JP2004197004A - ポリカーボネート樹脂の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】色相に優れ、且つ生産開始後の着色度の高い製品の発生を抑制し歩留まりよく生産性の高い溶融法ポリカーボネート樹脂の連続的な製造方法を提供すること。
【解決手段】反応停止後、各槽の反応液を抜き出した後、洗浄処理を行い、反応装置内に樹脂等を残存させない。
【選択図】 なし
【解決手段】反応停止後、各槽の反応液を抜き出した後、洗浄処理を行い、反応装置内に樹脂等を残存させない。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、色相に優れ、生産性の高いポリカーボネート樹脂のエステル交換法による連続的製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に広く使用されているポリカーボネートは、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下、BPAと記す)等の芳香族ジヒドロキシ化合物とホスゲンとを酸結合剤の存在下、界面重合させる方法、或いはBPAと芳香族炭酸ジエステルをエステル交換触媒存在下、溶融重合する方法によって製造され、その耐衝撃性等の優れた機械的特性と、優れた耐熱性、透明性を併せ持つことから様々な分野で用いられており、光学材料としては、各種レンズ、プリズム、光ディスク基板などに利用されている。この中でも、CD−R、CD−RW、DVD、DVD−RAM等光ディスク基板に使用されるポリカーボネートは高精度、高密度化され、340℃以上の高温度で成形されるためより一層の耐熱安定性、優れた色相が要求されている。また、メガネレンズ用途等においても優れた色相が要求され、近年更なる色相の改善、及びより一層の低価格化の要求が強まっている。
これまで色相の改善法として様々な特許が多数出願されている。これらの中で、反応装置に関するものとしては、タンタル、クロム、ニッケル等の非鉄系、非ステンレス系の特殊な材質を装置に用いる方法(例えば、特許文献1参照。)。芳香族ヒドロキシ化合物を含有する液で洗浄処理したステンレス製リアクターを用いる方法(例えば、特許文献2参照。)などが試みられているがまだ十分ではなく、生産開始或いは再開後は長期にわたり満足する色相を有したポリカーボネートが得られず、製品の歩留まりの低下を招いていた。
また、反応装置としてステンレス鋼を用い、色調に優れ且つ高分子量のポリカーボネートを生産性良く製造する方法として、芳香族モノヒドロキシ化合物、芳香族炭酸ジエステル及びそれらの混合物よりなる群のうちの少なくとも一種類の洗浄剤を用いて反応装置を洗浄処理する方法が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。しかし、これらは特にステンレス鋼で作られた反応装置の接液面にポリカーボネートの色相を悪化させる化学的に表面に結合しているため物理的に除去不能な活性物質を不活性物質に変換させる処理であり、反応開始前に行われる処理であった。
【0003】
【特許文献1】
米国特許第4383092号明細書
【特許文献2】
特開平6−5698号公報
【特許文献3】
特開2002−20478号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、色相に優れ、且つ生産開始後の着色度の高い製品の発生を抑制し歩留まりよく生産性の高い溶融法ポリカーボネート樹脂の連続的な製造方法を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題について鋭意検討の結果、反応停止後、各槽の反応液を抜き出した後、洗浄処理を行い、反応装置内に樹脂等を残存させないことが有効であることを見出し本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち本発明は、反応停止後、反応槽の反応液を抜き出してから、24時間以内に該反応時に副生するものと同じモノヒドロキシ化合物、原料として用いる炭酸ジエステル、及び原料混合液の中から選ばれる一種以上の洗浄液を送液し、反応槽、反応槽を繋ぐ配管、バルブ、送液装置に残存した樹脂を溶解洗浄した後、少なくとも装置内部が常温となるまで実質的に酸素の存在しない不活性ガス雰囲気下で装置内を保持することにより、反応再開後の着色度の高い製品の発生を抑制し、色相に優れ、生産性の高いポリカーボネートの製造方法を提供するものである。
【0007】
本発明における洗浄液としては、反応時に副生するものと同じモノヒドロキシ化合物、原料として用いる炭酸ジエステル、それらの混合物、原料混合液等が挙げられる。これらは2種以上混合して用いても良い。具体例として、ジフェニルカーボネートとBPAをエステル交換触媒の存在下溶融重合してポリカーボネートを製造する場合、副生するモノヒドロキシ化合物はフェノール、原料として用いる炭酸ジエステルはジフェニルカーボネートであり、原料混合液はこれらの混合液である。また、原料混合液とは、二価のジヒドロキシ化合物を2種以上用いて重合する共重合ポリカーボネートの場合、炭酸ジエステルとこれら二価のジヒドロキシ化合物の1種以上との混合物を指す。原料混合液は通常、無触媒下においても反応が一部進行するため副生するモノヒドロキシ化合物が含有されていてもよい。
【0008】
また、該混合液に触媒を添加することにより反応を進行させ、比較的沸点の低いモノヒドロキシ化合物を含有させることは好ましく、この際、モノヒドロキシ化合物と同時にオリゴマーも生成するが、重量平均分子量が5000を越えるように重合度が増してしまうと残存樹脂の溶解性の低下、及び洗浄液が反応装置に残留しやすくなるため低分子量体にとどまる程度のモノヒドロキシ化合物の生成量とするのがよい。モノヒドロキシ化合物の生成量は、好ましくは5〜30重量%、更に好ましくは10〜25重量%である。
【0009】
洗浄する際、洗浄液に含まれる少なくとも一つの化合物の沸点以上に反応装置を加熱保持し、該化合物を還流させることにより、反応槽の天板及び副生物の留去ラインを洗浄するのが好ましい。洗浄が不十分である場合、天板や、留去ラインに付着残存した、副生物と共に一部留去されたオリゴマーや原料などは熱履歴を受け変性着色している場合が多く、反応再開時に反応液に混入し着色原因となる。前反応槽のうち、特に還流させることにより反応装置天板及び留去ラインを積極的に洗浄した方がよいのは、重合度が高くなり副生するモノヒドロキシ化合物の留去の少ない反応槽で、前反応槽までに理論副生モノヒドロキシ化合物留去量の90%以上、好ましくは80%以上が留去された反応液が送液される反応槽である。重合度が低く、減圧度がそれほど高くない反応槽では、モノヒドロキシ化合物の留去量が多いため、天板或いは留去ラインに未反応原料や、オリゴマーが付着されにくい。一方、重合度が上がり減圧度の高い反応槽では副生物の留去量も少なく未反応原料や、オリゴマーが付着しやすい。上述した還流洗浄は少なくとも1回以上行うことが好ましい。
モノヒドロキシ化合物は他洗浄液成分に比べ比較的沸点が低いので、還流させるのに常圧においても洗浄液の温度を300℃以上とするような高温度が必要ないため好ましい。
また、炭酸ジエステル等沸点の比較的高いものについては、減圧することにより該化合物の沸点を下げることも有効である。
本発明においては、炭酸ジエステルを含有する洗浄液を使用する場合、常圧、高温度下では、残存した樹脂が分解しモノヒドロキシ化合物が生成するため、生成したモノヒドロキシ化合物の沸点以上に加熱し洗浄することにより、該モノヒドロキシ化合物が還流し天板及び留去ラインが洗浄される。
なお、本発明における「反応装置」とは、反応槽、反応槽を繋ぐ配管、バルブ、送液ポンプ、副生物留去ラインなどを意味する。
【0010】
洗浄温度は残存樹脂のTg以上とするのが洗浄時間を短縮するのに有効であり、上述の洗浄液の1つ以上を還流させることを考慮して、適宜決定するのがよい。
洗浄時間に特に制限はないが、残存樹脂等が無くなれば良く、通常30分以上が好ましい。しかし、高温で洗浄する場合は洗浄時間を極端に長くすると洗浄液自体が変性劣化し、反応装置内壁面に吸着し、洗浄液を抜き出した後も残存するため着色の原因となってしまうことから、30時間以内とするのがよい。ここで洗浄時間とは、洗浄液が該反応装置に接触している時間をいう。
【0011】
反応槽における洗浄液の張り込み量は、洗浄時間を短縮する上で、製造運転時に反応液が接液する部位を満たしているのが好ましいが、本発明では、洗浄液の一部を還流させているため、少なくともかまわないが洗浄効率を考慮し反応槽容積の1/3以上とするのがよい。
また、洗浄回数は残存樹脂等が無くなれば1回でもかまわないが、好ましくは2回以上洗浄するのが良く、最後に芳香族ヒドロキシ化合物、炭酸ジエステル等でリンスするのがより好ましい。さらに好ましくは、リンス後反応装置内を高減圧下とし、リンス液を反応装置内から除去するのがよい。
また、洗浄液抜き出し後、反応装置内に残存する洗浄液を水、アセトンやメタノール等の有機溶剤に溶解し抜き出した後、高減圧下で残存する該リンス液を除去してもよい。
この際ハロゲン系の溶剤は好ましくなく、ハロゲンが反応装置内壁面に吸着され減圧除去されないため、反応再開時の着色原因となったり、或いは重合を阻害してしまう。
洗浄後の洗浄液中には、残存していた樹脂と、該樹脂が一部分解され生成する、或いは反応槽の天板或いは副生物留去ラインに付着していたオリゴマー、原料、モノヒドロキシ化合物が含有されていることはいうまでもない。
【0012】
本発明では、反応停止後、反応槽の反応液を抜き出した後24時間以内に該反応時に副生するものと同じモノヒドロキシ化合物、原料として用いる炭酸ジエステル、及び原料混合液の中から選ばれる一種以上を洗浄液として送液することが好ましく、更に好ましくは18時間以内、より好ましくは12時間以内である。
残存した反応液を長時間反応槽、或いは送液配管などに高温度の状態で滞留させると、残存した反応液が変性し、さらには‘ヤケ’(茶褐色に着色した不溶異物)となり化学洗浄では除去するのが困難となる。特に高分子量化した樹脂が残存している場合、さらには脂肪族をモノマーに使用している場合は完全に炭化してしまうこともあり、その影響は顕著である。また、高温度で樹脂が長時間保持されると、ヤケとは別に融点の高い結晶化物が生成し、特に反応液を送液する配管或いはポンプ中に生成してしまうと溶解洗浄する時間が極端に長くなり効率的でない。
【0013】
洗浄液の送液方法に特に制限はないが、連続的に各反応槽の液レベルを保ちつつ洗浄液を第1反応槽より最終反応槽まで通液する方法、各反応槽にそれぞれ洗浄液を送液し、バッチ式に洗浄する方法、或いは第1反応槽より洗浄液を送液し、所定時間洗浄した後第2反応槽に送液していくように、第1反応槽より順次洗浄していく方法等が挙げられる。
また、比較的分子量が低く、洗浄が容易な反応槽は順次洗浄液を送液していき、分子量の高い反応槽には別途洗浄液を送液して洗浄する方法も好適に実施される。
【0014】
洗浄後は、常温に反応装置内が下がるまで不活性ガス雰囲気下とするのが好ましく、更に好ましくは反応再開時まで反応装置内を不活性ガス雰囲気下とし酸素と接触させないことが好ましい。
反応装置内が酸素と接触するような雰囲気下で保持されると、反応再開時に樹脂が着色する場合がある。理由は明らかではないが、反応装置内において酸素と接触すると、反応装置内壁面に吸着した有機物、或いは金属表面に酸素が吸着され着色原因となるものと推察される。
【0015】
また、生産調整等で運転を休止する場合においても、不活性ガス下で、且つ反応装置内に残存する樹脂等が無く十分に洗浄された状態で維持されていれば1ヶ月程度であれば、反応再開前に特に洗浄処理を行うことなく反応初期における樹脂の着色を抑制することが可能である。
【0016】
定期修理等で、装置を分解修理する際は空気中の酸素と反応装置内壁面が接触する環境下となるが、この際もできるだけ不活性ガスでフローするなど酸素との接触を抑えることが望ましい。
反応再開前に、上述の反応停止時に行う洗浄処理を行うことも望ましく、特に反応装置内壁面が酸素と接触した場合は更に好ましい。この際も、反応装置を所定の温度まで昇温する前に、反応装置内を十分に不活性ガスにより置換するのが好ましい。
【0017】
本発明においては、反応を開始する際、連結した各反応槽の出口におけるポリカーボネート樹脂の重量平均分子量が10000以上となる反応槽を繋ぐ配管、或いは該反応槽底部に樹脂排出ラインを設け、反応開始後各反応槽より排出される樹脂のYI値が1.3以下となるまで該排出ラインより樹脂を抜き出し、該条件に達した後、次の反応槽へ送液を行い、段階的に反応を開始することが着色した樹脂の発生を抑制し、生産性を高めるのに有効である。
反応開始時初期に生成する着色した樹脂を排出せずにそのまま次の反応槽に送液し、重合を進めると、樹脂の着色が徐々に薄まり色相の優れた樹脂が得られるまでに長時間を有し、生産性が低下することとなる。
【0018】
また、本発明に使用する反応装置の材質としてはニッケル、クロム、コバルト、或いはそれらの合金、さらにはそれらに鉄等を含有したステンレス鋼が使用される。これらの中でも特に、ステンレス鋼が安価で加工しやすいため好適に用いられる。さらには該ステンレス鋼製の各反応槽内壁、送液配管、及び副生物が還流する部位に電解研磨処理を施すことにより色相の優れた樹脂を製造でき好ましい。
本発明で使用するステンレス鋼としては、特に制限はないが、SUS310、SUS310S、SUS309、SUS309S、SUS314等のニッケル含有量12〜22wt%、クロム含有量22〜26wt%のステンレス鋼であることが好ましい。
【0019】
本発明におけるポリカーボネートとは、炭酸ジエステルと二価のジヒドロキシ化合物を、エステル交換触媒の存在下溶融重合して得られる芳香族ポリカーボネート、脂肪族ポリカーボネート、芳香族―脂肪族共重合ポリカーボネートである。
【0020】
本発明に用いられる炭酸ジエステルは、下記一般式(V)で表される化合物である。
【0021】
【化2】
【0022】
(式中Aは1価の芳香族基、炭素数1〜12のアルキル基であり、Aは同一であっても異なっていてもよい。)
【0023】
上記一般式(V)で表される炭酸ジエステルは、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジオクチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、メチルフェニルカーボネート、ジフェニルカーボネート、ジトリールカーボネート、ジキシリルカーボネート、ビスプロピルフェニルカーボネート、ビスオクチルフェニルカーボネート、ビスノニルフェニルカーボネート、ビスメトキシフェニルカーボネート、ビスエトキシフェニルカーボネート等の置換ジフェニルカーボネート等が例示されるが、特に好ましくはジフェニルカーボネート(以下DPCと記す)が挙げられ、塩素含有量は、1ppm 以下であることが好ましい。炭酸ジエステルは、モノマーとして用いられるジヒドロキシ化合物の合計1モルに対して0.97〜1.2モルの量で用いられることが好ましく、特に好ましくは0.99〜1.10モルの量である。
【0024】
本発明の反応に用いられる脂肪族ジヒドロキシ化合物としては、例えば、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、トリシクロ(5.2.1.02,6)デカンジメタノール、3,9−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5.5)ウンデカン、3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5.5)ウンデカン、3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジエチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5.5)ウンデカン、3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジプロピルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5.5)ウンデカン、ペンタシクロ[9.2.1.13,9.02,10.04,8]ペンタデカンジメタノール、ペンタシクロ[9.2.1.14,7.02,10.03,8]ペンタデカンジメタノール、2,6−デカリンジメタノールあるいは1,4−シクロヘキサンジメタノール、アダマンタンジメタノールなどが挙げられる。
【0025】
これらのうちで光学用途に用いる場合は、脂環構造を有するジヒドロキシ化合物が好ましく、特に下記構造式(III)で示されるトリシクロ(5.2.1.02,6)デカンジメタノール(以下TCDDMと記す)、下記構造式(IV)で示される3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5.5)ウンデカン(以下SPGと記す)が好ましい。
【0026】
【化3】
上記構造を有するジヒドロキシ化合物は、不純物として含まれるカルボニル基含有量がKOH換算で1.0mg/g以下、好ましくは0.5mg/g、さらに好ましくは0.1mg/g以下であるものが用いられる。また、塩素や金属イオンの含有量がそれぞれの元素について1ppm以下の高純度のものが好ましい。
【0027】
本発明の反応に用いられる芳香族ジヒドロキシ化合物は下記一般式(VI)で表される化合物である。
【0028】
【化4】
【0029】
(上記式(VI)において、Xは
【化5】
であり、ここに、R3およびR4は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基あるいはフェニル基であり、R3とR4が結合し環を形成していてもよい。R1とR2は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基またはハロゲンであり、R1とR2は同じでも異なっていてもよい。また、mおよびnは置換基数を表し0〜4の整数である。)
【0030】
上記一般式(VI)で表される芳香族ジヒドロキシ化合物としては、例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン等のビスフェノール類;4,4’−ジヒドロキシジビフェニル、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニル等のビフェノール類;ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン等が挙げられる。
【0031】
これらのうちで、特に下記構造式(I)で示される2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(BPA)、下記構造式(II)で示される1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(以下、BPZと記す)が好ましい。
【0032】
【化6】
【0033】
本発明で使用される2価のジヒドロキシ化合物は、芳香族ジヒドロキシ化合物及び脂肪族ジヒドロキシ化合物の中から1種以上が用いられる。
また、3官能以上を有する化合物を用いて、分岐或いは架橋させてもよい。
【0034】
本発明では、触媒としてアルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、或いは含窒素化合物が用いられる。
【0035】
このような化合物としては、アルカリ金属およびアルカリ土類金属等の有機酸塩類、無機塩類、酸化物、水酸化物、水素化物あるいはアルコキシド等が好ましく用いられ、これらの化合物は含窒素化合物を含め単独もしくは組み合わせて用いることができる。
【0036】
アルカリ金属化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸セシウム、酢酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸セシウム、ステアリン酸リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、フェニル化ホウ素ナトリウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸セシウム、安息香酸リチウム、リン酸水素2ナトリウム、リン酸水素2カリウム、リン酸水素2リチウム、フェニルリン酸2ナトリウム、ビスフェノールAの2ナトリウム塩、2カリウム塩、2セシウム塩、2リチウム塩、フェノールのナトリウム塩、カリウム塩、セシウム塩、リチウム塩等が挙げられる。
【0037】
また、アルカリ土類金属化合物としては、例えば、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素ストロンチウム、炭酸水素バリウム、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、酢酸ストロンチウム、酢酸バリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、安息香酸カルシウム、フェニルリン酸マグネシウム等が挙げられる。
【0038】
これらの触媒は、ジヒドロキシ化合物の合計1モルに対して、10-9〜10-3モル、好ましくは10-7〜10-5モルの量で用いられる。
【0039】
また、含窒素化合物としては、具体的には、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド等のアルキル、アリール、アルアリール基などを有するアンモニウムヒドロキシド類、トリエチルアミン、ジメチルベンジルアミン、トリフェニルアミン等の3級アミン類、ジエチルアミン、ジブチルアミン等の2級アミン類、プロピルアミン、ブチルアミン等の1級アミン類、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール等のイミダゾール類、あるいは、アンモニア、テトラメチルアンモニウムボロハイドライド、テトラブチルアンモニウムテトラフェニルボレート、テトラフェニルアンモニウムテトラフェニルボレート等の塩基性塩等が用いられる。
【0040】
これらの触媒は、ジヒドロキシ化合物の合計1モルに対して、10-8〜10-3モル、好ましくは10-7〜10-4モルの量で用いられる。
【0041】
また、アルカリ金属化合物として、周期律表第14族の元素のアート錯体のアルカリ金属塩あるいは周期律表第14族の元素のオキソ酸のアルカリ塩を用いることができる。ここで周期律表第14族の元素とは珪素、ゲルマニウム、錫のことをいう。
【0042】
具体的には周期律表第14族の元素のアート錯体のアルカリ金属塩としてNNaGe(OMe)5、NaGe(OEt)3などのゲルマニウム化合物、NaSn(OMe)3、NaSn(Ome)2(OEt)、などの錫化合物があげられる。また周期律表第14族の元素のオキソ酸のアルカリ塩としてオルトケイ酸モノナトリウム、モノ錫酸ジナトリウム塩、ゲルマニウム酸モノナトリウム塩などがあげられる。
【0043】
これらの触媒は、ジヒドロキシ化合物の合計1モルに対して、10-9〜10-3モル、好ましくは10-7〜10-5モルの量で用いられる。
【0044】
本発明におけるポリカーボネートの重量平均分子量は30,000〜200,000であることが好ましく、さらに好ましくは50,000〜120,000である。
【0045】
本発明に関わるエステル交換反応は、公知の溶融重縮合法により行うことができる。すなわち、前記の原料、および触媒を用いて、加熱下に常圧または減圧下にエステル交換反応により副生物を除去しながら連続的に溶融重縮合を行うものである。反応は、二段以上の多段工程で実施される。
【0046】
具体的には、第一段目の反応を120〜260℃、好ましくは180〜240℃の温度で0〜5時間、好ましくは0.5〜3時間反応させる。次いで反応系の減圧度を上げながら反応温度を高めて芳香族ジヒドロキシ化合物と脂肪族ジヒドロキシ化合物と芳香族炭酸ジエステルとの反応を行い、最終的には133Pa以下の減圧下、200〜300℃の温度で重縮合反応を行う。上記の反応を行うに際して用いられる反応装置は、槽型、押出機型、或いはパドル翼、格子翼、メガネ翼等、表面更新性の優れた撹拌翼を備えた横型攪拌装置が使われる。
【0047】
本発明においては、最終反応器よりギヤポンプ等の送液ポンプを介して排出された樹脂を溶融状態のまま連続的に押出機に導入される。
該押出機に導入された樹脂に、触媒失活剤、リン系、硫黄系、ヒンダードフェノール系或いはラクトン系等の酸化防止剤、サリチル酸系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、或いはシアノアクリレート系等の紫外線吸収剤、シリコーン系、高級脂肪酸エステル系或いはパラフィン系の離型剤、その他難燃剤、帯電防止剤、有機充填剤、無機充填剤、顔料、染料等の着色剤を必要に応じて単独或いは併用して添加しペレット化する。
これらの添加方法に制限はなく、使用する添加剤を混合しサイドフィーダーにより添加する方法、或いはこれらを溶融し、或いは溶剤に溶解希釈してポンプを用いて圧入する方法、製造するものと同種或いは異種のポリカーボネートをベースとして各種添加剤を混合した粉末状のマスターバッチ、或いは溶融混練されたマスタバッチペレットとして、サイドフィーダーを用いて添加する方法、或いは単軸又は2軸押出機により溶融添加する方法等が挙げられる。
【0048】
この際、製造するものと同種で分子量の異なるポリカーボネート、製造するものとは異種のポリカーボネート、或いは他樹脂を押出機等で溶融添加し、コンパウンディングを同時に行ってもよく、また、製造された樹脂中に残存する未反応モノマー、オリゴマー、副生物等を除去するために注水脱揮処理を行っても良い。
【0049】
本発明における脂肪族ポリカーボネート、及び芳香族―脂肪族共重合ポリカーボネートに熱安定性、耐衝撃性など諸物性を改善する目的で芳香族ポリカーボネートを前述の押出工程で添加する手法も好適に実施される。或いは、一度ペレット化した後、再度該芳香族ポリカーボネートを押出機等で溶融混練してもよい。添加する該芳香族ポリカーボネートは溶融法、界面法等により製造された粉末状或いはペレット状のものが使用される。
【0050】
光学用途に用いる場合は、塵、ヤケ、或いはゲル等の異物を除去するため濾過精度30μm以下のポリマーフィルターが好適に使用される。
【0051】
本発明に使用される触媒失活剤としては、例えば、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、フェニルリン酸、フェニルホスフィン、フェニルホスフィン酸、フェニルホスホン酸、ジフェニルホスフェート、ジフェニルホスファイト、ジフェニルホスフィン、ジフェニルホスフィンオキシド、ジフェニルホスフィン酸、モノメチルアシッドホスフェート、モノメチルアシッドホスファイト、ジメチルアシッドホスフェート、ジメチルアシッドホスファイト、モノブチルアシッドホスフェート、モノブチルアシッドホスファイト、ジブチルアシッドホスフェート、ジブチルアシッドホスファイト、モノステアリルアシッドホスフェート、ジステアリルアシッドホスフェート等のリン含有酸性化合物、p−トルエンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸メチル、p−トルエンスルホン酸エチル、p−トルエンスルホン酸プロピル、p−トルエンスルホン酸ブチル、p−トルエンスルホン酸ペンチル、p−トルエンスルホン酸ヘキシル、p−トルエンスルホン酸オクチル、p−トルエンスルホン酸フェニル、p−トルエンスルホン酸フェネチル、p−トルエンスルホン酸ナフチル等の芳香族スルホン酸化合物が挙げられる。
【0052】
このリン含有酸性化合物、芳香族スルホン酸化合物の添加量は、アルカリ金属化合物及び/またはアルカリ土類金属化合物触媒に対して中和当量の1/5〜20倍量、好ましくは1/2〜15倍量であり、これより少ないと所望の効果が得られず、過剰では耐熱物性、機械的物性が低下し適当ではない。
【0053】
また、芳香族スルホン酸ホスホニウム塩も好適に用いることができ、例えば、ベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、p−トルエンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、ブチルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、オクチルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラメチルホスホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラエチルホスホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラヘキシルホスホニウム塩等が挙げられる。
【0054】
この芳香族スルホン酸ホスホニウム塩の添加量は、ポリカーボネートに対して1〜300ppm、好ましくは10〜100ppmであり、これより少ないと所望の効果が得られず、過剰では耐熱物性、機械的物性が低下し適当ではない。
これらの失活剤は、単独或いは2種以上併用してもよい。
【0055】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に何らの制限を受けるものではない。
【0056】
重量平均分子量(Mw)
GPC(Shodex GPC system 21H)を用い、ポリスチレン換算分子量(重量平均分子量:Mw)として測定した。展開溶媒にはクロロホルムを用いた。
溶液色相(YI値)
サンプル9.0gを塩化メチレン90mlに溶解し、5.0cm石英ガラスセルを用いてYI値(イエローインデックス)を測定した、色差計は日本電色工業社製スペクトロカラーメーターSE−2000を使用した。
【0057】
本発明では、反応装置材質にSUS310S製ステンレス鋼を用い、反応槽内壁面、配管内壁面、留去ラインの還流部に電解研磨を施したものを使用して反応を行った。
【0058】
芳香族ポリカーボネート合成例1
窒素ガス雰囲気下、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称:ビスフェノールA;BPAと記す)とジフェニルカーボネート(DPCと記す)とを一定のモル比(DPC/BPA=1.040)に混合調製した溶融混合物を原料貯蔵槽より濾過精度0.6μmの原料フィルターを介して、88.7kg/hの流量で、常圧、窒素雰囲気下、210℃に制御した第1竪型攪拌反応槽に連続供給し、平均滞留時間が60分になるように槽底部のポリマー排出ラインに設けられたバルブ開度を制御しつつ液面レベルを一定に保った。また、上記原料混合物の供給を開始すると同時に、触媒として0.02重量部の炭酸セシウム水溶液を320ml/h(BPA1モルに対し、1×10-6モル)の流量で連続供給した。槽底より排出された重合液は、引き続き直列に配した第2、3、4の竪型反応槽並びに第5の横型反応槽(日立製作所製 メガネ翼重合機(商品名))に逐次連続供給された。反応の間、各槽の平均滞留時間が60分になるように液面レベルを制御し、また同時に副生するフェノールの留去も行った。
第2〜第5反応槽各槽の重合条件はそれぞれ、第2反応槽(210℃、13329Pa、200rpm)、第3反応槽(240℃、1999Pa、100rpm)、第4反応槽(270℃、66Pa、44rpm)、第5反応槽(280℃、66Pa、10rpm)で反応の進行とともに高温、高真空、低攪拌速度に条件を設定した。
ポリカーボネートの製造速度は、50kg/Hrである。
【0059】
芳香族―脂肪族共重合ポリカーボネート合成例2
実質的に酸素の存在しない窒素ガス雰囲気下、第1竪型攪拌反応槽(反応条件:13329Pa、205℃、攪拌速度160rpm)での原料モル比(DPC/(BPZ+TCDDM))が1.01となるように、触媒として水酸化ナトリウムをBPZ(mol)に対して5μmol、及びDPCと1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(BPZと記す)とを一定比率(DPC/BPZ(モル比)=2.525)で混合調製した溶融混合物を45.1kg/hの流量で、第1反応槽に連続的に供給し、また、同時に16.4kg/hの流量でトリシクロ(5.2.1.02,6)デカンジメタノール(TCDDMと記す)を連続的に供給し、第1反応槽での平均滞留時間が60分となるように槽底部のポリマー排出ラインに設けられたバルブ開度を制御しつつ液面レベルを一定に保った。槽底より排出された重合液(プレポリマー)は、引き続き第2、第3、第4の竪型反応槽並びに第5の横型反応槽(日立製作所製 格子翼重合機(商品名))に逐次連続供給され、第5横型反応槽より35kg/hで芳香族―脂肪族共重合ポリカーボネートを製造した。
各槽の平均滞留時間は第2〜第4の竪型反応槽が各々60分、第5横型反応槽は90分となるように液面レベルを制御し、また同時に副生するフェノールの留去も行った。
第2〜第5反応槽各槽の重合条件はそれぞれ、第2反応槽(220℃、1999Pa、攪拌速度160rpm)、第3反応槽(230℃、25Pa、攪拌速度60rpm)、第4反応槽(240℃、25Pa、攪拌速度20rpm)、第5横型反応槽(245℃、25Pa、攪拌速度5rpm)とした。
【0060】
芳香族―脂肪族共重合ポリカーボネート合成例3
実質的に酸素の存在しない窒素ガス雰囲気下、第1竪型攪拌反応槽(反応条件:13329Pa、205℃、攪拌速度160rpm)での原料モル比(DPC/(BPZ+TCDDM+SPG))が1.01となるように、触媒として2価のジヒドロキシ化合物の合計1molに対して炭酸水素ナトリウムを2μmol、炭酸カルシウムを2μmol、及びDPCとBPZと、3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5.5)ウンデカン(SPGと記す)とを一定比率(DPC/(BPZ+SPG)[モル比]=3.61、BPZ:SPG[モル比]=6:1)で混合調製した溶融混合物を40.8kg/hの流量で、第1反応槽に連続的に供給し、また、同時に19.7kg/hの流量でTCDDMを連続的に供給し、第1反応槽での平均滞留時間が60分となるように槽底部のポリマー排出ラインに設けられたバルブ開度を制御しつつ液面レベルを一定に保った。槽底より排出された重合液(プレポリマー)は、引き続き第2、第3、第4の竪型反応槽並びに第5の横型反応槽(日立製作所製格子翼重合機(商品名))に逐次連続供給され、第5横型反応槽より35kg/hで芳香族―脂肪族共重合ポリカーボネートを製造した。
各槽の平均滞留時間は第2〜第4の竪型反応槽が各々60分、第5横型反応槽は90分となるように液面レベルを制御し、また同時に副生するフェノールの留去も行った。
第2〜第5反応槽各槽の重合条件はそれぞれ、第2反応槽(220℃、1999Pa、攪拌速度160rpm)、第3反応槽(230℃、25Pa、攪拌速度60rpm)、第4反応槽(240℃、25Pa、攪拌速度20rpm)、第5横型反応槽(245℃、25Pa、攪拌速度5rpm)とした。
【0061】
実施例1
芳香族ポリカーボネートを合成例1の方法で製造し、反応を停止後、各反応槽中の反応液を各反応槽から次の反応槽に送液する配管に設けられたドレン口より抜き出した。反応液を抜き出した後、すぐに第1反応槽へ原料貯蔵槽より攪拌翼が浸る量の原料混合液(BPA+DPC)を送液し、30分攪拌洗浄後、第2反応槽へ該洗浄液を送液した。以下同様に30分洗浄後、順次次の反応槽へ洗浄液を送液し第5反応槽を洗浄した後、該1回目の洗浄液を抜き出した。各槽の洗浄温度、攪拌速度は反応時と同条件とし、原料の一部が反応し生成した、及び残存していた樹脂が分解し生成したフェノールを還流させることにより天板及び留去ラインを洗浄した。第1反応槽より1回目の洗浄液を第2反応槽へ送液した後すぐに、2回目の洗浄液としてDPCが第1反応槽に送液され各槽の洗浄時間を1時間とした以外は同様に、順次洗浄液を送液した。2回目の洗浄液を次の反応槽に送液が終了した反応槽より順次、僅かに残存する洗浄液を減圧除去し、窒素で復圧した後、窒素フローの状態で維持し反応槽を冷却した。2週間後、窒素雰囲気下で維持された反応装置を再度昇温し、合成例1の方法で製造を再開し、第5反応槽より排出されたポリマーを連続的に3ベント式2軸押出機(46mm2軸押出機 神戸製鋼所製)のフィードバレルに導入し、C1バレルに接続されたサイドフィーダーより触媒失活剤のマスターバッチを2重量%の割合で添加し、ペレット化した。触媒失活剤のマスターバッチとして、ベースとなる樹脂にフレーク状のBPAタイプの芳香族ポリカーボネート(三菱ガス化学製ユーピロンS−3000)を用い、p−トルエンスルホン酸ブチル(東京化成工業製;以下pTSB)を添加し、触媒として用いられた炭酸セシウムの中和当量の5倍量[10μmol/BPAmol]となるよう濃度を調節した。
製造された樹脂を、第5横型反応槽よりギヤポンプを介して抜き出しを開始した時刻から経時的にドレン口よりサンプリングを行った。結果を表−1に示す。
【0062】
実施例2
各反応槽の反応液抜き出し後、洗浄液として攪拌翼が浸る量のDPCを第1反応槽から第5反応槽まで各々に送液し30分攪拌洗浄した。洗浄後、各反応槽の洗浄液を順次第5反応槽に送液し、各反応槽を繋ぐ配管、バルブ、及びギヤポンプを洗浄しながら洗浄液を第5反応槽より抜き出した。洗浄時間を1時間とした以外は同様にDPCを送液し2回目の洗浄を行った。上記以外の他は実施例1と同様に行った。結果を表−1に示す。
【0063】
実施例3
合成例2に従い芳香族―脂肪族共重合ポリカーボネートの製造を行い、反応を停止し洗浄した後、1週間後に製造を再開すること、及び洗浄液として原料貯蔵槽より原料混合液(DPC+BPZ+水酸化ナトリウム)を送液し用いること以外は実施例1と同様に行った。原料貯蔵槽における原料混合液中には一部反応が進行しフェノールが20重量%含有されていた。結果を表−1に示す。
【0064】
実施例4
合成例3に従い芳香族―脂肪族共重合ポリカーボネートの製造を行い、反応を停止し洗浄した後、1週間後に製造を再開すること、洗浄液にフェノールを用いること、及び洗浄時間を1時間とした3回目の洗浄を更に行ったこと以外は実施例1と同様に行った。結果を表−1に示す。
【0065】
実施例5
実施例1において、反応再開時、以下に示したこと以外は同様に行った。
第1反応槽より順次反応を開始し第2反応槽より反応液を供給し、反応を進行させながら滞留時間が60分となる量が供給された後、第3反応槽(Mw=12900)からギヤポンプを介しドレン口より反応液の抜き出しを開始した。抜き出したサンプルのYI値は1.3以下(YI値=0.5)であったので、続いて第4反応槽(Mw=30100)に送液を開始し、同じくギヤポンプを介しドレン口より抜き出しを開始した。抜き出したサンプルのYI値が1.3以下(YI値=0.8)となったところで、第5反応槽に送液を開始した。ドレン口より反応液を抜き出した時間は30分であった。第5横型反応槽(Mw=56800)より同じくギヤポンプを介してドレン口より抜き出しを開始し、15分後押出機に導入を開始した。
YI値が1.3以下となったことを確認する手段として、5cmΦ、厚さ3cmの円板の型に樹脂を流し込み円板を成型し、リファレンス(YI値1.3)の円板と比較し判断した。正確なYI値は追ってサンプルを塩化メチレンに溶解し色差計により測定した。結果を表−1に示す。
【0066】
実施例6
実施例3において、反応停止、洗浄後、定期修理のため1ヶ月間主要部分の分解修理を行った後、反応装置内を窒素置換し、DPCを洗浄液とし第1反応槽より順次第5反応槽まで洗浄処理した後、反応を再開したこと以外は同様に行った。この際、各反応槽の温度は250℃、減圧度を26658Pa、洗浄時間1時間とし洗浄液を還流させた。また、各反応槽から洗浄液を送液後、僅かに残存した洗浄液を減圧除去した。
結果を表−1に示す。
【0067】
比較例1
実施例1において、洗浄液に1回目、2回目ともにトリエチレングリコールを使用し、各反応槽の洗浄温度を285℃とした以外は同様に行った。結果を表−1に示す。
【0068】
比較例2
実施例5において、以下の点を変更した以外は同様に行った。
合成例1の代わりに合成例2に従って芳香族―脂肪族共重合ポリカーボネートを製造したのち、反応を停止し、反応液を抜き出した後30時間後に洗浄を開始した。反応液抜き出し後洗浄開始までの間は、各反応槽は反応時の温度を維持し、窒素雰囲気下で保持した。
洗浄は、1回目、2回目がDPCでそれぞれ2時間、3回目はフェノールで1時間行った。この結果、第4反応槽から抜き出した樹脂に‘ヤケ’が多数混入しているのが見られ、ヤケがなくなり、且つYI値が1.3以下となるのに8時間を要した。また、第5横型反応槽から抜き出した樹脂中にもヤケの混入が同じく見られ、ヤケがなくなり、且つYI値が1.3以下となるのに18時間を要した。
【0069】
比較例3
実施例1において、1回目、2回目の洗浄時間をそれぞれ2時間、また、各反応槽の洗浄温度を170℃とし洗浄液を還流させなかったこと以外は同様に行った。
結果を表−1示す。
【0070】
比較例4
実施例4において、各反応槽の洗浄温度を170℃とし洗浄液を還流させなかったこと以外は同様に行った。その結果、反応再開後69時間後、第3反応槽において減圧不良が発生し、製造を中止した。反応液抜き出し後、留去ラインを調べたところ未反応SPGが付着しており、閉塞気味となっていた。
【0071】
比較例5
実施例5において、反応を停止し、各反応槽の反応液を抜き出した後、洗浄することなく少量の樹脂が残存した状態で冷却し、反応を再開したこと以外は同様に行った。
その結果、反応再開時に第3反応槽からドレン口より反応液の抜き出しを開始後、YI値が1.3以下になるのに5時間を要した。続いて第4反応槽からドレン口より反応液の抜き出しを開始したところヤケ、及び白色の結晶化物の混入が見られ、これらが無くなりYI値が1.3以下になるのに12時間を要した。第5横型反応槽からの反応液の抜き出し時にも同様にヤケ、及び白色の結晶化物の混入が見られ、24時間後ヤケは無くなったものの結晶化物が依然として少量ではあるが混入していたため反応を停止した。
【0072】
比較例6
実施例3において、反応を停止し洗浄した後、洗浄液を減圧除去し空気で復圧後、大気開放下で反応装置を保持し、反応再開直前に窒素置換して反応装置の昇温、反応開始すること以外は同様に行った。結果を表−1に示す。
【0073】
【表1】
【0074】
【発明の効果】
本発明によれば、エステル交換触媒の存在下溶融重合してポリカーボネートを連続的に製造する方法において、反応停止後、各反応槽の反応液を抜き出した後、24時間以内に該反応時に副生するものと同じモノヒドロキシ化合物、原料として用いる炭酸ジエステル、又はそれらの混合物、及び原料混合液の中から選ばれる一種以上を洗浄液として送液し、各反応槽、及びそれらを繋ぐ配管、バルブ、送液装置に残存した樹脂を溶解洗浄した後、少なくとも装置内部が常温となるまで実質的に酸素の存在しない不活性ガス雰囲気下で装置内を保持することにより、色相に優れ、尚且つ生産開始後の着色度の高い製品の発生を抑制し、歩留まりよくポリカーボネートを連続的に製造でき工業的に極めて有効な方法である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、色相に優れ、生産性の高いポリカーボネート樹脂のエステル交換法による連続的製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に広く使用されているポリカーボネートは、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下、BPAと記す)等の芳香族ジヒドロキシ化合物とホスゲンとを酸結合剤の存在下、界面重合させる方法、或いはBPAと芳香族炭酸ジエステルをエステル交換触媒存在下、溶融重合する方法によって製造され、その耐衝撃性等の優れた機械的特性と、優れた耐熱性、透明性を併せ持つことから様々な分野で用いられており、光学材料としては、各種レンズ、プリズム、光ディスク基板などに利用されている。この中でも、CD−R、CD−RW、DVD、DVD−RAM等光ディスク基板に使用されるポリカーボネートは高精度、高密度化され、340℃以上の高温度で成形されるためより一層の耐熱安定性、優れた色相が要求されている。また、メガネレンズ用途等においても優れた色相が要求され、近年更なる色相の改善、及びより一層の低価格化の要求が強まっている。
これまで色相の改善法として様々な特許が多数出願されている。これらの中で、反応装置に関するものとしては、タンタル、クロム、ニッケル等の非鉄系、非ステンレス系の特殊な材質を装置に用いる方法(例えば、特許文献1参照。)。芳香族ヒドロキシ化合物を含有する液で洗浄処理したステンレス製リアクターを用いる方法(例えば、特許文献2参照。)などが試みられているがまだ十分ではなく、生産開始或いは再開後は長期にわたり満足する色相を有したポリカーボネートが得られず、製品の歩留まりの低下を招いていた。
また、反応装置としてステンレス鋼を用い、色調に優れ且つ高分子量のポリカーボネートを生産性良く製造する方法として、芳香族モノヒドロキシ化合物、芳香族炭酸ジエステル及びそれらの混合物よりなる群のうちの少なくとも一種類の洗浄剤を用いて反応装置を洗浄処理する方法が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。しかし、これらは特にステンレス鋼で作られた反応装置の接液面にポリカーボネートの色相を悪化させる化学的に表面に結合しているため物理的に除去不能な活性物質を不活性物質に変換させる処理であり、反応開始前に行われる処理であった。
【0003】
【特許文献1】
米国特許第4383092号明細書
【特許文献2】
特開平6−5698号公報
【特許文献3】
特開2002−20478号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、色相に優れ、且つ生産開始後の着色度の高い製品の発生を抑制し歩留まりよく生産性の高い溶融法ポリカーボネート樹脂の連続的な製造方法を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題について鋭意検討の結果、反応停止後、各槽の反応液を抜き出した後、洗浄処理を行い、反応装置内に樹脂等を残存させないことが有効であることを見出し本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち本発明は、反応停止後、反応槽の反応液を抜き出してから、24時間以内に該反応時に副生するものと同じモノヒドロキシ化合物、原料として用いる炭酸ジエステル、及び原料混合液の中から選ばれる一種以上の洗浄液を送液し、反応槽、反応槽を繋ぐ配管、バルブ、送液装置に残存した樹脂を溶解洗浄した後、少なくとも装置内部が常温となるまで実質的に酸素の存在しない不活性ガス雰囲気下で装置内を保持することにより、反応再開後の着色度の高い製品の発生を抑制し、色相に優れ、生産性の高いポリカーボネートの製造方法を提供するものである。
【0007】
本発明における洗浄液としては、反応時に副生するものと同じモノヒドロキシ化合物、原料として用いる炭酸ジエステル、それらの混合物、原料混合液等が挙げられる。これらは2種以上混合して用いても良い。具体例として、ジフェニルカーボネートとBPAをエステル交換触媒の存在下溶融重合してポリカーボネートを製造する場合、副生するモノヒドロキシ化合物はフェノール、原料として用いる炭酸ジエステルはジフェニルカーボネートであり、原料混合液はこれらの混合液である。また、原料混合液とは、二価のジヒドロキシ化合物を2種以上用いて重合する共重合ポリカーボネートの場合、炭酸ジエステルとこれら二価のジヒドロキシ化合物の1種以上との混合物を指す。原料混合液は通常、無触媒下においても反応が一部進行するため副生するモノヒドロキシ化合物が含有されていてもよい。
【0008】
また、該混合液に触媒を添加することにより反応を進行させ、比較的沸点の低いモノヒドロキシ化合物を含有させることは好ましく、この際、モノヒドロキシ化合物と同時にオリゴマーも生成するが、重量平均分子量が5000を越えるように重合度が増してしまうと残存樹脂の溶解性の低下、及び洗浄液が反応装置に残留しやすくなるため低分子量体にとどまる程度のモノヒドロキシ化合物の生成量とするのがよい。モノヒドロキシ化合物の生成量は、好ましくは5〜30重量%、更に好ましくは10〜25重量%である。
【0009】
洗浄する際、洗浄液に含まれる少なくとも一つの化合物の沸点以上に反応装置を加熱保持し、該化合物を還流させることにより、反応槽の天板及び副生物の留去ラインを洗浄するのが好ましい。洗浄が不十分である場合、天板や、留去ラインに付着残存した、副生物と共に一部留去されたオリゴマーや原料などは熱履歴を受け変性着色している場合が多く、反応再開時に反応液に混入し着色原因となる。前反応槽のうち、特に還流させることにより反応装置天板及び留去ラインを積極的に洗浄した方がよいのは、重合度が高くなり副生するモノヒドロキシ化合物の留去の少ない反応槽で、前反応槽までに理論副生モノヒドロキシ化合物留去量の90%以上、好ましくは80%以上が留去された反応液が送液される反応槽である。重合度が低く、減圧度がそれほど高くない反応槽では、モノヒドロキシ化合物の留去量が多いため、天板或いは留去ラインに未反応原料や、オリゴマーが付着されにくい。一方、重合度が上がり減圧度の高い反応槽では副生物の留去量も少なく未反応原料や、オリゴマーが付着しやすい。上述した還流洗浄は少なくとも1回以上行うことが好ましい。
モノヒドロキシ化合物は他洗浄液成分に比べ比較的沸点が低いので、還流させるのに常圧においても洗浄液の温度を300℃以上とするような高温度が必要ないため好ましい。
また、炭酸ジエステル等沸点の比較的高いものについては、減圧することにより該化合物の沸点を下げることも有効である。
本発明においては、炭酸ジエステルを含有する洗浄液を使用する場合、常圧、高温度下では、残存した樹脂が分解しモノヒドロキシ化合物が生成するため、生成したモノヒドロキシ化合物の沸点以上に加熱し洗浄することにより、該モノヒドロキシ化合物が還流し天板及び留去ラインが洗浄される。
なお、本発明における「反応装置」とは、反応槽、反応槽を繋ぐ配管、バルブ、送液ポンプ、副生物留去ラインなどを意味する。
【0010】
洗浄温度は残存樹脂のTg以上とするのが洗浄時間を短縮するのに有効であり、上述の洗浄液の1つ以上を還流させることを考慮して、適宜決定するのがよい。
洗浄時間に特に制限はないが、残存樹脂等が無くなれば良く、通常30分以上が好ましい。しかし、高温で洗浄する場合は洗浄時間を極端に長くすると洗浄液自体が変性劣化し、反応装置内壁面に吸着し、洗浄液を抜き出した後も残存するため着色の原因となってしまうことから、30時間以内とするのがよい。ここで洗浄時間とは、洗浄液が該反応装置に接触している時間をいう。
【0011】
反応槽における洗浄液の張り込み量は、洗浄時間を短縮する上で、製造運転時に反応液が接液する部位を満たしているのが好ましいが、本発明では、洗浄液の一部を還流させているため、少なくともかまわないが洗浄効率を考慮し反応槽容積の1/3以上とするのがよい。
また、洗浄回数は残存樹脂等が無くなれば1回でもかまわないが、好ましくは2回以上洗浄するのが良く、最後に芳香族ヒドロキシ化合物、炭酸ジエステル等でリンスするのがより好ましい。さらに好ましくは、リンス後反応装置内を高減圧下とし、リンス液を反応装置内から除去するのがよい。
また、洗浄液抜き出し後、反応装置内に残存する洗浄液を水、アセトンやメタノール等の有機溶剤に溶解し抜き出した後、高減圧下で残存する該リンス液を除去してもよい。
この際ハロゲン系の溶剤は好ましくなく、ハロゲンが反応装置内壁面に吸着され減圧除去されないため、反応再開時の着色原因となったり、或いは重合を阻害してしまう。
洗浄後の洗浄液中には、残存していた樹脂と、該樹脂が一部分解され生成する、或いは反応槽の天板或いは副生物留去ラインに付着していたオリゴマー、原料、モノヒドロキシ化合物が含有されていることはいうまでもない。
【0012】
本発明では、反応停止後、反応槽の反応液を抜き出した後24時間以内に該反応時に副生するものと同じモノヒドロキシ化合物、原料として用いる炭酸ジエステル、及び原料混合液の中から選ばれる一種以上を洗浄液として送液することが好ましく、更に好ましくは18時間以内、より好ましくは12時間以内である。
残存した反応液を長時間反応槽、或いは送液配管などに高温度の状態で滞留させると、残存した反応液が変性し、さらには‘ヤケ’(茶褐色に着色した不溶異物)となり化学洗浄では除去するのが困難となる。特に高分子量化した樹脂が残存している場合、さらには脂肪族をモノマーに使用している場合は完全に炭化してしまうこともあり、その影響は顕著である。また、高温度で樹脂が長時間保持されると、ヤケとは別に融点の高い結晶化物が生成し、特に反応液を送液する配管或いはポンプ中に生成してしまうと溶解洗浄する時間が極端に長くなり効率的でない。
【0013】
洗浄液の送液方法に特に制限はないが、連続的に各反応槽の液レベルを保ちつつ洗浄液を第1反応槽より最終反応槽まで通液する方法、各反応槽にそれぞれ洗浄液を送液し、バッチ式に洗浄する方法、或いは第1反応槽より洗浄液を送液し、所定時間洗浄した後第2反応槽に送液していくように、第1反応槽より順次洗浄していく方法等が挙げられる。
また、比較的分子量が低く、洗浄が容易な反応槽は順次洗浄液を送液していき、分子量の高い反応槽には別途洗浄液を送液して洗浄する方法も好適に実施される。
【0014】
洗浄後は、常温に反応装置内が下がるまで不活性ガス雰囲気下とするのが好ましく、更に好ましくは反応再開時まで反応装置内を不活性ガス雰囲気下とし酸素と接触させないことが好ましい。
反応装置内が酸素と接触するような雰囲気下で保持されると、反応再開時に樹脂が着色する場合がある。理由は明らかではないが、反応装置内において酸素と接触すると、反応装置内壁面に吸着した有機物、或いは金属表面に酸素が吸着され着色原因となるものと推察される。
【0015】
また、生産調整等で運転を休止する場合においても、不活性ガス下で、且つ反応装置内に残存する樹脂等が無く十分に洗浄された状態で維持されていれば1ヶ月程度であれば、反応再開前に特に洗浄処理を行うことなく反応初期における樹脂の着色を抑制することが可能である。
【0016】
定期修理等で、装置を分解修理する際は空気中の酸素と反応装置内壁面が接触する環境下となるが、この際もできるだけ不活性ガスでフローするなど酸素との接触を抑えることが望ましい。
反応再開前に、上述の反応停止時に行う洗浄処理を行うことも望ましく、特に反応装置内壁面が酸素と接触した場合は更に好ましい。この際も、反応装置を所定の温度まで昇温する前に、反応装置内を十分に不活性ガスにより置換するのが好ましい。
【0017】
本発明においては、反応を開始する際、連結した各反応槽の出口におけるポリカーボネート樹脂の重量平均分子量が10000以上となる反応槽を繋ぐ配管、或いは該反応槽底部に樹脂排出ラインを設け、反応開始後各反応槽より排出される樹脂のYI値が1.3以下となるまで該排出ラインより樹脂を抜き出し、該条件に達した後、次の反応槽へ送液を行い、段階的に反応を開始することが着色した樹脂の発生を抑制し、生産性を高めるのに有効である。
反応開始時初期に生成する着色した樹脂を排出せずにそのまま次の反応槽に送液し、重合を進めると、樹脂の着色が徐々に薄まり色相の優れた樹脂が得られるまでに長時間を有し、生産性が低下することとなる。
【0018】
また、本発明に使用する反応装置の材質としてはニッケル、クロム、コバルト、或いはそれらの合金、さらにはそれらに鉄等を含有したステンレス鋼が使用される。これらの中でも特に、ステンレス鋼が安価で加工しやすいため好適に用いられる。さらには該ステンレス鋼製の各反応槽内壁、送液配管、及び副生物が還流する部位に電解研磨処理を施すことにより色相の優れた樹脂を製造でき好ましい。
本発明で使用するステンレス鋼としては、特に制限はないが、SUS310、SUS310S、SUS309、SUS309S、SUS314等のニッケル含有量12〜22wt%、クロム含有量22〜26wt%のステンレス鋼であることが好ましい。
【0019】
本発明におけるポリカーボネートとは、炭酸ジエステルと二価のジヒドロキシ化合物を、エステル交換触媒の存在下溶融重合して得られる芳香族ポリカーボネート、脂肪族ポリカーボネート、芳香族―脂肪族共重合ポリカーボネートである。
【0020】
本発明に用いられる炭酸ジエステルは、下記一般式(V)で表される化合物である。
【0021】
【化2】
【0022】
(式中Aは1価の芳香族基、炭素数1〜12のアルキル基であり、Aは同一であっても異なっていてもよい。)
【0023】
上記一般式(V)で表される炭酸ジエステルは、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジオクチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、メチルフェニルカーボネート、ジフェニルカーボネート、ジトリールカーボネート、ジキシリルカーボネート、ビスプロピルフェニルカーボネート、ビスオクチルフェニルカーボネート、ビスノニルフェニルカーボネート、ビスメトキシフェニルカーボネート、ビスエトキシフェニルカーボネート等の置換ジフェニルカーボネート等が例示されるが、特に好ましくはジフェニルカーボネート(以下DPCと記す)が挙げられ、塩素含有量は、1ppm 以下であることが好ましい。炭酸ジエステルは、モノマーとして用いられるジヒドロキシ化合物の合計1モルに対して0.97〜1.2モルの量で用いられることが好ましく、特に好ましくは0.99〜1.10モルの量である。
【0024】
本発明の反応に用いられる脂肪族ジヒドロキシ化合物としては、例えば、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、トリシクロ(5.2.1.02,6)デカンジメタノール、3,9−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5.5)ウンデカン、3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5.5)ウンデカン、3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジエチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5.5)ウンデカン、3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジプロピルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5.5)ウンデカン、ペンタシクロ[9.2.1.13,9.02,10.04,8]ペンタデカンジメタノール、ペンタシクロ[9.2.1.14,7.02,10.03,8]ペンタデカンジメタノール、2,6−デカリンジメタノールあるいは1,4−シクロヘキサンジメタノール、アダマンタンジメタノールなどが挙げられる。
【0025】
これらのうちで光学用途に用いる場合は、脂環構造を有するジヒドロキシ化合物が好ましく、特に下記構造式(III)で示されるトリシクロ(5.2.1.02,6)デカンジメタノール(以下TCDDMと記す)、下記構造式(IV)で示される3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5.5)ウンデカン(以下SPGと記す)が好ましい。
【0026】
【化3】
上記構造を有するジヒドロキシ化合物は、不純物として含まれるカルボニル基含有量がKOH換算で1.0mg/g以下、好ましくは0.5mg/g、さらに好ましくは0.1mg/g以下であるものが用いられる。また、塩素や金属イオンの含有量がそれぞれの元素について1ppm以下の高純度のものが好ましい。
【0027】
本発明の反応に用いられる芳香族ジヒドロキシ化合物は下記一般式(VI)で表される化合物である。
【0028】
【化4】
【0029】
(上記式(VI)において、Xは
【化5】
であり、ここに、R3およびR4は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基あるいはフェニル基であり、R3とR4が結合し環を形成していてもよい。R1とR2は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基またはハロゲンであり、R1とR2は同じでも異なっていてもよい。また、mおよびnは置換基数を表し0〜4の整数である。)
【0030】
上記一般式(VI)で表される芳香族ジヒドロキシ化合物としては、例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン等のビスフェノール類;4,4’−ジヒドロキシジビフェニル、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニル等のビフェノール類;ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン等が挙げられる。
【0031】
これらのうちで、特に下記構造式(I)で示される2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(BPA)、下記構造式(II)で示される1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(以下、BPZと記す)が好ましい。
【0032】
【化6】
【0033】
本発明で使用される2価のジヒドロキシ化合物は、芳香族ジヒドロキシ化合物及び脂肪族ジヒドロキシ化合物の中から1種以上が用いられる。
また、3官能以上を有する化合物を用いて、分岐或いは架橋させてもよい。
【0034】
本発明では、触媒としてアルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、或いは含窒素化合物が用いられる。
【0035】
このような化合物としては、アルカリ金属およびアルカリ土類金属等の有機酸塩類、無機塩類、酸化物、水酸化物、水素化物あるいはアルコキシド等が好ましく用いられ、これらの化合物は含窒素化合物を含め単独もしくは組み合わせて用いることができる。
【0036】
アルカリ金属化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸セシウム、酢酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸セシウム、ステアリン酸リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、フェニル化ホウ素ナトリウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸セシウム、安息香酸リチウム、リン酸水素2ナトリウム、リン酸水素2カリウム、リン酸水素2リチウム、フェニルリン酸2ナトリウム、ビスフェノールAの2ナトリウム塩、2カリウム塩、2セシウム塩、2リチウム塩、フェノールのナトリウム塩、カリウム塩、セシウム塩、リチウム塩等が挙げられる。
【0037】
また、アルカリ土類金属化合物としては、例えば、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素ストロンチウム、炭酸水素バリウム、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、酢酸ストロンチウム、酢酸バリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、安息香酸カルシウム、フェニルリン酸マグネシウム等が挙げられる。
【0038】
これらの触媒は、ジヒドロキシ化合物の合計1モルに対して、10-9〜10-3モル、好ましくは10-7〜10-5モルの量で用いられる。
【0039】
また、含窒素化合物としては、具体的には、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド等のアルキル、アリール、アルアリール基などを有するアンモニウムヒドロキシド類、トリエチルアミン、ジメチルベンジルアミン、トリフェニルアミン等の3級アミン類、ジエチルアミン、ジブチルアミン等の2級アミン類、プロピルアミン、ブチルアミン等の1級アミン類、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール等のイミダゾール類、あるいは、アンモニア、テトラメチルアンモニウムボロハイドライド、テトラブチルアンモニウムテトラフェニルボレート、テトラフェニルアンモニウムテトラフェニルボレート等の塩基性塩等が用いられる。
【0040】
これらの触媒は、ジヒドロキシ化合物の合計1モルに対して、10-8〜10-3モル、好ましくは10-7〜10-4モルの量で用いられる。
【0041】
また、アルカリ金属化合物として、周期律表第14族の元素のアート錯体のアルカリ金属塩あるいは周期律表第14族の元素のオキソ酸のアルカリ塩を用いることができる。ここで周期律表第14族の元素とは珪素、ゲルマニウム、錫のことをいう。
【0042】
具体的には周期律表第14族の元素のアート錯体のアルカリ金属塩としてNNaGe(OMe)5、NaGe(OEt)3などのゲルマニウム化合物、NaSn(OMe)3、NaSn(Ome)2(OEt)、などの錫化合物があげられる。また周期律表第14族の元素のオキソ酸のアルカリ塩としてオルトケイ酸モノナトリウム、モノ錫酸ジナトリウム塩、ゲルマニウム酸モノナトリウム塩などがあげられる。
【0043】
これらの触媒は、ジヒドロキシ化合物の合計1モルに対して、10-9〜10-3モル、好ましくは10-7〜10-5モルの量で用いられる。
【0044】
本発明におけるポリカーボネートの重量平均分子量は30,000〜200,000であることが好ましく、さらに好ましくは50,000〜120,000である。
【0045】
本発明に関わるエステル交換反応は、公知の溶融重縮合法により行うことができる。すなわち、前記の原料、および触媒を用いて、加熱下に常圧または減圧下にエステル交換反応により副生物を除去しながら連続的に溶融重縮合を行うものである。反応は、二段以上の多段工程で実施される。
【0046】
具体的には、第一段目の反応を120〜260℃、好ましくは180〜240℃の温度で0〜5時間、好ましくは0.5〜3時間反応させる。次いで反応系の減圧度を上げながら反応温度を高めて芳香族ジヒドロキシ化合物と脂肪族ジヒドロキシ化合物と芳香族炭酸ジエステルとの反応を行い、最終的には133Pa以下の減圧下、200〜300℃の温度で重縮合反応を行う。上記の反応を行うに際して用いられる反応装置は、槽型、押出機型、或いはパドル翼、格子翼、メガネ翼等、表面更新性の優れた撹拌翼を備えた横型攪拌装置が使われる。
【0047】
本発明においては、最終反応器よりギヤポンプ等の送液ポンプを介して排出された樹脂を溶融状態のまま連続的に押出機に導入される。
該押出機に導入された樹脂に、触媒失活剤、リン系、硫黄系、ヒンダードフェノール系或いはラクトン系等の酸化防止剤、サリチル酸系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、或いはシアノアクリレート系等の紫外線吸収剤、シリコーン系、高級脂肪酸エステル系或いはパラフィン系の離型剤、その他難燃剤、帯電防止剤、有機充填剤、無機充填剤、顔料、染料等の着色剤を必要に応じて単独或いは併用して添加しペレット化する。
これらの添加方法に制限はなく、使用する添加剤を混合しサイドフィーダーにより添加する方法、或いはこれらを溶融し、或いは溶剤に溶解希釈してポンプを用いて圧入する方法、製造するものと同種或いは異種のポリカーボネートをベースとして各種添加剤を混合した粉末状のマスターバッチ、或いは溶融混練されたマスタバッチペレットとして、サイドフィーダーを用いて添加する方法、或いは単軸又は2軸押出機により溶融添加する方法等が挙げられる。
【0048】
この際、製造するものと同種で分子量の異なるポリカーボネート、製造するものとは異種のポリカーボネート、或いは他樹脂を押出機等で溶融添加し、コンパウンディングを同時に行ってもよく、また、製造された樹脂中に残存する未反応モノマー、オリゴマー、副生物等を除去するために注水脱揮処理を行っても良い。
【0049】
本発明における脂肪族ポリカーボネート、及び芳香族―脂肪族共重合ポリカーボネートに熱安定性、耐衝撃性など諸物性を改善する目的で芳香族ポリカーボネートを前述の押出工程で添加する手法も好適に実施される。或いは、一度ペレット化した後、再度該芳香族ポリカーボネートを押出機等で溶融混練してもよい。添加する該芳香族ポリカーボネートは溶融法、界面法等により製造された粉末状或いはペレット状のものが使用される。
【0050】
光学用途に用いる場合は、塵、ヤケ、或いはゲル等の異物を除去するため濾過精度30μm以下のポリマーフィルターが好適に使用される。
【0051】
本発明に使用される触媒失活剤としては、例えば、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、フェニルリン酸、フェニルホスフィン、フェニルホスフィン酸、フェニルホスホン酸、ジフェニルホスフェート、ジフェニルホスファイト、ジフェニルホスフィン、ジフェニルホスフィンオキシド、ジフェニルホスフィン酸、モノメチルアシッドホスフェート、モノメチルアシッドホスファイト、ジメチルアシッドホスフェート、ジメチルアシッドホスファイト、モノブチルアシッドホスフェート、モノブチルアシッドホスファイト、ジブチルアシッドホスフェート、ジブチルアシッドホスファイト、モノステアリルアシッドホスフェート、ジステアリルアシッドホスフェート等のリン含有酸性化合物、p−トルエンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸メチル、p−トルエンスルホン酸エチル、p−トルエンスルホン酸プロピル、p−トルエンスルホン酸ブチル、p−トルエンスルホン酸ペンチル、p−トルエンスルホン酸ヘキシル、p−トルエンスルホン酸オクチル、p−トルエンスルホン酸フェニル、p−トルエンスルホン酸フェネチル、p−トルエンスルホン酸ナフチル等の芳香族スルホン酸化合物が挙げられる。
【0052】
このリン含有酸性化合物、芳香族スルホン酸化合物の添加量は、アルカリ金属化合物及び/またはアルカリ土類金属化合物触媒に対して中和当量の1/5〜20倍量、好ましくは1/2〜15倍量であり、これより少ないと所望の効果が得られず、過剰では耐熱物性、機械的物性が低下し適当ではない。
【0053】
また、芳香族スルホン酸ホスホニウム塩も好適に用いることができ、例えば、ベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、p−トルエンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、ブチルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、オクチルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラメチルホスホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラエチルホスホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラヘキシルホスホニウム塩等が挙げられる。
【0054】
この芳香族スルホン酸ホスホニウム塩の添加量は、ポリカーボネートに対して1〜300ppm、好ましくは10〜100ppmであり、これより少ないと所望の効果が得られず、過剰では耐熱物性、機械的物性が低下し適当ではない。
これらの失活剤は、単独或いは2種以上併用してもよい。
【0055】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に何らの制限を受けるものではない。
【0056】
重量平均分子量(Mw)
GPC(Shodex GPC system 21H)を用い、ポリスチレン換算分子量(重量平均分子量:Mw)として測定した。展開溶媒にはクロロホルムを用いた。
溶液色相(YI値)
サンプル9.0gを塩化メチレン90mlに溶解し、5.0cm石英ガラスセルを用いてYI値(イエローインデックス)を測定した、色差計は日本電色工業社製スペクトロカラーメーターSE−2000を使用した。
【0057】
本発明では、反応装置材質にSUS310S製ステンレス鋼を用い、反応槽内壁面、配管内壁面、留去ラインの還流部に電解研磨を施したものを使用して反応を行った。
【0058】
芳香族ポリカーボネート合成例1
窒素ガス雰囲気下、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称:ビスフェノールA;BPAと記す)とジフェニルカーボネート(DPCと記す)とを一定のモル比(DPC/BPA=1.040)に混合調製した溶融混合物を原料貯蔵槽より濾過精度0.6μmの原料フィルターを介して、88.7kg/hの流量で、常圧、窒素雰囲気下、210℃に制御した第1竪型攪拌反応槽に連続供給し、平均滞留時間が60分になるように槽底部のポリマー排出ラインに設けられたバルブ開度を制御しつつ液面レベルを一定に保った。また、上記原料混合物の供給を開始すると同時に、触媒として0.02重量部の炭酸セシウム水溶液を320ml/h(BPA1モルに対し、1×10-6モル)の流量で連続供給した。槽底より排出された重合液は、引き続き直列に配した第2、3、4の竪型反応槽並びに第5の横型反応槽(日立製作所製 メガネ翼重合機(商品名))に逐次連続供給された。反応の間、各槽の平均滞留時間が60分になるように液面レベルを制御し、また同時に副生するフェノールの留去も行った。
第2〜第5反応槽各槽の重合条件はそれぞれ、第2反応槽(210℃、13329Pa、200rpm)、第3反応槽(240℃、1999Pa、100rpm)、第4反応槽(270℃、66Pa、44rpm)、第5反応槽(280℃、66Pa、10rpm)で反応の進行とともに高温、高真空、低攪拌速度に条件を設定した。
ポリカーボネートの製造速度は、50kg/Hrである。
【0059】
芳香族―脂肪族共重合ポリカーボネート合成例2
実質的に酸素の存在しない窒素ガス雰囲気下、第1竪型攪拌反応槽(反応条件:13329Pa、205℃、攪拌速度160rpm)での原料モル比(DPC/(BPZ+TCDDM))が1.01となるように、触媒として水酸化ナトリウムをBPZ(mol)に対して5μmol、及びDPCと1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(BPZと記す)とを一定比率(DPC/BPZ(モル比)=2.525)で混合調製した溶融混合物を45.1kg/hの流量で、第1反応槽に連続的に供給し、また、同時に16.4kg/hの流量でトリシクロ(5.2.1.02,6)デカンジメタノール(TCDDMと記す)を連続的に供給し、第1反応槽での平均滞留時間が60分となるように槽底部のポリマー排出ラインに設けられたバルブ開度を制御しつつ液面レベルを一定に保った。槽底より排出された重合液(プレポリマー)は、引き続き第2、第3、第4の竪型反応槽並びに第5の横型反応槽(日立製作所製 格子翼重合機(商品名))に逐次連続供給され、第5横型反応槽より35kg/hで芳香族―脂肪族共重合ポリカーボネートを製造した。
各槽の平均滞留時間は第2〜第4の竪型反応槽が各々60分、第5横型反応槽は90分となるように液面レベルを制御し、また同時に副生するフェノールの留去も行った。
第2〜第5反応槽各槽の重合条件はそれぞれ、第2反応槽(220℃、1999Pa、攪拌速度160rpm)、第3反応槽(230℃、25Pa、攪拌速度60rpm)、第4反応槽(240℃、25Pa、攪拌速度20rpm)、第5横型反応槽(245℃、25Pa、攪拌速度5rpm)とした。
【0060】
芳香族―脂肪族共重合ポリカーボネート合成例3
実質的に酸素の存在しない窒素ガス雰囲気下、第1竪型攪拌反応槽(反応条件:13329Pa、205℃、攪拌速度160rpm)での原料モル比(DPC/(BPZ+TCDDM+SPG))が1.01となるように、触媒として2価のジヒドロキシ化合物の合計1molに対して炭酸水素ナトリウムを2μmol、炭酸カルシウムを2μmol、及びDPCとBPZと、3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5.5)ウンデカン(SPGと記す)とを一定比率(DPC/(BPZ+SPG)[モル比]=3.61、BPZ:SPG[モル比]=6:1)で混合調製した溶融混合物を40.8kg/hの流量で、第1反応槽に連続的に供給し、また、同時に19.7kg/hの流量でTCDDMを連続的に供給し、第1反応槽での平均滞留時間が60分となるように槽底部のポリマー排出ラインに設けられたバルブ開度を制御しつつ液面レベルを一定に保った。槽底より排出された重合液(プレポリマー)は、引き続き第2、第3、第4の竪型反応槽並びに第5の横型反応槽(日立製作所製格子翼重合機(商品名))に逐次連続供給され、第5横型反応槽より35kg/hで芳香族―脂肪族共重合ポリカーボネートを製造した。
各槽の平均滞留時間は第2〜第4の竪型反応槽が各々60分、第5横型反応槽は90分となるように液面レベルを制御し、また同時に副生するフェノールの留去も行った。
第2〜第5反応槽各槽の重合条件はそれぞれ、第2反応槽(220℃、1999Pa、攪拌速度160rpm)、第3反応槽(230℃、25Pa、攪拌速度60rpm)、第4反応槽(240℃、25Pa、攪拌速度20rpm)、第5横型反応槽(245℃、25Pa、攪拌速度5rpm)とした。
【0061】
実施例1
芳香族ポリカーボネートを合成例1の方法で製造し、反応を停止後、各反応槽中の反応液を各反応槽から次の反応槽に送液する配管に設けられたドレン口より抜き出した。反応液を抜き出した後、すぐに第1反応槽へ原料貯蔵槽より攪拌翼が浸る量の原料混合液(BPA+DPC)を送液し、30分攪拌洗浄後、第2反応槽へ該洗浄液を送液した。以下同様に30分洗浄後、順次次の反応槽へ洗浄液を送液し第5反応槽を洗浄した後、該1回目の洗浄液を抜き出した。各槽の洗浄温度、攪拌速度は反応時と同条件とし、原料の一部が反応し生成した、及び残存していた樹脂が分解し生成したフェノールを還流させることにより天板及び留去ラインを洗浄した。第1反応槽より1回目の洗浄液を第2反応槽へ送液した後すぐに、2回目の洗浄液としてDPCが第1反応槽に送液され各槽の洗浄時間を1時間とした以外は同様に、順次洗浄液を送液した。2回目の洗浄液を次の反応槽に送液が終了した反応槽より順次、僅かに残存する洗浄液を減圧除去し、窒素で復圧した後、窒素フローの状態で維持し反応槽を冷却した。2週間後、窒素雰囲気下で維持された反応装置を再度昇温し、合成例1の方法で製造を再開し、第5反応槽より排出されたポリマーを連続的に3ベント式2軸押出機(46mm2軸押出機 神戸製鋼所製)のフィードバレルに導入し、C1バレルに接続されたサイドフィーダーより触媒失活剤のマスターバッチを2重量%の割合で添加し、ペレット化した。触媒失活剤のマスターバッチとして、ベースとなる樹脂にフレーク状のBPAタイプの芳香族ポリカーボネート(三菱ガス化学製ユーピロンS−3000)を用い、p−トルエンスルホン酸ブチル(東京化成工業製;以下pTSB)を添加し、触媒として用いられた炭酸セシウムの中和当量の5倍量[10μmol/BPAmol]となるよう濃度を調節した。
製造された樹脂を、第5横型反応槽よりギヤポンプを介して抜き出しを開始した時刻から経時的にドレン口よりサンプリングを行った。結果を表−1に示す。
【0062】
実施例2
各反応槽の反応液抜き出し後、洗浄液として攪拌翼が浸る量のDPCを第1反応槽から第5反応槽まで各々に送液し30分攪拌洗浄した。洗浄後、各反応槽の洗浄液を順次第5反応槽に送液し、各反応槽を繋ぐ配管、バルブ、及びギヤポンプを洗浄しながら洗浄液を第5反応槽より抜き出した。洗浄時間を1時間とした以外は同様にDPCを送液し2回目の洗浄を行った。上記以外の他は実施例1と同様に行った。結果を表−1に示す。
【0063】
実施例3
合成例2に従い芳香族―脂肪族共重合ポリカーボネートの製造を行い、反応を停止し洗浄した後、1週間後に製造を再開すること、及び洗浄液として原料貯蔵槽より原料混合液(DPC+BPZ+水酸化ナトリウム)を送液し用いること以外は実施例1と同様に行った。原料貯蔵槽における原料混合液中には一部反応が進行しフェノールが20重量%含有されていた。結果を表−1に示す。
【0064】
実施例4
合成例3に従い芳香族―脂肪族共重合ポリカーボネートの製造を行い、反応を停止し洗浄した後、1週間後に製造を再開すること、洗浄液にフェノールを用いること、及び洗浄時間を1時間とした3回目の洗浄を更に行ったこと以外は実施例1と同様に行った。結果を表−1に示す。
【0065】
実施例5
実施例1において、反応再開時、以下に示したこと以外は同様に行った。
第1反応槽より順次反応を開始し第2反応槽より反応液を供給し、反応を進行させながら滞留時間が60分となる量が供給された後、第3反応槽(Mw=12900)からギヤポンプを介しドレン口より反応液の抜き出しを開始した。抜き出したサンプルのYI値は1.3以下(YI値=0.5)であったので、続いて第4反応槽(Mw=30100)に送液を開始し、同じくギヤポンプを介しドレン口より抜き出しを開始した。抜き出したサンプルのYI値が1.3以下(YI値=0.8)となったところで、第5反応槽に送液を開始した。ドレン口より反応液を抜き出した時間は30分であった。第5横型反応槽(Mw=56800)より同じくギヤポンプを介してドレン口より抜き出しを開始し、15分後押出機に導入を開始した。
YI値が1.3以下となったことを確認する手段として、5cmΦ、厚さ3cmの円板の型に樹脂を流し込み円板を成型し、リファレンス(YI値1.3)の円板と比較し判断した。正確なYI値は追ってサンプルを塩化メチレンに溶解し色差計により測定した。結果を表−1に示す。
【0066】
実施例6
実施例3において、反応停止、洗浄後、定期修理のため1ヶ月間主要部分の分解修理を行った後、反応装置内を窒素置換し、DPCを洗浄液とし第1反応槽より順次第5反応槽まで洗浄処理した後、反応を再開したこと以外は同様に行った。この際、各反応槽の温度は250℃、減圧度を26658Pa、洗浄時間1時間とし洗浄液を還流させた。また、各反応槽から洗浄液を送液後、僅かに残存した洗浄液を減圧除去した。
結果を表−1に示す。
【0067】
比較例1
実施例1において、洗浄液に1回目、2回目ともにトリエチレングリコールを使用し、各反応槽の洗浄温度を285℃とした以外は同様に行った。結果を表−1に示す。
【0068】
比較例2
実施例5において、以下の点を変更した以外は同様に行った。
合成例1の代わりに合成例2に従って芳香族―脂肪族共重合ポリカーボネートを製造したのち、反応を停止し、反応液を抜き出した後30時間後に洗浄を開始した。反応液抜き出し後洗浄開始までの間は、各反応槽は反応時の温度を維持し、窒素雰囲気下で保持した。
洗浄は、1回目、2回目がDPCでそれぞれ2時間、3回目はフェノールで1時間行った。この結果、第4反応槽から抜き出した樹脂に‘ヤケ’が多数混入しているのが見られ、ヤケがなくなり、且つYI値が1.3以下となるのに8時間を要した。また、第5横型反応槽から抜き出した樹脂中にもヤケの混入が同じく見られ、ヤケがなくなり、且つYI値が1.3以下となるのに18時間を要した。
【0069】
比較例3
実施例1において、1回目、2回目の洗浄時間をそれぞれ2時間、また、各反応槽の洗浄温度を170℃とし洗浄液を還流させなかったこと以外は同様に行った。
結果を表−1示す。
【0070】
比較例4
実施例4において、各反応槽の洗浄温度を170℃とし洗浄液を還流させなかったこと以外は同様に行った。その結果、反応再開後69時間後、第3反応槽において減圧不良が発生し、製造を中止した。反応液抜き出し後、留去ラインを調べたところ未反応SPGが付着しており、閉塞気味となっていた。
【0071】
比較例5
実施例5において、反応を停止し、各反応槽の反応液を抜き出した後、洗浄することなく少量の樹脂が残存した状態で冷却し、反応を再開したこと以外は同様に行った。
その結果、反応再開時に第3反応槽からドレン口より反応液の抜き出しを開始後、YI値が1.3以下になるのに5時間を要した。続いて第4反応槽からドレン口より反応液の抜き出しを開始したところヤケ、及び白色の結晶化物の混入が見られ、これらが無くなりYI値が1.3以下になるのに12時間を要した。第5横型反応槽からの反応液の抜き出し時にも同様にヤケ、及び白色の結晶化物の混入が見られ、24時間後ヤケは無くなったものの結晶化物が依然として少量ではあるが混入していたため反応を停止した。
【0072】
比較例6
実施例3において、反応を停止し洗浄した後、洗浄液を減圧除去し空気で復圧後、大気開放下で反応装置を保持し、反応再開直前に窒素置換して反応装置の昇温、反応開始すること以外は同様に行った。結果を表−1に示す。
【0073】
【表1】
【0074】
【発明の効果】
本発明によれば、エステル交換触媒の存在下溶融重合してポリカーボネートを連続的に製造する方法において、反応停止後、各反応槽の反応液を抜き出した後、24時間以内に該反応時に副生するものと同じモノヒドロキシ化合物、原料として用いる炭酸ジエステル、又はそれらの混合物、及び原料混合液の中から選ばれる一種以上を洗浄液として送液し、各反応槽、及びそれらを繋ぐ配管、バルブ、送液装置に残存した樹脂を溶解洗浄した後、少なくとも装置内部が常温となるまで実質的に酸素の存在しない不活性ガス雰囲気下で装置内を保持することにより、色相に優れ、尚且つ生産開始後の着色度の高い製品の発生を抑制し、歩留まりよくポリカーボネートを連続的に製造でき工業的に極めて有効な方法である。
Claims (10)
- 炭酸ジエステルと二価のジヒドロキシ化合物を、エステル交換触媒の存在下溶融重合してポリカーボネート樹脂を連続的に製造する方法において、溶融重合反応停止後、反応槽の反応液を抜き出し、24時間以内に該反応時に副生するものと同じモノヒドロキシ化合物、原料として用いる炭酸ジエステル、及び原料混合液の中から選ばれる一種以上を洗浄液として送液し、反応槽、反応槽を繋ぐ配管、バルブ、及び送液装置に残存した樹脂を溶解洗浄した後、少なくとも装置内部が常温となるまで実質的に酸素の存在しない不活性ガス雰囲気下で装置内を保持することを特徴とするポリカーボネート樹脂の製造方法。
- 洗浄液に含まれる少なくとも一つの化合物の沸点以上に反応装置を加熱保持し、該化合物を還流させることにより、反応槽の天板及び副生物の留去ラインを洗浄することを特徴とする請求項1記載のポリカーボネート樹脂の製造法。
- 洗浄処理を2回以上行うことを特徴とする請求項1または2に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
- 洗浄液として触媒を含有した原料混合液を用いることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
- 請求項1記載方法により停止した反応を再開させる際に、反応装置内が実質的に酸素の存在しない不活性ガス雰囲気下で加熱昇温することを特徴とするポリカーボネート樹脂の製造方法。
- 請求項1記載方法により停止した反応装置が停止中に、反応装置内壁面が酸素と接触する環境下におかれた際、請求項1記載の洗浄液により反応装置を洗浄した後、反応を再開させることを特徴とするポリカーボネート樹脂の製造方法。
- 各反応槽、送液配管、及び副生物が還流する部位がステンレス鋼製であり、電解研磨処理されたものであることを特徴とする請求項1〜6いずれか1項記載のポリカーボネート樹脂の製造法。
- 反応開始時、連結した各反応槽の出口におけるポリカーボネート樹脂の重量平均分子量が10,000以上となる反応槽を繋ぐ配管、或いは該反応槽底部に樹脂排出ラインを設け、反応開始後反応槽より排出される樹脂のYI値が1.3以下となるまで該排出ラインより樹脂を抜き出し、該条件に達した後、次の反応槽へ送液を行う方法により段階的に反応を開始することを特徴とする請求項5〜7何れか1項記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
- 炭酸ジエステルがジフェニルカーボネートであることを特徴とする請求項1記載のポリカーボネート樹脂の製造法。
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