JP2004184800A - パターン形成装置およびパターン形成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】吐出直後のパターン形成材料の表面張力を抑制し、基板上に適切な断面形状を有するパターンを形成するパターン形成装置を提供する。
【解決手段】パターン形成装置1は、基板9を傾斜した状態で保持するステージ3、および、基板9に向けてパターン形成材料を吐出する吐出部42を有するヘッド部4を備え、ステージ3はステージ移動機構2により基板9の主面に沿う方向に移動する。パターンを形成する際には、まず、基板9が吐出部42の下方へと移動し、基板9上にエタノールと水との混合液が供給される。混合液は吐出部42の吐出口に接しつつ基板9上にて保持される。そして、吐出部42からパターン形成材料を吐出しつつステージ3を移動することにより、吐出直後のパターン形成材料が混合液により表面張力が減少した状態とされ、吐出部42の吐出口の形状に対応する断面形状にて基板9上に隔壁パターン91が形成される。
【選択図】 図1
【解決手段】パターン形成装置1は、基板9を傾斜した状態で保持するステージ3、および、基板9に向けてパターン形成材料を吐出する吐出部42を有するヘッド部4を備え、ステージ3はステージ移動機構2により基板9の主面に沿う方向に移動する。パターンを形成する際には、まず、基板9が吐出部42の下方へと移動し、基板9上にエタノールと水との混合液が供給される。混合液は吐出部42の吐出口に接しつつ基板9上にて保持される。そして、吐出部42からパターン形成材料を吐出しつつステージ3を移動することにより、吐出直後のパターン形成材料が混合液により表面張力が減少した状態とされ、吐出部42の吐出口の形状に対応する断面形状にて基板9上に隔壁パターン91が形成される。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、基板上にパターンを形成する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、プラズマ表示装置や有機EL表示装置等に用いられるパネルに隔壁や電極、蛍光体等のパターンを形成する方法として、サンドブラスト法(フォトリソグラフィ法とも呼ばれる。)、スクリーン印刷法、リフトオフ法等が知られている。しかしながら、これらの方法は煩雑であり、生産コストを増加させる要因となっている。そこで、近年、特許文献1に開示されているように微細な吐出口を有するノズルからペースト状のパターン形成材料を吐出して基板上にパターンを形成する手法が提案されている。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−184303号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、使用されるパターン形成材料の種類によっては、吐出直後のパターン形成材料の断面形状が表面張力(正確には、空気に接する部分の表面張力)の影響により変形してしまうことがある。具体的には、矩形の吐出口に対して、吐出されたパターン形成材料の断面形状の上部の角が丸みを帯びて略半円形に変形してしまうことがあり、断面の形状精度や高アスペクト比が要求されるパターン(特に、隔壁パターン)を形成することが困難となる。
【0005】
また、パターン形成材料を高粘度化することにより表面張力の影響を抑制することも考えられるが、この場合、微細な吐出口からパターン形成材料を円滑に吐出することができなくなってしまう。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、基板上に適切な断面形状を有するパターンを形成することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、基板上にパターンを形成するパターン形成装置であって、基板を保持する保持部と、基板に向けてパターン形成材料を吐出する吐出口が形成された吐出部と、基板の主面に沿う方向に前記吐出部を前記基板に対して相対的に移動する移動機構とを備え、前記吐出部から吐出された直後のパターン形成材料に液体が付与される。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のパターン形成装置であって、付与される液体が前記吐出口の外部にて基板上に保持され、前記液体が前記吐出口と接する。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のパターン形成装置であって、パターン形成材料が親水性である場合は前記液体が親水性であり、パターン形成材料が疎水性である場合は前記液体が疎水性である。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項2または3に記載のパターン形成装置であって、前記液体の温度を調整する温度調整部をさらに備える。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項2ないし4のいずれかに記載のパターン形成装置であって、パターン形成材料が光硬化性樹脂を含み、前記液体中のパターン形成材料に向けて光を照射する光照射部をさらに備える。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項2ないし5のいずれかに記載のパターン形成装置であって、吐出されたパターン形成材料から液体を除去する手段をさらに備える。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項2ないし6のいずれかに記載のパターン形成装置であって、前記保持部が、水平面に対して傾斜した状態で基板を保持し、前記吐出部が基板の主面に沿って下側へと相対的に移動し、前記液体が、前記吐出部と基板の主面の上側の部位との間に保持される。
【0014】
請求項8に記載の発明は、基板上にパターンを形成するパターン形成方法であって、a) 吐出部からパターン形成材料を基板に向けて吐出しつつ前記吐出部を前記基板の主面に沿って相対的に移動する工程と、b) 前記a)工程と並行して吐出直後のパターン形成材料に液体を付与する工程とを有する。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の第1の実施の形態に係るパターン形成装置1の概略構成を示す図である。パターン形成装置1は、プラズマ表示装置のガラス基板(以下、「基板」という。)9上に隔壁のパターン91(例えば、断面形状の幅が数10μm、高さが数百μmの矩形のパターン)を形成する装置であり、隔壁パターンが形成された基板9は他の工程を介してプラズマ表示装置の組立部品であるパネル(通常、リアパネル)となる。
【0016】
パターン形成装置1は、法線が図1中の(+Z)方向から(+X)側に傾斜する面(以下、「傾斜面」という。)111を有する基台11を備え、傾斜面111は、例えば、X軸に対して15度だけ傾斜した状態とされる。傾斜面111上にはステージ移動機構2が設けられ、ステージ移動機構2により基板9を吸引吸着により保持するステージ3が傾斜面111に沿って移動可能とされる。基台11にはステージ3を跨ぐようにしてフレーム12が固定され、フレーム12にはヘッド部4が取り付けられる。
【0017】
ステージ移動機構2は、モータ21にボールねじ22が接続され、さらに、ステージ3に固定されたナット23がボールねじ22に取り付けられた構造となっている。ボールねじ22の上方にはガイドレール24が固定され、モータ21が回転すると、ナット23とともにステージ3がガイドレール24に沿ってY軸に直交しつつ基板9の主面(または、傾斜面111)に沿う方向(以下、「ステージ移動方向」という。)に滑らかに移動する。また、ステージ3において、ステージ移動方向に関する下側(すなわち、(+X)方向に対応する方向)の端部には、後述する水とエタノールとの混合液を受け止める回収ガイド31aが設けられる。回収ガイド31aにて集められた液は液体回収部31へと送られる。
【0018】
ヘッド部4は、基板9上にペースト状のパターン形成材料を吐出する吐出部42、および、基板9に向けて紫外線を出射する光照射部44を有し、吐出部42および光照射部44はフレーム12に固定されたベース41の下部に取り付けられる。吐出部42はY方向に配列された複数の吐出口が形成されたノズル43を有する。光照射部44は吐出部42の(−X)側において基板9に向かって光を出射し、各吐出口に対応する光のスポットを基板9上に形成する。なお、パターン形成材料は親水性であり、低軟化点ガラスフリット、紫外線硬化性樹脂、その他、溶剤や添加剤等を含んでいる。
【0019】
吐出部42には逆止弁421を有する供給管422が取り付けられ、供給管422は分岐しており、一方がポンプ423に接続され、他方が制御弁424を介してパターン形成材料を貯留するタンク425に接続される。光照射部44は光ファイバ441を介して紫外線を発生する光源ユニット442に接続される。
【0020】
ヘッド部4は、さらに、水とエタノールとの混合液(例えば、水が50%、エタノールが50%混合された液体であり、以下、単に「混合液」と呼ぶ。)を基板9上に供給する液体供給ノズル45、および、基板9に向けて温風を付与するエアノズル46を有する。液体供給ノズル45は、液体供給管451を介して混合液を貯留する液体供給部452に接続される。エアノズル46は、エア供給管461を介してエア供給部462に接続され、エア供給部462により温風が供給される。
【0021】
ステージ移動機構2のモータ21、ポンプ423、制御弁424、光源ユニット442、液体供給部452およびエア供給部462は制御部5に接続され、これらの構成が制御部5により制御されることにより、パターン形成装置1による基板9上への隔壁パターンの形成が行われる。
【0022】
図2はヘッド部4の下部を拡大して示す図である。図2に示すように、ノズル43の先端には吐出口431が設けられており、吐出口431は基板9に向かう方向よりもステージ移動方向に関する上側(後述するパターン形成時における進行方向の後側)に傾いた方向を向いている。さらに、ノズル43の先端には基板9の主面に平行な面432が形成され、面432と基板9の主面とが近接した状態とされる。これにより、吐出口431が基板9の主面に近接した状態でパターン形成材料が吐出される。
【0023】
図3はノズル43の下部をステージ移動方向に関する上側から下側を向いて見た様子を示す図である。図3に示すように、ステージ移動方向から見た吐出口431の形状は基板9(平行斜線を付して図示)の法線方向の高さが、ステージ移動方向に垂直な水平方向の幅よりも大きい矩形となっている。
【0024】
図4はパターン形成装置1が隔壁パターンを形成する動作の流れを示す図である。まず、制御部5の制御により、ステージ3がステージ移動方向に関して下側に移動し、ステージ3上に基板9が載置されて吸引吸着により保持される。(ステップS11)。これにより、ノズル43が、基板9のステージ移動方向に関する上側(以下、単に「基板9の上側」ともいう。)の端部から僅かに下側にずれた位置に位置する。
【0025】
続いて、液体供給部452を制御することにより液体供給ノズル45から所定量の混合液が基板9に向けて供給され(ステップS12)、図2に示すように、ノズル43の面432に対向する位置よりも基板9の主面の上側の部位とノズル43との間にて混合液92が保持される。混合液92の液層の深さは、例えば、1mm程度である。また、ノズル43の面432と基板9の主面との間の間隙は微小であるため、この間隙にて混合液92の界面が形成され、混合液92がステージ移動方向に関してノズル43よりも下側に流出することが防止される。なお、パターン形成装置1ではY方向に関して混合液の流出をせき止める部位が設けられていないが、混合液92は表面張力によりY方向に流出することが防止され基板9上に保持される。もちろん、必要に応じて混合液92の流出を防止する部材がパターン形成装置1に設けられてもよい。
【0026】
混合液92の液層が形成されると、光源ユニット442およびエア供給部462が制御され、紫外線の出射および温風の供給が開始される(ステップS13)。図2に示すように、光照射部44から出射された紫外線は、混合液92を介して基板9上に照射される。また、エアノズル46からの温風は、混合液92の外側にて基板9に対して付与される。
【0027】
続いて、制御部5は、ステージ移動機構2を制御することによりステージ移動方向の上側へとステージ3の移動を開始する(ステップS14)。これにより、基板9に対して吐出部42がステージ移動方向の下側へと相対的に移動し、混合液92の液層も重力により基板9に対してステージ移動方向の下側へと相対的に移動する。
【0028】
吐出部42(正確には、吐出口431)が基板9上のパターン形成の始点上に達すると、吐出部42から基板9に向かってパターン形成材料の吐出が開始される(ステップS15)。吐出部42からのパターン形成材料の吐出は、図1に示す逆止弁421、ポンプ423および制御弁424により行われる。まず、制御部5の制御により制御弁424が開放された状態でポンプ423が吸引動作を行う。このとき、逆止弁421によりパターン形成材料の逆流が阻止されるため、タンク425からポンプ423へとパターン形成材料が引き込まれる。次に、制御部5の制御により制御弁424が閉じられ、ポンプ423が押出動作を行う。これにより、ノズル43から連続的にパターン形成材料が吐出される。
【0029】
図2に示すように、パターン形成材料はほぼ混合液92中に吐出されるため、吐出直後のパターン形成材料は外気中に吐出される場合よりも表面張力が減少した状態となる。その結果、パターン形成材料が表面張力により変形することが抑制され、ステージ移動方向から見た吐出口431の形状(図3参照)に対応する断面形状にてパターン形成材料が基板9上に順次付着する。このとき、パターン形成材料と基板9との密着を阻害する基板9上の不要物は混合液92(特に、エタノール)により除去されるため、基板9上に付着したパターン形成材料は良好な密着性を有する。
【0030】
そして、吐出部42の進行方向(基板9に対する相対的な進行方向)の後方に配置されている光照射部44からの紫外線が混合液92を介して基板9上のパターン形成材料に順次照射される。前述のように、パターン形成材料は紫外線により硬化(架橋反応)が開始する紫外線硬化性樹脂を含んでおり、光照射部44によりパターン形成材料は吐出された直後の断面形状を維持しつつ、吐出後短時間にて硬化する。その結果、パターン形成材料が混合液92内で溶解等することが抑制されるとともに、図5に示すように、パターンの基板9(平行斜線を付して図示)に接する部分の幅に対する高さの比(いわゆる、アスペクト比)が高く、かつ、角が丸みを帯びることが抑制された隔壁パターン91が形成される。なお、水やエタノールは紫外線をほとんど透過するとともに混合液92の液層の深さが浅いため、充分な紫外線がパターン形成材料に照射される。
【0031】
隔壁パターン91は、ステージ3の移動に伴って混合液92の外側へと移動し、エアノズル46より温風が付与され、表面に付着した混合液が除去される。隔壁パターン91に混合液が付着した状態で長時間放置されると、隔壁パターン91が溶解する等の悪影響が生じる恐れがあるが、パターン形成装置1では、温風が付与されて短時間で混合液が除去されるため、隔壁パターン91の形状が適切に維持される。
【0032】
パターン形成材料の吐出が続けられ、基板9上のパターン形成の終点が吐出部42の真下に達すると、パターン形成材料の吐出が停止される(ステップS16)。終点近傍のパターン形成材料の硬化および付着した混合液の除去を行うために基板9はさらに続けて移動し、その後、紫外線の出射および温風の供給が停止される(ステップS17)。基板9は、基板9のステージ移動方向に関する下側の端部から僅かに下側にずれた位置に吐出部42が位置するまで移動し、ステージ3の移動が停止する(ステップS18)。これにより、ノズル43の面432が基板9の主面から離れた状態となり、保持されていた混合液92は基板9上から流出し、液体回収部31において回収される(ステップS19)。
【0033】
以上の工程にて形成された隔壁パターンは他の工程において焼成され、パターン形成材料中の樹脂分が除去されるとともに、低軟化点ガラスフリットが融着して隔壁が形成される。
【0034】
以上のように、パターン形成装置1では、ステージ3の移動に伴って吐出口431から親水性のパターン形成材料が吐出され、これに並行して、親水性の液体が吐出直後のパターン形成材料に付与される。これにより、吐出されたパターン形成材料に液体が良好に付着し、パターン形成材料が表面張力により丸みを帯びることが抑制され、適切な断面形状のパターンを形成することができる。また、ステージ3が水平面に対して傾斜した状態で基板9を保持しつつ、吐出部42が基板9の主面に沿って下側へと相対的に移動することにより、液体の基板9に対する相対移動を容易に行うことができるとともに、隔壁パターンが速やかに液体の外側へと移動する。その結果、液体が隔壁パターンに悪影響を与えることが抑制される。
【0035】
なお、水とエタノールとは必ずしも混合して用いられる必要はなく、水またはエタノールのみでもよい。また、親水性のパターン形成材料が利用される限り、パターン形成材料に付与される液体は、例えば、メタノールやIPA等の分子量が比較的小さいアルコール等の他の親水性の液体でもよく、これにより、液体中におけるパターン形成材料の表面張力が外気中よりも減少する。
【0036】
また、パターン形成装置1において、疎水性のパターン形成材料が使用される場合は、疎水性の液体(例えば、分子量が比較的大きいアルコールや油等)を用いることによりパターン形成材料に液体が良好に付着し、パターン形成材料の表面張力が減少する。これにより、上述の例と同様に、適切な断面形状を有する隔壁パターンが容易に形成される。
【0037】
図6は、本発明の第2の実施の形態に係るパターン形成装置1aの一部を示す図である。図6のパターン形成装置1aでは、液体供給部452に液体の温度を調整する温度調整部453が接続されている。他の構成は、図1に示すパターン形成装置1と同様であり同符号を付している。
【0038】
図6のパターン形成装置1aでは、図4のパターン形成動作の流れにおいて、基板9を保持するステージ3が所定の初期位置に移動した後(ステップS11)、ステップS12において、温度調整部453により一定の温度に冷却された液体が基板9上に供給される。液体の供給は停止することなく継続され、回収ガイド31aへと液体が流れる状態とされる。そして、第1の実施の形態と同様に、各構成の駆動が開始され、パターン形成材料の吐出が開始される(ステップS13〜S15)。
【0039】
吐出された直後のパターン形成材料は、液体により表面張力が抑制されるとともに、急激に冷却されることにより粘度が高い状態となり、吐出口431の形状に対応する所定の断面形状にて基板9上に付着する。なお、液体の供給が継続的に行われ、ノズル43の先端と基板9の上側の部位との間に液体が保持されるとともにノズル43の脇から液体が流れ出す状態とされる。これにより、加熱されたパターン形成材料が吐出される場合であっても液層の温度上昇が防止される。
【0040】
液体内にて光照射部44により隔壁パターン91は硬化し、液体外にてエアノズル46からの温風により付着した液体が除去される。パターン形成は、基板9上の終点まで続けられ、各構成の動作が停止して、パターン形成が終了する(ステップS16〜S19)。
【0041】
以上のように、パターン形成装置1aでは温度調整部453により液体の温度が調整され、これにより、吐出直後のパターン形成材料の粘度が調整される。その結果、パターン形成材料において表面張力の抑制と粘度の調整との相乗効果により、適切な断面形状を有する隔壁パターンが形成される。
【0042】
なお、液体の温度調整は、必ずしも液体供給部452にて行われる必要はなく、例えば、液層が比較的深い場合には、液層の温度を調整するヒートシンクが設けられてもよい。また、パターン形成装置では隔壁パターンに悪影響を与えない範囲で、基板9上の液体が循環されてもよい。例えば、液体回収部31から液体供給部452に液体が戻されてもよい。
【0043】
以上、本発明の実施の形態について説明を行ってきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
【0044】
上記実施の形態では、液体が吐出口431と接しつつ吐出口431の外部にて基板9上に保持されることにより、吐出直後のパターン形成材料に液体が付与されるが、例えば、液体を微小液滴にして噴出する噴出部が設けられることにより、吐出直後のパターン形成材料に液体が付与されてもよい。
【0045】
また、パターン形成材料(または、隔壁パターン)に悪影響を与えない液体が使用される場合には、基板9は必ずしも傾斜した状態で保持される必要はなく、さらに、基板9全体が液体に浸漬されてもよい。
【0046】
基板9は、必ずしも吸着により保持される必要はなく、例えば、基板9の端部をノズルに干渉しない範囲で把持する部材により保持されてもよい。
【0047】
ヘッド部4とステージ3とは基板9の主面に沿う方向に相対的に移動すればよく、例えば、ステージ3が固定され、ヘッド部4に移動機構が設けられてもよい。
【0048】
吐出されたパターン形成材料からの液体の除去は、必ずしも温風の付与により行われる必要はなく、例えば、光の照射による加熱、乾燥したエアの付与により行われてもよい。
【0049】
パターン形成装置は、有機EL表示装置や液晶表示装置等の他の種類の平面表示装置(フラットパネルディスプレイ)における隔壁や配線、電極等のパターンの形成に利用されてもよい。また、基板9もガラス基板には限定されず、樹脂基板、半導体基板等であってもよい。
【0050】
また、パターン形成材料はガラスフリットを含むものに限定されず、電極が形成される場合には、例えば、銀粒子および(紫外線硬化性)樹脂を含むものが利用される。また、パターン形成材料に含まれる硬化性樹脂は必ずしも紫外線により硬化する樹脂である必要はなく、光により硬化する樹脂であれば容易に利用することができる。
【0051】
【発明の効果】
本発明によれば、吐出された直後のパターン形成材料の表面張力を抑制し、適切な断面形状のパターンを形成することができる。
【0052】
また、請求項4の発明では、吐出された直後のパターン形成材料の粘度を調整することができる。
【0053】
また、請求項5の発明では、液体中にてパターン形成材料を硬化することができる。
【0054】
また、請求項6の発明では、吐出されたパターン形成材料に対して液体が悪影響を与えることを抑制することができる。
【0055】
また、請求項7の発明では、基板上のパターン形成材料を速やかに液体の外側に移動することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】パターン形成装置の概略構成を示す図である。
【図2】ヘッド部の下部を示す図である。
【図3】ノズルの下部を示す図である。
【図4】パターンを形成する処理の流れを示す図である。
【図5】隔壁パターンを示す図である。
【図6】第2の実施の形態に係るパターン形成装置を示す図である。
【符号の説明】
1,1a パターン形成装置
2 ステージ移動機構
3 ステージ
9 基板
42 吐出部
44 光照射部
45 液体供給ノズル
46 エアノズル
91 隔壁パターン
92 混合液
431 吐出口
453 温度調整部
S11〜S19 ステップ
【発明の属する技術分野】
本発明は、基板上にパターンを形成する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、プラズマ表示装置や有機EL表示装置等に用いられるパネルに隔壁や電極、蛍光体等のパターンを形成する方法として、サンドブラスト法(フォトリソグラフィ法とも呼ばれる。)、スクリーン印刷法、リフトオフ法等が知られている。しかしながら、これらの方法は煩雑であり、生産コストを増加させる要因となっている。そこで、近年、特許文献1に開示されているように微細な吐出口を有するノズルからペースト状のパターン形成材料を吐出して基板上にパターンを形成する手法が提案されている。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−184303号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、使用されるパターン形成材料の種類によっては、吐出直後のパターン形成材料の断面形状が表面張力(正確には、空気に接する部分の表面張力)の影響により変形してしまうことがある。具体的には、矩形の吐出口に対して、吐出されたパターン形成材料の断面形状の上部の角が丸みを帯びて略半円形に変形してしまうことがあり、断面の形状精度や高アスペクト比が要求されるパターン(特に、隔壁パターン)を形成することが困難となる。
【0005】
また、パターン形成材料を高粘度化することにより表面張力の影響を抑制することも考えられるが、この場合、微細な吐出口からパターン形成材料を円滑に吐出することができなくなってしまう。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、基板上に適切な断面形状を有するパターンを形成することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、基板上にパターンを形成するパターン形成装置であって、基板を保持する保持部と、基板に向けてパターン形成材料を吐出する吐出口が形成された吐出部と、基板の主面に沿う方向に前記吐出部を前記基板に対して相対的に移動する移動機構とを備え、前記吐出部から吐出された直後のパターン形成材料に液体が付与される。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のパターン形成装置であって、付与される液体が前記吐出口の外部にて基板上に保持され、前記液体が前記吐出口と接する。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のパターン形成装置であって、パターン形成材料が親水性である場合は前記液体が親水性であり、パターン形成材料が疎水性である場合は前記液体が疎水性である。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項2または3に記載のパターン形成装置であって、前記液体の温度を調整する温度調整部をさらに備える。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項2ないし4のいずれかに記載のパターン形成装置であって、パターン形成材料が光硬化性樹脂を含み、前記液体中のパターン形成材料に向けて光を照射する光照射部をさらに備える。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項2ないし5のいずれかに記載のパターン形成装置であって、吐出されたパターン形成材料から液体を除去する手段をさらに備える。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項2ないし6のいずれかに記載のパターン形成装置であって、前記保持部が、水平面に対して傾斜した状態で基板を保持し、前記吐出部が基板の主面に沿って下側へと相対的に移動し、前記液体が、前記吐出部と基板の主面の上側の部位との間に保持される。
【0014】
請求項8に記載の発明は、基板上にパターンを形成するパターン形成方法であって、a) 吐出部からパターン形成材料を基板に向けて吐出しつつ前記吐出部を前記基板の主面に沿って相対的に移動する工程と、b) 前記a)工程と並行して吐出直後のパターン形成材料に液体を付与する工程とを有する。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の第1の実施の形態に係るパターン形成装置1の概略構成を示す図である。パターン形成装置1は、プラズマ表示装置のガラス基板(以下、「基板」という。)9上に隔壁のパターン91(例えば、断面形状の幅が数10μm、高さが数百μmの矩形のパターン)を形成する装置であり、隔壁パターンが形成された基板9は他の工程を介してプラズマ表示装置の組立部品であるパネル(通常、リアパネル)となる。
【0016】
パターン形成装置1は、法線が図1中の(+Z)方向から(+X)側に傾斜する面(以下、「傾斜面」という。)111を有する基台11を備え、傾斜面111は、例えば、X軸に対して15度だけ傾斜した状態とされる。傾斜面111上にはステージ移動機構2が設けられ、ステージ移動機構2により基板9を吸引吸着により保持するステージ3が傾斜面111に沿って移動可能とされる。基台11にはステージ3を跨ぐようにしてフレーム12が固定され、フレーム12にはヘッド部4が取り付けられる。
【0017】
ステージ移動機構2は、モータ21にボールねじ22が接続され、さらに、ステージ3に固定されたナット23がボールねじ22に取り付けられた構造となっている。ボールねじ22の上方にはガイドレール24が固定され、モータ21が回転すると、ナット23とともにステージ3がガイドレール24に沿ってY軸に直交しつつ基板9の主面(または、傾斜面111)に沿う方向(以下、「ステージ移動方向」という。)に滑らかに移動する。また、ステージ3において、ステージ移動方向に関する下側(すなわち、(+X)方向に対応する方向)の端部には、後述する水とエタノールとの混合液を受け止める回収ガイド31aが設けられる。回収ガイド31aにて集められた液は液体回収部31へと送られる。
【0018】
ヘッド部4は、基板9上にペースト状のパターン形成材料を吐出する吐出部42、および、基板9に向けて紫外線を出射する光照射部44を有し、吐出部42および光照射部44はフレーム12に固定されたベース41の下部に取り付けられる。吐出部42はY方向に配列された複数の吐出口が形成されたノズル43を有する。光照射部44は吐出部42の(−X)側において基板9に向かって光を出射し、各吐出口に対応する光のスポットを基板9上に形成する。なお、パターン形成材料は親水性であり、低軟化点ガラスフリット、紫外線硬化性樹脂、その他、溶剤や添加剤等を含んでいる。
【0019】
吐出部42には逆止弁421を有する供給管422が取り付けられ、供給管422は分岐しており、一方がポンプ423に接続され、他方が制御弁424を介してパターン形成材料を貯留するタンク425に接続される。光照射部44は光ファイバ441を介して紫外線を発生する光源ユニット442に接続される。
【0020】
ヘッド部4は、さらに、水とエタノールとの混合液(例えば、水が50%、エタノールが50%混合された液体であり、以下、単に「混合液」と呼ぶ。)を基板9上に供給する液体供給ノズル45、および、基板9に向けて温風を付与するエアノズル46を有する。液体供給ノズル45は、液体供給管451を介して混合液を貯留する液体供給部452に接続される。エアノズル46は、エア供給管461を介してエア供給部462に接続され、エア供給部462により温風が供給される。
【0021】
ステージ移動機構2のモータ21、ポンプ423、制御弁424、光源ユニット442、液体供給部452およびエア供給部462は制御部5に接続され、これらの構成が制御部5により制御されることにより、パターン形成装置1による基板9上への隔壁パターンの形成が行われる。
【0022】
図2はヘッド部4の下部を拡大して示す図である。図2に示すように、ノズル43の先端には吐出口431が設けられており、吐出口431は基板9に向かう方向よりもステージ移動方向に関する上側(後述するパターン形成時における進行方向の後側)に傾いた方向を向いている。さらに、ノズル43の先端には基板9の主面に平行な面432が形成され、面432と基板9の主面とが近接した状態とされる。これにより、吐出口431が基板9の主面に近接した状態でパターン形成材料が吐出される。
【0023】
図3はノズル43の下部をステージ移動方向に関する上側から下側を向いて見た様子を示す図である。図3に示すように、ステージ移動方向から見た吐出口431の形状は基板9(平行斜線を付して図示)の法線方向の高さが、ステージ移動方向に垂直な水平方向の幅よりも大きい矩形となっている。
【0024】
図4はパターン形成装置1が隔壁パターンを形成する動作の流れを示す図である。まず、制御部5の制御により、ステージ3がステージ移動方向に関して下側に移動し、ステージ3上に基板9が載置されて吸引吸着により保持される。(ステップS11)。これにより、ノズル43が、基板9のステージ移動方向に関する上側(以下、単に「基板9の上側」ともいう。)の端部から僅かに下側にずれた位置に位置する。
【0025】
続いて、液体供給部452を制御することにより液体供給ノズル45から所定量の混合液が基板9に向けて供給され(ステップS12)、図2に示すように、ノズル43の面432に対向する位置よりも基板9の主面の上側の部位とノズル43との間にて混合液92が保持される。混合液92の液層の深さは、例えば、1mm程度である。また、ノズル43の面432と基板9の主面との間の間隙は微小であるため、この間隙にて混合液92の界面が形成され、混合液92がステージ移動方向に関してノズル43よりも下側に流出することが防止される。なお、パターン形成装置1ではY方向に関して混合液の流出をせき止める部位が設けられていないが、混合液92は表面張力によりY方向に流出することが防止され基板9上に保持される。もちろん、必要に応じて混合液92の流出を防止する部材がパターン形成装置1に設けられてもよい。
【0026】
混合液92の液層が形成されると、光源ユニット442およびエア供給部462が制御され、紫外線の出射および温風の供給が開始される(ステップS13)。図2に示すように、光照射部44から出射された紫外線は、混合液92を介して基板9上に照射される。また、エアノズル46からの温風は、混合液92の外側にて基板9に対して付与される。
【0027】
続いて、制御部5は、ステージ移動機構2を制御することによりステージ移動方向の上側へとステージ3の移動を開始する(ステップS14)。これにより、基板9に対して吐出部42がステージ移動方向の下側へと相対的に移動し、混合液92の液層も重力により基板9に対してステージ移動方向の下側へと相対的に移動する。
【0028】
吐出部42(正確には、吐出口431)が基板9上のパターン形成の始点上に達すると、吐出部42から基板9に向かってパターン形成材料の吐出が開始される(ステップS15)。吐出部42からのパターン形成材料の吐出は、図1に示す逆止弁421、ポンプ423および制御弁424により行われる。まず、制御部5の制御により制御弁424が開放された状態でポンプ423が吸引動作を行う。このとき、逆止弁421によりパターン形成材料の逆流が阻止されるため、タンク425からポンプ423へとパターン形成材料が引き込まれる。次に、制御部5の制御により制御弁424が閉じられ、ポンプ423が押出動作を行う。これにより、ノズル43から連続的にパターン形成材料が吐出される。
【0029】
図2に示すように、パターン形成材料はほぼ混合液92中に吐出されるため、吐出直後のパターン形成材料は外気中に吐出される場合よりも表面張力が減少した状態となる。その結果、パターン形成材料が表面張力により変形することが抑制され、ステージ移動方向から見た吐出口431の形状(図3参照)に対応する断面形状にてパターン形成材料が基板9上に順次付着する。このとき、パターン形成材料と基板9との密着を阻害する基板9上の不要物は混合液92(特に、エタノール)により除去されるため、基板9上に付着したパターン形成材料は良好な密着性を有する。
【0030】
そして、吐出部42の進行方向(基板9に対する相対的な進行方向)の後方に配置されている光照射部44からの紫外線が混合液92を介して基板9上のパターン形成材料に順次照射される。前述のように、パターン形成材料は紫外線により硬化(架橋反応)が開始する紫外線硬化性樹脂を含んでおり、光照射部44によりパターン形成材料は吐出された直後の断面形状を維持しつつ、吐出後短時間にて硬化する。その結果、パターン形成材料が混合液92内で溶解等することが抑制されるとともに、図5に示すように、パターンの基板9(平行斜線を付して図示)に接する部分の幅に対する高さの比(いわゆる、アスペクト比)が高く、かつ、角が丸みを帯びることが抑制された隔壁パターン91が形成される。なお、水やエタノールは紫外線をほとんど透過するとともに混合液92の液層の深さが浅いため、充分な紫外線がパターン形成材料に照射される。
【0031】
隔壁パターン91は、ステージ3の移動に伴って混合液92の外側へと移動し、エアノズル46より温風が付与され、表面に付着した混合液が除去される。隔壁パターン91に混合液が付着した状態で長時間放置されると、隔壁パターン91が溶解する等の悪影響が生じる恐れがあるが、パターン形成装置1では、温風が付与されて短時間で混合液が除去されるため、隔壁パターン91の形状が適切に維持される。
【0032】
パターン形成材料の吐出が続けられ、基板9上のパターン形成の終点が吐出部42の真下に達すると、パターン形成材料の吐出が停止される(ステップS16)。終点近傍のパターン形成材料の硬化および付着した混合液の除去を行うために基板9はさらに続けて移動し、その後、紫外線の出射および温風の供給が停止される(ステップS17)。基板9は、基板9のステージ移動方向に関する下側の端部から僅かに下側にずれた位置に吐出部42が位置するまで移動し、ステージ3の移動が停止する(ステップS18)。これにより、ノズル43の面432が基板9の主面から離れた状態となり、保持されていた混合液92は基板9上から流出し、液体回収部31において回収される(ステップS19)。
【0033】
以上の工程にて形成された隔壁パターンは他の工程において焼成され、パターン形成材料中の樹脂分が除去されるとともに、低軟化点ガラスフリットが融着して隔壁が形成される。
【0034】
以上のように、パターン形成装置1では、ステージ3の移動に伴って吐出口431から親水性のパターン形成材料が吐出され、これに並行して、親水性の液体が吐出直後のパターン形成材料に付与される。これにより、吐出されたパターン形成材料に液体が良好に付着し、パターン形成材料が表面張力により丸みを帯びることが抑制され、適切な断面形状のパターンを形成することができる。また、ステージ3が水平面に対して傾斜した状態で基板9を保持しつつ、吐出部42が基板9の主面に沿って下側へと相対的に移動することにより、液体の基板9に対する相対移動を容易に行うことができるとともに、隔壁パターンが速やかに液体の外側へと移動する。その結果、液体が隔壁パターンに悪影響を与えることが抑制される。
【0035】
なお、水とエタノールとは必ずしも混合して用いられる必要はなく、水またはエタノールのみでもよい。また、親水性のパターン形成材料が利用される限り、パターン形成材料に付与される液体は、例えば、メタノールやIPA等の分子量が比較的小さいアルコール等の他の親水性の液体でもよく、これにより、液体中におけるパターン形成材料の表面張力が外気中よりも減少する。
【0036】
また、パターン形成装置1において、疎水性のパターン形成材料が使用される場合は、疎水性の液体(例えば、分子量が比較的大きいアルコールや油等)を用いることによりパターン形成材料に液体が良好に付着し、パターン形成材料の表面張力が減少する。これにより、上述の例と同様に、適切な断面形状を有する隔壁パターンが容易に形成される。
【0037】
図6は、本発明の第2の実施の形態に係るパターン形成装置1aの一部を示す図である。図6のパターン形成装置1aでは、液体供給部452に液体の温度を調整する温度調整部453が接続されている。他の構成は、図1に示すパターン形成装置1と同様であり同符号を付している。
【0038】
図6のパターン形成装置1aでは、図4のパターン形成動作の流れにおいて、基板9を保持するステージ3が所定の初期位置に移動した後(ステップS11)、ステップS12において、温度調整部453により一定の温度に冷却された液体が基板9上に供給される。液体の供給は停止することなく継続され、回収ガイド31aへと液体が流れる状態とされる。そして、第1の実施の形態と同様に、各構成の駆動が開始され、パターン形成材料の吐出が開始される(ステップS13〜S15)。
【0039】
吐出された直後のパターン形成材料は、液体により表面張力が抑制されるとともに、急激に冷却されることにより粘度が高い状態となり、吐出口431の形状に対応する所定の断面形状にて基板9上に付着する。なお、液体の供給が継続的に行われ、ノズル43の先端と基板9の上側の部位との間に液体が保持されるとともにノズル43の脇から液体が流れ出す状態とされる。これにより、加熱されたパターン形成材料が吐出される場合であっても液層の温度上昇が防止される。
【0040】
液体内にて光照射部44により隔壁パターン91は硬化し、液体外にてエアノズル46からの温風により付着した液体が除去される。パターン形成は、基板9上の終点まで続けられ、各構成の動作が停止して、パターン形成が終了する(ステップS16〜S19)。
【0041】
以上のように、パターン形成装置1aでは温度調整部453により液体の温度が調整され、これにより、吐出直後のパターン形成材料の粘度が調整される。その結果、パターン形成材料において表面張力の抑制と粘度の調整との相乗効果により、適切な断面形状を有する隔壁パターンが形成される。
【0042】
なお、液体の温度調整は、必ずしも液体供給部452にて行われる必要はなく、例えば、液層が比較的深い場合には、液層の温度を調整するヒートシンクが設けられてもよい。また、パターン形成装置では隔壁パターンに悪影響を与えない範囲で、基板9上の液体が循環されてもよい。例えば、液体回収部31から液体供給部452に液体が戻されてもよい。
【0043】
以上、本発明の実施の形態について説明を行ってきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
【0044】
上記実施の形態では、液体が吐出口431と接しつつ吐出口431の外部にて基板9上に保持されることにより、吐出直後のパターン形成材料に液体が付与されるが、例えば、液体を微小液滴にして噴出する噴出部が設けられることにより、吐出直後のパターン形成材料に液体が付与されてもよい。
【0045】
また、パターン形成材料(または、隔壁パターン)に悪影響を与えない液体が使用される場合には、基板9は必ずしも傾斜した状態で保持される必要はなく、さらに、基板9全体が液体に浸漬されてもよい。
【0046】
基板9は、必ずしも吸着により保持される必要はなく、例えば、基板9の端部をノズルに干渉しない範囲で把持する部材により保持されてもよい。
【0047】
ヘッド部4とステージ3とは基板9の主面に沿う方向に相対的に移動すればよく、例えば、ステージ3が固定され、ヘッド部4に移動機構が設けられてもよい。
【0048】
吐出されたパターン形成材料からの液体の除去は、必ずしも温風の付与により行われる必要はなく、例えば、光の照射による加熱、乾燥したエアの付与により行われてもよい。
【0049】
パターン形成装置は、有機EL表示装置や液晶表示装置等の他の種類の平面表示装置(フラットパネルディスプレイ)における隔壁や配線、電極等のパターンの形成に利用されてもよい。また、基板9もガラス基板には限定されず、樹脂基板、半導体基板等であってもよい。
【0050】
また、パターン形成材料はガラスフリットを含むものに限定されず、電極が形成される場合には、例えば、銀粒子および(紫外線硬化性)樹脂を含むものが利用される。また、パターン形成材料に含まれる硬化性樹脂は必ずしも紫外線により硬化する樹脂である必要はなく、光により硬化する樹脂であれば容易に利用することができる。
【0051】
【発明の効果】
本発明によれば、吐出された直後のパターン形成材料の表面張力を抑制し、適切な断面形状のパターンを形成することができる。
【0052】
また、請求項4の発明では、吐出された直後のパターン形成材料の粘度を調整することができる。
【0053】
また、請求項5の発明では、液体中にてパターン形成材料を硬化することができる。
【0054】
また、請求項6の発明では、吐出されたパターン形成材料に対して液体が悪影響を与えることを抑制することができる。
【0055】
また、請求項7の発明では、基板上のパターン形成材料を速やかに液体の外側に移動することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】パターン形成装置の概略構成を示す図である。
【図2】ヘッド部の下部を示す図である。
【図3】ノズルの下部を示す図である。
【図4】パターンを形成する処理の流れを示す図である。
【図5】隔壁パターンを示す図である。
【図6】第2の実施の形態に係るパターン形成装置を示す図である。
【符号の説明】
1,1a パターン形成装置
2 ステージ移動機構
3 ステージ
9 基板
42 吐出部
44 光照射部
45 液体供給ノズル
46 エアノズル
91 隔壁パターン
92 混合液
431 吐出口
453 温度調整部
S11〜S19 ステップ
Claims (8)
- 基板上にパターンを形成するパターン形成装置であって、
基板を保持する保持部と、
基板に向けてパターン形成材料を吐出する吐出口が形成された吐出部と、
基板の主面に沿う方向に前記吐出部を前記基板に対して相対的に移動する移動機構と、
を備え、
前記吐出部から吐出された直後のパターン形成材料に液体が付与されることを特徴とするパターン形成装置。 - 請求項1に記載のパターン形成装置であって、
付与される液体が前記吐出口の外部にて基板上に保持され、前記液体が前記吐出口と接することを特徴とするパターン形成装置。 - 請求項2に記載のパターン形成装置であって、
パターン形成材料が親水性である場合は前記液体が親水性であり、パターン形成材料が疎水性である場合は前記液体が疎水性であることを特徴とするパターン形成装置。 - 請求項2または3に記載のパターン形成装置であって、
前記液体の温度を調整する温度調整部をさらに備えることを特徴とするパターン形成装置。 - 請求項2ないし4のいずれかに記載のパターン形成装置であって、
パターン形成材料が光硬化性樹脂を含み、前記液体中のパターン形成材料に向けて光を照射する光照射部をさらに備えることを特徴とするパターン形成装置。 - 請求項2ないし5のいずれかに記載のパターン形成装置であって、
吐出されたパターン形成材料から液体を除去する手段をさらに備えることを特徴とするパターン形成装置。 - 請求項2ないし6のいずれかに記載のパターン形成装置であって、
前記保持部が、水平面に対して傾斜した状態で基板を保持し、前記吐出部が基板の主面に沿って下側へと相対的に移動し、
前記液体が、前記吐出部と基板の主面の上側の部位との間に保持されることを特徴とするパターン形成装置。 - 基板上にパターンを形成するパターン形成方法であって、
a) 吐出部からパターン形成材料を基板に向けて吐出しつつ前記吐出部を前記基板の主面に沿って相対的に移動する工程と、
b) 前記a)工程と並行して吐出直後のパターン形成材料に液体を付与する工程と、
を有することを特徴とするパターン形成方法。
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JP2002353358A JP2004184800A (ja) | 2002-12-05 | 2002-12-05 | パターン形成装置およびパターン形成方法 |
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JP2010205528A (ja) * | 2009-03-03 | 2010-09-16 | Sumitomo Chemical Co Ltd | 有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法 |
JP2017201429A (ja) * | 2003-12-15 | 2017-11-09 | 株式会社ニコン | ステージ装置、露光装置、及びデバイス製造方法 |
-
2002
- 2002-12-05 JP JP2002353358A patent/JP2004184800A/ja active Pending
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