JP2004223751A - グラビア印刷用被製版ロールのメッキ工場及びグラビア製版工場 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】往復旋回自在な産業用ロボット及び円錐面の母線に被製版ロールの面長方向が一致するように多数本の被製版ロールをロールパレットに斜めに円周配列に立て掛けることができるターンテーブル式のロールストック装置と砥石研磨装置を備え、産業用ロボットが、ロールストック装置にストックされた被製版ロールを取り出して装置への受け渡しを行い、硫酸銅メッキ―研磨―感光膜塗布―レーザーによる画像焼付け―現像―エッチングの工程により製版を行う。
【選択図】図1
Description
【発明の属する技術分野】
本願発明は、夜間に無人で全自動でグラビア印刷用被製版ロールに対して一連のメッキ工程、さらにはセルの形成ができる、グラビア印刷用被製版ロールのメッキ工場及びグラビア製版工場に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来において、直版タイプの被製版ロールのグラビア製版工程は、搬入−クロム剥離−補正研磨・落版研磨−脱脂−水洗−酸洗い−水洗−硫酸銅メッキ−砥石研磨−ネガ型感光膜塗布形成−レーザー露光装置による画像焼付−現像−食刻−レジスト剥離−クロムメッキ−ペーパー研磨−搬出の工程となっている。
又は、搬入−クロム剥離−補正研磨・落版研磨−脱脂−水洗−酸洗い−水洗−硫酸銅メッキ−砥石研磨−アブレーション型感光膜塗布形成−レーザー露光装置による画像焼付(アブレーション)−食刻−レジスト剥離−クロムメッキ−ペーパー研磨−搬出の工程となっている。
さらには、搬入−クロム剥離−補正研磨・落版研磨−脱脂−水洗−酸洗い−水洗−硫酸銅メッキ−砥石研磨−電子彫刻機による彫刻−クロムメッキ−ペーパー研磨−搬出の工程となっている。
【0003】
グラビア製版工程が開示されている技術文献としては、特願平10−193551、特願平10−193552、特開2000−062342、特開2000−062343、特開2000−062344、特開2001−179923、特開2001−179924、特開2001−187440、特開2001−187441、特開2001−191475、特開2001−191476、特開2001−260304、特開2002−127369、特開2002−187249、特開2002−187250、特開2002−200728、特開2002−200729、特開2002−307640、特開2002−307641を挙げることが出来る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
夜間に無人で全自動で多数本の被製版ロールを処理するには、多数本の被製版ロールがメッキラインに迅速に投入される必要がある。又、メッキが完了した被製版ロールを短いタクトで製版装置に受け渡す必要がある。他方、顧客は安い設備の導入を欲しているので、コンパクトな装置の提供が求められている。
夜間に少なくても30本前後を無人で全自動でメッキ処理、さらにはメッキ・製版処理を希望する顧客があり、又、60本前後を無人で全自動でメッキ処理、さらにはメッキ・製版処理を希望する顧客があり、90本前後を無人で全自動でメッキ処理、さらにはメッキ・製版処理を希望する顧客がある。これらの顧客に全て対応できる工場設備の構築が課題になっている。
【0005】
他方、直版タイプグラビア印刷ロールのリサイクル製版の落版工程に、砥石研磨に替えてNC旋盤による真円加工を採用することができれば、ロールが多数回反復使用されてもロールがいびつの度合いが大きくならず、オーバーホールの真円加工とは異なり、削り代を小さく抑えられるので、ロール母材が露出しない限度にNC旋盤による真円加工を行なうことができ、もって、鉄ロールにあっては脱脂処理してからニッケルメッキを付けてから硫酸銅メッキを付け、又、アルミロールにあっては、ジンケート法又はアノダール法のメッキ前処理を行なってから硫酸銅メッキを付けるという製版工程のニッケルメッキやジンケート法又はアノダール法のメッキ前処理を行なわなくて済むので望ましい。
又、直版タイプグラビア印刷ロールのリサイクル製版の落版工程に、砥石研磨に替えてNC旋盤による真円加工を採用することができれば、従来行なってきたNC旋盤によるオーバーホールの真円加工は不要になりNC旋盤による真円加工では対処できないほどいびつなロールだけがオーバーホールに回すか、又は廃棄ロールとすることができ、圧倒的な割合でリサイクル可能なロールとして適合化できるので望ましい。
【0006】
本願発明は、昼間の作業者が居るときの全自動稼動は勿論のこと、夜間に処理すべき被製版ロールを夕方に無人にする前にストックして、その際にそれぞれに異なるメッキ工程、メッキ−製版工程を制御装置に入力しておくと、夜間に無人で全自動でメッキラインへの被製版ロールの投入を一本ずつ順番に行って、多数本の被製版ロールをついてそれぞれに異なるメッキ工程、メッキ−製版工程で処理を実行して、メッキ済み又は製版済みのロールを全本数ストックしておくことができ、翌朝には全本数のロールを取り出すことができて稼働率が非常に高い、グラビア印刷用被製版ロールのメッキ工場及びグラビア製版工場を提供することを目的としている。
本願発明は、大きさがさまざまに異なる多数本の被製版ロールを極めて小スペースにストックしておくことができ回転しても外方へ転倒する惧れがないターンテーブル式のロールストック装置及び旋回形産業用ロボットを採用することにより、設備コストの大幅な低減と小スペース化と装置全体の高い稼動効率が達成できる、グラビア印刷用被製版ロールのメッキ工場及びグラビア製版工場を提供することを目的としている。
本願発明は、大きさがさまざまに異なる多数本の被製版ロールを極めて小スペースにストックしておくことができ回転しても外方へ転倒する惧れがないターンテーブル式のロールストック装置及び旋回形産業用ロボットを採用することにより、ストック装置を複数基設置した場合にも産業用ロボットによりストック装置間のロールの移し変え移送を容易に行うことができ、ストック装置のどの位置にストックしたロールでも産業用ロボットが迅速に取り出してメッキラインへの投入位置へ移送することができ、産業用ロボットが関与するあらゆるロールの移送タクト、具体的には、メッキ済みのロール、製版途中のロール及び製版済みのロールをストック装置又はロボットの周辺の装置に移送する移送タクトを短縮できて装置全体の稼動効率が高めることができる、グラビア印刷用被製版ロールのメッキ工場及びグラビア製版工場を提供することを目的としている。
本願発明は、アウトラインで旋盤による落版円筒加工した被製版ロールを対象にすると、ロールストック時にそれぞれに異なるメッキ工程、メッキ−製版工程を制御装置に入力しておくことができ、処理が完了したロールにメッキが良好に付いていなくて、製品にならないロールの輩出を回避でき、特に夜間に多数本の被製版ロールを無人で全自動で高い信頼性を有して処理ができる、グラビア印刷用被製版ロールのメッキ工場及びグラビア製版工場を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
[請求項1]に記載の発明は、少なくとも硫酸銅メッキ装置を有しているメッキライン設備を備え、さらにメッキライン設備のラインの一端に隣接して、被製版ロールを両端チャックしてハンドリングできるロボットハンドを有する往復旋回自在な産業用ロボットを備え、該産業用ロボットのハンドリングエリア内に、円錐面の母線に被製版ロールの面長方向が一致するように多数本の被製版ロールをロールパレットに斜めに円周配列に一段又は二段に立て掛けることができかつロールパレットに対して被製版ロールのストック又は取り出しのために任意のロールパレットを所定に位置で停止し得るターンテーブル式のロールストック装置を一基又は複数基備え、
産業用ロボットが、ロールストック装置にストックされた被製版ロールを取り出してメッキライン設備のロールハンドリング手段に受け渡し、又、処理を終えた被製版ロールをメッキライン設備のロールハンドリング手段から受け取ってロールストック装置にストックするように構成されていることを特徴とするグラビア印刷用被製版ロールのメッキ工場を提供することにある。
[請求項2]に記載の発明は、砥石研磨装置を前記メッキライン設備の産業用ロボット寄りの位置、又は前記メッキライン設備の外に備えていることを特徴とする〔請求項1〕に記載のグラビア印刷用被製版ロールのメッキ工場を提供することにある。
[請求項3]に記載の発明は、リユースの直版型の被製版ロールを両端チャックして精密円筒加工して落版するNC旋盤をアウトラインで備えたことを特徴とする〔請求項1〕に記載のグラビア印刷用被製版ロールのメッキ工場を提供することにある。
[請求項4]に記載の発明は、少なくとも硫酸銅メッキ装置を備えているメッキライン設備を有し、該メッキライン設備に現像装置とエッチング装置とレジスト剥離装置を備え、さらにメッキライン設備のラインの一端に隣接して、被製版ロールを両端チャックしてハンドリングできるロボットハンドを有する往復旋回自在な産業用ロボットを備え、該産業用ロボットのハンドリングエリア内に、ポジ型又はネガ型の感光膜を塗布する感光膜塗布装置とレーザ露光装置、及び円錐面の母線に被製版ロールの面長方向が一致するように多数本の被製版ロールをロールパレットに斜めに円周配列に一段又は二段に立て掛けることができかつロールパレットに対して被製版ロールのストック又は取り出しのために任意のロールパレットを所定に位置で停止し得るターンテーブル式のロールストック装置を一基又は複数基備え、さらに、砥石研磨装置を前記メッキライン設備の産業用ロボット寄りの位置、又は前記メッキライン設備の外に備えてなり、
産業用ロボットが、ロールストック装置にストックされた被製版ロールを取り出してロールハンドリングエリア内の処理装置又はメッキライン設備のロールハンドリング手段に受け渡し、又、処理を終えた被製版ロールをメッキライン設備のロールハンドリング手段から受け取ってロールストック装置にストックするように構成され、硫酸銅メッキ―研磨―感光膜塗布―レーザーによる画像焼付け―現像―エッチングの工程により製版を行うことを特徴とするグラビア製版工場を提供することにある。
[請求項5]に記載の発明は、少なくとも硫酸銅メッキ装置を備えているメッキライン設備を有し、該メッキライン設備にエッチング装置とレジスト剥離装置を備え、さらにメッキライン設備のラインの一端に隣接して、被製版ロールを両端チャックしてハンドリングできるロボットハンドを有する往復旋回自在な産業用ロボットを備え、該産業用ロボットのハンドリングエリア内に、レーザーアブレーション膜を塗布するレーザーアブレーション膜塗布装置とレーザーアブレーション用のレーザ露光装置、及び円錐面の母線に被製版ロールの面長方向が一致するように多数本の被製版ロールをロールパレットに斜めに円周配列に一段又は二段に立て掛けることができかつロールパレットに対して被製版ロールのストック又は取り出しのために任意のロールパレットを所定に位置で停止し得るターンテーブル式のロールストック装置を一基又は複数基備え、さらに、砥石研磨装置を前記メッキライン設備の産業用ロボット寄りの位置、又は前記メッキライン設備の外に備えてなり、
産業用ロボットが、ロールストック装置にストックされた被製版ロールを取り出してロールハンドリングエリア内の処理装置又はメッキライン設備のロールハンドリング手段に受け渡し、又、処理を終えた被製版ロールをメッキライン設備のロールハンドリング手段から受け取ってロールストック装置にストックするように構成され、硫酸銅メッキ―研磨―レーザーアブレーション膜塗布―レーザーアブレーションによるネガ画像形成―エッチングの工程により製版を行うことを特徴とするグラビア製版工場を提供することにある。
[請求項6]に記載の発明は、少なくとも硫酸銅メッキ装置を有しているメッキライン設備を備え、さらにメッキライン設備のラインの一端に隣接して、被製版ロールを両端チャックしてハンドリングできるロボットハンドを有する往復旋回自在な産業用ロボットを備え、該産業用ロボットのハンドリングエリア内に、電子彫刻装置、及び円錐面の母線に被製版ロールの面長方向が一致するように多数本の被製版ロールをロールパレットに斜めに円周配列に一段又は二段に立て掛けることができかつロールパレットに対して被製版ロールのストック又は取り出しのために任意のロールパレットを所定に位置で停止し得るターンテーブル式のロールストック装置を一基又は複数基備え、さらに、砥石研磨装置を前記メッキライン設備の産業用ロボット寄りの位置、又は前記メッキライン設備の外に備えてなり、
産業用ロボットが、ロールストック装置にストックされた被製版ロールを取り出してロールハンドリングエリア内の処理装置又はメッキライン設備のロールハンドリング手段に受け渡し、又、処理を終えた被製版ロールをメッキライン設備のロールハンドリング手段から受け取ってロールストック装置にストックするように構成され、硫酸銅メッキ―研磨―彫刻の工程により製版を行うことを特徴とするグラビア製版工場を提供することにある。
[請求項7]に記載の発明は、リユースの直版型の被製版ロールを両端チャックして精密円筒加工して落版するNC旋盤をアウトラインで備えたことを特徴とする〔請求項4〕乃至〔請求項6〕に記載のグラビア製版工場を提供することにある。
【0008】
【発明の実施の形態】
[請求項1]乃至[請求項3]に記載の発明が含まれた実施の形態のグラビア印刷用被製版ロールのメッキ工場を図1を参照して説明する。
特に、この実施の形態のグラビア印刷用被製版ロールのメッキ工場は、ロボット室Aに、被製版ロールRを両端チャックしてハンドリングできるロボットハンド1aを有する往復旋回自在な産業用ロボット1を備え、該産業用ロボット1のハンドリングエリア内に、三基のターンテーブル式のロールストック装置3A、3B、3Cが設備されており、又、ロボット室Aに隣接するメッキ室Bには、天井に設備されたスタッカクレーン4の走行ラインの下側に中継台装置5と研磨装置6と写真廃液塗布装置7と脱脂(乾燥を含む)装置8とニッケルメッキ装置9と二基の硫酸銅メッキ装置10と二基のクロムメッキ装置11と二基の亜鉛メッキ装置12とペーパー研磨装置13とクロムメッキ溶解除去装置14とカセット組み込み台装置2が設備されている。
アウトラインとして、落版のための精密円筒加工ができるNC旋盤15と、ロール計測装置16が備えられている。
メッキ室における被製版ロールRの搬送手段は、スタッカクレーン4と、例えば特開昭55−164095公報に示すように、被製版ロールRを両端チャックかつチャックコーンの外側を密封できてさらに各装置に載置されたときに回転できて必要に応じてチャックコーンを介してメッキ電流を流すことができる対向一対のチャック手段を備えたカセット形ロールチャック回転搬送ユニット17の共同作用により行われる。スタッカクレーン4とカセット形ロールチャック回転搬送ユニット17に換えて、被製版ロールRを両端チャックしてハンドリングできるロボットハンド1aを有する往復旋回自在な走行形の産業用ロボットを備えかつ各装置7〜14に被製版ロールを両端チャックして回転できて必要に応じてチャックコーンを介してメッキ電流を流すことができる対向一対のチャック手段を設けた設備としても良い。中継台装置5と研磨装置6は産業用ロボット1のハンドリングエリア内に設備されている必要があるので、ロボット室Aに寄って設置されているが、中継台装置5と研磨装置6の並び順は逆であっても良い。さらに、研磨装置6は、三基設備しているターンテーブル式のロールストック装置を一基減らすことで、ロボット室Aに設置しても良い。装置7〜14は、いずれの順に並べてもよい。
【0009】
図1に示す設備構成は、クライアントの多様な注文に応じた各種のメッキ工程が必要な製版会社にとって一ラインで全ての注文に対応できる好ましいライン設備を示している。すなわち、以下の多様なメッキ処理がなし得る。ライン全体の制御装置は、ディスプレイから以下の処理を選択できる。
(1)直版タイプのリユースロールであって、アウトラインでNC旋盤で精密円筒加工して落版してロール母材(鉄)が露出してしまった被製版ロールについては、脱脂処理してニッケルメッキ(下地メッキ)を付けてから硫酸銅メッキを付け、砥石研磨装置で精密円筒加工を行って取り出すことができる。この処理工程は、図2のフローチャートに示す。
(2)直版タイプのリユースロールであって、アウトラインでNC旋盤で精密円筒加工して落版してロール母材(鉄又はアルミニウム)が露出していない被製版ロールについては、脱脂処理して硫酸銅メッキを付け、砥石研磨装置で精密円筒加工を行って取り出すことができる。この処理工程も、図2のフローチャートに示す。
(3)NC旋盤とロール計測装置をアウトラインで備えていない場合には、直版タイプのリユースロールについて、アウトラインでNC旋盤による精密円筒加工して落版すること不可であるから、砥石研磨により落版・補正研磨し脱脂処理して硫酸銅メッキを付け付け、砥石研磨装置で精密円筒加工を行って取り出すことができる。この処理工程は、図3のフローチャートに示す。
(4)バラードメッキタイプのリユースの被製版ロールであってクライアントの要求により直版タイプのロールの扱いとすることができない場合には、脱脂処理してからロール表面性状を写真廃液を塗布して易剥離性とし、次ぎに硫酸銅メッキ(バラードメッキ)を厚く付けることができる。この処理工程は、図4のフローチャートに示す。
(5)硫酸銅メッキの上に亜鉛メッキが例えば30ミクロンの厚さとなるように付けられ電子彫刻装置又は炭酸ガスレーザ等の高出力レーザにより彫刻されその後クロムメッキを付けられてなるリユースロールであって、アウトラインでNC旋盤で精密円筒加工して落版して硫酸銅メッキが露出してなる被製版ロールについては、脱脂処理してから硫酸銅メッキし次いで亜鉛メッキを例えば35ミクロンの厚さとなるように付けて砥石研磨装置で5ミクロン削る精密円筒加工を行って取り出すことができる。この処理工程は、図5のフローチャートに示す。
(6)版(セル)を形成した被製版ロールについては、脱脂処理してクロムメッキを付け、ペーパー研磨により砂目を付けることができる。この処理工程は、図6のフローチャートに示す。
(7)印刷枚数が多くてクロムメッキを付け直したいときは、クロムメッキ溶解除去装置で溶解してから脱脂処理してクロムメッキを付けることができる。この処理工程は、図6のフローチャートに準じる。ただし、(5)の亜鉛メッキロールについては、クロムメッキの溶解と亜鉛メッキの溶解が同時進行するので適用できない。
(8)ロール母材がアルミニウムでありNC旋盤加工でアルミニウムが露出してしまった場合には上記の設備では硫酸銅メッキを付けられないが、ジンケート法によるニッケルメッキが行える前処理設備、又は、アノダール法によるピロ燐酸銅メッキが行える前処理設備をメッキラインに追加すれば適用できる。
【0010】
特に、図1に示すメッキ工場の発明としての特徴は、産業用ロボット1が走行形ではなく、往復旋回形であるという点、産業用ロボット1のハンドリングエリアに、三基のターンテーブル式のロールストック装置3A、3B、3Cと、中継台装置5と研磨装置6が設備されていることであり、その根拠は、以下の点にある。
往復旋回形の産業用ロボット1は、走行形産業用ロボットよりも価格及び設置スペースがそれぞれ約三分の一に抑えられ、そして、ロールを装置から装置に受け渡すタクトを走行形産業用ロボットのタクトよりも大幅に短縮できて稼動効率が上がる利点がある。反面、往復旋回形の産業用ロボットは、ハンドリングエリアが小さいので、ハンドリングエリア内にロールをストックできる本数が少なくなる。そこで、三基のターンテーブル式のロールストック装置3A、3B、3Cが設置されている。一基のターンテーブル式のロールストック装置3Aには、直径200mm×長さ1200mmの標準の大きさの被製版ロールを二段ストック構造のもので例えば20本から40本位ストックできる。
産業用ロボット1と、三基のターンテーブル式のロールストック装置3A、3B、3Cが設備されていなくても、アウトラインに設備されたNC旋盤で精密円筒加工され落版された被製版ロールを、人手により被製版ロールを持ち上げるか又はマニピュレータで被製版ロールを持ち上げて、中継台装置5の上に載置して、制御用コンピュータ(図示しない)においてメッキ処理のメニューを選択すれば、所望のメッキが行われ仕上げ研磨が行われる。しかし、これでは、一本のロールを投入毎に作業者が立ち会わなければならず、特に、夜間に無人で多数本のロールのメッキ処理が行えない。
これに対して、産業用ロボット1と、三基のターンテーブル式のロールストック装置3A、3B、3Cが設備されていると、一基のターンテーブル式のロールストック装置3Aに対して人手により被製版ロールを次々にストックしかつその都度に制御用コンピュータ(図示しない)においてメッキ処理のメニューを選択することができ、そして、ロールストック装置3Aから他の二基のロールストック装置3B,3Cへの移し変えを産業用ロボット1が倉庫管理に準じて行うこと、そして、三基のターンテーブル式のロールストック装置3A、3B、3Cのいずれかにストックされている被製版ロールを産業用ロボット1が中継台装置5の上に載置すること、そして、メッキして仕上げ研磨され中継台装置5の上に載置された被製版ロールを産業用ロボット1が三基のロールストック装置3A、3B、3Cのいずれかに戻すこと、そして、メッキして仕上げ研磨した被製版ロールについてロールストック装置3B,3Cからロールストック装置3Aへの移し変えを産業用ロボット1が行うことの全てを倉庫管理に準じて行うことができ、ロールストック装置3Aにストックされたメッキして仕上げ研磨した被製版ロールについては人手により容易に取り出すことができる。
従って、ロールストック装置3A、3B、3Cにストックできる本数だけ夜間に無人で全自動でメッキ処理・仕上げ研磨が行える。
二基のターンテーブル式のロールストック装置3A、3Bを設備し、研磨装置6をメッキラインから外してロールストック装置3Cを除いた位置に設置することができ、この場合は、メッキラインが短くなるとともに夜間に処理できるロールの本数が少なくなるが、安い設備コストを切望するクライアントに応じられる。ターンテーブル式のロールストック装置3Aを一基のみ設備する場合にはスペースが余るので2倍近い本数をストックできる構成にできる。
ロールストック装置3Aを一基のみ設備する場合にはスペースが余るので、研磨装置6とNC旋盤15をロールストック装置3B、3Cを除いた位置に設置することができ、NC旋盤15をインライン設備とすることができる。しかし、NC旋盤15は、アウトラインとして設備すれば、落版研磨によりロール母材が露出してしまったかどうかを肉眼で確認できて、被製版ロールをロールストック装置3Aにストックして制御用コンピュータ(図示しない)においてメッキ処理のメニューを選択する際に、所望のメッキが行われ仕上げ研磨が行われるシステムとすることがメッキ処理においてエラーを回避できる。
【0011】
続いて、図1中の各装置について簡略に説明する。
産業用ロボット1は、被製版ロールRの両端のチャック孔を避けて端面をチャックして自由な方向にハンドリングできるロボットハンド1aを有し、被製版ロールRをチャックして360度往復旋回できる。ロボットハンド1aは被製版ロールRの両端付近をチャックできれば良い。
【0012】
ターンテーブル式のロールストック装置3A、3B、3Cは、図7、図8に示すように、円錐面の母線に被製版ロールRの面長方向が一致するように多数本の被製版ロールRをロールパレットに斜めに円周配列に二段に立て掛けることができかつロールパレットに対して被製版ロールのストック又は取り出しのために任意のロールパレットを所定に位置で停止し得る図5に示す構造である。
詳述すると、図7に示すように、基盤3aに対してターンテーブル3bが回転可能に設けられ、基盤3aに設けられたサーボモータ3cの回転が減速機3d、スプロケット3e,3fを介してターンテーブル3bに巻き付けられ固定されたエンドレスチェーン3gに伝達されてターンテーブル3bが回転するようになっている。さらに、ターンテーブル3bの周縁部の四箇所の下面がローラー3mで受けられ、該ローラー3mがロールの荷重を担持しているとともに、ターンテーブル3bの周縁部の所要の一箇所が基盤3aに設けられたインデックス係止装置(図示しない)により位置決め固定されるようになっている。
そして、図8に示すように、ターンテーブル3bの上に下段のロールパレット3hと上段のロールパレット3iが設けられている。ロールパレット3h、3iは、一本の任意の長さかつ任意の外径の被製版ロールを斜めに立て掛けるときの該被製版ロールの下端の傾斜側の左右二点を同じ位置において受承する二つの平面を有する下側受承部材3h’、3i’と、該被製版ロールの上端の傾斜側の左右二点を同じ位置において受承する二つの平面を有する上側受承部材3h”、3i”とからなり、下側受承部材3h’、3i’の下端には、被製版ロールRの下端が下側受承部材3h’、3i’のロール受承面から滑り離れることがないように被製版ロールRの下端面を受承するロール下端面受承板3jが張り出して設けられている。下側受承部材3h’は、ターンテーブル3bの上面に固定され、又、下側受承部材3i’と上側受承部材3h”,3i”はターンテーブル3bの上に設けられるフレーム3j支持される。
特に、被製版ロールの上端を係止する上側受承部材3h”、3i”は水平断面が鈍角で縦長の二面体であり、被製版ロールの長さが短くなると傾斜が大きくなって重心とロール下端(支点)との水平方向の距離が大きく変化してターンテーブル3bの回転時に被製版ロールに遠心力が加わっても垂直に起き上がってさらに外側へ転倒することがないように構成されている。
ターンテーブル3bの周縁部のロールパレットに対応する各位置にアドレスを検出できるように所要数のビットを有するアドレスプレート3nが取付けられ、各アドレスプレートのビットを固定側の所要位置に付設されたセンサ3pが読み取り、コントローラ(図示しない)がセンサが読み取ったアドレスを判別してサーボモータ3cを制御し任意のロールパレットを所定に位置で停止し得る。
従って、ロールパレットに対して被製版ロールのストック又は取り出しのために下段又は上段の任意のロールパレットを所定に位置で停止し得る。
【0013】
スタッカクレーン4はカセット形ロールチャック回転搬送ユニット17を吊り上げて搬送し得る構成である。カセット型ロールチャック装置17は、一対のチャックコーンにより被製版ロールRの両端のチャック孔をチャックし、一対の防水キャップによりチャックコーンの外側を隠蔽して被製版ロールRの両端のチャック孔を防水し、装置フレームの両側の端板が処理装置に載置されたときに駆動側のチャックコーンが処理装置に供えている回転駆動源と接続され被製版ロールRを回転しうるようになっている。カセット形ロールチャック回転搬送ユニット17は、装置フレームの端板がメッキ装置9,10,11,12に載置されたときには一対のチャックコーンの基部が通電ブラシの上に載置されメッキ電流が通電されるようになっている。(特開昭55−164095公報に示す)
【0014】
産業用ロボット1は、被製版ロールRをチャックして中継台装置5の四本の円錐ロールの上に受け渡し、又、四本の円錐ロールの上に載置された被製版ロールRを受け取る。スタッカクレーン4は、カセット形ロールチャック回転搬送ユニット17を吊り上げて中継台装置5の四本の円錐ロールの上に載せられた被製版ロールRの上にセットする。すると、カセット形ロールチャック回転搬送ユニット17が被製版ロールRが両端チャックし、スタッカクレーン4は、カセット形ロールチャック回転搬送ユニット17を吊り上げて装置7〜14間を搬送する。
装置5、7〜14は、カセット形ロールチャック回転搬送ユニット17の装置フレームの両側の端板を湾部に受け入れて該カセット形ロールチャック回転搬送ユニット17を載置した状態となり、この状態で被製版ロールRに対して着脱、洗浄・乾燥、脱脂処理、硫酸銅メッキ処理、クロムメッキ処理、亜鉛メッキ処理、ペーパー研磨処理、又はクロムメッキ溶解除去処理ができる構成である。
【0015】
研磨装置6は、落版用の粗仕上げ砥石と中仕上げ砥石と上仕上げ砥石と鏡面研磨用砥石の四ヘッド研磨装置の採用が好ましい。研磨装置6は、産業用ロボット1との間で被製版ロールRの授受を行う。
【0016】
NC旋盤15は、図9に示すように、コンピュータディスプレイから所要寸法を入力すると、複式刃物台に設けられている測定用のプローブが、水平に両端チャックした被製版ロールRに対して自動的に多点計測して削り代を決定して精密円筒加工を行なうようになっている。NC旋盤加工終了時の直径値とクロムメッキ前の仕上げ寸法として要求する直径値との差の半分に精密円筒研磨される研磨代を加えた値が、NC旋盤加工後に版深を確保するメッキの厚みとなるように精密円筒加工を行なう。
【0017】
ロール計測装置16は、被製版ロールの全長、外径、孔径、ロールの一端から他端まで一定ピッチ毎に直径を計測する直径計測を行なう。NC旋盤15がロール計測を有しているときは、ロール計測装置16は不要である。
【0018】
続いて、[請求項4]及び[請求項7]に記載の発明が含まれた実施の形態のグラビア製版工場を図11を参照して説明する。
特に、この実施の形態のグラビア製版工場は、ロボット室Aに、被製版ロールRを両端チャックしてハンドリングできるロボットハンド1aを有する往復旋回自在な産業用ロボット1を備え、該産業用ロボット1のハンドリングエリア内に、二基のターンテーブル式のロールストック装置3A、3Bが設備されているとともに、ポジ型又はネガ型の感光膜を塗布する感光膜塗布装置18とレーザ露光装置19が二段積みに設備されており、又、ロボット室Aに隣接するメッキ室Bには、天井に設備されたスタッカクレーン4の走行ラインの下側に中継台装置5と研磨装置6と写真廃液塗布装置7と脱脂(乾燥を含む)装置8と現像装置20と腐食装置21とレジスト剥離装置22とニッケルメッキ装置9と二基の硫酸銅メッキ装置10と二基のクロムメッキ装置11とペーパー研磨装置13とクロムメッキ溶解除去装置14とカセット組み込み台装置2が設備されている。
アウトラインとして、落版のための精密円筒加工ができるNC旋盤15と、ロール計測装置16と校正刷り印刷機23が備えられている。
メッキ室における被製版ロールRの搬送手段は、スタッカクレーン4と、カセット形ロールチャック回転搬送ユニット17の共同作用により行われる。三基設備しているターンテーブル式のロールストック装置を一基減らすことで、研磨装置6又はNC旋盤15をロボット室Aに設置しても良い。装置7〜14は、いずれの順に並べてもよい。
【0019】
図12は、感光膜塗布装置18を示す。この感光膜塗布装置18は、塗布膜の形成を行なう被製版ロールRを両端チャックして回転するロールチャック回転手段18aと、被製版ロールRに沿って移動する移動台18bと、移動台18bに設けられた昇降テーブル18cに可動ブラケットを介して設けられた拭浄ヘッド18dと昇降テーブル18cに設けられている塗布ヘッド18eを備えてなり、拭浄ヘッド18dと塗布ヘッド18eが被製版ロールRの軸心方向に並び、移動台18bが被製版ロールRの一端に対応する位置から他端に対応する位置まで移動して、拭浄ヘッド18cが回転する被製版ロールRの一端から他端まで拭浄を行ない、塗布ヘッド18eが拭浄ヘッド18dの後を追って感光膜塗布を行ない、感光膜が乾燥するまで被製版ロールRの回転を続行する構成である。塗布ヘッド18eはワイピングクロムTを繰り出して被製版ロールRを拭浄する。塗布ヘッド18eは、必要な塗布に必要な量よりも僅かに多くなるようにパイプの上端から湧き出すようにして被製版ロールにパイプが非接触に近接して感光膜を塗布する。
【0020】
図11に示す設備構成は、クライアントの多様な注文に応じた各種のメッキ工程が必要な製版会社にとって一ラインで全ての注文に対応できる好ましいライン設備を示している。すなわち、以下の多様なグラビア製版がなし得る。ライン全体の制御装置は、ディスプレイから以下の処理を選択できる。
(1)直版タイプのリユースロールであって、アウトラインでNC旋盤で精密円筒加工して落版してロール母材(鉄)が露出してしまった被製版ロールについては、脱脂処理してニッケルメッキ(下地メッキ)を付けてから硫酸銅メッキを付け、砥石研磨装置で精密円筒加工を行ってから、感光膜塗布し、レーザー露光により画像を焼き付け、現像し、腐食してセルを形成し、レジスト剥離し、クロムメッキを付け、ペーパー研磨により砂目を立てて取り出すことができる。この処理工程は、図13のフローチャートに示す。
(2)直版タイプのリユースロールであって、アウトラインでNC旋盤で精密円筒加工して落版してロール母材(鉄又はアルミニウム)が露出していない被製版ロールについては、脱脂処理して硫酸銅メッキを付け、砥石研磨装置で精密円筒加工を行ってから、感光膜を塗布形成し、レーザー露光により画像を焼き付け、現像し、腐食してセルを形成し、レジスト剥離し、クロムメッキを付け、ペーパー研磨により砂目を立てて取り出すことができる。この処理工程も、図13のフローチャートに示す。
(3)NC旋盤とロール計測装置をアウトラインで備えていない場合には、直版タイプのリユースロールについて、アウトラインでNC旋盤による精密円筒加工して落版すること不可であるから、砥石研磨により落版・補正研磨し脱脂処理してニッケルメッキ(下地メッキ)を付けてから硫酸銅メッキを付け、砥石研磨装置で精密円筒加工を行ってから、感光膜塗布し、レーザー露光により画像を焼き付け、現像し、腐食してセルを形成し、レジスト剥離し、クロムメッキを付け、ペーパー研磨により砂目を立てて取り出すことができる。フローチャートは示していない。
(4)バラードメッキタイプのリユースの被製版ロールであってクライアントの要求により直版タイプのロールの扱いとすることができない場合には、脱脂処理してからロール表面性状を写真廃液を塗布して易剥離性とし、次ぎに硫酸銅メッキ(バラードメッキ)を厚く付け、砥石研磨装置で精密円筒加工を行ってから、感光膜塗布し、レーザー露光により画像を焼き付け、現像し、腐食してセルを形成し、レジスト剥離し、クロムメッキを付け、ペーパー研磨により砂目を付けて取り出すことができる。
【0021】
続いて、[請求項5]及び[請求項7]に記載の発明が含まれた実施の形態のグラビア製版工場を図14を参照して説明する。
特に、この実施の形態のグラビア製版工場は、ロボット室Aに、被製版ロールRを両端チャックしてハンドリングできるロボットハンド1aを有する往復旋回自在な産業用ロボット1を備え、該産業用ロボット1のハンドリングエリア内に、二基のターンテーブル式のロールストック装置3A、3Bが設備されているとともに、レーザーアブレーション膜を塗布するレーザーアブレーション膜塗布装置24と、レーザーアブレーション用のレーザ露光装置25が二段積みに設備されており、又、ロボット室Aに隣接するメッキ室Bには、天井に設備されたスタッカクレーン4の走行ラインの下側に中継台装置5と研磨装置6と写真廃液塗布装置7と脱脂装置8と腐食装置21とレジスト剥離装置22とニッケルメッキ装置9と二基の硫酸銅メッキ装置10と二基のクロムメッキ装置11とペーパー研磨装置13とクロムメッキ溶解除去装置14とが設備されている。
アウトラインとして、落版のための精密円筒加工ができるNC旋盤15と、ロール計測装置16、校正刷り印刷機23が備えられる。
メッキ室における被製版ロールRの搬送手段は、スタッカクレーン4と、カセット形ロールチャック回転搬送ユニット17の共同作用により行われる。三基設備しているターンテーブル式のロールストック装置を一基減らすことで、研磨装置6又はNC旋盤15をロボット室Aに設置しても良い。装置7〜14は、いずれの順に並べてもよい。
【0022】
図14に示す設備構成は、クライアントの多様な注文に応じた各種のメッキ工程が必要な製版会社にとって一ラインで全ての注文に対応できる好ましいライン設備を示している。すなわち、以下の多様なグラビア製版がなし得る。ライン全体の制御装置は、ディスプレイから以下の処理を選択できる。
(1)直版タイプのリユースロールであって、アウトラインでNC旋盤で精密円筒加工して落版してロール母材(鉄)が露出してしまった被製版ロールについては、脱脂処理してニッケルメッキ(下地メッキ)を付けてから硫酸銅メッキを付け、砥石研磨装置で精密円筒加工を行ってから、レーザーアブレーション膜を塗布形成し、レーザーアブレーションを行いネガ画像を形成し、腐食してセルを形成し、レジスト剥離し、クロムメッキを付け、ペーパー研磨により砂目を立てて取り出すことができる。この処理工程は、図15のフローチャートに示す。
(2)直版タイプのリユースロールであって、アウトラインでNC旋盤で精密円筒加工して落版してロール母材(鉄又はアルミニウム)が露出していない被製版ロールについては、脱脂処理して硫酸銅メッキを付け、砥石研磨装置で精密円筒加工を行ってから、感光膜塗布し、レーザーアブレーション膜を塗布形成し、レーザーアブレーションを行いネガ画像を形成し、腐食してセルを形成し、レジスト剥離し、クロムメッキを付け、ペーパー研磨により砂目を立てて取り出すことができる。この処理工程も、図15のフローチャートに示す。
(3)NC旋盤とロール計測装置をアウトラインで備えていない場合には、直版タイプのリユースロールについて、アウトラインでNC旋盤による精密円筒加工して落版すること不可であるから、砥石研磨により落版・補正研磨し脱脂処理してニッケルメッキ(下地メッキ)を付けてから硫酸銅メッキを付け、砥石研磨装置で精密円筒加工を行ってから、レーザーアブレーション膜を塗布形成し、レーザーアブレーションを行いネガ画像を形成し、腐食してセルを形成し、レジスト剥離し、クロムメッキを付け、ペーパー研磨により砂目を付けて取り出すことができる。
(4)バラードメッキタイプのリユースの被製版ロールであってクライアントの要求により直版タイプのロールの扱いとすることができない場合には、脱脂処理してからロール表面性状を写真廃液を塗布して易剥離性とし、次ぎに硫酸銅メッキ(バラードメッキ)を厚く付け、砥石研磨装置で精密円筒加工を行ってから、レーザーアブレーション膜を塗布形成し、レーザーアブレーションを行いネガ画像を形成し、腐食してセルを形成し、レジスト剥離し、クロムメッキを付け、ペーパー研磨により砂目を付けて取り出すことができる。
【0023】
続いて、[請求項6]及び[請求項7]に記載の発明が含まれた実施の形態のグラビア製版工場を図16を参照して説明する。
特に、この実施の形態のグラビア製版工場は、ロボット室Aに、被製版ロールRを両端チャックしてハンドリングできるロボットハンド1aを有する往復旋回自在な産業用ロボット1を備え、該産業用ロボット1のハンドリングエリア内に、二基のターンテーブル式のロールストック装置3A、3Bが設備されているとともに、符号26で示す電子彫刻装置又は高出力のレーザー彫刻装置が設備されており、又、ロボット室Aに隣接するメッキ室Bには、天井に設備されたスタッカクレーン4の走行ラインの下側に中継台装置5と研磨装置6と写真廃液塗布装置7と脱脂装置8とニッケルメッキ装置9と二基の硫酸銅メッキ装置10とクロムメッキ装置11と亜鉛メッキ装置12とペーパー研磨装置13とクロムメッキ溶解除去装置14とが設備されている。
アウトラインとして、落版のための精密円筒加工ができるNC旋盤15と、ロール計測装置16が備えられる。
メッキ室における被製版ロールRの搬送手段は、スタッカクレーン4と、カセット形ロールチャック回転搬送ユニット17の共同作用により行われる。三基設備しているターンテーブル式のロールストック装置を一基減らすことで、研磨装置6又はNC旋盤15をロボット室Aに設置しても良い。装置7〜14は、いずれの順に並べてもよい。
【0024】
図16に示す設備構成は、クライアントの多様な注文に応じた各種のメッキ工程が必要な製版会社にとって一ラインで全ての注文に対応できる好ましいライン設備を示している。すなわち、以下の多様なグラビア製版がなし得る。ライン全体の制御装置は、ディスプレイから以下の処理を選択できる。
(1)直版タイプのリユースロールであって、アウトラインでNC旋盤で精密円筒加工して落版してロール母材(鉄)が露出してしまった被製版ロールについては、脱脂処理してニッケルメッキ(下地メッキ)を付けてから硫酸銅メッキを付け、砥石研磨装置で精密円筒加工を行ってから、符号25で示す電子彫刻装置によりセルを形成し、脱脂処理して、クロムメッキを付け、ペーパー研磨により砂目を付けて取り出すことができる。この処理工程は、図17のフローチャートに示す。
(2)直版タイプのリユースロールであって、アウトラインでNC旋盤で精密円筒加工して落版してロール母材(鉄又はアルミニウム)が露出していない被製版ロールについては、脱脂処理して硫酸銅メッキを付け、砥石研磨装置で精密円筒加工を行ってから、符号25で示す電子彫刻装置によりセルを形成し、脱脂処理して、クロムメッキを付け、ペーパー研磨により砂目を付けて取り出すことができる。この処理工程も、図17のフローチャートに示す。
(3)NC旋盤とロール計測装置をアウトラインで備えていない場合には、直版タイプのリユースロールについて、アウトラインでNC旋盤による精密円筒加工して落版すること不可であるから、砥石研磨により落版・補正研磨し脱脂処理してニッケルメッキ(下地メッキ)を付けてから硫酸銅メッキを付け、砥石研磨装置で精密円筒加工を行ってから、符号25で示す電子彫刻装置によりセルを形成し、脱脂処理して、クロムメッキを付け、ペーパー研磨により砂目を付けて取り出すことができる。
(4)バラードメッキタイプのリユースの被製版ロールであってクライアントの要求により直版タイプのロールの扱いとすることができない場合には、脱脂処理してからロール表面性状を写真廃液を塗布して易剥離性とし、次ぎに硫酸銅メッキ(バラードメッキ)を厚く付け、砥石研磨装置で精密円筒加工を行ってから、符号25で示す電子彫刻装置によりセルを形成し、脱脂処理して、クロムメッキを付け、ペーパー研磨により砂目を付けて取り出すことができる。
(5)硫酸銅メッキの上に亜鉛メッキが例えば30ミクロンの厚さとなるように付けられ電子彫刻装置又は炭酸ガスレーザ等の高出力レーザにより彫刻されその後クロムメッキを付けられてなるリユースロールであって、アウトラインでNC旋盤で精密円筒加工して落版してなる被製版ロールについては、脱脂処理してから硫酸銅メッキして精密円筒研磨した亜鉛メッキを例えば35ミクロンの厚さとなるように付けて砥石研磨装置で5ミクロン削る精密円筒加工を行ってから、符号25で示す電子彫刻装置又は高出力のレーザー彫刻装置によりセルを形成し、脱脂処理して、クロムメッキを付け、ペーパー研磨により砂目を付けて取り出すことができる。
【0025】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本願発明のグラビア印刷用被製版ロールのメッキ工場及びグラビア製版工場によれば、
本願発明は、昼間の作業者が居るときの全自動稼動は勿論のこと、夜間に処理すべき被製版ロールを夕方に無人にする前にストックして、その際にそれぞれに異なるメッキ工程、メッキ−製版工程を制御装置に入力しておくと、夜間に無人で全自動でメッキラインへの被製版ロールの投入を一本ずつ順番に行って、多数本の被製版ロールをついてそれぞれに異なるメッキ工程、メッキ−製版工程で処理を実行して、メッキ済み又は製版済みのロールを全本数ストックしておくことができ、翌朝には全本数のロールを取り出すことができて稼働率が非常に高い、グラビア印刷用被製版ロールのメッキ工場及びグラビア製版工場を提供できる。
又、本願発明は、大きさがさまざまに異なる多数本の被製版ロールを極めて小スペースにストックしておくことができ回転しても外方へ転倒する惧れがないターンテーブル式のロールストック装置及び旋回形産業用ロボットを採用することにより、設備コストの大幅な低減と小スペース化と装置全体の高い稼動効率が達成できる、グラビア印刷用被製版ロールのメッキ工場及びグラビア製版工場を提供できる。
又、本願発明は、大きさがさまざまに異なる多数本の被製版ロールを極めて小スペースにストックしておくことができ回転しても外方へ転倒する惧れがないターンテーブル式のロールストック装置及び旋回形産業用ロボットを採用することにより、ストック装置を複数基設置した場合にも産業用ロボットによりストック装置間のロールの移し変え移送を容易に行うことができ、ストック装置のどの位置にストックしたロールでも産業用ロボットが迅速に取り出してメッキラインへの投入位置へ移送することができ、産業用ロボットが関与するあらゆるロールの移送タクト、具体的には、メッキ済みのロール、製版途中のロール及び製版済みのロールをストック装置又はロボットの周辺の装置に移送する移送タクトを短縮できて装置全体の稼動効率が高めることができる、グラビア印刷用被製版ロールのメッキ工場及びグラビア製版工場を提供できる。
又、本願発明は、アウトラインで旋盤による落版円筒加工した被製版ロールを対象にすると、ロールストック時にそれぞれに異なるメッキ工程、メッキ−製版工程を制御装置に入力しておくことができ、処理が完了したロールにメッキが良好に付いていなくて、製品にならないロールの輩出を回避でき、特に夜間に多数本の被製版ロールを無人で全自動で高い信頼性を有して処理ができる、グラビア印刷用被製版ロールのメッキ工場及びグラビア製版工場を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】[請求項1]乃至[請求項3]に記載の発明が含まれた実施の形態のグラビア印刷用被製版ロールのメッキ工場の概略平面図
【図2】図1に示すメッキ工場で実施できるメッキ工程のフローチャート。
【図3】図1に示すメッキ工場で実施できる別のメッキ工程のフローチャート。
【図4】図1に示すメッキ工場で実施できる別のメッキ工程のフローチャート。
【図5】図1に示すメッキ工場で実施できる別のメッキ工程のフローチャート。
【図6】図1に示すメッキ工場で実施できる別のメッキ工程のフローチャート。
【図7】図1に示すメッキ工場の要部のロールストック装置の概略平面図。
【図8】図1に示すメッキ工場の要部のロールストック装置の概略縦断面図。
【図9】NC旋盤の精密円筒加工を行なうための入力値や計測値及び削り代等の計算値を表すディスプレイ表示画面
【図10】NC旋盤の精密円筒加工を行なうための入力値や計測値及び削り代等の計算値の関係をロール断面に表した図
【図11】[請求項4]及び[請求項7]に記載の発明が含まれた実施の形態のグラビア製版工場の概略平面図。
【図12】図11に示すグラビア製版工場に設備される感光膜塗布装置の概略正面図。
【図13】図11に示すグラビア製版工場で実施できるメッキ・製版工程のフローチャート。
【図14】[請求項5]及び[請求項7]に記載の発明が含まれた実施の形態のグラビア製版工場の概略平面図。
【図15】図14に示すグラビア製版工場で実施できるメッキ・製版工程のフローチャート。
【図16】[請求項6]及び[請求項7]に記載の発明が含まれた実施の形態のグラビア製版工場の概略平面図。
【図17】図16に示すグラビア製版工場で実施できるメッキ・製版工程のフローチャート。
【符号の説明】
A・・・ロボット室、B・・・メッキ室、1・・・産業用ロボット、1a・・・ロボットハンド、3A、3B、3C・・・ロールストック装置、R・・・被製版ロール、2・・・カセット組み込み台装置、3・・・ロール脱着回転装置、4・・・スタッカクレーン、5・・・中継台装置、6・・・研磨装置、7・・・写真廃液塗布装置、8・・・脱脂装置、9・・・ニッケルメッキ装置、10・・・硫酸銅メッキ装置、11・・・亜鉛メッキ装置、12・・・ペーパー研磨装置、13・・・ペーパー研磨装置、14・・・クロムメッキ溶解除去装置、15・・・NC旋盤、16・・・ロール計測装置、17・・・カセット形ロールチャック回転搬送ユニット、18・・・感光膜塗布装置、19・・・レーザ露光装置、20・・・現像装置、21・・・腐食装置、22・・・レジスト剥離装置、23・・・校正刷り印刷機、24・・・レーザーアブレーション膜塗布装置24と、25・・・レーザーアブレーション用のレーザ露光装置、26・・・電子彫刻機又はレーザー彫刻機、
Claims (7)
- 少なくとも硫酸銅メッキ装置を有しているメッキライン設備を備え、さらにメッキライン設備のラインの一端に隣接して、被製版ロールを両端チャックしてハンドリングできるロボットハンドを有する往復旋回自在な産業用ロボットを備え、該産業用ロボットのハンドリングエリア内に、円錐面の母線に被製版ロールの面長方向が一致するように多数本の被製版ロールをロールパレットに斜めに円周配列に一段又は二段に立て掛けることができかつロールパレットに対して被製版ロールのストック又は取り出しのために任意のロールパレットを所定に位置で停止し得るターンテーブル式のロールストック装置を一基又は複数基備え、
産業用ロボットが、ロールストック装置にストックされた被製版ロールを取り出してメッキライン設備のロールハンドリング手段に受け渡し、又、処理を終えた被製版ロールをメッキライン設備のロールハンドリング手段から受け取ってロールストック装置にストックするように構成されていることを特徴とするグラビア印刷用被製版ロールのメッキ工場。 - 砥石研磨装置を前記メッキライン設備の産業用ロボット寄りの位置、又は前記メッキライン設備の外に備えていることを特徴とする〔請求項1〕に記載のグラビア印刷用被製版ロールのメッキ工場。
- リユースの直版型の被製版ロールを両端チャックして精密円筒加工して落版するNC旋盤をアウトラインで備えたことを特徴とする〔請求項1〕に記載のグラビア印刷用被製版ロールのメッキ工場。
- 少なくとも硫酸銅メッキ装置を備えているメッキライン設備を有し、該メッキライン設備に現像装置とエッチング装置とレジスト剥離装置を備え、さらにメッキライン設備のラインの一端に隣接して、被製版ロールを両端チャックしてハンドリングできるロボットハンドを有する往復旋回自在な産業用ロボットを備え、該産業用ロボットのハンドリングエリア内に、ポジ型又はネガ型の感光膜を塗布する感光膜塗布装置とレーザ露光装置、及び円錐面の母線に被製版ロールの面長方向が一致するように多数本の被製版ロールをロールパレットに斜めに円周配列に一段又は二段に立て掛けることができかつロールパレットに対して被製版ロールのストック又は取り出しのために任意のロールパレットを所定に位置で停止し得るターンテーブル式のロールストック装置を一基又は複数基備え、さらに、砥石研磨装置を前記メッキライン設備の産業用ロボット寄りの位置、又は前記メッキライン設備の外に備えてなり、
産業用ロボットが、ロールストック装置にストックされた被製版ロールを取り出してロールハンドリングエリア内の処理装置又はメッキライン設備のロールハンドリング手段に受け渡し、又、処理を終えた被製版ロールをメッキライン設備のロールハンドリング手段から受け取ってロールストック装置にストックするように構成され、硫酸銅メッキ―研磨―感光膜塗布―レーザーによる画像焼付け―現像―エッチングの工程により製版を行うことを特徴とするグラビア製版工場。 - 少なくとも硫酸銅メッキ装置を備えているメッキライン設備を有し、該メッキライン設備にエッチング装置とレジスト剥離装置を備え、さらにメッキライン設備のラインの一端に隣接して、被製版ロールを両端チャックしてハンドリングできるロボットハンドを有する往復旋回自在な産業用ロボットを備え、該産業用ロボットのハンドリングエリア内に、レーザーアブレーション膜を塗布するレーザーアブレーション膜塗布装置とレーザーアブレーション用のレーザ露光装置、及び円錐面の母線に被製版ロールの面長方向が一致するように多数本の被製版ロールをロールパレットに斜めに円周配列に一段又は二段に立て掛けることができかつロールパレットに対して被製版ロールのストック又は取り出しのために任意のロールパレットを所定に位置で停止し得るターンテーブル式のロールストック装置を一基又は複数基備え、さらに、砥石研磨装置を前記メッキライン設備の産業用ロボット寄りの位置、又は前記メッキライン設備の外に備えてなり、
産業用ロボットが、ロールストック装置にストックされた被製版ロールを取り出してロールハンドリングエリア内の処理装置又はメッキライン設備のロールハンドリング手段に受け渡し、又、処理を終えた被製版ロールをメッキライン設備のロールハンドリング手段から受け取ってロールストック装置にストックするように構成され、硫酸銅メッキ―研磨―レーザーアブレーション膜塗布―レーザーアブレーションによるネガ画像形成―エッチングの工程により製版を行うことを特徴とするグラビア製版工場。 - 少なくとも硫酸銅メッキ装置を有しているメッキライン設備を備え、さらにメッキライン設備のラインの一端に隣接して、被製版ロールを両端チャックしてハンドリングできるロボットハンドを有する往復旋回自在な産業用ロボットを備え、該産業用ロボットのハンドリングエリア内に、電子彫刻装置、及び円錐面の母線に被製版ロールの面長方向が一致するように多数本の被製版ロールをロールパレットに斜めに円周配列に一段又は二段に立て掛けることができかつロールパレットに対して被製版ロールのストック又は取り出しのために任意のロールパレットを所定に位置で停止し得るターンテーブル式のロールストック装置を一基又は複数基備え、さらに、砥石研磨装置を前記メッキライン設備の産業用ロボット寄りの位置、又は前記メッキライン設備の外に備えてなり、
産業用ロボットが、ロールストック装置にストックされた被製版ロールを取り出してロールハンドリングエリア内の処理装置又はメッキライン設備のロールハンドリング手段に受け渡し、又、処理を終えた被製版ロールをメッキライン設備のロールハンドリング手段から受け取ってロールストック装置にストックするように構成され、硫酸銅メッキ―研磨―彫刻の工程により製版を行うことを特徴とするグラビア製版工場。 - リユースの直版型の被製版ロールを両端チャックして精密円筒加工して落版するNC旋盤をアウトラインで備えたことを特徴とする〔請求項4〕乃至〔請求項6〕に記載のグラビア製版工場。
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