JP2004189117A - 車両旋回状態制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】車両の旋回状態を、右旋回時にも左旋回時にも同様に評価し得、車両の旋回状態を適切に制御し得るようにする。
【解決手段】第1評価値演算部54において、規範ヨーレイトγ*から推定ヨーレイトγ′を引いた偏差と規範ヨーレイトγ*との積の値に基づいて第1評価値が求められる。第2評価値演算部56においては、規範ヨーレイトγ*から実ヨーレイトγを引いた偏差と規範ヨーレイトγ*との積の値に基づいて第2評価値が求められる。アクチュエータ指令値演算部58においては、これら第1評価値と第2評価値とに基づいて総合評価値が求められ、総合評価値に基づいてサスペンション制御アクチュエータ40への制御指令値が作成される。総合評価値によれば、車両の旋回状態を、右旋回時にも左旋回時にも同様に評価し得、その総合評価値に基づけば旋回状態を適切に制御し得る。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、車両の旋回状態を制御する車両旋回状態制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
特許文献1〜4には、車両旋回状態制御装置の一例が記載されている。そのうちの特許文献1には、車両の旋回状態量の目標値と推定値との偏差に基づいて車両の旋回状態を制御する車両旋回状態制御装置が記載されている。
【0003】
【特許文献1】
特開平9−249145号公報
【特許文献2】
特開2002−114140号公報
【特許文献3】
特開平5−319053号公報
【特許文献4】
特公平7−17134号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題、課題解決手段および効果】
本発明の課題は、車両旋回状態制御装置を改善することであり、例えば、右旋回時にも左旋回時にも車両の旋回状態を同様に(同じ符号で)評価し得、その評価された結果に基づいて旋回状態を適切に制御し得るようにすることである。この課題は、車両旋回状態制御装置を下記各態様の構成のものとすることによって解決される。各態様は、請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまで、本明細書に記載の技術の理解を容易にするためであり、本明細書に記載の技術的特徴およびそれらの組み合わせが以下の各項に限定されると解釈されるべきではない。また、1つの項に複数の事項が記載されている場合、常に、すべての事項を一緒に採用しなければならないものではなく、一部の事項のみを取り出して採用することも可能である。
【0005】
以下の各項のうち、(1)項が請求項1に対応し、(4)項,(5)項が請求項2,3に対応し、(6)項,(8)項が請求項4,5に対応する。
【0006】
(1)車両の旋回状態を推定して、推定旋回状態量を取得する推定旋回状態量取得装置と、
車両の規範とすべき旋回状態量を取得する規範旋回状態量取得装置と、
その規範旋回状態量取得装置によって取得された規範旋回状態量と前記推定旋回状態量取得装置によって取得された推定旋回状態量との差と、それら規範旋回状態量と推定旋回状態量とのいずれか一方との積の値に基づいて、前記車両の旋回状態を制御する旋回状態制御装置と
を含むことを特徴とする車両旋回状態制御装置。
本項に記載の車両旋回状態制御装置においては、車両の旋回状態が規範旋回状態量と推定旋回状態量との差と、それらのいずれか一方との積の値に基づいて制御される。
規範旋回状態量は、車両の規範とすべき旋回状態量であり、例えば、車両の理想とする旋回状態量としたり、運転者の所望する旋回状態量としたりすることができる。
推定旋回状態量は、例えば、車両をモデル化した場合のそのモデルの旋回状態量とすることができる。
そのため、車両がそのモデル通りの挙動をした場合には、実際の旋回状態量と推定旋回状態量とはほぼ一致する(ただし、モデルの誤差等に起因する差は生じる)。しかし、実際には車両はモデル通りに挙動するとは限らず、操舵過渡状態にある場合には、車両の実際の挙動がモデルの挙動に対して遅れることがある。この操舵過渡状態において、車両の旋回状態量が実際に変化する前に推定旋回状態量が変化することになる。したがって、推定旋回状態量を使用して制御が行われる場合には、実旋回状態量を使用する場合に比較して、応答性を向上させ、操舵過渡特性を向上させることができる。
このように、実旋回状態量ではなく推定旋回状態量が使用されるため、本項に記載の旋回状態制御装置をフィードフォワード制御装置と称することができる。車両の旋回状態量は、例えば、ヨーレイト、横力、横加速度、横速度、車輪の舵角等、または、これらのうちの2つ以上の組み合わせ、または、これらのうちの少なくとも1つと車速との組み合わせ等で表すことができる。
車両の旋回状態量は大きさのみならず向きを有する。そのため、規範旋回状態量から推定旋回状態量を引いた値(以下、偏差と称する。後述する規範旋回状態量から実旋回状態量を引いた値も同様に偏差と称する)は、車両が右旋回している場合と左旋回している場合とで、同じ旋回状態に対して符号が逆になり、旋回方向を考慮に入れない限り、偏差に基づいて旋回状態を正しく評価することができない。それに対して、偏差と規範旋回状態量と推定旋回状態量とのいずれか一方の値との積は、車両が右旋回している場合にも左旋回している場合にも、同じ旋回状態に対して符号が同じになる。したがって、偏差と、規範旋回状態量と推定旋回状態量とのいずれか一方の値との積に基づけば、車両の旋回状態を正しく評価することができ、その評価結果に基づけば、車両の旋回状態を適切に制御することができる。具体的な態様については後述する。
旋回状態制御装置は、車両のサスペンション装置を制御するものとしたり、ステアリング装置を制御するものとしたりすることができ、そのいずれとするかに応じて、サスペンション制御装置と称したり、ステアリング制御装置と称したりすることができる。具体的には、サスペンション装置を制御する場合において、ショックアブソーバの減衰特性(例えば、減衰係数で表すことができる)を制御するものとしたり、スタビライザバーのみかけ上の剛性を制御するものとしたりすること等ができ、ステアリング装置を制御する場合において、後輪舵角を制御するものとしたり、前輪舵角を制御するものとしたりすること等ができる。
(2)前記旋回状態制御装置が、前記規範旋回状態量と前記推定旋回状態量との差と、それらのいずれか一方との積を含む旋回状態評価関数に基づいて車両の旋回状態を評価する旋回状態評価部を含む(1)項に記載の車両旋回状態制御装置。
旋回状態評価関数は、規範旋回状態量と推定旋回状態量との差と、規範旋回状態量と推定旋回状態量とのいずれか一方との積を含む関数である。
例えば、規範旋回状態量と推定旋回状態量とが車両2自由度モデルに基づいて取得され、その規範旋回状態量を取得するためのモデルが推定旋回状態量のモデルより、ヨー慣性モーメントが小さいモデルとされた場合において、旋回状態評価関数が、式
旋回状態評価値=(規範旋回状態量−推定旋回状態量)×規範旋回状態量
で表される関数とされた場合について考える。
旋回状態評価値、すなわち、関数の演算値の符号が正である場合には車両の旋回状態が右旋回時であっても左旋回時であっても、「規範旋回状態量の絶対値の方が推定旋回状態量の絶対値より大きい状態」にあると評価し、符号が負である場合には「規範旋回状態量の絶対値の方が推定旋回状態量の絶対値より小さい状態」にあると評価することができる。
演算値の符号が正の状態は、例えば、舵角の絶対値を増加させる向きの操舵(旋回半径を小さくする向きの操舵、旋回状態を強くする向きの操舵と称することもできる)が行われている場合に生じる。この意味において、この状態を回頭状態と称することができる。また、演算値の符号が負の状態は、例えば、舵角の絶対値を減少させる向きの操舵(換言すれば、旋回半径を大きくする向きの操舵、直進状態に戻す向きの操舵と称することもできる)が行われている場合に生じる。この意味において、この状態を収束状態と称することができる。
さらに、演算値の絶対値が大きい場合は小さい場合より相対的に規範旋回状態量と推定旋回状態量との差の絶対値が大きいと考えることができる。演算値の絶対値が大きい場合は小さい場合より、上述の回頭状態や収束状態の程度が大きい旋回状態にあると評価することができる。
(3)前記規範旋回状態量取得装置が、前記車両のモデルに基づいて前記規範旋回状態量を取得するモデル対応規範旋回状態量取得部を含む(1)項または(2)項に記載の車両旋回状態制御装置。
車両モデルに基づいて旋回状態量が取得されるようにすれば、車両の運動理論に基づいた制御系を設計することが可能となる。また、モデル自体を変更することにより、制御状態を自由に変更することができる。さらに、モデルにおけるパラメータ等を変更することによっても制御状態を変更することが可能である。
推定旋回状態量取得装置についても同様に車両のモデルに基づいて推定旋回状態量を取得するモデル対応推定旋回状態量取得部を含むものとすることができる。
なお、規範旋回状態量を取得する際の車両モデル(規範用車両モデルと称することができる)と推定旋回状態量を取得する際の車両モデル(推定用車両モデルと称することができる)とは、用いる式が同じで定数の値のみが異なるものとしても、式自体が互いに異なるものとしてもよい。また、規範用車両モデルを推定用車両モデルより、応答性が良好なモデルとすることができるが、そのようにすることは不可欠ではない。
【0007】
(4)車両の旋回状態を推定して、推定旋回状態量を取得する推定旋回状態量取得装置と、
車両の実際の旋回状態を検出する実旋回状態量検出装置と、
車両の規範とすべき旋回状態量を取得する規範旋回状態量取得装置と、
(a)前記規範旋回状態量取得装置によって取得された規範旋回状態量と前記推定旋回状態量取得装置によって取得された推定旋回状態量との差と、それら規範旋回状態量と推定旋回状態量とのいずれか一方との積で決まる前記車両の旋回状態の評価値である第1評価値と、(b)その規範旋回状態量取得装置によって取得された規範旋回状態量と前記実旋回状態量検出装置によって検出された実旋回状態量との差と、それら規範旋回状態量と実旋回状態量とのいずれか一方との積で決まる前記車両の旋回状態の評価値である第2評価値とに基づいて、前記車両の旋回状態を制御する旋回状態制御装置と
を含むことを特徴とする車両旋回状態制御装置。
本項に記載の車両旋回状態制御装置においては、車両の旋回状態が、第1評価値と第2評価値との両方に基づいて制御される。
第1評価値は、推定旋回状態量に基づいて決まる値であるためフィードフォワード評価値と称することができ、第2評価値は、実旋回状態量に基づいて決まる値であるためフィードバック評価値と称することができる。
これらフィードバック評価値、フィードフォワード評価値は、それぞれ、上述の積の値に基づいて決まる値であるが、積の値そのものとしたり、積の値に定数を掛けた値としたり、積の値に基づいて旋回状態を評価した結果の値としたりすることができる。例えば、積の値の符号を表す値(例えば、符号が正で、回頭状態にあると評価された場合に+1とし、符号が負で、収束状態にあると評価された場合に−1とする)を採用することもできる。
このように、フィードバック評価値とフィードフォワード評価値との両方に基づいて旋回状態が制御される場合には、フィードバック評価値のみに基づいて制御される場合に比較して、応答性を向上させることができる。
また、推定旋回状態量取得装置がモデルに基づいて推定旋回状態量を取得するものである場合において、フィードフォワード評価値のみに基づく制御が行われる場合には、モデルの誤差等に起因して制御精度が低下することがある。それに対して、フィードバック評価値も考慮されるようにすれば、そのモデルの誤差等に起因する制御精度の低下を抑制することができる。
本項に記載の車両旋回状態制御装置には、(1)項ないし(3)項のいずれかに記載の技術的特徴を採用することができる。
(5)前記旋回状態制御装置が、(a)前記第1評価値と第2評価値との比率を決定する比率決定部と、(b)その比率決定部によって決定された比率と第1評価値と第2評価値とに基づいて、前記車両の旋回状態を制御する比率対応制御部とを含む(4)項に記載の車両旋回状態制御装置。
第1評価値と第2評価値とに基づいて車両の旋回状態が制御される場合において、第1評価値と第2評価値との比率が比率決定部によって決定される。そのため、第1評価値を重視した制御が行われるようにしたり、第2評価値を重視した制御が行われるようにしたりすることができる。
比率は、設計段階において決定することができる。また、車両の走行中は、その設計段階において決められた、その一定の値とすることができるが、車両の状態等に基づいて決められた値とすれば、より適切に旋回状態を制御することができる。また、比率(例えば、第2評価値の第1評価値に対する比率γ)は0または1とすることもできる。
比率は、例えば、当該車両旋回状態制御装置の状態、運転者の要求、車両の置かれた環境、車両の走行状態等、または、これらのうちの2つ以上の組み合わせに基づいて決定することができる。
車両旋回状態制御装置の状態には、例えば、実旋回状態量検出装置、推定旋回状態量取得装置が正常であるか異常であるかの状態等が該当する。運転者の要求は、応答性を重視した制御を望むか、安定性を重視した制御を望むか等が該当し、運転者の要求は、例えば、車両に設けられた指示部材の操作状態に基づいて取得することができる。車両のおかれた環境には、車両が走行する路面の状態、横風等の外乱の状態等が該当する。路面の状態は、路面の摩擦係数が高いか低いかで表したり、路面の摩擦係数の値自体で表したり、凹凸の大小、頻度等で表したりすることができる。車両の走行状態は、走行速度、ヨーレイト、横加速度、舵角等で表すことができる。走行状態は、また、実旋回状態量検出装置によって実旋回状態量を精度よく検出できる状態であるか否か、推定旋回状態量取得装置によって旋回状態量を精度よく推定できるか否か等で表すこともできる。
また、第2評価値を考慮したり、考慮しなかったりする(例えば、上述の比率γを0としたり、0より大きい値としたりする)ことができる。第2評価値を考慮すれば、前述のように、車両モデルを使用する場合におけるそのモデルの誤差の補償が可能であるが、逆に、第2評価値を考慮することによって、システムが不安定になることがある。このような事情を考慮して比率を決定することもできる。
(6)前記比率決定部が、前記実旋回状態量検出装置に異常が生じた場合に、前記第2評価値の前記第1評価値に対する比率を0とする検出装置異常時比率決定部を含む(5)項に記載の車両旋回状態制御装置。
本項に記載の車両旋回状態制御装置においては、実旋回状態量検出装置に異常が生じた場合に、第2評価値の第1評価値に対する比率γが0にされる。実旋回状態量検出装置が異常である場合には、実旋回状態量を検出することができなかったり、検出精度が低下したりするため、第2評価値に基づいて旋回制御が行われることは望ましくないからである。
(7)前記実旋回状態量検出装置の異常を検出する実旋回状態量異常検出装置を含む(6)項に記載の車両旋回状態制御装置。
(8)前記比率決定部が、前記車両が走行する路面の摩擦係数が低い場合は高い場合より、前記第2評価値の前記第1評価値に対する比率を大きくする路面μ対応比率決定部を含む(5)項ないし(7)項のいずれか1つに記載の車両旋回状態制御装置。
本項に記載の車両旋回状態制御装置においては、路面μが低い場合は高い場合より第2評価値が重視される。
路面μが低い場合は、車両の旋回状態の推定精度が低下する。そのため、第1評価値の比率を小さくすることは妥当なことである。第1評価値の比率を小さくすることは第2評価値の比率を大きくすることに対応する。
(9)前記車両が走行する路面の状態を取得する路面状態取得装置を含む(4)項ないし(8)項に記載の車両旋回状態制御装置。
路面状態取得装置は、路面の摩擦係数に関連する摩擦係数関連情報を取得する路面μ関連情報取得装置を含むものとしたり、路面の凹凸に関連する凹凸状態関連情報を検出する凹凸状態関連情報取得装置を含むものとしたりすることができる。路面μ関連情報取得装置は、路面の摩擦係数の値自体を取得するものとしたり、摩擦係数が低いか高いかを取得するものとしたりすること等ができる。凹凸状態関連情報取得装置は、凹凸の大きさおよび頻度で表される路面の状態が予め定められた設定状態より悪いか否かを取得するもの(例えば、悪路であるか否かを取得するもの)としたり、その凹凸の程度を表す情報を取得するものとしたりすることができる。悪路である場合にも、実旋回状態量が重視された制御が行われることが望ましい。
(10)前記旋回状態制御装置が、前記第1評価値と第2評価値とに基づいて前記車両の旋回状態を総合的に評価する旋回状態総合評価部を含む(4)項ないし(9)項のいずれか1つに記載の車両旋回状態制御装置。
本項に記載の車両旋回状態制御装置においては、フィードフォワード評価値とフィードバック評価値とに基づいて車両の旋回状態が総合的に評価される。
例えば、フィードフォワード評価値、フィードバック評価値をそれぞれTFF、TFBで表した場合に、総合評価値Tを式、
T=KFF・TFF+KFB・TFB・・・・(1)
で演算される値とすることができる。
ここで、例えば、値KFFを(0≦KFF≦1)の値とし、値KFBを(1−KFF)の値とした場合において、値KFFが0.5より大きい場合は、フィードフォワード評価値がフィードバック評価値より重視されて総合評価値が決定されることになり、0.5より小さい場合は、フィードバック評価値の方が重視されることになる。これら値KFF,KFBは、制御ゲインと称したり、評価比率または制御比率と称したりすることができる。
なお、和が1になるように、これら制御ゲインKFF,KFBの値を決定することは不可欠ではない。
また、値(KFF・TFF)、値(KFB・TFB)をそれぞれフィードフォワード評価値、フィードバック評価値とすることもできる。
(11)前記旋回状態制御装置が、前記実旋回状態量検出装置に異常が生じた場合に、前記第2評価値に基づかないで、前記第1評価値に基づいて前記車両の旋回状態を制御する検出装置異常時旋回状態制御部を含む(4)項ないし(10)項のいずれか1つに記載の車両旋回状態制御装置。
本項に記載の車両旋回状態制御装置においては、実旋回状態量検出装置に異常が生じた場合に、第2評価値に基づかないで第1評価値に基づいて旋回状態が制御される。例えば、上述の(1)式に従って求められた総合評価値Tに基づいて旋回状態が制御される場合には、制御ゲインKFBが0にされることに対応する。また、前述の比率γが0にされることに対応する。
逆に、推定旋回状態量取得装置に異常が生じた場合に、第1評価値に基づかないで第2評価値に基づいて旋回状態が制御されるようにすることができる。この場合には、制御ゲインKFFが0にされることに対応する。
(12)前記旋回状態制御装置が、(a)前記第1評価値と前記第2評価値とに基づいて決まる前記車両の旋回状態の総合的な評価値である総合評価値に基づいて前記車両の旋回状態を制御する総合的旋回状態制御部と、(b)前記車両が走行する路面の摩擦係数が低い場合は高い場合より、前記第2評価値の前記第1評価値に対する比率を大きくして前記総合評価値を決定する路面μ対応総合的旋回状態評価部とを含む(4)項ないし(11)項のいずれか1つに記載の車両旋回状態制御装置。
本項に記載の車両旋回状態制御装置においては、路面μが低い場合は高い場合より第2評価値が重視される。
前述の(1)式に従って総合評価値Tが求められる場合には、路面μが低い場合はそれ以外の場合より制御ゲインKFBを大きくしたり、制御ゲインKFFを小さくしたりすることによって実現することができる。また、前述の比率γが大きくされることに対応する。いずれにしても、本項に記載の車両旋回状態制御装置によれば、車両の旋回状態を路面μを考慮して制御することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態である車両旋回状態制御装置としてのサスペンション制御装置について図面に基づいて詳細に説明する。
図2において、サスペンションECU10は、コンピュータを主体とするものであり、CPU12,RAM14,ROM16,I/O18等を含む。ROM16には、図4のグラフで表される減衰力配分比率決定テーブル、図5のフローチャートで表される減衰係数制御プログラム等が記憶されている。
I/O18には、前輪の舵角を検出する前輪舵角検出装置20,車両の走行速度を検出する走行速度検出装置22,ヨーレイト検出装置24,路面μ検出装置26等が接続されるとともに、各車輪毎に設けられたショックアブソーバの減衰特性としての減衰係数をそれぞれ調節可能な減衰係数調節部30〜36が接続される。路面μ検出装置26は、車両が走行している路面が低μ路であることを検出するものであり、例えば、車輪のスリップが大きいことが検出された場合に低μ路を走行中であるとするものとしたり、路面表面状態検出部によって路面の表面が濡れていること、氷雪路であることが検出された場合等に低μ路であるとするものとしたりすることができる。減衰係数調節部30〜36は、ショックアブソーバの減衰係数を複数段階に変更可能なものであっても、連続的に変更可能なものであってもよい。これら減衰係数調節部30〜36をサスペンション制御アクチュエータ40と称する。
サスペンションECU10は、図1に示すように、推定ヨーレイト演算部50,規範ヨーレイト演算部52,第1評価値演算部54,第2評価値演算部56,アクチュエータ指令値演算部(ロールダンピング配分制御部)58等を含む。
【0009】
推定ヨーレイト演算部50,規範ヨーレイト演算部52は、車両のモデルに基づいて推定ヨーレイトγ′、規範ヨーレイトγ*をそれぞれ取得する。本実施形態においては、いずれにおいても線形2自由度モデルが使用される。推定車両モデルに基づいて推定ヨーレイトγ′が取得され、規範車両モデルに基づいて規範ヨーレイトγ*が取得される。2自由度モデルは、次式で表される。
mV(dβ/dt+γ)=−2Kf・Δf−2Kr・Δr
Idγ/dt=−2Kf・Δf・Lf+2Kr・Δr・Lr
ただし、
Δf=β+γ・Lf/V−δ
Δr=β−γ・Lr/V
である。
また、各パラメータは以下の通りである。
m:車両質量、V:車速、β:重心点横すべり角、γ:ヨーレイト、δ:前輪舵角、I:車両ヨー慣性モーメント、Kf,Kr:フロント、リヤ等価コーナリングパワー、Lf,Lr:フロント、リヤ車軸・重心間距離
上述の各パラメータのうち、V,δは走行速度検出装置22,前輪舵角検出装置24によってそれぞれ検出され、m、Kf,Kr、Lf,Lrは、その車両について実測により予め求められる。本実施形態においては、推定車両モデルと規範車両モデルとで、車両ヨー慣性モーメントIが異なる値とされ、その他のパラメータは同じ値とされる。車両ヨー慣性モーメントIは、推定車両モデルにおいては、車両について実測された値が使用され、規範車両モデルにおいては実測値より小さい値(推定車両モデルにおける場合より小さい値)が採用される。
【0010】
第1評価値演算部54は、旋回状態評価関数
TFF=(γ*−γ′)・γ*・KFF
に基づいて第1評価値TFFを取得するものであり、第2評価値演算部56は、旋回状態評価関数
TFB=(γ*−γ)・γ*・KFB
に基づいて第2評価値TFBを取得するものである。
ここで、γは実ヨーレイトであり、KFF、KFBは制御ゲインである。また、第1評価値TFF、第2評価値TFBは、それぞれ、推定ヨーレイトγ′、実ヨーレイトγに基づいて求められる値であるため、フィードフォワード評価値、フィードバック評価値と称することができる。
【0011】
ヨーレイトは、向きおよび大きさを有するものであり、本実施形態においては、左旋回時に正の値、右旋回時に負の値をとる。そのため、規範ヨーレイトγ*から推定ヨーレイトγ′や実ヨーレイトγを引いて偏差を求めても、車両が右旋回している場合と左旋回している場合とで、同じ旋回状態に対して符号が逆になり、旋回方向を考慮に入れない限り、偏差に基づいて旋回状態を正しく評価することができない。それに対して、偏差に規範ヨーレイトγ*を掛けた値によれば、車両が右旋回している場合にも左旋回している場合にも、同じ旋回状態に対して符号が同じになり、車両の旋回状態を正しく評価することができる。
第1評価値TFF、第2評価値TFBが正の値である場合には、規範ヨーレイトγ*の方が推定ヨーレイトγ′や実ヨーレイトγより絶対値が大きい状態(この状態を回頭状態と称する)にあることがわかる。また、第1評価値TFF、第2評価値TFBが負の値である場合には、規範ヨーレイトγ*の方が推定ヨーレイトγ′や実ヨーレイトγより絶対値が小さい状態にある(この状態を収束状態と称する)ことがわかる。
また、第1評価値TFF、第2評価値TFBの絶対値が大きい場合は、小さい場合より相対的に規範ヨーレイトγ*と推定ヨーレイトγ′や実ヨーレイトγとの差が大きい、すなわち、回頭状態の程度、収束状態の程度が大きいことがわかる。図3には、第1評価値演算部54において第1評価値TFFが求められる場合について示した。第2評価値演算部56においても同様である。
【0012】
制御ゲインKFF、KFBは、いずれも正の値であり、本実施形態においては、、総合評価値Tを決定する際に推定ヨーレイトγ′、実ヨーレイトγが考慮される比率についての考えを容易にするため、便宜上、これらの和が1となる(KFF+KFB=1)ようにした。制御ゲインKFF、KFBは、後述するように常に一定の値とされるわけではない。
なお、制御ゲインKFF、KFBの和が1になるようにすることは不可欠ではない。
【0013】
アクチュエータ指令値演算部56は、第1評価値TFF、第2評価値TFBに基づいて車両の旋回状態を総合的に評価し、その総合的な評価結果に基づいて、各車輪の減衰係数調節部30〜36に対する制御指令値を決定する。
車両の旋回状態の総合的な評価値T(以下、総合評価値と称する)は、式
T=TFB+TFF
で表される。総合評価値Tが正の場合に車両が回頭状態であると評価し、負の場合に収束状態であると評価する。
総合評価値Tは、規範ヨーレイトγ*、推定ヨーレイトγ′、実ヨーレイトγが同じであっても、制御ゲインKFF、KFBが変更されると、変わる。制御ゲインKFFの方が制御ゲインKFBより大きい場合は、推定ヨーレイトγ′を重視して総合評価値Tが求められることになり、制御ゲインKFBの方が大きい場合は、実ヨーレイトγを重視して総合評価値Tが求められることになる。
【0014】
なお、第1評価値、第2評価値をそれぞれ
TFF=(γ*−γ′)・γ*
TFB=(γ*−γ)・γ*
とし、総合評価値Tが、
T=TFF・KFF+TFB・KFB
で求められる値であると考えることもできる。
【0015】
本実施形態においては、総合評価値Tに基づいて回頭状態にあると評価された場合には、前輪の減衰係数の配分量(変化量)が後輪の減衰係数の配分量より小さくされる。それにより、ステア特性がオーバステア特性またはニュートラル特性に近づけられる。また、収束状態にあると評価された場合には、逆に、前輪の減衰係数の配分量の方が後輪の配分量より大きくされる。それにより、ステア特性がアンダステア特性に近づけられる。この制御を、本実施形態において、サスペンションロール剛性前後配分制御と称する。
後輪の減衰係数が前輪の減衰係数より大きい場合には、後輪側において前輪側におけるより左右車輪間の荷重移動量の変化が抑制される。そのため、後輪側におけるタイヤのコーナリングパワーが前輪側におけるそれより相対的に小さくなり、スタビリティファクタKの値が正の値または0になり、ステア特性がオーバステア特性またはニュートラル特性になる。
また、前輪の減衰係数が後輪の減衰係数より大きい場合には、前輪側におけるタイヤのコーナリングパワーの方が後輪側より小さくなるため、スタビリティファクタKが負の値となり、アンダステア特性になる。
このように、回頭状態にあると評価された場合には通常の状態(サスペンションロール剛性前後配分制御が行われない状態)よりオーバステア特性に近づくように制御され、収束状態にあると評価された場合にはアンダステア特性に近づくように制御される。その結果、回頭状態にあると評価された場合には、旋回性を向上させ、収束状態にあると評価された場合には、安定性を向上させることができる。また、それによって、実際のヨーレイトを規範ヨーレイトに近づけることが可能となる。
なお、減衰係数が変更されれば、上下方向の変位速度が同じ場合における減衰力が変わるため、減衰係数の制御を減衰力の制御と称することもできる。
【0016】
本実施形態においては、回頭状態において、その傾向が強くなるにつれて、後輪の減衰係数の配分量(変化量)の前輪の減衰係数の変化量に対する比率S(ΔGR/ΔGF:以下、配分比率と称する)が大きくされ、収束状態において、その傾向が強くなるにつれて、配分比率Sが小さくされる。前輪の減衰係数の変化量の後輪の減衰係数の変化量に対する比率1/S(ΔGF/ΔGR)が大きくされるのである。
本実施形態においては、この配分比率Sが、図4のグラフで表されるテーブルに従って決定される。図4に示すように、総合評価値Tの絶対値が設定値以下の範囲内においては、総合評価値Tの絶対値の増加に伴って配分比率が変化し、それ以降は一定の値に保たれる。配分比率Sが過大になったり、過小になったりすることが回避され、前輪の減衰係数と後輪の減衰係数との差が過大になることが回避される。
【0017】
この配分比率Sに基づいて前輪、後輪の減衰係数変化量ΔGF、ΔGRがそれぞれ求められ、通常のサスペンション制御において各輪毎に求められた減衰係数Gijに変化量ΔGiを加えた値が制御指令値としての目標減衰係数G*ij(=Gij+ΔGi)とされる(i=F,R、j=L,R)。
変化量ΔGF、ΔGRは、配分比率Sと予め定められた規則とに基づいて求められる。図4に示すように、総合評価値Tが0の場合の配分比率Sは1となり、変化量ΔGFと変化量ΔGRとは同じ大きさとされる。変化量ΔGF、ΔGRは両方とも0としてもよいが、0以外の予め定められた大きさとしてもよい。
各輪毎の減衰係数Gijは、上述のように通常のサスペンション制御において決定される値であるが、発明とは関係がないため説明を省略する。減衰係数Gijは、どのような方法で決定されてもよいが、例えば、車体速度に応じて決定される値とすることができる。
なお、変化量ΔGF、ΔGRは、前回の左右前輪の目標減衰係数G*FL、G*FRの平均値、左右後輪の目標減衰係数G*RL、G*RRの平均値を考慮して求めたり、今回求められた左右前輪の減衰係数GFL、GFRの平均値、左右後輪の減衰係数GRL、GRRの平均値を考慮して求めたりすることもできる。
【0018】
また、本実施形態においては、制御ゲインKFF、KFBが、それぞれ、初期状態において予め定められた値(後述するように、例えば、いずれも0.5とすることができる)に設定される。
それに対して、ヨーレイト検出装置24が異常である場合には、総合評価値Tを決定する際の制御ゲインKFBが0とされる。ヨーレイト検出装置24が異常である場合には、実ヨーレイトγを精度よく検出することができなかったり、検出すること自体ができなかったりするからである。その結果、第2評価値TFBに基づかないで第1評価値TFFに基づいて総合評価値Tが決定されることになり、第1評価値TFFに基づいて旋回状態の制御が行われることになる。
【0019】
さらに、路面μ検出装置26によって低μ路であることが検出された場合には、制御ゲインKFBが大きくされる。低μ路である場合には、推定ヨーレイトγ′が実ヨーレイトγと大きく異なるため、推定ヨーレイトγ′を重視して総合評価値Tが求められることは望ましくない。また、推定ヨーレイトγ′を重視した制御が行われると、制御指令値が過大になるおそれがある。それに対して、路面μが低い場合に、実ヨーレイトγが重視されるようにすれば、制御指令値が過大になることを回避することができ、実際の旋回状態に適した制御が行われるようにすることができる。
なお、路面μ検出装置26によって路面の摩擦係数自体の値が検出される場合には、検出された摩擦係数の値が小さい場合は大きい場合より制御ゲインKFBが大きくなるようにすることもできる。制御ゲインKFBが摩擦係数に基づいて決まる値とすることができるのであり、摩擦係数が小さくなるのに伴って段階的にまたは連続的に大きくなるようにすることもできる。また、低μ路であると検出された場合には、制御ゲインKFBを1とし、制御ゲインKFFを0とすることもできる。
【0020】
サスペンションECU10においては、図5のフローチャートで表される減衰係数制御プログラムが予め定められた設定時間毎に実行される。図5には、制御ゲインKFBと制御ゲインKFFとの和が1である場合において、制御ゲインKFBをαと記した。
ステップ1(以下、S1と略称する。他のステップについても同様とする)において、ヨーレイト検出装置24が異常であるかどうかが判定され、S2において、低μ路走行中であるかどうかが判定される。いずれの判定もNOの場合には、S3において、α(制御ゲインKFB)が第1設定値(例えば、0.5)にされる。S4において、規範ヨーレイトγ*、推定ヨーレイトγ′、実ヨーレイトγに基づいて第1評価値TFF、第2評価値TFBが求められ、これら第1評価値TFF、第2評価値TFBに基づいて総合的評価値Tが求められる。S5において、図4のテーブルに従って、配分比率Sが求められ、減衰係数変化量ΔGF、ΔGRが求められる。また、S6において、通常のサスペンション制御で求められた減衰係数Gijに変化量ΔGiが加えられて制御指令値としての目標減衰係数G*ijが求められる。各車輪の減衰係数調節部30〜36は、目標減衰係数G*ijが得られるように制御される。
それに対して、ヨーレイト検出装置24が異常であることが検出された場合には、S1における判定がYESとなって、S7において、αが0とされて、以下、S4以降が同様に実行される。この場合には、実ヨーレイトγの値は考慮されないで制御が行われる。
また、路面μが低いことが検出された場合には、S2における判定がYESとなって、S8において、αが上述の第1設定値より大きい値である第2設定値とされて、S4以降が同様に実行される。推定ヨーレイトγ′が重視されないで総合評価値Tが決定されるのであり、推定ヨーレイトγ′が重視されないで減衰係数が制御される。
【0021】
このように、本実施形態においては、フィードフォワード評価値TFFとフィードバック評価値TFBとの両方に基づいて車両の旋回状態が総合的に評価され、その総合評価値Tに基づいて車両の旋回状態が制御される。その結果、フィードフォワード評価値TFFとフィードバック評価値TFBとのいずれか一方に基づいて制御が行われる場合に比較して、より適切な制御を行うことができる。フィードフォワード評価値TFFのみ基づく場合よりモデルの誤差に起因する制御精度の低下を抑制することができ、フィードバック評価値TFBのみ基づく場合より応答性を向上させることができる。
また、路面μも考慮されて旋回状態の制御が行われるため、低μ路において過剰な制御が行われることを回避することができる。
さらに、ヨーレイト検出装置24の異常時にも同様な制御を行うことができるというメリットもある。
【0022】
以上のように、本実施形態においては、旋回状態量がヨーレイトとされる。推定旋回状態量取得装置が推定ヨーレイト演算部54等によって構成され、規範旋回状態量取得装置が規範ヨーレイト演算部56等によって構成される。また、サスペンションECU10およびサスペンション制御アクチュエータ40等により旋回状態制御装置が構成される。また、旋回状態制御装置のうち図5のフローチャートの減衰係数制御プログラムのS1〜3,7,8を記憶する部分、実行する部分等により比率決定部が構成され、S4〜6を記憶する部分、実行する部分等により比率対応制御部が構成される。また、比率決定部のうち、S1,7を記憶する部分、実行する部分等により検出装置異常時比率決定部が構成され、S2,8を記憶する部分、実行する部分等により、路面μ対応比率決定部が構成される。
【0023】
なお、モデル式は上記実施形態におけるそれに限らない。例えば、一次遅れ系のモデルを採用することができる。その一例を図6に示す。本実施形態においては、推定ヨーレイト演算部100,規範ヨーレイト演算部102が、一次遅れ系のモデルを有する。一次遅れ系のモデルは、式
γ=K(V)/(T(V)s+1)
で表すことができる。推定ヨーレイトγ′は推定車両モデルに基づいて取得され、規範ヨーレイトγ*は規範車両モデルに基づいて取得される。推定車両モデルと規範車両モデルとでは、それぞれ、時定数T(T1、T2)、ゲインK(K1、K2)の少なくとも一方が異なる。本実施形態においては、時定数、ゲインが、推定車両モデルにおいて実際の車両の挙動に近づく大きさに決定され、規範モデルにおいて、運転者の所望する挙動が得られる大きさまたは理想すべき車両の挙動が得られる大きさに決定される。
一次遅れ系のモデルに基づいて推定ヨーレイトγ′、規範ヨーレイトγ*が求められ、第1評価値TFFが求められる。以下、上記実施形態における場合と同様に、第2評価値TFBが求められて総合評価値Tが求められ、減衰係数の制御が行われる。
【0024】
また、モデルは、3自由度モデル、4自由度モデル、その他多自由度モデルを採用することができる。これらのモデルを採用すれば、ロール方向の運動やピッチ方向の運動等も考慮することができる。
さらに、上記各実施形態においては、規範モデルが推定モデルより応答性が良好なモデルとされたが、規範モデルの方が安定性が良好なモデルとすることができる。
また、規範モデルと推定モデルとは、同じものではなく、互いに異なるものとすることができる。
さらに、モデルによっては、演算値の符号が正である状態に、「規範旋回状態量の符号と推定旋回状態量の符号とが逆の状態」が含まれることもある。この状態は、旋回方向を変更する向きに操舵が行われる場合に生じる。この状態も回頭状態であると称することができる。
【0025】
また、上記実施形態においては、旋回状態の制御として減衰係数の制御が行われるようにされていたが、それに限らない。例えば、スタビライザバーの剛性をみかけ上制御したり、ステアリング装置を制御したりすることもできる。
さらに、上記実施形態においては、回頭状態にあると評価された場合にも収束状態にあると評価された場合にも本実施形態に係る制御(サスペンションロール剛性前後配分制御)が行われるようにされていたが、回頭状態にあると評価された場合と収束状態にあると評価された場合とのいずれか一方の場合にのみ制御が行われるようにしてもよい。
また、本発明は、旋回状態の制御に限らず、広く車両の挙動の制御に適用することもできる。
【0026】
その他、本発明は、前記〔発明が解決しようとする課題、課題解決手段および効果〕に記載の態様の他、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した態様で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態である旋回状態制御装置の制御ブロック図である。
【図2】上記旋回状態制御装置の回路図である。
【図3】上記旋回状態制御装置の推定ヨーレイト演算部による演算結果の一例を示す図である。
【図4】上記旋回状態制御装置のROMに記憶された減衰力配分比率決定テーブルを概念的に表す図である。
【図5】上記旋回状態制御装置のROMに記憶された減衰係数制御プログラムを表すフローチャートである。
【図6】本発明の別の実施形態である旋回状態制御装置の制御ブロック図の一部を示す図である。
【符号の説明】
24ヨーレイト検出装置
26路面μ検出装置
50推定ヨーレイト演算部
52規範ヨーレイト演算部
54第1評価値演算部
56第2評価値演算部
58アクチュエータ指令値演算部

Claims (5)

  1. 車両の旋回状態を推定して、推定旋回状態量を取得する推定旋回状態量取得装置と、
    車両の規範とすべき旋回状態量を取得する規範旋回状態量取得装置と、
    その規範旋回状態量取得装置によって取得された規範旋回状態量と前記推定旋回状態量取得装置によって取得された推定旋回状態量との差と、それら規範旋回状態量と推定旋回状態量とのいずれか一方との積の値に基づいて、前記車両の旋回状態を制御する旋回状態制御装置と
    を含むことを特徴とする車両旋回状態制御装置。
  2. 車両の旋回状態を推定して、推定旋回状態量を取得する推定旋回状態量取得装置と、
    車両の実際の旋回状態を検出する実旋回状態量検出装置と、
    車両の規範とすべき旋回状態量を取得する規範旋回状態量取得装置と、
    (a)前記規範旋回状態量取得装置によって取得された規範旋回状態量と前記推定旋回状態量取得装置によって取得された推定旋回状態量との差と、それら規範旋回状態量と推定旋回状態量とのいずれか一方との積で決まる前記車両の旋回状態の評価値である第1評価値と、(b)前記規範旋回状態量取得装置によって取得された規範旋回状態量と前記実旋回状態量検出装置によって検出された実旋回状態量との差と、それら規範旋回状態量と実旋回状態量とのいずれか一方との積で決まる前記車両の旋回状態の評価値である第2評価値とに基づいて、前記車両の旋回状態を制御する旋回状態制御装置と
    を含むことを特徴とする車両旋回状態制御装置。
  3. 前記旋回状態制御装置が、(a)前記第1評価値と第2評価値との比率を決定する比率決定部と、(b)その比率決定部によって決定された比率と第1評価値と第2評価値とに基づいて、前記車両の旋回状態を制御する比率対応制御部とを含む請求項2に記載の車両旋回状態制御装置。
  4. 前記比率決定部が、前記実旋回状態量検出装置に異常が生じた場合に、前記第2評価値の前記第1評価値に対する比率を0とする検出装置異常時比率決定部を含む請求項3に記載の車両旋回状態制御装置。
  5. 前記比率決定部が、前記車両が走行する路面の摩擦係数が低い場合は高い場合より、前記第2評価値の前記第1評価値に対する比率を大きくする路面μ対応比率決定部を含む請求項3または4に記載の車両旋回状態制御装置。
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