JP2004212548A - 回折光学素子及びその作製方法並びに光ピックアップ装置及び光ディスクドライブ装置 - Google Patents

回折光学素子及びその作製方法並びに光ピックアップ装置及び光ディスクドライブ装置 Download PDF

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茂 大内田
Toshiyuki Kawasaki
俊之 川崎
Takeshi Suzudo
剛 鈴土
Koji Mori
孝二 森
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Abstract

【課題】ピッチの異なる格子を有する回折光学素子や、ピッチが異なる複数の格子領域を有する回折光学素子において、ピッチの違いにより生じる回折効率の違いを無くすための手段を提供する。
【解決手段】本発明は、ピッチの異なる格子(格子領域)4a,4bを有する回折光学素子において、格子のピッチΛに対する格子の凸部の幅Aの比率を格子のデューティー(duty=A/Λ)と定義したときに、ピッチの異なる格子(格子領域)4a,4bは、格子のデューティーが異なるようにする。すなわち、本発明の回折光学素子では、ピッチの違う格子(格子領域)4a,4bはデューティーを異ならせることにより回折効率が等しくなるようにする。より具体的には、ピッチの異なる格子は、回折効率が等しくなるように格子のデューティーを設定する。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、回折光学素子及びその作製方法、並びにその回折光学素子を用いた光ピックアップ装置、及びその光ピックアップ装置を搭載した光ディスクドライブ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、回折光学素子を用いた光ピックアップ装置が種々提案されている。
例えば、特許文献1には、図17に示すような構成のホログラムを用いた光ピックアップが開示されている。この光ピックアップは、所定の光を発光する半導体レーザチップ116を有しており、この半導体レーザチップ116から出射された光は、ホログラム素子の裏面に形成されたトラッキングビーム生成用回折格子115により、トラッキング用の2つの副ビームと情報信号読み出し用の1つの主ビームの3つに分離される。この3つのビーム光は、ホログラム素子の上面に設けられたホログラム114を0次光として透過し、コリメートレンズ113により平行光に変換された後、対物レンズ112によって記録媒体であるディスク111上に集光される。ディスク111上に集光された光は、ディスク111上に形成されたピットによる変調を受けた後に反射され、ディスク111から反射された反射光は、対物レンズ112、コリメートレンズ113を順次透過した後、ホログラム114によって回折され、1次回折光として5分割フォトダイオード117上に導かれる。
【0003】
図17に示すような構成の光ピックアップ装置において、ホログラム114は複数の領域に分割されている。この複数の領域間で格子周期が異なると、ホログラムの加工時にエッチングレートの違いから溝深さ、格子角度に違いが生じる。
その違いからホログラムの領域間で回折効率の違いを生じ、トラッキング信号にオフセットが生じてしまう。そこで特許文献1記載の発明では、ホログラムは複数の領域間で格子周期が異ならないようにして、領域間の分割線を対称軸とするように互いに対称に形成することを特徴としている。この構成により加工時に生じる溝深さ、格子角度の違いが低減され、回折効率の違いを抑制することができる。特にトラッキング信号におけるバランス特性を向上させることができる。
【0004】
また、別の例として特許文献2には、図18に示すような構成の回折素子を用いた光ピックアップ装置が開示されている。この光ピックアップ装置では、半導体レーザ201からの出射光は回折素子202により回折され、そのうち0次回折光が偏光ビームスプリッタ203、コリメートレンズ204、対物レンズ205を介して記録媒体206上に集光される。記録媒体206からの戻り光は対物レンズ205、コリメートレンズ204を通過し、偏光ビームスプリッタ203に入射する。そして偏光成分に応じて、一方は図示しない直角に反射されて、情報信号検出光学系に導かれる。他方、透過した戻り光は回折素子202にて回折され、その1次光が受光素子207に導かれる。
【0005】
図18に示すような構成の光ピックアップ装置において、回折素子は複数の領域に分割されている。この場合、図19(a)に示すグラフ(回折素子の格子ピッチの分布を計算したグラフ)のように、回折素子に格子周期(ピッチ)の大きい所と格子周期の小さい所があると、エッチング時に格子周期の大きい所は溝が深く、格子周期の小さい所は溝が浅く加工されてしまう。その溝深さの違いから回折素子の回折効率に違いを生じ、トラッキング信号にオフセットが生じてしまう。そこで特許文献2に記載の発明では、図19(b)に示すグラフ(回折素子の格子ピッチの分布を計算したグラフ)のように、回折素子の受光素子から最も遠い領域と、最も近い領域の格子のピッチが略等しくなるようにして、回折効率に差が出ないようにしている。これによりトラッキング信号におけるバランス特性を向上させることができる。
【0006】
ところで、書換え型の光ピックアップ装置の高速化のためには光利用効率の高い素子を用いることが有効な手段である。一例としては、偏光方向により回折効率が異なる偏光分離素子を使えば光利用効率を高くすることができる。この偏光分離素子を実現するため、本出願人は先に、図20に示すような構成の偏光分離素子を提案している(特許文献3参照)。この偏光分離素子は、透明基板302上に入射光の異なる偏光面に対し屈折率が異なる複屈折膜303が周期的凹凸格子として装荷され、さらにその上に等方性オーバーコート層304が被覆あるいは装荷されている構成であり、前記複屈折膜303が高分子複屈折膜(例えば延伸された有機高分子膜)からなることを特徴としている。特に、延伸された有機高分子膜(以下、有機延伸膜と言う)は、LiNbOのような結晶材料に比べて大面積化が容易なので低コスト化しやすいという特徴を持っている。また、屈折率も1.6前後なので、屈折率が同程度の透明性の高い等方性接着剤が入手しやすく、素子作製が容易であるといったメリットも持っている。
【0007】
【特許文献1】
特開2002−288856号公報
【特許文献2】
特開平11−265515号公報
【特許文献3】
特開2000−75130号公報
【非特許文献1】
J.Appl.Phys.,vol.72,No.3,P.938(1992)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、回折光学素子の回折効率を高効率かつ均等にするための発明である。ここで回折効率とは、凹凸形状の格子を形成する光学材料の複屈折率と、格子の溝の深さを掛けたものである(回折効率=複屈折率×格子の溝深さ)。
図12にBK7ガラス上に凹凸形状の格子を形成した時の格子の溝深さと回折効率の関係を示す。格子のピッチが1.6〜2.0μmと異なる場合において、溝深さを変えていくと、深さが0.6〜0.65μm近辺で回折効率は40%程度となり最大になる。しかしながら、格子のピッチごとに最大回折効率は異なっている。1.6μmでは39%、2.0μmでは41%と、最大回折効率は格子のピッチにより僅かに異なる。格子の溝深さが0.4μm以下と浅い場合は、ピッチによる回折効率の違いはほとんどないが、格子の溝深さが0.5μm以上と深い場合はピッチによる回折効率の違いが表れてくる。
【0009】
次に図13に液晶を用いて偏光回折格子を形成した時の格子の溝深さと回折効率の関係を示す。液晶の複屈折率をΔn=0.2とし、格子のピッチが1.6〜2.0μmと異なる場合において、溝深さを変えていくと、深さが1.8μm近辺で回折効率は43〜46%となり最大になる。しかしながら、ここでも格子のピッチごとに最大回折効率は異なっている。ピッチ1.6μmでは46%、2.0μmでは43%と、最大回折効率はピッチにより異なる。格子の溝深さが1.2μm以下と浅い場合は、ピッチによる回折効率の違いはほとんどないが、格子の溝深さがそれより深くなるとピッチによる回折効率の違いが表れてくる。
【0010】
次に図14に有機延伸膜を用いて偏光回折格子を形成した時の格子の溝深さと回折効率の関係を示す。有機延伸膜の複屈折率をΔn=0.1とし、格子のピッチが1.6〜2.0μmと異なる場合において、溝深さを変えていくと、深さが3.7μm近辺で回折効率は38〜45%となり最大になる。ここでも格子のピッチごとに最大回折効率は異なっている。ピッチ1.6μmでは回折効率38%、2.0μmでは回折効率45%である。有機延伸膜に格子を形成した場合、BK7ガラスに格子を形成した場合や、液晶を使った偏光回折格子の例に比べて、最大回折効率のピッチによる違いはかなり大きい。これは有機延伸膜の複屈折率が小さいためであると考えられる。このように、格子の溝深さが浅い場合は、ピッチによる回折効率の違いはほとんどないが、格子の溝深さが深くなるとピッチの違いによる回折効率の違いが顕著になる点が複屈折率が小さい回折格子の特徴である。
【0011】
一般にホログラム等の回折光学素子を用いた光ピックアップ装置では、回折光学素子は複数の領域に分割されており、領域ごとに格子のピッチが異なっている。しかしながら各領域での回折効率は同じでないと信号出力がアンバランスになってしまい正確な信号検出ができなくなる。特に有機延伸膜のように複屈折率が小さい偏光性の回折格子では、溝深さを同じに加工してもピッチの違いにより回折効率が違うので、これを等しくする必要がある。
【0012】
上記のように、回折光学素子の各領域での回折効率が同じでないと信号出力がアンバランスになってしまい正確な信号検出ができなくなるという問題があるが、これを補正する方法とし、信号検出系のゲインを変えて回折効率の違いを補正する方式がある。その原理を図15に示す。
図15において、回折光学素子のホログラム4の2つの格子領域4a,4bの回折効率が違うと、受光素子の2つの受光部8a,8bに入射する回折光の光量が異なる(ここでは説明上、受光部8aに多くの光量が入るとする)。ホログラム4の2つの格子領域4a,4bからの回折光がそれぞれ受光素子8の受光部8a,8bに入射すると、領域4aからの回折光を受光する受光部8aでは起電流Iaが発生し、領域4bからの回折光を受光する受光部8bでは起電流Ibが発生するが、受光部8aに多くの光量が入るので、Ia>Ibとなり、信号出力がアンバランスになってしまい正確な信号検出ができなくなる。そこで、信号検出系の増幅器50a,50bのゲイン抵抗Ra,Rbを、Ra<Rbとしておけば、出力電圧VaとVbを等しくでき(Va=Vb)、差動増幅器51から出力される差信号はVa−Vb=0になる。したがって、この差信号からトラック信号を検出することができる。
【0013】
図15に示したように、ホログラム4の2つの格子領域4a,4bからの回折光がそれぞれ受光素子8の2つの受光部8a,8bに入射すると、領域4aからの回折光を受光する受光部8aでは起電流Iaが発生し、領域4bからの回折光を受光する受光部8bでは起電流Ibが発生するが、信号成分とは別に受光素子自体にノイズ成分がある。その状態を図16に示す。
前述したように信号検出系の増幅器50a,50bのゲイン抵抗Ra,Rbを、Ra<Rbとした場合、出力電圧Vbは信号成分が大きく増幅されると同時にノイズ成分も大きく増幅される。また、出力電圧Vaは小さく増幅されるのでノイズ成分も小さくしか増幅されない。したがって、差動増幅器51で差信号を取ると、信号分は相殺されるが、ノイズ成分は残ってしまう。したがって、本来0になるべき信号が0にならないのでオフセットとなる。
以上のことより、ホログラム4の2つの格子領域4a,4bの回折効率の違いを信号検出系のゲインで補正する方法は、ノイズが残るので正確な信号検出ができないという問題がある。
【0014】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、ピッチの異なる格子を有する回折光学素子や、ピッチが異なる複数の格子領域を有する回折光学素子において、ピッチの違いにより生じる回折効率の違いを無くすための手段を提供することを目的とする。また、単に回折効率を等しくするだけではなく、より高い回折効率になるようにした上で回折効率を等しくする手段を提供することを目的とする。さらに本発明では、格子ごと、または複数の格子領域ごとの回折効率が等しく、高回折効率の回折光学素子を用いて信号のオフセットを小さくし、信頼性を向上した光ピックアップ装置を提供すること、その光ピックアップ装置を使うことにより安定した信号検出が可能な光ディスクドライブ装置を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための手段として、請求項1に係る発明は、ピッチ(格子周期)の異なる格子を有する回折光学素子において、格子のピッチに対する格子の凸部の幅の比率を格子のデューティー(duty)と定義したときに、前記ピッチの異なる格子は、格子のデューティーが異なることを特徴とする。すなわち、請求項1記載の回折光学素子では、ピッチの違う格子はデューティーを異ならせることにより回折効率が等しくなるようにする。
より具体的には、請求項4に係る発明のように、前記ピッチの異なる格子は、回折効率が等しくなるように格子のデューティーを設定する。
【0016】
請求項2に係る発明は、請求項1記載の回折光学素子において、前記ピッチの異なる格子のうち、ピッチの小さい格子のデューティーは、格子を形成する材料の複屈折率に応じてピッチの大きい格子のデューティーよりも小さいことを特徴とする。すなわち、請求項2記載の回折光学素子では、格子を形成する材料の複屈折率に応じて、ピッチの小さい格子のデューティーは小さくし、ピッチの大きい格子のデューティーは大きくすることにより、高い回折効率を保った上で回折効率が等しくなるようにする。
【0017】
請求項3に係る発明は、請求項1記載の回折光学素子において、前記ピッチの異なる格子のうち、ピッチの小さい格子のデューティーは、格子を形成する材料の複屈折率に応じてピッチの大きい格子のデューティーよりも大きいことを特徴とする。すなわち、請求項3記載の回折光学素子は、格子を形成する材料の複屈折率に応じて、ピッチの小さい格子のデューティーは大きくし、ピッチの大きい格子のデューティーは小さくすることにより、高い回折効率を保った上で回折効率が等しくなるようにする。
【0018】
請求項5に係る発明は、ピッチ(格子周期)が異なる複数の格子領域を有する回折光学素子において、格子のピッチに対する格子の凸部の幅の比率を格子のデューティー(duty)と定義したときに、前記格子領域ごとに、格子のデューティーが異なることを特徴とする。すなわち、請求項5記載の回折光学素子は、領域分割された格子領域ごとにデューティーを異ならせることにより回折効率が等しくなるようにする。
より具体的には、請求項8に係る発明のように、前記複数の格子領域の回折効率が等しくなるように、格子領域ごとの格子のデューティーを設定する。
【0019】
請求項6に係る発明は、請求項5記載の回折光学素子において、ピッチの異なる複数の格子領域のうち、ピッチの最も小さい格子領域のデューティーは、格子を形成する材料の複屈折率に応じて他の格子領域の格子のデューティーよりも小さいことを特徴とする。すなわち、請求項6記載の回折光学素子では、格子を形成する材料の複屈折率に応じて、ピッチの小さい格子領域の格子のデューティーは小さくし、ピッチの大きい格子領域の格子のデューティーは大きくすることにより、各領域とも高い回折効率を保った上で領域間の回折効率が等しくなるようにする。
【0020】
請求項7に係る発明は、請求項5記載の回折光学素子において、ピッチの異なる複数の格子領域のうち、ピッチの最も小さい格子領域のデューティーは、格子を形成する材料の複屈折率に応じて他の格子領域の格子のデューティーよりも大きいことを特徴とする。すなわち、請求項7記載の回折光学素子は、格子を形成する材料の複屈折率に応じて、ピッチの小さい格子領域の格子のデューティーは大きくし、ピッチの大きい格子領域の格子のデューティーは小さくすることにより、各領域とも高い回折効率を保った上で領域間の回折効率が等しくなるようにする。
【0021】
請求項9に係る発明は、請求項1〜4のいずれか一つに記載の回折光学素子において、複屈折性を有する光学的異方性材料に、ピッチの異なる凹凸形状の格子を設け、少なくとも格子の凹部に等方性物質を充填したことを特徴とする。すなわち、請求項9記載の回折光学素子は、光学的異方性材料に凹凸形状を設け、少なくともその凹部に等方性物質を充填したものであり、格子のピッチとデューティーの関係は請求項1〜4のいずれかに記載したようにすることにより、高効率化、低コスト化と同時に回折効率の均一化を図るものである。
【0022】
請求項10に係る発明は、請求項5〜8のいずれか一つに記載の回折光学素子において、複屈折性を有する光学的異方性材料に、凹凸形状の格子からなるピッチの異なる複数の格子領域を設け、少なくとも格子の凹部に等方性物質を充填したことを特徴とする。すなわち、請求項10記載の回折光学素子は、光学的異方性材料に凹凸形状を設け、少なくともその凹部に等方性物質を充填したものであり、複数の格子領域の格子のピッチとデューティーの関係は請求項5〜8のいずれかに記載したようにすることにより、高効率化、低コスト化と同時に回折効率の均一化を図るものである。
【0023】
請求項11に係る発明は、請求項9または10記載の回折光学素子において、光学的異方性材料は有機延伸膜であることを特徴とする。有機延伸膜の屈折率は1.6近傍(λ=660nm)と低屈折率なので、充填物質である等方性物質は屈折率調整しやすく、透明度も高く光利用効率を低下しないようにできる。
【0024】
請求項12に係る発明は、請求項1〜4のいずれか一つに記載の回折光学素子において、光学的等方性材料に、ピッチの異なる凹凸形状の格子を設け、少なくとも格子の凹部に複屈折性を有する光学的異方性材料を充填したことを特徴とする。すなわち、請求項12記載の回折光学素子では、光学的等方性材料に凹凸形状を設け、少なくともその凹部に光学的異方性材料を充填したものであり、格子のピッチとデューティーの関係は請求項1〜4のいずれかに記載したようにすることにより、高効率化、低コスト化と同時に回折効率の均一化を図るものである。
【0025】
請求項13に係る発明は、請求項5〜8のいずれか一つに記載の回折光学素子において、光学的等方性材料に、凹凸形状の格子からなるピッチの異なる複数の格子領域を設け、少なくとも格子の凹部に複屈折性を有する光学的異方性材料を充填したことを特徴とする。すなわち、請求項13記載の回折光学素子では、光学的等方性材料に凹凸形状を設け、少なくともその凹部に光学的異方性材料を充填したものであり、複数の格子領域の格子のピッチとデューティーの関係は請求項5〜8のいずれかに記載したようにすることにより、高効率化、低コスト化と同時に回折効率の均一化を図るものである。
【0026】
請求項14に係る発明は、請求項12または13記載の回折光学素子において、充填される光学的異方性材料は液晶であることを特徴とする。すなわち、請求項14記載の回折光学素子では、請求項12または13記載の回折光学素子において、充填する光学的異方性材料として液晶を用いることにより、低コスト化を実現するものである。
【0027】
請求項15に係る発明は、請求項9記載の回折光学素子を作製する際の作製方法において、ピッチに応じてデューティーが異なるようにした格子パターンを形成したマスクを用いて、複屈折性を有する光学的異方性材料に、エッチングによりピッチに応じてデューティーが異なる凹凸形状の格子を形成した後、少なくとも格子の凹部に等方性物質を充填したことを特徴とする。すなわち、請求項15記載の回折光学素子の作製方法では、請求項9記載の回折光学素子を作製する際に、ピッチに応じてデューティーが異なるようにした格子パターンを形成したマスクを用いて、光学的異方性材料に、エッチングによりピッチに応じてデューティーが異なる凹凸形状の格子を形成するので、マスク作製時に格子のピッチに応じてデューティーを設定するだけで良いため、低コストに回折光学素子を作製することが可能となる。
【0028】
請求項16に係る発明は、請求項10記載の回折光学素子を作製する際の作製方法において、領域ごとに格子のピッチ及びデューティーが異なる複数の格子領域のパターンを形成したマスクを用いて、複屈折性を有する光学的異方性材料に、エッチングにより格子のピッチ及びデューティーが異なる複数の格子領域を形成した後、少なくとも格子の凹部に等方性物質を充填したことを特徴とする。すなわち、請求項16記載の回折光学素子の作製方法では、請求項10記載の回折光学素子を作製する際に、領域ごとに格子のピッチ及びデューティーが異なる複数の格子領域のパターンを形成したマスクを用いて、光学的異方性材料に、エッチングにより格子のピッチ及びデューティーが異なる複数の格子領域を形成するので、マスク作製時に各格子領域のピッチに応じてデューティーを設定するだけで良いため、低コストに回折光学素子を作製することが可能となる。
【0029】
請求項17に係る発明は、請求項12記載の回折光学素子を作製する際の作製方法において、ピッチに応じてデューティーが異なるようにした格子パターンを形成したマスクを用いて、光学的等方性材料に、エッチングによりピッチに応じてデューティーが異なる凹凸形状の格子を形成した後、少なくとも格子の凹部に複屈折性を有する光学的異方性物質を充填したことを特徴とする。すなわち、請求項17記載の回折光学素子の作製方法では、請求項12記載の回折光学素子を作製する際に、ピッチに応じてデューティーが異なるようにした格子パターンを形成したマスクを用いて、光学的等方性材料に、エッチングによりピッチに応じてデューティーが異なる凹凸形状の格子を形成するので、マスク作製時に格子のピッチに応じてデューティーを設定するだけで良いため、低コストに回折光学素子を作製することが可能となる。
【0030】
請求項18に係る発明は、請求項13記載の回折光学素子を作製する際の作製方法において、領域ごとに格子のピッチ及びデューティーが異なる複数の格子領域のパターンを形成したマスクを用いて、光学的等方性材料に、エッチングにより格子のピッチ及びデューティーが異なる複数の格子領域を形成した後、少なくとも格子の凹部に複屈折性を有する光学的異方性物質を充填したことを特徴とする。すなわち、請求項18記載の回折光学素子の作製方法では、請求項13記載の回折光学素子を作製する際に、領域ごとに格子のピッチ及びデューティーが異なる複数の格子領域のパターンを形成したマスクを用いて、光学的等方性材料に、エッチングにより格子のピッチ及びデューティーが異なる複数の格子領域を形成するので、マスク作製時に各格子領域のピッチに応じてデューティーを設定するだけで良いため、低コストに回折光学素子を作製することが可能となる。
【0031】
請求項19に係る発明は、光源からの光を集光レンズで記録媒体に集光して記録または再生を行う光ピックアップ装置において、光路中に回折光学素子を配置して記録媒体からの反射光を回折光学素子により分岐し、光検出器で受光する光学系を備え、前記光路中に配置する回折光学素子が、請求項1〜14のいずれか一つに記載の回折光学素子であることを特徴とする。すなわち、請求項19記載の光ピックアップ装置は、格子ごと又は領域ごとの回折効率バラツキが小さい回折光学素子を使うことにより、信号のバラツキやノイズによるオフセットを小さくして光ピックアップ装置の信頼性の向上を図るものである。
【0032】
請求項20に係る発明は、記録媒体に対して光ピックアップ装置を用いて情報の記録または再生を行う光ディスクドライブ装置において、前記光ピックアップ装置として、請求項19に記載の光ピックアップ装置を搭載したことを特徴とする。すなわち、請求項20記載の光ディスクドライブ装置は、請求項19記載の光ピックアップ装置を使うことにより、信号のバラツキやノイズによるオフセットが小さく、安定した信号検出が可能な光ディスクドライブ装置を実現するものである。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図示の実施例に基づいて詳細に説明する。
【0034】
(実施例1)
図1は本発明の一実施例を示す回折光学素子の構成及び動作の説明図であり、図2は本発明の一実施例を示す光ピックアップ装置の概略構成図である。図1の構成は、図2に示す光ピックアップ装置のホログラム光源ユニット11の部分の構成例を示している。すなわち、図2に示す光ピックアップ装置のホログラム光源ユニット11のケース内には、図1に示す光源1及び受光素子8が配設されており、そのケースの光出・入射用の開口部に回折光学素子(ホログラム素子)7が一体に設置されている。この回折光学素子(ホログラム素子)7は、透明な第1の基板2上に複屈折性を有する光学的異方性材料3を設け、この光学的異方性材料3にエッチング処理などによりピッチ(格子周期)の異なる凹凸形状の回折格子(ホログラム)4を形成し、少なくとも格子の凹部に等方性材料5を充填し、さらにその上に透明な第2の基板6を装荷したものである。図1における第1、第2の基板1,6は石英やBK7のような透明なガラス基板であるが、ガラスでなくてもよく、透明な樹脂でも構わない。また、図2において、符号12はカップリングレンズ、13は立上げミラー、14は1/4波長板、15は対物レンズ、16は記録媒体である光ディスクである。尚、図2の構成は一例であり、この構成に限定されるものではない。
【0035】
図1,2において、ホログラム光源ユニット11内の光源(例えば半導体レーザ)1から出射された直線偏光の光は、回折光学素子(ホログラム素子)7を透過し、カップリングレンズ12で略平行光になり、立上げミラー13で光路を略直角方向に偏向され、1/4波長板14を透過して円偏光となり、対物レンズ15で集光されて光ディスク16の記録面に微小なスポット光として照射される。
そして、光ディスク16の記録面上の信号を読み取った光は、記録面で反射されて往路とは反対回りの円偏光となり、対物レンズ15で略平行光とされ、1/4波長板14を透過して往路とは直交した直線偏光となり、立上げミラー13で光路を偏向され、カップリングレンズ12に戻り、回折光学素子(ホログラム素子)7のホログラム4で回折され、回折された光は受光素子8で受光され信号検出される。
【0036】
次に回折光学素子(ホログラム素子)7のホログラム4について説明する。ホログラム4は複屈折性を有する光学的異方性材料(以下、複屈折性材料と言う)3の表面に凹凸形状の周期的格子が形成されたもので、少なくとも凹部に等方性材料5が充填されている偏光ホログラムである。このホログラム4は、例えば図3(a)に示すように2つの格子領域4a,4bに分割されており、領域4aと4bでは格子ピッチ(格子周期)が異なっている。そのため領域4aと領域4bからの回折光の回折角は異なり、それぞれ受光素子8の2つの受光部8aと8bで受光される。ここで領域4aの方が回折角度が小さいので、格子のピッチは大きい。ここでは領域4aの格子のピッチを仮に2.0μmとする。領域4bの方は回折角度が大きいので格子のピッチは小さい。ここでは領域4bの格子のピッチを仮に1.6μmとする。
【0037】
このようにホログラム4の格子のピッチが異なる場合、前述の課題のところで図12〜図14を参照して述べたように、格子のピッチが異なる部分では最大回折効率が異なる。光ピックアップ装置で高速再生をするためには、ホログラム4による回折効率を大きくして受光素子8に入る光量を大きくしなければならないが、回折効率を大きくすると格子のピッチの異なるホログラム領域4a,4bでは得られる最大効率が異なるので、受光素子8の受光部8a,8bに入る光量が異なってしまい、信号出力がアンバランスになって正確な信号検出ができなくなる。
【0038】
そこで本発明では、図3(b)に示すように、格子のピッチΛに対する格子の凸部の幅Aの比率を格子のデューティー(duty=A/Λ)と定義したときに、ピッチの異なる格子は、格子のデューティーが異なるようにする。すなわち、ピッチの違う格子はデューティーを異ならせることにより回折効率が等しくなるようにする。より具体的には、ピッチの異なる格子は、回折効率が等しくなるように格子のデューティーを設定する。
ここで図3の2分割されたホログラム4の例では、ピッチの異なる格子のうち、ピッチの小さい格子のデューティーは、格子を形成する材料の複屈折率に応じてピッチの大きい格子のデューティーよりも小さい構成としている。すなわち、複屈折性材料の複屈折率を0.1と想定して、領域4a(ピッチ2.0μm)の格子のデューティーを大きくし、領域4b(ピッチ1.6μm)の格子のデューティーを小さくしている。
【0039】
複屈折性材料の複屈折率が0.1の時のデューティー(duty)と+1次回折効率の関係を図4に示す。ここで、ホログラム4の領域4b(ピッチ1.6μm)の格子のdutyを0.4とすると回折効率は38%となる。また、領域4a(ピッチ2.0μm)の格子のdutyも0.4とすると回折効率は45%となり、領域4aと領域4bで回折効率が異なってしまうが、領域4a(ピッチ2.0μm)の格子のdutyを0.5と大きく設定すれば回折効率は約38%となり、領域4b(ピッチ1.6μm)の回折効率とほぼ等しくなる。このように格子のデューティー(duty)の違いが回折効率に影響することを利用して、ピッチの小さい格子のデューティー(duty)を小さくして高い回折効率を得るようにし、ピッチの大きい格子のデューティー(duty)を大きくしてピッチの小さい格子の回折効率に一致させれば、異なるピッチにおいても回折効率を等しくすることができる。これにより受光素子8の受光部8a,8bに入る光量を等しくでき、信号出力がアンバランスにならずに正確な信号検出ができるようになる。
【0040】
尚、図3では領域4aと領域4bは、どちらも等間隔なピッチのように書いたが、実際の設計では領域4aのなかでもピッチが大きい部分と小さい部分とが混在する場合が考えられる。例えばホログラム4にレンズ作用を持たせる場合、すなわちビームサイズ法でフォーカス検出する場合などは、領域4aや領域4bの同じ領域のなかでも格子のピッチが大きい部分と小さい部分とが混在することになる。図5はその一例を示すものであり、(a)に示すホログラム4の領域4aの格子が、(b)に示すように上部と下部でピッチが異なっている例である。このような場合でも、複屈折性材料の複屈折率が0.1の場合には、ピッチの小さい格子のデューティーを小さくして、ピッチの大きい格子のデューティーを大きくすれば回折効率は一致させることができ、領域内で均一な回折効率を得ることができる。
【0041】
(実施例2)
上述の実施例1ではホログラム4を形成する複屈折性材料の複屈折率が0.1の場合を想定したが、複屈折率が0.2の場合は特性が異なる。図6に複屈折性材料の複屈折率が0.2の時のデューティー(duty)と+1次回折効率の関係を示す。
図6に示すように複屈折率が0.2の場合は格子ピッチが小さい方が高い回折効率を示す。例えばduty=0.4の場合、格子のピッチが1.6μmでは最大回折効率は46%であるが、ピッチが2.0μmでは最大回折効率は43%である。このように複屈折性材料の複屈折率が0.2の場合には、ピッチの異なる格子のうち、ピッチの小さい格子のデューティーは、ピッチの大きい格子のデューティーよりも大きくする。例えばピッチが2.0μmの格子のdutyは0.4のままで、ピッチが1.6μmの格子のdutyを0.45と設定する。
このようにすると、ピッチが1.6μmの格子の回折効率は43%となり、ピッチが2.0μmで、duty=0.4の格子と同じ回折効率になる。このように格子を形成する材料の複屈折率により特性が異なる場合でも、デューティー(duty)を最適化して回折効率を均一化することができる。
【0042】
(実施例3)
以上の実施例1,2に説明したような、ピッチに応じてデューティーが異なるようにしたホログラム4を有する回折光学素子の作製方法としては、ピッチに応じてデューティーが異なるようにした格子パターンを形成したマスクを用いて、複屈折性材料に、エッチングによりピッチに応じてデューティーが異なる凹凸形状の格子を形成した後、少なくとも格子の凹部に等方性物質を充填して作製する方法がある。
【0043】
ここでは一例として、図1に示す構成の回折光学素子7を作製する場合について説明する。まず透明な第1の基板2上に接着等により複屈折材料(例えば後述する有機延伸膜)3を接着した後、複屈折材料3の上に感光性樹脂(フォトレジスト)をスピンコートする。そして、ピッチに応じてデューティーが異なるようにした格子パターンを形成した露光用マスクを用い、フォトレジストに、露光用マスクの格子パターンを露光する。露光後、フォトレジストを現像し、フォトレジストによる格子パターンを形成する。次にピッチに応じてデューティーが異なるようにした格子パターンを形成したフォトレジストをエッチング用のマスクとして、ドライエッチング等により複屈折性材料3をエッチングした後、溶剤あるいはガスによるアッシングでフォトレジストマスクを除去して基板2上に複屈折材料3の周期的凹凸格子からなる回折格子(ホログラム)4を形成する。このようにして形成されたホログラム4は、マスクの格子パターンが転写され、ピッチに応じてデューティーが異なるようにした凹凸形状の格子を有している。このホログラム4の上に等方性材料(例えば光学的等方性の樹脂)をスピンコート等により被覆し、少なくとも格子の凹部に樹脂を充填し、さらにその上に第2の基板6を載せ、紫外線(UV)または熱を印加して樹脂を固化し、等方性材料層5と第2の基板6を固定する。以上のようにして、図3に示したようなピッチに応じてデューティーが異なるようにした凹凸形状のホログラム4を有する回折光学素子7を作製することができる。
【0044】
(実施例4)
実施例1,2では、格子のピッチに応じてデューティー(duty)を変えることにより回折効率を均一にすることを提案したが、ここでは格子領域に応じてデューティーを変えることを提案する。前述の図5では、同一の領域内でも格子のピッチが違うので、格子のピッチに応じてデューティーを変えることを説明したが、ナイフエッジ法でフォーカス検出するような場合は、同一の領域内であればピッチもほぼ同じである。そのような場合は図7(a),(b)に示すように、格子領域ごとに、格子のデューティーが異なるようにする。より具体的には、ホログラム素子4の2つの格子領域4a,4bの回折効率が等しくなるように、格子領域ごとの格子のデューティーを設定するとよい。この場合、格子のピッチごとにデューティーを変えるのではなく、領域ごとに格子のデューティーを変えるので、デューティーの変化は少なくて済む。これにより、回折光学素子を作製する際に用いるマスク(露光用マスク、エッチングマスク)を作るときのデータ量を少なくできるので、マスク作製時間を短縮でき、マスク作製コストも低減することができる。
【0045】
このような構成の回折光学素子の場合にも、格子を形成する材料の複屈折率に応じて、ピッチの異なる複数の格子領域のうち、ピッチの最も小さい格子領域のデューティーは、他の格子領域の格子のデューティーよりも小さくする。すなわち、前述したように複屈折性材料の複屈折が0.1の場合には、ピッチの小さい格子領域の格子のデューティーは小さくし、ピッチの大きい格子領域の格子のデューティーは大きくすることにより、各領域とも高い回折効率を保った上で領域間の回折効率が等しくなるようにすることができる。
また、上記とは逆に、格子を形成する材料の複屈折率に応じて、ピッチの異なる複数の格子領域のうち、ピッチの最も小さい格子領域のデューティーは、他の格子領域の格子のデューティーよりも大きくする。すなわち、前述したように複屈折性材料の複屈折が0.2の場合には、ピッチの小さい格子領域の格子のデューティーは大きくし、ピッチの大きい格子領域の格子のデューティーは小さくすることにより、各領域とも高い回折効率を保った上で領域間の回折効率が等しくなるようにすることができる。
【0046】
(実施例5)
以上の実施例4に説明したような、格子領域ごとに格子のデューティーが異なるようにしたホログラム4を有する回折光学素子の作製方法としては、領域ごとに格子のピッチ及びデューティーが異なる複数の格子領域のパターンを形成したマスクを用いて、複屈折性材料に、エッチングにより格子のピッチ及びデューティーが異なる複数の格子領域を形成した後、少なくとも格子の凹部に等方性物質を充填して作製する方法がある。
【0047】
すなわち、前述の実施例3で述べた作製方法において、領域ごとに格子のピッチ及びデューティーが異なる複数の格子領域のパターンを形成した露光用マスクを用い、その格子領域のパターンをフォトレジストに転写してエッチングマスクを作製し、このエッチングマスクを用いて複屈折性材料3にエッチングを施せば、複屈折性材料3に、格子領域ごとに格子のデューティーが異なるようにしたホログラム4を形成することができる。そして、このホログラム4の上に光学的等方性材料(例えば光学的等方性の樹脂)をスピンコート等により被覆し、少なくとも格子の凹部に樹脂を充填し、さらにその上に第2の基板6を載せ、紫外線(UV)または熱を印加して樹脂を固化し、等方性材料層5と第2の基板6を固定することにより、図7に示したような、格子領域4a,4bに応じて格子のデューティーが異なるようにしたホログラム4を有する回折光学素子7を作製することができる。
【0048】
(実施例6)
次に実施例1,2または3に示した構成の回折光学素子において、図9に示すように、回折光学素子1は複屈折性材料3の表面に凹凸形状を有する偏光回折素子であることについて説明する。図1でも示したように、第1の基板1、第2の基板6は石英やBK7のような透明なガラス基板である。また、ガラス以外に、透明な樹脂でも構わない。ホログラム4は複屈折性材料3の表面に凹凸形状が施されたもので、少なくとも凹部に等方性材料5が充填されている偏光ホログラムである。複屈折性材料3の屈折率と等方性材料5の屈折率差と溝深さにより回折効率が決まるが、屈折率差によりピッチの違いによる最大回折効率が異なってくる(図12〜図14)。屈折率差により特性が違うので、それに合わせて最適な格子のデューティー(duty)を決めていく必要がある。
【0049】
例えば図13のように、複屈折性材料3が液晶であり複屈折率が大きい場合は、格子のピッチの違いによる最大回折効率の違いは小さい。したがって回折効率を均一にするためのデューティーの違いも小さくて良い。逆に図14のように、複屈折性材料3が有機延伸膜であり、複屈折率が小さい場合は、格子のピッチの違いによる最大回折効率の違いは大きい。したがって回折効率を均一にするために格子のデューティーの違いは大きくした方が良い。このように複屈折性材料3の複屈折率が幾つであっても、格子のデューティーを変えることにより回折効率を均一にすることができる。したがってデューティーによる回折効率の均一化は、多用な複屈折材料に適用できる有効な手段と言える。
【0050】
(実施例7)
次に本発明の回折光学素子に用いられる複屈折性材料3の例について説明する。複屈折性材料3としては有機の高分子配向膜がある。作製方法の1例として、ガラスなどの透明基板上にSiOなどを斜め蒸着したり、あるいはポリエチレンテレフタレート(PET)などの有機膜を布でこすってラビング処理した配向膜上に、ポリジアセチレンモノマーを真空蒸着して配向させ、このあと紫外線を照射してポリマー化して光学的異方性膜(複屈折膜)を作る方法がある(非特許文献1参照)。この方法により、有機材料の複屈折膜を安価に生産することができる。
【0051】
また、複屈折膜を得る別の加工法として、スピンコートなどにより作製したポリイミドやポリカーボネート等の高分子フィルムを延伸により分子鎖を一軸方向に配向させ、面内複屈折を発生させる方法があり、このようにして作製された複屈折膜を有機延伸膜と言う。この有機延伸膜では、延伸の時の温度や加える力により複屈折Δnを変えることができ、安価で量産可能な方法である。尚、有機延伸膜に用いられる有機高分子材料としては、ポリイミドやポリカーボネートの他に、ポリビニルアルコール、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォンなどを用いることができる。
【0052】
こうして得られた複屈折膜(高分子配向膜、有機延伸膜)に、前述の実施例3や実施例5で述べた作製方法のように、マスクを用いたエッチング等により凹凸形状の格子や格子領域を形成し、その表面を等方性の屈折率の材料5で埋めて平坦化することにより、低コストで高効率な偏光ホログラムを形成することができる。
【0053】
(実施例8)
以上の実施例1〜7では、基板上に複屈折性材料(複屈折膜)3を形成し、その複屈折性材料に凹凸形状の格子や格子領域からなるホログラム4を形成した構成の回折光学素子について述べたが、ここでは、光学的等方性材料に、ピッチの異なる凹凸形状の格子や、凹凸形状の格子からなるピッチの異なる複数の格子領域を設け、少なくとも格子の凹部に複屈折性を有する光学的異方性材料を充填した構成の回折光学素子について説明する。尚、格子のピッチとデューティーの関係や、複数の格子領域とデューティーの関係等は、実施例1,2または4と同様である。
【0054】
本実施例では、図9に示すように、回折光学素子7’は等方性材料9の表面に凹凸形状を有する偏光回折素子である。第1の基板1、第2の基板6は石英やBK7のような透明なガラス基板であるが、ガラス以外にも透明な樹脂でも構わない。尚、等方性材料9は第1の基板2と共通でもよい。
ホログラム4は、等方性材料9の表面に、マスクを用いたエッチング等により凹凸形状の格子や格子領域を形成したものであり、少なくとも凹部に光学的異方性材料(複屈折性材料)10が充填されている偏光ホログラムである。複屈折性材料10の複屈折率と溝深さにより回折効率が決まるが、複屈折率に応じてピッチの違いによる最大回折効率が異なってくる(図12〜図14)。すなわち、屈折率差により特性が違うので、それに合わせて最適なデューティーを決めていく必要がある。
【0055】
例えば図13のように、複屈折性材料10が液晶であり複屈折率が大きい場合は、ピッチの違いによる最大回折効率の違いは小さい。したがって回折効率を均一にするためのデューティーの違いも小さくて良い。逆に図14のように、複屈折性材料10が有機高分子であり複屈折率が小さい場合は、ピッチの違いによる最大回折効率の違いは大きい。したがって回折効率を均一にするためにデューティーの違いは大きくした方が良い。このように複屈折性材料10の複屈折率が幾つであっても、デューティーを変えることにより回折効率を均一にすることができる。したがってデューティーによる回折効率の均一化は、光学的等方性材料に凹凸を設け、少なくとも格子の凹部に複屈折性を有する光学的異方性材料を充填した構成の回折光学素子にも適用できる有効な手段と言える。
【0056】
図9に示すような構成の回折光学素子に用いられる複屈折性材料10としては液晶が好適である。すなわち、等方性材料9の表面に凹凸形状の格子や複数の格子領域を設けた場合には、格子の凹部に液晶を充填することになる。液晶の複屈折率は、配合によりある程度任意に変えることができる。等方性材料9の凹凸加工において溝深さを浅くしたい場合は液晶の複屈折率を大きくし、深い溝加工が可能であれば液晶の複屈折率を小さくすれば良い。また、体積ホログラムを作りたい場合は、液晶の複屈折率を小さくして深い溝加工にすれば良い。このように多用なホログラムを作ることに対応できる液晶は、作るものにより複屈折率も多用に変わることが予想される。複屈折率に合わせて格子ピッチや領域のデューティーを可変にすることにより、均一かつ高い回折効率を得ることができる。図14からわかるように、デューティーを固定すると格子のピッチの違いによらず均一な回折効率が得られるのは溝深さを2.5μmとした場合の回折効率30%までである。それより深い溝では回折効率が均一にならない。しかし、デューティーを変えることにより、実施例1で述べたように回折効率は約38%得られ、約3割の効率アップが図れることになる。
【0057】
(実施例9)
以上の実施例8に説明したような回折光学素子の作製方法としては、ピッチまたは領域に応じてデューティーが異なるようにした格子パターンを形成したマスクを用いて、等方性材料9に、エッチングにより、ピッチまたは領域に応じてデューティーが異なる凹凸形状の格子を形成した後、少なくとも格子の凹部に複屈折性材料を充填して作製する方法がある。
【0058】
ここでは一例として、図9に示す構成の回折光学素子7’を作製する場合について説明する。まず透明な第1の基板2上に塗布や接着等により等方性材料9を形成するが、この等方性材料は第1の基板2と共通でもよい。次に等方性材料9の上に感光性樹脂(フォトレジスト)をスピンコートする。そして、ピッチまたは格子領域に応じてデューティーが異なるようにした格子パターンを形成した露光用マスクを用い、フォトレジストに露光用マスクの格子パターンを露光する。
露光後、フォトレジストを現像し、フォトレジストによる格子パターンを形成する。次にピッチまたは格子領域に応じてデューティーが異なるようにした格子パターンを形成したフォトレジストをエッチング用のマスクとして、ドライエッチング等により等方性材料9をエッチングした後、溶剤あるいはガスによるアッシングでフォトレジストマスクを除去して基板2上に等方性材料9の周期的凹凸格子からなる回折格子(ホログラム)4を形成する。このようにして形成されたホログラム4は、マスクの格子パターンが転写され、ピッチまたは格子領域に応じてデューティーが異なるようにした凹凸形状の格子を有している。このホログラム4を形成した基板の周囲をシール材で囲み、さらにその上に第2の基板6を装荷し、等方性材料9と第2の基板6との間に複屈折性材料(例えば液晶)を封入し、ホログラム4の少なくとも凹部に複屈折性材料(例えば液晶)を充填する。
以上のようにして、ピッチまたは領域に応じてデューティーが異なるようにした凹凸形状のホログラム4を有する回折光学素子7’を作製することができる。
【0059】
(実施例10)
本発明に係る光ピックアップ装置は、図2に示したように、ホログラム光源ユニット11、カップリングレンズ12、立上げミラー13、1/4波長板14、対物レンズ15などで構成されており、ホログラム光源ユニット11のケース内には、図1に示す光源1及び受光素子8が配設されており、そのケースの光出・入射用の開口部に回折光学素子(ホログラム素子)7が一体に設置されている。回折光学素子(ホログラム素子)としては、実施例1〜9で説明した回折光学素子(偏光ホログラム素子)が用いられており、以下のような利点がある。
(1)格子または領域ごとの回折効率が均一なので、信号出力にアンバランスが無く正確なトラッキング信号検出ができる。
(2)回折効率が均一で、かつ回折効率自体も高いので、高速記録や再生に対応できる。
(3)回折効率をデューティーにより均一化するので、露光用やエッチング用のマスクの作製時に各ピッチまたは領域のデューティーを変えるだけで良いため、低コストにホログラム素子を作製でき、光ピックアップ装置の低コスト化を図ることができる。
(4)格子のピッチによらず回折効率を均一にできるので、ホログラム光源ユニット11内の受光素子8の配置が容易になり、設計の自由度が増す。
【0060】
(実施例11)
実施例10に示した光ピックアップ装置は、回折効率が高く、均一な回折効率のホログラムを用いるので、光利用効率が高く、信頼性の高い信号が得られる。また、回折効率が高いと信号検出系の光集積回路(OPIC)のゲインを小さくでき、OPICの高速応答化に貢献できる。したがって、この光ピックアップ装置を光ディスクドライブ装置に搭載することによって、記録・再生速度の高速化を達成することができる。
また、本発明に係る光ピックアップ装置は、偏光分離に偏光ホログラム素子7を用い、光源1と受光素子8を配設した光源ユニット11と一体化しているので、光ピックアップ装置の小型化、薄型化が可能であり、図10に示すようなノート型パーソナルコンピュータに搭載される光ディスクドライブ装置の光ピックアップ装置として好適に用いることができる。
【0061】
次に光ディスクドライブ装置の構成例を図11に示す。図11は光ディスクドライブ装置の概略構成の一例を示すブロック図である。この光ディスクドライブ装置20は、情報記録媒体としての光ディスク16を回転駆動するためのスピンドルモータ22、光ピックアップ装置23、レーザコントロール回路24、エンコーダ25、モータドライバ27、再生信号処理回路28、サーボコントローラ33、バッファRAM34、バッファマネージャ37、インターフェース38、リード・オンリー・メモリ(ROM)39、中央演算処理装置(CPU)40、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)41などを備えている。尚、図11における矢印は、代表的な信号や情報の流れを示すものであり、各ブロックの接続関係の全てを表わすものではない。また、光ディスク16としては、CD(コンパクト・ディスク)系の光ディスク(CD,CD−R,CD−RW)や、DVD(デジタル・バーサタイル・ディスク)系の光ディスク(DVD,DVD−R,DVD−RW)等があり、光ピックアップ装置23内に波長の異なる光源を複数備えることにより、互換性を持たせることができる。
【0062】
光ピックアップ装置23は、光ディスク16のスパイラル状または同心円状のトラックが形成された記録面にレーザ光を照射すると共に、記録面からの反射光を受光し、情報の記録または再生を行うための装置であり、例えば実施例1で説明した図2のような構成となっている。
再生信号処理回路28は、光ピックアップ装置23の出力信号である電流信号を電圧信号に変換し、該電圧信号に基づいてウォブル信号、再生情報を含むRF信号及びサーボ信号(フォーカスエラー信号、トラックエラー信号)などを検出する。そして、再生信号処理回路28では、ウォブル信号からアドレス情報及び同期信号等を抽出する。ここで抽出されたアドレス情報はCPU40に出力され、同期信号はエンコーダ25に出力される。さらに、再生信号処理回路28では、RF信号に対して誤り訂正処理等を行なった後、バッファマネージャ37を介してバッファRAM34に格納する。また、サーボ信号は再生信号処理回路28からサーボコントローラ33に出力される。サーボコントローラ33では、サーボ信号に基づいて光ピックアップ装置23を制御する制御信号を生成し、モータドライバ27に出力する。
【0063】
前記バッファマネージャ37では、バッファRAM34へのデータの入出力を管理し、蓄積されたデータ量が所定の値になると、CPU40に通知する。前記モータドライバ27では、サーボコントローラ33からの制御信号及びCPU40の指示に基づいて、光ピックアップ装置23及びスピンドルモータ22を制御する。前記エンコーダ25では、CPU40の指示に基づいて、バッファRAM34に蓄積されているデータをバッファマネージャ37を介して取り出し、エラー訂正コードの付加などを行い、光ディスク16への書き込みデータを作成するとともに、再生信号処理回路28からの同期信号に同期して、書き込みデータをレーザコントロール回路24に出力する。前記レーザコントロール回路24では、エンコーダ25からの書き込みデータに基づいて、光ピックアップ装置23からのレーザ光出力を制御する。
【0064】
前記インターフェース38は、ホスト(例えば、パーソナルコンピュータ)との双方向の通信インターフェースであり、ATAPI(AT Attachment Packet Interface)及びSCSI(Small Computer System Interface)等の標準インターフェースに準拠している。
前記ROM39には、CPU40にて解読可能なコードで記述された制御用のプログラム等が格納されている。CPU40は、ROM39に格納されている前記プログラムに従って上記各部の動作を制御するとともに、制御に必要なデータ等を一時的にRAM41に保持する。
【0065】
以上、光ディスクドライブ装置の一構成例を説明したが、本発明では光ピックアップ装置23として、実施例1〜9で説明した回折光学素子(偏光ホログラム素子)を用いた光ピックアップ装置(例えば図1,2の構成)を搭載しているので、光利用効率が高く、信頼性の高い信号が得られ、かつ記録・再生速度の高速化を達成することができる。
【0066】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1記載の回折光学素子では、ピッチの違う格子はデューティーを異ならせることにより、ピッチが違っていても回折効率が等しくなるようにすることができる。
請求項2記載の回折光学素子では、格子を形成する材料の複屈折率に応じて、ピッチの小さい格子のデューティーは小さくし、ピッチの大きい格子のデューティーは大きくすることにより、ピッチが違っていても高い回折効率を保った上で回折効率が等しくなるようにすることができる。
請求項3記載の回折光学素子では、格子を形成する材料の複屈折率に応じて、ピッチの小さい格子のデューティーは大きくし、ピッチの大きい格子のデューティーは小さくすることにより、ピッチが違っていても高い回折効率を保った上で回折効率が等しくなるようにすることができる。
請求項4記載の回折光学素子では、ピッチの異なる格子は、回折効率が等しくなるように格子のデューティーを設定することにより、ピッチが違っていても高い回折効率を保った上で回折効率が等しくなるようにすることができる。
【0067】
請求項5記載の回折光学素子では、領域分割された格子領域ごとにデューティーを異ならせることにより、ピッチが違う領域間でも回折効率が等しくなるようにすることができる。
請求項6記載の回折光学素子では、格子を形成する材料の複屈折率に応じて、ピッチの小さい格子領域の格子のデューティーは小さくして一定にし、ピッチの大きい格子領域の格子のデューティーは大きくして一定にすることにより、ピッチが違う領域間でも、高い回折効率を保った上で領域間の回折効率が等しくなるようにすることができ、マスクの作製が簡素化される。
請求項7記載の回折光学素子では、格子を形成する材料の複屈折率に応じて、ピッチの小さい格子領域の格子のデューティーは大きくして一定にし、ピッチの大きい格子領域の格子のデューティーは小さくして一定にすることにより、ピッチが違う領域間でも、各領域とも高い回折効率を保った上で領域間の回折効率が等しくなるようにすることができ、マスクの作製が簡素化される。
請求項8記載の回折光学素子では、複数の格子領域の回折効率が等しくなるように、格子領域ごとの格子のデューティーを設定するので、ピッチが違う領域間でも、各領域とも高い回折効率を保った上で領域間の回折効率が等しくなるようにすることができ、マスクの作製が簡素化される。
【0068】
請求項9記載の回折光学素子では、光学的異方性材料に凹凸形状を設け、少なくともその凹部に等方性物質を充填したものであり、格子のピッチとデューティーの関係は請求項1〜4のいずれかに記載したようにすることにより、高効率化、低コスト化と同時に回折効率の均一化を図ることができる。また、光学的異方性材料に直接凹凸加工を施せるので微小ピッチの格子を形成でき、等方性材料が充填物質と接着剤を兼ねることができるので、工程が簡素化できる。
請求項10記載の回折光学素子では、光学的異方性材料に凹凸形状を設け、少なくともその凹部に等方性物質を充填したものであり、複数の格子領域の格子のピッチとデューティーの関係は請求項5〜8のいずれかに記載したようにすることにより、高効率化、低コスト化と同時に回折効率の均一化を図ることができる。また、光学的異方性材料に直接凹凸加工を施せるので微小ピッチの格子を形成でき、等方性材料が充填物質と接着剤を兼ねることができるので、工程が簡素化できる。
請求項11記載の回折光学素子では、請求項9または10記載の回折光学素子において、光学的異方性材料に有機延伸膜を使うので、材料費が安価で、大面積に加工でき、低コスト化を実現できる。また、有機延伸膜の屈折率は1.6近傍(λ=660nm)と低屈折率なので、充填物質である等方性物質は屈折率調整しやすく、透明度も高く光利用効率を低下しないようにできる。
【0069】
請求項12記載の回折光学素子では、光学的等方性材料に凹凸形状を設け、少なくともその凹部に光学的異方性材料を充填したものであり、格子のピッチとデューティーの関係は請求項1〜4のいずれかに記載したようにすることにより、高効率化、低コスト化と同時に回折効率の均一化を図ることができる。また、光学的等方性材料、すなわち加工が容易なガラス材等に直接凹凸加工を施せるので微小ピッチの格子を安定して形成でき、信頼性が高い。
請求項13記載の回折光学素子では、光学的等方性材料に凹凸形状を設け、少なくともその凹部に光学的異方性材料を充填したものであり、複数の格子領域の格子のピッチとデューティーの関係は請求項5〜8のいずれかに記載したようにすることにより、高効率化、低コスト化と同時に回折効率の均一化を図ることができる。また、光学的等方性材料、すなわち加工が容易なガラス材等に直接凹凸加工を施せるので微小ピッチの格子を安定して形成でき、信頼性が高い。
請求項14記載の回折光学素子では、請求項12または13記載の回折光学素子において、充填する光学的異方性材料として液晶を用いることにより、低コスト化を実現することができる。また、充填物質が液晶なので、複屈折率を大きくすることができ、溝加工が浅くても良く、加工時間を短縮でき、量産性が良い。
【0070】
請求項15記載の回折光学素子の作製方法では、請求項9記載の回折光学素子を作製する際に、ピッチに応じてデューティーが異なるようにした格子パターンを形成したマスクを用いて、光学的異方性材料に、エッチングによりピッチに応じてデューティーが異なる凹凸形状の格子を形成するので、マスク作製時に格子のピッチに応じてデューティーを設定するだけで良いため、低コストに回折光学素子を作製することができる。
請求項16記載の回折光学素子の作製方法では、請求項10記載の回折光学素子を作製する際に、領域ごとに格子のピッチ及びデューティーが異なる複数の格子領域のパターンを形成したマスクを用いて、光学的異方性材料に、エッチングにより格子のピッチ及びデューティーが異なる複数の格子領域を形成するので、マスク作製時に各格子領域のピッチに応じてデューティーを設定するだけで良いため、低コストに回折光学素子を作製することができる。
【0071】
請求項17記載の回折光学素子の作製方法では、請求項12記載の回折光学素子を作製する際に、ピッチに応じてデューティーが異なるようにした格子パターンを形成したマスクを用いて、光学的等方性材料に、エッチングによりピッチに応じてデューティーが異なる凹凸形状の格子を形成するので、マスク作製時に格子のピッチに応じてデューティーを設定するだけで良いため、低コストに回折光学素子を作製することができる。
請求項18記載の回折光学素子の作製方法では、請求項13記載の回折光学素子を作製する際に、領域ごとに格子のピッチ及びデューティーが異なる複数の格子領域のパターンを形成したマスクを用いて、光学的等方性材料に、エッチングにより格子のピッチ及びデューティーが異なる複数の格子領域を形成するので、マスク作製時に各格子領域のピッチに応じてデューティーを設定するだけで良いため、低コストに回折光学素子を作製することができる。
【0072】
請求項19記載の光ピックアップ装置では、格子ごと又は領域ごとの回折効率バラツキが小さい回折光学素子を使うことにより、信号出力にアンバランスが無く、正確なトラッキング信号検出ができるうえに高速記録が可能である。また、格子のピッチによらず回折効率を一定にできるので、光ピックアップの設計の自由度が大きくなる。
請求項20記載の光ディスクドライブ装置では、請求項19記載の光ピックアップ装置を搭載することにより、光利用効率が高く、信頼性の高い信号が得られ、かつ記録・再生速度の高速化を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す回折光学素子の構成及び動作の説明図である。
【図2】本発明の一実施例を示す光ピックアップ装置の概略構成図である。
【図3】図1に示す回折光学素子のホログラムの格子ピッチとデューティーの関係の一例を示す図である。
【図4】複屈折性材料の複屈折率が0.1の時のデューティー(duty)と+1次回折効率の関係を示す図である。
【図5】図1に示す回折光学素子のホログラムの格子ピッチとデューティーの関係の別の例を示す図である。
【図6】複屈折性材料の複屈折率が0.2の時のデューティー(duty)と+1次回折効率の関係を示す図である。
【図7】図1に示す回折光学素子のホログラムの格子ピッチとデューティーの関係のさらに別の例を示す図である。
【図8】本発明に係る回折光学素子の構成例を示す概略要部断面図である。
【図9】本発明に係る回折光学素子の別の構成例を示す概略要部断面図である。
【図10】ノート型パーソナルコンピュータとそれに搭載される光ディスクドライブ装置の一例を示す外観斜視図である。
【図11】光ディスクドライブ装置の概略構成の一例を示すブロック図である。
【図12】BK7ガラス上にピッチの異なる凹凸形状の格子を形成した時の、格子の溝深さと回折効率の関係を示す図である。
【図13】液晶を用いてピッチの異なる偏光回折格子を形成した時の、格子の溝深さと回折効率の関係を示す図である。
【図14】有機延伸膜を用いてピッチの異なる偏光回折格子を形成した時の、格子の溝深さと回折効率の関係を示す図である。
【図15】信号検出系のゲインを変えて回折効率の違いを補正する方式の原理を説明するための図である。
【図16】信号検出系のゲインを変えて回折効率の違いを補正する方式の問題点の説明図である。
【図17】従来技術の一例を示す光ピックアップ装置の概略構成図である。
【図18】従来技術の別の例を示す光ピックアップ装置の概略構成図である。
【図19】図18に示す光ピックアップ装置において、回折素子の格子ピッチの分布を計算した結果を示す図であり、(a)は回折素子に格子周期の大きい所と小さい所がある場合の分布を示すグラフ、(b)は回折素子の格子周期が中央で小さく、両端で大きい場合の分布を示すグラフである。
【図20】回折格子を用いた偏光分離素子の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
1:光源(半導体レーザ)
2:第1の基板
3:光学的異方性材料(複屈折性材料)
4:ホログラム(回折格子)
4a,4b:格子領域
5:等方性材料
6:第2の基板
7,7’:回折光学素子(偏光ホログラム素子)
8:受光素子
8a,8b:受光部
9:等方性材料
10:光学的異方性材料(複屈折性材料)
11:ホログラム光源ユニット
12:カップリングレンズ
13:立上げミラー
14:1/4波長板
15:対物レンズ
16:光ディスク(記録媒体)

Claims (20)

  1. ピッチ(格子周期)の異なる格子を有する回折光学素子において、
    格子のピッチに対する格子の凸部の幅の比率を格子のデューティー(duty)と定義したときに、前記ピッチの異なる格子は、格子のデューティーが異なることを特徴とする回折光学素子。
  2. 請求項1記載の回折光学素子において、
    前記ピッチの異なる格子のうち、ピッチの小さい格子のデューティーは、格子を形成する材料の複屈折率に応じてピッチの大きい格子のデューティーよりも小さいことを特徴とする回折光学素子。
  3. 請求項1記載の回折光学素子において、
    前記ピッチの異なる格子のうち、ピッチの小さい格子のデューティーは、格子を形成する材料の複屈折率に応じてピッチの大きい格子のデューティーよりも大きいことを特徴とする回折光学素子。
  4. 請求項1記載の回折光学素子において、
    前記ピッチの異なる格子は、回折効率が等しくなるように格子のデューティーを設定することを特徴とする回折光学素子。
  5. ピッチ(格子周期)が異なる複数の格子領域を有する回折光学素子において、格子のピッチに対する格子の凸部の幅の比率を格子のデューティー(duty)と定義したときに、前記格子領域ごとに、格子のデューティーが異なることを特徴とする回折光学素子。
  6. 請求項5記載の回折光学素子において、
    ピッチの異なる複数の格子領域のうち、ピッチの最も小さい格子領域のデューティーは、格子を形成する材料の複屈折率に応じて他の格子領域の格子のデューティーよりも小さいことを特徴とする回折光学素子。
  7. 請求項5記載の回折光学素子において、
    ピッチの異なる複数の格子領域のうち、ピッチの最も小さい格子領域のデューティーは、格子を形成する材料の複屈折率に応じて他の格子領域の格子のデューティーよりも大きいことを特徴とする回折光学素子。
  8. 請求項5記載の回折光学素子において、
    前記複数の格子領域の回折効率が等しくなるように、格子領域ごとの格子のデューティーを設定することを特徴とする回折光学素子。
  9. 請求項1〜4のいずれか一つに記載の回折光学素子において、
    複屈折性を有する光学的異方性材料に、ピッチの異なる凹凸形状の格子を設け、少なくとも格子の凹部に等方性物質を充填したことを特徴とする回折光学素子。
  10. 請求項5〜8のいずれか一つに記載の回折光学素子において、
    複屈折性を有する光学的異方性材料に、凹凸形状の格子からなるピッチの異なる複数の格子領域を設け、少なくとも格子の凹部に等方性物質を充填したことを特徴とする回折光学素子。
  11. 請求項9または10記載の回折光学素子において、
    光学的異方性材料は有機延伸膜であることを特徴とする回折光学素子。
  12. 請求項1〜4のいずれか一つに記載の回折光学素子において、
    光学的等方性材料に、ピッチの異なる凹凸形状の格子を設け、少なくとも格子の凹部に複屈折性を有する光学的異方性材料を充填したことを特徴とする回折光学素子。
  13. 請求項5〜8のいずれか一つに記載の回折光学素子において、
    光学的等方性材料に、凹凸形状の格子からなるピッチの異なる複数の格子領域を設け、少なくとも格子の凹部に複屈折性を有する光学的異方性材料を充填したことを特徴とする回折光学素子。
  14. 請求項12または13記載の回折光学素子において、
    充填される光学的異方性材料は液晶であることを特徴とする回折光学素子。
  15. 請求項9記載の回折光学素子を作製する際の作製方法において、
    ピッチに応じてデューティーが異なるようにした格子パターンを形成したマスクを用いて、複屈折性を有する光学的異方性材料に、エッチングによりピッチに応じてデューティーが異なる凹凸形状の格子を形成した後、少なくとも格子の凹部に等方性物質を充填したことを特徴とする回折光学素子の作製方法。
  16. 請求項10記載の回折光学素子を作製する際の作製方法において、
    領域ごとに格子のピッチ及びデューティーが異なる複数の格子領域のパターンを形成したマスクを用いて、複屈折性を有する光学的異方性材料に、エッチングにより格子のピッチ及びデューティーが異なる複数の格子領域を形成した後、少なくとも格子の凹部に等方性物質を充填したことを特徴とする回折光学素子の作製方法。
  17. 請求項12記載の回折光学素子を作製する際の作製方法において、
    ピッチに応じてデューティーが異なるようにした格子パターンを形成したマスクを用いて、光学的等方性材料に、エッチングによりピッチに応じてデューティーが異なる凹凸形状の格子を形成した後、少なくとも格子の凹部に複屈折性を有する光学的異方性物質を充填したことを特徴とする回折光学素子の作製方法。
  18. 請求項13記載の回折光学素子を作製する際の作製方法において、
    領域ごとに格子のピッチ及びデューティーが異なる複数の格子領域のパターンを形成したマスクを用いて、光学的等方性材料に、エッチングにより格子のピッチ及びデューティーが異なる複数の格子領域を形成した後、少なくとも格子の凹部に複屈折性を有する光学的異方性物質を充填したことを特徴とする回折光学素子の作製方法。
  19. 光源からの光を集光レンズで記録媒体に集光して記録または再生を行う光ピックアップ装置において、
    光路中に回折光学素子を配置して記録媒体からの反射光を回折光学素子により分岐し、光検出器で受光する光学系を備え、前記光路中に配置する回折光学素子が、請求項1〜14のいずれか一つに記載の回折光学素子であることを特徴とする光ピックアップ装置。
  20. 記録媒体に対して光ピックアップ装置を用いて情報の記録または再生を行う光ディスクドライブ装置において、
    前記光ピックアップ装置として、請求項19に記載の光ピックアップ装置を搭載したことを特徴とする光ディスクドライブ装置。
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