JP2004163154A - 波長計測装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】FBGの反射中心波長に対する波長測定出力の直線性が改善され、従来よりも測定分解能ならびに検出精度を向上させることができるような波長計測装置を提供する。
【解決手段】FBG4からの反射光の波長計測前の準備処理として、あるFBG4からの反射光に対する計測値、および、モニタ用の光に対するモニタ値を用いて係数を予め求めておき、所定のFBG4の波長計測処理として、係数を用いて誤差成分を除去した第1,第2の真値を求め、これら第1の真値と第2の真値とによる比の対数に基づいて反射光の波長を測定する波長計測装置とした。
【選択図】 図1
【解決手段】FBG4からの反射光の波長計測前の準備処理として、あるFBG4からの反射光に対する計測値、および、モニタ用の光に対するモニタ値を用いて係数を予め求めておき、所定のFBG4の波長計測処理として、係数を用いて誤差成分を除去した第1,第2の真値を求め、これら第1の真値と第2の真値とによる比の対数に基づいて反射光の波長を測定する波長計測装置とした。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、測定点における温度や歪(圧力)などの物理量を測定するために、測定点に形成された光ファイバのブラッグ回折格子(以下、Fiber Bragg Gratinngの頭文字をとりFBGという)からの反射光の波長を計測する波長計測装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の発明として、本出願人による特開2000−180270号公報に記載された物理量測定システム(以下、従来技術という)が知られている。
上記従来技術は、測定光が入射される光ファイバに一以上のFBGが形成され、各FBGからの反射光の波長を検出して各FBGの位置における温度等の物理量を測定するシステムにおいて、各FBGからの反射光を、中心波長が微小な間隔の複数波長に分離可能なアレイ導波路回折格子(以下、Arreyed Wave Guideの頭文字をとりAWGと略す)に入射させ、このAWGの複数の出力チャンネルにそれぞれ設けられた一対の受光素子による光電流の比の対数に基づいて前記反射光の波長を測定するものである。
【0003】
この従来技術では、論文「Wavelength determination of semiconductor lasers: precise but inexpensive」(Jan Christian Braasch et.al, Optical Engineering 1995)に記載された波長の決定原理を利用している。
上述した文献によれば、図3のグラフに示したような波長感度の異なる一対のフォトダイオード(電極A1−C間に形成されるダイオードをダイオードA1C、電極A2−C間に形成されるダイオードをダイオードA2Cとする)と高精度ロングアンプからなるセンサに単色光を照射した場合、センサの出力Wは数式1によって表される。
【0004】
【数1】
【0005】
ここで、I1,I2は各ダイオードA1C,A2Cによる光電流、S1(λ),S2(λ)は各ダイオードA1C,A2Cの波長依存感度、φ(λ)は照射光の波長依存強度分布、Δλは照射光波長の半値全幅である。
すなわち、φ(λ)の波長依存強度分布を持つ照射光がS1(λ),S2(λ)の波長依存感度を持つフォトダイオードA1C,A2Cに入射した場合、光センサの出力Wは、各ダイオードA1C,A2Cについての積φ(λ)S1(λ),φ(λ)S2(λ)を半値全幅Δλにわたって積分した値(つまり光電流I1,I2)の比のlogを取ることで求められる。
そして、照射光の出力が所定の範囲内では、照射光の波長ごとに、log(I1/I2)がほぼ一定になり、そのときの照射光波長は数式2で表されることが記載されている。
【0006】
【数2】
【0007】
なお、図4は上記原理に基づく波長測定システムの構成図であり、31はレーザ光源、32は回転式偏光プリズム、33はビームスプリッタ、34は前述の一対のフォトダイオードA1C,A2Cからなるダイオード装置、35は光出力測定器、36は上記数式1、数式2を演算する演算器である。
【0008】
更に、上記文献によれば、各ダイオードの波長感度がほぼ直線的であるような波長範囲(例えば、図3における約600〜約900nm間の300nmの範囲)では、0.1nm以下の間隔で波長測定が可能である。つまり、分解能としては1/3000となる。
【0009】
従来技術として挙げた前記物理量測定システムでは、前述した数式1、数式2による波長測定原理を基本としたうえ、この測定原理を微小な波長範囲(例えば3nm以下の範囲)について適用するために、アレイ導波路格子(AWG)を使用している。
このAWGは、論文「Wavelength Multiplexer Based on SiO2−Ta205 Arrayed−Waveguide Grating (Takahasi, et.al, Journal of Lightwave Technology Vol.12, No.6, 1994)」等に記載されているように、所定の曲率半径のアレイ導波路と、その入力側、出力側にそれぞれ形成されたスラブ導波路と、これらのスラブ導波路にそれぞれ連続する複数チャンネルの入力導波路及び出力導波路とを有する構造であり、入力光を1nm以下の分解能で弁別可能な素子である。
【0010】
従来技術では、図5に示すごとく、光ファイバ3の長手方向に形成された複数のFBG4に対し、それぞれ重複しないように微小な反射光波長範囲を割り当てておき(一例として、第1のFBGには1500〜1503nm、第2のFBGには1503nm〜1506nm、第3のFBGには1506〜1509nm、・・・等)、光源1から光分岐器2、光コネクタ5を経た出射光のFBG4からの反射光をAWG6に入力することにより、中心波長が例えば1nm以下の間隔の複数の波長に分離する。
そして、AWG6の隣接する二つの出力導波路(計測用出力チャンネル)から一対のプリアンプ付きフォトダイオード7に光を入射させることにより、微小な波長範囲について前述した数式1、数式2を適用し、高分解能で波長を検出可能としている。
【0011】
すなわち、従来技術によれば、各FBG4の位置における温度や歪み等の物理量に対応する波長を検出することができ、これによって温度分布や圧力分布を計測することが可能になっている。
なお、図5において8は一対のフォトダイオード7の光電流(前述のI1,I2に相当)を除算する割算器、9’は波長検出器、10は波長計測のための演算を行うマイクロコンピュータである。割算器8からの出力は、数式2のI1/I2に相当する。さらに、マイクロコンピュータ10で数式2の演算を行って、波長を算出し、その波長からどの位置にあるFBGにおいて物理量が変化したか、つまり物理量の変化位置を測定する。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
図6は、上記従来技術におけるFBG4の反射率及びAWG6の透過率のスペクトルを示す図である。従来技術では、一対のプリアンプ付きフォトダイオード7ごとに割算器8により光電流の比演算を行い、その出力の対数を計算して波長測定出力ρ(λbj)を求めていた。ここで、j=1,2,3,・・・,Nであり、NはFBGの数である。
【0013】
すなわち、各FBGには前述のごとくその反射波長を測定するためのAWGの出力チャンネル対(プリアンプ付きフォトダイオード7の対)を予め定めてあり、他のFBGの反射帯域の影響を受けないように設計されている。例えば、図6に示すようにFBGjの反射帯域はAWGのチャンネルi及びチャンネル(i+1)の透過帯域のみにラップしてチャンネル(i+2)の透過帯域にはラップせず、また、FBGj+1の反射帯域はAWGのチャンネル(i+2)及びチャンネル(i+3)の透過帯域のみにラップしてチャンネル(i+1)の透過帯域にはラップしないようになっている。
【0014】
このような条件で、j番目のFBGの波長測定出力ρ(λbj)を以下に求めてみる。光ファイバの光損失及び後方散乱は無視できるものとすると、一対のプリアンプ付きフォトダイオード7のうち一方のフォトダイオードの出力P(λbj)は、数式3によって表される。
【0015】
【数3】
【0016】
また、他方のフォトダイオードの出力P(λbj)は、数式3におけるiをi+1に変えた式となる。
従って、これらの式の比の対数をとると、数式4を得る。
【0017】
【数4】
【0018】
ただし、数式3,数式4におけるεは、数式5の通りである。
【0019】
【数5】
【0020】
また、数式3〜数式5における各値は以下の通りである。このうちの一部は図6にも示してある。
K:定数
a:AWGのピーク透過率
b:FBGのピーク反射率
a0:AWGの不要なノイズ光となるバイアス透過率
b0:FBGの不要なノイズ光となるバイアス反射率
Δλa:AWGの半値全幅
Δλb:FBGの半値全幅
Δλs:光源の半値全幅
λbj:FBGの反射中心波長
λj:AWGのチャンネルiの透過中心波長
λj+1:AWGのチャンネル(i+1)の透過中心波長
【0021】
前述した数式4の特性を図示すると図7のようになる。つまり、FBGの反射中心波長λbjに対する波長測定出力ρ(λbj)の特性が一部非直線状になっていて測定分解能が悪く、波長検出精度を低下させる原因となっていた。
これは、数式4において、AWGの不要なノイズ光となるバイアス透過aoやFBGの不要なノイズ光となるバイアス反射率bo等により、εがゼロにならず誤差成分として作用するためである。
そこで本発明は、上記誤差成分εに起因する波長測定出力ρ(λbj)の非直線性を改善し、測定分解能及び検出精度を向上させるようにした波長計測装置を提供しようとするものである。
【0022】
【課題を解決するための手段】
上記問題を解決するため、請求項1記載の発明に係る波長計測装置によれば、測定光が入射される光ファイバに一以上のFBGが形成され、各FBGからの反射光の波長を検出して各FBGの位置における物理量を測定するシステムであって、FBGからの反射光を、中心波長が微小な間隔の複数波長に分離可能なAWGに入射させるとともに、このAWGの複数の計測用出力チャンネルにそれぞれ接続された計測用受光素子を一対ごとにFBGに対応させて、一対の計測用受光素子の計測値を用いて反射光の波長を計測するようにした波長計測装置において、
前記AWGの複数対の計測用出力チャンネルとは別個に設けられた一対のモニタ用出力チャンネルにそれぞれ接続され、モニタ値を出力する一対のモニタ用受光素子を備え、
FBGからの反射光の波長計測前の準備処理として、
あるFBGからの反射光に対する計測値、および、モニタ用の光に対するモニタ値を用いて係数を予め求めておき、
所定のFBGの波長計測処理として、
係数を用いて誤差成分を除去した第1,第2の真値を求め、これら第1の真値と第2の真値とによる比の対数に基づいて反射光の波長を測定することを特徴とする。
【0023】
また、請求項2記載の発明に係る波長計測装置によれば、
請求項1記載の波長計測装置において、
一対の計測用出力チャンネルは第1,第2の計測値を出力するものと、また、一対のモニタ用出力チャンネルは第1,第2のモニタ値を出力値として出力するものとし、
FBGからの反射光の波長計測前の準備処理として、
第1の計測値と第1のモニタ値との差分値(以下、第1の補正用差分値という。)、第2の計測値と第1のモニタ値との差分値(以下、第2の補正用差分値という。)第1,第2のモニタ値の差分値(以下、第3の補正用差分値という。)を求め、
第1の補正用差分値を第3の補正用差分値で除した比(以下、単に第1係数という)、および、
第2の補正用差分値を第3の補正用差分値で除した比(以下、単に第2係数という)を予め登録しておき、
所定のFBGの波長計測処理として、
第1の計測値と第1のモニタ値との差分値(以下、第1の差分値という。)、第2の計測値と第1のモニタ値との差分値(以下、第2の差分値という。)、および、第1,第2のモニタ値の差分値(以下、第3の差分値という。)を求め、第3の差分値と第1係数との積を、第1の差分値から減じて、第1の真値を求め、
第3の差分値と第2係数との積を、第2の差分値から減じて、第2の真値を求め、
第1(第2)の真値と第2(第1)の真値との比の対数に基づいて反射光の波長を計測することを特徴とする。
【0024】
また、請求項3記載の発明に係る波長計測装置によれば、
請求項2記載の波長計測装置において、
光源と、
光源に接続される光分岐器と、
光分岐器に接続され、複数のFBGが設けられた光ファイバと、
光分岐器に接続され、光ファイバからの光のみを入射するAWGと、
AWGから出力される計測用出力チャンネルからの光を光電流信号に変換して出力する計測用受光素子と、
AWGから出力されるモニタ用出力チャンネルからの光を光電流信号に変換して出力するモニタ用受光素子と、
これら計測用受光素子およびモニタ用受光素子からの光電流信号が入力されるマイクロコンピュータと、
を備え、
前記マイクロコンピュータは、計測用受光素子からの第1,第2の計測値およびモニタ用受光素子からの第1,第2のモニタ値に相当する光電流信号をデジタルデータに変換して入力し、前記FBGからの反射光の波長計測前の準備処理、および、所定のFBGの波長計測処理を行って、波長を算出することを特徴とする。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の波長測定装置の実施形態について図を参照しつつ説明する。
図1は本発明の実施形態を示すシステム構成図あり、図5と同一の構成要素には同一の参照符号を付してある。光源1、光分岐器2、光ファイバ3、FBG4、光コネクタ5の構成及び動作と、波長検出器9内のAWG6、計測用受光素子の一具体例であるプリアンプ付きフォトダイオード7の構成及び動作は図5と同様である。
【0026】
本実施形態では、AWG6にさらにモニタ用出力チャンネル一対を設け、この一対のモニタ用出力チャンネルにモニタ用受光素子の一具体例であるプリアンプ付きフォトダイオード11が一対接続されている。この一対のプリアンプ付きフォトダイオード11の出力信号はマイクロコンピュータ10に入力されている。これらのモニタ用出力チャンネル及びプリアンプ付きフォトダイオード11は、前述の数式5におけるa,b,c,a0,b0 や半値全幅を検出するためのものである。
【0027】
続いてマイクロコンピュータ10による計測処理について説明する。
まず、計測原理について解析的に説明する。
本実施形態では、まずFBGからの反射光の波長計測前の準備処理を予め行っておき、そのうえで、所定のFBGの波長計測処理を行うものである。
【0028】
まず、FBGからの反射光の波長計測前の準備処理について説明する。
一対の計測用出力チャンネルのプリアンプ付きフォトダイオード7は、第1,第2の計測値を出力するものと、また、一対のモニタ用出力チャンネルのプリアンプ付きフォトダイオード11は、第1,第2のモニタ値を出力値を出力するものとする。
【0029】
一対の計測用出力チャンネルのうちの一方に接続されたプリアンプ付きフォトダイオード7の第1の計測値P(λi,λbj)から、一対のモニタ用出力チャンネルのうちの一方に接続されたプリアンプ付きフォトダイオード11の第1のモニタ値P(λm1,λbj)を差し引いた差分値E(λi,λm1)=P(λi,λbj)−P(λm1,λbj)を算出する(以下、第1の補正用差分値という)。
この第1の補正用差分値P(λi,λbj)−P(λm1,λbj)は詳しくは次の式で表される。
【0030】
【数6】
【0031】
ここで、λm1は一対のモニタ用出力チャンネルのうちの一方のチャンネルの中心波長、Ciは光分岐器2の透過率、Isは光源1のピークパワー、dはフォトダイオード7,11の光電変換効率、ΔλfはAWG6のフリースペクトルレンジ、λsは光源1の中心波長、Nrは光源1のフリースペクトルレンジで表されるAWG6の透過率の繰り返し特性をガウス分布の繰り返し関数で近似した場合の繰り返し回数、rはこの繰り返し特性をシグマ記号で表した場合の繰り返しのためのパラメータである。
【0032】
また、一対の計測用出力チャンネルのうちの他方に接続されたプリアンプ付きフォトダイオード7の第2の計測値P(λi+1,λbj)から、一対のモニタ用出力チャンネルのうちの一方のチャンネルに接続されたプリアンプ付きフォトダイオード11の第1のモニタ値P(λm1,λbj)を差し引いた差分値E(λi+1,λm1)=P(λi+1,λbj)−P(λm1,λbj)を算出する(以下、第2の補正用差分値という)。この第2の補正用差分値は、上記の数式6のiに代えてi+1を挿入したものである。
【0033】
そして、第1のモニタ値と第2のモニタ値との差分値E(λm2,λm1)を算出する(以下、第3の補正用差分値という)。この第3の補正用差分値E(λm2,λm1)は次の式で示される。
【0034】
【数7】
【0035】
ここでλm2は、一対のモニタ用出力チャンネルのうちの一方のチャンネルの中心波長λm1とは別のチャンネルの中心波長である。
【0036】
続いて、第1の補正用差分値を第3の補正用差分値で除した比であるR(λi,λm1,λm2)を算出する(以下R(λi,λm1,λm2)を第1係数という)。
この第1係数R(λi,λm1,λm2)は次式で示される。
【0037】
【数8】
【0038】
そして同様に、第2の補正用差分値を第3の補正用差分値で除した比であるR(λi+1,λm1,λm2)を算出する(以下R(λi+1,λm1,λm2)を第2係数という)。
この第2係数R(λi+1,λm1,λm2)は数式8のiの代わりにi+1を代入した式で示される。
【0039】
この第1係数R(λi,λm1,λm2)および第2係数R(λi+1,λm1,λm2)はマイクロコンピュータ10の図示しないメモリ部に登録される。
【0040】
上記したような、FBGからの反射光の波長計測前の準備処理を予め行っておき、続いて、所定のFBGの波長計測処理の解析的な説明を行う。
計測処理時には、再度数式6の差分値P(λi,λbj)−P(λm1,λbj)=E(λi,λm1)(以下、第1の差分値という)、および、数式7の差分値E(λm2,λm1)(以下、第3の差分値という)が算出される。そして、マイクロコンピュータ10に登録された数式8の第1係数R(λi,λm1,λm2)とを用いて次式のような第1の真値が算出される。
【0041】
【数9】
【0042】
第2の真数も同様にして求める。
差分値E(λi,λm1)=P(λi+1,λbj)−P(λm1,λbj)(以下、第2の差分値という)、および、数式7の第3の差分値E(λm2,λm1)が算出される。そして、マイクロコンピュータに登録された数式8の第2係数R(λi+1,λm1,λm2)とを用いて第2の真値が算出される。
これら、第1の真数と第2の真数の比の対数をとれば次式を得る。
【0043】
【数10】
【0044】
第1の差分値だけでは数式6の第1項(誤差要因)が残ってしまうが、数式9の演算を行うことによりλbjを含むガウス分布だけとなるので、第1の真数、第2の真数の比の対数演算で数式10に示すようにλbjの1次関数ρ(λbj)を得ることができる。即ちFBGの反射中心波長λbjに対する波長測定出力ρ(λbj)は図2に示すように直線性が改善されることになる。
【0045】
続いて、上記原理に基づくマイクロコンピュータ10による処理に重点をおいて具体的に説明する。
まず、マイクロコンピュータ10は、FBGからの反射光の波長計測前の準備処理を行う。この準備処理では、プリアンプ付きフォトダイオード11から第1のモニタ値(P(λm1,λbj)に相当)および第2のモニタ値(P(λm2,λbj)に相当)を入力し、また、あるFBGを計測する一対のチャンネルであるプリアンプ付きフォトダイオード7からの第1の計測値(P(λi,λbj)に相当)および第2の計測値(P(λi+1,λbj)に相当)を入力する。
【0046】
そして、マイクロコンピュータ10は、第1の計測値と第1のモニタ値との差である第1の補正用差分値(E(λi,λm1)=P(λi,λbj)−P(λm1,λbj)に相当)、第2の計測値と第1のモニタ値との差である第2の補正用差分値(E(λi+1,λm1)=P(λi+1,λbj)−P(λm1,λbj)に相当)、および、第1のモニタ値と第2のモニタ値との差である第3の補正用差分値(E(λm2,λm1)=P(λm2,λbj)−P(λm1,λbj)に相当)を求める。
【0047】
そして、第1の補正用差分値を第3の補正用差分値で除した比である第1係数(R(λi,λm1,λm2))と、第2の補正用差分値を第3の補正用差分値で除した比である第2係数(R(λi+1,λm1,λm2))とを予め求め、マイクロコンピュータ10の図示しないメモリ部等に登録しておく。
【0048】
続いて、通常のFBGの波長計測処理を行う。この場合、マイクロコンピュータ10は、第1の計測値から第1のモニタ値を差し引いた第1の差分値(P(λi+1,λbj)−P(λm1,λbj)に相当する。)、第2の計測値から第1のモニタ値を差し引いた第2の差分値(P(λi+1,λbj)−P(λm1,λbj))に相当する。)、および、第1,第2のモニタ値の第3の差分値(E(λm2,λm1)=P(λm+1,λbj)−P(λm1,λbj))に相当する。)を求める。
【0049】
そして第3の差分値と前記の第1係数との積を、第1の差分値から減じて第1の真値を求め、また、第3の差分値と前記の第2係数との積を、第2の差分値から減じて第2の真値を求める。
そして、第1の真値と第2の真値との比の対数(数式10参照)に基づいて反射光の波長を計測する。
【0050】
マイクロコンピュータ10が、このような、▲1▼FBGからの反射光の波長計測前の準備処理、および、▲2▼所定のFBGの波長計測処理を行って、波長を計測するようにしたため、誤差成分εによる影響が完全に除去され、FBGの反射中心波長λbj に対する波長測定出力ρ(λbj )は図2のように直線性が改善されるため、検出能力を高めることができる。
【0051】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、FBGの反射中心波長に対する波長測定出力の直線性が改善され、従来よりも測定分解能ならびに検出精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を示すシステム構成図である。
【図2】本発明の実施形態におけるFBGの反射中心波長に対する波長測定出力の特性図である。
【図3】従来技術における波長測定原理の説明図である。
【図4】公知の波長測定システムの構成図である。
【図5】従来技術を示す構成図である。
【図6】従来技術におけるFBGの反射率及びAWGの透過率を示す図である。
【図7】従来技術におけるFBGの反射中心波長に対する波長測定出力の特性図である。
【符号の説明】
1 光源
2 光分岐器
3 光ファイバ
4 FBG(ブラッグ回折格子)
5 光コネクタ
6 AWG(アレイ導波路格子)
7,11 プリアンプ付きフォトダイオード
8 割算器
9 波長検出器
10 マイクロコンピュータ
【発明の属する技術分野】
本発明は、測定点における温度や歪(圧力)などの物理量を測定するために、測定点に形成された光ファイバのブラッグ回折格子(以下、Fiber Bragg Gratinngの頭文字をとりFBGという)からの反射光の波長を計測する波長計測装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の発明として、本出願人による特開2000−180270号公報に記載された物理量測定システム(以下、従来技術という)が知られている。
上記従来技術は、測定光が入射される光ファイバに一以上のFBGが形成され、各FBGからの反射光の波長を検出して各FBGの位置における温度等の物理量を測定するシステムにおいて、各FBGからの反射光を、中心波長が微小な間隔の複数波長に分離可能なアレイ導波路回折格子(以下、Arreyed Wave Guideの頭文字をとりAWGと略す)に入射させ、このAWGの複数の出力チャンネルにそれぞれ設けられた一対の受光素子による光電流の比の対数に基づいて前記反射光の波長を測定するものである。
【0003】
この従来技術では、論文「Wavelength determination of semiconductor lasers: precise but inexpensive」(Jan Christian Braasch et.al, Optical Engineering 1995)に記載された波長の決定原理を利用している。
上述した文献によれば、図3のグラフに示したような波長感度の異なる一対のフォトダイオード(電極A1−C間に形成されるダイオードをダイオードA1C、電極A2−C間に形成されるダイオードをダイオードA2Cとする)と高精度ロングアンプからなるセンサに単色光を照射した場合、センサの出力Wは数式1によって表される。
【0004】
【数1】
【0005】
ここで、I1,I2は各ダイオードA1C,A2Cによる光電流、S1(λ),S2(λ)は各ダイオードA1C,A2Cの波長依存感度、φ(λ)は照射光の波長依存強度分布、Δλは照射光波長の半値全幅である。
すなわち、φ(λ)の波長依存強度分布を持つ照射光がS1(λ),S2(λ)の波長依存感度を持つフォトダイオードA1C,A2Cに入射した場合、光センサの出力Wは、各ダイオードA1C,A2Cについての積φ(λ)S1(λ),φ(λ)S2(λ)を半値全幅Δλにわたって積分した値(つまり光電流I1,I2)の比のlogを取ることで求められる。
そして、照射光の出力が所定の範囲内では、照射光の波長ごとに、log(I1/I2)がほぼ一定になり、そのときの照射光波長は数式2で表されることが記載されている。
【0006】
【数2】
【0007】
なお、図4は上記原理に基づく波長測定システムの構成図であり、31はレーザ光源、32は回転式偏光プリズム、33はビームスプリッタ、34は前述の一対のフォトダイオードA1C,A2Cからなるダイオード装置、35は光出力測定器、36は上記数式1、数式2を演算する演算器である。
【0008】
更に、上記文献によれば、各ダイオードの波長感度がほぼ直線的であるような波長範囲(例えば、図3における約600〜約900nm間の300nmの範囲)では、0.1nm以下の間隔で波長測定が可能である。つまり、分解能としては1/3000となる。
【0009】
従来技術として挙げた前記物理量測定システムでは、前述した数式1、数式2による波長測定原理を基本としたうえ、この測定原理を微小な波長範囲(例えば3nm以下の範囲)について適用するために、アレイ導波路格子(AWG)を使用している。
このAWGは、論文「Wavelength Multiplexer Based on SiO2−Ta205 Arrayed−Waveguide Grating (Takahasi, et.al, Journal of Lightwave Technology Vol.12, No.6, 1994)」等に記載されているように、所定の曲率半径のアレイ導波路と、その入力側、出力側にそれぞれ形成されたスラブ導波路と、これらのスラブ導波路にそれぞれ連続する複数チャンネルの入力導波路及び出力導波路とを有する構造であり、入力光を1nm以下の分解能で弁別可能な素子である。
【0010】
従来技術では、図5に示すごとく、光ファイバ3の長手方向に形成された複数のFBG4に対し、それぞれ重複しないように微小な反射光波長範囲を割り当てておき(一例として、第1のFBGには1500〜1503nm、第2のFBGには1503nm〜1506nm、第3のFBGには1506〜1509nm、・・・等)、光源1から光分岐器2、光コネクタ5を経た出射光のFBG4からの反射光をAWG6に入力することにより、中心波長が例えば1nm以下の間隔の複数の波長に分離する。
そして、AWG6の隣接する二つの出力導波路(計測用出力チャンネル)から一対のプリアンプ付きフォトダイオード7に光を入射させることにより、微小な波長範囲について前述した数式1、数式2を適用し、高分解能で波長を検出可能としている。
【0011】
すなわち、従来技術によれば、各FBG4の位置における温度や歪み等の物理量に対応する波長を検出することができ、これによって温度分布や圧力分布を計測することが可能になっている。
なお、図5において8は一対のフォトダイオード7の光電流(前述のI1,I2に相当)を除算する割算器、9’は波長検出器、10は波長計測のための演算を行うマイクロコンピュータである。割算器8からの出力は、数式2のI1/I2に相当する。さらに、マイクロコンピュータ10で数式2の演算を行って、波長を算出し、その波長からどの位置にあるFBGにおいて物理量が変化したか、つまり物理量の変化位置を測定する。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
図6は、上記従来技術におけるFBG4の反射率及びAWG6の透過率のスペクトルを示す図である。従来技術では、一対のプリアンプ付きフォトダイオード7ごとに割算器8により光電流の比演算を行い、その出力の対数を計算して波長測定出力ρ(λbj)を求めていた。ここで、j=1,2,3,・・・,Nであり、NはFBGの数である。
【0013】
すなわち、各FBGには前述のごとくその反射波長を測定するためのAWGの出力チャンネル対(プリアンプ付きフォトダイオード7の対)を予め定めてあり、他のFBGの反射帯域の影響を受けないように設計されている。例えば、図6に示すようにFBGjの反射帯域はAWGのチャンネルi及びチャンネル(i+1)の透過帯域のみにラップしてチャンネル(i+2)の透過帯域にはラップせず、また、FBGj+1の反射帯域はAWGのチャンネル(i+2)及びチャンネル(i+3)の透過帯域のみにラップしてチャンネル(i+1)の透過帯域にはラップしないようになっている。
【0014】
このような条件で、j番目のFBGの波長測定出力ρ(λbj)を以下に求めてみる。光ファイバの光損失及び後方散乱は無視できるものとすると、一対のプリアンプ付きフォトダイオード7のうち一方のフォトダイオードの出力P(λbj)は、数式3によって表される。
【0015】
【数3】
【0016】
また、他方のフォトダイオードの出力P(λbj)は、数式3におけるiをi+1に変えた式となる。
従って、これらの式の比の対数をとると、数式4を得る。
【0017】
【数4】
【0018】
ただし、数式3,数式4におけるεは、数式5の通りである。
【0019】
【数5】
【0020】
また、数式3〜数式5における各値は以下の通りである。このうちの一部は図6にも示してある。
K:定数
a:AWGのピーク透過率
b:FBGのピーク反射率
a0:AWGの不要なノイズ光となるバイアス透過率
b0:FBGの不要なノイズ光となるバイアス反射率
Δλa:AWGの半値全幅
Δλb:FBGの半値全幅
Δλs:光源の半値全幅
λbj:FBGの反射中心波長
λj:AWGのチャンネルiの透過中心波長
λj+1:AWGのチャンネル(i+1)の透過中心波長
【0021】
前述した数式4の特性を図示すると図7のようになる。つまり、FBGの反射中心波長λbjに対する波長測定出力ρ(λbj)の特性が一部非直線状になっていて測定分解能が悪く、波長検出精度を低下させる原因となっていた。
これは、数式4において、AWGの不要なノイズ光となるバイアス透過aoやFBGの不要なノイズ光となるバイアス反射率bo等により、εがゼロにならず誤差成分として作用するためである。
そこで本発明は、上記誤差成分εに起因する波長測定出力ρ(λbj)の非直線性を改善し、測定分解能及び検出精度を向上させるようにした波長計測装置を提供しようとするものである。
【0022】
【課題を解決するための手段】
上記問題を解決するため、請求項1記載の発明に係る波長計測装置によれば、測定光が入射される光ファイバに一以上のFBGが形成され、各FBGからの反射光の波長を検出して各FBGの位置における物理量を測定するシステムであって、FBGからの反射光を、中心波長が微小な間隔の複数波長に分離可能なAWGに入射させるとともに、このAWGの複数の計測用出力チャンネルにそれぞれ接続された計測用受光素子を一対ごとにFBGに対応させて、一対の計測用受光素子の計測値を用いて反射光の波長を計測するようにした波長計測装置において、
前記AWGの複数対の計測用出力チャンネルとは別個に設けられた一対のモニタ用出力チャンネルにそれぞれ接続され、モニタ値を出力する一対のモニタ用受光素子を備え、
FBGからの反射光の波長計測前の準備処理として、
あるFBGからの反射光に対する計測値、および、モニタ用の光に対するモニタ値を用いて係数を予め求めておき、
所定のFBGの波長計測処理として、
係数を用いて誤差成分を除去した第1,第2の真値を求め、これら第1の真値と第2の真値とによる比の対数に基づいて反射光の波長を測定することを特徴とする。
【0023】
また、請求項2記載の発明に係る波長計測装置によれば、
請求項1記載の波長計測装置において、
一対の計測用出力チャンネルは第1,第2の計測値を出力するものと、また、一対のモニタ用出力チャンネルは第1,第2のモニタ値を出力値として出力するものとし、
FBGからの反射光の波長計測前の準備処理として、
第1の計測値と第1のモニタ値との差分値(以下、第1の補正用差分値という。)、第2の計測値と第1のモニタ値との差分値(以下、第2の補正用差分値という。)第1,第2のモニタ値の差分値(以下、第3の補正用差分値という。)を求め、
第1の補正用差分値を第3の補正用差分値で除した比(以下、単に第1係数という)、および、
第2の補正用差分値を第3の補正用差分値で除した比(以下、単に第2係数という)を予め登録しておき、
所定のFBGの波長計測処理として、
第1の計測値と第1のモニタ値との差分値(以下、第1の差分値という。)、第2の計測値と第1のモニタ値との差分値(以下、第2の差分値という。)、および、第1,第2のモニタ値の差分値(以下、第3の差分値という。)を求め、第3の差分値と第1係数との積を、第1の差分値から減じて、第1の真値を求め、
第3の差分値と第2係数との積を、第2の差分値から減じて、第2の真値を求め、
第1(第2)の真値と第2(第1)の真値との比の対数に基づいて反射光の波長を計測することを特徴とする。
【0024】
また、請求項3記載の発明に係る波長計測装置によれば、
請求項2記載の波長計測装置において、
光源と、
光源に接続される光分岐器と、
光分岐器に接続され、複数のFBGが設けられた光ファイバと、
光分岐器に接続され、光ファイバからの光のみを入射するAWGと、
AWGから出力される計測用出力チャンネルからの光を光電流信号に変換して出力する計測用受光素子と、
AWGから出力されるモニタ用出力チャンネルからの光を光電流信号に変換して出力するモニタ用受光素子と、
これら計測用受光素子およびモニタ用受光素子からの光電流信号が入力されるマイクロコンピュータと、
を備え、
前記マイクロコンピュータは、計測用受光素子からの第1,第2の計測値およびモニタ用受光素子からの第1,第2のモニタ値に相当する光電流信号をデジタルデータに変換して入力し、前記FBGからの反射光の波長計測前の準備処理、および、所定のFBGの波長計測処理を行って、波長を算出することを特徴とする。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の波長測定装置の実施形態について図を参照しつつ説明する。
図1は本発明の実施形態を示すシステム構成図あり、図5と同一の構成要素には同一の参照符号を付してある。光源1、光分岐器2、光ファイバ3、FBG4、光コネクタ5の構成及び動作と、波長検出器9内のAWG6、計測用受光素子の一具体例であるプリアンプ付きフォトダイオード7の構成及び動作は図5と同様である。
【0026】
本実施形態では、AWG6にさらにモニタ用出力チャンネル一対を設け、この一対のモニタ用出力チャンネルにモニタ用受光素子の一具体例であるプリアンプ付きフォトダイオード11が一対接続されている。この一対のプリアンプ付きフォトダイオード11の出力信号はマイクロコンピュータ10に入力されている。これらのモニタ用出力チャンネル及びプリアンプ付きフォトダイオード11は、前述の数式5におけるa,b,c,a0,b0 や半値全幅を検出するためのものである。
【0027】
続いてマイクロコンピュータ10による計測処理について説明する。
まず、計測原理について解析的に説明する。
本実施形態では、まずFBGからの反射光の波長計測前の準備処理を予め行っておき、そのうえで、所定のFBGの波長計測処理を行うものである。
【0028】
まず、FBGからの反射光の波長計測前の準備処理について説明する。
一対の計測用出力チャンネルのプリアンプ付きフォトダイオード7は、第1,第2の計測値を出力するものと、また、一対のモニタ用出力チャンネルのプリアンプ付きフォトダイオード11は、第1,第2のモニタ値を出力値を出力するものとする。
【0029】
一対の計測用出力チャンネルのうちの一方に接続されたプリアンプ付きフォトダイオード7の第1の計測値P(λi,λbj)から、一対のモニタ用出力チャンネルのうちの一方に接続されたプリアンプ付きフォトダイオード11の第1のモニタ値P(λm1,λbj)を差し引いた差分値E(λi,λm1)=P(λi,λbj)−P(λm1,λbj)を算出する(以下、第1の補正用差分値という)。
この第1の補正用差分値P(λi,λbj)−P(λm1,λbj)は詳しくは次の式で表される。
【0030】
【数6】
【0031】
ここで、λm1は一対のモニタ用出力チャンネルのうちの一方のチャンネルの中心波長、Ciは光分岐器2の透過率、Isは光源1のピークパワー、dはフォトダイオード7,11の光電変換効率、ΔλfはAWG6のフリースペクトルレンジ、λsは光源1の中心波長、Nrは光源1のフリースペクトルレンジで表されるAWG6の透過率の繰り返し特性をガウス分布の繰り返し関数で近似した場合の繰り返し回数、rはこの繰り返し特性をシグマ記号で表した場合の繰り返しのためのパラメータである。
【0032】
また、一対の計測用出力チャンネルのうちの他方に接続されたプリアンプ付きフォトダイオード7の第2の計測値P(λi+1,λbj)から、一対のモニタ用出力チャンネルのうちの一方のチャンネルに接続されたプリアンプ付きフォトダイオード11の第1のモニタ値P(λm1,λbj)を差し引いた差分値E(λi+1,λm1)=P(λi+1,λbj)−P(λm1,λbj)を算出する(以下、第2の補正用差分値という)。この第2の補正用差分値は、上記の数式6のiに代えてi+1を挿入したものである。
【0033】
そして、第1のモニタ値と第2のモニタ値との差分値E(λm2,λm1)を算出する(以下、第3の補正用差分値という)。この第3の補正用差分値E(λm2,λm1)は次の式で示される。
【0034】
【数7】
【0035】
ここでλm2は、一対のモニタ用出力チャンネルのうちの一方のチャンネルの中心波長λm1とは別のチャンネルの中心波長である。
【0036】
続いて、第1の補正用差分値を第3の補正用差分値で除した比であるR(λi,λm1,λm2)を算出する(以下R(λi,λm1,λm2)を第1係数という)。
この第1係数R(λi,λm1,λm2)は次式で示される。
【0037】
【数8】
【0038】
そして同様に、第2の補正用差分値を第3の補正用差分値で除した比であるR(λi+1,λm1,λm2)を算出する(以下R(λi+1,λm1,λm2)を第2係数という)。
この第2係数R(λi+1,λm1,λm2)は数式8のiの代わりにi+1を代入した式で示される。
【0039】
この第1係数R(λi,λm1,λm2)および第2係数R(λi+1,λm1,λm2)はマイクロコンピュータ10の図示しないメモリ部に登録される。
【0040】
上記したような、FBGからの反射光の波長計測前の準備処理を予め行っておき、続いて、所定のFBGの波長計測処理の解析的な説明を行う。
計測処理時には、再度数式6の差分値P(λi,λbj)−P(λm1,λbj)=E(λi,λm1)(以下、第1の差分値という)、および、数式7の差分値E(λm2,λm1)(以下、第3の差分値という)が算出される。そして、マイクロコンピュータ10に登録された数式8の第1係数R(λi,λm1,λm2)とを用いて次式のような第1の真値が算出される。
【0041】
【数9】
【0042】
第2の真数も同様にして求める。
差分値E(λi,λm1)=P(λi+1,λbj)−P(λm1,λbj)(以下、第2の差分値という)、および、数式7の第3の差分値E(λm2,λm1)が算出される。そして、マイクロコンピュータに登録された数式8の第2係数R(λi+1,λm1,λm2)とを用いて第2の真値が算出される。
これら、第1の真数と第2の真数の比の対数をとれば次式を得る。
【0043】
【数10】
【0044】
第1の差分値だけでは数式6の第1項(誤差要因)が残ってしまうが、数式9の演算を行うことによりλbjを含むガウス分布だけとなるので、第1の真数、第2の真数の比の対数演算で数式10に示すようにλbjの1次関数ρ(λbj)を得ることができる。即ちFBGの反射中心波長λbjに対する波長測定出力ρ(λbj)は図2に示すように直線性が改善されることになる。
【0045】
続いて、上記原理に基づくマイクロコンピュータ10による処理に重点をおいて具体的に説明する。
まず、マイクロコンピュータ10は、FBGからの反射光の波長計測前の準備処理を行う。この準備処理では、プリアンプ付きフォトダイオード11から第1のモニタ値(P(λm1,λbj)に相当)および第2のモニタ値(P(λm2,λbj)に相当)を入力し、また、あるFBGを計測する一対のチャンネルであるプリアンプ付きフォトダイオード7からの第1の計測値(P(λi,λbj)に相当)および第2の計測値(P(λi+1,λbj)に相当)を入力する。
【0046】
そして、マイクロコンピュータ10は、第1の計測値と第1のモニタ値との差である第1の補正用差分値(E(λi,λm1)=P(λi,λbj)−P(λm1,λbj)に相当)、第2の計測値と第1のモニタ値との差である第2の補正用差分値(E(λi+1,λm1)=P(λi+1,λbj)−P(λm1,λbj)に相当)、および、第1のモニタ値と第2のモニタ値との差である第3の補正用差分値(E(λm2,λm1)=P(λm2,λbj)−P(λm1,λbj)に相当)を求める。
【0047】
そして、第1の補正用差分値を第3の補正用差分値で除した比である第1係数(R(λi,λm1,λm2))と、第2の補正用差分値を第3の補正用差分値で除した比である第2係数(R(λi+1,λm1,λm2))とを予め求め、マイクロコンピュータ10の図示しないメモリ部等に登録しておく。
【0048】
続いて、通常のFBGの波長計測処理を行う。この場合、マイクロコンピュータ10は、第1の計測値から第1のモニタ値を差し引いた第1の差分値(P(λi+1,λbj)−P(λm1,λbj)に相当する。)、第2の計測値から第1のモニタ値を差し引いた第2の差分値(P(λi+1,λbj)−P(λm1,λbj))に相当する。)、および、第1,第2のモニタ値の第3の差分値(E(λm2,λm1)=P(λm+1,λbj)−P(λm1,λbj))に相当する。)を求める。
【0049】
そして第3の差分値と前記の第1係数との積を、第1の差分値から減じて第1の真値を求め、また、第3の差分値と前記の第2係数との積を、第2の差分値から減じて第2の真値を求める。
そして、第1の真値と第2の真値との比の対数(数式10参照)に基づいて反射光の波長を計測する。
【0050】
マイクロコンピュータ10が、このような、▲1▼FBGからの反射光の波長計測前の準備処理、および、▲2▼所定のFBGの波長計測処理を行って、波長を計測するようにしたため、誤差成分εによる影響が完全に除去され、FBGの反射中心波長λbj に対する波長測定出力ρ(λbj )は図2のように直線性が改善されるため、検出能力を高めることができる。
【0051】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、FBGの反射中心波長に対する波長測定出力の直線性が改善され、従来よりも測定分解能ならびに検出精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を示すシステム構成図である。
【図2】本発明の実施形態におけるFBGの反射中心波長に対する波長測定出力の特性図である。
【図3】従来技術における波長測定原理の説明図である。
【図4】公知の波長測定システムの構成図である。
【図5】従来技術を示す構成図である。
【図6】従来技術におけるFBGの反射率及びAWGの透過率を示す図である。
【図7】従来技術におけるFBGの反射中心波長に対する波長測定出力の特性図である。
【符号の説明】
1 光源
2 光分岐器
3 光ファイバ
4 FBG(ブラッグ回折格子)
5 光コネクタ
6 AWG(アレイ導波路格子)
7,11 プリアンプ付きフォトダイオード
8 割算器
9 波長検出器
10 マイクロコンピュータ
Claims (3)
- 測定光が入射される光ファイバに一以上のブラッグ回折格子(以下、FBGという)が形成され、各FBGからの反射光の波長を検出して各FBGの位置における物理量を測定するシステムであって、FBGからの反射光を、中心波長が微小な間隔の複数波長に分離可能なアレイ導波路格子(以下、AWGという)に入射させるとともに、このAWGの複数の計測用出力チャンネルにそれぞれ接続された計測用受光素子を一対ごとにFBGに対応させ、一対の計測用受光素子の計測値を用いて反射光の波長を計測するようにした波長計測装置において、
前記AWGの複数対の計測用出力チャンネルとは別個に設けられた一対のモニタ用出力チャンネルにそれぞれ接続され、モニタ値を出力する一対のモニタ用受光素子を備え、
FBGからの反射光の波長計測前の準備処理として、
あるFBGからの反射光に対する計測値、および、モニタ用の光に対するモニタ値を用いて係数を予め求めておき、
所定のFBGの波長計測処理として、
係数を用いて誤差成分を除去した第1,第2の真値を求め、これら第1の真値と第2の真値とによる比の対数に基づいて反射光の波長を測定することを特徴とする波長計測装置。 - 請求項1記載の波長計測装置において、
一対の計測用出力チャンネルは第1,第2の計測値を出力するものと、また、一対のモニタ用出力チャンネルは第1,第2のモニタ値を出力値として出力するものとし、
FBGからの反射光の波長計測前の準備処理として、
第1の計測値と第1のモニタ値との差分値(以下、第1の補正用差分値という。)、第2の計測値と第1のモニタ値との差分値(以下、第2の補正用差分値という。)第1,第2のモニタ値の差分値(以下、第3の補正用差分値という。)を求め、
第1の補正用差分値を第3の補正用差分値で除した比(以下、単に第1係数という)、および、
第2の補正用差分値を第3の補正用差分値で除した比(以下、単に第2係数という)を予め登録しておき、
所定のFBGの波長計測処理として、
第1の計測値と第1のモニタ値との差分値(以下、第1の差分値という。)、第2の計測値と第1のモニタ値との差分値(以下、第2の差分値という。)、および、第1,第2のモニタ値の差分値(以下、第3の差分値という。)を求め、第3の差分値と第1係数との積を、第1の差分値から減じて、第1の真値を求め、
第3の差分値と第2係数との積を、第2の差分値から減じて、第2の真値を求め、
第1(第2)の真値と第2(第1)の真値との比の対数に基づいて反射光の波長を計測することを特徴とする波長計測装置。 - 請求項2記載の波長計測装置において、
光源と、
光源に接続される光分岐器と、
光分岐器に接続され、複数のFBGが設けられた光ファイバと、
光分岐器に接続され、光ファイバからの光のみを入射するAWGと、
AWGから出力される計測用出力チャンネルからの光を光電流信号に変換して出力する計測用受光素子と、
AWGから出力されるモニタ用出力チャンネルからの光を光電流信号に変換して出力するモニタ用受光素子と、
これら計測用受光素子およびモニタ用受光素子からの光電流信号が入力されるマイクロコンピュータと、
を備え、
前記マイクロコンピュータは、計測用受光素子からの第1,第2の計測値およびモニタ用受光素子からの第1,第2のモニタ値に相当する光電流信号をデジタルデータに変換して入力し、前記FBGからの反射光の波長計測前の準備処理、および、所定のFBGの波長計測処理を行って波長を算出することを特徴とする波長計測装置。
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