JP2004175813A - 粉体塗料組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】リサイクル性に優れ、塗装性が良好であり、塗膜のメタリック感、光輝感、輝度などが改善された、フレーク状顔料を含有する粉体塗料組成物を提供する
【解決手段】熱硬化性樹脂粉末と、粘着性を備えた結合剤と、前記結合剤を介して前記熱硬化性樹脂粉末の表面に結合するフレーク状顔料と、を備える粉体塗料粒子を含み、前記粉体塗料粒子の平均粒子径はD50換算で100μm以下であり、前記熱硬化性樹脂粉末と前記フレーク状顔料との結合率は90%〜100%の範囲である、粉体塗料組成物。
【選択図】 図5
【解決手段】熱硬化性樹脂粉末と、粘着性を備えた結合剤と、前記結合剤を介して前記熱硬化性樹脂粉末の表面に結合するフレーク状顔料と、を備える粉体塗料粒子を含み、前記粉体塗料粒子の平均粒子径はD50換算で100μm以下であり、前記熱硬化性樹脂粉末と前記フレーク状顔料との結合率は90%〜100%の範囲である、粉体塗料組成物。
【選択図】 図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、粉体塗料組成物に関する。さらに詳しくは、本発明は、フレーク状顔料を熱硬化性樹脂粉末の表面に粘着性を有する結合剤を介して付着させた粉体塗料粒子を含む、新規なメタリック調の粉体塗料組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
粉体塗料は、有機溶剤を使用しない低公害型塗料として、自動車部品、電化製品、家具、工作機械、事務機器、玩具などに需要が増加しつつある。粉体塗料による塗装は低公害型であるとともに、1回の塗装で形成される塗膜が厚く、従来の溶剤型塗料のように何度も重ね塗りする必要がないため、塗装時間を短縮することができる。さらに、塗料中に溶剤を含有しないため、塗膜中にピンホールを発生させることがないなどの利点も有している。
【0003】
上記のような特性を有する粉体塗装では、金属フレークなどの金属顔料を含有しない場合には塗膜特性は良好であり、特に問題はない。しかしフレーク状金属顔料を含有する場合は、以下に述べるような問題点がある。
【0004】
従来、粉体塗料でメタリック塗装を行うには、フレーク状顔料を溶融法によりあらかじめ樹脂や着色顔料と十分混練した後、粉砕などにより粉末化するメルトブレンド法、樹脂粉末とフレーク状顔料を混合して塗装するドライブレンド法、表面にフレーク状顔料を付着させた樹脂粉末を使用するボンデッド法がある(たとえば、特許文献1、特許文献2、特許文献3参照。)。
【0005】
メルトブレンド法においては、混練工程やその後の粉砕などによる樹脂粉末粒度調整工程でフレーク状顔料の変形が生じやすく、塗装後良好なメタリック感が得られない。さらに、フレーク状顔料がアルミニウムフレーク顔料の場合には粉砕工程において、アルミニウムの活性な表面が露出し、発火、粉塵爆発などの危険性が高くなる。
【0006】
ドライブレンド法では、フレーク状顔料の変形は比較的生じがたいが、塗装時に顔料が帯電している必要があるため、アルミニウムフレーク顔料などの金属顔料を用いる場合にはあらかじめ表面に樹脂をコーティングしておかねばならない。また、顔料と樹脂粉末の帯電率が異なるため、塗装時に樹脂粉末と金属顔料の分離現象が生じ、塗膜の意匠性が低下するとともに、粉体塗料の塗布前後で顔料含有率が変化するため塗料を回収して使用すると色調が変化してしまい、塗料のリサイクルが事実上不可能である。
【0007】
さらに、このドライブレンド法においては、あらかじめ樹脂をコーティングしたアルミニウムフレーク顔料を用いても、コロナガンで粉体塗料組成物を粉体塗装した時に、ガンノズルにアルミニウムフレーク顔料が静電気で付着し、ある程度付着が成長したところで剥離し、アルミニウム塊が塗板に付着するスピット現象が生じ、塗膜にブツを生じて意匠性を損ねる欠点がある。
【0008】
ボンデッド法としては、ブラシポリッシャーによりフレーク状顔料を樹脂粉末表面に付着させる方法や、金属フレークで被覆されたアルミニウムナボールなどの分散メディアに樹脂粉末を接触せしめて、樹脂粉末に金属フレークを転写し結合させる方法などがある。これらのボンデッド法では物理的なストレスによりフレーク顔料と樹脂を圧着結合させているため、フレーク状顔料の変形が生じやすく、優れたメタリック感が得られがたい。さらに、結合の強さが弱いため、樹脂粉末同士の結合(ブロッキング)が生じがたいという利点がある反面、樹脂粉末と結合しない遊離のフレーク状顔料の粒子も多く残存する。遊離のフレーク状顔料が多くなれば、付着効率の差から、塗料を回収して使用する場合に樹脂とフレーク状顔料の配合比が変わり、ドライブレンド法と同じく塗料回収後の再使用ができなくなるとともに、アルミニウムフレーク顔料などの金属顔料を用いる場合には発火、粉塵爆発などの危険も高くなる。樹脂粉末とフレーク状顔料の結合力が弱くなるのは、特にフレーク状顔料の粒子径が大きい場合に顕著であり、このようなフレーク状顔料の使用によりはじめて達成される優れた光輝感や高い輝度は、これらの方法で得られたボンデッドアルミニウムでは得られにくかった。
【0009】
【特許文献1】
特開昭51−137725号公報
【0010】
【特許文献2】
特開平9−71734号公報
【0011】
【特許文献3】
米国特許4,138,511号明細書
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
以上の見地より、リサイクル性に優れ、塗装性が良好であり、塗膜のメタリック感、光輝感、輝度などが改善された、フレーク状顔料を含有する粉体塗料組成物の開発が強く要請されていたが、そのような粉体塗料組成物はいまだ開発されるにいたっていない。
【0013】
本発明の主要な課題は、リサイクル性に優れ、塗装性が良好であり、塗膜のメタリック感、光輝感、輝度などが改善された、フレーク状顔料を含有する粉体塗料組成物を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、従来技術の問題点を解決するためには、フレーク状顔料と樹脂粉末との結合性を高め、かつ、樹脂粉末同士の結合を防げばよいことに着目し、鋭意研究を重ねた。その結果、本発明者は、粘着性を備えた結合剤を用いてフレーク状顔料と熱硬化性樹脂粉末とを結合させた粉体塗料粒子であって、粒子径が100μm以下であり、結合率が90%以上である粉体塗料粒子を含む粉体塗料組成物を用いることにより、上記の目的を達成できることを見出し、本発明を完成した。
【0015】
すなわち、本発明の粉体塗料組成物は、熱硬化性樹脂粉末と、粘着性を備えた結合剤と、この結合剤を介してこの熱硬化性樹脂粉末の表面に結合するフレーク状顔料と、を備える粉体塗料粒子を含み、この粉体塗料粒子の平均粒子径はD50換算で100μm以下であり、この熱硬化性樹脂粉末とこのフレーク状顔料との結合率は90%〜100%の範囲である、粉体塗料組成物である。
【0016】
また、このフレーク状顔料は、アルミニウムフレーク粒子と、このアルミニウムフレーク粒子の表面を被覆する樹脂組成物皮膜と、を備える、アルミニウムフレーク顔料であってもよい。
【0017】
さらに、この場合、この樹脂組成物皮膜は、分子内に少なくとも一つの重合性二重結合を有するオリゴマーおよび/またはモノマーを少なくとも二種以上含む原料組成物を重合して得られる、三次元架橋型重合体樹脂を含む樹脂組成物皮膜であることが望ましい。
【0018】
そして、この場合、このアルミニウムフレーク顔料は、このアルミニウムフレーク粒子100gに対して、この樹脂組成物皮膜を2g〜50gの範囲で含有することが好ましい。
【0019】
また、この粘着性を備えた結合剤は、テルペン系樹脂、テルペン・フェノール系樹脂、テルペン系水素添加系樹脂、テルペン・フェノール系水素添加系樹脂からなる群より選ばれる1種以上であることが望ましい。
【0020】
さらに、この粘着性を備えた結合剤は、この熱硬化性樹脂粉末を溶解しない溶媒に溶解し、数平均分子量が300〜2000の範囲にあり、かつ軟化点が30〜180℃の範囲にあるオリゴマーであり、この熱硬化性樹脂粉末を溶解しない溶媒の沸点は、大気圧下で28〜130℃の範囲にあることが好ましい。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、実施の形態を示して本発明をより詳細に説明する。
【0022】
<粉体塗料組成物の概要>
本発明の粉体塗料組成物は、熱硬化性樹脂粉末と、粘着性を備えた結合剤と、この結合剤を介してこの熱硬化性樹脂粉末の表面に結合するフレーク状顔料と、を備える粉体塗料粒子を含む、粉体塗料組成物である。
【0023】
ここで、本発明の粉体塗料組成物に含まれる粉体塗料粒子の平均粒子径は、特に限定するものではないが、通常はD50換算で10μm以上である。また、この平均粒子径は、D50換算で100μm以下であることが好ましく、特に60μm以下であることがより好ましい。
【0024】
この平均粒子径がこの範囲よりも小さい場合には、フレーク状顔料と均一に混合することが困難になるとともに、凝集性が高くなり粉体塗装の際に均一に粉塵化できない場合がある。また、この平均粒子径がこの範囲よりも大きい場合には、塗装した際の塗膜の平滑性が実用上の許容範囲を超えて低下して意匠性が低下したり、あるいは塗膜に多量のブツが発生するという傾向がある。また、この平均粒子径がD50換算で100μm以下であっても、粉体塗料組成物中に微量の凝集塊が含まれた場合は、凝集塊がブツの原因となり意匠性の優れた塗膜は得られない傾向がある。
【0025】
また、本発明の粉体塗料組成物に含まれる熱硬化性樹脂粉末とフレーク状顔料との結合率は、当然に100%以下であるが、90%以上であることが好ましく、特に95%以上であることがより好ましい。この結合率がこの範囲より小さい場合には、特にスピットという面で問題を生じる傾向がある。
【0026】
スピットは特に長時間の連続塗装(たとえば、工業的なライン塗装)を行った際に起こり易く、短時間の塗装でガンノズルに付着が認められれば、長時間連続塗装においては、ほぼ確実にスピットの問題を生じる。ガンノズルに静電気で付着するのはアルミニウムフレーク顔料のみで熱硬化性樹脂粉末はほとんど付着しない。そのため、アルミニウムフレーク顔料の大部分が熱硬化性樹脂粉末に結合していれば、ガンノズルにアルミニウムフレーク顔料がほとんど付着することはなく、スピットの発生は問題とならない水準に抑制される。
【0027】
なお、従来より、結合剤を介してフレーク状顔料を熱硬化性樹脂粉末表面に結合させる方法も知られている(たとえば、特開昭52−128927号公報参照。)。しかし、この文献には、乾燥工程における混練の必要性の有無についての記載がなく、実施例においては静置真空乾燥を行っているとの記載がある。
【0028】
よって、この文献に記載の方法では、硬さの強弱の差はあれ凝集塊が生成する。そして、この凝集塊を粉体塗料組成物として使用する場合、D50換算の平均粒子径は通常60μm以下であることが好ましいため、生成した凝集塊は解砕する必要を生じる。
【0029】
ここで、生成した凝集塊の解砕にあたり、凝集塊がやわらかければ比較的ソフトな条件での解砕(たとえば、スクリーン上で自然解砕)も可能になる。しかし、やわらかな凝集塊を得るためには、フレーク状顔料と熱硬化性樹脂粉末との結合を犠牲にする条件を選択せねばならず、結果的にフレーク状顔料と熱硬化性樹脂粉末との結合率の低下を招く。
【0030】
逆に、フレーク状顔料と熱硬化性樹脂粉末との結合を強固にしようとすると、凝集塊は硬くなり、粉砕機の使用などのハードな条件での解砕が必要となる(上記の文献の実施例においては、いずれの場合も粉砕機を用いて凝集塊を粉砕しているとの記載がある)。粉砕機などを使用した場合、その衝撃力で一度結合したフレーク状顔料と熱硬化性樹脂粉末とは解離してしまい、結果的にフレーク状顔料と熱硬化性樹脂粉末との結合率は低下する。
【0031】
そのため、上記の文献に記載の方法では、いずれにしろ、本発明の粉体塗料組成物のように、熱硬化性樹脂粉末とフレーク状顔料との結合率が高く、かつ粉体塗料粒子の粒子径が粉体塗装に適した粒度を有する粉体塗料組成物を得ることはできない。
【0032】
<フレーク状顔料>
本発明の粉体塗料組成物に用いるフレーク状顔料としては、アルミニウム、亜鉛、銅、ブロンズ、ニッケル、チタン、ステンレスなどの金属フレークおよびそれらの合金フレークが挙げられ、これらの顔料の中でも、アルミニウムフレーク顔料は金属光沢に優れ、安価な上に比重が小さいため扱いやすく、特に好適である。
【0033】
アルミニウムフレーク顔料の平均粒子径は通常1〜100μm程度が好ましく、より好ましくは3〜60μmである。平均厚みは通常0.01〜5μm程度が好ましく、より好ましくは0.02〜2μmである。さらに、平均粒子径を平均厚みで割った形状係数が5〜100程度の範囲のものが特に好ましい。
【0034】
平均粒子径が100μmを超える場合は、フレーク状顔料が塗膜表面に突き出す結果となり、塗面の平滑性あるいは鮮映性が低下する傾向があり、平均粒子径が1μm未満の場合は、メタリック感あるいは光輝感が低下する傾向がある。また、平均厚みが5μmを超える場合は、塗面の平滑性あるいは鮮映性が低下する傾向があることに加え、製造コストアップにもつながる場合もあり、平均厚みが0.01μm未満の場合は、強度が低下する傾向があるばかりでなく、製造工程中の加工が困難になる場合がある。
【0035】
フレーク状顔料の平均粒子径は、レーザー回折法、マイクロメッシュシーブ法、コールターカウンター法などの公知の粒度分布測定法により測定された粒度分布より体積平均を算出して求められる。平均厚みについては、フレーク状金属顔料の隠蔽力と密度より算出される。
【0036】
また、アルミニウムフレーク顔料の表面には、磨砕時に添加する磨砕助剤が吸着していてもよい。磨砕助剤としては、たとえば脂肪酸(オレイン酸、ステアリン酸)、脂肪族アミン、脂肪族アミド、脂肪族アルコール、エステル化合物などが挙げられる。これらはアルミニウムフレーク顔料表面の不必要な酸化を抑制し、光沢を改善する効果を有する。
【0037】
なお、磨砕助剤の吸着量は、アルミニウムフレーク顔料100質量部に対し2質量部未満であることが好ましい。2質量部以上の場合は、表面光沢が低下するおそれがある。
【0038】
フレーク状顔料に多彩な色彩を付与するため、フレーク状顔料の表面に各種着色剤、着色顔料を付着させることができる。その着色剤、着色顔料としては、たとえばキナクリドン、ジケトピロロピロール、イソインドリノン、インダンスロン、ペリレン、ペリノン、アントラキノン、ジオキサジン、ベンゾイミダゾロン、トリフェニルメタンキノフタロン、アントラピリミジン、黄鉛、パールマイカ、透明パールマイカ、着色マイカ、干渉マイカ、フタロシアニン、ハロゲン化フタロシアニン、アゾ顔料(アゾメチン金属錯体、縮合アゾなど)酸化チタン、カーボンブラック、酸化鉄、銅フタロシアニン、縮合多環類顔料、などが挙げられる。
【0039】
フレーク状顔料に着色顔料を付着させる方法は特に限定されないが、分散剤で着色顔料を被覆した後、非極性溶媒中でフレーク状顔料と攪拌混合することにより、当該フレーク状顔料に付着させる方法が好ましい。
【0040】
前記分散剤としては、たとえば、安息香酸、安息香酸ビニル、サリチル酸、アントラニル酸、m−アミノ安息香酸、p−アミノ安息香酸、3−アミノ−4−メチル安息香酸、3,4−ジアミノ安息香酸、p−アミノサリチル酸、1−ナフトエ酸、2−ナフトエ酸、ナフテン酸、3−アミノ−2−ナフトエ酸、ケイ皮酸、アミノケイ皮酸等の芳香族カルボン酸;エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、 1,10−ジアミノデカン、1,12−ジアミノドデカン、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、1,8−ジアミノナフタレン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、ステアリルプロピレンジアミン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシランなどのアミノ化合物;アルミニウムもしくはチタニウムキレート化合物などが使用される。
【0041】
同じく、フレーク状顔料に多彩な色彩を付与するため、フレーク状顔料の表面に干渉膜などを形成することができる。その方法としては、特に限定はされないが、たとえば、金属フレークの個々の粒子表面に光干渉性酸化皮膜を形成するには、酸素量をコントロールした雰囲気中で金属フレークを300〜700℃程度に加熱することにより、表面に空気酸化皮膜を形成する方法、あるいは遷移金属などの酸化物の前駆体でフレーク状金属顔料を被覆し加熱分解する方法などが好ましい。
【0042】
また、フレーク状顔料に耐薬品性、耐水性あるいは耐候性を付与するため、フレーク状顔料の表面に樹脂層を形成することもできる。すなわち、このフレーク状顔料は、アルミニウムフレーク粒子と、このアルミニウムフレーク粒子の表面を被覆する樹脂組成物皮膜と、を備える、アルミニウムフレーク顔料であってもよい。
【0043】
その方法としては、特に限定はされないが、金属フレークを有機溶媒中に分散したスラリーに少なくとも一つの重合性二重結合を有するオリゴマーおよび/またはモノマーを少なくとも二種含有する原料組成物を添加し、不活性ガス雰囲気中で加熱しながらアゾビスイソブチロニトリル、過酸化ベンゾイルなどの重合開始剤を添加することにより、オリゴマーおよび/またはモノマーを重合させ金属フレーク表面に3次元架橋型重合体を析出させる方法などが好ましい。
【0044】
すなわち、この場合、この樹脂組成物皮膜は、分子内に少なくとも一つの重合性二重結合を有するオリゴマーおよび/またはモノマーを少なくとも二種含む原料組成物を重合して得られる、三次元架橋型重合体樹脂を含む樹脂組成物皮膜であることが望ましい。この時、三次元架橋型重合体樹脂とするため、少なくとも一種は分子内に二個以上の二重結合を有するモノマーまたはオリゴマーを使用することが特に好ましい。
【0045】
前記重合性オリゴマーまたはモノマーとしては、たとえば、アクリル酸、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、アクリル酸エステル(アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシブチル、アクリル酸2−メトキシエチル、アクリル酸2−ジエチルアミノエチル、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレートなど)、メタクリル酸エステル(メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸オクチル、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、1,9−ノナンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラメタクリレートなど)トリスアクリロキシエチルホスフェート、スチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、マレイン酸、クロトン酸、イタコン酸、ポリブタジエン、アマニ油、大豆油、エポキシ化大豆油、エポキシ化ポリブタジエン、シクロヘキセンビニルモノオキサイド、ジビニルベンゼンモノオキサイド、などが使用可能である。
【0046】
この中でもアクリル酸、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステルは透明性、付着性、耐候性および耐薬品性のある皮膜が形成されるため、ジビニルベンゼンは架橋作用により耐食性がより一層が向上するため、エポキシ化ポリブタジエンは重合反応効率の向上、2次密着性の向上のため、使用するのが好ましい。
【0047】
ここで、フレーク状含量がアルミニウムフレーク顔料である場合には、アルミニウムフレーク顔料の表面に形成させる樹脂組成物皮膜(本明細書において、樹脂コートとも記載する)のアルミニウムフレーク顔料100gに対する量(本明細書において、樹脂コート量とも記載する)は、2g以上であることが好ましく、特に5g以上であることがより好ましい。また、この樹脂コート量は、50g以下であることが好ましく、特に40g以下であることがより好ましい。
【0048】
この樹脂コート量が2g未満では、樹脂コートによる耐候性、耐薬品性などの効果が得られず、結合していないアルミニウムフレーク顔料が電場に沿ってガンに戻ってくる現象が生じる。また、この樹脂コート量が多くなるにつれ、結合剤の効果が弱くなり、同じ条件では結合率が低下してくる。そして、この樹脂コート量が50gを超えると、結合率90%以上の条件が達成できないという問題が生じる。
【0049】
また、フレーク状顔料として、マイカ、表面着色マイカ、ガラスフレーク、表面着色ガラスフレーク、パールなどを単独であるいは前記金属フレークとあわせて用いてもよい。
【0050】
<粘着性を備えた結合剤>
粘着性を備えた結合剤は、溶媒に溶解させて使用するのが好ましいため、溶媒に完全に溶解すること、溶媒に溶解させたときの粘度が低いこと、さらにブロッキング抑制の必要性から溶媒が除去されれば粘着性を失うこと、などの特性を有することが好ましい。
【0051】
このような特性を有する粘着性を備えた結合剤としては、たとえば、数平均分子量および軟化点の値がともに特定の範囲にあるオリゴマーを主要な成分として含む樹脂などが挙げられる。
【0052】
ここで、上記の数平均分子量は、300以上であることが好ましく、特に400以上であることがより好ましい。また、この数平均分子量は、2000以下であることが好ましく、特に1500以下であることが好ましい。この数平均分子量が300未満の場合には、常温で液状となりボンディングされた熱硬化性粉体塗料樹脂どうしがブロッキングを起こし不具合となる傾向があり、この数平均分子量が2000を超えると、溶媒に溶解した時の溶液粘度が上昇しボンディング対象である熱硬化性粉体塗料樹脂に均一に浸透、分散し難い傾向がある。
【0053】
また、上記の軟化点は、30℃以上であることが好ましく、特に80℃以上であることがより好ましい。また、この軟化点は、180℃以下であることが好ましく、特に150℃以下であることがより好ましい。この軟化点が30℃未満の場合には、常温で粘着結合性を生じ、ボンディングされた熱硬化性粉体塗料樹脂どうしがブロッキングを起こし不具合となる傾向があり、この軟化点が180℃を超えると、数平均分子量の場合と同じく溶媒に溶解した時の溶液粘度が上昇しボンディング対象である熱硬化性粉体塗料樹脂に均一に浸透、分散し難い傾向がある。
【0054】
たとえば、クロマン・インデン系樹脂、テルペン系樹脂、テルペン・フェノール系樹脂、芳香族炭化水素変性テルペン系樹脂、テルペン系水素添加系樹脂、テルペン・フェノール系水素添加系樹脂、ロジン系樹脂、水素添加ロジンエステル系樹脂、ロジン変性フェノール系樹脂、アルキルフェノール系樹脂などの天然樹脂系の粘着性を備えた結合剤や、アルキルフェノール・アセチレン系樹脂、アルキルフェノール・ホルムアルデヒド系樹脂、スチレン系樹脂、脂肪族系石油樹脂、脂環族系石油樹脂、共重合系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、キシレン系樹脂、キシレン・ホルムアルデヒド系樹脂などの合成樹脂系の粘着性を備えた結合剤や、ポリブテン、液状系ゴムなどのオリゴマー系粘着付与剤などが挙げられる。その他、各種ゴム材料、油脂、ロウ(ワックス)などが粘着性を備えた結合剤として好適に使用可能である。
【0055】
そのなかでも、特に好適に使用可能な粘着性を備えた結合剤として、テルペン系樹脂、テルペン・フェノール系樹脂、テルペン系水素添加系樹脂、テルペン・フェノール系水素添加系樹脂などが挙げられる。
【0056】
<熱硬化性樹脂粉末>
熱硬化性樹脂粉末としては、大別してアクリル樹脂系とポリエステル樹脂系が挙げられ、それ以外にも、アルキド樹脂系、尿素樹脂系、メラミン樹脂系、フェノール樹脂系、エボナイト系なども挙げられる。ポリエステル樹脂系の中にはエポキシ樹脂で硬化させるもの、イソシアネートで硬化させるもの(ウレタン系)、プリミドで硬化させるもの(プリミド系)などがあり、本発明ではこれら熱硬化性樹脂のうち、少なくとも1種を用いるのが望ましい。
【0057】
これらの熱硬化性樹脂粉末には必要に応じて、硬化剤、分散剤などを添加してもよい。硬化剤としては特に限定されず、公知のものまたは市販品を使用することができ、たとえばアミン、ポリアミド、ジシアンジアミド類、イミダゾール類、カルボン酸ジヒドラジド、酸無水物、ポリスルフィド、三フッ化ホウ素、アミノ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート、トリスエポキシプロピルイソシアヌレート、プリミド、エポキシ樹脂、その他の二塩基酸類、イミダゾリン類、ヒドラジド類、イソシアネート化合物などを用いることが望ましい。また適宜硬化促進剤を併用することができる。分散剤としては特に限定されず、公知のものまたは市販品を使用することができ、たとえばリン酸エステル類、アミン類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類などの公知の界面活性剤などを用いることが好ましい。
【0058】
また、キナクリドン、ジケトピロロピロール、イソインドリノン、インダンスロン、ペリレン、ペリノン、アントラキノン、ジオキサジン、ベンゾイミダゾロン、トリフェニルメタンキノフタロン、アントラピリミジン、黄鉛、パールマイカ、透明パールマイカ、着色マイカ、干渉マイカ、フタロシアニン、ハロゲン化フタロシアニン、アゾ顔料(アゾメチン金属錯体、縮合アゾなど)酸化チタン、カーボンブラック、酸化鉄、銅フタロシアニン、縮合多環類顔料などの各種着色剤が、熱硬化性樹脂粉末に含有されていてもよい。これらの着色剤を含有させることにより、より鮮やかなメタリック塗装の塗膜を得ることが可能となる。これらの着色剤の配合量はその種類によって異なるが、本発明のフレーク状顔料の特徴が生かされ、かつ塗膜表面の平滑性あるいは鮮映性が損なわれない範囲に設定することが望ましい。
【0059】
前記以外にも、必要に応じてベントナイト、アルミニウムナホワイト、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルクなどの各種充填剤、シリカ、アルミニウムナ、水酸化アルミニウムなどの各種流動性調整剤、アクリルオリゴマー、シリコーンなどの各種流展剤、ベンゾインなどの各種発泡防止剤、更には、ワックス類、カップリング剤、酸化防止剤、磁性粉、安定剤、紫外線吸収剤、レベリング剤、増粘剤、沈降防止剤などをはじめとする各種添加剤および各種機能性材料が、熱硬化性樹脂粉末に含有されていてもよい。
【0060】
熱硬化性樹脂粉末の平均粒子径は特に限定されないが、通常5〜100μm程度が好ましく、特に好ましくは15〜60μmである。平均粒子径が5μm未満では、顔料と均一に混合することが困難になるとともに、凝集性が高くなり粉体塗装の際に均一に粉塵化できない場合がある。100μmを超える場合には、塗膜表面の平滑性が阻害され、良好な外観が得られないおそれがある。
【0061】
前記の熱硬化性樹脂粉末を製造するには、たとえば、樹脂、硬化剤、および必要に応じて添加する充填剤などの原材料組成物を用意し、これをまずミキサー、ブレンダーなどを用いてドライブレンドする。混合後、ニーダーにより原材料を溶融混練し、冷却する。次に、機械または気流式の粉砕機を用いて冷却済みの溶融混練物を粉砕し、その後、気流式分級機により分級して、熱硬化性樹脂粉末を得ることができる。この方法以外にもスプレードライ法や重合法によっても熱硬化性樹脂粉末を製造することができる。
【0062】
<熱硬化性樹脂粉末とフレーク状顔料との結合>
前記の方法によって得られた熱硬化性樹脂粉末表面に、粘着性を備えた結合剤によってフレーク状顔料を結合させる方法については特に限定されず、たとえば以下の方法で行うことができる。
【0063】
すなわち、あらかじめ均一に混合した樹脂粉末とフレーク状顔料に、溶媒に溶解した粘着性を備えた結合剤を添加し混練する。溶媒が蒸発し全体が粉体化するまで混練を継続し、完全に溶媒を除去した後、気流式分級機(スクリーン)により分級してメタリック塗装用粉体塗料組成物を得る。混練しながら溶媒を蒸発除去し、乾燥することにより、フレーク状顔料と樹脂粉末の結合力を高めると同時に樹脂粉末同士のブロッキングを抑制することができる。なお、溶媒を蒸発除去し、乾燥する際には真空吸引を行うのがより好ましい。
【0064】
この乾燥を含めた混練工程においては内容物の温度を−5℃以上に保つことが好ましく、特に0℃以上に保つことがより好ましい。また、この温度は50℃以下に保つことが好ましく、特に35℃以下に保つことがより好ましい。この温度が50℃を超えれば、結合剤を介して熱硬化性樹脂粉体どうしの結合が促進されブロッキングを生じる可能性がある。この場合、ジェットミルなどの物理的粉砕方法で凝集粒子を解砕することも可能ではあるが、その作業に伴いフレーク状顔料粒子の熱硬化性樹脂粉体からの剥離、ひいては粒子自体の破壊を引き起こし本来の目的に反する可能性が高い。また、この温度が−5℃未満の場合には、乾燥に長時間を必要とするため実用的でない。
【0065】
フレーク状顔料と樹脂粉末の均一混合工程とそれに続く粘着性を備えた結合剤の混練・乾燥工程を真空ニーダーミキサーなどの同一装置内で連続的に行うことも可能であるが、生産性向上のために均一混合工程と結合剤の混練・乾燥工程を分離して行うこともできる。その場合には混合機として常圧ニーダーミキサー、2軸スクリュー型混練機、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサーなどの高速ミキサー、ブレンダーなどが使用でき、混練・乾燥機としては振動乾燥機、連続式流動乾燥機などが使用できる。
【0066】
あらかじめ溶媒に溶解した粘着性を備えた結合剤にフレーク状顔料を分散させたものを、樹脂粉末に添加し、混合攪拌しながら、溶媒を蒸発させてもよい。
【0067】
粘着性を備えた結合剤を溶解する溶媒は特に限定されるものではないが、樹脂粉末を溶解、膨潤させないことが必要であり、低沸点であることが望ましい。一般に粉体塗装用の熱硬化性樹脂粉体は50℃〜80℃で溶解するので、熱硬化性樹脂粉体の溶融温度未満で留去できる低沸点溶媒が好ましい。さらに、真空下の混練乾燥温度として好ましい温度である、−5〜50℃の範囲、より好ましくは0〜35℃の範囲の温度で完全除去できることが特に望まれる。
【0068】
この要望に合致する溶媒としては、常圧下に於ける沸点が特定の範囲にある溶媒が好ましい。ここで、この沸点の温度は、28℃以上であることが好ましく、特に60℃以上であることがより好ましい。また、この沸点の温度は、130℃以下であることが好ましく、特に110℃以下であることがより好ましい。
【0069】
この溶媒の沸点の温度が130℃を超えると、真空下でも50℃を越える温度での乾燥が必要となり、粒子どうしのブロッキングが生じる傾向がある。逆に、この沸点の温度が28℃未満の場合には、溶媒の引火点も低下するので安全性の点で問題を生じる傾向がある。
【0070】
このような溶媒としては、たとえば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどのアルカン類、イソペンタン、イソヘキサン、イソヘプタン、イソオクタンなどのイソパラフィン類、メタノール、エタノール、などのアルコール類、四塩化炭素などの有機ハロゲン化物類などのほか、水なども挙げられる。
【0071】
樹脂粉末と混合されるフレーク状顔料は、樹脂粉末100質量部あたり通常1〜40質量部程度、特に2〜20質量部となるように配合すればよい。フレーク状顔料が1質量部未満では十分なメタリック感および光輝感が得られないおそれがある。また、基材を隠蔽するために塗装厚を大きくする必要がある。40質量部を超える場合には、製造コストアップになるとともに、塗膜の平滑性が失われ、外観が悪くなる。
【0072】
添加する粘着性を備えた結合剤の量は得られる粉体塗料組成物に対し0.1〜5%が好ましい。0.1%未満であれば結合が不十分で遊離のフレーク状顔料が多く残存し、5%を超えるとブロッキングが著しい。
【0073】
結合剤を溶解する溶媒の量は特に限定されるものではないが混合湿粉(樹脂粉末+フレーク状顔料+粘着性を備えた結合剤+溶媒)の2〜50%が好ましく、3〜20%がさらに好ましい。2%未満では結合剤溶液を樹脂粉末およびフレーク顔料全体と均一に混合することが困難である。20%を越えるとややブロッキングが生じ、50%を超えると流動性を帯びたスラリーとなり、乾燥が困難となる。
【0074】
<粉体塗料組成物の塗装>
本発明の粉体塗料組成物を塗装する方法としては、あらかじめ塗装表面をブラスト処理後、化成処理などの公知の処理を施した上で粉体塗料組成物を付着させ、その後加熱硬化させることが好ましい。
【0075】
被塗装材(基材)としては特に制限されないが、焼付けにより変形、変質などが発生しないものが好ましい。たとえば、公知の鉄、銅、アルミニウム、チタンなどの金属および各種合金などが好ましいものとして挙げられる。具体的な形態としては、たとえば車体、事務用品、家庭用品、スポーツ用品、建築材料、電気製品などに利用される。
【0076】
本発明の粉体塗料組成物を基材表面に付着させる方法としては、流動浸漬法、静電粉体塗装法が適用できるが、静電粉体塗装法が塗着効率に優れ、より好ましい。静電粉体塗装の方法には、コロナ放電方式、摩擦帯電方式などの公知の方法を用いることができる。
【0077】
加熱温度は用いる熱硬化性樹脂粉末の種類に応じて適宜設定できるが、通常は120℃以上、好ましくは150〜230℃とすればよい。加熱時間は加熱温度に応じて適宜選択することができるが、一般的には1分間以上、好ましくは5〜30分間とすればよい。加熱により形成された塗膜は、限定的ではないが、通常20〜100μm程度である。
【0078】
本発明においては、塗膜の輝度を評価パラメータβ/αを用いて評価している。フレーク顔料としてアルミニウムフレーク顔料を使用し、着色顔料などを含まないシルバーメタリック調塗膜の場合には、β/α≧110が望ましい。この評価パラメータ、すなわちβ/αは次の式(1)
式(1):L=[β/(θ2+α)]+γ
(ここでLは分光光度計(商品名「X−Rite MA68」X−Rite社製)を用いて観測角θで測色した明度指数(L*a*b*測色系(CIEが1976年に定めた均等色空間にもとづく表色系))、θは観測角、α、βおよびγは定数である。)
から導かれるものである。式(1)の第1項目は、観測角θに依存するメタリック特有の指向性散乱に対応し、第2項目は、観測角θに依存しない等方性散乱に対応するものである。視覚輝度は指向性散乱の正反射位置(θ=0)でのL値、すなわちβ/αに良く相関するため、β/αを輝度の評価パラメータとして使用している。
【0079】
β/αの算出に関しては、まずα、βおよびγを決定する必要がある。本発明では、まず観測角θが15度、25度、45度、75度、および110度における実測L値を測定し、それらθおよびL値の関係が式(1)に従うものと仮定して、最小二乗法でα、βおよびγを決定する。
【0080】
図1は、後述する実施例1の場合における粉体塗料粒子を含有する粉体塗料組成物による塗膜の観測角(θ)とL値との関係を、後述する比較例1の場合と対比して説明するグラフである。式(1)が描く曲線において、できるだけ実測値がこの曲線上を通るようなα、βおよびγを求める。そのために、α、βおよびγに化数を代入して、計算値と実測L値の残差平方和が最小となるようなα、βおよびγの解をソルバーで決定するという操作を行う。
【0081】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0082】
ここで、比較例は、特開昭52−128927号公報に記載された実施例に準じて行った。この文献に記載の実施例との違いは、熱硬化性樹脂粉末として一般的な市販品を使用したこと、および樹脂組成物皮膜によりコートされたアルミニウムフレーク顔料として東洋アルミニウム株式会社製の樹脂コートアルミニウム粉(PCF)を使用したことである。
【0083】
なお、比較例1は上記の文献に記載の実施例4に準じて行い、比較例2は上記文献に記載の実施例1に準じて行った。また、実施例1は比較例と同じアルミニウムフレーク顔料、同じ熱硬化性樹脂粉末を同じ配合で使用した。
【0084】
比較例1
まず、熱硬化性樹脂粉末であるTeodur PE 785−900(久保孝ペイント株式会社製)50.0gと、樹脂コートアルミニウム粉であるPCF 7601(東洋アルミニウム株式会社製、アクリル酸/アクリル酸エステル/エポキシ化ポリブタジエン/ジビニルベンゼンを重合させて得られる樹脂組成物皮膜を有するアルミニウムフレーク顔料)5.0gと、をよくドライブレンドした後、高速ブレンダー(PHONIX社製、容量200ml密閉ガラス瓶型)にチャージした。
【0085】
次いで、アセトン1.5gを約3分かけて滴下、その際に同じ場所に滴下しないように注意し、ときどきアセトン湿潤塊に乾燥粉をかけるようにして軽く混合しながら滴下した。3分間ブレンドした後、瓶から回転ブレードを外し、各々を真空デシケーターに入れ、室温2kPaで1時間真空乾燥した。回転ブレードには1.1gが固着していた。
【0086】
試料を観察すると、瓶の中は凝集塊となっていたが、やわらかい凝集塊であったため、そのまま目開き100μmのスクリーンにかけた。スクリーン通過率は87%であった(収率85%)。得られた粉体塗料組成物に含まれる粉体塗料粒子のD50換算の平均値は49μmで、粉体塗料組成物中のアルミニウムフレーク顔料の結合率は21%であった。
【0087】
比較例2
まず、熱硬化性樹脂粉末であるTeodur PE 785−900(久保孝ペイント株式会社製)50.0gと、樹脂コートアルミニウム粉であるPCF7601(東洋アルミニウム株式会社製)5.0gと、をよくドライブレンドした後、高速ブレンダー(PHONIX社製、容量200ml密閉ガラス瓶型)にチャージした。
【0088】
次いで、Teodur PE2.0gをジクロルメタン10.0gに溶解し、樹脂溶液を調整した。この樹脂溶液1.5gを約30秒かけて滴下、その際に同じ場所に滴下しないように注意し、ときどき溶液湿潤塊に乾燥粉をかけるようにして軽く振混ぜながら滴下した。3分間ブレンドした後、瓶から回転ブレードを外し、各々を真空デシケーターに入れ、続いて、室温2kPaで1時間真空乾燥した。回転ブレードには5.5gが固着していた。取り出した粉体塗料組成物はロータースピードミル(フリッチュ社製)にて粉砕した。得られた粉末はさらに目開き100μmのスクリーンにかけた。スクリーン通過率は98%であった(収率88%)。得られた粉体塗料組成物に含まれる粉体塗料粒子のD50換算の平均値は32μmで、粉体塗料組成物中のアルミニウムフレーク顔料の結合率は2%であった。
【0089】
比較例3
まず、熱硬化性樹脂粉末であるTeodur PE 785−900(久保孝ペイント株式会社製)50.0gと、樹脂コートアルミニウム粉であるPCF7601(東洋アルミニウム株式会社製)5.0gと、を1リットルのステンレスビーカー中でよくドライブレンドした後、アセトン3.0gとノルマルヘプタン(沸点98.4℃)30.0gを混合して添加した。
【0090】
ここで、アセトンはTeodurを溶解する溶媒であり、ノルマルヘプタンは全く溶解しない溶媒である。すなわち、ノルマルヘプタンはアセトンを系内に均一に行き渡らせる助剤の役割をはたす。
【0091】
次いで、薬匙で均一になるよう混合した後、真空デシケーターに入れ、室温2kPaで1晩真空乾燥した。試料を観察すると、全体が硬い凝集塊となっていたため、粉体塗装機の中を通る程度のサイズにハンマーで粉砕して得られた粉体塗料組成物のD50換算の平均粒子径を測定したところ230μmであった。結合率は粒子が粗過ぎ、ドクターブレードでアート紙に塗布することができず測定不能であった。得られた粉体塗料組成物を用いて粉体塗装を試みたが、塗板には大量のブツが生じ、平滑な塗膜は得られなかった。
【0092】
実施例1
まず、熱硬化性樹脂粉末であるTeodur PE(久保孝ペイント株式会社製)100.0gと、樹脂コートアルミニウム粉であるPCF7601(東洋アルミニウム株式会社製)10.0gと、を1リットルのステンレスビーカーに入れ、薬匙でよく混合してドライブレンドとした。
【0093】
次いで、粘着性を備えた結合剤としてテルペン・フェノール系水素添加系樹脂(ヤスハラケミカル株式会社製、YS−ポリスターTH−130、数平均分子量800、軟化点130℃)2.0gをノルマルヘプタン(沸点98.4℃)21.1gに溶解させた。この溶液を前記ドライブレンドに添加し、薬匙で均一になるよう良く混練した。混練を継続しながら約1hr自然乾燥させると粉塵が立つ粉体が得られた。
【0094】
これを1リットルのナスフラスコに充填し、エバポレーターを用い、回転混合させながら、さらに20min常温真空乾燥させた。試料を観察すると、ナスフラスコの中に凝集塊は存在しなかったので、特に粉砕は行なわなかった。得られた粉体は、109.5gであった。これを目開き100μmのスクリーンにかけると108.2gの粉体塗料組成物が得られた(収率:96.6%)。
【0095】
得られた粉体塗料組成物の平均粒子径は、D50換算で46μmであり、粉体塗料組成物中のアルミニウムフレーク顔料の結合率は98.4%であった。
【0096】
粉体塗料粒子のD50換算の平均粒子径の測定方法
(比較例1、比較例2および実施例1)
試料約0.1gを0.5%Triton X(Union Carbide社製、界面活性剤)水溶液5gに分散させたものを、溶媒に水を使用しHoneywell社製、Microtrac 9320 X−200に滴下し、超音波で分散(40W10秒)した後、測定した。
【0097】
(比較例3)
目開き840μm,350μm,149μm,105μm,63μm,44μmの篩を重ね、ロータップ式分級機で分級して求めた、粉末の累積重量粒度分布からD50換算の平均粒子径を読取った。
【0098】
アルミニウムフレーク顔料含有量の測定方法
作製した粉体塗料組成物(本明細書において、ボンデッドアルミニウムとも記載する)を一定量採取したのち、N−メチルピロリドンを用いて熱硬化性樹脂粉末を溶解除去することにより樹脂組成物皮膜によりコートされたアルミニウムフレーク顔料のみを取出し、その質量を測定することによってボンデッドアルミニウム中のアルミニウムフレーク顔料の含有量を算出した。
【0099】
結合率(ボンディング率)の測定方法
(i)結合率の測定の原理
フレーク状顔料がアルミニウムフレーク顔料の場合には、熱硬化性樹脂粉末とアルミニウムフレーク顔料との結合率は、次式のように結合していないアルミニウムフレーク顔料を定量分析し、その比率を引くことにより求める。
【0100】
結合率(%)=100−結合していないアルミニウムフレーク顔料の比率(%)
ここで、結合していないアルミニウムフレーク顔料を定量するためには、結合していないアルミニウムフレーク顔料とアルミニウムフレーク顔料が結合した熱硬化性樹脂粉末とを分離しなければならない。定量法の説明に当たっては、まず分離の原理から述べる必要がある。
【0101】
本方法はフレーク状と粒子状という形状の違いを利用して分離を行っている。すなわち、粒子状である熱硬化性樹脂粉末に結合したアルミニウムフレーク顔料は、熱硬化性樹脂粉末と一体化しているため全体としての形状としては粒子状になる。一方、熱硬化性樹脂粉末と結合していないアルミニウムフレーク顔料(本明細書において、遊離アルミニウムフレーク顔料とも記載する)はフレーク状のままである。
【0102】
また、本分離法は、粒子状物体とフレーク状物体の紙面に対する付着のし易さの違いを利用している。すなわち、紙面(平面)と粒子状物体の接触は点接触であり、かつ粒子状物体が十分な質量を有しているため付着し難い。一方、フレーク状物体はフレーク状であるがゆえに体積が小さく軽いうえ、紙面とは面接触するため付着し易い。
【0103】
そこで、紙面上に検体を均一に広げ、検体を落とすと、付着したフレーク状物体と、付着しない粒子状物体とを分離することができる。付着したアルミニウムフレーク顔料はシルバーの色彩を有するので、紙面の輝度を測定することにより付着した遊離アルミニウムフレーク顔料の定量ができる。
【0104】
もちろん、遊離アルミニウムフレーク顔料が全て紙面に付着するわけではない。そこで、遊離アルミニウムフレーク顔料の含量が既知のサンプルを調製し、これを上記方法で分析し、遊離アルミニウムフレーク顔料含量と紙面の輝度の関係を明らかにして検量線を作成する。この検量線を用いれば、紙面輝度から検体中の遊離アルミニウムフレーク顔料が定量できる。具体的方法を以下に述べる。
【0105】
(ii)検量線の作成
検量線を作成するには、検体の原料と同じ熱硬化性樹脂粉末とアルミニウムフレーク顔料を使う必要がある。そして、熱硬化性樹脂粉末とアルミニウムフレーク顔料を数種の組成でドライブレンドする。この状態では、アルミニウムフレーク顔料は熱硬化性樹脂粉末に結合していないので、仕込みのアルミニウムフレーク顔料含量がそのまま遊離アルミニウムフレーク顔料の含量になっている。
【0106】
次に、この検量線用の検体を黒色アート紙に少量置き、9ミルのドクターブレードで引いて均一に広げる。この紙を逆さまにして余分な検量線用の検体を落とし、紙面の縁を十分に指で叩くと、遊離アルミニウムフレーク顔料と微量の微粒子状の熱硬化性樹脂粉末が付着したアート紙が得られる。これをX−Riteで測色し、L15の値を輝度とする。この操作を1サンプルの検量線用の検体につき5〜10回行い、そのL15の平均値をそのサンプルの輝度とする。経験的にアルミニウム含量(%)の平方根とL15の値は直線関係にあることがわかったので、最小二乗法を用いて両者の関係を数式化する。
【0107】
(iii)検体の測定と結合率の算出の具体例
アルミニウムフレーク顔料としてPCF7601(東洋アルミニウム(株)製)を、熱硬化性樹脂粉末としてTeodur PE 785−900 (久保孝ペイント(株)製)を用いた例を示す。
【0108】
検量線用の結合率既知の検体についてL15値を複数回測定し、平均値を求めた結果を表1および図2に示す。図2は、遊離アルミニウムフレーク顔料の含量と、輝度(L15)との関係を示す検量線を説明するグラフである。
【0109】
【表1】
【0110】
上記の結果より、次式の検量線が得られた。
遊離アルミニウムフレーク顔料の含量(%)=((L15−40.23)/11.96)2
結合率未知の検体を、検量線作成と同じ操作で測定してL15を求め、上記の検量線式に代入することにより、遊離アルミニウムフレーク顔料の含量が算出される。たとえば、L15=60であれば、検量線として得られた上記の式にL15=60を代入して、遊離アルミニウムフレーク顔料の含量(%)=2.7%となる。
【0111】
結合していないアルミニウムフレーク顔料の比率(%)は、上記した遊離アルミニウムフレーク顔料の含量(%)と上記した実測アルミニウムフレーク顔料含有量の積(%)から求めることができる。実測したアルミニウムフレーク顔料の含量が8.9%であれば、そのうち、2.7%が遊離アルミニウムフレーク顔料の含量であるので、遊離アルミニウムフレーク顔料の比率=2.7/8.9×100=30%となる。それゆえ、結合率=100−30=70%と算出される。本方法は、検量線の傾きが大きい高結合率領域では特に精度が良い。
【0112】
評価結果
比較例1〜3および実施例1において得られた粉体塗料組成物作成の際の各種成分の配合量および収率などを表2にまとめた。また、これらの粉体塗料組成物のアルミニウム含量(質量%)および結合率(%)の分析結果についても表2にまとめた。
【0113】
【表2】
【0114】
ここで、表2に示す結果より、対比すべきサンプルはほぼ同じアルミニウム含量であることから、後述するこれらの粉体塗料組成物の塗膜の輝度をはじめとする性状比較の結果は、本発明による効果の比較とみなすことができる。
【0115】
比較例1、比較例2および実施例1の粉体塗料組成物を、コロナ放電式静電粉体塗装機(商品名「MXR−100VT−mini」旭サナック株式会社製)を用いて印加電圧80kVで塗装した。その後190℃で20分間焼き付けることにより塗板を作成した。塗膜の輝度(β/α)を表2に示す。
【0116】
表2より、本発明の実施例1の粉体塗料組成物を用いた塗板の方が、比較例1および比較例2の粉体塗料組成物を用いた塗板に比べて、輝度(β/α)が高いことがわかる。また、ノズルの付着状況を比べると、実施例1の粉体塗料組成物の方が、比較例1および比較例2の粉体塗料組成物に比べて、塗装性に優れていることがわかる。
【0117】
比較例1、比較例2および実施例1で得られた粉体塗料組成物を電子顕微鏡で観察した結果を、図3〜図5の写真に示す。
【0118】
ここで、それぞれの写真において、塊状に見えるものが熱硬化性樹脂粉末であり、鱗片状に見えるものがアルミニウムフレーク顔料である。アルミニウムフレーク顔料のうち、熱硬化性樹脂粉末から離れて見えるものが、遊離のアルミニウムフレーク顔料である。
【0119】
図3〜図5の写真を見ると、比較例1および比較例2においては、多くの遊離アルミニウムフレーク顔料が観察されるが、実施例1においては、遊離アルミニウムフレーク顔料は観察されない。
【0120】
電子顕微鏡観察の結果を表2にまとめた。この結果は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、各実施例、比較例につき10以上の視野を観察し、遊離のアルミニウムフレーク顔料がほとんど観察されないものを◎、少し観察されるものを○、多く観察されるものを△、非常に多く観察されるものを×とした結果をまとめたものである。
【0121】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0122】
【発明の効果】
上記の結果から明らかなように、本発明の粉体塗料組成物は、減圧下で混練しながら、樹脂粉末表面に粘着性を備えた結合剤を介してフレーク状顔料を結合させ、さらに溶剤除去を行うことにより製造される粉体塗料組成物である。
【0123】
そのため、本発明の粉体塗料組成物の製造中には、凝集塊が発生することがないので、粉体塗料組成物として使用するために、粉体粒子の平均粒子径を小さくして塗装性を向上させるための事後的な粉砕を行なう必要がない。
【0124】
よって、本発明の粉体塗料組成物の製造中には、フレーク状顔料と熱硬化性樹脂粉末との結合を破壊する外力を加える必要がないため、本発明の粉体塗料組成物に含まれる粉体塗料粒子の平均粒子径は十分に小さく、粉体塗料組成物に含まれる熱硬化性樹脂粉末とフレーク状顔料との結合は非常に強固であり、結合率は著しく高いものとなる。
【0125】
それゆえ、本発明の粉体塗料組成物は、リサイクル性に優れ、塗装性が良好であり、塗膜のメタリック感、光輝感、輝度などが改善された、フレーク状顔料を含有する粉体塗料組成物であるといえる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1の場合におけるボンデッドアルミニウムを用いた粉体塗料組成物による塗膜の観測角(θ)とL値との関係を、比較例1の場合と対比して説明するグラフである。
【図2】遊離アルミニウムフレーク顔料の含量と、輝度(L15)との関係を示す検量線を説明するグラフである。
【図3】本発明の比較例1の電子顕微鏡写真(倍率300倍)を示して、アルミニウムフレーク顔料と熱硬化性樹脂との付着状況を示す図である。
【図4】本発明の比較例2の電子顕微鏡写真(倍率300倍)を示して、アルミニウムフレーク顔料と熱硬化性樹脂との付着状況を示す図である。
【図5】本発明の実施例1の電子顕微鏡写真(倍率300倍)を示して、アルミニウムフレーク顔料と熱硬化性樹脂との付着状況を示す図である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、粉体塗料組成物に関する。さらに詳しくは、本発明は、フレーク状顔料を熱硬化性樹脂粉末の表面に粘着性を有する結合剤を介して付着させた粉体塗料粒子を含む、新規なメタリック調の粉体塗料組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
粉体塗料は、有機溶剤を使用しない低公害型塗料として、自動車部品、電化製品、家具、工作機械、事務機器、玩具などに需要が増加しつつある。粉体塗料による塗装は低公害型であるとともに、1回の塗装で形成される塗膜が厚く、従来の溶剤型塗料のように何度も重ね塗りする必要がないため、塗装時間を短縮することができる。さらに、塗料中に溶剤を含有しないため、塗膜中にピンホールを発生させることがないなどの利点も有している。
【0003】
上記のような特性を有する粉体塗装では、金属フレークなどの金属顔料を含有しない場合には塗膜特性は良好であり、特に問題はない。しかしフレーク状金属顔料を含有する場合は、以下に述べるような問題点がある。
【0004】
従来、粉体塗料でメタリック塗装を行うには、フレーク状顔料を溶融法によりあらかじめ樹脂や着色顔料と十分混練した後、粉砕などにより粉末化するメルトブレンド法、樹脂粉末とフレーク状顔料を混合して塗装するドライブレンド法、表面にフレーク状顔料を付着させた樹脂粉末を使用するボンデッド法がある(たとえば、特許文献1、特許文献2、特許文献3参照。)。
【0005】
メルトブレンド法においては、混練工程やその後の粉砕などによる樹脂粉末粒度調整工程でフレーク状顔料の変形が生じやすく、塗装後良好なメタリック感が得られない。さらに、フレーク状顔料がアルミニウムフレーク顔料の場合には粉砕工程において、アルミニウムの活性な表面が露出し、発火、粉塵爆発などの危険性が高くなる。
【0006】
ドライブレンド法では、フレーク状顔料の変形は比較的生じがたいが、塗装時に顔料が帯電している必要があるため、アルミニウムフレーク顔料などの金属顔料を用いる場合にはあらかじめ表面に樹脂をコーティングしておかねばならない。また、顔料と樹脂粉末の帯電率が異なるため、塗装時に樹脂粉末と金属顔料の分離現象が生じ、塗膜の意匠性が低下するとともに、粉体塗料の塗布前後で顔料含有率が変化するため塗料を回収して使用すると色調が変化してしまい、塗料のリサイクルが事実上不可能である。
【0007】
さらに、このドライブレンド法においては、あらかじめ樹脂をコーティングしたアルミニウムフレーク顔料を用いても、コロナガンで粉体塗料組成物を粉体塗装した時に、ガンノズルにアルミニウムフレーク顔料が静電気で付着し、ある程度付着が成長したところで剥離し、アルミニウム塊が塗板に付着するスピット現象が生じ、塗膜にブツを生じて意匠性を損ねる欠点がある。
【0008】
ボンデッド法としては、ブラシポリッシャーによりフレーク状顔料を樹脂粉末表面に付着させる方法や、金属フレークで被覆されたアルミニウムナボールなどの分散メディアに樹脂粉末を接触せしめて、樹脂粉末に金属フレークを転写し結合させる方法などがある。これらのボンデッド法では物理的なストレスによりフレーク顔料と樹脂を圧着結合させているため、フレーク状顔料の変形が生じやすく、優れたメタリック感が得られがたい。さらに、結合の強さが弱いため、樹脂粉末同士の結合(ブロッキング)が生じがたいという利点がある反面、樹脂粉末と結合しない遊離のフレーク状顔料の粒子も多く残存する。遊離のフレーク状顔料が多くなれば、付着効率の差から、塗料を回収して使用する場合に樹脂とフレーク状顔料の配合比が変わり、ドライブレンド法と同じく塗料回収後の再使用ができなくなるとともに、アルミニウムフレーク顔料などの金属顔料を用いる場合には発火、粉塵爆発などの危険も高くなる。樹脂粉末とフレーク状顔料の結合力が弱くなるのは、特にフレーク状顔料の粒子径が大きい場合に顕著であり、このようなフレーク状顔料の使用によりはじめて達成される優れた光輝感や高い輝度は、これらの方法で得られたボンデッドアルミニウムでは得られにくかった。
【0009】
【特許文献1】
特開昭51−137725号公報
【0010】
【特許文献2】
特開平9−71734号公報
【0011】
【特許文献3】
米国特許4,138,511号明細書
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
以上の見地より、リサイクル性に優れ、塗装性が良好であり、塗膜のメタリック感、光輝感、輝度などが改善された、フレーク状顔料を含有する粉体塗料組成物の開発が強く要請されていたが、そのような粉体塗料組成物はいまだ開発されるにいたっていない。
【0013】
本発明の主要な課題は、リサイクル性に優れ、塗装性が良好であり、塗膜のメタリック感、光輝感、輝度などが改善された、フレーク状顔料を含有する粉体塗料組成物を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、従来技術の問題点を解決するためには、フレーク状顔料と樹脂粉末との結合性を高め、かつ、樹脂粉末同士の結合を防げばよいことに着目し、鋭意研究を重ねた。その結果、本発明者は、粘着性を備えた結合剤を用いてフレーク状顔料と熱硬化性樹脂粉末とを結合させた粉体塗料粒子であって、粒子径が100μm以下であり、結合率が90%以上である粉体塗料粒子を含む粉体塗料組成物を用いることにより、上記の目的を達成できることを見出し、本発明を完成した。
【0015】
すなわち、本発明の粉体塗料組成物は、熱硬化性樹脂粉末と、粘着性を備えた結合剤と、この結合剤を介してこの熱硬化性樹脂粉末の表面に結合するフレーク状顔料と、を備える粉体塗料粒子を含み、この粉体塗料粒子の平均粒子径はD50換算で100μm以下であり、この熱硬化性樹脂粉末とこのフレーク状顔料との結合率は90%〜100%の範囲である、粉体塗料組成物である。
【0016】
また、このフレーク状顔料は、アルミニウムフレーク粒子と、このアルミニウムフレーク粒子の表面を被覆する樹脂組成物皮膜と、を備える、アルミニウムフレーク顔料であってもよい。
【0017】
さらに、この場合、この樹脂組成物皮膜は、分子内に少なくとも一つの重合性二重結合を有するオリゴマーおよび/またはモノマーを少なくとも二種以上含む原料組成物を重合して得られる、三次元架橋型重合体樹脂を含む樹脂組成物皮膜であることが望ましい。
【0018】
そして、この場合、このアルミニウムフレーク顔料は、このアルミニウムフレーク粒子100gに対して、この樹脂組成物皮膜を2g〜50gの範囲で含有することが好ましい。
【0019】
また、この粘着性を備えた結合剤は、テルペン系樹脂、テルペン・フェノール系樹脂、テルペン系水素添加系樹脂、テルペン・フェノール系水素添加系樹脂からなる群より選ばれる1種以上であることが望ましい。
【0020】
さらに、この粘着性を備えた結合剤は、この熱硬化性樹脂粉末を溶解しない溶媒に溶解し、数平均分子量が300〜2000の範囲にあり、かつ軟化点が30〜180℃の範囲にあるオリゴマーであり、この熱硬化性樹脂粉末を溶解しない溶媒の沸点は、大気圧下で28〜130℃の範囲にあることが好ましい。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、実施の形態を示して本発明をより詳細に説明する。
【0022】
<粉体塗料組成物の概要>
本発明の粉体塗料組成物は、熱硬化性樹脂粉末と、粘着性を備えた結合剤と、この結合剤を介してこの熱硬化性樹脂粉末の表面に結合するフレーク状顔料と、を備える粉体塗料粒子を含む、粉体塗料組成物である。
【0023】
ここで、本発明の粉体塗料組成物に含まれる粉体塗料粒子の平均粒子径は、特に限定するものではないが、通常はD50換算で10μm以上である。また、この平均粒子径は、D50換算で100μm以下であることが好ましく、特に60μm以下であることがより好ましい。
【0024】
この平均粒子径がこの範囲よりも小さい場合には、フレーク状顔料と均一に混合することが困難になるとともに、凝集性が高くなり粉体塗装の際に均一に粉塵化できない場合がある。また、この平均粒子径がこの範囲よりも大きい場合には、塗装した際の塗膜の平滑性が実用上の許容範囲を超えて低下して意匠性が低下したり、あるいは塗膜に多量のブツが発生するという傾向がある。また、この平均粒子径がD50換算で100μm以下であっても、粉体塗料組成物中に微量の凝集塊が含まれた場合は、凝集塊がブツの原因となり意匠性の優れた塗膜は得られない傾向がある。
【0025】
また、本発明の粉体塗料組成物に含まれる熱硬化性樹脂粉末とフレーク状顔料との結合率は、当然に100%以下であるが、90%以上であることが好ましく、特に95%以上であることがより好ましい。この結合率がこの範囲より小さい場合には、特にスピットという面で問題を生じる傾向がある。
【0026】
スピットは特に長時間の連続塗装(たとえば、工業的なライン塗装)を行った際に起こり易く、短時間の塗装でガンノズルに付着が認められれば、長時間連続塗装においては、ほぼ確実にスピットの問題を生じる。ガンノズルに静電気で付着するのはアルミニウムフレーク顔料のみで熱硬化性樹脂粉末はほとんど付着しない。そのため、アルミニウムフレーク顔料の大部分が熱硬化性樹脂粉末に結合していれば、ガンノズルにアルミニウムフレーク顔料がほとんど付着することはなく、スピットの発生は問題とならない水準に抑制される。
【0027】
なお、従来より、結合剤を介してフレーク状顔料を熱硬化性樹脂粉末表面に結合させる方法も知られている(たとえば、特開昭52−128927号公報参照。)。しかし、この文献には、乾燥工程における混練の必要性の有無についての記載がなく、実施例においては静置真空乾燥を行っているとの記載がある。
【0028】
よって、この文献に記載の方法では、硬さの強弱の差はあれ凝集塊が生成する。そして、この凝集塊を粉体塗料組成物として使用する場合、D50換算の平均粒子径は通常60μm以下であることが好ましいため、生成した凝集塊は解砕する必要を生じる。
【0029】
ここで、生成した凝集塊の解砕にあたり、凝集塊がやわらかければ比較的ソフトな条件での解砕(たとえば、スクリーン上で自然解砕)も可能になる。しかし、やわらかな凝集塊を得るためには、フレーク状顔料と熱硬化性樹脂粉末との結合を犠牲にする条件を選択せねばならず、結果的にフレーク状顔料と熱硬化性樹脂粉末との結合率の低下を招く。
【0030】
逆に、フレーク状顔料と熱硬化性樹脂粉末との結合を強固にしようとすると、凝集塊は硬くなり、粉砕機の使用などのハードな条件での解砕が必要となる(上記の文献の実施例においては、いずれの場合も粉砕機を用いて凝集塊を粉砕しているとの記載がある)。粉砕機などを使用した場合、その衝撃力で一度結合したフレーク状顔料と熱硬化性樹脂粉末とは解離してしまい、結果的にフレーク状顔料と熱硬化性樹脂粉末との結合率は低下する。
【0031】
そのため、上記の文献に記載の方法では、いずれにしろ、本発明の粉体塗料組成物のように、熱硬化性樹脂粉末とフレーク状顔料との結合率が高く、かつ粉体塗料粒子の粒子径が粉体塗装に適した粒度を有する粉体塗料組成物を得ることはできない。
【0032】
<フレーク状顔料>
本発明の粉体塗料組成物に用いるフレーク状顔料としては、アルミニウム、亜鉛、銅、ブロンズ、ニッケル、チタン、ステンレスなどの金属フレークおよびそれらの合金フレークが挙げられ、これらの顔料の中でも、アルミニウムフレーク顔料は金属光沢に優れ、安価な上に比重が小さいため扱いやすく、特に好適である。
【0033】
アルミニウムフレーク顔料の平均粒子径は通常1〜100μm程度が好ましく、より好ましくは3〜60μmである。平均厚みは通常0.01〜5μm程度が好ましく、より好ましくは0.02〜2μmである。さらに、平均粒子径を平均厚みで割った形状係数が5〜100程度の範囲のものが特に好ましい。
【0034】
平均粒子径が100μmを超える場合は、フレーク状顔料が塗膜表面に突き出す結果となり、塗面の平滑性あるいは鮮映性が低下する傾向があり、平均粒子径が1μm未満の場合は、メタリック感あるいは光輝感が低下する傾向がある。また、平均厚みが5μmを超える場合は、塗面の平滑性あるいは鮮映性が低下する傾向があることに加え、製造コストアップにもつながる場合もあり、平均厚みが0.01μm未満の場合は、強度が低下する傾向があるばかりでなく、製造工程中の加工が困難になる場合がある。
【0035】
フレーク状顔料の平均粒子径は、レーザー回折法、マイクロメッシュシーブ法、コールターカウンター法などの公知の粒度分布測定法により測定された粒度分布より体積平均を算出して求められる。平均厚みについては、フレーク状金属顔料の隠蔽力と密度より算出される。
【0036】
また、アルミニウムフレーク顔料の表面には、磨砕時に添加する磨砕助剤が吸着していてもよい。磨砕助剤としては、たとえば脂肪酸(オレイン酸、ステアリン酸)、脂肪族アミン、脂肪族アミド、脂肪族アルコール、エステル化合物などが挙げられる。これらはアルミニウムフレーク顔料表面の不必要な酸化を抑制し、光沢を改善する効果を有する。
【0037】
なお、磨砕助剤の吸着量は、アルミニウムフレーク顔料100質量部に対し2質量部未満であることが好ましい。2質量部以上の場合は、表面光沢が低下するおそれがある。
【0038】
フレーク状顔料に多彩な色彩を付与するため、フレーク状顔料の表面に各種着色剤、着色顔料を付着させることができる。その着色剤、着色顔料としては、たとえばキナクリドン、ジケトピロロピロール、イソインドリノン、インダンスロン、ペリレン、ペリノン、アントラキノン、ジオキサジン、ベンゾイミダゾロン、トリフェニルメタンキノフタロン、アントラピリミジン、黄鉛、パールマイカ、透明パールマイカ、着色マイカ、干渉マイカ、フタロシアニン、ハロゲン化フタロシアニン、アゾ顔料(アゾメチン金属錯体、縮合アゾなど)酸化チタン、カーボンブラック、酸化鉄、銅フタロシアニン、縮合多環類顔料、などが挙げられる。
【0039】
フレーク状顔料に着色顔料を付着させる方法は特に限定されないが、分散剤で着色顔料を被覆した後、非極性溶媒中でフレーク状顔料と攪拌混合することにより、当該フレーク状顔料に付着させる方法が好ましい。
【0040】
前記分散剤としては、たとえば、安息香酸、安息香酸ビニル、サリチル酸、アントラニル酸、m−アミノ安息香酸、p−アミノ安息香酸、3−アミノ−4−メチル安息香酸、3,4−ジアミノ安息香酸、p−アミノサリチル酸、1−ナフトエ酸、2−ナフトエ酸、ナフテン酸、3−アミノ−2−ナフトエ酸、ケイ皮酸、アミノケイ皮酸等の芳香族カルボン酸;エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、 1,10−ジアミノデカン、1,12−ジアミノドデカン、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、1,8−ジアミノナフタレン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、ステアリルプロピレンジアミン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシランなどのアミノ化合物;アルミニウムもしくはチタニウムキレート化合物などが使用される。
【0041】
同じく、フレーク状顔料に多彩な色彩を付与するため、フレーク状顔料の表面に干渉膜などを形成することができる。その方法としては、特に限定はされないが、たとえば、金属フレークの個々の粒子表面に光干渉性酸化皮膜を形成するには、酸素量をコントロールした雰囲気中で金属フレークを300〜700℃程度に加熱することにより、表面に空気酸化皮膜を形成する方法、あるいは遷移金属などの酸化物の前駆体でフレーク状金属顔料を被覆し加熱分解する方法などが好ましい。
【0042】
また、フレーク状顔料に耐薬品性、耐水性あるいは耐候性を付与するため、フレーク状顔料の表面に樹脂層を形成することもできる。すなわち、このフレーク状顔料は、アルミニウムフレーク粒子と、このアルミニウムフレーク粒子の表面を被覆する樹脂組成物皮膜と、を備える、アルミニウムフレーク顔料であってもよい。
【0043】
その方法としては、特に限定はされないが、金属フレークを有機溶媒中に分散したスラリーに少なくとも一つの重合性二重結合を有するオリゴマーおよび/またはモノマーを少なくとも二種含有する原料組成物を添加し、不活性ガス雰囲気中で加熱しながらアゾビスイソブチロニトリル、過酸化ベンゾイルなどの重合開始剤を添加することにより、オリゴマーおよび/またはモノマーを重合させ金属フレーク表面に3次元架橋型重合体を析出させる方法などが好ましい。
【0044】
すなわち、この場合、この樹脂組成物皮膜は、分子内に少なくとも一つの重合性二重結合を有するオリゴマーおよび/またはモノマーを少なくとも二種含む原料組成物を重合して得られる、三次元架橋型重合体樹脂を含む樹脂組成物皮膜であることが望ましい。この時、三次元架橋型重合体樹脂とするため、少なくとも一種は分子内に二個以上の二重結合を有するモノマーまたはオリゴマーを使用することが特に好ましい。
【0045】
前記重合性オリゴマーまたはモノマーとしては、たとえば、アクリル酸、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、アクリル酸エステル(アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシブチル、アクリル酸2−メトキシエチル、アクリル酸2−ジエチルアミノエチル、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレートなど)、メタクリル酸エステル(メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸オクチル、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、1,9−ノナンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラメタクリレートなど)トリスアクリロキシエチルホスフェート、スチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、マレイン酸、クロトン酸、イタコン酸、ポリブタジエン、アマニ油、大豆油、エポキシ化大豆油、エポキシ化ポリブタジエン、シクロヘキセンビニルモノオキサイド、ジビニルベンゼンモノオキサイド、などが使用可能である。
【0046】
この中でもアクリル酸、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステルは透明性、付着性、耐候性および耐薬品性のある皮膜が形成されるため、ジビニルベンゼンは架橋作用により耐食性がより一層が向上するため、エポキシ化ポリブタジエンは重合反応効率の向上、2次密着性の向上のため、使用するのが好ましい。
【0047】
ここで、フレーク状含量がアルミニウムフレーク顔料である場合には、アルミニウムフレーク顔料の表面に形成させる樹脂組成物皮膜(本明細書において、樹脂コートとも記載する)のアルミニウムフレーク顔料100gに対する量(本明細書において、樹脂コート量とも記載する)は、2g以上であることが好ましく、特に5g以上であることがより好ましい。また、この樹脂コート量は、50g以下であることが好ましく、特に40g以下であることがより好ましい。
【0048】
この樹脂コート量が2g未満では、樹脂コートによる耐候性、耐薬品性などの効果が得られず、結合していないアルミニウムフレーク顔料が電場に沿ってガンに戻ってくる現象が生じる。また、この樹脂コート量が多くなるにつれ、結合剤の効果が弱くなり、同じ条件では結合率が低下してくる。そして、この樹脂コート量が50gを超えると、結合率90%以上の条件が達成できないという問題が生じる。
【0049】
また、フレーク状顔料として、マイカ、表面着色マイカ、ガラスフレーク、表面着色ガラスフレーク、パールなどを単独であるいは前記金属フレークとあわせて用いてもよい。
【0050】
<粘着性を備えた結合剤>
粘着性を備えた結合剤は、溶媒に溶解させて使用するのが好ましいため、溶媒に完全に溶解すること、溶媒に溶解させたときの粘度が低いこと、さらにブロッキング抑制の必要性から溶媒が除去されれば粘着性を失うこと、などの特性を有することが好ましい。
【0051】
このような特性を有する粘着性を備えた結合剤としては、たとえば、数平均分子量および軟化点の値がともに特定の範囲にあるオリゴマーを主要な成分として含む樹脂などが挙げられる。
【0052】
ここで、上記の数平均分子量は、300以上であることが好ましく、特に400以上であることがより好ましい。また、この数平均分子量は、2000以下であることが好ましく、特に1500以下であることが好ましい。この数平均分子量が300未満の場合には、常温で液状となりボンディングされた熱硬化性粉体塗料樹脂どうしがブロッキングを起こし不具合となる傾向があり、この数平均分子量が2000を超えると、溶媒に溶解した時の溶液粘度が上昇しボンディング対象である熱硬化性粉体塗料樹脂に均一に浸透、分散し難い傾向がある。
【0053】
また、上記の軟化点は、30℃以上であることが好ましく、特に80℃以上であることがより好ましい。また、この軟化点は、180℃以下であることが好ましく、特に150℃以下であることがより好ましい。この軟化点が30℃未満の場合には、常温で粘着結合性を生じ、ボンディングされた熱硬化性粉体塗料樹脂どうしがブロッキングを起こし不具合となる傾向があり、この軟化点が180℃を超えると、数平均分子量の場合と同じく溶媒に溶解した時の溶液粘度が上昇しボンディング対象である熱硬化性粉体塗料樹脂に均一に浸透、分散し難い傾向がある。
【0054】
たとえば、クロマン・インデン系樹脂、テルペン系樹脂、テルペン・フェノール系樹脂、芳香族炭化水素変性テルペン系樹脂、テルペン系水素添加系樹脂、テルペン・フェノール系水素添加系樹脂、ロジン系樹脂、水素添加ロジンエステル系樹脂、ロジン変性フェノール系樹脂、アルキルフェノール系樹脂などの天然樹脂系の粘着性を備えた結合剤や、アルキルフェノール・アセチレン系樹脂、アルキルフェノール・ホルムアルデヒド系樹脂、スチレン系樹脂、脂肪族系石油樹脂、脂環族系石油樹脂、共重合系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、キシレン系樹脂、キシレン・ホルムアルデヒド系樹脂などの合成樹脂系の粘着性を備えた結合剤や、ポリブテン、液状系ゴムなどのオリゴマー系粘着付与剤などが挙げられる。その他、各種ゴム材料、油脂、ロウ(ワックス)などが粘着性を備えた結合剤として好適に使用可能である。
【0055】
そのなかでも、特に好適に使用可能な粘着性を備えた結合剤として、テルペン系樹脂、テルペン・フェノール系樹脂、テルペン系水素添加系樹脂、テルペン・フェノール系水素添加系樹脂などが挙げられる。
【0056】
<熱硬化性樹脂粉末>
熱硬化性樹脂粉末としては、大別してアクリル樹脂系とポリエステル樹脂系が挙げられ、それ以外にも、アルキド樹脂系、尿素樹脂系、メラミン樹脂系、フェノール樹脂系、エボナイト系なども挙げられる。ポリエステル樹脂系の中にはエポキシ樹脂で硬化させるもの、イソシアネートで硬化させるもの(ウレタン系)、プリミドで硬化させるもの(プリミド系)などがあり、本発明ではこれら熱硬化性樹脂のうち、少なくとも1種を用いるのが望ましい。
【0057】
これらの熱硬化性樹脂粉末には必要に応じて、硬化剤、分散剤などを添加してもよい。硬化剤としては特に限定されず、公知のものまたは市販品を使用することができ、たとえばアミン、ポリアミド、ジシアンジアミド類、イミダゾール類、カルボン酸ジヒドラジド、酸無水物、ポリスルフィド、三フッ化ホウ素、アミノ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート、トリスエポキシプロピルイソシアヌレート、プリミド、エポキシ樹脂、その他の二塩基酸類、イミダゾリン類、ヒドラジド類、イソシアネート化合物などを用いることが望ましい。また適宜硬化促進剤を併用することができる。分散剤としては特に限定されず、公知のものまたは市販品を使用することができ、たとえばリン酸エステル類、アミン類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類などの公知の界面活性剤などを用いることが好ましい。
【0058】
また、キナクリドン、ジケトピロロピロール、イソインドリノン、インダンスロン、ペリレン、ペリノン、アントラキノン、ジオキサジン、ベンゾイミダゾロン、トリフェニルメタンキノフタロン、アントラピリミジン、黄鉛、パールマイカ、透明パールマイカ、着色マイカ、干渉マイカ、フタロシアニン、ハロゲン化フタロシアニン、アゾ顔料(アゾメチン金属錯体、縮合アゾなど)酸化チタン、カーボンブラック、酸化鉄、銅フタロシアニン、縮合多環類顔料などの各種着色剤が、熱硬化性樹脂粉末に含有されていてもよい。これらの着色剤を含有させることにより、より鮮やかなメタリック塗装の塗膜を得ることが可能となる。これらの着色剤の配合量はその種類によって異なるが、本発明のフレーク状顔料の特徴が生かされ、かつ塗膜表面の平滑性あるいは鮮映性が損なわれない範囲に設定することが望ましい。
【0059】
前記以外にも、必要に応じてベントナイト、アルミニウムナホワイト、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルクなどの各種充填剤、シリカ、アルミニウムナ、水酸化アルミニウムなどの各種流動性調整剤、アクリルオリゴマー、シリコーンなどの各種流展剤、ベンゾインなどの各種発泡防止剤、更には、ワックス類、カップリング剤、酸化防止剤、磁性粉、安定剤、紫外線吸収剤、レベリング剤、増粘剤、沈降防止剤などをはじめとする各種添加剤および各種機能性材料が、熱硬化性樹脂粉末に含有されていてもよい。
【0060】
熱硬化性樹脂粉末の平均粒子径は特に限定されないが、通常5〜100μm程度が好ましく、特に好ましくは15〜60μmである。平均粒子径が5μm未満では、顔料と均一に混合することが困難になるとともに、凝集性が高くなり粉体塗装の際に均一に粉塵化できない場合がある。100μmを超える場合には、塗膜表面の平滑性が阻害され、良好な外観が得られないおそれがある。
【0061】
前記の熱硬化性樹脂粉末を製造するには、たとえば、樹脂、硬化剤、および必要に応じて添加する充填剤などの原材料組成物を用意し、これをまずミキサー、ブレンダーなどを用いてドライブレンドする。混合後、ニーダーにより原材料を溶融混練し、冷却する。次に、機械または気流式の粉砕機を用いて冷却済みの溶融混練物を粉砕し、その後、気流式分級機により分級して、熱硬化性樹脂粉末を得ることができる。この方法以外にもスプレードライ法や重合法によっても熱硬化性樹脂粉末を製造することができる。
【0062】
<熱硬化性樹脂粉末とフレーク状顔料との結合>
前記の方法によって得られた熱硬化性樹脂粉末表面に、粘着性を備えた結合剤によってフレーク状顔料を結合させる方法については特に限定されず、たとえば以下の方法で行うことができる。
【0063】
すなわち、あらかじめ均一に混合した樹脂粉末とフレーク状顔料に、溶媒に溶解した粘着性を備えた結合剤を添加し混練する。溶媒が蒸発し全体が粉体化するまで混練を継続し、完全に溶媒を除去した後、気流式分級機(スクリーン)により分級してメタリック塗装用粉体塗料組成物を得る。混練しながら溶媒を蒸発除去し、乾燥することにより、フレーク状顔料と樹脂粉末の結合力を高めると同時に樹脂粉末同士のブロッキングを抑制することができる。なお、溶媒を蒸発除去し、乾燥する際には真空吸引を行うのがより好ましい。
【0064】
この乾燥を含めた混練工程においては内容物の温度を−5℃以上に保つことが好ましく、特に0℃以上に保つことがより好ましい。また、この温度は50℃以下に保つことが好ましく、特に35℃以下に保つことがより好ましい。この温度が50℃を超えれば、結合剤を介して熱硬化性樹脂粉体どうしの結合が促進されブロッキングを生じる可能性がある。この場合、ジェットミルなどの物理的粉砕方法で凝集粒子を解砕することも可能ではあるが、その作業に伴いフレーク状顔料粒子の熱硬化性樹脂粉体からの剥離、ひいては粒子自体の破壊を引き起こし本来の目的に反する可能性が高い。また、この温度が−5℃未満の場合には、乾燥に長時間を必要とするため実用的でない。
【0065】
フレーク状顔料と樹脂粉末の均一混合工程とそれに続く粘着性を備えた結合剤の混練・乾燥工程を真空ニーダーミキサーなどの同一装置内で連続的に行うことも可能であるが、生産性向上のために均一混合工程と結合剤の混練・乾燥工程を分離して行うこともできる。その場合には混合機として常圧ニーダーミキサー、2軸スクリュー型混練機、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサーなどの高速ミキサー、ブレンダーなどが使用でき、混練・乾燥機としては振動乾燥機、連続式流動乾燥機などが使用できる。
【0066】
あらかじめ溶媒に溶解した粘着性を備えた結合剤にフレーク状顔料を分散させたものを、樹脂粉末に添加し、混合攪拌しながら、溶媒を蒸発させてもよい。
【0067】
粘着性を備えた結合剤を溶解する溶媒は特に限定されるものではないが、樹脂粉末を溶解、膨潤させないことが必要であり、低沸点であることが望ましい。一般に粉体塗装用の熱硬化性樹脂粉体は50℃〜80℃で溶解するので、熱硬化性樹脂粉体の溶融温度未満で留去できる低沸点溶媒が好ましい。さらに、真空下の混練乾燥温度として好ましい温度である、−5〜50℃の範囲、より好ましくは0〜35℃の範囲の温度で完全除去できることが特に望まれる。
【0068】
この要望に合致する溶媒としては、常圧下に於ける沸点が特定の範囲にある溶媒が好ましい。ここで、この沸点の温度は、28℃以上であることが好ましく、特に60℃以上であることがより好ましい。また、この沸点の温度は、130℃以下であることが好ましく、特に110℃以下であることがより好ましい。
【0069】
この溶媒の沸点の温度が130℃を超えると、真空下でも50℃を越える温度での乾燥が必要となり、粒子どうしのブロッキングが生じる傾向がある。逆に、この沸点の温度が28℃未満の場合には、溶媒の引火点も低下するので安全性の点で問題を生じる傾向がある。
【0070】
このような溶媒としては、たとえば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどのアルカン類、イソペンタン、イソヘキサン、イソヘプタン、イソオクタンなどのイソパラフィン類、メタノール、エタノール、などのアルコール類、四塩化炭素などの有機ハロゲン化物類などのほか、水なども挙げられる。
【0071】
樹脂粉末と混合されるフレーク状顔料は、樹脂粉末100質量部あたり通常1〜40質量部程度、特に2〜20質量部となるように配合すればよい。フレーク状顔料が1質量部未満では十分なメタリック感および光輝感が得られないおそれがある。また、基材を隠蔽するために塗装厚を大きくする必要がある。40質量部を超える場合には、製造コストアップになるとともに、塗膜の平滑性が失われ、外観が悪くなる。
【0072】
添加する粘着性を備えた結合剤の量は得られる粉体塗料組成物に対し0.1〜5%が好ましい。0.1%未満であれば結合が不十分で遊離のフレーク状顔料が多く残存し、5%を超えるとブロッキングが著しい。
【0073】
結合剤を溶解する溶媒の量は特に限定されるものではないが混合湿粉(樹脂粉末+フレーク状顔料+粘着性を備えた結合剤+溶媒)の2〜50%が好ましく、3〜20%がさらに好ましい。2%未満では結合剤溶液を樹脂粉末およびフレーク顔料全体と均一に混合することが困難である。20%を越えるとややブロッキングが生じ、50%を超えると流動性を帯びたスラリーとなり、乾燥が困難となる。
【0074】
<粉体塗料組成物の塗装>
本発明の粉体塗料組成物を塗装する方法としては、あらかじめ塗装表面をブラスト処理後、化成処理などの公知の処理を施した上で粉体塗料組成物を付着させ、その後加熱硬化させることが好ましい。
【0075】
被塗装材(基材)としては特に制限されないが、焼付けにより変形、変質などが発生しないものが好ましい。たとえば、公知の鉄、銅、アルミニウム、チタンなどの金属および各種合金などが好ましいものとして挙げられる。具体的な形態としては、たとえば車体、事務用品、家庭用品、スポーツ用品、建築材料、電気製品などに利用される。
【0076】
本発明の粉体塗料組成物を基材表面に付着させる方法としては、流動浸漬法、静電粉体塗装法が適用できるが、静電粉体塗装法が塗着効率に優れ、より好ましい。静電粉体塗装の方法には、コロナ放電方式、摩擦帯電方式などの公知の方法を用いることができる。
【0077】
加熱温度は用いる熱硬化性樹脂粉末の種類に応じて適宜設定できるが、通常は120℃以上、好ましくは150〜230℃とすればよい。加熱時間は加熱温度に応じて適宜選択することができるが、一般的には1分間以上、好ましくは5〜30分間とすればよい。加熱により形成された塗膜は、限定的ではないが、通常20〜100μm程度である。
【0078】
本発明においては、塗膜の輝度を評価パラメータβ/αを用いて評価している。フレーク顔料としてアルミニウムフレーク顔料を使用し、着色顔料などを含まないシルバーメタリック調塗膜の場合には、β/α≧110が望ましい。この評価パラメータ、すなわちβ/αは次の式(1)
式(1):L=[β/(θ2+α)]+γ
(ここでLは分光光度計(商品名「X−Rite MA68」X−Rite社製)を用いて観測角θで測色した明度指数(L*a*b*測色系(CIEが1976年に定めた均等色空間にもとづく表色系))、θは観測角、α、βおよびγは定数である。)
から導かれるものである。式(1)の第1項目は、観測角θに依存するメタリック特有の指向性散乱に対応し、第2項目は、観測角θに依存しない等方性散乱に対応するものである。視覚輝度は指向性散乱の正反射位置(θ=0)でのL値、すなわちβ/αに良く相関するため、β/αを輝度の評価パラメータとして使用している。
【0079】
β/αの算出に関しては、まずα、βおよびγを決定する必要がある。本発明では、まず観測角θが15度、25度、45度、75度、および110度における実測L値を測定し、それらθおよびL値の関係が式(1)に従うものと仮定して、最小二乗法でα、βおよびγを決定する。
【0080】
図1は、後述する実施例1の場合における粉体塗料粒子を含有する粉体塗料組成物による塗膜の観測角(θ)とL値との関係を、後述する比較例1の場合と対比して説明するグラフである。式(1)が描く曲線において、できるだけ実測値がこの曲線上を通るようなα、βおよびγを求める。そのために、α、βおよびγに化数を代入して、計算値と実測L値の残差平方和が最小となるようなα、βおよびγの解をソルバーで決定するという操作を行う。
【0081】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0082】
ここで、比較例は、特開昭52−128927号公報に記載された実施例に準じて行った。この文献に記載の実施例との違いは、熱硬化性樹脂粉末として一般的な市販品を使用したこと、および樹脂組成物皮膜によりコートされたアルミニウムフレーク顔料として東洋アルミニウム株式会社製の樹脂コートアルミニウム粉(PCF)を使用したことである。
【0083】
なお、比較例1は上記の文献に記載の実施例4に準じて行い、比較例2は上記文献に記載の実施例1に準じて行った。また、実施例1は比較例と同じアルミニウムフレーク顔料、同じ熱硬化性樹脂粉末を同じ配合で使用した。
【0084】
比較例1
まず、熱硬化性樹脂粉末であるTeodur PE 785−900(久保孝ペイント株式会社製)50.0gと、樹脂コートアルミニウム粉であるPCF 7601(東洋アルミニウム株式会社製、アクリル酸/アクリル酸エステル/エポキシ化ポリブタジエン/ジビニルベンゼンを重合させて得られる樹脂組成物皮膜を有するアルミニウムフレーク顔料)5.0gと、をよくドライブレンドした後、高速ブレンダー(PHONIX社製、容量200ml密閉ガラス瓶型)にチャージした。
【0085】
次いで、アセトン1.5gを約3分かけて滴下、その際に同じ場所に滴下しないように注意し、ときどきアセトン湿潤塊に乾燥粉をかけるようにして軽く混合しながら滴下した。3分間ブレンドした後、瓶から回転ブレードを外し、各々を真空デシケーターに入れ、室温2kPaで1時間真空乾燥した。回転ブレードには1.1gが固着していた。
【0086】
試料を観察すると、瓶の中は凝集塊となっていたが、やわらかい凝集塊であったため、そのまま目開き100μmのスクリーンにかけた。スクリーン通過率は87%であった(収率85%)。得られた粉体塗料組成物に含まれる粉体塗料粒子のD50換算の平均値は49μmで、粉体塗料組成物中のアルミニウムフレーク顔料の結合率は21%であった。
【0087】
比較例2
まず、熱硬化性樹脂粉末であるTeodur PE 785−900(久保孝ペイント株式会社製)50.0gと、樹脂コートアルミニウム粉であるPCF7601(東洋アルミニウム株式会社製)5.0gと、をよくドライブレンドした後、高速ブレンダー(PHONIX社製、容量200ml密閉ガラス瓶型)にチャージした。
【0088】
次いで、Teodur PE2.0gをジクロルメタン10.0gに溶解し、樹脂溶液を調整した。この樹脂溶液1.5gを約30秒かけて滴下、その際に同じ場所に滴下しないように注意し、ときどき溶液湿潤塊に乾燥粉をかけるようにして軽く振混ぜながら滴下した。3分間ブレンドした後、瓶から回転ブレードを外し、各々を真空デシケーターに入れ、続いて、室温2kPaで1時間真空乾燥した。回転ブレードには5.5gが固着していた。取り出した粉体塗料組成物はロータースピードミル(フリッチュ社製)にて粉砕した。得られた粉末はさらに目開き100μmのスクリーンにかけた。スクリーン通過率は98%であった(収率88%)。得られた粉体塗料組成物に含まれる粉体塗料粒子のD50換算の平均値は32μmで、粉体塗料組成物中のアルミニウムフレーク顔料の結合率は2%であった。
【0089】
比較例3
まず、熱硬化性樹脂粉末であるTeodur PE 785−900(久保孝ペイント株式会社製)50.0gと、樹脂コートアルミニウム粉であるPCF7601(東洋アルミニウム株式会社製)5.0gと、を1リットルのステンレスビーカー中でよくドライブレンドした後、アセトン3.0gとノルマルヘプタン(沸点98.4℃)30.0gを混合して添加した。
【0090】
ここで、アセトンはTeodurを溶解する溶媒であり、ノルマルヘプタンは全く溶解しない溶媒である。すなわち、ノルマルヘプタンはアセトンを系内に均一に行き渡らせる助剤の役割をはたす。
【0091】
次いで、薬匙で均一になるよう混合した後、真空デシケーターに入れ、室温2kPaで1晩真空乾燥した。試料を観察すると、全体が硬い凝集塊となっていたため、粉体塗装機の中を通る程度のサイズにハンマーで粉砕して得られた粉体塗料組成物のD50換算の平均粒子径を測定したところ230μmであった。結合率は粒子が粗過ぎ、ドクターブレードでアート紙に塗布することができず測定不能であった。得られた粉体塗料組成物を用いて粉体塗装を試みたが、塗板には大量のブツが生じ、平滑な塗膜は得られなかった。
【0092】
実施例1
まず、熱硬化性樹脂粉末であるTeodur PE(久保孝ペイント株式会社製)100.0gと、樹脂コートアルミニウム粉であるPCF7601(東洋アルミニウム株式会社製)10.0gと、を1リットルのステンレスビーカーに入れ、薬匙でよく混合してドライブレンドとした。
【0093】
次いで、粘着性を備えた結合剤としてテルペン・フェノール系水素添加系樹脂(ヤスハラケミカル株式会社製、YS−ポリスターTH−130、数平均分子量800、軟化点130℃)2.0gをノルマルヘプタン(沸点98.4℃)21.1gに溶解させた。この溶液を前記ドライブレンドに添加し、薬匙で均一になるよう良く混練した。混練を継続しながら約1hr自然乾燥させると粉塵が立つ粉体が得られた。
【0094】
これを1リットルのナスフラスコに充填し、エバポレーターを用い、回転混合させながら、さらに20min常温真空乾燥させた。試料を観察すると、ナスフラスコの中に凝集塊は存在しなかったので、特に粉砕は行なわなかった。得られた粉体は、109.5gであった。これを目開き100μmのスクリーンにかけると108.2gの粉体塗料組成物が得られた(収率:96.6%)。
【0095】
得られた粉体塗料組成物の平均粒子径は、D50換算で46μmであり、粉体塗料組成物中のアルミニウムフレーク顔料の結合率は98.4%であった。
【0096】
粉体塗料粒子のD50換算の平均粒子径の測定方法
(比較例1、比較例2および実施例1)
試料約0.1gを0.5%Triton X(Union Carbide社製、界面活性剤)水溶液5gに分散させたものを、溶媒に水を使用しHoneywell社製、Microtrac 9320 X−200に滴下し、超音波で分散(40W10秒)した後、測定した。
【0097】
(比較例3)
目開き840μm,350μm,149μm,105μm,63μm,44μmの篩を重ね、ロータップ式分級機で分級して求めた、粉末の累積重量粒度分布からD50換算の平均粒子径を読取った。
【0098】
アルミニウムフレーク顔料含有量の測定方法
作製した粉体塗料組成物(本明細書において、ボンデッドアルミニウムとも記載する)を一定量採取したのち、N−メチルピロリドンを用いて熱硬化性樹脂粉末を溶解除去することにより樹脂組成物皮膜によりコートされたアルミニウムフレーク顔料のみを取出し、その質量を測定することによってボンデッドアルミニウム中のアルミニウムフレーク顔料の含有量を算出した。
【0099】
結合率(ボンディング率)の測定方法
(i)結合率の測定の原理
フレーク状顔料がアルミニウムフレーク顔料の場合には、熱硬化性樹脂粉末とアルミニウムフレーク顔料との結合率は、次式のように結合していないアルミニウムフレーク顔料を定量分析し、その比率を引くことにより求める。
【0100】
結合率(%)=100−結合していないアルミニウムフレーク顔料の比率(%)
ここで、結合していないアルミニウムフレーク顔料を定量するためには、結合していないアルミニウムフレーク顔料とアルミニウムフレーク顔料が結合した熱硬化性樹脂粉末とを分離しなければならない。定量法の説明に当たっては、まず分離の原理から述べる必要がある。
【0101】
本方法はフレーク状と粒子状という形状の違いを利用して分離を行っている。すなわち、粒子状である熱硬化性樹脂粉末に結合したアルミニウムフレーク顔料は、熱硬化性樹脂粉末と一体化しているため全体としての形状としては粒子状になる。一方、熱硬化性樹脂粉末と結合していないアルミニウムフレーク顔料(本明細書において、遊離アルミニウムフレーク顔料とも記載する)はフレーク状のままである。
【0102】
また、本分離法は、粒子状物体とフレーク状物体の紙面に対する付着のし易さの違いを利用している。すなわち、紙面(平面)と粒子状物体の接触は点接触であり、かつ粒子状物体が十分な質量を有しているため付着し難い。一方、フレーク状物体はフレーク状であるがゆえに体積が小さく軽いうえ、紙面とは面接触するため付着し易い。
【0103】
そこで、紙面上に検体を均一に広げ、検体を落とすと、付着したフレーク状物体と、付着しない粒子状物体とを分離することができる。付着したアルミニウムフレーク顔料はシルバーの色彩を有するので、紙面の輝度を測定することにより付着した遊離アルミニウムフレーク顔料の定量ができる。
【0104】
もちろん、遊離アルミニウムフレーク顔料が全て紙面に付着するわけではない。そこで、遊離アルミニウムフレーク顔料の含量が既知のサンプルを調製し、これを上記方法で分析し、遊離アルミニウムフレーク顔料含量と紙面の輝度の関係を明らかにして検量線を作成する。この検量線を用いれば、紙面輝度から検体中の遊離アルミニウムフレーク顔料が定量できる。具体的方法を以下に述べる。
【0105】
(ii)検量線の作成
検量線を作成するには、検体の原料と同じ熱硬化性樹脂粉末とアルミニウムフレーク顔料を使う必要がある。そして、熱硬化性樹脂粉末とアルミニウムフレーク顔料を数種の組成でドライブレンドする。この状態では、アルミニウムフレーク顔料は熱硬化性樹脂粉末に結合していないので、仕込みのアルミニウムフレーク顔料含量がそのまま遊離アルミニウムフレーク顔料の含量になっている。
【0106】
次に、この検量線用の検体を黒色アート紙に少量置き、9ミルのドクターブレードで引いて均一に広げる。この紙を逆さまにして余分な検量線用の検体を落とし、紙面の縁を十分に指で叩くと、遊離アルミニウムフレーク顔料と微量の微粒子状の熱硬化性樹脂粉末が付着したアート紙が得られる。これをX−Riteで測色し、L15の値を輝度とする。この操作を1サンプルの検量線用の検体につき5〜10回行い、そのL15の平均値をそのサンプルの輝度とする。経験的にアルミニウム含量(%)の平方根とL15の値は直線関係にあることがわかったので、最小二乗法を用いて両者の関係を数式化する。
【0107】
(iii)検体の測定と結合率の算出の具体例
アルミニウムフレーク顔料としてPCF7601(東洋アルミニウム(株)製)を、熱硬化性樹脂粉末としてTeodur PE 785−900 (久保孝ペイント(株)製)を用いた例を示す。
【0108】
検量線用の結合率既知の検体についてL15値を複数回測定し、平均値を求めた結果を表1および図2に示す。図2は、遊離アルミニウムフレーク顔料の含量と、輝度(L15)との関係を示す検量線を説明するグラフである。
【0109】
【表1】
【0110】
上記の結果より、次式の検量線が得られた。
遊離アルミニウムフレーク顔料の含量(%)=((L15−40.23)/11.96)2
結合率未知の検体を、検量線作成と同じ操作で測定してL15を求め、上記の検量線式に代入することにより、遊離アルミニウムフレーク顔料の含量が算出される。たとえば、L15=60であれば、検量線として得られた上記の式にL15=60を代入して、遊離アルミニウムフレーク顔料の含量(%)=2.7%となる。
【0111】
結合していないアルミニウムフレーク顔料の比率(%)は、上記した遊離アルミニウムフレーク顔料の含量(%)と上記した実測アルミニウムフレーク顔料含有量の積(%)から求めることができる。実測したアルミニウムフレーク顔料の含量が8.9%であれば、そのうち、2.7%が遊離アルミニウムフレーク顔料の含量であるので、遊離アルミニウムフレーク顔料の比率=2.7/8.9×100=30%となる。それゆえ、結合率=100−30=70%と算出される。本方法は、検量線の傾きが大きい高結合率領域では特に精度が良い。
【0112】
評価結果
比較例1〜3および実施例1において得られた粉体塗料組成物作成の際の各種成分の配合量および収率などを表2にまとめた。また、これらの粉体塗料組成物のアルミニウム含量(質量%)および結合率(%)の分析結果についても表2にまとめた。
【0113】
【表2】
【0114】
ここで、表2に示す結果より、対比すべきサンプルはほぼ同じアルミニウム含量であることから、後述するこれらの粉体塗料組成物の塗膜の輝度をはじめとする性状比較の結果は、本発明による効果の比較とみなすことができる。
【0115】
比較例1、比較例2および実施例1の粉体塗料組成物を、コロナ放電式静電粉体塗装機(商品名「MXR−100VT−mini」旭サナック株式会社製)を用いて印加電圧80kVで塗装した。その後190℃で20分間焼き付けることにより塗板を作成した。塗膜の輝度(β/α)を表2に示す。
【0116】
表2より、本発明の実施例1の粉体塗料組成物を用いた塗板の方が、比較例1および比較例2の粉体塗料組成物を用いた塗板に比べて、輝度(β/α)が高いことがわかる。また、ノズルの付着状況を比べると、実施例1の粉体塗料組成物の方が、比較例1および比較例2の粉体塗料組成物に比べて、塗装性に優れていることがわかる。
【0117】
比較例1、比較例2および実施例1で得られた粉体塗料組成物を電子顕微鏡で観察した結果を、図3〜図5の写真に示す。
【0118】
ここで、それぞれの写真において、塊状に見えるものが熱硬化性樹脂粉末であり、鱗片状に見えるものがアルミニウムフレーク顔料である。アルミニウムフレーク顔料のうち、熱硬化性樹脂粉末から離れて見えるものが、遊離のアルミニウムフレーク顔料である。
【0119】
図3〜図5の写真を見ると、比較例1および比較例2においては、多くの遊離アルミニウムフレーク顔料が観察されるが、実施例1においては、遊離アルミニウムフレーク顔料は観察されない。
【0120】
電子顕微鏡観察の結果を表2にまとめた。この結果は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、各実施例、比較例につき10以上の視野を観察し、遊離のアルミニウムフレーク顔料がほとんど観察されないものを◎、少し観察されるものを○、多く観察されるものを△、非常に多く観察されるものを×とした結果をまとめたものである。
【0121】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0122】
【発明の効果】
上記の結果から明らかなように、本発明の粉体塗料組成物は、減圧下で混練しながら、樹脂粉末表面に粘着性を備えた結合剤を介してフレーク状顔料を結合させ、さらに溶剤除去を行うことにより製造される粉体塗料組成物である。
【0123】
そのため、本発明の粉体塗料組成物の製造中には、凝集塊が発生することがないので、粉体塗料組成物として使用するために、粉体粒子の平均粒子径を小さくして塗装性を向上させるための事後的な粉砕を行なう必要がない。
【0124】
よって、本発明の粉体塗料組成物の製造中には、フレーク状顔料と熱硬化性樹脂粉末との結合を破壊する外力を加える必要がないため、本発明の粉体塗料組成物に含まれる粉体塗料粒子の平均粒子径は十分に小さく、粉体塗料組成物に含まれる熱硬化性樹脂粉末とフレーク状顔料との結合は非常に強固であり、結合率は著しく高いものとなる。
【0125】
それゆえ、本発明の粉体塗料組成物は、リサイクル性に優れ、塗装性が良好であり、塗膜のメタリック感、光輝感、輝度などが改善された、フレーク状顔料を含有する粉体塗料組成物であるといえる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1の場合におけるボンデッドアルミニウムを用いた粉体塗料組成物による塗膜の観測角(θ)とL値との関係を、比較例1の場合と対比して説明するグラフである。
【図2】遊離アルミニウムフレーク顔料の含量と、輝度(L15)との関係を示す検量線を説明するグラフである。
【図3】本発明の比較例1の電子顕微鏡写真(倍率300倍)を示して、アルミニウムフレーク顔料と熱硬化性樹脂との付着状況を示す図である。
【図4】本発明の比較例2の電子顕微鏡写真(倍率300倍)を示して、アルミニウムフレーク顔料と熱硬化性樹脂との付着状況を示す図である。
【図5】本発明の実施例1の電子顕微鏡写真(倍率300倍)を示して、アルミニウムフレーク顔料と熱硬化性樹脂との付着状況を示す図である。
Claims (6)
- 熱硬化性樹脂粉末と、粘着性を備えた結合剤と、前記結合剤を介して前記熱硬化性樹脂粉末の表面に結合するフレーク状顔料と、を備える粉体塗料粒子を含み、前記粉体塗料粒子の平均粒子径はD50換算で100μm以下であり、前記熱硬化性樹脂粉末と前記フレーク状顔料との結合率は90%〜100%の範囲である、粉体塗料組成物。
- 前記フレーク状顔料は、アルミニウムフレーク粒子と、前記アルミニウムフレーク粒子の表面を被覆する樹脂組成物皮膜と、を備える、アルミニウムフレーク顔料である、請求項1に記載の粉体塗料組成物。
- 前記樹脂組成物皮膜は、分子内に少なくとも一つの重合性二重結合を有するオリゴマーおよび/またはモノマーを少なくとも二種以上含む原料組成物を重合して得られる、三次元架橋型重合体樹脂を含む樹脂組成物皮膜である、請求項2に記載の粉体塗料組成物。
- 前記アルミニウムフレーク顔料は、前記アルミニウムフレーク粒子100gに対して、前記樹脂組成物皮膜を2g〜50gの範囲で含有する、請求項3に記載の粉体塗料組成物。
- 前記粘着性を備えた結合剤は、テルペン系樹脂、テルペン・フェノール系樹脂、テルペン系水素添加系樹脂、テルペン・フェノール系水素添加系樹脂からなる群より選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の粉体塗料組成物。
- 前記粘着性を備えた結合剤は、前記熱硬化性樹脂粉末を溶解しない溶媒に溶解し、数平均分子量が300〜2000の範囲にあり、かつ軟化点が30〜180℃の範囲にあるオリゴマーであり、前記熱硬化性樹脂粉末を溶解しない溶媒の沸点は、大気圧下で28〜130℃の範囲にある、請求項1〜5のいずれかに記載の粉体塗料組成物。
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