JP2004211021A - 成形用樹脂組成物及びそれを用いて作製した光学素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】成形の際の熱収縮が小さく寸法精度の高い成形体を形成でき、かつ耐熱性が高く、所望の特性および耐久性を有する誘電体多層膜をその成形体表面に形成できるような、成形用樹脂組成物を提供する。さらに微細凹凸構造を成形によって形成し、その表面に誘電体多層膜による反射防止層を形成した光学素子を提供する。
【解決手段】本発明の成形用樹脂組成物は、その組成は、下記の3つの化合物(A)フッ素化エポキシ、(B)非フッ素化エポキシ、(C)シランカップリング剤の重量%を単位とする重量比をwA、wB、wCとするとき、各化合物(A)、(B)、(C)がそれぞれ100重量%である点を頂点A、B、Cとする正三角形ABC内の座標(wA,wB,wC)で表して、四角形DEFG内にあることが望ましい。また、四角形DHIG内にあればより好ましく、四角形KLMN内にあればもっとも好ましい。
【選択図】 図3
【解決手段】本発明の成形用樹脂組成物は、その組成は、下記の3つの化合物(A)フッ素化エポキシ、(B)非フッ素化エポキシ、(C)シランカップリング剤の重量%を単位とする重量比をwA、wB、wCとするとき、各化合物(A)、(B)、(C)がそれぞれ100重量%である点を頂点A、B、Cとする正三角形ABC内の座標(wA,wB,wC)で表して、四角形DEFG内にあることが望ましい。また、四角形DHIG内にあればより好ましく、四角形KLMN内にあればもっとも好ましい。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は主として光通信分野で使用される回折格子、フレネルレンズまたは平板状レンズアレイなどの所定表面形状を有する光学素子に関し、とくにそれら所定表面形状を成形技術によって作製するのに適した成形用樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
情報通信容量の増大に伴い、光通信分野では回折格子、微小レンズ列(マイクロレンズアレイ)などの光学素子が多量に使用されるようになっている。これらの光学素子は、その表面に所定の微小凹凸構造を備えることにより光の回折あるいは屈折作用を利用する平板状光学素子である。
【0003】
これら表面の凹凸構造を形成させる方法は種々知られているが、大量にかつ低コストで生産するのに適した方法として、樹脂成形技術が知られている。紫外線硬化樹脂のモノマーを基材上に均一に展開し、凹凸構造を備えた型に接触させながら紫外線を照射する方法が例えば、特許文献1に開示されている。
【0004】
一方、光通信においては光路中からの反射戻り光を防止することが要求される。とくに光通信において使用される石英系光ファイバの端面と上記光学素子との界面からの反射が十分に小さいことが必要である。このような反射を防止する手段としては、誘電体多層膜を光学素子表面に形成する方法がもっとも一般的である。
【0005】
【特許文献1】
特開昭63−49702号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記の樹脂成形技術では、紫外線硬化性モノマーの光重合過程での収縮が大きく、光学素子に対して要求される設計寸法精度を満足できない場合があった。また樹脂は耐熱性に課題があり、誘電体多層膜を成膜する際の基板温度を低く抑える必要があり、誘電体多層膜の膜質、およびその耐久性に課題があった。さらに従来使用されていた樹脂は基材との屈折率差が大きいため、基材−樹脂界面で反射損失が生じ、光学素子に対して要求される性能が十分満足できないという問題点もあった。
【0007】
本発明はこのような従来技術に存在する課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、成形の際の熱収縮が小さく寸法精度の高い成形体を形成でき、かつ耐熱性が高く、所望の特性および耐久性を有する誘電体多層膜をその成形体表面に形成できるような、成形用樹脂組成物を提供することにある。
【0008】
さらに微細凹凸構造を成形によって形成し、その表面に誘電体多層膜による反射防止層を形成した光学素子を提供することをも目的とする。この場合、硬化後の樹脂組成物は透明であり、その屈折率を基材の屈折率と整合させることも目的となる。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の成形用樹脂組成物は、基材と成形型との間に充填押圧した後、熱および紫外線の少なくとも一方を付与して重合硬化させることにより所定の形状を有する固体組成物層を得ることが可能な重合性有機基を含み流動性を有する組成物が対象となる。
【0010】
その組成は、下記の3種類の化合物(A)、(B)、(C)を主成分とし、これらの化合物(A)、(B)、(C)の重量%を単位とする重量比をwA、wB、wCとするとき、各化合物(A)、(B)、(C)がそれぞれ100重量%である点を頂点A、B、Cとする正三角形ABC内の座標(wA,wB,wC)で表して、D(80, 20, 0)、E(50, 20, 30)、F(30, 40, 30)、G(30, 70, 0)で囲まれた四角形DEFG内にあることが望ましい。
【0011】
また、D(80, 20, 0)、H(60, 20, 20)、I(30, 50, 20)、G(30, 70, 0)で囲まれた四角形DHIG内にあればより好ましく、K(70, 30, 0)、L(70, 20, 10)、M(40, 50, 10)、N(40, 60, 0)で囲まれた四角形KLMN内にあればもっとも好ましい。
【0012】
ただし、化合物(A)は、下記一般式(化2)で表されるフッ素化エポキシ化合物とする。
【化2】
ここでRはCH2(CF2)nCH2(nは正の整数)であるが、nは1〜4が好ましい。
【0013】
化合物(B)は非フッ素化エポキシ化合物であり、脂環エポキシ化合物であるのが好ましい。化合物(C)はシランカップリング剤である。とくにエポキシ基を含有するのが好ましく、なかでもγエポキシ基またはシクロへキシル基を含有するのが望ましい。
【0014】
上記の樹脂組成物は耐熱性が高く、基板温度を250℃程度まで上昇させて誘電体多層膜を形成することができ、緻密で耐候性の高い膜形成が可能である。これにより高い性能を有する反射防止層を形成した光学素子を提供することが可能となる。
【0015】
また、硬化後の樹脂組成物は透明であり、上記組成範囲を選ぶことにより、その屈折率は石英ガラスの屈折率1.46にほぼ一致する。したがって基材を石英ガラスとした場合には、固体組成物層−基材界面での反射を低減することができる。またはこの樹脂組成物からなる光学素子と光ファイバとを光学的に結合させる場合には、光ファイバ端面と樹脂組成物表面の界面での反射を抑制することができる。
【0016】
なお、成形用樹脂組成物は、同組成物を硬化させるための重合開始剤を0.1〜7重量%含有することが望ましい。また、劣化防止のため酸化防止剤を5重量%以下含有することが望ましく、2重量%以下であればより望ましい。
【0017】
以上の組成を有する組成物を使用し、所望の形状を有する成形型によって成形し、熱および紫外線の少なくとも一方を付与して重合硬化させて固体組成物層を得る場合、成形の際の熱収縮が小さいので、成形型との寸法差が小さい成形体を形成できる。また酸化防止剤の作用により、成形物の長期的な劣化を防止することができる。
【0018】
また、本発明の成形用樹脂組成物を硬化した固体組成物層の屈折率は1.45〜1.48の範囲とする。上述のように、屈折率が1.46の石英ガラスを基材として用いた場合、固体組成物層の屈折率は上記成分(A)、(B)、(C)の調合比率を調整することで所定の範囲内で基材の屈折率にほぼ一致する値に選ぶことができ、固体組成物層−基材界面での反射を抑制することができる。
【0019】
本発明の光学素子は、上記の成形用樹脂組成物を、基材と成形型との間に充填押圧した後、熱および紫外線の少なくとも一方を付与して重合硬化させて所定の形状を有する固体組成物層を形成した後、その表面に誘電体膜を少なくとも2層積層する。
この誘電体多層膜は反射防止膜として作用し、上記固体組成物層表面に光を入射させ、基材側に透過させて使用する光学素子において、入射光の反射を抑制することができる。
【0020】
また、光学素子の基材を石英ガラスとすることが好ましい。本発明の成型用樹脂組成物は硬化後の屈折率を石英ガラスのそれにほぼ一致させることができるため、固体組成物層と基材の界面での反射を抑えることができる。
【0021】
本発明の光学素子は、表面形状を選択することによって透過型回折格子、フレネルレンズまたは微小レンズアレイの機能を付与することができる。
【0022】
成形技術を使用するため、これらの光学素子を大量にかつ安価に提供できる。また本発明の成形用樹脂組成物は成形時の収縮が小さいため、所望の設計形状を正確に作り込んだ成形型の形状を正確に転写できる。また、これらの光学素子はいずれも所定の表面形状を有する固体組成物層の表面に光を入射させ、基材側へ透過させて使用されるが、表面に誘電体多層膜による反射防止膜を設け、また固体組成物層と基材の屈折率を整合させることが可能なため、反射損失の少ない光学素子を実現できる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施形態について詳細に説明する。
本発明においては、流動性を有する化合物を重合硬化させて固体組成物を形成する。所定の表面凹凸形状を形成するため、上記化合物を基材と成形型との間に密着させて膜状に挟持し、ついで熱および紫外線の一方あるいは両方を付与し、そのエネルギーによってこれを重合硬化させる。硬化した組成物を成形型から離型し、その後に必要に応じて加熱することにより、成形型の表面形状を反転させた形状が上記組成物表面に転写される。
【0024】
上記のように重合硬化を起こすために、この化合物はその分子内に少なくとも1つの重合性有機基を有していることが必要である。光重合は、重合開始剤の光分解によって生成したラジカルまたはカチオンの重合性有機基への付加重合によって引き起こされる。そのため脱水縮合反応に比べ収縮が小さく、化学的に結合した均一な膜を瞬時に形成させることができる。熱重合の場合は、重合開始剤の熱分解による。よって重合性有機基は、光あるいは熱で重合する有機基を用いる。
【0025】
光重合性有機基としては、エポキシ基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基、ビニル基、およびこれらを含有する有機基を例示することができる。また熱重合性有機基としては、エポキシ基、ビニル基、およびこれらを含有する有機基を例示することができる。
【0026】
エポキシ基を有する液状の重合性化合物としては、フッ素化エポキシ化合物、あるいは脂環式エポキシ化合物、芳香族エポキシ化合物などの非フッ素化エポキシ化合物が例示できる。本発明においては以下に示すようにフッ素化エポキシ化合物と非フッ素化エポキシ化合物を混合して使用する。
【0027】
本発明においては、フッ素化エポキシ化合物としては前掲の一般式(化2)で示される化合物を使用する。
また、フッ素化エポキシ化合物と混合して使用される脂環族エポキシ樹脂の例として以下の構造式で表される化合物が挙げられる。
【0028】
3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(3,4−エポキシシクロヘキサン)カルボキシレート(化3)、
【化3】
ビニルシクロヘキセンジエポキシド(化4)、
【化4】
3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート(化5)、
【化5】
ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート(化6)、
【化6】
ジシクロペンタジエンオキシド(化7)、
【化7】
ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル、リモネンジオキシド(化8)
【化8】
が、耐熱性、耐薬品性、液の粘度の点で取り扱いが容易なこと、硬化性、また原料の入手のし易さの観点から好ましく用いられる。
【0029】
その他、一群の化学式(化9)で示される化合物も使用できる。
【化9】
芳香族エポキシ化合物としては、一般式(化10)
【化10】
におけるXがつぎの化学式(化11〜化14)で表される化合物を例示できる。これらの中でも、ビスフェノールA型(化11)、
【化11】
ビフェニル型(化12)、
【化12】
ビスフェノールF型(化13)、
【化13】
ジフェニルエーテル型(化14)、
【化14】
ビスフェノールS型(化15)、
【化15】
その他の化合物(化16)
【化16】
などが、耐熱性、耐薬品性、液の粘度の観点で取り扱いが容易性、硬化性、また原料の入手のし易さの観点から好ましく用いられる。
【0030】
また、基材との密着性、耐湿性を向上させるため、シランカップリング剤を添加してもよい。シランカップリング剤としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(化17)、
【化17】
3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(化18)、
【化18】
あるいは、2−(3,4−エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシルエチルトリエトキシシラン(以上、化19)を用いることができる。
【化19】
【0031】
成形用組成物に含有される重合性有機基が光重合性である場合には、光重合開始剤を添加する。ラジカル光重合開始剤としては、[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン](S1と略称する。以下同様)、[1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン](S2)、[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピルケトン](S3)、[2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン](S4)、[1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン](S5)、[2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン](S6)、[ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド](S7)、[2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1](S8)を例示することができる。
【0032】
また、カチオン光重合開始剤としては、フェニル−[m−(2−ヒドロキシテトラデシクロ)フェニル]ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート(S9)、ジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(S10)等が例示できる。光重合開始剤の量は、液組成物の全重量に対して、0.1〜7重量%が好ましい。
【0033】
加えて酸化防止剤として燐酸系の化合物を添加しても良い。9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−フォスファフェナンスレン−10−オキサイドが例示できる。主成分に対して5%以下、より好ましくは2%以下含有することが好ましい。
【0034】
本発明の光学素子の所定表面形状は成形によって形成するため、上記重合性有機基を含む化合物は流動性を有する必要があり、その粘度は3〜2500mPa・mの範囲に調整するのが好ましく、100〜1500mPa・mがより好ましく、100〜1000mPa・mが最も好ましい。
【0035】
所定表面形状を有する光学素子を成形するプロセスとしては、代表的に下記2つの方法を挙げることができる。
第1の方法(以下型注ぎ法という)では、成形型に成形用組成物を注ぎ脱気する。つぎに成形型と基材とを接合し、加熱または紫外線照射を行う。これによって組成物は硬化する。硬化した基材上の組成物を成形型から離型し、その後に必要に応じて加熱する。
【0036】
以上の方法を図1により詳細に説明する。表面に所定の微小な凹凸形状を有する成形型10を型面を上に向けて水平に保ち、粘度が100〜1000mPa・mの成形用組成物30をその成形型10の上に注いで成形型の窪みを埋め尽くすように満たす(図1(a))。なお、注ぐ代わりに、その成形型を成形用組成物の浴に浸漬したり、刷毛で成形型表面に塗布する等の方法でもよい。
【0037】
その状態で、成形型10上に満たされた組成物30が空気を含まないように、室温から100℃程度の温度で、2〜5Paに減圧した状態で5〜10分間保持し、液中の泡や溶解酸素を脱気しても良い。
ついで基材20を組成物30と基材表面との間に空隙を生じないように成形型10上の組成物30に接触させ、組成物30を基材20と成形型10との間で層状になるように挟持する(図1(b))。その状態で紫外線を照射しながら20〜100℃で1〜30分間保持するか、または140〜180℃に加熱して10〜120分間保持して、組成物を重合硬化させる。
【0038】
紫外線を照射する場合には、基材20および成形型10の少なくとも一方が紫外線を透過することができる材質からなるものを使用する。つぎに、成形型10を引き剥がして離型することにより、成形型10の表面凹凸形状を反転させた凹凸形状を表面に有する高いガラス転移温度をもつ固体組成物層32が基体20の表面に接合された状態で形成される(図1(c))。
【0039】
ついで必要に応じて、これを最終的に、常圧または2〜5Paの減圧下で、100〜200℃で15〜250分間加熱することにより、固体組成物層に残留する重合開始剤、未重合物を気化させる。これにより固体組成物層は厚み方向にわずかに体積収縮して緻密な膜となる。このようにして形成した所定表面形状を有する固体組成物層32上に、図1(d)に示すように誘電体多層膜40を被覆することにより、本発明の光学素子100が得られる。
【0040】
第2の成形方法(以下、基材注ぎ法という)は成形用組成物を基材表面に直接注ぎ、脱気した後、成形型を基材表面の組成物に押し当て、そのままの状態で紫外線照射あるいは加熱し、転写成形する。その後、成形型を離型し、必要に応じて最終加熱を実施する方法である。
【0041】
以上の方法は第1の方法と図1の(b)以降は同様である。基材の被覆すべき表面を水平に保ち、粘度が100〜1000mPa・mの組成物をその基材の上に注いで所定の厚みになるように層状に広げる。その状態で、組成物が空気を含まないように、室温〜100℃で、2〜5Paに減圧しながら5〜10分間保持して、液中の泡や溶解酸素を脱気してもよい。
【0042】
ついで表面に所定の微小凹凸形状を有する成形型を層状の組成物の上に押し当てて圧力0.5〜120kg/cm2、温度20℃〜150℃で60秒〜60分間保持するか、または上記圧力で押し当て、その状態で紫外線を被照射位置での照射強度が1.0〜120mW/cm2になるように照射しながら、温度20〜100℃で60秒〜30分間保持して、成形用組成物の重合反応をほぼ完了させて硬化させる。
【0043】
紫外線を照射する場合には、基材および成形型の少なくとも一方が紫外線を透過することができる材質からなるものを使用する。そして成形型を引き剥がして離型することにより、成形型の凹凸形状を反転させた凹凸形状を表面に有する固体組成物層が基材の表面に接合された状態で形成される。
【0044】
ついで必要に応じてこれを例えば、常圧または2〜5Paの減圧下で、180〜250℃で15〜350分間加熱することにより、層内に残留する光重合開始剤、未重合物を気化させる。これにより固体組成物層は厚み方向にわずかに体積収縮して緻密な膜となる。
【0045】
このようにして形成した所定表面形状を有する固体組成物層上に、誘電体多層膜を被覆することにより、本発明の光学素子が得られる。
【0046】
本発明において用いられる成形型の最表面にはフッ素樹脂、あるいは金(Au)からなる離型膜を設けることが好ましい。フッ素樹脂は、スピンまたはディップ法により、成型型に均一に成膜される。また金は、成型材料に対する良好な離型性、押圧に耐えうる機械的強度、耐熱性、耐腐食性、および耐酸化性を有するので離型膜として優れた材料である。
【0047】
このような離型膜の厚みは200〜1000nmであることが好ましく、より好ましくは400〜600nmである。離型膜は、表面が平滑であるほど離型性が高いことから、スパッタ法、真空蒸着法、無電解メッキ法、電解メッキ法、箔張り付け法などにより均一、かつ、平滑に成膜されていることが好ましい。
【0048】
上記型芯材の材質としては離型膜に近似した膨張係数を有するものを選ぶことが好ましい。樹脂からなる型芯材は、微細な加工が容易にでき、所望の形状に容易に成形しやすいという利点があり、ガラスまたは金属の型芯材は耐熱性および機械的強度が高く、耐久性に優れている。
【0049】
本発明における成形型はその表面に凹部または凸部が設けられている。凹凸部としては、例えば球状、円錐状、角錐状や断面任意形状のスリット状等を例示できる。そして、球状、円錐状、角錐状は離型膜の全域あるいは部分的に任意数設けられる。一方、凹部としてスリットを設ける場合、スリットは直線状、曲線状に任意条設けてもよく、複数条設ける場合には同心円状、格子状に設けてもよい。
【0050】
このようにして、本発明によれば、100℃以上のガラス転移温度を有し、最大厚み(表面の凹凸の凸部で測った膜厚)が1μm〜1mm、好ましくは20〜150μmで、微細な凹凸形状、例えば、1μm〜500μmの範囲内の所定値の幅(凹凸ピッチ)および5〜500μmの範囲内の所定値の高さを有する表面凹凸が形成された膜が平坦板状または曲面板状の基材上に形成される。
【0051】
この膜は弾力性に富み(脆性が少なく)、膜の強度が高く膜に亀裂が発生し難い。そして膜の内部には成型時の発泡は認められず、また成型時の膜の収縮が小さいため、膜表面の微細凹凸形状の寸法精度が極めて高い優れた転写性が実現できる。具体的には、例えば高さが20〜100μmの凸部を多数形成する場合、膜表面凸部の高さのばらつきは1μm以下である。また膜表面の凸部間隔の成形型からのズレは測定精度(0.2μm)以下である。
【0052】
この発明に用いる基材としては、平板状、曲板状などの形状のものが用いられる。基材として200℃と20℃における基材表面の反り量(基材の表面方向の単位長さあたりのその表面に垂直な方向の熱変形長さ)が1cmあたり±5μm以内であることが望ましい。反り量がこの範囲を越えると膜の成形過程において基材と膜が界面で剥離もしくは膜に亀裂を生じるおそれがあるので、基材の材料、寸法、形状を選ぶことが好ましい。
【0053】
また、この基材は1.5×10−5℃−1以下の線膨張率を有することが好ましい。基材の線膨張率が1.55×10−5℃−1を超えると、例えばポリプロピレン(9〜15×10−5℃−1)のような大きい熱膨張係数を有するプラスチックス基材の場合、組成物の成形過程において基材と膜が界面で剥離したり、膜に亀裂を生じるからである。
【0054】
通常の無機ガラスは1.5×10−5℃−1以下の線膨張率を有する。また基材の少なくとも表面は酸化物であることが好ましい。もし組成物と接する基材表面が酸化物でない場合、膜の成形過程において付着強度が下がり、場合によっては基材と膜が界面で剥離を生じるからである。
【0055】
好ましい基材の材質の例として、石英ガラスをはじめとする珪酸塩系ガラス、ホウ酸塩系ガラス、リン酸塩系ガラス等の酸化物ガラス、石英、セラミックス、シリコン、アルミニウムその他の金属、エポキシ樹脂、ガラス繊維強化ポリスチレンなどを挙げることができる。金属はそのままではオルガノポリシロキサン膜が接合しないが、予め金属の表面を酸化剤で処理しておけば基材として使用することができる。
【0056】
また本発明における基材として、光学素子が使用する波長の光、例えば可視域、紫外域、または赤外域の光に対して透明な物質を用いれば、本発明による光学素子は、レンズアレイ、回折格子(例えばエシェレット回折格子、エシェロン回折格子、エシェル回折格子など)、フレネルレンズなどの透過型光学素子として機能を発揮することができる。
本発明による所定表面形状を有する光学素子製造の各工程についてさらに具体的に説明する。
【0057】
[成形型または基材への溶液の塗布]
光または熱硬化性で流動性を有する成形用組成物を、型注ぎ法では、透明な成形型の表面に注いで50μm〜1mmの厚みの層(粘度:200mPa・m)を得た。基材注ぎ法でも同様である。
【0058】
[接合・照射処理・離型]
型注ぎ法の場合には、上記組成物の上に基材の表面を接触させた後、型と基材との間で組成物を加圧展開させ、その状態で0.5〜30分間紫外線を照射して基材と接合させる。そして組成物が完全に硬化した後、成形型を基材から引き離して離型する。
基材注ぎ法の場合には、上記塗布膜に透明な成形型を押し当て、同様に0.5〜30分間紫外線を照射して基材と接合させ、その後、離型する。
上記いずれの方法によっても、成形型の形状を転写した微細凹凸形状を有する固体状の組成物層が基材表面に付着した状態で得られた。
【0059】
[最終加熱]
離型して得られた固体組成物層の緻密さを向上させるための加熱条件は、150℃で60分間とした。
【0060】
[誘電体多層膜の成膜]
本発明において用いる誘電体多層膜の主要な目的は、光学素子表面からの反射防止である。要求される反射防止特性を実現するため、TiO2/SiO2、Ta2O5/SiO2、ZrO2/SiO2、およびTiO2/MgF2等の2層膜あるいはそれ以上の多層膜を用い、使用波長、戻り光反射減衰量等の要求仕様により各層の膜厚や材料を設計する。単層の膜厚は、通常1〜600nmであることが望ましく、より好ましくは10〜400nmである。
【0061】
膜が緻密である程、耐久性が高いことから、スパッタ法、真空蒸着法、などにより均一、かつ、緻密に成膜することが好ましい。その上で、耐湿性の観点から、誘電体多層膜の成膜温度は50〜250℃とするのが望ましく、より望ましくは80℃〜250℃である。
【0062】
なお、固体組成物層表面に形成した形状の保護およびその上層に形成する反射防止膜との密着性を強化するため、固体組成物層表面と誘電体多層膜の間にSiO2層を設けるのが望ましい。材料はSiO2以外を選ぶこともできる。その膜厚は、1〜300nmであることが好ましく、より好ましくは10〜150nmである。
【0063】
[凸部高さのばらつき測定]
最外層の凸部高さのばらつき測定は、レーザ顕微鏡による高さ測定により実施した。
【0064】
[耐熱性および耐湿性、光学特性測定]
製造した光学素子は、85℃、85%、500hの耐湿試験を行った後、それぞれ室温に戻して、亀裂(クラック)の発生の有無を観察して耐熱性を評価した。また、微小レンズについては、干渉計(He−Neレーザ、λ=633nm)を用いて、球面収差、および基材表面への入射角12°での絶対反射スペクトルを分光光度計を用いて測定し、その極小値の波長シフト量を、耐熱、耐湿試験前後で測定し、特性劣化を評価した。また、アッべ屈折率計を用いて、膜部分のd線の屈折率を測定した。
以下に本発明の光学素子の実施例について説明する。
【0065】
〔成形用組成物の説明〕
〔成型用組成物C1〕前掲の一般化学式(化2)で示すフッ素化エポキシ化合物でn=4とした化合物を60重量部、非フッ素化エポキシ化合物として、脂環族エポキシ化合物である3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(3,4−エポキシシクロヘキサン)カルボキシレート(化3)を40重量部、重合開始剤としてカチオン系開始剤(S9)を1重量部、混合して成形用組成物C1を得た。この樹脂の硬化後の屈折率の温度係数dn/dTは89ppm/℃、ガラス転移温度Tgが150℃であった。
【0066】
〔接着用組成物C2〕前掲の一般化学式(化2)でフッ素化エポキシ化合物でn=4とした化合物を50重量部、非フッ素化エポキシ化合物として、脂環族エポキシ化合物(化3)を47重量部、シランカップリング剤として3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(化18)を1重量部、重合開始剤としてカチオン系開始剤(S9)を1重量部、酸化防止剤として9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−フォスファフェナンスレン−10−オキサイドを2重量部混合して成形用組成物C2を得た。
【0067】
〔成型用組成物C3〕前掲の一般化学式(化2)でフッ素化エポキシ化合物でn=4とした化合物を60重量部、非フッ素化エポキシ化合物として、脂環族エポキシ化合物(化3)を20重量部、シランカップリング剤として3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(化18)を20重量部、重合開始剤としてカチオン系開始剤(S9)を1重量部、混合して成形用組成物C3を得た。
【0068】
〔成型用組成物C4〕前掲の一般化学式(化2)でフッ素化エポキシ化合物でn=4とした化合物を50重量部、非フッ素化エポキシ化合物として、脂環族エポキシ化合物(化3)を30重量部、シランカップリング剤として3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(化18)を20重量部、重合開始剤としてカチオン系開始剤(S9)を1重量部、混合して成形用組成物C4を得た。
【0069】
〔成型用組成物C5〕前掲の一般化学式(化2)でフッ素化エポキシ化合物でn=4とした化合物を40重量部、非フッ素化エポキシ化合物として、脂環族エポキシ化合物(化3)を45重量部、シランカップリング剤として3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(化18)を15重量部、重合開始剤としてカチオン系開始剤(S9)を1重量部、混合して成形用組成物C5を得た。
【0070】
〔成型用組成物C6〕非フッ素化エポキシ化合物として、脂環族エポキシ化合物(化3)を90重量部、シランカップリング剤として3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(化18)を10重量部と重合開始剤としてカチオン系開始剤(S9)を1重量部、混合して成型用組成物C6を得た。
【0071】
〔成型用組成物C7〕前掲の一般化学式(化2)でフッ素化エポキシ化合物でn=4とした化合物を20重量部、非フッ素化エポキシ化合物として、脂環族エポキシ化合物(化3)を70重量部、シランカップリング剤として3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(化18)を10重量部、重合開始剤としてカチオン系開始剤(S9)を1重量部、混合して成形用組成物C7を得た。
【0072】
〔成型用組成物C8〕前掲の一般化学式(化2)でフッ素化エポキシ化合物でn=4とした化合物を80重量部、非フッ素化エポキシ化合物として、脂環族エポキシ化合物(化3)を10重量部、シランカップリング剤として3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(化18)を10重量部、重合開始剤としてカチオン系開始剤(S9)を1重量部、混合して成形用組成物C8を得た。
【0073】
〔成型用組成物C9〕非フッ素化エポキシ化合物として、脂環族エポキシ化合物(化3)を10重量部、シランカップリング剤として3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(化18)を90重量部と重合開始剤としてカチオン系開始剤(S9)を1重量部、混合して成型用組成物C9を得た。
【0074】
[実施例1]
図2に示すような、ガラス基板22上に反射防止膜付き樹脂製凸レンズアレイ120を形成する。ガラス基板22として厚み3.0mmで50mm角の石英ガラスの基板(線膨張率:5.5×10−7℃−1)を超音波アルカリ洗浄および純水洗浄した。成形樹脂として成形用組成物C1を用い、型注ぎ法により、この石英ガラス基板の片側表面に膜を形成して微細凹凸板を形成した。
【0075】
成形型として、曲率半径1.75mm、レンズ直径1.00mm、凹部の深さ73μmをもつ球面弧形状の凹部を縦方向に密接して50個、横方向に密接して50個、合計約2500個有するガラス製成形型(厚み5mm、寸法50mm×50mm)を用いた。この型には離型性を向上させるため、表面にフッ素樹脂をスピンコート法により成膜した。
【0076】
成形用組成物C1は厚さ約100μmとなるように塗布した。紫外線は基板側から強度120mW/cm2、室温で3分間の条件で照射した。離型後の最終加熱条件は150℃、60分であった。
【0077】
成形後の樹脂硬化膜34の最も薄い領域の膜厚dは約20μm、球面状凸部頂上からの最大膜厚Dは91.5μmであった。膜は透明で屈折率は1.46であり、石英ガラス基板との屈折率の整合がよいため挿入損失は−0.5dB以下と基板との界面での反射損失は極めて小さかった。膜中にはフッ素化アルキル基部分[−CH2 (CF2)4CH2−]が含まれていた。
【0078】
その後基板温度200℃昇温させた後、蒸着法により密着強化層42としてSiO2(100nm)を成膜した。連続して反射防止膜45として、TiO2(74.8nm)/SiO2(64.8nm)/TiO2(189.7nm)/SiO2(266.5nm)を成膜した。
この微小凸レンズ(マイクロレンズ)50の焦点距離は、3.297〜3.300mmであった。
【0079】
この凸レンズアレイ基板内からランダムに選んだ100点の球面凸部について測定したところ、平均高さ71.5μm、標準偏差0.12μmであった。これから計算される硬化膜の収縮率は約2%であり、このマイクロレンズ50のHe−Neレーザ(λ=633nm)により測定した球面収差は、RMS=0.05λ、標準偏差0.001λであった。
【0080】
この凸レンズアレイ基板の耐湿性評価を行った結果、膜に亀裂や剥離は生じず、すべての凸部の焦点距離は−20〜85℃の温度範囲において3.297〜3.300mmの範囲にあって耐湿試験前と変わらず、また膜の反対側から垂直に平行光を入射させて集光スポットの直径を測定したところ、すべての凸部レンズについて集光スポットの直径は3μm以内であり、耐湿試験前の値と変わらなかった。
【0081】
また反射防止膜の特性を評価するため、分光光度計により反射スペクトルを測定したところ、その極小値は全く変動していなかった。走査電子顕微鏡での無反射膜の断面観察においても、膜中に10nm以上の粒塊や、柱状構造の無い緻密な膜の形成が確認された。
【0082】
[実施例2]
成型材料として、成形用組成物C2を用いて、実施例1と同様に凸レンズアレイ基板を形成したところ、最も薄い領域の膜厚dは約30μmであった。膜は透明で屈折率は1.476であり、石英ガラス基板との屈折率の整合がよいため挿入損失は−0.5dB以下と基板との界面での反射損失は極めて小さかった。また、実施例1同様の構成で、基板温度150℃で成膜した反射防止膜にはクラック等の異常は認められなかった。
【0083】
凸レンズ(マイクロレンズ)の焦点距離は、−20〜85℃の全温度範囲で3.297〜3.300mmであった。この凸レンズ基板の凸部の高さは、ランダムに選んだ100点の球面凸部について測定したところ、平均高さ71.5μm、標準偏差0.12μmであった。これから計算される硬化膜の収縮率は約2%であり、このマイクロレンズのHe−Neレーザ(λ=633nm)により測定した球面収差は、RMS=0.05λ、標準偏差0.001λであった。
【0084】
この凸レンズ基板の耐湿性評価を行った結果、膜に亀裂や剥離は生じず、すべての凸部の焦点距離は3.297〜3.300mmの範囲にあって耐湿試験前と変わらず、また膜の反対側から垂直に平行光を入射させて集光スポットの直径を測定したところ、すべての凸部レンズについて集光スポットの直径は3μm以内であり、耐湿試験前の値と変わらなかった。無反射膜の特性を評価するため、分光光度計により反射スペクトルを測定したところ、その極小値の変動は20nmと非常に小さかった。
【0085】
[実施例3]
成型材料として、成形用組成物C3を用いて、実施例1と同様に微細凹凸基板を形成したところ、最も薄い領域の膜厚dは約30μmであった。膜は透明で屈折率は1.467であり、石英基板との屈折率の整合がよいため挿入損失は−0.5dB以下と基板との界面での反射損失は極めて小さかった。また、実施例1同様の構成で、基板温度120℃で成膜した反射防止膜にはクラック等の異常は認められなかった。
【0086】
凸レンズ(マイクロレンズ)の焦点距離は、3.300〜3.303mmであった。この膜付き板(微細凹凸板)の凸部の高さは、ランダムに選んだ100点の球面凸部について測定したところ、平均高さ72.3μm、標準偏差0.13μmであった。これから計算される硬化膜の収縮率は約2%であり、このマイクロレンズのHe−Neレーザー(λ=633nm)により測定した球面収差は、RMS=0.05λ、標準偏差0.001λであった。
【0087】
この試料の耐湿性評価を行った結果、膜に亀裂や剥離は生じず、すべての凸部の焦点距離は3.300〜3.303mmの範囲にあって耐湿試験前と変わらず、また膜の反対側から垂直に平行光を入射させて集光スポットの直径を測定したところ、すべての凸部レンズについて集光スポットの直径は3μm以内であり、耐湿試験前の値と変わらなかった。反射防止膜の特性を評価するため、分光光度計により反射スペクトルを測定したところ、その極小値の変動は50nmと小さかった。
[実施例4]
成型材料として、成形用組成物C4を用いて、実施例1と同様に凸レンズアレイ基板を形成したところ、最も薄い領域の膜厚dは約25μmであった。膜は透明で屈折率は1.476であり、石英ガラス基板との屈折率の整合がよいため挿入損失は−0.5dB以下と基板との界面での反射損失は極めて小さかった。また、実施例1同様の構成で、基板温度150℃で成膜した反射防止膜にはクラック等の異常は認められなかった。
【0088】
凸レンズ(マイクロレンズ)の焦点距離は、−20〜85℃の全温度範囲で3.297〜3.300mmであった。この凸レンズ基板の凸部の高さは、ランダムに選んだ100点の球面凸部について測定したところ、平均高さ71.5μm、標準偏差0.12μmであった。これから計算される硬化膜の収縮率は約2%であり、このマイクロレンズのHe−Neレーザ(λ=633nm)により測定した球面収差は、RMS=0.05λ、標準偏差0.001λであった。
【0089】
この凸レンズ基板の耐湿性評価を行った結果、膜に亀裂や剥離は生じず、すべての凸部の焦点距離は3.297〜3.300mmの範囲にあって耐湿試験前と変わらず、また膜の反対側から垂直に平行光を入射させて集光スポットの直径を測定したところ、すべての凸部レンズについて集光スポットの直径は3μm以内であり、耐湿試験前の値と変わらなかった。無反射膜の特性を評価するため、分光光度計により反射スペクトルを測定したところ、その極小値の変動は20nmと非常に小さかった。
【0090】
[実施例5]
成型材料として、成形用組成物C5を用いて、実施例1と同様に凸レンズアレイ基板を形成したところ、最も薄い領域の膜厚dは約30μmであった。膜は透明で屈折率は1.477であり、石英ガラス基板との屈折率の整合がよいため挿入損失は−0.5dB以下と基板との界面での反射損失は極めて小さかった。また、実施例1同様の構成で、基板温度150℃で成膜した反射防止膜にはクラック等の異常は認められなかった。
【0091】
凸レンズ(マイクロレンズ)の焦点距離は、−20〜85℃の全温度範囲で3.297〜3.300mmであった。この凸レンズ基板の凸部の高さは、ランダムに選んだ100点の球面凸部について測定したところ、平均高さ71.5μm、標準偏差0.12μmであった。これから計算される硬化膜の収縮率は約2%であり、このマイクロレンズのHe−Neレーザ(λ=633nm)により測定した球面収差は、RMS=0.05λ、標準偏差0.001λであった。
【0092】
この凸レンズ基板の耐湿性評価を行った結果、膜に亀裂や剥離は生じず、すべての凸部の焦点距離は3.297〜3.300mmの範囲にあって耐湿試験前と変わらず、また膜の反対側から垂直に平行光を入射させて集光スポットの直径を測定したところ、すべての凸部レンズについて集光スポットの直径は3μm以内であり、耐湿試験前の値と変わらなかった。無反射膜の特性を評価するため、分光光度計により反射スペクトルを測定したところ、その極小値の変動は20nmと非常に小さかった。
【0093】
[比較例1]
実施例1で用いた成形用組成物C1の代わりに成形用組成物C6を用い、その他は実施例1と同じ基材および成形型を用いて実施例1に記載の方法で凸レンズアレイ基板を形成した。
得られた膜は最も薄い領域の膜厚dは約60μmであった。また、実施例1同様の構成で、基板温度150℃で成膜した反射防止膜にはクラック等の異常は認められなかった。
【0094】
凸レンズ(マイクロレンズ)の焦点距離は、−20〜85℃の全温度範囲で3.297〜3.300mmであった。この凸レンズ基板の凸部の高さは、ランダムに選んだ100点の球面凸部について測定したところ、平均高さ71.5μm、標準偏差0.12μmであった。これから計算される硬化膜の収縮率は約2%であり、このマイクロレンズのHe−Neレーザ(λ=633nm)により測定した球面収差は、RMS=0.05λ、標準偏差0.001λであった。
【0095】
この凸レンズ基板の耐湿性評価を行った結果、膜に亀裂や剥離は生じず、すべての凸部の焦点距離は3.297〜3.300mmの範囲にあって耐湿試験前と変わらず、また膜の反対側から垂直に平行光を入射させて集光スポットの直径を測定したところ、すべての凸部レンズについて集光スポットの直径は3μm以内であり、耐湿試験前の値と変わらなかった。しかし硬化物の屈折率を測定したところ1.52であり、石英ガラス基板との界面反射により挿入損失が1.0dB発生した。
【0096】
[比較例2]
実施例1で用いた成形用組成物C1の代わりに成形用組成物C7を用い、その他は実施例1と同じ基材および成形型を用いて実施例1に記載の方法で凸レンズアレイ基板を形成した。
得られた膜は最も薄い領域の膜厚dは約50μmであった。また、実施例1同様の構成で、基板温度150℃で成膜した反射防止膜にはクラック等の異常は認められなかった。しかし、硬化物の屈折率は1.50であり、石英ガラス基板との界面反射による挿入損失が0.8dB発生した。
【0097】
[比較例3]
実施例1で用いた成形用組成物C1の代わりに成形用組成物C8を用い、その他は実施例1と同じ基材および成形型を用いて実施例1に記載の方法で凸レンズアレイ基板を形成した。
【0098】
得られた膜は最も薄い領域の膜厚dは約50μmであった。また、実施例1同様の構成で、基板温度150℃で成膜した反射防止膜にはクラック等の異常は認められなかった。しかし、硬化物の屈折率は1.41であり、石英ガラス基板との界面反射による挿入損失が0.8dB発生した。
【0099】
[比較例4]
実施例1で用いた成形用組成物C1の代わりに成形用組成物C9を用い、その他は実施例1と同じ基材および成形型を用いて実施例1に記載の方法で凸レンズアレイ基板を形成した。
【0100】
得られた膜は最も薄い領域の膜厚dは約35μmであった。また、実施例1同様の構成で、基板温度150℃で成膜した反射防止膜にはクラック等の異常は認められなかった。しかし、硬化物の屈折率は1.49であり、石英ガラス基板との界面反射による挿入損失が0.7dB発生した。
【0101】
以上の実施例、比較例から勘案し、本発明においては好ましい成形用樹脂組成物の組成範囲を、図3に示すように、3つの化合物(A)、(B)、(C)からなる組成で規定する。ただし、化合物(A)は、前掲の一般式(化2)で表されるフッ素化エポキシ化合物で、式中RはCH2(CF2)nCH2を示し、nは1〜4の整数である。また、化合物(B)は非フッ素化エポキシ化合物、化合物(C)はシランカップリング剤である。
【0102】
化合物(A)、(B)、(C)の重量%を単位とする重量比をwA、wB、wCとするとき、前記各化合物が100重量%である点を図3の組成図の各頂点A、B、Cとし、座標(wA,wB,wC)で組成を表す。
【0103】
この組成図において、組成物C1(実施例1)は点(60,40,0)、組成物C2(実施例2)は点(50,49,1)、組成物C3(実施例3)は点(60,20,20)、組成物C4(実施例4)は点(50,30,20)、組成物C5(実施例5)は点(40,45,15)にそれぞれ相当する。
また、組成物C6(比較例1)は点(0,90,10)、組成物C7(比較例2)は点(20,70,10)、組成物C8(比較例3)は点(80,10,10)、組成物C9(比較例4)は点(0,10,90)にそれぞれ相当する。
【0104】
以上の実施例、比較例より、実施例の各組成が含まれるつぎの点、D(80, 20,0)、E(50, 20, 30)、F(30, 40, 30)、G(30, 70, 0)で囲まれた 四角形DEFG内にある組成が好ましいと言え、D(80, 20, 0)、H(60, 20, 20)、I(30, 50, 20)、G(30, 70, 0)で囲まれた四角形DHIG内にある組成がより好ましい。さらに、実施例1および2の組成が含まれるK(70, 30, 0)、L(70, 20, 10)、M(40, 50, 10)、N(40, 60, 0)で囲まれた四角形KLMN内にある組成がもっとも望ましい。この範囲において硬化後の樹脂組成物の屈折率は1.45〜1.48の範囲となり、石英ガラスの屈折率とよく整合する。
【0105】
上記実施例では、化合物(A)のフッ素化エポキシ化合物でn=4の例を示しているが、n=1〜3であってもよい。また化合物(B)は脂環族エポキシ化合物のうち、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(3,4−エポキシシクロヘキサン)カルボキシレートを使用したが、他の脂環族エポキシ化合物あるいは芳香族エポキシ化合物を用いることもできる。シランカップリング剤も3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランに限らず、他の化合物であってもよい。
【0106】
上記実施例では基材として石英ガラス基板を使用し、固体組成物層の屈折率をこれに一致させるように組成を調整した。本発明の成形用組成物を用いた場合、組成の調整によって硬化後の屈折率を一定の範囲で設定できる。したがって石英ガラス以外の基材を使用する場合も他の性能を維持しつつ屈折率を調整することができる。
【0107】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明の成形用樹脂組成物は成形の際の熱収縮が小さく寸法精度の高い微細凹凸構造を提供することができる。また、耐熱性が高く、所望の特性および耐久性を有する誘電体多層膜を硬化後の組成物層上に形成することができる。また基材と屈折率を整合させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光学素子の製造工程を示す図である。
【図2】本発明の実施例の微小レンズアレイの構成を示す模式図である。
【図3】本発明の成形用樹脂組成物の組成範囲を示す図である。
【符号の説明】
10 成形型
20 基材
22 ガラス基板
30 成形用組成物
32 固体組成物層
34 樹脂硬化膜
40 誘電体多層膜
42 密着強化層
45 反射防止膜
50 微小レンズ
100 光学素子
120 凸レンズアレイ
【発明の属する技術分野】
本発明は主として光通信分野で使用される回折格子、フレネルレンズまたは平板状レンズアレイなどの所定表面形状を有する光学素子に関し、とくにそれら所定表面形状を成形技術によって作製するのに適した成形用樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
情報通信容量の増大に伴い、光通信分野では回折格子、微小レンズ列(マイクロレンズアレイ)などの光学素子が多量に使用されるようになっている。これらの光学素子は、その表面に所定の微小凹凸構造を備えることにより光の回折あるいは屈折作用を利用する平板状光学素子である。
【0003】
これら表面の凹凸構造を形成させる方法は種々知られているが、大量にかつ低コストで生産するのに適した方法として、樹脂成形技術が知られている。紫外線硬化樹脂のモノマーを基材上に均一に展開し、凹凸構造を備えた型に接触させながら紫外線を照射する方法が例えば、特許文献1に開示されている。
【0004】
一方、光通信においては光路中からの反射戻り光を防止することが要求される。とくに光通信において使用される石英系光ファイバの端面と上記光学素子との界面からの反射が十分に小さいことが必要である。このような反射を防止する手段としては、誘電体多層膜を光学素子表面に形成する方法がもっとも一般的である。
【0005】
【特許文献1】
特開昭63−49702号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記の樹脂成形技術では、紫外線硬化性モノマーの光重合過程での収縮が大きく、光学素子に対して要求される設計寸法精度を満足できない場合があった。また樹脂は耐熱性に課題があり、誘電体多層膜を成膜する際の基板温度を低く抑える必要があり、誘電体多層膜の膜質、およびその耐久性に課題があった。さらに従来使用されていた樹脂は基材との屈折率差が大きいため、基材−樹脂界面で反射損失が生じ、光学素子に対して要求される性能が十分満足できないという問題点もあった。
【0007】
本発明はこのような従来技術に存在する課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、成形の際の熱収縮が小さく寸法精度の高い成形体を形成でき、かつ耐熱性が高く、所望の特性および耐久性を有する誘電体多層膜をその成形体表面に形成できるような、成形用樹脂組成物を提供することにある。
【0008】
さらに微細凹凸構造を成形によって形成し、その表面に誘電体多層膜による反射防止層を形成した光学素子を提供することをも目的とする。この場合、硬化後の樹脂組成物は透明であり、その屈折率を基材の屈折率と整合させることも目的となる。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の成形用樹脂組成物は、基材と成形型との間に充填押圧した後、熱および紫外線の少なくとも一方を付与して重合硬化させることにより所定の形状を有する固体組成物層を得ることが可能な重合性有機基を含み流動性を有する組成物が対象となる。
【0010】
その組成は、下記の3種類の化合物(A)、(B)、(C)を主成分とし、これらの化合物(A)、(B)、(C)の重量%を単位とする重量比をwA、wB、wCとするとき、各化合物(A)、(B)、(C)がそれぞれ100重量%である点を頂点A、B、Cとする正三角形ABC内の座標(wA,wB,wC)で表して、D(80, 20, 0)、E(50, 20, 30)、F(30, 40, 30)、G(30, 70, 0)で囲まれた四角形DEFG内にあることが望ましい。
【0011】
また、D(80, 20, 0)、H(60, 20, 20)、I(30, 50, 20)、G(30, 70, 0)で囲まれた四角形DHIG内にあればより好ましく、K(70, 30, 0)、L(70, 20, 10)、M(40, 50, 10)、N(40, 60, 0)で囲まれた四角形KLMN内にあればもっとも好ましい。
【0012】
ただし、化合物(A)は、下記一般式(化2)で表されるフッ素化エポキシ化合物とする。
【化2】
ここでRはCH2(CF2)nCH2(nは正の整数)であるが、nは1〜4が好ましい。
【0013】
化合物(B)は非フッ素化エポキシ化合物であり、脂環エポキシ化合物であるのが好ましい。化合物(C)はシランカップリング剤である。とくにエポキシ基を含有するのが好ましく、なかでもγエポキシ基またはシクロへキシル基を含有するのが望ましい。
【0014】
上記の樹脂組成物は耐熱性が高く、基板温度を250℃程度まで上昇させて誘電体多層膜を形成することができ、緻密で耐候性の高い膜形成が可能である。これにより高い性能を有する反射防止層を形成した光学素子を提供することが可能となる。
【0015】
また、硬化後の樹脂組成物は透明であり、上記組成範囲を選ぶことにより、その屈折率は石英ガラスの屈折率1.46にほぼ一致する。したがって基材を石英ガラスとした場合には、固体組成物層−基材界面での反射を低減することができる。またはこの樹脂組成物からなる光学素子と光ファイバとを光学的に結合させる場合には、光ファイバ端面と樹脂組成物表面の界面での反射を抑制することができる。
【0016】
なお、成形用樹脂組成物は、同組成物を硬化させるための重合開始剤を0.1〜7重量%含有することが望ましい。また、劣化防止のため酸化防止剤を5重量%以下含有することが望ましく、2重量%以下であればより望ましい。
【0017】
以上の組成を有する組成物を使用し、所望の形状を有する成形型によって成形し、熱および紫外線の少なくとも一方を付与して重合硬化させて固体組成物層を得る場合、成形の際の熱収縮が小さいので、成形型との寸法差が小さい成形体を形成できる。また酸化防止剤の作用により、成形物の長期的な劣化を防止することができる。
【0018】
また、本発明の成形用樹脂組成物を硬化した固体組成物層の屈折率は1.45〜1.48の範囲とする。上述のように、屈折率が1.46の石英ガラスを基材として用いた場合、固体組成物層の屈折率は上記成分(A)、(B)、(C)の調合比率を調整することで所定の範囲内で基材の屈折率にほぼ一致する値に選ぶことができ、固体組成物層−基材界面での反射を抑制することができる。
【0019】
本発明の光学素子は、上記の成形用樹脂組成物を、基材と成形型との間に充填押圧した後、熱および紫外線の少なくとも一方を付与して重合硬化させて所定の形状を有する固体組成物層を形成した後、その表面に誘電体膜を少なくとも2層積層する。
この誘電体多層膜は反射防止膜として作用し、上記固体組成物層表面に光を入射させ、基材側に透過させて使用する光学素子において、入射光の反射を抑制することができる。
【0020】
また、光学素子の基材を石英ガラスとすることが好ましい。本発明の成型用樹脂組成物は硬化後の屈折率を石英ガラスのそれにほぼ一致させることができるため、固体組成物層と基材の界面での反射を抑えることができる。
【0021】
本発明の光学素子は、表面形状を選択することによって透過型回折格子、フレネルレンズまたは微小レンズアレイの機能を付与することができる。
【0022】
成形技術を使用するため、これらの光学素子を大量にかつ安価に提供できる。また本発明の成形用樹脂組成物は成形時の収縮が小さいため、所望の設計形状を正確に作り込んだ成形型の形状を正確に転写できる。また、これらの光学素子はいずれも所定の表面形状を有する固体組成物層の表面に光を入射させ、基材側へ透過させて使用されるが、表面に誘電体多層膜による反射防止膜を設け、また固体組成物層と基材の屈折率を整合させることが可能なため、反射損失の少ない光学素子を実現できる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施形態について詳細に説明する。
本発明においては、流動性を有する化合物を重合硬化させて固体組成物を形成する。所定の表面凹凸形状を形成するため、上記化合物を基材と成形型との間に密着させて膜状に挟持し、ついで熱および紫外線の一方あるいは両方を付与し、そのエネルギーによってこれを重合硬化させる。硬化した組成物を成形型から離型し、その後に必要に応じて加熱することにより、成形型の表面形状を反転させた形状が上記組成物表面に転写される。
【0024】
上記のように重合硬化を起こすために、この化合物はその分子内に少なくとも1つの重合性有機基を有していることが必要である。光重合は、重合開始剤の光分解によって生成したラジカルまたはカチオンの重合性有機基への付加重合によって引き起こされる。そのため脱水縮合反応に比べ収縮が小さく、化学的に結合した均一な膜を瞬時に形成させることができる。熱重合の場合は、重合開始剤の熱分解による。よって重合性有機基は、光あるいは熱で重合する有機基を用いる。
【0025】
光重合性有機基としては、エポキシ基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基、ビニル基、およびこれらを含有する有機基を例示することができる。また熱重合性有機基としては、エポキシ基、ビニル基、およびこれらを含有する有機基を例示することができる。
【0026】
エポキシ基を有する液状の重合性化合物としては、フッ素化エポキシ化合物、あるいは脂環式エポキシ化合物、芳香族エポキシ化合物などの非フッ素化エポキシ化合物が例示できる。本発明においては以下に示すようにフッ素化エポキシ化合物と非フッ素化エポキシ化合物を混合して使用する。
【0027】
本発明においては、フッ素化エポキシ化合物としては前掲の一般式(化2)で示される化合物を使用する。
また、フッ素化エポキシ化合物と混合して使用される脂環族エポキシ樹脂の例として以下の構造式で表される化合物が挙げられる。
【0028】
3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(3,4−エポキシシクロヘキサン)カルボキシレート(化3)、
【化3】
ビニルシクロヘキセンジエポキシド(化4)、
【化4】
3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート(化5)、
【化5】
ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート(化6)、
【化6】
ジシクロペンタジエンオキシド(化7)、
【化7】
ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル、リモネンジオキシド(化8)
【化8】
が、耐熱性、耐薬品性、液の粘度の点で取り扱いが容易なこと、硬化性、また原料の入手のし易さの観点から好ましく用いられる。
【0029】
その他、一群の化学式(化9)で示される化合物も使用できる。
【化9】
芳香族エポキシ化合物としては、一般式(化10)
【化10】
におけるXがつぎの化学式(化11〜化14)で表される化合物を例示できる。これらの中でも、ビスフェノールA型(化11)、
【化11】
ビフェニル型(化12)、
【化12】
ビスフェノールF型(化13)、
【化13】
ジフェニルエーテル型(化14)、
【化14】
ビスフェノールS型(化15)、
【化15】
その他の化合物(化16)
【化16】
などが、耐熱性、耐薬品性、液の粘度の観点で取り扱いが容易性、硬化性、また原料の入手のし易さの観点から好ましく用いられる。
【0030】
また、基材との密着性、耐湿性を向上させるため、シランカップリング剤を添加してもよい。シランカップリング剤としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(化17)、
【化17】
3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(化18)、
【化18】
あるいは、2−(3,4−エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシルエチルトリエトキシシラン(以上、化19)を用いることができる。
【化19】
【0031】
成形用組成物に含有される重合性有機基が光重合性である場合には、光重合開始剤を添加する。ラジカル光重合開始剤としては、[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン](S1と略称する。以下同様)、[1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン](S2)、[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピルケトン](S3)、[2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン](S4)、[1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン](S5)、[2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン](S6)、[ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド](S7)、[2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1](S8)を例示することができる。
【0032】
また、カチオン光重合開始剤としては、フェニル−[m−(2−ヒドロキシテトラデシクロ)フェニル]ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート(S9)、ジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(S10)等が例示できる。光重合開始剤の量は、液組成物の全重量に対して、0.1〜7重量%が好ましい。
【0033】
加えて酸化防止剤として燐酸系の化合物を添加しても良い。9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−フォスファフェナンスレン−10−オキサイドが例示できる。主成分に対して5%以下、より好ましくは2%以下含有することが好ましい。
【0034】
本発明の光学素子の所定表面形状は成形によって形成するため、上記重合性有機基を含む化合物は流動性を有する必要があり、その粘度は3〜2500mPa・mの範囲に調整するのが好ましく、100〜1500mPa・mがより好ましく、100〜1000mPa・mが最も好ましい。
【0035】
所定表面形状を有する光学素子を成形するプロセスとしては、代表的に下記2つの方法を挙げることができる。
第1の方法(以下型注ぎ法という)では、成形型に成形用組成物を注ぎ脱気する。つぎに成形型と基材とを接合し、加熱または紫外線照射を行う。これによって組成物は硬化する。硬化した基材上の組成物を成形型から離型し、その後に必要に応じて加熱する。
【0036】
以上の方法を図1により詳細に説明する。表面に所定の微小な凹凸形状を有する成形型10を型面を上に向けて水平に保ち、粘度が100〜1000mPa・mの成形用組成物30をその成形型10の上に注いで成形型の窪みを埋め尽くすように満たす(図1(a))。なお、注ぐ代わりに、その成形型を成形用組成物の浴に浸漬したり、刷毛で成形型表面に塗布する等の方法でもよい。
【0037】
その状態で、成形型10上に満たされた組成物30が空気を含まないように、室温から100℃程度の温度で、2〜5Paに減圧した状態で5〜10分間保持し、液中の泡や溶解酸素を脱気しても良い。
ついで基材20を組成物30と基材表面との間に空隙を生じないように成形型10上の組成物30に接触させ、組成物30を基材20と成形型10との間で層状になるように挟持する(図1(b))。その状態で紫外線を照射しながら20〜100℃で1〜30分間保持するか、または140〜180℃に加熱して10〜120分間保持して、組成物を重合硬化させる。
【0038】
紫外線を照射する場合には、基材20および成形型10の少なくとも一方が紫外線を透過することができる材質からなるものを使用する。つぎに、成形型10を引き剥がして離型することにより、成形型10の表面凹凸形状を反転させた凹凸形状を表面に有する高いガラス転移温度をもつ固体組成物層32が基体20の表面に接合された状態で形成される(図1(c))。
【0039】
ついで必要に応じて、これを最終的に、常圧または2〜5Paの減圧下で、100〜200℃で15〜250分間加熱することにより、固体組成物層に残留する重合開始剤、未重合物を気化させる。これにより固体組成物層は厚み方向にわずかに体積収縮して緻密な膜となる。このようにして形成した所定表面形状を有する固体組成物層32上に、図1(d)に示すように誘電体多層膜40を被覆することにより、本発明の光学素子100が得られる。
【0040】
第2の成形方法(以下、基材注ぎ法という)は成形用組成物を基材表面に直接注ぎ、脱気した後、成形型を基材表面の組成物に押し当て、そのままの状態で紫外線照射あるいは加熱し、転写成形する。その後、成形型を離型し、必要に応じて最終加熱を実施する方法である。
【0041】
以上の方法は第1の方法と図1の(b)以降は同様である。基材の被覆すべき表面を水平に保ち、粘度が100〜1000mPa・mの組成物をその基材の上に注いで所定の厚みになるように層状に広げる。その状態で、組成物が空気を含まないように、室温〜100℃で、2〜5Paに減圧しながら5〜10分間保持して、液中の泡や溶解酸素を脱気してもよい。
【0042】
ついで表面に所定の微小凹凸形状を有する成形型を層状の組成物の上に押し当てて圧力0.5〜120kg/cm2、温度20℃〜150℃で60秒〜60分間保持するか、または上記圧力で押し当て、その状態で紫外線を被照射位置での照射強度が1.0〜120mW/cm2になるように照射しながら、温度20〜100℃で60秒〜30分間保持して、成形用組成物の重合反応をほぼ完了させて硬化させる。
【0043】
紫外線を照射する場合には、基材および成形型の少なくとも一方が紫外線を透過することができる材質からなるものを使用する。そして成形型を引き剥がして離型することにより、成形型の凹凸形状を反転させた凹凸形状を表面に有する固体組成物層が基材の表面に接合された状態で形成される。
【0044】
ついで必要に応じてこれを例えば、常圧または2〜5Paの減圧下で、180〜250℃で15〜350分間加熱することにより、層内に残留する光重合開始剤、未重合物を気化させる。これにより固体組成物層は厚み方向にわずかに体積収縮して緻密な膜となる。
【0045】
このようにして形成した所定表面形状を有する固体組成物層上に、誘電体多層膜を被覆することにより、本発明の光学素子が得られる。
【0046】
本発明において用いられる成形型の最表面にはフッ素樹脂、あるいは金(Au)からなる離型膜を設けることが好ましい。フッ素樹脂は、スピンまたはディップ法により、成型型に均一に成膜される。また金は、成型材料に対する良好な離型性、押圧に耐えうる機械的強度、耐熱性、耐腐食性、および耐酸化性を有するので離型膜として優れた材料である。
【0047】
このような離型膜の厚みは200〜1000nmであることが好ましく、より好ましくは400〜600nmである。離型膜は、表面が平滑であるほど離型性が高いことから、スパッタ法、真空蒸着法、無電解メッキ法、電解メッキ法、箔張り付け法などにより均一、かつ、平滑に成膜されていることが好ましい。
【0048】
上記型芯材の材質としては離型膜に近似した膨張係数を有するものを選ぶことが好ましい。樹脂からなる型芯材は、微細な加工が容易にでき、所望の形状に容易に成形しやすいという利点があり、ガラスまたは金属の型芯材は耐熱性および機械的強度が高く、耐久性に優れている。
【0049】
本発明における成形型はその表面に凹部または凸部が設けられている。凹凸部としては、例えば球状、円錐状、角錐状や断面任意形状のスリット状等を例示できる。そして、球状、円錐状、角錐状は離型膜の全域あるいは部分的に任意数設けられる。一方、凹部としてスリットを設ける場合、スリットは直線状、曲線状に任意条設けてもよく、複数条設ける場合には同心円状、格子状に設けてもよい。
【0050】
このようにして、本発明によれば、100℃以上のガラス転移温度を有し、最大厚み(表面の凹凸の凸部で測った膜厚)が1μm〜1mm、好ましくは20〜150μmで、微細な凹凸形状、例えば、1μm〜500μmの範囲内の所定値の幅(凹凸ピッチ)および5〜500μmの範囲内の所定値の高さを有する表面凹凸が形成された膜が平坦板状または曲面板状の基材上に形成される。
【0051】
この膜は弾力性に富み(脆性が少なく)、膜の強度が高く膜に亀裂が発生し難い。そして膜の内部には成型時の発泡は認められず、また成型時の膜の収縮が小さいため、膜表面の微細凹凸形状の寸法精度が極めて高い優れた転写性が実現できる。具体的には、例えば高さが20〜100μmの凸部を多数形成する場合、膜表面凸部の高さのばらつきは1μm以下である。また膜表面の凸部間隔の成形型からのズレは測定精度(0.2μm)以下である。
【0052】
この発明に用いる基材としては、平板状、曲板状などの形状のものが用いられる。基材として200℃と20℃における基材表面の反り量(基材の表面方向の単位長さあたりのその表面に垂直な方向の熱変形長さ)が1cmあたり±5μm以内であることが望ましい。反り量がこの範囲を越えると膜の成形過程において基材と膜が界面で剥離もしくは膜に亀裂を生じるおそれがあるので、基材の材料、寸法、形状を選ぶことが好ましい。
【0053】
また、この基材は1.5×10−5℃−1以下の線膨張率を有することが好ましい。基材の線膨張率が1.55×10−5℃−1を超えると、例えばポリプロピレン(9〜15×10−5℃−1)のような大きい熱膨張係数を有するプラスチックス基材の場合、組成物の成形過程において基材と膜が界面で剥離したり、膜に亀裂を生じるからである。
【0054】
通常の無機ガラスは1.5×10−5℃−1以下の線膨張率を有する。また基材の少なくとも表面は酸化物であることが好ましい。もし組成物と接する基材表面が酸化物でない場合、膜の成形過程において付着強度が下がり、場合によっては基材と膜が界面で剥離を生じるからである。
【0055】
好ましい基材の材質の例として、石英ガラスをはじめとする珪酸塩系ガラス、ホウ酸塩系ガラス、リン酸塩系ガラス等の酸化物ガラス、石英、セラミックス、シリコン、アルミニウムその他の金属、エポキシ樹脂、ガラス繊維強化ポリスチレンなどを挙げることができる。金属はそのままではオルガノポリシロキサン膜が接合しないが、予め金属の表面を酸化剤で処理しておけば基材として使用することができる。
【0056】
また本発明における基材として、光学素子が使用する波長の光、例えば可視域、紫外域、または赤外域の光に対して透明な物質を用いれば、本発明による光学素子は、レンズアレイ、回折格子(例えばエシェレット回折格子、エシェロン回折格子、エシェル回折格子など)、フレネルレンズなどの透過型光学素子として機能を発揮することができる。
本発明による所定表面形状を有する光学素子製造の各工程についてさらに具体的に説明する。
【0057】
[成形型または基材への溶液の塗布]
光または熱硬化性で流動性を有する成形用組成物を、型注ぎ法では、透明な成形型の表面に注いで50μm〜1mmの厚みの層(粘度:200mPa・m)を得た。基材注ぎ法でも同様である。
【0058】
[接合・照射処理・離型]
型注ぎ法の場合には、上記組成物の上に基材の表面を接触させた後、型と基材との間で組成物を加圧展開させ、その状態で0.5〜30分間紫外線を照射して基材と接合させる。そして組成物が完全に硬化した後、成形型を基材から引き離して離型する。
基材注ぎ法の場合には、上記塗布膜に透明な成形型を押し当て、同様に0.5〜30分間紫外線を照射して基材と接合させ、その後、離型する。
上記いずれの方法によっても、成形型の形状を転写した微細凹凸形状を有する固体状の組成物層が基材表面に付着した状態で得られた。
【0059】
[最終加熱]
離型して得られた固体組成物層の緻密さを向上させるための加熱条件は、150℃で60分間とした。
【0060】
[誘電体多層膜の成膜]
本発明において用いる誘電体多層膜の主要な目的は、光学素子表面からの反射防止である。要求される反射防止特性を実現するため、TiO2/SiO2、Ta2O5/SiO2、ZrO2/SiO2、およびTiO2/MgF2等の2層膜あるいはそれ以上の多層膜を用い、使用波長、戻り光反射減衰量等の要求仕様により各層の膜厚や材料を設計する。単層の膜厚は、通常1〜600nmであることが望ましく、より好ましくは10〜400nmである。
【0061】
膜が緻密である程、耐久性が高いことから、スパッタ法、真空蒸着法、などにより均一、かつ、緻密に成膜することが好ましい。その上で、耐湿性の観点から、誘電体多層膜の成膜温度は50〜250℃とするのが望ましく、より望ましくは80℃〜250℃である。
【0062】
なお、固体組成物層表面に形成した形状の保護およびその上層に形成する反射防止膜との密着性を強化するため、固体組成物層表面と誘電体多層膜の間にSiO2層を設けるのが望ましい。材料はSiO2以外を選ぶこともできる。その膜厚は、1〜300nmであることが好ましく、より好ましくは10〜150nmである。
【0063】
[凸部高さのばらつき測定]
最外層の凸部高さのばらつき測定は、レーザ顕微鏡による高さ測定により実施した。
【0064】
[耐熱性および耐湿性、光学特性測定]
製造した光学素子は、85℃、85%、500hの耐湿試験を行った後、それぞれ室温に戻して、亀裂(クラック)の発生の有無を観察して耐熱性を評価した。また、微小レンズについては、干渉計(He−Neレーザ、λ=633nm)を用いて、球面収差、および基材表面への入射角12°での絶対反射スペクトルを分光光度計を用いて測定し、その極小値の波長シフト量を、耐熱、耐湿試験前後で測定し、特性劣化を評価した。また、アッべ屈折率計を用いて、膜部分のd線の屈折率を測定した。
以下に本発明の光学素子の実施例について説明する。
【0065】
〔成形用組成物の説明〕
〔成型用組成物C1〕前掲の一般化学式(化2)で示すフッ素化エポキシ化合物でn=4とした化合物を60重量部、非フッ素化エポキシ化合物として、脂環族エポキシ化合物である3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(3,4−エポキシシクロヘキサン)カルボキシレート(化3)を40重量部、重合開始剤としてカチオン系開始剤(S9)を1重量部、混合して成形用組成物C1を得た。この樹脂の硬化後の屈折率の温度係数dn/dTは89ppm/℃、ガラス転移温度Tgが150℃であった。
【0066】
〔接着用組成物C2〕前掲の一般化学式(化2)でフッ素化エポキシ化合物でn=4とした化合物を50重量部、非フッ素化エポキシ化合物として、脂環族エポキシ化合物(化3)を47重量部、シランカップリング剤として3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(化18)を1重量部、重合開始剤としてカチオン系開始剤(S9)を1重量部、酸化防止剤として9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−フォスファフェナンスレン−10−オキサイドを2重量部混合して成形用組成物C2を得た。
【0067】
〔成型用組成物C3〕前掲の一般化学式(化2)でフッ素化エポキシ化合物でn=4とした化合物を60重量部、非フッ素化エポキシ化合物として、脂環族エポキシ化合物(化3)を20重量部、シランカップリング剤として3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(化18)を20重量部、重合開始剤としてカチオン系開始剤(S9)を1重量部、混合して成形用組成物C3を得た。
【0068】
〔成型用組成物C4〕前掲の一般化学式(化2)でフッ素化エポキシ化合物でn=4とした化合物を50重量部、非フッ素化エポキシ化合物として、脂環族エポキシ化合物(化3)を30重量部、シランカップリング剤として3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(化18)を20重量部、重合開始剤としてカチオン系開始剤(S9)を1重量部、混合して成形用組成物C4を得た。
【0069】
〔成型用組成物C5〕前掲の一般化学式(化2)でフッ素化エポキシ化合物でn=4とした化合物を40重量部、非フッ素化エポキシ化合物として、脂環族エポキシ化合物(化3)を45重量部、シランカップリング剤として3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(化18)を15重量部、重合開始剤としてカチオン系開始剤(S9)を1重量部、混合して成形用組成物C5を得た。
【0070】
〔成型用組成物C6〕非フッ素化エポキシ化合物として、脂環族エポキシ化合物(化3)を90重量部、シランカップリング剤として3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(化18)を10重量部と重合開始剤としてカチオン系開始剤(S9)を1重量部、混合して成型用組成物C6を得た。
【0071】
〔成型用組成物C7〕前掲の一般化学式(化2)でフッ素化エポキシ化合物でn=4とした化合物を20重量部、非フッ素化エポキシ化合物として、脂環族エポキシ化合物(化3)を70重量部、シランカップリング剤として3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(化18)を10重量部、重合開始剤としてカチオン系開始剤(S9)を1重量部、混合して成形用組成物C7を得た。
【0072】
〔成型用組成物C8〕前掲の一般化学式(化2)でフッ素化エポキシ化合物でn=4とした化合物を80重量部、非フッ素化エポキシ化合物として、脂環族エポキシ化合物(化3)を10重量部、シランカップリング剤として3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(化18)を10重量部、重合開始剤としてカチオン系開始剤(S9)を1重量部、混合して成形用組成物C8を得た。
【0073】
〔成型用組成物C9〕非フッ素化エポキシ化合物として、脂環族エポキシ化合物(化3)を10重量部、シランカップリング剤として3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(化18)を90重量部と重合開始剤としてカチオン系開始剤(S9)を1重量部、混合して成型用組成物C9を得た。
【0074】
[実施例1]
図2に示すような、ガラス基板22上に反射防止膜付き樹脂製凸レンズアレイ120を形成する。ガラス基板22として厚み3.0mmで50mm角の石英ガラスの基板(線膨張率:5.5×10−7℃−1)を超音波アルカリ洗浄および純水洗浄した。成形樹脂として成形用組成物C1を用い、型注ぎ法により、この石英ガラス基板の片側表面に膜を形成して微細凹凸板を形成した。
【0075】
成形型として、曲率半径1.75mm、レンズ直径1.00mm、凹部の深さ73μmをもつ球面弧形状の凹部を縦方向に密接して50個、横方向に密接して50個、合計約2500個有するガラス製成形型(厚み5mm、寸法50mm×50mm)を用いた。この型には離型性を向上させるため、表面にフッ素樹脂をスピンコート法により成膜した。
【0076】
成形用組成物C1は厚さ約100μmとなるように塗布した。紫外線は基板側から強度120mW/cm2、室温で3分間の条件で照射した。離型後の最終加熱条件は150℃、60分であった。
【0077】
成形後の樹脂硬化膜34の最も薄い領域の膜厚dは約20μm、球面状凸部頂上からの最大膜厚Dは91.5μmであった。膜は透明で屈折率は1.46であり、石英ガラス基板との屈折率の整合がよいため挿入損失は−0.5dB以下と基板との界面での反射損失は極めて小さかった。膜中にはフッ素化アルキル基部分[−CH2 (CF2)4CH2−]が含まれていた。
【0078】
その後基板温度200℃昇温させた後、蒸着法により密着強化層42としてSiO2(100nm)を成膜した。連続して反射防止膜45として、TiO2(74.8nm)/SiO2(64.8nm)/TiO2(189.7nm)/SiO2(266.5nm)を成膜した。
この微小凸レンズ(マイクロレンズ)50の焦点距離は、3.297〜3.300mmであった。
【0079】
この凸レンズアレイ基板内からランダムに選んだ100点の球面凸部について測定したところ、平均高さ71.5μm、標準偏差0.12μmであった。これから計算される硬化膜の収縮率は約2%であり、このマイクロレンズ50のHe−Neレーザ(λ=633nm)により測定した球面収差は、RMS=0.05λ、標準偏差0.001λであった。
【0080】
この凸レンズアレイ基板の耐湿性評価を行った結果、膜に亀裂や剥離は生じず、すべての凸部の焦点距離は−20〜85℃の温度範囲において3.297〜3.300mmの範囲にあって耐湿試験前と変わらず、また膜の反対側から垂直に平行光を入射させて集光スポットの直径を測定したところ、すべての凸部レンズについて集光スポットの直径は3μm以内であり、耐湿試験前の値と変わらなかった。
【0081】
また反射防止膜の特性を評価するため、分光光度計により反射スペクトルを測定したところ、その極小値は全く変動していなかった。走査電子顕微鏡での無反射膜の断面観察においても、膜中に10nm以上の粒塊や、柱状構造の無い緻密な膜の形成が確認された。
【0082】
[実施例2]
成型材料として、成形用組成物C2を用いて、実施例1と同様に凸レンズアレイ基板を形成したところ、最も薄い領域の膜厚dは約30μmであった。膜は透明で屈折率は1.476であり、石英ガラス基板との屈折率の整合がよいため挿入損失は−0.5dB以下と基板との界面での反射損失は極めて小さかった。また、実施例1同様の構成で、基板温度150℃で成膜した反射防止膜にはクラック等の異常は認められなかった。
【0083】
凸レンズ(マイクロレンズ)の焦点距離は、−20〜85℃の全温度範囲で3.297〜3.300mmであった。この凸レンズ基板の凸部の高さは、ランダムに選んだ100点の球面凸部について測定したところ、平均高さ71.5μm、標準偏差0.12μmであった。これから計算される硬化膜の収縮率は約2%であり、このマイクロレンズのHe−Neレーザ(λ=633nm)により測定した球面収差は、RMS=0.05λ、標準偏差0.001λであった。
【0084】
この凸レンズ基板の耐湿性評価を行った結果、膜に亀裂や剥離は生じず、すべての凸部の焦点距離は3.297〜3.300mmの範囲にあって耐湿試験前と変わらず、また膜の反対側から垂直に平行光を入射させて集光スポットの直径を測定したところ、すべての凸部レンズについて集光スポットの直径は3μm以内であり、耐湿試験前の値と変わらなかった。無反射膜の特性を評価するため、分光光度計により反射スペクトルを測定したところ、その極小値の変動は20nmと非常に小さかった。
【0085】
[実施例3]
成型材料として、成形用組成物C3を用いて、実施例1と同様に微細凹凸基板を形成したところ、最も薄い領域の膜厚dは約30μmであった。膜は透明で屈折率は1.467であり、石英基板との屈折率の整合がよいため挿入損失は−0.5dB以下と基板との界面での反射損失は極めて小さかった。また、実施例1同様の構成で、基板温度120℃で成膜した反射防止膜にはクラック等の異常は認められなかった。
【0086】
凸レンズ(マイクロレンズ)の焦点距離は、3.300〜3.303mmであった。この膜付き板(微細凹凸板)の凸部の高さは、ランダムに選んだ100点の球面凸部について測定したところ、平均高さ72.3μm、標準偏差0.13μmであった。これから計算される硬化膜の収縮率は約2%であり、このマイクロレンズのHe−Neレーザー(λ=633nm)により測定した球面収差は、RMS=0.05λ、標準偏差0.001λであった。
【0087】
この試料の耐湿性評価を行った結果、膜に亀裂や剥離は生じず、すべての凸部の焦点距離は3.300〜3.303mmの範囲にあって耐湿試験前と変わらず、また膜の反対側から垂直に平行光を入射させて集光スポットの直径を測定したところ、すべての凸部レンズについて集光スポットの直径は3μm以内であり、耐湿試験前の値と変わらなかった。反射防止膜の特性を評価するため、分光光度計により反射スペクトルを測定したところ、その極小値の変動は50nmと小さかった。
[実施例4]
成型材料として、成形用組成物C4を用いて、実施例1と同様に凸レンズアレイ基板を形成したところ、最も薄い領域の膜厚dは約25μmであった。膜は透明で屈折率は1.476であり、石英ガラス基板との屈折率の整合がよいため挿入損失は−0.5dB以下と基板との界面での反射損失は極めて小さかった。また、実施例1同様の構成で、基板温度150℃で成膜した反射防止膜にはクラック等の異常は認められなかった。
【0088】
凸レンズ(マイクロレンズ)の焦点距離は、−20〜85℃の全温度範囲で3.297〜3.300mmであった。この凸レンズ基板の凸部の高さは、ランダムに選んだ100点の球面凸部について測定したところ、平均高さ71.5μm、標準偏差0.12μmであった。これから計算される硬化膜の収縮率は約2%であり、このマイクロレンズのHe−Neレーザ(λ=633nm)により測定した球面収差は、RMS=0.05λ、標準偏差0.001λであった。
【0089】
この凸レンズ基板の耐湿性評価を行った結果、膜に亀裂や剥離は生じず、すべての凸部の焦点距離は3.297〜3.300mmの範囲にあって耐湿試験前と変わらず、また膜の反対側から垂直に平行光を入射させて集光スポットの直径を測定したところ、すべての凸部レンズについて集光スポットの直径は3μm以内であり、耐湿試験前の値と変わらなかった。無反射膜の特性を評価するため、分光光度計により反射スペクトルを測定したところ、その極小値の変動は20nmと非常に小さかった。
【0090】
[実施例5]
成型材料として、成形用組成物C5を用いて、実施例1と同様に凸レンズアレイ基板を形成したところ、最も薄い領域の膜厚dは約30μmであった。膜は透明で屈折率は1.477であり、石英ガラス基板との屈折率の整合がよいため挿入損失は−0.5dB以下と基板との界面での反射損失は極めて小さかった。また、実施例1同様の構成で、基板温度150℃で成膜した反射防止膜にはクラック等の異常は認められなかった。
【0091】
凸レンズ(マイクロレンズ)の焦点距離は、−20〜85℃の全温度範囲で3.297〜3.300mmであった。この凸レンズ基板の凸部の高さは、ランダムに選んだ100点の球面凸部について測定したところ、平均高さ71.5μm、標準偏差0.12μmであった。これから計算される硬化膜の収縮率は約2%であり、このマイクロレンズのHe−Neレーザ(λ=633nm)により測定した球面収差は、RMS=0.05λ、標準偏差0.001λであった。
【0092】
この凸レンズ基板の耐湿性評価を行った結果、膜に亀裂や剥離は生じず、すべての凸部の焦点距離は3.297〜3.300mmの範囲にあって耐湿試験前と変わらず、また膜の反対側から垂直に平行光を入射させて集光スポットの直径を測定したところ、すべての凸部レンズについて集光スポットの直径は3μm以内であり、耐湿試験前の値と変わらなかった。無反射膜の特性を評価するため、分光光度計により反射スペクトルを測定したところ、その極小値の変動は20nmと非常に小さかった。
【0093】
[比較例1]
実施例1で用いた成形用組成物C1の代わりに成形用組成物C6を用い、その他は実施例1と同じ基材および成形型を用いて実施例1に記載の方法で凸レンズアレイ基板を形成した。
得られた膜は最も薄い領域の膜厚dは約60μmであった。また、実施例1同様の構成で、基板温度150℃で成膜した反射防止膜にはクラック等の異常は認められなかった。
【0094】
凸レンズ(マイクロレンズ)の焦点距離は、−20〜85℃の全温度範囲で3.297〜3.300mmであった。この凸レンズ基板の凸部の高さは、ランダムに選んだ100点の球面凸部について測定したところ、平均高さ71.5μm、標準偏差0.12μmであった。これから計算される硬化膜の収縮率は約2%であり、このマイクロレンズのHe−Neレーザ(λ=633nm)により測定した球面収差は、RMS=0.05λ、標準偏差0.001λであった。
【0095】
この凸レンズ基板の耐湿性評価を行った結果、膜に亀裂や剥離は生じず、すべての凸部の焦点距離は3.297〜3.300mmの範囲にあって耐湿試験前と変わらず、また膜の反対側から垂直に平行光を入射させて集光スポットの直径を測定したところ、すべての凸部レンズについて集光スポットの直径は3μm以内であり、耐湿試験前の値と変わらなかった。しかし硬化物の屈折率を測定したところ1.52であり、石英ガラス基板との界面反射により挿入損失が1.0dB発生した。
【0096】
[比較例2]
実施例1で用いた成形用組成物C1の代わりに成形用組成物C7を用い、その他は実施例1と同じ基材および成形型を用いて実施例1に記載の方法で凸レンズアレイ基板を形成した。
得られた膜は最も薄い領域の膜厚dは約50μmであった。また、実施例1同様の構成で、基板温度150℃で成膜した反射防止膜にはクラック等の異常は認められなかった。しかし、硬化物の屈折率は1.50であり、石英ガラス基板との界面反射による挿入損失が0.8dB発生した。
【0097】
[比較例3]
実施例1で用いた成形用組成物C1の代わりに成形用組成物C8を用い、その他は実施例1と同じ基材および成形型を用いて実施例1に記載の方法で凸レンズアレイ基板を形成した。
【0098】
得られた膜は最も薄い領域の膜厚dは約50μmであった。また、実施例1同様の構成で、基板温度150℃で成膜した反射防止膜にはクラック等の異常は認められなかった。しかし、硬化物の屈折率は1.41であり、石英ガラス基板との界面反射による挿入損失が0.8dB発生した。
【0099】
[比較例4]
実施例1で用いた成形用組成物C1の代わりに成形用組成物C9を用い、その他は実施例1と同じ基材および成形型を用いて実施例1に記載の方法で凸レンズアレイ基板を形成した。
【0100】
得られた膜は最も薄い領域の膜厚dは約35μmであった。また、実施例1同様の構成で、基板温度150℃で成膜した反射防止膜にはクラック等の異常は認められなかった。しかし、硬化物の屈折率は1.49であり、石英ガラス基板との界面反射による挿入損失が0.7dB発生した。
【0101】
以上の実施例、比較例から勘案し、本発明においては好ましい成形用樹脂組成物の組成範囲を、図3に示すように、3つの化合物(A)、(B)、(C)からなる組成で規定する。ただし、化合物(A)は、前掲の一般式(化2)で表されるフッ素化エポキシ化合物で、式中RはCH2(CF2)nCH2を示し、nは1〜4の整数である。また、化合物(B)は非フッ素化エポキシ化合物、化合物(C)はシランカップリング剤である。
【0102】
化合物(A)、(B)、(C)の重量%を単位とする重量比をwA、wB、wCとするとき、前記各化合物が100重量%である点を図3の組成図の各頂点A、B、Cとし、座標(wA,wB,wC)で組成を表す。
【0103】
この組成図において、組成物C1(実施例1)は点(60,40,0)、組成物C2(実施例2)は点(50,49,1)、組成物C3(実施例3)は点(60,20,20)、組成物C4(実施例4)は点(50,30,20)、組成物C5(実施例5)は点(40,45,15)にそれぞれ相当する。
また、組成物C6(比較例1)は点(0,90,10)、組成物C7(比較例2)は点(20,70,10)、組成物C8(比較例3)は点(80,10,10)、組成物C9(比較例4)は点(0,10,90)にそれぞれ相当する。
【0104】
以上の実施例、比較例より、実施例の各組成が含まれるつぎの点、D(80, 20,0)、E(50, 20, 30)、F(30, 40, 30)、G(30, 70, 0)で囲まれた 四角形DEFG内にある組成が好ましいと言え、D(80, 20, 0)、H(60, 20, 20)、I(30, 50, 20)、G(30, 70, 0)で囲まれた四角形DHIG内にある組成がより好ましい。さらに、実施例1および2の組成が含まれるK(70, 30, 0)、L(70, 20, 10)、M(40, 50, 10)、N(40, 60, 0)で囲まれた四角形KLMN内にある組成がもっとも望ましい。この範囲において硬化後の樹脂組成物の屈折率は1.45〜1.48の範囲となり、石英ガラスの屈折率とよく整合する。
【0105】
上記実施例では、化合物(A)のフッ素化エポキシ化合物でn=4の例を示しているが、n=1〜3であってもよい。また化合物(B)は脂環族エポキシ化合物のうち、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(3,4−エポキシシクロヘキサン)カルボキシレートを使用したが、他の脂環族エポキシ化合物あるいは芳香族エポキシ化合物を用いることもできる。シランカップリング剤も3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランに限らず、他の化合物であってもよい。
【0106】
上記実施例では基材として石英ガラス基板を使用し、固体組成物層の屈折率をこれに一致させるように組成を調整した。本発明の成形用組成物を用いた場合、組成の調整によって硬化後の屈折率を一定の範囲で設定できる。したがって石英ガラス以外の基材を使用する場合も他の性能を維持しつつ屈折率を調整することができる。
【0107】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明の成形用樹脂組成物は成形の際の熱収縮が小さく寸法精度の高い微細凹凸構造を提供することができる。また、耐熱性が高く、所望の特性および耐久性を有する誘電体多層膜を硬化後の組成物層上に形成することができる。また基材と屈折率を整合させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光学素子の製造工程を示す図である。
【図2】本発明の実施例の微小レンズアレイの構成を示す模式図である。
【図3】本発明の成形用樹脂組成物の組成範囲を示す図である。
【符号の説明】
10 成形型
20 基材
22 ガラス基板
30 成形用組成物
32 固体組成物層
34 樹脂硬化膜
40 誘電体多層膜
42 密着強化層
45 反射防止膜
50 微小レンズ
100 光学素子
120 凸レンズアレイ
Claims (14)
- 基材と成形型との間に充填押圧した後、熱および紫外線の少なくとも一方を付与して重合硬化させることにより所定の形状を有する固体組成物層を得ることが可能な重合性有機基を含み流動性を有する成形用樹脂組成物において、その組成は、下記の3種類の化合物(A)、(B)、(C)を主成分とし、該化合物(A)、(B)、(C)の重量%を単位とする重量比をwA、wB、wCとするとき、前記各化合物が100重量%である点を頂点A、B、Cとする正三角形ABC内の座標(wA,wB,wC)で表して、D(80, 20, 0)、E(50, 20, 30)、F(30, 40, 30)、G(30, 70, 0)で囲まれた 四角形DEFG内にあることを特徴とする成形用樹脂組成物。
ただし、化合物(A)は、下記一般式(化1)で表されるフッ素化エポキシ化合物(式中RはCH2(CF2)nCH2、nは正の整数)、
- 前記組成が、前記座標を用いて、D(80, 20, 0)、H(60, 20, 20)、I(30, 50, 20)、G(30, 70, 0)で囲まれた四角形DHIG内にあることを特徴とする請求項1に記載の成形用樹脂組成物。
- 前記組成が、前記座標を用いて、K(70, 30, 0)、L(70, 20, 10)、M(40, 50, 10)、N(40, 60, 0)で囲まれた四角形KLMN内にあることを特徴とする請求項2に記載の成形用樹脂組成物。
- 前記成形用樹脂組成物は、重合開始剤を0.1〜7重量%含有することを特徴とする請求項1に記載の成形用樹脂組成物。
- 前記成形用樹脂組成物は、酸化防止剤を5重量%以下含有することを特徴とする請求項1に記載の成形用樹脂組成物。
- 前記成形用樹脂組成物は、酸化防止剤を2重量%以下含有することを特徴とする請求項5記載の成形用樹脂組成物。
- 前記成形用樹脂組成物を硬化した固体組成物層の屈折率が1.45〜1.48の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の成形用樹脂組成物。
- 前記化合物(A)において、nは1、2、3または4である請求項1に記載の成形用樹脂組成物。
- 前記化合物(B)が脂環エポキシ化合物である請求項1に記載の成形用樹脂組成物。
- 前記化合物(C)がエポキシ基を含有する請求項1に記載の成形用樹脂組成物。
- 前記化合物(C)がγエポキシ基およびシクロへキシル基を含有する請求項1に記載の成形用樹脂組成物。
- 請求項1〜11のいずれか一項に記載の成形用樹脂組成物を、基材と成形型との間に充填押圧した後、熱および紫外線の少なくとも一方を付与して重合硬化させることによって作製した所定の形状を有する固体組成物層の表面に誘電体膜を少なくとも2層積層して構成されることを特徴とする光学素子。
- 前記基材は石英ガラスである請求項12に記載の光学素子。
- 前記所定の表面形状によって透過型回折格子、フレネルレンズまたは微小レンズアレイの機能が付与されたことを特徴とする請求項12または13に記載の光学素子。
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US7883764B2 (en) | 2006-10-16 | 2011-02-08 | Hitachi Chemical Company, Ltd. | Fine resinous structure, fabrication thereof, and polymerizable resin-precursor composition |
JP2019151809A (ja) * | 2018-03-06 | 2019-09-12 | 株式会社タムロン | 光学素子形成用樹脂組成物及び光学素子 |
-
2003
- 2003-01-08 JP JP2003002290A patent/JP2004211021A/ja not_active Withdrawn
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