JP2004186389A - 薬液濃度管理システム - Google Patents
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Abstract
【課題】薬液の寿命を延ばすとともに装置の停止を伴う薬液の交換が不要な薬液濃度管理システムを実現する。
【解決手段】成分として有機酸を含有する水溶液を収納する薬液タンクと、この薬液タンク内の有機酸水溶液を測定する近赤外分光分析計から構成され、この近赤外分光分析計からの出力信号に基づいて前記水溶液中の有機酸の濃度を測定するように構成した。
【選択図】 図1
【解決手段】成分として有機酸を含有する水溶液を収納する薬液タンクと、この薬液タンク内の有機酸水溶液を測定する近赤外分光分析計から構成され、この近赤外分光分析計からの出力信号に基づいて前記水溶液中の有機酸の濃度を測定するように構成した。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば半導体や液晶ディスプレイ(以下LCD)等の製造プロセスにおいて、半導体ウエハやガラス基板の洗浄、レジストの剥離等に用いられる薬液(成分として有機酸を含有する水溶液)濃度の測定と管理を行うシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体ウエハやガラス基板の洗浄、レジストの剥離、透明導電膜のエッチング液等に用いられる薬液に、有機酸を主成分とする例が多く報告されている。
例えば、酸化インジウム(ITO)膜のエッチング液の成分として、シュウ酸が使用されている。
また、ドライエッチング法により金属配線が施されたあとの基板を洗浄する洗浄液として、シュウ酸、クエン酸、エチレンジアミン四酢酸、及びこれらのアンモニウム塩等が用いられている。
【0003】
また、電子材料用基板一般を洗浄する洗浄液としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、及びそれらのアンモニウム塩等が使用されている。
【0004】
半導体回路素子の製造工程におけるフォトレジスト剥離液、特にアッシング後のレジスト残さの除去として、シュウ酸、マロン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、及びクエン酸及びそのアンモニウム塩、ならびにエチレンジアミン四酢酸、エチレンジアミン四酢酸2アンモミウム塩及びN−(2−ヒドロキシエチル)−N、N'、N'−エチレンジアミン三酢酸などの有機酸が用いられている。
【0005】
半導体ウェハの製造工程のうち、ポリマー(レジスト)の除去等に様々な洗浄液や剥離液が使用される。
このような洗浄液の先行技術文献として例えば次のようなものがある。
【0006】
【特許文献】
特許3165801号公報
【0007】
上記先行技術文に記載された技術は、洗浄液に関するものであって、特に金属配線が施された後の基板の金属汚染を除去するための洗浄液及び半導体製造工程において化学的機械研磨後に使用される金属配線を有する基板の洗浄液に関するものである。
【0008】
このような洗浄液は、通常常温から40℃で使用されるが、より高い洗浄効果を得るために比較的高温(例えば60℃)に保って使用されている。
そのため、洗浄液の温度を60℃に保つと、経時的に洗浄液中の水分が蒸発して洗浄液中の有機酸濃度が上昇するという問題があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
有機酸はフッ酸等の強酸と異なり、導電率や吸光度の変化が小さいため、導電率計や非分散型(フィルタータイプ)の近赤外吸光分析計で濃度を測定することができず、従来は手分析を行って洗浄液の濃度を測定しており、オンラインで濃度測定を行う手段がなかった。
【0010】
そのため、水分の蒸発や、有効成分の消費に伴う薬液濃度の変動を監視することができず、薬液は一定時間、あるいは一定回数使用した後に全量を廃棄するといった使い方が一般的で、多くの無駄を生じていた。
【0011】
本発明は、薬液の濃度をオンラインで連続的に測定する手段、また、その測定値をフィードバックすることで、薬液濃度を監視し、薬液の寿命を延ばすとともに装置の停止を伴う薬液の交換が不要な薬液濃度管理システムを実現することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
このような問題点を解決するために、請求項1においては、薬液濃度管理システムにおいて、
成分として有機酸を含有する水溶液を収納する薬液タンクと、この薬液タンク内の有機酸水溶液を測定する近赤外分光分析計から構成され、この近赤外分光分析計からの出力信号に基づいて前記水溶液中の有機酸の濃度を測定するように構成したことを特徴とする。
【0013】
請求項2においては、請求項1記載の薬液濃度管理システムにおいて、
前記有機酸水溶液に純水又は濃度の高い有機酸水溶液を加え、有機酸濃度を所定の範囲に制御する制御手段を備えたことを特徴とする。
【0014】
請求項3においては、請求項1又は2記載の薬液濃度管理システムにおいて、
前記近赤外分光分析計の吸光度スペクトルから前記有機酸濃度を演算することを特徴とする。
【0015】
請求項4においては、請求項1乃至3のいずれかに記載の薬液濃度管理システムにおいて、
前記有機酸が脂肪族ポリカルボン酸およびそのアンモニウム塩、ならびにポリアミノカルボン酸類およびそのアンモニウム塩からなる群から選択されるいずれか1種、または2種以上であることを特徴とする。
【0016】
請求項5においては、請求項1乃至4のいずれかに記載の薬液濃度管理システムにおいて、
前記濃度演算は近赤外光の複数点の波数における吸光度を測定し、その測定結果から下記の数式によって行うことを特徴とする。
記
i=1..n :使用波数範囲の添え字
b0:定数項
bi:波数iでの重み係数
ai:波数iでの吸光度値[Abs]
ことを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施形態の一例を示す薬液濃度管理システムの構成説明図である。図において、1はウエハ洗浄装置内に設置されている薬液タンクであり、この薬液タンク1には有機酸を含む水溶液からなる洗浄液及び測定セル2が収納されている。
【0018】
3は近赤外分光分析計であり、往復2本の光ファイバ4で測定セル2と接続されている。この近赤外分光分析計3の出力(たとえば4−20mAアナログ出力)は、ディジタル指示調節計5に接続されている。このディジタル指示調節計5は、上々限(HH)、下下限(LL)、給水制御信号(DO1)の3つの接点出力信号を出力し、そのうちDO1は、開閉バルブ6に接続されている。開閉バルブ6は、純水補給機7と薬液タンク1の間の配管内に設置されている。
【0019】
上記の構成において、近赤外分光分析計3は近赤外光を発射する。発射された近赤外光は、光ファイバケーブル4を介して近赤外光を測定セル2内の洗浄液(薬液サンプル)に照射され、その透過光が、再度光ファイバケーブル4経由で近赤外分光分析計3に戻される。近赤外分光分析計3は、透過光の光量を測定することで、次の式により薬液サンプルの近赤外吸光スペクトル(波数ごとの吸光度)を計算する。
【0020】
図2は、ある洗浄液(シュウ酸水溶液)のスペクトルの例、図3は図2の○で囲ったA部の部分拡大図である。図3からわかるように、有機酸濃度変化に対する吸光度の変化は非常にわずかである上に、サンプル温度の影響を大きく受けるため、ある特定の波数(波長)の吸光度だけから有機酸濃度を求めるのは困難である(同様に、導電率その他の単一のパラメータだけから有機酸濃度を求めるのも困難)。
【0021】
しかし、多数点の波数の吸光度、すなわち吸光度スペクトルに、波数ごとにある重み係数をかけて和をとることにより、安定に有機酸濃度を計算することができる。吸光度スペクトルから有機酸濃度を計算する数式(下記)には、このように通常1次式が用いられ、この式は一般に「検量線」と呼ばれる。
【0022】
ここで、スペクトルから有機酸濃度を求める計算式について考察する。
一般に吸光分光法において吸光度スペクトルから成分濃度を計算する方法としては、吸光度のピーク値を用いる方法、ピーク面積を求める方法などがあるが、近赤外分光計においては、主として部分最小二乗法(ケモメトリクス法の一種)という方法が用いられる。詳細は省略するが、部分最小二乗法で得られた検量線は、最終的に次式のような形となる。
【0023】
i=1..n :使用波数範囲の添え字
b0:定数項
bi:波数iでの重み係数
ai:波数iでの吸光度値[Abs]
すなわち、スペクトルのある特定のピーク値やピーク面積を用いるのではなく、ある波数範囲の吸光度値に、波数ごとに異なる重み係数を乗じて和をとったものを用いる。重み係数biは、前述の部分最小二乗法によって、検量線作成サンプルのスペクトルとラボ分析値の相関がもっとも高くなるように決定される(重み係数biの演算には市販のソフトウエアパッケージが用いられるがここでの詳細は省略する)。
【0024】
このようにすることによって、単純にピーク値やピーク面積を用いるよりも、ノイズに対して強く、また、ラボ値との相関の高い検量線となる。
図4は、横軸を波数、縦軸を重み係数として、有機酸検量線の重み係数の例を示すもので、図3に示す各波数の吸光度値にこの重み係数を乗じて、
定数項(b0)=55.927
を加えると有機酸濃度値を求めることができる。
ここで定数項は回帰係数(重み係数)の一部であり、これらは同時に求められる。
【0025】
次に演算式(検量線)の決定方法について説明する。
有機酸濃度が既知のスペクトルn本をまとめて行列Aで表わすとする。
(Aの成分は aji :j(1〜n)はスペクトルの番号、i(1〜k)は波数の番号。Aの各行が、各サンプルに対する1本のスペクトルとなる。)
重み係数を列ベクトルb (成分bi :i(1〜k)は波数の番号)
各スペクトルに対する濃度値を列ベクトルc (成分cj:j(1〜n)はスペクトルの番号)
【0026】
とおくと、検量線を求めるという作業は、
A・b+e=c
(eは誤差ベクトル)
という式において、eがなるべく小さくなるようにbを求めることに他ならない。
【0027】
一般に、Aの疑似逆行列(A+)を用いて
b=(A+)・c
として求めるが、疑似逆行列の求め方には、重回帰分析法(MLR)、主成分回帰分析法(PCR)、部分最小二乗法(PLS)等の手法がある。
実際には、スペクトルAは、PLSなどの回帰分析法を適用する前に、微分、ベースライン補正、中心平均化などの前処理を行う。
サンプルスペクトルの各波数の吸光度値(Abs)にこの重み係数をかけて和を取り、定数項を加えると有機酸濃度値(wt%)となる。
【0028】
こうして計算された有機酸濃度は、たとえば4−20mAアナログ信号によってディジタル指示調節計6に出力される。ディジタル指示調節計6は、有機酸濃度信号(PV)を、あらかじめ設定された設定値(SV)と比較し、制御出力(MV)信号(この例では接点出力信号DO1)を出力する。
制御出力DO1は図5に示すように、PVがSV−H(3wt%)より大きくなるとONになり、SV−H(2wt%)より小さくなるとOFFになる。
【0029】
すなわち、水分の揮発などによって有機酸濃度が3wt%より高くなると、DO1信号によって開閉バルブ6が開になって純水補給機7より純水が薬液タンク1に供給され、薬液は純水で希釈されて次第に有機酸濃度が下がる。有機酸濃度が2wt%より低くなるとDO1信号によって開閉バルブが閉じ、純水の補給が停止して、有機酸濃度の減少が停止する。すなわち、有機酸濃度は、SV=2.5wt%、ヒステリシス=1wt%の設定で、ON−OFF制御されることになる(実験ではシュウ酸の濃度の目標値を3.6wt%とし、シュウ酸の濃度の上限の設定濃度を3.8wt%、下限の設定濃度を3.4wt%として制御した)。
【0030】
なお、上述では希釈液として純水を用いた例を示したが、例えば有機酸濃度が高い(例えば4.4%程度)水溶液や有機酸濃度の低い(例えば1.7%程度)水溶液を用いて濃度制御を行うようにしてもよい。
【0031】
また、有機酸としての脂肪族ポリカルボン酸はシュウ酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸などが挙げられ、
ポリアミノカルボン酸としてはエチレンジアミン四酢酸、トランス1,2−シクロヘキサンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、N−(2−ヒドロキシエチル)−N、N'、N'−エチレンジアミン三酢酸などが挙げられる。
【0032】
ディジタル指示調節計は、上々限設定値(HH=4wt%)、下々限設定値(LL=1wt%)に対応した接点出力も持っており、開閉バルブの故障や純水不足などの異常によって有機酸濃度が異常値を示した際に警報を発生するように構成することもできる。
【0033】
この実施例では洗浄液の汚れが進む前の揮発による濃度変化に着目したものであり、汚れたら捨てるか、または別の手段で再生することを前提としている。
【0034】
本発明の以上の説明は、説明および例示を目的として特定の好適な実施例を示したに過ぎない。したがって本発明はその本質から逸脱せずに多くの変更、変形をなし得ることは当業者に明らかである。例えば本発明で用いる有機酸を含有する水溶液には、界面活性剤や水溶性有機溶媒などを含んでいてもよい。特許請求の範囲の欄の記載により定義される本発明の範囲は、その範囲内の変更、変形を包含するものとする。
【0035】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、近赤外分光分析計を用いて、多数点の波数の吸光度、すなわち吸光度スペクトルから有機酸濃度を計算することによって、導電率計や非分散型(フィルタータイプ)の近赤外吸光分析計では困難であった有機酸濃度のオンラインでの測定が可能になった。
【0036】
そして、この有機酸濃度のオンライン測定値をフィードバックすることにより、薬液中の有機酸濃度値を適正な値に自動的に保持することが可能となった。
これにより、薬液の寿命を延ばすことが可能になった。(いままでは濃度値が適正範囲を逸脱すると廃棄していた。)
【0037】
また、いままで、水分の揮発量が大きすぎて有機酸濃度変動が大きく、使用できなかった高温領域での薬液の使用が可能になった。
薬液の交換、ないし、手分析データに基づく手動希釈の手間がなくなり、人件費が節約できる。また、装置の停止時間もなくなり、生産性が向上した。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の薬液濃度管理システムの実施形態の一例を示す構成説明図である。
【図2】洗浄液(有機酸水溶液)のスペクトルの例を示す説明図である。
【図3】図2の○で囲ったA部の部分拡大図である。
【図4】横軸を波数、縦軸を重み係数として、有機酸検量線の重み係数の例を示す図である。
【図5】有機酸濃度信号とディジタル指示調節計の制御出力の接点信号タイムチャートの関係を示す図である。
【符号の説明】
1 薬液(洗浄液)タンク
2 測定セル
3 近赤外分光分析計
4 光ファイバケーブル
5 デジタル指示調節計
6 開閉バルブ
7 純水補給機
8 配管
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば半導体や液晶ディスプレイ(以下LCD)等の製造プロセスにおいて、半導体ウエハやガラス基板の洗浄、レジストの剥離等に用いられる薬液(成分として有機酸を含有する水溶液)濃度の測定と管理を行うシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体ウエハやガラス基板の洗浄、レジストの剥離、透明導電膜のエッチング液等に用いられる薬液に、有機酸を主成分とする例が多く報告されている。
例えば、酸化インジウム(ITO)膜のエッチング液の成分として、シュウ酸が使用されている。
また、ドライエッチング法により金属配線が施されたあとの基板を洗浄する洗浄液として、シュウ酸、クエン酸、エチレンジアミン四酢酸、及びこれらのアンモニウム塩等が用いられている。
【0003】
また、電子材料用基板一般を洗浄する洗浄液としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、及びそれらのアンモニウム塩等が使用されている。
【0004】
半導体回路素子の製造工程におけるフォトレジスト剥離液、特にアッシング後のレジスト残さの除去として、シュウ酸、マロン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、及びクエン酸及びそのアンモニウム塩、ならびにエチレンジアミン四酢酸、エチレンジアミン四酢酸2アンモミウム塩及びN−(2−ヒドロキシエチル)−N、N'、N'−エチレンジアミン三酢酸などの有機酸が用いられている。
【0005】
半導体ウェハの製造工程のうち、ポリマー(レジスト)の除去等に様々な洗浄液や剥離液が使用される。
このような洗浄液の先行技術文献として例えば次のようなものがある。
【0006】
【特許文献】
特許3165801号公報
【0007】
上記先行技術文に記載された技術は、洗浄液に関するものであって、特に金属配線が施された後の基板の金属汚染を除去するための洗浄液及び半導体製造工程において化学的機械研磨後に使用される金属配線を有する基板の洗浄液に関するものである。
【0008】
このような洗浄液は、通常常温から40℃で使用されるが、より高い洗浄効果を得るために比較的高温(例えば60℃)に保って使用されている。
そのため、洗浄液の温度を60℃に保つと、経時的に洗浄液中の水分が蒸発して洗浄液中の有機酸濃度が上昇するという問題があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
有機酸はフッ酸等の強酸と異なり、導電率や吸光度の変化が小さいため、導電率計や非分散型(フィルタータイプ)の近赤外吸光分析計で濃度を測定することができず、従来は手分析を行って洗浄液の濃度を測定しており、オンラインで濃度測定を行う手段がなかった。
【0010】
そのため、水分の蒸発や、有効成分の消費に伴う薬液濃度の変動を監視することができず、薬液は一定時間、あるいは一定回数使用した後に全量を廃棄するといった使い方が一般的で、多くの無駄を生じていた。
【0011】
本発明は、薬液の濃度をオンラインで連続的に測定する手段、また、その測定値をフィードバックすることで、薬液濃度を監視し、薬液の寿命を延ばすとともに装置の停止を伴う薬液の交換が不要な薬液濃度管理システムを実現することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
このような問題点を解決するために、請求項1においては、薬液濃度管理システムにおいて、
成分として有機酸を含有する水溶液を収納する薬液タンクと、この薬液タンク内の有機酸水溶液を測定する近赤外分光分析計から構成され、この近赤外分光分析計からの出力信号に基づいて前記水溶液中の有機酸の濃度を測定するように構成したことを特徴とする。
【0013】
請求項2においては、請求項1記載の薬液濃度管理システムにおいて、
前記有機酸水溶液に純水又は濃度の高い有機酸水溶液を加え、有機酸濃度を所定の範囲に制御する制御手段を備えたことを特徴とする。
【0014】
請求項3においては、請求項1又は2記載の薬液濃度管理システムにおいて、
前記近赤外分光分析計の吸光度スペクトルから前記有機酸濃度を演算することを特徴とする。
【0015】
請求項4においては、請求項1乃至3のいずれかに記載の薬液濃度管理システムにおいて、
前記有機酸が脂肪族ポリカルボン酸およびそのアンモニウム塩、ならびにポリアミノカルボン酸類およびそのアンモニウム塩からなる群から選択されるいずれか1種、または2種以上であることを特徴とする。
【0016】
請求項5においては、請求項1乃至4のいずれかに記載の薬液濃度管理システムにおいて、
前記濃度演算は近赤外光の複数点の波数における吸光度を測定し、その測定結果から下記の数式によって行うことを特徴とする。
記
i=1..n :使用波数範囲の添え字
b0:定数項
bi:波数iでの重み係数
ai:波数iでの吸光度値[Abs]
ことを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施形態の一例を示す薬液濃度管理システムの構成説明図である。図において、1はウエハ洗浄装置内に設置されている薬液タンクであり、この薬液タンク1には有機酸を含む水溶液からなる洗浄液及び測定セル2が収納されている。
【0018】
3は近赤外分光分析計であり、往復2本の光ファイバ4で測定セル2と接続されている。この近赤外分光分析計3の出力(たとえば4−20mAアナログ出力)は、ディジタル指示調節計5に接続されている。このディジタル指示調節計5は、上々限(HH)、下下限(LL)、給水制御信号(DO1)の3つの接点出力信号を出力し、そのうちDO1は、開閉バルブ6に接続されている。開閉バルブ6は、純水補給機7と薬液タンク1の間の配管内に設置されている。
【0019】
上記の構成において、近赤外分光分析計3は近赤外光を発射する。発射された近赤外光は、光ファイバケーブル4を介して近赤外光を測定セル2内の洗浄液(薬液サンプル)に照射され、その透過光が、再度光ファイバケーブル4経由で近赤外分光分析計3に戻される。近赤外分光分析計3は、透過光の光量を測定することで、次の式により薬液サンプルの近赤外吸光スペクトル(波数ごとの吸光度)を計算する。
【0020】
図2は、ある洗浄液(シュウ酸水溶液)のスペクトルの例、図3は図2の○で囲ったA部の部分拡大図である。図3からわかるように、有機酸濃度変化に対する吸光度の変化は非常にわずかである上に、サンプル温度の影響を大きく受けるため、ある特定の波数(波長)の吸光度だけから有機酸濃度を求めるのは困難である(同様に、導電率その他の単一のパラメータだけから有機酸濃度を求めるのも困難)。
【0021】
しかし、多数点の波数の吸光度、すなわち吸光度スペクトルに、波数ごとにある重み係数をかけて和をとることにより、安定に有機酸濃度を計算することができる。吸光度スペクトルから有機酸濃度を計算する数式(下記)には、このように通常1次式が用いられ、この式は一般に「検量線」と呼ばれる。
【0022】
ここで、スペクトルから有機酸濃度を求める計算式について考察する。
一般に吸光分光法において吸光度スペクトルから成分濃度を計算する方法としては、吸光度のピーク値を用いる方法、ピーク面積を求める方法などがあるが、近赤外分光計においては、主として部分最小二乗法(ケモメトリクス法の一種)という方法が用いられる。詳細は省略するが、部分最小二乗法で得られた検量線は、最終的に次式のような形となる。
【0023】
i=1..n :使用波数範囲の添え字
b0:定数項
bi:波数iでの重み係数
ai:波数iでの吸光度値[Abs]
すなわち、スペクトルのある特定のピーク値やピーク面積を用いるのではなく、ある波数範囲の吸光度値に、波数ごとに異なる重み係数を乗じて和をとったものを用いる。重み係数biは、前述の部分最小二乗法によって、検量線作成サンプルのスペクトルとラボ分析値の相関がもっとも高くなるように決定される(重み係数biの演算には市販のソフトウエアパッケージが用いられるがここでの詳細は省略する)。
【0024】
このようにすることによって、単純にピーク値やピーク面積を用いるよりも、ノイズに対して強く、また、ラボ値との相関の高い検量線となる。
図4は、横軸を波数、縦軸を重み係数として、有機酸検量線の重み係数の例を示すもので、図3に示す各波数の吸光度値にこの重み係数を乗じて、
定数項(b0)=55.927
を加えると有機酸濃度値を求めることができる。
ここで定数項は回帰係数(重み係数)の一部であり、これらは同時に求められる。
【0025】
次に演算式(検量線)の決定方法について説明する。
有機酸濃度が既知のスペクトルn本をまとめて行列Aで表わすとする。
(Aの成分は aji :j(1〜n)はスペクトルの番号、i(1〜k)は波数の番号。Aの各行が、各サンプルに対する1本のスペクトルとなる。)
重み係数を列ベクトルb (成分bi :i(1〜k)は波数の番号)
各スペクトルに対する濃度値を列ベクトルc (成分cj:j(1〜n)はスペクトルの番号)
【0026】
とおくと、検量線を求めるという作業は、
A・b+e=c
(eは誤差ベクトル)
という式において、eがなるべく小さくなるようにbを求めることに他ならない。
【0027】
一般に、Aの疑似逆行列(A+)を用いて
b=(A+)・c
として求めるが、疑似逆行列の求め方には、重回帰分析法(MLR)、主成分回帰分析法(PCR)、部分最小二乗法(PLS)等の手法がある。
実際には、スペクトルAは、PLSなどの回帰分析法を適用する前に、微分、ベースライン補正、中心平均化などの前処理を行う。
サンプルスペクトルの各波数の吸光度値(Abs)にこの重み係数をかけて和を取り、定数項を加えると有機酸濃度値(wt%)となる。
【0028】
こうして計算された有機酸濃度は、たとえば4−20mAアナログ信号によってディジタル指示調節計6に出力される。ディジタル指示調節計6は、有機酸濃度信号(PV)を、あらかじめ設定された設定値(SV)と比較し、制御出力(MV)信号(この例では接点出力信号DO1)を出力する。
制御出力DO1は図5に示すように、PVがSV−H(3wt%)より大きくなるとONになり、SV−H(2wt%)より小さくなるとOFFになる。
【0029】
すなわち、水分の揮発などによって有機酸濃度が3wt%より高くなると、DO1信号によって開閉バルブ6が開になって純水補給機7より純水が薬液タンク1に供給され、薬液は純水で希釈されて次第に有機酸濃度が下がる。有機酸濃度が2wt%より低くなるとDO1信号によって開閉バルブが閉じ、純水の補給が停止して、有機酸濃度の減少が停止する。すなわち、有機酸濃度は、SV=2.5wt%、ヒステリシス=1wt%の設定で、ON−OFF制御されることになる(実験ではシュウ酸の濃度の目標値を3.6wt%とし、シュウ酸の濃度の上限の設定濃度を3.8wt%、下限の設定濃度を3.4wt%として制御した)。
【0030】
なお、上述では希釈液として純水を用いた例を示したが、例えば有機酸濃度が高い(例えば4.4%程度)水溶液や有機酸濃度の低い(例えば1.7%程度)水溶液を用いて濃度制御を行うようにしてもよい。
【0031】
また、有機酸としての脂肪族ポリカルボン酸はシュウ酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸などが挙げられ、
ポリアミノカルボン酸としてはエチレンジアミン四酢酸、トランス1,2−シクロヘキサンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、N−(2−ヒドロキシエチル)−N、N'、N'−エチレンジアミン三酢酸などが挙げられる。
【0032】
ディジタル指示調節計は、上々限設定値(HH=4wt%)、下々限設定値(LL=1wt%)に対応した接点出力も持っており、開閉バルブの故障や純水不足などの異常によって有機酸濃度が異常値を示した際に警報を発生するように構成することもできる。
【0033】
この実施例では洗浄液の汚れが進む前の揮発による濃度変化に着目したものであり、汚れたら捨てるか、または別の手段で再生することを前提としている。
【0034】
本発明の以上の説明は、説明および例示を目的として特定の好適な実施例を示したに過ぎない。したがって本発明はその本質から逸脱せずに多くの変更、変形をなし得ることは当業者に明らかである。例えば本発明で用いる有機酸を含有する水溶液には、界面活性剤や水溶性有機溶媒などを含んでいてもよい。特許請求の範囲の欄の記載により定義される本発明の範囲は、その範囲内の変更、変形を包含するものとする。
【0035】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、近赤外分光分析計を用いて、多数点の波数の吸光度、すなわち吸光度スペクトルから有機酸濃度を計算することによって、導電率計や非分散型(フィルタータイプ)の近赤外吸光分析計では困難であった有機酸濃度のオンラインでの測定が可能になった。
【0036】
そして、この有機酸濃度のオンライン測定値をフィードバックすることにより、薬液中の有機酸濃度値を適正な値に自動的に保持することが可能となった。
これにより、薬液の寿命を延ばすことが可能になった。(いままでは濃度値が適正範囲を逸脱すると廃棄していた。)
【0037】
また、いままで、水分の揮発量が大きすぎて有機酸濃度変動が大きく、使用できなかった高温領域での薬液の使用が可能になった。
薬液の交換、ないし、手分析データに基づく手動希釈の手間がなくなり、人件費が節約できる。また、装置の停止時間もなくなり、生産性が向上した。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の薬液濃度管理システムの実施形態の一例を示す構成説明図である。
【図2】洗浄液(有機酸水溶液)のスペクトルの例を示す説明図である。
【図3】図2の○で囲ったA部の部分拡大図である。
【図4】横軸を波数、縦軸を重み係数として、有機酸検量線の重み係数の例を示す図である。
【図5】有機酸濃度信号とディジタル指示調節計の制御出力の接点信号タイムチャートの関係を示す図である。
【符号の説明】
1 薬液(洗浄液)タンク
2 測定セル
3 近赤外分光分析計
4 光ファイバケーブル
5 デジタル指示調節計
6 開閉バルブ
7 純水補給機
8 配管
Claims (5)
- 成分として有機酸を含有する水溶液を収納する薬液タンクと、この薬液タンク内の有機酸水溶液を測定する近赤外分光分析計から構成され、この近赤外分光分析計からの出力信号に基づいて前記水溶液中の有機酸の濃度を測定するように構成したことを特徴とする薬液濃度管理システム。
- 前記有機酸水溶液に純水又は濃度の高い有機酸水溶液又は濃度の低い有機酸水溶液を加え、有機酸濃度を所定の範囲に制御する制御手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の薬液濃度管理システム。
- 前記近赤外分光分析計の吸光度スペクトルから前記有機酸濃度を演算することを特徴とする請求項1又は2記載の薬液濃度管理システム。
- 前記有機酸が脂肪族ポリカルボン酸およびそのアンモニウム塩、ならびにポリアミノカルボン酸類およびそのアンモニウム塩からなる群から選択されるいずれか1種、または2種以上であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の薬液濃度管理システム。
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JP2002351101A JP2004186389A (ja) | 2002-12-03 | 2002-12-03 | 薬液濃度管理システム |
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JP2002351101A JP2004186389A (ja) | 2002-12-03 | 2002-12-03 | 薬液濃度管理システム |
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Cited By (2)
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JP2006112996A (ja) * | 2004-10-18 | 2006-04-27 | Yokogawa Electric Corp | 近赤外分光分析装置 |
WO2007004612A1 (ja) * | 2005-07-05 | 2007-01-11 | Toagosei Co., Ltd. | 剥離液中の有機物濃度を管理した基体の製造方法 |
-
2002
- 2002-12-03 JP JP2002351101A patent/JP2004186389A/ja active Pending
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WO2007004612A1 (ja) * | 2005-07-05 | 2007-01-11 | Toagosei Co., Ltd. | 剥離液中の有機物濃度を管理した基体の製造方法 |
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