JP2004196584A - 水素製造装置および燃料電池システムの停止方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】水素製造装置のCOシフト触媒の入り側改質ガス温度を安定化する。
【解決手段】水素製造装置において、改質触媒層と、改質触媒層の入り側に炭化水素系燃料を吐出する供給手段と、改質触媒層の出側に設けられたCOシフト触媒層と、改質触媒層とCOシフト触媒層の間の改質ガス流路内に設けられ外部から供給される水を蒸発させる複数の蒸気発生器と、各蒸気発生器で発生する水蒸気を改質触媒層の入り側に供給する管路と、負荷に応じて運転する蒸気発生器の数を切り換える制御部とを有する構成とする。
【選択図】 図1
【解決手段】水素製造装置において、改質触媒層と、改質触媒層の入り側に炭化水素系燃料を吐出する供給手段と、改質触媒層の出側に設けられたCOシフト触媒層と、改質触媒層とCOシフト触媒層の間の改質ガス流路内に設けられ外部から供給される水を蒸発させる複数の蒸気発生器と、各蒸気発生器で発生する水蒸気を改質触媒層の入り側に供給する管路と、負荷に応じて運転する蒸気発生器の数を切り換える制御部とを有する構成とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水素製造装置および燃料電池システムに係り、特に、炭化水素系燃料に水蒸気を作用させて改質して水素を製造する装置およびこの水素製造装置を有する燃料電池システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池システムは、触媒の存在下で炭化水素系燃料に水蒸気を作用させて改質し、水素を製造する水素製造装置と、水素と空気とを反応させて発電を行う燃料電池とを有して構成される。このような燃料電池システムの燃料として、例えば都市ガス、天然ガス、LPガス、ガソリン、灯油、メチルアルコール等のアルコール類、ジエチルエーテル等のエーテル類等が使用されるが、都市ガスの主成分であるメタン(CH4)を例にとると、改質反応は式1によって示される。
CH4+H2O ⇔ CO+3H2・・(式1:改質反応)
式1の反応により発生したCOは、同時に、式2に示すH2Oとの反応によって、さらにH2とCO2とに変換される。
CO+H2O ⇔ CO2+H2・・(式2:CO転化反応)
ところで、式1に示す改質反応は吸熱反応であるから、反応を継続させるためには、熱を連続して供給する必要がある。そこで、改質反応器の外側に電気ヒータやバーナ等を設け、外部から改質触媒層を加熱する外熱方式が提案されている。また、改質触媒の入り側に燃焼触媒を設け、改質反応器内に酸素または空気を導入して燃料の一部を触媒燃焼させ、この燃焼熱によって反応温度を維持する内熱方式が提案されている。ここで、内熱方式における部分燃焼は、式3によって示される。
CH4+2O2 → CO2+2H2O・・(式3:部分燃焼)
内熱方式の場合、改質反応器内では、上述した式1ないし式3の反応が行われるが、式1、式2の反応はいずれも平衡反応であるから、H2生成後の改質ガス中には、H2のみならず、H2O、CO2、COなどが含まれる。しかし、固体高分子型燃料電池は、電界膜に白金等を含む貴金属触媒を備えており、これらがCOに触れると、いわゆる被毒が生じ、触媒が劣化して発電性能が低下する。そこで、改質ガス中のCOを低減するために、COを水蒸気と反応させてCO2にシフトさせるCOシフト触媒を備えるCOコンバータを用いることが知られている。さらに、残存するCOを、その後流側で選択的に酸化させてCO2にするCO選択酸化触媒を有するCO除去器を用いることが知られている。
【0003】
COコンバータにおけるCOシフト反応は、式4によって示される。この反応は、平衡反応であり、触媒にもよるが活性温度範囲は例えば250℃ないし350℃である。温度が低いほど式の右側への反応が進行するが、反応速度が遅くなるから、低温でも反応速度を維持できるCu/Zn系等の触媒が用いられる。このシフト反応によって、COコンバータの出側における改質ガス中のCO濃度は、例えば、2000ppmないし5000ppmとなる。
CO+H2O ⇔ CO2+H2・・(式4:COシフト反応)
さらに、CO除去器において、改質ガスに微量な空気を投入することによって、触媒の存在下で式5に示す選択酸化反応が行われる。この触媒には、COを酸化、つまり燃焼するときに水素が燃焼することがなく、COのみを選択的に燃焼させる例えばPtなどを含有するものが使用される。
CO+1/2O2 → CO2・・(式5:CO選択酸化反応)
以上のようにしてCO濃度を低減された改質ガスは、燃料電池の燃料極側に導入され、空気側極に供給される空気と反応して電気を発生する。このとき、発電負荷に応じて改質ガス中の水素の例えば0ないし90%が発電に利用され、残りの例えば10ないし100%の水素はアノード排ガスに同伴して排出される。アノード排ガスは、補助燃焼室において燃焼させられ、この燃焼熱は、改質反応器に供給される燃料および空気を予熱するために利用される。このときのアノード排ガスの燃焼温度は、水素の濃度にもよるが、例えば600ないし900℃程度である。
【0004】
ところで、上述した水素製造装置の改質触媒に供給する水蒸気を得るため、改質触媒の出側、換言すればCOシフト触媒の入り側に、改質ガスとの熱交換によって水を蒸発させる熱交換器を設けることが提案されている。(例えば、特許文献1を参照。)これによれば、改質触媒を出た例えば600℃ないし800℃の改質ガスを、COシフト反応に好適な例えば200℃ないし400℃に冷却するとともに、回収された熱によって水蒸気を発生できるから、装置の熱効率を向上できる。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−52730号公報(第2−3頁、第1図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した水素製造装置において、負荷が変動した場合に、COシフト触媒の入り側改質ガス温度が変動する問題があった。例えば、装置の負荷が低減した場合には、燃料の供給量を減らすとともに、水蒸気の供給量、つまり蒸気発生器への水供給量を減らすことになるが、このとき改質ガス温度は低下する。逆に、装置の負荷が増大して燃料および水の供給量を増やすと、改質ガス温度が上昇する。このようにCOシフト触媒入り側の改質ガス温度が変化し、COシフト反応に好適な温度範囲を外れると、改質ガス中のCO濃度を十分に低減できず、燃料電池のアノード極が被毒して性能が低下してしまう。
【0007】
一方、燃料電池システムの運転を停止する際に、改質反応器や燃料電池のアノード極といった系内に残留する水素は、安全上パージすることが望ましい。しかし、運転終了直後に装置が高温の状態で、空気等の酸素を含有した気体を通流させてパージすると、改質触媒、COシフト触媒およびCO選択酸化触媒が酸化劣化してしまう。これに対し、例えば窒素等の不活性ガスを用いてパージする方法も提案されているが、この場合不活性ガスの供給手段を設ける必要があり、装置が複雑化する。
【0008】
上述した問題に鑑み、本発明の課題は、COシフト触媒の入り側改質ガス温度を安定化することにある。
【0009】
また、本発明の他の課題は、触媒を保護しかつ簡単な装置構成によって燃料電池システムをパージすることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、改質触媒層と、改質触媒層の入り側に炭化水素系燃料を吐出する供給手段と、改質触媒層の出側に設けられたCOシフト触媒層と、改質触媒層とCOシフト触媒層の間の改質ガス流路内に設けられ外部から供給される水を蒸発させる複数の蒸気発生器と、各蒸気発生器で発生する水蒸気を改質触媒層の入り側に供給する管路と、負荷に応じて運転する蒸気発生器の数を切り換える制御部とを有する水素製造装置によって上述した課題を解決する。
【0011】
本発明によれば、負荷が変化して蒸気発生器への水供給量が変化するときに、運転される蒸気発生器の数を切り換えているから、蒸気発生器内での水または水蒸気の滞留時間が変化しにくくなる。このため、水供給量が少ないときに滞留時間が長くなって改質ガスが過冷却されたり、逆に水供給量が多いときに滞留時間が短くなって改質ガスが冷却不足になるおそれが低減され、COシフト触媒入り側の改質ガス温度を安定化することができる。
【0012】
また、バーナを備えてなる補助燃焼室と、補助燃焼室内に設けられた熱交換器とを有し、蒸気発生器で発生する水蒸気を熱交換器内を経由して改質触媒層の入り側に供給する構成としてもよい。これによれば、蒸気発生器の出口水蒸気温度を、COシフト触媒入り側の改質ガス温度が好適な温度範囲となるように設定し、水蒸気の温度が不足する場合には補助燃焼室の燃焼熱で水蒸気を加熱することにより、COシフト触媒入り側の改質ガス温度の低下を防止することができる。
【0013】
また、この熱交換器は、改質触媒層の入り側に供給される炭化水素系燃料または空気の少なくとも1つを予熱するものである構成としてもよい。
【0014】
また、触媒を保護しかつ簡単な装置構成によって燃料電池システムをパージするには、改質触媒層と、改質触媒層の入り側に炭化水素系燃料、空気および水蒸気をそれぞれ供給する供給手段と、改質触媒層により排出された改質ガスが供給される燃料電池と、燃料電池のアノード排ガスを燃焼する燃焼部を備えた補助燃焼室とを有する燃料電池システムの停止方法において、改質触媒層への水蒸気の供給を停止する第1のステップと、炭化水素系燃料を空気比1未満の状態でこの改質触媒層の入り側において燃焼させる第2のステップと、その後炭化水素系燃料および空気の供給を停止する第3のステップとを有するようにするとよい。
【0015】
これによれば、空気比1未満で炭化水素系燃料を燃焼させた燃焼ガス中には殆ど酸素が含まれないから、この燃焼ガスをパージガスとして利用することによって、不活性ガスの供給手段等を設けなくても、触媒を酸化劣化させることなく燃料電池システムをパージすることができる。すなわち、システム内に残留する水素は、この燃焼ガスに同伴して補助燃焼室のバーナに導入され、ここで燃焼され処理される。
【0016】
この場合、燃料電池システムは燃焼部の失火を検出する手段を有し、第2のステップの後燃焼部の失火が検出されたときに第3のステップに進むようにしてもよい。なお、ここで燃焼部とは、例えばバーナ、燃焼触媒等を含む。燃焼部の失火は、例えば補助燃焼室の温度を監視することによって検出することができる。
【0017】
また、燃料電池のアノードから出た燃焼排ガスを改質触媒層の入り側に導入して循環させながらこの燃焼排ガスの循環流路に挿入された熱交換器によって燃焼排ガスを冷却する第4のステップを有するようにしてもよい。これによれば、酸素を含有しない燃焼排ガスを系内に封入し、熱交換器で冷却しながら循環させることによって触媒を酸化劣化させることなく燃料電池システムを冷却することができる。
【0018】
また、第2のステップにおいて改質反応器に供給される燃料を完全燃焼に近づけるため、燃料電池システムは改質ガス流路に挿入された酸化触媒と、この酸化触媒の入り側に空気を供給する供給手段とを有し、第2のステップにおいて、供給手段から改質ガス中にこの改質ガスに含まれる未燃の炭化水素系燃料に対し空気比1未満の量の空気を供給するようにしてもよい。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用してなる水素製造装置および燃料電池システムの一実施形態について説明する。図1に本燃料電池システムの構成を示し、図2に図1の水素製造装置と燃料電池の斜視図を示す。なお、図2は図1と構造および作用が同一のため、説明を省略する。
【0020】
図1に示すように、燃料電池システムは、水素製造装置1と、固体高分子型の燃料電池3とを有して構成される。水素製造装置1は、上下方向に延在する筒状の改質反応器5を有し、改質反応器5の内部には、改質触媒7が配置されている。改質触媒7の入り側となる下方には、改質触媒7と対向して燃焼触媒9が配置されている。そして、燃焼触媒9の下側の改質反応器5の底面に、燃料である都市ガス、空気および水蒸気を改質反応器5内に吐出する起動用バーナ11が設置されている。
【0021】
一方、改質触媒7の出側となる上方には、水平方向に並列して配置され、外部から供給される水を蒸発させる熱交換器である2つの蒸気発生器13、15が配置されている。そして、蒸気発生器13、15の上方には、COシフト触媒17が配置されている。COシフト触媒17の内部には、外部から供給される水が通流される熱交換器19が設けられている。COシフト触媒17のさらに上方には、CO選択酸化触媒21が設けられている。CO選択酸化触媒21の上面は、改質反応器5の上端面と接しているが、改質反応器5の上端面との間に隙間が形成されてもよい。CO選択酸化触媒21の内部にも、外部から供給される水が通流される熱交換器23が設けられている。CO選択酸化触媒21の出側には燃料電池3のアノード極側に至る配管25が設けられている。配管25の途中には、酸化触媒27が配設され、配管25の酸化触媒27の上流側には、配管内に空気を吹き込む空気供給手段29が備えられている。
【0022】
また、改質反応器5の下部を挟んで両側に取り付けられた補助燃焼室31、33が設けられている。補助燃焼室31、33の下端部には、都市ガス、アノード排ガスおよび空気を補助燃焼室31、33内に吐出する燃焼器35がそれぞれ設けられている。燃焼器35は、図示しないバーナおよび点火装置と、燃焼触媒とを有して構成されている。そして、補助燃焼室31内の燃焼器35の上方には、起動用バーナ11に供給される空気を予熱する熱交換器37が設けられている。また、補助燃焼室33内の燃焼器35の上方には、起動用バーナ11に供給される都市ガスを予熱する熱交換器39が設けられている。そして、補助燃焼室31、33内を伝播した燃焼排ガスは、それぞれ補助燃焼室31、33の上部の側壁から改質反応器5と反対側に向けて突き出した出口41から排出される。また、補助燃焼室31、33内のそれぞれ改質反応器5と反対側の内壁と接し、外部から供給される水が通流される熱交換器43、45がそれぞれ設けられている。熱交換器43、45は、それぞれ下端部から水を供給し、上端部から排出する。熱交換器43の出口管路は、配管44を介して熱交換器13の入口管路に接続されている。配管44には、流量を調節可能な切換弁47が配設されている。一方、熱交換器45の出口管路は、配管46を介して熱交換器15の入口管路に接続されている。配管46には、流量を調節可能な切換弁49が配設されている。
【0023】
また、外部から供給される都市ガスを昇圧して圧送するブロワ51が設けられている。ブロワ51の入り側は、配管54と接続されており、配管54には流量制御が可能な切換弁53が設けられている。ブロワ51の出側に接続される配管は2つに分岐し、一方は配管52を介して熱交換器39の入り側に接続され、他方は、配管56を介して補助燃焼室31、33それぞれの燃焼器35に接続されている。配管56には、流量制御可能な切換弁55が配設されている。
【0024】
また、空気を昇圧して圧送するブロワ57が設けられている。ブロワ57の出側に接続される配管は2つに分岐し、一方は配管58を介して熱交換器37の入り側に接続され、他方は、配管60を介して補助燃焼室31、33それぞれの燃焼器35に接続されている。配管60には、流量制御可能な切換弁59が配設されている。
【0025】
そして、熱交換器13の出口管路は、配管14を介して熱交換器37の入口管路に接続され、熱交換器15の出口管路は、配管16を介して熱交換器39の入口管路に接続されている。そして、熱交換器37、39の出口管路は、それぞれ配管38、40を介して起動用バーナ11に接続されている。
【0026】
また、燃料電池3のアノード極側の出口管路は配管4を介して三方弁61に接続されている。そして、三方弁61は、一方で配管62を介して燃焼器35と接続され、他方で配管64を介して切換弁53とブロワ51とを接続する配管54に接続されている。また、燃料電池3のカソード極側には空気が供給され、カソード極側からの排ガスは系外に放出される。さらに、燃料電池3の内部には、水が通流されて燃料電池3の図示しないセパレータを冷却する熱交換器63が設けられている。
【0027】
図3は、水素製造装置1の詳細な構成を示す図である。なお、図3においては、煩雑となることを防ぐために配管等の一部は図示を省略してある。図3に示すように、改質反応器5は、蒸気発生器13、15とCOシフト触媒17との間で断面積が段状ことなっており、上側、すなわちCOシフト触媒17側が大きく形成されている。そして、COシフト触媒17側の外壁は、補助燃焼室31、33の外側の壁と連続して形成されている。換言すれば、COシフト触媒17側の拡径された部分の下側に、改質触媒7部および補助燃焼室31、33が収まるように構成されている。
【0028】
蒸気発生器13、15は、それぞれ水または水蒸気が通流される管路65に相当する部分を凹ませて形成された1対のチューブプレート67を貼り合わせて形成されている。管路65は、それぞれ水平方向に折り返しながら供給された水または水蒸気が上側から下側へ流下するように形成されている。
【0029】
また、補助燃焼室31、33にそれぞれ配置された熱交換器37、39もそれぞれ管路67、69に相当する部分を凹ませて形成された各1対のチューブプレート71、73を貼り合わせて形成されている。熱交換器37においても加熱する対象となる空気、都市ガスおよび水蒸気は上側から投入され、水平方向に折り返して形成された管路67、69を流下して下側から排出される。
【0030】
また、補助燃焼室31、33の改質反応器5と反対側の内壁面に取り付けられた熱交換器43、45は、それぞれ1枚づつのチューブプレート75、77を対応する補助燃焼室の内壁面に直接貼りつけて構成され、チューブプレートに形成された凹部と補助燃焼室の内壁面とによって流路が形成されるようになっている。
【0031】
また、蒸気発生器13、15の出側とCOシフト触媒17の入り側との間には、板に細孔を多数形成した整流板79が挿入されている。また、COシフト触媒17とCO選択酸化触媒21との間にも、板に細孔を多数形成した整流板81が挿入されている。そして、整流板81の直下には、CO選択酸化反応に必要な空気を投入する空気投入手段83が設けられている。
【0032】
なお、上述した各切換弁の流量および各ブロワの流量を制御する制御装置85が設けられている。
【0033】
次に、上述した水素製造装置ならびに燃料電池システムの定常運転時の動作について説明する。先ず、改質反応器5に投入される燃料である都市ガス、空気は補助燃焼室31、33においてそれぞれ予熱される。補助燃焼室31、33の各燃焼器35は、燃料電池3のアノード排ガスを配管4、62を介して導入され、これに含有する水素をバーナまたは燃焼触媒によって燃焼する。また、アノード排ガスのみでは熱量が不足する場合には、都市ガスも燃焼させる。そして、熱交換器37には、ブロア57から吐出された空気が配管58を介して供給され、熱交換器39には、ブロア51から吐出された都市ガスが配管52を介して供給される。各熱交換器37、39において、空気及び都市ガスは燃焼ガスとの熱交換によって、例えば450℃ないし600℃に加熱される。加熱された空気及び都市ガスは、配管38、40を介して改質反応器5底部の起動用バーナ11に供給され、ここから改質反応器5内へ吐出される。
【0034】
次に、改質反応用の蒸気の発生について説明する。外部から供給された常温の水は、先ず補助燃焼室31、33の熱交換器43、45に供給され、ここで燃焼ガスとの熱交換によって例えば80℃まで昇温される。そして、熱交換器43、45から排出された水は、それぞれ配管44、46を通り、切換弁47、49を経由して、改質反応器5内の改質触媒7出側の熱交換器13、15に供給される。ここには、詳しくは後述するが、例えば600℃ないし800℃の改質ガスが流れており、水は改質ガスとの熱交換によって蒸発し、さらに過熱されて例えば120℃の水蒸気となる。熱交換器13、15から排出された水蒸気は、配管14、16を通って、それぞれ補助燃焼室の空気加熱用の熱交換器37および都市ガス加熱用の熱交換器39の入り側に供給される。熱交換器37、39において、水蒸気はそれぞれ空気または都市ガスと混ざった状態でさらに過熱され、例えば450℃ないし600℃の水蒸気となる。
【0035】
上述したように加熱された都市ガス、空気および水蒸気は、改質反応器5の起動用バーナ11から改質反応器5内へ吐出される。このとき、起動用バーナ11から燃焼触媒9までの間の空間部内のガス温度は、例えば400℃程度である。そして、燃焼触媒9において、都市ガスの一部は部分的に触媒燃焼される。この燃焼熱によって、燃焼触媒9部のガス温度は例えば700℃ないし900℃程度となる。そして、燃焼触媒9の出側のガスは改質触媒に流入し、ここで改質反応およびCO転化反応が生じ、水素を含有する改質ガスが発生する。この吸熱反応によって、改質触媒7部のガス温度は例えば600℃ないし800℃となる。そして、改質触媒7から排出された改質ガスは、上述した蒸気発生器13、15との熱交換によって、例えば200℃ないし400℃程度に冷却されてCOシフト触媒17に流入する。ここでCOシフト反応が行われるが、COシフト反応は発熱反応であり、COシフト触媒は熱交換器19によって冷却される。
【0036】
COシフト触媒17から排出された改質ガスは、次にCO選択酸化触媒21に流入する。ここで改質ガス中のCO濃度は、例えば2000ないし5000ppmまで低減される。そして、空気供給手段83からCO選択酸化反応用の空気が投入され、これによってCO選択酸化触媒21部においてCO選択酸化反応が生ずる。このCO選択酸化反応も発熱反応であるから、CO選択酸化触媒21は、熱交換器23によって冷却される。CO選択酸化触媒21から排出された改質ガスは、配管25を経由して燃料電池3のアノード極側に供給される。ここでのCO濃度は、例えば数ppm程度である。
【0037】
燃料電池3のアノード極側において、改質ガス中の水素は、燃料電池3の負荷に応じて例えばその0ないし90%が発電に利用される。したがって、アノード極側から排出されるアノード排ガス中には、利用されずに残った例えば10ないし100%の水素が含有されている。また、燃料電池3の熱交換器63にも水が通流され、主にカソード極側を冷却する。熱交換器63の排水は例えば80℃程度に昇温されており、これは給湯用等の目的に利用される。
【0038】
燃料電池3から排出されたアノード排ガスは、三方弁61を経由して補助燃焼室31、33の燃焼器35に供給され、上述したようにここで燃焼される。
【0039】
次に、本実施形態の燃料電池システムの発電負荷を、例えば100%から40%に低減する場合の動作について説明する。この場合、発電用として要求される水素量の低下に応じて、水素製造装置1に供給される都市ガスおよび空気の量が、ブロワ51および57の出力を下げることによって低減される。そして、蒸気発生用の水の供給量も燃料の低減量に応じて低減することになるが、このとき制御装置85は、蒸気発生器13に水蒸気を供給する切換弁47を閉じて、蒸気発生器13の運転を停止する。これによって、改質反応器5に供給される水蒸気は、熱交換器45、蒸気発生器15および熱交換器39の1系統のみによって発生、加熱される。なお、逆に負荷を増やす場合には、蒸気発生器13の運転が再開され得る。ここで、運転する蒸気発生器の数については、COシフト触媒の入り側における改質ガス温度を、COシフト反応に適切な温度範囲に維持することを考慮して設定される。
【0040】
次に、本実施形態の燃料電池システムの運転を停止する際の動作について説明する。制御装置85は、燃料電池3の運転を停止する信号を受けると、蒸気発生器13、15への水供給ラインに設けられた切換弁47、49をともに閉じて水供給を停止する。これによって改質反応器5内への水蒸気の供給が停止される。一方、制御装置85は、都市ガス用のブロワ51および空気用のブロワ57を制御して、空気比または理論燃焼流量比が1未満、好ましくは1よりやや小さい値となるように都市ガスおよび空気の流量を制御する。これによって、改質反応器5内において、起動用バーナ11または燃焼触媒9によって都市ガスが燃焼される。ここで、空気比は1未満であるから、燃料が過剰な状態であり、その燃焼排ガスに含有される酸素量は微量となる。また、燃焼排ガスには、酸素不足により燃え残った都市ガスやCO等の未燃成分が含まれる。
【0041】
そして、この燃焼排ガスは燃焼触媒9、改質触媒7、COシフト触媒17、CO選択酸化触媒21、配管25を経由して燃料電池3のアノード極側に入り、個々を通過して補助燃焼室31、33の燃焼器35に至る。これによって、系内に残存していた水素は燃焼排ガスに同伴して燃焼器35に供給され、ここで燃焼される。なお、このとき改質触媒において微量ながら水素が発生するが、この水素もまた燃焼器35に供給されて燃焼処理される。そして、制御装置は、都市ガスと空気の供給量をこれらの空気比を1未満に維持しながら徐々に低減し、図示しない失火検出手段によって燃焼器35が失火したことが検出されるまで、都市ガスと空気の供給を続ける。また、制御装置85は、水素製造装置1と燃料電池3との間の配管25に挿入された酸化触媒27の上流側の空気供給手段29から、配管25内を通流する燃焼排ガス中に空気を投入する。このときの空気量は、燃焼排ガス中の未燃成分との空気比が1未満となるように設定する。これによって、未燃成分は酸化され、燃焼排ガスは完全燃焼ガスまたは不活性ガスに近づく。以上のようにして、系内の水素ガスは略全量燃焼される。
【0042】
そして、系内の水素の処理が終了すると、制御装置85は三方弁61を操作して燃料電池3のアノード極側から出た燃焼排ガスを都市ガス供給用のブロワ51の入り側に導入する。これによって、燃焼排ガスは補助燃焼室33の熱交換器39、起動用バーナ11を経由して改質反応器5に供給され、循環させられる。そして、このときCOシフト触媒17に備えられた熱交換器19、CO選択酸化触媒21に備えられた熱交換器23および燃料電池3のセパレータに備えられた熱交換器63に水を通流させて系内を循環する燃焼排ガスから除熱する。これによって、改質反応器5等の燃料電池システムの各部が保有している熱量は系外に放出される。
【0043】
以上のように、本実施形態によれば、負荷が変化して蒸気発生器への水供給量が変化するときに、運転される蒸気発生器の数を切り換えているから、蒸気発生器内での水または水蒸気の滞留時間が変化しにくくなる。このため、例えば水の供給量が少ないときに滞留時間が長くなって改質ガスが過冷却されたり、逆に供給量が多いときに滞留時間が不足して改質ガスが冷却不足となるおそれが低減され、COシフト触媒の入り側改質ガス温度を精度よく制御して安定化させることができる。
【0044】
また、蒸気発生器で発生した水蒸気を補助燃焼室の熱交換器においてさらに加熱しているから、改質ガスが適切な温度となるように蒸気発生器出側の水蒸気温度を設定し、さらに水蒸気が必要とする熱量を補助燃焼室の燃焼熱で与えることができ、これによってもCOシフト触媒入り側の改質ガス温度を安定化することができる。
【0045】
また、このような補助燃焼室での水蒸気の加熱に燃料である都市ガスを予熱するための熱交換器を利用しているから、装置構成が簡単でよいというメリットがある。また、都市ガスを予熱する熱交換器39に水蒸気を供給することによって、都市ガスが過度に加熱されて、熱交換機39の入り口から改質触媒に至る都市ガス流路に固形の炭素(カーボン)が析出するおそれが低減される。なお、本実施形態では、都市ガスと水蒸気の合流位置を熱交換器39の最上流側に設定しているがこれに限らず、例えば熱交換器39の最下流側に設定してもよい。また、都市ガスと水蒸気の合流点を2箇所以上設け、切替可能とするのがよい。これにより、改質反応器入り口における都市ガスや水蒸気等の温度制御領域が広がり、COシフト触媒入り口の改質ガス温度を保持するための自由度を拡張することができる。なお、空気を予熱する熱交換器37に水蒸気が供給される合流点も同様に設けることで、改質反応器入り口の空気の温度制御領域が広がる。
【0046】
一方、燃料電池システムの運転を停止するときに、改質触媒層への水蒸気の供給を停止し、改質触媒層の入り側で都市ガスを空気比1未満の状態で燃焼させ、酸素を殆ど含まない燃焼排ガスによって燃料電池システム系内に残存する水素をパージしているから、パージ時における触媒の酸化劣化を防止でき、また不活性ガスの発生装置が必要ないから、装置の構成を簡単化できる。
【0047】
そして、水素が燃焼される燃焼器の失火を監視して失火するまでパージを行うことにより、系内の水素を確実に低減することができる。
【0048】
また、改質ガス流路、すなわち燃焼排ガス流路に酸化触媒を設けてその上流側から燃焼排ガス中の未燃成分に対し空気比1未満となるように空気を供給しているから、未燃成分が酸化され、燃焼排ガスを不活性ガスに近づけることができる。
【0049】
さらに、パージ後燃焼排ガスに系内を循環させ、この燃焼排ガスを冷却することによって、システム内の熱を系外に放出することができる。
【0050】
なお、上述した実施形態においては、蒸気発生器を2個設ける構成としたが、3個以上設けて運転台数をより細かく切り換える構成としてもよい。
【0051】
また、運転停止時、系内に燃焼排ガスを循環させながら、COシフト触媒、CO選択酸化触媒および燃料電池セパレータのそれぞれに設けられた熱交換器によって燃焼排ガスを冷却しているが、これらのうち少なくとも1つを用いて冷却する構成としてもよい。また、燃焼排ガスを冷却するために専用の熱交換器を設けてもよいが、装置が複雑となる。
【0052】
【発明の効果】
本発明によれば、COシフト触媒の入り側改質ガス温度を安定化することができる。また、本発明によれば、触媒を保護しかつ簡単な装置構成によって燃料電池システムをパージすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用してなる燃料電池システムの一実施形態の構成を示す図である。
【図2】図1の燃料電池システムの水素製造装置及び燃料電池の斜視図である。
【図3】図1の燃料電池システムの水素製造装置の詳細な構成を示す図である。
【符号の説明】
1 水素製造装置
3 燃料電池
5 改質反応器
7 改質触媒
9 燃焼触媒
11 起動用バーナ
13 蒸気発生器
15 蒸気発生器
17 COシフト触媒
21 CO選択酸化触媒
31 補助燃焼室
33 補助燃焼室
35 燃焼器
37 熱交換器
39 熱交換器
【発明の属する技術分野】
本発明は、水素製造装置および燃料電池システムに係り、特に、炭化水素系燃料に水蒸気を作用させて改質して水素を製造する装置およびこの水素製造装置を有する燃料電池システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池システムは、触媒の存在下で炭化水素系燃料に水蒸気を作用させて改質し、水素を製造する水素製造装置と、水素と空気とを反応させて発電を行う燃料電池とを有して構成される。このような燃料電池システムの燃料として、例えば都市ガス、天然ガス、LPガス、ガソリン、灯油、メチルアルコール等のアルコール類、ジエチルエーテル等のエーテル類等が使用されるが、都市ガスの主成分であるメタン(CH4)を例にとると、改質反応は式1によって示される。
CH4+H2O ⇔ CO+3H2・・(式1:改質反応)
式1の反応により発生したCOは、同時に、式2に示すH2Oとの反応によって、さらにH2とCO2とに変換される。
CO+H2O ⇔ CO2+H2・・(式2:CO転化反応)
ところで、式1に示す改質反応は吸熱反応であるから、反応を継続させるためには、熱を連続して供給する必要がある。そこで、改質反応器の外側に電気ヒータやバーナ等を設け、外部から改質触媒層を加熱する外熱方式が提案されている。また、改質触媒の入り側に燃焼触媒を設け、改質反応器内に酸素または空気を導入して燃料の一部を触媒燃焼させ、この燃焼熱によって反応温度を維持する内熱方式が提案されている。ここで、内熱方式における部分燃焼は、式3によって示される。
CH4+2O2 → CO2+2H2O・・(式3:部分燃焼)
内熱方式の場合、改質反応器内では、上述した式1ないし式3の反応が行われるが、式1、式2の反応はいずれも平衡反応であるから、H2生成後の改質ガス中には、H2のみならず、H2O、CO2、COなどが含まれる。しかし、固体高分子型燃料電池は、電界膜に白金等を含む貴金属触媒を備えており、これらがCOに触れると、いわゆる被毒が生じ、触媒が劣化して発電性能が低下する。そこで、改質ガス中のCOを低減するために、COを水蒸気と反応させてCO2にシフトさせるCOシフト触媒を備えるCOコンバータを用いることが知られている。さらに、残存するCOを、その後流側で選択的に酸化させてCO2にするCO選択酸化触媒を有するCO除去器を用いることが知られている。
【0003】
COコンバータにおけるCOシフト反応は、式4によって示される。この反応は、平衡反応であり、触媒にもよるが活性温度範囲は例えば250℃ないし350℃である。温度が低いほど式の右側への反応が進行するが、反応速度が遅くなるから、低温でも反応速度を維持できるCu/Zn系等の触媒が用いられる。このシフト反応によって、COコンバータの出側における改質ガス中のCO濃度は、例えば、2000ppmないし5000ppmとなる。
CO+H2O ⇔ CO2+H2・・(式4:COシフト反応)
さらに、CO除去器において、改質ガスに微量な空気を投入することによって、触媒の存在下で式5に示す選択酸化反応が行われる。この触媒には、COを酸化、つまり燃焼するときに水素が燃焼することがなく、COのみを選択的に燃焼させる例えばPtなどを含有するものが使用される。
CO+1/2O2 → CO2・・(式5:CO選択酸化反応)
以上のようにしてCO濃度を低減された改質ガスは、燃料電池の燃料極側に導入され、空気側極に供給される空気と反応して電気を発生する。このとき、発電負荷に応じて改質ガス中の水素の例えば0ないし90%が発電に利用され、残りの例えば10ないし100%の水素はアノード排ガスに同伴して排出される。アノード排ガスは、補助燃焼室において燃焼させられ、この燃焼熱は、改質反応器に供給される燃料および空気を予熱するために利用される。このときのアノード排ガスの燃焼温度は、水素の濃度にもよるが、例えば600ないし900℃程度である。
【0004】
ところで、上述した水素製造装置の改質触媒に供給する水蒸気を得るため、改質触媒の出側、換言すればCOシフト触媒の入り側に、改質ガスとの熱交換によって水を蒸発させる熱交換器を設けることが提案されている。(例えば、特許文献1を参照。)これによれば、改質触媒を出た例えば600℃ないし800℃の改質ガスを、COシフト反応に好適な例えば200℃ないし400℃に冷却するとともに、回収された熱によって水蒸気を発生できるから、装置の熱効率を向上できる。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−52730号公報(第2−3頁、第1図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した水素製造装置において、負荷が変動した場合に、COシフト触媒の入り側改質ガス温度が変動する問題があった。例えば、装置の負荷が低減した場合には、燃料の供給量を減らすとともに、水蒸気の供給量、つまり蒸気発生器への水供給量を減らすことになるが、このとき改質ガス温度は低下する。逆に、装置の負荷が増大して燃料および水の供給量を増やすと、改質ガス温度が上昇する。このようにCOシフト触媒入り側の改質ガス温度が変化し、COシフト反応に好適な温度範囲を外れると、改質ガス中のCO濃度を十分に低減できず、燃料電池のアノード極が被毒して性能が低下してしまう。
【0007】
一方、燃料電池システムの運転を停止する際に、改質反応器や燃料電池のアノード極といった系内に残留する水素は、安全上パージすることが望ましい。しかし、運転終了直後に装置が高温の状態で、空気等の酸素を含有した気体を通流させてパージすると、改質触媒、COシフト触媒およびCO選択酸化触媒が酸化劣化してしまう。これに対し、例えば窒素等の不活性ガスを用いてパージする方法も提案されているが、この場合不活性ガスの供給手段を設ける必要があり、装置が複雑化する。
【0008】
上述した問題に鑑み、本発明の課題は、COシフト触媒の入り側改質ガス温度を安定化することにある。
【0009】
また、本発明の他の課題は、触媒を保護しかつ簡単な装置構成によって燃料電池システムをパージすることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、改質触媒層と、改質触媒層の入り側に炭化水素系燃料を吐出する供給手段と、改質触媒層の出側に設けられたCOシフト触媒層と、改質触媒層とCOシフト触媒層の間の改質ガス流路内に設けられ外部から供給される水を蒸発させる複数の蒸気発生器と、各蒸気発生器で発生する水蒸気を改質触媒層の入り側に供給する管路と、負荷に応じて運転する蒸気発生器の数を切り換える制御部とを有する水素製造装置によって上述した課題を解決する。
【0011】
本発明によれば、負荷が変化して蒸気発生器への水供給量が変化するときに、運転される蒸気発生器の数を切り換えているから、蒸気発生器内での水または水蒸気の滞留時間が変化しにくくなる。このため、水供給量が少ないときに滞留時間が長くなって改質ガスが過冷却されたり、逆に水供給量が多いときに滞留時間が短くなって改質ガスが冷却不足になるおそれが低減され、COシフト触媒入り側の改質ガス温度を安定化することができる。
【0012】
また、バーナを備えてなる補助燃焼室と、補助燃焼室内に設けられた熱交換器とを有し、蒸気発生器で発生する水蒸気を熱交換器内を経由して改質触媒層の入り側に供給する構成としてもよい。これによれば、蒸気発生器の出口水蒸気温度を、COシフト触媒入り側の改質ガス温度が好適な温度範囲となるように設定し、水蒸気の温度が不足する場合には補助燃焼室の燃焼熱で水蒸気を加熱することにより、COシフト触媒入り側の改質ガス温度の低下を防止することができる。
【0013】
また、この熱交換器は、改質触媒層の入り側に供給される炭化水素系燃料または空気の少なくとも1つを予熱するものである構成としてもよい。
【0014】
また、触媒を保護しかつ簡単な装置構成によって燃料電池システムをパージするには、改質触媒層と、改質触媒層の入り側に炭化水素系燃料、空気および水蒸気をそれぞれ供給する供給手段と、改質触媒層により排出された改質ガスが供給される燃料電池と、燃料電池のアノード排ガスを燃焼する燃焼部を備えた補助燃焼室とを有する燃料電池システムの停止方法において、改質触媒層への水蒸気の供給を停止する第1のステップと、炭化水素系燃料を空気比1未満の状態でこの改質触媒層の入り側において燃焼させる第2のステップと、その後炭化水素系燃料および空気の供給を停止する第3のステップとを有するようにするとよい。
【0015】
これによれば、空気比1未満で炭化水素系燃料を燃焼させた燃焼ガス中には殆ど酸素が含まれないから、この燃焼ガスをパージガスとして利用することによって、不活性ガスの供給手段等を設けなくても、触媒を酸化劣化させることなく燃料電池システムをパージすることができる。すなわち、システム内に残留する水素は、この燃焼ガスに同伴して補助燃焼室のバーナに導入され、ここで燃焼され処理される。
【0016】
この場合、燃料電池システムは燃焼部の失火を検出する手段を有し、第2のステップの後燃焼部の失火が検出されたときに第3のステップに進むようにしてもよい。なお、ここで燃焼部とは、例えばバーナ、燃焼触媒等を含む。燃焼部の失火は、例えば補助燃焼室の温度を監視することによって検出することができる。
【0017】
また、燃料電池のアノードから出た燃焼排ガスを改質触媒層の入り側に導入して循環させながらこの燃焼排ガスの循環流路に挿入された熱交換器によって燃焼排ガスを冷却する第4のステップを有するようにしてもよい。これによれば、酸素を含有しない燃焼排ガスを系内に封入し、熱交換器で冷却しながら循環させることによって触媒を酸化劣化させることなく燃料電池システムを冷却することができる。
【0018】
また、第2のステップにおいて改質反応器に供給される燃料を完全燃焼に近づけるため、燃料電池システムは改質ガス流路に挿入された酸化触媒と、この酸化触媒の入り側に空気を供給する供給手段とを有し、第2のステップにおいて、供給手段から改質ガス中にこの改質ガスに含まれる未燃の炭化水素系燃料に対し空気比1未満の量の空気を供給するようにしてもよい。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用してなる水素製造装置および燃料電池システムの一実施形態について説明する。図1に本燃料電池システムの構成を示し、図2に図1の水素製造装置と燃料電池の斜視図を示す。なお、図2は図1と構造および作用が同一のため、説明を省略する。
【0020】
図1に示すように、燃料電池システムは、水素製造装置1と、固体高分子型の燃料電池3とを有して構成される。水素製造装置1は、上下方向に延在する筒状の改質反応器5を有し、改質反応器5の内部には、改質触媒7が配置されている。改質触媒7の入り側となる下方には、改質触媒7と対向して燃焼触媒9が配置されている。そして、燃焼触媒9の下側の改質反応器5の底面に、燃料である都市ガス、空気および水蒸気を改質反応器5内に吐出する起動用バーナ11が設置されている。
【0021】
一方、改質触媒7の出側となる上方には、水平方向に並列して配置され、外部から供給される水を蒸発させる熱交換器である2つの蒸気発生器13、15が配置されている。そして、蒸気発生器13、15の上方には、COシフト触媒17が配置されている。COシフト触媒17の内部には、外部から供給される水が通流される熱交換器19が設けられている。COシフト触媒17のさらに上方には、CO選択酸化触媒21が設けられている。CO選択酸化触媒21の上面は、改質反応器5の上端面と接しているが、改質反応器5の上端面との間に隙間が形成されてもよい。CO選択酸化触媒21の内部にも、外部から供給される水が通流される熱交換器23が設けられている。CO選択酸化触媒21の出側には燃料電池3のアノード極側に至る配管25が設けられている。配管25の途中には、酸化触媒27が配設され、配管25の酸化触媒27の上流側には、配管内に空気を吹き込む空気供給手段29が備えられている。
【0022】
また、改質反応器5の下部を挟んで両側に取り付けられた補助燃焼室31、33が設けられている。補助燃焼室31、33の下端部には、都市ガス、アノード排ガスおよび空気を補助燃焼室31、33内に吐出する燃焼器35がそれぞれ設けられている。燃焼器35は、図示しないバーナおよび点火装置と、燃焼触媒とを有して構成されている。そして、補助燃焼室31内の燃焼器35の上方には、起動用バーナ11に供給される空気を予熱する熱交換器37が設けられている。また、補助燃焼室33内の燃焼器35の上方には、起動用バーナ11に供給される都市ガスを予熱する熱交換器39が設けられている。そして、補助燃焼室31、33内を伝播した燃焼排ガスは、それぞれ補助燃焼室31、33の上部の側壁から改質反応器5と反対側に向けて突き出した出口41から排出される。また、補助燃焼室31、33内のそれぞれ改質反応器5と反対側の内壁と接し、外部から供給される水が通流される熱交換器43、45がそれぞれ設けられている。熱交換器43、45は、それぞれ下端部から水を供給し、上端部から排出する。熱交換器43の出口管路は、配管44を介して熱交換器13の入口管路に接続されている。配管44には、流量を調節可能な切換弁47が配設されている。一方、熱交換器45の出口管路は、配管46を介して熱交換器15の入口管路に接続されている。配管46には、流量を調節可能な切換弁49が配設されている。
【0023】
また、外部から供給される都市ガスを昇圧して圧送するブロワ51が設けられている。ブロワ51の入り側は、配管54と接続されており、配管54には流量制御が可能な切換弁53が設けられている。ブロワ51の出側に接続される配管は2つに分岐し、一方は配管52を介して熱交換器39の入り側に接続され、他方は、配管56を介して補助燃焼室31、33それぞれの燃焼器35に接続されている。配管56には、流量制御可能な切換弁55が配設されている。
【0024】
また、空気を昇圧して圧送するブロワ57が設けられている。ブロワ57の出側に接続される配管は2つに分岐し、一方は配管58を介して熱交換器37の入り側に接続され、他方は、配管60を介して補助燃焼室31、33それぞれの燃焼器35に接続されている。配管60には、流量制御可能な切換弁59が配設されている。
【0025】
そして、熱交換器13の出口管路は、配管14を介して熱交換器37の入口管路に接続され、熱交換器15の出口管路は、配管16を介して熱交換器39の入口管路に接続されている。そして、熱交換器37、39の出口管路は、それぞれ配管38、40を介して起動用バーナ11に接続されている。
【0026】
また、燃料電池3のアノード極側の出口管路は配管4を介して三方弁61に接続されている。そして、三方弁61は、一方で配管62を介して燃焼器35と接続され、他方で配管64を介して切換弁53とブロワ51とを接続する配管54に接続されている。また、燃料電池3のカソード極側には空気が供給され、カソード極側からの排ガスは系外に放出される。さらに、燃料電池3の内部には、水が通流されて燃料電池3の図示しないセパレータを冷却する熱交換器63が設けられている。
【0027】
図3は、水素製造装置1の詳細な構成を示す図である。なお、図3においては、煩雑となることを防ぐために配管等の一部は図示を省略してある。図3に示すように、改質反応器5は、蒸気発生器13、15とCOシフト触媒17との間で断面積が段状ことなっており、上側、すなわちCOシフト触媒17側が大きく形成されている。そして、COシフト触媒17側の外壁は、補助燃焼室31、33の外側の壁と連続して形成されている。換言すれば、COシフト触媒17側の拡径された部分の下側に、改質触媒7部および補助燃焼室31、33が収まるように構成されている。
【0028】
蒸気発生器13、15は、それぞれ水または水蒸気が通流される管路65に相当する部分を凹ませて形成された1対のチューブプレート67を貼り合わせて形成されている。管路65は、それぞれ水平方向に折り返しながら供給された水または水蒸気が上側から下側へ流下するように形成されている。
【0029】
また、補助燃焼室31、33にそれぞれ配置された熱交換器37、39もそれぞれ管路67、69に相当する部分を凹ませて形成された各1対のチューブプレート71、73を貼り合わせて形成されている。熱交換器37においても加熱する対象となる空気、都市ガスおよび水蒸気は上側から投入され、水平方向に折り返して形成された管路67、69を流下して下側から排出される。
【0030】
また、補助燃焼室31、33の改質反応器5と反対側の内壁面に取り付けられた熱交換器43、45は、それぞれ1枚づつのチューブプレート75、77を対応する補助燃焼室の内壁面に直接貼りつけて構成され、チューブプレートに形成された凹部と補助燃焼室の内壁面とによって流路が形成されるようになっている。
【0031】
また、蒸気発生器13、15の出側とCOシフト触媒17の入り側との間には、板に細孔を多数形成した整流板79が挿入されている。また、COシフト触媒17とCO選択酸化触媒21との間にも、板に細孔を多数形成した整流板81が挿入されている。そして、整流板81の直下には、CO選択酸化反応に必要な空気を投入する空気投入手段83が設けられている。
【0032】
なお、上述した各切換弁の流量および各ブロワの流量を制御する制御装置85が設けられている。
【0033】
次に、上述した水素製造装置ならびに燃料電池システムの定常運転時の動作について説明する。先ず、改質反応器5に投入される燃料である都市ガス、空気は補助燃焼室31、33においてそれぞれ予熱される。補助燃焼室31、33の各燃焼器35は、燃料電池3のアノード排ガスを配管4、62を介して導入され、これに含有する水素をバーナまたは燃焼触媒によって燃焼する。また、アノード排ガスのみでは熱量が不足する場合には、都市ガスも燃焼させる。そして、熱交換器37には、ブロア57から吐出された空気が配管58を介して供給され、熱交換器39には、ブロア51から吐出された都市ガスが配管52を介して供給される。各熱交換器37、39において、空気及び都市ガスは燃焼ガスとの熱交換によって、例えば450℃ないし600℃に加熱される。加熱された空気及び都市ガスは、配管38、40を介して改質反応器5底部の起動用バーナ11に供給され、ここから改質反応器5内へ吐出される。
【0034】
次に、改質反応用の蒸気の発生について説明する。外部から供給された常温の水は、先ず補助燃焼室31、33の熱交換器43、45に供給され、ここで燃焼ガスとの熱交換によって例えば80℃まで昇温される。そして、熱交換器43、45から排出された水は、それぞれ配管44、46を通り、切換弁47、49を経由して、改質反応器5内の改質触媒7出側の熱交換器13、15に供給される。ここには、詳しくは後述するが、例えば600℃ないし800℃の改質ガスが流れており、水は改質ガスとの熱交換によって蒸発し、さらに過熱されて例えば120℃の水蒸気となる。熱交換器13、15から排出された水蒸気は、配管14、16を通って、それぞれ補助燃焼室の空気加熱用の熱交換器37および都市ガス加熱用の熱交換器39の入り側に供給される。熱交換器37、39において、水蒸気はそれぞれ空気または都市ガスと混ざった状態でさらに過熱され、例えば450℃ないし600℃の水蒸気となる。
【0035】
上述したように加熱された都市ガス、空気および水蒸気は、改質反応器5の起動用バーナ11から改質反応器5内へ吐出される。このとき、起動用バーナ11から燃焼触媒9までの間の空間部内のガス温度は、例えば400℃程度である。そして、燃焼触媒9において、都市ガスの一部は部分的に触媒燃焼される。この燃焼熱によって、燃焼触媒9部のガス温度は例えば700℃ないし900℃程度となる。そして、燃焼触媒9の出側のガスは改質触媒に流入し、ここで改質反応およびCO転化反応が生じ、水素を含有する改質ガスが発生する。この吸熱反応によって、改質触媒7部のガス温度は例えば600℃ないし800℃となる。そして、改質触媒7から排出された改質ガスは、上述した蒸気発生器13、15との熱交換によって、例えば200℃ないし400℃程度に冷却されてCOシフト触媒17に流入する。ここでCOシフト反応が行われるが、COシフト反応は発熱反応であり、COシフト触媒は熱交換器19によって冷却される。
【0036】
COシフト触媒17から排出された改質ガスは、次にCO選択酸化触媒21に流入する。ここで改質ガス中のCO濃度は、例えば2000ないし5000ppmまで低減される。そして、空気供給手段83からCO選択酸化反応用の空気が投入され、これによってCO選択酸化触媒21部においてCO選択酸化反応が生ずる。このCO選択酸化反応も発熱反応であるから、CO選択酸化触媒21は、熱交換器23によって冷却される。CO選択酸化触媒21から排出された改質ガスは、配管25を経由して燃料電池3のアノード極側に供給される。ここでのCO濃度は、例えば数ppm程度である。
【0037】
燃料電池3のアノード極側において、改質ガス中の水素は、燃料電池3の負荷に応じて例えばその0ないし90%が発電に利用される。したがって、アノード極側から排出されるアノード排ガス中には、利用されずに残った例えば10ないし100%の水素が含有されている。また、燃料電池3の熱交換器63にも水が通流され、主にカソード極側を冷却する。熱交換器63の排水は例えば80℃程度に昇温されており、これは給湯用等の目的に利用される。
【0038】
燃料電池3から排出されたアノード排ガスは、三方弁61を経由して補助燃焼室31、33の燃焼器35に供給され、上述したようにここで燃焼される。
【0039】
次に、本実施形態の燃料電池システムの発電負荷を、例えば100%から40%に低減する場合の動作について説明する。この場合、発電用として要求される水素量の低下に応じて、水素製造装置1に供給される都市ガスおよび空気の量が、ブロワ51および57の出力を下げることによって低減される。そして、蒸気発生用の水の供給量も燃料の低減量に応じて低減することになるが、このとき制御装置85は、蒸気発生器13に水蒸気を供給する切換弁47を閉じて、蒸気発生器13の運転を停止する。これによって、改質反応器5に供給される水蒸気は、熱交換器45、蒸気発生器15および熱交換器39の1系統のみによって発生、加熱される。なお、逆に負荷を増やす場合には、蒸気発生器13の運転が再開され得る。ここで、運転する蒸気発生器の数については、COシフト触媒の入り側における改質ガス温度を、COシフト反応に適切な温度範囲に維持することを考慮して設定される。
【0040】
次に、本実施形態の燃料電池システムの運転を停止する際の動作について説明する。制御装置85は、燃料電池3の運転を停止する信号を受けると、蒸気発生器13、15への水供給ラインに設けられた切換弁47、49をともに閉じて水供給を停止する。これによって改質反応器5内への水蒸気の供給が停止される。一方、制御装置85は、都市ガス用のブロワ51および空気用のブロワ57を制御して、空気比または理論燃焼流量比が1未満、好ましくは1よりやや小さい値となるように都市ガスおよび空気の流量を制御する。これによって、改質反応器5内において、起動用バーナ11または燃焼触媒9によって都市ガスが燃焼される。ここで、空気比は1未満であるから、燃料が過剰な状態であり、その燃焼排ガスに含有される酸素量は微量となる。また、燃焼排ガスには、酸素不足により燃え残った都市ガスやCO等の未燃成分が含まれる。
【0041】
そして、この燃焼排ガスは燃焼触媒9、改質触媒7、COシフト触媒17、CO選択酸化触媒21、配管25を経由して燃料電池3のアノード極側に入り、個々を通過して補助燃焼室31、33の燃焼器35に至る。これによって、系内に残存していた水素は燃焼排ガスに同伴して燃焼器35に供給され、ここで燃焼される。なお、このとき改質触媒において微量ながら水素が発生するが、この水素もまた燃焼器35に供給されて燃焼処理される。そして、制御装置は、都市ガスと空気の供給量をこれらの空気比を1未満に維持しながら徐々に低減し、図示しない失火検出手段によって燃焼器35が失火したことが検出されるまで、都市ガスと空気の供給を続ける。また、制御装置85は、水素製造装置1と燃料電池3との間の配管25に挿入された酸化触媒27の上流側の空気供給手段29から、配管25内を通流する燃焼排ガス中に空気を投入する。このときの空気量は、燃焼排ガス中の未燃成分との空気比が1未満となるように設定する。これによって、未燃成分は酸化され、燃焼排ガスは完全燃焼ガスまたは不活性ガスに近づく。以上のようにして、系内の水素ガスは略全量燃焼される。
【0042】
そして、系内の水素の処理が終了すると、制御装置85は三方弁61を操作して燃料電池3のアノード極側から出た燃焼排ガスを都市ガス供給用のブロワ51の入り側に導入する。これによって、燃焼排ガスは補助燃焼室33の熱交換器39、起動用バーナ11を経由して改質反応器5に供給され、循環させられる。そして、このときCOシフト触媒17に備えられた熱交換器19、CO選択酸化触媒21に備えられた熱交換器23および燃料電池3のセパレータに備えられた熱交換器63に水を通流させて系内を循環する燃焼排ガスから除熱する。これによって、改質反応器5等の燃料電池システムの各部が保有している熱量は系外に放出される。
【0043】
以上のように、本実施形態によれば、負荷が変化して蒸気発生器への水供給量が変化するときに、運転される蒸気発生器の数を切り換えているから、蒸気発生器内での水または水蒸気の滞留時間が変化しにくくなる。このため、例えば水の供給量が少ないときに滞留時間が長くなって改質ガスが過冷却されたり、逆に供給量が多いときに滞留時間が不足して改質ガスが冷却不足となるおそれが低減され、COシフト触媒の入り側改質ガス温度を精度よく制御して安定化させることができる。
【0044】
また、蒸気発生器で発生した水蒸気を補助燃焼室の熱交換器においてさらに加熱しているから、改質ガスが適切な温度となるように蒸気発生器出側の水蒸気温度を設定し、さらに水蒸気が必要とする熱量を補助燃焼室の燃焼熱で与えることができ、これによってもCOシフト触媒入り側の改質ガス温度を安定化することができる。
【0045】
また、このような補助燃焼室での水蒸気の加熱に燃料である都市ガスを予熱するための熱交換器を利用しているから、装置構成が簡単でよいというメリットがある。また、都市ガスを予熱する熱交換器39に水蒸気を供給することによって、都市ガスが過度に加熱されて、熱交換機39の入り口から改質触媒に至る都市ガス流路に固形の炭素(カーボン)が析出するおそれが低減される。なお、本実施形態では、都市ガスと水蒸気の合流位置を熱交換器39の最上流側に設定しているがこれに限らず、例えば熱交換器39の最下流側に設定してもよい。また、都市ガスと水蒸気の合流点を2箇所以上設け、切替可能とするのがよい。これにより、改質反応器入り口における都市ガスや水蒸気等の温度制御領域が広がり、COシフト触媒入り口の改質ガス温度を保持するための自由度を拡張することができる。なお、空気を予熱する熱交換器37に水蒸気が供給される合流点も同様に設けることで、改質反応器入り口の空気の温度制御領域が広がる。
【0046】
一方、燃料電池システムの運転を停止するときに、改質触媒層への水蒸気の供給を停止し、改質触媒層の入り側で都市ガスを空気比1未満の状態で燃焼させ、酸素を殆ど含まない燃焼排ガスによって燃料電池システム系内に残存する水素をパージしているから、パージ時における触媒の酸化劣化を防止でき、また不活性ガスの発生装置が必要ないから、装置の構成を簡単化できる。
【0047】
そして、水素が燃焼される燃焼器の失火を監視して失火するまでパージを行うことにより、系内の水素を確実に低減することができる。
【0048】
また、改質ガス流路、すなわち燃焼排ガス流路に酸化触媒を設けてその上流側から燃焼排ガス中の未燃成分に対し空気比1未満となるように空気を供給しているから、未燃成分が酸化され、燃焼排ガスを不活性ガスに近づけることができる。
【0049】
さらに、パージ後燃焼排ガスに系内を循環させ、この燃焼排ガスを冷却することによって、システム内の熱を系外に放出することができる。
【0050】
なお、上述した実施形態においては、蒸気発生器を2個設ける構成としたが、3個以上設けて運転台数をより細かく切り換える構成としてもよい。
【0051】
また、運転停止時、系内に燃焼排ガスを循環させながら、COシフト触媒、CO選択酸化触媒および燃料電池セパレータのそれぞれに設けられた熱交換器によって燃焼排ガスを冷却しているが、これらのうち少なくとも1つを用いて冷却する構成としてもよい。また、燃焼排ガスを冷却するために専用の熱交換器を設けてもよいが、装置が複雑となる。
【0052】
【発明の効果】
本発明によれば、COシフト触媒の入り側改質ガス温度を安定化することができる。また、本発明によれば、触媒を保護しかつ簡単な装置構成によって燃料電池システムをパージすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用してなる燃料電池システムの一実施形態の構成を示す図である。
【図2】図1の燃料電池システムの水素製造装置及び燃料電池の斜視図である。
【図3】図1の燃料電池システムの水素製造装置の詳細な構成を示す図である。
【符号の説明】
1 水素製造装置
3 燃料電池
5 改質反応器
7 改質触媒
9 燃焼触媒
11 起動用バーナ
13 蒸気発生器
15 蒸気発生器
17 COシフト触媒
21 CO選択酸化触媒
31 補助燃焼室
33 補助燃焼室
35 燃焼器
37 熱交換器
39 熱交換器
Claims (7)
- 改質触媒層と、前記改質触媒層の入り側に炭化水素系燃料を吐出する供給手段と、前記改質触媒層の出側に設けられたCOシフト触媒層と、前記改質触媒層と前記COシフト触媒層の間の改質ガス流路内に設けられ外部から供給される水を蒸発させる複数の蒸気発生器と、前記各蒸気発生器で発生する水蒸気を前記改質触媒層の入り側に供給する管路と、負荷に応じて運転する前記蒸気発生器の数を切り換える制御部とを有する水素製造装置。
- バーナを備えてなる補助燃焼室と、前記補助燃焼室内に設けられた熱交換器とを有し、前記蒸気発生器で発生する水蒸気を前記熱交換器内を経由して前記改質触媒層の入り側に供給することを特徴とする請求項1に記載の水素製造装置。
- 前記熱交換器は、前記改質触媒層の入り側に供給される炭化水素系燃料または空気の少なくとも1つを予熱するものであることを特徴とする請求項2に記載の水素製造装置。
- 改質触媒層と、前記改質触媒層の入り側に炭化水素系燃料、空気および水蒸気をそれぞれ供給する供給手段と、前記改質触媒層により排出された改質ガスが供給される燃料電池と、前記燃料電池のアノード排ガスを燃焼する燃焼部を備えた補助燃焼室とを有する燃料電池システムの停止方法において、前記改質触媒層への前記水蒸気の供給を停止する第1のステップと、前記炭化水素系燃料を空気比1未満の状態で該改質触媒層の入り側において燃焼させる第2のステップと、その後炭化水素系燃料および空気の供給を停止する第3のステップとを有する燃料電池システムの停止方法。
- 前記燃料電池システムは前記燃焼部の失火を検出する手段を有し、前記第2のステップの後前記燃焼部の失火が検出されたときに前記第3のステップに進むことを特徴とする請求項4に記載の燃料電池システムの停止方法。
- 前記燃料電池のアノードから出た燃焼排ガスを前記改質触媒層の入り側に導入して循環させながら該燃焼排ガスの循環流路に挿入された熱交換器によって該燃焼排ガスを冷却する第4のステップを有する請求項4または5に記載の燃料電池システムの停止方法。
- 前記燃料電池システムは改質ガス流路に挿入された酸化触媒と、該酸化触媒の入り側に空気を供給する供給手段とを有し、前記第2のステップにおいて、前記供給手段から改質ガス中に該改質ガスに含まれる未燃の炭化水素系燃料に対し空気比1未満の量の空気を供給することを特徴とする請求項4または6のいずれかに記載の燃料電池システムの停止方法。
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-
2002
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