JP2004191259A - 化学除染方法 - Google Patents

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Chiharu Maruki
千はる 丸木
Ichiro Inami
一郎 稲見
Hajime Hirasawa
肇 平沢
Hitoshi Sakai
仁志 酒井
Takeshi Kanezaki
健 金崎
Masami Toda
正見 遠田
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Abstract

【課題】除染対象を過不足なく除染することができ、しかも、その除染後の放射能再付着を抑制することができる。
【解決手段】除染対象の酸化還元により放射能を除染する化学除染方法であって、上記酸化還元の繰返し回数を上記除染対象の線量に応じて可変させる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は原子力発電所の例えば一次冷却水系機器、配管等の金属部材表面への化学除染後の放射能再付着を抑制する化学除染方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、原子力発電所においては炉水が配管内表面や機器等の金属部材表面を通水ないし接水する際に、この炉水中の放射能が金属部材表面の酸化皮膜中に取り込まれ、被ばく線源となる。化学除染はこの酸化被膜を取り除くことにより機器点検や工事における被ばくを著しく低減できる。
【0003】
そして、従来では、この化学除染が不十分である場合は目標の線量に低減するまで除染が継続される。一方、この除染効果が著しく高い場合は、過剰であっても除染が成功したと評価されてきた。しかし、除染効果が高く、著しく過剰な場合には、その過剰に化学除染された金属表面、特にステンレス鋼表面が最下層のクロム皮膜まで除去されてしまうために母材が露出してしまう。このために、再びプラントが運転されて、この露出した金属表面が再び放射能を含む高温水にさらされると新たな放射能を取り込んだ酸化被膜を生成することになる。
【0004】
この場合、次の定期検査に入ったとき除染前もしくはそれ以上の線量率を呈することがある。これの再付着を防止するために従来から電解研磨(例えば特許文献1参照)や表面酸化処理(例えば特許文献2参照)が提案されている。
【0005】
また、化学除染後に除染液中に過酸化水素等の酸化剤を添加して表面に酸化被膜を生成させ放射能再付着を抑制する提案(例えば特許文献3参照)もある。
【0006】
【特許文献1】
特開平8−62384号公報(段落番号[0017],[0022]、図1)
【0007】
【特許文献2】
特開平9−43393公報(段落番号[0015],[0031]、図1)
【0008】
【特許文献3】
特開2000−121791公報(段落番号[0020]、図1)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、事前に電解研磨を行なったり前酸化処理を施すには、一旦据え付けられた機器、配管に対しては適用が難しい。また、除染液中に酸化剤を添加する方法も供用中の機器、配管に対しては材料健全性上、酸化剤の濃度を高くできないという制約があるため効果が期待できない。いずれにせよ除染後に工程を追加することになるため、停止期間の延長、費用の増加は免れ得ないという課題がある。
【0010】
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、その目的は、除染対象を過不足なく除染することができ、しかも、その除染後の放射能再付着を抑制することができる化学除染方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は新たな後処理工程を追加することなく除染対象の機器や、配管に対して材料健全性を維持しつつ、効果的な放射能再付着を抑制するために行なわれる。例えば除染後も除染対象のステンレス鋼の最下層クロム皮膜を残して放射能再付着に対する防護皮膜とする。また、不完全な除染による除染対象の溶け残りは除染表面に凹凸を生じ、面積増が発生し、この面積増が放射能再付着を助長するため、除染を促進して溶け残りをなくし、除染の抑制と促進は除染条件を変化させることで対応する。
【0012】
すなわち、本願請求項1に係る発明は、除染対象の酸化還元により放射能を除染する化学除染方法において、上記酸化還元の繰返し回数を上記除染対象の線量に応じて可変させることを特徴とする化学除染方法である。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。なお、複数の添付図面中、同一または相当部分には同一符号を付している。
【0014】
図1は本発明の第1実施形態に係る化学除染方法を示すフローチャート、図2はこの化学除染方法により除染対象を還元する場合の除染系統1の構成を示すブロック図、図3はこの化学除染方法により除染対象を酸化する場合の除染系統1の酸化運転状態を示すブロック図である。
【0015】
図2,図3に示すように除染系統1は除染対象の一例である配管2の軸方向両端2a,2bに、図示しない原子炉系からの炉水を循環させるループ状の循環配管3の両端3a,3bを接続している。
【0016】
この循環配管3の途中には、その一端3aから他端3bに向けて分解装置4、循環ポンプ5、ヒータ6をそれぞれ介装し、ヒータ6にはその温度を制御するヒータ制御装置7を設けている。
【0017】
また、循環配管3には、分解装置4と循環ポンプ5との間にて、薬剤注入タンク8内に貯蔵されている例えばシュウ酸等の還元剤を含有する除染還元剤を循環配管3内に注入する薬剤注入ポンプ9を接続し、さらに、この注入ポンプ9と循環ポンプ5との間において、混床樹脂塔10およびカチオン樹脂11とを、直列に接続してなるフィルタバイパス路12を並列に接続している。フィルタバイパス路12の各分流点には図示しない流路切替弁をそれぞれ介装し、この流路切替弁の切替操作により循環配管3内の炉水をフィルタバイパス路12側へ分流させることができるようになっている。
【0018】
さらに、循環配管3には、ヒータ6と配管2の一端2bとの間にて、例えばオゾンガスを含有する酸化除染剤調整タンク13内に貯蔵されているオゾン等の酸化除染剤を循環配管3内に注入する酸化剤注入ポンプ14を接続している。この酸化剤注入ポンプ14にはその単位時間当りのポンプ回転数を制御して酸化剤注入量を制御する酸化剤注入制御装置15を電気的に接続している。
【0019】
また、図3に示すように循環配管3には循環ポンプ5と、カチオン樹脂塔10等のフィルタバイパス路12との間にて、酸化還元電位計16、ステンレス鋼(SUS)製配管の電位を測定するSUS電位計17およびPH測定計18とを直列に接続してなる測定バイパス路19を並列に接続している。
【0020】
そして、配管2には放射線量を測定するモニタ20を配設している。このモニタ20の測定箇所は配管2の複数箇所が望ましく、例えば配管2が原子炉再循環系(PLR)配管であれば、例えば水平部、垂直部、曲り部、途中の弁やポンプ等の機器表面が望ましい。
【0021】
図1はこれら除染系統1を使用して配管2の放射性核種を除去ないし低減させる場合の化学除染方法のフローチャートであり、図1中Sに数字を付した記号はフローチャートの各ステップをそれぞれ示している。
【0022】
図1では除染対象の一例として配管2を示しているが、この配管2は原子力発電所等において放射能を含む炉水を通水させる配管であり、除染対象としては配管2以外の放射能を含む炉水を通水させる種々の原子炉機器でもよい。
【0023】
次に、この化学除染方法の一例を図1から図3に基づいて説明する。
【0024】
図1に示すように、まずS1で、除染対象の配管2の線量をモニタ20により測定する。
【0025】
次のS2で、配管2の化学除染を開始する。この化学除染は配管2に、シュウ酸等の還元剤を含む炉水を通水させることにより、この配管2を還元することにより実施される。
【0026】
この還元工程は図2に示すように、まず、薬剤注入ポンプ9の運転により薬剤タンク8内のシュウ酸を含有する還元除染剤を循環配管3内の炉水に適量注入される。
【0027】
この循環配管3内の炉水は循環ポンプ5により循環配管3内を循環しているので、ヒータ6内を通水する際に加熱されて配管2内を通水する。この通水の際に炉水中のシュウ酸を含有する還元除染剤により配管2内表面が還元される。この還元工程により鉄主体の放射能を除去ないし低減することができる。したがって、鉄主体のクラッドにより放射能の大半を占めるプラントにとっては還元工程は重要である。
【0028】
この還元工程時に図示しない流路切替弁の切替操作により炉水をフィルタバイパス路12側へ通水させることにより炉水中の主にマイナスイオンのクロム(Cr)のクラッドを混床樹脂塔10により捕捉させて除去させる一方、主にプラスイオンの鉄(Fe)のクラッド(CRUD:Chalk River Unclassified Deposit(チョークリバー非分類堆積物=水あか))をカチオン樹脂塔11により捕捉除去させることができる。
【0029】
また、この還元工程時には酸化剤注入ポンプ14の運転は停止されており、炉水への酸化剤注入は停止されている。
【0030】
この後、S3では、モニタ20により配管2の線量を測定して監視(モニタリング)し、次のS4で配管2の除染係数DFを算出し、このDFが10以上に達しているか否かを判定すると共に、配管2からの放射能の放出が終了しているか否かを判定する。
【0031】
DFは除染効果の指標であって、除染前後の線量当量率の比を示す除染係数(Decontamination Factor:DF)である。したがって、DFが10以上40未満は配管2の線量当量率が除染前の10分の1(:DF10)から約40分の1(DF:40)に低減したことを示す。すなわち、配管2のDFが10以上40未満の範囲内にあるということは配管2の線量当量率αが除染前の10分の1以下で、かつ40分の1よりも大きい範囲(1/40<α<1/10)内にあることと等しい。DFの数値が大きい方が除染効果が高いことを示しており、図4の特性曲線A,Bに示すように除染サイクルの繰返し回数の増加に伴って除染係数(DF)が向上する。
【0032】
ここで特性曲線A,Bは、例えば所要の2つの原子炉プラントで計測したデータを示す。また、除染サイクルとは除染対象の酸化工程と還元工程の少なくとも一方、またはこれら両工程を1組の1工程として、その1工程をサイクルという。したがって、酸化工程と還元工程の少なくとも一方、またはこれら両工程を1組として1回行なうと、1除染サイクルとなる。
【0033】
このS4で判定された配管2のDFが10未満かつ放射能放出がまだ終了していない場合はS5へ進む一方、DFが40に達し、または予め設定した所定の目標DFに達した場合には除染を終了させるために、S6の浄化へ進む。
【0034】
S6の浄化では図2,図3で示す分解装置4を所定時間運転して循環配管3から炉水を分解装置4内に取り込み、炉水中のシュウ酸を分解剤により分解して除去し、炉水内にシュウ酸が残存することによる不都合の防止を図っており、次のS7で除染を終了させる。
【0035】
ところで、上記S5では、上記S2で実施した除染が不十分であると判断して除染第1サイクルとして配管2の還元工程を実施する。この還元工程は上記S2で実施した還元工程とほぼ同じであるが、予め設定されている還元時間と、還元剤の濃度,温度,単位時間当りの流速に従って実施される。還元剤の温度はヒータ制御装置7により制御され、還元剤の流速は循環ポンプ5の単位時間当りの回転数を制御することにより制御される。還元剤の濃度は循環配管3の炉水中に還元剤を注入する還元剤注入ポンプ9の注入量により制御される。
【0036】
この第1サイクルの還元時間の終了後は、再びS3で配管2の線量をモニタ20により測定して監視し、この後、再びS4でDFを算出し、再びDFが10以上に達したか否かと、配管2からの放射能の放出が終了しているか否かを再び判定する。DFが10以上に達していないが、配管2からの放射能の放出が終了している場合には、S8へ進み、ここで再び配管2の線量をモニタ20により測定し、次のS9で再び配管2のDFを算出し、再度DFが10以上に達しているか否かと、配管2からの放射能の放出が終了しているか否かを判定し、DFが10未満かつ放射能放出未終了の場合はS10へ進む一方、DFが40または目標DFに達した場合はS11の浄化へ進む。
【0037】
S11の浄化では、上記S6と同様の浄化を実施してS12で除染を終了させる。
【0038】
一方、S10では配管2の除染が不十分であると判断して、第2除染サイクルの酸化還元工程を予め設定されている酸化・還元時間と、酸化還元剤の濃度,温度,単位時間当りの流速に従って実施する。
【0039】
酸化工程では図2に示すように酸化剤調整タンク13からオゾンガスが酸化剤として注入ポンプ14により、循環配管3内を循環する炉水内に注入され、この酸化剤を含む炉水が配管2内が繰返し通水することにより酸化される。
【0040】
このオゾンガスの注入量は注入ポンプ14の単位時間当りの回転数を制御する酸化剤注入制御装置15により制御される。また、このオゾンガスを含有した炉水はヒータ6により所要温度に加熱されて温度制御され、配管2内を通水する炉水の流速は循環ポンプ5の単位時間当りの回転数により制御される。この酸化工程によれば、配管2等のステンレス鋼表面のクロム含有率の高い酸化皮膜を溶解することができる。この酸化皮膜には60Coを主体とする放射能がフェライトもしくはクロマイトとして多く取り込まれており、除染効果を左右する重要な工程である。しかし、一方でクロム酸化皮膜は強固な防食被膜でもあり、全て除去すると放射能の再付着が促進される虞がある。
【0041】
図5は酸化工程の一例として溶存オゾン水を用い、オゾン濃度1〜5ppmで液温を変化させたときの酸化クロムの溶解量を示したものである。図5で示すようにオゾン水溶液の温度80℃で酸化クロムの最大溶解量を示す。すなわちこのオゾン水溶液の温度を制御することにより酸化クロム層の溶解速度、すなわち、除染速度が制御可能となる。
【0042】
そして、この酸化工程を所定時間実施した後は上述した還元工程を再び所定時間実施して第2サイクル酸化・還元工程を終了させる。
【0043】
この第2サイクル酸化・還元工程が終了した後は再びS8で配管2の線量を測定し、S9でDFを再び算出し、DFが10に達したか否かを判定し、配管2の放射能の放出が終了したときには、S13で再び配管2の線量をモニタ20により測定して監視し、次のS14で再び配管2のDFを算出し、再びDFが10以上に達しているか否かを判定する。配管2のDFが10未満または目標DF未満であるときには、S15で第3サイクル酸化還元工程を、予め設定した酸化・還元時間と、酸化・還元剤の濃度,温度,流速に従って実施する。
【0044】
この後、再びS13で配管2の線量をモニタ20により測定し、再びS14で配管2のDFを算出し、DFが40以上または目標DF以上であると判断したときはS16で配管2を上記S6と同様に浄化し、S17で除染を終了させる。
【0045】
この化学除染方法によれば、配管2のDFが10以上40未満までの範囲内に納まるように配管2の線量をモニタ20によりモニタリングしつつ除染条件(除染サイクル、除染時間、除染剤濃度等)を制御するので、DFが10未満の除染不足と、DFが40以上の除染過剰による放射能の再付着を抑制することができる。
【0046】
図6は、配管2とほぼ同一組成のステンレス試験片の除染を2サイクルまでで終了した場合の放射能再付着率をC曲線により示し、3サイクルまで実施した場合の放射能再付着率をD曲線で示し、両者を比較して示している。この図6に示すように、除染を2サイクルで中止した場合の方が3サイクルまで実施した場合よりも放射能再付着率は少ない。これは過剰な除染はステンレス表層のクロム含有率の高い皮膜まで除去してしまうために放射能再付着が加速されたためである。
【0047】
そして、上記第1の実施形態に係る化学除染方法では、酸化工程と還元工程において酸化条件と還元条件を種々制御しているので、除染速度や除染効果を制御することができる。
【0048】
例えば、酸化温度や酸化剤の濃度等を制御することにより除染速度を制御することができる。
【0049】
また、この酸化剤がオゾン水溶液である場合には、酸化力の指標として酸化還元電位(ORP(mV))を常時監視することにより系統水中のオゾン濃度を迅速かつ高精度に検出することができる。
【0050】
すなわち、図7に示すように、酸化還元電位(ORP)は、系統水中のオゾン濃度変化に伴って迅速に変化するので、この酸化還元電位を常時監視することによりオゾン濃度を迅速に検出することができる。このORPは図3で示す酸化還元電位計16により検出することができる。また、炉水中のステンレス鋼配管の電位はSUS電位計17により検出され、炉水中のPHはPH測定計18により測定できる。
【0051】
また、この実施形態によれば、還元条件の一例として還元剤温度を制御するので、除染効果を制御することができる。
【0052】
例えば、図8に示すように、還元剤の一例である濃度が2000ppmのシュウ酸の液温を変化させることにより放射能の溶解量を制御することができ、液温が高いほど鉄主体の放射能を溶解する溶解量を増大させて除染効果を向上させることができる。
【0053】
さらに、本実施形態によれば、配管2の線量をモニタリングしつつ除染サイクルの除染時間を制御しているので、DFと線量当量率(mSv/h)を所要の目標値、例えば除染係数DFを10以上40未満、線量当量率を0.01mSv/h〜0.2mSv/hの範囲内に納めるように制御することができる。すなわち、除染効果の不足と過剰を共に防止することができる。
【0054】
図9はこの除染時間の一例としての酸化時間を配管2の線量をモニタリングしつつ制御することにより図中実曲線に示すように配管2の除染係数DFと線量当量率とを上記目標値内に納めることができる一方、酸化時間を制御しない場合には、図中破曲線により示すように配管2のDFと線量当量率が目標値から外れることを示している。
【0055】
さらにまた、図10に示すように本実施形態によれば、配管2の除染係数DFが10以上40未満の範囲内に納まるように除染工程を制御しているので、放射能再付着係数(cm/hr)を低減することができる。すなわち、図10に示すように、除染係数DFが10未満の場合には、放射能再付着係数が高い領域と低い領域とに多く分布し、ばらつきの幅が大きい。
【0056】
また、本実施形態によれば、図11に示すように、配管2を、その除染後の線量当量率(mSv/hr)が0.001〜0.2(mSv/hr)の範囲内に納まるように除染工程を制御しているので、放射能再付着係数(cm/hr)を低減することができる。
【0057】
なお、上記図1のS4,S9,S14で示すDF判定を例えばマイクロプロセッサ等からなる自動DF判定器により実行させるように構成してもよい。
【0058】
すなわち、自動DF判定器により配管2の除染の前後においてモニタ20から線量をそれぞれ読み出して除染係数DFを算出し、このDFが10以上40未満または目標DFに達するように除染サイクル数と除染条件を設定させるように構成してもよい。
【0059】
図12は本発明の第2の実施形態に係る化学除染方法を除染対象が複数ある原子力プラントに適用した場合の除染系統21の構成を示している。
【0060】
この除染系統21は原子炉圧力容器22の主に炉心シュラウドと原子炉再循環系23とを除染するものであり、原子炉圧力容器22内の炉水をその底部から外部に取水して再び原子炉圧力容器22内へ頭部から戻す第1の循環配管24を配設している。
【0061】
この第1の循環配管24は、その途中に、原子炉圧力容器22の下底部の炉水の取水側端部を2股の分岐管24a,24bに構成し、これら各2股分岐管24a,24bの途中には、その取水側から戻し側に向けて第1循環ポンプ25、ヒータ26、クーラ27、開閉弁28をそれぞれ介装し、さらに各循環ポンプ25の上流側と下流側とには一対のポンプ開閉弁29a,29bをそれぞれ介装している。また、これら2股分岐管24a,24bの戻し側端部は1本に連結されてから、その途中に、分解装置30とオゾン注入装置31とを介装し、原子炉圧力容器22内の炉水を第1の循環配管24により循環させるように構成されている。オゾン注入装置31にはオゾン発生装置32をオゾン注入管33を介して接続している。
【0062】
また、除染系統21は原子炉圧力容器22の下底部には原子炉圧力容器22内の炉水を原子炉圧力容器22外に取り出し、上記第1の循環配管24を介して再び原子炉圧力容器22の頭部へ戻す第2の循環配管34の一端を接続している。
【0063】
この第2の循環配管34の途中には、その取水上流側から下流側に向けて開閉弁35、第2循環ポンプ36をそれぞれ介装し、その先端部を2股に分岐する2股分岐管34a,34bにそれぞれ構成し、これら各分岐管34a,34bの各先端を上記第1の循環配管24の各分岐管24a,24bの上流端部に連結し、これら各分岐管34a,34bにはカチオン樹脂塔37、混床樹脂塔38をそれぞれ介装している。なお、図12中、符号39は気体処理装置である。
【0064】
この除染系統21により炉内全系除染のような大規模除染を実施する場合は第1,第2の循環ポンプ25,36と共に各原子炉再循環ポンプ39,39を運転する場合がある。この場合は酸化,還元除染剤が高流速で各原子炉再循環系統配管40内に通水され、除染されるために除染係数DFが例えば40を超えるような除染効果が過大になり過ぎることが懸念される。
【0065】
そこで、この除染系統21では酸化剤の一例としてオゾンを使用している。図13に示すようにオゾンは、その注入点から距離的に遠くなるに従ってオゾンが大きく減衰する自己分解特性があるので、この特性を利用することにより除染効果を制御することができる。
【0066】
すなわち、オゾン発生装置32からのオゾンをオゾン注入装置31により原子炉圧力容器22内へ、その頭部から注入すると、そのオゾン注入箇所近傍の原子炉圧力容器22の酸化皮膜をオゾンの強力な酸化力により大幅に除去できる。しかし、オゾン注入箇所から遠い原子炉再循環系統配管40においてはオゾン濃度が自己分解により漸次低下するので、酸化力が原子炉圧力容器22内よりも緩和され、除染係数DFを40以内に納めるように除染することができる。
【0067】
すなわち、除染対象が原子炉圧力容器22と原子炉再循環系統配管40の複数ある場合、オゾン注入箇所よりも遠い箇所にある原子炉再循環系統配管40のみを選択的に所要のDF値内に納めるように除染を制御することができる。
【0068】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、除染対象の放射能を除染する酸化還元工程の繰返し回数(サイクル)を除染対象の線量に応じて変えるので、除染効果を所要の目標値内に納めることができる。このために除染後の除染対象の金属表面への放射能の再付着を抑制し、被曝を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る化学除染方法のフローチャート。
【図2】図1で示す化学除染方法により運転される除染系統の一例を還元運転する場合の当該除染系統の構成を示すブロック図。
【図3】図2で示す除染系統を酸化運転する場合の当該除染系統の構成を示すブロック図。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る除染サイクル(回数)と除染係数(DF)との相対関係を示すグラフ。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る酸化工程におけるオゾン水溶液の酸化温度とクロム酸(Cr)溶解量との相対関係を示すグラフ。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る除染サイクル数と試験片表面への放射能再付着率(相対値)との相対関係を示すグラフ。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る酸化工程におけるオゾン濃度と酸化還元電位(ORP)との相対関係を示すグラフ。
【図8】本発明の第1の実施形態に係る還元除染温度と放射能溶解量との相対関係を示すグラフ。
【図9】本発明の第1の実施形態により除染時間を制御する場合と制御しない場合の除染係数DFと線量当量率とを比較して示すグラフ。
【図10】本発明の第1の実施形態に係る除染係数と再付着係数(cm/hr)との相対関係を示すグラフ。
【図11】本発明の第1の実施形態に係る除染後の線量当量率と放射能再付着係数との相対関係を示すグラフ。
【図12】本発明の第2の実施形態に係る除染系統の構成を示すブロック図。
【図13】図12で示す実施形態に係るオゾン注入口(箇所)からの距離(m)とオゾン減衰割合(%)との相対関係を示すグラフ。
【符号の説明】
1 除染系統
2 配管(除染対象)
3 循環配管
4 分解槽
5 循環ポンプ
6 ヒータ
7 ヒータ制御装置
8 薬剤タンク
9 薬剤注入ポンプ
10 混床樹脂塔
11 カチオン樹脂塔
12 フィルタバイパス路
13 酸化剤調整タンク
14 酸化剤注入ポンプ
15 酸化剤注入制御装置
16 酸化還元電位計
17 SUS電位計
18 PH測定計
19 測定バイパス路
20 モニタ
21 除染系統
22 原子炉圧力容器
23 原子炉再循環系
24 第1の循環配管
25 第1の循環ポンプ
26 ヒータ
27 クーラ
30 分解装置
31 オゾン注入装置
32 オゾン発生装置
34 第2の循環配管
37 カチオン樹脂塔
38 混床樹脂塔
39 再循環ポンプ
40 原子炉再循環系配管

Claims (7)

  1. 除染対象の酸化還元により放射能を除染する化学除染方法において、
    上記酸化還元の繰返し回数を上記除染対象の線量に応じて可変させることを特徴とする化学除染方法。
  2. 上記酸化還元工程における酸化時間、酸化剤濃度、酸化剤温度、酸化剤流速の少なくともいずれかの酸化条件を上記除染対象の線量に応じて可変とすることを特徴とする請求項1記載の化学除染方法。
  3. 上記酸化還元工程における還元時間、還元剤濃度、還元剤温度、還元剤流速の少なくともいずれかの還元条件を上記除染対象の線量に応じて可変とすることを特徴とする請求項1または2記載の化学除染方法。
  4. 上記酸化還元工程の繰返し回数、上記酸化条件、上記還元条件の少なくともいずれかを、上記除染対象の線量当量率が除染前の10分の1以下で、かつ40分の1よりも大きい範囲内まで低下するように設定していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の化学除染方法。
  5. 上記酸化還元工程の繰返し回数、上記酸化条件、上記還元条件の少なくともいずれかを、上記除染対象の除染後の配管線量当量率が0.01mSv/hないし0.2mSv/hの範囲内まで低下するように設定していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の化学除染方法。
  6. 上記除染対象は、系統水が通水する複数の系統であり、これら系統のうち所要の系統のみの線量当量率が上記線量当量率の範囲内まで選択的に低下するように酸化剤を選定していることを特徴とする請求項4または5記載の化学除染方法。
  7. 上記酸化条件を、酸化剤を含む系統水の酸化還元電位に基づいて制御することを特徴とする請求項2記載の化学除染方法。
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