JP2004165243A - Piezoelectric device, liquid discharge head, ferroelectric device, electronic equipment, and these manufacturing methods - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は圧電体膜乃至強誘電体膜とこれを挟んで配置される一対の電極を備えた圧電体デバイス、強誘電体デバイス、これらデバイスを備えた液体吐出ヘッド及び電子機器に係り、特に、優れた配向性を有する圧電体膜又は強誘電体膜を備えた圧電体デバイス等に関する。
【0002】
【従来の技術】
圧電体デバイス乃至強誘電体デバイスに用いられる圧電体膜又は強誘電体膜として、ペロブスカイト型結晶構造を有し、化学式ABO3で示すことのできる複合酸化物が知られている。例えばAには鉛(Pb)、Bにジルコニウム(Zr)とチタン(Ti)の混合を適用したチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)が知られている。
【0003】
この圧電体膜又は強誘電体膜の特性向上のため、結晶配向を所望の向きに揃える試みが種々行われている。
【0004】
酸化物超伝導体の分野では、イオンビームアシスト法による面内配向膜の形成が提案されている(特開平6−145977号)。
【0005】
【特許文献1】
特開平6−145977号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、結晶配向が所望の向きに揃えられた圧電体膜又は強誘電体膜を効率よく得ることは困難であった。
【0007】
本発明は、結晶配向が所望の向きに揃えられた圧電体膜又は強誘電体膜を備えた圧電体デバイス又は強誘電体デバイスを効率良く製造する方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明による圧電体デバイスの製造方法は、基板の上に下部電極を形成する工程と、前記下部電極上に圧電体膜を形成する工程と、前記圧電体膜上に上部電極を形成する工程とを備えた圧電体デバイスの製造方法であって、前記圧電体膜を形成する工程は、イオンビームアシスト法で第1層を形成する工程と、イオンビームアシストを止めて堆積を継続して第2層を形成する工程と、を備えている。
【0009】
本発明による他の圧電体デバイスの製造方法は、基板の上に下部電極を形成する工程と、前記下部電極上に圧電体膜を形成する工程と、前記圧電体膜上に上部電極を形成する工程とを備えた圧電体デバイスの製造方法であって、前記下部電極を形成する工程は、イオンビームアシスト法で第1層を形成する工程と、イオンビームアシストを止めて堆積を継続して第2層を形成する工程と、と備えている。この製造方法において、前記圧電体膜を、前記下部電極上にエピタキシャル成長させることにより形成することが望ましい。
【0010】
本発明による他の圧電体デバイスの製造方法は、基板上にバッファ層又は振動板として機能する中間膜を形成する工程と、前記中間膜上に下部電極を形成する工程と、前記下部電極上に圧電体膜を形成する工程と、前記圧電体膜上に上部電極を形成する工程とを備えた圧電体デバイスの製造方法であって、前記中間膜を形成する工程は、イオンビームアシスト法で面内配向の第1層を形成する工程と、イオンビームアシストを止めて堆積を継続して第2層を形成する工程と、を備えている。この製造方法において、前記中間膜上に、前記下部電極及び前記圧電体膜を順次エピタキシャル成長によって形成することが望ましい。
【0011】
上記製造方法において、前記第1層を形成する工程と前記第2層を形成する工程の組合せを複数回繰り返してもよい。
【0012】
本発明の液体吐出ヘッドの製造方法は、請求項1乃至請求項6の何れか一項に記載の製造方法により圧電体デバイスを形成する工程と、前記圧電体デバイスの前記圧電体膜の変形によって内容積が変化するキャビティを、前記圧電体デバイスの前記基板に形成する工程と、を備えている。
【0013】
本発明の液体吐出装置の製造方法は、上記の製造方法により形成された液体吐出ヘッドを用いることを特徴とする。
【0014】
本発明の強誘電体デバイスの製造方法は、基板の上に下部電極を形成する工程と、前記下部電極上に強誘電体膜を形成する工程と、前記強誘電体膜上に上部電極を形成する工程とを備えた強誘電体デバイスの製造方法であって、前記強誘電体膜を形成する工程は、イオンビームアシスト法で面内配向の第1層を形成する工程と、イオンビームアシストを止めて堆積を継続して第2層を形成する工程と、を備えている。
【0015】
本発明の他の強誘電体デバイスの製造方法は、基板の上に下部電極を形成する工程と、前記下部電極上に強誘電体膜を形成する工程と、前記強誘電体膜上に上部電極を形成する工程とを備えた強誘電体デバイスの製造方法であって、前記下部電極を形成する工程は、イオンビームアシスト法で面内配向の第1層を形成する工程と、イオンビームアシストを止めて堆積を継続して第2層を形成する工程と、を備えている。
【0016】
本発明の強誘電体デバイスの製造方法は、基板上にバッファ層として機能する中間膜を形成する工程と、前記中間膜上に下部電極を形成する工程と、前記下部電極上に強誘電体膜を形成する工程と、前記強誘電体膜上に上部電極を形成する工程とを備えた強誘電体デバイスの製造方法であって、前記中間膜を形成する工程は、イオンビームアシスト法で面内配向の第1層を形成する工程と、イオンビームアシストを止めて堆積を継続して第2層を形成する工程と、を備えている。
【0017】
本発明の強誘電体メモリの製造方法は、上記の製造方法により強誘電体デバイスを形成する工程と、前記強誘電体デバイスに対して選択的に信号電圧を印加する駆動回路を電気的に接続する工程と、を備えている。
【0018】
本発明の電子機器の製造方法は、上記の製造方法により形成された強誘電体デバイスを用いることを特徴とする。
【0019】
本発明の圧電体デバイスは、基板の上に、下部電極、圧電体膜及び上部電極を形成してなる圧電体デバイスであって、前記圧電体膜が、イオンビームアシスト法で形成された面内配向の第1層と、イオンビームアシストを止めて堆積を継続して形成された第2層とを備えている。
【0020】
本発明の他の圧電体デバイスは、基板の上に、下部電極、圧電体膜及び上部電極を形成してなる圧電体デバイスであって、前記下部電極が、イオンビームアシスト法で形成された面内配向の第1層と、イオンビームアシストを止めて堆積を継続して形成された第2層とを備えている。
【0021】
本発明の他の圧電体デバイスは、基板上に、バッファ層又は振動板として機能する中間膜、下部電極、圧電体膜及び上部電極を形成してなる圧電体デバイスであって、前記中間膜は、イオンビームアシスト法で形成された面内配向の第1層と、イオンビームアシストを止めて堆積を継続して形成された第2層とを備えている。
【0022】
本発明の液体吐出ヘッドは、上記の圧電体デバイスを備えた液体吐出ヘッドであって、前記基板に、前記圧電体膜の変形によって内容積が変化するキャビティを形成したことを特徴とする。
【0023】
本発明の液体吐出装置は、上記の液体吐出ヘッドを備えている。
【0024】
本発明の強誘電体デバイスは、基板の上に、下部電極、強誘電体膜及び上部電極を形成してなる強誘電体デバイスであって、前記強誘電体膜が、イオンビームアシスト法で形成された面内配向の第1層と、イオンビームアシストを止めて堆積を継続して形成された第2層とを備えている。
【0025】
本発明の他の強誘電体デバイスは、基板の上に、下部電極、強誘電体膜及び上部電極を形成してなる強誘電体デバイスであって、前記下部電極が、イオンビームアシスト法で形成された面内配向の第1層と、イオンビームアシストを止めて堆積を継続して形成された第2層とを備えている。
【0026】
本発明の他の強誘電体デバイスは、基板上に、バッファ層として機能する中間膜、下部電極、強誘電体膜及び上部電極を形成してなる強誘電体デバイスであって、前記中間膜は、イオンビームアシスト法で形成された面内配向の第1層と、イオンビームアシストを止めて堆積を継続して形成された第2層とを備えている。
【0027】
本発明の強誘電体メモリは、上記の製造方法により製造された強誘電体デバイスと、前記強誘電体デバイスに対して電気的に接続され、選択的に信号電圧を印加する駆動回路と、を備えている。
【0028】
本発明の電子機器は、上記の製造方法により形成された強誘電体デバイスを備えることを特徴とする。
【0029】
【発明の実施の形態】
<1.強誘電体デバイスの構成>
図1は、本発明の強誘電体デバイスであるキャパシタの断面図である。
【0030】
図1に示すキャパシタ200は、基板11と、基板11上に設けられたアモルファス層15と、アモルファス層15上に形成された中間膜であるバッファ層12と、このバッファ層12上に形成された下部電極13と、その上の所定領域に設けられた強誘電体膜24と、強誘電体膜24上に設けられた上部電極25とを有している。
【0031】
本実施形態の強誘電体デバイスは、更に3種類の実施形態に分類される。第1の実施形態は中間膜であるバッファ層12がイオンビームアシスト法により面内配向に形成された層を含むもの、第2の実施形態は下部電極13がイオンビームアシスト法により面内配向に形成された層を含むもの、第3の実施形態は強誘電体膜24がイオンビームアシスト法により面内配向に形成された層を含むものである。
【0032】
第1の実施形態におけるバッファ層12、第2の実施形態における下部電極13、第3の実施形態における強誘電体膜24は、いずれも、イオンビームアシスト法により面内配向に形成された第1層の上に、イオンビームアシストを止めて堆積を継続した第2層を含む。また、イオンビームアシストの実行及び停止を複数回繰り返すことにより、上記第1層及び第2層の上に、更にイオンビームアシスト法により面内配向に形成された層を含んでも良い。また、その上に更にイオンビームアシストを止めて堆積した層を含んでも良い。また、その上に更に上記と同様の層の繰り返しを含んでも良い。
【0033】
これら3種類の実施形態による強誘電体デバイスにおいて、イオンビームアシストを止めて堆積した第2層は、面内配向された第1層の影響を受けて結晶成長するため、配向性が良好な層となる。よって、イオンビームの発生のために消費されるエネルギーを抑えつつ配向性が良好な膜を形成することができる。また、イオンビームアシストを止めて堆積する際には堆積中の薄膜がイオンビームによりエッチングされることがないので、これら実施形態は堆積スピードが高いという利点がある。
【0034】
<1−1.基板>
基板11は、バッファ層12、下部電極13等を支持する機能を有するものであり、平板状をなす部材で構成されている。この基板11には、その表面(図1中、上側)にアモルファス層15が形成されている。アモルファス層15は、アモルファス状態の物質で構成される部分であり、基板11と一体的に形成されたもの、基板11に対して固着されたもののいずれであってもよい。
【0035】
基板11としては、例えば、Si基板、SOI(Si on Insulator)基板等を用いることができる。この場合、その表面が自然酸化膜又は熱酸化膜であるSiO2膜で覆われているものを用いることができる。すなわち、この場合、これらの自然酸化膜又は熱酸化膜がアモルファス層15を構成する。
【0036】
また、アモルファス層15は、SiO2の他、例えば、窒化珪素、窒化酸化珪素、酸化ジルコニウムなどの各種金属材料等で構成することもできる。例えば、1000nmのSiO2と400nmのZrO2の二層構造とする。
【0037】
このようなアモルファス層15は、例えば、熱CVD、プラズマCVD、レーザーCVD等の化学蒸着法(CVD)、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等の物理蒸着法(PVD)、スパッタリーフロー、Si基板表面の熱酸化等により形成する。
【0038】
また、基板11そのものが、アモルファス状態の物質で構成されていてもよい。この場合、基板11としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のポリオレフィン、環状ポリオレフィン、変性ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、アイオノマー、アクリル系樹脂、ポリメチルメタクリレート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリオキシメチレン、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリシクロヘキサンテレフタレート(PCT)等のポリエステル、ポリエーテル、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルイミド、ポリアセタール(POM)、ボリフェニレンオキシド、変性ポリフェニレンオキシド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、芳香族ポリエステル(液晶ポリマー)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、その他フッ素系樹脂、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、トランスポリイソプレン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマー、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル、シリコーン樹脂、ポリウレタン等、またはこれらを主とする共重合体、ブレンド体、ポリマーアロイ等の各種樹脂材料、または、各種ガラス材料等で構成される基板を用いることができる。
【0039】
これらのSi基板、SOI基板、各種樹脂基板、各種ガラス基板等は、いずれも、汎用的な基板である。このため、基板11として、これらの基板を用いることにより、強誘電体デバイスの製造コストを削減することができる。
【0040】
基板11の平均厚さは、特に限定されないが、10μm〜1mm程度であるのが好ましく、100〜600μm程度であるのがより好ましい。基板11の平均厚さを、前記範囲内とすることにより、強誘電体デバイスは、十分な強度を確保しつつ、その薄型化(小型化)を図ることができる。
【0041】
<1−2.バッファ層>
アモルファス層15上には、薄膜よりなるバッファ層12が形成されている。
【0042】
バッファ層12を設けることにより、アモルファス層15と下部電極13との優れた接合性(密着性)を得ることもできる。
【0043】
このようなバッファ層12の組成は、例えば、イットリア安定化ジルコニア、CeO2、ZrO2、ThO2、UO2、HfO2などのフルオライト構造化合物、Y2O3などの希土類酸化物c型、Si3N4、SiC、ダイヤモンド、アルミナ等の高ヤング率及び高靭性材料、Ta2O5、Cr2O3、Nb2O5などの遷移金属酸化物、LiTaO3、MgAl2O4などの絶縁性複合酸化物、LaCoO3、LaSrCuO4、LaCaMnO3などの導電性複合酸化物、MgO、CaO、SrO、BaO、MnO、FeO、CoO、NiOなどのNaCl構造化合物が好ましい。
【0044】
フルオライト構造化合物としては、特に、イオンビームアシスト法による面内配向の層を含む第1の実施形態においては、CeO2、ZrO2、HfO2及びこれらの固溶体が好ましい。このようなフルオライト構造の金属酸化物は、ペロブスカイト構造を有する金属酸化物との格子不整合が特に小さい。
【0045】
NaCl構造化合物としては、特に、イオンビームアシスト法による面内配向膜の層を含む第1の実施形態においては、MgO、CaO、SrO、BaO、NiO及びこれらの固溶体が好ましい。このようなNaCl構造の金属酸化物は、ペロブスカイト構造を有する金属酸化物との格子不整合が特に小さい。
【0046】
バッファ層12は、例えば、立方晶(100)配向、立方晶(110)配向、立方晶(111)配向等のいずれであってもよいが、これらの中でも、特に、立方晶(100)配向であるのが好ましい。バッファ層12を立方晶(100)配向とすることにより、バッファ層12の平均厚さを比較的小さくすることができる。このため、例えばMgO、CaO、SrO、BaOのような潮解性を示すNaCl構造の金属酸化物でバッファ層12を構成する場合であっても、製造時および使用時に空気中の水分で劣化するという不都合を好適に防止して、実用可能な強誘電体デバイスとすることができる。
【0047】
このような観点からは、バッファ層12は、できるだけ薄く形成するのが好ましく、具体的には、その平均厚さが10nm以下であるのが好ましく、5nm以下であるのがより好ましい。これにより、前記効果がより向上する。
【0048】
また、このようにバッファ層12の平均厚さを小さくすることにより、例えば強誘電体メモリを作製する場合において、この強誘電体メモリのデザインルールの微細化に伴って必要となる薄型(例えば10nmオーダー厚)のキャパシタを作製することができるという利点もある。
【0049】
<1−3.下部電極>
バッフア層12上には、下部電極13が形成されている。この下部電極13の組成は、例えば、Pt、Ir、Ti、Rh、Ruなどの金属材料で構成することが望ましい。これら金属材料の層を複数形成してもよい。例えば、20nm厚のTi/20nm厚のIr/140nm厚のPtという層構造で下部電極を構成する。
【0050】
また、下部電極13の組成は、ペロブスカイト構造を有する金属酸化物を含むものでもよい。この場合、好ましくはペロブスカイト構造を有する金属酸化物を主材料とするものである。
【0051】
ペロブスカイト構造を有する金属酸化物としては、例えば、CaRuO3、SrRuO3、BaRuO3、SrVO3、(La,Sr)MnO3、(La,Sr)CrO3、(La,Sr)CoO3、LaNiOx、YBa2Cu3Oxまたは、これらを含む固溶体等が挙げられる。これらのペロブスカイト構造を有する金属酸化物は、導電性や化学的安定性に優れている。このため、下部電極13も、導電性や化学的安定性に優れたものとすることができる。
【0052】
ペロブスカイト構造を有する下部電極13は、例えば、擬立方晶(100)配向、擬立方晶(110)配向、擬立方晶(111)配向等のいずれであってもよいが、これらの中でも、特に、擬立方晶(100)配向または擬立方晶(110)配向であるものが好ましい。
【0053】
また、下部電極13の平均厚さは、特に限定されないが、10〜300nm程度とするのが好ましく、50〜150nm程度とするのがより好ましい。これにより、下部電極13は、電極としての機能を十分に発揮することができるとともに、強誘電体デバイスの大型化を防止することができる。
【0054】
なお、バッファ層12としてイオンビームアシスト法による面内配向の層を含む第1の実施形態においては、前述の通りバッファ層12の配向方位が揃っているので、このバッファ層12上に下部電極13を形成することにより、下部電極13は、配向方位が揃ったものとなる。特に、下部電極13は、バッファ層12上にエピタキシャル成長により形成することが望ましい。
【0055】
また、下部電極13としてイオンビームアシスト法による面内配向の層を含む第2の実施形態においては、下部電極13の組成は、上記のうち特にSrRuO3、LaNiOx、YBa2Cu3Ox、または、これらを含む固溶体のうちの少なくとも1種であるのが好ましい。
【0056】
<1−4.強誘電体膜>
この下部電極13上には、強誘電体膜24が形成されている。
【0057】
バッファ層12としてイオンビームアシスト法による面内配向の層を含む第1の実施形態と、下部電極13としてイオンビームアシスト法による面内配向の層を含む第2の実施形態においては、前述の通りいずれも下部電極13の配向方位が揃っているので、この下部電極13上に強誘電体膜24を形成することにより、強誘電体膜24は、配向方位が揃ったものとなる。特に、強誘電体膜24は、下部電極上にエピタキシャル成長により形成することが望ましい。
【0058】
また、第3の実施形態においては、強誘電体膜24は、イオンビームアシスト法による面内配向の層を含み、前述のように強誘電体膜24全体として良好な配向性を示すものとなる。
【0059】
従って、第1の実施形態乃至第3の実施形態のいずれにおいても、キャパシタ200は、例えば残留分極が増大、抗電界が低減等する。すなわち、キャパシタ200は、各種特性が向上する。このため、このようなキャパシタ200を用いて強誘電体メモリを作製した場合には、かかる強誘電体メモリをヒステリシス曲線の角型性に優れたものとすることができる。
【0060】
強誘電体膜24は、各種強誘電体材料で構成することができるが、ペロブスカイト構造を有する強誘電体材料を含むものが好ましく、ペロブスカイト構造を有する強誘電体材料を主材料とするものがより好ましい。さらに、ペロブスカイト構造を有する強誘電体材料としては、正方晶(001)配向であるもの、菱面体晶(100)配向であるもののいずれであってもよいが、特に、正方晶(001)配向であるものが好ましい。これにより、前記効果がより向上する。
【0061】
このペロブスカイト構造を有する強誘電体材料としては、例えば、Pb(Zr,Ti)O3(PZT)、(Pb,La)(Zr,Ti)O3(PLZT)、(Ba,Sr)TiO3(BST)、BaTiO3、KNbO3、Pb(Zn,Nb)O3(PZN)、Pb(Mg,Nb)O3(PMN)、PbFeO3、PbWO3のようなペロブスカイト構造の金属酸化物、SrBi2(Ta,Nb)2O9、(Bi,La)4Ti3O12のようなBi層状化合物、または、これらを含む固溶体(PMN−PT、PZN−PT等)が挙げられる。強誘電体膜24としてイオンビームアシスト法による面内配向の層を含む第3の実施形態においては、特に、PZT、BST、または、PMN−PT、PZN−PT等のリラクサ材料が好ましい。これにより、キャパシタ200は、各種特性が特に優れたものとなる。
【0062】
なお、第1の実施形態及び第2の実施形態において、下部電極13が、ペロブスカイト構造を有する金属酸化物を含むもの(特に、ペロブスカイト構造を有する金属酸化物を主材料とするもの)である場合、このペロブスカイト構造を有する金属酸化物は、ペロブスカイト構造を有する強誘電体材料との格子不整合が小さい。このため、下部電極13上には、強誘電体膜24を、容易かつ確実に、正方晶(001)配向でエピタキシャル成長させることができる。また、得られる強誘電体膜24は、下部電極13との接合性が向上する。
【0063】
また、強誘電体膜24の平均厚さは、特に限定されないが、50〜300nm程度であるのが好ましく、100〜200nm程度であるのがより好ましい。強誘電体膜24の平均厚さを、前記範囲とすることにより、キャパシタ200の大型化を防止しつつ、各種特性を好適に発揮し得るキャパシタ200とすることができる。
【0064】
<1−5.上部電極>
強誘電体膜24上には、櫛歯状(または帯状)をなす上部電極25が形成されている。
【0065】
この上部電極25の構成材料としては、例えば、Pt、Ir、Au、Ag、Ru、または、これらを含む合金等のうちの、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0066】
また、上部電極25の平均厚さは、特に限定されないが、10〜300nm程度であるのが好ましく、50〜150nm程度であるのがより好ましい。
【0067】
<2.強誘電体デバイスの製造方法>
次に、このような強誘電体デバイスであるキャパシタ200の製造方法について、図2を参照しつつ説明する。
【0068】
以下に示すキャパシタ200の製造方法は、アモルファス層15上に中間膜であるバッファ層12を形成する工程(バッファ層形成工程)と、バッファ層12上に下部電極13を形成する工程(下部電極形成工程)と、下部電極13上に強誘電体膜24を形成する工程(強誘電体膜形成工程)と、強誘電体膜24の一部を除去する工程(下部電極取出工程)と、強誘電体膜24上に上部電極25を形成する工程(上部電極形成工程)とを有している。以下、各工程について、順次説明する。
【0069】
まず、アモルファス層15を有する基板11を用意する。この基板11には、厚さが均一で、たわみや傷のないものが好適に使用される。アモルファス層15を形成する方法については前述の通りである。
【0070】
[1A]バッファ層形成工程
まず、基板11のアモルファス層15上にバッファ層12を形成する。このバッファ層12は、例えば、スパッタ法、CVD法、MOCVD法、レーザーアブレーション法など、公知の薄膜形成法によって形成することができるが、特にバッファ層12としてイオンビームアシスト法による面内配向の層を含む第1の実施形態においては、例えば、次のようにして形成することができる。
【0071】
まず、基板11を基板ホルダーに装填して、真空装置内に設置する。
【0072】
なお、真空装置内には、基板11に対向して、前述したようなバッファ層12の構成元素を含む第1ターゲット(バッファ層用ターゲット)が所定距離、離間して配置されている。なお、第1ターゲットとしては、目的とするバッファ層12の組成と同一の組成または近似組成のものが好適に使用される。
【0073】
次いで、例えばレーザー光を第1ターゲットに照射すると、第1ターゲットから酸素原子および金属原子を含む原子が叩き出され、プルームが発生する。換言すれば、このプルームがアモルファス層15に向かって照射される。そして、このプルームは、アモルファス層15(基板11)上に接触するようになる。
【0074】
また、これとほぼ同時に、アモルファス層15の表面に対して、イオンビームを所定角度傾斜させて照射する。
【0075】
これにより、アモルファス層15上に、面内配向されたバッファ層12の第1層が形成される。
【0076】
次に、第1ターゲットに対するレーザー光の照射(プルームの発生)を継続させつつ、イオンビームの照射(イオンビームアシスト)を一定時間中止する。これにより、上記第1層上に、バッファ層12の第2層がエピタキシャル成長により形成される。
【0077】
なお、イオンビームの照射を中止した後、イオンビームの照射を再開してもよく、イオンビームの照射の再開及び中止を複数回繰り返しても良い。
【0078】
なお、前記原子を第1ターゲットから叩き出す方法としては、レーザー光を第1ターゲット表面へ照射する方法の他、例えば、アルゴンガス(不活性ガス)プラズマ、電子線等を第1ターゲット表面へ照射(入射)する方法を用いることもできる。
【0079】
これらの中でも、前記原子を第1ターゲットから叩き出す方法としては、特に、レーザー光を第1ターゲット表面へ照射する方法が好ましい。かかる方法によれば、レーザー光の入射窓を備えた簡易な構成の真空装置を用いて、容易かつ確実に、原子を第1ターゲットから叩き出すことができる。
【0080】
また、このレーザー光は、好ましくは波長が150〜300nm程度、パルス長が1〜100ns程度のパルス光とされる。具体的には、レーザー光としては、例えば、ArFエキシマレーザー、KrFエキシマレーザー、XeClエキシマレーザーのようなエキシマレーザー、YAGレーザー、YVO4レーザー、CO2レーザー等が挙げられる。これらの中でも、レーザー光としては、特に、ArFエキシマレーザーまたはKrFエキシマレーザーが好適である。ArFエキシマレーザーおよびKrFエキシマレーザーは、いずれも、取り扱いが容易であり、また、より効率よく原子を第1ターゲットから叩き出すことができる。
【0081】
一方、アモルファス層15の表面に照射するイオンビームとしては、特に限定されないが、例えば、アルゴン、ヘリウム、ネオン、キセノン、クリプトンのような不活性ガスのうちの少なくとも1種のイオン、または、これらのイオンと酸素イオンとの混合イオン等が挙げられる。
【0082】
このイオンビームのイオン源としては、例えば、Kauffmanイオン源等を用いるのが好ましい。このイオン源を用いることにより、イオンビームを比較的容易に生成することができる。
【0083】
また、イオンビームのアモルファス層15の表面の法線方向に対する照射角度(前記所定角度)は、特に限定されないが、35〜65°程度とするのが好ましい。特に、NaCl構造の金属酸化物を主材料とするバッファ層12を形成する場合には、前記照射角度を42〜47°程度、また、フルオライト構造の金属酸化物を主材料とするバッファ層12を形成する場合には、前記照射角度を52〜57°程度とするのがより好ましい。このような照射角度に設定して、イオンビームをアモルファス層15の表面に照射することにより、立方晶(100)配向で、かつ、面内配向したバッファ層12を形成することができる。
【0084】
このようなバッファ層12の形成における各条件は、バッファ層12が面内配向し得るものであればよく、例えば、次のようにすることができる。
【0085】
レーザー光の周波数は、30Hz以下とするのが好ましく、15Hz以下とするのがより好ましい。
【0086】
レーザー光のエネルギー密度は、0.5J/cm2以上とするのが好ましく、2J/cm2以上とするのがより好ましい。
【0087】
イオンビーム加速電圧は、100〜300V程度とするのが好ましく、150〜250V程度とするのがより好ましい。
【0088】
また、イオンビームの照射量は、1〜30mA程度とするのが好ましく、5〜15mA程度とするのがより好ましい。
【0089】
基板11の温度は、0〜100℃程度とするのが好ましく、40〜70℃程度とするのがより好ましい。
【0090】
基板11と第1ターゲットとの距離は、30mm〜100mm程度とするのが好ましく、50〜80mm程度とするのがより好ましい。
【0091】
また、真空装置内の圧力は、133×10−1Pa(1×10−1Torr)以下とするのが好ましく、133×10−3Pa(1×10−3Torr)以下とするのがより好ましい。
【0092】
真空装置内の雰囲気は、不活性ガスと酸素との混合比を、体積比で300:1〜10:1程度とするのが好ましく、150:1〜50:1程度とするのがより好ましい。
【0093】
バッファ層12の形成における各条件を、それぞれ、前記範囲とすると、より効率よく、バッファ層12を面内配向させることができる。
【0094】
また、このとき、レーザー光およびイオンビームの照射時間を適宜設定することにより、バッファ層12の平均厚さを前述したような範囲に調整することができる。このレーザー光の照射時間は、前記各条件によっても異なるが、通常、200秒以下とするのが好ましく、100秒以下とするのがより好ましい。イオンビームの照射時間は、レーザー光の照射時間全体のうち20〜80%程度の時間が望ましい。イオンビームの照射時間を調整することにより、イオンビームアシスト法による面内配向の層と、イオンビームアシストを止めて堆積を継続した層の厚みを調整することができる。
【0095】
このようなバッファ層12の形成方法によれば、イオンビームの照射角度を調整するという簡単な方法で、揃える配向方位を任意の方向に調整することが可能である。また、このようにバッファ層12の配向方位を、精度よく揃えることができるので、バッファ層12の平均厚さをより小さくすることができるという利点もある。
【0096】
以上のようにして、バッファ層12が得られる(図2参照)。
【0097】
[2A]下部電極形成工程
次に、バッファ層12上に下部電極13を形成する。この下部電極13は、例えば、次のようにして形成することができる。
【0098】
まず、前記工程[1A]で詳述したイオンビームアシスト法によるバッファ層12の形成方法と同様に、バッファ層12(基板11)に対向して、前述したような下部電極13の構成元素を含む第2ターゲット(下部電極用ターゲット)が所定距離、離間して配置される。なお、第2ターゲットとしては、目的とする下部電極13の組成と同一の組成または近似組成のものが好適に使用される。
【0099】
前記工程[1A]に引き続き、バッファ層12上に、下部電極を構成する各種金属原子(及び該当する場合には酸素原子)を含む原子のプルームを照射する。そして、このプルームがバッファ層12の表面(上面)に接触することにより、下部電極13が膜状に形成される。
【0100】
このプルームは、前記第2ターゲット表面に、前記工程[1A]と同様に、レーザー光を照射することにより、第2ターゲットから各種金属原子等を含む原子を叩きだして、発生させるのが好ましい。
【0101】
このようなレーザー光は、前記工程[1A]と同様に、ArFエキシマレーザーまたはKrFエキシマレーザーが好適である。
【0102】
なお、特に下部電極13としてイオンビームアシスト法による面内配向の層を含む第2の実施形態においては、前記工程[1A]と同様に、バッファ層12の表面にイオンビームを照射しつつ、下部電極13を形成する。これにより、面内配向された下部電極13の第1層が形成される。そして、第2ターゲットに対するレーザー光の照射(プルームの発生)を継続させつつ、イオンビームの照射(イオンビームアシスト)を一定時間中止する。これにより、上記第1層上に、下部電極13の第2層がエピタキシャル成長により形成される。なお、イオンビームの照射を中止した後、イオンビームの照射を再開してもよく、イオンビームの照射の再開及び中止を複数回繰り返しても良い。
【0103】
また、下部電極13の形成における各条件は、各種金属原子が、所定の比率(例えば、ペロブスカイト構造を有する金属酸化物における組成比)で、バッファ層12上に到達し、下部電極13を形成し得るものであればよく、例えば、次のようにすることができる。
【0104】
レーザー光の周波数は、30Hz以下程度とするのが好ましく、15Hz以下程度とするのがより好ましい。
【0105】
レーザー光のエネルギー密度は、0.5J/cm2以上とするのが好ましく、2J/cm2以上とするのがより好ましい。
【0106】
イオンビームの照射を併用する工程を含む場合、バッファ層12が形成された基板11の温度は、0〜100℃程度とするのが好ましく、30〜70℃程度とするのがより好ましい。
【0107】
バッファ層12が形成された基板11と第2ターゲットとの距離は、30〜100mmとするのが好ましく、50〜80mm程度とするのがより好ましい。
【0108】
また、イオンビームの照射を併用する工程を含む場合、真空装置内の圧力は、133×10−1Pa(1×10−1Torr)以下とするのが好ましく、133×10−3Pa(1×10−3Torr)以下とするのがより好ましい。また、この場合、真空装置内の雰囲気は、不活性ガスと酸素との混合比を、体積比で300:1〜10:1程度とするのが好ましく、150:1〜50:1程度とするのがより好ましい。
【0109】
下部電極13の形成における各条件を、それぞれ、前記範囲とすると、効率よく下部電極13を形成することができる。
【0110】
また、このとき、レーザー光の照射時間を適宜設定することにより、下部電極13の平均厚さを前述したような範囲に調整することができる。このレーザー光の照射時間は、前記各条件によっても異なるが、通常、3〜90分程度とするのが好ましく、15〜45分程度とするのがより好ましい。イオンビームを照射する場合の照射時間は、レーザー光の照射時間全体のうち20〜80%程度の時間が望ましい。イオンビームの照射時間を調整することにより、イオンビームアシスト法による面内配向の層と、イオンビームアシストを止めて堆積を継続した層の厚みを調整することができる。
【0111】
なお、特にバッファ層12としてイオンビームアシスト法による面内配向の層を含む第1の実施形態においては、この下部電極形成工程により、イオンビームの照射を併用しなくても、下部電極13がバッファ層12上にエピタキシャル成長する。この場合、成膜時の基板11の温度は、300〜800℃程度とするのが好ましく、400〜700℃程度とするのがより好ましい。また、この場合の真空装置内の圧力は、1気圧以下が好ましく、そのうち、酸素分圧は、例えば、酸素ガス供給下で133×10−3Pa(1×10−3Torr)以上とするのが好ましく、原子状酸素ラジカル供給下で133×10−5Pa(1×10−5Torr)以上とするのが好ましい。なお、第1の実施形態における下部電極13の形成方法はこれに限らず、CVD法、レーザーアブレーションなどの方法でもよい。
【0112】
また、特に強誘電体膜24としてイオンビームアシスト法による面内配向の層を含む第3の実施形態においては、下部電極13は、上記の方法に限らず、例えば、スパッタ法、CVD法、MOCVD法、レーザーアブレーション法など、公知の薄膜形成法によって形成することができる。
【0113】
以上のようにして、下部電極13が得られる(図2参照)。
【0114】
[3A]強誘電体膜形成工程
次に、下部電極13上に強誘電体膜24を形成する。これは、例えば、次のようにして行うことができる。
【0115】
まず、前記工程[1A]で詳述したイオンビームアシスト法によるバッファ層12の形成方法と同様に、基板11に対向して、前述したような強誘電体膜24の構成元素を含む第3ターゲット(強誘電体膜用ターゲット)が所定距離、離間して配置される。なお、第3ターゲットとしては、目的とする強誘電体膜24の組成と同一の組成または近似組成のものが好適に使用される。
【0116】
前記工程[2A]に引き続き、下部電極13上に、酸素原子および各種金属原子を含む原子のプルームを照射する。そして、このプルームが下部電極13の表面(上面)に接触することにより、ペロブスカイト構造を有する強誘電体材料(前述した通りである)を含む強誘電体膜24が、例えば正方晶(001)配向で膜状に形成される。
【0117】
このプルームは、前記第3ターゲット表面に、前記工程[1A]と同様に、レーザー光を照射することにより、第3ターゲットから酸素原子および各種金属原子を含む原子を叩きだして、発生させるのが好ましい。
【0118】
このようなレーザー光は、前記工程[1A]と同様に、ArFエキシマレーザーまたはKrFエキシマレーザーが好適である。
【0119】
なお、特に強誘電体膜24としてイオンビームアシスト法による面内配向の層を含む第3の実施形態においては、前記工程[1A]と同様に、下部電極13の表面にイオンビームを照射しつつ、強誘電体膜24を形成する。これにより、面内配向された強誘電体膜24の第1層が形成される。そして、第3ターゲットに対するレーザー光の照射(プルームの発生)を継続させつつ、イオンビームの照射(イオンビームアシスト)を一定時間中止する。これにより、上記第1層上に、強誘電体膜24の第2層がエピタキシャル成長により形成される。なお、イオンビームの照射を中止した後、イオンビームの照射を再開してもよく、イオンビームの照射の再開及び中止を複数回繰り返しても良い。
【0120】
また、強誘電体膜24の形成における各条件は、各種金属原子が、所定の比率(すなわち、ペロブスカイト構造を有する強誘電体材料における組成比)で、下部電極13上に到達し、強誘電体膜24を形成し得るものであればよく、例えば、次のようにすることができる。
【0121】
レーザー光の周波数は、30Hz以下とするのが好ましく、15Hz以下とするのがより好ましい。
【0122】
レーザー光のエネルギー密度は、0.5J/cm2以上とするのが好ましく、2J/cm2以上とするのがより好ましい。
【0123】
イオンビームの照射を併用する工程を含む場合、下部電極13が形成された基板11の温度は、0〜100℃程度とするのが好ましく、30〜70℃程度とするのがより好ましい。
【0124】
下部電極13が形成された基板11と第3ターゲットとの距離は、30〜100mmとするのが好ましく、50〜80mm程度とするのがより好ましい。
【0125】
また、イオンビームの照射を併用する工程を含む場合、真空装置内の圧力は、133×10−1Pa(1×10−1Torr)以下とするのが好ましく、133×10−3Pa(1×10−3Torr)以下とするのがより好ましい。また、この場合、真空装置内の雰囲気は、不活性ガスと酸素との混合比を、体積比で300:1〜10:1程度とするのが好ましく、150:1〜50:1程度とするのがより好ましい。
【0126】
強誘電体膜24の形成における各条件を、それぞれ前記範囲とすると、効率よく強誘電体膜24を形成することができる。
【0127】
また、このとき、レーザー光の照射時間を適宜設定することにより、強誘電体膜24の平均厚さを前述したような範囲に調整することができる。このレーザー光の照射時間は、前記各条件によっても異なるが、通常、3〜90分程度とするのが好ましく、15〜45分程度とするのがより好ましい。イオンビームを照射する場合の照射時間は、レーザー光の照射時間全体のうち20〜80%程度の時間が望ましい。イオンビームの照射時間を調整することにより、イオンビームアシスト法による面内配向の層と、イオンビームアシストを止めて堆積を継続した層の厚みを調整することができる。
【0128】
なお、特にバッファ層12としてイオンビームアシスト法による面内配向の層を含む第1の実施形態と、下部電極13としてイオンビームアシスト法による面内配向の層を含む第2の実施形態においては、この強誘電体膜形成工程により、イオンビームの照射を併用しなくても、強誘電体膜24が下部電極13上にエピタキシャル成長する。この場合、基板11の温度は、300〜800℃程度とするのが好ましく、400〜700℃程度とするのがより好ましい。また、真空装置内の圧力は、1気圧以下が好ましく、そのうち、酸素分圧は、例えば、酸素ガス供給下で133×10−3Pa(1×10−3Torr)以上とするのが好ましく、原子状酸素ラジカル供給下で133×10−5Pa(1×10−5Torr)以上とするのが好ましい。なお、第1の実施形態及び第2の実施形態における強誘電体膜24の形成方法はこれに限らず、CVD法、レーザーアブレーションなどの方法でもよい。
【0129】
以上のようにして、強誘電体膜24が得られる。
【0130】
[4A]下部電極の取出工程
次に、強誘電体膜24の一部を除去して、下部電極13を取り出す。これは、例えば、フォトリソグラフィー法を用いることにより、行うことができる。
【0131】
まず、除去する部分を残して、強誘電体膜24上にレジスト層を形成する。
【0132】
次いで、強誘電体膜24に対して、エッチング処理(例えば、ウェットエッチング処理、ドライエッチング処理等)を施す。
【0133】
次いで、前記レジスト層を除去する。これにより、下部電極13の一部(図1中左側)が露出する。
【0134】
[5A]上部電極の形成工程
次に、強誘電体膜24上に上部電極25を形成する。これは、例えば、次のようにして行うことができる。
【0135】
まず、所望のパターン形状を有するマスク層を、例えばスパッタリング法等により強誘電体膜24上に形成する。
【0136】
次いで、例えばPt等で構成される上部電極25の材料を、例えば、蒸着法、スパッタリング法、印刷法等を用いることにより、膜状に形成する。
【0137】
次いで、前記マスク層を除去する。
【0138】
以上のようにして、上部電極25が得られる。
【0139】
以上のような工程[1A]〜[5A]を経て、キャパシタ200が製造される。
【0140】
<3.圧電体デバイスの構成>
図3は、本発明の圧電体デバイス及びこれを用いた液体吐出ヘッドの実施形態を示す断面図である。
【0141】
図3に示す圧電体デバイス54について、前記キャパシタ200との相違点を中心に説明する。圧電体デバイス54は、基板52、基板52上の中間膜である振動板55、振動板55上の下部電極542、下部電極542上の圧電体膜543、および圧電体膜543上の上部電極541を有している。
【0142】
本実施形態の圧電体デバイスは、更に3種類の実施形態に分類される。第1の実施形態は中間膜である振動板55がイオンビームアシスト法により面内配向に形成された層を含むもの、第2の実施形態は下部電極542がイオンビームアシスト法により面内配向に形成された層を含むもの、第3の実施形態は圧電体膜543がイオンビームアシスト法により面内配向に形成された層を含むものである。
【0143】
第1の実施形態における振動板55、第2の実施形態における下部電極542、第3の実施形態における圧電体膜543は、いずれも、イオンビームアシスト法により面内配向に形成された第1層の上に、イオンビームアシストを止めて堆積を継続した第2層を含む。また、イオンビームアシストの実行及び停止を複数回繰り返すことにより、上記第1層及び第2層の上に、更にイオンビームアシスト法により面内配向に形成された層を含んでも良い。また、その上に更にイオンビームアシストを止めて堆積した層を含んでも良い。また、その上に更に上記と同様の層の繰り返しを含んでも良い。
【0144】
これら3種類の実施形態による圧電体デバイスにおいて、イオンビームアシストを止めて堆積した第2層は、面内配向された第1層の影響を受けて結晶成長するため、配向性が良好な層となる。よって、イオンビームの発生のために消費されるエネルギーを抑えつつ配向性が良好な膜を形成することができる。また、イオンビームアシストを止めて堆積する際には堆積中の薄膜がイオンビームによりエッチングされることがないので、これら実施形態は堆積スピードが高いという利点がある。
【0145】
振動板55の組成としては、上記キャパシタ200におけるバッファ層12と同様の酸化物等を用いることができるが、特に、第1の実施形態においては、イオンビームアシスト法により面内配向膜の形成に適するものとして、MgO、CaO、SrO、BaO、NiOなどのNaCl構造化合物が望ましい。なお、振動板55の下層には、図示しないバッファ層を備えていてもよい。
【0146】
下部電極542は、上記キャパシタ200と同様の材料で構成することができる。なお、振動板55としてイオンビームアシスト法による面内配向の層を含む第1の実施形態においては、振動板55の配向方位が揃っているので、この振動板55上に下部電極542を形成することにより、下部電極542は、配向方位が揃ったものとなる。特に、下部電極542は、振動板55上にエピタキシャル成長により形成することが望ましい。
【0147】
また、下部電極542としてイオンビームアシスト法による面内配向の層を含む第2の実施形態においては、下部電極542の組成は、特にSrRuO3、LaNiOx、YBa2Cu3Ox、または、これらを含む固溶体のうちの少なくとも1種であるのが好ましい。
【0148】
なお、下部電極542が、ペロブスカイト構造を有する金属酸化物である場合、ペロブスカイト構造を有する強誘電体材料との格子不整合が小さい。このため、第1の実施形態及び第2の実施形態において、下部電極542上には、圧電体膜543を、容易かつ確実に、菱面体晶(100)配向でエピタキシャル成長させることができる。また、圧電体膜543は、下部電極542との接合性が向上する。
【0149】
圧電体膜543は、各種強誘電体材料で構成することができるが、ペロブスカイト構造を有する強誘電体材料を含むものが好ましく、ペロブスカイト構造を有する強誘電体材料を主材料とするものがより好ましい。さらに、ペロブスカイト構造を有する強誘電体材料としては、菱面体晶(100)配向であるもの、正方晶(001)配向であるもののいずれであってもよいが、特に、菱面体晶(100)配向であるものが好ましい。
【0150】
このペロブスカイト構造を有する強誘電体材料としては、前記キャパシタ200で挙げたのと同様のものを用いることができる。これにより、圧電体デバイス54は、各種特性が特に優れたものとなる。
【0151】
また、圧電体膜543の平均厚さは、特に限定されないが、例えば、100〜3000nm程度であるのが好ましく、500〜2000nm程度であるのがより好ましい。圧電体膜543の平均厚さを、前記範囲とすることにより、圧電体デバイス54の大型化を防止しつつ、各種特性を好適に発揮し得る圧電体デバイスとすることができる。
【0152】
振動板55としてイオンビームアシスト法による面内配向の層を含む第1の実施形態と、下部電極542としてイオンビームアシスト法による面内配向の層を含む第2の実施形態においては、前述の通りいずれも下部電極542の配向方位が揃っているので、この下部電極542上に圧電体膜543を形成することにより、圧電体膜543は、配向方位が揃ったものとなる。特に、圧電体膜543は、下部電極上にエピタキシャル成長により形成することが望ましい。
【0153】
また、第3の実施形態においては、圧電体膜543は、イオンビームアシスト法による面内配向の層を含み、前述のように圧電体膜543全体として良好な配向性を示すものとなる。
【0154】
圧電体膜543上には、上部電極541が形成されている。この上部電極541の構成材料および平均厚さは、それぞれ、前記キャパシタ200で記載した上部電極25と同様とすることができる。
【0155】
<4.圧電体デバイスの製造方法>
次に、図4に基づき、圧電体デバイスの製造方法について説明する。
【0156】
以下に示す圧電体デバイス54の製造方法は、基板52上に振動板55を形成する工程(振動板形成工程)と、振動板55上に下部電極542を形成する工程(下部電極形成工程)と、下部電極542上に圧電体膜543を形成する工程(圧電体膜形成工程)と、圧電体膜543上に上部電極25を形成する工程(上部電極形成工程)と、圧電体膜及び上部電極をパターニングする工程(パターニング工程)とを有している。以下、各工程について、順次説明する。
【0157】
[1C]振動板形成工程
前記工程[1A]のバッファ層と同様にして行う。上記キャパシタ200と同様に、第1の実施形態においては、イオンビームアシスト法により面内配向に形成された第1層を形成する工程と、イオンビームアシストを止めて堆積を継続して第2層を形成する工程を有している。
【0158】
[2C]下部電極形成工程
前記工程[2A]と同様にして行う。上記キャパシタ200と同様に、第2の実施形態においては、イオンビームアシスト法により面内配向に形成された第1層を形成する工程と、イオンビームアシストを止めて堆積を継続して第2層を形成する工程を有している。第1の実施形態においては、振動板55上に下部電極542をエピタキシャル成長させることが望ましい。
【0159】
[3C]圧電体膜形成工程
次に、下部電極542上に圧電体膜543を形成する。これは、前記工程[3A]と同様にして行うことができる。上記キャパシタ200と同様に、第3の実施形態においては、イオンビームアシスト法により面内配向に形成された第1層を形成する工程と、イオンビームアシストを止めて堆積を継続して第2層を形成する工程を有している。第1の実施形態及び第2の実施形態においては、下部電極542上に圧電体膜543をエピタキシャル成長させることが望ましい。
【0160】
[4C]上部電極形成工程
次に図4[4C]に示すように、圧電体薄膜543上に上部電極541を形成する。具体的には、上部電極541として白金(Pt)等を100nmの膜厚に直流スパッタ法で成膜する。
【0161】
[5C]パターニング工程
図4[5C]に示すように、圧電体薄膜543及び上部電極541を所定形状に加工して圧電体デバイスを形成する。具体的には、上部電極541上にレジストをスピンコートした後、所定形状に露光・現像してパターニングする。残ったレジストをマスクとして上部電極541、圧電体薄膜543をイオンミリング等でエッチングする。
【0162】
以上のような工程[1C]〜[5C]を経て、圧電体デバイス54が製造される。
【0163】
<5.強誘電体メモリの構成>
次に、本発明の強誘電体デバイスをキャパシタとして備える強誘電体メモリについて説明する。
【0164】
図5は、本発明の強誘電体メモリの実施形態を模式的に示す平面図であり、図6は、図5中のA−A線断面の一部を拡大した図である。なお、図5では、煩雑となることを避けるため、断面であることを示す斜線を一部省略して示す。
【0165】
図6に示すように、強誘電体メモリ40は、メモリセルアレイ42と、周辺回路部41とを有している。これらのメモリセルアレイ42と周辺回路部41とは、異なる層に形成されている。本実施形態では、下層(下側)に周辺回路部41が、上層(上側)にメモリセルアレイ42が形成されている。
【0166】
メモリセルアレイ42は、行選択のための第1信号電極(ワード線)422と、列選択のための第2信号電極(ビット線)424とが直交するように配列されている。なお、信号電極の配置は、前記のものに限らず、逆であってもよい。すなわち、第1信号電極422がビット線、第2信号電極424がワード線でもよい。
【0167】
これらの第1信号電極422と第2信号電極424との間には、強誘電体膜423が配置され、第1信号電極422と第2信号電極424との交差領域において、それぞれ、単位キャパシタ(メモリセル)が構成されている。
【0168】
また、第1信号電極422、強誘電体膜423および第2信号電極424を覆うように、絶縁材料からなる第1保護層425が形成されている。
【0169】
さらに、第2配線層44を覆うように第1保護層425上に絶縁材料からなる第2保護層426が形成されている。
【0170】
第1信号電極422および第2信号電極424は、それぞれ、第2配線層44によって周辺回路部41の第1配線層43と電気的に接続されている。
【0171】
周辺回路部41は、図5に示すように、第1信号電極422を選択的に制御するための第1駆動回路451と、第2信号電極424を選択的に制御するための第2駆動回路452と、センスアンプなどの信号検出回路453とを有しており、前記の単位キャパシタ(メモリセル)に対して選択的に情報の書き込み、または、読み出しを行うことができる。
【0172】
また、周辺回路部41は、図6に示すように、半導体基板411上に形成されたMOSトランジスタ412を有している。このMOSトランジスタ412は、ゲート絶縁層412a、ゲート電極412bおよびソース/ドレイン領域412cを有している。
【0173】
各MOSトランジスタ412は、それぞれ、素子分離領域413によって分離されるとともに、所定のパターンで形成された第1配線層43によって、それぞれ、電気的接続がなされている。
【0174】
MOSトランジスタ412が形成された半導体基板411上には、第1層間絶縁層414が、さらに、第1層間絶縁層414上には、第1配線層43を覆うようにして第2層間絶縁層415が形成されている。
【0175】
この第2層間絶縁層415上には、バッファ層421を含んだメモリセルアレイ42が設けられている。
【0176】
そして、周辺回路部41とメモリセルアレイ42とは、第2配線層44によって電気的に接続されている。
【0177】
本実施形態では、第2層間絶縁層415、バッファ層421、第1信号電極422、強誘電体膜423および第2信号電極424により、前述したキャパシタ200が構成されている。
【0178】
以上の構成のような強誘電体メモリ40によれば、単一の半導体基板411上に周辺回路部41およびメモリセルアレイ42が積層されているので、周辺回路部41とメモリセルアレイ42とを同一面に配置した場合に比べて、チップ面積を大幅に小さくすることができ、単位キャパシタ(メモリセル)の集積度を高めることができる。
【0179】
このような強誘電体メモリ40における書き込み、読み出し動作の一例について説明する。
【0180】
まず、読み出し動作においては、選択された単位キャパシタに読み出し電圧「Vo」が印加される。これは、同時に‘0’の書き込み動作を兼ねている。このとき、選択されたビット線を流れる電流またはビット線をハイインピーダンスにしたときの電位をセンスアンプにて読み出す。
【0181】
なお、このとき、選択されない単位キャパシタには、読み出し時のクロストークを防ぐため、所定の電圧が印加される。
【0182】
一方、書き込み動作においては、‘1’の書き込みの場合は、選択された単位キャパシタに「−Vo」の電圧が印加される。‘0’の書き込みの場合は、選択された単位キャパシタに、この選択された単位キャパシタの分極を反転させない電圧が印加され、読み出し動作時に書き込まれた‘0’状態を保持する。
【0183】
なお、このとき、選択されない単位キャパシタには、書き込み時のクロストークを防ぐため、所定の電圧が印加される。
【0184】
<6.強誘電体メモリの製造方法>
次に、強誘電体メモリ40の製造方法の一例について説明する。
【0185】
前述したような強誘電体メモリ40は、例えば、次のようにして製造することができる。
【0186】
−1− まず、公知のLSIプロセス(半導体プロセス)を用いて、周辺回路部41を形成する。
【0187】
具体的には、半導体基板411上に、MOSトランジスタ412を形成する。例えば、半導体基板411上の所定領域にトレンチ分離法、LOCOS法等を用いて素子分離領域413を形成し、次いで、ゲート絶縁層412aおよびゲート電極412bを形成し、その後、半導体基板411に不純物をドープすることでソース/ドレイン領域412cを形成する。
【0188】
−2− 次に、第1層間絶縁層414を形成した後、コンタクトホールを形成し、その後、所定パターンの第1配線層43を形成する。
【0189】
−3− 次に、第1配線層43が形成された第1層間絶縁層414上に、第2層間絶縁層415を形成する。
【0190】
以上のようにして、駆動回路451、452および信号検出回路453等の各種回路を有する周辺回路部41が形成される。
【0191】
−4− 次に、周辺回路部41上に、メモリセルアレイ42を形成する。これは、前述した工程[1A]〜[5A]と同様にして行うことができる。
【0192】
−5− 次に、第2信号電極424が形成された強誘電体膜423上に、第1保護層425を形成し、さらに、第1保護層425の所定領域にコンタクトホールを形成し、その後、所定パターンの第2配線層44を形成する。これにより、周辺回路部41とメモリセルアレイ42とが電気的に接続される。
【0193】
−6− 次に、最上層に、第2保護層426を形成する。
【0194】
以上のようにして、メモリセルアレイ42が形成され、強誘電体メモリ40が得られる。
【0195】
このような強誘電体メモリ40は、各種電子機器に適用することができる。この電子機器としては、パーソナルコンピュータ、ICカード、タグ、携帯電話等が挙げられる。
【0196】
<7.インクジェット式記録ヘッドの構成>
本発明の圧電体デバイスを備える液体吐出ヘッドであるインクジェット式記録ヘッドについて説明する。
【0197】
図7は、本実施形態のインクジェット式記録ヘッドの実施形態を示す分解斜視図である。前述の図3は、図7に示すインクジェット式記録ヘッドの主要部の構成を断面図で表したものである。なお、図7は、通常使用される状態とは、上下逆に示されている。
【0198】
図7に示すインクジェット式記録ヘッド50(以下、単に「ヘッド50」と言う。)は、ノズル板51と、インク室基板52と、振動板55と、振動板55に接合された圧電素子(振動源)54とを備え、これらが基体56に収納されている。なお、このヘッド50は、オンデマンド形のピエゾジェット式ヘッドを構成する。
【0199】
ノズル板51は、例えばステンレス製の圧延プレート等で構成されている。このノズル板51には、インク滴を吐出するための多数のノズル511が形成されている。これらのノズル511間のピッチは、印刷精度に応じて適宜設定される。
【0200】
このノズル板51には、インク室基板52が固着(固定)されている。このインク室基板52は、ノズル板51、側壁(隔壁)522および後述する振動板55により、複数のインク室(キャビティ、圧力室)521と、インクカートリッジ631から供給されるインクを一時的に貯留するリザーバ523と、リザーバ523から各インク室521に、それぞれインクを供給する供給口524とが区画形成されている。
【0201】
これらのインク室521は、それぞれ短冊状(直方体状)に形成され、各ノズル511に対応して配設されている。各インク室521は、後述する振動板55の振動により容積可変であり、この容積変化により、インクを吐出するよう構成されている。
【0202】
このインク室基板52を得るための母材としては、例えば、シリコン単結晶基板、各種ガラス基板、各種プラスチック基板等を用いることができる。これらの基板は、いずれも汎用的な基板であるので、これらの基板を用いることにより、ヘッド50の製造コストを低減することができる。
【0203】
また、これらの中でも、母材としては、(110)配向シリコン単結晶基板を用いるのが好ましい。この(110)配向シリコン単結晶基板は、異方性エッチングに適しているのでインク室基板52を、容易かつ確実に形成することができる。
【0204】
このインク室基板52の平均厚さは、特に限定されないが、10〜1000μm程度とするのが好ましく、100〜500μm程度とするのがより好ましい。
【0205】
また、インク室521の容積は、特に限定されないが、0.1〜100nL程度とするのが好ましく、0.1〜10nL程度とするのがより好ましい。
【0206】
一方、インク室基板52のノズル板51と反対側には、振動板55が接合され、さらに振動板55のインク室基板52と反対側には、複数の圧電素子54が設けられている。
【0207】
また、振動板55の所定位置には、振動板55の厚さ方向に貫通して連通孔531が形成されている、この連通孔531を介して、後述するインクカートリッジ631からリザーバ523に、インクが供給可能となっている。
【0208】
各圧電素子54は、それぞれ、下部電極542と上部電極541との間に圧電体膜543を介挿してなり、各インク室521のほぼ中央部に対応して配設されている。各圧電素子54は、後述する圧電素子駆動回路に電気的に接続され、圧電素子駆動回路の信号に基づいて作動(振動、変形)するよう構成されている。
【0209】
これらの圧電素子54は、それぞれ、振動源として機能し、振動板55は、圧電素子54の振動により振動し、インク室521の内部圧力を瞬間的に高めるよう機能する。
【0210】
基体56は、例えば各種樹脂材料、各種金属材料等で構成されており、この基体56にインク室基板52が固定、支持されている。
【0211】
このようなヘッド50は、圧電素子駆動回路を介して所定の吐出信号が入力されていない状態、すなわち、圧電素子54の下部電極542と上部電極541との間に電圧が印加されていない状態では、圧電体膜543に変形が生じない。このため、振動板55にも変形が生じず、インク室521には容積変化が生じない。したがって、ノズル511からインク滴は吐出されない。
【0212】
一方、圧電素子駆動回路を介して所定の吐出信号が入力された状態、すなわち、圧電素子54の下部電極542と上部電極541との間に一定電圧が印加された状態では、圧電体膜543に変形が生じる。これにより、振動板55が大きくたわみ、インク室521の容積変化が生じる。このとき、インク室521内の圧力が瞬間的に高まり、ノズル511からインク滴が吐出される。
【0213】
1回のインクの吐出が終了すると、圧電素子駆動回路は、下部電極542と上部電極541との間への電圧の印加を停止する。これにより、圧電素子54は、ほぼ元の形状に戻り、インク室521の容積が増大する。なお、このとき、インクには、後述するインクカートリッジ631からノズル511へ向かう圧力(正方向への圧力)が作用している。このため、空気がノズル511からインク室521へと入り込むことが防止され、インクの吐出量に見合った量のインクがインクカートリッジ631からリザーバ523を経てインク室521へ供給される。
【0214】
このようにして、ヘッド50において、印刷させたい位置の圧電素子54に、圧電素子駆動回路を介して吐出信号を順次入力することにより、任意の(所望の)文字や図形等を印刷することができる。
【0215】
<8.インクジェット式記録ヘッドの製造方法>
次に、ヘッド50の製造方法の一例について説明する。前述したようなヘッド50は、例えば、次のようにして製造することができる。
【0216】
−10− まず、インク室基板52となる母材と、振動板55とを貼り合わせ(接合して)、これらを一体化させる。
【0217】
この接合には、例えば、母材と振動板55とを圧着させた状態で熱処理する方法が好適に用いられる。かかる方法によれば、容易かつ確実に、母材と振動板55とを一体化させることができる。
【0218】
この熱処理条件は、特に限定されないが、100〜600℃×1〜24時間程度とするのが好ましく、300〜600℃×6〜12時間程度とするのがより好ましい。なお、接合には、その他の各種接着方法、各種融着方法等を用いてもよい。
【0219】
−20− 次に、振動板55上に圧電素子54を形成する。これは、前述した工程[1C]〜[5C]と同様にして行うことができる。
【0220】
−30− 次に、インク室基板52となる母材の圧電素子54に対応した位置に、それぞれインク室521となる凹部を、また、所定位置にリザーバ523および供給口524となる凹部を形成する。
【0221】
具体的には、インク室521、リザーバ523および供給口524を形成すべき位置に合せて、マスク層を形成した後、例えば、平行平板型反応性イオンエッチング、誘導結合型方式、エレクトロンサイクロトロン共鳴方式、ヘリコン波励起方式、マグネトロン方式、プラズマエッチング方式、イオンビームエッチング方式等のドライエッチング、5重量%〜40重量%程度の水酸化カリウム、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド等の高濃度アルカリ水溶液によるウェットエッチングを行う。
【0222】
これにより、母材を、その厚さ方向に振動板55が露出する程度にまで削り取り(除去し)、インク室基板52を形成する。なお、このとき、エッチングされずに残った部分が、側壁522となり、また、露出した振動板55は、振動板としての機能を発揮し得る状態となる。
【0223】
なお、母材として、(110)配向シリコン基板を用いる場合には、前述の高濃度アルカリ水溶液を用いることにより、母材は、容易に異方性エッチングされるので、インク室基板52の形成が容易となる。
【0224】
−40− 次に、複数のノズル511が形成されたノズル板51を、各ノズル511が各インク室521となる凹部に対応するように位置合わせして接合する。これにより、複数のインク室521、リザーバ523および複数の供給口524が画成される。
【0225】
この接合には、例えば、接着剤による接着等の各種接着方法、各種融着方法等を用いることができる。
【0226】
−50− 次に、インク室基板52を基体56に取り付ける。以上のようにして、インクジェット式記録ヘッド50が得られる。
【0227】
<9.インクジェットプリンタ>
本発明のインクジェット式記録ヘッドを備えた液体吐出装置であるインクジェットプリンタについて説明する。
【0228】
図8は、本実施形態のインクジェットプリンタの実施形態を示す概略図である。なお、以下の説明では、図8中、上側を「上部」、下側を「下部」と言う。
【0229】
図8に示すインクジェットプリンタ60は、装置本体62を備えており、上部後方に記録用紙Pを設置するトレイ621と、下部前方に記録用紙Pを排出する排出口622と、上部面に操作パネル67とが設けられている。
【0230】
操作パネル67は、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、LEDランプ等で構成され、エラーメッセージ等を表示する表示部(図示せず)と、各種スイッチ等で構成される操作部(図示せず)とを備えている。
【0231】
また、装置本体62の内部には、主に、往復動するヘッドユニット63を備える印刷装置(印刷手段)64と、記録用紙Pを1枚ずつ印刷装置64に送り込む給紙装置(給紙手段)65と、印刷装置64および給紙装置65を制御する制御部(制御手段)66とを有している。
【0232】
制御部66の制御により、給紙装置65は、記録用紙Pを一枚ずつ間欠送りする。この記録用紙Pは、ヘッドユニット63の下部近傍を通過する。このとき、ヘッドユニット63が記録用紙Pの送り方向とほぼ直交する方向に往復移動して、記録用紙Pへの印刷が行なわれる。すなわち、ヘッドユニット63の往復動と.記録用紙Pの間欠送りとが、印刷における主走査および副走査となって、インクジェット方式の印刷が行なわれる。
【0233】
印刷装置64は、ヘッドユニット63と、ヘッドユニット63の駆動源となるキャリッジモータ641と、キャリッジモータ641の回転を受けて、ヘッドユニット63を往復動させる往復動機構642とを備えている。
【0234】
ヘッドユニット63は、その下部に、多数のノズル511を備えるインクジェット式記録ヘッド50と、インクジェット式記録ヘッド50にインクを供給するインクカートリッジ631と、インクジェット式記録ヘッド50およびインクカートリッジ631を搭載したキャリッジ632とを有している。
【0235】
なお、インクカートリッジ631として、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラック(黒)の4色のインクを充填したものを用いることにより、フルカラー印刷が可能となる。この場合、ヘッドユニット63には、各色にそれぞれ対応したインクジェット式記録ヘッド50が設けられることになる。
【0236】
往復動機構642は、その両端をフレーム(図示せず)に支持されたキャリッジガイド軸643と、キャリッジガイド軸643と平行に延在するタイミングベルト644とを有している。
【0237】
キャリッジ632は、キャリッジガイド軸643に往復動自在に支持されるとともに、タイミングベルト644の一部に固定されている。
【0238】
キャリッジモータ641の作動により、プーリを介してタイミングベルト644を正逆走行させると、キャリッジガイド軸643に案内されて、ヘッドユニット63が往復動する。そして、この往復動の際に、インクジェット式記録ヘッド50から適宜インクが吐出され、記録用紙Pへの印刷が行われる。
【0239】
給紙装置65は、その駆動源となる給紙モータ651と、給紙モータ651の作動により回転する給紙ローラ652とを有している。
【0240】
給紙ローラ652は、記録用紙Pの送り経路(記録用紙P)を挟んで上下に対向する従動ローラ652aと駆動ローラ652bとで構成され、駆動ローラ652bは給紙モータ651に連結されている。これにより、給紙ローラ652は、トレイ621に設置した多数枚の記録用紙Pを、印刷装置64に向かって1枚ずつ送り込めるようになっている。なお、トレイ621に代えて、記録用紙Pを収容する給紙カセットを着脱自在に装着し得るような構成であってもよい。
【0241】
制御部66は、例えばパーソナルコンピュータやディジタルカメラ等のホストコンピュータから入力された印刷データに基づいて、印刷装置64や給紙装置65等を制御することにより印刷を行うものである。
【0242】
制御部66は、いずれも図示しないが、主に、各部を制御する制御プログラム等を記憶するメモリ、圧電素子(振動源)54を駆動して、インクの吐出タイミングを制御する圧電素子駆動回路、印刷装置64(キャリッジモータ641)を駆動する駆動回路、給紙装置65(給紙モータ651)を駆動する駆動回路、および、ホストコンピュータからの印刷データを入手する通信回路と、これらに電気的に接続され、各部での各種制御を行うCPUとを備えている。
【0243】
また、CPUには、例えば、インクカートリッジ631のインク残量、ヘッドユニット63の位置、温度、湿度等の印刷環境等を検出可能な各種センサが、それぞれ電気的に接続されている。
【0244】
制御部66は、通信回路を介して、印刷データを入手してメモリに格納する。CPUは、この印刷データを処理して、この処理データおよび各種センサからの入力データに基づいて、各駆動回路に駆動信号を出力する。この駆動信号により圧電素子54、印刷装置64および給紙装置65は、それぞれ作動する。これにより、記録用紙Pに印刷が行われる。
【0245】
<10.その他>
以上、本発明の強誘電体デバイス、圧電体デバイス、強誘電体メモリ、電子機器、インクジェット式記録ヘッドおよびインクジェットプリンタについて、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
【0246】
例えば、本発明の強誘電体デバイス、圧電体デバイス、強誘電体メモリ、電子機器、インクジェット式記録ヘッドおよびインクジェットプリンタを構成する各部は、同様の機能を発揮する任意のものと置換、またはその他の構成を追加することもできる。
【0247】
また、例えば、強誘電体デバイス、圧電体デバイス、強誘電体メモリおよびインクジェット式記録ヘッドの製造方法では、それぞれ、任意の工程を追加することもできる。
【0248】
また、前記実施形態のインクジェット式記録ヘッドの構成は、例えば、各種工業用液体吐出装置の液体吐出機構に適用することもできる。この場合、液体吐出装置では、前述したようなインク(イエロー、シアン、マゼンダ、ブラック等のカラー染料インク)の他、例えば、液体吐出機構のノズル(液体吐出口)からの吐出に適当な粘度を有する溶液や液状物質等が使用可能である。
【0249】
【発明の効果】
本発明によれば、結晶配向が所望の向きに揃えられた圧電体膜又は強誘電体膜を備えた圧電体デバイス又は強誘電体デバイスを効率良く製造する方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の強誘電体デバイスであるキャパシタの断面図である。
【図2】本発明の強誘電体デバイスの製造方法を説明するための図である。
【図3】本発明の圧電体デバイス及びこれを用いた液体吐出ヘッドの実施形態を示す断面図である。
【図4】圧電体デバイスの製造方法について説明するための図である。
【図5】本発明の強誘電体メモリの実施形態を模式的に示す平面図である。
【図6】図5中のA−A線断面図である。
【図7】本発明の液体吐出ヘッドであるインクジェット式記録ヘッドの実施形態を示す分解斜視図である。
【図8】本発明の液体吐出装置であるインクジェットプリンタの実施形態を示す概略図である。
【符号の説明】
11…基板、12…バッファ層、13…下部電極、15…アモルファス層、200…キャパシタ、24…強誘電体膜、25…上部電極、40…強誘電体メモリ、41…周辺回路部、411…半導体基板、412…MOSトランジスタ、412a…ゲート絶縁層、412b…ゲート電極、412c…ソース/ドレイン領域、413…素子分離領域、414…第1層間絶縁層、415…第2層間絶縁層、42…メモリセルアレイ、421…バッファ層、422…第1信号電極、423…強誘電体膜、424…第2信号電極、425…第1保護層、426…第2保護層、43…第1配線層、44…第2配線層、451…第1駆動回路、452…第2駆動回路、453…信号検出回路、50…インクジェット式記録ヘッド、51…ノズル板、511…ノズル、52…インク室基板、521…インク室、522…側壁、523…リザーバ、524…供給口、531…連通孔、54…圧電素子、541…上部電極、542…下部電極、543…圧電体膜、55…振動板、56…基体、60…インクジェットプリンタ、62…装置本体、621…トレイ、622…排紙口、63…ヘッドユニット、631…インクカートリッジ、632…キャリッジ、64…印刷装置、641…キャリッジモータ、642…往復動機構、643…キャリッジガイド軸、644…タイミングベルト、65…給紙装置、651…給紙モータ、652…給紙ローラ、652a…従動ローラ、652b…駆動ローラ、66…制御部、67…操作パネル、P…記録用紙[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates to a piezoelectric device having a piezoelectric film or a ferroelectric film and a pair of electrodes disposed to sandwich the film, a ferroelectric device, a liquid ejection head and an electronic apparatus including these devices, and in particular, The present invention relates to a piezoelectric device having a piezoelectric film or a ferroelectric film having excellent orientation.
[0002]
[Prior art]
A piezoelectric film or a ferroelectric film used for a piezoelectric device or a ferroelectric device has a perovskite type crystal structure, and has a chemical formula of ABO 3 Are known. For example, lead (Pb) is known as A, and lead zirconate titanate (PZT) in which a mixture of zirconium (Zr) and titanium (Ti) is applied to B is known.
[0003]
In order to improve the characteristics of the piezoelectric film or the ferroelectric film, various attempts have been made to align the crystal orientation to a desired direction.
[0004]
In the field of oxide superconductors, formation of an in-plane alignment film by an ion beam assist method has been proposed (JP-A-6-145977).
[0005]
[Patent Document 1]
JP-A-6-145977
[0006]
[Problems to be solved by the invention]
However, it has been difficult to efficiently obtain a piezoelectric film or a ferroelectric film in which the crystal orientation is aligned in a desired direction.
[0007]
An object of the present invention is to provide a method for efficiently manufacturing a piezoelectric device or a ferroelectric device provided with a piezoelectric film or a ferroelectric film whose crystal orientation is aligned in a desired direction.
[0008]
[Means for Solving the Problems]
The method of manufacturing a piezoelectric device according to the present invention includes the steps of forming a lower electrode on a substrate, forming a piezoelectric film on the lower electrode, and forming an upper electrode on the piezoelectric film. Wherein the step of forming the piezoelectric film includes the step of forming a first layer by an ion beam assist method, and the step of stopping the ion beam assist and continuing the deposition to form a second layer. Forming a layer.
[0009]
Another method of manufacturing a piezoelectric device according to the present invention includes forming a lower electrode on a substrate, forming a piezoelectric film on the lower electrode, and forming an upper electrode on the piezoelectric film. Wherein the step of forming the lower electrode includes the step of forming a first layer by an ion beam assist method, and the step of stopping the ion beam assist to continue deposition. Forming two layers. In this manufacturing method, it is preferable that the piezoelectric film is formed by epitaxial growth on the lower electrode.
[0010]
Another method for manufacturing a piezoelectric device according to the present invention includes a step of forming an intermediate film functioning as a buffer layer or a diaphragm on a substrate; a step of forming a lower electrode on the intermediate film; A method of manufacturing a piezoelectric device, comprising: forming a piezoelectric film; and forming an upper electrode on the piezoelectric film, wherein the step of forming the intermediate film is performed by an ion beam assist method. A step of forming a first layer having an inner orientation; and a step of stopping ion beam assist and continuing deposition to form a second layer. In this manufacturing method, it is preferable that the lower electrode and the piezoelectric film are sequentially formed on the intermediate film by epitaxial growth.
[0011]
In the above manufacturing method, a combination of the step of forming the first layer and the step of forming the second layer may be repeated a plurality of times.
[0012]
A method of manufacturing a liquid discharge head according to the present invention includes a step of forming a piezoelectric device by the manufacturing method according to any one of
[0013]
According to a second aspect of the invention, there is provided a method of manufacturing a liquid ejection apparatus, wherein a liquid ejection head formed by the above-described method is used.
[0014]
The method of manufacturing a ferroelectric device according to the present invention includes a step of forming a lower electrode on a substrate, a step of forming a ferroelectric film on the lower electrode, and a step of forming an upper electrode on the ferroelectric film. And forming a ferroelectric film, wherein the step of forming the ferroelectric film includes the steps of: forming a first layer having an in-plane orientation by an ion beam assist method; Stopping and continuing the deposition to form the second layer.
[0015]
Another method for manufacturing a ferroelectric device according to the present invention includes a step of forming a lower electrode on a substrate, a step of forming a ferroelectric film on the lower electrode, and a step of forming an upper electrode on the ferroelectric film. Forming a lower electrode, wherein the step of forming the lower electrode includes the steps of: forming a first layer having an in-plane orientation by an ion beam assist method; Stopping and continuing the deposition to form the second layer.
[0016]
A method for manufacturing a ferroelectric device according to the present invention includes a step of forming an intermediate film functioning as a buffer layer on a substrate, a step of forming a lower electrode on the intermediate film, and a step of forming a ferroelectric film on the lower electrode. Forming a top electrode and forming an upper electrode on the ferroelectric film, wherein the step of forming the intermediate film is performed by an in-plane ion beam assist method. Forming a first layer having an orientation; and stopping ion beam assist and continuing deposition to form a second layer.
[0017]
According to a method of manufacturing a ferroelectric memory of the present invention, a step of forming a ferroelectric device by the above manufacturing method is electrically connected to a drive circuit that selectively applies a signal voltage to the ferroelectric device. And a step of performing.
[0018]
According to another aspect of the invention, there is provided a method of manufacturing an electronic apparatus, wherein a ferroelectric device formed by the above-described method is used.
[0019]
The piezoelectric device of the present invention is a piezoelectric device in which a lower electrode, a piezoelectric film, and an upper electrode are formed on a substrate, wherein the piezoelectric film is formed on an in-plane formed by an ion beam assist method. It has a first layer of orientation and a second layer formed by stopping ion beam assist and continuing deposition.
[0020]
Another piezoelectric device of the present invention is a piezoelectric device in which a lower electrode, a piezoelectric film, and an upper electrode are formed on a substrate, wherein the lower electrode has a surface formed by an ion beam assist method. It has a first layer with inward orientation and a second layer formed by stopping ion beam assist and continuing deposition.
[0021]
Another piezoelectric device of the present invention is a piezoelectric device in which an intermediate film functioning as a buffer layer or a diaphragm, a lower electrode, a piezoelectric film, and an upper electrode are formed on a substrate, wherein the intermediate film is A first layer having an in-plane orientation formed by an ion beam assist method, and a second layer formed by stopping the ion beam assist and continuing the deposition.
[0022]
According to another aspect of the invention, there is provided a liquid ejection head including the above-described piezoelectric device, wherein a cavity whose inner volume is changed by deformation of the piezoelectric film is formed in the substrate.
[0023]
A liquid ejection device according to the present invention includes the above liquid ejection head.
[0024]
The ferroelectric device of the present invention is a ferroelectric device in which a lower electrode, a ferroelectric film and an upper electrode are formed on a substrate, wherein the ferroelectric film is formed by an ion beam assist method. And a second layer formed by stopping ion beam assist and continuing deposition.
[0025]
Another ferroelectric device of the present invention is a ferroelectric device in which a lower electrode, a ferroelectric film and an upper electrode are formed on a substrate, wherein the lower electrode is formed by an ion beam assist method. And a second layer formed by stopping ion beam assist and continuing deposition.
[0026]
Another ferroelectric device of the present invention is a ferroelectric device in which an intermediate film functioning as a buffer layer, a lower electrode, a ferroelectric film and an upper electrode are formed on a substrate, wherein the intermediate film is A first layer having an in-plane orientation formed by an ion beam assist method, and a second layer formed by stopping the ion beam assist and continuing the deposition.
[0027]
The ferroelectric memory of the present invention includes: a ferroelectric device manufactured by the above manufacturing method; and a drive circuit electrically connected to the ferroelectric device and selectively applying a signal voltage. Have.
[0028]
An electronic apparatus according to another aspect of the invention includes a ferroelectric device formed by the above manufacturing method.
[0029]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
<1. Configuration of Ferroelectric Device>
FIG. 1 is a sectional view of a capacitor which is a ferroelectric device of the present invention.
[0030]
The
[0031]
The ferroelectric device of this embodiment is further classified into three types of embodiments. In the first embodiment, the
[0032]
The
[0033]
In the ferroelectric devices according to these three embodiments, the second layer deposited by stopping the ion beam assist is crystal-grown under the influence of the in-plane oriented first layer, so that a layer having good orientation is obtained. It becomes. Therefore, a film with good orientation can be formed while suppressing energy consumed for generating an ion beam. In addition, when the deposition is performed with the ion beam assist stopped, the thin film being deposited is not etched by the ion beam. Therefore, these embodiments have an advantage that the deposition speed is high.
[0034]
<1-1. Substrate>
The
[0035]
As the
[0036]
The
[0037]
Such an
[0038]
Further, the
[0039]
These Si substrates, SOI substrates, various resin substrates, various glass substrates, etc. are all general-purpose substrates. Therefore, by using these substrates as the
[0040]
The average thickness of the
[0041]
<1-2. Buffer layer>
The
[0042]
By providing the
[0043]
The composition of such a
[0044]
As the fluorite structure compound, in particular, in the first embodiment including the layer of the in-plane orientation by the ion beam assist method, CeO is used. 2 , ZrO 2 , HfO 2 And their solid solutions are preferred. Such a metal oxide having a fluorite structure has particularly small lattice mismatch with a metal oxide having a perovskite structure.
[0045]
As the NaCl structure compound, in the first embodiment including the layer of the in-plane alignment film by the ion beam assist method, particularly, MgO, CaO, SrO, BaO, NiO, and a solid solution thereof are preferable. Such a metal oxide having a NaCl structure has particularly small lattice mismatch with a metal oxide having a perovskite structure.
[0046]
The
[0047]
From such a viewpoint, the
[0048]
In addition, by reducing the average thickness of the
[0049]
<1-3. Lower electrode>
A
[0050]
The composition of the
[0051]
As a metal oxide having a perovskite structure, for example, CaRuO 3 , SrRuO 3 , BaRuO 3 , SrVO 3 , (La, Sr) MnO 3 , (La, Sr) CrO 3 , (La, Sr) CoO 3 , LaNiO x , YBa 2 Cu 3 O x Alternatively, a solid solution containing these may be used. These metal oxides having a perovskite structure are excellent in conductivity and chemical stability. For this reason, the
[0052]
The
[0053]
The average thickness of the
[0054]
In the first embodiment in which the
[0055]
Further, in the second embodiment including the
[0056]
<1-4. Ferroelectric film>
On this
[0057]
The first embodiment in which the
[0058]
In the third embodiment, the
[0059]
Therefore, in any of the first to third embodiments, the
[0060]
The
[0061]
As a ferroelectric material having this perovskite structure, for example, Pb (Zr, Ti) O 3 (PZT), (Pb, La) (Zr, Ti) O 3 (PLZT), (Ba, Sr) TiO 3 (BST), BaTiO 3 , KNbO 3 , Pb (Zn, Nb) O 3 (PZN), Pb (Mg, Nb) O 3 (PMN), PbFeO 3 , PbWO 3 Metal oxide having a perovskite structure such as SrBi 2 (Ta, Nb) 2 O 9 , (Bi, La) 4 Ti 3 O 12 And a solid solution containing these (PMN-PT, PZN-PT, etc.). In the third embodiment in which the
[0062]
In the first and second embodiments, the
[0063]
The average thickness of the
[0064]
<1-5. Upper electrode>
On the
[0065]
As a constituent material of the
[0066]
The average thickness of the
[0067]
<2. Manufacturing method of ferroelectric device>
Next, a method of manufacturing the
[0068]
The method of manufacturing the
[0069]
First, the
[0070]
[1A] Buffer layer forming step
First, the
[0071]
First, the
[0072]
In the vacuum device, a first target (buffer layer target) containing the constituent element of the
[0073]
Next, when the first target is irradiated with, for example, laser light, atoms including oxygen atoms and metal atoms are bombarded from the first target, and a plume is generated. In other words, this plume is irradiated toward the
[0074]
At about the same time, the surface of the
[0075]
As a result, the first layer of the
[0076]
Next, the irradiation of the ion beam (ion beam assist) is stopped for a certain time while the irradiation of the laser beam (generation of the plume) on the first target is continued. Thus, the second layer of the
[0077]
After stopping the irradiation of the ion beam, the irradiation of the ion beam may be restarted, or the restart and the stop of the irradiation of the ion beam may be repeated a plurality of times.
[0078]
In addition, as a method of hitting the atoms from the first target, in addition to a method of irradiating the first target surface with a laser beam, for example, an argon gas (inert gas) plasma, an electron beam, or the like is applied to the first target surface. (Incident).
[0079]
Among these, as a method of knocking out the atoms from the first target, a method of irradiating a laser beam to the surface of the first target is particularly preferable. According to this method, atoms can be easily and reliably ejected from the first target by using a vacuum device having a simple configuration provided with an entrance window for laser light.
[0080]
The laser light is preferably a pulse light having a wavelength of about 150 to 300 nm and a pulse length of about 1 to 100 ns. Specifically, as the laser light, for example, an excimer laser such as an ArF excimer laser, a KrF excimer laser, a XeCl excimer laser, a YAG laser, a YVO laser 4 Laser, CO 2 Laser and the like. Among these, an ArF excimer laser or a KrF excimer laser is particularly preferable as the laser light. Both the ArF excimer laser and the KrF excimer laser are easy to handle and can more efficiently strike out atoms from the first target.
[0081]
On the other hand, the ion beam applied to the surface of the
[0082]
As the ion source of the ion beam, for example, a Kauffman ion source is preferably used. By using this ion source, an ion beam can be generated relatively easily.
[0083]
The irradiation angle of the ion beam with respect to the normal direction of the surface of the amorphous layer 15 (the predetermined angle) is not particularly limited, but is preferably about 35 to 65 °. In particular, when the
[0084]
Each condition in the formation of such a
[0085]
The frequency of the laser light is preferably set to 30 Hz or less, more preferably 15 Hz or less.
[0086]
The energy density of the laser beam is 0.5 J / cm 2 More preferably, it is 2 J / cm 2 It is more preferable to make the above.
[0087]
The ion beam acceleration voltage is preferably about 100 to 300 V, more preferably about 150 to 250 V.
[0088]
The irradiation amount of the ion beam is preferably about 1 to 30 mA, more preferably about 5 to 15 mA.
[0089]
The temperature of the
[0090]
The distance between the
[0091]
The pressure in the vacuum device is 133 × 10 -1 Pa (1 × 10 -1 Torr) or less, preferably 133 × 10 -3 Pa (1 × 10 -3 (Torr) or less.
[0092]
In the atmosphere in the vacuum apparatus, the mixing ratio of the inert gas and oxygen is preferably about 300: 1 to 10: 1 by volume, and more preferably about 150: 1 to 50: 1.
[0093]
When each condition in the formation of the
[0094]
At this time, the average thickness of the
[0095]
According to such a method of forming the
[0096]
As described above, the
[0097]
[2A] Lower electrode forming step
Next, the
[0098]
First, similarly to the method of forming the
[0099]
Subsequent to the step [1A], the
[0100]
This plume is preferably generated by irradiating the surface of the second target with a laser beam in the same manner as in the step [1A] to strike out atoms including various metal atoms from the second target.
[0101]
Such a laser beam is preferably an ArF excimer laser or a KrF excimer laser, as in the step [1A].
[0102]
In particular, in the second embodiment in which the
[0103]
Further, each condition in forming the
[0104]
The frequency of the laser light is preferably about 30 Hz or less, and more preferably about 15 Hz or less.
[0105]
The energy density of the laser beam is 0.5 J / cm 2 More preferably, it is 2 J / cm 2 It is more preferable to make the above.
[0106]
In the case of including the step of concurrently using ion beam irradiation, the temperature of the
[0107]
The distance between the
[0108]
In the case where the step including the simultaneous use of ion beam irradiation is included, the pressure in the vacuum device is 133 × 10 -1 Pa (1 × 10 -1 Torr) or less, preferably 133 × 10 -3 Pa (1 × 10 -3 (Torr) or less. In this case, the atmosphere in the vacuum device preferably has a mixing ratio of inert gas and oxygen of about 300: 1 to 10: 1 by volume, and about 150: 1 to 50: 1. Is more preferred.
[0109]
When each condition in forming the
[0110]
At this time, by appropriately setting the irradiation time of the laser beam, the average thickness of the
[0111]
In particular, in the first embodiment in which the
[0112]
Further, in particular, in the third embodiment in which the
[0113]
As described above, the
[0114]
[3A] Ferroelectric film forming step
Next, a
[0115]
First, similarly to the method of forming the
[0116]
Subsequent to the step [2A], the
[0117]
This plume can be generated by irradiating the surface of the third target with a laser beam in the same manner as in the step [1A] to strike out atoms including oxygen atoms and various metal atoms from the third target. preferable.
[0118]
Such a laser beam is preferably an ArF excimer laser or a KrF excimer laser, as in the step [1A].
[0119]
In particular, in the third embodiment including the in-plane orientation layer by the ion beam assist method as the
[0120]
Each condition in the formation of the
[0121]
The frequency of the laser light is preferably set to 30 Hz or less, more preferably 15 Hz or less.
[0122]
The energy density of the laser beam is 0.5 J / cm 2 More preferably, it is 2 J / cm 2 It is more preferable to make the above.
[0123]
In the case of including the step of concurrently using ion beam irradiation, the temperature of the
[0124]
The distance between the
[0125]
In the case where the step including the simultaneous use of ion beam irradiation is included, the pressure in the vacuum device is 133 × 10 -1 Pa (1 × 10 -1 Torr) or less, preferably 133 × 10 -3 Pa (1 × 10 -3 (Torr) or less. In this case, the atmosphere in the vacuum device preferably has a mixing ratio of inert gas and oxygen of about 300: 1 to 10: 1 by volume, and about 150: 1 to 50: 1. Is more preferred.
[0126]
When each condition in forming the
[0127]
At this time, by appropriately setting the irradiation time of the laser light, the average thickness of the
[0128]
In particular, in the first embodiment in which the
[0129]
As described above, the
[0130]
[4A] Removal process of lower electrode
Next, a part of the
[0131]
First, a resist layer is formed on the
[0132]
Next, an etching process (for example, a wet etching process, a dry etching process, or the like) is performed on the
[0133]
Next, the resist layer is removed. Thereby, a part (left side in FIG. 1) of the
[0134]
[5A] Step of forming upper electrode
Next, an
[0135]
First, a mask layer having a desired pattern shape is formed on the
[0136]
Next, a material for the
[0137]
Next, the mask layer is removed.
[0138]
As described above, the
[0139]
Through the steps [1A] to [5A] as described above, the
[0140]
<3. Configuration of Piezoelectric Device>
FIG. 3 is a sectional view showing an embodiment of the piezoelectric device of the present invention and a liquid ejection head using the same.
[0141]
The
[0142]
The piezoelectric device of the present embodiment is further classified into three types of embodiments. In the first embodiment, the
[0143]
The
[0144]
In the piezoelectric device according to these three embodiments, the second layer deposited by stopping the ion beam assist is crystal-grown under the influence of the in-plane oriented first layer. Become. Therefore, a film with good orientation can be formed while suppressing energy consumed for generating an ion beam. In addition, when the deposition is performed with the ion beam assist stopped, the thin film being deposited is not etched by the ion beam. Therefore, these embodiments have an advantage that the deposition speed is high.
[0145]
As the composition of the
[0146]
The
[0147]
In the second embodiment including the
[0148]
Note that when the
[0149]
The
[0150]
As the ferroelectric material having the perovskite structure, the same materials as those described for the
[0151]
The average thickness of the
[0152]
As described above, the first embodiment in which the
[0153]
Further, in the third embodiment, the
[0154]
An
[0155]
<4. Manufacturing method of piezoelectric device>
Next, a method for manufacturing a piezoelectric device will be described with reference to FIG.
[0156]
The method of manufacturing the
[0157]
[1C] Vibration plate forming step
This is performed in the same manner as in the buffer layer in the step [1A]. As in the case of the
[0158]
[2C] Lower electrode forming step
Performed in the same manner as in the step [2A]. Similarly to the
[0159]
[3C] Step of forming piezoelectric film
Next, a
[0160]
[4C] Upper electrode forming step
Next, as shown in FIG. 4 [4C], an
[0161]
[5C] Patterning step
As shown in FIG. 4 [5C], the piezoelectric
[0162]
The
[0163]
<5. Configuration of Ferroelectric Memory>
Next, a ferroelectric memory including the ferroelectric device of the present invention as a capacitor will be described.
[0164]
FIG. 5 is a plan view schematically showing an embodiment of the ferroelectric memory of the present invention, and FIG. 6 is an enlarged view of a part of a cross section taken along line AA in FIG. Note that, in FIG. 5, in order to avoid complication, a hatched portion indicating a cross section is partially omitted.
[0165]
As shown in FIG. 6, the
[0166]
In the
[0167]
A
[0168]
Further, a first
[0169]
Further, a second
[0170]
The
[0171]
As shown in FIG. 5, the
[0172]
The
[0173]
Each
[0174]
A first
[0175]
On the second
[0176]
The
[0177]
In the present embodiment, the
[0178]
According to the
[0179]
An example of a write / read operation in such a
[0180]
First, in the read operation, a read voltage “Vo” is applied to the selected unit capacitor. This also serves as a write operation of “0” at the same time. At this time, the current flowing through the selected bit line or the potential when the bit line is set to high impedance is read by the sense amplifier.
[0181]
At this time, a predetermined voltage is applied to unselected unit capacitors in order to prevent crosstalk at the time of reading.
[0182]
On the other hand, in the write operation, in the case of writing “1”, a voltage of “−Vo” is applied to the selected unit capacitor. In the case of writing “0”, a voltage that does not invert the polarization of the selected unit capacitor is applied to the selected unit capacitor, and the “0” state written during the read operation is maintained.
[0183]
At this time, a predetermined voltage is applied to unselected unit capacitors in order to prevent crosstalk during writing.
[0184]
<6. Manufacturing Method of Ferroelectric Memory>
Next, an example of a method for manufacturing the
[0185]
The above-described
[0186]
-1- First, the
[0187]
Specifically, a
[0188]
-2- Next, after forming the first
[0189]
-3- Next, a second
[0190]
As described above, the
[0191]
-4- Next, the
[0192]
Next, a first
[0193]
-6- Next, a second
[0194]
As described above, the
[0195]
Such a
[0196]
<7. Configuration of inkjet recording head>
An ink jet recording head, which is a liquid ejection head including the piezoelectric device of the present invention, will be described.
[0197]
FIG. 7 is an exploded perspective view showing an embodiment of the ink jet recording head of the present embodiment. FIG. 3 described above is a cross-sectional view showing a configuration of a main part of the ink jet recording head shown in FIG. Note that FIG. 7 is shown upside down from the state of normal use.
[0198]
An ink jet recording head 50 (hereinafter, simply referred to as “
[0199]
The
[0200]
An
[0201]
Each of these
[0202]
As a base material for obtaining the
[0203]
Among them, it is preferable to use a (110) -oriented silicon single crystal substrate as a base material. Since the (110) oriented silicon single crystal substrate is suitable for anisotropic etching, the
[0204]
The average thickness of the
[0205]
Further, the volume of the
[0206]
On the other hand, a
[0207]
Further, a
[0208]
Each of the
[0209]
Each of the
[0210]
The
[0211]
Such a
[0212]
On the other hand, when a predetermined ejection signal is input via the piezoelectric element driving circuit, that is, when a constant voltage is applied between the
[0213]
When one ink ejection is completed, the piezoelectric element driving circuit stops applying a voltage between the
[0214]
In this manner, in the
[0215]
<8. Manufacturing method of inkjet recording head>
Next, an example of a method for manufacturing the
[0216]
-10- First, the base material to be the
[0219]
For this joining, for example, a method of performing a heat treatment in a state where the base material and the
[0218]
The heat treatment conditions are not particularly limited, but are preferably about 100 to 600 ° C. × 1 to 24 hours, and more preferably about 300 to 600 ° C. × 6 to 12 hours. In addition, you may use other various bonding methods, various fusion methods, etc. for joining.
[0219]
Next, the
[0220]
-30- Next, a concave portion serving as the
[0221]
Specifically, after forming a mask layer in accordance with the positions where the
[0222]
As a result, the base material is shaved (removed) to such an extent that the
[0223]
When a (110) -oriented silicon substrate is used as the base material, the base material is easily anisotropically etched by using the above-described high-concentration alkaline aqueous solution. It will be easier.
[0224]
Next, the
[0225]
For this bonding, for example, various bonding methods such as bonding with an adhesive, various fusion methods, and the like can be used.
[0226]
Next, the
[0227]
<9. Inkjet printer>
An ink jet printer, which is a liquid ejection device including the ink jet recording head of the present invention, will be described.
[0228]
FIG. 8 is a schematic diagram showing an embodiment of the ink jet printer of the present embodiment. In the following description, the upper side in FIG. 8 is referred to as “upper”, and the lower side is referred to as “lower”.
[0229]
The
[0230]
The
[0231]
Further, inside the apparatus
[0232]
Under the control of the
[0233]
The
[0234]
The
[0235]
Note that full-color printing can be performed by using an
[0236]
The
[0237]
The
[0238]
When the
[0239]
The
[0240]
The
[0241]
The
[0242]
Although not shown, the
[0243]
In addition, various sensors capable of detecting a printing environment such as a remaining amount of ink in the
[0244]
The
[0245]
<10. Others>
As described above, the ferroelectric device, the piezoelectric device, the ferroelectric memory, the electronic apparatus, the ink jet recording head, and the ink jet printer according to the present invention have been described based on the illustrated embodiments, but the present invention is not limited thereto. Not something.
[0246]
For example, each part constituting the ferroelectric device, piezoelectric device, ferroelectric memory, electronic equipment, ink jet recording head and ink jet printer of the present invention is replaced with any one exhibiting the same function, or other Configurations can be added.
[0247]
In addition, for example, in a method of manufacturing a ferroelectric device, a piezoelectric device, a ferroelectric memory, and an ink jet recording head, an arbitrary process can be added.
[0248]
Further, the configuration of the ink jet recording head according to the above embodiment can be applied to, for example, a liquid ejection mechanism of various industrial liquid ejection devices. In this case, in the liquid ejection apparatus, for example, in addition to the above-described inks (color dye inks such as yellow, cyan, magenta, and black), for example, a viscosity appropriate for ejection from a nozzle (liquid ejection port) of a liquid ejection mechanism is used. Solutions, liquid substances, etc. can be used.
[0249]
【The invention's effect】
According to the present invention, it is possible to provide a method for efficiently manufacturing a piezoelectric device or a ferroelectric device provided with a piezoelectric film or a ferroelectric film whose crystal orientation is aligned in a desired direction.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a sectional view of a capacitor which is a ferroelectric device of the present invention.
FIG. 2 is a diagram illustrating a method of manufacturing a ferroelectric device according to the present invention.
FIG. 3 is a cross-sectional view showing an embodiment of the piezoelectric device of the present invention and a liquid ejection head using the same.
FIG. 4 is a diagram for explaining a method for manufacturing a piezoelectric device.
FIG. 5 is a plan view schematically showing an embodiment of the ferroelectric memory of the present invention.
FIG. 6 is a sectional view taken along line AA in FIG.
FIG. 7 is an exploded perspective view showing an embodiment of an ink jet recording head which is a liquid ejection head of the present invention.
FIG. 8 is a schematic diagram showing an embodiment of an ink jet printer which is a liquid ejection device of the present invention.
[Explanation of symbols]
DESCRIPTION OF
Claims (23)
前記第1層を形成する工程と前記第2層を形成する工程の組合せを複数回繰り返す、圧電体デバイスの製造方法。In any one of claims 1 to 5,
A method for manufacturing a piezoelectric device, wherein a combination of the step of forming the first layer and the step of forming the second layer is repeated a plurality of times.
前記圧電体デバイスの前記圧電体膜の変形によって内容積が変化するキャビティを、前記圧電体デバイスの前記基板に形成する工程と、
を備えた液体吐出ヘッドの製造方法。Forming a piezoelectric device by the manufacturing method according to any one of claims 1 to 6,
Forming a cavity whose internal volume changes due to deformation of the piezoelectric film of the piezoelectric device in the substrate of the piezoelectric device,
The manufacturing method of the liquid discharge head provided with.
前記強誘電体デバイスに対して選択的に信号電圧を印加する駆動回路を電気的に接続する工程と、を備えた、強誘電体メモリの製造方法。Forming a ferroelectric device by the manufacturing method according to any one of claims 9 to 11,
Electrically connecting a drive circuit for selectively applying a signal voltage to the ferroelectric device.
前記強誘電体デバイスに対して電気的に接続され、選択的に信号電圧を印加する駆動回路と、を備えた、強誘電体メモリ。A ferroelectric device manufactured by the manufacturing method according to any one of claims 19 to 21,
A drive circuit electrically connected to the ferroelectric device and selectively applying a signal voltage.
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