーティングすることにより、本化合物の目的とする徐放性経口製剤が得られることを見いだした。本発明は上記の知見を基にして完成されたものである。
【0008】
すなわち本発明は、前記式(I)で示される本化合物又はその薬理学的に許容しうる塩を含む芯物質と、不溶性高分子,タルク及び高級脂肪酸の金属塩から成る放出制御膜用添加剤をコーティングすることを特徴とする徐放性経口製剤に関するものである。
【0009】
本発明の第二の態様によれば、前記式(I)で示される本化合物又はその薬理学的に許容しうる塩を含む芯物質と、不溶性高分子,タルク,高級脂肪酸の金属塩及びエステル類から成る放出制御膜用添加剤をコーティングすることを特徴とする徐放性経口製剤が提供される。
【0010】
本発明の好ましい態様によれば、不溶性高分子がエチルセルロースである上記徐放性経口製剤、及び/又は高級脂肪酸の金属塩がステアリン酸カルシウムである上記徐放性経口製剤、及び/又はエステル類がショ糖脂肪酸エステでルある上記徐放性経口製剤が提供される。
本発明のさらに別の態様によれば、上記徐放性経口製剤において、不溶性高分子とタルクの配合重量比が8:2〜5:5である製剤が提供され、及び/又は、製剤中における本化合物又はその薬理学的に許容しうる塩の含有量が、1製剤単位当り1mg〜10mgである上記徐放性経口製剤が提供される。本発明の製剤剤形としては、例えば、錠剤,カプセル剤,粒剤又は散剤が提供され、好ましくは、カプセル剤又は粒剤が提供される。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の徐放性経口製剤は、経口用医薬品として使用可能な医薬組成物であり、本化合物又はその薬理学的に許容しうる塩を含む芯物質に、不溶性高分子,タルク,高級脂肪酸の金属塩,エステル類から成る群から選ばれる放出制御膜用添加剤をコーティングすることを特徴としている。
【0012】
本発明の徐放性経口製剤に係る前記式(I)で示される本化合物は、例えば、特開平4−178356号公報に記載の方法で製造することができる。
本化合物の薬理学的に許容しうる塩としては、例えば、塩酸,臭化水素酸,ヨウ化水素酸,硝酸,硫酸,燐酸等の鉱酸塩、あるいは、酢酸,マレイン酸,フマル酸,クエン酸,シュウ酸,リンゴ酸,メタンスルホン酸,p−トルエンスルホン酸,マンデル酸,D−10−カンファースルホン酸,L−10−カンファースルホン酸,DL−10−カンファースルホン酸,L−酒石酸,D−酒石酸,DL−酒石酸,コハク酸等の有機酸塩等を挙げることができる。
又、本化合物又はその薬理学的に許容しうる塩は、公知又は未知に係わらず任意の結晶形のもの、あるいは公知又は未知に係わらず任意の水和物を用いることができる。
【0013】
本発明の徐放性経口製剤における本化合物又はその薬理学的に許容しうる塩の含有量は、1製剤単位当り1mg〜10mg、特に好ましくは1mg〜5mgである。本発明の徐放性経口製剤は、本化合物及びその薬理学的に許容しうる塩から選ばれる一種又は二種以上の有効成分を含有していてもよい。
【0014】
本発明に用いられる放出制御膜用添加剤の種類及び被覆量は、本化合物又はその薬理学的に許容しうる塩の種類に応じて、所望の放出性が達成できるように適宜選択することができる。このような放出性を達成できる組成の一例としては、明細書の実施例に記載された方法を採用すればよい。例えば、素顆粒の全重量に対して10〜50重量%、好ましくは15〜30重量%の放出制御膜用添加剤を被覆することができる。
【0015】
本発明の徐放性経口製剤の放出制御膜を調製するために用いる不溶性高分子は、医薬品に添加できるものであれば特に制限されないが、例えば、エチルセルロース,アミノアルキルメタクリレートコポリマーRS(商品名:オイドラギットRS),アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー分散液(商品名:オイドラギット NE30D)及びヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(商品名:アクアコート)等を用いることができるが、特にエチルセルロースが好ましい。
【0016】
本発明の徐放性経口製剤におけるエチルセルロースとタルクの配合重量比は、8:2〜5:5が好ましく、特に6:4が好ましいが、本発明の徐放性経口製剤の芯物質に含まれる有効成分の種類又は含有量によって放出時間の最適値が変動する場合もあるので、そのような場合には、配合重量比を適宜増減させることが好ましい。
【0017】
本発明の徐放性経口製剤に用いる高級脂肪酸の金属塩は、製造顆粒の帯電防止を目的として配合され、例えば、ステアリン酸カルシウム又はステアリン酸マグネシウムが好ましく、特にステアリン酸カルシウムが好ましい。
【0018】
本発明の徐放性経口製剤に用いるエステル類は、可塑剤として及び放出量の促進を目的として配合され、例えば、ショ糖脂肪酸エステル,グリセリン脂肪酸エステル,クエン酸トリエチル又はトリアセチンが好ましく、特にショ糖脂肪酸エステルが好ましい。
【0019】
本発明の徐放性経口製剤は、製造された徐放性顆粒をカプセルに充填することにより、カプセル剤としても提供することができる。又、そのままの形態で顆粒剤として提供することもできる。
【0020】
本発明の徐放性経口製剤の製造方法は特に限定されず、例えば、有効成分である本化合物又はその薬理学的に許容しうる塩と、芯物質の製造に必要な他の製剤添加物(賦形剤,崩壊剤,結合剤,滑沢剤など)を混合し、通常の湿式顆粒押出法による手法を用いて素顆粒を製造することができる。得られた芯物質に不溶性高分子,タルク,高級脂肪酸の金属塩,エステル類から成る群から選ばれる放出制御膜用添加剤を、流動層コーティング装置などを用いた通常の方法にてコーティングすることにより徐放性経口製剤を製造することができる。
【0021】
本発明の徐放性経口製剤は、患者のコンプライアンスを配慮した切迫早産治療剤あるいは尿失禁,夜間遺尿症等の排尿障害治療剤として有用であり、患者の年齢,症状,治療の目的等により、適宜投与量を選択可能であるが、例えば、成人投与量としては一日当り0.5mg〜20mgを1〜2回に分けて経口投与すればよい。
【0022】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの特定の細部に限定されるものではない。
【0023】
上記成分を処方の比に量り、本化合物のL−酒石酸塩,D−マンニトール,軽質無水ケイ酸を均一に混合し、これにエタノールに溶かしたヒドロキシプロピルセルロースを加え練合した。練合物を孔径0.5mmのスクリーンを取り付けた押出造粒機を用いて造粒し、マルメライザーにて球形整粒したものを、55℃で2時間乾燥し、乾燥物を篩にて分級し、710μm〜425μmの素顆粒(A)を得た。
【0024】
(ロ)徐放膜のコーティング
素顆粒の調製により調製した素顆粒(A)を用いて、実施例1〜12において、各処方の比に基剤成分を量り、エタノール/水(9:1)に溶解・懸濁し調製した液を、流動層コーティング装置(ユニ・グラット)を用いて噴霧し、剤皮(放出制御膜)のコーティングを行った。得られた被覆顆粒をカプセルに充填し徐放性製剤を得た。各実施例の処方を表1〜3に示した。
【0025】
【表1】
【0026】
【表2】
【0027】
【表3】
【0028】
比較例として実施例(イ)素顆粒の調製法に準じ、以下の処方の素顆粒を調製し、得られた顆粒をカプセルに充填し、カプセル剤を得た。
【0029】
比較例1
【0030】
比較例1で得られた素顆粒に、表4に記載した剤皮を実施例と同様の製法にてコーティングを行い、得られた被覆顆粒をカプセルに充填し、カプセル剤とした。比較例2〜4の処方を表4に示した。なお、比較例2〜4の製造においては、コーティング時に帯電及び付着・凝集などが発生し、製造における障害がみられた。
【0031】
【表4】
【0032】
溶出試験
実施例,比較例で製造した製剤の放出(溶出)性を調べるため、各製剤を日本薬局方一般試験法第51項溶出試験法(第2法)に従い、試験を行った。結果を表5〜8及び図1〜4に示す。
<溶出試験法:日本薬局方一般試験法に従う>
試験法:パドル法(第2法)
回転数:50回転/分
試験液:水(900mL)
<評価項目>
T75% :75%溶出時間
D24hr:24時間後の溶出量
比較例1(素顆粒)においては 有効成分が短時間で溶出(20分間で100%溶出:D20min=100%)されているのに対し、本発明の徐放性製剤は有効成分の含有量が異なっても、いずれも有効成分が緩やかに溶出され、徐放効果が優れていることが確認された(実施例1〜4)。又、放出制御膜のコーティング量を変えることにより、放出時間の制御も可能であることが確認された(実施例5〜8)。さらに、エチルセルロースとタルクの配合重量比が、8:2〜5:5の間では放出時間の差が小さいことが確認された(実施例9〜12)。
又、比較例2〜4の結果より、放出制御膜組成中のいずれかの成分が不足すると、目的とする放出性が得られなかったり、製造状態(帯電・付着性)が悪化することが確認された。
【0033】
【表5】
【0034】
【表6】
【0035】
【表7】
【0036】
【表8】
【0037】
参考例及び溶出試験
比較例1で製した素顆粒を用いて、エチルセルロース以外の通常用いられる徐放性製剤調整用基剤(オイドラギットRS100,アクアコート25等)による放出制御を検討した。表9に記載した参考例処方の比に基剤成分を量り調製したコーティング液を、流動層コーティング装置(ユニ・グラット)を用いて噴霧し、放出制御膜のコーティングを行った。得られた被覆顆粒をカプセルに充填し、溶出試験に供した。結果を表10及び図5に示す。
参考例1の処方は、放出制御時間が短く、一方、参考例2の処方では放出制御時間は長いものの、放出量の頭打ちがみられ、いずれも目的とする放出性の観点からは満足できるものではなかった。
【表9】
【0038】
【表10】
【0039】
【発明の効果】
本化合物又はその薬理学的に許容しうる塩を有効成分として含有する本発明の徐放性経口製剤は、長時間にわたって緩やかに薬物を放出できる医薬品として好適な放出性を有し、子宮弛緩剤あるいは膀胱弛緩剤等として極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1〜4の製剤の経時的な溶出量を示す図である。
【図2】実施例5〜8の製剤の経時的な溶出量を示す図である。
【図3】実施例9〜12の製剤の経時的な溶出量を示す図である。
【図4】比較例1〜4の製剤の経時的な溶出量を示す図である。
【図5】参考例1,2の製剤の経時的な溶出量を示す図である。
Claims (9)
- 不溶性高分子がエチルセルロースである請求項1又は2に記載の徐放性経口製剤。
- 不溶性高分子とタルクの配合重量比が、8:2〜5:5である請求項1〜3のいずれか1項に記載の徐放性経口製剤。
- 高級脂肪酸の金属塩が、ステアリン酸カルシウムである請求項1〜4のいずれか1項に記載の徐放性経口製剤。
- エステル類がショ糖脂肪酸酸エステルである請求項2〜5のいずれか1項に記載の徐放性経口製剤。
- 光学活性な(−)−(R)−α−[(tert−ブチルアミノ)メチル]−2−クロロ−4−ヒドロキシベンジルアルコール又はその薬理学的に許容しうる塩の含有量が、1製剤単位当り1mg〜10mgである請求項1又は2に記載の徐放性経口製剤。
- 製剤がカプセル剤の形態である請求項1〜7のいずれか1項に記載の徐放性経口製剤。
- 製剤が粒剤の形態である請求項1〜7のいずれか1項に記載の徐放性経口製剤。
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JP2003017353A JP2004224767A (ja) | 2003-01-27 | 2003-01-27 | ベンジルアルコール誘導体含有徐放性経口製剤 |
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- 2003-01-27 JP JP2003017353A patent/JP2004224767A/ja active Pending
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