JP2004223739A - 多色感熱記録材料および画像形成方法 - Google Patents

多色感熱記録材料および画像形成方法 Download PDF

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欣三 新居
Koji Sato
弘司 佐藤
Toshio Kawagishi
俊雄 川岸
Hideaki Naruse
英明 成瀬
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Abstract

【課題】完全ドライの処理系を構成し、定着作業を軽減できると共に、耐光性に優れた高画質多色画像を簡易かつ安価に形成し得る多色画像形成材料を提供する。
【解決手段】支持体上に、下記一般式(I)で表される発色主薬酸化体前駆体および色素形成カプラーを含む少なくとも一層の酸化体発色層と、ジアゾ化合物およびカプラー化合物を含む少なくとも一層のジアゾ発色層とを有する多色感熱記録材料である〔A:窒素原子との結合電子対を伴なって離脱し発色主薬酸化体を生成する水素原子以外の基;A:Aの離脱による発色主薬酸化体が色素形成カプラーとカップリングして色素前駆体を形成した後に色素生成に伴なって離脱する基;A:窒素原子及びカプラーと共に色素を形成する基〕。
【化1】
Figure 2004223739

【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、多色感熱記録材料および画像形成方法に関し、特に堅牢で鮮明な画像を簡易に形成することができる多色感熱記録材料および画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、液状の現像剤等を用いず、廃棄物を生じないドライタイプの画像形成材料および画像形成方法が種々検討されており、近年では、フルカラー(多色)の画像形成材料および画像形成方法に対する要求が高い。
【0003】
多色の画像形成材料としては、例えば、電子供与性無色染料前駆体と電子受容性化合物とを組合せた画像形成層やジアゾ化合物とカプラー化合物とを組合せた画像形成層などを使用したものが知られている。その例として、支持体上に、電子供与性無色染料前駆体と電子受容性化合物とを含む画像形成層およびジアゾ化合物とカプラー化合物とを含む画像形成層を積層した光定着型の多色感熱記録材料が挙げられる(例えば、特許文献1参照)。この多色感熱記録材料は、ジアゾ化合物の光照射によって分解しカプラー化合物との反応性を失う(発色能力を失う)性質を利用したものであり、イエロー、マゼンタ、シアンに発色するように発色成分を選択しておけば、ジアゾ化合物の光定着性を利用して最終的にフルカラーの画像を形成することができる。
【0004】
しかしながら、この多色の画像形成材料は、画像の耐性の点で充分な性能を得るまでには至っていなかった。すなわち、単色の層を複数積層して多色の画像形成材料とする場合、一般に支持体に最も近い最下層にシアン発色層が設けられ、シアン発色色素にはアゾメチン色素が用いられていたが、シアン色が褪色し易く、形成された画像の保存安定性の点で課題があった。
【0005】
また、発色性組成物と共に重合性モノマーおよび光開始剤を含んでなる組成物を用いた感光材料も知られている(例えば、特許文献2参照)。しかし、層の全てが感光性発色記録層のみで構成されるため、例えばRGBの各色相を呈する3層を発色させてフルカラー画像を形成する場合に、各層ごとに吸収波長に対応した光源や分光増感色素等を選択して使用しなければならず、しかも各色ごとに定着作業が必要となり、色分画性やコスト、設備、画像形成完了までの工数(作業性)等の面で改善が望まれていた。
【0006】
【特許文献1】
特開平04−144784公報
【特許文献2】
特開2001−100404公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、従来の光定着型の多色感熱記録材料では、光定着後でも耐光性、耐熱性等の画像保存性は必ずしも充分ではなく、また、アゾメチン系色素を形成して非定着とした色素発色層の耐光性等も不十分であったことから、多色での画像形成作業が簡便でありながら、画像の褪色等をも抑制し、長期間にわたって良好に保存可能な多色感熱記録材料の提供が望まれていた。非定着で褪色のない画像保存性が実現でき、これにより定着作業の軽減が可能となれば、記録材料としての商品価値を大きく向上させることができる。
【0008】
本発明は、上記に鑑み成されたものであり、現像液等の使用が不要で、かつ廃棄物の発生のない完全ドライの処理系を構成し、定着作業を軽減できると共に、耐光性に優れた高濃度で鮮明な多色の画像を簡易かつ安価に形成し得る多色型の画像形成材料および画像形成方法を提供することを目的とし、該目的を達成することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための具体的手段は以下の通りである。すなわち、
<1> 支持体上に、下記一般式(I)で表される発色主薬酸化体前駆体および色素形成カプラーを含む少なくとも一層の酸化体発色層と、ジアゾ化合物およびカプラー化合物を含む少なくとも一層のジアゾ発色層とを有することを特徴とする多色感熱記録材料である。
【0010】
【化2】
Figure 2004223739
【0011】
前記一般式(I)中、Aは、窒素原子との結合電子対を伴なって離脱することにより発色主薬酸化体を生成する、水素原子以外の基を表す。Aは、Aの離脱により生成した発色主薬酸化体が色素形成カプラーとカップリングして色素前駆体を形成した後に色素生成に伴なって離脱する基を表す。Aは窒素原子およびカプラーとともに色素を形成する基を表す。
【0012】
<2> 前記酸化体発色層が、光重合開始剤および重合性モノマーを含有する光重合性組成物を更に含む前記<1>に記載の多色感熱記録材料である。
<3> 前記酸化体発色層が金属塩を更に含む前記<1>又は<2>に記載の多色感熱記録材料である。
<4> 前記金属塩が銀塩である前記<3>に記載の多色感熱記録材料である。
【0013】
<5> 前記<1>〜<4>のいずれかに記載の多色感熱記録材料が用いられ、画像様に加熱して酸化体発色層およびジアゾ発色層の一方に発色像を形成し、該発色像が形成された層の吸収波長に対応した光を照射して定着する第1の工程と、前記発色像が未形成のジアゾ発色層および酸化体発色層の一方を画像様に加熱して発色像を形成する第2の工程とを有し、多色の画像を形成することを特徴とする画像形成方法である。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の多色感熱記録材料においては、特定の発色主薬酸化体前駆体および色素形成カプラーを発色成分とする酸化体発色層とジアゾ化合物およびカプラー化合物を発色成分とするジアゾ発色層とを有し、本発明の画像形成方法においては、本発明の多色感熱記録材料を用いて多色画像を形成する。
以下、本発明の多色感熱記録材料及び画像形成方法について詳細に説明する。
【0015】
本発明の多色感熱記録材料は、支持体上に、下記一般式(I)で表される発色主薬酸化体前駆体および色素形成カプラーを含む少なくとも一層の酸化体発色層と、ジアゾ化合物およびカプラー化合物を含む少なくとも一層のジアゾ発色層とによって構成される。必要に応じて、他の発色層や、保護層、中間層等の他の層が設けられていてもよい。また、好ましくは前記酸化体発色層は金属塩を含んでなり、前記酸化体発色層、ジアゾ発色層には必要に応じて更に他の成分を含有することができる。
【0016】
本発明に係る酸化体発色層は、下記の一般式(I)で表される発色主薬酸化体前駆体と色素形成カプラーとを発色成分とし、好ましくは、発色主薬酸化体前駆体を固体微粒子状態で含み、これと反応して発色させる色素形成カプラーを(より好ましくは後述の金属塩と共に)マイクロカプセルに内包して含むことによって、光重合開始剤および重合性モノマーを併用することなく、非定着な画像形成プロセスにおいて熱印加後の保存性(特に耐光性、耐熱性)に優れた画像を形成することができる。そのため、積層された複数層のうち最後に画像が形成される層、例えば支持体に最も近い層を酸化体発色層とすることによって、画像形成に際して定着作業や該層の定着に必要な光源や分光増感色素が不要となり、より簡便かつ安価に画像形成することができる。しかも、形成された画像は耐光性、耐熱性等の保存性に優れる。
【0017】
また、酸化体発色層には、光重合開始剤および重合性モノマーを含有する光重合性組成物を加えることができ、かかる場合には、まず画像様に加熱して発色画像を形成した後、該層中の光重合性組成物の吸収波長に対応した光を照射して重合性モノマーを重合反応させ硬化することで定着することができる。これにより、二色目以降の発色画像を形成するときに既に像形成された層の濃度(画像濃度、地肌濃度)への影響を与えることなく、画像形成することができる。また更に、前記光重合性組成物を含む酸化体発色層が二層以上積層されているときには、まず両層を各々の吸収波長に対応した光を照射して各々の層に画像潜像を形成しておき、その後一括して加熱し多色画像を形成することもできる。
【0018】
本発明に係るジアゾ発色層は、ジアゾ化合物とカプラー化合物とを発色成分とするものであり、ジアゾ化合物の種類によって光定着型、非光定着型のいずれに構成することもできる。
【0019】
本発明の多色感熱記録材料の層構成としては、酸化体発色層とジアゾ発色層とを各々少なくとも一層有してなる形態であれば、特に制限なく、2層構成、3層構成など適宜選択して多層に構成することができる。このとき、各層において、相互に異なる色相に発色する発色成分を含有することで多色画像を形成でき、また、酸化体発色層およびジアゾ発色層の各層において、相互に吸収波長(感光波長)の異なるジアゾ化合物若しくは光重合性組成物を含有することにより、各層ごとに光定着し、または光重合を進行させて硬化(すなわち定着)することができるため、隣接する層の色相や色濃度、地肌白色性を阻害することなく、高画質の多色画像を形成することができる。
【0020】
本発明の多色感熱記録材料は、例えば、下記〔1〕〜〔4〕のように構成することができる。ただし、各々において、A層、B層およびC層の積層順は適宜変えて構成してもよく、本発明においてはこれらに制限されるものでもない。
〔1〕支持体上に、支持体から最も離れた側から順に、波長λに光吸収を持つジアゾ化合物と該ジアゾ化合物と熱時反応して発色させるカプラー化合物を含み、熱印加により第1色目の色相を呈し、光源の中心波長λの光に感応して定着される第1ジアゾ発色層(A層)と、波長λに光吸収を持つジアゾ化合物と該ジアゾ化合物と熱時反応して発色させるカプラー化合物を含み、熱印加により第2色目の色相を呈し、光源の中心波長λ(≠λ)の光に感応して定着される第2ジアゾ発色層(B層)と、発色主薬酸化体前駆体と色素形成カプラーとを含み、熱印加により第3色目の色相を呈する酸化体発色層(C層)とが積層された多色感熱記録材料。また、このC層に、更に波長λ(≠λ、λ)に光吸収を持つ光重合性組成物を含有した多色感熱記録材料。この多色感熱記録材料を用いた画像形成方法については後述する。
【0021】
〔2〕支持体上に、支持体から最も離れた側から順に、波長λに光吸収を持つジアゾ化合物と該ジアゾ化合物と熱時反応して発色させるカプラー化合物を含み、熱印加により第1色目の色相を呈し、光源の中心波長λの光に感応して定着されるジアゾ発色層(A層)と、発色主薬酸化体前駆体と色素形成カプラーと波長λに光吸収を持つ光重合性組成物とを含み、熱印加により第2色目の色相を呈し、光源の中心波長λの光に感応して定着(重合硬化)される第1酸化体発色層(B層)と、発色主薬酸化体前駆体と色素形成カプラーとを含み、熱印加により第3色目の色相を呈する第2酸化体発色層(C層)とが積層された多色感熱記録材料。また、このC層に、更に波長λ(≠λ、λ)に光吸収を持つ光重合性組成物を含有した多色感熱記録材料。
【0022】
前記多色感熱記録材料〔2〕において、A層をB層とC層の間や支持体に最も近い最下層とすることもできるが、A層の光定着を効率よく行なう観点からは〔2〕の構成とすることが望ましい。
【0023】
〔3〕支持体上に、支持体から最も離れた側から順に、発色主薬酸化体前駆体と色素形成カプラーと波長λに光吸収を持つ光重合性組成物とを含み、熱印加により第1色目の色相を呈し、光源の中心波長λの光に感応して定着(重合硬化)される酸化体発色層(A層)と、波長λに光吸収を持つジアゾ化合物と該ジアゾ化合物と熱時反応して発色させるカプラー化合物を含み、熱印加により第2色目の色相を呈し、光源の中心波長λの光に感応して定着される第1ジアゾ発色層(B層)と、非光分解性のジアゾ化合物と該ジアゾ化合物と熱時反応して発色させるカプラー化合物を含み、熱印加により第3色目の色相を呈する非定着性の第2ジアゾ発色層(C層)とが積層された多色感熱記録材料。
【0024】
〔4〕支持体上に、支持体から最も離れた側から順に、発色主薬酸化体前駆体と色素形成カプラーと波長λに光吸収を持つ光重合性組成物とを含み、熱印加により第1色目の色相を呈し、光源の中心波長λの光に感応して定着(重合硬化)される第1酸化体発色層(A層)と、発色主薬酸化体前駆体と色素形成カプラーと波長λに光吸収を持つ光重合性組成物とを含み、熱印加により第2色目の色相を呈し、光源の中心波長λの光に感応して定着(重合硬化)される第2酸化体発色層(B層)と、非光分解性のジアゾ化合物と該ジアゾ化合物と熱時反応して発色させるカプラー化合物を含み、熱印加により第3色目の色相を呈する非定着性ジアゾ発色層(C層)とが積層された多色感熱記録材料。
【0025】
−一般式(I)で表される発色主薬酸化体前駆体−
本発明に係る発色主薬酸化体前駆体は、下記一般式(I)で表される化合物である。
【化3】
Figure 2004223739
【0026】
前記一般式(I)中、Aは、窒素原子との結合電子対を伴なって離脱することにより発色主薬酸化体を生成する、水素原子以外の基である。Aは、Aの離脱により生成した発色主薬酸化体が色素形成カプラーとカップリングして色素前駆体を形成した後に色素生成に伴なって離脱する基である。Aは窒素原子およびカプラーとともに色素を形成する基である。
【0027】
すなわち、前記一般式(I)で表される発色主薬酸化体前駆体から、Aが離脱して発色主薬酸化体を生成した後、色素形成カプラーとカップリングして、(A)(A)N−(カプラー)の構造を有する色素前駆体を生成し、更にAの離脱とともに、色素(A−N=カプラー)が生成する。従来のカップリング方式の発色系では、ハロゲン化銀などの酸化剤を用いるため、処理液や色素転写が必要であったが、前記一般式(I)で表される発色主薬酸化体前駆体は酸化剤を用いずにカップリングによる色素生成ができるので、処理液や色素転写が不要であり、簡便な処理で安価にカラー画像を形成することができる。
【0028】
前記Aとしては、下記一般式(II)または(III)で表される基が、前記Aとしては、下記一般式(IV)または(V)で表される基が、前記Aとしては、下記一般式(VI)で表される基が、それぞれ好ましい。
【化4】
Figure 2004223739
【0029】
前記一般式(II)中、Aは置換基を表し、nは0〜4の整数を表す。Aは、−OAまたは−N(A)Aを表し、A、AおよびAは、それぞれ独立に水素原子または置換基を表す。
前記一般式(III)中、Aはアリール基またはヘテロ環基を表し、A10は水素原子または置換基を表す。AとA10とは互いに結合して環を形成してもよい。前記Aで表される、前記アリール基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基等が挙げられ、前記ヘテロ環基としては、ピリジル基、キナゾリル基、チアジアゾリル基、ベンゾイソチアゾリル基等が挙げられる。
前記一般式(IV)中のA11および一般式(V)中のA12は、それぞれ独立に水素原子または置換基を表す。
前記一般式(VI)中、A13は、−O−、−S−、−N(A15)−または−C(A16)(A17)−を表し、A14並びにA15、A16およびA17は、それぞれ独立に置換基を表す。
【0030】
上記のA、A〜A、およびA10〜A17で表される置換基の例、および好ましい範囲などは、以下に詳しく述べるA18の例、および好ましい範囲などと同義である。
【0031】
前記一般式(I)で表される発色主薬酸化体前駆体は、特に下記一般式(VII)で表される化合物が好ましい。
【0032】
【化5】
Figure 2004223739
【0033】
前記一般式(VII)中、A18は置換基を表す。A18で表される置換基としては、例えば、ハロゲン原子(例えば、クロル、ブロム)、アルキル基(例えば、メチル、エチル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル)、アリール基(例えば、フェニル、トリル、キシリル)、ヘテロ環基(例えば、2−ピリジル、N−ピロリジニル)、カルボンアミド基(例えば、アセチルアミノ、プロピオニルアミノ、ブチロイルアミノ、ベンゾイルアミノ)、スルホンアミド基(例えば、メタンスルホニルアミノ、エタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノ、トルエンスルホニルアミノ)、アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ)、アリールオキシ基(例えばフェノキシ)、アルキルチオ基(例えばメチルチオ、エチルチオ、ブチルチオ)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ、トリルチオ)、アミノ基(無置換アミノ基、脂肪族基、芳香族基などで置換されたアミノ基、例えばメチルアミノ、フェニルアミノ)、カルバモイル基(脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基などで置換されたカルバモイル基、及び窒素原子同士が連結して環を形成したカルバモイル基、例えば、メチルカルバモイル、ジメチルカルバモイル、エチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、ジブチルカルバモイル、ピペリジノカルバモイル、モルホリノカルバモイル、フェニルカルバモイル、メチルフェニルカルバモイル、エチルフェニルカルバモイル、ベンジルフェニルカルバモイル)、
【0034】
スルファモイル基(脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基などで置換されたスルファモイル基、及び窒素原子同士が連結して環を形成したスルファモイル基、例えば、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、エチルスルファモイル、ジエチルスルファモイル、ジブチルスルファモイル、ピペリジノスルファモイル、モルホリノスルファモイル、フェニルスルファモイル、メチルフェニルスルファモイル、エチルフェニルスルファモイル、ベンジルフェニルスルファモイル)、シアノ基、スルホニル基(例えば、メタンスルホニル、エタンスルホニル、フェニルスルホニル、4−クロロフェニルスルホニル、p−トルエンスルホニル)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、ブトキシカルボニル)、アリールオキシカルボニル基(例えばフェノキシカルボニル)、アシル基(例えば、アセチル、プロピオニル、ブチロイル、ベンゾイル、アルキルベンゾイル)、ウレイド基(例えば、メチルアミノカルボンアミド、ジエチルアミノカルボンアミド)、ウレタン基(例えば、メトキシカルボンアミド、ブトキシカルボンアミド)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ、プロピオニルオキシ、ブチロイルオキシ)、等が挙げられる。
【0035】
前記A18は、更に置換基を有していてもよく、該置換基としては、前記A18で表される基と同様の基が挙げられる。前記A18で表される基(更に置換されたものも含む)の炭素数としては、0〜約36が好ましい。
【0036】
前記A18で表される基のうち、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アミノ基、カルボンアミド基、ウレイド基、ウレタン基、ハロゲン原子が好ましく、特に好ましいのはアルキル基である。
【0037】
前記一般式(VII)中のnは0〜4の整数を表し、nが2以上のとき、複数のA18は同一でも互いに異なっていてもよい。また、nが2以上のとき、複数のA18は互いに結合して環を形成していてもよい。中でも、nとしては0又は1が好ましい。
【0038】
前記A19、A20およびA21は、それぞれ独立に水素原子、置換基を表す。
前記A19又はA20の例としては、水素原子、または前記A18で表される置換基の例として挙げた基と同一のものが挙げられる。中でも、A19またはA20として好ましいのは、水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、スルホニル基、カルバモイル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アミノ基、アルキルオキシ基である。特に好ましいのは、アルキル基である。これらの基はさらに置換基を有してもよく、A18、A19およびA20は互いに結合して環を形成していてもよい。
【0039】
前記A21の例としては水素原子、または前記A18で表される置換基の例として挙げた基と同一のものが挙げられる。A21として好ましいのは、主薬酸化体とカプラーから色素前駆体が形成されたときに、カプラー離脱基と共に、O=C=N−A21分子として離脱することにより色素を生成するのに適した基であり、例えば、水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、スルホニル基、カルバモイル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アミノ基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基である。中でも特に好ましいのは、水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基である。
【0040】
前記A22は、−O−、−S−、−N(A25)−または−C(A26)(A27)−を表し、A25、A26およびA27はそれぞれ独立に置換基を表す。また、前記A23は、=O、=S、=N−A28または=C(A29)−C(A30)=N−A31を表し、A28、A29、A30およびA31はそれぞれ独立に置換基を表す。また更に、前記A24は置換基を表す。
【0041】
前記A24、A25、A26、A27、A28、A29、A30またはA31で表される置換基の例としては、前記A18で表される置換基の例として挙げた基と同一のものが挙げられる。
【0042】
一般式(VII)中、−A22−C(=A23)−A24で表される基として好ましいのは、加熱や他の化合物の作用により、一般式(I)で表される主薬酸化体前駆体から離脱し、主薬酸化体を生成するのに適した基であり、例えば、下記一般式(XIII)、(XIV)、(XV)または(XVI)で表される基が挙げられる。
【0043】
【化6】
Figure 2004223739
【0044】
前記一般式(XIII)〜(XVI)中、A32〜A40はいずれも置換基を表し、A41は前記A23と同義である。前記A32〜A38としては、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、スルホニル基、カルバモイル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アミノ基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基が好ましく、特にアルキル基が好ましい。前記A39としては、−C(=A41)−A40で表される基またはヘテロ環基が好ましい。前記A40としては、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヒドラジノ基が好ましい。
【0045】
前記一般式(XIII)〜一般式(XVI)のうち、特に好ましいのは一般式(XIII)で表される基である。
【0046】
以下、前記一般式(I)で表される発色主薬酸化体前駆体の具体例(例示化合物I−1〜I−69)を示す、ただし、本発明においてはこれらに制限されるものではない。
【0047】
【化7】
Figure 2004223739
【0048】
【化8】
Figure 2004223739
【0049】
【化9】
Figure 2004223739
【0050】
【化10】
Figure 2004223739
【0051】
【化11】
Figure 2004223739
【0052】
【化12】
Figure 2004223739
【0053】
【化13】
Figure 2004223739
【0054】
【化14】
Figure 2004223739
【0055】
【化15】
Figure 2004223739
【0056】
【化16】
Figure 2004223739
【0057】
【化17】
Figure 2004223739
【0058】
【化18】
Figure 2004223739
【0059】
【化19】
Figure 2004223739
【0060】
【化20】
Figure 2004223739
【0061】
【化21】
Figure 2004223739
【0062】
【化22】
Figure 2004223739
【0063】
【化23】
Figure 2004223739
【0064】
【化24】
Figure 2004223739
【0065】
次に、前記一般式(I)で表される発色主薬酸化体前駆体の合成例を示す。
〔合成例1〕:例示化合物(I−1)の合成
下記発色主薬(1−A)100g(271ミリモル)を酢酸エチル500mlと水1000mlの混合液に溶解し、炭酸水素ナトリウム136g(1.62モル)とクロロギ酸フェニル38.14g(244ミリモル)を加えた。1時間攪拌した後、有機層を分取し、無水硫酸マグネシウムで脱水した後、減圧濃縮した。アセトニトリル500mlと下記アミン(1−B)74.68g(256ミリモル)とを加えて2時間加熱還流した。得られた反応液を減圧濃縮した後、メタノール1lと水100mlを加えて、析出した結晶を濾取し、下記発色主薬(1−C)110.4g(187ミリモル)を得た。得られた発色主薬(1−C)100g(170ミリモル)を酢酸エチル600mlに溶解し、ピロリジン−N−ジチオカルバミン酸アンモニウム55.80g(340ミリミル)と二酸化マンガン700gとを加え、2時間攪拌した。その反応液を濾過した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、目的とする例示化合物(I−1)65g(88.5ミリモル)を得た。
【0066】
【化25】
Figure 2004223739
【0067】
〔合成例2〕:例示化合物(I−2)の合成
下記発色主薬(2−A)20g(93ミリモル)を酢酸エチル100mlと飽和炭酸水素ナトリウム水溶液200mlとの混合液に溶解し、イソシアン酸オクタデシル27.52g(93ミリモル)を加え、攪拌した。1時間後析出した結晶を濾取し、水と酢酸エチルで洗浄した後、乾燥させ、下記発色主薬(2−B)40.3g(85.1ミリモル)を得た。得られた発色主薬(2−B)10.0g(21.1ミリモル)と、ピロリジン−N−ジチオカルバミン酸アンモニウム6.93g(42.2ミリモル)とをジクロロメタン60mlに溶解させ、二酸化マンガン60g(690ミリモル)を加えて1時間攪拌した。その反応液をセライト濾過した後、ろ液をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、目的とする例示化合物(I−2)4.43g(7.16ミリモル)を得た。
【0068】
【化26】
Figure 2004223739
【0069】
〔合成例3〕:例示化合物(I−10)の合成
上記の合成例2と同様にして合成した下記発色主薬(10−A)10g(17.6ミリモル)とエチルキサントゲン酸カリウム4.24g(26.5ミリモル)とを塩化メチレンに懸濁し、二酸化マンガン40gを加えて1時間攪拌した。得られた反応液を濾過した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、目的とする例示化合物(I−10)10g(14.6ミリモル)を得た。
【0070】
【化27】
Figure 2004223739
【0071】
〔合成例4〕:例示化合物(I−17)の合成
下記発色主薬(17−A)20.79g(79.27ミリモル)と下記化合物(17−B)15g(79.27ミリモル)とを、酢酸エチル100mlおよび飽和炭酸水素ナトリウム水溶液300mlの混合液に溶解させ、さらに過硫酸アンモニウム21.71g(95.12ミリモル)を加えた。有機層を分液し、無水硫酸ナトリウムで脱水した後、減圧濃縮した。アルミナカラムクロマトグラフィーで精製し、目的とする例示化合物(I−17)16g(45.5ミリモル)を得た。
【0072】
【化28】
Figure 2004223739
【0073】
〔合成例5〕:例示化合物(I−18)の合成
上記の例示化合物(I−17)15g(42.7ミリモル)をイソシアン酸ブチル30mlに溶解させ、50℃で72時間攪拌した。その反応液をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、目的とする例示化合物(I−18)1.8g(3.99ミリモル)を得た。
【0074】
なお、前記発色主薬酸化体前駆体として、重合性基を有する化合物を選択して含有した場合には、後述する重合性モノマーを含有することなく光硬化性の層を構成することもできる。また、目的等に応じて、重合性モノマーを含んで光硬化性とした層と共に、重合性基を有する発色主薬酸化体前駆体を含んで光硬化性とした層を積層するようにしてもよい。これは、後述する色素形成カプラー、ジアゾ化合物およびカプラー化合物においても同様である。
【0075】
前記一般式(I)で表される発色主薬酸化体前駆体は、一種単独でも複数種を併用してもよい。
前記一般式(I)で表される発色主薬酸化体前駆体の層中における含有量としては、0.1〜5g/mが好ましく、0.2〜3g/mがより好ましい。該含有量が、0.1g/m未満であると、所望とする発色濃度が得られないことがあり、5g/mを超えると、耐光性が低下することがある。
【0076】
−色素形成カプラー−
色素形成カプラーは、既述の発色主薬酸化体前駆体と反応して色素を形成し、発色させるものである。色素形成カプラーとしては、下記一般式(1)〜(12)で表される化合物が好適に挙げられる。これらはそれぞれ、一般に活性メチレン、ピラゾロン、ピラゾロアゾール、フェノール、ナフトール、ピロロトリアゾールと総称される化合物である。
【0077】
【化29】
Figure 2004223739
【0078】
【化30】
Figure 2004223739
【0079】
【化31】
Figure 2004223739
【0080】
前記一般式(1)〜(4)で表される化合物は、活性メチレン系カプラーと称されるカプラーである。式中、R14は、置換基を有してもよいアシル基、シアノ基、ニトロ基、アリール基、ヘテロ環残基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、アルキルスルホニル基、またはアリールスルホニル基を表す。
【0081】
前記一般式(1)〜(3)中のR15は、置換基を有してもよい、アルキル基、アリール基、またはヘテロ環残基を表す。また、前記一般式(4)中のR16は、置換基を有してもよい、アリール基、またはヘテロ環残基を表す。R14、R15およびR16が有してもよい置換基としては、前記A18で表される置換基の例として挙げたものが挙げられる。
【0082】
前記一般式(1)〜(4)中、Yは、水素原子または発色主薬酸化体とのカップリング反応により離脱可能な置換基を表す。Yの具体例としては、カルボキシル基、ホルミル基、ハロゲン原子、カルバモイル基、置換基を有するメチレン基(置換基としては、アリール基、スルホンアミド基、カルボンアミド基、アルコキシ基、アミノ基、水酸基など)、アシル基、スルホ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、カルバモイルオキシ基、スルファモイルオキシ基、N置換ヘテロ環基、等が挙げられる。
【0083】
これらの中でも、特に離脱原子として、ハロゲン原子、S原子、O原子を有する離脱基が特に好ましい。また、前記R14とR15、R14とR16とは各々互いに結合して環を形成してもよい。
【0084】
前記一般式(5)で表される化合物は、5−ピラゾロン系カプラーと称されるカプラーである。式中、R17は、アルキル基、アリール基、アシル基、またはカルバモイル基を表し、R18は、フェニル基、ハロゲン原子、またはアルキル基、シアノ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基およびアシルアミノ基から選ばれる原子若しくは基の少なくとも1個で置換されたフェニル基を表す。
一般式(5)で表される5−ピラゾロン系カプラーの中でも、R17がアリール基またはアシル基であり、R18が1個以上のハロゲン原子が置換したフェニル基であるものが好ましい。
【0085】
これらの好ましい基について詳述する。すなわち、
前記R17の好ましいものとしては、フェニル基、2−クロロフェニル基、2−メトキシフェニル基、2−クロロ−5−テトラデカンアミドフェニル基、2−クロロ−5−(3−オクタデセニル−1−スクシンイミド)フェニル基、2−クロロ−5−オクタデシルスルホンアミドフェニル基または2−クロロ−5−〔2−(4−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェノキシ)テトラデカンアミド〕フェニル基等のアリール基またはアセチル基、2−(2,4−ジ−t−ペンチルフェノキシ)ブタノイル基、ベンゾイル基、3−(2,4−ジ−t−アミルフェノキシアセトアミド)ベンゾイル基等のアシル基であり、これらはさらに置換基を有してもよく、それらは炭素原子、酸素原子、窒素原子またはイオウ原子で連結する有機置換基またはハロゲン原子である。
【0086】
前記R18は、2,4,6−トリクロロフェニル基、2,5−ジクロロフェニル基、2−クロロフェニル基等の置換フェニル基が好ましい。
また、前記一般式(5)中のYは、前記一般式(1)〜(4)におけるYと同義である。
【0087】
前記一般式(6)で表される化合物は、ピラゾロアゾール系カプラーと称されるカプラーである。式中、R19は、水素原子または置換基を表し、Qは、窒素原子を2〜4個含む5員のアゾール環を形成するのに必要な非金属原子群を表し、該アゾール環は置換基(縮合環を含む)を有してもよい。
【0088】
前記一般式(6)で表されるピラゾロアゾール系カプラーの中でも、発色色素の分光吸収特性の点で、米国特許第4,500,630号に記載のイミダゾ〔1,2−b〕ピラゾール類、米国特許第4,500,654号に記載のピラゾロ〔1,5−b〕−1,2,4−トリアゾール類、米国特許第3,725,067号に記載のピラゾロ〔5,1−c〕−1,2,4−トリアゾール類が好ましい。
【0089】
前記R19、Qで表されるアゾール環の置換基の詳細については、例えば、米国特許第4,540,654号明細書中の第2カラム第41行〜第8カラム第27行に記載されている。好ましくは、特開昭61−65245号に記載の、分岐アルキル基がピラゾロトリアゾール基の2位,3位または6位に直結したピラゾロアゾールカプラー、特開昭61−65245号に記載の、分子内にスルホンアミド基を含むピラゾロアゾールカプラー、特開昭61−147254号に記載の、アルコキシフェニルスルホンアミドバラスト基を持つピラゾロアゾールカプラー、特開昭62−209457号若しくは同63−307453号に記載の、6位にアルコキシ基やアリールオキシ基を持つピラゾロトリアゾールカプラー、特願平1−22279号に記載の、分子内にカルボンアミド基を持つピラゾロトリアゾールカプラーである。前記一般式(6)中のYも、一般式(1)〜(4)におけるYと同義である。
【0090】
前記一般式(7)又は(8)で表される化合物は、各々フェノール系カプラー、またはナフトール系カプラーと称されるカプラーである。式中、R20は、水素原子、または−CONR2223、−SONR2223、−NHCOR22、−NHCONR2223、及び−NHSONR2223から選ばれる基を表す。R22、R23は、それぞれ独立に水素原子または置換基を表す。また、R21は、置換基を表し、lは0〜2の整数を、mは0〜4の整数を各々表す。l、mが2以上のときには、複数のR21は同一でもそれぞれ異なっていてもよい。R21〜R23で表される置換基としては、前記A18で表される置換基の例として挙げたものが挙げられる。一般式(7)又は(8)中のYは、前記一般式(1)〜(4)中のYと同義である。
【0091】
前記一般式(7)で表されるフェノール系カプラーの好ましい例としては、米国特許第2,369,929号、同第2,801,171号、同第2,772,162号、同第2,895,826号、同第3,772,002号等に記載の2−アシルアミノ−5−アルキルフェノール系、米国特許第2,772,162号、同第3,758,308号、同第4,126,396号、同第4,334,011号、同第4,327,173号、***特許公開第3,329,729号、特開昭59−166956号等に記載の2,5−ジアシルアミノフェノール系、米国特許第3,446,622号、同第4,333,999号、同第4,451,559号、同第4,427,767号等に記載の2−フェニルウレイド−5−アシルアミノフェノール系を挙げることができる。
【0092】
前記一般式(8)で表されるナフトールカプラーの好ましい例としては、米国特許第2,474,293号、同第4,052,212号、同第4,146,396号、同第4,282,233号、同第4,296,200号等に記載の2−カルバモイル−1−ナフトール系及び米国特許第4,690,889号等に記載の2−カルバモイル−5−アミド−1−ナフトール系等を挙げることができる。
【0093】
前記一般式(9)〜(12)で表される化合物は、ピロロトリアゾールと称されるカプラーである。式中、R32、R33、およびR34は、それぞれ独立に水素原子または置換基を表す。R32、R33、またはR34で表される置換基としては、前記A18で表される置換基の例として挙げたものが挙げられる。Yは、前記一般式(1)〜(4)におけるYと同義である。
【0094】
前記一般式(9)〜(12)で表されるピロロトリアゾール系カプラーの好ましい例としては、欧州特許第488,248A1号、同第491,197A1号、同第545,300号に記載の、R32およびR33の少なくとも一方が電子吸引性基であるカプラーが挙げられる。
【0095】
そのほか、縮環フェノール系、イミダゾール系、ピロール系、3−ヒドロキシピリジン系、活性メチレン系、活性メチン系、5,5−縮環複素環系、5,6−縮環複素環系などの各構造を有するカプラーを使用することができる。
【0096】
前記縮環フェノール系カプラーとしては、米国特許第4,327,173号、同第4,564,586号、同第4,904,575号等に記載のカプラーを、前記イミダゾール系カプラーとしては、米国特詐第4,818,672号、同第5,051,347号等に記載のカプラーを、前記3−ヒドロキシピリジン系カプラーとしては、特開平1−315736号等に記載のカプラーを、各々使用することができる。
【0097】
また、前記活性メチレン系、活性メチン系カプラーとしては、米国特許第5,104,783号、同第5,162,196号等に記載のカプラーを、前記5,5−縮環複素環系カプラーとしては、米国特許第5,164,289号に記載のピロロピラゾール系カプラー、特開平4−174429号に記載のピロロイミダゾール系カプラー等を、前記5,6−縮環複素環系カプラーとしては、米国特許第4,950,585号に記載のピラゾロピリミジン系カプラー、特開平4−204730号に記載のピロロトリアジシン系カプラー、欧州特許第556,700号に記載のカプラー等、を各々使用することができる。
【0098】
また更に、上記のカプラー以外に、***特許第3,819,051A号、同第3,823,049号、米国特許第4,840,883号、同第5,024,930号、同第5、051,347号、同第4,481,268号、欧州特許第304,856A2号、同第329,036号、同第354,549A2号、同第374,781A2号、同第379,110A2号、同第386,930A1号、特開昭63−141055号、同64−32260号、同64−32261号、特開平2−297547号、同2−44340号、同2−110555号、同3−7938号、同3−160440号、同3−172839号、同4−172447号、同4−179949号、同4−182645号、同4−184437号、同4−188138号、同4−188139号、同4−194847号、同4−204532号、同4−204731号、同4−204732号等に記載のカプラーも使用できる。
【0099】
既述の一般式(I)で表される発色主薬酸化体前駆体のAが、カップリング後に窒素原子との結合電子を伴って離脱する基(例えばスルホニル基)の場合には4当量カプラーと組合せることが好ましく、窒素原子との結合電子を残して離脱する基(例えばカルバモイル基)の場合には2当量カプラーと組合せることが好ましい。
【0100】
本発明に係る色素形成カプラーの好ましい具体例としては、特開2001−63223公報、特開2001−100404公報に記載の4当量カプラーおよび2当量カプラーの具体例C−1〜C−153が挙げられ、中でも以下に示す例示化合物(1)〜(11)が特に好ましい。ただし、本発明においてはこれらに制限されるものではない。
【0101】
【化32】
Figure 2004223739
【0102】
【化33】
Figure 2004223739
【0103】
【化34】
Figure 2004223739
【0104】
色素形成カプラーは、一種単独でも複数種を併用してもよい。
前記色素形成カプラーの発色層における含有量としては、既述の発色主薬酸化体前駆体の量に対して、10〜1000モル%が好ましく、20〜200モル%がより好ましい。該含有量が、10モル%未満であると、所望の濃度が得られないことがあり、1000モル%を超えると、耐熱性が低下することがある。
【0105】
上記の一般式(I)で表される発色主薬酸化体前駆体と色素形成カプラーとを発色成分とし、好ましくは、発色主薬酸化体前駆体を固体微粒子状態で含み、これと反応して発色させる色素形成カプラーを(より好ましくは後述の金属塩と共に)マイクロカプセルに内包して含むことによって、光開始剤および重合性モノマーを併用することなく、非定着な画像形成プロセスにおいて熱印加後の保存性(特に耐光性、耐熱性)に優れた画像を形成することができる。そのため、画像形成に際して定着作業や定着のための装置が不要となり、より簡便かつ安価に画像形成することができる。しかも、形成された画像は耐光性、耐熱性等の保存性に優れる。
【0106】
−金属塩−
本発明に係る発色層は、金属塩を含有することが好ましい。この金属塩を含有することにより、熱印画後の形成画像の保存安定性をより向上させることができ、さらに金属塩を既述の色素形成カプラーと共にマイクロカプセルに内包して含有することでより効果的に画像の保存安定性を向上させることができる。
【0107】
前記金属塩としては、特開2001−142203公報に記載の、一般式(13)で表される活性化剤や、特開2001−254026公報に記載のメソイオン錯体などが好適に挙げられる。前記活性化剤、メソイオン錯体における好ましい金属(金属塩)は、チタン、バナジウム、マンガン、鉄、亜鉛、銅、ジルコニウム、モリブデン、パラジウム、銀、スズ、タングステン、イリジウム、白金、金、鉛(これらの金属塩)であり、特に画像保存性の向上に効果的である点で銀(銀塩)が好ましい。
【0108】
以下、本発明において公的な金属塩の具体例(例示化合物II−1〜II−5)を示す。ただし、本発明においてはこれらに制限されるものではない。
【0109】
【化35】
Figure 2004223739
【0110】
前記金属塩の層中における含有量としては、発色主薬酸化体前駆体に対して、10〜1000モル%が好ましく、20〜200モル%がより好ましい。該含有量が、10モル%未満であると、充分な画像保存性が得られないことがあり、1000モル%を超えると、耐熱性が低下することがある。
【0111】
−光重合性組成物−
本発明に係る光重合性組成物は、重合性モノマーと光重合開始剤とを含んでなり、必要に応じて分光増感色素などの成分を含んで構成することができる。
【0112】
〈重合性モノマー〉
重合性モノマーは、重合性基を有するモノマーであり、重合性基を有するモノマーとしては、例えば、不飽和カルボン酸若しくはその塩と脂肪族アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族アミン化合物とのアミド等が挙げられる。
【0113】
前記不飽和カルボン酸としては、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等が挙げられる。前記不飽和カルボン酸の塩としては、前述の不飽和カルボン酸のナトリウム塩及びカリウム塩等が挙げられる。
【0114】
前記不飽和カルボン酸若しくはその塩と脂肪族アルコール化合物とのエステルとしては、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、イタコン酸エステル、クロトン酸エステル、イソクロトン酸エステル等が挙げられる。これらを更に具体的に説明する。
【0115】
前記アクリル酸エステルとしては、例えば、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールトリアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー等が挙げられる。
【0116】
前記メタクリル酸エステルとしては、例えば、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ビス−〔p−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメチルメタン、ビス−〔p−(アクリルオキシエトキシ)フェニル〕ジメチルメタン等が挙げられる。
【0117】
前記イタコン酸エステルとしては、例えば、エチレングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタコネート、1,3−ブタンジオールジイタコネ−ト、1,4−ブタンジオールジイタコネ−ト、テトラメチレングリコ−ルジイタコネート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ソルビトールテトライタコネート等が挙げられる。
前記クロトン酸エステルとしては、例えば、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラクロトネート等が挙げられる。
【0118】
前記イソクロトン酸エステルとしては、例えば、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート等がある。マレイン酸エステルとしては、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレート等が挙げられる。
これらエステルは、1種単独でも2種以上を併用してもよい。
【0119】
前記不飽和カルボン酸と脂肪族アミン化合物とのアミドとしては、例えば、メチレンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド、等が挙げられる。
【0120】
上記のほか、特公昭48−41708号公報に記載の、1分子中に2種以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に下記式で示されるビニルモノマーを付加させた、1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等、
CH=C(R)COOCHCH(R)OH
〔式中、Rは、水素原子またはメチル基を表す。〕
さらに、ビニル基またはビニリデン基を有する高分子化合物、例えば、側鎖にヒドロキシル基、アミノ基、エポキシ基、ハロゲン原子、又はスルホニルオキシ基を有する高分子化合物とアクリル酸、メタクリル酸又はこれらの誘導体との縮合化合物、等が挙げられる。
【0121】
前記重合性モノマーは、一種単独でも二種以上を併用してもよい。
前記重合性モノマーの含有量としては、後述する光重合開始剤1質量部に対して、10〜50質量部が好ましく、20〜40質量部がより好ましい。該含有量が、10質量部未満であると、発色濃度が低下することがあり、50質量部を超えると、形成画像の保存安定性の低下を引き起こすことがある。また、重合性モノマーの光硬化性層における含有量としては、光硬化性層の固形分質量に対して、通常1〜99.99質量%、好ましくは5〜90.0質量%、更に好ましくは10〜70質量%である。
【0122】
〈光重合開始剤〉
光重合開始剤としては、ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4−ジメチルアミノベンゾフェノン、4−ジメチルアミノアセトフェノン、ベンジルアントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、2−メチルアントラキノン、キサントン、チオキサントン、2−クロルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、フルオレノン、アクリドン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド等のビスアシルフォスフィンオキサイド類、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド類等の芳香族ケトン類;
【0123】
ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾイン及びベンゾインエーテル類;2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二重体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール二重体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二重体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二重体等の2,4,6−トリアリールイミダゾール二重体;四臭化炭素、フェニルトリブロモメチルスルホン、フェニルトリクロロメチルケトン等のポリハロゲン化合物;
特開昭59−133428号、特公昭57−1819号、特公昭57−6096号、米国特許第3615455号に記載の化合物;
【0124】
2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−S−トリアジン、2−メトキシ−4,6−ビス(トリクロロメチル)−S−トリアジン、2−アミノ−4,6−ビス(トリクロロメチル)−S−トリアジン、2−(P−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−S−トリアジン等の特開昭58−29803号記載のトリハロゲン置換メチル基を有するS−トリアジン誘導体;
【0125】
メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジターシャリ−ブチルジパーオキシイソフタレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、ターシャリ−ブチルパーオキシベンゾエート、a,a’−ビス(ターシャリ−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、ジクミルパーオキサイド、3,3’,4,4’−テトラ−(ターシャリイブチルバーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等の特開昭59−189340号記載の有機過酸化物;
【0126】
米国特許第4743530号に記載のアジニウム塩化合物;トリフェニールブチールボレートのテトラメチルアンモニウム塩、トリフェニールブチールボレートのテトラブチルアンモニウム塩、トリ(P−メトキシフェニール)ブチールボレートのテトラメチルアンモニウム塩等のヨーロッパ特許第0223587号に記載の有機ホウ素化合物;その他ジアリールヨードニウム塩類や鉄アレン錯体等が挙げられる。
【0127】
また、二種又はそれ以上の化合物を組合わせたものも知られており、これらも本発明に係る光重合性組成物に使用することができる。
二種又はそれ以上の化合物の組合せの例としては、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体とメルカプトベンズオキサゾール等との組合せ、米国特許第3427161号明細書に記載の4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノンとベンゾフェノン又はベンゾインメチルエーテルとの組合せ、米国特許第4239850号明細書に記載のベンゾイル−N−メチルナフトチアゾリンと2,4−ビス(トリクロロメルチ)−6−(4’−メトキシフェニル)−トリアゾールの組合せ、特開昭57−23602号明細書に記載のジアルキルアミノ安息香酸エステルとジメチルチオキサントンの組合せ、特開昭59−78339号明細書の4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノンとベンゾフェノンとポリハロゲン化メチル化合物の三種の組合わせ等が挙げられる。
【0128】
また、その他の光重合開始剤として、特開昭62−143044号、特開平9−188685号、特開平9−188686号、特開平9−188710号等の各公報に記載の有機ボレート化合物、またはカチオン性色素から得られる分光増感色素系ボレート化合物等が挙げられる。
【0129】
前記ボレート化合物を光重合開始剤として含有する光重合性組成物には、好ましくは色素が含有される。該色素としては、300〜1000nmに最大吸収波長を有する分光増感色素が好適に挙げられる。この分光増感色素をボレート化合物と共存させることにより、その分光吸収波長領域の露光光源に効率よく感応するため、高感度化が図られ、かつ紫外〜赤外領域にある任意の光源を用いることによって、ボレート化合物からのラジカルの発生を制御することができる。
【0130】
前記分光増感色素として上記波長領域にある分光増感色素から任意に選択し、用いる光源に適合するよう感光波長を調整する目的で使用することにより、高感度を得ることができる。したがって、例えば、異なる色相に発色する単色層を複数積層した多色感熱記録材料を用いてカラー画像を形成する場合には、発色色相の異なる各単色層中に異なる吸収波長を有する分光増感色素を存在させ、その吸収波長に適合した光源を用いることにより、複数の層が積層された構成であっても各層(各色)の高感度化が図れる。
【0131】
前記分光増感色素としては、公知のカチオン性色素、中性色素又はアニオン性色素を使用することができる。該分光増感色素の具体例としては、「リサーチ ディスクロージャー」(Vol.200,1980年12月、Item 20036)や「増感剤」(p.160〜p.163、講談社;徳丸克己・大河原信/編、1987年)等に記載のものが挙げられる。具体的には、特開昭58−15603号に記載の3−ケトクマリン化合物、特開昭58−40302号に記載のチオピリリウム塩、特公昭59−28328号、同60−53300号に記載のナフトチアゾールメロシアニン化合物、特公昭61−9621号、同62−3842号、特開昭59−89303号、同60−60104号に記載のメロシアニン化合物が挙げられる。
【0132】
また、「機能性色素の化学」(1981年、CMC出版社、p.393〜p.416)や「色材」(60〔4〕p.212〜224(1987))等に記載の色素が挙げられ、具体的には、カチオン性メチン色素、カチオン性カルボニウム色素、カチオン性キノンイミン色素、カチオン性インドリン色素、カチオン性スチリル色素などが挙げられる。
【0133】
前記分光増感色素には、クマリン(ケトクマリン又はスルホノクマリンを含む)色素、メロスチリル色素、オキソノール色素、ヘミオキソノール色素等のケト色素;非ケトポリメチン色素、トリアリールメタン色素、キサンテン色素、アントラセン色素、ローダミン色素、アクリジン色素、アニリン色素、アゾ色素等の非ケト色素;アゾメチン色素、シアニン色素、カルボシアニン色素、ジカルボシアニン色素、トリカルボシアニン色素、ヘミシアニン色素、スチリル色素等の非ケトポリメチン色素;アジン色素、オキサジン色素、チアジン色素、キノリン色素、チアゾール色素等のキノンイミン色素等が含まれる。これら分光増感色素は、一種単独でも二種以上を併用してもよい。
【0134】
前記分光増感色素を適宜使用することにより、光重合性組成物における光重合開始剤の分光感度を紫外〜赤外域に得ることができる。
【0135】
前記分光増感色素と前記ボレート化合物との使用比率は、高感度化と定着時における光照射による消色性の向上を図る点で重要である。光重合反応に必要な分光増感色素/ボレート化合物の比(=1/1:モル比)に加え、更に層内に残存する分光増感色素を十分に消色するのに必要な量のボレート化合物を添加することが、十分な高感度化と消色性能を得る点で好ましい。
【0136】
すなわち、分光増感色素/ボレート化合物の比は、1/1〜1/50の範囲が好ましく、1/1.2〜1/30の範囲がより好ましく、1/1.2〜1/20の範囲が最も好ましい。分光増感色素の量がボレート化合物の量に対して、1/1を超えると十分な重合反応性と消色性を得られないことがあり、1/50未満であると、塗布適性が劣化することがある。
【0137】
前記分光増感色素と前記ボレート化合物との総質量は、既述の重合性モノマーの含有量に対し、0.1〜25質量%が好ましく、0.1〜20質量%がより好ましく、0.1〜15質量%が最も好ましい。該総質量が、0.1質量%未満であると充分に硬化できず色分画性が低下することがあり、25質量%を超えると画像の保存安定性が低下すると共に塗布適性が低下することがある。
また、前記分光感増感色素の含有量としては、光硬化性層の総質量に対して、0.1〜5質量%が好ましく、0.5〜2質量%がより好ましい。
【0138】
また、上記の分光感増感色素およびボレート化合物は、予め混合してから酸化体発色層形成用の塗布液に添加してもよく、参加体発色層形成用の塗布液を調製する際に分光感増感色素とボレート化合物とを別々に添加してもよい。
【0139】
本発明に係る光重合性組成物には、重合反応を促進する目的で、助剤として、酸素除去剤(Oxygen Scavenger)または活性水素ドナーの連鎖移動剤等の還元剤や連鎖移動的に重合を促進するその他の化合物を更に添加することができる。
【0140】
前記酸素除去剤としては、ホスフィン、ホスホネート、ホスファイト、第1銀塩又は酸素により容易に酸化されるその他の化合物が挙げられる。具体的には、N−フェニルグリシン、トリメチルバルビツール酸、N,N−ジメチル−2,6−ジイソプロピルアニリン、N,N,N−2,4,6−ペンタメチルアニリン酸が挙げられる。更に、チオール類、チオケトン類、トリハロメチル化合物、ロフィンダイマー化合物、ヨードニウム塩類、スルホニウム塩類、アジニウム塩類、有機過酸化物、アジド類等も重合促進剤として有用である。
【0141】
−ジアゾ化合物−
前記ジアゾ化合物としては、下記式で表される化合物が好ましい。
Ar−N ・Y
〔式中、Arは芳香族環基を表し、Yは酸アニオンを表す。〕
【0142】
このジアゾ化合物は加熱によって、後述するカプラー化合物とカップリング反応を起こして発色すると共に、光によって分解する化合物である。上記のジアゾ化合物はAr部分の置換基の位置や種類によって、その最大吸収波長を制御することが可能である。
【0143】
前記Arとしては、置換または無置換のアリール基を表し、該置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、カルボアミド基、スルホニル基、スルファモイル基、スルホンアミド基、ウレイド基、ハロゲン基、アミノ基、ヘテロ環基、等が挙げられ、これら置換基は、更に置換されていてもよい。
【0144】
前記アリール基としては、炭素原子数6〜30のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、2−メチルフェニル基、2−クロロフェニル基、2−メトキシフェニル基、2−ブトキシフェニル基、2−(2−エチルヘキシルオキシ)フェニル基、2−オクチルオキシフェニル基、3−(2,4−ジ−t−ペンチルフェノキシエトキシ)フェニル基、4−クロロフェニル基、2,5−ジクロロフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、3−クロロフェニル基、3−メチルフェニル基、3−メトキシフェニル基、3−ブトキシフェニル基、3−シアノフェニル基、3−(2−エチルヘキシルオキシ)フェニル基、3,4−ジクロロフェニル基、3,5−ジクロロフェニル基、3,4−ジメトキシフェニル基、
【0145】
3−(ジブチルアミノカルボニルメトキシ)フェニル基、4−シアノフェニル基、4−メチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−ブトキシフェニル基、4−(2−エチルヘキシルオキシ)フェニル基、4−ベンジルフェニル基、4−アミノスルホニルフェニル基、4−N,N−ジブチルアミノスルホニルフェニル基、4−エトキシカルボニルフェニル基、4−(2−エチルヘキシルカルボニル)フェニル基、4−フルオロフェニル基、3−アセチルフェニル基、2−アセチルアミノフェニル基、4−(4−クロロフェニルチオ)フェニル基、4−(4−メチルフェニル)チオ−2,5−ブトキシフェニル基、4−(N−ベンジル−N−メチルアミノ)−2−ドデシルオキシカルボニルフェニル基等が挙げられる。また、これらの基は、さらにアルキルオキシ基、アルキルチオ基、置換フェニル基、シアノ基、置換アミノ基、ハロゲン原子、ヘテロ環基等により置換されていてもよい。
【0146】
塩を形成するジアゾニウムの具体例としては、4−(p−トリルチオ)−2,5−ジブトキシベンゼンジアゾニウム、4−(4−クロロフェニルチオ)−2,5−ジブトキシベンゼンジアゾニウム、4−(N,N−ジメチルアミノ)ベンゼンジアゾニウム、4−(N,N−ジエチルアミノ)ベンゼンジアゾニウム、4−(N,N−ジプロピルアミノ)ベンゼンジアゾニウム、4−(N−メチル−N−ベンジルアミノ)ベンゼンジアゾニウム、4−(N,N−ジベンジルアミノ)ベンゼンジアゾニウム、4−(N−エチル−N−ヒドロキシエチルアミノ)ベンゼンジアゾニウム、4−(N,N−ジエチルアミノ)−3−メトキシベンゼンジアゾニウム、4−(N,N−ジメチルアミノ)−2−メトキシベンゼンジアゾニウム、4−(N−ベンゾイルアミノ)−2,5−ジエトキシベンゼンジアゾニウム、4−モルホリノ−2,5−ジブトキシベンゼンジアゾニウム、
【0147】
4−アニリノベンゼンジアゾニウム、4−〔N−(4−メトキシベンゾイル)アミノ〕−2.5−ジエトキシベンゼンジアゾニウム、4−ピロリジノ−3−エチルベンゼンジアゾニウム、4−〔N−(1−メチル−2−(4−メトキシフェノキシ)エチル)−N−ヘキシルアミノ〕−2−ヘキシルオキシベンゼンジアゾニウム、4−〔N−(2−(4−メトキシフェノキシ)エチル)−N−ヘキシルアミノ〕−2−ヘキシルオキシベンゼンジアゾニウム、2−(1−エチルプロピルオキシ)−4−〔ジ−(ジ−n−ブチルアミノカルボニルメチル)アミノ〕ベンゼンジアゾニウム等が挙げられる。また、環式のジアゾ化合物でもよく、その例としては、米国特許5,773,186号明細書に記載されているものを挙げることができる。
【0148】
以下、ジアゾ化合物の好適な具体例を示す。ただし、本発明においてはこれらに限定されるものではない。
【0149】
【化36】
Figure 2004223739
【0150】
【化37】
Figure 2004223739
【0151】
【化38】
Figure 2004223739
【0152】
【化39】
Figure 2004223739
【0153】
【化40】
Figure 2004223739
【0154】
【化41】
Figure 2004223739
【0155】
ジアゾ化合物の最大吸収波長λmaxは、450nm以下であることが効果の点から好ましく、290〜440nmであることがより好ましい。また、ジアゾ化合物は、炭素原子数が12以上で、水に対する溶解度が1%以下で、かつ酢酸エチルに対する溶解度が5%以上であることが望ましい。なお、ジアゾ化合物は、単独で用いてもよいし、さらに色相調整等の諸目的に応じて、2種以上を併用することもできる。
【0156】
前記ジアゾ化合物のジアゾ発色層における含有量としては、0.01〜3g/mが好ましく、0.02〜1.0g/mがより好ましい。該含有量が、0.1g/m未満であると十分な発色濃度が得られ難く、3g/mを超えると塗布液の塗布適性が劣化することがある。
【0157】
−カプラー化合物−
前記カプラー化合物は、塩基性雰囲気および/または中性雰囲気で前記ジアゾ化合物と熱時カップリング反応して色素形成し発色させる化合物であり、色相調整など種々の目的に応じて、複数種を併用することができる。
【0158】
例えば、カルボニル基の隣にメチレン基を有するいわゆる活性メチレン化合物、フェノール誘導体、ナフトール誘導体などが挙げられる。具体的には、レゾルシン、フロログルシン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン−6−スルホン酸ナトリウム、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸モルホリノプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸ナトリウム、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸アニリド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸モルホリノプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸−2−エチルヘキシルオキシプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸−2−エチルヘキシルアミド、5−アセトアミド−1−ナフトール、
【0159】
1−ヒドロキシ−8−アセトアミドナフタレン−3,6−ジスルホン酸ナトリウム、1−ヒドロキシ−8−アセトアミドナフタレン−3,6−ジスルホン酸ジアニリド、1,5−ジヒドロキシナフタレン、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸モルホリノプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸オクチルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸アニリド、5,5−ジメチル−1,3−シクロヘキサンジオン、1,3−シクロペンタンジオン、5−(2−n−テトラデシルオキシフェニル)−1,3−シクロヘキサンジオン、5−フェニル−4−メトキシカルボニル−1,3−シクロヘキサンジオン、5−(2,5−ジ−n−オクチルオキシフェニル)−1,3−シクロヘキサンジオン、N,N’−ジシクロヘキシルバルビツール酸、N,N’−ジ−n−ドデシルバルビツール酸、
【0160】
N−n−オクチル−N’−n−オクタデシルバルビツール酸、N−フェニル−N’−(2,5−ジ−n−オクチルオキシフェニル)バルビツール酸、N,N’−ビス(オクタデシルオキシカルボニルメチル)バルビツール酸、1−フェニル−3−メチル−5−ピラゾロン、1−(2,4,6−トリクロロフェニル)−3−アニリノ−5−ピラゾロン、1−(2,4,6−トリクロロフェニル)−3−ベンズアミド−5−ピラゾロン、6−ヒドロキシ−4−メチル−3−シアノ−1−(2−エチルヘキシル)−2−ピリドン、2,4−ビス−(ベンゾイルアセトアミド)トルエン、1,3−ビス−(ピバロイルアセトアミドメチル)ベンゼン、ベンゾイルアセトニトリル、テノイルアセトニトリル、アセトアセトアニリド、ベンゾイルアセトアニリド、ピバロイルアセトアニリド、2−クロロ−5−(N−n−ブチルスルファモイル)−1−ピバロイルアセトアミドベンゼン、1−(2−エチルヘキシルオキシプロピル)−3−シアノ−4−メチル−6−ヒドロキシ−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン、1−(ドデシルオキシプロピル)−3−アセチル−4−メチル−6−ヒドロキシ−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン、1−(4−n−オクチルオキシフェニル)−3−tert−ブチル−5−アミノピラゾール、等が挙げられる。
【0161】
カプラーの詳細は、特開平4−201483号公報、特開平7−223367号公報、特開平7−223368号公報、特開平7−323660号公報、特開平5−278608号公報、特開平5−297024号公報、特開平6−18669号公報、特開平6−18670号公報、特開平7−316280号公報、特開平9−216468号公報、特開平9−216469号公報、特開平9−319025号公報、特開平10−035113号公報、特開平10−193801号公報、特開平10−264532号公報等に記載されたものも参照できる。
【0162】
以下、カプラー化合物の好適な具体例を示す。ただし、本発明においてはこれらに限定されるものではない。
【0163】
【化42】
Figure 2004223739
【0164】
【化43】
Figure 2004223739
【0165】
【化44】
Figure 2004223739
【0166】
【化45】
Figure 2004223739
【0167】
【化46】
Figure 2004223739
【0168】
【化47】
Figure 2004223739
【0169】
前記カプラー化合物のジアゾ発色層における含有量としては、前記ジアゾ化合物1質量部に対して、0.5〜20質量部が好ましく、1〜10質量部がより好ましい。該含有量が、0.5質量部未満であると十分な発色性が得られ難く、20質量部を超えると塗布適性が劣化することがある。
【0170】
本発明にかかるジアゾ発色層には、発色反応を促進させる目的で発色助剤を加えることができる。発色助剤には、加熱または加圧記録時の発色濃度を高くする物質や最低発色濃度を低くする物質等があり、カプラー化合物の融解点を下げたり、乳化物を安定させたり、マイクロカプセル壁の軟化点を低下させしめる作用によってジアゾ化合物とカプラー化合物とを反応し易くするものである。
【0171】
前記発色助剤としては、例えば、画像形成層中で低エネルギー印画がおこなわれるような働きをする、フェノール誘導体、ナフトール誘導体、アルコキシ置換ベンゼン類、アルコキシ置換ナフタレン類、芳香族エーテル、チオエーテル、エステル、アミド、ウレイド、ウレタン、スルホンアミド、カルボキシル、またはヒドロキシ含有化合物等が挙げられる。
【0172】
−他の成分−
本発明の多色感熱記録材料においては、上記の発色成分と共に公知の紫外線吸収剤、蛍光増白剤、酸化防止剤などを本発明の効果を損なわない範囲で併用することができる。
【0173】
前記紫外線吸収剤として好ましいものは、ベンゾフエノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、オキザリックアシッドアニリド系紫外線吸収剤などが挙げられる。これらの例は、特開昭47−10537号、同58−111942号、同58−212844号、同59−19945号、同59−46646号、同59−109055号、同63−53544号、特公昭36−10466号、同42−26187号、同48−30492号、同48−31255号、同48−41572号、同48−54965号、同50−10726号、米国特許2,719,086号、同3,707,375号、同3,754,919号、同4,220,711号などの各公報に記載されている。
【0174】
前記蛍光増白剤として好ましいものは、クマリン系蛍光増白剤などが挙げられる。これらの例は、特公昭45−4699号公報、同54−5324号公報などに記載されている。
【0175】
前記酸化防止剤として好ましいものは、ヒンダードアミン系酸化防止剤、ヒンダードフエノール系酸化防止剤、アニリン系酸化防止剤、キノリン系酸化防止剤などが挙げられる。これらの例は、特開昭59−155090号、同60−107383号、同60−107384号、同61−137770、同61−139481号、同61−160287などの各公報に記載されている。
【0176】
併用できる紫外線吸収剤、蛍光増白剤、酸化防止剤の使用量としては、0.05〜1.0g/m、特には0.1〜0.4g/mが好ましい。
【0177】
本発明に係る発色層には、バインダーとして、従来公知のものを添加することができ、具体例として、ポリビニルアルコールやゼラチン等の水溶性高分子やポリマーラテックス等が挙げられる。
【0178】
上記の一般式(I)で表される発色主薬酸化体前駆体、色素形成カプラー、金属塩、ジアゾ化合物、カプラー化合物、および光重合性組成物(光重合開始剤、重合性モノマー、分光増感色素等)、並びに他の成分の使用形態としては、特に制限されることはなく、固体分散して使用する方法、乳化分散して使用する方法、ポリマー分散して使用する方法、ラテックス分散して使用する方法、マイクロカプセル(熱応答性マイクロカプセル)化して使用する方法、などから適宜選択することができる。
【0179】
本発明に係る酸化体発色層においては、特に、形成画像の保存安定性を効果的に向上させ得る点で、既述の一般式(I)で表される発色主薬酸化体前駆体を固体分散して用いると共に、色素形成カプラーと金属塩とをマイクロカプセルに内包して用いることが好ましい。このとき、色素形成カプラーと金属塩とは、各々異なるマイクロカプセルに内包して発色層に含有させることもできるが、画像保存性の向上効果の点で色素形成カプラーと金属塩とは同一のマイクロカプセルに内包させた状態で発色層に含有させることが好ましい。また、ジアゾ発色層においては、特にジアゾ化合物をマイクロカプセルに内包して用いることが好ましい。
【0180】
例えば、前記一般式(I)で表される発色主薬酸化体前駆体(および場合により色素形成カプラー)、カプラー化合物(および場合によりジアゾ化合物)、並びに必要により他の成分は、界面活性剤、水溶性高分子等と共にボールミルやサンドミル等によって固体分散され、固体分散物として用いることができる。この場合、形成された発色層において、発色主薬酸化体前駆体などは固体微粒子状態で存在する。
【0181】
また、感熱記録層形成用の塗布液の調製において、光重合性組成物を構成する光重合開始剤や、重合性モノマー、分光増感色素等、またはカプラー化合物などは、上記のように固体分散して用いることもできるが、好ましくは、予め水に難溶性又は不溶性の高沸点有機溶剤に溶解した後、これを界面活性剤及び/又は水溶性高分子を保護コロイドとして含有する高分子水溶液(水相)と混合し、ホモジナイザー等で乳化した乳化分散物として用いる。必要に応じ、低沸点溶剤を溶解助剤として用いてもよい。このとき、光重合開始剤や、重合性モノマー、分光増感色素等は、別々に乳化分散してもよいし、予め混合してから高沸点有機溶剤に溶解し、乳化分散することもできる。好ましい乳化分散粒子径は1μm以下である。
【0182】
ここでの高沸点有機溶剤としては、例えば特開平2−141279号公報に記載の高沸点オイルから適宜選択でき、乳化安定性の点でエステル類が好ましく、リン酸トリクレジルが特に好ましい。前記低沸点溶剤としては、油相の調製に使用可能な低沸点溶媒と同様のものを使用できる。
【0183】
次に、マイクロカプセルの形成方法について詳述する。
本発明においては、ジアゾ発色層におけるジアゾ化合物、および酸化体発色層における色素形成カプラーは、各々マイクロカプセルに内包されて層中に含有されることが好ましい。
【0184】
マイクロカプセル化する方法としては、従来公知の方法を用いることができる。例えば、米国特許第2800457号明細書、同28000458号明細書に記載の親水性壁形成材料のコアセルベーションを利用した方法、米国特許第3287154号明細書、英国特許第990443号明細書、特公昭38−19574号公報、同42−446号公報、同42−771号公報等に記載の界面重合法、米国特許第3418250号明細書、同3660304号明細書に記載のポリマー析出による方法、米国特許第3796669号明細書に記載のイソシアネートポリオール壁材料を用いる方法、米国特許第3914511号明細書に記載のイソシアネート壁材料を用いる方法、米国特許第4001140号明細書、同4087376号明細書、同4089802号明細書に記載の尿素−ホルムアルデヒド系、尿素ホルムアルデヒド−レゾルシノール系壁形成材料を用いる方法、米国特許第4025455号明細書に記載のメラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ヒドロキシブロビルセルロース等の壁形成材料を用いる方法、特公昭36−9168号公報、特開昭51−9079号公報に記載のモノマーの重合によるin situ法、英国特許第952807号明細書、同965074号明細書に記載の電解分散冷却法、米国特許第3111407号明細書、英国特許第930422号明細書に記載のスプレードライング法、または、特公平7−73669号公報、特開平4−101885号公報、特開平9−263057号公報に記載の方法等が挙げられる。
【0185】
マイクロカプセル化する方法は、これらに限定されるものではないが、特にジアゾ化合物または色素形成カプラーをカプセルの芯となる疎水性の有機溶媒に溶解または分散させ、(色素形成カプラーを分散する場合、好ましくは更に金属塩を含有させて)調製した油相を、水溶性高分子を溶解した水相と混合し、ホモジナイザー等の手段により乳化分散した後、加温することによりその油滴界面で高分子形成反応を起こし、高分子物質のマイクロカプセル壁を形成させる界面重合法を採用することが好ましい。この方法によれば、短時間内に均一な粒径のマイクロカプセルを形成することができ、生保存性に優れた画像形成材料とすることができる。
【0186】
高分子を形成するリアクタントは、油滴内部および/または油滴外部に添加される。高分子物質の具体例としては、ポリウレタン、ポリウレア、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ポリスチレン、スチレンメタクリレート共重合体、スチレン−アクリレート共重合体等が挙げられる。中でも、ポリウレタン、ポリウレア、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネートが好ましく、ポリウレタン、ポリウレアが特に好ましい。上記の高分子物質は、2種以上併用することもできる。
【0187】
前記水溶性高分子としては、例えば、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール等が挙げられる。例えば、ポリウレタンをカプセル壁材として用いる場合には、多価イソシアネートおよびそれと反応してカプセル壁を形成する第2物質(例えば、ポリオール、ポリアミン)を水溶性高分子水溶液(水相)またはカプセル化すべき油性媒体(油相)中に混合し、これらを乳化分散した後、加温することにより油滴界面で高分子形成反応が生じ、マイクロカプセル壁を形成することができる。
【0188】
前記多価イソシアネートおよびそれと反応する相手のポリオール、ポリアミンとしては、米国特許第3281383号明細書、同3773695号明細書、同3793268号明細書、特公昭48−40347号公報、同49−24159号公報、特開昭48−80191号公報、同48−84086号公報、および「ポリウレタン樹脂ハンドブック」(岩田敬治著、日刊工業新聞社(1987))に記載されているものを使用することができる。
【0189】
ジアゾ化合物または色素形成カプラーを含有するマイクロカプセルを調製する際、マイクロカプセルに内包されるジアゾ化合物または色素形成カプラーは、該マイクロカプセル中に溶液状態で存在していても、固体状態で存在していてもよい。油相の調製に用いる有機溶媒(油性媒体)としては、一般に高沸点オイルの中から適宜選択することができ、リン酸エステル、フタル酸エステル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、その他のカルボン酸エステル、脂肪酸アミド、アルキル化ビフェニル、アルキル化ターフェニル、塩素化パラフィン、アルキル化ナフタレン、ジアリルエタン、常温で固体の化合物、オリゴマーオイル、ポリマーオイル等が用いられる。具体的には、特開昭60−242,094号公報、特願昭62−75,409号明細書に記載されているものを用いることができる。また、カプセル化の際には、これらの有機溶媒を使用しなくてもよい。
【0190】
ジアゾ化合物または色素形成カプラーをカプセル中に溶液状態で内包させる場合、ジアゾ化合物または色素形成カプラーを有機溶媒に溶解した状態でカプセル化すればよく、この場合、有機溶媒はジアゾ化合物または色素形成カプラー100質量部に対して、1〜500質量部の範囲で使用することが好ましい。また、カプセル化しようとするジアゾ化合物または色素形成カプラーの前記有機溶媒に対する溶解性が劣る場合、あるいは有機溶媒を使用しない場合には、溶解性の高い低沸点溶媒を補助的に併用することもできる。この低沸点溶媒としては、例えば、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、メチレンクロライド等が挙げられる。
【0191】
一方、ジアゾ化合物または色素形成カプラーを含んで上記のように調製された油相を添加する水相には、水溶性高分子を溶解した水溶液が用いられる。該水相に前記油相を投入後、ホモジナイザー等の手段により乳化分散を行なうが、このとき水溶性高分子は分散を均一にかつ容易にすると共に、乳化分散した水溶液を安定化させる分散媒として作用する。ここで、さらに均一に乳化分散し安定化させるためには、油相あるいは水相の少なくとも一方に界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤は、公知の乳化用界面活性剤が使用可能である。
【0192】
以上、マイクロカプセル化について、ジアゾ化合物または色素形成カプラーをマイクロカプセルに内包する例により説明したが、本発明においては、カプラー化合物または発色主薬酸化体前駆体をマイクロカプセルに内包することもでき、この場合の態様もジアゾ化合物または色素形成カプラーをマイクロカプセル化する場合と同様に行なえる。
【0193】
前記ジアゾ化合物および色素形成カプラーをマイクロカプセル化する場合、該マイクロカプセルの平均粒子径としては20μm以下が好ましく、高解像度を得る点で7μm以下がより好ましい。一方、形成されたマイクロカプセルが小さすぎると、一定固形分に対する表面積が大きくなり多量のカプセル壁剤が必要となるため、前記平均粒子径は0.1μm以上であることが好ましい。
【0194】
次に、本発明の画像形成方法について詳述する。
本発明の画像形成方法は、画像様に加熱して酸化体発色層およびジアゾ発色層の一方に発色像を形成し、該発色像が形成された層の吸収波長に対応した光を照射して定着する第1の工程と、前記発色像が未形成のジアゾ発色層および酸化体発色層の一方を画像様に加熱して発色像を形成する第2の工程とによって構成され、既述の本発明の多色感熱記録材料を用いて多色の画像を形成する。酸化体発色層および/またはジアゾ発色層が複数積層されているときには、前記第1の工程は複数回繰り返し行なわれ、その後第2の工程に移行する。
【0195】
前記第1の工程においては、多色感熱記録材料に熱印加するにあたり、画像形成しようとする酸化体発色層又はジアゾ発色層に対応した熱量を画像様に印加して該層に発色画像を形成し、画像が形成された酸化体発色層又はジアゾ発色層の吸収波長に対応した光を照射して定着する。このとき、酸化体発色層では層中の重合性基が重合反応して硬化することによって定着が行なわれ、ジアゾ発色層では光分解性のジアゾ化合物が分解されて定着が行なわれる。
【0196】
熱印加は、サーマルヘッドなどの加熱装置を用い、所望の画像信号に基づいて行なうことができる。また、光源としては、半導体レーザー、LED、キセノン光、蛍光灯、水銀灯等が使用可能である。光源の波長としては、紫外から近赤外の幅広い領域の中から各層の吸収波長に応じて適宜選択すればよい。吸収波長に合わせて二種以上の波長の光源を使用することも可能である。
なお、光の照射は、通常支持体の発色層が設けられている側から行われるが、支持体を透明のもので構成した場合には、支持体側の層非形成面側から行なうことも可能である。
【0197】
前記第2の工程においては、前記第1の工程において発色像が形成された酸化体発色層(またはジアゾ発色層)と異なる、発色像が形成されていないジアゾ発色層または酸化体発色層を画像様に加熱して該層に発色像を形成する。本工程においても上記同様の加熱装置を用いることができる。本工程では、光定着は行なわれない。したがって、本工程により画像形成する層は非定着性の層である必要があり、酸化体発色層で構成する、あるいはジアゾ発色層の場合には非光分解性のジアゾ化合物を発色成分とする非定着ジアゾ発色層で構成することができる。これにより、定着作業を行なう必要がなく、熱印画するのみで画像形成を完了することができるため、定着作業を一工程簡略した画像形成が可能であり、設備や作業性が改善され、簡便かつ安価に多色画像を得ることができる。
【0198】
以下、既述の3層からなる多色感熱記録材料〔1〕を一例に本発明の画像形成方法について説明する。すなわち、支持体/第3色目の色相を呈する酸化体発色層C/第2色目の色相を呈し、光源の中心波長λの光に感応して定着される第2ジアゾ発色層B/第1色目の色相を呈し、光源の中心波長λの光に感応して定着される第1ジアゾ発色層Aからなるものである。
【0199】
この多色画像形成材料〔1〕に対して、まず支持体から最も離れた発色層Aのみが発色するようにサーマルヘッドを調整して画像様に加熱し、発色層A中のジアゾ化合物とカプラー化合物とを反応させて第1色目を発色させる。次いで、光源の中心波長λの光を照射して発色層A中に残存する未反応のジアゾ化合物を分解させて定着した後、発色層Bが発色するのに十分な熱を画像様に印加して第2色目を発色させ、さらに光源の中心波長λの光を照射して発色層B中に残存する未反応のジアゾ化合物を分解させて定着する(第1の工程)。このとき、発色層Aも同時に強く加熱されるが、既に分解されて失活しているために発色しない。そして、最後に発色層Cが発色するのに十分な熱を画像様に与えて第3色目を発色させる(第2の工程)。このとき、発色層BおよびAも強く加熱されるが、上記同様既に失活されているので発色しない。これにより、高耐性なフルカラー(多色)の画像を形成することができる。
【0200】
ここで、前記多色画像形成材料〔1〕の発色層Cが、光重合開始剤および重合性モノマーを含有して波長λに光吸収を持つ光重合性組成物を更に含む場合には、加熱により第3色目を発色させた後、さらに波長λの光を照射して定着することもできる。これにより、第3色目の色素画像の耐光性をより向上させることができる。
【0201】
前記多色画像形成材料〔2〕や〔3〕を用いた場合においても、上記多色感熱記録材料〔1〕を用いた場合と同様の操作を行なうことによって多色画像を形成することができる。ただし、〔2〕のB層および〔3〕のA層における定着は層中の光重合性組成物による重合硬化によるものである。
【0202】
本発明の多色画像形成材料を用いた画像形成方法においては、上記の画像形成方法のほか、以下のようにして行なうこともできる。すなわち、酸化体発色層およびジアゾ発色層の少なくとも一層の吸収波長に対応した光を画像様に照射し、(好ましくは全面を)加熱して前記酸化体発色層およびジアゾ発色層の少なくとも一層に発色像を形成する工程(工程a)と、発色像が未形成のジアゾ発色層又は酸化体発色層を画像様に加熱して発色像を形成する工程(工程b)とによって構成され、光で画像潜像を形成した後に一部若しくは全面を加熱して画像化するものである。酸化体発色層および/またはジアゾ発色層が複数積層されているときには、前記工程aを複数回繰り返し行なった後前記工程bに移行することができる。
【0203】
前記工程aにおいては、多色感熱記録材料に画像様に光照射するにあたり、画像形成しようとする酸化体発色層およびジアゾ発色層の少なくとも一層の吸収波長に対応した波長光を画像様に照射して該層の一層または二層以上に画像潜像を形成し、画像潜像が形成された層に(好ましくは全面に)熱を与えて発色画像を形成する。この場合、工程aにおいて、互いに波長の異なる複数の光を用いて順にあるいは同時に照射することによって、工程aで画像形成しようとする全層に画像潜像を形成することができ、その後の加熱で同時に発色させ多色画像を形成することもできる。そして、工程bは、上記本発明の画像形成方法における工程bと同様にして行なうことができる。
【0204】
画像様に光照射する場合の光源には、上記した光源のほか、青色、緑色、赤色の光源や赤外レーザー等を選択することができる。これらの光源を上記した光定着に使用することもできる。これにより、例えば、異なる色相に発色する単色層が積層された多色感熱記録材料を用いてカラー画像を形成する場合、各単色層中に異なる吸収波長を有する分光増感色素を存在させ、その吸収波長に適合した光源を用いることにより、各層(各色)について高感度かつ高鮮鋭な画像を形成することができる。
【0205】
例えば、上記した3層からなる多色感熱記録材料〔4〕を用いて多色画像を形成することができる。すなわち、
まず、支持体から最も離れた発色層Aの吸収波長に対応した光源中心波長λのレーザー光を画像様に照射して発色層Aを重合硬化させて潜像を形成し、その後発色層Aのみが発色するように部分的に若しくは全面を熱板などにより加熱し、硬化されていない発色層A中の発色主薬酸化体前駆体と色素形成カプラーとを反応させて第1色目を発色させる。次いで同様に、発色層Bの吸収波長に対応した光源中心波長λのレーザー光を画像様に照射して発色層Bを重合硬化させて潜像を形成した後、発色層Bが発色するのに十分な熱を部分的に若しくは全面に付与して第2色目を発色させる。このとき、発色層Aも同時に強く加熱されるが、既に硬化されているために発色しない。上記において、光源中心波長λおよびλのレーザー光を順に、あるいは同時に各々画像様に照射して発色層AおよびBを共に重合硬化させて潜像を形成し、その後発色層AとBの両層が一括して発色するように加熱し、第1色目と第2色目を同時に発色させるようにすることもできる。そして、最後に発色層Cが発色するのに十分な熱を画像様に与えて第3色目を発色させる。このとき、発色層BおよびAも強く加熱されるが、上記同様既に硬化されているので発色しない。これによっても、高耐性なフルカラー(多色)の画像を形成することができる。また、発色層Cは非定着層であるため定着作業は要しない。
【0206】
【実施例】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。本実施例では、上記に挙げたシアン、マゼンタ、イエローにそれぞれ発色する画像形成層を3層積層したフルカラーの多色画像形成材料を例にとって説明する。なお、実施例中、使用した水は全てイオン交換水であり、「部」および「%」は全て質量基準である。
【0207】
(実施例1)
(1)シアン発色層用塗布液の調製
−フタル化ゼラチン水溶液の調製−
フタル化ゼラチン(#801ゼラチン、新田ゼラチン(株)製)32部、1,2−ベンゾチアゾリン−3−オン(3.5%メタノール溶液、ダイトーケミックス(株)製)0.9143部、水367.1部を混合し、40℃にて溶解し、フタル化ゼラチン水溶液を得た。
【0208】
−発色主薬酸化体前駆体固体分散液の調製−
上記より得たフタル化ゼラチン水溶液36.6部に、発色主薬酸化体前駆体である前記例示化合物(I−68)9.75部と水78.5部と2−エチルヘキシルコハク酸ナトリウムの2%水溶液2.47部とを混合し、ボールミルにより一晩分散させることによって発色主薬酸化体前駆体固体分散液を得た。この固体分散液中において、分散状態にある発色主薬酸化体前駆体の平均粒径を粒径測定器(LA−910、堀場製作所(株)製)を用いて測定したところ0.7μmであった。
【0209】
−色素形成カプラーおよび金属塩内包マイクロカプセル液の調製−
色素形成カプラーである前記例示化合物(9)1.5部および金属塩である前記例示化合物(II−4)1.61部を酢酸エチル13.8部に溶解させた後、トルエンジイソシアナート/トリメチロールプロパンの付加物の75%酢酸エチル溶液(D−750、三井武田ケミカル(株)製;カプセル壁材)10.5部に加えて均一の溶液とした。この溶液に、上記より得たフタル化ゼラチン水溶液38.9部に水13.6部とドデシルスルホン酸ナトリウム0.3部とを混合した水溶液を混合し、ホモジナイザーを使用して乳化分散した。得られた乳化分散液に、水40.5部およびテトラエチレンペンタミン0.5部からなる水溶液を更に加え、均一に混合し、得られた溶液を撹拌しながら30℃から65℃まで昇温して3時間反応させることによって、平均粒径0.4μm(LA−910(堀場製作所(株)製)を用いて測定)の色素形成カプラーおよび金属塩内包マイクロカプセル液を得た。このカプセル液中の固形分濃度は29.5%であった。
【0210】
−シアン発色層用塗布液の調製−
上記より得た発色主薬酸化体前駆体固体分散液5.76部および色素形成カプラーおよび金属塩内包マイクロカプセル液3.69部、並びに水0.4部を均一に混合して、シアン発色層用塗布液を調製した。
【0211】
(2)マゼンタ発色層用塗布液の調製
−ジアゾ化合物A内包カプセル液の調製−
4−N−(2−(2,4−ジ−tert−アミルフェノキシ)ブチリル)ピペラジノベンゼンジアゾニウムヘキサフルオロフォスフェート(ジアゾ化合物A:365nmの波長の光で分解)2.0部を酢酸エチル20部に溶解した後、さらにアルキルナフタレン20部を添加した。得られた溶液を加熱して均一に混合し、ついで、キシリレジンイソシアナート/トリメチロールプロパンの3:1付加物(カプセル壁剤)15部を添加した後、均一に混合してジアゾ化合物Aの溶液を得た。
【0212】
得られたジアゾ化合物Aの溶液を、ゼラチン6%水溶液54部とドデシルスルホン酸ナトリウム水溶液2部とを混合した溶液に添加した後、該溶液をホモジナイザーを使用して乳化分散した。得られた乳化分散液に水68部を加え、均一に混合して得られた溶液を攪拌しながら40℃に加熱し、カプセルの平均粒子径が1.2μmとなるように3時間カプセル化反応を行なわせてカプセル液を得た。
【0213】
得られたカプセル液100部に対して、弱酸性陽イオン交換樹脂(アンバーライトIRC−50(水素イオン型):オルガノ(株)製)20部および弱塩基性陰イオン交換樹脂(アンバーライトIRA−68(遊離塩基型):オルガノ(株)製)20部を添加し、混合してイオン交換処理を1時間行なった。その後、各イオン交換樹脂をろ過によって取り除き、イオン交換処理をしたジアゾ化合物A内包カプセル液を得た。
【0214】
−カプラーA乳化分散液の調製−
1−(2’−オクチルフェニル)−3−メチル−5−ピラゾロン(カプラーA)2部、1,2,3−トリフェニルグアニジン2部、トリクレジルホスフェート0.3部、およびマレイン酸ジエチル0.1部を酢酸エチル10部中に溶解させた。得られた溶液を、ゼラチン6%水溶液50部および2%ドデシルスルホン酸ナトリウム水溶液2部を混合した水溶液に投入して、ホモジナイザーによって10分間乳化して乳化分散液を得た。
【0215】
得られた乳化分散液100部に対して、弱酸性陽イオン交換樹脂(アンバーライトIRC−50(水素イオン型):オルガノ(株)製)20部および弱塩基性陰イオン交換樹脂(アンバーライトIRA−68(遊離塩基型):オルガノ(株)製)20部を添加し、混合してイオン交換処理を1時間行なった。その後、各交換樹脂をろ過によって取り除き、イオン交換樹脂を行なったカプラーA乳化分散液を得た。
【0216】
−マゼンタ発色層用塗布液の調製−
イオン交換処理をした、ジアゾ化合物A内包カプセル液とカプラーA乳化分散液とを質量比で2/3となるように混合し、マゼンタ発色層用塗布液を得た。
【0217】
(3)イエロー発色層用塗布液の調製
−ジアゾ化合物B内包カプセル液の調製−
2,5−ジブトキシ−4−トリルチオベンゼンジアゾニウムヘキサフルオロフォスフェート(ジアゾ化合物B:420nmの波長の光で分解)3.0部を酢酸エチル20部に溶解した後、さらにアルキルナフタレン20部を添加した。得られた溶液を加熱して均一に混合し、ついで、キシリレジンイソシアナート/トリメチロールプロパンの3:1付加物(カプセル壁剤)15部を添加した後、均一に混合してジアゾ化合物Bの溶液を得た。
【0218】
得られたジアゾ化合物Bの溶液を、ゼラチン6%水溶液54部とドデシルスルホン酸ナトリウム水溶液2部とを混合した溶液に添加した後、該溶液をホモジナイザーを使用して乳化分散した。得られた乳化分散液に水68部を加え、均一に混合して得られた溶液を攪拌しながら40℃に加熱し、カプセルの平均粒子径が1.3μmとなるように3時間カプセル化反応を行なわせてカプセル液を得た。
【0219】
得られたカプセル液100部に対して、弱酸性陽イオン交換樹脂(アンバーライトIRC−50(水素イオン型):オルガノ(株)製)20部および弱塩基性陰イオン交換樹脂(アンバーライトIRA−68(遊離塩基型):オルガノ(株)製)20部を添加し、混合してイオン交換処理を1時間行なった。その後、各イオン交換樹脂をろ過によって取り除き、イオン交換処理をしたジアゾ化合物B内包カプセル液を得た。
【0220】
−カプラーB乳化分散液の調製−
2−クロロ−5−(3−(2,4−ジ−tert−ペンチル)フェノキシプロピルアミノ)アセトアニリド(カプラーB)2部、1,2,3−トリフェニルグアニジン1部、トリクレジルホスフェート0.3部、およびマレイン酸ジエチル0.1部を酢酸エチル10部中に溶解させた。得られた溶液を、ゼラチン6%水溶液50部および2%ドデシルスルホン酸ナトリウム水溶液2部を混合した水溶液に投入して、ホモジナイザーによって10分間乳化して乳化分散液を得た。
【0221】
得られた乳化分散液100部に対して、弱酸性陽イオン交換樹脂(アンバーライトIRC−50(水素イオン型):オルガノ(株)製)20部および弱塩基性陰イオン交換樹脂(アンバーライトIRA−68(遊離塩基型):オルガノ(株)製)20部を添加し、混合してイオン交換処理を1時間行なった。その後、各交換樹脂をろ過によって取り除き、イオン交換樹脂を行なったカプラーB乳化分散液を得た。
【0222】
−イエロー発色層用塗布液の調製−
イオン交換処理をした、ジアゾ化合物B内包カプセル液とカプラーB乳化分散液とを質量比で2/3となるように混合し、イエロー発色層用塗布液を得た。
【0223】
(4)中間層用塗布液の調製
イオン交換処理を行なってNaおよびKが各々10ppm未満、Clが30ppm未満となったゼラチン6%水溶液を中間層用塗布液とした。
【0224】
(5)保護層用塗布液の調製
イタコン酸変性ポリビニルアルコール(KI−318:(株)クラレ製)の6%水溶液100gとエポキシ変性ポリアミド(FL−71:東邦化学(株)製)の30%分散液10gとを混合した液に、ステアリン酸亜鉛40%分散液(ハイドリンZ:中京油脂(株))15gを添加して保護層用塗布液を得た。
【0225】
(6)多色画像形成材料の作製
厚み75μmのポリエチレンテレフタレート(支持体)上に、スライドタイプホッパー式ビート塗布装置を用いてスライド上で、支持体側から順に、シアン発色層用塗布液、中間層用塗布液(中間層A)、マゼンタ発色層用塗布液、中間層用塗布液(中間層B)、イエロー発色層用塗布液、保護層用塗布液を多層重層塗布し、乾燥して多色画像形成材料を得た。
【0226】
各塗布液の塗布量は、乾燥後の固形分換算で、シアン発色層が4.18g/m、中間層Aが3,0g/m、マゼンタ発色層が7.5g/m、中間層Bが3.0g/m、イエロー発色層が8.0g/m、保護層が1.0g/mとなるように各塗布液を塗布した。
【0227】
(7)多色画像の形成
サーマルヘッドL−34B型(TDK(株)製)を用いて、単位面積当たりの印加エネルギーが34mJ/mmとなるように印加電力およびパルス幅を調節し、得られた記録材料にイエロー画像を形成した。次いで、発光中心波長420nmおよび出力40Wの紫外線ランプ下に10秒間曝してイエロー発色層を光定着した後、上記同様にサーマルヘッドの印加エネルギーを68mJ/mmとなるように調節し、更にマゼンタ画像を形成した。さらに、発光中心波長365nmおよび出力40Wの紫外線ランプ下に15秒間曝してマゼンタ発色層を光定着した後、上記同様にサーマルヘッドの印加エネルギーが112mJ/mmとなるように調節してシアン画像を形成した。
【0228】
この結果、イエロー、マゼンタおよびシアンの各発色画像の他に、イエローとマゼンタとの発色が重なった画像部分は赤色に、マゼンタとシアンとの発色が重なった画像部分は青色に、イエローとシアンとの発色が重なった部分は緑色に、およびイエロー、マゼンタおよびシアンの発色が重なった画像部分は黒色に発色した。
【0229】
(比較例1)
(1)シアン発色層用塗布液の調製
−色素前駆体内包カプセル液の調製−
まず、3−(o−メチル−p−ジメチルアミノフェニル)−3−(1’−エチル−2’−メチルインドール−3−イル)フタリド(色素前駆体)3部を酢酸エチル20部に溶解させた後、アルキルナフタレン(高沸点溶媒)20部を添加し、さらに加熱した後均一に混合した。得られた溶液にキシリレンジイソシアネート/トリメチロールプロパンの1:3付加物20部を添加して均一に攪拌し、I液を調製した。
【0230】
ついで、ゼラチン6%水溶液54部中にドデシルスルホン酸ナトリウム2%水溶液2部を添加してII液を調製した。
【0231】
上記II液にI液を添加し、ホモジナイザーを用いて乳化分散し、色素前駆体の乳化分散液を得た。得られた乳化分散液に水68部を加えて混合し、均一にした後、該混合液を攪拌しながら50℃に加熱し、マイクロカプセルの平均粒子系が1.2μmとなるようにカプセル化反応を3時間行なわせてカプセル液を得た。
【0232】
得られたカプセル液100部に対して、弱酸性陽イオン交換樹脂(アンバーライトIRC−50(水素イオン型):オルガノ(株)製)20部および弱塩基性陰イオン交換樹脂(アンバーライトIRA−68(遊離塩基型):オルガノ(株)製)20部を添加し、混合してイオン交換処理を1時間行なった。その後、各イオン交換樹脂をろ過によって取り除き、イオン交換処理をした色素前駆体内包カプセル液を得た。
【0233】
−乳化分散液の調製−
1,1−(p−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン5部、トリクレジルホスフェート0.3部、およびマレイン酸ジエチル0.1部を酢酸エチル10部中に溶解させた。得られた溶液を、ゼラチン6%水溶液50部および2%ドデシルスルホン酸ナトリウム水溶液2部を混合した水溶液に投入して、ホモジナイザーによって10分間乳化して乳化液を得た。
【0234】
得られた乳化液100部に対して、弱酸性陽イオン交換樹脂(アンバーライトIRC−50(水素イオン型):オルガノ(株)製)20部および弱塩基性陰イオン交換樹脂(アンバーライトIRA−68(遊離塩基型):オルガノ(株)製)20部を添加、混合してイオン交換処理を1時間行なった。その後、各交換樹脂をろ過によって取り除き、イオン交換樹脂を行なった乳化分散液を得た。
【0235】
−シアン発色層用塗布液の調製−
イオン交換処理をした、色素前駆体内包カプセル液と乳化分散液とを質量比で2/3となるように混合してシアン発色層用塗布液を得た。
【0236】
(2)さらに、実施例1と同様にして、マゼンタ発色層用塗布液、イエロー発色層用塗布液、中間層用塗布液、および保護層用塗布液を調製した。そして、以下のようにして比較の多色感熱記録材料を作製した。
厚み75μmのポリエチレンテレフタレート(支持体)の片面上に、スライドタイプホッパー式ビート塗布装置を使用して、スライド上で、支持体から順にシアン発色層用塗布液、中間層用塗布液(中間層A)、マゼンタ発色層用塗布液、中間層用塗布液(中間層B)、イエロー発色層用塗布液、保護層用塗布液を多層重層塗布し、乾燥して比較の多色感熱記録材料を得た。
【0237】
各塗布液の塗布量は、乾燥後の固形分換算で、シアン発色画像形成層が7.0g/m、中間層Aが3.0g/m、マゼンタ発色画像形成層が7.5g/m、中間層Bが3.0g/m、イエロー発色画像形成層が8.0g/m、保護層が1.0g/mとなるように各塗布液を塗布した。
【0238】
(画像の耐光性評価)
実施例1および比較例1において、形成された多色よりなる画像部に対して、照射前の画像部における各色(R、G、B)の中間発色濃度C(1.0付近;下記表1にステップ数を記載)をX−rite反射濃度計(X−rite社製)を用いて測定しておき、その後この画像部にキセノンフェードメータによりキセノン光を照射(144時間)した。そして、照射後の画像部における各色の上記測定と同一のステップ数の濃度(C)を上記同様にして測定した。得られた濃度C及びCから各々の色ごとに濃度残存率〔%;C/C×100〕を求め、耐光性を評価するための指標とした。結果を下記表1に示す。なお、濃度残存率は値の大きい方が耐光性に優れることを示す。
【0239】
【表1】
Figure 2004223739
【0240】
上記表1に示すように、発色主薬酸化体前駆体および色素形成カプラーを発色成分とする実施例では、3色全てにおいて発色性に優れ高濃度で鮮明な多色画像を形成することができ、地肌白色性も良好であった。また、形成された多色画像は、定着を行なわなかったシアン画像を含め、褪色の程度が少なく優れた耐光性を示した。一方、比較の多色感熱記録材料においては、特にシアン色の発色性、地肌白色性が低く、鮮やかさに欠け再現性に劣っていたばかりか、褪色しやすく充分な耐光性を得ることはできなかった。
【0241】
【発明の効果】
本発明によれば、現像等の使用が不要で、かつ廃棄物の発生のない完全ドライの処理系を構成し、定着作業を軽減できると共に、耐光性に優れた高濃度で鮮明な多色の画像を簡易かつ安価に形成し得る多色型の画像形成材料および画像形成方法を提供することができる。

Claims (5)

  1. 支持体上に、下記一般式(I)で表される発色主薬酸化体前駆体および色素形成カプラーを含む少なくとも一層の酸化体発色層と、ジアゾ化合物およびカプラー化合物を含む少なくとも一層のジアゾ発色層とを有することを特徴とする多色感熱記録材料。
    Figure 2004223739
    〔一般式(I)中、Aは、窒素原子との結合電子対を伴なって離脱することにより発色主薬酸化体を生成する、水素原子以外の基を表す。Aは、Aの離脱により生成した発色主薬酸化体が色素形成カプラーとカップリングして色素前駆体を形成した後に色素生成に伴なって離脱する基を表す。Aは窒素原子およびカプラーとともに色素を形成する基を表す。〕
  2. 前記酸化体発色層が、光重合開始剤および重合性モノマーを含有する光重合性組成物を更に含む請求項1に記載の多色感熱記録材料。
  3. 前記酸化体発色層が金属塩を更に含む請求項1又は2に記載の多色感熱記録材料。
  4. 前記金属塩が銀塩である請求項3に記載の多色感熱記録材料。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の多色感熱記録材料が用いられ、画像様に加熱して酸化体発色層およびジアゾ発色層の一方に発色像を形成し、該発色像が形成された層の吸収波長に対応した光を照射して定着する第1の工程と、前記発色像が未形成のジアゾ発色層および酸化体発色層の一方を画像様に加熱して発色像を形成する第2の工程とを有し、多色の画像を形成することを特徴とする画像形成方法。
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