JP2004196434A - 乗客コンベア - Google Patents
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Abstract
【課題】案内レールの据え付け調整時間を短縮することができる乗客コンベアを得る。
【解決手段】第1、第2の踏段チェーン5,25は、踏段6の1段に対して、4本のチェーンリンク7と、隣接するチェーンリンク7を回動自在に連結するリンクピン8と、各々のリンクピン8に回転自在に軸着されたチェーンローラ9とを有し、案内レール12は、第1の踏段チェーン5のチェーンローラ9の軌道を構成するとともに、上方に開口を向けた断面形状が凹形状の案内溝12aを有し、この案内溝12a内にチェーンローラ9を転動させて、チェーンローラ9が軌道から脱線することを防止している。
【選択図】 図2
【解決手段】第1、第2の踏段チェーン5,25は、踏段6の1段に対して、4本のチェーンリンク7と、隣接するチェーンリンク7を回動自在に連結するリンクピン8と、各々のリンクピン8に回転自在に軸着されたチェーンローラ9とを有し、案内レール12は、第1の踏段チェーン5のチェーンローラ9の軌道を構成するとともに、上方に開口を向けた断面形状が凹形状の案内溝12aを有し、この案内溝12a内にチェーンローラ9を転動させて、チェーンローラ9が軌道から脱線することを防止している。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、チェーンローラ方式の踏段チェーンを有する乗客コンベアに関し、特に踏段チェーンの案内レールにおいて据え付け調整が容易となるように改善した案内レールを有する乗客コンベアに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
無端状に連結されて、複数の踏段を支持する踏段チェーンとして、チェーンローラ方式の踏段チェーンが提案されている。このチェーンローラ方式の踏段チェーンは、細長薄板状の複数のチェーンリンクと、隣接するチェーンリンクの端部と端部を連結するリンクピンと、リンクピンに軸着されたチェーンローラとから成り、1段の踏段に対して、両側部に複数のチェーンリンクと複数のチェーンローラを有している。そのため、踏段軸にのみローラを有する、つまり、1段の踏段に対して、両側部に1個ずつローラを有する踏段チェーンに比べて、踏段にかかる荷重が複数のチェーンローラに分散されるので、特に上部及び下部の反転部において、滑らかで安定した運転を行うことができる(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【0003】
一方、踏段の進行方向に向かって左右方向の移動(揺れ)を削減する目的で、チェーンローラを規制することが提案されている。そして、上述のチェーンローラ方式の踏段チェーンを案内する方法としては、従来、踏段の左右のチェーンローラをそれぞれ支持する2本のレールに各々案内面を設けて、チェーンローラの左右方向の移動を規制することが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0004】
【特許文献1】
特許第2860167号公報
【特許文献2】
特開平8−217368号公報
【特許文献3】
実開平7−13877号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような左右2本のレールに各々案内面を設ける方法は、左右の案内レールを精度良く調整して正確に芯出しする必要があり、据え付け調整作業に多大な時間を要するので問題であった。
【0006】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、チェーンローラ方式の踏段チェーンを有する乗客コンベアにおいて、案内レールの据え付け調整時間を短縮することができる乗客コンベアを得ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る乗客コンベアは、乗客を運ぶ踏段の両側部にそれぞれ設けられ複数の踏段を無端状に連結する第1、第2の踏段チェーンと、踏段の姿勢をガイドする案内レールを設けた乗客コンベアにおいて、第1、第2の踏段チェーンは、踏段の1段に対して、複数設けられたチェーンリンクと、隣接するチェーンリンクを回動自在に連結するリンクピンと、各々のリンクピンに回転自在に軸着されたチェーンローラとを有し、案内レールは、第1の踏段チェーンのチェーンローラの軌道をなすとともに、上方に開口を向けた断面凹形状の案内溝を有し、案内溝内にチェーンローラを転動させて、チェーンローラが軌道から外れないよう案内する。
【0008】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1の乗客コンベアの全体を示す概略図である。図1において、エスカレータは、上部乗場と下部乗場との間を乗客を乗せて循環する複数の踏段6を有している。エスカレータは、実際には、上部乗場と下部乗場との間に途切れることなく無端状に連結された多くの踏段6を有しているが、図1ではそのうちの数個だけを示している。エスカレータは、また踏段6を支える枠組みとしてトラス構造の主枠1を有している。
【0009】
エスカレータの主枠1の上端部には、駆動装置2と、この駆動装置2によって回転する上部スプロケット3が設置されている。一方、主枠1の下端部には、下部スプロケット4が設置されている。上部スプロケット3と下部スプロケット4の間に無端状の第1、第2の踏段チェーン5,25が掛け渡されている。第1、第2の踏段チェーン5,25は、乗客を運ぶ複数の踏段6を無端状に連結している。第1、第2の踏段チェーン5,25は、主枠1の上部側を移動する負荷受け走行部と、これに対して主枠1の下部側をもどる戻り走行部を含んでいる。第1、第2の踏段チェーン5,25は、駆動装置2によって回転する上部スプロケット3によって駆動され、複数の踏段6を循環させる。
【0010】
図2はこの発明の乗客コンベアの要部を示す図1のI−I線に沿う矢視断面図である。また、図3は同じく乗客コンベアの要部を示す図2のII−II線に沿う矢視断面図である。図2及び図3において、踏段6の一側(図2の右側)の側部に第1の踏段チェーン5が配置されている。一方、踏段6の他側(図2の左側)の側部に第2の踏段チェーン25が配置されている。
【0011】
第1の踏段チェーン5は、チェーンリンク7と、隣接するチェーンリンク7を相互に連結するリンクピン8と、リンクピン8に軸着されたチェーンローラ9から構成されている。チェーンリンク7は、図3に示されるように、略細長薄板状をなし、両端部は半円形に角が落とされており、両端部の中央に連結穴が穿孔されている。そして、隣接するチェーンリンク7は、互いの端部に形成された連結穴を貫通するリンクピン8によって相互に回動自在に連結されている。
【0012】
複数のチェーンリンク7とこれらを連結するリンクピン8は、無端状に連結された無端状帯を構成している。そして、図2に示されるように、この2本(2枚)の無端状帯に挟まれてチェーンローラ9が配設されている。言い換えると、第1の踏段チェーン5は、チェーンリンク7とリンクピン8からなる無端状帯を、チェーンローラ9の両側部にそれぞれ1本(1枚)ずつ有している。
【0013】
チェーンローラ9は、図3に示されるように、略円板状を成し中央に穿孔された中心穴にリンクピン8を貫通させ、このリンクピン8によって回転自在に支持されている。チェーンローラ9は、チェーンリンク7の幅より大きな直径を有しており、外周部の一部がチェーンリンク7の上下から突出している。
【0014】
一組のチェーンリンク7、リンクピン8、及びチェーンローラ9を一節とした場合に、一つの踏段6に対して4節が連結されている。そのため、一つの踏段6の両側部には、各々4個のチェーンローラ9が配設されている。また、踏段6には、前部を横方向に貫通する踏段軸10が設けられている。踏段6の両側部に設けられた4個のチェーンローラ9のうち、1節目のチェーンローラ9に、踏段6を貫通した踏段軸10が、リンクピン8と軸芯を同一にして連結されている。
【0015】
踏段6及び左右の踏段チェーン5,25は、概略対称の構成を成している。そして、第2の踏段チェーン25は、概略第1の踏段チェーン5を左右反転させた構成を成すが、第2の踏段チェーン25のチェーンローラ19は、第1の踏段チェーン5のチェーンローラ9が有する摩耗防止板を有していない。摩耗防止板については、後で詳しく述べる。
【0016】
図2に示されるように、第1の踏段チェーン5のチェーンローラ9は、チェーンローラ9の支持軌道として設けられた上方に開口を形成する断面コ字型の案内レール12の内部を転動する。案内レール12は、主枠1に取り付けられた支持板14の上部側を、エスカレータの長手方向に沿って、上部乗場反転部から下部乗場反転部まで延びて架設され、第1の踏段チェーン5の負荷受け走行部を案内する。支持板14については後述する。一方、支持板14の下部側には、第1の踏段チェーン5の戻り走行部を案内する同じく断面コ字型の案内レール15が開口を上方に向けて架設されている。案内レール15は、エスカレータの主枠1の下部側をエスカレータの長手方向に沿って、上部乗場反転部から下部乗場反転部まで延びている。そして、案内レール12と案内レール15は、上下の反転部で所定の間隔を空けて重なっており、第1の踏段チェーン5は、この反転部で案内レール12から案内レール15に乗り換えて循環する。つまり、案内レール12と案内レール15は、共働動作をして第1の踏段チェーン5の無端の経路、すなわちループを構成している。
【0017】
一方、第2の踏段チェーン25のチェーンローラ19の軌道は、支持板14の上部側に設けられ第2の踏段チェーン25の負荷受け走行部を構成する断面L字型の補助レール13と、支持板14の上部側に設けられ戻り走行部を構成する同じく断面L字型の補助レール16とから構成されている。補助レール13と補助レール16は、案内レール12及び案内レール15と同じように、エスカレータの長手方向に沿って上下の反転部まで延設され、そして、この反転部で所定の間隔を空けて重なっている。補助内レール13と補助レール16は、共働動作をして第2の踏段チェーン25の無端の経路を構成している。
【0018】
支持板14には、さらに踏段6の後部両端部に設けられた追従ローラ11の軌道となる負荷受け走行部用の追従ローラレール17と戻り走行部用の追従ローラレール18が架設されている。
踏段6及び踏段6の両側部に設けられた第1,第2の踏段チェーン5,25は、主枠1の上部側において、案内レール12及び補助レール13に乗って反転部まで移動し、反転部で反転する際に、案内レール15及び補助レール16に乗り換えて主枠1の下部側をもどる。
【0019】
図3に沿って、主枠1のトラス構造を説明する。主枠1は、主枠1の上部側を構成するとともにエスカレータの長手方向に沿って延びる上弦材1bと、主枠1の下部側を構成するとともにエスカレータの長手方向に沿って延びる下弦材1cと、エスカレータの長手方向に所定の間隔を空けて設けられ、上弦材1bと下弦材1cとの間に垂直方向に架け渡されて設けられた縦枠1aとを有している。縦枠1aは、上下端を上弦材1bと下弦材1cに溶接されて固定されている。上弦材1b、下弦材1c及び縦枠1aから成る構造物が、エスカレータの左右に一対設けられている。
【0020】
複数のレールが架け渡される上述の支持板14は、各々の縦枠1aに片側を溶接されて固定され、他側を内側に延ばして取り付けられている。案内レール12,15、及び補助レール13,16は、複数の支持板14を渡るようにエスカレータの長手方向に延びて架設されている。
【0021】
図4は本実施の形態のチェーンローラ及び案内レール付近の詳細を示す拡大図である。チェーンローラ9の2つの主面には、摩耗防止手段として、フェノール樹脂等の耐摩耗性の良い材料で作製された摩耗防止板9aが貼着されている。第1の踏段チェーン5のチェーンローラ9は、上方に開口を形成する断面コ字型の案内レール12のコ字型内面で構成される案内溝12aの内部を転動する。そして、チェーンローラ9の外周面は、案内溝12aの底面(軌道面)12b上を転がる。底面12bの幅は、摩耗防止板9aを含むチェーンローラ9の幅より微小な間隔だけ広くされている。案内溝12aの両内側面12cは、底面12bの両端から垂直方向上方に延びて形成されている。そして、互いに向かい合う両内側面12cは、チェーンローラ9を挟み込んでこれを案内する2つの案内面を構成している。案内レール12は、例えば鋼板を断面コ字形に折り曲げて作製する。そして、案内面としての両内側面12cは、踏段6の左右方向の移動(揺れ)を可能な限り削減すべく精密に加工されている。尚、戻り走行部を成す案内レール15も案内レール12と同様な形状を成している。
【0022】
第2の踏段チェーン25のチェーンローラ19を支持する補助レール13においては、底面13aは、チェーンローラ19が左右に揺れながらこの上を走行しても、チェーンローラ19が断面L字形の立ち上がり部に接触することが無いように、また、立ち上がり部と反対側に脱線することが無いように十分に広い幅とされている。そして、補助レール13の底部厚さ、つまり補助レール13の裏面から底面(軌道面)13aまでの厚さH2は、案内レール12の底部厚さ、つまり案内レール12の裏面から底面(軌道面)12bまでの厚さH1と、同じ厚さとされている。
【0023】
このような構成の本実施の形態のエスカレータにおいては、第1、第2の踏段チェーン5,25は、踏段6の1段に対して、4本のチェーンリンク7と、隣接するチェーンリンク7を回動自在に連結するリンクピン8と、各々のリンクピン8に回転自在に軸着されたチェーンローラ9とを有し、案内レール12は、第1の踏段チェーン5のチェーンローラ9の軌道を構成するとともに、上方に開口を向けた断面形状が凹形状の案内溝12aを有し、この案内溝12a内にチェーンローラ9を転動させて、チェーンローラ9が軌道から脱線することを防止している。そして、1段の踏段6に対して複数のチェーンローラ9を有することにより、踏段6にかかる荷重を複数のチェーンローラ9に分散させることができるので、高強度で堅牢な案内レール12を必要とすることがない。また、1段の踏段6に対して片側に複数設けられたチェーンローラ9を、1本の案内レール12で案内するので、2本の案内レールで踏段の両側部に設けられたローラを案内するものに比べ、正確に且つ効率良く案内することができる。また、踏段6の左右方向の移動(揺れ)を複数のチェーンローラ9を介して規制するので、規制するため力が複数のチェーンローラ9に分散され、1つのチェーンローラ9にかかる荷重を減少させることができるので、チェーンローラ9の摩耗量を減らすことができる。
【0024】
さらに、第1の踏段チェーン5のチェーンローラ9を、進行方向に向かって左右方向の移動を規制しながら案内し、踏段6の左右方向の移動(揺れ)を規制するので、片側に設けられた案内レール12の左右方向の芯出し調整のみを精度良く実施すれば、踏段6の滑らかな運転を実現することができ、他側のチェーンローラ19の軌道となる補助レール13の芯出し調整を不要とすることができるので、芯出し調整作業時間の短縮を図ることができる。さらには、案内レール12と接触して摩耗するチェーンローラが、第1の踏段チェーン5のチェーンローラ9のみとなり、定期的なメンテナンスの際、チェーンローラ9のみ交換すればよく、コスト削減を図ることができる。
【0025】
また、案内溝12aは、断面形状が上方に開口を向けたコ字形をなし、第1の踏段チェーン5のチェーンローラ9の両側面をそれぞれ案内する2つの案内面12cを有ることで、踏段6の左右方向への移動量は、チェーンローラ9と案内レール12の対向する2つの案内面12cの寸法によって管理することができ、案内レール12とチェーンローラ9の製作寸法精度を高めることにより踏段6の左右方向への移動量を小さくすることができる。さらには、1段の踏段6に対して複数有するチェーンローラ9を、1本の案内レール12に設けられた1条の案内溝12aで案内するので、2本のレールで案内するものに比べ対向する案内面12cを近づけて形成することができ、進行方向に縦列する複数有するチェーンローラ9を正確に且つ効率良く案内することができる。
【0026】
さらに、第1の踏段チェーン5のチェーンローラ9の両側面に、耐摩耗性の良い材料で作製された摩耗防止板9aを設けたので、チェーンローラ9の幅方向の摩耗を少なくすることができ、経年的に踏段6の左右方向移動量を小さく抑えることができる。尚、摩耗防止手段は、摩耗防止板9aに限らず、例えば、電気メッキ等によってチェーンローラ9の表面に形成された摩耗防止層としてのニッケル層などでもよい。
【0027】
また、本実施の形態のエスカレータは、第2の踏段チェーン25のチェーンローラ19の軌道となる補助レール13を有し、案内レール12の軌道面12bの底部厚さH1と補助レール13の軌道面13aの底部厚さH2とが等しい。そのため、同じ高さの支持板14上に案内レール12と補助レール13を架設して、左右のチェーンローラ9,19の径を同じすることにより、踏段6を水平に保つことができ、作製が容易になると同時に据え付け作業が容易になるので、コストダウンを図ることができる。
【0028】
実施の形態2.
図5はこの発明の実施の形態2の乗客コンベアのチェーンローラ及び案内レール付近の詳細を示す拡大図である。本実施の形態の第1の踏段チェーン35のチェーンローラ29は、外周部29aが断面半円形状を成している。一方、このチェーンローラ29を案内する案内レール22は、鋼板を長手方向と直角方向に丸めて作製され、断面凹円弧状の案内面22aを有している。断面凹円弧状の案内面22aは、案内面であるとともに、上方に開口を向けた断面凹形状の案内溝を構成している。そして、案内面22aの半径Rは、チェーンローラ29の外周部29aの半径rより大きい。
【0029】
そして、案内レール22の底部厚さ、つまり案内レール22の裏面から案内面(軌道面)22aまでの厚さH3は、補助レール13の底部厚さ、つまり補助レール13の裏面から底面(軌道面)13aまでの厚さH2と、同じ厚さとされている。その他の構成は、実施の形態1と同様である。
【0030】
進行方向に向かって左右方向に動かそうとする力がチェーンローラ29に働き、チェーンローラ29がいずれかの曲面を上昇しようとすると、案内面22aが断面円弧状を成しているので、チェーンローラ29を案内面22aの中心に戻す力が生じる。チェーンローラ29は、この自動調芯作用力によって、軌道の中心線上を転動するように案内される。
【0031】
尚、本実施の形態においては、チェーンローラ29の外周部29aは、断面半円形状を成しているが、半円でなくとも円弧状の断面を持つものであれば、同様の効果を得ることができる。
【0032】
すなわち、このような構成の本実施の形態のエスカレータにおいては、第1の踏段チェーン35のチェーンローラ29は、断面凸円弧状の外周部29aを有し、案内レール22は、チェーンローラ29の断面凸円弧状の外周部29aを受け入れる断面凹円弧状の案内面22aを有するので、案内レール22は、第1の踏段チェーン35のチェーンローラ9を、進行方向に向かって左右方向の移動を規制しながら案内し、踏段6の左右方向の移動(揺れ)を削減することができるとともに、据え付け調整時においては、片側の案内レール22のみの左右方向の芯出し調整を精度良く行えばよく、他側のチェーンローラ19の軌道となる補助レール13の芯出し調整が不要となるので、芯出し調整作業時間の短縮を図ることができる。
【0033】
また、断面凹円弧状の案内面22aの半径Rは、第1の踏段チェーン35のチェーンローラ29の断面凸円弧状の外周部29aの半径rより大きい。そのため、チェーンローラ29は、自動調芯作用力によって常に軌道の中心線上を転動するように案内され、踏段6の左右方向の移動(揺れ)がさらに削減され、乗り心地が改善されてさらに性能の良いものとすることができる。
【0034】
最後に、実施の形態1及び2では、エスカレータの構造について記述したが、この発明は、エスカレータと同様の踏段チェーンを有する動く歩道についてもそのまま応用できることは明白である。
【0035】
【発明の効果】
この発明に係る乗客コンベアは、乗客を運ぶ踏段の両側部にそれぞれ設けられ踏段を無端状に連結する第1、第2の踏段チェーンと、踏段の姿勢をガイドする案内レールを設けた乗客コンベアにおいて、第1、第2の踏段チェーンは、踏段の1段に対して、複数設けられたチェーンリンクと、隣接するチェーンリンクを回動自在に連結するリンクピンと、各々のリンクピンに回転自在に軸着されたチェーンローラとを有し、案内レールは、第1の踏段チェーンのチェーンローラの軌道をなすとともに、上方に開口を向けた断面凹形状の案内溝を有し、案内溝内にチェーンローラを転動させて、チェーンローラが軌道から外れないよう案内する。そして、案内レールが、第1の踏段チェーンのチェーンローラを、進行方向に向かって左右方向に移動を規制しながら案内するので、踏段の左右方向の移動(揺れ)が削減される。また、据え付け調整時においては、片側に設けられた案内レールのみの芯出し調整を精度良く行えばよいこととなり、他側の補助レールの芯出し調整が不要となるので芯出し調整作業時間の短縮を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1の乗客コンベアの全体を示す概略図である。
【図2】この発明の実施の形態1の乗客コンベアの要部を示す図1のI−I線に沿う矢視断面図である。
【図3】この発明の実施の形態1の乗客コンベアの要部を示す図2のII−II線に沿う矢視断面図である。
【図4】実施の形態1のチェーンローラ及び案内レール付近の詳細を示す拡大図である。
【図5】この発明の実施の形態2の乗客コンベアのチェーンローラ及び案内レール付近の詳細を示す拡大図である。
【符号の説明】
1 主枠、2 駆動装置、3 上記スプロケット、4 下部スプロケット、5,35 第1の踏段チェーン、25 第2の踏段チェーン、6 踏段、7 チェーンリンク、8 リンクピン、9,19,29 チェーンローラ、9a 摩耗防止板、10 踏段軸、11 追従ローラ、12,15 案内レール、12a 案内溝、12b 底面(軌道面)、12c 案内面、13,16 補助レール、14 支持板、22 案内レール、22a 断面凹円弧状の案内面、29a 断面凸円弧状の外周部。
【発明の属する技術分野】
この発明は、チェーンローラ方式の踏段チェーンを有する乗客コンベアに関し、特に踏段チェーンの案内レールにおいて据え付け調整が容易となるように改善した案内レールを有する乗客コンベアに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
無端状に連結されて、複数の踏段を支持する踏段チェーンとして、チェーンローラ方式の踏段チェーンが提案されている。このチェーンローラ方式の踏段チェーンは、細長薄板状の複数のチェーンリンクと、隣接するチェーンリンクの端部と端部を連結するリンクピンと、リンクピンに軸着されたチェーンローラとから成り、1段の踏段に対して、両側部に複数のチェーンリンクと複数のチェーンローラを有している。そのため、踏段軸にのみローラを有する、つまり、1段の踏段に対して、両側部に1個ずつローラを有する踏段チェーンに比べて、踏段にかかる荷重が複数のチェーンローラに分散されるので、特に上部及び下部の反転部において、滑らかで安定した運転を行うことができる(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【0003】
一方、踏段の進行方向に向かって左右方向の移動(揺れ)を削減する目的で、チェーンローラを規制することが提案されている。そして、上述のチェーンローラ方式の踏段チェーンを案内する方法としては、従来、踏段の左右のチェーンローラをそれぞれ支持する2本のレールに各々案内面を設けて、チェーンローラの左右方向の移動を規制することが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0004】
【特許文献1】
特許第2860167号公報
【特許文献2】
特開平8−217368号公報
【特許文献3】
実開平7−13877号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような左右2本のレールに各々案内面を設ける方法は、左右の案内レールを精度良く調整して正確に芯出しする必要があり、据え付け調整作業に多大な時間を要するので問題であった。
【0006】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、チェーンローラ方式の踏段チェーンを有する乗客コンベアにおいて、案内レールの据え付け調整時間を短縮することができる乗客コンベアを得ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る乗客コンベアは、乗客を運ぶ踏段の両側部にそれぞれ設けられ複数の踏段を無端状に連結する第1、第2の踏段チェーンと、踏段の姿勢をガイドする案内レールを設けた乗客コンベアにおいて、第1、第2の踏段チェーンは、踏段の1段に対して、複数設けられたチェーンリンクと、隣接するチェーンリンクを回動自在に連結するリンクピンと、各々のリンクピンに回転自在に軸着されたチェーンローラとを有し、案内レールは、第1の踏段チェーンのチェーンローラの軌道をなすとともに、上方に開口を向けた断面凹形状の案内溝を有し、案内溝内にチェーンローラを転動させて、チェーンローラが軌道から外れないよう案内する。
【0008】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1の乗客コンベアの全体を示す概略図である。図1において、エスカレータは、上部乗場と下部乗場との間を乗客を乗せて循環する複数の踏段6を有している。エスカレータは、実際には、上部乗場と下部乗場との間に途切れることなく無端状に連結された多くの踏段6を有しているが、図1ではそのうちの数個だけを示している。エスカレータは、また踏段6を支える枠組みとしてトラス構造の主枠1を有している。
【0009】
エスカレータの主枠1の上端部には、駆動装置2と、この駆動装置2によって回転する上部スプロケット3が設置されている。一方、主枠1の下端部には、下部スプロケット4が設置されている。上部スプロケット3と下部スプロケット4の間に無端状の第1、第2の踏段チェーン5,25が掛け渡されている。第1、第2の踏段チェーン5,25は、乗客を運ぶ複数の踏段6を無端状に連結している。第1、第2の踏段チェーン5,25は、主枠1の上部側を移動する負荷受け走行部と、これに対して主枠1の下部側をもどる戻り走行部を含んでいる。第1、第2の踏段チェーン5,25は、駆動装置2によって回転する上部スプロケット3によって駆動され、複数の踏段6を循環させる。
【0010】
図2はこの発明の乗客コンベアの要部を示す図1のI−I線に沿う矢視断面図である。また、図3は同じく乗客コンベアの要部を示す図2のII−II線に沿う矢視断面図である。図2及び図3において、踏段6の一側(図2の右側)の側部に第1の踏段チェーン5が配置されている。一方、踏段6の他側(図2の左側)の側部に第2の踏段チェーン25が配置されている。
【0011】
第1の踏段チェーン5は、チェーンリンク7と、隣接するチェーンリンク7を相互に連結するリンクピン8と、リンクピン8に軸着されたチェーンローラ9から構成されている。チェーンリンク7は、図3に示されるように、略細長薄板状をなし、両端部は半円形に角が落とされており、両端部の中央に連結穴が穿孔されている。そして、隣接するチェーンリンク7は、互いの端部に形成された連結穴を貫通するリンクピン8によって相互に回動自在に連結されている。
【0012】
複数のチェーンリンク7とこれらを連結するリンクピン8は、無端状に連結された無端状帯を構成している。そして、図2に示されるように、この2本(2枚)の無端状帯に挟まれてチェーンローラ9が配設されている。言い換えると、第1の踏段チェーン5は、チェーンリンク7とリンクピン8からなる無端状帯を、チェーンローラ9の両側部にそれぞれ1本(1枚)ずつ有している。
【0013】
チェーンローラ9は、図3に示されるように、略円板状を成し中央に穿孔された中心穴にリンクピン8を貫通させ、このリンクピン8によって回転自在に支持されている。チェーンローラ9は、チェーンリンク7の幅より大きな直径を有しており、外周部の一部がチェーンリンク7の上下から突出している。
【0014】
一組のチェーンリンク7、リンクピン8、及びチェーンローラ9を一節とした場合に、一つの踏段6に対して4節が連結されている。そのため、一つの踏段6の両側部には、各々4個のチェーンローラ9が配設されている。また、踏段6には、前部を横方向に貫通する踏段軸10が設けられている。踏段6の両側部に設けられた4個のチェーンローラ9のうち、1節目のチェーンローラ9に、踏段6を貫通した踏段軸10が、リンクピン8と軸芯を同一にして連結されている。
【0015】
踏段6及び左右の踏段チェーン5,25は、概略対称の構成を成している。そして、第2の踏段チェーン25は、概略第1の踏段チェーン5を左右反転させた構成を成すが、第2の踏段チェーン25のチェーンローラ19は、第1の踏段チェーン5のチェーンローラ9が有する摩耗防止板を有していない。摩耗防止板については、後で詳しく述べる。
【0016】
図2に示されるように、第1の踏段チェーン5のチェーンローラ9は、チェーンローラ9の支持軌道として設けられた上方に開口を形成する断面コ字型の案内レール12の内部を転動する。案内レール12は、主枠1に取り付けられた支持板14の上部側を、エスカレータの長手方向に沿って、上部乗場反転部から下部乗場反転部まで延びて架設され、第1の踏段チェーン5の負荷受け走行部を案内する。支持板14については後述する。一方、支持板14の下部側には、第1の踏段チェーン5の戻り走行部を案内する同じく断面コ字型の案内レール15が開口を上方に向けて架設されている。案内レール15は、エスカレータの主枠1の下部側をエスカレータの長手方向に沿って、上部乗場反転部から下部乗場反転部まで延びている。そして、案内レール12と案内レール15は、上下の反転部で所定の間隔を空けて重なっており、第1の踏段チェーン5は、この反転部で案内レール12から案内レール15に乗り換えて循環する。つまり、案内レール12と案内レール15は、共働動作をして第1の踏段チェーン5の無端の経路、すなわちループを構成している。
【0017】
一方、第2の踏段チェーン25のチェーンローラ19の軌道は、支持板14の上部側に設けられ第2の踏段チェーン25の負荷受け走行部を構成する断面L字型の補助レール13と、支持板14の上部側に設けられ戻り走行部を構成する同じく断面L字型の補助レール16とから構成されている。補助レール13と補助レール16は、案内レール12及び案内レール15と同じように、エスカレータの長手方向に沿って上下の反転部まで延設され、そして、この反転部で所定の間隔を空けて重なっている。補助内レール13と補助レール16は、共働動作をして第2の踏段チェーン25の無端の経路を構成している。
【0018】
支持板14には、さらに踏段6の後部両端部に設けられた追従ローラ11の軌道となる負荷受け走行部用の追従ローラレール17と戻り走行部用の追従ローラレール18が架設されている。
踏段6及び踏段6の両側部に設けられた第1,第2の踏段チェーン5,25は、主枠1の上部側において、案内レール12及び補助レール13に乗って反転部まで移動し、反転部で反転する際に、案内レール15及び補助レール16に乗り換えて主枠1の下部側をもどる。
【0019】
図3に沿って、主枠1のトラス構造を説明する。主枠1は、主枠1の上部側を構成するとともにエスカレータの長手方向に沿って延びる上弦材1bと、主枠1の下部側を構成するとともにエスカレータの長手方向に沿って延びる下弦材1cと、エスカレータの長手方向に所定の間隔を空けて設けられ、上弦材1bと下弦材1cとの間に垂直方向に架け渡されて設けられた縦枠1aとを有している。縦枠1aは、上下端を上弦材1bと下弦材1cに溶接されて固定されている。上弦材1b、下弦材1c及び縦枠1aから成る構造物が、エスカレータの左右に一対設けられている。
【0020】
複数のレールが架け渡される上述の支持板14は、各々の縦枠1aに片側を溶接されて固定され、他側を内側に延ばして取り付けられている。案内レール12,15、及び補助レール13,16は、複数の支持板14を渡るようにエスカレータの長手方向に延びて架設されている。
【0021】
図4は本実施の形態のチェーンローラ及び案内レール付近の詳細を示す拡大図である。チェーンローラ9の2つの主面には、摩耗防止手段として、フェノール樹脂等の耐摩耗性の良い材料で作製された摩耗防止板9aが貼着されている。第1の踏段チェーン5のチェーンローラ9は、上方に開口を形成する断面コ字型の案内レール12のコ字型内面で構成される案内溝12aの内部を転動する。そして、チェーンローラ9の外周面は、案内溝12aの底面(軌道面)12b上を転がる。底面12bの幅は、摩耗防止板9aを含むチェーンローラ9の幅より微小な間隔だけ広くされている。案内溝12aの両内側面12cは、底面12bの両端から垂直方向上方に延びて形成されている。そして、互いに向かい合う両内側面12cは、チェーンローラ9を挟み込んでこれを案内する2つの案内面を構成している。案内レール12は、例えば鋼板を断面コ字形に折り曲げて作製する。そして、案内面としての両内側面12cは、踏段6の左右方向の移動(揺れ)を可能な限り削減すべく精密に加工されている。尚、戻り走行部を成す案内レール15も案内レール12と同様な形状を成している。
【0022】
第2の踏段チェーン25のチェーンローラ19を支持する補助レール13においては、底面13aは、チェーンローラ19が左右に揺れながらこの上を走行しても、チェーンローラ19が断面L字形の立ち上がり部に接触することが無いように、また、立ち上がり部と反対側に脱線することが無いように十分に広い幅とされている。そして、補助レール13の底部厚さ、つまり補助レール13の裏面から底面(軌道面)13aまでの厚さH2は、案内レール12の底部厚さ、つまり案内レール12の裏面から底面(軌道面)12bまでの厚さH1と、同じ厚さとされている。
【0023】
このような構成の本実施の形態のエスカレータにおいては、第1、第2の踏段チェーン5,25は、踏段6の1段に対して、4本のチェーンリンク7と、隣接するチェーンリンク7を回動自在に連結するリンクピン8と、各々のリンクピン8に回転自在に軸着されたチェーンローラ9とを有し、案内レール12は、第1の踏段チェーン5のチェーンローラ9の軌道を構成するとともに、上方に開口を向けた断面形状が凹形状の案内溝12aを有し、この案内溝12a内にチェーンローラ9を転動させて、チェーンローラ9が軌道から脱線することを防止している。そして、1段の踏段6に対して複数のチェーンローラ9を有することにより、踏段6にかかる荷重を複数のチェーンローラ9に分散させることができるので、高強度で堅牢な案内レール12を必要とすることがない。また、1段の踏段6に対して片側に複数設けられたチェーンローラ9を、1本の案内レール12で案内するので、2本の案内レールで踏段の両側部に設けられたローラを案内するものに比べ、正確に且つ効率良く案内することができる。また、踏段6の左右方向の移動(揺れ)を複数のチェーンローラ9を介して規制するので、規制するため力が複数のチェーンローラ9に分散され、1つのチェーンローラ9にかかる荷重を減少させることができるので、チェーンローラ9の摩耗量を減らすことができる。
【0024】
さらに、第1の踏段チェーン5のチェーンローラ9を、進行方向に向かって左右方向の移動を規制しながら案内し、踏段6の左右方向の移動(揺れ)を規制するので、片側に設けられた案内レール12の左右方向の芯出し調整のみを精度良く実施すれば、踏段6の滑らかな運転を実現することができ、他側のチェーンローラ19の軌道となる補助レール13の芯出し調整を不要とすることができるので、芯出し調整作業時間の短縮を図ることができる。さらには、案内レール12と接触して摩耗するチェーンローラが、第1の踏段チェーン5のチェーンローラ9のみとなり、定期的なメンテナンスの際、チェーンローラ9のみ交換すればよく、コスト削減を図ることができる。
【0025】
また、案内溝12aは、断面形状が上方に開口を向けたコ字形をなし、第1の踏段チェーン5のチェーンローラ9の両側面をそれぞれ案内する2つの案内面12cを有ることで、踏段6の左右方向への移動量は、チェーンローラ9と案内レール12の対向する2つの案内面12cの寸法によって管理することができ、案内レール12とチェーンローラ9の製作寸法精度を高めることにより踏段6の左右方向への移動量を小さくすることができる。さらには、1段の踏段6に対して複数有するチェーンローラ9を、1本の案内レール12に設けられた1条の案内溝12aで案内するので、2本のレールで案内するものに比べ対向する案内面12cを近づけて形成することができ、進行方向に縦列する複数有するチェーンローラ9を正確に且つ効率良く案内することができる。
【0026】
さらに、第1の踏段チェーン5のチェーンローラ9の両側面に、耐摩耗性の良い材料で作製された摩耗防止板9aを設けたので、チェーンローラ9の幅方向の摩耗を少なくすることができ、経年的に踏段6の左右方向移動量を小さく抑えることができる。尚、摩耗防止手段は、摩耗防止板9aに限らず、例えば、電気メッキ等によってチェーンローラ9の表面に形成された摩耗防止層としてのニッケル層などでもよい。
【0027】
また、本実施の形態のエスカレータは、第2の踏段チェーン25のチェーンローラ19の軌道となる補助レール13を有し、案内レール12の軌道面12bの底部厚さH1と補助レール13の軌道面13aの底部厚さH2とが等しい。そのため、同じ高さの支持板14上に案内レール12と補助レール13を架設して、左右のチェーンローラ9,19の径を同じすることにより、踏段6を水平に保つことができ、作製が容易になると同時に据え付け作業が容易になるので、コストダウンを図ることができる。
【0028】
実施の形態2.
図5はこの発明の実施の形態2の乗客コンベアのチェーンローラ及び案内レール付近の詳細を示す拡大図である。本実施の形態の第1の踏段チェーン35のチェーンローラ29は、外周部29aが断面半円形状を成している。一方、このチェーンローラ29を案内する案内レール22は、鋼板を長手方向と直角方向に丸めて作製され、断面凹円弧状の案内面22aを有している。断面凹円弧状の案内面22aは、案内面であるとともに、上方に開口を向けた断面凹形状の案内溝を構成している。そして、案内面22aの半径Rは、チェーンローラ29の外周部29aの半径rより大きい。
【0029】
そして、案内レール22の底部厚さ、つまり案内レール22の裏面から案内面(軌道面)22aまでの厚さH3は、補助レール13の底部厚さ、つまり補助レール13の裏面から底面(軌道面)13aまでの厚さH2と、同じ厚さとされている。その他の構成は、実施の形態1と同様である。
【0030】
進行方向に向かって左右方向に動かそうとする力がチェーンローラ29に働き、チェーンローラ29がいずれかの曲面を上昇しようとすると、案内面22aが断面円弧状を成しているので、チェーンローラ29を案内面22aの中心に戻す力が生じる。チェーンローラ29は、この自動調芯作用力によって、軌道の中心線上を転動するように案内される。
【0031】
尚、本実施の形態においては、チェーンローラ29の外周部29aは、断面半円形状を成しているが、半円でなくとも円弧状の断面を持つものであれば、同様の効果を得ることができる。
【0032】
すなわち、このような構成の本実施の形態のエスカレータにおいては、第1の踏段チェーン35のチェーンローラ29は、断面凸円弧状の外周部29aを有し、案内レール22は、チェーンローラ29の断面凸円弧状の外周部29aを受け入れる断面凹円弧状の案内面22aを有するので、案内レール22は、第1の踏段チェーン35のチェーンローラ9を、進行方向に向かって左右方向の移動を規制しながら案内し、踏段6の左右方向の移動(揺れ)を削減することができるとともに、据え付け調整時においては、片側の案内レール22のみの左右方向の芯出し調整を精度良く行えばよく、他側のチェーンローラ19の軌道となる補助レール13の芯出し調整が不要となるので、芯出し調整作業時間の短縮を図ることができる。
【0033】
また、断面凹円弧状の案内面22aの半径Rは、第1の踏段チェーン35のチェーンローラ29の断面凸円弧状の外周部29aの半径rより大きい。そのため、チェーンローラ29は、自動調芯作用力によって常に軌道の中心線上を転動するように案内され、踏段6の左右方向の移動(揺れ)がさらに削減され、乗り心地が改善されてさらに性能の良いものとすることができる。
【0034】
最後に、実施の形態1及び2では、エスカレータの構造について記述したが、この発明は、エスカレータと同様の踏段チェーンを有する動く歩道についてもそのまま応用できることは明白である。
【0035】
【発明の効果】
この発明に係る乗客コンベアは、乗客を運ぶ踏段の両側部にそれぞれ設けられ踏段を無端状に連結する第1、第2の踏段チェーンと、踏段の姿勢をガイドする案内レールを設けた乗客コンベアにおいて、第1、第2の踏段チェーンは、踏段の1段に対して、複数設けられたチェーンリンクと、隣接するチェーンリンクを回動自在に連結するリンクピンと、各々のリンクピンに回転自在に軸着されたチェーンローラとを有し、案内レールは、第1の踏段チェーンのチェーンローラの軌道をなすとともに、上方に開口を向けた断面凹形状の案内溝を有し、案内溝内にチェーンローラを転動させて、チェーンローラが軌道から外れないよう案内する。そして、案内レールが、第1の踏段チェーンのチェーンローラを、進行方向に向かって左右方向に移動を規制しながら案内するので、踏段の左右方向の移動(揺れ)が削減される。また、据え付け調整時においては、片側に設けられた案内レールのみの芯出し調整を精度良く行えばよいこととなり、他側の補助レールの芯出し調整が不要となるので芯出し調整作業時間の短縮を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1の乗客コンベアの全体を示す概略図である。
【図2】この発明の実施の形態1の乗客コンベアの要部を示す図1のI−I線に沿う矢視断面図である。
【図3】この発明の実施の形態1の乗客コンベアの要部を示す図2のII−II線に沿う矢視断面図である。
【図4】実施の形態1のチェーンローラ及び案内レール付近の詳細を示す拡大図である。
【図5】この発明の実施の形態2の乗客コンベアのチェーンローラ及び案内レール付近の詳細を示す拡大図である。
【符号の説明】
1 主枠、2 駆動装置、3 上記スプロケット、4 下部スプロケット、5,35 第1の踏段チェーン、25 第2の踏段チェーン、6 踏段、7 チェーンリンク、8 リンクピン、9,19,29 チェーンローラ、9a 摩耗防止板、10 踏段軸、11 追従ローラ、12,15 案内レール、12a 案内溝、12b 底面(軌道面)、12c 案内面、13,16 補助レール、14 支持板、22 案内レール、22a 断面凹円弧状の案内面、29a 断面凸円弧状の外周部。
Claims (6)
- 乗客を運ぶ踏段の両側部にそれぞれ設けられ複数の該踏段を無端状に連結する第1、第2の踏段チェーンと、前記踏段の姿勢をガイドする案内レールを設けた乗客コンベアにおいて、
前記第1、第2の踏段チェーンは、前記踏段の1段に対して、複数設けられたチェーンリンクと、隣接する該チェーンリンクを回動自在に連結するリンクピンと、各々の該リンクピンに回転自在に軸着されたチェーンローラとを有し、
前記案内レールは、前記第1の踏段チェーンの前記チェーンローラの軌道をなすとともに、上方に開口を向けた断面凹形状の案内溝を有し、該案内溝内に該チェーンローラを転動させて、該チェーンローラが該軌道から外れないよう案内することを特徴とする乗客コンベア。 - 前記案内溝は、断面形状が上方に開口を向けたコ字形をなし、前記第1の踏段チェーンの前記チェーンローラの両側面をそれぞれ案内する2つの案内面を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の乗客コンベア。 - 前記第1の踏段チェーンの前記チェーンローラの両側面の前記案内面と接する部分に、耐摩耗性の良い材料で作製された摩耗防止板が設けられている
ことを特徴とする請求項2に記載の乗客コンベア。 - 前記第1の踏段チェーンの前記チェーンローラは、断面凸円弧状の外周部を有し、
前記案内溝は、前記チェーンローラの前記断面凸円弧状の外周部を受け入れる断面凹円弧状の案内面を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の乗客コンベア。 - 前記断面凹円弧状の案内面の半径は、前記第1の踏段チェーンの前記チェーンローラの前記断面凸円弧状の外周部の半径より大きい
ことを特徴とする請求項4に記載の乗客コンベア。 - 前記第2の踏段チェーンの前記チェーンローラの軌道となる補助レールをさらに有し、前記案内レールの軌道面の底部厚さと該補助レールの軌道面の底部厚さとが等しい
ことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の乗客コンベア。
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010100379A (ja) * | 2008-10-22 | 2010-05-06 | Hitachi Ltd | エスカレータのレール製造方法 |
CN106744226A (zh) * | 2015-11-19 | 2017-05-31 | 上海三菱电梯有限公司 | 带有梯级防跳机构的自动扶梯 |
WO2019167190A1 (ja) * | 2018-02-28 | 2019-09-06 | 三菱電機株式会社 | 乗客コンベア |
-
2002
- 2002-12-16 JP JP2002363717A patent/JP2004196434A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010100379A (ja) * | 2008-10-22 | 2010-05-06 | Hitachi Ltd | エスカレータのレール製造方法 |
CN106744226A (zh) * | 2015-11-19 | 2017-05-31 | 上海三菱电梯有限公司 | 带有梯级防跳机构的自动扶梯 |
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