JP2004198996A - 正立顕微鏡 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】試料4を載置するステージ5を備える固定部2と、固定部2に対物レンズ保持部材8を介して接続される対物レンズ7と、対物レンズ7を介して試料4を観察する観察光学系(11)を備え、固定部2と移動機構12を介して接続される移動部11とを有し、対物レンズ保持部材8は固定部2との接続部で対物レンズ7の光軸と垂直な軸の周りを回転し、対物レンズ7は対物レンズ保持部材8が回転することによって、試料観察時の対物レンズ7の光軸から退避し、移動部11は試料観察時の対物レンズ7の光軸から離れる方向に固定部2に対して移動し、試料観察時の対物レンズ7の光軸から退避することを特徴とする。
【選択図】図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、正立顕微鏡、特に電気生理実験に好適な正立顕微鏡に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、正立顕微鏡においてステージに載置される試料の上方には、対物レンズや鏡筒等の各種部品が配置されているため、試料上方のスペースはこれらに占有され試料を交換する際等の障害となる。
一方、特に電気生理実験に用いられる正立顕微鏡において、試料(培養細胞、組織切片等)や電気生理実験を行うための器具や素子(アース電極やパッチ電極等の電極針、試薬投与用のマイクロチューブ等)のセッティングを行う際には、顕微鏡におけるこれらのセッティング位置付近、即ち試料付近に十分な作業スペースが求められる。これは、損傷を受けやすい試料や電極針を、各種部品と接触して損傷を受けることがないように注意しながらセッティングする必要があるためである。また、電極針やマイクロチューブの先端は、試料付近を上方から肉眼や実体顕微鏡等によって観察しながら試料の目的位置に精度良くセッティングする必要があるためである。
従来、上述の要求に基づいて、顕微鏡において試料付近に作業スペースを確保するための機構が提案されており、例えば対物レンズおよび接眼鏡筒を回動して試料付近から退避させることによって作業スペースを確保する機構を備えた正立顕微鏡が提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平9−179036号公報(第3,4頁,第1,2図)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の正立顕微鏡では試料付近に確保される有効な作業スペースが小さいという問題がある。このため、試料や器具や素子のセッティングを行う際に観察者はこれらを真上から観察することはできず、斜めから観察しなければならない。したがって、各種部品との接触に注意してセッティングを精度良く行うことは困難である。
また近年の正立顕微鏡には、蛍光観察や複数のカメラを用いた観察を行うために蛍光観察用の光学系や、観察用の光路を複数に分離するための光学系が対物レンズと接眼鏡筒との間に配置される。しかしながら、上述の正立顕微鏡に上記蛍光観察用の光学系等を配置した場合、対物レンズおよび接眼鏡筒と共に上記蛍光観察用の光学系等を回動させることが必要となるが、蛍光観察用の光学系等は複数の光学部材からなるため、これら全体を回動させることは困難である。したがって、蛍光観察のための光学系や複数のカメラを組み込んだ正立顕微鏡においては、蛍光観察用の光学系等を回動することができない。
【0005】
そこで本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、試料付近に十分な作業スペースを確保し、かつ試料を真上から観察することができる正立顕微鏡を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために請求項1に記載の発明は、
試料を載置するステージを備える固定部と、
前記固定部に対物レンズ保持部材を介して接続される対物レンズと、
前記対物レンズを介して前記試料を観察する観察光学系を備え、前記固定部と移動機構を介して接続される移動部とを有し、
前記対物レンズ保持部材は、前記固定部との接続部で前記対物レンズの光軸と垂直な軸の周りを回転し、
前記対物レンズは、前記対物レンズ保持部材が回転することによって、前記試料観察時の前記対物レンズの光軸から退避し、
前記移動部は、前記試料観察時の前記対物レンズの光軸から離れる方向に前記固定部に対して移動し、前記試料観察時の前記対物レンズの光軸から退避することを特徴とする正立顕微鏡を提供する。
【0007】
また、請求項2に記載の正立顕微鏡は、
請求項1に記載の正立顕微鏡において、
前記移動部は、前記固定部に対してスライドして移動することを特徴とする。
【0008】
また、請求項3に記載の正立顕微鏡は、
請求項1または請求項2に記載の正立顕微鏡において、
前記対物レンズの焦点は、前記対物レンズが移動することによって調整されることを特徴とする正立顕微鏡。
【0009】
また、請求項4に記載の正立顕微鏡は、
請求項1または請求項2に記載の正立顕微鏡において、
前記移動部は、蛍光観察または複数の撮像装置を用いた観察を行うための光学系をさらに備えていることを特徴とする正立顕微鏡。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係る対物レンズ上下動型正立顕微鏡を図1を参照して説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る対物レンズ上下動型正立顕微鏡の概略構成図(観察状態)である。
図1に示す本実施形態に係る正立顕微鏡1において、顕微鏡本体2のベース部3には、試料4を保持するためのステージ5が固設されている。そして、顕微鏡本体2の支柱部6には、対物レンズ7を保持するための対物レンズ保持部8が後述の跳ね上げ機構25(図1中には不図示)を介して顕微鏡高さ方向(図中z方向)へ跳ね上げ可能に取り付けられている。また対物レンズ保持部8は、焦準ノブ10を回転操作することで、不図示の上下動機構を介して顕微鏡本体2に対して上下方向へ移動させることができる。したがって、焦準ノブ10を回転操作することで、対物レンズ保持部8および対物レンズ7を上下動させることができ、これによって焦準動作がなされる。
【0011】
顕微鏡本体2の上方には、励起光照射部11が後述するスライド機構12を介して顕微鏡奥行き方向(図中y方向)へスライド可能に取り付けられている。この励起光照射部11の内部には、フィルタ交換のための回転ターレット、複数のレンズ、絞り等(不図示)が配置されている。また励起光照射部11には、蛍光観察を行うための励起光を発する水銀ランプ9と、撮像装置13と接眼レンズ14を有する三眼鏡筒15とが取り付けられており、水銀ランプ9からの励起光を試料4へ導く励起光照射光路16、および試料4からの光を三眼鏡筒15へ導く観察光路17が形成されている。
以上の構成により、水銀ランプ9から発せられた励起光を、励起光照射光路11を介して対物レンズ7へ導き、該対物レンズ7を介してステージ5上の試料4へ照射することができる。そして、試料4からの光を対物レンズ7と励起光照射部11を介して三眼鏡筒15へ導き、撮像装置13によって試料4の像を蛍光観察することができる。
【0012】
一方、顕微鏡本体2の内部には、不図示の透過照明用光源が配置されている。この透過照明用光源からの透過照明光を、ステージ5下方の透過照明部18から射出させることでステージ5上の試料4を透過照明することができる。そして、試料4を透過した透過光を、対物レンズ7と励起光照射部11を介して三眼鏡筒15へ導き、接眼レンズ14または撮像装置13によって試料4の透過像を目視観察することができる。
【0013】
次に、本実施形態において最も特徴的な構成であるスライド機構12と跳ね上げ機構25について説明する。
図2,3は、本実施形態におけるスライド機構12を説明する図である。尚、図3は、具体的な構成を説明するためにスライド機構12部分を上方から透かして示した図である。上述のように、顕微鏡本体2と励起光照射部11との間にはスライド機構12が設けられており、図2に示すように励起光照射部11を顕微鏡本体2に対してy方向へスライドさせることができる。このスライド機構12は、図3に示すようにいわゆるクロスローラを採用しており、励起光照射部下面11aにクロスローラ19a,19b、顕微鏡本体上面2aにクロスローラガイド20a,20bがそれぞれ設けられている。そして、クロスローラ19a,19bはそれぞれローラ長手方向、即ちy方向へ摺動可能にクロスローラガイド20a,20bに狭持されている。斯かる構成によって励起光照射部11のy方向へのスライドが可能となる。
【0014】
また、励起光照射部下面11aにはストッパ21a,21b、顕微鏡本体上面2aにはストッパ22がそれぞれ設けられている。これにより、励起光照射部11のスライド時にストッパ21a(21b)とストッパ22とが当接することで、励起光照射部11のスライドストロークを規制することができる。
さらに、励起光照射部下面11aには芯出しピン23、顕微鏡本体上面2aには芯出しピン受け24がそれぞれ設けられている。これらの芯出しピン23と芯出しピン受け24とは、励起光照射部11をスライドさせる前の状態、即ち励起光照射部11が観察位置にあるときに合致するように設けられている。これにより、励起光照射部11をy方向へスライドさせた後、再び励起光照射部11をスライドさせて元の観察位置へ復帰させる際に、芯出しピン23と芯出しピン受け24とを合致させることによって観察位置の再現性を保証することができる。
【0015】
以上のスライド機構12の構成により、励起光照射部11を顕微鏡本体2に対してy方向へスライドさせることができる。これにより、励起光照射部11および三眼鏡筒15を一体的に試料4の上方から退避させることができる。さらに、試料4の上方より退避させた励起光照射部11および三眼鏡筒15は、元の観察位置へ復帰させることができる。
尚、上述のように本実施形態では、励起光照射部11をy方向へスライドさせる構成である。しかしスライドの方向はこれに限られず、励起光照射部11を顕微鏡左右方向(図中x方向)へスライドさせる構成とすることもできる。
また、上述のように本実施形態では、スライド機構12としてクロスローラを採用しているが、スライドの方法はこれに限られるものではない。
さらにこのスライド機構12は、スライドに伴う試料4への振動を配慮した構造とすることが望ましい。
【0016】
図4は、本実施形態における跳ね上げ機構25を説明する図である。上述のように、顕微鏡本体2における支柱部6の上端部分には、対物レンズ7を保持するための対物レンズ保持部8が跳ね上げ機構25を介して取り付けられており、図4に示すように対物レンズ保持部8を上方へ跳ね上げることができる。この跳ね上げ機構25は、具体的にはいわゆる蝶番を採用しており、対物レンズ保持部8は、支柱部6の上端部分にピン26を介して回動可能に取り付けられている。さらにこの跳ね上げ機構25は、跳ね上げに伴う試料4への振動を配慮した構造とすることがより望ましい。
【0017】
以上の跳ね上げ機構25の構成により、対物レンズ保持部8を支柱部6のピン26を介して上方へ回動させる(跳ね上げる)ことができる。これにより、対物レンズ保持部8および対物レンズ7を一体的にステージ5上の試料4の上方付近より退避させることができる。さらに、試料4の上方付近より退避させた対物レンズ保持部8および対物レンズ7は、対物レンズ保持部8を下方へ回動させることで元の観察位置へ復帰させることができる。
励起光照射部11をスライドさせ、対物レンズ保持部8および対物レンズ7をステージ5上の試料4の上方付近から退避させることによって、試料4の上方に空間ができ、試料4を真上から観察することができる。
【0018】
図5は、本実施形態に係る対物レンズ上下動型正立顕微鏡において、励起光照射部11および対物レンズ保持部8を試料4上方より退避させた状態(退避状態)を示す概略構成図である。
上述のように、スライド機構12によって励起光照射部11および三眼鏡筒15を試料4の上方から一体的に退避させることができる。これにより、対物レンズ保持部8の上方に、該対物レンズ保持部8を跳ね上げ退避するための空間が確保される。このため、跳ね上げ機構25によって対物レンズ保持部8および対物レンズ7を試料4の上方付近から一体的に跳ね上げて退避させることができる。これにより、対物レンズ7、対物レンズ保持部8、励起光照射部11、三眼鏡筒15、および撮像装置13を全て試料4の上方から退避させることができる。このようにして本実施形態に係る正立顕微鏡では、図5に示すように、試料4を真上から目視観察できる十分に大きな作業スペースを確保することができる。尚、「真上」は、詳細には観察状態における対物レンズ7の光軸上を指す。
さらに、励起光照射部11および対物レンズ保持部8はそれぞれ退避前の観察位置へ復帰させることができるため、試料4の上方から退避させた対物レンズ7、対物レンズ保持部8、励起光照射部11、三眼鏡筒15、および撮像装置13を全て観察位置へ復帰させ、本実施形態に係る正立顕微鏡の観察状態を復帰させることができる。
【0019】
本実施形態に係る正立顕微鏡は、スライド機構12によって励起光照射部11、三眼鏡筒15、および撮像装置13をこれらの相対的な位置を変えることなく一体的にスライドさせることができる。このため、光学性能を低下させることなく安定した退避および復帰を行うことができる。
また、本実施形態に係る正立顕微鏡は、回動部分が対物レンズ保持部8および対物レンズ7のみで軽量であるため、跳ね上げ機構25への負担を小さくできる。
【0020】
次に、本実施形態に係る正立顕微鏡を電気生理実験に用いる場合について説明する。図6は、本実施形態に係る正立顕微鏡に、電気生理実験を行うためのマニュピレータをセッティングした図である。図6に示すように、培養細胞や組織切片等の試料4を可能な限り生きたままの状態で観察を行うため、ステージ5上には保温プレート27が配置され、試料4には溶液交換のためのマイクロチューブ28が導かれている。また試料4には、該試料4に摂動を加えて観察を行うためのアース電極やパッチ電極等の複数の電極針29が導かれている。
上述のように本実施形態に係る正立顕微鏡は、スライド機構12および跳ね上げ機構25によって十分に大きな作業スペースを確保することで、試料4を真上から目視観察しながら、電気生理実験を行うための上記各マニュピレータをセッティングすることができる。このため、試料4や電極針29を顕微鏡の各種部品との接触によって損傷させることなく、電極針29やマイクロチューブ28の先端を試料4の目的位置に精度良くセッティングすることができる。
【0021】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態に係るステージ上下動型正立顕微鏡を図7を参照して説明する。図7は、本発明の第2実施形態に係るステージ上下動型正立顕微鏡の概略構成図(退避状態)である。
本実施形態に係るステージ上下動型正立顕微鏡30は、上記第1実施形態において述べたスライド機構12および跳ね上げ機構25を適用したステージ上下動型正立顕微鏡である。以下の各実施形態において、上記第1実施形態に係る対物レンズ上下動型正立顕微鏡と同様の構成である部分には同じ符号を付して重複する説明を省略し、特徴的な部分について詳細に説明する。
【0022】
図7に示す本実施形態に係る正立顕微鏡30において、支柱部31の上端部分に跳ね上げ機構25を介して上方へ跳ね上げ可能に取り付けられた対物レンズ保持部8は観察状態においてその位置が固定である。
また支柱部31の下方には、試料4を保持するためのステージ32が取り付けられている。このステージ32は、焦準ノブ33を回転操作することで、不図示の上下動機構を介して支柱部31に対して上下動させることができる。したがって、焦準ノブ33を回転操作することで、試料4をステージ32と一体的に上下動させることができ、これによって焦準動作がなされる。
【0023】
斯かる構成の本実施形態に係るステージ上下動型正立顕微鏡30は、上記第1実施形態と同様、スライド機構12および跳ね上げ機構25によって十分に大きな作業スペースを確保することができ、上記第1実施形態の奏する効果と同様の効果を奏することができる。
【0024】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態に係る対物レンズ上下動型正立顕微鏡を図8を参照して説明する。図8は、本発明の第3実施形態に係る対物レンズ上下動型正立顕微鏡の概略構成図(退避状態)である。
近年、生物観察の分野では、近赤外領域に感度を有するカメラや共焦点観察装置等の様々な撮像装置が開発・利用されている。また、複数の撮像装置を利用して1つの試料を観察することも日常的に行われている。これらは、電気生理実験を行う場合でも同様である。本実施形態に係る正立顕微鏡34は、複数の撮像装置による観察を可能とした対物レンズ上下動型正立顕微鏡である。
【0025】
図8に示すように本実施形態に係る正立顕微鏡34は、励起光照射部11と三眼鏡筒15との間にダブルポート部35が配置されている。このダブルポート部35には、撮像装置36が取り付けられており、試料4からの光を三眼鏡筒15および撮像装置36へそれぞれ導く観察光路37が形成されている。ここでダブルポート部35の内部には、ズームを行うための複数のレンズ、フィルタ等(不図示)が配置されており、撮像装置13と撮像装置36とでは試料4について異なる情報を観察することができるように構成されている。尚、本実施形態では撮像装置36として撮像装置13と同様のものを配置し、撮像装置13では上述した蛍光観察を行い、撮像装置36では撮像装置13の蛍光観察と波長の異なる蛍光観察を行うことができる。
ここで、撮像装置13と撮像装置36は異なる種類のものどうしでもよく、撮像装置の種類やダブルポート部35内の構成によって、例えば蛍光観察と赤外微分干渉観察等のように観察方法の組み合わせは、本実施形態の蛍光観察どうしに限られるものではない。
【0026】
また、本実施形態に係る正立顕微鏡34において、スライド機構12および跳ね上げ機構25は上記第1実施形態と同様に設けられている。したがって、スライド機構12の構成により、励起光照射部11を顕微鏡本体2に対してy方向へスライドさせることで、励起光照射部11および三眼鏡筒15、およびダブルポート部35を一体的に試料4の上方より退避させることができる。さらに、試料4の上方より退避させた励起光照射部11および三眼鏡筒15、およびダブルポート部35は、元の観察位置へ復帰させることができる。
【0027】
斯かる構成の本実施形態に係る正立顕微鏡は、上記第1実施形態と同様、スライド機構12および跳ね上げ機構25によって十分に大きな作業スペースを確保することができ、上記第1実施形態の奏する効果と同様の効果を奏することができる。
また、本実施形態に係る正立顕微鏡は、上述した2つの撮像装置13,36によって、試料4について2つの異なる情報を観察することができる。
尚、配置する撮像装置の数は2つに限られるものでなく、2つ以上の撮像装置を配置して試料4について2つ以上の異なる情報を観察する構成とすることもできる。この場合、ダブルポート部等のビームスプリッタモジュールなど何段重なってもスライドなので退避できる。また、2つ以上の撮像装置の配置のために、励起光照射部11に新たにポート部や鏡筒を重ねて配置した場合でも、スライド機構12によってこれらを一体的にスライドさせることができる。
【0028】
尚、上記各実施形態に係る正立顕微鏡は、蛍光観察を行うために水銀ランプと励起光照射部を備え、該励起光照射部と顕微鏡本体との間にスライド機構を設けている。しかし本発明はこれに限られず、蛍光観察を必要せず、透過照明による観察のみを行う正立顕微鏡に適用することも可能である。斯かる場合、上記実施形態と同様のスライド機構を、三眼鏡筒と顕微鏡本体との間に設け、該三眼鏡筒を顕微鏡本体に対して顕微鏡奥行き方向へスライドさせる構成とする。これにより、試料上方に位置する三眼鏡筒および撮像装置を一体的に退避させることができる。これにより、対物レンズ保持部を跳ね上げるための空間を確保できるため、対物レンズ保持部を跳ね上げることで、上記実施形態と同様に十分な作業スペースを確保することができる。
【0029】
また、斯かる透過照明による観察のみを行う正立顕微鏡では、三眼鏡筒のスライド方向は顕微鏡奥行き方向に限られず、顕微鏡高さ方向へスライドさせる構成とすることもできる。これにより、三眼鏡筒および撮像装置を一体的に試料上方へ退避させ、対物レンズ保持部を跳ね上げるための空間を確保することができる。尚、対物レンズから三眼鏡筒へ向かって射出される光は平行光であるため、三眼鏡筒を上下にスライドさせるためのスライド機構に求められる観察位置の再現性は顕微鏡奥行き方向へのスライド機構に求められるものよりもゆるいものとなる。
【0030】
また、透過照明による観察のみを行う正立顕微鏡において、三眼鏡筒と顕微鏡本体との間に上記第3実施形態におけるダブルポート部を配置する。そして、このダブルポート部と顕微鏡本体との間にスライド機構を設け、ダブルポート部を顕微鏡本体に対して顕微鏡奥行き方向へスライドさせる構成とすることもできる。この構成により、複数の撮像装置を設置することができ、配置した複数の撮像装置で試料を観察することができる。
【0031】
尚、本実施形態で述べた跳ね上げ機構およびスライド機構は、試料中の光開裂化合物(例えば、ケイジド化合物等)の開裂のため、または光異性化化合物(例えば、光照射によって異性化され、吸収、蛍光波長が変化する光活性型蛍光蛋白質等)の反応開始のためにレーザスポットや微細パターン像を対物レンズを介して試料に照射する装置等にも適用することができる。斯かる装置においても、電気生理実験に用いる正立顕微鏡と同様、試料や周辺機器(熱伝対等を含む測定用電極、溶液還流のためのチューブ、温度や湿度制御のためのチャンバ等)をセッティングする際に対物レンズが障害となる。このため、スライド機構および跳ね上げ機構によって十分に大きな作業スペースを確保することで、試料を真上から目視観察しながら、上記周辺機器をセッティングすることができる。
【0032】
また、本実施形態で述べた跳ね上げ機構およびスライド機構は、微小針によるナノメートル計測を行う原子間力顕微鏡やトンネル顕微鏡(フォトントンネル顕微鏡等も含む)等のいわゆるプローブ顕微鏡を光学顕微鏡のステージ上に設置して構成される併用装置等にも適用することができる。斯かる併用装置において、ステージへ試料を載置した後、試料の目的位置に微小針の先端を配置する必要がある。この微小針は、非常に損傷を受けやすいものであるため、不用意に試料に触れることによって先端を破壊しかねない。また、ふつう微小針の可動範囲は限られているため、手動によって試料近傍まで近づけなければならない。
したがって、微小針顕微鏡を光学顕微鏡のステージ上に設置する際、および試料の目的位置に微小針の先端を配置する際に、光学顕微鏡の対物レンズが障害となる。このため、スライド機構および跳ね上げ機構によって十分に大きな作業スペースを確保することで、微小針顕微鏡を簡便に光学顕微鏡のステージ上へ設置することができ、微小針の損傷に注意して試料の目的位置に先端を配置することができる。
【0033】
【発明の効果】
本発明によれば、試料付近に十分な作業スペースを確保し、試料を真上から観察することができる正立顕微鏡を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る対物レンズ上下動型正立顕微鏡の概略構成図(観察状態)である。
【図2】本発明の第1実施形態におけるスライド機構12を説明する図である。
【図3】本発明の第1実施形態におけるスライド機構12を説明する上方透かし図である。
【図4】本発明の第1実施形態における跳ね上げ機構25を説明する図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る対物レンズ上下動型正立顕微鏡の概略構成図(退避状態)である。
【図6】本発明の第1実施形態に係る正立顕微鏡に、電気生理実験を行うためのマニュピレータをセッティングした図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係るステージ上下動型正立顕微鏡の概略構成図(退避状態)である。
【図8】本発明の第3実施形態に係る対物レンズ上下動型正立顕微鏡の概略構成図(退避状態)である。
【符号の説明】
2 顕微鏡本体
4 試料
5 ステージ
6,31 支柱部
7 対物レンズ
8 対物レンズ保持部
9 水銀ランプ
11 励起光照射部
12 スライド機構
13,36 撮像装置
15 三眼鏡筒
18 透過照明部
25 跳ね上げ機構
35 ダブルポート部
Claims (4)
- 試料を載置するステージを備える固定部と、
前記固定部に対物レンズ保持部材を介して接続される対物レンズと、
前記対物レンズを介して前記試料を観察する観察光学系を備え、前記固定部と移動機構を介して接続される移動部とを有し、
前記対物レンズ保持部材は、前記固定部との接続部で前記対物レンズの光軸と垂直な軸の周りを回転し、
前記対物レンズは、前記対物レンズ保持部材が回転することによって、前記試料観察時の前記対物レンズの光軸から退避し、
前記移動部は、前記試料観察時の前記対物レンズの光軸から離れる方向に前記固定部に対して移動し、前記試料観察時の前記対物レンズの光軸から退避することを特徴とする正立顕微鏡。 - 請求項1に記載の正立顕微鏡において、
前記移動部は、前記固定部に対してスライドして移動することを特徴とする正立顕微鏡。 - 請求項1または請求項2に記載の正立顕微鏡において、
前記対物レンズの焦点は、前記対物レンズが移動することによって調整されることを特徴とする正立顕微鏡。 - 請求項1または請求項2に記載の正立顕微鏡において、
前記移動部は、蛍光観察または複数の撮像装置を用いた観察を行うための光学系をさらに備えていることを特徴とする正立顕微鏡。
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CN102289065A (zh) * | 2010-05-11 | 2011-12-21 | 韦宁 | 用于显微***的辅助装置和方法 |
JP2020173406A (ja) * | 2019-04-14 | 2020-10-22 | エスアイテクノ株式会社 | バックラッシを制御可能な溝カム機構、及びこれを用いた移動装置 |
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2002
- 2002-12-20 JP JP2002370662A patent/JP4254229B2/ja not_active Expired - Lifetime
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