JP2004182804A - 樹脂組成物及びそれよりなるフィルム状接着剤 - Google Patents
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Abstract
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、低温接着性と耐熱性に優れた樹脂組成物及びそれよりなるフィルム状接着剤並びに金属積層体に関する。詳しくは、特定のエポキシ化合物とポリイミド樹脂とを主たる成分として含有することを特徴とする樹脂組成物及びそれよりなるフィルム状接着剤並びに金属積層体に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ICやLSIといった半導体素子同士の接着や、それらとリードフレーム材との接着には、従来から用いられているペースト状接着剤に代わり、フィルム状接着剤が用いられるようになってきている。特に、チップサイズパッケージ、スタックパッケージ、システムインパッケージ等の実装面積の小さい、高密度実装半導体パッケージにおいては、ペースト状接着剤に比べて厚み精度やはみ出し制御性に優れたフィルム状接着剤が広く適用されるようになってきている。
【0003】
これらの高密度実装化に伴い、半導体素子の薄型化が進んでおり、100μm厚以下のウエハへのフィルム状接着剤の貼り付けは、ウエハ破損を防止するために、薄削り時に使用される表面保護テープを貼り付けた状態で行われる。この貼り付け工程における貼り付け温度が高いと、耐熱性の低い表面保護テープが熱変質し、ウエハの反りが発生し、ウエハのカートリッジへの収納、搬送に大きな不具合が生じる。そのため、より低温で接着できるフィルム状接着剤が求められていた。
【0004】
低温接着性に優れたフィルム状接着剤としては、例えば、比較的低いガラス転移温度を有するシリコーン変性ポリイミド樹脂からなるものが知られている(特許文献1参照)。しかし、このような熱可塑性ポリイミドからなるフィルム状接着剤は、ガラス転移温度以上の温度下では貯蔵弾性率が極めて低くなるため、これを半導体パッケージ内で用いると、実装時に膨れ、パッケージクラックが発生してしまう恐れがあった。
【0005】
パッケージクラックを防止するために、シリコーン変性ポリイミド樹脂と、エポキシ化合物と、エポキシ化合物と反応する活性水素を有する化合物(硬化剤)との3成分系の樹脂組成物が開示されている(特許文献2参照)。しかし、この樹脂組成物のガラス転移温度は100℃以上と高く、低温接着性に優れているとは言い難い。また、ここで用いられているエポキシ化合物は、特に限定されておらず、ポリイミド樹脂との溶解性が良好なものであれば好ましいとされているが、本発明者らが脂肪族系のエポキシ化合物を用いてみると、耐熱性は十分ではなかった(後述比較例参照)。
【0006】
一方、近年、環境問題が深刻視される中で、半導体パッケージと基板との接合に用いられるはんだの鉛フリー化が進みつつある。鉛フリーはんだの有力候補としてSn−Ag−Cu系はんだが挙げられており、その融点は約220℃であり、現行のSn−Pb系はんだの融点約180℃に比べて約40℃も高く、鉛フリーはんだを用いた実装時の半導体パッケージの表面温度は250〜260℃に達すると言われている。そのため、260℃においても十分な接着強度を保持する耐熱性に優れたフィルム状接着剤が求められていた。
【0007】
【特許文献1】
特開平5−331444号公報
【特許文献2】
特開平9−59589号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、低いガラス転移温度を有し低温接着性に優れており、かつ、260℃においても十分な接着強度を保持する優れた耐熱性を発現する樹脂組成物及びそれよりなるフィルム状接着剤を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、特定エポキシ化合物を含有するポリイミド樹脂組成物が、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
【0010】
すなわち、本発明は、
(1)ポリイミド樹脂100重量部に、式(1)
【化4】
【0011】
で表されるエポキシ化合物1〜100重量部を含有することを特徴とする樹脂組成物。
(2)上記ポリイミド樹脂が、一般式(2)
【化5】
【0012】
(Yは、4価の有機基を表し、Zは、
【化6】
よりなる2価の基を表し、nは0〜4の整数を表す。)で表される繰り返し構造単位を含有することを特徴とする(1)記載の樹脂組成物。
【0013】
(3)(1)または(2)記載の樹脂組成物からなるフィルム状接着剤。
(4)フィルムの片面あるいは両面に、(1)または(2)記載の樹脂組成物を積層させてなるフィルム状接着剤。
(5)金属箔の少なくとも片面に、(1)または(2)記載の樹脂組成物を積層させてなる金属積層体に関する。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の樹脂組成物は、式(1)で表されるエポキシ化合物とポリイミド樹脂からなる樹脂組成物であり、用いられる式(1)で表されるエポキシ化合物のポリイミド樹脂への混合割合は、ポリイミド樹脂100重量部に対して、1〜100重量部、好ましくは5〜50重量部である。エポキシ化合物の配合量が1重量部未満では、本発明の目的とする耐熱性の向上に効果はなく、また、100重量部を超えると硬化後のフィルム形成能、応力緩和特性、耐熱性等が低下するため好ましくない。
【0015】
本発明に使用する式(1)で表されるエポキシ化合物は、商品名がVG3101である、三井化学株式会社製のものを使用できる。
【0016】
本発明に使用するポリイミド樹脂は特に限定されないが、好ましくは熱可塑性ポリイミドであり、より好ましくは、一般式(2)
【化7】
【0017】
(Yは、4価の有機基を表し、Zは、
【化8】
【0018】
よりなる2価の基を表し、nは0〜4の整数を表す。)で表される繰り返し構造単位を含有することを特徴とする熱可塑性ポリイミドである。nは、好ましくは1〜4、更に好ましくは2である。
【0019】
一般式(2)で表されるポリイミドは、一般式(3)、
【0020】
【化9】
(Yは4価の有機基を表す。)で表される酸二無水物と一般式(4)、
【0021】
【化10】
(Zは
【0022】
【化11】
よりなる2価の基を表し、nは0〜4の整数を表す。)表されるジアミン化合物を必須成分として反応させ得られるポリアミド酸を熱的あるいは化学的にイミド化することにより得られる。尚、nは、好ましくは1〜4、更に好ましくは2である。
【0023】
一般式(3)で表されるテトラカルボン酸二無水物は特に制限はなく、従来公知のテトラカルボン酸二無水物を用いることにより、様々なガラス転移温度を有するポリイミドを得ることができる。
【0024】
本発明の樹脂組成物は、低いガラス転移温度を有し、好ましくは、20℃〜100℃、より好ましくは40℃〜80℃のものである。
【0025】
一般式(3)の式中、Yは4価の有機基を表し、具体的には、炭素数2〜27の、脂肪族基、脂環族基、単環式芳香族基、縮合多環式芳香族基、さらに芳香族基が直接または架橋員によって相互に連結された非縮合環式芳香族基を挙げることができる。
【0026】
ここで使用されるテトラカルボン酸二無水物の具体例としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、オキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、エチレングリコールビストリメリート二無水物、2,2−ビス(4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル)プロパン二無水物、α,ω−ポリジメチルシロキサンテトラカルボン酸二無水物、α,ω−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ポリジメチルシロキサン二無水物等が挙げられ、これらは単独あるいは2種以上混合して用いられる。好ましくは、オキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物、α,ω−ポリジメチルシロキサンテトラカルボン酸二無水物である。
【0027】
また、一般式(4)の具体的な例としては、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス(3−(3−アミノフェノキシ)フェニル)エーテル、1,3−ビス(3−(3−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、ビス(3−(3−(3−アミノフェノキシ)フェノキシ)フェニル)エーテル、1,3−ビス(3−(3−(3−アミノフェノキシ)フェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル等が挙げられる。好ましくは、1,3−ビス(3−(3−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニルである。
【0028】
また、一般式(4)のジアミン化合物の他に、低温接着性を付与するためにジアミノシロキサン化合物を好適に用いることができる。ジアミノシロキサン化合物の具体的な種類としては、α,ω−ビス(2−アミノエチル)ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス(4−アミノブチル)ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス(4−アミノフェニル)ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジフェニルシロキサン等が挙げられる。好ましくは、α,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサンである。
【0029】
ジアミノシロキサン化合物の使用量は、全ジアミン成分の0〜80モル%が好ましい。80モル%を超えるとガラス転移温度が室温以下になり、フィルム状接着剤とした場合、タック性がでてしまい取り扱いが困難になる可能性がある。
【0030】
本発明に係るポリイミドの製造方法としては、ポリイミドを製造可能な方法が公知方法を含め全て適用できる。中でも、有機溶媒中で反応を行うことが好ましい。このような反応において用いられる溶媒として、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、ジメチルスルホキシド、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、フェノール、クレゾール等が挙げられる。これらは単独あるいは2種以上混合して用いられる。
【0031】
この反応における反応原料の濃度は、通常、2〜50重量%、好ましくは5〜40重量%であり、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物との反応モル比は0.8〜1.2の範囲であることが好ましい。0.8未満でも1.2を超えても耐熱性が低下する場合がある。
【0032】
反応温度は、通常、60℃以下、好ましくは50℃以下である。反応圧力は特に限定されず、常圧で十分実施できる。また、反応時間は反応原料の種類、溶媒の種類および反応温度によって異なるが、通常0.5〜24時間で十分である。このような重縮合反応により、本発明に係るポリイミドの前駆体であるポリアミド酸が生成される。このポリアミド酸を好ましくは100〜400℃に加熱してイミド化するか、または無水酢酸等のイミド化剤を用いて化学イミド化することにより、ポリアミド酸に対応する繰り返し単位構造を有するポリイミドが得られる。
【0033】
また、好ましくは130℃〜250℃で反応を行うことにより、ポリアミド酸の生成と熱イミド化反応が同時に進行し、本発明に係るポリイミドを得ることができる。すなわち、ジアミン成分、酸二無水物成分とを有機溶媒中に懸濁または溶解させ、130〜250℃の加熱下に反応を行い、ポリアミド酸の生成と脱水イミド化とを同時に行わせることにより、本発明に係るポリイミドを得ることができる。
【0034】
本発明において、ポリイミド樹脂という表現は、100%イミド化したポリイミド樹脂以外に、その前駆体であるポリアミド酸が一部共存した樹脂も含んでいる。
【0035】
また、本発明の樹脂組成物は、必要に応じて上記エポキシ化合物及びポリイミド樹脂の他に、硬化促進の目的で硬化剤を配合することもできる。
【0036】
硬化剤としては、エポキシ化合物と反応性を有し、エポキシ化合物を硬化させることができるものであれば特に限定されるものではない。例えば、イミダゾール系硬化剤、フェノール系硬化剤、アミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤等が挙げられる。樹脂組成物の保存安定性という観点から、好ましくは、熱潜在性及び長い可使時間を有するものが良い。
【0037】
硬化剤の配合量は、エポキシ化合物100重量部に対して、0〜20重量部の範囲内であることが好ましい。20重量部を超えると樹脂溶液状態でゲルが生じやすくなり可能性があり、樹脂溶液の保存安定性が著しく低下する可能性がある。
【0038】
本発明の樹脂組成物には、必要に応じて、公知の有機フィラーあるいは無機フィラーを配合しても良い。
有機フィラーとしては、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂等の樹脂溶解溶剤に不溶になるまで高分子化あるいは架橋した微粒子タイプのフィラーが具体例として挙げられ、無機フィラーとしては、アルミナ、酸化アンチモン、フェライト等の金属酸化物の微粒子、あるいはタルク、シリカ、マイカ、カオリン、ゼオライト等のケイ酸塩類、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等の微粒子が具体例として挙げられる。上記フィラーは単独または2種以上混合して使用することができる。
【0039】
上記フィラーの配合量はポリイミド樹脂100重量部に対して好ましくは0〜200重量部、0〜100重量部の範囲内であることがより好ましい。200重量部を超えると、樹脂組成物の接着性が低下する可能性がある。
【0040】
また、本発明の樹脂には、必要に応じて、カップリング剤を添加しても良い。カップリング剤は、本発明の目的を損なわないものであれば特に限定されるものではないが、樹脂溶解溶剤への溶解性が良好なものが好ましい。例えば、シラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤等が具体例として挙げられる。
【0041】
カップリング剤の配合量は、ポリイミド樹脂100重量部に対して、好ましくは0〜50重量部、更に好ましくは0〜30重量部の範囲内である。50重量部を超えると、樹脂組成物の耐熱性を損なう場合がある。
【0042】
さらに、本発明の樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で他の樹脂、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリアミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニルスルフィド、変性ポリフェニレンオキシド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド等を適当量配合することも可能である。
【0043】
本発明の樹脂組成物は、上記ポリイミド樹脂、エポキシ化合物、硬化剤等を溶剤に溶解させて用いることができる。ここで用いられる溶剤としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、ジメチルスルホキシド、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、フェノール、クレゾール等が挙げられる。これらは単独あるいは2種以上混合して用いられる。
【0044】
次いで、必要に応じてフィラー及びカップリング剤を加えて混合する。この場合、通常の攪拌機、三本ロール、ボールミル等の分散機を適宜組み合わせて、混練を行う。
【0045】
本発明のフィルム状接着剤あるいは金属積層体を製造する方法は特に制限されるものではなく、例えば、樹脂溶液を、樹脂フィルム、耐熱性フィルム、あるいは金属箔の上に塗布した後、加熱して溶剤を揮発させフィルム化する方法が挙げられる。
【0046】
尚、樹脂溶液は、樹脂フィルム、耐熱性フィルム等のフィルム、あるいは金属箔の片面あるいは両面に積層することが可能である。
【0047】
ここで、樹脂フィルムとしては、公知の樹脂フィルムであればどのような材質でも良い。好ましくは剥離性に優れた樹脂フィルムが良い。例えば表面にシリコーン処理あるいはテフロン(登録商標)処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム等が挙げられる。
【0048】
耐熱性フィルムとしては、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテル、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトンの耐熱性樹脂からなるフィルム、エポキシ樹脂−ガラスクロス、エポキシ樹脂−ポリイミド−ガラスクロス等の複合耐熱フィルム等が挙げられる。好ましくは、ポリイミドが挙げられる。
【0049】
また、金属箔としては、圧延銅箔、電解銅箔、銅合金箔、ステンレス箔等が挙げられ、好ましくは、圧延銅箔、電解銅箔が挙げられる。
【0050】
【実施例】
以下、本発明を、実施例によりさら詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0051】
(合成例1)
攪拌機、窒素導入管、温度計、メシチレンを満たしたディーンスターク管を備えた300mlの五つ口のセパラブルフラスコに、1,3−ビス(3−(3−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン15.00g、シリコーンジアミン(α,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製、BY16−853U、平均分子量920)43.44g、N−メチル−2−ピロリドン110.61g、メシチレン47.40gを計り取り、窒素雰囲気下で50℃に加熱し溶解させ、そこにオキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物18.49g、エチレングリコールビストリメリート二無水物8.15gを少量ずつ添加した。その後、窒素導入管を溶液内に挿入し(バブリング状態にし)、系内の温度を170℃〜180℃に加熱し、突沸に注意しながら30時間保持し、水を共沸除去することでポリイミド樹脂を得た。このポリイミド樹脂の対数粘度を、N−メチル−2−ピロリドンに0.5g/dlの濃度で溶解した後、35℃において測定した結果、0.49dl/gであった。
【0052】
(合成例2)
攪拌機、窒素導入管、温度計、メシチレンを満たしたディーンスターク管を備えた300mlの五つ口のセパラブルフラスコに、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル12.00g、シリコーンジアミン(α,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製、BY16−853U、平均分子量920)44.95g、N−メチル−2−ピロリドン109.87g、メシチレン47.09gを計り取り、窒素雰囲気下で50℃に加熱し溶解させ、そこにオキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物19.13g、エチレングリコールビストリメリート二無水物8.44gを少量ずつ添加した。その後、窒素導入管を溶液内に挿入し(バブリング状態にし)、系内の温度を170℃〜180℃に加熱し、突沸に注意しながら30時間保持し、水を共沸除去することでポリイミド樹脂を得た。このポリイミド樹脂の対数粘度を、N−メチル−2−ピロリドンに0.5g/dlの濃度で溶解した後、35℃において測定した結果、0.52dl/gであった。
【0053】
(合成例3)
攪拌機、窒素導入管、温度計、メシチレンを満たしたディーンスターク管を備えた300mlの五つ口のセパラブルフラスコに、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン10.00g、シリコーンジアミン(α,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製、BY16−853U、平均分子量920)47.21g、N−メチル−2−ピロリドン112.02g、メシチレン48.01gを計り取り、窒素雰囲気下で50℃に加熱し溶解させ、そこにオキシ−4,4’−ジフタル酸二無水物20.10g、エチレングリコールビストリメリート二無水物8.86gを少量ずつ添加した。その後、窒素導入管を溶液内に挿入し(バブリング状態にし)、系内の温度を170℃〜180℃に加熱し、突沸に注意しながら30時間保持し、水を共沸除去することでポリイミド樹脂を得た。このポリイミド樹脂の対数粘度を、N−メチル−2−ピロリドンに0.5g/dlの濃度で溶解した後、35℃において測定した結果、0.48dl/gであった。
【0054】
(実施例1)
合成例1で得られたポリイミド樹脂100重量部に対して、式(1)で表されるエポキシ化合物(三井化学株式会社製、VG3101)20重量部、イミダゾール系硬化剤(四国化成工業株式会社、2MAOK−PW)1重量部を配合し、攪拌機にて十分に混合し、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を表面処理PETフィルム(帝人デュポンフィルム株式会社製、A31、厚さ50μm)上にキャストし、90℃で20分間加熱後、PETフィルムを剥離し、厚さ25μmの単層フィルム状接着剤を得た。得られたフィルム状接着剤のガラス転移温度(Tg)をTMA(株式会社マック・サイエンス製、TMA4000)により測定した結果、49℃であった。
耐熱性を評価するために、5mm角に切断した単層フィルム状接着剤を5mm角のシリコンチップと20mm角のシリコンチップの間に挟み、200℃、0.1N荷重、1秒間加熱圧着した後、180℃、無荷重、3時間、加熱硬化した。得られた試験片の剪断強度を、シェアテスターを用いて、260℃、30秒間加熱時に測定した結果、7MPaであった。
【0055】
(実施例2)
合成例2で得られたポリイミド樹脂を使用した以外は実施例1と同様に樹脂配合、耐熱性評価を行った。結果を表1に示す。
【0056】
(実施例3)
合成例3で得られたポリイミド樹脂を使用した以外は実施例1と同様に樹脂配合、耐熱性評価を行った。結果を表1に示す。
【0057】
(比較例1)
実施例1におけるエポキシ化合物(三井化学株式会社製、VG3101)を市販されている脂肪族系エポキシ化合物(大日本インキ化学工業株式会社製、HP7200)に代えた以外は実施例1と同様に樹脂配合、耐熱性評価を行った。結果を表2に示す。
【0058】
(比較例2)
合成例1で得られたポリイミド樹脂をそのまま用いた(エポキシ化合物、硬化剤の配合なし)以外は実施例1と同様に耐熱性評価を行った。結果を表2に示す。
【0059】
(比較例3)
合成例2で得られたポリイミド樹脂をそのまま用いた(エポキシ化合物、硬化剤の配合なし)以外は実施例1と同様に耐熱性評価を行った。結果を表2に示す。
【0060】
(比較例4)
合成例3で得られたポリイミド樹脂をそのまま用いた(エポキシ化合物、硬化剤の配合なし)以外は実施例1と同様に耐熱性評価を行った。結果を表2に示す。
以上より、式(1)のエポキシ化合物(三井化学株式会社製、VG3101)とポリイミド樹脂からなる樹脂組成物からなるフィルム状接着剤は、低いガラス転移温度を有し低温接着性に優れ、260℃における強い熱時剪断強度を発現し耐熱性に優れていることがわかる。
【0061】
【表1】
【0062】
【表2】
【0063】
【発明の効果】
本発明の樹脂組成物及びそれよりなるフィルム状接着剤は、低いガラス転移温度を有し、低温接着性に優れており、かつ、260℃においても十分な接着強度を保持する優れた耐熱性を発現し、半導体実装材料等の用途に好適に用いることができる。
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