JP2004218465A - 固体燃料ロケット - Google Patents

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Abstract

【課題】固体推進薬の燃焼制御を行うことができる固体燃料ロケットを提供する。
【解決手段】固体燃料ロケット1は外形が球状でかつ中空の燃焼室2と燃焼室2内に位置付けられた固体推進薬9と固体推進薬9にレーザLを照射するレーザ部24と水噴射部50と圧力センサと制御装置47を備えている。圧力センサは燃焼室2内の圧力を測定する。制御装置47は圧力センサが測定した燃焼室2内の圧力に応じてレーザ部24を制御する。制御装置47はレーザLを強弱させて推力を増減する。制御装置47は圧力センサが測定した燃焼室2内の圧力が変動するとこの変動が減少するようにレーザLを強弱させる。制御装置47は動的消炎現象が起きる強度のレーザLを固体推進薬9に照射させた後水噴射部50の噴射ノズル52から固体推進薬9に向かって水を噴射させる。
【選択図】 図4

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーザにより着火される固体推進薬を備え宇宙空間などで燃焼可能な固体燃料ロケットに関する。
【0002】
【従来の技術】
宇宙において長期に渡る有人宇宙活動が実行されるにつれ、即時に使用でき、保守点検管理が容易で、再使用可能な宇宙での利用に特化したロケットの必要性が生じてくる。
【0003】
随時使用できるように宇宙空間に長期に渡りロケットを保管した場合、液体推進薬を使うロケットやハイブリッドロケットでは、沸点・融点の見地から液体推進薬の温度管理が問題となる。温度管理が容易なアンモニアや五フッ化塩素などの貯蔵性の良い液体推進薬は、燃料充填等の保守点検作業では取り扱いに十分注意する必要がある。
【0004】
固体ロケット(例えば、特許文献1参照)は、液体ロケットに比べ温度管理や有害性、危険性の点で大幅に緩和され、特別な温度調整装置や有害物対策等を施さなくても特に大きな問題は生じない。また、簡単な構造のため保守点検がし易い。
【0005】
【特許文献1】
特開平7−127527号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ただ従来の固体ロケットは一度点火すると、燃焼を停止させたり燃焼制御によって推力を変化させることが難しい。このため、前述した従来の固体ロケットは、人工衛星などの宇宙空間などで点火・燃焼・消火を複数繰り返す推進装置には適さない。このように、従来の固体ロケットは、固体推進薬の燃焼制御を行うことができない。
【0007】
したがって、本発明の目的は、固体推進薬の燃焼制御を行うことができる固体燃料ロケットを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決し目的を達成するために、請求項1に記載の本発明の固体燃料ロケットは、中空の燃焼室と、前記燃焼室内に位置付けられた固体推進薬と、前記固体推進薬にレーザを照射して前記固体推進薬を燃焼させて燃焼ガスを発生させる照射手段と、前記燃焼室の壁面を貫通しかつ前記燃焼室内の燃焼ガスを前記燃焼室外に導くノズルと、を備えた固体燃料ロケットにおいて、前記固体推進薬がレーザの照射を停止しても燃焼を継続する自燃性の固体推進薬となっており、前記燃焼室内の圧力を測定する測定手段と、前記測定手段が測定した燃焼室内の圧力に応じて、前記照射手段を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段が前記照射手段の照射するレーザの強度を強くしたり弱くして前記燃焼ガスの発生量を増減するとともに、前記測定手段が測定した前記燃焼室内の圧力が変動すると前記圧力の変動が減少するように前記照射手段にレーザの強度を強弱させることを特徴としている。
【0009】
請求項2に記載の本発明の固体燃料ロケットは、中空の燃焼室と、前記燃焼室内に位置付けられた固体推進薬と、前記固体推進薬にレーザを照射して前記固体推進薬を燃焼させて燃焼ガスを発生させる照射手段と、前記燃焼室の壁面を貫通しかつ前記燃焼室内の燃焼ガスを前記燃焼室外に導くノズルと、を備えた固体燃料ロケットにおいて、前記固体推進薬がレーザの照射を停止しても燃焼を継続する自燃性の固体推進薬となっており、前記固体推進薬に向かって水を噴射する噴射手段と、前記照射手段と噴射手段を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段が前記照射手段の照射するレーザの強度を強くしたり弱くして前記燃焼ガスの発生量を増減するとともに、前記制御手段が前記照射手段に動的消炎現象が起きる強度のレーザを前記固体推進薬に照射させた後、前記噴射手段に水を前記固体推進薬に向かって噴出させることを特徴としている。
【0010】
請求項3に記載の本発明の固体燃料ロケットは、中空の燃焼室と、前記燃焼室内に位置付けられた固体推進薬と、前記固体推進薬にレーザを照射して前記固体推進薬を燃焼させて燃焼ガスを発生させる照射手段と、前記燃焼室の壁面を貫通しかつ前記燃焼室内の燃焼ガスを前記燃焼室外に導くノズルと、を備えた固体燃料ロケットにおいて、前記固体推進薬がレーザの照射を停止しても燃焼を継続する自燃性の固体推進薬となっており、前記燃焼室内の圧力を測定する測定手段と、前記固体推進薬に向かって水を噴射する噴射手段と、前記測定手段が測定した燃焼室内の圧力に応じて前記照射手段を制御するとともに、前記噴射手段を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段が前記照射手段の照射するレーザの強度を強くしたり弱くして前記燃焼ガスの発生量を増減し、前記測定手段が測定した前記燃焼室内の圧力が変動すると前記圧力の変動が減少するように前記照射手段にレーザの強度を強弱させるとともに、前記制御手段が前記照射手段に動的消炎現象が起きる強度のレーザを前記固体推進薬に照射させた後、前記噴射手段に水を前記固体推進薬に向かって噴出させることを特徴としている。
【0011】
請求項4に記載の本発明の固体燃料ロケットは、中空の燃焼室と、前記燃焼室内に位置付けられた固体推進薬と、前記固体推進薬にレーザを照射して前記固体推進薬を燃焼させて燃焼ガスを発生させる照射手段と、前記燃焼室の壁面を貫通しかつ前記燃焼室内の燃焼ガスを前記燃焼室外に導くノズルと、を備えた固体燃料ロケットにおいて、前記固体推進薬が前記レーザの照射を止めると燃焼を停止する非自燃性の固体推進薬となっていることを特徴としている。
【0012】
請求項5に記載の本発明の固体燃料ロケットは、請求項4に記載の固体燃料ロケットにおいて、前記燃焼室内の圧力を測定する測定手段と、前記測定手段が測定した燃焼室内の圧力に応じて、前記照射手段を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段が前記照射手段の照射するレーザの強度を強くしたり弱くして前記燃焼ガスの発生量を増減するとともに、前記照射手段にレーザの照射を停止させて前記固体推進薬の燃焼を停止することを特徴としている。
【0013】
請求項1に記載した本発明の固体燃料ロケットによれば、固体推進薬にレーザを照射することにより固体推進薬を点火するようになっており、固体推進薬がレーザの照射を止めても燃焼を継続する自燃性となっている。また、燃焼室内の圧力を測定する測定手段を備え、この測定手段が測定した燃焼室内の圧力に応じてレーザの強度を制御する。さらに、燃焼室内の圧力が変動すると、この変動が減少するように照射手段にレーザの強度を強弱させる制御手段を備えている。
【0014】
このため、レーザの強度を制御することにより、固体推進薬の燃焼制御(推力の増減など)を行うことができる。また、燃焼室内の圧力の変動則ち推力の変動が減少するようにレーザの強度を制御するので、固体推進薬を安定的に燃焼させることができる。
【0015】
請求項2に記載した本発明の固体燃料ロケットによれば、固体推進薬にレーザを照射することにより固体推進薬を点火するようになっており、固体推進薬がレーザの照射を止めても燃焼を継続する自燃性となっている。また、燃焼室内の圧力を測定する測定手段を備え、この測定手段が測定した燃焼室内の圧力に応じてレーザの強度を制御する。さらに、動的消炎現象が起きる強さのレーザを固体推進薬に照射して、固体推進薬に噴射手段が水を噴射する。
【0016】
このため、レーザの強度を制御することにより、固体推進薬の燃焼制御(推力の増減など)を行うことができる。また、動的消炎現象が起きる強さのレーザを固体推進薬に照射するので、固体推進薬を燃焼して発生した火炎が一時的に固体推進薬の表面から離れる。このため、固体推進薬の表面では、急激に温度が下がりかつ圧力が減少して、固体推進薬が消火される。
【0017】
また、動的消炎現象が起きる強さのレーザを固体推進薬に照射して、固体推進薬に噴射手段が水を噴射するので、固体推進薬の表面から一時的に離れた火炎に向かって水が噴射される。このため、前述した火炎の温度が急激に下がり、この火炎が固体推進薬を再着火することを防止できる。
【0018】
したがって、レーザの強度を制御することにより、固体推進薬の燃焼制御(推力の増減など)を行うことができる。また、固体推進薬の消火を行うことができる。したがって、固体推進薬の点火・燃焼及び消火を複数回行うことができ、取り扱いが容易で複数回噴射できる固体燃料ロケットを得ることができる。
【0019】
請求項3に記載した本発明の固体燃料ロケットによれば、固体推進薬にレーザを照射することにより固体推進薬を点火するようになっており、固体推進薬がレーザの照射を止めても燃焼を継続する自燃性となっている。また、燃焼室内の圧力を測定する測定手段を備え、この測定手段が測定した燃焼室内の圧力に応じてレーザの強度を制御する。さらに、燃焼室内の圧力が変動すると、この変動が減少するように照射手段にレーザの強度を強弱させる制御手段を備えている。
【0020】
また、動的消炎現象が起きる強さのレーザを固体推進薬に照射して、固体推進薬に噴射手段が水を噴射する。このため、動的消炎現象が起きる強さのレーザを固体推進薬に照射するので、固体推進薬を燃焼して発生した火炎が一時的に固体推進薬の表面から離れる。このため、固体推進薬の表面では、急激に温度が下がりかつ圧力が減少して、固体推進薬が消火される。
【0021】
また、動的消炎現象が起きる強さのレーザを固体推進薬に照射して、固体推進薬に噴射手段が水を噴射するので、固体推進薬の表面から一時的に離れた火炎に向かって水が噴射される。このため、前述した火炎の温度が急激に下がり、この火炎が固体推進薬を再着火することを防止できる。
【0022】
したがって、レーザの強度を制御することにより、固体推進薬の燃焼制御(推力の増減など)を行うことができる。また、燃焼室内の圧力の変動則ち推力の変動が減少するようにレーザの強度を制御するので、固体推進薬を安定的に燃焼させることができる。さらに、固体推進薬の消火を行うことができる。したがって、固体推進薬の点火・燃焼及び消火を複数回行うことができ、取り扱いが容易で複数回噴射できる固体燃料ロケットを得ることができる。
【0023】
請求項4に記載した本発明の固体燃料ロケットによれば、固体推進薬にレーザを照射することにより推力を発生するようになっており、固体推進薬がレーザの照射を止めると燃焼を停止する非自燃性となっている。このため、レーザの照射を制御することにより、固体推進薬の点火・燃焼及び消火を複数回行うことができる。したがって、取り扱いが容易で複数回噴射できる固体燃料ロケットを得ることができる。また、レーザの強度を制御することにより、固体推進薬の燃焼制御(推力の増減など)を行うことができる。
【0024】
請求項5に記載した本発明の固体燃料ロケットによれば、燃焼室内の圧力を測定する測定手段を備え、この測定手段が測定した燃焼室内の圧力に応じてレーザの強度を制御する。燃焼室内の圧力に応じてレーザの強度を制御するので、所望の燃焼室内の圧力則ち所望の推力を得ることができる。
【0025】
本明細書に記した固体推進薬とは、固体燃料と固体酸化剤とを総称して示している。また、本明細書に記した固体推進薬には、燃料が酸化剤より多く含有された本来は燃料過多固体推進薬と呼ぶべき固体推進薬も含み、酸化剤が燃料より多く含有された本来は酸化剤過多固体推進薬と呼ぶべき固体推進薬も含む。
【0026】
さらに、非自燃性の固体推進薬とは、レーザなどの外部からのエネルギ供給が停止すると、消炎(燃焼を停止)する固体推進薬を示している。自燃性の固体推進薬とは、レーザなどの外部からのエネルギが供給されなくても、燃焼し続ける固体推進薬を示している。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の第1の実施形態にかかる固体燃料ロケット1を図1ないし図10を参照して説明する。固体燃料ロケット1は、図1ないし図3に示すように、球状の燃焼室2と、ノズル3と、複数の燃焼ユニット4と、噴射手段としての水噴射部50(図6に示す)と、測定手段としての圧力センサ46(図6に示す)と、制御手段としての制御装置47(図4に示す)を備えている。
【0028】
燃焼室2は、図3に示すように、外形が球状でかつ中空の室本体8と、複数のアウタケース10とを備えている。室本体8則ち燃焼室2は、中空に形成されかつ内側に燃焼ユニット4の後述の燃料部6の固体推進薬9が燃焼して生成する燃焼ガスが満たされる。アウタケース10は、図5に示すように、円板状の底板12と、円筒状に形成されかつ底板12の外縁に連なった筒部13と、筒部13の底板12から離れた側の外縁に連ねる円盤状のフランジ部14とを備えている。
【0029】
フランジ部14は、内径が筒部13の外径と等しく形成されており、筒部13の外縁からこの筒部13の外周方向に突出している。フランジ部14には、ボルト通し孔15が設けられている。また、フランジ部14は、室本体8の壁面5の外面に重ねられて、この壁面5則ち室本体8に取り付けられる。また、壁面5には、前記ボルト通し孔15に合致するとともにボルト16が螺合するねじ孔17が設けられている。さらに、フランジ部14と壁面5との間には、これらの間を気密に保つOリング18が設けられている。
【0030】
ノズル3は、燃焼室2の壁面5(図3などに示す)に取り付けられている。ノズル3は、室本体8の壁面5を貫通しているとともに燃焼室2内の燃焼ガスを、燃焼室2外に導く。燃焼室2のノズル3から離れかつ図2中上側に位置する上半分を、以下北半球2aと呼び、ノズル3寄りでかつ図2中下側に位置する下半分を、以下南半球2bと呼ぶ。
【0031】
燃焼ユニット4は、3以上設けられている。図示例では、燃焼ユニット4は、3つ設けられている。燃焼ユニット4は、図3に示すように、燃料部6と、着火部7とを備えている。
【0032】
燃料部6は、図5に示すように、インナケース11と、このインナケース11内に収容される固体推進薬9とを備えている。インナケース11は、円板状の底板19と、円筒状に形成されかつ底板19の外縁に連なった筒部20とを備えている。底板19と筒部20の外径は、アウタケース10の筒部13の内径と等しい。底板19が底板12に重なった状態で、インナケース11は、アウタケース10内に収容される。
【0033】
固体推進薬9は、アウタケース10内に収容されるインナケース11内に収容されている。このため、固体推進薬9は、燃焼室2内に位置付けられる。本明細書に記した固体推進薬9とは、固体燃料と固体酸化剤とを総称して示している。また、本明細書に記した固体推進薬9には、燃料中に多量の酸化剤を含んで、本来は燃料過多固体推進薬と呼ぶべき固体推進薬も含み、酸化剤中に多量の燃料を含んで本来は酸化剤過多固体推進薬と呼ぶべき固体推進薬も含む。
【0034】
3つの燃焼ユニット4の燃料部6のうち図3に示す二つの燃料部6の固体推進薬9は、固体燃料と固体酸化剤とからなり、燃料過多となっている。残りの一つの燃料部6の固体推進薬は、固体酸化剤からなる。
【0035】
さらに、前述した図3に示す二つの燃料部6の固体推進薬9は、非自燃性の固体推進薬21と、自燃性の固体推進薬22とを備えている。非自燃性の固体推進薬21は、円筒状に形成されかつ収容部8のインナケース11内に収容されている。自燃性の固体推進薬22は、円柱状に形成され非自燃性の固体推進薬21内に収容されている。こうして、固体推進薬9は、自燃性の固体推進薬22などからなる。
【0036】
本明細書に記した非自燃性の固体推進薬21とは、レーザLなどの外部からのエネルギ供給が停止すると、消炎(燃焼を停止)する固体推進薬を示している。則ち、非自燃性の固体推進薬21は、レーザLの照射が停止すると燃焼を停止する(消火される)。自燃性の固体推進薬22とは、レーザLなどの外部からのエネルギが供給されなくても、燃焼し続ける固体推進薬を示している。則ち、自燃性の固体推進薬22は、レーザLの照射を停止しても燃焼を継続する。
【0037】
自燃性の固体推進薬22は、レーザLの照射時間とレーザLの強度とが変化すると、図9に示すように、着火したり、燃焼したり、動的消炎現象(Dynamic Extinction)を起こす。図9中の境界S1よりレーザLの照射時間が短くレーザLの強度が弱いと、自燃性の固体推進薬22は、燃焼(着火)しない。
【0038】
また、図9中の境界S2よりレーザLの強度が強いと(図9中の平行斜線で示す領域では)、自燃性の固体推進薬22は、動的消炎現象を起こす。動的消炎現象とは、固体推進薬22が燃焼していることで発生した火炎の圧力と温度が一時的に上昇して、前述した火炎が固体推進薬22の表面から離れる。そして、固体推進薬22の表面付近の温度が著しく低下して、固体推進薬22が消火される。即ち、動的消炎現象とは、固体推進薬22の表面付近の温度が著しく低下して、固体推進薬22が消火される現象である。さらに、図9中の境界S1と境界S2との間では、自燃性の固体推進薬22は、動的消炎現象などを起こさずに、燃焼(着火)する。
【0039】
非自燃性及び自燃性の固体推進薬21,22は、固体燃料としての末端水酸基ポリブタジエン(HTPB)の高分子材料と、固体酸化剤としての過塩素酸アンモニウムとから成る燃料過多コンポジット推進薬とし、レーザLの吸収性等を考慮してカーボンブラックを少量添加する。また必要に応じて酸化第二鉄等の燃焼触媒を加える。
【0040】
固体推進薬21,22の構成物質としては、他にも酸化剤として硝酸アンモニウム、固体燃料にグリシジルアジ化ポリマー(GAP)や不飽和ポリエステル樹脂等の高分子材料を使うこともできる。上記で挙げた例以外にも固体推進薬21,22に適切な固体エネルギー物質があれば、使用可能である。非自燃性の固体推進薬21は燃料過多とした上で、レーザLによる加熱が無くなると消炎するように固体燃料と酸化剤の配合比で得られる。これにより、非自燃性の固体推進薬21は燃焼中にレーザLを切ると燃焼が持続できなくなり、燃焼を停止させる(消炎する)ことができる。
【0041】
自燃性の固体推進薬22は燃料過多とした上で、レーザLによる加熱が無くても燃焼を継続するように固体燃料と酸化剤の配合比で得られる。これにより、自燃性の固体推進薬22は燃焼中にレーザLを切っても燃焼を持続する。
【0042】
また、前述した固体推進薬21,22は、レーザLの強度を変化させれば、それに応じて燃焼速度も変化するのでロケットの推力の大きさを制御することができる。なお、固体推進薬21,22は、燃焼が進むと共に表面が後退するが、レーザLの強度の変化は少ないのでその影響は通常問題にならない。
【0043】
また、前述した燃料部6は、以下のように製造される。円筒状のインナケース11内に図示しないライナを付けた後、まず、インナケース11の内面に沿って非自燃性の固体推進薬21を充填する。その後、さらに非自燃性の固体推進薬21の内側に自燃性の固体推進薬22を充填する。
【0044】
さらに、残りの一つの燃料部6の構成は、前述した燃料部6の構成と等しい。この燃料部6の固体推進薬は、酸化剤に過塩素酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、燃料にグリシジルアジ化ポリマー(GAP)や不飽和ポリエステル樹脂等の高分子材料などからなる。固体推進薬は、インナケース11内に収容されている。前述した燃料部6は、円筒状のインナケース11内に図示しないライナを付けた後、前述した固体推進薬が充填されて、製造される。
【0045】
前述した構成の燃料部6は、インナケース11内に固体推進薬21,22を充填(収容)して、このインナケース11をアウタケース10内に収容する。フランジ部14にOリング18を取り付けた後、このフランジ部14を壁面5に重ねる。そして、ボルト通し孔15と、ねじ孔17とを合致させて、これらの中にボルト16を通す。ボルト16をねじ込んで、フランジ部14則ちアウタケース10を、燃焼室2の壁面5に取り付ける。
【0046】
インナケース11内の固体推進薬21,22が燃焼済みになれば、アウタケース10を壁面5から取り外して、このアウタケース10内から燃焼済みの固体推進薬21,22をインナケース11とともに取り外す。燃焼前の固体推進薬21,22をインナケース11とともにアウタケース10内に収容する。アウタケース10を再び壁面5則ち燃焼室2に取り付けて、燃料部6として再使用する。また、燃焼室2内では、3つの燃焼ユニット4の燃料部6の固体推進薬9が燃焼すると、燃料過多の燃焼ガスが発生するようになっている。
【0047】
着火部7は、図4に示すように、キャビティ23と、照射手段としてのレーザ部24と、気体供給部25とを備えている。キャビティ23は、燃焼室2の壁面5に一体に形成されかつ燃焼室2の中心J(図3などに示す)を挟んで燃料部6と相対する位置に配されている。キャビティ23は、壁面5の内面から凹でかつ壁面5の外面から凸に形成されている。キャビティ23は、円筒状に形成されかつ壁面5に連なりかつこの壁面5から燃焼室2の外周方向に延びた筒部26と、前記筒部26の壁面5から離れた側の縁部26aを塞いだ壁部27とを有している。
【0048】
レーザ部24は、レーザ発生部28と、超音波変位計29と、レーザ制御部30とを備えている。レーザ発生部28は、レーザ用電源31と、レーザコントローラ32と、レーザ発生源としての半導体レーザ33と、ビーム整形ユニット34と、ビームホモジナイザ35と、ズームユニット36と、光学ガラス窓37とを備えている。
【0049】
レーザ用電源31は、レーザコントローラ32を介して、半導体レーザ33に印加する。レーザコントローラ32は、制御装置47などからの命令に基づいて、半導体レーザ33に印加する電力などを制御する。半導体レーザ33は、固体推進薬9を燃焼するためのレーザLを発生する。半導体レーザ33は、ビーム整形ユニット34に向かってレーザLを出射する。ビーム整形ユニット34は、半導体レーザ33からのレーザLを断面円形状に形成して、ビームホモジナイザ35に向かって出射する。
【0050】
ビームホモジナイザ35は、断面円形状のレーザLの強度を一様にして、ズームユニット36に向かって出射する。ズームユニット36は、凸レンズ38と、凹レンズ39などを備えている。凸レンズ38は、凹レンズ39よりビームホモジナイザ35寄りに配されている。凹レンズ39は、凸レンズ38より光学ガラス窓37寄りに配されている。凸レンズ38と凹レンズ39との間隔が変更可能にこれらのレンズ38,39のうち少なくとも一方がスライド自在となっている。
【0051】
ビームホモジナイザ35から出射されたレーザLは凸レンズ38に入射した後、凹レンズ39に入射する。そして、凹レンズ39から出射したレーザLは光学ガラス窓37に導かれる。ズームユニット36は、凸レンズ38と凹レンズ39との間隔を変更することにより、凹レンズ39から出射されたレーザの拡がる角度θ1,θ2(図4などに示す)を変更可能となっている。こうして、ズームユニット36は、半導体レーザ33からのレーザLを光学ガラス窓37に導くとともに、このレーザLの広がり(前述した角度θ1,θ2が相当する)を変更する。
【0052】
光学ガラス窓37は、前記壁部27に取り付けられている。光学ガラス窓37は、前述したレーザLを通すとともに、前述した燃焼ガスなどを通さない。光学ガラス窓37は、燃焼室2の中心Jを挟んで、燃料部6の固体推進薬9と相対する。
【0053】
超音波変位計29は、前記壁部27に取り付けられた測定子29aを備えている。このため、超音波変位計29は、壁部27に取り付けられている。測定子29aは、燃料部6の固体推進薬9の表面9aに向かって超音波を放射する。測定子29aは、燃料部6の固体推進薬9の表面9aから反射した超音波を受ける。固体推進薬9の表面9aとは、固体推進薬9の燃焼室2の内側に露出する表面である。
【0054】
超音波変位計29は、測定子29aが固体推進薬9の表面9aに超音波を放射して、この表面9aから反射した超音波を受けることにより、壁部27と固体推進薬9の表面9aとの間隔を測定する。超音波変位計29は、レーザ制御部30の後述するモータコントローラ40に向かって、壁部27と固体推進薬9の表面9aとの間隔に応じた情報を出力する。
【0055】
レーザ制御部30は、モータコントローラ40と、ドライバ41と、ズームユニット36のレンズ38,39間の間隔を拡げたり狭くするステッピングモータ42などを備えている。モータコントローラ40は、ドライバ41を介して、ステッピングモータ42を制御する。
【0056】
モータコントローラ40は、超音波変位計29が測定した壁部27と固体推進薬9の表面9aとの間隔に基づいて、レーザLの広がり(角度θ1,θ2)を変更する。モータコントローラ40は、レーザLが自燃性の固体推進薬22の表面全体に照射され、かつ非自燃性の固体推進薬21の外縁部則ち固体推進薬9の外縁部まで照射されるとともに、筒部20などに照射されないように、レーザLの広がり(角度θ1,θ2)を変更する。
【0057】
このように、モータコントローラ40は、超音波変位計29が測定した壁部27と固体推進薬9の表面9aとの間隔に基づいて、前記レーザLが固体推進薬9の表面の外縁部まで照射されかつ筒部20に照射されないように(筒部20に照射されることを規制するように)、ズームユニット36を制御する。前述した構成のレーザ部24は、固体推進薬9にレーザLを照射して、前記固体推進薬9を燃焼させて燃焼ガスを発生させる。
【0058】
気体供給部25は、図6に示すように、気体供給源としての気体タンク43と、貫通孔44と、配管45と、流量調整器48とを備えている。気体タンク43は、空気などの気体を加圧した状態で収容する。気体タンク43は、貫通孔44を通して気体をキャビティ23内に供給する。
【0059】
貫通孔44は、図4に示すように、筒部26の前述した縁部26aを貫通している。配管45は、気体タンク43と、貫通孔44とを連結している。配管45は、気体タンク43内の気体を貫通孔44内に導く。流量調整器48は、制御装置47からの命令に応じて、気体タンク43から貫通孔44を通してキャビティ23内に供給される気体の流量を変更する。
【0060】
前述した構成の着火部7は、加熱源としての半導体レーザ33からレーザLを発生する。半導体レーザ33から発せられたレーザLは、ビーム整形ユニット34を通って円柱状に整形され、次のビームホモジナイザ35で強度が一様化される。
【0061】
超音波変位計29で計測された固体推進薬9の表面9aと壁部27との間隔に関する情報をモータコントローラ40などでリアルタイムに解析し、固体推進薬9の表面9aに適切なレーザLの照射が行なわれるようにステッピングモータ42を制御してズームユニット36を調整する。
【0062】
前述したように、ズームユニット36をステッピングモータ42で制御することにより、レーザLが光学ガラス窓37を通して放射状に拡がっていくので、前記キャビティ23と壁面5との連結箇所49(図4などに示す)を、固体推進薬9の断面積と比べ十分小さくすることができ、このため、キャビティ23内に流入する気体の流量を減らすことができる。
【0063】
次にレーザLは、光学ガラス窓37を透過して、燃料部6の固体推進薬9の表面9aに照射される。ここでのレーザLの照射面積は、筒部20などを加熱しないように固体推進薬9の表面9aより小さくなっている。よって一部の固体推進薬9に加熱されない部分が生じるが、これらは周囲の高温の既燃ガスによる対流熱伝達で分解・燃焼する。このように、固体推進薬9はレーザLを照射されながら端面燃焼型式で燃焼する。レーザLにより固体推進薬9が燃焼またはガス化されて、燃焼室2内に燃焼ガスが発生する。
【0064】
前述したレーザLを照射している間、則ち固体推進薬9を燃焼している間は、気体タンク43などから流量調整器48を経た気体を、貫通孔44を通してキャビティ23の中に常に噴出している。これによりレーザLや燃焼ガスの火炎からの輻射により加熱された光学ガラス窓37を冷却するとともにこの光学ガラス窓37に燃焼生成物の付着することを防ぐ。こうして、光学ガラス窓37を通してレーザLを固体推進薬9に照射して、固体推進薬9を燃焼するとともに、貫通孔44を通して気体タンク43からキャビティ23内に気体を供給する。
【0065】
貫通孔44を通して噴出される気体の流量は、燃焼室2内の圧力を圧力センサ46と制御装置47で監視しながら、流量調整器48により最適に制御される。また、前述した着火部7において、キャビティ23と壁面5との連結箇所49を超音速ノズルに設定した場合は、キャビティ23内に設置した超音波変位計29の測定子29aに外部からの信号が届かない。このため、この場合は超音波変位計29の測定子29aをキャビティ23の外に設置する。
【0066】
気体として空気を用いると、貫通孔44から噴射された気体は、その後、燃料過多の燃焼ガスとさらに二次燃焼をし、燃焼効率を高める事に寄与する。また、固体燃料ロケット1は真空中のみの作動を対象としているため、空気抵抗を考慮する必要が無いので、重量の点で問題が無ければ気体タンク43の容積を大きく取ることができる。気体タンク43内の気体は他にも不活性ガス等を使用してもよいが、酸化性が強いものや可燃性の気体は適さない。このためここで空気を選んだのは二次燃焼に使えるだけでなく、宇宙空間における緊急用の予備空気貯蔵器としても役立つことを考慮した。
【0067】
前述した3つの燃料部6は、北半球2aに取り付けられているとともに、着火部7は、南半球2bに取り付けられている。各燃焼ユニット4の燃料部6と着火部7とは、燃焼室2の中心Jを挟んで相対している。また、各燃焼ユニット4のレーザLの光軸は、前記燃料部6と着火部7とが相対する方向に沿っている。3つの燃焼ユニット4のレーザLの光軸は、互いに交差している。燃料部6と着火部7とは、固体推進薬9の表面9aの中心をレーザLの光軸上に配置されている。レーザLの光軸は、燃焼室2の中心軸Q(ノズル3の軸芯をなし、図3中に一点鎖線で示す)と適切な角度で傾いている。燃焼ユニット4は、燃焼室2の中心軸Qに関して互いに軸対称となる位置に取り付けられている。
【0068】
これにより各燃料部6から流出する燃焼ガスが前述した中心軸Qに対して傾いており、対向流になって燃焼室2の中央で衝突し、燃焼室2の径方向の流速成分を相殺するように作用する。このため、キャビティ23の中にある光学ガラス窓37に直接燃焼ガスが衝突することを防止でき、前記光学ガラス窓37へ燃焼生成物が付着するのを妨げる。
【0069】
前述した実施形態では、燃料部6を3個としたが、これを2個にすると片方のレーザ発生部28が故障した場合、他方の正常な光学ガラス窓37に向かって燃焼ガス流が直接向いてしまうという欠点を持つ。この点からも球状の燃焼室2における周方向の燃料部6の個数と配置は上記の設定が望ましい。燃料部6を増やしたい時は、燃焼室2の中央に新たに3つ配置すればよい。
【0070】
水噴射部50は、図6に示すように、水タンク51と、水噴射ノズル52と、配管53と、水流量調整器54を備えている。水タンク51は、水を収容している。水噴射ノズル52は、配管53を通して供給された水タンク51からの水を燃料部6の固体推進薬9に向かって吹き付ける。
【0071】
配管53は、水タンク51と水噴射ノズル52とを連結している。水流量調整器54は、制御装置47からの命令に応じて、水タンク51から水噴射ノズル52を通して固体推進薬9に吹き付けられる水の流量及び水を噴射するか否かを変更する。水噴射部50は、後述するように、燃焼室2の燃焼を停止する際に、水噴射ノズル52を通して水を固体推進薬9に向かって吹き付ける。水噴射部50は、制御装置47からの命令に基づいて、固体推進薬9に向かって水を噴射する。
【0072】
また、水タンク51は、気体タンク43内の圧力で加圧されており、前述した水の噴射圧を得るようになっている。このため、構造が簡単になる。
【0073】
圧力センサ46は、壁面5に取り付けられており、燃焼室2内の圧力を測定して、制御装置47に向かって出力する。圧力センサ46として、圧電型の圧力センサを用いることができる。
【0074】
制御装置47は、周知のRAM、ROM、CPUなどを備えたコンピュータである。制御装置47には、圧力センサ46から燃焼室2内の圧力に応じた情報が入力する。制御装置47は、圧力センサ46が測定した燃焼室2内の圧力に基づいて、前記レーザ部24のレーザコントローラ32を制御する。制御装置47は、圧力センサ46が測定した燃焼室2内の圧力に基づいて、前記流量調整器48を制御して気体タンク43から貫通孔44を通してキャビティ23内に供給される気体の流量を制御する。制御装置47は、圧力センサ46が測定した燃焼室2内の圧力に基づいて、後述の水流量調整器54を制御して水タンク51から水噴射ノズル52を通してキャビティ23内に供給される水の流量を制御する。
【0075】
制御装置47は、レーザ部24の照射するレーザLの強度を強くしたり弱くして、燃焼ガスの発生量則ち推力を増減する。このとき、勿論、圧力センサ46が測定した燃焼室2内の圧力に基づいて、レーザLを強弱することは勿論である。則ち、制御装置47は、レーザLの強度を強くしたり弱くして、所望の燃焼室2内の圧力則ち所望の推力を得る。
【0076】
制御装置47は、図7に示す固体推進薬9が燃焼するときの燃焼室2内の圧力の変化を記憶している。なお、図7は、固体推進薬9を実際に燃焼させて得られる。燃焼室2内の固体推進薬9が燃焼している間に、図8(a)中の実線で示すように、燃焼室2内の圧力則ち推力が変動(圧力が高低、推力が増減)することがある。なお、図8(a)中の二点鎖線は、圧力変動を起こさずに固体推進薬9が燃焼する状態を示しており、固体推進薬9の理想的な燃焼状態を示している。制御装置47は、まず、図7に示した固体推進薬9が燃焼した際の圧力変化に基づいて、燃焼室2内の圧力が今後どのように変化するかを予測する。
【0077】
制御装置47は、前述したように予測して得た圧力変化が一定の圧力(図8(a)中に二点鎖線で示す)となるレーザLの強度(図8(b)中に一点鎖線で示す)を算出する。なお、図8(b)中の実線は、図8(a)中に実線で示す圧力変動が発生したときのレーザLの強度を示している。図8(b)中の一点鎖線は、図8(a)中に実線で示す圧力変動を減少させるためのレーザLの強度を示している。制御装置47は、図8(b)中に一点鎖線で示す強度で、レーザ部24に固体推進薬9にレーザLを照射させる。このように、制御装置47は、圧力センサ46が測定した燃焼室2内の圧力が変動(高低)すると、この圧力の変動が減少するようにレーザ部24にレーザLの強度を強弱させる。
【0078】
さらに、制御装置47は、燃焼中の固体推進薬9を消火する際には、レーザ部24に図9中の平行斜線で示す動的消炎現象が起きる強度のレーザLを固体推進薬9に照射させる。すると、固体推進薬9が燃焼して発生した火炎の圧力と温度が急激に上昇する。前述した火炎は、例えば図10中の実線で示す位置から図10中に二点鎖線で示す位置に向かって移動する。則ち、前述した火炎は、固体推進薬9から離れる。すると、固体推進薬9の表面9a付近則ち図10中に実線で示す位置の温度が急激に低下して、固体推進薬9の燃焼が停止する則ち固体推進薬9が消火される。
【0079】
また、制御装置47は、動的消炎現象が起きる強度のレーザLを照射した後、水流量調整器54に水タンク51から水噴射ノズル52を通して固体推進薬9に向かって水を噴射させる。すると、図10中に二点鎖線で示す位置に位置した火炎に水がかけられて、該火炎の温度が低下する。このため、火炎が、固体推進薬9の表面9aに近づいて、この固体推進薬9を再着火することを防止できる。このように、制御装置47は、レーザ部24に動的消炎現象が起きる強度のレーザLを固体推進薬9に照射させた後、水噴射部50に水を固体推進薬9に向かって噴射させる。
【0080】
このように、前述した構成の固体燃料ロケット1では、燃焼中の燃焼室2内の圧力は、応答性の良い圧力センサ46で計測され、制御装置47で波形がリアルタイムに解析される。もし、燃焼室2内で不安定燃焼が発生すれば、前述したように、レーザコントローラ32によって半導体レーザ33がアクチュエータとして駆動され、レーザLが不安定燃焼を打ち消すように固体推進薬9の表面9aに加えられる。
【0081】
また、固体燃料ロケット1では、燃焼中の固体推進薬9を消火するために、前述したように、固体推進薬9に対し高強度のレーザLを方形波パルスまたはパルス列として加えて、固体推進薬9の温度と燃焼室2内の圧力を一時的に上昇させる。その後、固体推進薬9の温度と燃焼室2内の圧力を急減少させることで動的消炎現象(Dynamic Extinction)を起こさせる。
【0082】
すると、固体推進薬9の表面9aで燃焼していた燃焼ガスは、一時的に固体推進薬9の表面9aから離れる。このとき、固体推進薬9の表面9aから離れた高温の燃焼ガスに水噴射ノズル52から水を噴射して、燃焼ガスの温度を低下させることで、固体推進薬9の再着火を抑制する。こうして、燃焼中の固体推進薬9を消火する。
【0083】
前述した実施形態の固体燃料ロケット1は、図9中の境界S1,S2間の強度でレーザLを固体推進薬9の表面9aに照射して、固体推進薬9を着火する。すると、レーザLの照射を止めても、固体推進薬9は、燃焼する。このとき、同時に貫通孔44を通して気体をキャビティ23内に吹き出すとともに、超音波変位計29が壁部27と固体推進薬9の表面9aとの間隔を測定して、モータコントローラ40がズームユニット36を制御している。例えば、固体推進薬9の表面9aが図4中の実線で示す位置では、レーザLの広がりは角度θ1となり、固体推進薬9の表面9aが図4中の二点鎖線で示す位置では、レーザLの広がりは角度θ2となる。このように、固体推進薬9の燃焼とともに、レーザLの広がりを徐々に狭くする。
【0084】
固体推進薬9から発生した燃焼ガスは、燃焼室2の中央で衝突して、ノズル3に向かって導かれる。そして、ノズル3を通して、燃焼室2の固体推進薬9の燃焼により発生した燃焼ガスが噴出して、推力を発生する。
【0085】
このとき、推力を増加する際には、例えば、レーザLを固体推進薬9に向かって照射したり、固体推進薬9に照射するレーザLを強くする。また、燃焼室2内の圧力が変動した際には、この変動を圧力センサ46で計測して、この変動をうち消すようにレーザLの強さを変更する。
【0086】
さらに、固体推進薬の燃焼を停止する際には、固体推進薬9に対し高強度のレーザ光線を方形波パルスまたはパルス列として加えて、動的消炎現象(Dynamic Extinction)を起こさせる。そして、水噴射ノズル52から水を噴射して、固体推進薬9の燃焼を停止する。
【0087】
本実施形態によれば、レーザLを照射することにより固体推進薬9を点火するようになっており、固体推進薬9がレーザLの照射を止めても燃焼を継続する自燃性の固体推進薬22からなる。また、燃焼室2内の圧力を測定する圧力センサ46を備え、この圧力センサ46が測定した燃焼室2内の圧力に応じてレーザLの強度を制御する。さらに、燃焼室2内の圧力が変動すると、この変動が減少するように照射部24にレーザLの強度を強弱させる制御装置47を備えている。
【0088】
また、動的消炎現象が起きる強さのレーザLを固体推進薬9に照射して、固体推進薬9に水噴射部50が水を噴射する。このため、動的消炎現象が起きる強さのレーザLを固体推進薬9に照射するので、固体推進薬9を燃焼して発生した火炎が一時的に固体推進薬9の表面9aから離れる。このため、固体推進薬9の表面9aでは、急激に温度が下がって、固体推進薬9が消火される。
【0089】
また、動的消炎現象が起きる強さのレーザLを固体推進薬9に照射して、固体推進薬9に水噴射部50が水を噴射するので、固体推進薬9の表面9aから一時的に離れた火炎に向かって水が噴射される。このため、前述した火炎の温度が急激に下がり、この火炎が固体推進薬9を再着火することを防止できる。
【0090】
したがって、レーザLの強度を制御することにより、固体推進薬9の燃焼制御(推力の増減など)を行うことができる。また、燃焼室2内の圧力の変動則ち推力の変動が減少するようにレーザLの強度を制御するので、固体推進薬9を安定的に燃焼させることができる。さらに、固体推進薬9の消火を行うことができる。したがって、固体推進薬9の点火・燃焼及び消火を複数回行うことができ、取り扱いが容易で複数回噴射できる固体燃料ロケット1を得ることができる。
【0091】
固体推進薬9が一旦着火したらその後は自燃性のためにレーザLの照射を切っても燃焼が持続するので、この間はレーザLを使用しなくても済み消費電力は大幅に低減される。但し、レーザLで動的消炎をさせるため予め固体推進薬9の自燃性を低くするように固体燃料と固体酸化剤の配合比を適切な値に設定する必要がある。一方、着火時のレーザLが強過ぎると着火後のレーザLの遮断時にも動的消炎を起こす可能性があるので、消炎しない程度にレーザLの強度をレーザコントローラ32で低く保つ。
【0092】
燃料部6が燃焼室2の北半球2aに取り付けられているので、燃焼ガスの流れが比較的澱まずノズル3を通過するので、力学的な損失が少ない。但し、キャビティ23が燃焼室2の南半球2bに取り付けられているので、キャビティ23への燃焼生成物の流入の可能性が高くなる。
【0093】
また、レーザLを固体推進薬9に照射するため、燃焼室2内にレーザLを通すことで固体推進薬9を燃焼できるので、燃焼室2内の圧力を高くすることができる。このため、燃焼室2内での燃焼ガスの発生量を増加させることができ、推力を増加させることができる。
【0094】
さらに、燃焼ユニット4が、3つ設けられている。また、各燃焼ユニット4の着火部7と燃料部6が、燃焼室2の中心Jを挟んで互いに相対している。このため、各燃料部6の固体推進薬9が燃焼して発生した燃焼ガスが燃焼室2の中央で互いに衝突して、燃焼ガスの流れる方向が変更する。このため、各燃料部6の固体推進薬9が燃焼して発生した燃焼ガスが、相対する着火部7に直接吹き付けることを防止できる。
【0095】
また、燃焼ユニット4が、3つ設けられているため、燃焼ユニット4が一つ破損しても、各燃料部6の固体推進薬9が燃焼して発生した燃焼ガスが燃焼室2の中央で互いに衝突して、燃焼ガスの流れる方向が確実に変更する。したがって、燃焼ガスが着火部7に直接吹き付けることを確実に防止でき、着火部7則ち燃焼ユニット4が破損することを防止できる。
【0096】
固体推進薬9の外縁部に非自燃性の固体推進薬21が設けられ、非自燃性の固体推進薬21の内側に自燃性の固体推進薬22が設けられている。さらに、レーザLが、筒部20などに照射されない。このため、筒部20が必要以上に加熱されることを防止でき、筒部20則ち燃焼ユニット4が破損することを防止できる。
【0097】
光学ガラス窓37を取り付けたキャビティ23が、燃焼室2の内面から凹でかつ燃焼室2の外面から凸である。このように、着火部7は、燃焼室2内からみて窪んでいる。また、縁部26aから筒部26則ちキャビティ23内に気体を吹き込む。このため、吹き込まれた気体は、光学ガラス窓37上を流れる。したがって、光学ガラス窓37が加熱されることを防止できるとともに燃焼生成物が付着することを防止でき、着火部7則ち燃焼ユニット4が破損することをより確実に防止できる。
【0098】
前述した実施形態では、燃焼室2の北半球2aに燃料部6を取り付けている。しかしながら、本発明では、図11及び図12に示すように、南半球2bに燃料部6を取り付け、さらに、補助燃料部55を北半球2aに取り付けも良い。なお、前述した実施形態に示した燃焼室2(図1などに示す)を、以下型式Aと呼び、図11などに示す燃料室2を型式Bと呼ぶ。又、図11及び図12において、前述した実施形態と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。補助燃料部55は、固体酸化剤56を収容している。補助燃料部55は、中心Jを挟んでノズル3と相対している。
【0099】
型式Bの燃焼室2では、南半球2bにある固体推進薬9からの燃料過多の燃焼ガス流が、北半球2aにある補助燃料部55の固体酸化剤56の表面に衝突し、そこで対向噴流拡散火炎を形成する。型式Bの燃焼室2は、対向噴流拡散火炎を形成するので燃焼効率は向上するが、流れの力学的損失と燃焼室壁面の熱負荷の増大が問題となる。なお、型式Bの燃焼室2では、着火部7のキャビティ23は燃焼室2の北半球2aに設置されるので、燃焼生成物の流入の恐れは少ない。
【0100】
また、前述した型式A及び型式Bの燃焼室2の燃料部6の固体推進薬9すべてを、図13に示すように、非自燃性の固体推進薬21としても良い。非自燃性の固体推進薬21は燃焼中にレーザLを切ると燃焼が持続できなくなり、燃焼を停止させることができる。
【0101】
このため、図13に示す非自燃性の固体推進薬21のみを燃料部6に用いると、レーザLの照射を停止することにより、固体推進薬9の燃焼を停止する。このため、固体推進薬9の燃焼を容易に停止できる。また、レーザLの強度を制御することにより、固体推進薬9の燃焼制御(推力の増減など)を行うことができる。
【0102】
このように、図13に示すように、非自燃性の固体推進薬21のみを燃料部6に用いると、レーザLの照射を制御することにより、固体推進薬9の点火・燃焼及び消火を複数回行うことができる。さらに、レーザLを強弱して、燃焼ガスの発生量則ち推力を増減する。
【0103】
また、燃焼室2内の圧力を測定する圧力センサ46を備え、この圧力センサ46が測定した燃焼室2内の圧力に応じてレーザLの強度を制御する。燃焼室2内の圧力に応じてレーザLの強度を制御するので、所望の燃焼室2内の圧力則ち所望の推力を得ることができる。したがって、取り扱いが容易で、点火・停止を含む推力制御が可能な固体推進薬9で構成される再使用型の固体燃料ロケット1を容易に得ることができる。
【0104】
さらに、図13に示す場合も、圧力センサ46が測定した燃焼室2内の圧力が変動すると、この圧力の変動が減少するようにレーザ部24にレーザLの強度を強弱させる。
【0105】
また、前述した実施形態では、レーザLを適切に固体推進薬9に照射するために、レーザLの広がりθ1,θ2を制御してきた。しかし、図14に示すように、壁部27則ち超音波変位計29の測定子29aと固体推進薬9の表面9aとの間隔を一定に保って、レーザLが固体推進薬9の外縁部まで照射されかつ筒部20に照射されることを規制するようにしても良い。
【0106】
なお、図14において、前述した実施形態と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。図14に示す場合では、インナケース11は、アウタケース10に対して燃焼室2の径方向に沿ってスライド自在となっている。燃焼ユニット4は、前述した超音波変位計29と、移動手段としての移動部57と、制御部58とを備えている。
【0107】
移動部57は、インナケース11に取り付けられたラック59と、燃焼室2に固定されたモータ60などを備えている。モータ60の出力軸には、ラック59と噛み合うピニオン61が取り付けられている。移動部57は、モータ60の出力軸が回転することにより、固体推進薬9を前記燃焼室2の内側に向かって移動させることが可能である。
【0108】
制御部58は、超音波変位計29と接続したモータコントローラ62と、ドライバ63などを備えている。モータコントローラ62は、ドライバ63を介してモータ60に接続している。モータコントローラ62は、超音波変位計29が測定した前記壁部27と固体推進薬9の表面9aとの間隔に基づいて、前記レーザLが前記固体推進薬9の表面9aの外縁部まで照射されかつ前記筒部20に照射されることを防止するように、ドライバ63を介してモータ60を制御する。モータコントローラ62は、固体推進薬9の燃焼とともに前記固体推進薬9を徐々に燃焼室2の内側に向かって移動する。図14に示す場合では、レーザLが、筒部20に照射されないので、筒部20が必要以上に加熱されることを防止でき、筒部20則ち燃焼ユニット4が破損することを防止できる。
【0109】
さらに、本発明では、図15に示すように、燃焼室2にさらに2次燃焼室64を取り付けて、推力を増加させても良い。2次燃焼室64は、前記ノズル3などに取り付けられる円筒状の本体部65と、第2ノズル66と、本体部65内に収容された2次固体推進薬67とを備えている。本体部65の一端部は、燃焼室2のノズル3に取り付けられている。本体部65内には、燃焼室2の燃焼ガスがノズル3を通して吹き込む。第2ノズル66は、本体部65のノズル3から離れた側の他端部に取り付けられている。第2ノズル66は、本体部65内を通る燃焼ガスを本体部65外に導く。
【0110】
2次固体推進薬67は、円環状に形成されかつ本体部65内に充填されている。2次固体推進薬67は、中央に本体部65内に吹き込まれた燃焼ガスを通す通し孔67aが形成されている。
【0111】
前述したノズル3と、本体部65と、第2ノズル66と、2次固体推進薬67とは同軸に配されている。
【0112】
2次固体推進薬67は、前記本体部65内に複数設けられている。2次固体推進薬67は、ノズル3から近い順に、固体酸化剤56、非自燃性の固体推進薬21、固体酸化剤56と配されいる。こうして、固体酸化剤56と非自燃性の固体推進薬21とを交互に設けている。固体酸化剤56として、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を用いるが、他の固体酸化剤56として過塩素酸アンモニウム単体の加圧成形体等を使ってもよい。又、本体部65内に一種類のみの固体推進薬67を設けても良い。
【0113】
図15に示す場合では、燃焼室2からノズル3を経た燃焼ガスは、二次燃焼室64に流入する。このときの燃焼ガスは、まだ未燃の燃料成分を含んでいるので、二次燃焼室64に装填された固体酸化剤56と燃焼を行なう。これにより燃焼効率が向上し、推進性能が増大する。さらに、非自燃性の固体推進薬21と燃焼し、固体酸化剤56などと燃焼して、第2ノズル66から噴出する。こうして、ガス発生量が増大して、推力が増加する。
【0114】
図15に示す場合では、レーザLによる燃焼制御の対象を自燃性の固体推進薬22とし、二次燃焼室64に固体酸化剤56を配置している。しかしながら、本発明では、反対に固体酸化剤56をレーザ加熱により熱分解し、二次燃焼室64に装填された自燃性の推進薬22と燃焼反応させても良い。また、図15に示す場合で、燃焼室2から発生する燃焼ガスが酸化剤過多の場合は、本体部65内にノズル3から近い順に非自燃性の固体推進薬21と、固体酸化剤56とを交互に配置すればよい。
【0115】
図15に示す場合によれば、燃焼室2内の燃焼ガスを通す2次燃焼室64を備えている。2次燃焼室64の本体部65内には、2次固体推進薬67が設けられている。このため、2次燃焼室64の本体部65内に通された燃焼ガスは、2次固体推進薬67を燃焼する。したがって、2次燃焼室64の2次ノズル66から排出されるガス発生量を増加でき、推力を増大させることができる。
【0116】
また、図15に示す場合において、固体推進薬21,22の中には、燃焼ガスが光学的に不透明でレーザLが固体推進薬9の表面まで届かないものやキャビティ23内に流入し易い固形の燃焼生成物を生成するものがある。このような場合は燃焼室2を光学的に比較的透明なガスを発生する固体酸化剤56のみとし、二次燃焼室64に固体推進薬21,22を置くと良い。
【0117】
以上、燃焼室2の型式、二次燃焼室64の有無、固体推進薬21,22の種類による固体燃料ロケット1の違いを大まかに述べたが、本発明では、固体燃料ロケット1を以下の表1及び表2に示すような構成としても良い。
【0118】
【表1】
Figure 2004218465
【0119】
【表2】
Figure 2004218465
ここで、型式Bの燃焼室2には上記以外に、燃焼室2の北半球2aに固体酸化剤56などからなる補助燃料部55が取り付けられている。
【0120】
次に、本発明の第2の実施形態にかかる固体燃料ロケット1を、図16を参照して説明する。図16に示された固体燃料ロケット1は、アウタケース10を設けずに、燃焼室2全体に固体推進薬9を充填している。また、本実施形態では、前述した第1の実施形態と同様に、レーザLを着火部7から固体推進薬9に照射することにより、前記固体推進薬9を燃焼させる。
【0121】
また、本実施形態では、前述した第1の実施形態と同様に、レーザLを照射して固体推進薬9を着火するとともに、レーザLを強弱することにより、燃焼ガスの発生量則ち推力を増減する。さらに、本実施形態では、固体推進薬9を自燃性の固体推進薬22から構成しても良く、非自燃性の固体推進薬21から構成しても良い。
【0122】
固体推進薬9を非自燃性の固体推進薬21から構成すると、レーザLの照射を止めて、固体推進薬9を消火する。さらに、本実施形態でも、圧力センサ46が測定した燃焼室2内の圧力が変動すると、この圧力の変動が減少するようにレーザ部24にレーザLの強度を強弱させる。
【0123】
本実施形態によれば、前述した第1の実施形態と同様に、非自燃性の固体推進薬9の場合、点火・燃焼及び消火を複数回行うことができ、取り扱いが容易で複数回噴射できる固体燃料ロケット1を得ることができる。
【0124】
さらに、本発明では、レーザLの光源として、半導体レーザ33の他にNd:YAGレーザやガラスレーザ等の高出力固体レーザを利用することもできる。
【0125】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に記載の本発明によれば、固体推進薬にレーザを照射することにより固体推進薬を点火するようになっており、固体推進薬がレーザの照射を止めても燃焼を継続する自燃性となっている。また、燃焼室内の圧力を測定する測定手段を備え、この測定手段が測定した燃焼室内の圧力に応じてレーザの強度を制御する。さらに、燃焼室内の圧力が変動すると、この変動が減少するように照射手段にレーザの強度を強弱させる制御手段を備えている。
【0126】
このため、レーザの強度を制御することにより、固体推進薬の燃焼制御(推力の増減など)を行うことができる。また、燃焼室内の圧力の変動則ち推力の変動が減少するようにレーザの強度を制御するので、固体推進薬を安定的に燃焼させることができる。
【0127】
請求項2に記載の本発明によれば、固体推進薬にレーザを照射することにより固体推進薬を点火するようになっており、固体推進薬がレーザの照射を止めても燃焼を継続する自燃性となっている。また、燃焼室内の圧力を測定する測定手段を備え、この測定手段が測定した燃焼室内の圧力に応じてレーザの強度を制御する。さらに、動的消炎現象が起きる強さのレーザを固体推進薬に照射して、固体推進薬に噴射手段が水を噴射する。
【0128】
このため、レーザの強度を制御することにより、固体推進薬の燃焼制御(推力の増減など)を行うことができる。また、動的消炎現象が起きる強さのレーザを固体推進薬に照射するので、固体推進薬を燃焼して発生した火炎が一時的に固体推進薬の表面から離れる。このため、固体推進薬の表面では、急激に温度が下がりかつ圧力が減少して、固体推進薬が消火される。
【0129】
また、動的消炎現象が起きる強さのレーザを固体推進薬に照射して、固体推進薬に噴射手段が水を噴射するので、固体推進薬の表面から一時的に離れた火炎に向かって水が噴射される。このため、前述した火炎の温度が急激に下がり、この火炎が固体推進薬を再着火することを防止できる。
【0130】
したがって、レーザの強度を制御することにより、固体推進薬の燃焼制御(推力の増減など)を行うことができる。また、非自燃性の固体推進薬の場合、消火を行うことができる。したがって、固体推進薬の点火・燃焼及び消火を複数回行うことができ、取り扱いが容易で複数回噴射できる固体燃料ロケットを得ることができる。
【0131】
請求項3に記載の本発明によれば、固体推進薬にレーザを照射することにより固体推進薬を点火するようになっており、固体推進薬がレーザの照射を止めても燃焼を継続する自燃性となっている。また、燃焼室内の圧力を測定する測定手段を備え、この測定手段が測定した燃焼室内の圧力に応じてレーザの強度を制御する。さらに、燃焼室内の圧力が変動すると、この変動が減少するように照射手段にレーザの強度を強弱させる制御手段を備えている。
【0132】
また、動的消炎現象が起きる強さのレーザを固体推進薬に照射して、固体推進薬に噴射手段が水を噴射する。このため、動的消炎現象が起きる強さのレーザを固体推進薬に照射するので、固体推進薬を燃焼して発生した火炎が一時的に固体推進薬の表面から離れる。このため、固体推進薬の表面では、急激に温度が下がりかつ圧力が減少して、固体推進薬が消火される。
【0133】
また、動的消炎現象が起きる強さのレーザを固体推進薬に照射して、固体推進薬に噴射手段が水を噴射するので、固体推進薬の表面から一時的に離れた火炎に向かって水が噴射される。このため、前述した火炎の温度が急激に下がり、この火炎が固体推進薬を再着火することを防止できる。
【0134】
したがって、レーザの強度を制御することにより、固体推進薬の燃焼制御(推力の増減など)を行うことができる。また、燃焼室内の圧力の変動則ち推力の変動が減少するようにレーザの強度を制御するので、固体推進薬を安定的に燃焼させることができる。さらに、固体推進薬の消火を行うことができる。したがって、固体推進薬の点火・燃焼及び消火を複数回行うことができ、取り扱いが容易で複数回噴射できる固体燃料ロケットを得ることができる。
【0135】
請求項4に記載の発明によれば、固体推進薬にレーザを照射することにより推力を発生するようになっており、固体推進薬がレーザの照射を止めると燃焼を停止する非自燃性となっている。このため、レーザの照射を制御することにより、固体推進薬の点火・燃焼及び消火を複数回行うことができる。したがって、取り扱いが容易で複数回噴射できる固体燃料ロケットを得ることができる。また、レーザの強度を制御することにより、固体推進薬の燃焼制御(推力の増減など)を行うことができる。
【0136】
請求項5に記載の本発明によれば、燃焼室内の圧力を測定する測定手段を備え、この測定手段が測定した燃焼室内の圧力に応じてレーザの強度を制御する。燃焼室内の圧力に応じてレーザの強度を制御するので、所望の燃焼室内の圧力則ち所望の推力を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかる固体燃料ロケットの平面図である。
【図2】図1に示された固体燃料ロケットの矢印II方向からみた側面図である。
【図3】図1中のA−B−C−D−E−F−G−H−I線に沿う断面図である。
【図4】図1に示された固体燃料ロケットの着火部などの構成を示す説明図である。
【図5】図1に示された固体燃料ロケットの燃料部の断面図である。
【図6】図1に示された固体燃料ロケットの気体供給部などの構成を示す説明図である。
【図7】図1に示された固体燃料ロケットの固体推進薬を燃焼したときの圧力の変化を示す説明図である。
【図8】(a)は、図1に示された固体燃料ロケットの固体推進薬を燃焼したときに圧力の変動が発生した状態を示す説明図である。(b)は、図8(a)の時に、変動を減少させるレーザの強度などを説明する説明図である。
【図9】図1に示された固体燃料ロケットの固体推進薬が着火、燃焼、動的消炎現象などを発生するときの条件などを示す説明図である。
【図10】図1に示された固体燃料ロケットで動的消炎現象などが発生した状態を模式的に示す説明図である。
【図11】図1に示された固体燃料ロケットの燃焼室の変形例を示す平面図である。
【図12】図11中のa−b−c−d−e−f−g−h−i線に沿う断面図である。
【図13】図1に示された固体燃料ロケットの燃料部の変形例を示す断面図である。
【図14】図1に示された固体燃料ロケットの燃料部などの他の変形例を示す断面図である。
【図15】図1に示された固体燃料ロケットに取り付けられる2次燃焼室などを示す断面図である。
【図16】本発明の第2の実施形態にかかる固体燃料ロケットの断面図である。
【符号の説明】
1 固体燃料ロケット
2 燃焼室
3 ノズル
9 固体推進薬
21 非自燃性の固体推進薬
22 自燃性の固体推進薬
24 レーザ部(照射手段)
46 圧力センサ(測定手段)
47 制御装置(制御手段)
50 水噴射部(噴射手段)

Claims (5)

  1. 中空の燃焼室と、
    前記燃焼室内に位置付けられた固体推進薬と、
    前記固体推進薬にレーザを照射して前記固体推進薬を燃焼させて燃焼ガスを発生させる照射手段と、
    前記燃焼室の壁面を貫通しかつ前記燃焼室内の燃焼ガスを前記燃焼室外に導くノズルと、を備えた固体燃料ロケットにおいて、
    前記固体推進薬がレーザの照射を停止しても燃焼を継続する自燃性の固体推進薬となっており、
    前記燃焼室内の圧力を測定する測定手段と、
    前記測定手段が測定した燃焼室内の圧力に応じて、前記照射手段を制御する制御手段と、を備え、
    前記制御手段が前記照射手段の照射するレーザの強度を強くしたり弱くして前記燃焼ガスの発生量を増減するとともに、前記測定手段が測定した前記燃焼室内の圧力が変動すると前記圧力の変動が減少するように前記照射手段にレーザの強度を強弱させることを特徴とする固体燃料ロケット。
  2. 中空の燃焼室と、
    前記燃焼室内に位置付けられた固体推進薬と、
    前記固体推進薬にレーザを照射して前記固体推進薬を燃焼させて燃焼ガスを発生させる照射手段と、
    前記燃焼室の壁面を貫通しかつ前記燃焼室内の燃焼ガスを前記燃焼室外に導くノズルと、を備えた固体燃料ロケットにおいて、
    前記固体推進薬がレーザの照射を停止しても燃焼を継続する自燃性の固体推進薬となっており、
    前記固体推進薬に向かって水を噴射する噴射手段と、
    前記照射手段と噴射手段を制御する制御手段と、を備え、
    前記制御手段が前記照射手段の照射するレーザの強度を強くしたり弱くして前記燃焼ガスの発生量を増減するとともに、前記制御手段が前記照射手段に動的消炎現象が起きる強度のレーザを前記固体推進薬に照射させた後、前記噴射手段に水を前記固体推進薬に向かって噴出させることを特徴とする固体燃料ロケット。
  3. 中空の燃焼室と、
    前記燃焼室内に位置付けられた固体推進薬と、
    前記固体推進薬にレーザを照射して前記固体推進薬を燃焼させて燃焼ガスを発生させる照射手段と、
    前記燃焼室の壁面を貫通しかつ前記燃焼室内の燃焼ガスを前記燃焼室外に導くノズルと、を備えた固体燃料ロケットにおいて、
    前記固体推進薬がレーザの照射を停止しても燃焼を継続する自燃性の固体推進薬となっており、
    前記燃焼室内の圧力を測定する測定手段と、
    前記固体推進薬に向かって水を噴射する噴射手段と、
    前記測定手段が測定した燃焼室内の圧力に応じて前記照射手段を制御するとともに、前記噴射手段を制御する制御手段と、を備え、
    前記制御手段が前記照射手段の照射するレーザの強度を強くしたり弱くして前記燃焼ガスの発生量を増減し、前記測定手段が測定した前記燃焼室内の圧力が変動すると前記圧力の変動が減少するように前記照射手段にレーザの強度を強弱させるとともに、前記制御手段が前記照射手段に動的消炎現象が起きる強度のレーザを前記固体推進薬に照射させた後、前記噴射手段に水を前記固体推進薬に向かって噴出させることを特徴とする固体燃料ロケット。
  4. 中空の燃焼室と、
    前記燃焼室内に位置付けられた固体推進薬と、
    前記固体推進薬にレーザを照射して前記固体推進薬を燃焼させて燃焼ガスを発生させる照射手段と、
    前記燃焼室の壁面を貫通しかつ前記燃焼室内の燃焼ガスを前記燃焼室外に導くノズルと、を備えた固体燃料ロケットにおいて、
    前記固体推進薬が前記レーザの照射を止めると燃焼を停止する非自燃性の固体推進薬となっていることを特徴とする固体燃料ロケット。
  5. 前記燃焼室内の圧力を測定する測定手段と、
    前記測定手段が測定した燃焼室内の圧力に応じて、前記照射手段を制御する制御手段と、を備え、
    前記制御手段が前記照射手段の照射するレーザの強度を強くしたり弱くして前記燃焼ガスの発生量を増減するとともに、前記照射手段にレーザの照射を停止させて前記固体推進薬の燃焼を停止することを特徴とする請求項4記載の固体燃料ロケット。
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