JP2004162136A - プラズマ放電処理方法 - Google Patents

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義章 森永
Koji Nakajima
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Abstract

【課題】本発明の目的は、連続製膜において、膜厚の分布、特に幅手方向の膜厚均一性がよく、濁度の低い、硬い良質な膜が得られる大気圧プラズマ放電処理方法を得ることにある。
【解決手段】大気圧または大気圧近傍の圧力下において、混合ガス雰囲気中で対向する電極間に高周波電圧を印加させて放電させることにより、基材上に薄膜を形成するプラズマ放電処理方法において、対向する電極の一方が、前記基材の搬送方向に沿って複数設置され、かつ、複数設置された電極間にガス排気口が設けられており、ガスの全導入量と同量またはそれ以上のガスを排気することを特徴とするプラズマ放電処理方法。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、膜厚が均一であり良質で硬いしかも濁度の低い膜を得る事が出来るプラズマ放電処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より1.333×10−6MPaから1.333×10−3MPa程度の圧力の放電プラズマで基材表面にプラズマCVDにより製膜する方法が知られているが、この方法においては真空装置が必要となり連続性が損なわれることや、放電プラズマ密度が低いため処理効率が低く、生産性が低い。その改良として、大気圧または大気圧近傍での放電プラズマによる処理が可能な技術が開示されている。
【0003】
放電プラズマの生成のため、大気圧または大気圧近傍の圧力下、反応に必要な混合ガスを放電空間に導入し、ガスを拡散させる場合、ガスの拡散を低圧条件下で行う場合に比して、混合ガスの偏りが生じやすく、処理結果に不均一性が生じ易い。
【0004】
特に、連続製膜空間を形成する放電空間内にガスを導入し、連続的に製膜を行うに当たっては、通常、1箇所ないしは数箇所のガス給気口にガス供給管を接続して行うのであるが、大気圧近傍の圧力下においては放電空間内でガスが拡散し難いために、ガス給気口に近い位置ほどガスの密度が高くなり、ガス給気口から遠い位置では必然的にガスの流速が低下する傾向にある。
【0005】
これら導入ガスの不均一さに起因した処理ムラが発生しやすく、これらの処理ムラは各種の光学フィルム例えば反射防止膜等の光学薄膜等においては致命的な欠点となる。
【0006】
また、このような不均一さに起因する原料ガスの滞留によって、例えば金属酸化物や有機金属化合物等の反応ガスを用いる場合、未反応原料ガス粉体が発生し、これが排気側の配管等の吸引流路内等に堆積・付着したり、更に、これが形成される膜中に入り込むために、連続製膜された薄膜の膜の濁度が上昇してしまう、膜が柔らかくなる等、膜質を損なったり、膜厚分布の均一性を保ちにくいなどの問題が発生する。
【0007】
そのため、ガスの導入、排気の方法や大気圧プラズマ装置における処理空間の設計等構造的観点からも導入ガスの均一性を確保し、粉体の発生をなくし、膜質を向上させる検討が行われている。例えば、特開2001−98093(参考特許文献1)には、常圧プラズマCVDにおいて、放電プラズマ処理空間の一端に設けられたガス給気口からその供給量を制御して混合ガスを導入し、他端に設けられた排気口から排気量を制御して排気する方法が開示されている。
【0008】
しかしながら、特に連続製膜法にあっては、大気圧近傍において、放電空間内の混合ガス密度の調整機能は低いため、反応ガスを含む混合ガス供給量や排気量の制御を行っても、それのみで放電空間内でのガスの均一な拡散を制御することは困難である。
【0009】
又、特願2001−147732には、基材の搬送方向に複数並んで配置された電極群の間に給気口と排気口が交互に配置された放電プラズマ処理装置が開示されている。給気口や、排気口を複数設けることで混合ガスを均一に拡散させる効果があると考えられる。
【0010】
しかしながら、特に、窒素等の安価なガスを用いた大気圧プラズマ法においては、このような装置を用いて長時間連続製膜を行うと、窒素自身、ヘリウム、アルゴン等の放電ガスと比較すると重いため、原料ガスの不均一を生じやすく、膜厚分布の均一性を保ちにくい、装置中(放電空間)に前記未反応の反応ガス粉体がより発生しやすく、これが排気側の配管等の吸引流路内等に堆積・付着する現象が十分に改善されない、また、更に、これが形成される膜中に入り込むために連続製膜された薄膜の濁度が上昇してしまう、膜が柔らかくなるなど、上記問題点は十分改善されたとはいえない。
【0011】
【特許文献1】
特開2001−98093公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、連続製膜において、膜厚の分布、特に幅手方向の膜厚均一性がよく、濁度の低い、硬い良質な膜が得られる大気圧プラズマ放電処理方法を得ることにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、以下の手段によって達成される。
【0014】
1.大気圧または大気圧近傍の圧力下において、混合ガス雰囲気中で対向する電極間に高周波電圧を印加させて放電させることにより、基材上に薄膜を形成するプラズマ放電処理方法において、対向する電極の一方が、前記基材の搬送方向に沿って複数設置され、かつ、複数設置された電極間にガス排気口が設けられており、ガスの全導入量と同量またはそれ以上のガスを排気することを特徴とするプラズマ放電処理方法。
【0015】
2.前記混合ガスの主成分が窒素であることを特徴とする前記1に記載のプラズマ放電処理方法。
【0016】
3.基材の搬送方向に沿って複数設置された電極の、最初の電極と最後の電極のプラズマ放電空間からみて外側に、ガス排気口を設けていることを特徴とする前記1または2に記載のプラズマ放電処理方法。
【0017】
4.ガス排気口が、電極の基材幅手方向に沿った開口部を有するノズルおよびこれと一体となった排気管からなることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載のプラズマ放電処理方法。
【0018】
5.ガス排気口には基材幅手方向に沿った複数の排気管が設けられており、各排気管はそれぞれ排気量調整機構を有することを特徴とする前記4に記載のプラズマ放電処理方法。
【0019】
6.ガスの導入と排気はマスフローコントローラーによって制御が行われていることを特徴とする前記1〜5のいずれか1項に記載のプラズマ放電処理方法。
【0020】
7.ガスの導入と排気は差圧制御により行われていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のプラズマ放電処理方法。
【0021】
8.ガスの導入量と排気量は流量計によりモニターされていることを特徴とする前記1〜7のいずれか1項に記載のプラズマ放電処理方法。
【0022】
以下に本発明を詳細に説明する。
【0023】
【発明の実施の形態】
従来の技術では、原料ガスの未反応成分が粉となり製膜空間に滞留し(ヘリウムに比べ窒素は重い為、より滞在しやすい)その一部の粉が膜の中にも入り込むことによって膜の硬さがやわらかくなり、耐傷性が悪く、また、高温高湿経時で膜にクラックが入る、さらに濁度も悪い原因となっていることが分かった。
【0024】
本発明により前記課題をクリアした膜質のよい膜を得る事が出来た。
本発明においては、大気圧または大気圧近傍の圧力下において、混合ガスを導入し、混合ガス雰囲気中で対向する電極間に高周波電圧を印加させて放電させ、基材上に薄膜を形成するが、本発明において、大気圧または大気圧近傍とは、20kPa〜110kPa、更に好ましくは93kPa〜104kPaの圧力を表す。
【0025】
このような大気圧近傍の圧力下で、搬送される基材上にプラズマCVD処理を施す本発明のプラズマ放電処理方法において、前記導入される反応ガスを含む混合ガスの粉体化を防ぐには、排気口を複数に分けて配置する。そのために対向する電極の一方は、前記基材の搬送方向に沿って複数設置され、かつ、複数設置された電極間にガス排気口が設けられた構成とすることで、例えば、窒素ガスを使用した場合でも、反応ガスの偏りの問題が低減され、かつ、1つの排気口周辺に反応ガス粉体が滞留することなく、分散されるため排気口周辺に堆積することがない。
【0026】
また、本発明においては、ガスの給気口は、例えば特開2001−98093等に記載された装置の様に、基材の搬入側に一つ設けられていればよいが、本発明の効果を十分得るために好ましくは、ガス給気口についても複数設けられていることが好ましく、複数である場合更に、本発明の効果が大きい。また、複数の給気口および複数の排気口を有効に配置するには、対向する電極のうち、前記基材の搬送方向に沿って複数設置された電極間にガス排気口が設けられた構成とするほか、各電極がそれぞれガス給気口を備えたものとする。このような構成をとることで複数設置された電極に併置するかたちで、搬送方向に沿って、給気口、排気口が交互に連続する構成となり、好ましい。
【0027】
図1は、円筒状の回転電極35とこれに対向して配置された複数の固定角筒型電極36からなる電極対を有するプラズマ放電処理装置の放電空間の一例を示す概略図である。
【0028】
ガス排気口53が基材搬送方向に沿って配置された複数の各固定角筒型電極36の間にやはり複数配置されている。また、各角筒型電極36は、それぞれガス給気口52を備えており、複数のガス給気口から混合ガスが処理空間32内に導入されるようになっている。
【0029】
基材は、回転する回転電極35により搬送されつつ複数の固定角筒型電極36および回転電極35が形成する放電空間中で処理される。図1において、矢印はガスの流れを示し、Gは導入された反応ガス、G′は排気ガスを示す。プラズマ処理装置の例について全体の概略図は、後述の図4に示す。
【0030】
また、図1に示された各電極間に配置されたノズル型のガス排気口53について、図2にその例を概略図で示した。
【0031】
ガス排気口53は、処理される基材の幅手方向に広がったスリット(開口)を有するノズル状の形態を有しており、該排気口はこれと一体となった排気管Tを有する構造を有することが好ましい。(a)はガス排気口53を取り出しその背面からみたものである。排気口の基材幅手方向に広がったスリットは、これと一体となった排気管により、基材幅手の各部分から均一に排気を行うように設計される。例えば、開口部から、処理後のガスを排出する排気管までの流路が、放電領域近傍において、例えば、ガスの吹き出し口となる複数のパンチ穴を有するシャワープレート及び該シャワープレートに対向するバッフルボードから構成されるラビリンス構造等を有するといったように、基材幅手位置での排気が均一になるような排気口構造を有していることが好ましい。
【0032】
基材幅手位置での排気を均一にするため、排気管を前記基材幅手方向に沿って複数設ける構造としてもよく、(b)、(c)は複数の排気管を有するガス排気口の一例である。(b)はこれを回転電極に対向する排気口の側からみた図であり、(c)は反対側からみた図である。(c)において基材幅手方向に広がった排気口には幅手方向に沿って複数の排気管Tにつながる複数の排気管開口部Hが穿たれている。前記開口部Hにそれぞれ接続した4つの排気管Tが示されている。
【0033】
その場合、これらの排気管はそれぞれバルブ機構(図には示されていない)を有し、基材の幅手方向での排気ガス量をそれぞれ調節できるようになっていることが好ましい。これらバルブ等の流量調節手段は、幅手方向での膜厚の均一性を保つような条件を求めた後、条件設定された設定幅で自動的に流量を調節する様に制御されるのがよく、この流量調節手段をそれぞれ有する排気管を基材の幅手方向に複数配置することにより基材幅手方向での反応ガスの不均一な分布を調整し、例えば製膜処理の場合、幅手方向の膜厚のムラをなくすことができる。
【0034】
これら排気口に接続する排気管Tの数が複数ある場合は、基材の幅にもより、特に限定はないが、実質的には3程度設けることで十分な効果が得られ、5以下の数で十分である。
【0035】
また、図2の(d)には、直接開口部に排気管がつながった構造を有する別の排気口の一例を示した。
【0036】
また、図1における固定角筒型電極36についてその例を図3に概略図で示した。固定角筒型電極36は、好ましくは、固定角筒型電極と対向するもう一方の電極である回転電極と対向する面にガス給気口となる溝Bが切られ、溝の底部にはガス給気管に接続するガス給気管開口部Iが、幅手方向に沿って、複数(ここでは4つ)設けられている。幅手方向に複数存在する給気口に接続するガス給気管はそれぞれ独立に流量制御できるようにしてもよい。幅手方向の反応ガスの導入の偏りに起因する幅手方向の処理ムラを、それにより軽減することができる。
図3(a)は、固定回転電極35に対向するガス給気口となる底部に給気管開口部Iを備えた固定角筒型電極36を溝Bの側(回転電極に対向する側)から見た図であり、図3(b)は背面のガス給気管を接続する側からみたものである。
【0037】
図1においては、固定角筒型電極36は4つしか描画されていないが、固定電極36の数が更に多い場合でも、固定角筒型電極群の両端にはガス排気口を配置するのが好ましい。即ち、基材の搬送方向に沿って複数設置された電極のうち、基材の浸入方向からみて最初の電極、および、最後の電極のそれぞれ前記プラズマ処理空間から見て外側に、必ず排気口が設けられていることが好ましい。
【0038】
このような構成をとることで基材の搬送経路から(ニップロールを介して)、基材に随伴して進入する空気等をこれが放電空間に入る前に排気することができ、基材のプラズマ処理空間における反応ガスの均一性を確保でき、随伴空気による処理ガスの偏りを防止して、処理ムラを防止することができる。
【0039】
本発明のプラズマ放電処理方法においては、このようなガス給気口およびガス排出口を有するプラズマ処理装置を用いて処理を行うが、各ガス給気口から導入されるガス、およびガス排出口から排出される排ガスの量をそれぞれ、以下のように制御することが同時に必要となる。
【0040】
即ち、本発明のプラズマ放電処理方法においては、プラズマ放電処理装置の前記の構成に加えて、給気口より導入される混合ガス全体の量に対し、同じ量か、或いはそれ以上の量を排気することが必要である。
【0041】
排気されるガスを導入される混合ガスよりも多く排気することにより、粉体発生を大幅に減らすことが可能となった。これは前記の構成により均一なプラズマCVDが行えることと、ガスの導入量より排気量が多くなることで未反応ガスの滞留が少なくなるためと考えられる。
【0042】
排気するガスの総量は、例えば、シリカ、或いは二酸化チタン等の金属酸化物膜を反射防止膜として形成する際に用いるアルコキシシラン、チタン等を含有する混合ガスの場合でも、導入される混合ガスと同量以上、1.5倍以内の量、好ましくは、1.3倍、更に好ましくは1.2倍以内の量が好ましい。排気するガスの量が導入ガスに比べ大きくなりすぎると、プラズマ処理条件が大きく変動し、連続処理の際に均一性が保てない。
【0043】
このような、導入する混合ガスの導入量の制御については、ガス発生装置から供給される反応ガスと励起ガスからなる混合ガスを各給気口に供給する大元の配管に取り付けたマスフローコントローラーによって行われる。
【0044】
排気量についても個々の排気口でなく全ての排気口から集められた排気ガス全体の量を計測する。
【0045】
本発明の上記放電プラズマ処理空間への混合ガスの供給量及び該処理空間からの排気量の制御に用いられるマスフローコントローラーは、供給される混合ガス、もしくは排気される処理ガス及び未反応ガス量の合計量を所定精度で感知し、供給され、もしくは排気される状態のガス量の体積を、各々設定された供給量及び排気量を一定条件下の質量で比較し、その偏差を開閉弁の開閉度として指示するフィードバック機構によって、供給量及び排気量を各々所定量に制御する制御装置である。上記マスフローコントローラーとしては、特に限定されるものではないが、好ましくは、例えば、供給側、排気側共に、圧力4.9〜9.8N/cmで、最大流量の±1%で流量制御できるものが好適に用いられる。
【0046】
また、ガスの導入量と排気量はそれぞれ流量計によりモニターされており、また、ガスの導入と排気は差圧制御により行われている。本発明の上記放電プラズマ処理空間からの排気量の制御に用いられる差圧制御計は、配管所定位置間の差圧を所定精度で感知し、設定値と比較、それを開閉弁で制御することで、処理ガス及び未反応ガス量の合計量を制御する制御装置である。又、上記排気に用いられる真空ポンプとしては、特に限定されるものではないが、好ましくは、例えば、排気速度100リットル/分以上、真空到達度1.33×10Pa以下の能力を有するものが好適に用いられる。
【0047】
上記排気量の制御に用いられるマスフローコントローラー及び差圧流量計は、いずれも、その供給(導入)口側の吸引流路に、1個以上のフィルターが装着されてなるものである。上記フィルターを収容するフィルターケースは、例えば、ステンレス鋼「SUS304」製の表面が鏡面加工されたものが挙げられ、フィルターエレメントは、粉体除去用フィルターとして、密度3.6程度の粗いもの、ミスト除去用フィルターとして、密度13.8程度の目の細かいもの、粉体/ミスト除去用フィルターとして、密度3.0と密度8.6をこの順に装填したもの等が挙げられる。上記フィルターの種類、個数は、排気の圧力損失の許容範囲において、必要に応じて選択し、増減することができる。
【0048】
また、上記フィルターの目詰まりについては、圧力計によって随時モニターされてもよい。
【0049】
以下、大気圧プラズマ放電処理について説明する。
本発明に係わる、大気圧もしくはその近傍の圧力下で行われるプラズマ放電処理による薄膜形成方法において、対向電極間(放電空間)に供給する反応ガスは、少なくとも、電界により励起する放電ガスと、薄膜を形成する原料ガスを含んでいる。
【0050】
放電ガスとしてはヘリウム、アルゴン等の希ガス或いは窒素を用いることができるが、特に窒素が好ましく用いられる。窒素ガスを用いて大気圧CVD法で積層膜を形成する場合、下記の放電条件で行うことが好ましい。
【0051】
即ち、対向する第1電極と第2電極との放電空間に、高周波電圧を印加し、該高周波電圧が、第1の周波数ωの電圧成分と、前記第1の周波数ωより高い第2の周波数ωの電圧成分とを重ね合わせた成分を少なくとも有するものである。
【0052】
高周波とは、少なくとも0.5kHz以上の周波数を有するものを言う。
前記高周波電圧が、第1の周波数ωの電圧成分と、前記第1の周波数ωより高い第2の周波数ωの電圧成分とを重ね合わせた成分となり、その波形は周波数ωのサイン波上に、それより高い周波数ωのサイン波が重畳されたωのサイン波がギザギザしたような波形となる。
【0053】
放電開始電圧とは、実際の薄膜形成方法に使用される放電空間(電極の構成など)および反応条件(ガス条件など)において放電を起こすことの出来る最低電圧のことを指す。放電開始電圧は、放電空間に供給されるガス種や電極の誘電体種などによって多少変動するが、放電ガス単独の放電開始電圧と略同一と考えてよい。
【0054】
上記で述べたような高周波電圧を対向電極間(放電空間)に印加することによって、薄膜形成可能な放電を起こし、高品位な薄膜形成に必要な高密度プラズマを発生することが出来ると推定される。ここで重要なのは、このような高周波電圧が対向する電極それぞれに印加され、すなわち、同じ放電空間に両方から印加されることが好ましい。
【0055】
上記でサイン波の重畳について説明したが、これに限られるものではなく、両方パルス波であっても、一方がサイン波でもう一方がパルス波であってもかまわない。また、更に第3の電圧成分を有していてもよい。
【0056】
上記の高周波電圧を、対向電極間(同一放電空間)に印加するため、対向電極を構成する第1電極に周波数ωであって電圧Vである第1の高周波電圧を印加する第1電源を接続し、第2電極に周波数ωであって電圧Vである第2の高周波電圧を印加する第2電源を接続した大気圧プラズマ放電処理装置が好ましく用いられる。
【0057】
上記の大気圧プラズマ放電処理装置には、前記対向電極間に、放電ガスと原料ガスとを供給するガス供給手段を備えていることが好ましい。更に、電極の温度を制御する電極温度制御手段を有することが好ましい。
【0058】
また、電極、第1電源またはそれらの間の何れかには第1フィルターを、また電極、第2電源またはそれらの間の何れかには第2フィルターを接続することが好ましく、第1フィルターは該第1電源からの周波数の電流を通過しにくくし、該第2電源からの周波数の電流を通過し易くし、また、第2フィルターはその逆で、該第2電源からの周波数の電流を通過しにくくし、該第1電源からの周波数の電流を通過し易くするというそれぞれのフィルターには機能が備わっているものを使用する。ここで、通過しにくいとは、好ましくは、電流の20%以下、より好ましくは10%以下しか通さないことをいう。逆に通過し易いとは、好ましくは電流の80%以上、より好ましくは90%以上を通すことをいう。
【0059】
更に、本発明で用いられる大気圧プラズマ放電処理装置の第1電源は、第2電源より大きな高周波電圧を印加出来る能力を有していることが好ましい。
【0060】
また、別の放電条件としては、対向する第1電極と第2電極との間に、高周波電圧を印加し、該高周波電圧が、第1の高周波電圧V及び第2の高周波電圧Vを重畳したものであって、放電開始電圧をIVとしたとき、
≧IV>V
または V>IV≧V
を満たす。更に好ましくは、
>IV>V
を満たすことである。
【0061】
高周波および放電開始電圧の定義、また、上記本発明の高周波電圧を、対向電極間(同一放電空間)に印加する具体的な方法としては、上述したものと同様である。
【0062】
ここで、本発明でいう高周波電圧(印加電圧)と放電開始電圧は、下記の方法で測定されたものをいう。
【0063】
高周波電圧V及びV(単位:kV/mm)の測定方法:
各電極部の高周波プローブ(P6015A)を設置し、該高周波プローブをオシロスコープ(Tektronix社製、TDS3012B)に接続し、電圧を測定する。
【0064】
放電開始電圧IV(単位:kV/mm)の測定方法:
電極間に放電ガスを供給し、該電極間の電圧を増大させていき、放電が始まる電圧を放電開始電圧IVと定義する。測定器は上記高周波電圧測定と同じである。
【0065】
なお、上記測定に使用する高周波プローブとオシロスコープの位置関係については後述の図1に示してある。
【0066】
高い電圧をかけるような放電条件をとることにより、例え窒素ガスのように放電開始電圧が高い放電ガスでも、放電を開始し、高密度で安定なプラズマ状態を維持出来、高性能な薄膜形成を行うことが出来る。
【0067】
上記の測定により放電ガスを窒素ガスとした場合、その放電開始電圧IVは3.7kV/mm程度であり、従って、上記の関係において、第1の高周波電圧を、V≧3.7kV/mmとして印加することによって窒素ガスを励起し、プラズマ状態にすることが出来る。
【0068】
ここで、第1電源の周波数としては、200kHz以下が好ましく用いることが出来る。またこの電界波形としては、サイン波でもパルスでもよい。下限は1kHz程度が望ましい。
【0069】
一方、第2電源の周波数としては、800kHz以上が好ましく用いられる。この第2電源の周波数が高い程、プラズマ密度が高くなり、緻密で良質な薄膜が得られる。上限は200MHz程度が望ましい。
【0070】
このような二つの電源から高周波電圧を印加することは、第1の周波数ω側によって高い放電開始電圧を有する放電ガスの放電を開始するのに必要であり、また第2の周波数ω側はプラズマ密度を高くして緻密で良質な薄膜を形成することができる。
【0071】
前記第1フィルターは、前記第1電源からの周波数の電流を通過しにくくし、且つ前記第2電源からの周波数の電流を通過し易くするようになっており、また前記第2フィルターは、該第2電源からの周波数の電流を通過しにくく、且つ該第1電源からの周波数の電流を通過し易くするようになっている。
【0072】
例えば、第1フィルターとしては、第2電源の周波数に応じて数10〜数万pFのコンデンサー、もしくは数μH程度のコイルを用いることが出来る。第2フィルターとしては、第1電源の周波数に応じて10μH以上のコイルを用い、これらのコイルまたはコンデンサーを介してアース接地することでフィルターとして使用出来る。
【0073】
本発明に係わる大気圧プラズマ放電処理装置は、上述のように、一方の電極が基材搬送方向に複数配置された対向電極間で放電させ、該対向電極間もしくはその近傍に導入した放電ガスと原料ガスをプラズマ状態とし、該対向電極間を搬送される基材を該プラズマ状態のガスに晒すことによって、該基材の上に薄膜を形成させるものである。
【0074】
図4は本発明に有用な、基材の搬送方向に複数配置された固定角筒型電極とこれに対向する回転電極とを有する大気圧プラズマ放電処理装置の一例を示す概略図である。
【0075】
本発明の大気圧プラズマ放電処理装置は、少なくとも、プラズマ放電処理装置30、二つの電源を有する電圧印加手段40、電極温度調節手段60を有している装置である。図では省略しているが、それぞれのガス給気口に連結するガス供給手段が備えられている。各々の固定電極36は電源42と接続され、更に電源温度調節手段60から供給される媒体を循環できるようになっており、また、各固定電極36に設けられた給気口52からガス供給手段(図では省略している)からのガスGを供給し、排ガスG′は各固定電極間にそれぞれ設けられた前記ノズル型の排気口53から排出する。図では各供給口、排気口へのガスの供給手段は省略し、ガスの流れを示す矢印でのみ示した。
【0076】
また、排気口52は基材の搬送方向に沿って複数設けられた、基材の浸入側であるニップロール65に最も近い電極および基材が処理の後、放電空間から排出される側の電極のニップロール66側、即ち複数の電極の両端には、排気口が備えられており、ニップロール、基材の間隙から浸入する大気が、放電部に流れ、反応ガスの偏在を引き起こすのを防止する。
【0077】
回転電極(第1電極)35と角筒型固定電極群(第2電極)36との間の放電空間(対向電極間)32に、回転電極(第1電極)35には第1電源41から周波数ω1であって高周波電圧V1を、また角筒型固定電極群(第2電極)36には第2電源42から周波数ω2であって高周波電圧V2をかけるようになっている。
【0078】
回転電極(第1電極)35と第1電源41との間には、第1電源41からの電流が回転電極(第1電極)35に向かって流れるように第1フィルター43が設置されており、該第1フィルターは第1電源41からの電流がアース側へ通過しにくくし、第2電源42からの電流がアース側に通過し易くするように設計されている。また、角筒型固定電極群(第2電極)36と第2電源42との間には、第2電源からの電流が第2電極に向かって流れるように第2フィルター44が設置されており、第2フィルター44は、第2電源42からの電流がアース側へ通過しにくくし、第1電源41からの電流をアース側に通過し易くするように設計されている。
【0079】
なお、回転電極35を第2電極、また角筒型固定電極群36を第1電極としてもよい。何れにしろ第1電極には第1電源が、また第2電極には第2電源が接続される。更に、第1電源は第2電源より高い電位の高周波(V>V)を印加出来る能力を有していればよい。また、周波数はω<ωとなる能力を有していればよい。
【0080】
ガス供給手段から供給され、各供給口を有する電極から供給されたガスGは、流量を制御して各給気口52よりプラズマ放電処理容器31内に導入する。図では配管等は示していないが、角筒型固定電極群36の供給口より放電空間32へとガスGが供給され、角筒型固定電極群36の間に配置されたノズル型の排気口53それぞれより処理排ガスG′が排出される。
【0081】
基材Fは、図示されていない元巻きから巻きほぐして搬送されてくるか、または前工程から搬送されて来て、ガイドロール64を経てニップロール65で基材に同伴されて来る空気等を遮断し、回転電極35に接触したまま巻き回しながら角筒型固定電極群36との間に移送し、回転電極(第1電極)35と角筒型固定電極群(第2電極)36との両方から電圧をかけ、対向電極間(放電空間)32で放電プラズマを発生させる。基材Fは回転電極35に接触したまま巻き回されながらプラズマ状態のガスにさらされ表面に薄膜が形成される。基材Fは、ニップロール66、ガイドロール67を経て、図示してない巻き取り機で巻き取るか、次工程に移送する。
【0082】
放電処理済みの処理排ガスG′は角筒型固定電極群36の間に配置されたノズル型の排気口53それぞれより排出される。
【0083】
薄膜形成中、回転電極(第1電極)35及び角筒型固定電極群(第2電極)36を加熱または冷却するために、電極温度調節手段60で温度を調節した媒体を、送液ポンプPで配管61を経て両電極に送り、電極内側から温度を調節する。
なお、68及び69はプラズマ放電処理容器31と外界とを仕切る仕切板である。
【0084】
ガス供給手段(図では省略している)から供給され各角筒型固定電極群(第2電極)36から供給されるガスの総量はやはり図示されていないが、総量を前記マスフローコントローラーにて制御され、排気ガス総量と共にモニターされる。
【0085】
又、各固定電極間に配置された排気口に、基材の幅手方向に並列して複数設けられた排気管によって排気されるが、幅手方向の位置によって、バルブ等が設けられそれぞれの排気管からの排気量をバルブを制御して、反応ガスの濃度の偏りを補正する。
【0086】
このように、本発明において、薄膜が形成される基材は回転電極上で移送しながらプラズマ放電処理されるのが好ましい。
【0087】
回転電極上のゴミ、異物、パーティクル等は形成する薄膜の欠陥の原因となるため、粘着ロール、ブラシ、エアブロア等によって除去することが望まれる。
【0088】
用いられる電極の表面は固体誘電体で被覆されていることが望ましく、特に金属等の導電性母材に対し固体誘電体で被覆されていることが望ましい。固体誘電体としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレンテレフタレート等のプラスティック、ガラス、二酸化珪素、酸化アルミニウム(Al)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化チタン(TiO)等の金属酸化物、チタン酸バリウム等の複酸化物等を挙げることができる。
【0089】
特に好ましくは、セラミックスを溶射後、無機材料を用いて封孔処理したセラミック被覆処理誘電体であることが望ましい。ここで、金属等の導電性母材としては、銀、白金、ステンレス、アルミニウム、鉄、チタン、チタン合金等の金属等を挙げることができるが、加工の観点からステンレスが好ましい。
【0090】
また、ライニング材としては、ケイ酸塩系ガラス、ホウ酸塩系ガラス、リン酸塩系ガラス、ゲルマン酸塩系ガラス、亜テルル酸塩ガラス、アルミン酸塩ガラス、バナジン酸塩ガラス等が好ましく用いられるが、この中でもホウ酸塩系ガラスが加工し易いので、更に好ましく用いられる。
【0091】
本発明において、電極はその裏面側(内側)から、必要に応じて、加熱あるいは冷却することができるようになっている。電極がベルトの場合には、その裏面より気体で冷却することもできるが、ロールを用いた回転電極では内部に媒体を供給して電極表面の温度及び基材の温度を制御することが好ましい。
【0092】
媒体としては、蒸留水、油特にシリコンオイル等の絶縁性材料が好ましく用いられる。
【0093】
放電処理の際の基材の温度は処理条件によって異なるが、室温〜200℃以下が好ましく、より好ましくは50〜120℃以下であり、更に好ましくは60〜110℃である。
【0094】
放電処理の際に基材面の特に幅手方向で温度ムラが生じないようにすることが望ましく、±5℃以内とすることが好ましく、より好ましくは±1℃以内であり、特に好ましくは±0.1℃以内である。
【0095】
本発明において、反応ガスの濃度や流量は適宜調整されるが、基材の搬送速度に対して十分な速度で処理用ガスを電極間隙に供給することが好ましい。例えば、幅手方向1cmあたり0.1〜200L/minの流量で反応ガスを供給することが好ましい。放電部では供給した反応ガスのほとんどが反応して薄膜形成に使われるように流量や放電条件が設定するのが望ましい。
【0096】
放電部に大気が混入したり、反応ガスが装置外に漏れ出ることを防止するために、電極及び移送中の基材は全体を囲んで外界から遮蔽することが好ましい。本発明において、放電部の気圧は大気圧もしくはその近傍の圧力に維持される。
【0097】
図5は、図1および4に示した回転電極の導電性の金属質母材とその上に被覆されている誘電体の構造の一例を示す斜視図である。
【0098】
図5において、ロール電極35aは導電性の金属質母材35Aとその上に誘電体35Bが被覆されたものである。内部は中空のジャケットになっていて温度調節が行われるようになっている。
【0099】
角筒型電極は、前記図3に示したが、角筒型電極の中央部にガス給気口となる溝が切られ、溝の底面には、一列に、ここでは4つのガス給気口開口部がある。
【0100】
この角筒型電極についても、図5同様の誘電体の被覆を有しているが、図では省略されている。また、該電極の構造が中空部分を有していて、それがジャケットとなり、放電中の温度調節が行えるようになっている(省略)。
【0101】
なお、角筒型固定電極の数は、上記ロール電極の円周より大きな円周上に沿って複数本設置されており、図4において、該電極の放電面積は回転電極35に対向している全角筒型固定電極面の面積の和で表される。
【0102】
図3に示した角筒型電極にかえて、断面が円である円筒型電極を用いることもできるが、角筒型電極は円筒型電極に比べて、放電範囲(放電面積)を広げる効果があるので、本発明に好ましく用いられる。
【0103】
図3及び5において、角筒型電極及びロール電極は、それぞれ導電性の金属質母材の上に誘電体としてのセラミックスを溶射後、無機化合物の封孔材料を用いて封孔処理したものである。セラミックス誘電体は片肉で1mm程度被覆されていることが好ましい。溶射に用いるセラミックス材としては、アルミナ・窒化珪素等が好ましく用いられるが、この中でもアルミナが加工し易いので、特に好ましく用いられる。また、誘電体層が、ガラスライニングにより無機材料を設けたライニング処理誘電体であってもよい。
【0104】
電極を構成する導電性の金属質母材としては、チタン金属またはチタン合金、銀、白金、ステンレススティール、アルミニウム、鉄等の金属等や、鉄とセラミックスとの複合材料またはアルミニウムとセラミックスとの複合材料を挙げることが出来るが、後述の理由からはチタン金属またはチタン合金が特に好ましい。
【0105】
対向する電極間の距離(電極間隙)は、導電性の金属質母材に設けた誘電体の厚さ、印加電圧の大きさ、プラズマを利用する目的等を考慮して決定されるが、電極の一方に誘電体を設けた場合の誘電体表面と導電性の金属質母材表面の最短距離、上記電極の双方に誘電体を設けた場合の誘電体表面同士の距離としては、いずれの場合も均一な放電を行う観点から0.1〜20mmが好ましく、特に好ましくは0.5〜2mmである。なお、ロール電極の回転によって電極間隔が変動しないことが好ましく、変動幅としては±0.5mm以内であることが好ましく、さらに±0.1mm以内であることが好ましく、±0.01mm以内であることが好ましい。
【0106】
図4におけるプラズマ放電処理容器31はパイレックス(R)ガラス製の処理容器等が好ましく用いられるが、電極との絶縁がとれれば金属製を用いることも可能である。例えば、アルミニウムまたは、ステンレススティールのフレームの内面にポリイミド樹脂等を張り付けても良く、該金属フレームにセラミックス溶射を行い絶縁性をとってもよい。
【0107】
図1および4における大気圧プラズマ放電処理装置に設置する第1電源(高周波電源)としては、
印加電源記号 メーカー 周波数
A1 神鋼電機 3kHz
A2 神鋼電機 5kHz
A3 春日電機 15kHz
A4 神鋼電機 50kHz
A5 ハイデン研究所 100kHz*
A6 パール工業 200kHz
等の市販のものを挙げることが出来、何れも使用することが出来る。なお、*印はハイデン研究所インパルス高周波電源(連続モードで100kHz)である。
【0108】
また、第2電源(高周波電源)としては、
印加電源記号 メーカー 周波数
B1 パール工業 800kHz
B2 パール工業 2MHz
B3 パール工業 13.56MHz
B4 パール工業 27MHz
B5 パール工業 150MHz
等の市販のものを挙げることが出来、何れも好ましく使用出来る。
【0109】
尚、1つの電源を用いる場合には、どちらか1つを、反応ガス(膜形成性ガス)および形成される膜の種類や処理しようとする基材等にあわせて選択すればよい。
【0110】
本発明においては、このような電圧を印加して、安定したグロー放電状態を保つことが出来る電極をプラズマ放電処理装置に採用することが望まれる。
【0111】
本発明において、対向する電極間に印加する電力は、第2電極に1W/cm以上の電力(出力密度)を供給し、放電ガスを励起してプラズマを発生させ、エネルギーを原料ガスに与え薄膜を形成させる。供給する電力は1〜50W/cmが好ましい。なお、放電面積(cm)は、電極において放電が起こる範囲の面積のことを指す。
【0112】
ここで電源の印加法に関しては、連続モードと呼ばれる連続サイン波状の連続発振モードと、パルスモードと呼ばれるON/OFFを断続的に行う断続発振モードのどちらを採用してもよいが、少なくとも第2電極側は連続サイン波の方がより緻密で良質な膜が得られるので好ましい。
【0113】
このような大気圧プラズマによる薄膜形成法に使用する電極は、構造的にも、性能的にも過酷な条件に耐えられるものでなければならない。このような電極としては、金属質母材上に誘電体を被覆したものであることが好ましい。
【0114】
本発明に使用する誘電体被覆電極においては、様々な金属質母材と誘電体との間に特性が合うものが好ましく、その一つの特性として、金属質母材と誘電体との線熱膨張係数の差が10×10−6/℃以下となる組み合わせのものである。好ましくは8×10−6/℃以下、更に好ましくは5×10−6/℃以下、更に好ましくは2×10−6/℃以下である。なお、線熱膨張係数とは、周知の材料特有の物性値である。
【0115】
線熱膨張係数の差が、この範囲にある導電性の金属質母材と誘電体との組み合わせとしては、
▲1▼金属質母材が純チタンまたはチタン合金で、誘電体がセラミックス溶射被膜
▲2▼金属質母材が純チタンまたはチタン合金で、誘電体がガラスライニング
▲3▼金属質母材がステンレススティールで、誘電体がセラミックス溶射被膜
▲4▼金属質母材がステンレススティールで、誘電体がガラスライニング
▲5▼金属質母材がセラミックスおよび鉄の複合材料で、誘電体がセラミックス溶射被膜
▲6▼金属質母材がセラミックスおよび鉄の複合材料で、誘電体がガラスライニング
▲7▼金属質母材がセラミックスおよびアルミの複合材料で、誘電体がセラミックス溶射皮膜
▲8▼金属質母材がセラミックスおよびアルミの複合材料で、誘電体がガラスライニング
等がある。線熱膨張係数の差という観点では、上記▲1▼または▲2▼および▲5▼〜▲8▼が好ましく、特に▲1▼が好ましい。
【0116】
本発明において、金属質母材は、上記の特性からはチタンまたはチタン合金が特に有用である。金属質母材をチタンまたはチタン合金とすることにより、誘電体を上記とすることにより、使用中の電極の劣化、特にひび割れ、剥がれ、脱落等がなく、過酷な条件での長時間の使用に耐えることが出来る。
【0117】
本発明に有用な電極の金属質母材としては、チタンを70質量%以上含有するチタン合金またはチタン金属である。本発明において、チタン合金またはチタン金属中のチタンの含有量は、70質量%以上であれば、問題なく使用出来るが、好ましくは80質量%以上のチタンを含有しているものが好ましい。本発明に有用なチタン合金またはチタン金属は、工業用純チタン、耐食性チタン、高力チタン等として一般に使用されているものを用いることが出来る。工業用純チタンとしては、TIA、TIB、TIC、TID等を挙げることが出来、何れも鉄原子、炭素原子、窒素原子、酸素原子、水素原子等を極僅か含有しているもので、チタンの含有量としては、99質量%以上を有している。耐食性チタン合金としては、T15PBを好ましく用いることが出来、上記含有原子の他に鉛を含有しており、チタン含有量としては、98質量%以上である。また、チタン合金としては、鉛を除く上記の原子の他に、アルミニウムを含有し、その他バナジウムや錫を含有しているT64、T325、T525、TA3等を好ましく用いることが出来、これらのチタン含有量としては、85質量%以上を含有しているものである。これらのチタン合金またはチタン金属はステンレススティール、例えばAISI316に比べて、熱膨張係数が1/2程度小さく、金属質母材としてチタン合金またはチタン金属の上に施された後述の誘電体との組み合わせがよく、高温、長時間での使用に耐えることが出来る。
【0118】
一方、誘電体の求められる特性としては、具体的には、比誘電率が6〜45の無機化合物であることが好ましく、また、このような誘電体としては、アルミナ、窒化珪素等のセラミックス、あるいは、ケイ酸塩系ガラス、ホウ酸塩系ガラス等のガラスライニング材等がある。この中では、後述のセラミックスを溶射したものやガラスライニングにより設けたものが好ましい。特にアルミナを溶射して設けた誘電体が好ましい。
【0119】
または、上述のような大電力に耐える仕様の一つとして、誘電体の空隙率が10体積%以下、好ましくは8体積%以下であることで、好ましくは0体積%を越えて5体積%以下である。なお、誘電体の空隙率は、BET吸着法や水銀ポロシメーターにより測定することが出来る。後述の実施例においては、島津製作所製の水銀ポロシメーターにより金属質母材に被覆された誘電体の破片を用い、空隙率を測定する。誘電体が、低い空隙率を有することにより、高耐久性が達成される。このような空隙を有しつつも空隙率が低い誘電体としては、後述の大気プラズマ溶射法等による高密度、高密着のセラミックス溶射被膜等を挙げることが出来る。更に空隙率を下げるためには、封孔処理を行うことが好ましい。
【0120】
上記、大気プラズマ溶射法は、セラミックス等の微粉末、ワイヤ等をプラズマ熱源中に投入し、溶融または半溶融状態の微粒子として被覆対象の金属質母材に吹き付け、皮膜を形成させる技術である。プラズマ熱源とは、分子ガスを高温にし、原子に解離させ、更にエネルギーを与えて電子を放出させた高温のプラズマガスである。このプラズマガスの噴射速度は大きく、従来のアーク溶射やフレーム溶射に比べて、溶射材料が高速で金属質母材に衝突するため、密着強度が高く、高密度な被膜を得ることが出来る。詳しくは、特開2000−301655に記載の高温被曝部材に熱遮蔽皮膜を形成する溶射方法を参照することが出来る。
この方法により、上記のような被覆する誘電体(セラミック溶射膜)の空隙率にすることが出来る。
【0121】
また、大電力に耐える別の好ましい仕様としては、誘電体の厚みが0.5〜2mmであることである。この膜厚変動は、5%以下であることが望ましく、好ましくは3%以下、更に好ましくは1%以下である。
【0122】
誘電体の空隙率をより低減させるためには、上記のようにセラミックス等の溶射膜に、更に、無機化合物で封孔処理を行うことが好ましい。前記無機化合物としては、金属酸化物が好ましく、この中では特に酸化ケイ素(SiOx)を主成分として含有するものが好ましい。
【0123】
封孔処理の無機化合物は、ゾルゲル反応により硬化して形成したものであることが好ましい。封孔処理の無機化合物が金属酸化物を主成分とするものである場合には、金属アルコキシド等を封孔液として前記セラミック溶射膜上に塗布し、ゾルゲル反応により硬化する。無機化合物がシリカを主成分とするものの場合には、アルコキシシランを封孔液として用いることが好ましい。
【0124】
ここでゾルゲル反応の促進には、エネルギー処理を用いることが好ましい。エネルギー処理としては、熱硬化(好ましくは200℃以下)や、紫外線照射などがある。更に封孔処理の仕方として、封孔液を希釈し、コーティングと硬化を逐次で数回繰り返すと、よりいっそう無機質化が向上し、劣化の無い緻密な電極が出来る。
【0125】
本発明に係る誘電体被覆電極の金属アルコキシド等を封孔液として、セラミックス溶射膜にコーティングした後、ゾルゲル反応で硬化する封孔処理を行う場合、硬化した後の金属酸化物の含有量は60モル%以上であることが好ましい。封孔液の金属アルコキシドとしてアルコキシシランを用いた場合には、硬化後のSiOx(xは2以下)含有量が60モル%以上であることが好ましい。硬化後のSiOx含有量は、XPSにより誘電体層の断層を分析することにより測定する。
【0126】
本発明に使用する誘電体被覆電極において、大電力に耐える他の好ましい仕様としては、耐熱温度が100℃以上であることである。更に好ましくは120℃以上、特に好ましくは150℃〜500℃である。なお、耐熱温度とは、絶縁破壊が発生せず、正常に放電出来る状態において耐えられる最も高い温度のことを指す。このような耐熱温度は、上記のセラミックス溶射や、泡混入量の異なる層状のガラスライニングで設けた誘電体を適宜組み合わせることによって達成可能である。
【0127】
次に、放電空間に供給するガスについて説明する。
供給するガスは、放電ガスおよび原料ガスを含有する。放電ガスと原料ガスは混合して供給してもよいし、別々に供給してもかまわない。
【0128】
放電ガスとは、薄膜形成可能なグロー放電を起こすことの出来るガスであり、それ自身がエネルギーを授受する媒体として働く。放電ガスとしては、窒素、希ガス、空気、水素ガス、酸素などがあり、これらを単独で放電ガスとして用いても、混合して用いてもかまわない。本発明において、放電ガスとして特に好ましいのは窒素である。放電ガスの50〜100体積%が窒素ガスであることが好ましい。このとき、放電ガスとして窒素以外の放電ガスとしては、希ガスを50体積%未満含有することが好ましい。また、放電ガスの量は、放電空間に供給する全ガス量に対し、90〜99.9体積%含有することが好ましい。
【0129】
原料ガスとは、放電ガスからのエネルギーを受け取って、それ自身は励起して活性となり、基材上に化学的に堆積して薄膜を形成する原料のことである。
【0130】
次に、本発明に使用する薄膜を形成する反応ガスについて説明する。使用する反応ガスは、基本的に放電ガスと原料ガスの混合ガスである。更に添加ガスを加えることもある。混合ガス中、放電ガスを90〜99.9体積%含有することが好ましい。
【0131】
薄膜の膜厚としては、0.1nm〜1000nmの範囲の薄膜が得られる。
上記放電ガスには、周期表の第18属元素、具体的には、ヘリウム、アルゴン等のいわゆる希ガス、更に窒素等のガスが挙げられるが、本発明においては、窒素が好ましく用いられる。
【0132】
例えば、膜形成ガスとしてジンクアセチルアセトナート、トリエチルインジウム、トリメチルインジウム、ジエチル亜鉛、ジメチル亜鉛、エトラエチル錫、エトラメチル錫、二酢酸ジ−n−ブチル錫、テトラブチル錫、テトラオクチル錫などから選択された少なくとも1つの有機金属化合物を含むガスを用いて、導電性膜あるいは帯電防止膜、あるいは反射防止膜の中屈折率層として有用な金属酸化物膜を形成することができる。
【0133】
また、有機フッ素化合物、珪素化合物またはチタン化合物を含有する膜形成ガスを用いることにより、反射防止膜の低屈折率層または高屈折率層を設けることが出来る。
【0134】
有機フッ素化合物としては、フッ化炭素ガス、フッ化炭化水素ガス等が好ましく用いられる。フッ化炭素ガスとしては、4フッ化炭素、6フッ化炭素、具体的には、4フッ化メタン、4フッ化エチレン、6フッ化プロピレン、8フッ化シクロブタン等が挙げられる。前記のフッ化炭化水素ガスとしては、2フッ化メタン、4フッ化エタン、4フッ化プロピレン、3フッ化プロピレン等が挙げられる。
【0135】
更に、1塩化3フッ化メタン、1塩化2フッ化メタン、2塩化4フッ化シクロブタン等のフッ化炭化水素化合物のハロゲン化物やアルコール、酸、ケトン等の有機化合物のフッ素置換体を用いることが出来るがこれらに限定されない。また、これらの化合物が分子内にエチレン性不飽和基を有していても良い。前記の化合物は単独でも混合して用いても良い。
【0136】
混合ガス中に上記記載の有機フッ素化合物を用いる場合、放電プラズマ処理により基材上に均一な薄膜を形成する観点から、混合ガス中の有機フッ素化合物の含有率は、0.1〜10体積%であることが好ましいが、更に好ましくは、0.1〜5体積%である。
【0137】
また、有機フッ素化合物が常温、常圧で気体である場合は、混合ガスの構成成分として、そのまま使用できるので最も容易に本発明の方法を遂行することができる。しかし、有機フッ素化合物が常温・常圧で液体又は固体である場合には、加熱、減圧等の方法により気化して使用すればよく、また、又、適切な溶剤に溶解して用いてもよい。
【0138】
上記記載の珪素化合物、チタン化合物としては、取り扱い上の観点から金属水素化合物、金属アルコキシドが好ましく、腐食性、有害ガスの発生がなく、工程上の汚れなども少ないことから、金属アルコキシドが好ましく用いられる。
【0139】
また、上記記載の珪素化合物、チタン化合物を放電空間である電極間に導入するには、両者は常温常圧で、気体、液体、固体いずれの状態であっても構わない。気体の場合は、そのまま放電空間に導入できるが、液体、固体の場合は、加熱、減圧、超音波照射等の手段により気化させて使用される。珪素化合物、チタン化合物を加熱により気化して用いる場合、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシチタンなど、常温で液体で、沸点が200℃以下である金属アルコキシドが反射防止膜の形成に好適に用いられる。上記金属アルコキシドは、溶媒によって希釈して使用されても良く、溶媒は、メタノール、エタノール、n−ヘキサンなどの有機溶媒及びこれらの混合溶媒が使用できる。尚、これらの希釈溶媒は、プラズマ放電処理中において、分子状、原子状に分解される為、基材上への薄膜の形成、薄膜の組成などに対する影響は殆ど無視することが出来る。
【0140】
上記記載の珪素化合物としては、例えば、ジメチルシラン、テトラメチルシランなどの有機金属化合物、モノシラン、ジシランなどの金属水素化合物、二塩化シラン、三塩化シランなどの金属ハロゲン化合物、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、ジメチルジエトキシシランなどのアルコキシシラン、オルガノシランなどを用いることが好ましいがこれらに限定されない。また、これらは適宜組み合わせて用いることが出来る。
【0141】
混合ガス中に上記記載の珪素化合物を用いる場合、放電プラズマ処理により基材上に均一な薄膜を形成する観点から、混合ガス中の珪素化合物の含有率は、0.1〜10体積%であることが好ましいが、更に好ましくは、0.1〜5体積%である。
【0142】
上記記載のチタン化合物としては、テトラジメチルアミノチタンなどの有機金属化合物、モノチタン、ジチタンなどの金属水素化合物、二塩化チタン、三塩化チタン、四塩化チタンなどの金属ハロゲン化合物、テトラエトキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラブトキシチタンなどの金属アルコキシドなどを用いることが好ましいがこれらに限定されない。
【0143】
混合ガス中に上記記載のチタン化合物を用いる場合、放電プラズマ処理により基材上に均一な薄膜を形成する観点から、混合ガス中のチタン化合物の含有率は、0.1〜10体積%であることが好ましいが、更に好ましくは、0.1〜5体積%である。
【0144】
膜形成ガスに有機金属化合物を添加する場合、例えば、有機金属化合物としてLi,Be,B,Na,Mg,Al,Si,K,Ca,Sc,Ti,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Ga,Ge,Rb,Sr,Y,Zr,Nb,Mo,Cd,In,Ir,Sn,Sb,Cs,Ba,La,Hf,Ta,W,Tl,Pb,Bi,Ce,Pr,Nd,Pm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Luから選択される金属を含むことができる。より好ましくは、これらの有機金属化合物が金属アルコキシド、アルキル化金属、金属錯体から選ばれるものが好ましい。
【0145】
また、上記記載の混合ガス中に水素ガスを0.1〜10体積%含有させることにより薄膜の硬度を著しく向上させることが出来る。
【0146】
また、混合ガス中に酸素、オゾン、過酸化水素、二酸化炭素、一酸化炭素、水素、窒素から選択される成分を0.01〜5体積%含有させることにより、反応促進され、且つ、緻密で良質な薄膜を形成することができる。
【0147】
また、フッ素含有化合物ガスを用いることによって、基材表面にフッ素含有基を形成させて表面エネルギーを低くし、撥水性表面を得る撥水膜を得ることが出来る。フッ素元素含有化合物としては、6フッ化プロピレン(CFCFCF)、8フッ化シクロブタン(C)等のフッ素・炭素化合物が挙げられる。安全上の観点から、有害ガスであるフッ化水素を生成しない6フッ化プロピレン、8フッ化シクロブタンを用いる。
【0148】
また、分子内に親水性基と重合性不飽和結合を有するモノマーの雰囲気下で処理を行うことにより、親水性の重合膜を堆積させることもできる。上記親水性基としては、水酸基、スルホン酸基、スルホン酸塩基、1級若しくは2級又は3級アミノ基、アミド基、4級アンモニウム塩基、カルボン酸基、カルボン酸塩基等の親水性基等が挙げられる。又、ポリエチレングリコール鎖を有するモノマーを用いても同様に親水性重合膜を堆積が可能である。
【0149】
上記モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸ナトリウム、アクリル酸カリウム、メタクリル酸カリウム、スチレンスルホン酸ナトリウム、アリルアルコール、アリルアミン、ポリエチレングリコールジメタクリル酸エステル、ポリエチレングリコールジアクリル酸エステルなどが挙げられ、これらの少なくとも1種が使用できる。
【0150】
上記または上記以外の種々の膜形成ガスを適宜選択して、本発明の薄膜形成方法に使用することにより様々な高機能性の薄膜を得ることができる。その一例を以下に示すが、本発明はこれに限られるものではない。
【0151】
電極膜 Au,Al,Ag,Ti,Ti,Pt,Mo,Mo−Si
誘電体保護膜 SiO,SiO,Si,Al,Al,Y
透明導電膜 In,SnO
エレクトロクロミック膜 WO,IrO,MoO,V
蛍光膜 ZnS,ZnS+ZnSe,ZnS+CdS
磁気記録膜 Fe−Ni,Fe−Si−Al,γ−Fe,Co,Fe、Cr,SiO,Al
超導電膜 Nb,Nb−Ge,NbN
太陽電池膜 a−Si,Si
反射膜 Ag,Al,Au,Cu
選択性吸収膜 ZrC−Zr
選択性透過膜 In,SnO
反射防止膜 SiO,TiO,SnO
シャドーマスク Cr
耐摩耗性膜 Cr,Ta,Pt,TiC,TiN
耐食性膜 Al,Zn,Cd,Ta,Ti,Cr
耐熱膜 W,Ta,Ti
潤滑膜 MoS
装飾膜 Cr,Al,Ag,Au,TiC,Cu
その他に、プリント基板の作成や時のエッチングや基材表面の洗浄、例えば、水素等の還元用ガスや酸素、4フッ化メタン等の酸化ガス等の反応ガスを用いた表面処理の場合にも本発明は適用できる。
【0152】
次に、本発明に用いることができる基材について説明する。
本発明に用いることができる基材としては、フィルム状のもの、レンズ状等の立体形状のもの等、薄膜をその表面に形成できるものであれば特に限定はない。基材が電極間に載置できるものであれば、電極間に載置することによって、基材が電極間に載置できないものであれば、発生したプラズマを当該基材に吹き付けることによって薄膜を形成すればよい。
【0153】
基材を構成する材料も特に限定はないが、大気圧または大気圧近傍の圧力下であることと、低温のグロー放電であることから、樹脂を好ましく用いることができる。
【0154】
例えば、本発明に係る薄膜が反射防止膜である場合、基材として好ましくはフィルム状のセルローストリアセテート等のセルロースエステル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスチレン、更にこれらの上にゼラチン、ポリビニルアルコール(PVA)、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、セルロース系樹脂等を塗設したもの等を使用することが出来る。また、これら基材は、支持体上に防眩層やクリアハードコート層を塗設したり、バックコート層、帯電防止層を塗設したものを用いることが出来る。
【0155】
上記の支持体(基材としても用いられる)としては、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロファン、セルロースジアセテートフィルム、セルロースアセテートブチレートフィルム、セルロースアセテートプロピオネートフィルム、セルロースアセテートフタレートフィルム、セルローストリアセテート、セルロースナイトレート等のセルロースエステル類またはそれらの誘導体からなるフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレンビニルアルコールフィルム、シンジオタクティックポリスチレン系フィルム、ポリカーボネートフィルム、ノルボルネン樹脂系フィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、ポリイミドフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリスルホン系フィルム、ポリエーテルケトンイミドフィルム、ポリアミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ナイロンフィルム、ポリメチルメタクリレートフィルム、アクリルフィルムあるいはポリアリレート系フィルム等を挙げることができる。
【0156】
これらの素材は単独であるいは適宜混合されて使用することもできる。中でもゼオネックス(日本ゼオン(株)製)、ARTON(日本合成ゴム(株)製)などの市販品を好ましく使用することができる。更に、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルフォン及びポリエーテルスルフォンなどの固有複屈折率の大きい素材であっても、溶液流延、溶融押し出し等の条件、更には縦、横方向に延伸条件等を適宜設定することにより、得ることが出来る。また、本発明に係る支持体は、上記の記載に限定されない。膜厚としては10μm〜1000μmのフィルムが好ましく用いられる。
【0157】
本発明において、基材上に設ける薄膜が、反射防止膜である場合には、本発明に係る支持体としては、中でもセルロースエステルフィルムを用いることが低い反射率の積層体が得られる為、好ましい。本発明に記載の効果を好ましく得る観点から、セルロースエステルとしてはセルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネートが好ましく、中でもセルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネートが好ましく用いられる。
【0158】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれにより限定されるべきではない。
【0159】
(実施例1)
以下の条件で前記図4に示した大気圧放電プラズマ処理装置をもちいて、コニカタックKC8UF−H(ハードコート層付きセルロースアセテートフィルム、2000mロール、幅1500m)を基材として、ハードコート層上に反射防止膜を作製した。
【0160】
反射防止膜の層構成は、ハードコート上から、高屈折率層、低屈折率層、高屈折率層、低屈折率層の順であり、大気圧プラズマCVDにより、下記の混合ガス、放電条件を用いてそれぞれ高屈折率層、低屈折率層をそれぞれ順次製膜した。
また大気圧プラズマCVDは図4に記載の2周波電源を有する装置を用いた。また放電プラズマ発生に用いる第一電源はハイデン研究所製インパルス電源PHF−6Kを、第二電源はパール工業製を用いた。また回転電極は、ドライブにより回転させた。
【0161】
ハードコート上に設けられた高屈折率層、低屈折率層、高屈折率層、低屈折率層からなる4層構成の反射防止膜を大気圧プラズマCVDにより製膜する際に、混合ガス全導入量(L/min)およびガス全排気量(L/min)を表1に記載の様に変化させて反射防止膜を形成し、反射防止フィルム1〜5をそれぞれ作製した。
【0162】
大気圧プラズマCVDにより高屈折率層を製膜する際に用いた混合ガスの組成と放電条件を以下に示す。なお、ガス組成は体積%で示した。
【0163】
(混合ガス)
窒素 98.5%
水素 1%
テトライソプロポキシチタン 0.5%
(放電条件)
高周波電源1(ハイデン研究所製):連続周波数100kHz(サイン波)
放電密度:1W/cm
高周波電源2(パール工業製):連続周波数を13.56MHz(サイン波)
放電密度:4W/cm
電極間隙:2mm
また、大気圧プラズマ放電処理により低屈折率層を製膜する際の混合ガスの組成と放電条件を以下に示す。
【0164】
(混合ガス)
窒素 98.5%
水素 1%
テトラエトキシシラン 0.5%
(放電条件)
高周波電源1(ハイデン研究所製):連続周波数100kHz(サイン波)
放電密度:1W/cm
高周波電源2(パール工業製):連続周波数を13.56MHz(サイン波)
放電密度:4W/cm
電極間隙:2mm
反射防止フィルム1〜5について、それぞれ以下の評価を行った。
【0165】
《耐傷性評価方法》
ボンスター製#0000のスチールウールを25mm×25mmに切り出し、400gの荷重を掛けサンプル長手方向に10往復させた後、サンプルに付いた傷の本数を数えた。
【0166】
○: 0本
△: 1〜11本未満
×: 11本以上
《クラック評価方法》
サンプルの幅手中心を光学顕微鏡(対物50倍)にて観察。
【0167】
○: 光学顕微鏡でまったく見えない。
△: 光学顕微鏡でわずかに見える。
【0168】
×: 光学顕微鏡で見える。
《濁度評価方法》
濁度をヘイズ測定機HAZE−GARDII(東洋精機製作所製)を用いて測定した。
【0169】
○: 0.0〜0.6未満
△: 0.6〜1.1未満
×: 1.1以上
《膜厚分布評価方法》
膜厚は分光光度計の分光反射率の測定結果から求める。分光光度計はU−4000型(日立製作所製)を用いた。なお、測定の際、サンプルの裏面を粗面化した後、黒色テープで光吸収処理を行った。以上の方法で幅手10点のばらつき(最大値−最小値)で分布を評価した。
【0170】
○:±1%未満
△:±1.5%未満
×:±1.5%以上
【0171】
【表1】
Figure 2004162136
【0172】
表1に示すように、本発明によれば、均一な膜厚で、良好な膜質を有する反射防止膜が得られることがわかる。
【0173】
【発明の効果】
本発明のプラズマ放電処理方法により膜厚が均一で、硬いしかも濁度の低い良質な膜を得る事が出来た。
【図面の簡単な説明】
【図1】回転電極と複数の固定角筒型電極からなるプラズマ放電空間の一例を示す概略図である。
【図2】ノズル状の排気口の例を示す概略図である。
【図3】固定角筒型電極の例を示す概略図である。
【図4】固定角筒型電極と回転電極とを有する大気圧プラズマ放電処理装置の一例を示す概略図である。
【図5】回転電極の導電性の金属質母材とその上に被覆されている誘電体の構造の一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
B 溝
F 基材
G 反応ガス
G′ 排ガス
H 排気管開口部
I 給気管開口部
T 排気管
30 プラズマ放電処理装置
41 第1電源
42 第2電源
31 プラズマ放電処理容器
35 回転電極
36 角筒型固定電極群
40 電圧印加手段
52 ガス給気口
53 ガス排気口
60 温度調節手段
64,67 ガイドロール
65,66 ニップロール
68,69 仕切板

Claims (8)

  1. 大気圧または大気圧近傍の圧力下において、混合ガス雰囲気中で対向する電極間に高周波電圧を印加させて放電させることにより、基材上に薄膜を形成するプラズマ放電処理方法において、対向する電極の一方が、前記基材の搬送方向に沿って複数設置され、かつ、複数設置された電極間にガス排気口が設けられており、ガスの全導入量と同量またはそれ以上のガスを排気することを特徴とするプラズマ放電処理方法。
  2. 前記混合ガスの主成分が窒素であることを特徴とする請求項1に記載のプラズマ放電処理方法。
  3. 基材の搬送方向に沿って複数設置された電極の、最初の電極と最後の電極のプラズマ放電空間からみて外側に、ガス排気口を設けていることを特徴とする請求項1または2に記載のプラズマ放電処理方法。
  4. ガス排気口が、電極の基材幅手方向に沿った開口部を有するノズルおよびこれと一体となった排気管からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のプラズマ放電処理方法。
  5. ガス排気口には基材幅手方向に沿った複数の排気管が設けられており、各排気管はそれぞれ排気量調整機構を有することを特徴とする請求項4に記載のプラズマ放電処理方法。
  6. ガスの導入と排気はマスフローコントローラーによって制御が行われていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のプラズマ放電処理方法。
  7. ガスの導入と排気は差圧制御により行われていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のプラズマ放電処理方法。
  8. ガスの導入量と排気量は流量計によりモニターされていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のプラズマ放電処理方法。
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WO2009090987A1 (ja) * 2008-01-18 2009-07-23 Konica Minolta Holdings, Inc. 大気圧プラズマ放電処理装置および大気圧プラズマ放電処理方法
JP2009162171A (ja) * 2008-01-09 2009-07-23 Toyota Motor Corp 燃料改質装置
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