JP2004177373A - 電池状態推定方法及びエンジン始動判定方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】高い精度の電池状態推定方法を提供する。
【解決手段】異なるSOHにおいて、25°C、250A放電時の1セル当たりの0.2秒目電圧VCと残存容量Qとを測定した。測定結果をSOHを介してプロットし、1本の折れ線グラフに近似して残存容量Qと1セル当たりの放電電圧VCとの対応データを得た。この対応データにより、放電電圧VC及び残存容量Qのいずれか一方から他方を推定した。SOHを調べることなく残存容量Q又は放電電圧VCの電池状態を高精度で推定できる。
【選択図】 図4
【解決手段】異なるSOHにおいて、25°C、250A放電時の1セル当たりの0.2秒目電圧VCと残存容量Qとを測定した。測定結果をSOHを介してプロットし、1本の折れ線グラフに近似して残存容量Qと1セル当たりの放電電圧VCとの対応データを得た。この対応データにより、放電電圧VC及び残存容量Qのいずれか一方から他方を推定した。SOHを調べることなく残存容量Q又は放電電圧VCの電池状態を高精度で推定できる。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電池の残存容量又は放電電圧を推定する電池状態推定方法、電池により始動する車輌駆動用エンジンの始動適性を判定するエンジン始動判定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、車輌エンジンの駆動では、アイドルストップ・スタート(以下、ISSと略記する。)による排ガス削減や回生電力を充電電力として用いる回生充電によるエネルギー有効利用への対応が進められている。これに伴い、ISSや回生充電可能な車輌システムに関連する電池技術が望まれている。鉛電池はこれらに適用可能な代表的電池である。鉛電池がISS可能な充電状態にあるかの判定方法には、一旦充電状態の推定を行い、あらためて、その充電状態での放電性能を推定する方法が有効であるように考えられている。これは、充電状態が決まれば電池の性能が一意に決まるという前提に基づいている。充電状態(State of Charge、以下、SOCと略記する。)は、下記式(1)で示すように、電池の満充電容量に対する残存容量の割合を表している。
【0003】
【数1】
【0004】
鉛電池の充電状態を知る一つの方法として、電解液の比重を測定する方法がある。鉛電池は充電により電解液の比重が大きくなり、放電により電解液の比重が小さくなるため、電解液の比重を計ることによって鉛電池の充電状態を推定することができる。
【0005】
また、電池の充電状態を推定する方法としては、大電流での内部抵抗や微分内部抵抗(電圧電流直線の傾き)から求める方法、放電電流と放電電圧の関係から求める方法(例えば、特許文献1参照)、電流積算により求める方法(例えば、特許文献2参照)、劣化を考慮しながら求める方法(例えば、特許文献3参照)などが開示されており、これらを組み合わせた方法(例えば、特許文献4参照)も開示されている。
【0006】
大電流での放電電圧を基にした電池の充電状態を車輌エンジンの始動可能電圧の推定に利用するためには、過去のエンジン始動時の高率放電から充電状態を推定した後、高率放電後に放電された電流の積算による補正を行い得られるリアルタイムな充電状態の情報を得る必要がある。エンジン始動判定の際は充電状態推定の逆の処理によって放電電圧を予測しエンジン始動が可能か否かの判定を行う。
【0007】
【特許文献1】
特開平6−34727号公報(図2、段落番号「0016」)
【特許文献2】
特開平7−128415号公報(段落番号「0011」)
【特許文献3】
特開平8−43504号公報(図1、段落番号「0006」)
【特許文献4】
特開平7−63830号公報(図3、段落番号「0027」)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した過去の高率放電を基にエンジン始動を判定する方法は、直接的で理論的には優れた方法であるが、リアルタイムなエンジン始動の判定のためには電流積算等の高率放電以外の情報を必要とするので、データ処理が複雑となり開発費や装置価格のコスト高を招く。また、SOCを用いる電池状態推定方法では、SOCが決まれば電池状態が一意に決まることを前提としているが、同じSOCであっても、劣化した電池では劣化前よりも放電電圧が低下するので、電池状態の推定が不正確となる。すなわち、高率放電性能は電池劣化の影響を強く受けるので、劣化した電池でSOCを推定する場合には推定精度の大幅な低下を避けることができない。
【0009】
本発明は、上記事案に鑑み、アイドルストップ・スタートを行う車輌システムに適した高い精度の電池状態推定方法及びリアルタイムに判定可能なエンジン始動判定方法を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様は、電池の残存容量又は放電電圧を推定する電池状態推定方法であって、前記電池の初期満充電容量に対する現在の満充電容量の割合を表すSOHを介して前記残存容量と放電電圧とを予め対応させ、前記残存容量及び放電電圧のいずれか一方を実測し、前記残存容量と放電電圧との対応に基づいて、前記実測した残存容量及び放電電圧のいずれか一方からいずれか他方を推定する、ステップを含む。
【0011】
本態様では、予めSOHを介して残存容量と放電電圧とを対応させているので、電池の劣化状態が考慮され電池状態を高い精度で推定することができると共に、SOHを介して残存容量と放電電圧とが対応しているので、SOHを調べることなく残存容量及び放電電圧のいずれか一方を実測することでいずれか他方を推定することができ、リアルタイムに電池状態を推定することができる。
【0012】
この場合において、残存容量と放電電圧との対応がSOHの少なくとも51%以上で成立すれば、SOH100%の製造直後からSOH51%に劣化するまで残存容量と放電電圧との対応が成立するので、電池の実用範囲でSOHにかかわらず残存容量又は放電電圧を推定することができる。
【0013】
また、残存容量と放電電圧との対応を、SOHを介して1:1の関係にすれば、残存容量及び放電電圧のいずれか一方を実測することで他方が直ちに定まるので、残存容量又は放電電圧を迅速に推定することができる。また、実測した残存容量又は放電電圧を所定温度における残存容量又は放電電圧に補正すれば、より高精度の推定をすることができる。ここで所定温度とは、残存容量と放電電圧とを予め対応させたときの温度をいい、例えば、室温の25°Cとすることができる。
【0014】
本発明の第2の態様は、電池の残存容量を推定し該電池により始動する車輌駆動用エンジンの始動適性を判定するエンジン始動判定方法であって、前記電池の初期満充電容量に対する現在の満充電容量の割合を表すSOHを介して、前記残存容量と放電電圧とを予め対応させ、前記残存容量と放電電圧との対応に基づいて、予め設定され前記エンジンの始動に必要なエンジン始動最小電圧から前記エンジンの始動に必要な前記電池の電池残存容量を推定し、前記電池の残存容量を実測し、該実測した残存容量と前記電池残存容量とを比較し、前記実測した残存容量が前記電池残存容量以上のときに前記エンジンを始動可能と判定する、ステップを含む。
【0015】
本発明の第3の態様は、電池の放電電圧を推定し該電池により始動する車輌駆動用エンジンの始動適性を判定するエンジン始動判定方法であって、前記電池の初期満充電容量に対する現在の満充電容量の割合を表すSOHを介して、前記残存容量と放電電圧とを予め対応させ、前記電池の残存容量を実測し、前記実測した残存容量から前記残存容量と放電電圧との対応に基づいて、前記電池の放電電圧を推定し、前記推定した放電電圧と前記エンジンの始動に必要なエンジン始動最小電圧とを比較し、前記推定した放電電圧が前記エンジン始動最小電圧以上のときに前記エンジンを始動可能と判定する、ステップを含む。
【0016】
本発明の第2及び第3の態様では、第1の態様のリアルタイムで高精度の電池状態推定方法を用い、第2の態様では放電電圧基準値から残存容量基準値を推定し、第3の態様では実測した電池の残存容量から放電電圧を推定するので、リアルタイムで高精度のエンジン始動判定を行うことができる。
【0017】
上記第2又は第3の態様において、前記実測した残存容量が前記電池残存容量未満のとき又は前記推定した放電電圧が前記エンジン始動最小電圧未満のときに前記エンジンを始動不能と判定し、前記電池を充電すれば、エンジンを常時始動可能な電池状態に維持することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
以下、図面を参照して、本発明が適用可能な電池制御装置の第1の実施の形態について説明する。本実施形態の電池制御装置は鉛電池を制御する装置として用いられる。なお、鉛電池は図示しないモータ(発電機)で(回生)充電可能な42V系システムの一部を構成している。
【0019】
鉛電池は、内部を縦横に仕切る隔壁によって18個のセル室に画定されたモノブロック電槽を有している。各セル室には、複数の正極板と、正極板の枚数より1枚多い負極板とがリテーナ(セパレータ)を挟んで交互に配列され両外側に負極板を配置した極板群が1組ずつ収納されており、リテーナに電解液(希硫酸)が保持されている。各セル室は密閉されており、上部に制御弁が配設されている。各セル(単電池)はセル間を接続する導電性の接続部材により直列に接続されている。各セル電圧は2Vであり、鉛電池全体の公称電圧は36Vである。モノブロック電槽の上部対角位置には正極端子及び負極端子が立設されている。
【0020】
図1に示すように、鉛電池10の正極端子は、鉛電池10に流れる電流を電圧として検出するシャント抵抗21の一端に接続されている。シャント抵抗21の他端は外部+端子に接続されている。シャント抵抗21の両端は、後述する電流積算部26に接続されている。また、鉛電池10の正極端子及び負極端子は、鉛電池10の両端電圧を検出する電圧計22にそれぞれ接続されている。電圧計22は、後述する電圧検出部27に接続されている。鉛電池10の負極端子は、外部−端子に接続されている。鉛電池10の略中央部表面には、電池温度を検出するサーミスタ等の温度センサ23が固着されている。温度センサ23の両端は後述する温度検出部28に接続されている。
【0021】
電池制御装置20は、装置全体の制御を行うCPUブロック30を備えている。CPUブロック30は、電池制御装置20内の各部とのデータ転送を制御しデータの演算を行うCPU30a、電池制御装置20の基本制御プログラムが記憶されたROM30b、CPUのワークエリアとして働くと共に種々のデータを一時的に記憶するRAM30c及びこれらを接続する内部バスで構成されている。
【0022】
CPUブロック30には外部バス29が接続されている。外部バス29は、シャント抵抗21で検出した電圧を電流の積算値として計数し、積算値をA/D変換する電流積算部26、電圧計22で検出した鉛電池10の両端電圧をA/D変換する電圧検出部27、温度センサ23で検出した電池温度をA/D変換する温度検出部28、後述するように残存容量と放電電圧との対応データ等を記憶した不揮発性のEPROM31、液晶ディスプレイ等の表示装置34を制御する表示制御部32及びパラレルインターフェース33に接続されている。また、表示制御部32には表示装置34が接続されており、パラレルインターフェース33には車輌側のモータやエンジンの制御を行う車輌側CPU35が接続されている。
【0023】
次に、フローチャートを参照して、本実施形態の電池制御装置20の動作について説明する。電池制御装置20に鉛電池10から図示しない電源供給部を介して電源が投入されると、ROM30bに格納されている基本制御プログラム等がRAM30cに展開され初期設定処理がなされる。以降CPU30aは、鉛電池10がエンジンの始動に適性な電池状態にあるか否かを判定する電池状態制御ルーチンを実行する。
【0024】
図2に示すように、この電池状態制御ルーチンでは、まずステップ102において、鉛電池10の残存容量QTを求める。すなわち、電流積算部26は、電圧検出部27で検出した電圧が所定電圧に達して鉛電池10が満充電状態となったときの満充電容量から、鉛電池10から放電された電流に放電時間を乗じた積を常時積算している。従って、CPU30aは電流積算部26の積算値を取り込み、満充電容量から減じて残存容量QTとし、RAM30cに格納する。次のステップ104では、温度検出部28から電池温度Tを取り込みRAM30cに格納する。
【0025】
次にステップ106では、EPROM31に記憶されている電池温度Tと残存容量補正値(QT−Q25)(単位Ah)とのデータにより、電池温度Tのときの残存容量QTを25°Cにおける残存容量Q25に温度補正する。
【0026】
ここで、電池温度Tと残存容量補正値(QT−Q25)との関係について説明する。予め電池温度Tが−15、0、25、60°Cのときの残存容量と放電電圧との関係をそれぞれ測定し、各温度で所定の放電電圧が得られる残存容量QTを求め、図3に示すように、電池温度25°Cのときの残存容量Q25との差(QT−Q25)をもって電池温度Tにおける残存容量補正値とした。電池温度Tと残存容量補正値とを1組のデータとし、4組のデータがEPROM31に記憶されている。
【0027】
従って、ステップ106では、EPROM31に記憶されている4組のデータのうち、ステップ104で取り込んだ電池温度Tを間に挟む直近の2組のデータから補間法により演算して求める。例えば、電池温度Tが10°Cの場合の残存容量補正値は、0°Cの残存容量補正値5と25°Cの残存容量補正値0とから比例計算により、(5Ah−0Ah)×(25°C−10°C)/25°C=3(Ah)となる。このようにして求めた残存容量補正値(QT−Q25)をステップ102でRAM30cに格納した残存容量QTから減算して残存容量Q25を求め、RAM30cに格納する。
【0028】
次のステップ108では、EPROM31に記憶されている残存容量Qと1セル当たりの放電電圧VCとの対応データにより、ステップ106でRAM30cに格納した残存容量Q25に対応する1セル当たりの放電電圧VC25を演算する。
【0029】
ここで、残存容量Qと1セル当たりの放電電圧VCとの対応データについて説明する。図4に示すように、予め劣化状態の異なるセルについて残存容量と1セル当たりの放電電圧を以下のようにして測定した。なお、図4において、SOH(State of Health、以下、SOHと略記する。)は、電池の劣化状態を示すパラメータで、下記式(2)に示すように、電池の初期満充電容量に対する満充電容量の割合を百分率で表される。
【0030】
【数2】
【0031】
単セル5個を用意し、予め各セルを初期運転した後に充電して満充電状態とした。このときの単セルの容量は5個のセルの平均が20Ahであった。SOH=100%において、25°C、250Aで放電したときの0.2秒目電圧を各セルについて5回繰り返して測定し、得られた25個のデータの平均値(1.86V)を残存容量20Ahのときの1セル当たりの放電電圧とし、横軸の残存容量Qに対して縦軸に1セル当たりの放電電圧VCをプロットした。更に所定時間放電した後、同様にして残存容量Qと各セルの0.2秒目電圧を測定しプロットした。順次所定時間毎の放電を繰り返し、所定時間経過毎の残存容量Q及び1セル当たりの放電電圧VCを同様に測定しプロットした。次に、各セルについて充放電を繰り返し、500回繰り返した後の各セルについて満充電容量を測定した結果、5個のセルの平均が14.6Ahであり、SOHは式(2)から73%であった。SOH=73%において残存容量Qと1セル当たりの放電電圧をSOH=100%の場合と同様にプロットした。以降同様にしてSOHが51%となるまで測定しプロットした。
【0032】
次に、SOHが51〜100%の範囲で測定した各データについて、残存容量Qの2Ahの範囲毎に最小二乗法により残存容量Qと1セル当たりの放電電圧VCとの関係を表す近似直線をそれぞれ求めた。このとき、隣接する範囲の近似直線が1点でつながるように近似した。この結果、SOHが51〜100%のセルについて測定した残存容量Qと1セル当たりの放電電圧VCとは、残存容量Qが6〜20Ahの範囲で連続した1本の折れ線グラフに近似される(残存容量Qと1セル当たり放電電圧VCとはSOHを介して1:1に対応)。これにより、SOHを調べることなく、電池の残存容量Qから1セル当たりの放電電圧VCを求めることができ、逆に1セル当たりの放電電圧VCから残存容量Qを求めることができる。最小二乗法により2Ahの範囲毎に近似した近似直線の両端の残存容量Qと1セル当たりの放電電圧VCとを1組の対応データとし、予め8組の対応データをEPROM31に記憶した。
【0033】
また、図4に示すように、SOHが51%〜100%のセルについて開回路電圧(OCV)を測定した結果、開回路電圧と残存容量QとはSOHを介して対応することが明らかとなった。これにより、開回路電圧を測定することで、SOHを調べることなく残存容量Qを求めることができる。更に、図4に示すように、SOHが51%〜100%のセルについて内部抵抗を測定した結果、内部抵抗と残存容量QとはSOHを介して対応することが明らかとなった。これにより、内部抵抗を測定することで、SOHを調べることなく残存容量Qを求めることができる。残存容量Qを求めた後に、放電した電流に放電時間を乗じた積の積算値を、求めた残存容量Qから減じることで電流積算による補正をした残存容量を求めることができる。
【0034】
25°Cにおけるエンジンの始動に最低限必要なエンジン始動最小電圧Vmin、25は、エンジンを始動する始動用モータの仕様により定まり、このVminに基づき、後述する計算式によって1セル当たりの始動可能電圧VCmin、25が求められ、EPROM31に記憶されている。1セル当たりの放電電圧VC25が1セル当たりの始動可能電圧VCmin、25を下回るとエンジンの始動は不確実となり、ISS不可となる(本実施形態では1.68V未満ではエンジン始動不能)。逆に、残存容量Qと1セル当たりの放電電圧VCとはSOHを介して対応しているので、1セル当たりの始動可能電圧VCmin、25からエンジンの始動に最低限必要な電池残存容量としての始動可能残存容量Qmin、25を推定することができる。電池の残存容量Q25が始動可能残存容量Qmin、25を下回るとエンジンの始動は不確実となり、ISS不可となる。この1セル当たりの始動可能電圧VCmin、25も予めEPROM31に記憶されている。
【0035】
従って、図2のステップ108では、EPROM31に記憶されている8組の対応データのうち、ステップ106で求めた残存容量Q25を間に挟む直近の2組の対応データから上述した補間法により1セル当たりの放電電圧VC25を演算する。
【0036】
一方、1セル当たりの始動可能電圧VCmin、25は、上述したVmin、25に基づき、下記式(3)により求められている。なお、式(3)において、Iは電流、Rは接続部材抵抗を表している。上述したように、鉛電池10は18個のセルを有しており、各セルは接続部材により直列に接続されている。このため、接続部材で電圧降下が発生する。接続部材全体で発生する抵抗を接続部材抵抗R(例えば、約16mΩ)とすると、例えば、エンジンを始動する始動用モータの仕様によって、鉛電池10の250A放電時のエンジン始動最小電圧がVmin、25=26.24(V)と定められているとき、1セル当たりの始動可能電圧VCmin、25は、VCmin、25=(26.24+250×16/1000)/18=1.68(V)とされている。
【0037】
【数3】
【0038】
ステップ118では、ステップ108で求めた1セル当たりの放電電圧VC25を1セル当たりの始動可能電圧VCmin、25で除算した電圧比Pを演算する。次にステップ120において、電圧比P≧1.04か否かを判断し、肯定判断のとき、エンジン始動可能と判定し、次のステップ122で、パラレルインターフェース33を通じて車輌側CPU35へ始動可能を通知する。
【0039】
続いてステップ124では、パラレルインターフェース33を通じて車輌側CPU35へ電圧比Pを通知する。次のステップ126では、表示制御部32を介して表示装置34に始動可能を表示させて、電池状態制御ルーチンはステップ102へ戻る。
【0040】
逆にステップ120で否定判断のとき、エンジン始動不可能と判定し、次のステップ128で、パラレルインターフェース33を通じて車輌側CPU35へ始動不可能を通知する。次にステップ130では、表示制御部32を介して表示装置34に始動不可能を表示させて、電池状態制御ルーチンはステップ102へ戻る。
【0041】
一方、車輌側CPU35では、図5に示すように、鉛電池10の充電を制御する電池充電制御ルーチンが実行される。
【0042】
この電池充電制御ルーチンでは、まずステップ202において、図2のステップ122又はステップ128でCPU30aから通知された始動可能通知又は始動不可能通知を受信する。次のステップ204では、ステップ124でCPU30aから通知された電圧比Pを受信する。次にステップ206において、エンジンが駆動中であるか否かを判断し、肯定判断のときは次のステップ208において、受信した通知が始動可能通知か否かを判断し、肯定判断のとき電池充電制御ルーチンはステップ202へ戻る。逆に否定判断のときは次のステップ210でモータを発電状態とし、電池充電制御ルーチンはステップ202へ戻る。これにより、鉛電池10は充電されISS可能となる。
【0043】
一方、ステップ206で否定判断のとき、すなわちエンジン停止中のときは次のステップ212において、電圧比P<1.02か否かを判断し、否定判断のとき電池充電制御ルーチンはステップ202へ戻る。逆に肯定判断のときは次のステップ214で、停止中のエンジンを強制的に始動させ、モータを発電状態とし、電池充電制御ルーチンはステップ202へ戻る。これにより、鉛電池10は充電され、エンジン停止中にエンジンの再始動が不可能となることを回避することができる。
【0044】
上述したように、本実施形態の電池制御装置20のEPROM31は、25°Cにおける残存容量Qと1セル当たりの放電電圧VCとをSOHを介して対応させた対応データを記憶しているので、SOHを調べることなく残存容量Q25から1セル当たりの放電電圧VC25を演算することが可能である。
【0045】
また、本実施形態では、電池状態制御ルーチンで、電池温度25°Cにおける鉛電池10の残存容量Q25から1セル当たりの放電電圧VC25を演算し(ステップ108)、鉛電池10の放電電圧V25を演算した(ステップ110)後、放電電圧V25と始動可能電圧Vmin、25とを比較して鉛電池10によるエンジンの始動適性を判定し(ステップ118〜120)、車輌側へ判定結果を通知する(ステップ122、124、128)。一方、電池充電制御ルーチンでは、通知された判定結果に応じて(ステップ208、212)、鉛電池10を充電する(ステップ210、214)。従って、EPROM31に記憶されている対応データを用いることで残存容量Q25と1セル当たりの放電電圧VC25とがSOHを介して対応しているので、鉛電池10のSOHが異なる場合においても高精度でリアルタイムの電池状態を推定することができると共に、1セル当たりの放電電圧VC25から鉛電池10の放電電圧V25の演算ができるので、放電電圧V25と始動可能電圧Vmin、25とを比較することで、高精度でリアルタイムなエンジンの始動適性を判定することができる。また、この判定結果に応じて鉛電池10を充電することで、鉛電池10をエンジン始動可能な状態にすることができるので、ISSが可能な電池状態を維持することができる。
【0046】
(第2実施形態)
次に、本発明が適用可能な電池制御装置の第2の実施の形態について説明する。本実施形態では、残存容量Qとエンジンの始動に最低限必要な始動可能残存容量Qminとを比較することでエンジン始動判定を行うものである。なお、本実施形態において、第1実施形態と同一の構成及び処理には同一の符号を付してその説明を省略し、異なる箇所のみ説明する。
【0047】
図6に示すように、ステップ106に続くステップ150では、25°Cにおける鉛電池10の始動可能残存容量Qmin、25がRAM30cに格納されているか否かを判断し、肯定判断のときはステップ156へ進み、否定判断のときはステップ114へ進む。
【0048】
ステップ114に続くステップ154では、EPROM31に記憶されている残存容量Qと1セル当たりの放電電圧VCとの対応データにより、1セル当たりの始動可能電圧VCmin、25に対応するエンジン始動に最低限必要な始動可能残存容量Qmin、25を演算し(図4参照)、RAM30cに格納する。
【0049】
ステップ156では、ステップ106で求めた残存容量Q25をステップ154で演算した始動可能残存容量Qmin、25で除算した残存容量比P’を演算する。次にステップ158において、残存容量比P’≧1.3か否かを判断する。
【0050】
ステップ122に続くステップ160では、パラレルインターフェース33を通じて車輌側CPU35へ残存容量比P’を通知する。
【0051】
一方、車輌側CPU35では、図7に示すように、鉛電池10の充電を制御する電池充電制御ルーチンが実行される。
【0052】
この電池充電制御ルーチンでは、ステップ202に続くステップ250で、ステップ160でCPU30aから通知された残存容量比P’を受信する。次のステップ206で否定判断のときは、ステップ252において、残存容量比P’<1.15か否かを判断する。ステップ206で肯定判断のときは、ステップ202で受信した通知に応じて鉛電池10を充電する。
【0053】
次に、本実施形態に従って、電池制御装置20で実際のISS判定を行った実施例について説明する。なお、比較のために行った比較例についても併記する。
【0054】
(実施例1)
実施例1では、鉛電池10を、初期満充電容量15Ahで満充電容量が60%まで低下したものを使用した(SOH=60%)。鉛電池10を試験開始前に充電して満充電状態にした。
【0055】
(比較例1)
比較例1では、実施例1と同様の鉛電池10を用い、電池制御装置では図8に示す従来の電池状態制御ルーチンを実行した。ステップ302において、鉛電池10をパルス放電したときの電圧を検出した。次にステップ304では、予め求めたSOCと放電電圧との関係により、ステップ302で検出した電圧から電池のSOCを推定した。次のステップ306では、パルス放電後に放電された電流に放電時間を乗じた積の積算値を満充電容量で除した値を、ステップ304で推定したSOCから減じて補正したSOCを求めた。次にステップ308では、予め求めたSOCと放電電圧との関係により、ステップ306で補正したSOCから放電電圧Vを推定した。次にステップ310では、エンジン始動可能電圧Vminを読み出し、次のステップ312において、推定した放電電圧Vがエンジン始動可能電圧Vmin以上か否かを判断し、肯定判断のときはエンジン始動可能と判定して始動可能を表示装置に表示させ、否定判断のときはエンジン始動不可能と判定して始動不可能を表示装置に表示させた。従って、比較例1の電池制御装置ではSOCの推定を行う点で、SOCを推定することなく残存容量によりエンジン始動判定を行う実施例1の電池制御装置20と異なっている。
【0056】
(試験)
実施例1及び比較例1の電池状態制御ルーチンでは、鉛電池10を、10分間通電せず(電流ゼロ)においた後に250Aで0.5秒間放電するサイクルを繰り返す試験を行った。250A、0.2秒でエンジン始動可能電圧が26Vの車輌を想定して1サイクル毎にエンジン始動判定を行い、始動不可能と判定したときのサイクル数を測定した。また、実際に鉛電池10の放電電圧が26V未満となり、エンジン始動不可能となったときのサイクル数も測定した。測定結果を下表1に示す。
【0057】
【表1】
【0058】
表1に示すように、比較例1では、56サイクルで始動不可能と判定され、実際に放電電圧が始動可能電圧の26V未満になったのは102サイクルであった。これに対して実施例1では、92サイクルで始動不可能と判定され、実際に始動不可能になったのは101サイクルであり、判定結果と実測結果のずれが小さかった。
【0059】
上述したように、本実施形態の電池制御装置20のEPROM31は、25°Cにおける残存容量Qと1セル当たりの放電電圧VCとをSOHを介して対応させた対応データを記憶しているので、SOHを調べることなく1セル当たりの始動可能電圧VCmin、25から始動可能残存容量Qmin、25を演算することが可能である。
【0060】
また、本実施形態では、電池状態制御ルーチンで、電池温度25°Cにおける鉛電池10の残存容量Q25を演算し(ステップ102〜106)、1セル当たりの始動可能電圧VCmin、25から始動可能残存容量Qmin、25を演算し(ステップ152、154)、残存容量Q25と始動可能残存容量Qmin、25とを比較して鉛電池10によるエンジンの始動適性を判定する(ステップ156〜158)。従って、EPROM31に記憶されている対応データを用いることで残存容量Q25と1セル当たりの放電電圧VC25とがSOHを介して対応しているので、SOHの異なる電池においても高精度でリアルタイムの電池状態を推定することができると共に、1セル当たりの始動可能電圧VCmin、25から鉛電池10の始動可能残存容量Qmin、25の演算ができるので、残存容量Q25と始動可能残存容量Qmin、25とを比較することで、高精度でリアルタイムなエンジンの始動適性を判定することができる。
【0061】
更に、放電電圧はエンジン始動に直接関わる因子であるため、上述した第1実施形態は第2実施形態よりも直感的に理解しやすいが、第1実施形態では判定のたびにEPROM31に記憶されている対応データにより残存容量Q25から放電電圧VC25を推定するプロセス(ステップ108)を要するのに対し、第2実施形態では始動可能電圧VCmin、25から始動可能残存容量Qmin、25を推定するプロセス(ステップ154)を一回行うだけでよい。このため、第2実施形態の方が短いステップ数、又はハードウエアで言えば簡単な回路でエンジンの始動適性を判定することができる。
【0062】
なお、上記実施形態では、試験用として、電池温度Tと残存容量補正値(QT−Q25)との対応データ、残存容量Qと1セル当たりの放電電圧VCとの対応データ及び1セル当たりのエンジン始動可能電圧VCmin、25をEPROM31に記憶させた例を示したが、量産用としては、処理速度を高めるために、これらのデータをROM30bに記憶させることが好ましい。また、上記実施形態では、電圧計22及び電圧検出部27を接続し、鉛電池10の電圧を測定する例を示したが、放電容量を実測する場合には、電池制御装置20は電圧計22及び電圧検出部27を備えなくてもよい。
【0063】
また、上記実施形態では、残存容量Qと1セル当たりの放電電圧VCとの対応データとして、25°Cにおける250Aで放電したときの測定値を例示したが、本発明は25°C、250Aに限定されるものではない。すなわち、残存容量補正値の基準を25°Cと異なる温度にしてもよい。また、異なる複数の放電電流、例えば、200A、250A、300Aで放電したときの1セル当たりの放電電圧を測定して求めた複数の対応データをEPROM31に記憶させ、電流値の近い対応データを選択して用いるようにしてもよい。これにより、放電電圧又は残存容量の推定精度を高めることができる。
【0064】
更に、残存容量Qと1セル当たりの放電電圧VCとの対応データ及び電池温度Tと残存容量補正値との対応データの組数を多くするようにしてもよい。このようにすれば、温度補正、残存容量推定及び放電電圧推定の精度を高めることができる。また、これらの対応データとしては、近似した直線(曲線)の関数式を記憶させるようにしてもよい。更に、これらの対応データは、電池の仕様により異なるため、用いる電池の仕様に応じた対応データを用いることが好ましい。
【0065】
また、上記実施形態では、残存容量を求めるときに、満充電容量から放電された電流と放電時間との積の積算値を減ずる方法を例示したが、以下の方法で残存容量Qを求めるようにしてもよい。
▲1▼残存容量Qと放電電圧との対応により、放電電圧を実測して残存容量Qを求める方法(図4参照)。
▲2▼完全放電(SOC=0%)後、充電する電流と充電時間との積を積算し、これを鉛電池10の残存容量Qとする方法。
▲3▼予め求めた開回路電圧(OCV)と残存容量Qとの対応により、開回路電圧を測定して残存容量Qを求める方法(図4参照)。
▲4▼予め求めた内部抵抗と残存容量Qとの対応により、内部抵抗を測定して残存容量Qを求める方法(図4参照)。
【0066】
更にまた、上記実施形態では、データ処理をROM30bに記憶された基本制御プログラムによりソフトウエアで行う例を示したが、これに代えてハードウエア(回路)で行うようにしてもよい。また、上記実施形態では、電池制御装置20の制御及びデータ処理をCPU30aで行う例を示したが、エンジンやモータ等の制御を行う車輌側CPU35で行うようにしてもよい。更に、上記実施形態では、CPU30aと車輌側CPU35との間のデータ送受信にパラレルインターフェース33を用いた例を示したが、一般にCPU間のデータ送受信にはCAN(Control Area Network)等のシリアルインターフェースが使用されるのに対し、上記実施形態では、CPU間で出力される情報量が少ないので、パラレルインターフェースを用いることにより複雑なプロトコルを回避することができる。
【0067】
また更に、上記実施形態では、表示装置34を接続した表示制御部32を電池制御装置20のCPUブロック30側に接続した例を示した。エンジンやモータの制御は車輌側CPU35が行うので、表示装置34及び表示制御部32を車輌側CPU35に接続し、CPUブロック30から出力された判定結果等の情報により車輌側CPU35が車輌のパネルに表示させるようにする方がより実用的である。また、電圧比P又は残存容量比P’により電池状態を表示装置34に表示させるようにすれば、事前に電池状態を目視確認することができる。
【0068】
そして、第1実施形態では、鉛電池10の電圧V25と始動可能電圧Vmin、25とを比較することでエンジン始動判定を行う例を示したが、1セル当たりの放電電圧VC25と始動可能電圧VCmin、25とを比較するようにしてもよい。また、第2実施形態では、鉛電池10の残存容量Q25と始動可能残存容量Qmin、25とを比較することでエンジン始動判定を行う例を示したが、1セル当たりの残存容量と1セル当たりの始動可能残存容量とを演算して比較するようにしてもよい。このようにすれば、式(3)による演算のステップを除くことができるので、更に短いステップ数でエンジン始動判定を行うことができる。
【0069】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、予めSOHを介して残存容量と放電電圧とを対応させているので、電池の劣化状態が考慮され電池状態を高い精度で推定することができると共に、SOHを介して残存容量と放電電圧とが対応しているので、SOHを調べることなく残存容量及び放電電圧のいずれか一方を実測することでいずれか他方を推定することができ、リアルタイムに電池状態を推定することができる。また、リアルタイムで高精度の電池状態を推定することができるので、リアルタイムで高精度のエンジン始動判定を行うことができると共に、エンジン始動不能の判定のときに電池を充電するので、エンジンを常時始動可能な電池状態に維持することができる、という効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用可能な第1の実施の形態の電池制御装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】第1の実施の形態の電池制御装置が実行する電池状態制御ルーチンのフローチャートである。
【図3】電池温度と残存容量補正値との関係を模式的に示すグラフである。
【図4】残存容量と放電電圧との関係を模式的に示すグラフである。
【図5】第1の実施の形態において車輌側CPUにより実行される電池充電制御ルーチンのフローチャートである。
【図6】第2の実施の形態の電池制御装置が実行する電池状態制御ルーチンのフローチャートである。
【図7】第2の実施の形態において車輌側CPUにより実行される電池充電制御ルーチンのフローチャートである。
【図8】比較例の電池制御装置が実行する電池状態制御ルーチンのフローチャートである。
【符号の説明】
10 鉛電池
20 電池制御装置
26 電流積算部
28 温度検出部
30 CPUブロック
35 車輌側CPU
【発明の属する技術分野】
本発明は、電池の残存容量又は放電電圧を推定する電池状態推定方法、電池により始動する車輌駆動用エンジンの始動適性を判定するエンジン始動判定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、車輌エンジンの駆動では、アイドルストップ・スタート(以下、ISSと略記する。)による排ガス削減や回生電力を充電電力として用いる回生充電によるエネルギー有効利用への対応が進められている。これに伴い、ISSや回生充電可能な車輌システムに関連する電池技術が望まれている。鉛電池はこれらに適用可能な代表的電池である。鉛電池がISS可能な充電状態にあるかの判定方法には、一旦充電状態の推定を行い、あらためて、その充電状態での放電性能を推定する方法が有効であるように考えられている。これは、充電状態が決まれば電池の性能が一意に決まるという前提に基づいている。充電状態(State of Charge、以下、SOCと略記する。)は、下記式(1)で示すように、電池の満充電容量に対する残存容量の割合を表している。
【0003】
【数1】
【0004】
鉛電池の充電状態を知る一つの方法として、電解液の比重を測定する方法がある。鉛電池は充電により電解液の比重が大きくなり、放電により電解液の比重が小さくなるため、電解液の比重を計ることによって鉛電池の充電状態を推定することができる。
【0005】
また、電池の充電状態を推定する方法としては、大電流での内部抵抗や微分内部抵抗(電圧電流直線の傾き)から求める方法、放電電流と放電電圧の関係から求める方法(例えば、特許文献1参照)、電流積算により求める方法(例えば、特許文献2参照)、劣化を考慮しながら求める方法(例えば、特許文献3参照)などが開示されており、これらを組み合わせた方法(例えば、特許文献4参照)も開示されている。
【0006】
大電流での放電電圧を基にした電池の充電状態を車輌エンジンの始動可能電圧の推定に利用するためには、過去のエンジン始動時の高率放電から充電状態を推定した後、高率放電後に放電された電流の積算による補正を行い得られるリアルタイムな充電状態の情報を得る必要がある。エンジン始動判定の際は充電状態推定の逆の処理によって放電電圧を予測しエンジン始動が可能か否かの判定を行う。
【0007】
【特許文献1】
特開平6−34727号公報(図2、段落番号「0016」)
【特許文献2】
特開平7−128415号公報(段落番号「0011」)
【特許文献3】
特開平8−43504号公報(図1、段落番号「0006」)
【特許文献4】
特開平7−63830号公報(図3、段落番号「0027」)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した過去の高率放電を基にエンジン始動を判定する方法は、直接的で理論的には優れた方法であるが、リアルタイムなエンジン始動の判定のためには電流積算等の高率放電以外の情報を必要とするので、データ処理が複雑となり開発費や装置価格のコスト高を招く。また、SOCを用いる電池状態推定方法では、SOCが決まれば電池状態が一意に決まることを前提としているが、同じSOCであっても、劣化した電池では劣化前よりも放電電圧が低下するので、電池状態の推定が不正確となる。すなわち、高率放電性能は電池劣化の影響を強く受けるので、劣化した電池でSOCを推定する場合には推定精度の大幅な低下を避けることができない。
【0009】
本発明は、上記事案に鑑み、アイドルストップ・スタートを行う車輌システムに適した高い精度の電池状態推定方法及びリアルタイムに判定可能なエンジン始動判定方法を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様は、電池の残存容量又は放電電圧を推定する電池状態推定方法であって、前記電池の初期満充電容量に対する現在の満充電容量の割合を表すSOHを介して前記残存容量と放電電圧とを予め対応させ、前記残存容量及び放電電圧のいずれか一方を実測し、前記残存容量と放電電圧との対応に基づいて、前記実測した残存容量及び放電電圧のいずれか一方からいずれか他方を推定する、ステップを含む。
【0011】
本態様では、予めSOHを介して残存容量と放電電圧とを対応させているので、電池の劣化状態が考慮され電池状態を高い精度で推定することができると共に、SOHを介して残存容量と放電電圧とが対応しているので、SOHを調べることなく残存容量及び放電電圧のいずれか一方を実測することでいずれか他方を推定することができ、リアルタイムに電池状態を推定することができる。
【0012】
この場合において、残存容量と放電電圧との対応がSOHの少なくとも51%以上で成立すれば、SOH100%の製造直後からSOH51%に劣化するまで残存容量と放電電圧との対応が成立するので、電池の実用範囲でSOHにかかわらず残存容量又は放電電圧を推定することができる。
【0013】
また、残存容量と放電電圧との対応を、SOHを介して1:1の関係にすれば、残存容量及び放電電圧のいずれか一方を実測することで他方が直ちに定まるので、残存容量又は放電電圧を迅速に推定することができる。また、実測した残存容量又は放電電圧を所定温度における残存容量又は放電電圧に補正すれば、より高精度の推定をすることができる。ここで所定温度とは、残存容量と放電電圧とを予め対応させたときの温度をいい、例えば、室温の25°Cとすることができる。
【0014】
本発明の第2の態様は、電池の残存容量を推定し該電池により始動する車輌駆動用エンジンの始動適性を判定するエンジン始動判定方法であって、前記電池の初期満充電容量に対する現在の満充電容量の割合を表すSOHを介して、前記残存容量と放電電圧とを予め対応させ、前記残存容量と放電電圧との対応に基づいて、予め設定され前記エンジンの始動に必要なエンジン始動最小電圧から前記エンジンの始動に必要な前記電池の電池残存容量を推定し、前記電池の残存容量を実測し、該実測した残存容量と前記電池残存容量とを比較し、前記実測した残存容量が前記電池残存容量以上のときに前記エンジンを始動可能と判定する、ステップを含む。
【0015】
本発明の第3の態様は、電池の放電電圧を推定し該電池により始動する車輌駆動用エンジンの始動適性を判定するエンジン始動判定方法であって、前記電池の初期満充電容量に対する現在の満充電容量の割合を表すSOHを介して、前記残存容量と放電電圧とを予め対応させ、前記電池の残存容量を実測し、前記実測した残存容量から前記残存容量と放電電圧との対応に基づいて、前記電池の放電電圧を推定し、前記推定した放電電圧と前記エンジンの始動に必要なエンジン始動最小電圧とを比較し、前記推定した放電電圧が前記エンジン始動最小電圧以上のときに前記エンジンを始動可能と判定する、ステップを含む。
【0016】
本発明の第2及び第3の態様では、第1の態様のリアルタイムで高精度の電池状態推定方法を用い、第2の態様では放電電圧基準値から残存容量基準値を推定し、第3の態様では実測した電池の残存容量から放電電圧を推定するので、リアルタイムで高精度のエンジン始動判定を行うことができる。
【0017】
上記第2又は第3の態様において、前記実測した残存容量が前記電池残存容量未満のとき又は前記推定した放電電圧が前記エンジン始動最小電圧未満のときに前記エンジンを始動不能と判定し、前記電池を充電すれば、エンジンを常時始動可能な電池状態に維持することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
以下、図面を参照して、本発明が適用可能な電池制御装置の第1の実施の形態について説明する。本実施形態の電池制御装置は鉛電池を制御する装置として用いられる。なお、鉛電池は図示しないモータ(発電機)で(回生)充電可能な42V系システムの一部を構成している。
【0019】
鉛電池は、内部を縦横に仕切る隔壁によって18個のセル室に画定されたモノブロック電槽を有している。各セル室には、複数の正極板と、正極板の枚数より1枚多い負極板とがリテーナ(セパレータ)を挟んで交互に配列され両外側に負極板を配置した極板群が1組ずつ収納されており、リテーナに電解液(希硫酸)が保持されている。各セル室は密閉されており、上部に制御弁が配設されている。各セル(単電池)はセル間を接続する導電性の接続部材により直列に接続されている。各セル電圧は2Vであり、鉛電池全体の公称電圧は36Vである。モノブロック電槽の上部対角位置には正極端子及び負極端子が立設されている。
【0020】
図1に示すように、鉛電池10の正極端子は、鉛電池10に流れる電流を電圧として検出するシャント抵抗21の一端に接続されている。シャント抵抗21の他端は外部+端子に接続されている。シャント抵抗21の両端は、後述する電流積算部26に接続されている。また、鉛電池10の正極端子及び負極端子は、鉛電池10の両端電圧を検出する電圧計22にそれぞれ接続されている。電圧計22は、後述する電圧検出部27に接続されている。鉛電池10の負極端子は、外部−端子に接続されている。鉛電池10の略中央部表面には、電池温度を検出するサーミスタ等の温度センサ23が固着されている。温度センサ23の両端は後述する温度検出部28に接続されている。
【0021】
電池制御装置20は、装置全体の制御を行うCPUブロック30を備えている。CPUブロック30は、電池制御装置20内の各部とのデータ転送を制御しデータの演算を行うCPU30a、電池制御装置20の基本制御プログラムが記憶されたROM30b、CPUのワークエリアとして働くと共に種々のデータを一時的に記憶するRAM30c及びこれらを接続する内部バスで構成されている。
【0022】
CPUブロック30には外部バス29が接続されている。外部バス29は、シャント抵抗21で検出した電圧を電流の積算値として計数し、積算値をA/D変換する電流積算部26、電圧計22で検出した鉛電池10の両端電圧をA/D変換する電圧検出部27、温度センサ23で検出した電池温度をA/D変換する温度検出部28、後述するように残存容量と放電電圧との対応データ等を記憶した不揮発性のEPROM31、液晶ディスプレイ等の表示装置34を制御する表示制御部32及びパラレルインターフェース33に接続されている。また、表示制御部32には表示装置34が接続されており、パラレルインターフェース33には車輌側のモータやエンジンの制御を行う車輌側CPU35が接続されている。
【0023】
次に、フローチャートを参照して、本実施形態の電池制御装置20の動作について説明する。電池制御装置20に鉛電池10から図示しない電源供給部を介して電源が投入されると、ROM30bに格納されている基本制御プログラム等がRAM30cに展開され初期設定処理がなされる。以降CPU30aは、鉛電池10がエンジンの始動に適性な電池状態にあるか否かを判定する電池状態制御ルーチンを実行する。
【0024】
図2に示すように、この電池状態制御ルーチンでは、まずステップ102において、鉛電池10の残存容量QTを求める。すなわち、電流積算部26は、電圧検出部27で検出した電圧が所定電圧に達して鉛電池10が満充電状態となったときの満充電容量から、鉛電池10から放電された電流に放電時間を乗じた積を常時積算している。従って、CPU30aは電流積算部26の積算値を取り込み、満充電容量から減じて残存容量QTとし、RAM30cに格納する。次のステップ104では、温度検出部28から電池温度Tを取り込みRAM30cに格納する。
【0025】
次にステップ106では、EPROM31に記憶されている電池温度Tと残存容量補正値(QT−Q25)(単位Ah)とのデータにより、電池温度Tのときの残存容量QTを25°Cにおける残存容量Q25に温度補正する。
【0026】
ここで、電池温度Tと残存容量補正値(QT−Q25)との関係について説明する。予め電池温度Tが−15、0、25、60°Cのときの残存容量と放電電圧との関係をそれぞれ測定し、各温度で所定の放電電圧が得られる残存容量QTを求め、図3に示すように、電池温度25°Cのときの残存容量Q25との差(QT−Q25)をもって電池温度Tにおける残存容量補正値とした。電池温度Tと残存容量補正値とを1組のデータとし、4組のデータがEPROM31に記憶されている。
【0027】
従って、ステップ106では、EPROM31に記憶されている4組のデータのうち、ステップ104で取り込んだ電池温度Tを間に挟む直近の2組のデータから補間法により演算して求める。例えば、電池温度Tが10°Cの場合の残存容量補正値は、0°Cの残存容量補正値5と25°Cの残存容量補正値0とから比例計算により、(5Ah−0Ah)×(25°C−10°C)/25°C=3(Ah)となる。このようにして求めた残存容量補正値(QT−Q25)をステップ102でRAM30cに格納した残存容量QTから減算して残存容量Q25を求め、RAM30cに格納する。
【0028】
次のステップ108では、EPROM31に記憶されている残存容量Qと1セル当たりの放電電圧VCとの対応データにより、ステップ106でRAM30cに格納した残存容量Q25に対応する1セル当たりの放電電圧VC25を演算する。
【0029】
ここで、残存容量Qと1セル当たりの放電電圧VCとの対応データについて説明する。図4に示すように、予め劣化状態の異なるセルについて残存容量と1セル当たりの放電電圧を以下のようにして測定した。なお、図4において、SOH(State of Health、以下、SOHと略記する。)は、電池の劣化状態を示すパラメータで、下記式(2)に示すように、電池の初期満充電容量に対する満充電容量の割合を百分率で表される。
【0030】
【数2】
【0031】
単セル5個を用意し、予め各セルを初期運転した後に充電して満充電状態とした。このときの単セルの容量は5個のセルの平均が20Ahであった。SOH=100%において、25°C、250Aで放電したときの0.2秒目電圧を各セルについて5回繰り返して測定し、得られた25個のデータの平均値(1.86V)を残存容量20Ahのときの1セル当たりの放電電圧とし、横軸の残存容量Qに対して縦軸に1セル当たりの放電電圧VCをプロットした。更に所定時間放電した後、同様にして残存容量Qと各セルの0.2秒目電圧を測定しプロットした。順次所定時間毎の放電を繰り返し、所定時間経過毎の残存容量Q及び1セル当たりの放電電圧VCを同様に測定しプロットした。次に、各セルについて充放電を繰り返し、500回繰り返した後の各セルについて満充電容量を測定した結果、5個のセルの平均が14.6Ahであり、SOHは式(2)から73%であった。SOH=73%において残存容量Qと1セル当たりの放電電圧をSOH=100%の場合と同様にプロットした。以降同様にしてSOHが51%となるまで測定しプロットした。
【0032】
次に、SOHが51〜100%の範囲で測定した各データについて、残存容量Qの2Ahの範囲毎に最小二乗法により残存容量Qと1セル当たりの放電電圧VCとの関係を表す近似直線をそれぞれ求めた。このとき、隣接する範囲の近似直線が1点でつながるように近似した。この結果、SOHが51〜100%のセルについて測定した残存容量Qと1セル当たりの放電電圧VCとは、残存容量Qが6〜20Ahの範囲で連続した1本の折れ線グラフに近似される(残存容量Qと1セル当たり放電電圧VCとはSOHを介して1:1に対応)。これにより、SOHを調べることなく、電池の残存容量Qから1セル当たりの放電電圧VCを求めることができ、逆に1セル当たりの放電電圧VCから残存容量Qを求めることができる。最小二乗法により2Ahの範囲毎に近似した近似直線の両端の残存容量Qと1セル当たりの放電電圧VCとを1組の対応データとし、予め8組の対応データをEPROM31に記憶した。
【0033】
また、図4に示すように、SOHが51%〜100%のセルについて開回路電圧(OCV)を測定した結果、開回路電圧と残存容量QとはSOHを介して対応することが明らかとなった。これにより、開回路電圧を測定することで、SOHを調べることなく残存容量Qを求めることができる。更に、図4に示すように、SOHが51%〜100%のセルについて内部抵抗を測定した結果、内部抵抗と残存容量QとはSOHを介して対応することが明らかとなった。これにより、内部抵抗を測定することで、SOHを調べることなく残存容量Qを求めることができる。残存容量Qを求めた後に、放電した電流に放電時間を乗じた積の積算値を、求めた残存容量Qから減じることで電流積算による補正をした残存容量を求めることができる。
【0034】
25°Cにおけるエンジンの始動に最低限必要なエンジン始動最小電圧Vmin、25は、エンジンを始動する始動用モータの仕様により定まり、このVminに基づき、後述する計算式によって1セル当たりの始動可能電圧VCmin、25が求められ、EPROM31に記憶されている。1セル当たりの放電電圧VC25が1セル当たりの始動可能電圧VCmin、25を下回るとエンジンの始動は不確実となり、ISS不可となる(本実施形態では1.68V未満ではエンジン始動不能)。逆に、残存容量Qと1セル当たりの放電電圧VCとはSOHを介して対応しているので、1セル当たりの始動可能電圧VCmin、25からエンジンの始動に最低限必要な電池残存容量としての始動可能残存容量Qmin、25を推定することができる。電池の残存容量Q25が始動可能残存容量Qmin、25を下回るとエンジンの始動は不確実となり、ISS不可となる。この1セル当たりの始動可能電圧VCmin、25も予めEPROM31に記憶されている。
【0035】
従って、図2のステップ108では、EPROM31に記憶されている8組の対応データのうち、ステップ106で求めた残存容量Q25を間に挟む直近の2組の対応データから上述した補間法により1セル当たりの放電電圧VC25を演算する。
【0036】
一方、1セル当たりの始動可能電圧VCmin、25は、上述したVmin、25に基づき、下記式(3)により求められている。なお、式(3)において、Iは電流、Rは接続部材抵抗を表している。上述したように、鉛電池10は18個のセルを有しており、各セルは接続部材により直列に接続されている。このため、接続部材で電圧降下が発生する。接続部材全体で発生する抵抗を接続部材抵抗R(例えば、約16mΩ)とすると、例えば、エンジンを始動する始動用モータの仕様によって、鉛電池10の250A放電時のエンジン始動最小電圧がVmin、25=26.24(V)と定められているとき、1セル当たりの始動可能電圧VCmin、25は、VCmin、25=(26.24+250×16/1000)/18=1.68(V)とされている。
【0037】
【数3】
【0038】
ステップ118では、ステップ108で求めた1セル当たりの放電電圧VC25を1セル当たりの始動可能電圧VCmin、25で除算した電圧比Pを演算する。次にステップ120において、電圧比P≧1.04か否かを判断し、肯定判断のとき、エンジン始動可能と判定し、次のステップ122で、パラレルインターフェース33を通じて車輌側CPU35へ始動可能を通知する。
【0039】
続いてステップ124では、パラレルインターフェース33を通じて車輌側CPU35へ電圧比Pを通知する。次のステップ126では、表示制御部32を介して表示装置34に始動可能を表示させて、電池状態制御ルーチンはステップ102へ戻る。
【0040】
逆にステップ120で否定判断のとき、エンジン始動不可能と判定し、次のステップ128で、パラレルインターフェース33を通じて車輌側CPU35へ始動不可能を通知する。次にステップ130では、表示制御部32を介して表示装置34に始動不可能を表示させて、電池状態制御ルーチンはステップ102へ戻る。
【0041】
一方、車輌側CPU35では、図5に示すように、鉛電池10の充電を制御する電池充電制御ルーチンが実行される。
【0042】
この電池充電制御ルーチンでは、まずステップ202において、図2のステップ122又はステップ128でCPU30aから通知された始動可能通知又は始動不可能通知を受信する。次のステップ204では、ステップ124でCPU30aから通知された電圧比Pを受信する。次にステップ206において、エンジンが駆動中であるか否かを判断し、肯定判断のときは次のステップ208において、受信した通知が始動可能通知か否かを判断し、肯定判断のとき電池充電制御ルーチンはステップ202へ戻る。逆に否定判断のときは次のステップ210でモータを発電状態とし、電池充電制御ルーチンはステップ202へ戻る。これにより、鉛電池10は充電されISS可能となる。
【0043】
一方、ステップ206で否定判断のとき、すなわちエンジン停止中のときは次のステップ212において、電圧比P<1.02か否かを判断し、否定判断のとき電池充電制御ルーチンはステップ202へ戻る。逆に肯定判断のときは次のステップ214で、停止中のエンジンを強制的に始動させ、モータを発電状態とし、電池充電制御ルーチンはステップ202へ戻る。これにより、鉛電池10は充電され、エンジン停止中にエンジンの再始動が不可能となることを回避することができる。
【0044】
上述したように、本実施形態の電池制御装置20のEPROM31は、25°Cにおける残存容量Qと1セル当たりの放電電圧VCとをSOHを介して対応させた対応データを記憶しているので、SOHを調べることなく残存容量Q25から1セル当たりの放電電圧VC25を演算することが可能である。
【0045】
また、本実施形態では、電池状態制御ルーチンで、電池温度25°Cにおける鉛電池10の残存容量Q25から1セル当たりの放電電圧VC25を演算し(ステップ108)、鉛電池10の放電電圧V25を演算した(ステップ110)後、放電電圧V25と始動可能電圧Vmin、25とを比較して鉛電池10によるエンジンの始動適性を判定し(ステップ118〜120)、車輌側へ判定結果を通知する(ステップ122、124、128)。一方、電池充電制御ルーチンでは、通知された判定結果に応じて(ステップ208、212)、鉛電池10を充電する(ステップ210、214)。従って、EPROM31に記憶されている対応データを用いることで残存容量Q25と1セル当たりの放電電圧VC25とがSOHを介して対応しているので、鉛電池10のSOHが異なる場合においても高精度でリアルタイムの電池状態を推定することができると共に、1セル当たりの放電電圧VC25から鉛電池10の放電電圧V25の演算ができるので、放電電圧V25と始動可能電圧Vmin、25とを比較することで、高精度でリアルタイムなエンジンの始動適性を判定することができる。また、この判定結果に応じて鉛電池10を充電することで、鉛電池10をエンジン始動可能な状態にすることができるので、ISSが可能な電池状態を維持することができる。
【0046】
(第2実施形態)
次に、本発明が適用可能な電池制御装置の第2の実施の形態について説明する。本実施形態では、残存容量Qとエンジンの始動に最低限必要な始動可能残存容量Qminとを比較することでエンジン始動判定を行うものである。なお、本実施形態において、第1実施形態と同一の構成及び処理には同一の符号を付してその説明を省略し、異なる箇所のみ説明する。
【0047】
図6に示すように、ステップ106に続くステップ150では、25°Cにおける鉛電池10の始動可能残存容量Qmin、25がRAM30cに格納されているか否かを判断し、肯定判断のときはステップ156へ進み、否定判断のときはステップ114へ進む。
【0048】
ステップ114に続くステップ154では、EPROM31に記憶されている残存容量Qと1セル当たりの放電電圧VCとの対応データにより、1セル当たりの始動可能電圧VCmin、25に対応するエンジン始動に最低限必要な始動可能残存容量Qmin、25を演算し(図4参照)、RAM30cに格納する。
【0049】
ステップ156では、ステップ106で求めた残存容量Q25をステップ154で演算した始動可能残存容量Qmin、25で除算した残存容量比P’を演算する。次にステップ158において、残存容量比P’≧1.3か否かを判断する。
【0050】
ステップ122に続くステップ160では、パラレルインターフェース33を通じて車輌側CPU35へ残存容量比P’を通知する。
【0051】
一方、車輌側CPU35では、図7に示すように、鉛電池10の充電を制御する電池充電制御ルーチンが実行される。
【0052】
この電池充電制御ルーチンでは、ステップ202に続くステップ250で、ステップ160でCPU30aから通知された残存容量比P’を受信する。次のステップ206で否定判断のときは、ステップ252において、残存容量比P’<1.15か否かを判断する。ステップ206で肯定判断のときは、ステップ202で受信した通知に応じて鉛電池10を充電する。
【0053】
次に、本実施形態に従って、電池制御装置20で実際のISS判定を行った実施例について説明する。なお、比較のために行った比較例についても併記する。
【0054】
(実施例1)
実施例1では、鉛電池10を、初期満充電容量15Ahで満充電容量が60%まで低下したものを使用した(SOH=60%)。鉛電池10を試験開始前に充電して満充電状態にした。
【0055】
(比較例1)
比較例1では、実施例1と同様の鉛電池10を用い、電池制御装置では図8に示す従来の電池状態制御ルーチンを実行した。ステップ302において、鉛電池10をパルス放電したときの電圧を検出した。次にステップ304では、予め求めたSOCと放電電圧との関係により、ステップ302で検出した電圧から電池のSOCを推定した。次のステップ306では、パルス放電後に放電された電流に放電時間を乗じた積の積算値を満充電容量で除した値を、ステップ304で推定したSOCから減じて補正したSOCを求めた。次にステップ308では、予め求めたSOCと放電電圧との関係により、ステップ306で補正したSOCから放電電圧Vを推定した。次にステップ310では、エンジン始動可能電圧Vminを読み出し、次のステップ312において、推定した放電電圧Vがエンジン始動可能電圧Vmin以上か否かを判断し、肯定判断のときはエンジン始動可能と判定して始動可能を表示装置に表示させ、否定判断のときはエンジン始動不可能と判定して始動不可能を表示装置に表示させた。従って、比較例1の電池制御装置ではSOCの推定を行う点で、SOCを推定することなく残存容量によりエンジン始動判定を行う実施例1の電池制御装置20と異なっている。
【0056】
(試験)
実施例1及び比較例1の電池状態制御ルーチンでは、鉛電池10を、10分間通電せず(電流ゼロ)においた後に250Aで0.5秒間放電するサイクルを繰り返す試験を行った。250A、0.2秒でエンジン始動可能電圧が26Vの車輌を想定して1サイクル毎にエンジン始動判定を行い、始動不可能と判定したときのサイクル数を測定した。また、実際に鉛電池10の放電電圧が26V未満となり、エンジン始動不可能となったときのサイクル数も測定した。測定結果を下表1に示す。
【0057】
【表1】
【0058】
表1に示すように、比較例1では、56サイクルで始動不可能と判定され、実際に放電電圧が始動可能電圧の26V未満になったのは102サイクルであった。これに対して実施例1では、92サイクルで始動不可能と判定され、実際に始動不可能になったのは101サイクルであり、判定結果と実測結果のずれが小さかった。
【0059】
上述したように、本実施形態の電池制御装置20のEPROM31は、25°Cにおける残存容量Qと1セル当たりの放電電圧VCとをSOHを介して対応させた対応データを記憶しているので、SOHを調べることなく1セル当たりの始動可能電圧VCmin、25から始動可能残存容量Qmin、25を演算することが可能である。
【0060】
また、本実施形態では、電池状態制御ルーチンで、電池温度25°Cにおける鉛電池10の残存容量Q25を演算し(ステップ102〜106)、1セル当たりの始動可能電圧VCmin、25から始動可能残存容量Qmin、25を演算し(ステップ152、154)、残存容量Q25と始動可能残存容量Qmin、25とを比較して鉛電池10によるエンジンの始動適性を判定する(ステップ156〜158)。従って、EPROM31に記憶されている対応データを用いることで残存容量Q25と1セル当たりの放電電圧VC25とがSOHを介して対応しているので、SOHの異なる電池においても高精度でリアルタイムの電池状態を推定することができると共に、1セル当たりの始動可能電圧VCmin、25から鉛電池10の始動可能残存容量Qmin、25の演算ができるので、残存容量Q25と始動可能残存容量Qmin、25とを比較することで、高精度でリアルタイムなエンジンの始動適性を判定することができる。
【0061】
更に、放電電圧はエンジン始動に直接関わる因子であるため、上述した第1実施形態は第2実施形態よりも直感的に理解しやすいが、第1実施形態では判定のたびにEPROM31に記憶されている対応データにより残存容量Q25から放電電圧VC25を推定するプロセス(ステップ108)を要するのに対し、第2実施形態では始動可能電圧VCmin、25から始動可能残存容量Qmin、25を推定するプロセス(ステップ154)を一回行うだけでよい。このため、第2実施形態の方が短いステップ数、又はハードウエアで言えば簡単な回路でエンジンの始動適性を判定することができる。
【0062】
なお、上記実施形態では、試験用として、電池温度Tと残存容量補正値(QT−Q25)との対応データ、残存容量Qと1セル当たりの放電電圧VCとの対応データ及び1セル当たりのエンジン始動可能電圧VCmin、25をEPROM31に記憶させた例を示したが、量産用としては、処理速度を高めるために、これらのデータをROM30bに記憶させることが好ましい。また、上記実施形態では、電圧計22及び電圧検出部27を接続し、鉛電池10の電圧を測定する例を示したが、放電容量を実測する場合には、電池制御装置20は電圧計22及び電圧検出部27を備えなくてもよい。
【0063】
また、上記実施形態では、残存容量Qと1セル当たりの放電電圧VCとの対応データとして、25°Cにおける250Aで放電したときの測定値を例示したが、本発明は25°C、250Aに限定されるものではない。すなわち、残存容量補正値の基準を25°Cと異なる温度にしてもよい。また、異なる複数の放電電流、例えば、200A、250A、300Aで放電したときの1セル当たりの放電電圧を測定して求めた複数の対応データをEPROM31に記憶させ、電流値の近い対応データを選択して用いるようにしてもよい。これにより、放電電圧又は残存容量の推定精度を高めることができる。
【0064】
更に、残存容量Qと1セル当たりの放電電圧VCとの対応データ及び電池温度Tと残存容量補正値との対応データの組数を多くするようにしてもよい。このようにすれば、温度補正、残存容量推定及び放電電圧推定の精度を高めることができる。また、これらの対応データとしては、近似した直線(曲線)の関数式を記憶させるようにしてもよい。更に、これらの対応データは、電池の仕様により異なるため、用いる電池の仕様に応じた対応データを用いることが好ましい。
【0065】
また、上記実施形態では、残存容量を求めるときに、満充電容量から放電された電流と放電時間との積の積算値を減ずる方法を例示したが、以下の方法で残存容量Qを求めるようにしてもよい。
▲1▼残存容量Qと放電電圧との対応により、放電電圧を実測して残存容量Qを求める方法(図4参照)。
▲2▼完全放電(SOC=0%)後、充電する電流と充電時間との積を積算し、これを鉛電池10の残存容量Qとする方法。
▲3▼予め求めた開回路電圧(OCV)と残存容量Qとの対応により、開回路電圧を測定して残存容量Qを求める方法(図4参照)。
▲4▼予め求めた内部抵抗と残存容量Qとの対応により、内部抵抗を測定して残存容量Qを求める方法(図4参照)。
【0066】
更にまた、上記実施形態では、データ処理をROM30bに記憶された基本制御プログラムによりソフトウエアで行う例を示したが、これに代えてハードウエア(回路)で行うようにしてもよい。また、上記実施形態では、電池制御装置20の制御及びデータ処理をCPU30aで行う例を示したが、エンジンやモータ等の制御を行う車輌側CPU35で行うようにしてもよい。更に、上記実施形態では、CPU30aと車輌側CPU35との間のデータ送受信にパラレルインターフェース33を用いた例を示したが、一般にCPU間のデータ送受信にはCAN(Control Area Network)等のシリアルインターフェースが使用されるのに対し、上記実施形態では、CPU間で出力される情報量が少ないので、パラレルインターフェースを用いることにより複雑なプロトコルを回避することができる。
【0067】
また更に、上記実施形態では、表示装置34を接続した表示制御部32を電池制御装置20のCPUブロック30側に接続した例を示した。エンジンやモータの制御は車輌側CPU35が行うので、表示装置34及び表示制御部32を車輌側CPU35に接続し、CPUブロック30から出力された判定結果等の情報により車輌側CPU35が車輌のパネルに表示させるようにする方がより実用的である。また、電圧比P又は残存容量比P’により電池状態を表示装置34に表示させるようにすれば、事前に電池状態を目視確認することができる。
【0068】
そして、第1実施形態では、鉛電池10の電圧V25と始動可能電圧Vmin、25とを比較することでエンジン始動判定を行う例を示したが、1セル当たりの放電電圧VC25と始動可能電圧VCmin、25とを比較するようにしてもよい。また、第2実施形態では、鉛電池10の残存容量Q25と始動可能残存容量Qmin、25とを比較することでエンジン始動判定を行う例を示したが、1セル当たりの残存容量と1セル当たりの始動可能残存容量とを演算して比較するようにしてもよい。このようにすれば、式(3)による演算のステップを除くことができるので、更に短いステップ数でエンジン始動判定を行うことができる。
【0069】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、予めSOHを介して残存容量と放電電圧とを対応させているので、電池の劣化状態が考慮され電池状態を高い精度で推定することができると共に、SOHを介して残存容量と放電電圧とが対応しているので、SOHを調べることなく残存容量及び放電電圧のいずれか一方を実測することでいずれか他方を推定することができ、リアルタイムに電池状態を推定することができる。また、リアルタイムで高精度の電池状態を推定することができるので、リアルタイムで高精度のエンジン始動判定を行うことができると共に、エンジン始動不能の判定のときに電池を充電するので、エンジンを常時始動可能な電池状態に維持することができる、という効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用可能な第1の実施の形態の電池制御装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】第1の実施の形態の電池制御装置が実行する電池状態制御ルーチンのフローチャートである。
【図3】電池温度と残存容量補正値との関係を模式的に示すグラフである。
【図4】残存容量と放電電圧との関係を模式的に示すグラフである。
【図5】第1の実施の形態において車輌側CPUにより実行される電池充電制御ルーチンのフローチャートである。
【図6】第2の実施の形態の電池制御装置が実行する電池状態制御ルーチンのフローチャートである。
【図7】第2の実施の形態において車輌側CPUにより実行される電池充電制御ルーチンのフローチャートである。
【図8】比較例の電池制御装置が実行する電池状態制御ルーチンのフローチャートである。
【符号の説明】
10 鉛電池
20 電池制御装置
26 電流積算部
28 温度検出部
30 CPUブロック
35 車輌側CPU
Claims (7)
- 電池の残存容量又は放電電圧を推定する電池状態推定方法であって、
前記電池の初期満充電容量に対する現在の満充電容量の割合を表すSOHを介して前記残存容量と放電電圧とを予め対応させ、
前記残存容量及び放電電圧のいずれか一方を実測し、
前記残存容量と放電電圧との対応に基づいて、前記実測した残存容量及び放電電圧のいずれか一方からいずれか他方を推定する、
ステップを含むことを特徴とする電池状態推定方法。 - 前記残存容量と放電電圧との対応は、前記SOHの少なくとも51%以上で成立することを特徴とする請求項1に記載の電池状態推定方法。
- 前記残存容量と放電電圧との対応は、前記SOHを介した1:1対応であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電池状態推定方法。
- 前記残存容量及び放電電圧のいずれか一方を実測した後、該実測した残存容量を所定温度における残存容量に補正するステップを更に含むことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の電池状態推定方法。
- 電池の残存容量を推定し該電池により始動する車輌駆動用エンジンの始動適性を判定するエンジン始動判定方法であって、
前記電池の初期満充電容量に対する現在の満充電容量の割合を表すSOHを介して、前記残存容量と放電電圧とを予め対応させ、
前記残存容量と放電電圧との対応に基づいて、予め設定され前記エンジンの始動に必要なエンジン始動最小電圧から前記エンジンの始動に必要な前記電池の電池残存容量を推定し、
前記電池の残存容量を実測し、該実測した残存容量と前記電池残存容量とを比較し、
前記実測した残存容量が前記電池残存容量以上のときに前記エンジンを始動可能と判定する、
ステップを含むことを特徴とするエンジン始動判定方法。 - 電池の放電電圧を推定し該電池により始動する車輌駆動用エンジンの始動適性を判定するエンジン始動判定方法であって、
前記電池の初期満充電容量に対する現在の満充電容量の割合を表すSOHを介して、前記残存容量と放電電圧とを予め対応させ、
前記電池の残存容量を実測し、
前記実測した残存容量から前記残存容量と放電電圧との対応に基づいて、前記電池の放電電圧を推定し、
前記推定した放電電圧と前記エンジンの始動に必要なエンジン始動最小電圧とを比較し、
前記推定した放電電圧が前記エンジン始動最小電圧以上のときに前記エンジンを始動可能と判定する、
ステップを含むことを特徴とするエンジン始動判定方法。 - 前記実測した残存容量が前記電池残存容量未満のとき又は前記推定した放電電圧が前記エンジン始動最小電圧未満のときに前記エンジンを始動不能と判定し、前記電池を充電することを特徴とする請求項5又は請求項6に記載のエンジン始動判定方法。
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