JP2004177592A - 着色層材料、カラーフィルタ基板、電気光学装置、及び電子機器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】465nm〜620nmの最大透過率が70%以上の着色層材料において、380nm〜465nmの平均透過率が620nm〜780nmの平均透過率よりも大きくなるように調整する。この着色層材料を用いて液晶装置のカラーフィルタ基板を形成すれば、G(緑)色の着色層に関して分光特性をLED光源に最適化できる。この結果、この液晶装置によって表示を行ったとき、G色の色再現性を向上できる。
【選択図】 図7
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶装置等といった電気光学装置に用いられるカラーフィルタ基板に適した着色層材料、その着色層材料を用いたカラーフィルタ基板、そのカラーフィルタ基板を用いた電気光学装置、及びその電気光学装置を用いた電子機器に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、携帯電話機、携帯情報端末機等といった電子機器において、液晶装置、EL装置等といった電気光学装置が広く用いられている。例えば、電子機器に関する各種の情報を視覚的に表示する表示部として電気光学装置が用いられる。このような電気光学装置としては、電気光学物質として液晶を用いる液晶装置や、電気光学物質としてEL(Electro Luminescence)を用いるEL装置、その他各種の装置が知られている。
【0003】
例えば、電気光学装置の一例として液晶装置を考えると、この液晶装置は、互いに対向する一対の基板と、それらの基板間に封入された液晶層とを有する。そして、この液晶層内の液晶分子の配向を制御することによって該液晶層を通過する光を変調するという技術に従って、文字、数字、図形等といった像を表示する。このような液晶装置において、上記一対の基板の一方にカラーフィルタを形成することにより、カラー表示を行うようにした液晶装置も知られている。この場合、カラーフィルタは、例えば、R,G,Bの3色の着色層を適宜の配列パターンで設けることによって形成される。
【0004】
このようなカラー表示方式の液晶装置において、3波長方式の冷陰極管を光源として用い、この光源からの光をカラーフィルタへ供給する構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−066619号公報(第22頁、図1)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、最近、携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistant)等といった携帯機器に関しては、冷陰極管よりも小型で軽量であるLED、特にYAG方式の白色LED(Light Emitting Diode)が光源として用いられることが多くなっている。
【0007】
このYAG方式の白色LEDは、例えば、青色LEDの表面にYAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)系の蛍光体を塗布することによって形成される。このYAG蛍光体は、青色光を黄色の光に変換する機能を有する。このYAG方式のLEDでは、青色LEDが放射する青色光の一部が蛍光体層を透過し、残りは蛍光体に当たって黄色の光となる。観察者は、青色光と黄色光の2色の光が混ざり合った光を白色光として認識する。
【0008】
上記従来のカラー表示方式の液晶装置において、R,G,Bの3色の着色層を有するカラーフィルタの分光特性は、3波長方式の冷陰極管の発光特性に適合するようになっていた。従って、3波長方式の冷陰極管に代えて上記の白色LEDを光源として用いると、その白色LEDの発光特性とカラーフィルタの分光特性との相性が悪くなり、表示における色再現性が悪くなるという問題があった。
【0009】
本発明は、この問題点に鑑みて成されたものであって、白色LEDを光源とする場合に最良の色再現性を発揮することのできる着色層材料、カラーフィルタ基板、電気光学装置及び電子機器を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
(1)上記の目的を達成するため、本発明に係る着色層材料は、465nm〜620nmの最大透過率が70%以上の着色層材料において、380nm〜465nmの平均透過率が620nm〜780nmの平均透過率よりも大きいことを特徴とする。
【0011】
3波長方式の冷陰極管は、例えば図6に符号Aで示すような発光特性を有する。この冷陰極管を光源として用いたとき、R,G,Bの3色の着色層によって形成されるカラーフィルタのG色材の分光特性を、例えば図7に符号C1又はC2で示すように設定すれば、カラー表示における緑色の色再現性が良好であった。このC1又はC2で示す特性を有する着色層では、380nm〜465nmの範囲の光の平均透過率は、620nm〜780nmの範囲の光の平均透過率よりも小さくなっていた。すなわち
380〜465nmの平均透過率<620〜780nmの平均透過率であった。
【0012】
ところで、最近では、図6の符号Aで示す特性を有する冷陰極管に代えて、符号Bで示す特性を有するYAG方式の白色LEDを光源として用いることが多くなってきている。このLEDを光源としたときに、図7のC1又はC2に示すような特性を有する着色層を用いると、CIE色度図上においてX値が大きくなってしまい、つまり、緑色が黄緑色になってしまい、それ故、色再現性が悪くなることが分かった。
【0013】
これに対し、本発明者は、R,G,Bの3色の着色層のうちG(緑)色に対応する着色層の分光特性を図7の符号Dに示すような特性に設定すると、光源としてYAG方式のLEDを用いた場合でも、CIE色度図上においてX値を小さくすることが可能になり、Gの色材の色再現性を向上できることを知見した。この符号Dで示す特性は、380nm〜465nmの範囲の光の平均透過率は、620nm〜780nmの範囲の光の平均透過率よりも大きいということ、すなわち、
380〜465nmの平均透過率>620〜780nmの平均透過率であることも分かった。
【0014】
つまり、本発明のように、465nm〜620nmの範囲内の最大透過率が70%以上の着色層材料において、380nm〜465nmの平均透過率が620nm〜780nmの平均透過率よりも大きくなるように設定すれば、G(緑)色の色材の分光スペクトルにおいて620nm〜780nmの領域の透過光を減少させて、黄色味成分をカットすることができ、それ故、CIE色度図上においてはx値を小さく(すなわち、黄緑色ではなく緑色に)することができ、緑色の色再現性を向上することができる。
【0015】
(2) 次に、本発明に係るカラーフィルタ基板は、緑色の着色層を有するカラーフィルタ基板において、該着色層は、465nm〜620nmの最大透過率が70%以上であり、380nm〜465nmの平均透過率が620nm〜780nmの平均透過率よりも大きいことを特徴とする。
【0016】
このカラーフィルタ基板によれば、G(緑)色の色材の分光スペクトルにおいて620nm〜780nmの領域の透過光を減少させて、黄色味成分をカットすることができ、それ故、CIE色度図上においてはx値を小さく(すなわち、黄緑色ではなく緑色に)することができ、緑色の色再現性を向上することができる。つまり、YAG方式の白色LEDを光源とする場合に最良の色再現性を発揮することができる。
【0017】
(3) 上記カラーフィルタ基板は、緑色の着色層に加えて、赤色の着色層及び青色の着色層を、さらに有することが望ましい。これにより、R,G,Bの3原色を用いたフルカラー表示を行うことができ、特に、緑色の色再現性に優れたカラー表示を行うことができる。
【0018】
(4) 次に、本発明に係る電気光学装置は、緑色の着色層を有するカラーフィルタ基板と、該カラーフィルタ基板に供給する光を発生する光源とを有し、前記緑色の着色層は、465nm〜620nmの最大透過率が70%以上であり、380nm〜465nmの平均透過率が620nm〜780nmの平均透過率よりも大きいことを特徴とする。
【0019】
この電気光学装置によれば、G(緑)色の色材の分光スペクトルにおいて620nm〜780nmの領域の透過光を減少させて、黄色味成分をカットすることができ、それ故、CIE色度図上においてはx値を小さく(すなわち、黄緑色ではなく緑色に)することができ、緑色の色再現性を向上することができる。
【0020】
(5) 上記電気光学装置において、前記光源はYAG方式の白色LEDを有することが望ましい。この光源は、冷陰極管を用いた光源に比べて、小型且つ軽量であり、携帯用に優れている。そして、本発明によれば、YAG方式の白色LEDを光源とする場合でも、G色に関して最良の色再現性を発揮することができる。
【0021】
(6) 上記電気光学装置において、カラーフィルタ基板は、緑色の着色層に加えて、赤色の着色層及び青色の着色層を、さらに有することが望ましい。これにより、R,G,Bの3原色を用いたフルカラー表示を行うことができ、特に、緑色の色再現性に優れたカラー表示を行うことができる。
【0022】
(7) 上記電気光学装置は、さらに、前記カラーフィルタ基板上に設けられる電極と、前記カラーフィルタ基板に対向する対向基板と、該対向基板上に設けられる電極と、前記カラーフィルタ基板と前記対向基板との間に設けられる液晶層とを有することが望ましい。この構成によれば、液晶装置が形成される。そして、この液晶装置は、YAG方式のLEDを光源とすることによって軽量で小型に形成される場合でも、緑色の色再現性に優れたカラー表示を行うことができる。
【0023】
(8) 次に、本発明に係る電子機器は、以上に記載した構成の電気光学装置と、その電気光学装置の動作を制御する制御手段とを有することを特徴とする。この電子機器によれば、緑色の色再現性に優れたカラー表示を行うことができる。また、このような電子機器としては、携帯電話機、携帯情報端末機、その他各種の電子機器が考えられる。
【0024】
【発明の実施の形態】
(着色層材料、カラーフィルタ基板及び電気光学装置の実施形態)
以下、本発明を電気光学装置の一例である液晶装置に適用した場合を例に挙げて説明する。なお、これ以降に説明する実施形態は本発明の一例であって、本発明を限定するものではない。また、これからの説明では必要に応じて図面を参照するが、この図面では、複数の構成要素から成る構造のうち重要な構成要素を分かり易く示すため、各要素を実際とは異なった相対的な寸法で示している。
【0025】
図1は、本発明に係る電気光学装置をその一例である液晶装置に適用した場合の一実施形態を示している。また、ここに挙げられた液晶装置は、2端子型のスイッチング素子であるTFD(Thin Film Diode)を用いたアクティブマトリクス方式であって、電気光学装置用基板としてカラーフィルタ基板を用いた、半透過反射型の液晶装置である。また、図1は、本発明に係る着色層材料及びカラーフィルタ基板を液晶装置に適用した場合の実施形態も示している。
【0026】
図1において、液晶装置1は、液晶パネル2と、この液晶パネル2に実装された駆動用IC3と、照明装置4とを有する。照明装置4は、観察側(すなわち、図の上側)から見て液晶パネル2の背面側に配設されてバックライトとして機能する。照明装置4は、液晶パネル2の観察側に配設してフロントライトとして機能させても良い。
【0027】
照明装置4は、点状光源であるYAG方式のLED(Light Emitting Diode)によって構成された光源6と、透光性の樹脂によって形成された導光体7とを有する。観察側から見て導光体7の背面側には、必要に応じて、反射層8が設けられる。また、導光体7の観察側には、必要に応じて、拡散層9が設けられる。導光体7の光導入口7aは図1の紙面垂直方向に延びており、光源6はその光導入口7aに対して、複数個、例えば3個程度、互いに適宜の間隔をおいて配設される。光源6を構成するLEDの発光特性は、例えば、図6の符号Bで示す特性となっている。なお、LEDは冷陰極管に比べて小型及び軽量であり、携帯用の各種機器に対して好適である。
【0028】
液晶パネル2は、カラーフィルタ基板11と、それに対向する素子基板12と、それらの基板を貼り合わせている矢印A方向から見て正方形又は長方形の環状のシール材13とを有する。基板11と、基板12と、シール材13とによって囲まれる間隙、いわゆるセルギャップ内に液晶14が封入されて液晶層を構成している。
【0029】
カラーフィルタ基板11は、矢印A方向から見て長方形又は正方形の第1基材16aを有し、その第1基材16aの内側表面には、樹脂散乱層17が形成され、その上に反射層18が形成され、その上に着色層19及び遮光層21が形成され、その上にオーバーコート層22が形成され、その上に紙面垂直方向へ直線的に延びる電極23aが形成され、さらに、その上に配向膜24aが形成される。配向膜24aには配向処理、例えばラビング処理が施され、これにより、第1基材16aの近傍の液晶分子の配向が決められる。また、第1基材16aの外側表面には、位相差板26a及び偏光板27aが貼着等によって装着される。
【0030】
第1基材16aは、例えば、透光性のガラス、透光性のプラスチック等によって形成される。樹脂散乱層17の表面には、図2に示すように、細かい凹凸が形成されている。反射層18は、例えば、Al(アルミニウム)、Al合金等によって形成される。この反射層18の表面は、その下地層である樹脂散乱層17に着けられた凹凸に対応して凹凸形状となっている。この凹凸形状により、反射層18で反射する光は拡散する。
【0031】
着色層19は、例えば図4に示すように、1つ1つが長方形のドット状に形成され、1つの着色層19は、R(赤)、G(緑)、B(青)の3原色のいずれか1つを呈する。これら各色の着色層19は、ストライプ配列、デルタ配列、モザイク配列、その他適宜の配列となるように並べられている。図4では、ストライプ配列が例示されている。なお、着色層19は、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)の3原色によって形成することもできる。また、図2は、図4におけるX−X線に従った断面図である。
【0032】
R,G,Bの各色着色層19のうち、G(緑)色の着色層19の分光特性は、図7の符号Dで示すように設定されている。この符号Dで示す特性は、380nm〜465nmの範囲の光の平均透過率が、620nm〜780nmの範囲の光の平均透過率よりも大きくなるように、すなわち、
380〜465nmの平均透過率>620〜780nmの平均透過率となるように設定されている。このような透過率の調整は、例えば、着色層19の色を特定するための顔料や染料の配合を適宜に調整すること、例えば緑の顔料と黄色の顔料との混合割合を調整すること、によって達成できる。
【0033】
図1において遮光層21は、例えばCr(クロム)等といった遮光性の材料によって、複数の着色層19の間を埋める状態に形成される。この遮光層21は、ブラックマトリクスとして機能して着色層19を透過した光によって表示される像のコントラストを向上させる。なお、遮光層21は、Cr等といった特定の材料によって形成されることに限られず、例えば、着色層19を構成するR,G,Bの各着色層を重ねること、すなわち積層することによっても形成することができる。
【0034】
オーバーコート層22は、例えば、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂等といった感光性の樹脂によって形成される。また、このオーバーコート層22の適所には、図2に示すように、着色層19の表面に達する貫通穴28が形成されて窪みが形成されている。この窪み28は、貫通穴に限られず、着色層19の表面に達することなくオーバーコート層22の途中までの深さの有底穴すなわち凹部によって形成することもできる。
【0035】
図2の紙面垂直方向に線状に延びる電極23aは、例えばITO(Indium TinOxide)等といった金属酸化物によって形成され、その中央の一部が窪み28の中へ落ち込んでいる。また、その上に形成された配向膜24aは、例えばポリイミド等によって形成され、この配向膜24aに関しても、窪み28に対応する部分が、その窪み28の中に落ち込んでいる。つまり、矢印A方向から平面的に見ると、電極23a及び配向膜24aには複数の窪みが形成されている。
【0036】
図1において、カラーフィルタ基板11に対向する素子基板12は第2基材16bを有する。この第2基材16bは、張出し部29が形成される1辺が第1基材16aの外側へ張り出している。この第2基材16bの内側表面には、スイッチング素子としての複数のTFD31が形成され、それらのTFD31に接続するように複数のドット電極23bが形成され、それらの上に配向膜24bが形成される。配向膜24bには配向処理、例えばラビング処理が施され、これにより、第2基材16bの近傍の液晶分子の配向が決められる。第2基材16bの外側表面には、位相差板26b及び偏光板27bが貼着等によって装着される。
【0037】
第2基材16bは、例えば、透光性のガラス、透光性のプラスチック等によって形成される。また、ドット電極23bはITO等といった金属酸化物によって形成される。また、配向膜24bは、例えばポリイミド等によって形成される。
個々のTFD31は、図5に示すように、第1TFD要素32aと第2TFD要素32bとを直列に接続することによって形成されている。このTFD素子31は、例えば、次のようにして形成される。すなわち、まず、TaW(タンタルタングステン)によってライン配線33の第1層34a及びTFD素子31の第1金属36を形成する。次に、陽極酸化処理によってライン配線33の第2層34b及びTFD素子31の絶縁膜37を形成する。次に、例えばCr(クロム)によってライン配線33の第3層34c及びTFD素子31の第2金属38を形成する。
【0038】
図3において、カラーフィルタ基板11上に形成された線状電極23aは、紙面の左右方向に延びている。素子基板12上に形成された上記のライン配線33は、線状電極23aに対して直角方向、すなわち図の紙面垂直方向に延びている。なお、図3は、図4におけるY−Y線に従った断面図である。
【0039】
図5において、第1TFD要素32aの第2金属38はライン配線33の第3層34cから延びている。また、第2TFD要素32bの第2金属38の先端に重なるように、ドット電極23bが形成される。ライン配線33からドット電極23bへ向けて電気信号が流れることを考えれば、その電流方向に従って、第1TFD要素32aでは第2電極38→絶縁膜37→第1金属36の順に電気信号が流れ、一方、第2TFD要素32bでは第1金属36→絶縁膜37→第2金属38の順に電気信号が流れる。
【0040】
つまり、第1TFD要素32aと第2TFD要素32bとの間では電気的に逆向きの一対のTFD要素が互いに直列に接続されている。このような構造は、一般に、バック・ツー・バック(Back−to−Back)構造と呼ばれており、この構造のTFD素子は、TFD素子を1個のTFD要素だけによって構成する場合に比べて、安定した特性を得られることが知られている。なお、第1金属36等の第2基材16bからの剥れを防止したり、第2基材16bから第1金属36等へ不純物が拡散しないようにする等のために、TFD31と基材16bとの間及びライン配線33と基材16bとの間に下地層(図示せず)を設けることもできる。
【0041】
図1において、第2基材16bの張出し部29上に配線39が、例えばTFD31やドット電極23bの形成の際に同時に形成される。また、第1基材16a上に配線41が、例えば反射層18や線状電極23aの形成の際に同時に形成される。シール材13の内部には、球形又は円筒形の導電材42が分散状態で含まれている。第1基材16a上の配線41と第2基材16b上の配線39は、その導電材42によって互いに導通しており、これにより、カラーフィルタ基板11側の線状電極23aが素子基板12側の配線39に導通されている。
【0042】
素子基板12の基板張出し部29上には、ACF(Anisotropic Conductive Film:異方性導電膜)43によって駆動用IC3が実装されている。詳しくは、ACF43を構成する樹脂によって駆動用IC3が張出し部29上に固着され、さらに、ACF43に含まれる導電粒子によって駆動用IC3のバンプすなわち端子と配線39とが導電接続される。
【0043】
また、張出し部29の辺縁には外部接続用端子44が形成され、この外部接続端子44がACF43によって駆動用IC3のバンプに導電接続されている。外部接続端子44には、図示しない配線基板、例えば可撓性配線基板が、ハンダ付け、ACF、ヒートシール等といった導電接続手法によって接続される。この配線基板を介して、電子機器、例えば携帯電話機、携帯情報端末機から液晶装置1へ信号、電力等が供給される。
【0044】
図1において、カラーフィルタ基板11側の線状電極23aと素子基板12側のドット電極23bは、矢印A方向から見て平面的に互いに重なり合っている。この重なり領域が、表示の最小単位である表示ドットDを構成する。この表示ドットDは、図4に示すように、ほぼ、ドット電極23bと同じ大きさの面積となっている。なお、図4では、鎖線で示すドット電極23bが実線で示す着色層19よりも少し大きく描いてあるが、これは構造を分かり易く示すためであり、それらの平面形状は、実際には、ほとんど同じ形状で、互いに重なり合っている。
また、図4において、ドット状の個々の着色層19は、個々の表示ドットDに対応して形成される。また、図2及び図3において、反射層18には個々の表示ドットDに対応して開口46が設けられる。これらの開口46は、図4に示すように、平面的に見て長方形状に形成されている。なお、図4では破線で示す開口46が、実線で示すオーバーコート層22の窪み28よりも少し大きく描いてあるが、平面的に見たときの両者の周縁は、ほぼ一致する。
【0045】
本実施形態のように、R,G,Bの3色から成る着色層19を用いてカラー表示を行う場合は、R,G,Bの3色に対応する3つの着色層19に対応する3つの表示ドットDによって1つの画素が形成される。他方、着色層を用いないで白黒等といったモノカラー表示を行う場合は、1つの表示ドットDによって1つの画素が形成される。
【0046】
図2及び図3において、個々の表示ドットDの中で反射層18が設けられた部分Rが反射部であり、開口46が形成された部分Tが透過部である。観察側から入射した外部光、すなわち素子基板12側から入射した外部光L0(図2参照)は、反射部Rで反射する。一方、図1の照明装置4の導光体7から出射した光L1(図2参照)は、透過部Tを透過する。
【0047】
以上の構成から成る本実施形態によれば、太陽光、室内光等といった外部光が強い場合は、外部光L0が反射部Rで反射して液晶層14へ供給される。一方、図1の照明装置4が点灯した場合は、導光体7から出射する平面状の光が、図2の透過部Tを通して液晶層14へ供給される。こうして、半透過反射型の表示が行われる。
【0048】
液晶層14を挟持する線状電極23a及びドット電極23bの一方には走査電圧が印加され、他方にはデータ電圧が印加される。走査電圧とデータ電圧が印加された表示ドットDに付属するTFD31はON状態となり、当該表示ドットDにおける液晶分子の配向状態が該表示ドットDを通過する光を変調するように維持される。そして、この変調された光が図1の偏光板27bを通過するか、しないかによって、素子基板12の外側に、文字、数字、図形等といった希望の像が表示される。外部光L0を用いて表示が行われる場合が反射型表示であり、透過光L1を用いて表示が行われる場合が透過型表示である。
【0049】
反射型表示が行われるとき、反射光L0は液晶層14を2回通過する。また、透過型表示が行われるとき、透過光L1は液晶層14を1回だけ通過する。このため、仮に、液晶層14の層厚が反射部Rと透過部Tとにわたって均一であると、反射光L0を用いた反射型表示と透過光L1を用いた透過型表示との間で、液晶層14を通過する距離に違いが生じ、反射型表示と透過型表示との間で表示品質が異なるという問題が生じるおそれがある。
【0050】
このことに関し、本実施形態では、オーバーコート層22に窪み28を設けることにより、透過部Tでの液晶層14の層厚Eを厚く、反射部Rでの層厚Fを薄くしているので、反射型表示と透過型表示との間で均一な表示品質を得られるようになっている。
【0051】
本実施形態の液晶装置1においては、図1に示した光源6をYAG方式の白色LEDを用いて構成することにより、その発光特性が図6の符号Bで示すような特性となっている。そして、図1の着色層19のうち、G色の着色層19の分光特性が図7に符号Dで示すように、
380〜465nmの平均透過率>620〜780nmの平均透過率
となるように調整されている。
【0052】
光源と着色層との分光特性の関係をこのように設定したことにより、本実施形態の液晶装置1によって成される表示においては、G色材料の分光スペクトルにおいて620nm〜780nmの領域の透過光を減少させて、黄色味成分をカットすることによって、CIE色度図上におていはX値を小さく、すなわち、黄緑色ではなく緑色にすることができ、それ故、G色の色再現性が向上する。
【0053】
(変形例)
上記実施形態では、TFDを用いた液晶装置に本発明を適用したが、本発明は、TFD以外の2端子型スイッチング素子を用いたアクティブマトリクス方式の液晶装置にも適用できる。また、本発明は、TFT(Thin Film Transistor)等といった3端子型スイッチング素子を用いたアクティブマトリクス方式の液晶装置にも適用できる。また、本発明は、スイッチング素子を用いない単純マトリクス方式の液晶装置にも適用できる。また、本発明は、液晶装置以外の電気光学装置、例えば、有機EL装置、プラズマディスプレイ装置等にも適用できる。
【0054】
(電子機器の実施形態)
次に、本発明に係る電子機器の実施形態を図面を用いて説明する。図8は、電子機器の一実施形態のブロック図を示している。ここに示す電子機器は、液晶装置1と、これを制御する制御手段60とを有する。液晶装置1は、液晶パネル61と、半導体IC等で構成される駆動回路62とを有する。また、制御手段60は、表示情報出力源63と、表示情報処理回路64と、電源回路66と、タイミングジェネレータ67とを有する。
【0055】
表示情報出力源63は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等から成るメモリと、磁気記録ディスクや光記録ディスク等から成るストレージユニットと、デジタル画像信号を同調出力する同調回路とを有する。タイミングジェネレータ67によって生成された各種のクロック信号に基づいて、所定フォーマットの画像信号等の形で表示情報を表示情報処理回路64に供給するように構成されている。
【0056】
表示情報処理回路64は、シリアル−パラレル変換回路、増幅・反転回路、ローテーション回路、ガンマ補正回路、クランプ回路等といった周知の各種回路を備え、入力した表示情報の処理を実行して、その画像情報をクロック信号CLKと共に駆動回路62へ供給する。駆動回路62は、走査線駆動回路、データ線駆動回路及び検査回路を含む。また、電源回路66は、上記の各構成要素にそれぞれ所定の電圧を供給する。
【0057】
図9は、本発明を電子機器の一例である携帯電話機に適用した場合の一実施形態を示している。ここに示す携帯電話機70は、本体部71と、これに開閉可能に設けられた表示体部72とを有する。液晶装置等といった電気光学装置によって構成された表示装置73は、表示体部72の内部に配置され、電話通信に関する各種表示は、表示体部72にて表示画面74によって視認できる。本体部71の前面には操作ボタン76が配列して設けられる。また、表示体部72の一端部からアンテナ77が出没自在に取付けられている。受話部78の内部にはスピーカが配置され、送話部79の内部にはマイクが内蔵されている。
【0058】
図10は、電子機器の一例である携帯情報機器に本発明を適用した場合の実施形態を示している。ここに示す携帯情報機器90は、タッチパネルを備えた情報機器であり、電気光学装置としての液晶装置91を搭載している。この情報機器90は、液晶装置91の表示面によって構成される表示領域Vと、その表示領域Vの下方に位置する第1入力領域W1とを有する。第1入力領域W1には入力用シート92が配置されている。
【0059】
液晶装置91は、長方形状又は正方形状の液晶パネルと、同じく長方形状又は正方形状のタッチパネルとが平面的に重なり合う構造を有する。タッチパネルは入力用パネルとして機能する。タッチパネルは、液晶パネルよりも大きく、この液晶パネルの一端部から突き出した形状となっている。
【0060】
表示領域V及び第1入力領域W1にはタッチパネルが配置されており、表示領域Vに対応する領域も、第1入力領域W1と同様に入力操作可能な第2入力領域W2として機能する。タッチパネルは、液晶パネル側に位置する第2面とこれと対向する第1面とを有しており、第1面の第1入力領域W1に相当する位置に入力用シート92が貼られている。
【0061】
入力用シート92にはアイコン93及び手書き文字認識領域W3を識別するための枠が印刷されている。第1入力領域W1においては、入力用シート92を介してタッチパネルの第1面に指やペン等といった入力手段で荷重をかけることにより、アイコン93の選択や文字認識領域W3での文字入力等といったデータ入力を行うことができる。
【0062】
一方、第2入力領域W2においては、液晶パネルの像を観察することができるほか、液晶パネルに例えば入力モード画面を表示させ、タッチパネルの第1面に指やペンで荷重をかけることにより、その入力モード画面内の適宜の位置を指定することができ、これにより、データ入力等を行うことができる。
【0063】
(その他の実施形態)
以上、好ましい実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明はその実施形態に限定されるものでなく、請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々に改変できる。
【0064】
例えば、本発明に係る電子機器としては、以上に説明した携帯電話機や携帯情報機器の他にも、液晶テレビ、デジタルスチルカメラ、腕時計、その他各種の電子機器が考えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る着色層材料、カラーフィルタ基板及び電気光学装置のそれぞれの一実施形態を示す断面図である。
【図2】図1の要部を拡大して示す断面図である。
【図3】図2に示す構造の断面図である。
【図4】図1に示す構造の主要部の平面構造を示す平面図である。
【図5】図1の装置で用いられるスイッチング素子の一例を示す斜視図である。
【図6】図1の装置で用いられる光源の発光特性の一例を示すグラフである。
【図7】図1の装置で用いられるG色着色層の分光特性の一例を示すグラフである。
【図8】本発明に係る電子機器の一実施形態を示すブロック図である。
【図9】本発明に係る電子機器の他の実施形態を示す斜視図である。
【図10】本発明に係る電子機器のさらに他の実施形態を示す斜視図である。
【符号の説明】
1:液晶装置(電気光学装置)、2:液晶パネル、3:駆動用IC、4:照明装置、11:カラーフィルタ基板、12:素子基板、13:シール材、14:液晶層、16a,16b:基材、17:樹脂散乱層、18:反射層、19:着色層、21:遮光層、22:オーバーコート層、23a,23b:電極、24a,24b:配向膜、28:窪み、31:TFD、46:反射層の開口、70:携帯電話機(電子機器)、90:携帯情報機器(電子機器)、D:表示ドット、E:液晶層の厚い部分、F:液晶装置の薄い部分、L0:外部光、L1:照明光、R:反射部、T:透過部、V:表示領域
Claims (8)
- 465nm〜620nmの最大透過率が70%以上の着色層材料において、380nm〜465nmの平均透過率が620nm〜780nmの平均透過率よりも大きいことを特徴とする着色層材料。
- 緑色の着色層を有するカラーフィルタ基板において、
該着色層は、465nm〜620nmの最大透過率が70%以上であり、380nm〜465nmの平均透過率が620nm〜780nmの平均透過率よりも大きいことを特徴とするカラーフィルタ基板。 - 請求項2に記載のカラーフィルタ基板において、
赤色の着色層及び青色の着色層をさらに有することを特徴とするカラーフィルタ基板。 - 緑色の着色層を有するカラーフィルタ基板と、該カラーフィルタ基板に供給する光を発生する光源とを有し、前記緑色の着色層は、465nm〜620nmの最大透過率が70%以上であり、380nm〜465nmの平均透過率が620nm〜780nmの平均透過率よりも大きいことを特徴とする電気光学装置。
- 請求項4に記載の電気光学装置において、
前記光源はYAG方式の白色LEDを有することを特徴とする電気光学装置。 - 請求項4又は請求項5に記載の電気光学装置において、
前記カラーフィルタ基板は、赤色の着色層及び青色の着色層をさらに有することを特徴とする電気光学装置。 - 請求項4から請求項6の少なくともいずれか1つに記載の電気光学装置において、
前記カラーフィルタ基板上に設けられる電極と、前記カラーフィルタ基板に対向する対向基板と、該対向基板上に設けられる電極と、前記カラーフィルタ基板と前記対向基板との間に設けられる液晶層とを有することを特徴とする電気光学装置。 - 請求項4から請求項7の少なくともいずれか1つに記載の電気光学装置と、該電気光学装置の動作を制御する制御手段とを有することを特徴とする電子機器。
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