JP2004201453A - 直流3相ブラシレスモータの駆動装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】安価なブートストラップ電源を用いて120°通電駆動が可能な直流ブラシレスモータの駆動装置を提供する。
【解決手段】120°通電中に3相巻線のうちのU相の上アーム側スイッチング素子4Aと下アーム側スイッチング素子4Dを相補的にPWM制御する、つまり上アーム側がONのときには下アーム側はOFFに、上アーム側がOFFのときには下アーム側はONになるように、両者が逆位相で開閉するように制御し、かつ、U相が相補的にPWM制御されている期間は、V相またはW相の何れかの下アーム側スイッチング素子がON状態を継続するように制御し、各相について同様に制御するように構成する。同じ相の上アーム側スイッチング素子と下アーム側スイッチング素子とを相補的にPWM制御することにより、ブートストラップ電源の充電を行えるので、PWM制御による120°通電駆動が可能になる。
【選択図】 図1
【解決手段】120°通電中に3相巻線のうちのU相の上アーム側スイッチング素子4Aと下アーム側スイッチング素子4Dを相補的にPWM制御する、つまり上アーム側がONのときには下アーム側はOFFに、上アーム側がOFFのときには下アーム側はONになるように、両者が逆位相で開閉するように制御し、かつ、U相が相補的にPWM制御されている期間は、V相またはW相の何れかの下アーム側スイッチング素子がON状態を継続するように制御し、各相について同様に制御するように構成する。同じ相の上アーム側スイッチング素子と下アーム側スイッチング素子とを相補的にPWM制御することにより、ブートストラップ電源の充電を行えるので、PWM制御による120°通電駆動が可能になる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は直流ブラシレスモータの駆動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
【非特許文献1】三菱電機株式会社「DC3相ブラシレスモータドライバSTK6105データブック」
【非特許文献2】International Rectifier社「Motor Drive Control IC DESIGNER'S MANUAL M-50 TABLE1」
上記非特許文献1には、直流ブラシレスモータを、120°通電駆動させる場合に、インバータのスイッチング素子を駆動するドライブ回路(駆動回路)の電源として、チャージポンプ電源を用いた技術が示されている。なお、上記の120°通電駆動とは、モータの各相に流すモータ電流を120°通電して60°停止する状態を繰り返す駆動制御を意味する。また、上記非特許文献2には駆動回路に用いるブートストラップ電源について記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記非特許文献2に記載のブートストラップ電源は、制御回路が不要であり、かつ、ダイオードとコンデンサで構成されるので、簡略で安価であるという利点がある。しかし、ブートストラップ電源はその内部のコンデンサに充電を行わないと動作しないので、充電を行うタイミングが必要であり、120°の連続した通電を行うことが困難である。そのため、上記のごとき120°通電駆動を行う直流ブラシレスモータ制御において、非特許文献1のようなチャージポンプ電源の代わりに、非特許文献2に記載のブートストラップ電源を用いるように変更することは困難である、という問題があった。
本発明は上記のごとき従来技術の問題を解決するためになされたものであり、安価なブートストラップ電源を用いて120°通電駆動が可能な直流ブラシレスモータの駆動装置を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため本発明においては、120°通電中に3相巻線のうちの第1相の上アーム側スイッチング素子と下アーム側スイッチング素子とを相補的にPWM(Pulse Width Modulation)制御する、つまり上アーム側がONのときには下アーム側はOFFに、上アーム側がOFFのときには下アーム側はONになるように、両者が逆位相で開閉するように制御し、かつ、第1相が相補的にPWM制御されている期間は、第2相または第3相の何れかの下アーム側スイッチング素子がON状態を継続するように制御し、各相について上記と同様に制御するように構成している。
【0005】
【発明の効果】
本発明によれば、同じ相の上アーム側スイッチング素子と下アーム側スイッチング素子とを相補的にPWM制御することにより、120°通電中にPWM制御を行いながらブートストラップ電源の充電を行うことが出来るので、PWM制御による120°通電が可能になる。また、60°休止期間の後も、複雑な制御が必要なく、PWM1周期でON可能になるという効果がある。
【0006】
【発明の実施の形態】
(第1の実施例)
図1は、本発明の第1の実施例の回路図である。
図1において、コントローラ部1は、図示しない位置検出センサから与えられるモータ回転子の位置(電気角)に対応した位置検出信号(Ha〜Hc)およびトルク指令信号等に応じて、各ドライブ回路3A〜3Fを開閉制御するための制御信号(U相上〜W相下)を出力する。ブートストラップ回路2は、上アーム駆動用電源であり、ダイオードD1〜D3およびコンデンサC1〜C3から構成され、ドライブ用電源6(GND基準)の電力を用いて、ドライブ回路3A〜3Cを駆動する。また、ドライブ回路3D〜3Fは上記ドライブ用電源6の電力によって駆動される。上記の各ドライブ回路3A〜3Fを駆動することにより、MOSFETとダイオードの並列回路からなるスイッチング素子4A〜4Fを開閉制御する。これにより負荷用電源8(GND基準)の電力を3相Y結線のモータ5に供給し、モータ5を駆動する。また、7はリプル電流吸収用の平滑用コンデンサである。また、スイッチング素子4Aと4D、4Bと4E、4Cと4Fは、それぞれ負荷用電源8と接地間に直列に接続されており、負荷用電源8の+側に近い方(4A、4B、4C)を上アーム側、接地に近い方(4D、4E、4F)を下アーム側と呼ぶ。また、ブートストラップ回路2の動作については詳細を後述する。
【0007】
図2は、コントローラ部1の構成を示す回路図である。
図示のように、コントローラ部1は複数のアンド回路、オア回路およびPWM発生回路9から構成される。コントローラ部1には、図示しない位置検出センサから入力される位置検出信号(Ha+、Hb+、Hc+、Ha−、Hb−、Hc−)が入力され、この位置検出信号に基づいて、駆動源信号(U+、V+、W+、U−、V−、W−)が生成される。そして、外部から入力されるトルク指令信号T*(例えば電気自動車用のモータであれば、アクセルペダル操作に基づいて設定されるトルク指令値)に基づいて、PWM発生回路9では予め定められたマップに従って、PWM+、PWM−の基準信号を出力する。そして駆動源信号とPWM基準信号とに基づいて、コントローラ出力信号(U相上、V相上、W相上、U相下、V相下、W相下)が生成され、このコントローラ出力信号が図1に示すドライブ回路3A〜3Fへと出力される。なお、コントローラ部1における信号発生の論理式については後述する。
【0008】
図3は、図1および図2における回路各部の信号波形図である。
以下、図3に基づいて図1の回路動作を説明する。
コントローラ部1から出力されるコントローラ出力信号(U相上、V相上、W相上、U相下、V相下、W相下)は、図3に示すように、第1相たとえばU相の上アーム側の信号(U相上)と下アーム側の信号(U相下)とが相補的なPWM信号(一方が高レベルのとき他方が低レベルつまり相互に逆位相の信号)になっており、このようにU相が相補的にPWM制御されている期間は、V相またはW相の何れかの下アーム側の信号(V相下またはW相下)は高レベルになっている。同様に、(V相上)と(V相下)が相補的なPWM信号になっている期間はW相またはU相の何れかの下アーム側の信号(W相下またはU相下)は高レベルになっており、(W相上)と(W相下)が相補的なPWM信号になっている期間はU相またはV相の何れかの下アーム側の信号(U相下またはV相下)は高レベルになっている。
【0009】
上記のようなコントローラ出力信号(U相上、V相上、W相上、U相下、V相下、W相下)によってドライブ回路3A〜3Fを駆動すると、ドライブ回路3A〜3FからはドライブTRゲート信号SA〜SFが出力され、これによってスイッチング素子4A〜4Fを駆動することにより、モータ5の各相巻線には図示のような相電流U、V、Wが流れる。
【0010】
以下、動作を詳細に説明する。
まず、電気角0°にて、制御を開始する。この時、ブートストラップ電源2のコンデンサC1〜C3は充電されていない。そのため、U相上アームの駆動信号をON指示(PWM信号のU相上の1パルス目が高レベル)しても、ドライブTRゲート信号SAの1パルス目は低レベルのままなので、スイッチング素子4AはONしない。このとき、V相下アームの駆動信号をON指示(V相下が高レベル)するので、スイッチング素子4EはONする。
次に、U相上アームをOFFして、U相下アームの駆動信号をON指示(PWM信号のU相下の1パルス目が高レベル)すると、スイッチング素子4DはONする。この間、ドライブTRゲート信号SAは低レベルになり、U相上アームのスイッチング素子4AはOFFで、そのソースがGNDに落ちるので、U相用のブートストラップ電源2のコンデンサC1はダイオードD1を介してドライブ用電源6から充電される。
次に、再びU相下アームをOFFして、U相上アームの駆動信号をON指示する(PWM信号のU相上の2パルス目が高レベル)。このときにはU相用のブートストラップ電源2のコンデンサC1は充電されているため、ドライブTRゲート信号SAの2パルス目は高レベルとなり、スイッチング素子4AはONする。そしてこの状態ではスイッチング素子4Aとスイッチング素子4EがONになるので、モータ5のU相−V相間に駆動電流が流れる。
次に、再びU相上アームをOFFして、U相下アームの駆動信号をON指示するので、スイッチング素子4DはONする。このとき、U相上アームのスイッチング素子4AのソースがGNDに落ちて、U相用のブートストラップ電源2のコンデンサC1に再度充電され、次の駆動に備える。
【0011】
なお、この時、モータ5のU相−V相間に流れた駆動電流は、スイッチング素子4Dとスイッチング素子4Eを介して転流する。そのため、平滑用コンデンサ7に転流電流が流れ込まない。つまり、平滑用コンデンサ7にリップル電流が流れると、平滑用コンデンサ7の容量を大きくする必要を生じるが、図1の回路では、リップル電流が平滑用コンデンサ7に回り込む経路にならないので、平滑用コンデンサ7を大きくしなくて済むという効果がある。
【0012】
上記のように、U相上下アームを相補的にPWM駆動し、その間、V相下アームを矩形波駆動(ONを継続)することにより、ブートストラップ電源2のコンデンサC1に充電することが出来る。なお、このときV相上アームはOFFのままとする。上記の動作を電気角60°まで繰り返す。
【0013】
次に、電気角60°のときに、W相下アームの駆動信号をON指示して、スイッチング素子4FをONさせる。
この時は、スイッチング素子4Aとスイッチング素子4FがONしているので、モータ5のU相−W相間に駆動電流が流れる。電流がU相−V相間からU相−W相間に切換ったことによりモータ5が回転する。この動作を電気角120°まで行う。
【0014】
上記のように、電気角0°〜120°間においては、U相上のスイッチング素子4AとU相下のスイッチング素子4Dを相補的にPWM駆動し、その間はV相下またはW相下のスイッチング素子はON状態を継続(0°〜60°間はV相下がON、60°〜120°間はW相下がON)するように制御する。
【0015】
次に、電気角120°の時に、V相上アームの駆動信号をON指示する。しかし、V相用のブートストラップ電源2のコンデンサC2は充電されていないため、スイッチング素子4BはONしない。一方、W相下アームの駆動信号は、引き続きON指示されていて、スイッチング素子4FはONしている。
次に、V相上アームをOFFして、V相下アームの駆動信号をON指示する。これによりスイッチング素子4EはONする。この間、V相上アームのスイッチング素子4BのソースがGNDに落ちて、V相用のブートストラップ電源2のコンデンサC2が充電される。
次に、V相下アームをOFFして、V相上アームの駆動信号をON指示する。V相用のブートストラップ電源2のコンデンサC2は充電されているため、スイッチング素子4BはONする。このときスイッチング素子4Bとスイッチング素子4FがONしているので、モータ5のV相−W相間に駆動電流が流れる。このように電流がU相−W相間からV相−W相間に切換ったことによりモータ5が回転を続ける。
W相についても上記同様に制御することにより、電気角360°まで進み、同様の制御を繰り返してモータ5を駆動制御する。
【0016】
なお、先程の制御で充電したU相用ブートストラップ電源のコンデンサC1は、U相下アームが電気角300°から360°の間OFFしているため、U相上アームのドライブ回路3Aの消費電流により放電するので、スイッチング素子4AをONするのに十分な電荷が残っていない可能性がある。そのため、この状態ではU相上アームの駆動信号をON指示すると、スイッチング素子4Aはゲート電圧の低い状態でONする可能性がある。しかし、このような状態でONする時間は、PWM1周期に相当する極めて短い時間なので、これによる発熱が原因となって、スイッチング素子4Aが故障、破壊するようなおそれはない。
【0017】
次に、図2に示したコントローラ部1における信号の生成方法について説明する。
図4はコントローラ部1により生成されるコントローラ部出力信号生成タイムチャートである。
図4に示すように、駆動源信号は、UVW相の各+−信号とPWMの+−信号とで構成される。
UVW相の各+−信号は、位置検出信号(Ha+、Hb+、Hc+、Ha−、Hb−、Hc−)を用いて、図3に示した回路にて生成される。この時の論理式を以下に示す。
U+=Ha+ AND Hb−
V+=Hb+ AND Hc−
W+=Hc+ AND Ha−
U−=Ha− AND Hb+
V−=Hb− AND Hc+
W−=Hc− AND Ha+
コントローラ部出力信号は、生成された駆動源信号を用いて、図3に示した回路にて生成される。この時の論理式を以下に示す。
U相上=U+ AND PWM+
V相上=V+ AND PWM+
W相上=W+ AND PWM+
U相下=U+ AND PWM− OR U−
V相下=V+ AND PWM− OR V−
W相下=W+ AND PWM− OR W−
なお、上記の説明では、コントローラ部出力信号の生成方法として、回路構成例を示したが、生成はソフト処理で行う方法等、他の方法でも生成できる。
【0018】
上記のように、第1の実施例においては、120°通電中に3相巻線のうちの第1相の上アーム側スイッチング素子と下アーム側スイッチング素子とを相補的にPWM制御し、かつ、第1相が相補的にPWM制御されている期間は、第2相または第3相の何れかの下アーム側スイッチング素子がON状態を継続するように制御し、各相について上記と同様に制御するように構成したことにより、PWM制御で120°通電中にブートストラップ電源の充電を行うことが出来るので、120°通電が可能になる。また、60°休止期間の後も、複雑な制御が必要なく、PWM1周期でON可能になる。また、スイッチング素子に転流電流を流すため、FWDに比較して損失が下がる。その上、全アームをPWM駆動にせず、ON状態を継続する下アームに相対する上アーム側をOFFのままとすることにより、転流電流を平滑用コンデンサ7に流さないため、平滑用コンデンサ7の寿命が伸びると共に、スイッチング損失を低減できる、という効果がある。
【0019】
ここでブートストラップ回路について説明する。
図5は、モータを駆動制御するスイッチング素子の駆動電源としてブートストラップ回路を用いた場合の簡略化した回路図である。図5は前記図1のU相に相当する回路であり、ドライブ用電源6、負荷用電源8、ダイオードD1、コンデンサC1、ドライブ回路3A、上アーム側スイッチング素子4A、下アーム側スイッチング素子4D、モータ5は、それぞれ図1の同符号のものに相当する。ただし、「負荷用電源8の電圧≧ドライブ用電源6の電圧」とする。
まず、上アーム側のスイッチング素子をオフさせる信号(U相上が低レベル)を出力すると、上アーム側スイッチング素子4AのソースがGND電位となり、ドライブ用電源6からダイオードD1を介してコンデンサC1に充電が行われる。なお、このときに下アーム側スイッチング素子4DはONとする。
次に、上アーム側スイッチング素子4AをONさせる信号(U相上が高レベル)を出力すると、コンデンサC1に充電された電荷を用いてドライブ回路3AがONし、上アーム側スイッチング素子4AがONする。上アーム側スイッチング素子4AがONすると、そのソースが負荷用電源8の電位となり、「負荷用電源8の電圧≧ドライブ用電源6の電圧」であるために、ダイオードD1が非導通となり、コンデンサC1ヘの充電が行われなくなる。そのため上アーム側スイッチング素子4AはコンデンサC1に充電された電荷のみでONを継続することになり、コンデンサC1の放電が進むことになる。なお、このときに下アーム側スイッチング素子4DはOFFとする。
すなわち、下アーム側スイッチング素子4DがONであり、上アーム側スイッチング素子4Aがオフである期間に、コンデンサC1を充電し、この充電した電荷を用いて、上アーム側スイッチング素子4AをONさせることになる。
言い換えると、下アーム側スイッチング素子4DがONしている間に、次回の上アーム側スイッチング素子4AがONのときに使用する電荷を充電していることになる。
【0020】
図6は、上記図5の動作における各部の電圧波形を示す図である。
図6に示すように、上アーム側と下アーム側とは相補的(逆位相)に駆動され、上アーム側がOFFで下アーム側がONの期間にブートストラップ電源が充電され、上アーム側がONの期間に放電が行われるが、図示のように、動作中は全体的に、上アーム側スイッチング素子をONするために十分な電圧が保持されていることが判る。
【0021】
(第2の実施例)
以下、本発明の第2の実施例について説明する。
この実施例は、いわゆる3相6線式モータと呼ばれるモータに本発明を適用したものである。この3相6線式モータとは、1相のコイルに対して一つのHブリッジ回路が設けられているものである。前記図1に示したY結線やΔ結線のモータでは、3相中の各相に対して、負荷用電源の電圧Vccの1/2が印加(例えばU相−V相間にVccが印加されるので、∪相にはVccの1/2が印加)されるのに対し、3相6線式モータでは、各相にVccが印加されるので、高出力が得られるという特徴がある。
【0022】
図8は、3相6線式モータの1相分(U相)の回路を示す図である。図8に示すように、モータの1相分の巻線(U相巻線)は、41A(ULH:U相左上)、41B(ULL:U相左下)、41C(URH:U相右上)、41D(URL:U相右下)の4個のスイッチング素子からなるHブリッジの中点に接続されている。この回路は41Aと41DをONすることによって左から右へ電流が流れ、41Cと41BをONすることによって右から左へ電流が流れる。
【0023】
図7に示す回路は、図8のような結線のモータに本発明を適用した回路図である。
図7においては、U相駆動回路のみを詳細に示しており、V相駆動回路とW相駆動回路については、U相と内容が同一のため省略して示している。したがって、以下の説明では主としてU相について説明する。なお、V相駆動回路とW相駆動回路において、▲1▼、▲2▼、▲3▼、▲4▼の符号を付した個所は、U相駆動回路における同符号と同じ位置を示す。
【0024】
コントローラ部11は、後記図9に示すごとき構成を有し、後記図10に示すごとき信号(ULH、ULL、URH、URLおよびVLH、VLL、VRH、VRLおよびWLH、WLL、WRH、WRL)を出力する(詳細後述)。
ブートストラップ回路21は上側アームのドライブ回路(31Aと31C)にのみ設けられている。スイッチング素子41A、41B、41C、41Dは、3相6線式モータのU相巻線に対して、前記図8の同符号の素子と同じ結線になっている。
【0025】
図9は、コントローラ部11の回路図である。
コントローラ部11は複数のアンド回路、オア回路およびPWM発生回路9から構成され、基本的には前記図2のコントローラ部1と同様であるが、論理式が異なっている。
図9における論理式は下記のとおりである。
(1)U相
ULH=U+ AND PWM+
ULL=U+ AND PWM− OR U−
URH=U− AND PWM+
URL=U− AND PWM− OR U+
(2)V相
VLH=V+ AND PWM+
VLL=V+ AND PWM− OR V−
VRH=V− AND PWM+
VRL=V− AND PWM− OR V+
(3)W相
WLH=W+ AND PWM+
WLL=W+ AND PWM− OR W−
WRH=W− AND PWM+
WRL=W− AND PWM− OR W+
上記のごとき論利式にしたがって図10に示すごとき信号を生成する。
【0026】
図10は、図7の回路各部における信号波形図である。
図10のコントローラ部出力信号から判るように、図7においては、U相の左側の上アーム側スイッチング素子41Aと下アーム側スイッチング素子41BとがPWM信号に応じて電気角120°のあいだ相補的(逆位相)にON−OFFし、かつ、それらが相補的に制御されている期間は、右側の上アーム側スイッチング素子41CがOFFで下アーム側スイッチング素子41DがONを継続するように制御される。
また、V相においても、上記U相から電気角120°遅れて同様に制御され、W相においても、上記V相から電気角120°遅れて同様に制御される。
【0027】
つまり、図7の回路においては、各相について、Hブリッジの一方側の上アーム側スイッチング素子と下アーム側スイッチング素子とが電気角120°のあいだPWM信号によって相補的に開閉駆動され、その相補的に開閉駆動されている間は他方の側の上アーム側スイッチング素子がOFF、下アーム側スイッチング素子がONになるように制御される。そして各相がそれぞれ電気角120°ずれて上記の制御を繰り返すように構成されている。
【0028】
上記の構成のおいても、前記図1と同様に、120°通電中にブートストラップ電源の充電を行うことが出来るので、120°通電が可能になる。また、60°休止期間の後も、複雑な制御が必要なく、PWM1周期でON可能になる。また、スイッチング素子に転流電流を流すため、FWDに比較して損失が下がる。その上、全アームをPWM駆動にせず、ON状態を継続する下アームに相対する上アーム側をOFFままとすることにより、転流電流を平滑用コンデンサ7に流さないため、平滑用コンデンサ7の寿命が伸びると共に、スイッチング損失を低減できる、という効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例の回路図。
【図2】コントローラ部1の構成を示す回路図。
【図3】図1および図2における回路各部の信号波形図。
【図4】コントローラ部1により生成されるコントローラ部出力信号生成タイムチャート。
【図5】モータを駆動制御するスイッチング素子の駆動電源としてブートストラップ回路を用いた場合の簡略化した回路図。
【図6】図5の動作における各部の電圧波形を示す図。
【図7】本発明の第2の実施例の回路図。
【図8】3相6線式モータの1相分(U相)の回路を示す図。
【図9】コントローラ部11の回路図。
【図10】図7の回路各部における信号波形図。
【符号の説明】
1…コントローラ部 2…ブートストラップ回路
3A〜3F…ドライブ回路 4A〜4F…スイッチング素子
5…モータ 6…ドライブ用電源
7…平滑用コンデンサ 8…負荷用電源
9…PWM発生回路 11…コントローラ部
21…ブートストラップ回路 31A〜31D…ドライブ回路
41A〜41D…スイッチング素子 51…3相6線式モータ
D1〜D3ダイオード C1〜C3コンデンサ
【発明の属する技術分野】
本発明は直流ブラシレスモータの駆動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
【非特許文献1】三菱電機株式会社「DC3相ブラシレスモータドライバSTK6105データブック」
【非特許文献2】International Rectifier社「Motor Drive Control IC DESIGNER'S MANUAL M-50 TABLE1」
上記非特許文献1には、直流ブラシレスモータを、120°通電駆動させる場合に、インバータのスイッチング素子を駆動するドライブ回路(駆動回路)の電源として、チャージポンプ電源を用いた技術が示されている。なお、上記の120°通電駆動とは、モータの各相に流すモータ電流を120°通電して60°停止する状態を繰り返す駆動制御を意味する。また、上記非特許文献2には駆動回路に用いるブートストラップ電源について記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記非特許文献2に記載のブートストラップ電源は、制御回路が不要であり、かつ、ダイオードとコンデンサで構成されるので、簡略で安価であるという利点がある。しかし、ブートストラップ電源はその内部のコンデンサに充電を行わないと動作しないので、充電を行うタイミングが必要であり、120°の連続した通電を行うことが困難である。そのため、上記のごとき120°通電駆動を行う直流ブラシレスモータ制御において、非特許文献1のようなチャージポンプ電源の代わりに、非特許文献2に記載のブートストラップ電源を用いるように変更することは困難である、という問題があった。
本発明は上記のごとき従来技術の問題を解決するためになされたものであり、安価なブートストラップ電源を用いて120°通電駆動が可能な直流ブラシレスモータの駆動装置を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため本発明においては、120°通電中に3相巻線のうちの第1相の上アーム側スイッチング素子と下アーム側スイッチング素子とを相補的にPWM(Pulse Width Modulation)制御する、つまり上アーム側がONのときには下アーム側はOFFに、上アーム側がOFFのときには下アーム側はONになるように、両者が逆位相で開閉するように制御し、かつ、第1相が相補的にPWM制御されている期間は、第2相または第3相の何れかの下アーム側スイッチング素子がON状態を継続するように制御し、各相について上記と同様に制御するように構成している。
【0005】
【発明の効果】
本発明によれば、同じ相の上アーム側スイッチング素子と下アーム側スイッチング素子とを相補的にPWM制御することにより、120°通電中にPWM制御を行いながらブートストラップ電源の充電を行うことが出来るので、PWM制御による120°通電が可能になる。また、60°休止期間の後も、複雑な制御が必要なく、PWM1周期でON可能になるという効果がある。
【0006】
【発明の実施の形態】
(第1の実施例)
図1は、本発明の第1の実施例の回路図である。
図1において、コントローラ部1は、図示しない位置検出センサから与えられるモータ回転子の位置(電気角)に対応した位置検出信号(Ha〜Hc)およびトルク指令信号等に応じて、各ドライブ回路3A〜3Fを開閉制御するための制御信号(U相上〜W相下)を出力する。ブートストラップ回路2は、上アーム駆動用電源であり、ダイオードD1〜D3およびコンデンサC1〜C3から構成され、ドライブ用電源6(GND基準)の電力を用いて、ドライブ回路3A〜3Cを駆動する。また、ドライブ回路3D〜3Fは上記ドライブ用電源6の電力によって駆動される。上記の各ドライブ回路3A〜3Fを駆動することにより、MOSFETとダイオードの並列回路からなるスイッチング素子4A〜4Fを開閉制御する。これにより負荷用電源8(GND基準)の電力を3相Y結線のモータ5に供給し、モータ5を駆動する。また、7はリプル電流吸収用の平滑用コンデンサである。また、スイッチング素子4Aと4D、4Bと4E、4Cと4Fは、それぞれ負荷用電源8と接地間に直列に接続されており、負荷用電源8の+側に近い方(4A、4B、4C)を上アーム側、接地に近い方(4D、4E、4F)を下アーム側と呼ぶ。また、ブートストラップ回路2の動作については詳細を後述する。
【0007】
図2は、コントローラ部1の構成を示す回路図である。
図示のように、コントローラ部1は複数のアンド回路、オア回路およびPWM発生回路9から構成される。コントローラ部1には、図示しない位置検出センサから入力される位置検出信号(Ha+、Hb+、Hc+、Ha−、Hb−、Hc−)が入力され、この位置検出信号に基づいて、駆動源信号(U+、V+、W+、U−、V−、W−)が生成される。そして、外部から入力されるトルク指令信号T*(例えば電気自動車用のモータであれば、アクセルペダル操作に基づいて設定されるトルク指令値)に基づいて、PWM発生回路9では予め定められたマップに従って、PWM+、PWM−の基準信号を出力する。そして駆動源信号とPWM基準信号とに基づいて、コントローラ出力信号(U相上、V相上、W相上、U相下、V相下、W相下)が生成され、このコントローラ出力信号が図1に示すドライブ回路3A〜3Fへと出力される。なお、コントローラ部1における信号発生の論理式については後述する。
【0008】
図3は、図1および図2における回路各部の信号波形図である。
以下、図3に基づいて図1の回路動作を説明する。
コントローラ部1から出力されるコントローラ出力信号(U相上、V相上、W相上、U相下、V相下、W相下)は、図3に示すように、第1相たとえばU相の上アーム側の信号(U相上)と下アーム側の信号(U相下)とが相補的なPWM信号(一方が高レベルのとき他方が低レベルつまり相互に逆位相の信号)になっており、このようにU相が相補的にPWM制御されている期間は、V相またはW相の何れかの下アーム側の信号(V相下またはW相下)は高レベルになっている。同様に、(V相上)と(V相下)が相補的なPWM信号になっている期間はW相またはU相の何れかの下アーム側の信号(W相下またはU相下)は高レベルになっており、(W相上)と(W相下)が相補的なPWM信号になっている期間はU相またはV相の何れかの下アーム側の信号(U相下またはV相下)は高レベルになっている。
【0009】
上記のようなコントローラ出力信号(U相上、V相上、W相上、U相下、V相下、W相下)によってドライブ回路3A〜3Fを駆動すると、ドライブ回路3A〜3FからはドライブTRゲート信号SA〜SFが出力され、これによってスイッチング素子4A〜4Fを駆動することにより、モータ5の各相巻線には図示のような相電流U、V、Wが流れる。
【0010】
以下、動作を詳細に説明する。
まず、電気角0°にて、制御を開始する。この時、ブートストラップ電源2のコンデンサC1〜C3は充電されていない。そのため、U相上アームの駆動信号をON指示(PWM信号のU相上の1パルス目が高レベル)しても、ドライブTRゲート信号SAの1パルス目は低レベルのままなので、スイッチング素子4AはONしない。このとき、V相下アームの駆動信号をON指示(V相下が高レベル)するので、スイッチング素子4EはONする。
次に、U相上アームをOFFして、U相下アームの駆動信号をON指示(PWM信号のU相下の1パルス目が高レベル)すると、スイッチング素子4DはONする。この間、ドライブTRゲート信号SAは低レベルになり、U相上アームのスイッチング素子4AはOFFで、そのソースがGNDに落ちるので、U相用のブートストラップ電源2のコンデンサC1はダイオードD1を介してドライブ用電源6から充電される。
次に、再びU相下アームをOFFして、U相上アームの駆動信号をON指示する(PWM信号のU相上の2パルス目が高レベル)。このときにはU相用のブートストラップ電源2のコンデンサC1は充電されているため、ドライブTRゲート信号SAの2パルス目は高レベルとなり、スイッチング素子4AはONする。そしてこの状態ではスイッチング素子4Aとスイッチング素子4EがONになるので、モータ5のU相−V相間に駆動電流が流れる。
次に、再びU相上アームをOFFして、U相下アームの駆動信号をON指示するので、スイッチング素子4DはONする。このとき、U相上アームのスイッチング素子4AのソースがGNDに落ちて、U相用のブートストラップ電源2のコンデンサC1に再度充電され、次の駆動に備える。
【0011】
なお、この時、モータ5のU相−V相間に流れた駆動電流は、スイッチング素子4Dとスイッチング素子4Eを介して転流する。そのため、平滑用コンデンサ7に転流電流が流れ込まない。つまり、平滑用コンデンサ7にリップル電流が流れると、平滑用コンデンサ7の容量を大きくする必要を生じるが、図1の回路では、リップル電流が平滑用コンデンサ7に回り込む経路にならないので、平滑用コンデンサ7を大きくしなくて済むという効果がある。
【0012】
上記のように、U相上下アームを相補的にPWM駆動し、その間、V相下アームを矩形波駆動(ONを継続)することにより、ブートストラップ電源2のコンデンサC1に充電することが出来る。なお、このときV相上アームはOFFのままとする。上記の動作を電気角60°まで繰り返す。
【0013】
次に、電気角60°のときに、W相下アームの駆動信号をON指示して、スイッチング素子4FをONさせる。
この時は、スイッチング素子4Aとスイッチング素子4FがONしているので、モータ5のU相−W相間に駆動電流が流れる。電流がU相−V相間からU相−W相間に切換ったことによりモータ5が回転する。この動作を電気角120°まで行う。
【0014】
上記のように、電気角0°〜120°間においては、U相上のスイッチング素子4AとU相下のスイッチング素子4Dを相補的にPWM駆動し、その間はV相下またはW相下のスイッチング素子はON状態を継続(0°〜60°間はV相下がON、60°〜120°間はW相下がON)するように制御する。
【0015】
次に、電気角120°の時に、V相上アームの駆動信号をON指示する。しかし、V相用のブートストラップ電源2のコンデンサC2は充電されていないため、スイッチング素子4BはONしない。一方、W相下アームの駆動信号は、引き続きON指示されていて、スイッチング素子4FはONしている。
次に、V相上アームをOFFして、V相下アームの駆動信号をON指示する。これによりスイッチング素子4EはONする。この間、V相上アームのスイッチング素子4BのソースがGNDに落ちて、V相用のブートストラップ電源2のコンデンサC2が充電される。
次に、V相下アームをOFFして、V相上アームの駆動信号をON指示する。V相用のブートストラップ電源2のコンデンサC2は充電されているため、スイッチング素子4BはONする。このときスイッチング素子4Bとスイッチング素子4FがONしているので、モータ5のV相−W相間に駆動電流が流れる。このように電流がU相−W相間からV相−W相間に切換ったことによりモータ5が回転を続ける。
W相についても上記同様に制御することにより、電気角360°まで進み、同様の制御を繰り返してモータ5を駆動制御する。
【0016】
なお、先程の制御で充電したU相用ブートストラップ電源のコンデンサC1は、U相下アームが電気角300°から360°の間OFFしているため、U相上アームのドライブ回路3Aの消費電流により放電するので、スイッチング素子4AをONするのに十分な電荷が残っていない可能性がある。そのため、この状態ではU相上アームの駆動信号をON指示すると、スイッチング素子4Aはゲート電圧の低い状態でONする可能性がある。しかし、このような状態でONする時間は、PWM1周期に相当する極めて短い時間なので、これによる発熱が原因となって、スイッチング素子4Aが故障、破壊するようなおそれはない。
【0017】
次に、図2に示したコントローラ部1における信号の生成方法について説明する。
図4はコントローラ部1により生成されるコントローラ部出力信号生成タイムチャートである。
図4に示すように、駆動源信号は、UVW相の各+−信号とPWMの+−信号とで構成される。
UVW相の各+−信号は、位置検出信号(Ha+、Hb+、Hc+、Ha−、Hb−、Hc−)を用いて、図3に示した回路にて生成される。この時の論理式を以下に示す。
U+=Ha+ AND Hb−
V+=Hb+ AND Hc−
W+=Hc+ AND Ha−
U−=Ha− AND Hb+
V−=Hb− AND Hc+
W−=Hc− AND Ha+
コントローラ部出力信号は、生成された駆動源信号を用いて、図3に示した回路にて生成される。この時の論理式を以下に示す。
U相上=U+ AND PWM+
V相上=V+ AND PWM+
W相上=W+ AND PWM+
U相下=U+ AND PWM− OR U−
V相下=V+ AND PWM− OR V−
W相下=W+ AND PWM− OR W−
なお、上記の説明では、コントローラ部出力信号の生成方法として、回路構成例を示したが、生成はソフト処理で行う方法等、他の方法でも生成できる。
【0018】
上記のように、第1の実施例においては、120°通電中に3相巻線のうちの第1相の上アーム側スイッチング素子と下アーム側スイッチング素子とを相補的にPWM制御し、かつ、第1相が相補的にPWM制御されている期間は、第2相または第3相の何れかの下アーム側スイッチング素子がON状態を継続するように制御し、各相について上記と同様に制御するように構成したことにより、PWM制御で120°通電中にブートストラップ電源の充電を行うことが出来るので、120°通電が可能になる。また、60°休止期間の後も、複雑な制御が必要なく、PWM1周期でON可能になる。また、スイッチング素子に転流電流を流すため、FWDに比較して損失が下がる。その上、全アームをPWM駆動にせず、ON状態を継続する下アームに相対する上アーム側をOFFのままとすることにより、転流電流を平滑用コンデンサ7に流さないため、平滑用コンデンサ7の寿命が伸びると共に、スイッチング損失を低減できる、という効果がある。
【0019】
ここでブートストラップ回路について説明する。
図5は、モータを駆動制御するスイッチング素子の駆動電源としてブートストラップ回路を用いた場合の簡略化した回路図である。図5は前記図1のU相に相当する回路であり、ドライブ用電源6、負荷用電源8、ダイオードD1、コンデンサC1、ドライブ回路3A、上アーム側スイッチング素子4A、下アーム側スイッチング素子4D、モータ5は、それぞれ図1の同符号のものに相当する。ただし、「負荷用電源8の電圧≧ドライブ用電源6の電圧」とする。
まず、上アーム側のスイッチング素子をオフさせる信号(U相上が低レベル)を出力すると、上アーム側スイッチング素子4AのソースがGND電位となり、ドライブ用電源6からダイオードD1を介してコンデンサC1に充電が行われる。なお、このときに下アーム側スイッチング素子4DはONとする。
次に、上アーム側スイッチング素子4AをONさせる信号(U相上が高レベル)を出力すると、コンデンサC1に充電された電荷を用いてドライブ回路3AがONし、上アーム側スイッチング素子4AがONする。上アーム側スイッチング素子4AがONすると、そのソースが負荷用電源8の電位となり、「負荷用電源8の電圧≧ドライブ用電源6の電圧」であるために、ダイオードD1が非導通となり、コンデンサC1ヘの充電が行われなくなる。そのため上アーム側スイッチング素子4AはコンデンサC1に充電された電荷のみでONを継続することになり、コンデンサC1の放電が進むことになる。なお、このときに下アーム側スイッチング素子4DはOFFとする。
すなわち、下アーム側スイッチング素子4DがONであり、上アーム側スイッチング素子4Aがオフである期間に、コンデンサC1を充電し、この充電した電荷を用いて、上アーム側スイッチング素子4AをONさせることになる。
言い換えると、下アーム側スイッチング素子4DがONしている間に、次回の上アーム側スイッチング素子4AがONのときに使用する電荷を充電していることになる。
【0020】
図6は、上記図5の動作における各部の電圧波形を示す図である。
図6に示すように、上アーム側と下アーム側とは相補的(逆位相)に駆動され、上アーム側がOFFで下アーム側がONの期間にブートストラップ電源が充電され、上アーム側がONの期間に放電が行われるが、図示のように、動作中は全体的に、上アーム側スイッチング素子をONするために十分な電圧が保持されていることが判る。
【0021】
(第2の実施例)
以下、本発明の第2の実施例について説明する。
この実施例は、いわゆる3相6線式モータと呼ばれるモータに本発明を適用したものである。この3相6線式モータとは、1相のコイルに対して一つのHブリッジ回路が設けられているものである。前記図1に示したY結線やΔ結線のモータでは、3相中の各相に対して、負荷用電源の電圧Vccの1/2が印加(例えばU相−V相間にVccが印加されるので、∪相にはVccの1/2が印加)されるのに対し、3相6線式モータでは、各相にVccが印加されるので、高出力が得られるという特徴がある。
【0022】
図8は、3相6線式モータの1相分(U相)の回路を示す図である。図8に示すように、モータの1相分の巻線(U相巻線)は、41A(ULH:U相左上)、41B(ULL:U相左下)、41C(URH:U相右上)、41D(URL:U相右下)の4個のスイッチング素子からなるHブリッジの中点に接続されている。この回路は41Aと41DをONすることによって左から右へ電流が流れ、41Cと41BをONすることによって右から左へ電流が流れる。
【0023】
図7に示す回路は、図8のような結線のモータに本発明を適用した回路図である。
図7においては、U相駆動回路のみを詳細に示しており、V相駆動回路とW相駆動回路については、U相と内容が同一のため省略して示している。したがって、以下の説明では主としてU相について説明する。なお、V相駆動回路とW相駆動回路において、▲1▼、▲2▼、▲3▼、▲4▼の符号を付した個所は、U相駆動回路における同符号と同じ位置を示す。
【0024】
コントローラ部11は、後記図9に示すごとき構成を有し、後記図10に示すごとき信号(ULH、ULL、URH、URLおよびVLH、VLL、VRH、VRLおよびWLH、WLL、WRH、WRL)を出力する(詳細後述)。
ブートストラップ回路21は上側アームのドライブ回路(31Aと31C)にのみ設けられている。スイッチング素子41A、41B、41C、41Dは、3相6線式モータのU相巻線に対して、前記図8の同符号の素子と同じ結線になっている。
【0025】
図9は、コントローラ部11の回路図である。
コントローラ部11は複数のアンド回路、オア回路およびPWM発生回路9から構成され、基本的には前記図2のコントローラ部1と同様であるが、論理式が異なっている。
図9における論理式は下記のとおりである。
(1)U相
ULH=U+ AND PWM+
ULL=U+ AND PWM− OR U−
URH=U− AND PWM+
URL=U− AND PWM− OR U+
(2)V相
VLH=V+ AND PWM+
VLL=V+ AND PWM− OR V−
VRH=V− AND PWM+
VRL=V− AND PWM− OR V+
(3)W相
WLH=W+ AND PWM+
WLL=W+ AND PWM− OR W−
WRH=W− AND PWM+
WRL=W− AND PWM− OR W+
上記のごとき論利式にしたがって図10に示すごとき信号を生成する。
【0026】
図10は、図7の回路各部における信号波形図である。
図10のコントローラ部出力信号から判るように、図7においては、U相の左側の上アーム側スイッチング素子41Aと下アーム側スイッチング素子41BとがPWM信号に応じて電気角120°のあいだ相補的(逆位相)にON−OFFし、かつ、それらが相補的に制御されている期間は、右側の上アーム側スイッチング素子41CがOFFで下アーム側スイッチング素子41DがONを継続するように制御される。
また、V相においても、上記U相から電気角120°遅れて同様に制御され、W相においても、上記V相から電気角120°遅れて同様に制御される。
【0027】
つまり、図7の回路においては、各相について、Hブリッジの一方側の上アーム側スイッチング素子と下アーム側スイッチング素子とが電気角120°のあいだPWM信号によって相補的に開閉駆動され、その相補的に開閉駆動されている間は他方の側の上アーム側スイッチング素子がOFF、下アーム側スイッチング素子がONになるように制御される。そして各相がそれぞれ電気角120°ずれて上記の制御を繰り返すように構成されている。
【0028】
上記の構成のおいても、前記図1と同様に、120°通電中にブートストラップ電源の充電を行うことが出来るので、120°通電が可能になる。また、60°休止期間の後も、複雑な制御が必要なく、PWM1周期でON可能になる。また、スイッチング素子に転流電流を流すため、FWDに比較して損失が下がる。その上、全アームをPWM駆動にせず、ON状態を継続する下アームに相対する上アーム側をOFFままとすることにより、転流電流を平滑用コンデンサ7に流さないため、平滑用コンデンサ7の寿命が伸びると共に、スイッチング損失を低減できる、という効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例の回路図。
【図2】コントローラ部1の構成を示す回路図。
【図3】図1および図2における回路各部の信号波形図。
【図4】コントローラ部1により生成されるコントローラ部出力信号生成タイムチャート。
【図5】モータを駆動制御するスイッチング素子の駆動電源としてブートストラップ回路を用いた場合の簡略化した回路図。
【図6】図5の動作における各部の電圧波形を示す図。
【図7】本発明の第2の実施例の回路図。
【図8】3相6線式モータの1相分(U相)の回路を示す図。
【図9】コントローラ部11の回路図。
【図10】図7の回路各部における信号波形図。
【符号の説明】
1…コントローラ部 2…ブートストラップ回路
3A〜3F…ドライブ回路 4A〜4F…スイッチング素子
5…モータ 6…ドライブ用電源
7…平滑用コンデンサ 8…負荷用電源
9…PWM発生回路 11…コントローラ部
21…ブートストラップ回路 31A〜31D…ドライブ回路
41A〜41D…スイッチング素子 51…3相6線式モータ
D1〜D3ダイオード C1〜C3コンデンサ
Claims (2)
- 上アーム側スイッチング素子と下アーム側スイッチング素子との直列回路を3相分備え、各直列回路の両端が電源に接続され、前記両スイッチング素子の接続点から3相巻線の各相に接続され、モータ回転子の電気角に対応する位置信号に応じて前記スイッチング素子を開閉制御することにより、モータを駆動する直流3相ブラシレスモータの駆動装置であって、
前記各相毎に、上アーム側スイッチング素子がOFF状態の期間に充電され、その充電電荷を用いて前記上アーム側スイッチング素子を駆動するブートストラップ回路を備え、直流3相ブラシレスモータの各相に流すモータ電流を120°通電して60°停止する状態を繰り返す120°通電駆動を行い、かつ、前記120°通電中に前記3相巻線のうちの第1相の上アーム側スイッチング素子と下アーム側スイッチング素子とを相補的にPWM制御すると共に、第1相が相補的にPWM制御されている期間は、第2相または第3相の何れかの下アーム側スイッチング素子がON状態を継続するように制御し、各相について上記と同様に制御する手段を備えた直流3相ブラシレスモータの駆動装置。 - 上アーム側スイッチング素子と下アーム側スイッチング素子との直列回路が2個並列に接続され、それぞれの中点から3相モータの1相の巻線の両端に接続されたHブリッジ回路を、3相の各相ごとに備え、モータ回転子の電気角に対応する位置信号に応じて前記スイッチング素子を開閉制御することにより、モータを駆動する直流3相ブラシレスモータの駆動装置であって、
前記Hブリッジ回路の上アーム側スイッチング素子がOFF状態の期間に充電され、その充電電荷を用いて前記上アーム側スイッチング素子を駆動するブートストラップ回路を備え、直流3相ブラシレスモータの各相に流すモータ電流を120°通電して60°停止する状態を繰り返す120°通電駆動を行い、かつ、前記120°通電中に前記Hブリッジ回路の左側の上アーム側スイッチング素子と下アーム側スイッチング素子とを相補的にPWM制御すると共に、前記左側のスイッチング素子が相補的にPWM制御されている期間は、右側の上アーム側スイッチング素子がOFFで、下アーム側スイッチング素子がONを継続するように制御し、上記の制御を3相モータの第1相から第3相まで電気角120°ずつ遅れて同様に制御する手段を備えた直流3相ブラシレスモータの駆動装置。
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