JP2004209755A - インクジェット記録ヘッド用基体及びそれを用いたインクジェット記録ヘッド及びその作製方法 - Google Patents

インクジェット記録ヘッド用基体及びそれを用いたインクジェット記録ヘッド及びその作製方法 Download PDF

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Abstract

【課題】基体面に垂直な方向にインクを吐出する構造を有するインクジェット記録ヘッドにおける吐出口の高密度配置に十分に対応でき、信頼性の高いインクジェット記録ヘッドを提供することにある。
【解決手段】基体に基体よりもエッチングされ易い材料からなる犠牲層をインク供給口から櫛刃形に伸びるインク流路の少なくとも根元部分を含む領域に対応して設け、基体裏面からインク供給口をエッチングにより形成する際に犠牲層に沿って犠牲層下の基体表面に窪みを形成する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液体をオリフィスから噴射して液滴を形成するインクジェット記録ヘッド用基体、それを用いたインクジェット記録ヘッド及びその製法に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録ヘッドの作成方法として、特開平5−330066号公報、及び特開平6−286149号公報が提案されている。これらはインク吐出圧力発生素子が形成された基体上に流路型材となる溶融可能な樹脂をパターンし、その上にインク流路壁及びオリフィスプレートとなる樹脂を被覆し、それに吐出口を形成した後、溶融可能な樹脂を溶出させるという製造方法を示しており、張り合わせ工程のいらない高精度の製造方法を提案している。これらのインクジェット記録ヘッドは吐出圧力発生素子が形成された基体に対して、垂直方向にインク液滴が吐出するものであり、「サイドシュータ型」インクジェット記録ヘッドと称する構造を有する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
一般的にサイドシュータ型インクジェット記録ヘッドにおいては各々の吐出口からの吐出の際に発生するインクの圧力や逆流が隣接する吐出口のメニスカスに影響を及ぼす現象(クロストーク)を抑えるためにリブというインク流路壁を設けて仕切り、共通のインク流路より先は吐出口ごとの流路を形成している(第7図参照)。
【0004】
しかし、このような構成では記録ヘッドが高精細化するに伴い隣接する吐出口の間隔が短くなり、これによりインク流路の幅は狭くなってしまう。インク流路の幅が狭くなると流れの抵抗が増し、インク吐出後にインクがインク流路を再び満たすのに要する時間(リフィル時間)が長くなる為、インク流路を高くするか、もしくは吐出圧力発生素子と共通のインク供給口との距離を短くする必要がある。しかし、インク流路を高くするためオリフィスプレートも高くすると吐出圧力発生素子と吐出口表面までの距離が遠くなり、安定して小液滴を吐出することが難しくなる。またオリフィスプレートを薄くすればその強度が損なわれ、信頼性が低下してしまうことになる。
【0005】
そして吐出圧力発生素子と共通のインク供給口との距離を短くすることは、隣接する吐出圧力発生素子の流路上の距離を縮めることになり、クロストークが大きくなってしまう。
【0006】
これらの手段を用いずにインクのリフィル時間を短縮させるには、共通のインク供給口から各吐出口まで伸びているインク流路の底面を吐出圧力発生素子の手前まで窪ませると方法が有効である。しかし、表面に複雑な形状の窪みがあるインクジェット記録ヘッド用基体上に、特開平5−330066号公報(特許公報1)、及び特開平6−286149号公報(特許文献2)で提案されているような張り合わせ工程を用いない手法でオリフィスプレートやインク流路を形成することは困難であるという問題があった。
【0007】
本発明の目的は、基体面に垂直な方向にインクを吐出する構造を有するインクジェット記録ヘッドにおける吐出口の高密度配置に十分に対応でき、信頼性の高いインクジェット記録ヘッドを提供することにある。
【0008】
【特許文献1】
特開平5−330066号公報
【特許文献2】
特開平6−286149号公報
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の問題を解決するには、ウエハ表面にオリフィスプレートやインク流路を形成した後にインク流路底面を窪ませることができるようなインクジェット記録ヘッド用基体、及びインクジェット記録ヘッド作製方法を用いればよい。
【0010】
即ち、本発明は以下を提案するものである。
【0011】
本発明にかかるインクジェット記録用基体は、シリコンからなる基体と、該基体の表面に配置されたインクを吐出させるための複数のインク吐出圧発生素子と、該複数のインク吐出圧発生素子のそれぞれに対応して設けられた複数の吐出口を有するオリフィスプレートと、該基体の裏面から該基体を貫通して設けられ、該複数の吐出口に共通するインク供給口と、該基体の表面と該オリフィスプレートとの間に、各吐出口に対して独立に設けられ、該インク供給口から該基体表面に沿って櫛刃形に伸びて各吐出口に連通したインク流路と、を有し、前記吐出口からのインクの吐出方向が該基体の表面に対して垂直であるインクジェット記録ヘッド用の基体であって、
基体と、基体の表面に設けられたインクを吐出させるための複数のインク吐出圧発生素子と、該基体よりもエッチングされ易い材料で形成され、前記インク供給口の少なくとも一部となる領域及び前記インク流路の前記櫛刃形の根元を少なくとも含む領域を占める犠牲層と、
を有することを特徴とするインクジェット記録ヘッド用基体である。
【0012】
本発明にかかるインクジェット記録ヘッドは、基体と、該基体の表面に配置されたインクを吐出させるための複数のインク吐出圧発生素子と、該複数のインク吐出圧発生素子のそれぞれに対応して設けられた複数の吐出口を有するオリフィスプレートと、該基体の裏面から該基体を貫通して設けられ、該複数の吐出口に共通するインク供給口と、該基体の表面と該オリフィスプレートとの間に、各吐出口に対して独立に設けられ、該インク供給口から該基体表面に沿って櫛刃形に伸びて各吐出口に連通したインク流路と、を有し、前記吐出口からのインクの吐出方向が該基体の表面に対して垂直であるインクジェット記録ヘッドであって、前記インク流路の底部の前記櫛刃形の根元を少なくとも含む領域が、該基体表面より窪んだ凹部として形成されていることを特徴とするインクジェット記録ヘッドである。
【0013】
本発明にかかるインクジェット記録ヘッドの製造方法は、基体と、該基体の表面に配置されたインクを吐出させるための複数のインク吐出圧発生素子と、該複数のインク吐出圧発生素子のそれぞれに対応して設けられた複数の吐出口を有するオリフィスプレートと、該基体の裏面から該基体を貫通して設けられ、該複数の吐出口に共通するインク供給口と、該基体の表面と該オリフィスプレートとの間に、各吐出口に対して独立に設けられ、該インク供給口から該基体表面に沿って櫛刃形に伸びて各吐出口に連通したインク流路と、を有し、該吐出口からのインクの吐出方向が該基体の表面に対して垂直であるインクジェット記録ヘッドの製造方法であって、
(a)基体の表面に少なくとも複数の吐出圧発生素子を各インク流路に対応する位置に配置する工程と、
(b)前記吐出圧発生素子が設けられた基体の表面に、前記インク供給口の少なくとも一部となる領域及び前記インク流路の底部の前記櫛刃形の根元を少なくとも含む領域を占める位置に、該基体よりもエッチングされ易い材料からなる犠牲層を設ける工程と、
(c)該犠牲層が設けられた基体の表面にパッシベーション層を設ける工程と、
(d)該基体の吐出圧発生素子が配置されていない裏面にインク供給口を形成するための開口部を有するマスク層を設ける工程と、
(e)前記パッシベーション層上に、前記インク流路となる領域を占める流路型材と、前記オリフィスプレートを形成するためのオリフィスプレート形成用部材とをこの順に積層する工程と、
(f)前記裏面の開口部から前記基体をエッチングして該基体を貫通して前記犠牲層に達するインク供給口となる開口を形成する工程と、
(g)該犠牲層を除去する工程と、
(h)該犠牲層と接する基体表面をエッチングして窪みを形成する工程と、
(i)前記オリフィスプレート形成用部材の各吐出圧発生素子に対応する位置に吐出口を形成する工程と、
(j)前記流路型材を前記インク供給口となる開口から除去して、前記インク流路を形成する工程と
を有することを特徴とするインクジェット記録ヘッドの製造方法である。
【0014】
前記基体としてはシリコンがからなるものが好ましい。また、前記エッチングとしては、アルカリ性水溶液をエッチャントして用いたエッチングを利用できる。更に、このアルカリ水溶液としては、水酸化カリウムまたは水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)またはエチレンジアミン−ピロカテコール−水(EPW)またはヒドラジンなどの水溶液が好ましい。また、前記犠牲層は、上記のエッチャントにおいて除去可能であり、前記(e)〜(h)の工程を1回のエッチング工程で行うことができる。
【0015】
本発明においては、基体上に設けた基体よりもエッチングされ易い犠牲層が存在することで、基体をエッチングして、これを貫通するインク供給口を形成する場合に、犠牲層が除去された後に、基体のインク流路底面となる部分もエッチングされ、少なくともインク流路のインク供給口との接続部の底部に窪みが形成される。この窪みの形成によって各インク流路に共通するインク供給口から各インク流路へのインクのリフィルが良好に行われ、インク流路を高密度に配置した場合に対しても良好な性能を確保できる。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明におけるインクジェット記録ヘッドは、基体の裏面から基体を貫通して設けられたインク供給口を介して供給されたインクを、基体の表面(おもて面)に設けられた吐出口から基体に対して垂直な方向にインクを吐出させる構成を有する。その代表的な構造は図7に示すとおりであるが、本発明においては、図1に示されるように、インク流路104の一部、すなわちインク供給口106と接続する櫛刃形のインク流路の根元部分を少なくとも含む一部の底部が、基体101に形成された窪みから構成されている。なお、図示した構成では、インク流路の底部にインク吐出圧発生素子からの吐出圧が付与される吐出圧付与部分が吐出口103に対応した位置しており、この部分を除いた部分に窪みが形成されている。
【0017】
この窪み構造をインク流路の一部の底部に有する構造は、例えば以下に示す方法により得ることができる。
【0018】
まず、インクジェット記録ヘッド用基体について説明する。
【0019】
シリコンなどからなる平板状の基体の表面(おもて面)の所定位置、すなわち基体上に形成される複数の吐出口の位置に対応した位置に複数の吐出圧発生素子を配置する。なお、吐出圧発生素子を駆動させるための配線等も基体上に形成される。基体としては、シリコンからなるものが好ましい。基体の表面に吐出圧発生素子などを配置する。
【0020】
更に、基体表面に基体よりもエッチングし易い材料からなる犠牲層を設ける。
【0021】
犠牲層の形成は吐出圧発生素子とその駆動回路を形成する前でもよい。
【0022】
この犠牲層の基体表面方向(基体表面上方から見た平面図における形状)は、インク供給口の一部となる帯状部分209−1と、この帯状部分209−1から櫛刃形に伸びた部分209−2とを有する。櫛刃形に伸びた部分209−2は、インク流路の底部を形成する領域を占めている。なお、インク流路は図1に示すとおり、吐出圧力発生素子202の配置位置に形成されるインク流路内の吐出圧付与部まで伸びるように形成されるが、犠牲層209は、この吐出圧付与部の手前まで形成される。こうすることで、吐出圧付与部以外の部分で、櫛刃形の根元を少なくとも含んで連続したインク流路底部となる窪み部分を基体に形成することが可能となる。
【0023】
このとき犠牲層は基体に対して十分に速くエッチングされることが望まれる。つまり犠牲層がエッチングされていく際、その櫛歯形部分の根元にある角部の基体は2方向からエッチャントに曝されるために急速にエッチングされていくことになる。この基体角部のエッチング速度に対して犠牲層のエッチング速度が十分に速くなければインク流路底部に沿って櫛歯形に窪みを形成することができないからである。第8図は犠牲層(アルミニウム)がエッチングされていく途中で処理を止めて基体表面のポジレジスト等の樹脂層とパッシベイション層を除去した後撮影したSEM写真である。犠牲層が速くエッチングされていると同時に基体の角部分も速くエッチングが進行してる様子が見られる。
【0024】
次に、基体の表面にパッシベーション層が形成される。
【0025】
パッシベーション層を形成した段階の基体の表面の犠牲層と吐出圧力発生素子の配置関係を示す平面図及び基体の断面図を図2(a)及び(b)にそれぞれ示す。なお、先に図1に示したとおり、この基体上には吐出圧力発生素子となるヒーターとその駆動回路(図示しない)が作られている。これらの各構成は、汎用の半導体工程により得ることができる。
【0026】
犠牲層は、基体よりエッチングし易い、例えば、エッチングレートの早い材料から構成される。基体にシリコン基体を用いた場合には、犠牲層としてポリシリコンやアルミニウムなどを用いることができる。更に、パッシベイション層としては窒化シリコン層を利用することができ、これはプラズマCVD法などでの成膜によって形成することができる。
【0027】
犠牲層の層厚は、犠牲層の形成効率やこれを基体から除去する際の取扱い性などを考慮すると、例えば1000〜10000Åの範囲から選択することが好ましい。また、パッシベイション層は、各吐出圧力発生素子及び配線間の絶縁及びインク流路中のインクに対する各吐出圧力発生素子及び配線などの保護の機能を有するもので、かかる機能を考慮し、更に、犠牲層上の部分が基体上から削除されることを考慮して、その材質及び膜厚等を選択することができる。窒化シリコン膜を用いる場合の膜厚としては、例えば1000〜20000Åの範囲から選択することは好ましい。
【0028】
本発明にかかるインクジェット記録用基体は図2に示す構成を有することができ、基体の裏面には更にインク供給口の開口に利用されるマスク層208が設けられていてもよい。このマスクは、基体のエッチングの際のレジストとして作用できるものであればよい。シリコンを基体とした場合は、シリコン酸化膜をこのマスク材料として好適に利用できる。
【0029】
上記の構成の基体を用いたインクジェット記録ヘッドの製造は以下のようにして行うことができる。
【0030】
まず、図3に示すように、基体201の裏面のマクス材料層208のインク供給口の形成位置に対応する部分に開口を形成する。酸化膜を用いた場合は、酸化膜をポジレジストをマスクとしてバッファードフッ酸によりパターニングすることでこの開口を形成することができる。
【0031】
次に、基体表面に溶出可能な流路型材を所定の櫛刃状の流路に相当する形状で設け、更に、その上に吐出口を有するオリフィスプレートを形成するための吐出口形成用材料を積層する。なお、このオリフィスプレート成用材料は、インク流路の側壁を合わせて形成するものであってもよい。
【0032】
流路型材には公知の材料が利用できる。例えば、ポリメチルイソプロペニルケトンを主材としたポジレジストを塗布し、Deep−UV光により露光し、現像を行って所望の型材としての形状にパターニングすることでこの流路型材を得ることができる。更に、オリフィスプレート成用材料としてもカチオン重合型エポキシ樹脂などの公知の材料を利用することができる。例えば、カチオン重合型エポキシ樹脂を流路型材を被覆するように塗布し、露光、現像工程により吐出口を形成することができる。
【0033】
なお、吐出口は、その後の工程からこれを保護するため、基体表面側に環化ゴムなどの保護剤を塗布しておくとよい。
【0034】
こうして得られた状態を図4に示す。図4に示す例では、パッシベーション層上の所定位置、すなわち、インク供給口とインク供給口から伸びる各櫛刃形のインク流路となる領域に相当する型材410、オリフィスプレート411、保護剤層412が設けられている。
【0035】
次に、図5(a)及び(b)に示すように、基体裏面に設けたマスクの開口部から基体を犠牲層に到達するまでエッチングする。犠牲層がエッチングされた開口中に露出したところで、犠牲層を除去して犠牲層が占めていた部分を空洞化させる。更に、犠牲層が抜けた空洞中にエッチング溶液を充填させて、基体の犠牲層と接触していた部分をエッチングすることで基体表面に窪みを形成する。
【0036】
この窪みの深さは、良好なリフィル等が達成できるように設定され、基体の材質やエッチング溶液、更にはエッチング条件などによって調整することができる。この窪みの深さとしては、例えば5〜50μmの範囲とすることが好ましい。
【0037】
更に、パッシベイション層の犠牲層上の部分及び流路型材を除去してインク供給口及びインク流路を形成し、吐出口の保護剤層を除去することで図6に示す構成のインクジェット記録ヘッドを得ることができる。このヘッドにおけるインク流路の櫛刃形の少なくとも根元を含み、吐出圧力発生素子の配置位置手前まで伸びた部分の基体表面には図2に209−2で示した形状の窪みが形成され、これがインク流路の底部を形成するものとなる。
【0038】
基体のエッチングに用いるエッチング液は、基体の材質に応じて選定することができ、シリコン基体の場合にはアルカリ性水溶液が好適に利用でき、例えば水酸化カリウムまたは水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)の水溶液が好適に利用できる。
【0039】
なお、基体のエッチング用のエッチング液(エッチャント)が犠牲層の除去に利用できるようにしておけば、インク供給口の開口のためのエッチング工程、犠牲層の除去工程及び犠牲層下の基体の窪み形成のためのエッチング工程を1つの工程で行うことが可能となる。
【0040】
一方、パッシベイション層の除去は、ケミカル・ドライエッチングを裏面開口部側よりかけることで行うことができる。
【0041】
また、流路型材としてポジレジストを用いた場合は、オリフィスプレート上からUV光をこれに照射して感光させ、現像剤により型剤を基体上から除去することができる。
【0042】
最後にダイサーに、必要に応じて基体から各々の所望とする単位のチップ状態に分離することでインクジェット記録ヘッドを完成させることはできる。その代表的構成を図6に示した。
【0043】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。
【0044】
インゴットの引き出し方位が<100>で厚さ625μmのシリコンウエハを基体として用い、汎用の半導体工程により図2に示すようなインクジェット記録ヘッド用基体を作製した。
【0045】
このインクジェット記録ヘッド用基体には、吐出圧力発生素子となるヒーター202とその駆動回路(図示しない)が作られており、犠牲層209はアルミニウムを用い、パッシベイション層207はプラズマCVD法により成膜した窒化シリコンで形成されている。
【0046】
次に、基体201の裏面にあるシリコン酸化膜208をポジレジスト(東京応化製OFPR)をマスクとしてバッファードフッ酸によりパターニングし、インク供給口を形成する際の位置を規定する開口を形成した(図3)。
【0047】
次に、基体表面に後述の処理により溶出可能な流路型材となるポリメチルイソプロペニルケトンを主材としたポジレジスト(東京応化製ODUR)を塗布し、Deep−UV光により露光し、現像を行ってパターニングした。
【0048】
この流路型材の上にオリフィスプレートとなるカチオン重合型エポキシ樹脂を塗布し、露光、現像工程により吐出口を形成した。更に、吐出口及びオリフィスプレート411を保護するため、基体表面側に環化ゴムを塗布し、ベークした(図4)。
【0049】
その後に、温度83℃、濃度21wt%の水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液に浸漬し、基体裏面の酸化膜開口部からエッチングを進行させた。約15時間でエッチングは表面の犠牲層に到達し(図5(a))、その後、犠牲層510のパターンに沿って急速にエッチングが進み、犠牲層510下の基体501がエッチングされ、窪み513が形成された(図5(b))。次に、ケミカル・ドライエッチングを裏面開口部側より行い、表面側のパッシベイシュン層を除去することでスルーホールを形成した。
【0050】
十分に水洗、乾燥した後、キシレンによりオリフィスプレート上の環化ゴムを除去した。その後、流路型材であるポジレジストをオリフィスプレート上からUV光を照射して感光させ、乳酸メチルに浸漬した状態で超音波を付与し溶出させた。最後にダイサーによりウエハから各々のチップ状態に分離することでインクジェット記録ヘッドが完成した(図6)。
【0051】
【発明の効果】
本発明のインクジェット記録ヘッド用基体により作製されたインクジェット記録ヘッドは、共通のインク供給口から吐出圧力発生素子である各々のヒーターまで伸びているインク流路の底部が窪んでおり、従来の記録ヘッドと比較して耐クロストーク性能を失うことなくインクリフィル時間が短いものであった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のインクジェット記録ヘッド用基体を用いて作製されたインクジェット記録ヘッドの簡略図である。
【図2】本発明のインクジェット記録ヘッド用基体の簡略図である。
【図3】本発明のインクジェット記録ヘッド用基体を用いて作製されたインクジェット記録ヘッドの作製途中の断面図である。
【図4】本発明のインクジェット記録ヘッド用基体を用いて作製されたインクジェット記録ヘッドの作製途中の断面図である。
【図5】本発明のインクジェット記録ヘッド用基体を用いて作製されたインクジェット記録ヘッドの作製途中の断面図である。
【図6】本発明のインクジェット記録ヘッド用基体を用いて作製されたインクジェット記録ヘッドの作製途中の断面図である。
【図7】インクジェット記録ヘッドの従来例を示す図である。
【図8】本発明のインクジェット記録ヘッド用基体を用いて作製されたインクジェット記録ヘッドの作製途中の特に犠牲層がエッチングされていく途中をSEMで撮影した写真である。
【符号の説明】
101、201、701 シリコン基体
102、202、702 吐出圧力発生素子
103、603、703 吐出口
104、604、704 インク流路
105、605、705 オリフィスプレート
106、606、706、806 共通のインク供給口
207 パッシベイション層
209 犠牲層
809 エッチングされていく途中の犠牲層
410 溶出可能な流路型材
411 オリフィスプレートとなるエポキシ樹脂
412 ノズル保護用環化ゴム
513、813 インク流路底部の窪み
114、714 リブ(インク流路壁)
815 SEM写真を撮るために基体を割った際の断面

Claims (1)

  1. 基体と、該基体の表面に配置されたインクを吐出させるための複数のインク吐出圧発生素子と、該複数のインク吐出圧発生素子のそれぞれに対応して設けられた複数の吐出口を有するオリフィスプレートと、該基体の裏面から該基体を貫通して設けられ、該複数の吐出口に共通するインク供給口と、該基体の表面と該オリフィスプレートとの間に各吐出口に対して独立に設けられ、該インク供給口から該基体表面に沿って櫛刃形に伸びて各吐出口に連通したインク流路と、を有し、前記吐出口からのインクの吐出方向が該基体の表面に対して垂直であるインクジェット記録ヘッド用の基体であって、
    基体と、基体の表面に設けられたインクを吐出させるための複数のインク吐出圧発生素子と、該基体よりもエッチングされ易い材料で形成され、前記インク供給口の少なくとも一部となる領域及び前記インク流路の前記櫛刃形の根元を少なくとも含む領域を占める犠牲層と、
    を有することを特徴とするインクジェット記録ヘッド用基体。
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