JP2004197259A - 耐熱性布帛及びその製造方法、並びにそれからなる耐熱性防護服 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】糸軸方向に沿ってらせん状に、且つ、異なる方向に旋回する二本以上の耐熱性繊維からなる糸により形成される旋回糸を用いてなる布帛であって、該旋回糸の旋回数が800回/m以上であり、且つ、該旋回糸の芯部には空洞部が形成されている。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐熱性布帛及びその製造方法、並びに、該耐熱性布帛を用いて製造された耐熱性防護服に関し、さらに詳しくは、新規な糸形態を有する耐熱性繊維を使用した軽量かつ柔軟で優れた耐熱特性を示す耐熱性布帛及びその製造方法、並びに、該耐熱性布帛を用いて製造された耐熱性防護服に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、消防士が消火作業時に着用する耐熱性防護服としては、不燃性のアスベスト繊維やガラス繊維等からなる防護服が使われていたが、環境問題(健康問題)や作業容易性(動き易さ)などの観点から近年では、アラミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリイミド、ポリベンズイミダゾールなどの難燃性の有機繊維が使用され、さらに、火災により発生する輻射熱を防止する目的から、これらの難燃性繊維からなる布帛に金属アルミニウム等をコーティング法あるいは蒸着法により表面加工を施したものが多く使われている。
【0003】
一方、近年、遮熱性の評価方法の国際標準化が行われ、輻射熱はもとより、伝導熱に注目した評価方法が確立された(試験法番号:ISO9151)。この評価方法をクリアするにあたっては、熱の伝導を遅延させるために、防護服内に大量の空気層を形成することが有用になると考えられている。しかしながら前記に述べたようなアルミニウム加工された有機繊維からなる布帛を防護服として用いる場合、その重量が非常に重くなる欠点があり、さらに、空気層を作るという観点からは積層構造にすることが最も有用であるが、この積層構造により重量が一層増加するという欠点がある。このためにこの種の積層構造の防護服を使用することは実用上不可能であった。
【0004】
かかる問題解決のために、遮熱性に富んだ空気層が得られる嵩高性の不織布が提案されている(特開2000−212810号公報)。しかしながら、このような不織布を用いた防護服では、遮熱層が得られるものの、他方では、透湿性や通気性が極端に低減し、暑熱感や蒸れ感を引き起こす原因となるため、消火作業時のような非常に苛酷な環境では、着用感が悪いものとなり、更なる改良が求められている。
【0005】
一方、着用性向上のため、膨張剤を用いて衣服内の空気量を増やす試み(特開2000−214318号公報)や、特殊な織物構造を利用して衣服内の空気量を増やす試み(特開2002−115106号公報)がなされてきた。しかしながら、これらの改良はいずれも耐熱性繊維の糸構造に起因する空気量を増加させるものではなく、防護服の重量が大幅に増加するのを抑えることは非常に難しかった。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−212810号公報
【0007】
【特許文献2】
特開2000−214318号公報
【0008】
【特許文献3】
特開2002−115106号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、前記の問題点を解決し、軽量かつ柔軟で優れた耐熱特性を示す耐熱性布帛及びその製造方法、並びに、該耐熱性布帛を用いて製造された耐熱性防護服を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記の課題は、糸軸方向に沿ってらせん状に、且つ、異なる方向に旋回する二本以上の耐熱性繊維からなる糸により形成される旋回糸を用いてなる布帛であって、該旋回糸の旋回数が800回/m以上であり、且つ、該旋回糸の芯部には空洞部が形成されていることを特徴とする耐熱性布帛により解決され、かかる耐熱性布帛は、芯糸に溶解性糸を用い、鞘糸に耐熱性繊維からなる糸を用い、該芯糸の周りに二本以上の鞘糸がらせん状に且つ異なる方向に旋回してなるカバリングヤーンを作成し、該カバリングヤーンを用いて布帛を形成した後、芯糸を溶解除去する方法により得られる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の耐熱性布帛は、耐熱性繊維からなる旋回糸を用いて形成される布帛であって、該旋回糸の芯部には空洞部が形成されている特殊な構造を有する糸(中空旋回糸ということもある)を用いて形成される布帛である。
【0012】
本発明に使用する耐熱性繊維としては、アラミド繊維、ポリベンゾイミダゾール繊維、ポリイミド繊維、ポリアミドイミド繊維、ポリエーテルイミド繊維、ポリアリレート繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維、ノボロイド繊維、難燃アクリル繊維、ポリクラール繊維、難燃ポリエステル繊維、難燃綿繊維、難燃ウール繊維などが使用可能であり、これらの耐熱性繊維を一定量以上混在させることにより耐熱性能が基準値を超えるので、非耐熱性繊維を共に用いることも可能である。
【0013】
耐熱性繊維の中でも優れたLOI値を示し、なおかつ繊維そのものが白色であるポリメタフェニレンイソフタルアミドは防護衣料を作成するにあたり非常に有用である。更に、織物強度を向上させる目的でパラ系のアラミド繊維、すなわち、ポリパラフェニレンテレフタルアミドや、あるいは、これに第三成分を共重合した繊維を混合させることが好ましい。ポリパラフェニレンテレフタルアミド共重合体の一例として、下記式に示すコポリパラフェニレン・3.4’オキシジフェニレンテレフタルアミドを使用するものが好ましく例示される。
【0014】
【化1】
【0015】
(ここで、m及びnは正の整数を表す。)
該パラ系のアラミド繊維の混合比率としては、表地を構成する全繊維に対して5重量%以上が好ましいが、パラ系のアラミド繊維は、フィブリル化を起こしやすいため、混合比率を60重量%以下に抑えることが好ましい。
【0016】
本発明の耐熱性布帛は、芯部に空洞部が形成された旋回糸(中空旋回糸)により構成されていることが重要である。すなわち、本発明に使用する旋回糸は、前記のような耐熱性繊維からなる糸が旋回糸の糸軸方向に沿ってらせん状に旋回糸の外周部分を旋回し、旋回糸の中心部(芯部)には繊維が殆ど存在しない空洞部分が形成されている特殊な形態をしたものである。該空洞部の形態を維持するためには、該耐熱性繊維からなる糸は、二本以上が使用され、且つ、らせん状に旋回する方向も異なる方向に旋回しているものが好ましい。
【0017】
さらに、該耐熱性繊維からなる糸は、該空洞部分の形態を維持するために800回/m以上の旋回数、即ち800回/m以上の撚を付与されて旋回していることが必要である。該旋回数が800回/m未満では、十分ならせん構造による空洞部分の形成ができないか、若しくは、耐熱性布帛を使用中に空洞部分がへたり、空洞部分の形態を維持出来ない恐れがあり好ましくない。また、該旋回数は、かなり大きくても使用できるが、2重らせんが形成されない程度にすべきである。2重らせんの発生は、旋回糸の取扱性が低下したり、得られる布帛の外観や風合いを損ねるので好ましくない。実用的な旋回数は使用する耐熱性繊維の種類や糸の太さによっても異なるが、3000回/m以下の範囲で使用するものがよい。
【0018】
かかる旋回糸の製造方法の一例として、カバリングヤーン法が挙げられる。すなわち、溶解性繊維からなる糸を芯糸に用い、耐熱性繊維からなる糸を鞘糸に用いて、公知の方法によりカバリングヤーンを作成する際に、該鞘糸が芯糸の周りに800回/m以上旋回するようにしてカバリングヤーンを作成する。しかる後、該カバリングヤーンの芯糸を溶解除去することによって鞘糸のみが残された中空旋回糸が得られる。しかし、このような中空旋回糸はカバリングヤーンと異なり後次加工の取扱性が低下するので、これを用いて布帛を作成するには細心の注意が必要である。
【0019】
このため実用的には、前記のカバリングヤーンを用いて布帛を形成した後に、該布帛中の芯糸を溶解除去することにより、旋回糸の芯部に空洞部分が形成された中空旋回糸からなる布帛を製造するほうがよい。
【0020】
次に、本発明に使用する溶解性繊維からなる糸とは、アルカリ溶液または酸性溶液、あるいは単に沸水などにより溶解するポリマーからなる糸であれば特に限定するものではない。例えば、アルカリ溶解性糸の一例としては、アルカリ溶解性アクリル糸やポリエステル糸などが挙げられる。特にポリエステル糸に関しては、通常のポリエチレンテレフタレート構造のポリマーに溶解促進を目的としてイソフタル酸、又は、スルホン化されたフタル酸を共重合したポリエステルが特に好ましく使用される。
【0021】
さらに、上記芯糸には高収縮性の繊維を用いるものが好ましい。高収縮性繊維からなる芯糸を使用してカバリングヤーンを作成し、該カバリングヤーンを用いて布帛とした後に、該芯糸を収縮させることにより鞘糸の旋回密度をアップさせ、しかる後に該芯糸を溶解除去すれば、旋回糸の嵩高性を向上させるのみならず、芯部に形成される空洞部分の形態維持にも役立つものである。該高収縮性繊維の収縮率としては、沸水収縮率で測定して、20〜60%の範囲にあるものが好ましく例示される。該沸水収縮率が20%未満では、高収縮性繊維を使用する効果が少ないし、また、該仏水収縮率が60%を超えるものは、2重らせんの発生の恐れがあり好ましくない。
【0022】
このような高収縮性繊維は、公知の方法により得られるが、例えば、前記のポリエステル繊維では、前記のイソフタル酸、又は、スルホン化されたフタル酸を共重合したポリエステル繊維を製造する際に、冷延伸したものは高収縮性を示すので、これを芯糸に用いればよい。
【0023】
また、沸水溶解性の繊維としては、水溶性ビニロン糸が好ましく例示される。該水溶性ビニロン糸は、溶解速度が速く布帛中で中空旋回糸を形成し易く、また、カバリングヤーンとしての加工性もよいので特に有用である。
【0024】
また、該カバリングヤーンを作成するにあたり、二本以上の耐熱性繊維からなる糸により芯糸の周りに逆方向の撚り(旋回)を持たせつつ、ダブルカバリング法により作成することができる。一本の糸によるシングルカバリング法では、芯糸を溶解して、芯部に空洞部(中空部)を作成する際に、糸の撚り戻しが起こりやすく、中空部を適切に保持することが困難となり好ましくない。二本の糸を使用して異なった方向の撚り(旋回)を付与するダブルカバリング法により、芯糸を溶解して中空部を適切な形で形成・維持することができる。
【0025】
本発明に使用する中空旋回糸の断面写真を図1、2に示す。図1は、芯糸溶解前のカバリングヤーンを糸軸に直交する断面において示したものであり、図2は、芯糸溶解後のカバリングヤーンを糸軸に直交する断面において示したものである。
【0026】
図1において、前記に述べたようにカバリングヤーン法により、芯糸1には溶解性糸を用い、鞘糸2には耐熱性繊維からなる糸を用いて、カバリングヤーンを製造し、該芯糸1を溶解除去することによって鞘糸2のみが残された中空旋回糸を得ることができる。3は旋回糸の芯部に形成された空洞部(中空部)を示す。
【0027】
図3は、該中空旋回糸(らせん状に旋回する鞘糸)における繊維の旋回状態を示す側面写真である。図2において、4はZ方向に、5はS方向にそれぞれらせん状に旋回する鞘糸を示している。
【0028】
このようにして旋回中空糸からなる耐熱性布帛は、編物や織物として形成されるが、消防服などの耐熱性防護服には、適当な強度を必要とするために織物が好ましく使用され、織物の場合にはその目付けが150〜350g/m2の範囲にあるものを使用することが実用的である。該目付けが、150g/m2未満の場合には、充分な耐熱性能が得られない恐れがあり、また、該目付けが、350g/m2を超える場合には、防護服にした場合の着用感が阻害されるので好ましくない。
【0029】
さらに、該耐熱性布帛の性能をアップするために、表地面(耐熱性防護服の表側面)に対して予め撥水性加工を施して耐水性の高い布帛とすることができる。該撥水加工は、フッ素系の撥水性樹脂を用いて公知の方法に従って、コーティング法、スプレー法、あるいは、浸漬法などの加工方法により行うことができる。このように撥水性加工を施した耐熱性布帛を用いて作成した防護服では、消火作業の際に空洞部に水が浸入してくるのを防止することができるので、防護服の着用性能を向上させることができる。
【0030】
また、防火衣などの高い性能を要求される分野では特に、中間層として透湿防水性のある薄膜フィルムを耐熱性繊維からなる布帛にラミネート加工したものを用いることが効果的である。この中間層を挿入することにより、透湿防水性が向上し防水性能は勿論のこと、着用者の汗の蒸散を促進してヒートストレスを減少させることが出来る。ここで用いる薄膜フィルムとしては、透湿防水性を有するものであれば使用可能であるが、耐薬品性を兼ね備えたポリテトラフルオロエチレン製のものを用いることが特に好ましい。
【0031】
【発明の作用】
本発明は、耐熱性繊維を主要な構成要素とする耐熱性布帛であって、異なる方向にらせん状に旋回する二本以上の耐熱性繊維により形成される中空旋回糸により構成されている布帛であり、さらに、該布帛を使用してなる耐熱性防護服である。このように本発明に使用する中空旋回糸は、芯部に空洞部を形成した特殊構造を有しているので、軽量かつ柔軟性に富み、空気層を増大させて遮熱性に優れた耐熱性布帛を提供することが出来たものである。さらに、旋回数が800回/m以上の旋回糸の構造を形成することにより布帛に伸縮性を発現し、これを用いて作成した耐熱性防護服においては、機能上の要求からかなりの厚手になるにもかかわらず着用感を向上させることができる。
【0032】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明する。なお、実施例において行った評価については以下の方法(規格)により実施した。
【0033】
(1)遮熱性:
ISO9151に準拠して、24℃温度上昇試験を行う。すなわち、遮熱性試験に供する試験布を用いて外衣を作成する。また、遮熱性測定の際に使用する内衣は、中間層として用いる透湿防水性のポリテトラフルオロエチレン製フィルム(日本ゴアテックス(株)製)を貼り合わせたポリメタフェニレンイソフタルアミド製織布(目付:105g/m2)を用い、遮熱層として用いるウォーターニードル法にて作成したポリメタフェニレンイソフタルアミド製不織布(目付:35g/m2)の2枚をポリメタフェニレンイソフタルアミド製織布からなる裏地にキルティング加工したものを用いて作成する。該内衣の上に外衣を重ねて作成した試験用衣服を規定の火炎に曝露して該内衣の温度上昇が24℃に達する時間を測定する。
【0034】
(2)耐熱性:
温度:1200℃の火炎に中空旋回糸からなる織布を曝露し、火炎により穴があくまでの時間を測定する。
【0035】
[実施例1]
芯糸として、イソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート(140dtex/12フィラメント)を常温にて延伸して得た冷延伸糸(83dtex/12フィラメント、沸水収縮率:47%)を用い、鞘糸として、ポリメタフェニレンイソフタルアミド(商標名:コーネックス、帝人(株)製)からなる短繊維とコポリパラフェニレン・3.4’オキシジフェニレンテレフタルアミド(商標名:テクノーラ、帝人(株)製)とからなる短繊維を90:10の割合でほぼ均一に混合した耐熱性繊維を用いてなる紡績糸(綿番手40番)2本を用いて、ダブルカバリング法により下撚りをZ撚方向に2200回/メートル、上撚りをS撚方向に2000回/メートルとする条件にてカバリング加工を施しカバリングヤーンを得た。
【0036】
該カバリングヤーンを用いて綾織組織に織成し、該綾織物を温度:98℃のアルカリ水溶液にて処理し、織物中の芯糸を完全に溶解除去して中空旋回糸からなる耐熱性布帛(目付:280g/m2)を得た。なお、該耐熱性布帛を構成する中空旋回糸の太さは700dtexであった。
【0037】
この耐熱性布帛を使用して耐熱性防護服(外衣)を作成し、前記の方法により遮熱性の試験を行った。得られた試験結果を表1に示す。
【0038】
[実施例2]
実施例1において、耐熱性布帛の目付けを200g/m2とする以外は実施例1と同様に行って耐熱性布帛を作成し、この耐熱性布帛を使用して耐熱性防護服(外衣)を作成し、前記の方法により遮熱性の試験を行った。得られた試験結果を表1に併せて示す。
【0039】
[実施例3]
芯糸として、水溶性ビニロン糸(商標名:ソルブロン、(株)ニチビ製)、110dtex/30フィラメント)を用い、鞘糸として、ポリメタフェニレンイソフタルアミド(商標名:コーネックス、帝人(株)製)からなる短繊維とコポリパラフェニレン・3.4’オキシジフェニレンテレフタルアミド(商標名:テクノーラ、帝人(株)製)からなる短繊維を90:10の割合でほぼ均一に混合した耐熱性繊維を用いてなる紡績糸(綿番手40番)2本を用いて、ダブルカバリング法により下撚りをZ撚方向に2200回/メートル、上撚りをS撚方向に2000回/メートルとする条件にてカバリング加工を施しカバリングヤーンを得た。
【0040】
該カバリングヤーンを用いて綾織組織に織成し、該綾織物を温度:98℃の沸騰水にて処理し、織物中の芯糸を完全に溶解除去して中空旋回糸からなる耐熱性布帛(目付:280g/m2)を得た。なお、該耐熱性布帛を構成する中空旋回糸の太さは700dtexであった。
【0041】
この耐熱性布帛を使用して耐熱性防護服(外衣)を作成し、前記の方法により遮熱性の試験を行った。得られた試験結果を表1に併せて示す。
【0042】
[比較例1]
芯糸として、実施例1で使用した冷延伸糸を用い、鞘糸として、実施例1で使用した耐熱性繊維からなる紡績糸2本を用いて、ダブルカバリング法により下撚りをZ撚方向に440回/メートル、上撚りをS撚方向に400回/メートルとする条件にてカバリング加工を施しカバリングヤーンを得た。
【0043】
該カバリングヤーンを用いて綾織組織に織成し、該綾織物を温度:98℃のアルカリ水溶液にて処理し、織物中の芯糸を完全に溶解除去して中空旋回糸からなる耐熱性布帛(目付:240g/m2)を得た。なお、該耐熱性布帛を構成する中空旋回糸の太さは350dtexであった。
【0044】
該中空旋回糸は、芯部に形成されるべき空洞部が部分的に形成されてはいるが、多くの部分で空洞部の形成が出来なかった。この耐熱性布帛を使用して耐熱性防護服(外衣)を作成し、前記の方法により遮熱性の試験を行った。得られた試験結果を表1に併せて示す。
【0045】
[比較例2]
ポリメタフェニレンイソフタルアミド(商標名:コーネックス、帝人(株)製)からなる短繊維とコポリパラフェニレン・3.4’オキシジフェニレンテレフタルアミド(商標名:テクノーラ、帝人(株)製)からなる短繊維を90:10の割合でほぼ均一に混合した耐熱性繊維よりなる紡績糸(綿番手20番、中空構造ではない)を2本合せて、500回/メートルの撚数で合撚した撚糸を得た。
【0046】
該撚糸を用いて、綾織組織に織成して耐熱性繊維布帛(目付:280g/m2)を得た。この耐熱性布帛を使用して耐熱性防護服(外衣)を作成し、前記の方法により遮熱性の試験を行った。得られた試験結果を表1に併せて示す。
【0047】
[比較例3]
ポリメタフェニレンイソフタルアミド(商標名:コーネックス、帝人(株)製)からなる短繊維とコポリパラフェニレン・3.4’オキシジフェニレンテレフタルアミド(商標名:テクノーラ、帝人(株)製)からなる短繊維を90:10の割合でほぼ均一に混合した耐熱性繊維よりなる紡績糸(綿番手20番、中空構造ではない)を2本合せて、500回/メートルの撚数で合撚した撚糸を得た。
【0048】
該撚糸を用いて、綾織組織に織成して耐熱性繊維布帛(目付:200g/m2)を得た。この耐熱性布帛を使用して耐熱性防護服(外衣)を作成し、前記の方法により遮熱性の試験を行った。得られた試験結果を表1に併せて示す。
【0049】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】芯糸溶解前のカバリングヤーンの断面写真。
【図2】芯糸溶解後のカバリングヤーンの断面写真。
【図3】本発明で使用する中空旋回糸における繊維の旋回状態を示す側面写真。
【符号の説明】
1 芯糸
2 鞘糸
3 空洞部(中空部)
4 Z方向に旋回する鞘糸
5 S方向に旋回する鞘糸
Claims (8)
- 糸軸方向に沿ってらせん状に、且つ、異なる方向に旋回する二本以上の耐熱性繊維からなる糸により形成される旋回糸を用いてなる布帛であって、該旋回糸の旋回数が800回/m以上であり、且つ、該旋回糸の芯部には空洞部が形成されていることを特徴とする耐熱性布帛。
- 耐熱性繊維が、アラミド繊維、ポリベンゾイミダゾール繊維、ポリイミド繊維、ポリアミドイミド繊維、ポリエーテルイミド繊維、ポリアリレート繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維、ノボロイド繊維、難燃アクリル繊維、ポリクラール繊維、難燃ポリエステル繊維、難燃綿繊維、難燃ウール繊維からなる群から選ばれた少なくとも1種の繊維である請求項1記載の耐熱性布帛。
- 芯糸に溶解性繊維からなる糸を用い、鞘糸に耐熱性繊維からなる糸を用いて、該芯糸の周りに二本以上の鞘糸がらせん状に且つ異なる方向に旋回してなるカバリングヤーンを作成し、該カバリングヤーンを用いて布帛を形成した後、芯糸を溶解除去することを特徴とする耐熱性布帛の製造方法。
- 耐熱性繊維がアラミド繊維、ポリベンゾイミダゾール繊維、ポリイミド繊維、ポリアミドイミド繊維、ポリエーテルイミド繊維、ポリアリレート繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維、ノボロイド繊維、難燃アクリル繊維、ポリクラール繊維、難燃ポリエステル繊維、難燃綿繊維、難燃ウール繊維からなる群から選ばれた少なくとも1種の繊維である請求項3記載の耐熱性布帛の製造方法。
- 芯糸が溶解性アクリル糸、又は、溶解性ビニロン糸である請求項3又は4記載の耐熱性布帛の製造方法。
- 芯糸がポリエステル糸である請求項3又は4記載の耐熱性布帛の製造方法。
- 芯糸が沸水収縮率が20〜60%の範囲にある溶解性繊維からなる請求項3〜6のいずれか1項に記載の耐熱性布帛の製造方法。
- 請求項1又は2記載の耐熱性布帛、若しくは、請求項3〜7のいずれか1項に記載の方法により得られる耐熱性布帛を用いてなることを特徴とする耐熱性防護服。
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