JP2004219841A - 電気泳動表示装置の駆動方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】表示している中間調の階調が経時的に変化してしまうことを低減する。
【解決手段】図示の電気泳動表示装置は画素単位で帯電泳動粒子3を移動させることに基づき種々の画像を表示するようになっている。駆動に際しては、図2(a) に示すように帯電泳動粒子3を第2電極5に吸着させ、その後、第1電極4の電圧を切り換えて帯電泳動粒子3を該第1電極4の方へ移動させる(同図(b) 参照)。そして、所定のタイミングで第3電極6の電圧を切り換え(同図(c) 参照)、第2電極5の近傍に残存していた帯電泳動粒子3を第3電極6の方へ移動してしまう。かかる場合、表示に寄与するのは第1電極4を覆うように配置されている帯電泳動粒子3であるが、第1電極4と第3電極6とは離れているために、帯電泳動粒子3が第3電極6から第1電極4の方へ移行しづらく、表示階調は安定的に保持される。
【選択図】 図2
【解決手段】図示の電気泳動表示装置は画素単位で帯電泳動粒子3を移動させることに基づき種々の画像を表示するようになっている。駆動に際しては、図2(a) に示すように帯電泳動粒子3を第2電極5に吸着させ、その後、第1電極4の電圧を切り換えて帯電泳動粒子3を該第1電極4の方へ移動させる(同図(b) 参照)。そして、所定のタイミングで第3電極6の電圧を切り換え(同図(c) 参照)、第2電極5の近傍に残存していた帯電泳動粒子3を第3電極6の方へ移動してしまう。かかる場合、表示に寄与するのは第1電極4を覆うように配置されている帯電泳動粒子3であるが、第1電極4と第3電極6とは離れているために、帯電泳動粒子3が第3電極6から第1電極4の方へ移行しづらく、表示階調は安定的に保持される。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、帯電泳動粒子を移動させることに基づき表示を行うようにした電気泳動表示装置の駆動方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近時、電界を印加して帯電泳動粒子を移動させることにより表示を行うようにした電気泳動表示装置が、非発光型の表示デバイスとして注目されている。
【0003】
この電気泳動表示装置は、所定間隙を開けた状態に配置された一対の基板と、その基板間隙に注入された絶縁性液体と、該絶縁性液体に分散された多数の帯電泳動粒子と、該絶縁性液体に近接するように配置された一対の電極と、を備えており、電極に電圧を印加することにより帯電泳動粒子を任意の方向に移動できるように構成されている。そして、帯電泳動粒子の位置を変化させることにより表示色を画素毎に変え、装置全体で画像を表示するようになっている。
【0004】
このような電気泳動表示装置において中間調のある表示を行う場合、電圧によって電極に引き付けられる帯電泳動粒子を制御して帯電泳動粒子の分散状態を変えることで中間調を表示している(例えば、特許文献1及び特許文献2参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−116733号公報
【特許文献2】
特開2002−116734号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の電気泳動表示装置では、中間調を表示している状態において、帯電泳動粒子の一部は絶縁性液体中を浮遊しており、そのため長時間同一の場所にとどまらせることが難しく、時間が経つと表示状態(表示階調)が変化してしまうことがあった。
【0007】
また、電気泳動表示装置をアクティブマトリクス型(つまり、図3及び図4に示すように各画素の電極にスイッチング素子10を接続したような構成のもの)として静止画を表示しようとした場合、画像形成後、電圧を印加しつづけると帯電泳動粒子は移動してしまい画像が変化してしまうという問題もあった。かかる問題を回避すべく電圧印加を止めて画素内を無電界状態にしようとしても、各画素の補助容量(図4の符号11参照)に残留する電荷によって形成される残留電界により、帯電泳動粒子が移動してしまうことがあり、安定な静止画を表示することが困難であった。
【0008】
そこで、本発明は、表示階調の変化を低減できる電気泳動表示装置の駆動方法を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記事情を考慮してなされたものであり、所定間隙を開けた状態に配置された表示側基板及び後方側基板と、これらの基板の間隙に配置された絶縁性液体及び複数の帯電泳動粒子とを備えた電気泳動表示装置に電界をかけて前記帯電泳動粒子を移動させることに基づき表示を行う電気泳動表示装置の駆動方法において、
前記電気泳動表示装置が、前記絶縁性液体に近接するように各画素に配置された第1乃至第3電極を備え、かつ、
前記駆動方法が、
前記帯電泳動粒子を前記第2電極に引き付けることにより、該粒子を画素中の比較的狭い領域に集積させて視認されにくくするリセット工程と、
前記集積された状態の帯電泳動粒子を前記第1電極に引き付けることにより、該粒子を画素中の比較的広い領域に配置させて視認され易くする書き込み工程と、
前記第2電極の近傍に残存している帯電泳動粒子を前記第3電極に移行させてしまい前記第1電極への帯電泳動粒子の移行を制限する表示保持工程と、
を備え、
前記書き込み工程の後で前記表示保持工程を開始させるタイミングを制御することにより、前記第1電極の領域に配置される帯電泳動粒子の量を制御し、画素の表示階調を制御する、ことを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図1乃至図13を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0011】
ここで、図1は、本発明に係る電気泳動表示装置の構造の一例を示す断面図であり、図2は、本発明に係る電気泳動表示装置の駆動方法の一例を示す断面図であり、図3は、本発明に係る電気泳動表示装置の構造の他の例(アクティブマトリックス型)を示す断面図であり、図4は、アクティブマトリックス型電気泳動表示装置の構成を示す回路図である。また、図5は、アクティブマトリックス型電気泳動表示装置の表示状態の一例を示す模式図であり、図6は、書き込み動作(書き込み工程)時の電圧印加条件を説明するための図であり、図7は、書き込み動作(書き込み工程)時の各画素の印加電圧を示す模式図である。さらに、図8は、書き込み動作期間の長さ等を説明するための図であり、図9は、書き込み動作期間の長さ決定方法を説明するための図である。なお、本発明に係る電気泳動表示装置は複数の画素を有するが、図面では便宜上1つの画素の構成のみ示している。
【0012】
本発明に係る電気泳動表示装置は、図1(a) (b) に示すように、所定間隙を開けた状態に配置された表示側基板1a及び後方側基板1bと、これらの基板1a,1bの間隙に配置された絶縁性液体2及び複数の帯電泳動粒子3と、を備え、電界をかけて前記帯電泳動粒子3を移動させることに基づき表示を行うように構成されている。
【0013】
この電気泳動表示装置は、前記絶縁性液体2に近接するように各画素Eに配置された第1乃至第3電極4,5,6を備えており、いずれの電極4,5,6も、所定の電圧印加条件の下、帯電泳動粒子3を引き付けることができるようになっている。但し、
・ 前記第1電極4に引き付けられた場合の帯電泳動粒子3は、視認されるように画素中の比較的広い領域に配置され、
・ 前記第2電極5や前記第3電極6に引き付けられた場合の帯電泳動粒子3は、視認されにくいように画素中の比較的狭い領域に集積される、
ように構成されている。
【0014】
なお、“広い領域”及び“狭い領域”とは、基板1a,1bに沿った面の領域を意味するものとする。表示側基板1aの側から電気泳動表示装置を観察した場合、帯電泳動粒子3が広い領域に配置された場合には帯電泳動粒子3の色が画素の色として認識され、帯電泳動粒子3が狭い領域に集積された場合には(帯電泳動粒子3は視認されにくくなって代わりに)第1電極4が配置されている領域(以下、“第1電極領域”とする)の色が画素の色として認識されることとなる。本発明に係る電気泳動表示装置は原理的にはこのような現象を利用して表示を行うようになっている。
【0015】
また、「表示側基板」とは、表示を観察する方の側に配置される基板を意味し、「後方側基板」とは、その背後に配置される方の基板を意味するものとする。
【0016】
ところで、上述のように「前記第1電極4に引き付けられた場合の帯電泳動粒子3が画素中の比較的広い領域に配置される」ようにするには、該第1電極4を前記後方側基板1bに沿った広い領域に形成すると良い。また、「前記第2電極5に引き付けられた場合の帯電泳動粒子3が画素中の比較的狭い領域に集積される」ようにするには、該第2電極5を画素Eと画素Eとの境界部分Fに配置すると良い。同様に、「前記第3電極6に引き付けられた場合の帯電泳動粒子3が画素中の比較的狭い領域に集積される」ようにするには、該第3電極6を画素Eと画素Eとの境界部分Fに配置すると良い。かかる場合、第2電極5と第3電極6とは互いに離間した位置に配置して互いの電気的導通を回避しておく必要がある。なお、第2電極5や第3電極6を配置できる位置としては、
・ 画素と画素との境界部分Fであって後方側基板1bの近傍や
・ 画素と画素との境界部分Fであって表示側基板1aの近傍
を挙げることができる。つまり、第1電極4、第2電極5及び第3電極6の配置位置としては図1(a) 及び(b) に示す2通りを挙げることができる。
【0017】
一方、前記表示側基板1a及び前記後方側基板1bの間隙であって画素と画素との境界部分Fには何らかの部材(以下、“間隙部材”とする)7を配置すると良い。そして、前記第2電極5が、前記間隙部材7と前記表示側基板1aとの間、或いは前記間隙部材7と前記後方側基板1bとの間のいずれか一方に配置され、前記第3電極6が、前記間隙部材7と前記表示側基板1aとの間、或いは前記間隙部材7と前記後方側基板1bとの間のいずれか他方に配置されていると良い。つまり、前記第2電極5及び第3電極6が、前記間隙部材7と前記表示側基板1aとの間、及び前記間隙部材7と前記後方側基板1bとの間にそれぞれ配置されていると良い。また、第2電極5や第3電極6は間隙部材7の内部に形成しても良い。さらに、第2電極5や第3電極6は、隔壁部材7と他の層を介して基板上或いは基板内部に配置しても良い。また、これらの第2電極5や第3電極6は、境界部分Fから画素Eの方へ多少はみ出しても良い。
【0018】
上述した帯電泳動粒子3や第1電極領域には色を付す必要がある。例えば、
・ 帯電泳動粒子3を黒色にし、第1電極領域を白色にしたり、
・ 帯電泳動粒子3を白色にし、第1電極領域を黒色にしたり、
配色の組み合わせは自由である。また、カラー表示をしたい場合には、帯電泳動粒子3を黒色又は白色にした上で第1電極領域の色を画素毎に異ならせると良い。第1電極領域の色としては、赤・緑・青色、或いはイエロー・シアン・マゼンダ等を挙げることができる。
【0019】
ここで、第1電極領域に色を付すとは、
・ 電極自体に色を付す場合だけでなく、
・ 電極自体に色を付さないで、電極を覆うように形成した絶縁層に色を付す場合(例えば、絶縁層自体の色を利用する方法、あるいは絶縁層に着色材料を混ぜ込む方法)や、
・ 電極自体に色を付さないで、電極を覆うように着色層(絶縁層でない層)を設ける場合、
を意味するものとする。
【0020】
ところで、各電極4,5,6を覆うように絶縁層(図1には、第1電極4の絶縁層8のみ図示)を形成すると良く、絶縁層を形成した場合には、各電極4,5,6から帯電泳動粒子3への電荷注入を防止できる。この絶縁層に用いる材料としては、薄膜でもピンホールが形成されにくく、低誘電率の材料、具体的には、アモルファスフッ素樹脂、高透明ポリイミド、アクリル樹脂等が好ましい。
【0021】
間隙部材7としては、
・ 基板間隙を規定するためのスペーサや、
・ 他の画素への帯電泳動粒子3の移動を防止するための隔壁部材
を挙げることができる。スペーサの場合は基板間隙を規定すれば足りるため画素を囲むようには必ずしも配置されていなくても良いが、隔壁部材の場合は、その役割上画素を囲むように配置されている必要がある。間隙部材7は、基板1a,1bと同一の材料で形成しても、他の材料(アクリルなどの感光性樹脂)で形成しても良い。間隙部材7の形成にはどのような方法を用いてもよい。例えば、光感光性樹脂層を塗布した後露光及びウエット現像を行う方法、又は別に作製した障壁を接着する方法、印刷法によって形成する方法等を用いることができる。
【0022】
基板1a,1bには、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリカーボネート(PC)やポリエーテルサルフォン(PES)等のプラスチックフィルムの他、ガラスや石英等を使用することができる。表示側基板1aには透明な材料を使用しなければならないが、後方側基板1bにはポリイミド(PI)などの着色されているものを用いても良い。
【0023】
電極4,5,6は、パターニングが可能な導電性材料ならどのような材料で形成しても良い。例えば、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)等の金属あるいはカーボンや銀ペースト、あるいは有機導電膜などが使用できる。第1電極4を光反射層としても利用する場合は、銀(Ag)あるいはAl等の光反射率の高い材料を好適に使用する。この第1電極4を白色表示として使用する場合は、電極表面そのものに光が乱反射するように表面凹凸をつけるか、あるいは電極上に光散乱層を形成しておく。
【0024】
絶縁性液体2には、イソパラフィン、シリコーンオイル及びキシレン、トルエン等の非極性溶媒であって透明なものを使用すると良い。
【0025】
帯電泳動粒子3としては、着色されていて絶縁性液体2中で正極性又は負極性の良好な帯電特性を示す材料を用いると良い。例えば、各種の無機顔料や有機顔料やカーボンブラック、或いは、それらを含有させた樹脂を使用すると良い。粒子の粒径は通常0.01μm〜50μm程度のものを使用できるが、好ましくは、0.1から10μm程度のものを用いる。
【0026】
なお、上述した絶縁性液体2中や帯電泳動粒子3中には、帯電泳動粒子3の帯電を制御し安定化させるための荷電制御剤を添加しておくと良い。かかる荷電制御剤としては、モノアゾ染料の金属錯塩やサリチル酸や有機四級アンモニウム塩やニグロシン系化合物などを用いると良い。
【0027】
また、絶縁性液体2中には、帯電泳動粒子3同士の凝集を防いで分散状態を維持するための分散剤を添加しておいてもよい。かかる分散剤としては、燐酸カルシウム、燐酸マグネシウム等の燐酸多価金属塩、炭酸カルシウム等の炭酸塩、その他無機塩、無機酸化物、あるいは有機高分子材料などを用いることができる。
【0028】
次に、本発明に係る電気泳動表示装置の駆動方法について説明する。
【0029】
本発明に係る電気泳動表示装置の駆動方法は、
・ 前記帯電泳動粒子3を前記第2電極5に引き付けることにより、該粒子3を画素中の比較的狭い領域に集積させて視認されにくくするリセット工程と、
・ 前記集積された状態の帯電泳動粒子3を前記第1電極4に引き付けることにより、該粒子3を画素中の比較的広い領域に配置させて視認され易くする書き込み工程と、
・ 前記第2電極5の近傍に残存している帯電泳動粒子3(つまり、第1電極4の方へ移行されておらず第2電極5に残っている帯電泳動粒子3)を前記第3電極6に移行させてしまい前記第1電極4への帯電泳動粒子3の移行を制限する表示保持工程と、
を備えている。そして、該駆動方法は、前記書き込み工程の後で前記表示保持工程を開始させるタイミングを制御することにより、前記第1電極領域に配置される帯電泳動粒子3の量を制御し、画素の表示階調を制御するようになっている。
【0030】
なお、前記リセット工程、前記書き込み工程及び前記表示保持工程はいずれの画素に対しても行えば良いが、「前記書き込み工程の後で前記表示保持工程を開始させるタイミング」は画素単位で独立に制御し、画素毎に異なる階調を表示できるようにする必要がある。
【0031】
また、前記表示保持工程は、その画素の表示状態が所望の階調となった時点で開始する、ようにすると良い。この表示保持工程により、第2電極5から第1電極4への所望量以上の帯電泳動粒子3の移行を制限し、表示階調を正確に制御することができる。
【0032】
以下、本発明に係る電気泳動表示装置の駆動方法を図2(a) 〜(c) に沿って説明する。なお、図2中の符号Vaはオフ電圧を示し、符号Vbはオン電圧を示し、符号Vcは非コレクト電圧を示し、符号Vdはコレクト電圧を示し、符号Vcomは基準電圧を示す。ここで、オン電圧Vbとコレクト電圧Vdは帯電泳動粒子3を引き寄せることができ、オフ電圧Vaと非コレクト電圧Vcは帯電泳動粒子3を引き寄せることはできない。また、図2の電気泳動表示装置はスイッチング素子10(詳細は後述)を備えているが、図1の電気泳動表示装置のようにスイッチング素子を備えていなくても良い。
【0033】
駆動に際しては、まず、図2(a) に示すように、第1電極4にオフ電圧Va、第2電極5にVcom、第3電極6に非コレクト電圧Vcを印加すると、帯電泳動粒子3は第2電極5に引き付けられて集積され、第1電極領域が露出されて該領域の色(例えば、白色)の表示がなされる(リセット動作)。
【0034】
次に、同図(b) に示すように、第2電極5及び第3電極6の電圧はそのままで、第1電極4をオフ電圧Vaからオン電圧Vbに切り換えると、集積されていた帯電泳動粒子3は第1電極4の方へ移行を開始する(書き込み動作)。
【0035】
次に、帯電泳動粒子3が移動をしている途中の適切なタイミングで、第3電極6の電圧を非コレクト電圧Vcからコレクト電圧Vdに切り換える。その結果、同図(c) に示すように、第2電極5近傍に残留している帯電泳動粒子3が第3電極6側にも移動することとなる。つまり、帯電泳動粒子3は、第1電極4側に移動する一方で、帯電泳動粒子3の一部が第3電極6側に移動することになり、帯電泳動粒子3は第1電極4側及び第3電極6側に集められることになる。第3電極6側に集められた帯電泳動粒子3は表示にはあまり関与せず、第1電極4を覆うように配置された帯電泳動粒子3が表示に関与することとなり、その広がりの程度(配置の程度)によって表示階調が決定される。
【0036】
なお、表示階調(すなわち、帯電泳動粒子3の広がりの程度)は、“第3電極6にコレクト電圧Vdを印加するタイミング”により制御することができる。
【0037】
ところで、上述した電気泳動表示装置は、各画素にスイッチング素子を配置したアクティブマトリックス型にすると良い。以下、このアクティブマトリックス型電気泳動表示装置について図3及び図4に沿って説明する。
【0038】
アクティブマトリクス型の電気泳動表示装置では後方側基板1bにスイッチング素子10を形成する。このスイッチング素子10には、薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:以下、TFTと称する)などを用いると良い。このスイッチング素子10は各画素に配置されてそのドレイン電極が第1電極4に接続され、該電極4に信号を印加するようになっている。スイッチング素子10は第1電極4の底部に接続すると良い。なお、第1乃至第3電極4,5,6は上述と同様に各画素において絶縁性液体2に近接するように配置すると良い。全画素の第2電極5を電気的に接続しておき、同じ電圧を印加できるようにすると良い。
【0039】
また、図3には記載されていないが、第1電極4に補助容量(図4の符号11参照)を接続すると良い。スイッチング素子10をオンにして補助容量11を一旦充電すれば、その後にスイッチング素子10をオフにしても補助容量11の蓄積電荷によって帯電泳動粒子3の移動を継続させることができる。この他、配線、あるいは表示領域周囲に走査用、及びデータ用の駆動回路等、表示に必要なものを配置すると良い。
【0040】
また、図4に示すように、複数の走査ライン12及びデータライン13をマトリックス状に配置し、上述したスイッチング素子10はそれらのライン12,13の交差部に配置すると良い。そして、スイッチング素子10のゲート電極は走査ライン12に接続し、ソース電極はデータライン13に接続すると良い。かかる場合、スイッチング素子10は、走査ライン12から入力される信号に応じて前記データライン13と前記第1電極4とを導通又は非導通状態に切り換えることとなる。また、走査ドライバ14やデータドライバ15を配置し、上述した走査ライン12は走査ドライバ14に接続し、データライン13はデータドライバ15に接続すると良い。走査ドライバ14、及びデータドライバ15は、ドライバICとしてパッケージ化されたものを実装しても良いし、スイッチング素子10と共通の製造プロセスで形成しても良い。
【0041】
各画素の第2電極5は電気的に接続して同一電位に保持できるようにすると良い。
【0042】
以下、アクティブマトリクス型電気泳動表示装置の駆動方法について図5乃至図13に沿って説明する。
【0043】
ある走査ライン12がアクティブになると、その走査ライン12に接続された全スイッチング素子10はオン状態となり、このときデータドライバ15から出力された電圧が、スイッチング素子10を介して第1電極4に印加される。
【0044】
各画素の第2電極5は少なくとも走査ライン毎に互いに接続されて同一の信号が供給される。
【0045】
各画素の第3電極6は少なくとも走査ライン毎に互いに接続されて同一の信号が供給される。
【0046】
そして、第1電極4、第2電極5、及び第3電極6との間に発生する電界により帯電泳動粒子3が移動することになる。
【0047】
いま、便宜上、
・ 電気泳動表示装置の画素を図5に示すように5×5個とし、
・ 表示階調は5段階(以下、階調レベル1〜5とする)とし、
・ 電気泳動表示装置全体では図5に示すような表示を行う、
ものとする。このアクティブマトリックス型電気泳動表示装置においても上述と同様のリセット動作、次に書き込み動作、最後に表示保持動作を行う。また、符号Vaはオフ電圧を示し、符号Vbはオン電圧を示し、符号Vcは非コレクト電圧を示し、符号Vdはコレクト電圧を示し、符号Vcomは基準電圧を示す。そして、第2電極5の電圧がVcomで、第1電極4がオフ電圧Vaで、第3電極6が非コレクト電圧Vcの場合には、帯電泳動粒子3は第2電極5に引き付けられ(図2(a) 参照)、第1電極4をオン電圧Vbにした場合には帯電泳動粒子3は第1電極4に引き付けられ(同図(b) 参照)、第3電極6をコレクト電圧Vdにした場合には帯電泳動粒子3は第3電極6に引き付けられる(同図(c) 参照)ものとする。以下、各動作について説明する。
【0048】
<リセット動作>
最初にリセット動作として、全画素において第1電極4にオフ電圧Vaを印加し、第2電極5にVcomを印加し、第3電極6に非コレクト電圧Vcを印加する。その結果、各画素において帯電泳動粒子3は第2電極5に引き寄せられた(図2(a) 参照)。
【0049】
<書き込み動作>
この書き込み動作を行う期間を複数のフィールド期間に分割し(つまり、前記書き込み工程が複数のフィールド期間に分割され)、どのフィールド期間で第1電極4の電圧を切り換えるかによって表示階調を制御する(つまり、前記第1電極にオン電圧を印加しているフィールド期間の数を表示階調に応じて変える)ようになっている。
【0050】
表示階調を上述のように5段階にするには、フィールド期間を4つにして5通りの電圧印加を可能にする必要がある。以下、図6に沿って説明する。なお、図6の符号Aは、1フィールド書き換え期間であり、走査ドライバ12の出力により、第1走査ラインから第5走査ラインまで順次に選択して第1電極4および補助容量11に電圧を印加し、補助容量11に電荷を充電している期間を示す(以降の説明図でも同様)。また、図6の符号Bは、充電された補助容量11により第1電極4の電圧が保持されている期間(以降の説明図でも同様)を示す。このB期間では、時間が経つにつれて、補助容量11の電荷がスイッチング素子10のオフ抵抗を介して抜けていくため、徐々に電圧降下が生じている。ところで、
・ 階調レベル1を達成するには、第1電極4の電圧は全てのフィールド期間においてオン電圧Vbとし(図6(a) 参照)、
・ 階調レベル2を達成するには、第1電極4の電圧は最初の1フィールド期間はオフ電圧Vaとして残りの3フィールド期間はオン電圧Vbとし(図6(b) 参照)、
・ 階調レベル3を達成するには、第1電極4の電圧は最初の2フィールド期間はオフ電圧Vaとして残りの2フィールド期間はオン電圧Vbとし(図6(c) 参照)、
・ 階調レベル4を達成するには、第1電極4の電圧は最初の3フィールド期間はオフ電圧Vaとして残りの1フィールド期間はオン電圧Vbとし(図6(d) 参照)、
・ 階調レベル5を達成するには、第1電極4の電圧は全てのフィールド期間においてオフ電圧Vaとする(図6(e) 参照)、
と良い。
【0051】
図5に示す表示を行う場合、フィールド期間毎・画素毎の印加電圧(第1電極4の印加電圧)を図示すると図7(a) 〜(d) に示すようになる。つまり、最初のフィールド期間では(a) に示すようにVa又はVbの電圧を各画素の第1電極4に印加し、次のフィールド期間では(b) に示すように印加し、さらに、(c) (d) に示すように印加する。
【0052】
なお、書き込み動作中は、第2電極5にはVcomを印加し、第3電極6には非コレクト電圧Vcを印加しておく。
【0053】
ところで、この書き込み動作期間の長さ(図8の符号T参照)は、帯電泳動粒子3の移動時間(応答性)を加味して決定すれば良い。図8は、横軸が時間軸であり、符号Sが書き込み動作開始時を示し、符号Eが書き込み終了時を示す。書き込み動作開始(S)から書き込み動作終了(E)までの時間Tは、
・ 帯電泳動粒子3が第2電極5に集められたリセット状態(図9(a) に示す状態)から
・ 帯電泳動粒子3が第1電極4へ移動して黒表示が完了するまでの状態(同図(b) に示す状態)
に移行するために必要な時間とすることが好ましい。なお、図中の符号f1〜fnは、フィールド期間が切り換わるタイミング(すなわち、図6にて述べたように、第1電極4の電圧を適宜オフ電圧Vaからオン電圧Vbに切り換えるタイミング)を示す。フィールドが切り換わるタイミングの間隔は、等間隔にしても良いし、個別に設定して異ならせても良く、Tを表示する階調数に応じて適当に分割する。フィールド数nの場合、(n+1)の階調レベルを実現できる。フィールド数nを増やすことにより階調数を増やすことが可能である。
【0054】
<表示保持動作>
書き込み動作終了後、第3電極6の電圧を非コレクト電圧Vcからコレクト電圧Vdに切り換えて表示保持動作を行う。なお、その間、第1電極4への電圧印加は行わず、全画素のスイッチング素子10をオフにすると良い。
【0055】
第3電極6においてコレクト電圧Vdへの電圧切り換えは書き込み動作終了直後に行ってもよいが、以下の説明のように行うとより好ましい。
【0056】
この表示保持動作においては第3電極6の電圧を上述のように非コレクト電圧Vcからコレクト電圧Vdに切り換えるが、その切り換えは、
・ 同じ走査ライン12に接続された複数の第3電極6については同時に行い、しかも、
・ 第1走査ライン12から第2走査ライン12、第3走査ライン12,…について順次行う、
と良い。図10は、表示保持動作における走査方法を説明するための図である。この表示保持動作の期間を、1走査ライン選択期間と同一の長さの間隔Cに分割し、
・ 第1走査ラインの電圧切り換えは、書き込み動作終了と同時に行い(同図(a) の太線参照)、
・ 第2走査ラインの電圧切り換えは、1番目の期間Cの終了と同時に行い(同図(b) の太線参照)、
・ 第3走査ラインの電圧切り換えは、2番目の期間Cの終了と同時に行い(同図(c) の太線参照)、
・ 第4走査ラインの電圧切り換えは、3番目の期間Cの終了と同時に行い(同図(d) の太線参照)、
・ 第5走査ラインの電圧切り換えは、4番目の期間Cの終了と同時に行う(同図(e) の太線参照)、
と良い。つまり、第3電極6のコレクト電圧Vdへの切り換えタイミングは走査ライン毎に異ならせると良い。また、第3電極6のコレクト電圧Vdへの切り換えタイミングは走査ラインを順次選択するタイミングと同一にすると良い。DはAの1フィールド書き換え期間と同一の時間長である(以降の説明図でも同様)。
【0057】
このように行う理由は、以下に記述する通りである。
【0058】
フィールドが切り換わる場合、上述のように走査ライン12を1ラインずつ選択して、1ラインずつ補助容量11に電圧を印加するため(つまり、走査ライン12を選択して第1電極4にオン電圧Vbを印加している間に補助容量11への電荷注入が終了しておく必要があるため)、(補助容量への電荷注入時間)×(走査ライン数)で表される時間量が1フィールド書き換えるためには必要とされることとなる。そのため、あるフィールドでオフ電圧Vaからオン電圧Vbと切り換わる画素があった場合、それが走査ラインの異なる画素においては、その第1電極4の電圧の切り替わるタイミングが異なることになる。そこで、走査ライン12を順次選択するタイミングと同様のタイミングで、走査ライン12毎に第3電極6の電圧を非コレクト電圧Vcからコレクト電圧Vdに切り換えることによって、例えば、第1走査ラインで階調レベル2の表示を行う画素と、第5走査ラインで階調レベル2の表示を行う画素において、書き込み動作中に第1電極4の電圧がオフ電圧Vaからオン電圧Vbに切り換わってから、表示保持動作において第3電極6の電圧が非コレクト電圧Vcからコレクト電圧Vdに切り換わるまでの時間を同一にすることができ、階調精度の良い駆動を行うことができる。
【0059】
しかし、帯電泳動粒子3の移動時間と比較して、その1フィールド書き換え期間が非常に小さい場合には、複数の走査ライン単位で第3電極6の電圧を切り換えても良い(つまり、前記第3電極6のコレクト電圧Vdへの切り換えタイミングが複数の走査ライン毎に異なるようにすると良い)。そのためには、第3電極6が複数の走査ライン毎で共通に接続されるようにすると良い。また、全画素同時に第1電極4の電圧が切り換わったとみなして全画素の第3電極6の電圧を同時に切り換えても良い(つまり、前記第3電極6のコレクト電圧Vdへの切り換えタイミングを全画素において同じにすると良い)。そのためには、全画素の第3電極6を共通に接続しておくと良い。
【0060】
複数の走査ライン単位で第3電極6の電圧を非コレクト電圧Vcからコレクト電圧Vdに切り換える場合は次のようになる。例えば、800走査ラインの表示パネル(電気泳動表示装置)において、第1走査ラインから第400走査ラインまでの第3電極6の電圧と、第401走査ラインから第800走査ラインまでの第3電極6の電圧をそれぞれ同時に切り換えるように電圧の制御を行うとする。第1走査ラインから第400走査ラインまでの第3電極6の電圧〈1〉と、第401走査ラインから第800走査ラインまでの第3電極6の電圧〈2〉を切り換えるタイミングを図11に示す。図11に示すように、書き込み動作終了後、200走査ラインを選択するのに必要とする時間(E)が経った後に第3電極6の電圧〈1〉を切り換え、600走査ラインを選択するのに必要とする時間(F)が経った後に第3電極6の電圧〈2〉を切り換えている。
【0061】
こうすることにより僅かながらも存在するタイミングの相違の影響を小さくできて効果的である。さらに、同じ電圧切り換えタイミングとなる第3電極6を互いに接続して第3電極への信号ラインを2ラインに減らすことができ、駆動システム構成を簡易化できる。
【0062】
また、例えば、1200走査ラインの表示パネルにおいて、第1走査ラインから第400走査ラインまでの第3電極6の電圧と、第401走査ラインから第800走査ラインまでの第3電極6の電圧と、第801走査ラインから第1200走査ラインまでの第3電極6の電圧をそれぞれ同時に切り換えるように電圧の制御を行うとする。第1走査ラインから第400走査ラインまでの第3電極6の電圧〈1〉、第401走査ラインから第800走査ラインまでの第3電極6の電圧〈2〉、第801走査ラインから第1200走査ラインまでの第3電極6の電圧〈3〉を切り換えるタイミングを図12に示す。図12に示すように、書き込み動作終了後、200走査ラインを選択するのに必要とする時間(G)が経った後に第3電極6の電圧〈1〉を切り換え、600走査ラインを選択するのに必要とする時間(H)が経った後に第3電極6の電圧〈2〉を切り換え、1000走査ラインを選択するのに必要とする時間(I)が経った後に第3電極6の電圧〈3〉を切り換えている。
【0063】
こうすることにより、図11と同様に僅かながらも存在するタイミングの相違の影響を小さくできて効果的である。さらに、同じ電圧切り換えタイミングとなる第3電極6を互いに接続して第3電極への信号ラインを3ラインに減らすことができ、駆動システム構成を簡易化できる。
【0064】
全画素の第3電極6の電圧を同時に非コレクト電圧Vcからコレクト電圧Vdに切り換える場合について、例えば、400走査ラインの表示パネルにおいて、その第3電極6の電圧を切り換えるタイミングを図13に示す。図13に示すように、書き込み動作終了後、1フィールド書き換えに必要とする時間(D)の半分、すなわち200走査ラインを選択するのに必要とする時間(J)が経った後に第3電極6の電圧を切り換えている。
【0065】
こうすることにより、図11、図12と同様に僅かながらも存在するタイミングの相違の影響を小さくできて効果的である。さらに、同じ電圧切り換えタイミングとなる第3電極6を互いに接続して第3電極への信号ラインを1ラインに減らすことができ、駆動システム構成を簡易化できる。
【0066】
以上の表示保持動作において、第1電極4、あるいは第3電極6に集められた帯電泳動粒子3が、第1電極4から第3電極6へ、あるいは第3電極6から第1電極4へ移動するような電界を形成しないために、オン電圧Vb=コレクト電圧Vdとなる電圧を使用するほうが好ましいと考えられる。そして、電気泳動現象にはメモリ性があるため画素内を無電界状態として静止画を表示する。表示保持動作では全画素のスイッチング素子10をオフにしており、全データライン13の電圧をVcomとすると、補助容量11の電荷が抜けて第1電極4の電圧が電圧Vcomまで徐々に降下する(つまり、書き込み動作終了後、表示保持動作として前記スイッチング素子をオフ状態とし、前記第3電極の電圧を徐々に減少させる)。この第1電極4の電圧の降下に合わせて、第3電極6のコレクト電圧をVdから徐々に電圧Vcomとしていくことで画素内を無電界状態にできる。このように徐々に電圧を変化させる理由は、第1電極4の電圧を電圧Vcomヘ急激に変化させると、急激な内部電界の変化、及び反電場の発生により、帯電泳動粒子3が移動してしまうことがあり、表示が乱れる可能性があるためである。
【0067】
図5に示す表示の動作について、画素a〜eに注目してみる。
【0068】
画素aについては、フィールド1で第1電極4にオン電圧Vbが印加されるため、書き込み開始から帯電泳動粒子3は第2電極5から第1電極4の方へ移動する。そのためフィールド4の書き換えが終わり表示保持動作に移る時点では、第1電極4上に帯電泳動粒子3全てが集まっており、第3電極6の電圧が非コレクト電圧Vcからコレクト電圧Vdに切り換わることによる影響を受けず黒表示が行われる。この動作は、図9に示される動作と同様となっている。
【0069】
画素bについては、フィールド1での電圧では帯電泳動粒子3は移動を始めないが、フィールド2で第1電極4にオン電圧Vbが印加されるため、帯電泳動粒子3は第1電極4へ移動を始める。第2電極5側に積み重なった帯電泳動粒子3は、順次第1電極4側に移動するが、フィールド4の書き換えが終わり表示保持動作に移る時点で第3電極6の電圧が非コレクト電圧Vcからコレクト電圧Vdに切り換わるので、第3電極6側にも移動するように電界を発生し、帯電泳動粒子3は、第1電極4側に移動する一方で、後から移動する帯電泳動粒子3の一部が第3電極6側に移動することになる。この動作は、図2に示される動作と同様となり、帯電泳動粒子3は第1電極4側及び第3電極6側に集められることになる。
【0070】
画素cについては、フィールド1、及びフィールド2での電圧では帯電泳動粒子3は移動を始めないが、フィールド3で第1電極4にオン電圧Vbが印加されるため、帯電泳動粒子3は第1電極4へ移動を始める。第2電極5側に積み重なった帯電泳動粒子3は、順次第1電極4側に移動するが、フィールド4の書き換えが終わり表示保持動作に移る時点で第3電極6の電圧が非コレクト電圧Vcからコレクト電圧Vdに切り換わるので、第3電極6側にも移動するように電界を発生し、帯電泳動粒子3は、第1電極4側に移動する一方で、後から移動する帯電泳動粒子3の一部が第3電極6側に移動することになる。この動作は、図2に示される動作と同様となり、帯電泳動粒子3は第1電極4側及び第3電極6側に集められることになるが、画素bよりも第1電極4への移動開始が遅い。
【0071】
画素dについては、フィールド1、フィールド2、及びフィールド3での電圧では帯電泳動粒子3は移動を始めないが、フィールド4で第1電極4にオン電圧Vbが印加されるため、帯電泳動粒子3は第1電極4へ移動を始める。第2電極5側に積み重なった帯電泳動粒子3は、順次第1電極4側に移動するが、フィールド4の書き換えが終わり表示保持動作に移る時点で第3電極6の電圧が非コレクト電圧Vcからコレクト電圧Vdに切り換わるので、第3電極6側にも移動するように電界を発生し、帯電泳動粒子3は、第1電極4側に移動する一方で、後から移動する帯電泳動粒子3の一部が第3電極6側に移動することになる。この動作は、図2に示される動作と同様となり、帯電泳動粒子3は第1電極4側及び第3電極6側に集められることになるが、画素cよりも第1電極4への移動開始が遅い。
【0072】
画素eについては、フィールド1、フィールド2、フィールド3、及びフィールド4のいずれの電圧でも帯電泳動粒子3は移動を始めず、第1電極4には書き込み動作終了までオフ電圧Vaが印加される。フィールド4の書き換えが終わり表示保持動作に移る時点で第3電極6の電圧が非コレクト電圧Vcからコレクト電圧Vdに切り換わるので、帯電泳動粒子3が第3電極6側に移動するように電界を発生し、帯電泳動粒子3は、第3電極6側に移動することになる。帯電泳動粒子3は第1電極4側に移動することなく、全ての帯電泳動粒子3が第3電極6側に移動することになり白表示が行われる。
【0073】
ここで、明度について説明する。
【0074】
画素aについては黒表示であり、最も明度が低い。画素eについては白表示であり、最も明度が高い。画素b〜dにおいては、いずれも第1電極4側及び第3電極6側に帯電泳動粒子3が集められているものの、第1電極4上に集められた帯電泳動粒子3の量が異なるため、それぞれ異なる明度となる。画素bと画素cと比較すると、画素bは帯電泳動粒子3の第1電極4側への移動が画素cより先に行われるため、第1電極4上に集められる帯電泳動粒子3の量が多い。その結果、画素cより画素bは明度が低くなる。画素cと画素dと比較すると、画素cは帯電泳動粒子3の第1電極4側への移動が画素dより先に行われるため、第1電極4上に集められる帯電泳動粒子3の量が多い。その結果、画素dより画素cは明度が低くなる。よって、明度としては、画素a<画素b<画素c<画素d<画素eという関係になり、中間調を表現できるのである。
【0075】
また、異なる表示に書き換える場合には、再度リセット動作、書き込み動作、表示保持動作を順次行って静止画を表示する。
【0076】
次に、本実施の形態の効果について説明する。
【0077】
本実施の形態によれば、第1電極4における電圧の切り換えタイミングを制御することにより、階調レベルに応じた量の帯電泳動粒子3を第1電極4へ移動させ、その後、残りを第3電極6に移動させる。その結果、表示に関与する第1電極上に分布する帯電泳動粒子3の量を制御することができ、かつ、第3電極に移動した帯電泳動粒子3は表示には関与しないため、中間調表示を安定的に行うことができる。また、表示に関与する帯電泳動粒子と表示に関与しない帯電泳動粒子を完全に別々の電極(互いに離間している第1電極4と第3電極6)へ分離するので、その後も電圧を印加し続けても、第1電極上に分布する帯電泳動粒子の量を変化させず中間調のある静止画を表示し続けることができる。また、画素内を無電界状態にする場合においても、表示に関与しない帯電泳動粒子は、第1電極上とは別の第3電極上に分離されているため、各画素の補助容量に残った電荷により形成される残留電界の影響を受けて移動することはなく、安定な中間調のある静止画表示を行うことができる。さらに残留電界が減少するのに合わせて第3電極の電圧を小さくすることによって、帯電泳動粒子が移動することなく画素内の内部を無電界状態にすることができる。その結果、電力消費を抑制した静止画表示を実現できる。さらに、帯電泳動粒子は画素内の部材近傍を移動するといった動きであり、かつ表示保持状態では画素内の部材及び帯電泳動粒子同士で接触しているため、経時的に安定な静止画表示を行うことにもなる。
【0078】
【実施例】
以下、実施例に沿って本発明を更に詳細に説明する。
【0079】
(実施例1)
本実施例では、図3及び図4に示すアクティブマトリックス型電気泳動表示装置を作製した。
【0080】
すなわち、表示基板(表示側基板)1a及び後方基板(後方側基板)1bの間隙には、画素を囲むように隔壁(間隙部材)7を配置した。なお、隔壁7の幅を10μmとし、高さを20μmとした。そして、第1電極4は、後方基板1bの側であって隔壁7に囲まれた部分の中央部に配置し、一辺の長さを80μmとした。また、第2電極5は後方基板1bと隔壁7の間に配置し、各画素の第2電極5は互いに電気的に接続して同電圧を印加できるようにした。さらに、第3電極6は表示基板1aと隔壁7の間に配置した。なお、後方基板1bには1200本の走査ライン12を配置し、該走査ライン12には上述した第3電極6を接続した。以下の説明では、接続されている走査ラインを「第3電極6〈1〉」〜「第3電極6〈1200〉」で区別した。なお、図中の符号10はスイッチング素子を示し、符号11は補助容量を示し、符号13はデータラインを示し、符号14は走査ドライバを示し、符号15はデータドライバを示す。基板には1.1mm厚のガラス板を用い、スイッチング素子10にはTFTを用いた。
【0081】
また、本実施例に係る電気泳動表示装置は、1つの画素の大きさを100μm×100μmとし、画素の数は、1200×1200画素とした。
【0082】
本実施例に係る電気泳動表示装置は以下のように製造した。
【0083】
まず、後方基板の表面にスイッチング素子10や補助容量11や走査ライン12やデータライン13を形成し、さらに第1電極4を形成した。なお、第1電極4とスイッチング素子10とは接続した。また、第1電極4には、光反射率の大きいアルミニウムを用いた。さらに、第1電極4は、酸化チタン微粒子を含有するアクリル樹脂層8によって被覆した。第1電極4は光反射層を兼ね、アクリル樹脂層8は光散乱効果を発揮する。
【0084】
各画素の境界部分Fに第2電極5を形成し、その上に隔壁7、さらにその隔壁7上に第3電極6を形成した。
【0085】
次に、各画素には絶縁性液体2及び帯電泳動粒子3を充填した。絶縁性液体2にはイソパラフィン(商品名:アイソパー,エクソン社製)を用い、帯電泳動粒子3には粒径1〜2μm程度のカーボンブラックを含有したポリスチレン−ポリメチルメタクリレート共重合体樹脂を用いた。イソパラフィンには、荷電制御剤としてコハク酸イミド(商品名:OLOA1200、シェブロン社製)を含有させた。帯電泳動粒子3はマイナスの極性を示した。
【0086】
次に、表示基板1aを隔壁7上に接着して絶縁性液体2や帯電泳動粒子3を各画素に封止した。
【0087】
さらに、図14に示すように、表示部22の周辺にIC化した走査ドライバ14、データドライバ15、及び第3電極ドライバ20Bを実装し、走査ライン12を走査ドライバ14に接続し、データライン13をデータドライバ15に接続し、第3電極6を第3電極ドライバ20に接続した。
【0088】
以下、駆動方法について説明する。
【0089】
まず、I/F19から入力された画像データをMPU16が表示用データとして変換してRAM18へ書き込む。次に、MPU16はRAM18から表示用データを読み込んでグラフィックコントローラ17へ転送する。そこで、グラフィックコントローラ17は、インターフェース信号を生成し、表示部22周辺の走査ドライバ14、データドライバ15、及び第3電極ドライバ20に転送する。インターフェース信号として、フィールド同期信号(FLM)、水平同期信号(CL1)、8bitデータ(D0〜D7)、データ取り込みクロック(CL2)、リセット信号〈1〉(RST1)、リセット信号〈2〉(RST2)、リセット信号〈3〉(RST3)、0V出力信号〈1〉(ZERO1)、0V出力信号〈2〉(ZERO2)、保持信号(ME)、電圧切り換え信号(VSW)が転送され、それによって、走査ライン12、データライン13、第3電極6〈1〉〜第3電極6〈1200〉に駆動電圧を加えて表示が行われる。
【0090】
次に、表示部22の周辺に配置する走査ドライバ14、及びデータドライバ15について説明する。図15は走査ドライバ14の内部ブロック図、図16はデータドライバ15の内部ブロック図、図17は動作タイムチャートである。
【0091】
走査ドライバ14は1200出力であり、その内部には1200段のシフトレジスタ141を内蔵しており、水平同期信号(CL1)の立ち下がりエッジでフィールド同期信号(FLM)データを取り込み、その後、順次シフトする。シフトレジスタ141の出力信号はレベルシフタ142で駆動電圧のレベルに変換され、駆動電圧出力回路143で、選択電圧、非選択電圧をアナログスイッチで選択して走査信号として出力する。このとき、リセット信号〈1〉(RST1)、0V出力信号〈1〉(ZERO1)、保持信号(ME)はいずれもロウレベルで入力することとする。また、リセット信号〈1〉(RST1)がハイレベル、0V出力信号〈1〉(ZERO1)、保持信号(ME)がロウレベルで入力されると、全出力選択電圧を出力し、0V出力信号〈1〉(ZERO1)がハイレベル、リセット信号〈1〉(RST1)、保持信号(ME)がロウレベルで入力されると、全出力0Vを出力し、保持信号(ME)がハイレベル、リセット信号〈1〉(RST1)、0V出力信号〈1〉(ZERO1)がロウレベルで入力されると、全出力非選択電圧を出力する。
【0092】
データドライバ15は1200出力であり、表示用データに対応してオン電圧/オフ電圧をデータラインに出力する。まず、データ取り込みクロック(CL2)の立ち下りエッジに同期したでコントロール回路151の出力の立ち下がりエッジで8bitデータ(D0〜D7)を8bitラッチ回路152に順次ラッチする。1ラインのデータが8bitラッチ回路152にラッチされると、水平同期信号(CL1)の立ち上がりエッジで全データを同時にラインデータラッチ回路153にラッチする。ラインデータラッチ回路のデータに対応して、レベルシフタ154で駆動電圧のレベルに変換され、駆動電圧出力回路155でオン電圧/オフ電圧をアナログスイッチで選択してデータ信号として出力する。このとき、リセット信号〈2〉(RST2)、0V出力信号〈2〉(ZERO2)はいずれもロウレベルで入力することとする。また、リセット信号〈2〉(RST2)がハイレベル、0V出力信号〈2〉(ZERO2)がロウレベルで入力されると、全出力オフ電圧を出力し、0V出力信号〈2〉(ZERO2)がハイレベル、リセット信号〈2〉(RST2)がロウレベルで入力されると、全出力0Vを出力する。
【0093】
次に第3電極ドライバ20について説明する。図18は第3電極ドライバ20の内部ブロック図、図19は動作タイムチャートである。第3電極ドライバ20は1200出力であり、電圧切り換え信号(VSW)の立ち上がりエッジ毎に、コントロール回路201の出力が第1出力から第1200出力まで順次に切り換わっていく。コントロール回路201の出力は、レベルシフタ202で駆動電圧のレベルに変換され、駆動電圧出力回路203で、コレクト電圧、非コレクト電圧をアナログスイッチで選択して第3電極6〈1〉〜第3電極6〈1200〉へ出力される。コレクト電圧は、8bitD/Aコンバータ204から供給され、グラフィックコントローラ17からの8bitの電圧制御信号(CNV)により変化させることができる。そして、第3電極ドライバ20からコレクト電圧を出力している場合、D/Aコンバータ204からの出力の変化に連動して第3電極ドライバ20の出力を変化させることが可能な構成となっている。図19に示されるように、電圧切り換え信号(VSW)の立ち上がりエッジに同期して、第3電極6〈1〉への出力から第3電極6〈1200〉への出力まで順次に非コレクト電圧からコレクト電圧へ切り換える。そして、D/Aコンバータ204の出力を変えて、コレクト電圧を徐々に小さくしている。このとき、リセット信号〈3〉(RST3)はロウレベルで入力することとする。また、リセット信号〈3〉(RST3)がハイレベルで入力されると、コントロール回路201の出力がリセットされて全出力非コレクト電圧を出力する。
【0094】
電源回路22は、走査ドライバ14、データドライバ15、及び第3電極ドライバ20に、パネルを駆動するための駆動電圧を供給し、またシフトレジスタ、ラッチ回路などの各ドライバ内のロジック回路を駆動するための電源を供給する。さらにパネル内の第2電極5に電圧を印加する。本実施例では、走査ドライバ14には、選択電圧として30V、非選択電圧として−10V、及び0V出力するための0Vを供給し、データドライバ15には、オン電圧として10V、オフ電圧として−10V、及び0V出力するための0Vを供給する。また、第3電極ドライバ20には、コレクト電圧を生成するD/Aコンバータ204の基準電源として10Vおよび0Vを供給し、非コレクト電圧として−10Vを供給する。シフトレジスタ、ラッチ回路などの駆動のための電源としては3.3Vを供給する。さらに第2電極5には0Vを供給している。
【0095】
本発明の駆動方法によって本実施例に係る電気泳動表示装置を駆動する。図20を用いて説明する。本実施例では、7フィールド1書き込みの階調数8の表示を行うこととする。第2電極5は0Vである。最初にリセット動作として、走査ドライバ14の全出力を選択電圧、かつデータドライバ15の全出力をオフ電圧として全画素の第1電極4にオフ電圧−10Vを印加し、第3電極6〈1〉〜第3電極6〈1200〉に非コレクト電圧−10Vを印加して、帯電泳動粒子3を第2電極5に集めて白表示とする。このとき、走査ドライバ14にリセット信号〈1〉(RST1)をハイレベル、0V出力信号〈1〉(ZERO1)、保持信号(ME)をロウレベルで入力し、データドライバ15にリセット信号〈2〉(RST2)をハイレベル、0V出力信号〈2〉(ZERO2)をロウレベルで入力し、第3電極ドライバ20にリセット信号〈3〉(RST3)をハイレベルで入力している。また、第3電極ドライバ20のD/Aコンバータ204の出力が10Vとなるように電圧制御信号(CNV)を入力する。
【0096】
次に書き込み動作を行う。画素毎に階調レベル1〜階調レベル8を実現するために、それぞれの画素の第1電極4において、図20に示されるようにフィールド毎に電圧を印加していく。走査ドライバ14及びデータドライバ15の動作は図17に示した通りである。このとき、走査ドライバ14にリセット信号〈1〉(RST1)、0V出力信号〈1〉(ZERO1)、保持信号(ME)をいずれもロウレベルで入力し、データドライバ15にリセット信号〈2〉(RST2)、0V出力信号〈2〉(ZERO2)をいずれもロウレベルで入力する。また、第3電極ドライバ20に、リセット信号〈3〉(RST3)をロウレベルで入力する。どのフィールドで第1電極4の電圧をオフ電圧−10Vからオン電圧10Vに切り換えるかが階調レベルを決定することになり、その時点で第1電極4の方に帯電泳動粒子3が移動していく。1フィールド書き換え期間(A)では、走査ドライバ14の出力により、第1走査ラインから第1200走査ラインまで順次に選択して第1電極4および補助容量11に電圧を印加しており、補助容量11に電荷を充電している。
【0097】
表示保持動作では、第3電極6〈1〉〜第3電極6〈1200〉の電圧を非コレクト電圧−10Vからコレクト電圧10Vに切り換える。この時点で、帯電泳動粒子3の一部が第3電極6〈1〉〜第3電極6〈1200〉に集められ、第1電極4上に集まる帯電泳動粒子3の量が決定して表示がなされる。この表示保持動作は、図10に示した方法により、書き込み動作終了後、1走査ライン選択期間と同一の長さの間隔Cで走査ライン12毎に第3電極6の電圧を第1走査ラインから順に切り換えている。
【0098】
その後は、保持信号(ME)をハイレベル、リセット信号〈1〉(RST1)、0V出力信号〈1〉(ZERO1)をロウレベルで走査ドライバ14に入力し、また0V出力信号〈2〉(ZERO2)をハイレベル、リセット信号〈2〉(RST2)をロウレベルでデータドライバ15に入力することにより、走査ドライバ14の全出力を非選択電圧−10V、データドライバ15の全出力を0Vとする。このとき、第1電極4における電圧は補助容量11の電荷がTFTのオフ抵抗を通じて放電されるにつれてオン電圧10Vから0Vへ徐々に下がってくる。それと連動して電圧制御信号(CNV)により第3電極ドライバ20内のD/Aコンバータ204の出力を10Vから0Vへ徐々に降下していくことにより、第3電極ドライバ20が出力するコレクト電圧を10Vから徐々に小さくして0Vへ降下していく。こうして最終的に画素内の電極の電圧を全て0Vとして無電界状態を形成し、表示保持状態とする。ここで、走査ドライバ14の全出力を非選択電圧としたのは、画素内を無電界状態とする過程において、走査ライン12を順次選択して全ての第1電極4に0Vを印加する場合、あるいは走査ライン12を全選択した状態で全第1電極4に0Vを印加した場合には、第1電極4の電圧が10Vから0Vへ急激に変化することになり、急激な内部電界の変化、及び反電場の発生により、帯電泳動粒子3が移動してしまうため、スイッチング素子10を全てオフにして徐々に第1電極4の電圧を0Vにするためである。そして、無電界状態にした後は、走査ドライバ14に0V出力信号〈1〉(ZERO1)をハイレベル、リセット信号〈1〉(RST1)、保持信号(ME)をロウレベルで入力することにより、走査ドライバ14の全出力を0Vとする。
【0099】
このような駆動方法、及びその駆動回路により、階調数8の表示を実現できる。そして、安定な中間調のある静止画表示を実現できる。
【0100】
(実施例2)
本実施例では図21に示す駆動システムを使用し、第3電極ドライバ20Aの内部構造は図22に示すようにした。また、図23に示す動作タイムチャートを用いて画像表示を行った。
【0101】
なお、第3電極6は、第1走査ラインから第400走査ラインまでの第3電極6を1つの電極として接続して第3電極6〈1〉,第401走査ラインから第800走査ラインまでの第3電極6を1つの電極として接続して第3電極6〈2〉、第801走査ラインから第1200走査ラインまでの第3電極6を1つの電極として接続して第3電極6〈3〉とする。
【0102】
インターフェース信号として、フィールド同期信号(FLM)、水平同期信号(CL1)、8bitデータ(D0〜D7)、データ取り込みクロック(CL2)、リセット信号〈1〉(RST1)、リセット信号〈2〉(RST2)、0V出力信号〈1〉(ZERO1)、0V出力信号〈2〉(ZERO2)、保持信号(ME)、電圧切り換え信号〈1〉(VSW1)、電圧切り換え信号〈2〉(VSW2)、電圧切り換え信号〈3〉(VSW3)が転送され、それによって、走査ライン12、データライン13、第3電極6〈1〉、第3電極6〈2〉、及び第3電極6〈3〉に駆動電圧を加えて表示が行われる。
【0103】
また、図22に示すように、電圧切り換え信号〈1〉(VSW1)がレベルシフタ201Aで駆動電圧のレベルに変換され、駆動電圧出力回路202Aで、コレクト電圧、非コレクト電圧をアナログスイッチで選択して第3電極6〈1〉へ出力する。同様に、電圧切り換え信号〈2〉(VSW2)がレベルシフタ201Aで駆動電圧のレベルに変換され、駆動電圧出力回路202Aで、コレクト電圧、非コレクト電圧をアナログスイッチで選択して第3電極6〈2〉へ出力され、また、電圧切り換え信号〈3〉(VSW3)がレベルシフタ201Aで駆動電圧のレベルに変換され、駆動電圧出力回路202Aで、コレクト電圧、非コレクト電圧をアナログスイッチで選択して第3電極6〈3〉へ出力される。コレクト電圧は、8bitD/Aコンバータ203Aから供給され、グラフィックコントローラ17からの8bitの電圧制御信号(CNV)により変化させることができる。そして、第3電極ドライバ20Aからコレクト電圧を出力している場合、D/Aコンバータ202Aからの出力の変化に連動して第3電極ドライバ20Aの出力を変化させることが可能な構成となっている。図23に示されるように、電圧切り換え信号〈1〉(VSW1)がロウレベルからハイレベルとなるのに同期して、第3電極6〈1〉への出力を非コレクト電圧からコレクト電圧へ切り換える。同様に電圧切り換え信号〈2〉(VSW2)がロウレベルからハイレベルとなるのに同期して、第3電極6〈2〉への出力を非コレクト電圧からコレクト電圧へ切り換え、電圧切り換え信号〈3〉(VSW3)がロウレベルからハイレベルとなるのに同期して、第3電極6〈3〉への出力を非コレクト電圧からコレクト電圧へ切り換える。そして、D/Aコンバータ203Aの出力を変えて、コレクト電圧を徐々に小さくしている。
【0104】
電源回路21は、走査ドライバ14、データドライバ15、及び第3電極ドライバ20Aに、パネルを駆動するための駆動電圧を供給し、またシフトレジスタ、ラッチ回路などの各ドライバ内のロジック回路を駆動するための電源を供給する。さらにパネル内の第2電極5に電圧を印加する。本実施例では、走査ドライバ14には、選択電圧として30V、非選択電圧として−10V、及び0V出力するための0Vを供給し、データドライバ15には、オン電圧として10V、オフ電圧として−10V、及び0V出力するための0Vを供給する。また、第3電極ドライバ20Aには、コレクト電圧を生成するD/Aコンバータ203Aの基準電源として10Vおよび0Vを供給し、非コレクト電圧として−10Vを供給する。シフトレジスタ、ラッチ回路などの駆動のための電源としては3.3Vを供給する。さらに第2電極5には0Vを供給している。
【0105】
ところで、リセット動作を行う際には、走査ドライバ14にリセット信号〈1〉(RST1)をハイレベル、0V出力信号〈1〉(ZERO1)、保持信号(ME)をロウレベルで入力し、データドライバ15にリセット信号〈2〉(RST2)をハイレベル、0V出力信号〈2〉(ZERO2)をロウレベルで入力し、第3電極ドライバ20Aに電圧切り換え信号〈1〉(VSW1)、電圧切り換え信号〈2〉(VSW2)、及び電圧切り換え信号〈3〉(VSW3)をロウレベルで入力している。また、第3電極ドライバ20AのD/Aコンバータ203Aの出力が10Vとなるように電圧制御信号(CNV)を入力する。
【0106】
表示保持動作を行う際には、帯電泳動粒子3の一部が第3電極6〈1〉、第3電極6〈2〉、及び第3電極6〈3〉に集められ、第1電極4上に集まる帯電泳動粒子3の量が決定して表示がなされる。この表示保持動作は、図12に示した方法により、書き込み動作終了後、200走査ラインを選択するのに必要とする時間(G)が経った後に第3電極6の電圧〈1〉を切り換え、600走査ラインを選択するのに必要とする時間(H)が経った後に第3電極6の電圧〈2〉を切り換え、1000走査ラインを選択するのに必要とする時間(I)が経った後に第3電極6の電圧〈3〉を切り換えている。
【0107】
その他の駆動方法は実施例1と同じにした。
【0108】
(実施例3)
本実施例では図24に示す駆動システムを使用し、第3電極ドライバ20Bの内部構造は図25に示すようにした。また、図26に示す動作タイムチャートを用いて画像表示を行った。
【0109】
本実施例においては、第2電極5、及び第3電極6は、全画素においてそれぞれ共通に接続されている。電気泳動表示装置についてのその他の構成は実施例1と同じにした。
【0110】
本実施例に係る電気泳動表示装置は実施例1と同様の方法により製造した。
【0111】
また、図24に示す駆動システムにおいては、インターフェース信号として、フィールド同期信号(FLM)、水平同期信号(CL1)、8bitデータ(D0〜D7)、データ取り込みクロック(CL2)、リセット信号〈1〉(RST1)、リセット信号〈2〉(RST2)、0V出力信号〈1〉(ZERO1)、0V出力信号〈2〉(ZERO2)、保持信号(ME)、電圧切り換え信号(VSW)が転送され、それによって、走査ライン12、およびデータライン13、第3電極6に駆動電圧を加えて表示が行われる。
【0112】
一方、走査ドライバ14A及びデータドライバ15Aは出力数が異なる点以外は実施例1等と同様である。すなわち、本実施例に使用した走査ドライバ14Aは400出力であり、その内部には400段のシフトレジスタ141を内蔵しており、水平同期信号(CL1)の立ち下がりエッジでフィールド同期信号(FLM)データを取り込み、その後、順次シフトするようになっている。また、データドライバ15Aは600出力であり、表示用データに対応してオン電圧/オフ電圧をデータラインに出力するようになっている。
【0113】
ところで、リセット動作に際しては、走査ドライバ14Aの全出力を選択電圧、かつデータドライバ15Aの全出力をオフ電圧として全画素の第1電極4にオフ電圧−10Vを印加し、第3電極6に非コレクト電圧−10Vを印加して、帯電泳動粒子3を第2電極5に集めて白表示とする。このとき、走査ドライバ14Aにリセット信号〈1〉(RST1)をハイレベル、0V出力信号〈1〉(ZERO1)、保持信号(ME)をロウレベルで入力し、データドライバ15Aにリセット信号〈2〉(RST2)をハイレベル、0V出力信号〈2〉(ZERO2)をロウレベルで入力し、第3電極ドライバ20Bに電圧切り換え信号(VSW)をロウレベルで入力している。また、第3電極ドライバ20BのD/Aコンバータ203Bの出力が10Vとなるように電圧制御信号(CNV)を入力する。
【0114】
また、1フィールド書き換え期間(A)では、走査ドライバ14Aの出力により、第1走査ラインから第400走査ラインまで順次に選択して第1電極4および補助容量11に電圧を印加しており、補助容量11に電荷を充電している。
【0115】
表示保持動作は、図13に示した方法により、書き込み動作終了後、1フィールド書き換えに必要とする時間(D)の半分、すなわち200走査ラインを選択するのに必要とする時間(J)が経った後に第3電極6の電圧を切り換えている。
【0116】
その後は、保持信号(ME)をハイレベル、リセット信号〈1〉(RST1)、0V出力信号〈1〉(ZERO1)をロウレベルで走査ドライバ14Aに入力し、また0V出力信号〈2〉(ZERO2)をハイレベル、リセット信号〈2〉(RST2)をロウレベルでデータドライバ15Aに入力することにより、走査ドライバ14Aの全出力を非選択電圧−10V、データドライバ15Aの全出力を0Vとする。このとき、第1電極4における電圧は補助容量11の電荷がTFTのオフ抵抗を通じて放電されるにつれてオン電圧10Vから0Vへ徐々に下がってくる。それと連動して電圧制御信号(CNV)により第3電極ドライバ20B内のD/Aコンバータの出力203Bを10Vから0Vへ徐々に降下していくことにより、第3電極ドライバ20Bが出力するコレクト電圧を10Vから徐々に小さくして0Vへ降下していく。こうして最終的に画素内の電極の電圧を全て0Vとして無電界状態を形成し、表示保持状態とする。ここで、走査ドライバ14Aの全出力を非選択電圧としたのは、画素内を無電界状態とする過程において、走査ライン12を順次選択して全ての第1電極4に0Vを印加する場合、あるいは走査ライン12を全選択した状態で全第1電極4に0Vを印加した場合には、第1電極4の電圧が10Vから0Vへ急激に変化することになり、急激な内部電界の変化、及び反電場の発生により、帯電泳動粒子3が移動してしまうため、スイッチング素子10を全てオフにして徐々に第1電極4の電圧を0Vにするためである。そして、無電界状態にした後は、走査ドライバ14Aに0V出力信号〈1〉(ZERO1)をハイレベル、リセット信号〈1〉(RST1)、保持信号(ME)をロウレベルで入力することにより、走査ドライバ14の全出力を0Vとする。
【0117】
その他の駆動方法は実施例1と同じにした。
【0118】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によると、第1電極における電圧の切り換えタイミングを制御することにより、階調レベルに応じた量の帯電泳動粒子を第1電極へ移動させ、その後、残りを第3電極に移動させる。その結果、表示に関与する第1電極上に分布する帯電泳動粒子の量を制御することができ、かつ、第3電極に移動した帯電泳動粒子は表示には関与しないため、中間調表示を安定的に行うことができる。また、表示に関与する帯電泳動粒子と表示に関与しない帯電泳動粒子を完全に別々の電極(互いに離間している第1電極及び第3電極)へ分離するので、その後も電圧を印加し続けても、第1電極上に分布する帯電泳動粒子の量を変化させず中間調のある静止画を表示し続けることができる。また、画素内を無電界状態にする場合においても、表示に関与しない帯電泳動粒子は、第1電極上とは別の第3電極上に分離されているため、各画素の補助容量に残った電荷により形成される残留電界の影響を受けて移動することはなく、安定な中間調のある静止画表示を行うことができる。さらに残留電界が減少するのに合わせて第3電極の電圧を小さくすることによって、帯電泳動粒子が移動することなく画素内の内部を無電界状態にすることができる。その結果、電力消費を抑制した静止画表示を実現できる。さらに、帯電泳動粒子は画素内の部材近傍を移動するといった動きであり、かつ表示保持状態では画素内の部材及び帯電泳動粒子同士で接触しているため、経時的に安定な静止画表示を行うことにもなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電気泳動表示装置の構造の一例を示す断面図。
【図2】本発明に係る電気泳動表示装置の駆動方法の一例を示す断面図。
【図3】本発明に係る電気泳動表示装置の構造の他の例(アクティブマトリックス型)を示す断面図。
【図4】アクティブマトリックス型電気泳動表示装置の構成を示す回路図。
【図5】アクティブマトリックス型電気泳動表示装置の表示状態の一例を示す模式図。
【図6】書き込み動作(書き込み工程)時の電圧印加条件を説明するための図。
【図7】書き込み動作(書き込み工程)時の各画素の印加電圧を示す模式図。
【図8】書き込み動作期間の長さ等を説明するための図。
【図9】書き込み動作期間の長さ決定方法を説明するための図。
【図10】表示保持動作における走査方法を説明するための図。
【図11】表示保持動作時における第3電極の電圧切り換えタイミングを説明するための図。
【図12】表示保持動作時における第3電極の電圧切り換えタイミングを説明するための図。
【図13】表示保持動作時における第3電極の電圧切り換えタイミングを説明するための図。
【図14】電気泳動表示装置の駆動システムの一例を示すブロック図。
【図15】走査ドライバの内部ブロック図。
【図16】データドライバの内部ブロック図。
【図17】動作タイムチャート図。
【図18】第3電極ドライバの内部ブロック図。
【図19】動作タイムチャート図。
【図20】リセット動作時及び書き込み動作時における電圧印加状態を説明するための図。
【図21】電気泳動表示装置の駆動システムの一例を示すブロック図。
【図22】第3電極ドライバの内部ブロック図。
【図23】動作タイムチャート図。
【図24】電気泳動表示装置の駆動システムの一例を示すブロック図。
【図25】第3電極ドライバの内部ブロック図。
【図26】動作タイムチャート図。
【符号の説明】
1a 表示基板(表示側基板)
1b 後方基板(後方側基板)
2 絶縁性液体
3 帯電泳動粒子
4 第1電極
5 第2電極
6 第3電極
7 隔壁(間隙部材)
10 TFT(スイッチング素子)
12 走査ライン
13 データライン
E 画素
F 境界部分
【発明の属する技術分野】
本発明は、帯電泳動粒子を移動させることに基づき表示を行うようにした電気泳動表示装置の駆動方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近時、電界を印加して帯電泳動粒子を移動させることにより表示を行うようにした電気泳動表示装置が、非発光型の表示デバイスとして注目されている。
【0003】
この電気泳動表示装置は、所定間隙を開けた状態に配置された一対の基板と、その基板間隙に注入された絶縁性液体と、該絶縁性液体に分散された多数の帯電泳動粒子と、該絶縁性液体に近接するように配置された一対の電極と、を備えており、電極に電圧を印加することにより帯電泳動粒子を任意の方向に移動できるように構成されている。そして、帯電泳動粒子の位置を変化させることにより表示色を画素毎に変え、装置全体で画像を表示するようになっている。
【0004】
このような電気泳動表示装置において中間調のある表示を行う場合、電圧によって電極に引き付けられる帯電泳動粒子を制御して帯電泳動粒子の分散状態を変えることで中間調を表示している(例えば、特許文献1及び特許文献2参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−116733号公報
【特許文献2】
特開2002−116734号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の電気泳動表示装置では、中間調を表示している状態において、帯電泳動粒子の一部は絶縁性液体中を浮遊しており、そのため長時間同一の場所にとどまらせることが難しく、時間が経つと表示状態(表示階調)が変化してしまうことがあった。
【0007】
また、電気泳動表示装置をアクティブマトリクス型(つまり、図3及び図4に示すように各画素の電極にスイッチング素子10を接続したような構成のもの)として静止画を表示しようとした場合、画像形成後、電圧を印加しつづけると帯電泳動粒子は移動してしまい画像が変化してしまうという問題もあった。かかる問題を回避すべく電圧印加を止めて画素内を無電界状態にしようとしても、各画素の補助容量(図4の符号11参照)に残留する電荷によって形成される残留電界により、帯電泳動粒子が移動してしまうことがあり、安定な静止画を表示することが困難であった。
【0008】
そこで、本発明は、表示階調の変化を低減できる電気泳動表示装置の駆動方法を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記事情を考慮してなされたものであり、所定間隙を開けた状態に配置された表示側基板及び後方側基板と、これらの基板の間隙に配置された絶縁性液体及び複数の帯電泳動粒子とを備えた電気泳動表示装置に電界をかけて前記帯電泳動粒子を移動させることに基づき表示を行う電気泳動表示装置の駆動方法において、
前記電気泳動表示装置が、前記絶縁性液体に近接するように各画素に配置された第1乃至第3電極を備え、かつ、
前記駆動方法が、
前記帯電泳動粒子を前記第2電極に引き付けることにより、該粒子を画素中の比較的狭い領域に集積させて視認されにくくするリセット工程と、
前記集積された状態の帯電泳動粒子を前記第1電極に引き付けることにより、該粒子を画素中の比較的広い領域に配置させて視認され易くする書き込み工程と、
前記第2電極の近傍に残存している帯電泳動粒子を前記第3電極に移行させてしまい前記第1電極への帯電泳動粒子の移行を制限する表示保持工程と、
を備え、
前記書き込み工程の後で前記表示保持工程を開始させるタイミングを制御することにより、前記第1電極の領域に配置される帯電泳動粒子の量を制御し、画素の表示階調を制御する、ことを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図1乃至図13を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0011】
ここで、図1は、本発明に係る電気泳動表示装置の構造の一例を示す断面図であり、図2は、本発明に係る電気泳動表示装置の駆動方法の一例を示す断面図であり、図3は、本発明に係る電気泳動表示装置の構造の他の例(アクティブマトリックス型)を示す断面図であり、図4は、アクティブマトリックス型電気泳動表示装置の構成を示す回路図である。また、図5は、アクティブマトリックス型電気泳動表示装置の表示状態の一例を示す模式図であり、図6は、書き込み動作(書き込み工程)時の電圧印加条件を説明するための図であり、図7は、書き込み動作(書き込み工程)時の各画素の印加電圧を示す模式図である。さらに、図8は、書き込み動作期間の長さ等を説明するための図であり、図9は、書き込み動作期間の長さ決定方法を説明するための図である。なお、本発明に係る電気泳動表示装置は複数の画素を有するが、図面では便宜上1つの画素の構成のみ示している。
【0012】
本発明に係る電気泳動表示装置は、図1(a) (b) に示すように、所定間隙を開けた状態に配置された表示側基板1a及び後方側基板1bと、これらの基板1a,1bの間隙に配置された絶縁性液体2及び複数の帯電泳動粒子3と、を備え、電界をかけて前記帯電泳動粒子3を移動させることに基づき表示を行うように構成されている。
【0013】
この電気泳動表示装置は、前記絶縁性液体2に近接するように各画素Eに配置された第1乃至第3電極4,5,6を備えており、いずれの電極4,5,6も、所定の電圧印加条件の下、帯電泳動粒子3を引き付けることができるようになっている。但し、
・ 前記第1電極4に引き付けられた場合の帯電泳動粒子3は、視認されるように画素中の比較的広い領域に配置され、
・ 前記第2電極5や前記第3電極6に引き付けられた場合の帯電泳動粒子3は、視認されにくいように画素中の比較的狭い領域に集積される、
ように構成されている。
【0014】
なお、“広い領域”及び“狭い領域”とは、基板1a,1bに沿った面の領域を意味するものとする。表示側基板1aの側から電気泳動表示装置を観察した場合、帯電泳動粒子3が広い領域に配置された場合には帯電泳動粒子3の色が画素の色として認識され、帯電泳動粒子3が狭い領域に集積された場合には(帯電泳動粒子3は視認されにくくなって代わりに)第1電極4が配置されている領域(以下、“第1電極領域”とする)の色が画素の色として認識されることとなる。本発明に係る電気泳動表示装置は原理的にはこのような現象を利用して表示を行うようになっている。
【0015】
また、「表示側基板」とは、表示を観察する方の側に配置される基板を意味し、「後方側基板」とは、その背後に配置される方の基板を意味するものとする。
【0016】
ところで、上述のように「前記第1電極4に引き付けられた場合の帯電泳動粒子3が画素中の比較的広い領域に配置される」ようにするには、該第1電極4を前記後方側基板1bに沿った広い領域に形成すると良い。また、「前記第2電極5に引き付けられた場合の帯電泳動粒子3が画素中の比較的狭い領域に集積される」ようにするには、該第2電極5を画素Eと画素Eとの境界部分Fに配置すると良い。同様に、「前記第3電極6に引き付けられた場合の帯電泳動粒子3が画素中の比較的狭い領域に集積される」ようにするには、該第3電極6を画素Eと画素Eとの境界部分Fに配置すると良い。かかる場合、第2電極5と第3電極6とは互いに離間した位置に配置して互いの電気的導通を回避しておく必要がある。なお、第2電極5や第3電極6を配置できる位置としては、
・ 画素と画素との境界部分Fであって後方側基板1bの近傍や
・ 画素と画素との境界部分Fであって表示側基板1aの近傍
を挙げることができる。つまり、第1電極4、第2電極5及び第3電極6の配置位置としては図1(a) 及び(b) に示す2通りを挙げることができる。
【0017】
一方、前記表示側基板1a及び前記後方側基板1bの間隙であって画素と画素との境界部分Fには何らかの部材(以下、“間隙部材”とする)7を配置すると良い。そして、前記第2電極5が、前記間隙部材7と前記表示側基板1aとの間、或いは前記間隙部材7と前記後方側基板1bとの間のいずれか一方に配置され、前記第3電極6が、前記間隙部材7と前記表示側基板1aとの間、或いは前記間隙部材7と前記後方側基板1bとの間のいずれか他方に配置されていると良い。つまり、前記第2電極5及び第3電極6が、前記間隙部材7と前記表示側基板1aとの間、及び前記間隙部材7と前記後方側基板1bとの間にそれぞれ配置されていると良い。また、第2電極5や第3電極6は間隙部材7の内部に形成しても良い。さらに、第2電極5や第3電極6は、隔壁部材7と他の層を介して基板上或いは基板内部に配置しても良い。また、これらの第2電極5や第3電極6は、境界部分Fから画素Eの方へ多少はみ出しても良い。
【0018】
上述した帯電泳動粒子3や第1電極領域には色を付す必要がある。例えば、
・ 帯電泳動粒子3を黒色にし、第1電極領域を白色にしたり、
・ 帯電泳動粒子3を白色にし、第1電極領域を黒色にしたり、
配色の組み合わせは自由である。また、カラー表示をしたい場合には、帯電泳動粒子3を黒色又は白色にした上で第1電極領域の色を画素毎に異ならせると良い。第1電極領域の色としては、赤・緑・青色、或いはイエロー・シアン・マゼンダ等を挙げることができる。
【0019】
ここで、第1電極領域に色を付すとは、
・ 電極自体に色を付す場合だけでなく、
・ 電極自体に色を付さないで、電極を覆うように形成した絶縁層に色を付す場合(例えば、絶縁層自体の色を利用する方法、あるいは絶縁層に着色材料を混ぜ込む方法)や、
・ 電極自体に色を付さないで、電極を覆うように着色層(絶縁層でない層)を設ける場合、
を意味するものとする。
【0020】
ところで、各電極4,5,6を覆うように絶縁層(図1には、第1電極4の絶縁層8のみ図示)を形成すると良く、絶縁層を形成した場合には、各電極4,5,6から帯電泳動粒子3への電荷注入を防止できる。この絶縁層に用いる材料としては、薄膜でもピンホールが形成されにくく、低誘電率の材料、具体的には、アモルファスフッ素樹脂、高透明ポリイミド、アクリル樹脂等が好ましい。
【0021】
間隙部材7としては、
・ 基板間隙を規定するためのスペーサや、
・ 他の画素への帯電泳動粒子3の移動を防止するための隔壁部材
を挙げることができる。スペーサの場合は基板間隙を規定すれば足りるため画素を囲むようには必ずしも配置されていなくても良いが、隔壁部材の場合は、その役割上画素を囲むように配置されている必要がある。間隙部材7は、基板1a,1bと同一の材料で形成しても、他の材料(アクリルなどの感光性樹脂)で形成しても良い。間隙部材7の形成にはどのような方法を用いてもよい。例えば、光感光性樹脂層を塗布した後露光及びウエット現像を行う方法、又は別に作製した障壁を接着する方法、印刷法によって形成する方法等を用いることができる。
【0022】
基板1a,1bには、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリカーボネート(PC)やポリエーテルサルフォン(PES)等のプラスチックフィルムの他、ガラスや石英等を使用することができる。表示側基板1aには透明な材料を使用しなければならないが、後方側基板1bにはポリイミド(PI)などの着色されているものを用いても良い。
【0023】
電極4,5,6は、パターニングが可能な導電性材料ならどのような材料で形成しても良い。例えば、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)等の金属あるいはカーボンや銀ペースト、あるいは有機導電膜などが使用できる。第1電極4を光反射層としても利用する場合は、銀(Ag)あるいはAl等の光反射率の高い材料を好適に使用する。この第1電極4を白色表示として使用する場合は、電極表面そのものに光が乱反射するように表面凹凸をつけるか、あるいは電極上に光散乱層を形成しておく。
【0024】
絶縁性液体2には、イソパラフィン、シリコーンオイル及びキシレン、トルエン等の非極性溶媒であって透明なものを使用すると良い。
【0025】
帯電泳動粒子3としては、着色されていて絶縁性液体2中で正極性又は負極性の良好な帯電特性を示す材料を用いると良い。例えば、各種の無機顔料や有機顔料やカーボンブラック、或いは、それらを含有させた樹脂を使用すると良い。粒子の粒径は通常0.01μm〜50μm程度のものを使用できるが、好ましくは、0.1から10μm程度のものを用いる。
【0026】
なお、上述した絶縁性液体2中や帯電泳動粒子3中には、帯電泳動粒子3の帯電を制御し安定化させるための荷電制御剤を添加しておくと良い。かかる荷電制御剤としては、モノアゾ染料の金属錯塩やサリチル酸や有機四級アンモニウム塩やニグロシン系化合物などを用いると良い。
【0027】
また、絶縁性液体2中には、帯電泳動粒子3同士の凝集を防いで分散状態を維持するための分散剤を添加しておいてもよい。かかる分散剤としては、燐酸カルシウム、燐酸マグネシウム等の燐酸多価金属塩、炭酸カルシウム等の炭酸塩、その他無機塩、無機酸化物、あるいは有機高分子材料などを用いることができる。
【0028】
次に、本発明に係る電気泳動表示装置の駆動方法について説明する。
【0029】
本発明に係る電気泳動表示装置の駆動方法は、
・ 前記帯電泳動粒子3を前記第2電極5に引き付けることにより、該粒子3を画素中の比較的狭い領域に集積させて視認されにくくするリセット工程と、
・ 前記集積された状態の帯電泳動粒子3を前記第1電極4に引き付けることにより、該粒子3を画素中の比較的広い領域に配置させて視認され易くする書き込み工程と、
・ 前記第2電極5の近傍に残存している帯電泳動粒子3(つまり、第1電極4の方へ移行されておらず第2電極5に残っている帯電泳動粒子3)を前記第3電極6に移行させてしまい前記第1電極4への帯電泳動粒子3の移行を制限する表示保持工程と、
を備えている。そして、該駆動方法は、前記書き込み工程の後で前記表示保持工程を開始させるタイミングを制御することにより、前記第1電極領域に配置される帯電泳動粒子3の量を制御し、画素の表示階調を制御するようになっている。
【0030】
なお、前記リセット工程、前記書き込み工程及び前記表示保持工程はいずれの画素に対しても行えば良いが、「前記書き込み工程の後で前記表示保持工程を開始させるタイミング」は画素単位で独立に制御し、画素毎に異なる階調を表示できるようにする必要がある。
【0031】
また、前記表示保持工程は、その画素の表示状態が所望の階調となった時点で開始する、ようにすると良い。この表示保持工程により、第2電極5から第1電極4への所望量以上の帯電泳動粒子3の移行を制限し、表示階調を正確に制御することができる。
【0032】
以下、本発明に係る電気泳動表示装置の駆動方法を図2(a) 〜(c) に沿って説明する。なお、図2中の符号Vaはオフ電圧を示し、符号Vbはオン電圧を示し、符号Vcは非コレクト電圧を示し、符号Vdはコレクト電圧を示し、符号Vcomは基準電圧を示す。ここで、オン電圧Vbとコレクト電圧Vdは帯電泳動粒子3を引き寄せることができ、オフ電圧Vaと非コレクト電圧Vcは帯電泳動粒子3を引き寄せることはできない。また、図2の電気泳動表示装置はスイッチング素子10(詳細は後述)を備えているが、図1の電気泳動表示装置のようにスイッチング素子を備えていなくても良い。
【0033】
駆動に際しては、まず、図2(a) に示すように、第1電極4にオフ電圧Va、第2電極5にVcom、第3電極6に非コレクト電圧Vcを印加すると、帯電泳動粒子3は第2電極5に引き付けられて集積され、第1電極領域が露出されて該領域の色(例えば、白色)の表示がなされる(リセット動作)。
【0034】
次に、同図(b) に示すように、第2電極5及び第3電極6の電圧はそのままで、第1電極4をオフ電圧Vaからオン電圧Vbに切り換えると、集積されていた帯電泳動粒子3は第1電極4の方へ移行を開始する(書き込み動作)。
【0035】
次に、帯電泳動粒子3が移動をしている途中の適切なタイミングで、第3電極6の電圧を非コレクト電圧Vcからコレクト電圧Vdに切り換える。その結果、同図(c) に示すように、第2電極5近傍に残留している帯電泳動粒子3が第3電極6側にも移動することとなる。つまり、帯電泳動粒子3は、第1電極4側に移動する一方で、帯電泳動粒子3の一部が第3電極6側に移動することになり、帯電泳動粒子3は第1電極4側及び第3電極6側に集められることになる。第3電極6側に集められた帯電泳動粒子3は表示にはあまり関与せず、第1電極4を覆うように配置された帯電泳動粒子3が表示に関与することとなり、その広がりの程度(配置の程度)によって表示階調が決定される。
【0036】
なお、表示階調(すなわち、帯電泳動粒子3の広がりの程度)は、“第3電極6にコレクト電圧Vdを印加するタイミング”により制御することができる。
【0037】
ところで、上述した電気泳動表示装置は、各画素にスイッチング素子を配置したアクティブマトリックス型にすると良い。以下、このアクティブマトリックス型電気泳動表示装置について図3及び図4に沿って説明する。
【0038】
アクティブマトリクス型の電気泳動表示装置では後方側基板1bにスイッチング素子10を形成する。このスイッチング素子10には、薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:以下、TFTと称する)などを用いると良い。このスイッチング素子10は各画素に配置されてそのドレイン電極が第1電極4に接続され、該電極4に信号を印加するようになっている。スイッチング素子10は第1電極4の底部に接続すると良い。なお、第1乃至第3電極4,5,6は上述と同様に各画素において絶縁性液体2に近接するように配置すると良い。全画素の第2電極5を電気的に接続しておき、同じ電圧を印加できるようにすると良い。
【0039】
また、図3には記載されていないが、第1電極4に補助容量(図4の符号11参照)を接続すると良い。スイッチング素子10をオンにして補助容量11を一旦充電すれば、その後にスイッチング素子10をオフにしても補助容量11の蓄積電荷によって帯電泳動粒子3の移動を継続させることができる。この他、配線、あるいは表示領域周囲に走査用、及びデータ用の駆動回路等、表示に必要なものを配置すると良い。
【0040】
また、図4に示すように、複数の走査ライン12及びデータライン13をマトリックス状に配置し、上述したスイッチング素子10はそれらのライン12,13の交差部に配置すると良い。そして、スイッチング素子10のゲート電極は走査ライン12に接続し、ソース電極はデータライン13に接続すると良い。かかる場合、スイッチング素子10は、走査ライン12から入力される信号に応じて前記データライン13と前記第1電極4とを導通又は非導通状態に切り換えることとなる。また、走査ドライバ14やデータドライバ15を配置し、上述した走査ライン12は走査ドライバ14に接続し、データライン13はデータドライバ15に接続すると良い。走査ドライバ14、及びデータドライバ15は、ドライバICとしてパッケージ化されたものを実装しても良いし、スイッチング素子10と共通の製造プロセスで形成しても良い。
【0041】
各画素の第2電極5は電気的に接続して同一電位に保持できるようにすると良い。
【0042】
以下、アクティブマトリクス型電気泳動表示装置の駆動方法について図5乃至図13に沿って説明する。
【0043】
ある走査ライン12がアクティブになると、その走査ライン12に接続された全スイッチング素子10はオン状態となり、このときデータドライバ15から出力された電圧が、スイッチング素子10を介して第1電極4に印加される。
【0044】
各画素の第2電極5は少なくとも走査ライン毎に互いに接続されて同一の信号が供給される。
【0045】
各画素の第3電極6は少なくとも走査ライン毎に互いに接続されて同一の信号が供給される。
【0046】
そして、第1電極4、第2電極5、及び第3電極6との間に発生する電界により帯電泳動粒子3が移動することになる。
【0047】
いま、便宜上、
・ 電気泳動表示装置の画素を図5に示すように5×5個とし、
・ 表示階調は5段階(以下、階調レベル1〜5とする)とし、
・ 電気泳動表示装置全体では図5に示すような表示を行う、
ものとする。このアクティブマトリックス型電気泳動表示装置においても上述と同様のリセット動作、次に書き込み動作、最後に表示保持動作を行う。また、符号Vaはオフ電圧を示し、符号Vbはオン電圧を示し、符号Vcは非コレクト電圧を示し、符号Vdはコレクト電圧を示し、符号Vcomは基準電圧を示す。そして、第2電極5の電圧がVcomで、第1電極4がオフ電圧Vaで、第3電極6が非コレクト電圧Vcの場合には、帯電泳動粒子3は第2電極5に引き付けられ(図2(a) 参照)、第1電極4をオン電圧Vbにした場合には帯電泳動粒子3は第1電極4に引き付けられ(同図(b) 参照)、第3電極6をコレクト電圧Vdにした場合には帯電泳動粒子3は第3電極6に引き付けられる(同図(c) 参照)ものとする。以下、各動作について説明する。
【0048】
<リセット動作>
最初にリセット動作として、全画素において第1電極4にオフ電圧Vaを印加し、第2電極5にVcomを印加し、第3電極6に非コレクト電圧Vcを印加する。その結果、各画素において帯電泳動粒子3は第2電極5に引き寄せられた(図2(a) 参照)。
【0049】
<書き込み動作>
この書き込み動作を行う期間を複数のフィールド期間に分割し(つまり、前記書き込み工程が複数のフィールド期間に分割され)、どのフィールド期間で第1電極4の電圧を切り換えるかによって表示階調を制御する(つまり、前記第1電極にオン電圧を印加しているフィールド期間の数を表示階調に応じて変える)ようになっている。
【0050】
表示階調を上述のように5段階にするには、フィールド期間を4つにして5通りの電圧印加を可能にする必要がある。以下、図6に沿って説明する。なお、図6の符号Aは、1フィールド書き換え期間であり、走査ドライバ12の出力により、第1走査ラインから第5走査ラインまで順次に選択して第1電極4および補助容量11に電圧を印加し、補助容量11に電荷を充電している期間を示す(以降の説明図でも同様)。また、図6の符号Bは、充電された補助容量11により第1電極4の電圧が保持されている期間(以降の説明図でも同様)を示す。このB期間では、時間が経つにつれて、補助容量11の電荷がスイッチング素子10のオフ抵抗を介して抜けていくため、徐々に電圧降下が生じている。ところで、
・ 階調レベル1を達成するには、第1電極4の電圧は全てのフィールド期間においてオン電圧Vbとし(図6(a) 参照)、
・ 階調レベル2を達成するには、第1電極4の電圧は最初の1フィールド期間はオフ電圧Vaとして残りの3フィールド期間はオン電圧Vbとし(図6(b) 参照)、
・ 階調レベル3を達成するには、第1電極4の電圧は最初の2フィールド期間はオフ電圧Vaとして残りの2フィールド期間はオン電圧Vbとし(図6(c) 参照)、
・ 階調レベル4を達成するには、第1電極4の電圧は最初の3フィールド期間はオフ電圧Vaとして残りの1フィールド期間はオン電圧Vbとし(図6(d) 参照)、
・ 階調レベル5を達成するには、第1電極4の電圧は全てのフィールド期間においてオフ電圧Vaとする(図6(e) 参照)、
と良い。
【0051】
図5に示す表示を行う場合、フィールド期間毎・画素毎の印加電圧(第1電極4の印加電圧)を図示すると図7(a) 〜(d) に示すようになる。つまり、最初のフィールド期間では(a) に示すようにVa又はVbの電圧を各画素の第1電極4に印加し、次のフィールド期間では(b) に示すように印加し、さらに、(c) (d) に示すように印加する。
【0052】
なお、書き込み動作中は、第2電極5にはVcomを印加し、第3電極6には非コレクト電圧Vcを印加しておく。
【0053】
ところで、この書き込み動作期間の長さ(図8の符号T参照)は、帯電泳動粒子3の移動時間(応答性)を加味して決定すれば良い。図8は、横軸が時間軸であり、符号Sが書き込み動作開始時を示し、符号Eが書き込み終了時を示す。書き込み動作開始(S)から書き込み動作終了(E)までの時間Tは、
・ 帯電泳動粒子3が第2電極5に集められたリセット状態(図9(a) に示す状態)から
・ 帯電泳動粒子3が第1電極4へ移動して黒表示が完了するまでの状態(同図(b) に示す状態)
に移行するために必要な時間とすることが好ましい。なお、図中の符号f1〜fnは、フィールド期間が切り換わるタイミング(すなわち、図6にて述べたように、第1電極4の電圧を適宜オフ電圧Vaからオン電圧Vbに切り換えるタイミング)を示す。フィールドが切り換わるタイミングの間隔は、等間隔にしても良いし、個別に設定して異ならせても良く、Tを表示する階調数に応じて適当に分割する。フィールド数nの場合、(n+1)の階調レベルを実現できる。フィールド数nを増やすことにより階調数を増やすことが可能である。
【0054】
<表示保持動作>
書き込み動作終了後、第3電極6の電圧を非コレクト電圧Vcからコレクト電圧Vdに切り換えて表示保持動作を行う。なお、その間、第1電極4への電圧印加は行わず、全画素のスイッチング素子10をオフにすると良い。
【0055】
第3電極6においてコレクト電圧Vdへの電圧切り換えは書き込み動作終了直後に行ってもよいが、以下の説明のように行うとより好ましい。
【0056】
この表示保持動作においては第3電極6の電圧を上述のように非コレクト電圧Vcからコレクト電圧Vdに切り換えるが、その切り換えは、
・ 同じ走査ライン12に接続された複数の第3電極6については同時に行い、しかも、
・ 第1走査ライン12から第2走査ライン12、第3走査ライン12,…について順次行う、
と良い。図10は、表示保持動作における走査方法を説明するための図である。この表示保持動作の期間を、1走査ライン選択期間と同一の長さの間隔Cに分割し、
・ 第1走査ラインの電圧切り換えは、書き込み動作終了と同時に行い(同図(a) の太線参照)、
・ 第2走査ラインの電圧切り換えは、1番目の期間Cの終了と同時に行い(同図(b) の太線参照)、
・ 第3走査ラインの電圧切り換えは、2番目の期間Cの終了と同時に行い(同図(c) の太線参照)、
・ 第4走査ラインの電圧切り換えは、3番目の期間Cの終了と同時に行い(同図(d) の太線参照)、
・ 第5走査ラインの電圧切り換えは、4番目の期間Cの終了と同時に行う(同図(e) の太線参照)、
と良い。つまり、第3電極6のコレクト電圧Vdへの切り換えタイミングは走査ライン毎に異ならせると良い。また、第3電極6のコレクト電圧Vdへの切り換えタイミングは走査ラインを順次選択するタイミングと同一にすると良い。DはAの1フィールド書き換え期間と同一の時間長である(以降の説明図でも同様)。
【0057】
このように行う理由は、以下に記述する通りである。
【0058】
フィールドが切り換わる場合、上述のように走査ライン12を1ラインずつ選択して、1ラインずつ補助容量11に電圧を印加するため(つまり、走査ライン12を選択して第1電極4にオン電圧Vbを印加している間に補助容量11への電荷注入が終了しておく必要があるため)、(補助容量への電荷注入時間)×(走査ライン数)で表される時間量が1フィールド書き換えるためには必要とされることとなる。そのため、あるフィールドでオフ電圧Vaからオン電圧Vbと切り換わる画素があった場合、それが走査ラインの異なる画素においては、その第1電極4の電圧の切り替わるタイミングが異なることになる。そこで、走査ライン12を順次選択するタイミングと同様のタイミングで、走査ライン12毎に第3電極6の電圧を非コレクト電圧Vcからコレクト電圧Vdに切り換えることによって、例えば、第1走査ラインで階調レベル2の表示を行う画素と、第5走査ラインで階調レベル2の表示を行う画素において、書き込み動作中に第1電極4の電圧がオフ電圧Vaからオン電圧Vbに切り換わってから、表示保持動作において第3電極6の電圧が非コレクト電圧Vcからコレクト電圧Vdに切り換わるまでの時間を同一にすることができ、階調精度の良い駆動を行うことができる。
【0059】
しかし、帯電泳動粒子3の移動時間と比較して、その1フィールド書き換え期間が非常に小さい場合には、複数の走査ライン単位で第3電極6の電圧を切り換えても良い(つまり、前記第3電極6のコレクト電圧Vdへの切り換えタイミングが複数の走査ライン毎に異なるようにすると良い)。そのためには、第3電極6が複数の走査ライン毎で共通に接続されるようにすると良い。また、全画素同時に第1電極4の電圧が切り換わったとみなして全画素の第3電極6の電圧を同時に切り換えても良い(つまり、前記第3電極6のコレクト電圧Vdへの切り換えタイミングを全画素において同じにすると良い)。そのためには、全画素の第3電極6を共通に接続しておくと良い。
【0060】
複数の走査ライン単位で第3電極6の電圧を非コレクト電圧Vcからコレクト電圧Vdに切り換える場合は次のようになる。例えば、800走査ラインの表示パネル(電気泳動表示装置)において、第1走査ラインから第400走査ラインまでの第3電極6の電圧と、第401走査ラインから第800走査ラインまでの第3電極6の電圧をそれぞれ同時に切り換えるように電圧の制御を行うとする。第1走査ラインから第400走査ラインまでの第3電極6の電圧〈1〉と、第401走査ラインから第800走査ラインまでの第3電極6の電圧〈2〉を切り換えるタイミングを図11に示す。図11に示すように、書き込み動作終了後、200走査ラインを選択するのに必要とする時間(E)が経った後に第3電極6の電圧〈1〉を切り換え、600走査ラインを選択するのに必要とする時間(F)が経った後に第3電極6の電圧〈2〉を切り換えている。
【0061】
こうすることにより僅かながらも存在するタイミングの相違の影響を小さくできて効果的である。さらに、同じ電圧切り換えタイミングとなる第3電極6を互いに接続して第3電極への信号ラインを2ラインに減らすことができ、駆動システム構成を簡易化できる。
【0062】
また、例えば、1200走査ラインの表示パネルにおいて、第1走査ラインから第400走査ラインまでの第3電極6の電圧と、第401走査ラインから第800走査ラインまでの第3電極6の電圧と、第801走査ラインから第1200走査ラインまでの第3電極6の電圧をそれぞれ同時に切り換えるように電圧の制御を行うとする。第1走査ラインから第400走査ラインまでの第3電極6の電圧〈1〉、第401走査ラインから第800走査ラインまでの第3電極6の電圧〈2〉、第801走査ラインから第1200走査ラインまでの第3電極6の電圧〈3〉を切り換えるタイミングを図12に示す。図12に示すように、書き込み動作終了後、200走査ラインを選択するのに必要とする時間(G)が経った後に第3電極6の電圧〈1〉を切り換え、600走査ラインを選択するのに必要とする時間(H)が経った後に第3電極6の電圧〈2〉を切り換え、1000走査ラインを選択するのに必要とする時間(I)が経った後に第3電極6の電圧〈3〉を切り換えている。
【0063】
こうすることにより、図11と同様に僅かながらも存在するタイミングの相違の影響を小さくできて効果的である。さらに、同じ電圧切り換えタイミングとなる第3電極6を互いに接続して第3電極への信号ラインを3ラインに減らすことができ、駆動システム構成を簡易化できる。
【0064】
全画素の第3電極6の電圧を同時に非コレクト電圧Vcからコレクト電圧Vdに切り換える場合について、例えば、400走査ラインの表示パネルにおいて、その第3電極6の電圧を切り換えるタイミングを図13に示す。図13に示すように、書き込み動作終了後、1フィールド書き換えに必要とする時間(D)の半分、すなわち200走査ラインを選択するのに必要とする時間(J)が経った後に第3電極6の電圧を切り換えている。
【0065】
こうすることにより、図11、図12と同様に僅かながらも存在するタイミングの相違の影響を小さくできて効果的である。さらに、同じ電圧切り換えタイミングとなる第3電極6を互いに接続して第3電極への信号ラインを1ラインに減らすことができ、駆動システム構成を簡易化できる。
【0066】
以上の表示保持動作において、第1電極4、あるいは第3電極6に集められた帯電泳動粒子3が、第1電極4から第3電極6へ、あるいは第3電極6から第1電極4へ移動するような電界を形成しないために、オン電圧Vb=コレクト電圧Vdとなる電圧を使用するほうが好ましいと考えられる。そして、電気泳動現象にはメモリ性があるため画素内を無電界状態として静止画を表示する。表示保持動作では全画素のスイッチング素子10をオフにしており、全データライン13の電圧をVcomとすると、補助容量11の電荷が抜けて第1電極4の電圧が電圧Vcomまで徐々に降下する(つまり、書き込み動作終了後、表示保持動作として前記スイッチング素子をオフ状態とし、前記第3電極の電圧を徐々に減少させる)。この第1電極4の電圧の降下に合わせて、第3電極6のコレクト電圧をVdから徐々に電圧Vcomとしていくことで画素内を無電界状態にできる。このように徐々に電圧を変化させる理由は、第1電極4の電圧を電圧Vcomヘ急激に変化させると、急激な内部電界の変化、及び反電場の発生により、帯電泳動粒子3が移動してしまうことがあり、表示が乱れる可能性があるためである。
【0067】
図5に示す表示の動作について、画素a〜eに注目してみる。
【0068】
画素aについては、フィールド1で第1電極4にオン電圧Vbが印加されるため、書き込み開始から帯電泳動粒子3は第2電極5から第1電極4の方へ移動する。そのためフィールド4の書き換えが終わり表示保持動作に移る時点では、第1電極4上に帯電泳動粒子3全てが集まっており、第3電極6の電圧が非コレクト電圧Vcからコレクト電圧Vdに切り換わることによる影響を受けず黒表示が行われる。この動作は、図9に示される動作と同様となっている。
【0069】
画素bについては、フィールド1での電圧では帯電泳動粒子3は移動を始めないが、フィールド2で第1電極4にオン電圧Vbが印加されるため、帯電泳動粒子3は第1電極4へ移動を始める。第2電極5側に積み重なった帯電泳動粒子3は、順次第1電極4側に移動するが、フィールド4の書き換えが終わり表示保持動作に移る時点で第3電極6の電圧が非コレクト電圧Vcからコレクト電圧Vdに切り換わるので、第3電極6側にも移動するように電界を発生し、帯電泳動粒子3は、第1電極4側に移動する一方で、後から移動する帯電泳動粒子3の一部が第3電極6側に移動することになる。この動作は、図2に示される動作と同様となり、帯電泳動粒子3は第1電極4側及び第3電極6側に集められることになる。
【0070】
画素cについては、フィールド1、及びフィールド2での電圧では帯電泳動粒子3は移動を始めないが、フィールド3で第1電極4にオン電圧Vbが印加されるため、帯電泳動粒子3は第1電極4へ移動を始める。第2電極5側に積み重なった帯電泳動粒子3は、順次第1電極4側に移動するが、フィールド4の書き換えが終わり表示保持動作に移る時点で第3電極6の電圧が非コレクト電圧Vcからコレクト電圧Vdに切り換わるので、第3電極6側にも移動するように電界を発生し、帯電泳動粒子3は、第1電極4側に移動する一方で、後から移動する帯電泳動粒子3の一部が第3電極6側に移動することになる。この動作は、図2に示される動作と同様となり、帯電泳動粒子3は第1電極4側及び第3電極6側に集められることになるが、画素bよりも第1電極4への移動開始が遅い。
【0071】
画素dについては、フィールド1、フィールド2、及びフィールド3での電圧では帯電泳動粒子3は移動を始めないが、フィールド4で第1電極4にオン電圧Vbが印加されるため、帯電泳動粒子3は第1電極4へ移動を始める。第2電極5側に積み重なった帯電泳動粒子3は、順次第1電極4側に移動するが、フィールド4の書き換えが終わり表示保持動作に移る時点で第3電極6の電圧が非コレクト電圧Vcからコレクト電圧Vdに切り換わるので、第3電極6側にも移動するように電界を発生し、帯電泳動粒子3は、第1電極4側に移動する一方で、後から移動する帯電泳動粒子3の一部が第3電極6側に移動することになる。この動作は、図2に示される動作と同様となり、帯電泳動粒子3は第1電極4側及び第3電極6側に集められることになるが、画素cよりも第1電極4への移動開始が遅い。
【0072】
画素eについては、フィールド1、フィールド2、フィールド3、及びフィールド4のいずれの電圧でも帯電泳動粒子3は移動を始めず、第1電極4には書き込み動作終了までオフ電圧Vaが印加される。フィールド4の書き換えが終わり表示保持動作に移る時点で第3電極6の電圧が非コレクト電圧Vcからコレクト電圧Vdに切り換わるので、帯電泳動粒子3が第3電極6側に移動するように電界を発生し、帯電泳動粒子3は、第3電極6側に移動することになる。帯電泳動粒子3は第1電極4側に移動することなく、全ての帯電泳動粒子3が第3電極6側に移動することになり白表示が行われる。
【0073】
ここで、明度について説明する。
【0074】
画素aについては黒表示であり、最も明度が低い。画素eについては白表示であり、最も明度が高い。画素b〜dにおいては、いずれも第1電極4側及び第3電極6側に帯電泳動粒子3が集められているものの、第1電極4上に集められた帯電泳動粒子3の量が異なるため、それぞれ異なる明度となる。画素bと画素cと比較すると、画素bは帯電泳動粒子3の第1電極4側への移動が画素cより先に行われるため、第1電極4上に集められる帯電泳動粒子3の量が多い。その結果、画素cより画素bは明度が低くなる。画素cと画素dと比較すると、画素cは帯電泳動粒子3の第1電極4側への移動が画素dより先に行われるため、第1電極4上に集められる帯電泳動粒子3の量が多い。その結果、画素dより画素cは明度が低くなる。よって、明度としては、画素a<画素b<画素c<画素d<画素eという関係になり、中間調を表現できるのである。
【0075】
また、異なる表示に書き換える場合には、再度リセット動作、書き込み動作、表示保持動作を順次行って静止画を表示する。
【0076】
次に、本実施の形態の効果について説明する。
【0077】
本実施の形態によれば、第1電極4における電圧の切り換えタイミングを制御することにより、階調レベルに応じた量の帯電泳動粒子3を第1電極4へ移動させ、その後、残りを第3電極6に移動させる。その結果、表示に関与する第1電極上に分布する帯電泳動粒子3の量を制御することができ、かつ、第3電極に移動した帯電泳動粒子3は表示には関与しないため、中間調表示を安定的に行うことができる。また、表示に関与する帯電泳動粒子と表示に関与しない帯電泳動粒子を完全に別々の電極(互いに離間している第1電極4と第3電極6)へ分離するので、その後も電圧を印加し続けても、第1電極上に分布する帯電泳動粒子の量を変化させず中間調のある静止画を表示し続けることができる。また、画素内を無電界状態にする場合においても、表示に関与しない帯電泳動粒子は、第1電極上とは別の第3電極上に分離されているため、各画素の補助容量に残った電荷により形成される残留電界の影響を受けて移動することはなく、安定な中間調のある静止画表示を行うことができる。さらに残留電界が減少するのに合わせて第3電極の電圧を小さくすることによって、帯電泳動粒子が移動することなく画素内の内部を無電界状態にすることができる。その結果、電力消費を抑制した静止画表示を実現できる。さらに、帯電泳動粒子は画素内の部材近傍を移動するといった動きであり、かつ表示保持状態では画素内の部材及び帯電泳動粒子同士で接触しているため、経時的に安定な静止画表示を行うことにもなる。
【0078】
【実施例】
以下、実施例に沿って本発明を更に詳細に説明する。
【0079】
(実施例1)
本実施例では、図3及び図4に示すアクティブマトリックス型電気泳動表示装置を作製した。
【0080】
すなわち、表示基板(表示側基板)1a及び後方基板(後方側基板)1bの間隙には、画素を囲むように隔壁(間隙部材)7を配置した。なお、隔壁7の幅を10μmとし、高さを20μmとした。そして、第1電極4は、後方基板1bの側であって隔壁7に囲まれた部分の中央部に配置し、一辺の長さを80μmとした。また、第2電極5は後方基板1bと隔壁7の間に配置し、各画素の第2電極5は互いに電気的に接続して同電圧を印加できるようにした。さらに、第3電極6は表示基板1aと隔壁7の間に配置した。なお、後方基板1bには1200本の走査ライン12を配置し、該走査ライン12には上述した第3電極6を接続した。以下の説明では、接続されている走査ラインを「第3電極6〈1〉」〜「第3電極6〈1200〉」で区別した。なお、図中の符号10はスイッチング素子を示し、符号11は補助容量を示し、符号13はデータラインを示し、符号14は走査ドライバを示し、符号15はデータドライバを示す。基板には1.1mm厚のガラス板を用い、スイッチング素子10にはTFTを用いた。
【0081】
また、本実施例に係る電気泳動表示装置は、1つの画素の大きさを100μm×100μmとし、画素の数は、1200×1200画素とした。
【0082】
本実施例に係る電気泳動表示装置は以下のように製造した。
【0083】
まず、後方基板の表面にスイッチング素子10や補助容量11や走査ライン12やデータライン13を形成し、さらに第1電極4を形成した。なお、第1電極4とスイッチング素子10とは接続した。また、第1電極4には、光反射率の大きいアルミニウムを用いた。さらに、第1電極4は、酸化チタン微粒子を含有するアクリル樹脂層8によって被覆した。第1電極4は光反射層を兼ね、アクリル樹脂層8は光散乱効果を発揮する。
【0084】
各画素の境界部分Fに第2電極5を形成し、その上に隔壁7、さらにその隔壁7上に第3電極6を形成した。
【0085】
次に、各画素には絶縁性液体2及び帯電泳動粒子3を充填した。絶縁性液体2にはイソパラフィン(商品名:アイソパー,エクソン社製)を用い、帯電泳動粒子3には粒径1〜2μm程度のカーボンブラックを含有したポリスチレン−ポリメチルメタクリレート共重合体樹脂を用いた。イソパラフィンには、荷電制御剤としてコハク酸イミド(商品名:OLOA1200、シェブロン社製)を含有させた。帯電泳動粒子3はマイナスの極性を示した。
【0086】
次に、表示基板1aを隔壁7上に接着して絶縁性液体2や帯電泳動粒子3を各画素に封止した。
【0087】
さらに、図14に示すように、表示部22の周辺にIC化した走査ドライバ14、データドライバ15、及び第3電極ドライバ20Bを実装し、走査ライン12を走査ドライバ14に接続し、データライン13をデータドライバ15に接続し、第3電極6を第3電極ドライバ20に接続した。
【0088】
以下、駆動方法について説明する。
【0089】
まず、I/F19から入力された画像データをMPU16が表示用データとして変換してRAM18へ書き込む。次に、MPU16はRAM18から表示用データを読み込んでグラフィックコントローラ17へ転送する。そこで、グラフィックコントローラ17は、インターフェース信号を生成し、表示部22周辺の走査ドライバ14、データドライバ15、及び第3電極ドライバ20に転送する。インターフェース信号として、フィールド同期信号(FLM)、水平同期信号(CL1)、8bitデータ(D0〜D7)、データ取り込みクロック(CL2)、リセット信号〈1〉(RST1)、リセット信号〈2〉(RST2)、リセット信号〈3〉(RST3)、0V出力信号〈1〉(ZERO1)、0V出力信号〈2〉(ZERO2)、保持信号(ME)、電圧切り換え信号(VSW)が転送され、それによって、走査ライン12、データライン13、第3電極6〈1〉〜第3電極6〈1200〉に駆動電圧を加えて表示が行われる。
【0090】
次に、表示部22の周辺に配置する走査ドライバ14、及びデータドライバ15について説明する。図15は走査ドライバ14の内部ブロック図、図16はデータドライバ15の内部ブロック図、図17は動作タイムチャートである。
【0091】
走査ドライバ14は1200出力であり、その内部には1200段のシフトレジスタ141を内蔵しており、水平同期信号(CL1)の立ち下がりエッジでフィールド同期信号(FLM)データを取り込み、その後、順次シフトする。シフトレジスタ141の出力信号はレベルシフタ142で駆動電圧のレベルに変換され、駆動電圧出力回路143で、選択電圧、非選択電圧をアナログスイッチで選択して走査信号として出力する。このとき、リセット信号〈1〉(RST1)、0V出力信号〈1〉(ZERO1)、保持信号(ME)はいずれもロウレベルで入力することとする。また、リセット信号〈1〉(RST1)がハイレベル、0V出力信号〈1〉(ZERO1)、保持信号(ME)がロウレベルで入力されると、全出力選択電圧を出力し、0V出力信号〈1〉(ZERO1)がハイレベル、リセット信号〈1〉(RST1)、保持信号(ME)がロウレベルで入力されると、全出力0Vを出力し、保持信号(ME)がハイレベル、リセット信号〈1〉(RST1)、0V出力信号〈1〉(ZERO1)がロウレベルで入力されると、全出力非選択電圧を出力する。
【0092】
データドライバ15は1200出力であり、表示用データに対応してオン電圧/オフ電圧をデータラインに出力する。まず、データ取り込みクロック(CL2)の立ち下りエッジに同期したでコントロール回路151の出力の立ち下がりエッジで8bitデータ(D0〜D7)を8bitラッチ回路152に順次ラッチする。1ラインのデータが8bitラッチ回路152にラッチされると、水平同期信号(CL1)の立ち上がりエッジで全データを同時にラインデータラッチ回路153にラッチする。ラインデータラッチ回路のデータに対応して、レベルシフタ154で駆動電圧のレベルに変換され、駆動電圧出力回路155でオン電圧/オフ電圧をアナログスイッチで選択してデータ信号として出力する。このとき、リセット信号〈2〉(RST2)、0V出力信号〈2〉(ZERO2)はいずれもロウレベルで入力することとする。また、リセット信号〈2〉(RST2)がハイレベル、0V出力信号〈2〉(ZERO2)がロウレベルで入力されると、全出力オフ電圧を出力し、0V出力信号〈2〉(ZERO2)がハイレベル、リセット信号〈2〉(RST2)がロウレベルで入力されると、全出力0Vを出力する。
【0093】
次に第3電極ドライバ20について説明する。図18は第3電極ドライバ20の内部ブロック図、図19は動作タイムチャートである。第3電極ドライバ20は1200出力であり、電圧切り換え信号(VSW)の立ち上がりエッジ毎に、コントロール回路201の出力が第1出力から第1200出力まで順次に切り換わっていく。コントロール回路201の出力は、レベルシフタ202で駆動電圧のレベルに変換され、駆動電圧出力回路203で、コレクト電圧、非コレクト電圧をアナログスイッチで選択して第3電極6〈1〉〜第3電極6〈1200〉へ出力される。コレクト電圧は、8bitD/Aコンバータ204から供給され、グラフィックコントローラ17からの8bitの電圧制御信号(CNV)により変化させることができる。そして、第3電極ドライバ20からコレクト電圧を出力している場合、D/Aコンバータ204からの出力の変化に連動して第3電極ドライバ20の出力を変化させることが可能な構成となっている。図19に示されるように、電圧切り換え信号(VSW)の立ち上がりエッジに同期して、第3電極6〈1〉への出力から第3電極6〈1200〉への出力まで順次に非コレクト電圧からコレクト電圧へ切り換える。そして、D/Aコンバータ204の出力を変えて、コレクト電圧を徐々に小さくしている。このとき、リセット信号〈3〉(RST3)はロウレベルで入力することとする。また、リセット信号〈3〉(RST3)がハイレベルで入力されると、コントロール回路201の出力がリセットされて全出力非コレクト電圧を出力する。
【0094】
電源回路22は、走査ドライバ14、データドライバ15、及び第3電極ドライバ20に、パネルを駆動するための駆動電圧を供給し、またシフトレジスタ、ラッチ回路などの各ドライバ内のロジック回路を駆動するための電源を供給する。さらにパネル内の第2電極5に電圧を印加する。本実施例では、走査ドライバ14には、選択電圧として30V、非選択電圧として−10V、及び0V出力するための0Vを供給し、データドライバ15には、オン電圧として10V、オフ電圧として−10V、及び0V出力するための0Vを供給する。また、第3電極ドライバ20には、コレクト電圧を生成するD/Aコンバータ204の基準電源として10Vおよび0Vを供給し、非コレクト電圧として−10Vを供給する。シフトレジスタ、ラッチ回路などの駆動のための電源としては3.3Vを供給する。さらに第2電極5には0Vを供給している。
【0095】
本発明の駆動方法によって本実施例に係る電気泳動表示装置を駆動する。図20を用いて説明する。本実施例では、7フィールド1書き込みの階調数8の表示を行うこととする。第2電極5は0Vである。最初にリセット動作として、走査ドライバ14の全出力を選択電圧、かつデータドライバ15の全出力をオフ電圧として全画素の第1電極4にオフ電圧−10Vを印加し、第3電極6〈1〉〜第3電極6〈1200〉に非コレクト電圧−10Vを印加して、帯電泳動粒子3を第2電極5に集めて白表示とする。このとき、走査ドライバ14にリセット信号〈1〉(RST1)をハイレベル、0V出力信号〈1〉(ZERO1)、保持信号(ME)をロウレベルで入力し、データドライバ15にリセット信号〈2〉(RST2)をハイレベル、0V出力信号〈2〉(ZERO2)をロウレベルで入力し、第3電極ドライバ20にリセット信号〈3〉(RST3)をハイレベルで入力している。また、第3電極ドライバ20のD/Aコンバータ204の出力が10Vとなるように電圧制御信号(CNV)を入力する。
【0096】
次に書き込み動作を行う。画素毎に階調レベル1〜階調レベル8を実現するために、それぞれの画素の第1電極4において、図20に示されるようにフィールド毎に電圧を印加していく。走査ドライバ14及びデータドライバ15の動作は図17に示した通りである。このとき、走査ドライバ14にリセット信号〈1〉(RST1)、0V出力信号〈1〉(ZERO1)、保持信号(ME)をいずれもロウレベルで入力し、データドライバ15にリセット信号〈2〉(RST2)、0V出力信号〈2〉(ZERO2)をいずれもロウレベルで入力する。また、第3電極ドライバ20に、リセット信号〈3〉(RST3)をロウレベルで入力する。どのフィールドで第1電極4の電圧をオフ電圧−10Vからオン電圧10Vに切り換えるかが階調レベルを決定することになり、その時点で第1電極4の方に帯電泳動粒子3が移動していく。1フィールド書き換え期間(A)では、走査ドライバ14の出力により、第1走査ラインから第1200走査ラインまで順次に選択して第1電極4および補助容量11に電圧を印加しており、補助容量11に電荷を充電している。
【0097】
表示保持動作では、第3電極6〈1〉〜第3電極6〈1200〉の電圧を非コレクト電圧−10Vからコレクト電圧10Vに切り換える。この時点で、帯電泳動粒子3の一部が第3電極6〈1〉〜第3電極6〈1200〉に集められ、第1電極4上に集まる帯電泳動粒子3の量が決定して表示がなされる。この表示保持動作は、図10に示した方法により、書き込み動作終了後、1走査ライン選択期間と同一の長さの間隔Cで走査ライン12毎に第3電極6の電圧を第1走査ラインから順に切り換えている。
【0098】
その後は、保持信号(ME)をハイレベル、リセット信号〈1〉(RST1)、0V出力信号〈1〉(ZERO1)をロウレベルで走査ドライバ14に入力し、また0V出力信号〈2〉(ZERO2)をハイレベル、リセット信号〈2〉(RST2)をロウレベルでデータドライバ15に入力することにより、走査ドライバ14の全出力を非選択電圧−10V、データドライバ15の全出力を0Vとする。このとき、第1電極4における電圧は補助容量11の電荷がTFTのオフ抵抗を通じて放電されるにつれてオン電圧10Vから0Vへ徐々に下がってくる。それと連動して電圧制御信号(CNV)により第3電極ドライバ20内のD/Aコンバータ204の出力を10Vから0Vへ徐々に降下していくことにより、第3電極ドライバ20が出力するコレクト電圧を10Vから徐々に小さくして0Vへ降下していく。こうして最終的に画素内の電極の電圧を全て0Vとして無電界状態を形成し、表示保持状態とする。ここで、走査ドライバ14の全出力を非選択電圧としたのは、画素内を無電界状態とする過程において、走査ライン12を順次選択して全ての第1電極4に0Vを印加する場合、あるいは走査ライン12を全選択した状態で全第1電極4に0Vを印加した場合には、第1電極4の電圧が10Vから0Vへ急激に変化することになり、急激な内部電界の変化、及び反電場の発生により、帯電泳動粒子3が移動してしまうため、スイッチング素子10を全てオフにして徐々に第1電極4の電圧を0Vにするためである。そして、無電界状態にした後は、走査ドライバ14に0V出力信号〈1〉(ZERO1)をハイレベル、リセット信号〈1〉(RST1)、保持信号(ME)をロウレベルで入力することにより、走査ドライバ14の全出力を0Vとする。
【0099】
このような駆動方法、及びその駆動回路により、階調数8の表示を実現できる。そして、安定な中間調のある静止画表示を実現できる。
【0100】
(実施例2)
本実施例では図21に示す駆動システムを使用し、第3電極ドライバ20Aの内部構造は図22に示すようにした。また、図23に示す動作タイムチャートを用いて画像表示を行った。
【0101】
なお、第3電極6は、第1走査ラインから第400走査ラインまでの第3電極6を1つの電極として接続して第3電極6〈1〉,第401走査ラインから第800走査ラインまでの第3電極6を1つの電極として接続して第3電極6〈2〉、第801走査ラインから第1200走査ラインまでの第3電極6を1つの電極として接続して第3電極6〈3〉とする。
【0102】
インターフェース信号として、フィールド同期信号(FLM)、水平同期信号(CL1)、8bitデータ(D0〜D7)、データ取り込みクロック(CL2)、リセット信号〈1〉(RST1)、リセット信号〈2〉(RST2)、0V出力信号〈1〉(ZERO1)、0V出力信号〈2〉(ZERO2)、保持信号(ME)、電圧切り換え信号〈1〉(VSW1)、電圧切り換え信号〈2〉(VSW2)、電圧切り換え信号〈3〉(VSW3)が転送され、それによって、走査ライン12、データライン13、第3電極6〈1〉、第3電極6〈2〉、及び第3電極6〈3〉に駆動電圧を加えて表示が行われる。
【0103】
また、図22に示すように、電圧切り換え信号〈1〉(VSW1)がレベルシフタ201Aで駆動電圧のレベルに変換され、駆動電圧出力回路202Aで、コレクト電圧、非コレクト電圧をアナログスイッチで選択して第3電極6〈1〉へ出力する。同様に、電圧切り換え信号〈2〉(VSW2)がレベルシフタ201Aで駆動電圧のレベルに変換され、駆動電圧出力回路202Aで、コレクト電圧、非コレクト電圧をアナログスイッチで選択して第3電極6〈2〉へ出力され、また、電圧切り換え信号〈3〉(VSW3)がレベルシフタ201Aで駆動電圧のレベルに変換され、駆動電圧出力回路202Aで、コレクト電圧、非コレクト電圧をアナログスイッチで選択して第3電極6〈3〉へ出力される。コレクト電圧は、8bitD/Aコンバータ203Aから供給され、グラフィックコントローラ17からの8bitの電圧制御信号(CNV)により変化させることができる。そして、第3電極ドライバ20Aからコレクト電圧を出力している場合、D/Aコンバータ202Aからの出力の変化に連動して第3電極ドライバ20Aの出力を変化させることが可能な構成となっている。図23に示されるように、電圧切り換え信号〈1〉(VSW1)がロウレベルからハイレベルとなるのに同期して、第3電極6〈1〉への出力を非コレクト電圧からコレクト電圧へ切り換える。同様に電圧切り換え信号〈2〉(VSW2)がロウレベルからハイレベルとなるのに同期して、第3電極6〈2〉への出力を非コレクト電圧からコレクト電圧へ切り換え、電圧切り換え信号〈3〉(VSW3)がロウレベルからハイレベルとなるのに同期して、第3電極6〈3〉への出力を非コレクト電圧からコレクト電圧へ切り換える。そして、D/Aコンバータ203Aの出力を変えて、コレクト電圧を徐々に小さくしている。
【0104】
電源回路21は、走査ドライバ14、データドライバ15、及び第3電極ドライバ20Aに、パネルを駆動するための駆動電圧を供給し、またシフトレジスタ、ラッチ回路などの各ドライバ内のロジック回路を駆動するための電源を供給する。さらにパネル内の第2電極5に電圧を印加する。本実施例では、走査ドライバ14には、選択電圧として30V、非選択電圧として−10V、及び0V出力するための0Vを供給し、データドライバ15には、オン電圧として10V、オフ電圧として−10V、及び0V出力するための0Vを供給する。また、第3電極ドライバ20Aには、コレクト電圧を生成するD/Aコンバータ203Aの基準電源として10Vおよび0Vを供給し、非コレクト電圧として−10Vを供給する。シフトレジスタ、ラッチ回路などの駆動のための電源としては3.3Vを供給する。さらに第2電極5には0Vを供給している。
【0105】
ところで、リセット動作を行う際には、走査ドライバ14にリセット信号〈1〉(RST1)をハイレベル、0V出力信号〈1〉(ZERO1)、保持信号(ME)をロウレベルで入力し、データドライバ15にリセット信号〈2〉(RST2)をハイレベル、0V出力信号〈2〉(ZERO2)をロウレベルで入力し、第3電極ドライバ20Aに電圧切り換え信号〈1〉(VSW1)、電圧切り換え信号〈2〉(VSW2)、及び電圧切り換え信号〈3〉(VSW3)をロウレベルで入力している。また、第3電極ドライバ20AのD/Aコンバータ203Aの出力が10Vとなるように電圧制御信号(CNV)を入力する。
【0106】
表示保持動作を行う際には、帯電泳動粒子3の一部が第3電極6〈1〉、第3電極6〈2〉、及び第3電極6〈3〉に集められ、第1電極4上に集まる帯電泳動粒子3の量が決定して表示がなされる。この表示保持動作は、図12に示した方法により、書き込み動作終了後、200走査ラインを選択するのに必要とする時間(G)が経った後に第3電極6の電圧〈1〉を切り換え、600走査ラインを選択するのに必要とする時間(H)が経った後に第3電極6の電圧〈2〉を切り換え、1000走査ラインを選択するのに必要とする時間(I)が経った後に第3電極6の電圧〈3〉を切り換えている。
【0107】
その他の駆動方法は実施例1と同じにした。
【0108】
(実施例3)
本実施例では図24に示す駆動システムを使用し、第3電極ドライバ20Bの内部構造は図25に示すようにした。また、図26に示す動作タイムチャートを用いて画像表示を行った。
【0109】
本実施例においては、第2電極5、及び第3電極6は、全画素においてそれぞれ共通に接続されている。電気泳動表示装置についてのその他の構成は実施例1と同じにした。
【0110】
本実施例に係る電気泳動表示装置は実施例1と同様の方法により製造した。
【0111】
また、図24に示す駆動システムにおいては、インターフェース信号として、フィールド同期信号(FLM)、水平同期信号(CL1)、8bitデータ(D0〜D7)、データ取り込みクロック(CL2)、リセット信号〈1〉(RST1)、リセット信号〈2〉(RST2)、0V出力信号〈1〉(ZERO1)、0V出力信号〈2〉(ZERO2)、保持信号(ME)、電圧切り換え信号(VSW)が転送され、それによって、走査ライン12、およびデータライン13、第3電極6に駆動電圧を加えて表示が行われる。
【0112】
一方、走査ドライバ14A及びデータドライバ15Aは出力数が異なる点以外は実施例1等と同様である。すなわち、本実施例に使用した走査ドライバ14Aは400出力であり、その内部には400段のシフトレジスタ141を内蔵しており、水平同期信号(CL1)の立ち下がりエッジでフィールド同期信号(FLM)データを取り込み、その後、順次シフトするようになっている。また、データドライバ15Aは600出力であり、表示用データに対応してオン電圧/オフ電圧をデータラインに出力するようになっている。
【0113】
ところで、リセット動作に際しては、走査ドライバ14Aの全出力を選択電圧、かつデータドライバ15Aの全出力をオフ電圧として全画素の第1電極4にオフ電圧−10Vを印加し、第3電極6に非コレクト電圧−10Vを印加して、帯電泳動粒子3を第2電極5に集めて白表示とする。このとき、走査ドライバ14Aにリセット信号〈1〉(RST1)をハイレベル、0V出力信号〈1〉(ZERO1)、保持信号(ME)をロウレベルで入力し、データドライバ15Aにリセット信号〈2〉(RST2)をハイレベル、0V出力信号〈2〉(ZERO2)をロウレベルで入力し、第3電極ドライバ20Bに電圧切り換え信号(VSW)をロウレベルで入力している。また、第3電極ドライバ20BのD/Aコンバータ203Bの出力が10Vとなるように電圧制御信号(CNV)を入力する。
【0114】
また、1フィールド書き換え期間(A)では、走査ドライバ14Aの出力により、第1走査ラインから第400走査ラインまで順次に選択して第1電極4および補助容量11に電圧を印加しており、補助容量11に電荷を充電している。
【0115】
表示保持動作は、図13に示した方法により、書き込み動作終了後、1フィールド書き換えに必要とする時間(D)の半分、すなわち200走査ラインを選択するのに必要とする時間(J)が経った後に第3電極6の電圧を切り換えている。
【0116】
その後は、保持信号(ME)をハイレベル、リセット信号〈1〉(RST1)、0V出力信号〈1〉(ZERO1)をロウレベルで走査ドライバ14Aに入力し、また0V出力信号〈2〉(ZERO2)をハイレベル、リセット信号〈2〉(RST2)をロウレベルでデータドライバ15Aに入力することにより、走査ドライバ14Aの全出力を非選択電圧−10V、データドライバ15Aの全出力を0Vとする。このとき、第1電極4における電圧は補助容量11の電荷がTFTのオフ抵抗を通じて放電されるにつれてオン電圧10Vから0Vへ徐々に下がってくる。それと連動して電圧制御信号(CNV)により第3電極ドライバ20B内のD/Aコンバータの出力203Bを10Vから0Vへ徐々に降下していくことにより、第3電極ドライバ20Bが出力するコレクト電圧を10Vから徐々に小さくして0Vへ降下していく。こうして最終的に画素内の電極の電圧を全て0Vとして無電界状態を形成し、表示保持状態とする。ここで、走査ドライバ14Aの全出力を非選択電圧としたのは、画素内を無電界状態とする過程において、走査ライン12を順次選択して全ての第1電極4に0Vを印加する場合、あるいは走査ライン12を全選択した状態で全第1電極4に0Vを印加した場合には、第1電極4の電圧が10Vから0Vへ急激に変化することになり、急激な内部電界の変化、及び反電場の発生により、帯電泳動粒子3が移動してしまうため、スイッチング素子10を全てオフにして徐々に第1電極4の電圧を0Vにするためである。そして、無電界状態にした後は、走査ドライバ14Aに0V出力信号〈1〉(ZERO1)をハイレベル、リセット信号〈1〉(RST1)、保持信号(ME)をロウレベルで入力することにより、走査ドライバ14の全出力を0Vとする。
【0117】
その他の駆動方法は実施例1と同じにした。
【0118】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によると、第1電極における電圧の切り換えタイミングを制御することにより、階調レベルに応じた量の帯電泳動粒子を第1電極へ移動させ、その後、残りを第3電極に移動させる。その結果、表示に関与する第1電極上に分布する帯電泳動粒子の量を制御することができ、かつ、第3電極に移動した帯電泳動粒子は表示には関与しないため、中間調表示を安定的に行うことができる。また、表示に関与する帯電泳動粒子と表示に関与しない帯電泳動粒子を完全に別々の電極(互いに離間している第1電極及び第3電極)へ分離するので、その後も電圧を印加し続けても、第1電極上に分布する帯電泳動粒子の量を変化させず中間調のある静止画を表示し続けることができる。また、画素内を無電界状態にする場合においても、表示に関与しない帯電泳動粒子は、第1電極上とは別の第3電極上に分離されているため、各画素の補助容量に残った電荷により形成される残留電界の影響を受けて移動することはなく、安定な中間調のある静止画表示を行うことができる。さらに残留電界が減少するのに合わせて第3電極の電圧を小さくすることによって、帯電泳動粒子が移動することなく画素内の内部を無電界状態にすることができる。その結果、電力消費を抑制した静止画表示を実現できる。さらに、帯電泳動粒子は画素内の部材近傍を移動するといった動きであり、かつ表示保持状態では画素内の部材及び帯電泳動粒子同士で接触しているため、経時的に安定な静止画表示を行うことにもなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電気泳動表示装置の構造の一例を示す断面図。
【図2】本発明に係る電気泳動表示装置の駆動方法の一例を示す断面図。
【図3】本発明に係る電気泳動表示装置の構造の他の例(アクティブマトリックス型)を示す断面図。
【図4】アクティブマトリックス型電気泳動表示装置の構成を示す回路図。
【図5】アクティブマトリックス型電気泳動表示装置の表示状態の一例を示す模式図。
【図6】書き込み動作(書き込み工程)時の電圧印加条件を説明するための図。
【図7】書き込み動作(書き込み工程)時の各画素の印加電圧を示す模式図。
【図8】書き込み動作期間の長さ等を説明するための図。
【図9】書き込み動作期間の長さ決定方法を説明するための図。
【図10】表示保持動作における走査方法を説明するための図。
【図11】表示保持動作時における第3電極の電圧切り換えタイミングを説明するための図。
【図12】表示保持動作時における第3電極の電圧切り換えタイミングを説明するための図。
【図13】表示保持動作時における第3電極の電圧切り換えタイミングを説明するための図。
【図14】電気泳動表示装置の駆動システムの一例を示すブロック図。
【図15】走査ドライバの内部ブロック図。
【図16】データドライバの内部ブロック図。
【図17】動作タイムチャート図。
【図18】第3電極ドライバの内部ブロック図。
【図19】動作タイムチャート図。
【図20】リセット動作時及び書き込み動作時における電圧印加状態を説明するための図。
【図21】電気泳動表示装置の駆動システムの一例を示すブロック図。
【図22】第3電極ドライバの内部ブロック図。
【図23】動作タイムチャート図。
【図24】電気泳動表示装置の駆動システムの一例を示すブロック図。
【図25】第3電極ドライバの内部ブロック図。
【図26】動作タイムチャート図。
【符号の説明】
1a 表示基板(表示側基板)
1b 後方基板(後方側基板)
2 絶縁性液体
3 帯電泳動粒子
4 第1電極
5 第2電極
6 第3電極
7 隔壁(間隙部材)
10 TFT(スイッチング素子)
12 走査ライン
13 データライン
E 画素
F 境界部分
Claims (1)
- 所定間隙を開けた状態に配置された表示側基板及び後方側基板と、これらの基板の間隙に配置された絶縁性液体及び複数の帯電泳動粒子とを備えた電気泳動表示装置に電界をかけて前記帯電泳動粒子を移動させることに基づき表示を行う電気泳動表示装置の駆動方法において、
前記電気泳動表示装置が、前記絶縁性液体に近接するように各画素に配置された第1乃至第3電極を備え、かつ、
前記駆動方法が、
前記帯電泳動粒子を前記第2電極に引き付けることにより、該粒子を画素中の比較的狭い領域に集積させて視認されにくくするリセット工程と、
前記集積された状態の帯電泳動粒子を前記第1電極に引き付けることにより、該粒子を画素中の比較的広い領域に配置させて視認され易くする書き込み工程と、
前記第2電極の近傍に残存している帯電泳動粒子を前記第3電極に移行させてしまい前記第1電極への帯電泳動粒子の移行を制限する表示保持工程と、
を備え、
前記書き込み工程の後で前記表示保持工程を開始させるタイミングを制御することにより、前記第1電極の領域に配置される帯電泳動粒子の量を制御し、画素の表示階調を制御する、
ことを特徴とする電気泳動表示装置の駆動方法。
Priority Applications (3)
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---|---|---|---|
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003008738A JP2004219841A (ja) | 2003-01-16 | 2003-01-16 | 電気泳動表示装置の駆動方法 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005292256A (ja) * | 2004-03-31 | 2005-10-20 | Toshiba Corp | 電気泳動表示装置 |
CN114141205A (zh) * | 2021-12-09 | 2022-03-04 | 中山大学 | 一种基于液晶复合电子墨水体系的显示器驱动方法和电泳显示器 |
-
2003
- 2003-01-16 JP JP2003008738A patent/JP2004219841A/ja active Pending
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JP2005292256A (ja) * | 2004-03-31 | 2005-10-20 | Toshiba Corp | 電気泳動表示装置 |
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