JP2004184146A - ニップ幅検出装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ニップ幅検出作業の容易化、効率化等を図ることが可能なニップ幅検出装置を提供する。
【解決手段】定盤上に設けられた版に接触しつつ当該版にインキを供給する回転体と、前記版及び前記回転体との接触圧力を制御する接触圧力制御部とを備えた印刷機における前記回転体のニップ幅を検出するニップ幅検出装置であって、前記版の版面に電極層が形成され、前記回転体の外周面の少なくとも前記版に接触する部分に誘電体層が形成され、当該回転体の内周面の少なくとも誘電体層が形成された部分に電極層が形成されており、前記版に形成された電極層と前記回転体に形成された電極層間に電圧を印加し、前記誘電体層の静電容量を測定する静電容量測定手段と、を備える。
【選択図】 図1
【解決手段】定盤上に設けられた版に接触しつつ当該版にインキを供給する回転体と、前記版及び前記回転体との接触圧力を制御する接触圧力制御部とを備えた印刷機における前記回転体のニップ幅を検出するニップ幅検出装置であって、前記版の版面に電極層が形成され、前記回転体の外周面の少なくとも前記版に接触する部分に誘電体層が形成され、当該回転体の内周面の少なくとも誘電体層が形成された部分に電極層が形成されており、前記版に形成された電極層と前記回転体に形成された電極層間に電圧を印加し、前記誘電体層の静電容量を測定する静電容量測定手段と、を備える。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、定盤上に設けられた版に接触しつつ当該版にインキを供給する回転体と、前記版及び前記回転体との接触圧力を制御する接触圧力制御部とを備えた印刷機における前記回転体のニップ幅を検出するニップ幅検出装置の技術分野に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の平台オフセット印刷機では、版とロール(例えば、ゴムロール)若しくは、版とゴムブランケット若しくは、ロールとロール間の接触圧力を管理する際に、ニップ幅(版とロールとの接触幅若しくは、版とゴムブランケットとの接触幅若しくは、ロールとロール間の接触幅)を測定し、接触圧力を管理していた。
【特許文献1】
特開平8−16025号公報
かかるニップ幅を測定する手法として、例えば、図7に示すように、感圧紙を用いてニップ幅を測定したり、特許文献1に開示されるように、ベタ黒コピーに形成されたニップの跡からニップ幅を測定することが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の平台オフセット印刷機のように、感圧紙等を用いてニップ幅を測定する場合、例えば、当該感圧紙を版とゴムロールの隙間に設置するため、この隙間が狭い場合や、ゴムロール周辺に他の機構、装置が併設されている場合、この作業が困難であり、ニップ幅の測定に時間を要していた。
【0004】
また、感圧紙によるニップ幅の測定においては、機械調整の後に行われる作業手順であったため、測定結果確認後、再調整が必要な場合は、再度同様の作業を繰り返す必要があり、多大な作業時間を要していた。さらに、使用する感圧紙の種類(感度)によってニップ幅が異なるため、評価や管理、他の装置との比較には注意を要していた。
【0005】
そこで、本発明は、上記課題の一例に鑑みてなされたものであり、ニップ幅検出作業の容易化、効率化等を図ることが可能なニップ幅検出装置を提供することを目的する。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、定盤上に設けられた版に接触しつつ当該版にインキを供給する回転体と、前記版及び前記回転体との接触圧力を制御する接触圧力制御部とを備えた印刷機における前記回転体のニップ幅を検出するニップ幅検出装置であって、前記版の版面に電極層が形成され、前記回転体の外周面の少なくとも前記版に接触する部分に誘電体層が形成され、当該回転体の内周面の少なくとも誘電体層が形成された部分に電極層が形成されており、前記版に形成された電極層と前記回転体に形成された電極層間に電圧を印加し、前記誘電体層の静電容量を測定する静電容量測定手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、感圧紙等を使用せずにニップ幅に対応する誘電体層の静電容量(ニップ幅検出の基になる静電容量)を測定することができるので、ニップ幅が感圧紙等に影響されることなく、また、ニップ幅検出作業の容易化、効率化を図ることができる。また、これにより、機械調整を行いながら、ニップ幅の検出を行うことができるので、機械調整の時間を短縮することができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のニップ幅検出装置において、前記測定された前記静電容量に基づいて、前記ニップ幅を算出するニップ幅算出手段をさらに備えることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、感圧紙等を使用せずにニップ幅の検出(算出)ができるので、ニップ幅が感圧紙等に影響されることなく、また、ニップ幅検出作業の容易化、効率化を図ることができる。また、これにより、機械調整を行いながら、ニップ幅の検出を行うことができるので、機械調整の時間を短縮することができる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載のニップ幅検出装置において、前記版はPS版であって、前記版面に形成された電極層上に感光層が形成されており、前記静電容量測定手段は、前記誘電体層及び前記感光層の静電容量を測定することを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の何れか一項に記載のニップ幅検出装置において、前記版及び前記回転体における電極層は、前記版及び前記回転体の複数部分に分離して複数対形成されており、前記静電容量測定手段は、前記複数対それぞれの電極層間に電圧を印加し、前記回転体の複数部分における誘電体層の静電容量をそれぞれ測定することを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の発明によれば、回転体の複数部分のニップ幅を検出することができるようになるので、回転体の全体にわたってニップ幅を均等に調整することができる。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4の何れか一項に記載のニップ幅検出装置において、前記測定された前記静電容量に基づいて前記ニップ幅の変動を判定するニップ幅変動判定手段をさらに備え、前記接触圧力制御部は、前記ニップ幅変動判定手段における判定結果に基づいて、前記版及び前記回転体における接触圧力を調整することを特徴とする。
【0014】
請求項5に記載の発明によれば、印刷機を随時適正な接触圧力で稼動させることができる。
【0015】
請求項6に記載の発明は、平行して圧接する2つの回転体と、当該回転体の接触圧力を制御する接触圧力制御部とを備えた印刷機における前記回転体のニップ幅を検出するニップ幅検出装置であって、一方の前記回転体の表面に電極層が形成され、他方の前記回転体の外周面の少なくとも前記一方の回転体に接触する部分に誘電体層が形成され、当該回転体の内周面の少なくとも誘電体層が形成された部分に電極層が形成されており、前記2つの回転体に形成された電極層間に電圧を印加し、前記誘電体層の静電容量を測定する静電容量測定手段と、を備えることを特徴とする。
【0016】
請求項6に記載の発明によれば、感圧紙等を使用せずにニップ幅に対応する誘電体層の静電容量(ニップ幅検出の基になる静電容量)を測定することができるので、ニップ幅が感圧紙等に影響されることなく、また、ニップ幅検出作業の容易化、効率化を図ることができる。また、これにより、機械調整を行いながら、ニップ幅の検出を行うことができるので、機械調整の時間を短縮することができる。
【0017】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載のニップ幅検出装置において、前記測定された前記静電容量に基づいて、前記ニップ幅を算出するニップ幅算出手段をさらに備えることを特徴とする。
【0018】
請求項7に記載の発明によれば、感圧紙等を使用せずにニップ幅の検出(算出)ができるので、ニップ幅が感圧紙等に影響されることなく、また、ニップ幅検出作業の容易化、効率化を図ることができる。また、これにより、機械調整を行いながら、ニップ幅の検出を行うことができるので、機械調整の時間を短縮することができる。
【0019】
請求項8に記載の発明は、請求項6または7に記載のニップ幅検出装置において、前記回転体における電極層は、前記回転体の複数部分に分離して複数対形成されており、前記静電容量測定手段は、前記複数対それぞれの電極層間に電圧を印加し、前記回転体の複数部分における誘電体層の静電容量をそれぞれ測定することを特徴とする。
【0020】
請求項8に記載の発明によれば、回転体の複数部分のニップ幅を検出することができるようになるので、回転体の全体にわたってニップ幅を均等に調整することができる。
【0021】
請求項9に記載の発明は、請求項6乃至8の何れか一項に記載のニップ幅検出装置において、前記測定された前記静電容量に基づいて前記ニップ幅の変動を判定するニップ幅変動判定手段をさらに備え、前記接触圧力制御部は、前記ニップ幅変動判定手段における判定結果に基づいて、前記回転体における接触圧力を調整することを特徴とする。
【0022】
請求項9に記載の発明によれば、印刷機を随時適正な接触圧力で稼動させることができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0024】
図1は、本発明の一実施形態におけるニップ幅検出装置の概要構成例を示す図である。
【0025】
図1に示すように、ニップ幅検出装置1は、大別して、印刷機としての平台オフセット印刷機11と、静電容量測定手段としてのキャパシタンスメータ12と、ニップ幅算出手段としての演算処理部13と、を含んで構成される。
【0026】
平台オフセット印刷機11は、定盤21上に設けられた版22に接触しつつ当該版22にインキを供給する回転体23と、版22及び回転体23との接触圧力を制御する接触圧力制御部24とを備えている。
【0027】
回転体23には、例えば、公知のゴムロールや、ゴムブランケットを適用することができる。図2は、回転体23の一例として、ゴムロールの構造を示す図である。図2に示すように、回転体23としてのゴムロール23は、例えば、円柱形の鉄芯23aの長手方向における外周面(外周表面)に電気的な絶縁特性を有する絶縁膜層23bが形成され、その上に電極層としての金属膜層23cが形成(積層)され(鉄芯23a両端部を除く)を、その上に誘電体層としてのゴム層23dが形成(積層)されて構成される。また、図示のように、鉄芯23aの片端部には、金属膜層23cに接続される引き出し電極23eが絶縁膜層23b上に形成されている。この引き出し電極23eから配線が引き出され、キャパシタンスメータ12の一方の電極端子に接続されることになる。なお、絶縁膜層23b及び金属膜層23cは、その電気的特性を満足できれば、数百μm程度、或いはそれ以下の膜厚で良い。
【0028】
また、回転体23は、駆動用モータ(図示せず)によって、所定の回転量で回転し、例えば、図1中のA方向に移動するとともに、インキ収納壷(図示せず)内からインキを導き出し、版22にインキを供給して充填させるようになっている。なお、回転体23の駆動機構については、公知の技術であり、本発明と直接の関係がないので、詳しい説明を省略する。
【0029】
定盤21上に設けられた版22の表面には、電極層としての金属膜層22aが形成されており、これは回転体23の金属膜層23cの対向電極になっている。この金属膜層22aも、その電気的特性を満足できれば、数百μm程度、或いはそれ以下の膜厚で良い。また、この金属膜層22aから配線が引き出され、キャパシタンスメータ12の他方の電極端子に接続される。また、この版22の金属膜層22a上に、回転体23のゴム層23dが接触することになる。この時の接触圧力、つまり、回転体23が版22の方向に加圧される圧力は、接触圧力制御部24によって制御される。また、図3は、この時の回転体23(ゴム層23d)と版22(金属膜層22a)との接触部分における接触幅(ニップ幅)を示すための図である。図3から分かるように、このニップ幅は、接触圧力制御部24による接触圧力の変化に応じて変動するものである。
【0030】
また、回転体23と版22との接触部分では、回転体23の金属膜層23cと版22の金属膜層22aとの一対の電極の間に回転体23のゴム層23dを挟むことにより、図4に示すような平行平板コンデンサの状態となっている。
【0031】
キャパシタンスメータ12は、金属膜層23c及び金属膜層22aから引き出された配線を通じて、この一対の電極間に電圧Vを印加し、ゴム層23dの静電容量Cを測定する機能を有する。
【0032】
演算処理部13は、CPUを主体として構成され、RAM、ROM等の記憶部を備え、測定された静電容量Cに基づいて、ニップ幅を算出する機能を有する。
【0033】
静電容量C[F:ファラト゛]は、一般に、下記(1)式で与えられる。
【0034】
C=Q/V=ε0*ε*S/d・・・(1)
ここで、Qは電荷量[C:クーロン]を、ε0は真空中の誘電率(8.855F*10−12[F/m])を、εは誘電体の比誘電率を、Sは電極面積[m2]を、dは電極間距離[m]を、それぞれ示す。
【0035】
また、電極面積Sは、下記(2)式で与えられる。
【0036】
S=L*t・・・(2)
ここで、Lは電極幅を、tはニップ幅を、それぞれ示す。
【0037】
つまり、ニップ幅tは、下記(3)式で求めることができる。
【0038】
t=C*d/(ε0*ε*L)・・・(3)
ここで、電極間距離dは回転体23のゴム層23dの厚み(膜厚)であり、真空中の誘電率ε0は8.855F*10−12[F/m]で一定であり、比誘電率εは回転体23のゴム層23dのゴムの種類(例えば、天然ゴム、ウレタンゴム等)により固有の値であり、Lはゴムロール23の長手方向の長さであるので、何れも既知であるので、静電容量Cを測定することにより、ニップ幅tを求めることができる。
【0039】
即ち、演算処理部13は、(3)式における各パラメータの値を記憶部に記憶し、キャパシタンスメータ12にて測定された静電容量Cの値を受けて、(3)式の演算を実行することにより、ニップ幅tを算出する。このように算出されたニップ幅tは、記憶部に記憶され管理されるとともに、演算処理部13から、例えば、図示しないディスプレイ等に出力、表示される。これによって、例えば、オペレータが、接触圧力制御部24等を通じて機械調整をし、適正な接触圧力に調整することができる。
【0040】
以上説明したように上記実施形態によれば、感圧紙等を使用せずにニップ幅tの検出ができるので、ニップ幅tが感圧紙等に影響されることなく、また、ニップ幅tの検出作業の容易化、効率化を図ることができる。また、機械調整を行いながら、ニップ幅tの検出を行うことができるので、機械調整の時間を短縮することができる。
【0041】
なお、上記実施形態において、版22の表面に電極層としての金属膜層22aが形成されるように構成したが、版22にオフセット印刷用のPS(Pre−sensitized)を用いても上記実施形態と同様の効果を得ることができる。このPS版は、アルミ板面上に感光層が形成されるものであり、このアルミ板を電極層として用いる。つまり、回転体23とPS版との接触部分では、回転体23の金属膜層23cとPS版のアルミ板との一対の電極の間に、誘電体1(回転体23のゴム層23d)及び誘電体2(PS版の感光層)を挟むことにより、図5に示すような平行平板コンデンサの状態となる。
【0042】
この場合、静電容量C[F:ファラト゛]は、下記(4)式で与えられる。
【0043】
C={(ε0*ε1*S/d1)−1+(ε0*ε2*S/d2)−1}−1・・・(4)
ここで、ε1はゴム層23dの比誘電率を、ε2は感光層の比誘電率を、d1はゴム層23dの厚み(膜厚)を、d2は感光層の厚み(膜厚)を、それぞれ示す。これらの値は既知であるので、上記実施形態と同様、静電容量Cを測定すれば、(2)式により、ニップ幅tを算出することができる。
【0044】
さらに、ここで、ゴム層23dに導電性ゴムを使用した場合、金属膜層23c及びゴム層23dが電極層となるので、回転体23のゴム層23dとPS版のアルミ板との一対の電極の間に、誘電体としてのPS版の感光層を挟む平行平板コンデンサの状態とみなすことができ、上記と同様にニップ幅tを算出することができる。
【0045】
また、上記実施形態においては、版22及び回転体23に形成された一対の電極層について説明したが、この変形例として、複数対の電極層を版22及び回転体23の複数部分に分離(分割)して形成するように構成してもよい。この場合、複数対それぞれの電極層から配線を引き出しキャパシタンスメータ12の電極端子に接続して、キャパシタンスメータ12が、複数対それぞれの電極層間に電圧を印加し、回転体23の複数部分における誘電体層(例えば、回転体23のゴム層23d)の静電容量C1〜Cnをそれぞれ測定する。例えば、回転体23の長手方向の中央で、電極層を2分離(分割)し左右の2対それぞれの電極層間に電圧を印加し、回転体23の左右部分における誘電体層の静電容量C1及びC2をそれぞれ測定する。また、例えば、回転体23の長手方向の左、中央、右で、電極層を3分離(分割)し、左,中央,右の3対それぞれの電極層間に電圧を印加し、回転体23の左,中央,右部分における誘電体層の静電容量C1〜C3をそれぞれ測定する。そして、演算処理部13は、このように算出された静電容量C1〜Cnに基づいて、回転体23それぞれの部分におけるニップ幅t1〜tnを算出する。このような構成によれば、回転体23それぞれの部分におけるニップ幅t1〜tnが等しくなるように機械調整をし、回転体の23の長手方向においてニップ幅を均等にすることができる。
【0046】
また、上記実施形態において、演算処理部13が、キャパシタンスメータ12により測定された静電容量Cに基づいてニップ幅tの変動を判定するニップ幅変動判定手段として機能させ、接触圧力制御部24は、その判定結果に基づいて、自動的に版22及び回転体23における接触圧力を調整するように構成してもよい。例えば、上記構成により得られた最適なニップ幅tに対応する静電容量Cを演算処理部13に記憶させておき、平台オフセット印刷機11の稼動時において測定された静電容量Cとを比較し、所定の差が生じている場合にニップ幅tが変動していると判定して、接触圧力制御部24に対し接触圧力の調整指令(例えば、加圧量情報)を出力(フィードバック)する(図1の点線部分)。接触圧力制御部24は、かかる指令に応じ、適正な接触圧力に調整する。このような構成によれば、平台オフセット印刷機11を、随時適正な接触圧力で稼動させることができる。
【0047】
なお、上記実施形態においては、この時の回転体23と版22との接触部分における接触幅(ニップ幅)を検出するように構成したが、この変形例として、回転体と回転体間における接触幅(ニップ幅)を検出するように構成してもよい。図6は、この変形例におけるニップ幅検出装置の概要構成例を示す図である。
【0048】
図6に示すニップ幅検出装置2は、図1に示すニップ幅検出装置1における定盤21の代わりに回転体51を備えている。回転体51と回転体23は、平行して圧接されており、この回転体51の表面には、電極層としての金属膜層51aが形成され、これは回転体23の金属膜層23cの対向電極になっている。つまり、上記実施形態と同様、回転体51と回転体23との接触部分では、回転体51の金属膜層51aと回転体23の金属膜層23cとの一対の電極の間に回転体23のゴム層23dを挟むことにより、平行平板コンデンサの状態となっている。
【0049】
そして、金属膜層51aから配線が引き出され、キャパシタンスメータ12の他方の電極端子に接続されることにより、キャパシタンスメータ12は、金属膜層23c及び金属膜層51aから引き出された配線を通じて、この一対の電極間に電圧Vを印加し、ゴム層23dの静電容量Cを測定し、その測定データを演算処理部13に出力する。演算処理部13は、上記実施形態において説明したように、その測定データ(容量Cの値)を受けて、(3)式の演算を実行することにより、ニップ幅tを算出する。なお、回転体51には、回転体23と同様に、公知のゴムロールや、ゴムブランケットを適用することができる。また、金属膜層51aは、その電気的特性を満足できれば、数百μm程度、或いはそれ以下の膜厚で良い。
【0050】
このような構成によれば、感圧紙等を使用せずに回転体と回転体間における接触幅(ニップ幅)を検出することができ、ニップ幅tの検出作業の容易化、効率化を図ることができる。
【0051】
なお、回転体と回転体間における接触幅(ニップ幅)を検出する変形例においても、上記にて説明したように、複数対の電極層を回転体51及び回転体23の複数部分に分離(分割)して形成するように構成してもよい。また、演算処理部13が、キャパシタンスメータ12により測定された静電容量Cに基づいてニップ幅tの変動を判定するニップ幅変動判定手段として機能させ、接触圧力制御部24は、その判定結果に基づいて、自動的に回転体51及び回転体23における接触圧力を調整するように構成してもよい。
【0052】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、感圧紙等を使用せずにニップ幅に対応する誘電体層の静電容量(ニップ幅検出の基になる静電容量)を測定することができるので、ニップ幅が感圧紙等に影響されることなく、また、ニップ幅検出作業の容易化、効率化を図ることができる。また、これにより、機械調整を行いながら、ニップ幅の検出を行うことができるので、機械調整の時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態におけるニップ幅検出装置の概要構成例を示す図である。
【図2】回転体23の一例として、ゴムロールの構造を示す図である。
【図3】回転体23と版22との接触部分における接触幅(ニップ幅)を示すための図である。
【図4】回転体23の金属膜層23cと版22の金属膜層22aとの一対の電極の間に回転体23のゴム層23dを挟むことにより形成された平行平板コンデンサの状態を示すための図である。
【図5】回転体23の金属膜層23cとアルミ板との一対の電極の間に、2層の誘電体を挟むことにより形成された平行平板コンデンサの状態を示すための図である。
【図6】本発明の他の実施形態におけるニップ幅検出装置の概要構成例を示す図である。
【図7】従来の平台オフセット印刷機において、感圧紙を用いてニップ幅を測定する場合の様子を示すための図である。
【符号の説明】
1,2 ニップ幅検出装置
11 平台オフセット印刷機
12 キャパシタンスメータ
13 演算処理部
21 定盤
22 版
22a,51a 金属膜層
23,51 回転体
23a 鉄芯
23b 絶縁膜層
23c 金属膜層
23d ゴム層
24 接触圧力制御部
【発明の属する技術分野】
本発明は、定盤上に設けられた版に接触しつつ当該版にインキを供給する回転体と、前記版及び前記回転体との接触圧力を制御する接触圧力制御部とを備えた印刷機における前記回転体のニップ幅を検出するニップ幅検出装置の技術分野に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の平台オフセット印刷機では、版とロール(例えば、ゴムロール)若しくは、版とゴムブランケット若しくは、ロールとロール間の接触圧力を管理する際に、ニップ幅(版とロールとの接触幅若しくは、版とゴムブランケットとの接触幅若しくは、ロールとロール間の接触幅)を測定し、接触圧力を管理していた。
【特許文献1】
特開平8−16025号公報
かかるニップ幅を測定する手法として、例えば、図7に示すように、感圧紙を用いてニップ幅を測定したり、特許文献1に開示されるように、ベタ黒コピーに形成されたニップの跡からニップ幅を測定することが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の平台オフセット印刷機のように、感圧紙等を用いてニップ幅を測定する場合、例えば、当該感圧紙を版とゴムロールの隙間に設置するため、この隙間が狭い場合や、ゴムロール周辺に他の機構、装置が併設されている場合、この作業が困難であり、ニップ幅の測定に時間を要していた。
【0004】
また、感圧紙によるニップ幅の測定においては、機械調整の後に行われる作業手順であったため、測定結果確認後、再調整が必要な場合は、再度同様の作業を繰り返す必要があり、多大な作業時間を要していた。さらに、使用する感圧紙の種類(感度)によってニップ幅が異なるため、評価や管理、他の装置との比較には注意を要していた。
【0005】
そこで、本発明は、上記課題の一例に鑑みてなされたものであり、ニップ幅検出作業の容易化、効率化等を図ることが可能なニップ幅検出装置を提供することを目的する。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、定盤上に設けられた版に接触しつつ当該版にインキを供給する回転体と、前記版及び前記回転体との接触圧力を制御する接触圧力制御部とを備えた印刷機における前記回転体のニップ幅を検出するニップ幅検出装置であって、前記版の版面に電極層が形成され、前記回転体の外周面の少なくとも前記版に接触する部分に誘電体層が形成され、当該回転体の内周面の少なくとも誘電体層が形成された部分に電極層が形成されており、前記版に形成された電極層と前記回転体に形成された電極層間に電圧を印加し、前記誘電体層の静電容量を測定する静電容量測定手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、感圧紙等を使用せずにニップ幅に対応する誘電体層の静電容量(ニップ幅検出の基になる静電容量)を測定することができるので、ニップ幅が感圧紙等に影響されることなく、また、ニップ幅検出作業の容易化、効率化を図ることができる。また、これにより、機械調整を行いながら、ニップ幅の検出を行うことができるので、機械調整の時間を短縮することができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のニップ幅検出装置において、前記測定された前記静電容量に基づいて、前記ニップ幅を算出するニップ幅算出手段をさらに備えることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、感圧紙等を使用せずにニップ幅の検出(算出)ができるので、ニップ幅が感圧紙等に影響されることなく、また、ニップ幅検出作業の容易化、効率化を図ることができる。また、これにより、機械調整を行いながら、ニップ幅の検出を行うことができるので、機械調整の時間を短縮することができる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載のニップ幅検出装置において、前記版はPS版であって、前記版面に形成された電極層上に感光層が形成されており、前記静電容量測定手段は、前記誘電体層及び前記感光層の静電容量を測定することを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の何れか一項に記載のニップ幅検出装置において、前記版及び前記回転体における電極層は、前記版及び前記回転体の複数部分に分離して複数対形成されており、前記静電容量測定手段は、前記複数対それぞれの電極層間に電圧を印加し、前記回転体の複数部分における誘電体層の静電容量をそれぞれ測定することを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の発明によれば、回転体の複数部分のニップ幅を検出することができるようになるので、回転体の全体にわたってニップ幅を均等に調整することができる。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4の何れか一項に記載のニップ幅検出装置において、前記測定された前記静電容量に基づいて前記ニップ幅の変動を判定するニップ幅変動判定手段をさらに備え、前記接触圧力制御部は、前記ニップ幅変動判定手段における判定結果に基づいて、前記版及び前記回転体における接触圧力を調整することを特徴とする。
【0014】
請求項5に記載の発明によれば、印刷機を随時適正な接触圧力で稼動させることができる。
【0015】
請求項6に記載の発明は、平行して圧接する2つの回転体と、当該回転体の接触圧力を制御する接触圧力制御部とを備えた印刷機における前記回転体のニップ幅を検出するニップ幅検出装置であって、一方の前記回転体の表面に電極層が形成され、他方の前記回転体の外周面の少なくとも前記一方の回転体に接触する部分に誘電体層が形成され、当該回転体の内周面の少なくとも誘電体層が形成された部分に電極層が形成されており、前記2つの回転体に形成された電極層間に電圧を印加し、前記誘電体層の静電容量を測定する静電容量測定手段と、を備えることを特徴とする。
【0016】
請求項6に記載の発明によれば、感圧紙等を使用せずにニップ幅に対応する誘電体層の静電容量(ニップ幅検出の基になる静電容量)を測定することができるので、ニップ幅が感圧紙等に影響されることなく、また、ニップ幅検出作業の容易化、効率化を図ることができる。また、これにより、機械調整を行いながら、ニップ幅の検出を行うことができるので、機械調整の時間を短縮することができる。
【0017】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載のニップ幅検出装置において、前記測定された前記静電容量に基づいて、前記ニップ幅を算出するニップ幅算出手段をさらに備えることを特徴とする。
【0018】
請求項7に記載の発明によれば、感圧紙等を使用せずにニップ幅の検出(算出)ができるので、ニップ幅が感圧紙等に影響されることなく、また、ニップ幅検出作業の容易化、効率化を図ることができる。また、これにより、機械調整を行いながら、ニップ幅の検出を行うことができるので、機械調整の時間を短縮することができる。
【0019】
請求項8に記載の発明は、請求項6または7に記載のニップ幅検出装置において、前記回転体における電極層は、前記回転体の複数部分に分離して複数対形成されており、前記静電容量測定手段は、前記複数対それぞれの電極層間に電圧を印加し、前記回転体の複数部分における誘電体層の静電容量をそれぞれ測定することを特徴とする。
【0020】
請求項8に記載の発明によれば、回転体の複数部分のニップ幅を検出することができるようになるので、回転体の全体にわたってニップ幅を均等に調整することができる。
【0021】
請求項9に記載の発明は、請求項6乃至8の何れか一項に記載のニップ幅検出装置において、前記測定された前記静電容量に基づいて前記ニップ幅の変動を判定するニップ幅変動判定手段をさらに備え、前記接触圧力制御部は、前記ニップ幅変動判定手段における判定結果に基づいて、前記回転体における接触圧力を調整することを特徴とする。
【0022】
請求項9に記載の発明によれば、印刷機を随時適正な接触圧力で稼動させることができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0024】
図1は、本発明の一実施形態におけるニップ幅検出装置の概要構成例を示す図である。
【0025】
図1に示すように、ニップ幅検出装置1は、大別して、印刷機としての平台オフセット印刷機11と、静電容量測定手段としてのキャパシタンスメータ12と、ニップ幅算出手段としての演算処理部13と、を含んで構成される。
【0026】
平台オフセット印刷機11は、定盤21上に設けられた版22に接触しつつ当該版22にインキを供給する回転体23と、版22及び回転体23との接触圧力を制御する接触圧力制御部24とを備えている。
【0027】
回転体23には、例えば、公知のゴムロールや、ゴムブランケットを適用することができる。図2は、回転体23の一例として、ゴムロールの構造を示す図である。図2に示すように、回転体23としてのゴムロール23は、例えば、円柱形の鉄芯23aの長手方向における外周面(外周表面)に電気的な絶縁特性を有する絶縁膜層23bが形成され、その上に電極層としての金属膜層23cが形成(積層)され(鉄芯23a両端部を除く)を、その上に誘電体層としてのゴム層23dが形成(積層)されて構成される。また、図示のように、鉄芯23aの片端部には、金属膜層23cに接続される引き出し電極23eが絶縁膜層23b上に形成されている。この引き出し電極23eから配線が引き出され、キャパシタンスメータ12の一方の電極端子に接続されることになる。なお、絶縁膜層23b及び金属膜層23cは、その電気的特性を満足できれば、数百μm程度、或いはそれ以下の膜厚で良い。
【0028】
また、回転体23は、駆動用モータ(図示せず)によって、所定の回転量で回転し、例えば、図1中のA方向に移動するとともに、インキ収納壷(図示せず)内からインキを導き出し、版22にインキを供給して充填させるようになっている。なお、回転体23の駆動機構については、公知の技術であり、本発明と直接の関係がないので、詳しい説明を省略する。
【0029】
定盤21上に設けられた版22の表面には、電極層としての金属膜層22aが形成されており、これは回転体23の金属膜層23cの対向電極になっている。この金属膜層22aも、その電気的特性を満足できれば、数百μm程度、或いはそれ以下の膜厚で良い。また、この金属膜層22aから配線が引き出され、キャパシタンスメータ12の他方の電極端子に接続される。また、この版22の金属膜層22a上に、回転体23のゴム層23dが接触することになる。この時の接触圧力、つまり、回転体23が版22の方向に加圧される圧力は、接触圧力制御部24によって制御される。また、図3は、この時の回転体23(ゴム層23d)と版22(金属膜層22a)との接触部分における接触幅(ニップ幅)を示すための図である。図3から分かるように、このニップ幅は、接触圧力制御部24による接触圧力の変化に応じて変動するものである。
【0030】
また、回転体23と版22との接触部分では、回転体23の金属膜層23cと版22の金属膜層22aとの一対の電極の間に回転体23のゴム層23dを挟むことにより、図4に示すような平行平板コンデンサの状態となっている。
【0031】
キャパシタンスメータ12は、金属膜層23c及び金属膜層22aから引き出された配線を通じて、この一対の電極間に電圧Vを印加し、ゴム層23dの静電容量Cを測定する機能を有する。
【0032】
演算処理部13は、CPUを主体として構成され、RAM、ROM等の記憶部を備え、測定された静電容量Cに基づいて、ニップ幅を算出する機能を有する。
【0033】
静電容量C[F:ファラト゛]は、一般に、下記(1)式で与えられる。
【0034】
C=Q/V=ε0*ε*S/d・・・(1)
ここで、Qは電荷量[C:クーロン]を、ε0は真空中の誘電率(8.855F*10−12[F/m])を、εは誘電体の比誘電率を、Sは電極面積[m2]を、dは電極間距離[m]を、それぞれ示す。
【0035】
また、電極面積Sは、下記(2)式で与えられる。
【0036】
S=L*t・・・(2)
ここで、Lは電極幅を、tはニップ幅を、それぞれ示す。
【0037】
つまり、ニップ幅tは、下記(3)式で求めることができる。
【0038】
t=C*d/(ε0*ε*L)・・・(3)
ここで、電極間距離dは回転体23のゴム層23dの厚み(膜厚)であり、真空中の誘電率ε0は8.855F*10−12[F/m]で一定であり、比誘電率εは回転体23のゴム層23dのゴムの種類(例えば、天然ゴム、ウレタンゴム等)により固有の値であり、Lはゴムロール23の長手方向の長さであるので、何れも既知であるので、静電容量Cを測定することにより、ニップ幅tを求めることができる。
【0039】
即ち、演算処理部13は、(3)式における各パラメータの値を記憶部に記憶し、キャパシタンスメータ12にて測定された静電容量Cの値を受けて、(3)式の演算を実行することにより、ニップ幅tを算出する。このように算出されたニップ幅tは、記憶部に記憶され管理されるとともに、演算処理部13から、例えば、図示しないディスプレイ等に出力、表示される。これによって、例えば、オペレータが、接触圧力制御部24等を通じて機械調整をし、適正な接触圧力に調整することができる。
【0040】
以上説明したように上記実施形態によれば、感圧紙等を使用せずにニップ幅tの検出ができるので、ニップ幅tが感圧紙等に影響されることなく、また、ニップ幅tの検出作業の容易化、効率化を図ることができる。また、機械調整を行いながら、ニップ幅tの検出を行うことができるので、機械調整の時間を短縮することができる。
【0041】
なお、上記実施形態において、版22の表面に電極層としての金属膜層22aが形成されるように構成したが、版22にオフセット印刷用のPS(Pre−sensitized)を用いても上記実施形態と同様の効果を得ることができる。このPS版は、アルミ板面上に感光層が形成されるものであり、このアルミ板を電極層として用いる。つまり、回転体23とPS版との接触部分では、回転体23の金属膜層23cとPS版のアルミ板との一対の電極の間に、誘電体1(回転体23のゴム層23d)及び誘電体2(PS版の感光層)を挟むことにより、図5に示すような平行平板コンデンサの状態となる。
【0042】
この場合、静電容量C[F:ファラト゛]は、下記(4)式で与えられる。
【0043】
C={(ε0*ε1*S/d1)−1+(ε0*ε2*S/d2)−1}−1・・・(4)
ここで、ε1はゴム層23dの比誘電率を、ε2は感光層の比誘電率を、d1はゴム層23dの厚み(膜厚)を、d2は感光層の厚み(膜厚)を、それぞれ示す。これらの値は既知であるので、上記実施形態と同様、静電容量Cを測定すれば、(2)式により、ニップ幅tを算出することができる。
【0044】
さらに、ここで、ゴム層23dに導電性ゴムを使用した場合、金属膜層23c及びゴム層23dが電極層となるので、回転体23のゴム層23dとPS版のアルミ板との一対の電極の間に、誘電体としてのPS版の感光層を挟む平行平板コンデンサの状態とみなすことができ、上記と同様にニップ幅tを算出することができる。
【0045】
また、上記実施形態においては、版22及び回転体23に形成された一対の電極層について説明したが、この変形例として、複数対の電極層を版22及び回転体23の複数部分に分離(分割)して形成するように構成してもよい。この場合、複数対それぞれの電極層から配線を引き出しキャパシタンスメータ12の電極端子に接続して、キャパシタンスメータ12が、複数対それぞれの電極層間に電圧を印加し、回転体23の複数部分における誘電体層(例えば、回転体23のゴム層23d)の静電容量C1〜Cnをそれぞれ測定する。例えば、回転体23の長手方向の中央で、電極層を2分離(分割)し左右の2対それぞれの電極層間に電圧を印加し、回転体23の左右部分における誘電体層の静電容量C1及びC2をそれぞれ測定する。また、例えば、回転体23の長手方向の左、中央、右で、電極層を3分離(分割)し、左,中央,右の3対それぞれの電極層間に電圧を印加し、回転体23の左,中央,右部分における誘電体層の静電容量C1〜C3をそれぞれ測定する。そして、演算処理部13は、このように算出された静電容量C1〜Cnに基づいて、回転体23それぞれの部分におけるニップ幅t1〜tnを算出する。このような構成によれば、回転体23それぞれの部分におけるニップ幅t1〜tnが等しくなるように機械調整をし、回転体の23の長手方向においてニップ幅を均等にすることができる。
【0046】
また、上記実施形態において、演算処理部13が、キャパシタンスメータ12により測定された静電容量Cに基づいてニップ幅tの変動を判定するニップ幅変動判定手段として機能させ、接触圧力制御部24は、その判定結果に基づいて、自動的に版22及び回転体23における接触圧力を調整するように構成してもよい。例えば、上記構成により得られた最適なニップ幅tに対応する静電容量Cを演算処理部13に記憶させておき、平台オフセット印刷機11の稼動時において測定された静電容量Cとを比較し、所定の差が生じている場合にニップ幅tが変動していると判定して、接触圧力制御部24に対し接触圧力の調整指令(例えば、加圧量情報)を出力(フィードバック)する(図1の点線部分)。接触圧力制御部24は、かかる指令に応じ、適正な接触圧力に調整する。このような構成によれば、平台オフセット印刷機11を、随時適正な接触圧力で稼動させることができる。
【0047】
なお、上記実施形態においては、この時の回転体23と版22との接触部分における接触幅(ニップ幅)を検出するように構成したが、この変形例として、回転体と回転体間における接触幅(ニップ幅)を検出するように構成してもよい。図6は、この変形例におけるニップ幅検出装置の概要構成例を示す図である。
【0048】
図6に示すニップ幅検出装置2は、図1に示すニップ幅検出装置1における定盤21の代わりに回転体51を備えている。回転体51と回転体23は、平行して圧接されており、この回転体51の表面には、電極層としての金属膜層51aが形成され、これは回転体23の金属膜層23cの対向電極になっている。つまり、上記実施形態と同様、回転体51と回転体23との接触部分では、回転体51の金属膜層51aと回転体23の金属膜層23cとの一対の電極の間に回転体23のゴム層23dを挟むことにより、平行平板コンデンサの状態となっている。
【0049】
そして、金属膜層51aから配線が引き出され、キャパシタンスメータ12の他方の電極端子に接続されることにより、キャパシタンスメータ12は、金属膜層23c及び金属膜層51aから引き出された配線を通じて、この一対の電極間に電圧Vを印加し、ゴム層23dの静電容量Cを測定し、その測定データを演算処理部13に出力する。演算処理部13は、上記実施形態において説明したように、その測定データ(容量Cの値)を受けて、(3)式の演算を実行することにより、ニップ幅tを算出する。なお、回転体51には、回転体23と同様に、公知のゴムロールや、ゴムブランケットを適用することができる。また、金属膜層51aは、その電気的特性を満足できれば、数百μm程度、或いはそれ以下の膜厚で良い。
【0050】
このような構成によれば、感圧紙等を使用せずに回転体と回転体間における接触幅(ニップ幅)を検出することができ、ニップ幅tの検出作業の容易化、効率化を図ることができる。
【0051】
なお、回転体と回転体間における接触幅(ニップ幅)を検出する変形例においても、上記にて説明したように、複数対の電極層を回転体51及び回転体23の複数部分に分離(分割)して形成するように構成してもよい。また、演算処理部13が、キャパシタンスメータ12により測定された静電容量Cに基づいてニップ幅tの変動を判定するニップ幅変動判定手段として機能させ、接触圧力制御部24は、その判定結果に基づいて、自動的に回転体51及び回転体23における接触圧力を調整するように構成してもよい。
【0052】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、感圧紙等を使用せずにニップ幅に対応する誘電体層の静電容量(ニップ幅検出の基になる静電容量)を測定することができるので、ニップ幅が感圧紙等に影響されることなく、また、ニップ幅検出作業の容易化、効率化を図ることができる。また、これにより、機械調整を行いながら、ニップ幅の検出を行うことができるので、機械調整の時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態におけるニップ幅検出装置の概要構成例を示す図である。
【図2】回転体23の一例として、ゴムロールの構造を示す図である。
【図3】回転体23と版22との接触部分における接触幅(ニップ幅)を示すための図である。
【図4】回転体23の金属膜層23cと版22の金属膜層22aとの一対の電極の間に回転体23のゴム層23dを挟むことにより形成された平行平板コンデンサの状態を示すための図である。
【図5】回転体23の金属膜層23cとアルミ板との一対の電極の間に、2層の誘電体を挟むことにより形成された平行平板コンデンサの状態を示すための図である。
【図6】本発明の他の実施形態におけるニップ幅検出装置の概要構成例を示す図である。
【図7】従来の平台オフセット印刷機において、感圧紙を用いてニップ幅を測定する場合の様子を示すための図である。
【符号の説明】
1,2 ニップ幅検出装置
11 平台オフセット印刷機
12 キャパシタンスメータ
13 演算処理部
21 定盤
22 版
22a,51a 金属膜層
23,51 回転体
23a 鉄芯
23b 絶縁膜層
23c 金属膜層
23d ゴム層
24 接触圧力制御部
Claims (9)
- 定盤上に設けられた版に接触しつつ当該版にインキを供給する回転体と、前記版及び前記回転体との接触圧力を制御する接触圧力制御部とを備えた印刷機における前記回転体のニップ幅を検出するニップ幅検出装置であって、
前記版の版面に電極層が形成され、
前記回転体の外周面の少なくとも前記版に接触する部分に誘電体層が形成され、当該回転体の内周面の少なくとも誘電体層が形成された部分に電極層が形成されており、
前記版に形成された電極層と前記回転体に形成された電極層間に電圧を印加し、前記誘電体層の静電容量を測定する静電容量測定手段と、を備えることを特徴とするニップ幅検出装置。 - 請求項1に記載のニップ幅検出装置において、
前記測定された前記静電容量に基づいて、前記ニップ幅を算出するニップ幅算出手段をさらに備えることを特徴とするニップ幅検出装置。 - 請求項1または2に記載のニップ幅検出装置において、
前記版はPS版であって、前記版面に形成された電極層上に感光層が形成されており、
前記静電容量測定手段は、前記誘電体層及び前記感光層の静電容量を測定することを特徴とするニップ幅検出装置。 - 請求項1乃至3の何れか一項に記載のニップ幅検出装置において、
前記版及び前記回転体における電極層は、前記版及び前記回転体の複数部分に分離して複数対形成されており、
前記静電容量測定手段は、前記複数対それぞれの電極層間に電圧を印加し、前記回転体の複数部分における誘電体層の静電容量をそれぞれ測定することを特徴とするニップ幅検出装置。 - 請求項1乃至4の何れか一項に記載のニップ幅検出装置において、
前記測定された前記静電容量に基づいて前記ニップ幅の変動を判定するニップ幅変動判定手段をさらに備え、
前記接触圧力制御部は、前記ニップ幅変動判定手段における判定結果に基づいて、前記版及び前記回転体における接触圧力を調整することを特徴とするニップ幅検出装置。 - 平行して圧接する2つの回転体と、当該回転体の接触圧力を制御する接触圧力制御部とを備えた印刷機における前記回転体のニップ幅を検出するニップ幅検出装置であって、
一方の前記回転体の表面に電極層が形成され、
他方の前記回転体の外周面の少なくとも前記一方の回転体に接触する部分に誘電体層が形成され、当該回転体の内周面の少なくとも誘電体層が形成された部分に電極層が形成されており、
前記2つの回転体に形成された電極層間に電圧を印加し、前記誘電体層の静電容量を測定する静電容量測定手段と、を備えることを特徴とするニップ幅検出装置。 - 請求項6に記載のニップ幅検出装置において、
前記測定された前記静電容量に基づいて、前記ニップ幅を算出するニップ幅算出手段をさらに備えることを特徴とするニップ幅検出装置。 - 請求項6または7に記載のニップ幅検出装置において、
前記回転体における電極層は、前記回転体の複数部分に分離して複数対形成されており、
前記静電容量測定手段は、前記複数対それぞれの電極層間に電圧を印加し、前記回転体の複数部分における誘電体層の静電容量をそれぞれ測定することを特徴とするニップ幅検出装置。 - 請求項6乃至8の何れか一項に記載のニップ幅検出装置において、
前記測定された前記静電容量に基づいて前記ニップ幅の変動を判定するニップ幅変動判定手段をさらに備え、
前記接触圧力制御部は、前記ニップ幅変動判定手段における判定結果に基づいて、前記回転体における接触圧力を調整することを特徴とするニップ幅検出装置。
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN102481778A (zh) * | 2009-08-04 | 2012-05-30 | 鲍尔包装欧洲有限公司 | 表面加工设备和方法及检验工位 |
-
2002
- 2002-12-02 JP JP2002349438A patent/JP2004184146A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN102481778A (zh) * | 2009-08-04 | 2012-05-30 | 鲍尔包装欧洲有限公司 | 表面加工设备和方法及检验工位 |
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