JP2004222880A - 医療用ガイドワイヤの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】コイル体1の端部を開口端から挿脱自在に受け入れる付形パイプ7、または、付形溝を付形軸6の外周に備えた付形型Rに、コイル体1の端部を挿入して付形部Fを形成し、しかるのち、付形型Rに付形保持したまま加工による残留応力除去の加熱処理を施して成形する医療用ガイドワイヤの製造方法が特徴である。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、血管や尿管・気管等の体腔内にカテーテルを挿入したり、血管の病変部に治療用留置具を挿入する等に用いる端部付形型の医療用ガイドワイヤの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
端部付形型の医療用ガイドワイヤは、特許文献1に示す公知例があり(図9参照)ステンレス・プラチナ・タングステン・金等の金属線を密着状にコイリングした可撓性線状体のコイル体1に、ステンレス線・炭素鋼線等の芯線2を挿入着してコイル体1の前端部分をU字状に曲成した付形部Fを設けた形態を有している。
【0003】
そして、その公知例の付形部Fつき医療用ガイドワイヤGは(図10参照)、安全ワイヤ3(コイル体1の伸び防止ワイヤ)と芯線2を並存させてコイル体1の中空部に内挿すると共に、安全ワイヤ3の両端をコイル体1の両端にロー材等によって形成した栓状の膨出端4と共に固定してセットされ、U字型の成形溝51を有するブロック体の「蓋板52つき成形型50」に付形すべき先端部分を圧入挿してU字型の付形部Fを形成し、続いてその成形型50と共に加熱装置(図示しない)に入れて、加工による残留応力除去の加熱処理を施して付形成形する製造方法に成っている。
【0004】
【特許文献1】
特許第3300155号公報(図1・図2、請求項)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
以上の公知例の製造方法は、コイル体1に内挿した安全ワイヤ3が芯線2と共存し、かつ、コイル体1の両端に固定された両端固定形態のままU字状に付形成形する工法となるので、下記の難点が存在する。
【0006】
即ち、コイル体1は密着コイル形態であることから、付形部F成形のために先端部分を曲げ変形させるときの曲げ中立面が、その曲げ内側のコイル体1の外周となり、コイル体1内に両端固定状態で存在する安全ワイヤ3は「その曲げ中立面より大なる曲率半径に強制曲げされるので異常な張力」が生ずる。
【0007】
しかし、安全ワイヤ3は容易に弾性伸びしない剛質であるので、その張力は成形溝51から突き出す自由状態のストレート状のコイル体1に該張力に基づく曲がりを生じた状態で付形することになるので、付形成形加熱処理後に、その曲がり部分にストレート状への復元応力を生ずる。従って、U字状の付形部Fがその曲がり復元応力の影響を受けてU字付形形状の崩れをもたらす品質上の難点がある。そして、前記のコイル体1の曲がり変形抵抗は、コイル体1の成形型50への挿入抗力としてあらわれるので、成形作業がしづらく非能率になる。
【0008】
さらに、加熱装置で加熱処理するとき、マスが大なるブロック状の成形型50に付形部Fを内蔵した形態で加熱処理するので、その成形型50の加熱昇温に時間を要し、付形部Fの加熱処理のためのカロリーロス・加熱時間が大にして、その上加熱後の付形部Fの外し作業が煩雑(成形型50自体の冷却に時間がかかる)になる等の加熱処理生産性上の不具合がある。
【0009】
本発明は、以上の従来技術の難点を解消する「医療用ガイドワイヤの製造方法」を提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
以上の技術課題を解決する本発明は「可撓性線状体のコイル体の端部に曲成状の付形部を備えた医療用ガイドワイヤを製造するにおいて、該コイル体の端部を開口端から挿脱自在に受け入れる付形パイプ、または、付形溝を付形軸の外周に備えた付形型に、該コイル体の端部を挿入して前記付形部を形成し、しかるのち、該付形型に付形保持したまま加工による残留応力除去の加熱処理を施して成形することを特徴とする医療用ガイドワイヤの製造方法」の第1製造方法と、
【0011】
「可撓性線状体のコイル体の端部に曲成状の付形部を備えた医療用ガイドワイヤを製造するにおいて、開口端から該コイル体の端部を挿脱自在に受け入れるフレキシブルパイプの付形パイプを付形軸の外周に備えた付形型に、該コイル体の端部を挿入セットし、続いて該付形パイプを該付形軸の外周に沿わせ変形させて前記付形部を形成し、しかるのち、該付形型に付形保持したまま加工による残留応力除去の加熱処理を施して成形することを特徴とする医療用ガイドワイヤの製造方法」の第2製造方法と、
【0012】
「可撓性線状体のコイル体の端部に曲成状の付形部を備えた医療用ガイドワイヤを製造するにおいて、該コイル体の端部を突き出しセット可能にして、かつ、該突き出し部分を付形軸に沿わせ変形させる可撓性付形板を備えた付形冶具に、前記端部をセットして該可撓性付形板によって前記付形部を形成し、しかるのち、該付形冶具に付形保持したまま加工による残留応力除去の加熱処理を施して成形することを特徴とする医療用ガイドワイヤの製造方法」の第3製造方法と、
【0013】
「可撓性線状体のコイル体の端部に曲成状の付形部を備えた医療用ガイドワイヤを製造するにおいて、該コイル体の端部を、付形冶具の付形軸の外周に沿えてセットし、しかるのち、該付形軸の回転による変形または該付形軸外周への添着による変形によって前記付形部を形成し、しかるのち、該付形冶具に付形保持したまま加工による残留応力除去の加熱処理を施して成形することを特徴とする医療用ガイドワイヤの製造方法」の第4製造方法と、
【0014】
「可撓性線状体のコイル体の端部に曲成状の付形部を備えた医療用ガイドワイヤを製造するにおいて、該コイル体に安全ワイヤを挿通して、該安全ワイヤの先端を前記付形部にすべきコイル体前端に固定すると共に、該固定点以外を自由状態にして該コイル体から突き出してセットし、続いて、付形型または付形冶具によって前記付形部を形成し、しかるのち、該付形型または該付形冶具に付形保持したまま加工による残留応力除去の加熱処理を施し、続いて前記安全ワイヤの突き出し部分を切断して該切断端を該コイル体に溶着固定して製造することを特徴とする医療用ガイドワイヤの製造方法」の第5製造方法と、
【0015】
「可撓性線状体のコイル体の端部に曲成状の付形部を備えた医療用ガイドワイヤを製造するにおいて、段落0010〜段落0014のいずれかの成形方法によって該付形部の成形と該付形成形後の加熱処理を施し、しかるのち、コイル体内に所定長の芯線と安全ワイヤを後入れ挿着して該安全ワイヤの先端を該コイル体の先端に溶着固定すると共に、該芯線と該安全ワイヤのそれぞれの後端と該コイル体を溶着固定することを特徴とする医療用ガイドワイヤの製造方法」の第6製造方法の発明群によって構成されている。
【0016】
そして、以上の製造方法の態様として「付形部の外周に、電解研磨または電解研磨後の超音波洗浄」を施して樹脂被覆を設けたり、その樹脂被覆の上に「ポリビニルピロリドン・ヒアルロン酸等の公知の親水性ポリマーの被覆層」を設ける。
【0017】
【作用】
前記第1〜第4製造方法は、付形部Fの形成手段が付形パイプ・付形軸等を利用するので、付形すべきコイル体の端部が多数個並列自在にして単回の付形操作による多数個同時付形が可能になり、付形生産性が極めて向上する。
【0018】
さらに、付形部Fを成形するための付形型が、前記の付形パイプ・付形板等から成るので加熱装置内での付形部Fへの熱伝導性が極めて良く、少なる熱カロリー短時間で応分の加熱処理ができると共に、加熱処理後の冷却が迅速にして付形型・付形冶具からの外しが迅速かつ簡便にできる。
【0019】
そして、前記第5製造方法はコイル体に前端を固定して挿着する安全ワイヤがフリー形態となるので、段落0005〜0007に示す「付形部F形成のときに安全ワイヤに生ずる有害な引っ張り応力の発生がなく」付形成形が極めて円滑にできると共に、付形後の付形部F変形が無く付形品質が安定し向上する。
【0020】
そして、前記第6製造方法は、コイル体の付形部Fの成形加熱処理後に芯線・安全ワイヤをコイル体に挿着して、それ等を溶着固定する工法を特徴とするので、以下に詳述する特有作用がある。
【0021】
即ち、コイル体と安全ワイヤの体積比は「例えば通常形態の医療用ガイドワイヤにおいて、概ね35〜36倍」の特段の相違がある。従って、大なる体積のコイル体を基準にして残留応力除去の加熱処理を施すと、コイル体より特段に小なる体積の安全ワイヤ・芯線は過剰加熱処理となって機械的性質の劣化を生じて機能不全になるケースがある。しかし、前記第6製造方法はコイル体の付形加熱処理後に、芯線・安全ワイヤを後付け挿着固定する工法となるので、前記の機械的性質劣化のおそれがなく、芯線・安全ワイヤの機械的性質・機能が良好に維持できる。
【0022】
【発明の実施の形態】
まず、図1・図2を参照して第1製造方法の実施形態を説明する。即ち、図8に示す「付形部F付き医療用ガイドワイヤG」(以下、単にガイドワイヤGという)を製造するにおいて、コイル体1の先端部分を加熱装置Hに出入自在に成す付形冶具5(以下、単に冶具5という)に設けた付形型Rによって付形部Fの付形と付形部Fの加熱処理が行われる。
【0023】
詳しくは、冶具5は方形の台板11の前端部位に「形成すべき付形部Fの形状を有して開口すると共に先端を閉じた付形パイプ7群を、軸受12に支承して横設した付形軸6に巻装した付形型R」を主要部に成し、その付形型Rの後方にコイル体1をトレイ板8に載せて「上下の合せ型9」によってクランプ固定するクランプ部10を設けた構造を有している。そして、以下の工法によって付形し加熱処理する。なお、この実施形態のものは付形パイプ7が多数個並設連設され、かつ、曲成形状が大小異なる2種の付形パイプ7が層別して並設されている。
【0024】
即ち、まず端部を付形部Fに成す所要長にして安全ワイヤ3を挿通したコイル体1群の先端部分を付形パイプ7の開口部に1本づつ強制挿入してコイル体1の先端に付形部Fを付形成形する。続いて、その付形パイプ7の入口近傍のコイル体1をクランプ部10の下型にセットして保持し、上型によって挟着クランプする。
【0025】
しかるのち、冶具5を加熱装置H内に入れて所要の温度・時間(例えばステンレス材のときは800℃×90秒)の加熱処理を施してコイル体1の加工による残留応力の除去処理を施す。かくして、その加熱処理後に冶具5を加熱装置Hから取り出して、冷却後のコイル体1を冶具5から外す。
【0026】
続いて、安全ワイヤ3の突き出し部分のカット除去・芯線2の挿入固定と膨出端4の形成・樹脂被覆Cの形成等の後加工を施して付形部FつきガイドワイヤGに仕上げる。
【0027】
なお、この図1実施形態の冶具5は、付形軸6に加熱処理後の冷却を迅速にするための空冷・水冷用の冷却孔13が軸方向に貫設されており、そしてクランプ部10の後方の台板11上にコイル体1を個個に受け入れてコイル体1をストレート状に保持する案内トレイ14を設置する態様にすることがある。
【0028】
一方、図2は図1と同様な冶具5・付形型Rから成るものにおいて、クランプ部10を前端に積設して台板11上を前進後退可能にした車輪16・レール17つき付形台車15が台板11上に設けた構造を有し、この付形台車15を後退姿勢にしてコイル体1群をクランプ部10にクランプセットし、しかるのち、その付形台車15を前進移動させることによってクランプ部10にクランプセットしたコイル体1群の前端部分を付形パイプ7群に一括挿入して付形部Fの一括付形をするように成っている。
【0029】
なお、この図2の冶具5には、並設した付形パイプ7の開口部を閉鎖して掛け止めしたり外し自在の「付形加工すべきコイル体1の前端を位置決め規制して付形部7の形状安定を図るストッパー板18」を設けると共に、付形パイプ7には、挿入したコイル体1を視認するピープホール19が穿設されている。
【0030】
そして、図1実施形態と同一工法によって、付形加工・加熱処理して付形部FつきガイドワイヤGを量産成形する。この図2実施形態のものは付形部7の付形加工が一段と能率的にして、かつ、付形パイプ7への差し込み長さが一定化されて付形部Fの形状品質が一段と安定し向上する。
【0031】
なお、この第1製造方法の実施形態は、図示しないが付形パイプ7に代えて、付形軸6の外周に「コイル体1を付形軸6の外周に沿わせて案内変形させるパイプ機能の付形溝」の形態にする変化がある。
【0032】
続いて図3を参照して第2製造方法の実施形態を説明する。即ち、図1・図2実施形態と同様に「付形パイプ7と付形軸6から成る付形型R」とクランプ部10を台板11上に載置した冶具5から成るものにおいて、図示の付形パイプ7Aはフレキシブルパイプ(外力に応じて容易に曲直自在に変形し、自由状態でその変形姿勢を維持する公知のフレキシブルパイプ)から成ると共に、付形軸6の前半部は、付形パイプ7Aを外周に添設させることによって、「付形パイプ7Aを形成すべき付形部Fの形状に導く付形曲面20」を備えた構造を有し、この付形パイプ7Aと付形軸6によって付形型Rを構成している。
【0033】
そして、例えば付形パイプ7A群の上側に接合してカム22によって案内されて付形軸6の外周に沿って転動移動可能の成形ローラー21によって、または手動操作によって付形パイプ7A群を付形軸6の付形曲面20に沿わせて折り曲げ変形させることによって、コイル体1の先端部分に付形部Fを付形形成し、その付形形成後に前記実施形態と同様に加熱装置H内に挿入して必要な加熱処理を施し、付形部FつきガイドワイヤGを順次連続的に量産成形する構造と製造方法に成っている。
【0034】
続いて、図4・図5を参照して第3製造方法の実施形態を説明する。即ちこの製造方法は前記の付形パイプ7に代えて「コイル体1の前端部分を、冶具5に設けた弾性付形板Pによって付形軸6に巻き着け変形させて付形部Fを成形する工法」を特徴とするものにして、この第3製造方法の治具5は下記の構造を有している。
【0035】
即ち、冶具5は「上面がコイル体1の載置セット面27にして前端に弾性付形板P(以下、単に付形板Pという)を傾斜立設したレバー形態の付形台25」と、この付形台25の後端を支承ピン28で回転自在に支承した一対の冶具枠板30の間に設けた付形軸6と、付形軸6に巻き着けた付形板Pの先端を押え込む付形板ロック部26」によって構成され、付形板ロック部26は図示矢印の前後方向にスライドセット可能にして、付形軸6に巻き付けた付形板Pの先端を付形軸6の外周に挟着ロックできる。
【0036】
そして、冶具枠板30と付形台25を貫通連通するピン孔28とロックピン29から成る「前記挟着ロック姿勢をロックしたり解離するロック・解放手段」が設けてあり、以上の構造の冶具5によって付形部Fの付形成形を行う。
【0037】
即ち(図4(C)参照)まず前記のロック・解放手段を開放して、冶具枠板30を起立させて付形台25のセット面27を開放し、そのセット面27にコイル体1を任意ピッチで並設セットして付形部Fの展開長に当る前端部分を付形板Pの上面に添置する。
【0038】
続いて、その状態で冶具枠板30を倒してロックして、コイル体1をセット面27と付形軸6の下面との間に挟着してロックする。しかるのち、付形板Pを指先等で曲げて付形軸6外周に沿わせ変形させることによって、コイル体1の先端部分に付形部Fを形成する。続いて、その曲げ姿勢の付形板Pの先端を「付形ロック部26を前進させることによって、付形軸6と付形ロック部26の間に付形部Fの前端を挟着保持して」付形部Fを的確に付形ロックする。
【0039】
しかるのち、その形付けロック状態のまま前記実施形態と同様に加熱装置Hに入れて所定の加熱処理を施し、その処理後に取り出して付形ロック部26を後退させて前記ロック手段をルーズにして冶具枠板30を傾斜起立させてコイル体1を取り出し、図1実施形態のものと同様に付形部FつきガイドワイヤGを量産成増する。
【0040】
一方、図5に示すものは、図4のものと同様に付形軸6に巻き付ける付形板Pによって付形部Fを形成する製造方法にして、この図5のものは図1実施形態と同様に「台板11上に付形軸6とクランプ部10を備えた冶具5」の前端に付形軸6に巻き付け変位させる曲板状の付形板Pが付形軸6を包み込むように設けられると共に、その巻き着け折り曲げ姿勢の付形板Pのロック孔31にロックピン32を挿着して姿勢ロックする付形板ロック部33を設けた構造を有している。そして、以下の工法によって付形部Fの成形を行う。
【0041】
即ち、付形部Fを形成すべきコイル体1を並設して先端部分を所定長に突き出してクランプ部10でクランプセットし、続いて付形板Pを折り曲げて付形軸6に沿わせることによって付形部Fを形成し、付形板ロック部33によってロックする。しかるのち、そのロック姿勢のまま加熱処理して前記実施形態と同様に付形部FつきガイドワイヤGを量産成形する。
【0042】
次に、図6・図7を参照して第4製造方法の1実施形態を説明する。即ち、まず、図6に示す製造方法に用いる冶具5は台板11に「形成すべき付形部Fの内周形状を有する柱体形の付形軸6」を立設固定すると共に、その付形軸6の軸心6Aを中心として付形軸6の外周に沿って回転作動可能にして、かつ、付形軸6の周面との間にコイル体1を挟着する「回転作動用ハンドル35つき付形押型34」から成る構造を有している。
【0043】
そして、その付形押型34の内面には付形成形するコイル体1を保持するワイヤ溝36が設けられると共に、図1実施形態と同一のクランプ部10とコイル体1の位置決め用ストッパー板18が台板11上に立設され、さらに、付形押型34を付形軸6に添わせて回転移動させた最終位置(図示点線位置)をロックするためのロックピン孔31とロックピン32から成るロック手段が設けてある。
【0044】
以上の冶具5によって以下のように付形部Fを成形する。即ち、加工すべきコイル体1の先端部分を「クランプ部10から付形押型34のワイヤ溝36を通してストッパー板18で位置決めして」クランプ部10にクランプ固定する。
【0045】
しかるのち、ハンドル35で付形押型34を付形軸6の外周に沿って押えつけながら回転移動させることによって、付形部Fを付形成形すると共に、その付形最終位置でロックピン32をロックピン孔31に挿着して付形押型34と付形軸6の相対位置を固定ロックする。
【0046】
しかるのち、前記実施形態と同様に、その付形成形ロック状態のまま加熱装置Hに入れて所定の加熱処理を施し、しかるのち、冶具5から外して付形部FつきガイドワイヤGを順次量産成形する。
【0047】
続いて、図7を参照して第4製造方法の他の実施形態を説明する。即ちこの実施形態の冶具5は、台板11上に「形成すべき付形部Fの内周形状を有する横軸形態の付形軸6」を横置固定すると共に、この付形軸6の前半外周に沿って回転作動可能にして、かつ、付形軸6の外周との間にコイル体1を挟着する「回転ハンドル35つき付形押型34」と(図7(B)参照)付形軸6の後半外周に並設セットしたコイル体1の挟着スリット37を有するコイル体挟着固定部38を備えた構造を有している。
【0048】
そして、コイル体1の前端をストッパー板18に突き当ててセットしてコイル体挟着固定部38で挟着固定し、しかるのち、(図7(A)(C)参照)回転ハンドル35を付形軸6の前半外周に沿わせて図示点線位置に約180°回転させて付形押型34を付形軸6の前半外周に沿わせて転移することによって、ワイヤ体1のそれぞれに付形部Fを成形すると共に、その付形状態の付形押型34を「ロックピン32とロックピン孔31のロックピン手段」によって付形軸6に固定ロックして保持する。
【0049】
しかるのち、その固定ロック状態のまま加熱装置Fに入れて所定の加熱処理を施し、しかるのち、冶具5から外して付形部FつきガイドワイヤGを順次量産成形する。なお、図中のMは付形押型34の移動ガイド、39は立設支柱である。
【0050】
なお、以上の図1〜図7の各実施形態の製造方法は、コイル体1に安全ワイヤ3・芯線2のいずれか、またはいずれもを、コイル体1に先入れ装着して前記の付形加工したり、或は付形加工後に後入れ装着するいずれの工法であっても良く、前記の加熱処理はコイル体1の素線材質・サイズによって適宜設定する。
【0051】
次に、前記第6製造方法の実施態様を説明する。即ち、この実施態様は図1〜図6に示す付形部FつきガイドワイヤGの製造方法において、付形部Fの付形成形・加熱処理後に芯線2・安全ワイヤ3のいずれか、またはいずれもをコイル体1に後入れ挿着して芯線2・安全ワイヤ3のそれぞれの後端をコイル体1の後端に溶着固定し、図9例示の従来構造のようにコイル体1の後端に固定する工法でガイドワイヤGを付形成形する。
【0052】
以上の実施形態の製造方法は、コイル体1の多数本同時付形が可能にして、その上付形パイプ7・付形軸6の輪郭形状は任意にして真円円弧形以外の曲成形状や曲成度が180°以外の多様形状の付形部Fが高能率・低コストで量産できる。
【0053】
そして、加熱装置H内での付形部Fの加熱処理は、付形部7の加熱装置H内での保持姿勢が前記の形態(ブロック体内に挿着しない)であることから効率的熱伝導加熱が可能にして、その上付形軸6は冷却孔13を有して付形部Fの迅速冷却ができるので、例えば熱伝導率が少なるステンレス材質のコイル体1・付形軸6でも冷却が速く、極めて高効率・短時間に残留応力除去の加熱処理ができる。
【0054】
次に、図8を参照して第6製造方法の実施形態を説明する。即ち、図1〜図7に示すいずれかの製造方法で製造した「付形部Fつきコイル体1」を樹脂被覆CつきガイドワイヤGに仕上げる製造方法にして以下の手順・工法に成っている。
【0055】
即ち、所要長に切断したコイル体1に安全ワイヤ3を挿入して前端をコイル体1にロー付け溶着すると共に、その溶着ロー材によって略半球状に膨出する膨出端4を形成し、前端を固定した安全ワイヤ3はコイル体1の中空部を自由状態で貫挿して余剰部分をコイル体1から引き出した形態にセットされる。
【0056】
続いて、前記の第1〜第4製造方法のいずれかによって付形部Fを形成し、所要の加熱処理を施し、加工による残留応力除去の付形部Fつきコイル体1Aに成形する。
【0057】
しかるのち、そのコイル体1Aの付形部Fを電解液(リン酸)を入れた電解層40に浸漬して公知手段の電解研磨を施し、さらに、必要に応じてその電解研磨部分を洗浄槽41に浸漬して公知手段の超音波洗浄を施し、続いてコイル体1Aを架設冶具43に並設立設してセットし、スプレーガン44によってテフロン等を吹き付けて樹脂被覆Cの被覆処理を施す。
【0058】
なお、以上の被覆処理はテフロン吹付け塗装後に加熱炉45に入れて「約380℃×30分」処理してテフロンの焼成乾燥を施す。
【0059】
かくして、外周仕上げされたコイル体1Aは後端から突き出している安全ワイヤ3の突き出し部分を切断除去すると共に、芯線2を挿着し、続いてその安全ワイヤ3の切断端と芯線2の後端がコイル体1Aの後端にプラズマ溶着されると同時に後端外方に盛り上がる膨出端4が形成され、付形部FつきガイドワイヤGが成形できる。なお、この実施形態のコイル体1・芯線2・安全ワイヤ3はオーステナイト系ステンレス線材が用いてある。
【0060】
以上の図8実施形態の製造方法は前記の作用があり、付形部Fの形状が特段に安定向上した高品質のガイドワイヤGが低コスト高生産性で量産成形できる。なお、この図8実施形態は樹脂被覆Cの上に、必要に応じて親水性ポリマーの被覆層を設ける複層形態の態様にすることがある。
【0061】
そして、本実施形態の電解研磨・超音波洗浄を施したガイドワイヤGは以下の特有作用がある。即ち、コイル体1にオーステナイト系ステンレス線材を用いると、線材の冷間伸線加工によって加工誘起変態して磁性を及びた表面鏡面状となるので、公知のファン・デル・ワールスの分子間吸着力が生ずると共に、コイル間の素線間隙存在の形態を呈するので、異物・微小鉄粉等が付着し易くして異物界面との「すきま腐食」「もらい錆」によって耐食性が低下する不良現象を生ずる難点がある。
【0062】
しかし、前記の電解研磨によって金属表面の酸化スケールを除去して線材表面のクロム濃度を回復させて不動態皮膜を形成するので前記の不良現状を防止してオーステナイト系ステンレス本来の性状を安定確保し、ガイドワイヤGの良好な表面形態が維持できる。
【0063】
【発明の効果】
以上の説明のとおり本発明の医療用ガイドワイヤの製造方法は、高品質の医療用ガイドワイヤを低コスト高生産性で多量生産提供し、当該医療分野の特段の便宜向上を図る効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1製造方法の実施形態と、それに用いる付形冶具の説明図
【図2】本発明の第1製造方法の他の実施形態と、それに用いる付形冶具の説明図
【図3】本発明の第2製造方法の実施形態と、それに用いる付形冶具を示し、(A)は付形型の構造と用法説明図、(B)は付形冶具と用法の説明図
【図4】本発明の第3製造方法の実施形態と、それに用いる付形冶具を示し、(A)はその付形冶具の正面図、(B)は(A)の側面断面図、(C)は用法説明図
【図5】本発明の第3製造方法の他の実施形態と、それに用いる付形型の説明図
【図6】本発明の第4製造方法の実施形態を示し、(A)は付形冶具の構造と用法説明図、(B)(C)は(A)の部分説明図
【図7】本発明の第4製造方法に他の実施形態を示し、(A)は付形冶具の構造と用法説明図、(B)は(A)の部分説明図、(C)は付形部Fの成形説明図
【図8】本発明の第5製造方法の実施形態の説明図
【図9】(A)(B)(C)のいずれも付形部付き医療用ガイドワイヤの構造を例示した正面図
【図10】付形部付き医療用ガイドワイヤの従来の製造方法の説明図
【符号の説明】
1 コイル体
2 芯線
3 安全ワイヤ
5 付形冶具
6 付形軸
7 付形パイプ
9 合せ型
10 クランプ部
11 台板
15 付形台車
18 ストッパー板
20 付形曲面
21 成形ローラー
25 付形台
26 付形板ロック部
30 冶具枠板
33 付形板ロック部
40 電解研磨槽
41 超音波洗浄槽
C 樹脂被覆
F 付形部
G 医療用ガイドワイヤ
H 加熱装置
R 付形型
P 弾性付形板
Claims (9)
- 可撓性線状体のコイル体の端部に曲成状の付形部を備えた医療用ガイドワイヤを製造するにおいて、該コイル体の端部を開口端から挿脱自在に受け入れる付形パイプ、または、付形溝を付形軸の外周に備えた付形型に、該コイル体の端部を挿入して前記付形部を形成し、しかるのち、該付形型に付形保持したまま加工による残留応力除去の加熱処理を施して成形することを特徴とする医療用ガイドワイヤの製造方法。
- 可撓性線状体のコイル体の端部に曲成状の付形部を備えた医療用ガイドワイヤを製造するにおいて、開口端から該コイル体の端部を挿脱自在に受け入れるフレキシブルパイプの付形パイプを付形軸の外周に備えた付形型に、該コイル体の端部を挿入セットし、続いて該付形パイプを該付形軸の外周に沿わせ変形させて前記付形部を形成し、しかるのち、該付形型に付形保持したまま加工による残留応力除去の加熱処理を施して成形することを特徴とする医療用ガイドワイヤの製造方法。
- 可撓性線状体のコイル体の端部に曲成状の付形部を備えた医療用ガイドワイヤを製造するにおいて、該コイル体の端部を突き出しセット可能にして、かつ、該突き出し部分を付形軸に沿わせ変形させる可撓性付形板を備えた付形冶具に、前記端部をセットして該可撓性付形板によって前記付形部を形成し、しかるのち、該付形冶具に付形保持したまま加工による残留応力除去の加熱処理を施して成形することを特徴とする医療用ガイドワイヤの製造方法。
- 可撓性線状体のコイル体の端部に曲成状の付形部を備えた医療用ガイドワイヤを製造するにおいて、該コイル体の端部を、付形冶具の付形軸の外周に沿えてセットし、しかるのち、該付形軸の回転による変形または該付形軸外周への添着による変形によって前記付形部を形成し、しかるのち、該付形冶具に付形保持したまま加工による残留応力除去の加熱処理を施して成形することを特徴とする医療用ガイドワイヤの製造方法。
- 可撓性線状体のコイル体の端部に曲成状の付形部を備えた医療用ガイドワイヤを製造するにおいて、該コイル体に安全ワイヤを挿通して、該安全ワイヤの先端を前記付形部にすべきコイル体前端に固定すると共に、該固定点以外を自由状態にして該コイル体から突き出してセットし、続いて、付形型または付形冶具によって前記付形部を形成し、しかるのち、該付形型または該付形冶具に付形保持したまま加工による残留応力除去の加熱処理を施し、続いて前記安全ワイヤの突き出し部分を切断して該切断端を該コイル体に溶着固定して製造することを特徴とする医療用ガイドワイヤの製造方法。
- 請求項1〜請求項4のいずれかの付形方法によって付形部を形成する請求項5の医療用ガイドワイヤの製造方法。
- 可撓性線状体のコイル体の端部に曲成状の付形部を備えた医療用ガイドワイヤを製造するにおいて、請求項1〜請求項5のいずれかの成形方法によって該付形部の成形と該付形成形後の加熱処理を施し、しかるのち、コイル体内に所定長の芯線と安全ワイヤを後入れ挿着して該安全ワイヤの先端を該コイル体の先端に溶着固定すると共に、該芯線と該安全ワイヤのそれぞれの後端と該コイル体を溶着固定することを特徴とする医療用ガイドワイヤの製造方法。
- 請求項1〜請求項7のいずれかの医療用ガイドワイヤの製造方法において、付形成形加熱処理後の付形部外周に電解研磨または電解研磨と電解研磨後の超音波洗浄を施すことを特徴とする医療用ガイドワイヤの製造方法。
- 請求項1〜請求項8のいずれかの医療用ガイドワイヤの製造方法において、付形成形加熱処理後のコイル体外周に樹脂被覆を施し、さらに該樹脂被覆の外周に親水性ポリマーの被覆層を設けることを特徴とする医療用ガイドワイヤの製造方法。
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