JP2004211235A - シュープレス用ベルト - Google Patents
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Abstract
【課題】物性を低下させることなく、撥水性に優れ、かつ紙粉等の異物が付着し難いシュープレス用ベルトを提供する。
【解決手段】基体の少なくとも片側にゴム状弾性体を設けてなるシュープレス用ベルトにおいて、ベルトの湿紙側層を形成するゴム状弾性体の少なくとも最上層のゴム状弾性体は、NCO基を有するポリウレタンプレポリマー100重量部に対して、OH基及びCOOH基等の活性基を有する超高分子量ポリエチレンパウダー3〜10重量部を、NH2基又はOH基を有する架橋剤とともに混合して化学結合させたポリウレタンエラストマーであることを特徴とする。前記シュープレス用ベルトの最上層のゴム状弾性体は、NBS摩耗抵抗率を1000%以上とすることが好ましい。また、前記シュープレス用ベルトは、最上層のゴム状弾性体の表面における面粗度(Ry)を10以上とすることが好ましい。
【選択図】 図1
【解決手段】基体の少なくとも片側にゴム状弾性体を設けてなるシュープレス用ベルトにおいて、ベルトの湿紙側層を形成するゴム状弾性体の少なくとも最上層のゴム状弾性体は、NCO基を有するポリウレタンプレポリマー100重量部に対して、OH基及びCOOH基等の活性基を有する超高分子量ポリエチレンパウダー3〜10重量部を、NH2基又はOH基を有する架橋剤とともに混合して化学結合させたポリウレタンエラストマーであることを特徴とする。前記シュープレス用ベルトの最上層のゴム状弾性体は、NBS摩耗抵抗率を1000%以上とすることが好ましい。また、前記シュープレス用ベルトは、最上層のゴム状弾性体の表面における面粗度(Ry)を10以上とすることが好ましい。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、物性を低下させることなく、紙粉等の異物が付着し難いシュープレス用ベルトに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、製紙工程において、湿紙水分を脱水するためにシュープレス装置が採用されるようになり、その主な形式は図5、図6に示す構成のものがある。ロール1の下方にシュー2を対向させ、前記ロール1とシュー2との間を通る湿紙3を上下から2枚のエンドレスフェルト4,5で挟持し、下フェルトの走行に従動するシュープレス用ベルト6がシュー2との間に配設されている。
【0003】
前記構成のシュープレス装置を使用するには、シュー2を油圧等により押し上げてロール1に押圧する。シュー2の押圧によって、ロールとの間で広幅の加圧脱水部を作ることになり、広い領域の面圧によって脱水量が向上するようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記ベルト5は、織布又は不織布等の基体の上下面にゴム状弾性体を積層してなる。しかしながら、従来使用されているゴム状弾性体では、表面に紙粉等の異物が付着し易く、堆積した紙粉等の異物がベルトの搾水効果及び湿紙表面性等を損なうおそれがある。
【0005】
また、近年の抄紙機の高速化に伴い、シュー2の押圧力を増大させると、搾水効果が高められるが、ベルトに残存する水分も多くなる。ベルト表面の水分が振り切られずに残存していると、フェルトの水分が飽和状態となり湿紙から充分脱水できないことになる。このようなことは、抄紙機の高速化に進むにつれてより顕著になってきている。
【0006】
また、疎水性を高めるために、ウレタンエラストマー等のゴム状弾性体中にシリコーンオイルを混合することも試みられたが、シリコーンオイルが抽出されて短期間で効果がなくなるという問題があった。
【0007】
この発明は、撥水性、耐摩耗性に優れ、摩擦係数が小さく、また紙粉等の異物がベルト表面に付着し難いシュープレス用ベルトを提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、この発明に係るシュープレス用ベルトは、次のように構成した。即ち、シュープレス用ベルトは、基体の少なくとも片側にゴム状弾性体を設けてなるシュープレス用ベルトにおいて、ベルトの湿紙側層を形成するゴム状弾性体の少なくとも最上層のゴム状弾性体は、NCO基を有するポリウレタンプレポリマー100重量部に対して、OH基及びCOOH基等の活性基を有する超高分子量ポリエチレンパウダー3〜10重量部を、NH2基又はOH基を有する架橋剤とともに混合して化学結合させたポリウレタンエラストマーであることを特徴とする。前記シュープレス用ベルトの最上層のゴム状弾性体は、NBS摩耗抵抗率を1000%以上とすることが好ましい。また、前記シュープレス用ベルトは、最上層のゴム状弾性体の表面における面粗度(Ry)を10〜50とすることが好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】
この発明に係るシュープレス用ベルトは、図1に示すように、基体10の上下両面側、即ち、上面となる湿紙側にゴム状弾性体11を設け、下面となるシュー側にゴム状弾性体12を設けたものであり、前記ゴム状弾性体11,12の内の少なくとも最上層は、OH基及びCOOH基等の活性基を有する超高分子量ポリエチレンパウダーを、NH2基又はOH基を有する架橋剤とともにNCO基を有するポリウレタンプレポリマーに混合して化学結合させたポリウレタンエラストマーからなるゴム状弾性体により形成されている。
【0010】
前記のように、NCO基を有するポリウレタンプレポリマーにOH基及びCOOH基等の活性基を有する超高分子量ポリエチレンパウダーを混合すると、両者が化学結合して物性が低下することがないと共に、撥水性が増大する。また、紙粉等の異物が付着し難くなり、紙粉等の異物がベルト表面に堆積して撥水性の作法が損なうことも抑えられる。
【0011】
前記シュープレス用ベルトは、ゴム状弾性体11,12の最上層を水に対する接触角を90度以上、好ましくは120度以上とすることにより、撥水性が良好になることが経験的に分かっている。前記ポリウレタンエラストマーの表面が、面粗度Ry10よりも小さいと水に対する接触角が90度より小さくなり、水分の振り切り効果が低下する。
【0012】
なお、ゴム状弾性体は、図示する実施形態では、基体10の両面に設けたが、少なくとも上面となる湿紙側のゴム状弾性体11が上記構成とされていれば足りる。
【0013】
【実施例】
次に、この発明の実施例を比較例と共に説明する。
【0014】
実施例1及び比較例1〜2
ゴム状弾性体を構成するポリウレタンエラストマーは、比較例1、比較例2、実施例1ともにユニロイヤル社製のポリウレタンプレポリマー「アジプレンL100」(商品名)を用いた。比較例1は、架橋剤のみを使用した従来品のポリウレタンエラストマーである。比較例2では、三井石油化学(株)製の表面不活性の超高分子量ポリエチレンパウダー「ミペロン221U」(商品名)を「アジプレンL100」(商品名)100重量部に対して3重量部混合した。
【0015】
また、実施例1では、特殊な物理的処理を施して表面を改質してOH基及びCOOH基を有するFLuoro−Seal社製の超高分子量ポリエチレンパウダー「INHANCE UH−1700」(商品名)を「アジプレンL100」(商品名)100重量部に対して3重量部混合した。架橋剤には、比較例1、比較例2及び実施例1とも、芳香族ジアミン系架橋剤であるイハラケミカル(株)製の商品名「キュアミンMT」を用いた。
【0016】
上記構成により得られた比較例1、比較例2及び実施例1のポリウレタンエラストマーについて、各種の比較試験を行った。試験の結果は表1に示すとおりであるが、硬さ試験(タイプ A)はJISK6253に基づき、引張り強さ試験(Mpa)及び伸び(%)はJISK6251に基づき、引き裂き強さ(KN/m)、反発弾性係数(%)はJISK6255に基づき、圧縮永久歪み(%)はJISK6262に基づき行い、NBS摩耗抵抗率(%)はNBS摩耗試験機を使用して行った。摩擦係数は表面性試験機を用いて行った。
【0017】
摩擦係数の試験は、静摩擦係数と動摩擦係数について行った。試験方法は、図2に示す表面性試験機を用いた。移動テーブル21の上に接触物としてコピー紙22を固定し、前記コピー紙22上に試験用ロール23を載置する。試験用ロール23は、外径寸法30mm、長さ寸法12mmのものを用いた。試験用ロール23には、垂直方向に加重(W)24として1000gをかけるとともに、支点25を有するアーム26を取り付ける。アーム26の支点25の反対側には試験用ロール23のコピー紙22上への自重を除くためのバランサー27を取り付けるとともに、アーム26の先端は測定器28を備えたロードセル29に取り付けてなる。
【0018】
上記構成において、バランサー27により試験用ロール23の自重を除きながら、移動テーブル21を1分当たり5メートルの速さで移動させ、ロードセル29により摩擦力(Fグラム)を測定した。測定の解析は、測定された摩擦力をグラフ化して図3に示すように、テーブル移動開始時の摩擦力(Aグラム)と、移動後平行に達した時点の摩擦力(Bグラム)から次の数式1及び数式2により摩擦係数を求めた。
【0019】
【数1】
【0020】
【数2】
【0021】
【表1】
【0022】
表1より、本発明に係るベルトのゴム状弾性体のNBS摩耗抵抗率やベルト寿命が、従来品に比べ飛躍的に向上し摩耗による不都合が解消されることが判る。
【0023】
実施例2〜5
次に、OH基及びCOOH基を有する超高分子量ポリエチレンパウダーとして「INHANCE UH−1700」(商品名)の配合量を変量した場合をそれぞれ実施例2〜実施例5とし、「INHANCE UH−1700」(商品名)を配合しなかった場合を比較例1として、物性比較試験を行った。試験の方法は前記の通りである。試験の結果は表2に示すとおりである。
【0024】
【表2】
【0025】
上記結果から明らかなように、OH基及びCOOH基を有する超高分子量ポリエチレンパウダーの配合量を増量すると、特に圧縮永久歪みが大きくなる。圧縮永久歪みが大きくなると使用中にベルト表面に凹凸が発生する等の不具合現象が生じることから、OH基及びCOOH基を有する超高分子量ポリエチレンパウダーの配合量は10重量部が限界である。従って、OH基及びCOOH基を有する超高分子量ポリエチレンパウダーの配合量はウレタンプレポリマー100重量部に対して3〜10重量部の範囲とする。
【0026】
実施例6〜10及び比較例3〜11
次に、撥水性、即ち、水に対する接触角について調べた。サンプルは次のようにして作成した。比較例3及び比較例5〜10は「アジプレンL100」(商品名)で試料を作成し、比較例4、比較例11及び実施例6〜10は「アジプレンL100」(商品名)100重量部にOH基及びCOOH基を有する超高分子量ポリエチレンパウダー「INHANCE UH−1700」(商品名)を3重量部混合してサンプルを作成した。
【0027】
前記サンプルの表面を研磨により、それぞれ面粗度をRy5(比較例3及び比較例4)、Ry10(比較例5及び実施例6)、Ry15(比較例6及び実施例7)、Ry30(比較例7及び実施例8)、Ry40(比較例8及び実施例9)、Ry50(比較例9及び実施例10)及びRy55(比較例10及び比較例11)とした。測定は、協和科学(株)製の接触角計「CA−P型」を用いてスクリーン投影法によって、図4に示すように各実施例と比較例の水に対する接触角について行い、結果は表3に示すとおりである。
【0028】
【表3】
【0029】
上記測定結果から明らかなように、実施例6から実施例10は、水に対する接触角90度から140度の範囲内であるが、比較例3乃至比較例10はいずれも90度より低いことが分かる。又、比較例11では面粗度Ryを55としたが、この場合には水に対する接触角が140度を超えている。従って、ポリウレタンエラストマーの表面は、面粗度Ry10以上とすることが好ましい。ポリウレタンエラストマーの表面が面粗度Ry10より小さいと撥水性が低下する。
【0030】
【発明の効果】
この発明に係るシュープレス用ベルトは、少なくとも湿紙側となる最上層のゴム状弾性体をNCO基を有するポリウレタンプレポリマー100重量部に対して、OH基及びCOOH基等の活性基を有する超高分子量ポリエチレンパウダー3〜10重量部を、NH2基又はOH基を有する架橋剤とともに混合して化学結合させることによって、物性が殆ど低下することがない。また、この発明に係るシュープレス用ベルトは、適度な撥水性が得られ、水分の振り切り効果が増大する。さらに、紙粉等の異物が付着し難くなり、紙粉等の異物がベルト表面に堆積して脱水性を損なうことも抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係るシュープレス用ベルトの実施形態を示す要部断面図である。
【図2】表面性試験機の説明図である。
【図3】摩擦力測定における摩擦力を示すグラフである。
【図4】接触角の測定法の説明図である。
【図5】シュープレス装置の構成を示す要部の説明図である。
【図6】シュープレス装置の他の構成を示す要部の説明図である。
【符号の説明】
10:基体
11:上面となる湿紙側のゴム状弾性体
12:下面となるシュー側のゴム状弾性体
【発明の属する技術分野】
この発明は、物性を低下させることなく、紙粉等の異物が付着し難いシュープレス用ベルトに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、製紙工程において、湿紙水分を脱水するためにシュープレス装置が採用されるようになり、その主な形式は図5、図6に示す構成のものがある。ロール1の下方にシュー2を対向させ、前記ロール1とシュー2との間を通る湿紙3を上下から2枚のエンドレスフェルト4,5で挟持し、下フェルトの走行に従動するシュープレス用ベルト6がシュー2との間に配設されている。
【0003】
前記構成のシュープレス装置を使用するには、シュー2を油圧等により押し上げてロール1に押圧する。シュー2の押圧によって、ロールとの間で広幅の加圧脱水部を作ることになり、広い領域の面圧によって脱水量が向上するようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記ベルト5は、織布又は不織布等の基体の上下面にゴム状弾性体を積層してなる。しかしながら、従来使用されているゴム状弾性体では、表面に紙粉等の異物が付着し易く、堆積した紙粉等の異物がベルトの搾水効果及び湿紙表面性等を損なうおそれがある。
【0005】
また、近年の抄紙機の高速化に伴い、シュー2の押圧力を増大させると、搾水効果が高められるが、ベルトに残存する水分も多くなる。ベルト表面の水分が振り切られずに残存していると、フェルトの水分が飽和状態となり湿紙から充分脱水できないことになる。このようなことは、抄紙機の高速化に進むにつれてより顕著になってきている。
【0006】
また、疎水性を高めるために、ウレタンエラストマー等のゴム状弾性体中にシリコーンオイルを混合することも試みられたが、シリコーンオイルが抽出されて短期間で効果がなくなるという問題があった。
【0007】
この発明は、撥水性、耐摩耗性に優れ、摩擦係数が小さく、また紙粉等の異物がベルト表面に付着し難いシュープレス用ベルトを提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、この発明に係るシュープレス用ベルトは、次のように構成した。即ち、シュープレス用ベルトは、基体の少なくとも片側にゴム状弾性体を設けてなるシュープレス用ベルトにおいて、ベルトの湿紙側層を形成するゴム状弾性体の少なくとも最上層のゴム状弾性体は、NCO基を有するポリウレタンプレポリマー100重量部に対して、OH基及びCOOH基等の活性基を有する超高分子量ポリエチレンパウダー3〜10重量部を、NH2基又はOH基を有する架橋剤とともに混合して化学結合させたポリウレタンエラストマーであることを特徴とする。前記シュープレス用ベルトの最上層のゴム状弾性体は、NBS摩耗抵抗率を1000%以上とすることが好ましい。また、前記シュープレス用ベルトは、最上層のゴム状弾性体の表面における面粗度(Ry)を10〜50とすることが好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】
この発明に係るシュープレス用ベルトは、図1に示すように、基体10の上下両面側、即ち、上面となる湿紙側にゴム状弾性体11を設け、下面となるシュー側にゴム状弾性体12を設けたものであり、前記ゴム状弾性体11,12の内の少なくとも最上層は、OH基及びCOOH基等の活性基を有する超高分子量ポリエチレンパウダーを、NH2基又はOH基を有する架橋剤とともにNCO基を有するポリウレタンプレポリマーに混合して化学結合させたポリウレタンエラストマーからなるゴム状弾性体により形成されている。
【0010】
前記のように、NCO基を有するポリウレタンプレポリマーにOH基及びCOOH基等の活性基を有する超高分子量ポリエチレンパウダーを混合すると、両者が化学結合して物性が低下することがないと共に、撥水性が増大する。また、紙粉等の異物が付着し難くなり、紙粉等の異物がベルト表面に堆積して撥水性の作法が損なうことも抑えられる。
【0011】
前記シュープレス用ベルトは、ゴム状弾性体11,12の最上層を水に対する接触角を90度以上、好ましくは120度以上とすることにより、撥水性が良好になることが経験的に分かっている。前記ポリウレタンエラストマーの表面が、面粗度Ry10よりも小さいと水に対する接触角が90度より小さくなり、水分の振り切り効果が低下する。
【0012】
なお、ゴム状弾性体は、図示する実施形態では、基体10の両面に設けたが、少なくとも上面となる湿紙側のゴム状弾性体11が上記構成とされていれば足りる。
【0013】
【実施例】
次に、この発明の実施例を比較例と共に説明する。
【0014】
実施例1及び比較例1〜2
ゴム状弾性体を構成するポリウレタンエラストマーは、比較例1、比較例2、実施例1ともにユニロイヤル社製のポリウレタンプレポリマー「アジプレンL100」(商品名)を用いた。比較例1は、架橋剤のみを使用した従来品のポリウレタンエラストマーである。比較例2では、三井石油化学(株)製の表面不活性の超高分子量ポリエチレンパウダー「ミペロン221U」(商品名)を「アジプレンL100」(商品名)100重量部に対して3重量部混合した。
【0015】
また、実施例1では、特殊な物理的処理を施して表面を改質してOH基及びCOOH基を有するFLuoro−Seal社製の超高分子量ポリエチレンパウダー「INHANCE UH−1700」(商品名)を「アジプレンL100」(商品名)100重量部に対して3重量部混合した。架橋剤には、比較例1、比較例2及び実施例1とも、芳香族ジアミン系架橋剤であるイハラケミカル(株)製の商品名「キュアミンMT」を用いた。
【0016】
上記構成により得られた比較例1、比較例2及び実施例1のポリウレタンエラストマーについて、各種の比較試験を行った。試験の結果は表1に示すとおりであるが、硬さ試験(タイプ A)はJISK6253に基づき、引張り強さ試験(Mpa)及び伸び(%)はJISK6251に基づき、引き裂き強さ(KN/m)、反発弾性係数(%)はJISK6255に基づき、圧縮永久歪み(%)はJISK6262に基づき行い、NBS摩耗抵抗率(%)はNBS摩耗試験機を使用して行った。摩擦係数は表面性試験機を用いて行った。
【0017】
摩擦係数の試験は、静摩擦係数と動摩擦係数について行った。試験方法は、図2に示す表面性試験機を用いた。移動テーブル21の上に接触物としてコピー紙22を固定し、前記コピー紙22上に試験用ロール23を載置する。試験用ロール23は、外径寸法30mm、長さ寸法12mmのものを用いた。試験用ロール23には、垂直方向に加重(W)24として1000gをかけるとともに、支点25を有するアーム26を取り付ける。アーム26の支点25の反対側には試験用ロール23のコピー紙22上への自重を除くためのバランサー27を取り付けるとともに、アーム26の先端は測定器28を備えたロードセル29に取り付けてなる。
【0018】
上記構成において、バランサー27により試験用ロール23の自重を除きながら、移動テーブル21を1分当たり5メートルの速さで移動させ、ロードセル29により摩擦力(Fグラム)を測定した。測定の解析は、測定された摩擦力をグラフ化して図3に示すように、テーブル移動開始時の摩擦力(Aグラム)と、移動後平行に達した時点の摩擦力(Bグラム)から次の数式1及び数式2により摩擦係数を求めた。
【0019】
【数1】
【0020】
【数2】
【0021】
【表1】
【0022】
表1より、本発明に係るベルトのゴム状弾性体のNBS摩耗抵抗率やベルト寿命が、従来品に比べ飛躍的に向上し摩耗による不都合が解消されることが判る。
【0023】
実施例2〜5
次に、OH基及びCOOH基を有する超高分子量ポリエチレンパウダーとして「INHANCE UH−1700」(商品名)の配合量を変量した場合をそれぞれ実施例2〜実施例5とし、「INHANCE UH−1700」(商品名)を配合しなかった場合を比較例1として、物性比較試験を行った。試験の方法は前記の通りである。試験の結果は表2に示すとおりである。
【0024】
【表2】
【0025】
上記結果から明らかなように、OH基及びCOOH基を有する超高分子量ポリエチレンパウダーの配合量を増量すると、特に圧縮永久歪みが大きくなる。圧縮永久歪みが大きくなると使用中にベルト表面に凹凸が発生する等の不具合現象が生じることから、OH基及びCOOH基を有する超高分子量ポリエチレンパウダーの配合量は10重量部が限界である。従って、OH基及びCOOH基を有する超高分子量ポリエチレンパウダーの配合量はウレタンプレポリマー100重量部に対して3〜10重量部の範囲とする。
【0026】
実施例6〜10及び比較例3〜11
次に、撥水性、即ち、水に対する接触角について調べた。サンプルは次のようにして作成した。比較例3及び比較例5〜10は「アジプレンL100」(商品名)で試料を作成し、比較例4、比較例11及び実施例6〜10は「アジプレンL100」(商品名)100重量部にOH基及びCOOH基を有する超高分子量ポリエチレンパウダー「INHANCE UH−1700」(商品名)を3重量部混合してサンプルを作成した。
【0027】
前記サンプルの表面を研磨により、それぞれ面粗度をRy5(比較例3及び比較例4)、Ry10(比較例5及び実施例6)、Ry15(比較例6及び実施例7)、Ry30(比較例7及び実施例8)、Ry40(比較例8及び実施例9)、Ry50(比較例9及び実施例10)及びRy55(比較例10及び比較例11)とした。測定は、協和科学(株)製の接触角計「CA−P型」を用いてスクリーン投影法によって、図4に示すように各実施例と比較例の水に対する接触角について行い、結果は表3に示すとおりである。
【0028】
【表3】
【0029】
上記測定結果から明らかなように、実施例6から実施例10は、水に対する接触角90度から140度の範囲内であるが、比較例3乃至比較例10はいずれも90度より低いことが分かる。又、比較例11では面粗度Ryを55としたが、この場合には水に対する接触角が140度を超えている。従って、ポリウレタンエラストマーの表面は、面粗度Ry10以上とすることが好ましい。ポリウレタンエラストマーの表面が面粗度Ry10より小さいと撥水性が低下する。
【0030】
【発明の効果】
この発明に係るシュープレス用ベルトは、少なくとも湿紙側となる最上層のゴム状弾性体をNCO基を有するポリウレタンプレポリマー100重量部に対して、OH基及びCOOH基等の活性基を有する超高分子量ポリエチレンパウダー3〜10重量部を、NH2基又はOH基を有する架橋剤とともに混合して化学結合させることによって、物性が殆ど低下することがない。また、この発明に係るシュープレス用ベルトは、適度な撥水性が得られ、水分の振り切り効果が増大する。さらに、紙粉等の異物が付着し難くなり、紙粉等の異物がベルト表面に堆積して脱水性を損なうことも抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係るシュープレス用ベルトの実施形態を示す要部断面図である。
【図2】表面性試験機の説明図である。
【図3】摩擦力測定における摩擦力を示すグラフである。
【図4】接触角の測定法の説明図である。
【図5】シュープレス装置の構成を示す要部の説明図である。
【図6】シュープレス装置の他の構成を示す要部の説明図である。
【符号の説明】
10:基体
11:上面となる湿紙側のゴム状弾性体
12:下面となるシュー側のゴム状弾性体
Claims (3)
- 基体の少なくとも片側にゴム状弾性体を設けてなるシュープレス用ベルトにおいて、ベルトの湿紙側層を形成するゴム状弾性体の少なくとも最上層のゴム状弾性体は、NCO基を有するポリウレタンプレポリマー100重量部に対して、OH基及びCOOH基等の活性基を有する超高分子量ポリエチレンパウダー3〜10重量部を、NH2基又はOH基を有する架橋剤とともに混合して化学結合させたポリウレタンエラストマーであることを特徴とするシュープレス用ベルト。
- 請求項1記載のシュープレス用ベルトにおいて、最上層のゴム状弾性体のNBS摩耗抵抗率が1000%以上であることを特徴とするシュープレス用ベルト。
- 請求項1記載のシュープレス用ベルトにおいて、最上層のゴム状弾性体の表面における面粗度(Ry)が10〜50であることを特徴とするシュープレス用ベルト。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002380644A JP2004211235A (ja) | 2002-12-27 | 2002-12-27 | シュープレス用ベルト |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002380644A JP2004211235A (ja) | 2002-12-27 | 2002-12-27 | シュープレス用ベルト |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004211235A true JP2004211235A (ja) | 2004-07-29 |
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ID=32816805
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JP2002380644A Pending JP2004211235A (ja) | 2002-12-27 | 2002-12-27 | シュープレス用ベルト |
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JP (1) | JP2004211235A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2007074685A1 (ja) * | 2005-12-26 | 2007-07-05 | Ichikawa Co., Ltd. | 湿紙搬送用ベルト |
JP2013083030A (ja) * | 2011-10-12 | 2013-05-09 | Ichikawa Co Ltd | 湿紙搬送用ベルト |
-
2002
- 2002-12-27 JP JP2002380644A patent/JP2004211235A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2007074685A1 (ja) * | 2005-12-26 | 2007-07-05 | Ichikawa Co., Ltd. | 湿紙搬送用ベルト |
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