JP2004217962A - 多層膜形成方法及び成膜装置 - Google Patents

多層膜形成方法及び成膜装置 Download PDF

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Hideo Minegishi
英夫 峯岸
Masao Murota
正雄 無漏田
Masayasu Yamagata
正靖 山縣
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Abstract

【課題】製品として合格する多層膜を形成するための成膜装置を提供する。
【解決手段】蒸発材料を収容する坩堝40A、電子銃42A、坩堝内の蒸発材料上に電子銃からの電子ビームを導く偏向器、電子ビームで蒸発材料上を走査するための走査器、坩堝からの蒸発粒子が成膜される回転基板33が被排気室31内に設けられている。又、坩堝40Aを、基板33の被成膜面に平行な面に沿って移動させるX,Yステージ44A,43Aが設けられており、基板33を、基板の被成膜面に平行な面に沿って移動させるX,Yステージ37,36が設けられている。
【選択図】 図5

Description

【0001】
【発明の属する分野】
本発明は、多層膜の精密な成膜に適した薄膜形成方法及び成膜装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、多層膜の成膜が注目されている。
【0003】
図1は、多層膜の1つである光通信用のナロウバンドパスフィルタ用3キャビティー多層膜の構造を示したものである。
【0004】
図中1は基板で、その上に、複数組のHL層,第1LL層2A及び複数組のHL層から成る第1キャビティー、複数組のHL層,第2LL層2B及び複数組のHL層から成る第2キャビティー、複数組のHL層,第3LL層2C及び複数組のHL層から成る第3キャビティーが形成されている。Hは高屈折率薄膜(例えば、五酸化タンタル薄膜)、Lは低屈折率薄膜(例えば、二酸化シリコン薄膜)で、HL層はHとLが一組重なった交互層、LL層はLとLが重なったスペーサー層である。
【0005】
さて、この様なナロウバンドパスフィルタ用多層膜は、限定された波長域の波長の光線のみ透過し、該波長域以外の波長を反射することにより、目的の波長を有す光線を分離するのに使用される。
【0006】
この際、透過波長域の光線は、何れのLL層に対しても透過率が、例えば、95%〜100%になる波長を有するものであり、各LL層に対する透過率のピークが等しい波長域の光線である。
【0007】
この様な透過波長域の光線だけが正確に透過するには、第1LL層2Aの物理的膜厚に対して、第2LL層2B及び第3LL層2Cの各光学的膜厚の誤差が、透過波長域の光線の中心波長の±0.01%以内に収まっている必要がある。
【0008】
今、仮に、透過波長域の光線の中心波長を1540nmとした場合、前記第1LL層2A、第2LL層2B及び第3LL層2Cの物理的膜厚は、各LL層の光学的膜圧が中心波長(1540nm)の1/2であることから、約4000Åとなる。
【0009】
従って、第1LL層2Aの膜厚(物理的膜厚で、4000Å)に対して、第2LL層2B及び第3LL層2Cの各光学的膜厚の誤差が、透過波長域の光線の中心波長(1540nm)の±0.01%以内、即ち、±0.15Åに収まっている必要がある。
【0010】
この様な光通信用のナロウバンドパスフィルタ用多層膜を作成する場合、イオンプレーティング装置等の薄膜形成装置が使用されている(例えば、特許文献1参照)。
【0011】
図2は、イオンプレーティング装置の1概略例を示したものである。
【0012】
図中11は被排気室で、その上部の中央部には、ホルダー12にホールドされた基板13が配置されている。
【0013】
14は排気手段である。15A,15Bは蒸発させるべき材料が収容された坩堝で、前記基板13の下方に配置される。
【0014】
16は電子銃で、前記各坩堝に収容された蒸発材料を蒸発させるための電子ビームを発生する。17は電子銃電源である。
【0015】
18は前記電子銃16からの電子ビームの進路を偏向電源19からの偏向信号に従って制御するための偏向器である。
【0016】
20は前記基板13と前記坩堝15A,15B間に配置された高周波コイルで、室外からの高周波電源21からの高周波電力が印加されている。
【0017】
22はガス供給手段である。
この様な構成の装置において、例えば、予め、坩堝15Aに低屈折率物質を、坩堝15Bに高屈折率物質を収容させておく。
【0018】
先ず、被排気室内を排気手段14により高真空状態(例えば、1×10−4Torr)にしてから、ガス供給手段22からアルゴンガスを室内に供給し、室内の圧力を少し上げる(例えば、1×10−2Torr)。
【0019】
そして、高周波電源21から高周波コイル20に高周波電力を印加し、室内をプラズマ雰囲気にする。
【0020】
そして、電子銃16から電子ビームを発生させ、その電子ビームの進路を偏向器19により坩堝15B収容された蒸発材料(高屈折率物質)に向けてやる。そうすると、高屈折率物質の蒸発粒子はプラズマ雰囲気中でイオン化し、基板13の表面に付着する。
【0021】
次に、電子ビームの進路を偏向器19により坩堝15Aに収容された蒸発材料(低屈折率物質)に向けてやる。そうすると、低屈折率物質の蒸発粒子はプラズマ雰囲気中でイオン化し、基板13の表面に付着する。
【0022】
この際、坩堝15A,15Bの直ぐ上には、坩堝の最上面の広さ分の大きさの孔を有し、坩堝15Aと15Bの真ん中に回転可能に成した遮蔽板が配置されており、予め決められたタイミングに従って、高屈折率物質を成膜する時には坩堝15B上に孔が来るように、低屈折率物質を成膜する時には坩堝15A上に孔が来るように回転するように成っている。
【0023】
この様にして高屈折率物質と低屈折率物質の成膜を交互に所定の回数繰り返し、基板13の上に複数組のHL層を成膜する。尚、各H層及びL層の膜厚は、2000Åである。
【0024】
次に、前記複数組のHL層の上に低屈折率物質を4000Åの厚さに付け(第1LL層の成膜)、次に、第1LL層2Aの上に複数組のHL層を成膜する。
【0025】
次に、前記複数組のHL層の上に更に複数組のHL層を形成し、該複数組のHL層の上に第2LL層2Bを成膜し、該第2LL層2Bの上に複数組のHL層を成膜する。この様にして、第3LL層2Cも成膜し、該第3LL層2Cの上に複数組のHL層を成形して、図1に示す如き多層膜を形成する。
【0026】
尚、図2に示す様に、高周波コイル20を用いて被排気室内をプラズマ雰囲気にするのではなく、別に設けたプラズマ発生装置により、成膜を行う真空容器内の坩堝と基板の間にプラズマを形成し、坩堝からの蒸発粒子をイオン化して基板に付着させるようにしても良い(例えば、特許文献2参照)。
【0027】
【特許文献1】
特開昭60−5875号公報(第331頁右欄〜第332頁左上欄、第1図)
【特許文献2】
特開2002−25793号公報(第(3頁)左欄、図1)
【0028】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の装置では、実際上、第1LL層2Aの膜厚(物理的膜厚で、4000Å)に対して、第2LL層2B及び第3LL層2Cの各光学的膜厚の誤差が、透過波長域の光線の中心波長(1540nm)の±0.01%以内、即ち、±0.15Åに収まらない。
本発明は、この様な問題点を解決する為になされたもので、新規な多層膜形成方法及び成膜装置を提供することを目的とするものである。
【0029】
【課題を解決するための手段】本発明の多層膜形成方法は、基板を回転させながら蒸発粒子を基板上に成膜するようにした多層膜形成方法において、特定の二層の間の成膜については異なった膜厚傾斜度の成膜が行われるようにしたことを特徴とする。
【0030】
本発明の成膜装置は、蒸発材料を収容するための坩堝、該坩堝内の蒸発材料を蒸発させるための加熱手段、及び空間を介して坩堝からの蒸発粒子が成膜される回転基板を備えたチャンバーを有する成膜装置において、坩堝を、基板の被成膜面に平行な面に沿って移動させる手段を設けたことを特徴とする。
【0031】
本発明の成膜装置は、蒸発材料を収容するための坩堝、該坩堝内の蒸発材料を蒸発させるための加熱手段、及び空間を介して坩堝からの蒸発粒子が成膜される回転基板を備えたチャンバーを有する成膜装置において、基板を、基板の被成膜面に平行な面に沿って移動させる手段を設けたことを特徴とする。
【0032】
本発明の成膜装置は、蒸発材料を収容するための坩堝、該坩堝内の蒸発材料を蒸発させるための加熱手段、及び空間を介して坩堝からの蒸発粒子が成膜される回転基板を備えたチャンバーを有する成膜装置において、坩堝を、基板の被成膜面に平行な面に沿って移動させる手段と、基板を、基板の被成膜面に平行な面に沿って移動させる手段を設けたことを特徴とする。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0034】
さて、本発明の実施の形態について説明する前に、本発明の原理について説明する。
【0035】
第1LL層と、該第1LL層の後工程で成膜される第2LL層(若しくは第3LL層)との間の成膜関係(即ち、第1LL層の膜厚に対する第2LL層若しくは第3LL層の膜厚誤差)に注目すると、従来の薄膜形成装置で、第1LL層を基板上に成膜した後工程で第2LL層を成膜すると、図3に示す様な成膜が行われると考えられる。尚、基板上の膜質を平均化するために基板を、例えば、1000rpmで回転させながら、基板下方の坩堝内に収容された蒸発材料を電子ビームで蒸発させ、その蒸発粒子を基板に蒸着する場合、基板の中心に近い内周部と中心から遠いい外周部とで膜厚が異なる、いわゆる膜厚傾斜が発生する。この膜厚傾斜には、基板の回転中心と蒸発粒子の飛散中心との距離や、蒸発粒子の飛散方向に対する基板表面の角度などにより、内周部が外周部より厚くなるタイプと、外周部が内周部より厚くなるタイプがあるが、ここでは、内周部が外周部より厚くなるイプの成膜で説明する。
【0036】
今、基板中心から基板上におけるで距離をRとした場合、R=30mmで膜厚4000Å(目標膜厚)の成膜が行われる条件を設定して第1LL層の成膜を行った時、実際には、図3の成膜特性線Pに示す様に、R=30mmで4003Åで成膜されたとする。この時、R=50mmでの膜圧(外周膜厚:3997Å)とR=10mmでの膜圧(内周膜厚:4009Å)の差を膜厚傾斜度δとすると、この場合のδは、−12Å(∵3997Å−4009Å=−12Å)となる。
【0037】
その後、R=30mmで膜厚4003Å(新たな目標膜厚)の成膜が行われる条件(即ち、膜厚傾斜度−12Åの成膜が行われる条件)を設定して第2LL層の成膜を行った時、実際には、成膜特性線Pに対し、それぞれ、+β,−βの較差を有する成膜特性線Qm,若しくはQnに示す成膜が行われる。この較差±βは、新たな目標膜厚に対し、実際に成膜された膜厚が±4Åの誤差範囲に凡そ95%の確率で収まると考えられる性質のもので、この様な誤差(±β)を有する成膜は、前記した許容誤差(±0.15Å)にある成膜特性線Pm,Pnの範囲に収まる確率が凡そ5%と極めて成膜精度の低い成膜となる。
【0038】
そこで、図4の成膜特性線Tに示す様に、膜厚傾斜度が、−12Åと異なる、例えば、−24Åの成膜が行われる条件で成膜を行えば、実際の成膜は、Tm,Tnに示す様に、Tに対し誤差±βを有する成膜が行われ、図4に示す様に、成膜特性線Pm,Pnと交叉する点が出来る。図4では、Rが10mmと30mmの間と、30mmと50mmとの間に出来ている。TnとPmが交叉する点とTnとPnが交叉する点の範囲Ra〜Rb(即ち、Rab)と、TmとPmが交叉する点とTmとPnが交叉する点の範囲Rc〜Rd(即ち、Rcd)の膜厚誤差は、許容誤差(±0.15Å)に入る。従って、基板中心からRaとRbの間の領域及び基板中心からRcとRdの間の領域に形成された多層膜は合格製品と成る。尚、合格する基板内領域は、RabかRcdの何れか1つであり、他の基板内領域は不合格となる。
【0039】
図5は本発明の薄膜形成装置の一例を示している。
【0040】
図中31は被排気室で、その上部の中央部には、ホルダー32にホールドされた基板33が配置されている。
【0041】
このホルダー32の中心には回転軸34が取り付けられており、この回転軸はモーターの如き回転機35の軸に繋がっている。
【0042】
この回転機はYステージ36、Xステージ37を介して被排気室31の上壁に取り付けられている。
【0043】
Xステージ37、Yステージ36は、それぞれ、回転機35及び回転軸34を介してホルダー32を水平面に沿って、X,Y方向に移動させるものである。
【0044】
38は、中央部に前記回転軸34を回転可能に通す孔が開けられた仕切り板である。
【0045】
39は被排気室内を排気するための真空ポンプである。
【0046】
40Aは蒸発させるべき材料が収容された坩堝で、Zステージ41A,電子銃42A,Yステージ43A,Xステージ44Aを介して被排気室31の底壁に取り付けられている。同様に、40Bは蒸発させるべき材料が収容された坩堝で、Zステージ41B,電子銃42B,Yステージ43B,Xステージ44Bを介して被排気室31の底壁に取り付けられている。
【0047】
Zステージ41A,41Bは、坩堝40A,40Bを、それぞれ、高さ方向(Z軸方向)に移動させるもの、Yステージ43A,43Bは、坩堝40A,40Bを水平面(高さ方向に垂直な面)に沿ってY軸方向に移動させるもの、Xステージ44A,44Bは、坩堝40A,40Bを、それぞれ、水平面(高さ方向に垂直な面)に沿ってX軸方向に移動させるものである。
【0048】
電子銃42A,42Bは、それぞれ、フィラメント,グリッド,アノードを有し、前記坩堝40A,40B各々の両側には、永久磁石(図示せず)を挟んで磁極板(図示せず)が平行に配置されており、各アノードと坩堝40A,40B各々の間には走査用偏向コイル(図示せず)が配置されている。そして、電子銃42A,42Bの各フィラメントから発生された電子ビームは、アノードによって加速され、磁極板が作る磁場により270°曲げられ、それぞれ、坩堝40A,40B内に収容された蒸発材料に照射される。この際、各電子銃からの電子ビームは、走査用偏向コイルが作る二次元方向走査用磁場により蒸発材料上を二次元的に走査する様に構成されている(電子銃からの電子ビームにより坩堝内の蒸発材料が二次元的に走査される構造は、例えば、特開2001−020062号公報の図2及びその説明を参照)。
【0049】
45は、坩堝40A,40Bと基板33との間の空間にプラズマを形成するためのプラズマ発生装置(例えば、特開2002−25793号公報の図2及びその説明を参照)で、坩堝40A,40Bと基板33との間の空間中に電子ビームを放出するものである。この空間中に引き出された電子ビームが、反応ガスボンベ46からバルブ47を介して導入された反応ガス(例えば、酸素ガス)や蒸発物質の粒子と衝突して、坩堝40A,40Bと基板33との間の空間中にプラズマが発生する。
【0050】
48はシールド円板で、図6に示す様に、円板48Aを中心にして、ドーナッツ板48B,48C,48Dが、この順序で同心状に、それぞれが一定間隔を開けて支持棒49によって支持されている。
【0051】
支持棒49はシールド円板回転機50の回転軸51に垂直に繋がっており、回転軸51の回転に従って、該回転軸を中心にして、上下方向に回転する。この回転範囲は、坩堝40A,40Bから見てシールド円板48が基板33を完全に覆う位置から、完全に開放する位置の範囲である。
【0052】
尚、52はシールド円板回転機駆動回路、53はXステージ駆動回路、54はYステージ駆動回路、55は回転機駆動回路、56,57は電子銃電源、58、62はXステージ駆動回路、59,63はYステージ駆動回路、60,64はZステージ駆動回路、61,65は走査信号発生回路、66はプラズマ発生装置駆動機構で、これらの駆動回路、電源、及び駆動機構は、中央制御機構(CPU)67の指令に基づいて作動する。
【0053】
この様な構成の装置により、基板33上に、膜厚傾斜度が、例えば、−12Åの第1LL層を作成した後の工程で、膜厚傾斜度が、例えば、−24Åの第2LL層(若しくは第3LL層)を作成する場合について説明する。
【0054】
尚、坩堝40Aに低屈折率物質が、坩堝40Bに高屈折率物質が収容されているとする。又、シールド板48は完全に開放する位置に駆動されている。
【0055】
予め、実験により、基板の回転中心と蒸発粒子の飛散中心との距離をD,D,D,D,D,……………と種々変え、その都度、基板上の基板中心からの各距離r,r,r,r,r,……………における膜厚を測定し、各D,D,D,D,D,……………における膜厚傾斜度を算出してリスト化しておく。
【0056】
先ず、基板33上に、膜厚傾斜度が−12Åの第1LL層を作成する場合には、前記実験により求められているリストから、基板33の回転中心と蒸発粒子の飛散中心の距離が、膜厚傾斜度が−12Åに対応する距離D12に成るように、Xステージ駆動回路62,Yステージ駆動回路63により、Xステージ44A,Yステージ43Aをそれぞれ移動させることにより、坩堝40Aを移動させる。
【0057】
この状態において、被排気室31内を真空ポンプ39により所定の圧力になるまで排気する。そして、電子銃42Aからの電子ビームを坩堝40Aに収容された低屈折率物質に導き、低屈折率物質を蒸発させる。又、バルブ47を開いて、反応ガスボンベ46から反応ガス(例えば、酸素ガス)を被排気室31内に導入する。この時同時に、プラズマ発生装置45内で発生させたプラズマ中の電子を被排気室31内に引き出す。前記プラズマ発生装置45から引き出された電子ビームは、前記被排気室31内に導入された反応ガスや蒸発粒子と衝突し、それらを励起、イオン化させて被排気室内31内にプラズマを形成する。該プラズマ中のイオン化された蒸発粒子と反応ガスは、基板33に引き寄せられて付着或いはイオン衝撃を行い、該基板上には第1LL層の成膜が成される。
【0058】
この後、基板33上に第1キャビティーのHL層と第2キャビティーのHL層が形成され、その後、膜厚傾斜度が−24Åの第2LL層を作成する。
【0059】
この第2LL層を作成する場合には、前記実験により求められているリストから、基板33の回転中心と蒸発粒子の飛散中心の距離が、膜厚傾斜度が−24Åに対応する距離D24に成るように、Xステージ駆動回路62,Yステージ駆動回路63により、Xステージ44A,Yステージ43Aをそれぞれ移動させ、第1LL層の成膜の時と同様にして第2LL層の成膜が行われる。
【0060】
前記例では、坩堝を移動させることにより、所望の膜厚傾斜度の成膜が形成される基板33の回転中心と蒸発粒子の飛散中心の距離を設定するように成したが、その代わりに、Xステージ駆動回路53,Yステージ駆動回路54により、Xステージ37,Yステージ36をそれぞれ移動させて、基板33を移動する様にしても良い。
【0061】
或いは、走査信号発生回路65からの走査信号の周波数を調整することにより、電子銃42Aから発生され坩堝40Aに収容された低屈折率物質上を走査する電子ビームの走査状態を変えるようにしても良い。即ち、蒸発材料上の電子ビームの走査密度を上げると蒸発量は多くなり、下げると少なくなるので、走査信号の周波数をコントロールすることにより、任意の膜厚傾斜度の成膜が行える。そこで、予め、走査信号発生回路65から走査用偏向コイル(図示せず)に、種々の周波数の走査信号を与え、その都度、膜厚傾斜度を測定して、走査信号の周波数と膜厚傾斜度のリストを作成しておき、該リストに基づいて、第1LL層の成膜時には−12Åの膜厚傾斜度の成膜が行える周波数にし、第2LL層或いは第3LL層の成膜時には−24Åの膜厚傾斜度の成膜が行える周波数をコントロールしても良い。
【0062】
前記各例は、基板内に合格領域を1箇所作成する例であったが、次に、複数箇所の合格領域を作成する例を説明する。
【0063】
膜厚傾斜度−12Åとなるように基板33上に第1LL層を作成した後工程において、膜厚傾斜度−12Åを新たな成膜条件に設定し、シールド円板48を開放した状態で第2LL層若しくは第3LL層の成膜を行った時には、前記図3で説明したように、成膜特性線Qm,若しくはQnに示す成膜が行われ、合格する領域が0となってしまう。
【0064】
そこで、シールド円板回転駆動回路52からの指令により、シールド円板回転機50を作動させ、シールド円板48を基板33に平行な状態にする。
【0065】
この状態で成膜を行うと、シールド円板48の孔の空いた箇所に対向する基板表面部には相対的に厚く膜が付き、円板及びドーナッツ板に対向した基板表面部には相対的に薄く膜が付く。尚、基板表面の膜の厚さは、孔の中心部に対向する箇所が最も厚く、孔の中心部から外れるに従ってその厚さが減り、円板及びドーナッツ板の中心部に対向する箇所が最も薄く、ドーナッツ板の中心部ら外れるに従ってその厚さが増える。その結果、理想的(誤差がなければ)には、図7のU(実際には、膜厚誤差±βがあるので、Um,Un)に示す波状の成膜特性線で表される成膜が行われる。
【0066】
この波状成膜特性線は成膜特性線Pm若しくはPnに2箇所以上(C,C,C,C,C,………或いは、D,D,D,D,D,………)で交叉する。
【0067】
従って、基板中心から少なくとも2箇所の領域で作成された多層膜は合格製品と成る。
【0068】
尚、図4に示す成膜特性線TmとPm及びPnの交叉、若しくはTnとPm及びPnの交叉から明らかなように、成膜特性線Tm若しくはTnの傾斜角度をPに近づけることが出来れば、即ち、膜厚誤差|β|を4Åより小さくできれば、合格領域の面積を大きくすることが出来る。その為に、次の様な工夫が行われる。
【0069】
工夫1.
坩堝を深くし、蒸発材料の収容量を多くすることにより、蒸発材料の温度を安定化し、沸騰し難くし、蒸発の安定化を図れる。又、蒸発材料の蒸発により溶融している蒸発材料の上面の高さが低くなると、蒸発材料の上面における電子ビームの強度が変化する。そこで、蒸発材料の上面の高さの変化に応じて坩堝をZステージにより上方に移動させ、蒸発材料の上面における電子ビームの強度が変化しないようにする。この様に、蒸発の安定化を図り、蒸発材料の上面における電子ビームの強度が変化が小さくすると、膜厚誤差が小さい。
【0070】
工夫2.
図8に示す様に、例えば、タングステン線を渦巻き状に巻いて、見かけ上、円板状に形成したフィラメントF,グリッドG及び引出電極Hからなる電子銃において、引出電極Hとして、中心に電子ビーム通過孔Haを有する対称管形状のものを使用し、フィラメントFの直径と引出電極Hの孔の直径を大略4:5(例えば、12mmと15mm)にし、フィラメントFから引出電極Hのフィラメントよりの表面までの距離をフィラメント直径の大略60%〜引出電極の孔の直径の50%とする。この様な構成により、フィラメントFから引き出された電子ビームの広がりが小さくなり、この様な電子ビームが坩堝内の蒸発材料に照射された場合、溶融蒸発材料の液面の変動が少ない。この様に、溶融蒸発材料の液面の変動が少ないと、膜厚誤差が小さい。
【0071】
工夫3.
フィラメントFと引出電極Hの距離が小さいほど放電が起きやすいので、図8に示す様に、フィラメントFから引出電極Hのフィラメントよりの表面までの距離をフィラメント直径の大略60%〜引出電極の孔の直径の50%とすると共に、引出電極に電子ビームが当たり引出電極からガスが発生すると放電が起きやすくなるので、引出電極としてガス放出の少ない材料(例えば、インコネルの如きニッケルを多く含むステンレス)で形成する。或いは、引出電極Hの表面を、例えば、窒化合金属でコーティングし、電極表面の荒れを無くし、放電を起き難くする。或いは、引出電極HとグリッドGとの間に印加される引出電圧が大きいと沢山の電子ビームを引き出すことは出来るが放電が起きやすいので、引き出せる電子ビームの量を変えないで引出電圧を小さく出来る形状の引出電極(図8に示す様な、グリッドGに対向する面の内側部Hbが尖っている尖端型引出電極)を使用する。この様に、電子銃において放電発生を抑制することにより、膜厚誤差を小さくすることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】光学通信用のナロウバンドパスフィルタ用3キャビティー用多層膜の構造を示す。
【図2】イオンプレーティング装置の1概略例を示している。
【図3】従来の成膜の説明に用いた成膜特性線の一例を示している。
【図4】本発明の原理の説明に用いた成膜特性線の一例を示している。
【図5】本発明の薄膜形成装置の1概略例を示している。
【図6】図5に示す薄膜形成装置の一部詳細図である。
【図7】基板上に複数箇所の合格製品を作成するための成膜方法の説明に用いた成膜特性線の一例を示している。
【図8】膜厚誤差を小さくするために使用される電子銃の概略例を示している。
【符号の説明】
1…基板
2A…第1LL層
2B…第2LL層
2C…第3LL層
H…高屈折率薄膜
L…低屈折率薄膜
11…被排気室
12…ホルダー
13…基板
14…排気手段
15A,15b…坩堝
16…電子銃
17…電子銃電源
18…偏向器
19…偏向電源
20…高周波コイル
21…高周波電源
22…ガス供給手段
31…被排気室
32…ホルダー
33…基板
34…回転軸
35…回転機
36…Yステージ
37…Xステージ
38…仕切り板
39…真空ポンプ
40A,40B…坩堝
41A,41B…Zステージ
42A,42B…電子銃
43A,43B…Yステージ
44A,44B…Xステージ
45…プラズマ発生装置
46…反応ガスボンベ
47…バルブ
48…シールド円板
48A…円板
48B,48C,48D…ドーナッツ板
49…支持棒
50…シールド円板回転機
51…回転軸
52…シールド円板回転機駆動回路
53…Xステージ駆動回路
54…Yステージ駆動回路
55…回転機駆動回路
56,57…電子銃電源
58,62…Xステージ駆動回路
59,63…Yステージ駆動回路
60,64…Zステージ駆動回路
61,65…走査信号発生回路
66…プラズマ発生装置駆動機構
67…中央制御機構(CPU)
60,64…Zステージ駆動回路
F…フィラメント
G …グリッド
H…引出電極
Ha…孔
Hb…尖端部

Claims (13)

  1. 基板を回転させながら蒸発粒子を基板上に成膜するようにした多層膜形成方法において、特定の二層の間の成膜については異なった膜厚傾斜度の成膜が行われるようにした多層膜形成方法。
  2. 蒸発材料を収容するための坩堝、該坩堝内の蒸発材料を蒸発させるための加熱手段、及び空間を介して坩堝からの蒸発粒子が成膜される回転基板を備えたチャンバーを有する成膜装置において、坩堝を、基板の被成膜面に平行な面に沿って移動させる手段を設けた成膜装置。
  3. 蒸発材料を収容するための坩堝、該坩堝内の蒸発材料を蒸発させるための加熱手段、及び空間を介して坩堝からの蒸発粒子が成膜される回転基板を備えたチャンバーを有する成膜装置において、基板を、基板の被成膜面に平行な面に沿って移動させる手段を設けた成膜装置。
  4. 蒸発材料を収容するための坩堝、該坩堝内の蒸発材料を蒸発させるための加熱手段、及び空間を介して坩堝からの蒸発粒子が成膜される回転基板を備えたチャンバーを有する成膜装置において、坩堝を、基板の被成膜面に平行な面に沿って移動させる手段と、基板を、基板の被成膜面に平行な面に沿って移動させる手段を設けた成膜装置。
  5. 坩堝内の蒸発材料を蒸発させるための加熱手段は、電子銃及び電子銃からの電子ビームを蒸発材料上に導く偏向器、及び、電子ビームで蒸発材料上を走査するための走査器から成り、走査器に供給する走査信号の周波数を調整出来るように成した請求項2,3,4に記載した何れかの成膜装置。
  6. 予め求めておいた回転基板の回転中心と蒸発粒子の飛散中心との距離に対する膜厚傾斜度の関係に基づいて、基板を移動させるように成した請求項2記載の成膜装置。
  7. 予め求めておいた回転基板の回転中心と蒸発粒子の飛散中心との距離に対する膜厚傾斜度の関係に基づいて、坩堝を移動させるように成した請求項3記載の成膜装置。
  8. 予め求めておいた電子ビームの走査周波数に対する膜厚傾斜度の関係に基づいて、走査器に供給する走査信号の周波数を調整するように成した請求項5記載の成膜装置。
  9. 小円板の周りに間隔を開けて、径の異なる複数のドーナッツ板が互いに間隔を開けて同心円状に配置されるように、前記円板及び各ドーナッツ板を支持体に支持させて成るシールド円板を、坩堝と回転基板の空間において、基板に平行に置かれるように回転可能に配設した請求項2,3,4,5に記載した何れかの成膜装置。
  10. 電子銃はフィラメント,グリッド,引出電極を備えており、引出電極は中心に電子ビーム通過孔を有する対称管形状を成し、フィラメントの径と引出電極の孔径を大略4:5に形成し、フィラメントと引出電極間の距離をフィラメント径の大略60%から引出電極の孔径の50%に成した請求項5に記載の成膜装置。
  11. 引出電極をインコネルで形成した請求項10記載の成膜装置。
  12. 引出電極の表面を、窒化合金でコーティングした請求項10記載の成膜装置。
  13. グリッドに対向する引出電極の面の内、電子ビーム通過孔の近傍部分に尖部を形成した請求項10記載の成膜装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR20150015359A (ko) * 2013-07-31 2015-02-10 히다치 조센 가부시키가이샤 전자빔 증착장치

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